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1950-12-12 第10回国会 衆議院 建設委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十二月十二日(火曜日)     午前十時五十三分開議  出席委員    委員長代理 理事 内海 安吉君    理事 田中 角榮君 理事 村瀬 宣親君       逢澤  寛君    淺利 三朗君       宇田  恒君    小平 久雄君       瀬戸山三男君    内藤  隆君       西村 英一君    三池  信君       中島 茂喜君    福田 繁芳君       増田 連也君    佐々木更三君       池田 峯雄君    高倉 定助君  出席国務大臣         建 設 大 臣 増田甲子七君         国 務 大 臣 周東 英雄君  出席政府委員         総理府技官         (特別調達庁次         長)      堀井 啓治君         建 設 技 官         (河川局長)  目黒 清雄君         建 設 技 官         (道路局長)  菊池  明君         経済安定技官         (建設交通局         長)      小沢久太郎君  委員外出席者         総理府事務官         (特別調達庁長         官官房長)   辻村 義知君         建設事務官         (大臣官房会計         課長)     植田 俊雄君         建 設 技 官         (道路局道路企         画課長)    佐藤 寛政君         経済安定事務官         (建設交通局公         共事業課長)  中尾 博之君         專  門  員 西畑 正倫君         専  門  員 田中 義一君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  国政調査承認要求に関する件  建設行政説明聴取に関する件     ―――――――――――――
  2. 内海安吉

    内海委員長代理 これより会議を開きます。  委員長病気欠席のため私が委員長の  職務を行います。  この際国政調査承認要求の件についてお諮りいたします。今回も前回同様国土計画地方計画都市計画住宅復興道路治山治水事業特別調達庁所管の営繕及び保有物資等に関する事項につきまして、衆議院規則第九十四條により国政調査承認要求いたしたいと存じますが、御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 内海安吉

    内海委員長代理 御異議がなければ、さように決します。  なお本要求書の作成並びに提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議はありまんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 内海安吉

    内海委員長代理 御異議なければさようにとりはからうことにいたします。     ―――――――――――――
  5. 内海安吉

    内海委員長代理 次に、建設行政に関しまして説明を聽取することといたします。この際まず特別調達庁所管業務に関し説明を聽取いたします。特別調達庁長官官房官房長辻村義知君。
  6. 辻村義知

    辻村説明員 過般来他の委員会におきまして、当庁の業勝に関しましていろいろの御質問がありました次第でございますが、それに関連いたしまして、新聞紙等でいろいろの報道が行われましたので、皆様におかれましても、当庁の業務に関しましていろいろの御疑惑なり、また御心配を煩わしたこともあろうかと存じまして、まことに恐縮に存じておつた次第でございますが、本日それらの問題につきまして、しばらくお時間をいただきまして、概要の御説明をお許しを願いたいと存じます。  先般来、参議院内閣委員会並び参議院決算委員会決算小委員会等で御質問のございました事項は、大わけいたしまして三点になつておると思います。一つは、昭和二十三年度の決算に関する御質問でございます。もう一つは、去る十月十日、青年新聞と申します新聞に出ました記事に関するものでございます。第三点は、特別調達庁自体務業ではございませんで、進駐軍に勤めております、いわゆるLR労務者が結成しております健康保險組合がございますが、この組合業務に関しまして同じ新聞報道がございましたので、当庁に対して御質問があつた次第でございます。こうした諸点について他の委員会において御質問の出ましたのは、要しますのに、特別調達庁経理事務が非常に乱脈をきわめておつて、大きな国費の乱費があるのではないか、また不正事実等も伏在するのではないかというような点を御心配になりまして、それらの点の真相を明らかにしたいという御趣旨であつたかに拜聽いたしたのでございます。国費の使途につきまして御心配を煩わし、当庁の業務についてさような点について御心配を受けましたことにつきましては、まことに恐縮にたえないのでございます。ただ特別調達庁全体の経理事務の実相は、決してそうした乱脈なものではございませんので、この点につきましてはどうか御了承をお願いいたしたいと存じます。ただ昭和二十三年度と申しますと、特別調達庁発足早々のことでございまして、業勝の上で不なれの点もあつたことと存じますし、また御承知のような年々非常に厖大予算をおあずかりいたしておりまして、万をもつて数えるような契約を取結んでおります関係上、数多い中には不注意や手違いによつて事務上の手違いを来したようなとともあつたかと存じます。なおまた御承知のように、私どものやつております仕事が、いわば一つ経理官庁でございまして、業者契約をし、業者支拂いをすることが大部分仕事になつておりますような仕事性質上、いろいろそこには誘惑もございますし、また間違いの起りやすい性質仕事でございまして、七千名おります職員の中には、過去におきまして御承知のように何人かの不心得者を出しまして、司直の手を煩わしたようなこともございまして、これらの点につきましては、まことに申訳ないのでございますが、ただしかしそれだけにわれわれといたしましては、職責の重大なこと、またわれわれの仕事が非常に間違いの起りやすい仕事だということにつきまして、十分なる自覚と自戒をいたしておりまして、上下あげてこの大事な仕事を間違いなく遂行いたしたいということで日夜努力をいたしておりますので、大筋のところでは決して御心配を煩わすようなことはございません。この点は私から申し上げますと、手前みそになりまして、まことに恐縮ではございますけれども、どうかわれわれの努力のあるところを御了承願いますならば、まことに仕合せに存ずる次第でございます。以下しばらく時間をちようだいいたしまして、最初に申し上げました三点につきまして少し具体的に説明させていただきたいと存じます。最初昭和二十三年度の会計検査院決算報告に関してでございますが、この点で特に御質問を受けましたのは、昭和二十三年度の終戰処理費に関します決算報告につきましては、御承知のように昨年の通常国会会計検査院から報告に相なつたのでございますが、その報告の中に推問事項がございまして、その推問事項が非常に多いではないか、ほかの省庁に比べて批難事項が多過ぎるのではないかというような御質問一つつたわけであります。それからもう一つは、非常に厖大なものを買込んでおりながら、物によつてはほとんど使つていないで、そのまま何年もストツクして、多額倉庫料だけを拂つてつたではないか、あるいはまた非常に過拂いが多いではないかというような点が、大きな御質問の御趣旨であつたかと存じておりますが、なおそうした前提のもとに、数件具体的な事項について御質問があつたのでございます。ところがこの非常に批難事項が多いではないかという点でございますが、昭和二十三年度の終戰処理費関係では、推問されましたのが八十五件ございますが、そのうち特別調達庁が直接担当いたしております業務は三十数件でございます。それに対しまして、全国各省庁を通じての会計検査院批難事項が六百二十三件ばかりに相なつておりますので、そのうち三十数件ということになりますと、比較的には非常に多いということではないのではないかというふうに考えております。もつとも三十数件という数に対しまして、これだけの指摘を受けたということにつきましては、恐縮いたしておりますが、ただ実はその中でも終戰処理費という特別な経費経理関係上、やむを得ないような関係で、そうした取扱いをしたようなものもあるわけでございます。先ほど申し上げましたように、第二の質問にも関連するわけでございますが、厖大数量を買い込んで、ほとんど使つていないじやないかということも、この批難事項のうちに上つておるのでございますけれども、これは実はわれわれが物を買います場合に、その規格なり数量、すべて軍の調達要求に基いて購入をいたしまして、また軍の命令によつて出庫をいたしておりますので、この点につきましては、日本側では何ともできない範囲の事項になつておるのでございます。そういう一例によつても御承知のごとく、中にはこの経費特殊性のために、やむを得ず処置をしたようなこともあつたわけでございます。具体的に御指示になりました事御指示になりました事柄につきまして、一々御説明をいたしたいのでございますが、時間の関係もございますので、省略させていただきまして、ただ一件、そのうちで特に大きな問題になりましたと思います。二重煙突の問題につきまして、簡單経緯説明さしていただきたいと存じます。俗に二重煙突と申しますと、ガス排気筒でございますが、これは昭和二十一年に軍の調達要求によつて、当時の戰災復興院業者納入契約をいたしたのでありますが、その後昭和二十二年に当庁が発足いたしましたので、本件も移管を受けたのでございます。ところがこれの支拂い手違いがございまして過拂いを生ずる結果になりましたので、目下その回收努力をいたしておるわけでございますが、これにつきまして御質問がありましたのは、最初業者選定経緯に不明朗な点があるのではないかということと、軍の命令が途中で一度廃棄になりましたので、その後なぜ購入を続けたという問題と、それからどうしてそういう過拂いを生じたかという三点であるのでございます。業者選定につきましては、実は当時の制度におきまして、商工省の権限でございましたので、戰災復興院商工省選定に基いて契約を結んだような経過になつておりますので、実は当庁から御説明申し上げる筋ではないと思つておりますが、当時存じておるだけの説明は申し上げておきましたけれども、本日は時間の関係もございますので、それは省略させていただきたいと存じます。それから当庁に直接関係のございます。軍の命令取消しになつたのに、なぜ購入したかという問題につきましては、実は一応取消しになりましたのでございますが、ほかの項目と一緒命令が出て、また一緒取消しになつたのでございますが、このガス排気筒はいろいろの理由取消しをしない方がいいという商工省結論に基きまして、商工省の方で軍の方とお打合せになつた結果、継続をするということに相なつたのでございます。その理由につきましても、本日は時間の関係で省略さしていただきますが、軍の方もその事情を了とされまして、承認に相なつたのでございます。ところがその承認に対する公文が、軍の担当官変更等のために手違いが生じまして、なかなか発出ができませんでしたので、支拂いの際に技術的な問題があつたわけでございますけれども、しかし実態はただいま申し上げましたような軍の了解によつて継続をいたしました次第でございます。それからなぜ多額の過拂い金を生じたかという点でございますが、これは約二千二百万円の過拂いを生じまして、まことに多額でございますので、この点は恐縮いたしておりますが、実は一つは当時制度欠陷でもあつたのと、調達庁事務の手落ちもあつたわけでございます。当時の契約は全部生産者工場渡しになつておりましたような関係と、当時軍の要求が非常にたくさん出ておりまして、一々役所の方から出向いて検収をするわけに参りませんので、戰災復興院当時から納入代行業者検收事務を委託しておりました。それをときどき役所の方から出向いて行つて実地検査をやつて納入代行業者検收事務に間違いのないようにいたしておりまして、それまでこの制度でほとんど心配がなかつたので、この特別調達庁になりましてからも同じ制度を続けておりましたわけでございますが、不幸にいたしまして本件につきましては検收事務手違いがございまして、その手違い検收調書に基いて当庁が支拂いをいたしましたがために、ただいま申し上げましたような過拂い金を生ずる結果になつたわけでございます。その後当庁といたしましては過拂い金の回收にできるだけの努力をいたしまして、約六百三十六万円ばかりを回収いたしましたが、残りの約一千六百万円につきましては、なお未回収の状態でありますが、これにつきましては関係者と折衝の結果、先般起訴前の即決和解が成立いたしまして、昭和三十八年度暮までには残額を全部返納することになつております。これは当時会社の役員の個人保証もとつてございますので、回収につきましては心配はないことと考えておるような次第でございます、簡單でございますが二重煙突経緯はそういう次第であります。それから第二の点でございます連合国軍要員健康保險組合預金、先ほど申しましたいわゆる進駐軍労務者のつくつてあります組合預金に関する融資のあつせんに関する点でございますが、先ほど申し上げましたように、ある新聞に掲載されまして、この新聞記事では、特別調達庁がこの組合を食いものにして、七千万円の不正融資をやつておるのじやないかというような報道がありましたものでございますから、それに関して御質問があつたわけでございます。ところがこれにつきましては、全部事実無限でございまして、そうした不正融資のあつせんというようなことはやつておりません次第でございます。当時具体的に報道されましたのは四件ございますが、その中の二件につきましては全然そういう事実がございませんし、あとの二件につきましては、融資のあつせんをいたしたのでありますが、これは組合員のためにそうした措置に出ることが適当であると考えてやつたのでございまして、不正融資というような性質のものではございません。一例を申し上げますと、当時北海道拓殖銀行に対しまして、この組合預金を、約二千百万円くらいでございましたか、普通の取引銀行からこの北海道拓殖銀行預けかえをするようにしてもらいたいという申入れを、当庁からこの組合に対して行つたのであります。なぜそういうことを依頼いたしましたかと申しますと、これは当時――当時と申しますと昨年のことでございますが、この組合員に対して石炭手当が支給せられることになつたのでございますが、予算経理関係上、普通の公務員と同じ時期に支給することが困難になりましたので、当時北海道知事から特に要請がございまして、石炭購入資金の前貸しをしたいから、組合保有金の一部を北海道拓殖銀行東京支店預けかえをしてもらいたいという要請がございましたので、事情やむを得ないということで組合に対しましてそういつた預けかえの要請をいたしたのでございます。  それから第三の点でございますが、これは最初にも申し上げましたように、当庁の業務ではございませんで、健康保險組合自体業務についてのお尋ねでございます。ところが当庁と健康保險組合との関係は、業務監督権というものを当庁はこの組合に対して持つておりませんので、当庁からお答えをする筋では、ないように考えるのであります。ただ当庁はこの組合組合員雇用主立場におりますので、当庁労務管財部長がこの組合理事をかねておりますので、役所として存じております程度のことを当時お答えいたしたのでございます。そういうような事情でございまして、これは組合自体業務でございますので、本日はこれは省略させていただきたいと存じます。  先般来いろいろ御質問を受けましたことの概要は以上の通りでございます。
  7. 内海安吉

    内海委員長代理 堀井さんからいかがですか。この機会に官房長の御説明になりましたことについて何かつけ加えて……。
  8. 堀井啓治

    堀井政府委員 先般来参議院委員会におきまして、特調業務につきまして、各種の御質問がございまして、これにつきましてはただいま官房長から御説明申し上げた通りでございます。私ども特調占領軍調達という特殊の業務を担当するようになりましてから約三年に相なります。きわめて軍のむずかしい統制のもとに、従いまして厳重な監督を受け、また国内的には会計検査院その他の監査のもとにおける三年間の経験は、私どもといたしましては、はなはだこれは手前みそでございますが、調達という特殊の業務につきまして、相当な自信を持ち、十分に国費を節約し、お国の役に立つという確信を持つに至りましたが、最近特に二つの大きな批判があると思うのであります。その一つは、軍が御承知のように朝鮮事変以来、いわば戰時態勢に入つて参りました。ところがこの調達を承る私どもの、政府立場においていたしまする調達は、国内的に各種会計法規によつて制約される。従つて軍戰時態勢国内調達ということにギヤツプを生ずる。従いまして軍といたしましては、私ども調達庁国内法規をたてにとつて、なかなか軍に協力しないというような批判も実は出ておるのであります。私どもは、その立場から、できるだけ国内法規によりまして国費を節約するという面に努力をいたしておるのでありますが、軍からはそういうふうに責められる。また国内的には、軍がいろいろ困難な要求を出します。もちろんこれはある程度許す限りやはりいれて行かなければならぬ、その点で国内的には軍をかさにして調達庁はいろいろむちやな要求をするというような非難を受けるこの点私どもといたしましては、国内的にもまた軍の方からも責められるというような立場に置かれまして、非常に困難をいたしておるのであります。国内的には、さらに最近新聞紙上報道されました、主として二十三年度の決算報告に基く報道でありますが、これらの報道が、結局よくおわかりにならない第三者から、調達庁に何か問題があるに違いないというような前提で御質問を受けるという点は、私どもとしては非常に遺憾に、また残念にたえないのでありますが、私どもは先ほど官房長から申し上げました通りに、特に調達という特殊な業務を担当いたしておりますので、部内の機構にいたしましても、その事務の執務の仕方は、多少能率を落しても、不公正なことのないようにということをモツトーといたしまして、努力しておる次第でございます。従いまして、多少の事件はございましたけれども、これは末端におけるあやまちでありまして、幹部級の指導的な面におきましては、そう大した誤りはなかつたと存じます。私どもは特に綱紀の問題につきましては、長官初め常に戒めておるところでございまして、ただ先ほど官房長からも申しました通り調達庁発足当時戰災復興院からそのまま厖大事務量を引受けまして、しかも機構的には非常にまだ貧弱なものであつて、当時におきまして、ことにまた各種手続等に軍のやかましい、指示がありまして、その事務取扱いが軌道に十分に乗り切れなかつた。その間隙に事件を起しましたことはまことにこれは遺憾にたえないと私どもも恐縮しておりまするが、現在の段階におきましては、私どもは大体において大過なくこの厖大予算、ことに軍との間に立ちましての調達に、相当の成績を発揮し得るという確信を持つて、部下を督励し努力しておる次第でございます。しかしいずれにしましても、こういう国費の大きな部分を占める調達を担当いたしております官庁でございますので、皆さんの御叱正を得まして、一層努力しまして粛正をいたしたいと考えております。
  9. 内海安吉

    内海委員長代理 特別調達庁の問題について、先般来新聞紙並びに参議院等におきましていろいろ問題にされたその内容について、ただいま辻村官房長並び堀井次長より詳細の御説明がありましたが、これに対して御質疑等がありましたならば……。
  10. 小平久雄

    小平(久)委員 ただいまの御説明で大体これを了承したのでありますが、いわゆる二重煙突事件について若干お尋ねいたしたいと思います。  その第一点は、契約者である足利板金工業組合、あるいは当時の検収代行者でありましたところのもの、これはどなたであつたかも伺いたいと思います。この両者の間に、一体このような二千数百万に及ぶ過拂いを、受けたということについて、何らの犯意がなかつた当局はお考えになつておるのかどうか、その点を承りたいのです。と申しますのは、この書類によりましても、またただいまの御説明によりましても、何ら不正はなかつたのだ、こういうお話のようでありますが、かような過拂いがつたということは、二十四年の一月になつて調達庁実地検査をした結果発見したのだ、こういうことに書いてあるのでありますが、このように二千数百万からの金をよけいにとつてつたことを、一体関係者がみずから知らぬでおつたというわけは、私はないというふうにどうしても考えられるのであります。何かそこによけいなものをとつてつたか、犯意まではないとしても、少くも知らぬふりをしておつた、こういつた点について当局はどんなふうに考えておるのか、その点をひとつ承りたい。  第二の点は二千数百万の過拂いのうち、すでに六百三十六万、これを回収した残りの一千六百余万円は、昭和二十八年の十二月末までに、全額を返納することに和解が成立した、こういうことになつておりますが、一体このような相当大きな金額を数年間にわたつて回收する、この報告によりますと、しかもただ元金だけが回收されるのだ、こういうようになつておりますが、私は会計法上その点よく調べてありませんから知りませんが、一体こういう場合には、ただ元金だけを数年間もかかつて回收するということが、今の会計法上許されておるのかどうか、この点をひとつ承りたい、この二点について御説明を伺います。
  11. 辻村義知

    辻村説明員 二重煙突の問題につきまして、過拂いができたことについて、業者側刑事責任がなかつたと考えるかどうかという御質問でございますが、実は当時その辺につきましても、もとより調査をいたしたようでございます。何分こうした手違いによりまして、多額の過拂い金ができました善後措置といたしまして、まず当時関係者が一番心配をいたしましたことは、何とかして早くこの過拂い金の回收をいたしたいということでありまして、その観点からいろいろの努力をしたようでございます。ただ業者側犯意があれば、その責任は当然、追究をしなければならぬのでございますが、当時の調査によりますと、そうした犯意があつたという確証を何ら得ていないというふうに考えるのであります。当時の事情を調べてみますと、これは足利板金工業の方から輸送代行、つまり委託検収をいたしておりました大平商工に対しまして、年末近くになつて申入れをいたしたようでありまして、それは自分の方としては年末までに必ず予定の数量だけ完納できるから、年内支拂いを受けたい、ついては年内検収調書切つてらつては、年内支拂いに間に合わないから、責任をもつて年内に完納するから、検收調書を今切つてもらいたいというような申入れをしたようであります。それに対しまして委託検收事務をやつております大平商工側におきましては、いろいろ調べました結果、大丈夫、信用していいだろうという大平商工側結論が出ましたので、足利工業申入れを受入れた。ところが年末に十分その点をチェックすればすべきであつたのでありますが、その点に行き違いがありまして、そのまま、その検收調書によつて役所の方が支拂いをいたしたので、結論的には非常に不都合な結果になつたという事情であつたようでありまして、その間惡意によつて、つまり詐欺をする意思で、そうした検收調書早期発行を依頼したというようなことについての証拠は上つていない次第であります。それから第二点の、こういう多額の過拂い金を生じて、その回収に現金だけ返させればいいのかという御質問でございますが、この点につきましては、会計法上現金だけを回收するようになつておるように存じております。
  12. 堀井啓治

    堀井政府委員 私、ちよつと補足させていただきます。当時足利工業におきましても、五万フイートという納入でありますが、その全体についての資材手当はもちろんしておりまして、年末までにできるという見込みであり、当時事務所が東京にございまして、工場は足利にある。従つて、東京の事務所から納入代行をいたしておりまする検收官に話が足利工業からありました。そこで、おそらく検收官はやはり年末までに清算が可能であろうという見込みで検收調書を切つたと思います。当時政府支拂いが惡いというわけで、もつとも特調支拂いが大きい関係もありまして、私ども支拂い促進ということに非常な強い指示を受けておりまして、非常な責任を感じておつたということと、検収官の方で、そういう見込みのもとに検収調書が十二月二十八日付をもつて切られて参りましたので、従つて政府支拂いの方は進行したという結果になります。ところが足利工業の方は納入されておらないということで、最後にキヤンセルに相なつたのでありますが、当時足利工業はすでに材料の手当をし、仕掛けをしてある製品がございまして、それに対する補償の問題も政府に対して要求して参りましたので、足利工業としては補償を要求する権利はあつたと思いますが、一応これは取上げないということで業者の方にも了解をつけた、こういう経緯がございます。
  13. 小平久雄

    小平(久)委員 ただいまの次長さんの御説明ですと、検收官が検收調書を発行した、納入代行者に委託しておつたんだというようなお言葉のようです。納入代行者というのは、先ほどの官房長の御説明だと、大平商工というような言葉を使つておられましたが、そこで不審に思いますのは、次長のおつしやる検收官というのは、何か連合軍の検收官であるかのように私どもには受取れるのですが、その点はどうなつておるのか、ひとつ承りたい。  それからまた全体で五万フイートのうち三万二千フイートからのものが納まらぬでおつたということについて、先ほど官房長説明では、別段犯意がなかつたということでありますが、これほどの非常に大量のものが納まらぬで、この足利板金工業の方から金銭の受領後において、何ら申入れもなくて、役所の方から行つて実地検査の経果初めて発見したということは、どうもわれわれは納得が行かない。犯意があつたかなかつたかはむずかしい問題でありましようが、少くも品物が納まらぬのに金だけはとつてしまつて知らぬふりをしておつたというようなことは――納まらなかつたことについて何人も納得し得る事情があつたならばともかく、それがはつきりしないのに金をとつてしまつて知らぬふりをしておつた。そういうことがもし事実ならば、われわれはその間に多くの疑問を抱かざるを得ないのですが、その辺のところをもう少し詳しく御説明願いたい。
  14. 堀井啓治

    堀井政府委員 検収業務は、先ほど官房長からも御説明申し上げました通り戰災復興院から納入代行業者に委託するという形式がとられておつたので、特調におきましても当時まだ陣容が整いませんので、そのままそういう形式をとつておりました。従いまして事務的には、大平商工の代表者でありまする山口某を特調の嘱託といたしまして、これを検收官としておつた次第でございます。どうしてそういうことを発見したかと申しますと、そのスタートは、私も検收調書が発行されましたので、従いましてその検收調書を基礎にして支拂いを完了した。翌年になりまして、一月早々でございますが、何かの情報をキャッチしたと思うのでありますが、一ぺん現場で調べて見ろということで、特審局の方で担当官が現地に調べに参りましたところ、完全でない、まだ仕掛品であるということが発見されたわけでございます。
  15. 淺利三朗

    ○淺利委員 関連して伺います。どうも今までの御説明を聞くと、私どもあまり納得が行かぬのであります。検收官が検收をせずに検收調書を発行するということは正しいのかどうか。不正じやないとおつしやいますけれども、本来物を検收して初めて検收調書が発行さるべきものを、まだ納入もしておらぬというものに検收調書を発行する、しかもそれは納入の代行者に嘱託として検收官を委託しておる、こういうことであつてみますると、どうもこの検收官はその権限を正しからざる方面に行使したというような感じを持つのであります。そこで初めていろいろの疑惑が起つて来る。そういうことで、一体物のできないうちに検收調書を発行することは正しいものかどうか。その点についてどういうふうにお考えか、その点をひとつ……。
  16. 堀井啓治

    堀井政府委員 ただいま御指摘の通り、検收官は当然実地検收をして、検收調書を発行すべきものだと存じます。その点につきましては、検收官の非常な怠慢でございました。いわば見込みで検收調書を切つたということは、御指摘の通り非常な怠慢だと思います。その点につきましては、先般行政処分に付しました。特にこれを監督する立場にあります当時の特審局長初め担当官は、それぞれ行政処分を受けた次第でございます。なおその後こういう制度は、いわゆる代行業者に重要なる検收業務を委託することは、官の調達としてきわめて不当であると考えまして、それ以後検收は、必ず直接官側において検收をし、この実地検收に基いて検收調書を切るというふうに、制度を改めております。
  17. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 関連してちよつと質問しますが、残額の一千六百万円の支拂いを、昭和二十八年十二月までに返納させるという和解が成立したというのでありますけれども、不当の支拂いを受けている足利板金なるものは、それだけ余分な金をとにかくとつているのでありますから、当然そつくり返還できるはずなのに、なぜ二十八年まで延ばさなければならなかつたのか。現在国が国税を徴收する場合においても、これは納期限をはずすならば、差押えをしてでも強硬にこれを回收しておるという状態であるにもかかわらず、不当にとつておるから、当然返すべきものでありますのに、昭和二十八年十二月までというような気の長いことを、どういうわけでそういう和解を成立させたものか、この点についてあなたたちの理由をお聞きしたい。
  18. 辻村義知

    辻村説明員 まことにごもつともな御質問と存じますが、当時過拂い金を発見いたしましたので、ただちに拂込みました銀行につきまして調査をいたしたのでございますが、その金はすでに会社の債務等に充当されておりまして、預金として残つていないという銀行側の証明でございまして、現金で取立てるわけに行かないので、やむを得ず相手方と話合いまして、不動産、その他別に事業をやつておりました支拂代金等をもつて回收に振り当てるように努力をいたしたのでございます。それも先ほど申し上げましたように、それらのものを振り当てまして、約六百万円余りはそれで返済をいたしたわけでございますけれども、その他にただちに回收させるだけの資力がございませんので、実は和解が成立するまでには、担当官は相手方との間に非常に折衝を重ねまして、やつと二十八年までに、今やつております土建業務等からの利潤も、この債務の方に振り当てることに話をつけまして、やつと償還の計画が立てられたような次第でございます。すぐに取立てるだけの現金その他のものが会社になかつたので、やむを得ずこういう結果に相なりました次第であります。
  19. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 その説明では納得行きません。なぜかと申しますと、とにかくこの件を見まして、当然これは普通なら詐欺罪です。普通の商取引行為なら、当然詐欺行為です。そういう詐欺行為をした場合には、当然これに対しては刑法上の罰が普通の場合ならばとられるのが常道である。いわんや国民から取上げた税金が、こういうふうに不当に詐欺によつて失われているという場合には、当局としましては嚴重な罰則を適用して、その措置を講ずるのがあたりまえのはずであります。それにもかかわらず、この場合にはきわめて寛大な措置がとられたというからには、その裏には何か特殊の事情があつたのではなかろうかということを考えるのは、これはもうあたりまえのことだと思います。普通の商取引でさえ、これは当然詐欺罪を構成し、嚴重な罰則が適用されなければならないはずです。たとえば普通の市町村役場であるとか、あるいは建設省の出先等においても、これに以たようないろいろな事件がありますけれども、警察官あるいは裁判官がこれを調べて、その関係者は刑務所に入れられて、裁判にかけられるというような事件が起きている。いわんや、こういう一千六百万円の国費を不当に詐欺したというような事件に対しては、相当厳重な処置をとらなければならなかつたのに、なぜ嚴重な措置がとられなかつたものか、この点をひとつ明確にしてもらいたいと思います。
  20. 辻村義知

    辻村説明員 会社側に詐欺行為があつたのであるから、当然その責任を追究して、罰則の適用に持つて行くべきではなかつたかという御質問でございまして、これは一応ごもつともに存ずるのでございますが、ただ先ほども申し上げましたように、あるいは先ほど私の説明が不十分であつたかと思うのでございますが、会社側に惡意がなかつたということは私は決して断定はできないのでございます。ただその惡意があつたと証明するだけの確証を、実はその当時の調査によつて得ておりませんので、詐欺行為があり、刑法上の責任があるとして、追究することができなかつたわけでございます。なおそれと同時に、こうした過拂いが生じまして、一番当局として善後措置として考えるべきことは、いかにしてこの国家に損害をかけた過拂い金を完全に回收するかという点でありまして、主としてその回收の点につきましていろいろ今日まで苦心を重ねて来て参つたような次第でございます。
  21. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 納得行きませんけれども、まああとでやるとしまして、その足利板金工業組合に対して、その後当局納入契約を結んだというようなことは、ございませんか。
  22. 辻村義知

    辻村説明員 今のお尋ねは、その他の品目でございますか。
  23. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 そうです。
  24. 辻村義知

    辻村説明員 それはございません。
  25. 高倉定助

    ○高倉委員 二重煙突の問題ではなくて、その次に説明がありました連合国軍健康保險組合預金に関する融資のあつせん問題でありますが、この北海道の組合というのは、どういうような組合でありますか。石炭手当は、連合国軍要員の健康保險組合の北海道の何をさすものですか。
  26. 辻村義知

    辻村説明員 その北海道の組合の名前ははつきり覚えておりませんが、この連合国軍要員健康保險組合の北海道の支部というようなものだと思います。
  27. 高倉定助

    ○高倉委員 これによりますと、北海道拓殖銀行預金する前は、この金は一体どこに預金してあつたのですか。
  28. 辻村義知

    辻村説明員 それはこの組合取引銀行がきまつておりますので、その取引銀行の方に預金してあつたと思います。
  29. 高倉定助

    ○高倉委員 一体調達庁等がそういうような要請をし、また預けかえのあつせんをするところの権能があるのかどうか。これは組合から要請があつてやられたのか、あるいは調達庁の方で、北海道知事要請されたのでそのあつせんをされたのか、そういうような権能があるのかどうか。
  30. 辻村義知

    辻村説明員 その点は先ほどもちよつと触れましたが、特別調達庁はこの健康保險組合に対しまして監督権を持つておりません。従いましてそういう預けかえ等につきましても、預けかえろという命令をする権限はないのでございます。ただ北海道知事の方から特別調達庁の方に、こういうようにしてもらいたいという依頼がございましたので、当庁の方で研究いたしました結果、もつともだということになりまして、組合の方にまた当庁から依頼をいたしましたような筋合いでございます。
  31. 高倉定助

    ○高倉委員 権限がないのにそういうことができ得るとすれば、いろいろの権限を濫用されるところのおそれがある。そうして他に融資をするようにも考えるのですが、そういうような権限がないとすれば、こういうことを道の知事が要請された形であつせんしたということになるのですが、そこがどうもふに落ちない。それから要請した結果その石炭の購入資金が得られて、石炭を購入する手当が出たかどうかということもお聞きしたい。
  32. 辻村義知

    辻村説明員 権能のないのに要請をしてはいろいろ濫用の危險があり、弊害が生ずるのではないかという御心配でございますが、これは権能はございません以上、依頼をいたしましても組合の方で適当でないと考えますれば、当庁の申入れに対してももちろん拒否できるわけでございます。従いましてそこは組合の独自の判断によつて預けかえせられる場合もせられない場合もあると思いますが、しかしそこは当庁なり組合側を信用していただきまして、いずれも組合員のために必要だというような考慮のもとに役所側から要請をし、また健康保險組合の方でもこれを受入れたような関係であろうと考えますので、御心配のような点はないと思います。なおそういうことのないように、もちろん今後とも十分注意をいたしたいと存じます。  それから石炭購入資金がその後出たかどうかというお尋ねでございますが、それは少し遅れましたが、支出をいたしました。出したのでございます。
  33. 高倉定助

    ○高倉委員 その石炭購入資金というのが二千百万円だというわけでございますね。
  34. 辻村義知

    辻村説明員 そうでございます。
  35. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 もう一点質問し忘れたので質問いたすのでありますが、こういうふうに二重煙突事件で三万二千フイートの未納入分があつた。それにもかかわらず軍の調達に支障を来さなかつたのはどういうわけだろうという疑問を抱かざるを得ない。あなた方は占領軍調達に対して献身的に調達に支障がないように努力しておる、そうするならば一刻も独予を許さないような軍の調達であるならば、これだけ莫大な未納入分がある場合に当然矢の催促がなければならないはずである、その矢の催促がなくて未納入のまま過拂いを生じて、それが昭和二十八年までに解決するような態度としますと、これは特別調達庁の方では、軍の調達といろいろ申しますけれども、実際は需要はあまりないのに水増しして業者に注文しておるのではなかろうか、それともそれでなければ軍の注文というのは実際の需要よりも三倍も五倍もよけいに軍の方で水増しして注文している、そのどつちかでなければならないと思うのであります。これはセメント、防水剤の場合もそうであります。四万四千カンも購入しながら、出庫したのはわずかに七百八十五カン、そうしますと軍の実際の注文は七百八十五カンであつたにかかわらず、特別調達庁ではこれを水増しして四万四千カン注文したのか、それとも初めから軍の方で水増しして持つて来るものかどうか、これは終戰処理費の使い道においてはきわめて重要な点でありますが、この点明らかにしてもらいたい。
  36. 堀井啓治

    堀井政府委員 御質問の点ごもつともでございます。私ども調達の形式といたしまして、当時これは主として国内に大体二万戸の住宅を建てるという計画であつたと存じます。この軍におきましてそういう資材を計算いたしまして、俗にLDと申しますが、LDが発行せられました。それにははつきり二十五万フイートという数字が記載されております。それによりまして戰災復興院において当時契約をいたしたのであります。防水剤についても同様にすべて私ども購入します契約は軍の命令がなければ、品種についても、数量についても、全部軍の指示がなければ絶対に契約しておりませんし、PDあるいはLDに根拠のないものは絶対に契約をいたしておりません。なお煙突につきましてもさらにLDの変更がございまして、二十三年にLD何号かをもちまして二十五万フイートを一応ストップする、こういう指令が出たのでございまするところが当時生産については、業者選定とか、あるいは生産を継続するかどうかということについては商工省が担当いたしておりました。そうして商工省が軍と折衝いたしました。それで前に戻りますが、一応ストップせられました品目が数種類あつたわけであります。その中には一応完全にストツプせられたも、のもございます。その中ですでに仕掛り品になりまして、これは将来建設があるかもしれないし、生産を継続した方がよい。ストップした方がよろしいか、あるいは生産を継続した方がよろしいかという点については、商工省が主として軍と折衝いたしまして、数品目は生産を継続してもよろしいということになつたのであります。煙突はまさにその一品目にあたるわけでございまして、そこで生産を依然として継続したという状況でございます。     ―――――――――――――
  37. 内海安吉

    内海委員長代理 本問題につきましてはこの程度といたしまして、次に今日の日程になつております見返り資金と公共事業費の問題につきまして当局より説明を聽取することにいたします。まず河川問題について目黒河川局長の御説明を願います。
  38. 目黒清雄

    ○目黒政府委員 本年度見返り資金の施工の箇所を御説明いたします。  大体われわれの方では、公共事業費の程度におきましてはとうていやり遂げられないような大きな事業を重点的に取上げたわけでございまして、そのうち四つの大きなダムが主要なものであります。すなわち東北におきましては、北上川の猿ヶ石、丹沢の堰堤、関東の利根川の鬼怒川、四国の物部川の四つの堰堤であります。これらはいずれも大きな事業でありまして、猿ヶ石の総工費二十四億、丹沢の五億、鬼怒川の二十億、物部の十七億というような大きな工事でありますが、二十五年度はこれに対して、猿ヶ石が四億、丹沢が二億五十里が三億、物部二億というふうに、十一億を見返り資金からもらつたのであります。これはあといずれも継続的に支出しなければならぬということが最初から予定づけられたものであります。  次に河川につきましては、江戸川、淀川、最上川、木曽川、吉井川、信濃川、筑後川、石狩川というような非常に大きな河川のみを取上げたのであります。河川は大体におきまして公共事業費で施工中でありまするが、事業費が少いのでなかなか施工がはかばかしく進まぬ。これを促進する意味におきまして、見返り資金を要請したのであります。これらに対しましては、総額十四億という見返り資金がついたのでありまするが、そのうち江戸川は、現在の川幅を拡張いたしまして、利根川の洪水を一部江戸川に流すという計画のもとにやつたのでありますが、これはどうしても来年度以降もまた継続しなければ、とうてい完了しないというような大きなものであります。他の河川は現在の堤防を補強する――もちろん洪水量が多くなりましたので、蒿上げあるいは拡築というような補強をいたしまして一応やりますので、これは現在やりつつある公共事業費の一部の計画をそのまま実行したというにすぎないのであります。  次に砂防でありまするが、砂防は主として大きな堰堤工事を取上げたのであります。そのうち最も遅れておりまする、利根川水系の渡良瀬川、あるいは利根川本川の砂防、それから六甲裏山の神戸市を守る砂防工事、呉市を守る呉地区の砂防工事というものを取上げたのでありまして、これに本年度見返り資金から八億五千万円もらつたのであります。これらの中で、本年度八億五千万円の工事ができればそれだけ効果があがるというところもありまするが、利根川の水系の一部には、堰堤が中途半端でまだ継続してやらなければならぬというものもあります。そういうわけで砂防の一部も、ある程度将来見返り資金にかわるべきもの、あるいは見返り資金をこれに充当して行かなければ、完全なる効果を発揮しないという状態に追い込まれたのであります。これらを総計して申し上げますると、着手いたしました全部の工事が百十七億程度であります。それに本年度見返り資金が三十三億五千万円ついたのでありますが、さらに来年度以降四十億程度の金額をこれにつぎ込んで行きますれば、二十八年度におきましてやつと完成するという一種の継続的な意味を持ちました工事のみであります。
  39. 佐藤寛政

    ○佐藤説明員 二十五年度の道路の見返り資金事業について御説明申し上げます。  ただいまのところ決定いたしまして事業を実施いたしております道路事業の総額は、三十九億一千万円でございます。この内訳はお手元に資料として一枚の紙を配付してございますが、その一つとして東海道整備事業に十八億の事業費を配当いたしております。工事箇所は新京浜国道を最初といたしまして、東京から大津までの間十数箇所にわたつて工事を実施いたしております。その次に重要橋梁でございます。これはいわゆる長大橋梁でございまして、通常の公共事業をもつてしてはなかなかできないようなものを七箇所選びまして、ごらんのような事業を継続しておるわけであります。第三はその他の道路改修でございますが、その他の箇所で、やはり非常にまとまつてつてちよつと手がつかぬというようなもの十四箇所に対しまして、資料に書いてありますような金額で二十五年度は事業いたしておる次第であります。これに対しまして、われわれといたしましては、当初見返り資金を要求いたします際には、さらにこの東海道と橋梁とその他道路のほかに、われわれとしてただいま受持つております最も大きな工事の一つである関門トンネル工事を、見返り資金が放出されるちようどいい機会にぜひ推進されたいものと存じまして、関門隧道なども計画いたしましていろいろ折衝いたしたのでございますが、このトンネル工事につきましては、主としてわれわれの方を指導する関係当局と工事の経済効果の問題で十分意見が一致するところに至りませんで、ついに放出が承認されるに至らなかつたわけでございます。こういうふうに、二十五年度に対しましては、ただいまのところ三十九億一千万円で一齋に工事をいたしておるわけでございますが、このおのおのの箇所は先ほども申しましたように、いずれも相当まとまつた箇所でございまして、今年の予算そのものもまとまつた予算をつけてございますが、なおどうしても来年あるいは再来年以降に残さなければならないようなものが相当ございます。それに対しましては二十六年度において同様に見返り資金を出していただくように、目下いろいろ折価をしておるわけでございますが、それはどういうものかということをこの資料によつて説明申し上げたいと存じます。  第一の東海道に対しましては、東海道全部改良工事をやりまして、そして全線の補裝をやりますには、ただいまのところ総額八十七億の経費がいると考えております。そのうち今年十八億事業をやつておるのでございますから、まだたくさん残つておるわけでございますが、必ずしも全線を全部工事をいたしませんでも、あるいは部分的には相当使える所もある。それからまた補裝などにいたしましても、交通量の非常に多い所はすぐやらなければなりませんが、経費等の関係で必ずしも来年やらなくてもがまんできる所もある。それで来年どうしてもやらなければ東海道のせつかく今年やつた工事が納まりがつかぬというものを拾い上げてみますと、この資料に箇所を書き上げてございますように、戸塚、箱根、吉原、磐田云々のこの数箇所でございます。この数箇所に対しまして約十億の経費を今年において計上いたしませんと、せつかく二十五年度に実施いたしました見返り工事が一応のまとまりがつかないという状態でございます。  第二の、橋梁でございますが、この橋梁七箇所のうち、下の方に書いてございます夢前橋と大平橋、この二つは二十五年度で片づく予定でございます。残りの五箇所に対しましてそれぞれ二十六年度にこの程度の事業費を考えませんとその橋が完成しない、あるいはまた多少取付道路などございますから、そういう取付道路が完成しない。二十六年度に橋梁といたしまして四億一千六百万円の事業費を考えなければならない、こういう状態でございます。  第三の、道路改修でございますが、この中でも下の方にございます長崎の分と、それから東京都内の環状線六号でございますが、この二箇所に対しましては、まだまだこれは計画からいえば仕事は残つております。残つておりますが、来年度において最小限度に納まりをつけるという考え方からいたしますと、まあこの二箇所は一応がまんしてがまんできないことはない。あとの十二箇所に対しましては、ここに箇所ごとに書いてございます。総額において十五億六千七百五十万でございますが、この程度の工費がないとまとまらない。この中で特に二番目の木本、尾鷲というような工事箇所でございますが、これは紀伊半島の四十一号国道でございますが、現在の国道から全然ルートの別な、海岸まわりの路線の別な取上げておるのでございまして道路の現状は道路がないといつてもいいようなを所やつておる。従つて予定通り国道へとりつく所まで仕事をしなければ、いわば盲腸を出しているようなかつこうになる。これはどうしても残りの四億一千四百万円というものをやらないと、国道のつけかえの工事をやるという目的が果せないで、盲腸になるというような性格のものでございます。こういうものを合せますと、合計三十億三千八百五十万円ということになるわけでございます。これに対しましては、もちろん二十六年度におきましては二十五年度に着手いたしましたところの跡始末だけでなく、さらに橋梁にいたしましても、また国道にいたしましても、来年度は山陽道を考えるというようなことをいろいろ計画いたしまして、実はつい先日まで二十六年度見返り事業といたしましては約百十億ばかりのものをお願いしたいと思いまして、いろいろ折衝をいたしたのでございますが、いろいろな事情から非常に困難になりまして、最小限度にただいま着手いたしておるところをまとまりつけるとすればどうだということを見積つてみますと、ただいま申しました三十億三千八百万円ばかりの事業費がどうしてもほしいということになるような状態でございます。簡單でございますが……。
  40. 内海安吉

    内海委員長代理 河川、道路関係について大体説明を聞きましたが、これに関連して河川、道路等の公共事業の来年度の見通しについて、ひとつ安本の中尾公共事業課長説明を求めます。
  41. 中尾博之

    ○中尾説明員 来年の公共事業費の総額につきましては、一応先般千百八十億、そのうち従来の公共事業のうち国土に関係のございません分を今年度はわけて取扱うことになりました関係上、河川、砂防、農業、山林、水産、道路、港湾、灯台、都市におきまするいろいろな事業、水道、住宅並びにこれに関連します調査費、機械費といつた範囲のもの、それからこれらの災害の復旧というものを合せまして千大十六億六千七百万円という数字が、一応政府といたしましては決定に相なりまして、これをもつてただいま関係方面と折衝中でございます。これが見通しにつきましては、まだはつきりといたしません。但し全体の予算総額の関係から参りまして、若干これが圧縮されるという見通しでございます。なお現在も折衝を続けておりまして、幾らに落ちつくかということは、現在のところ予測できない状態にございます。従いまして、河川並びに道路関係につきましても、どの程度の形になるかということにつきましては、いまだ見通しがつかない状態でございます。従つて政府といたしましてもいまだ最終の決定というまでにも到達いたしておりませんし、その案もございませんという状態であります。
  42. 内海安吉

    内海委員長代理 ただいまの中尾課長説明によれば、ほとんど見当がつかないという御説明で、これではどうも期待にはずれたわけなんでございますが、お諮りいたします。ちようど午後から建設大臣と安本長官がお見えになる予定になつておりますが、午前はこの程度とするに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 内海安吉

    内海委員長代理 それでは午後は一時半より再開いたします。これにて休憩いたします。     午後零時二十一分休憩      ――――◇―――――     午後二時二十五分開議
  44. 内海安吉

    内海委員長代理 休憩前に引続きまして会議を開きます。  見返り資金及び公共事業費の問題につきまして審議を継続いたします。質問の通告があります。西村君。
  45. 西村英一

    ○西村(英)委員 本日は見返り資金及び公共事業費のことで大臣がお見えになるはずでありましたので私たちも大いに期待しておつたのでありまするが、お見えになりませんので、これに関連いたしまして河川局長がお見えになつておりまするから、少しばかりお尋ねしてみたいと思うのであります。  第一番にさいぜんお配りになりました河川局関係調書についてであります。ダムの建設を直轄工事でやつております。また一方一般公共事業といたしまして直轄工事以外に府県補助事業としてダムの工事をやつておるのでありまするが、これはおのおの相当な御計画のもとにやつておると思うのであります。もちろんダムの工事でありまするから、洪水の調節をする、あるいは灌漑用水にする、その他発電事業をするというようなことであろうと思うのでありますが、その調書にあげましたところの総工事費は、ダムの建設、それに発電事業、あるいはその他灌漑事業に使うための費用、そういうものが全額入つた費用でありますか、ダムそれ自身の費用であるか、その点をまずお聞きしておきたいと思います。
  46. 目黒清雄

    ○目黒政府委員 ダム建設工事はこれのみではありませんで、府県の補助事業として相当ダム工事をやつております。これはすべて総合計画のもとにやつて、今お話のように洪水調節、灌漑用水の補給、さらに発電をやるというようなことをやつておりまするが、大体のわれわれの行き方としてはダム建設それ自身は建設省で公共事業としてやつて、他の発電プロパーの仕事、あるいは灌漑用水の事業、その他の事業は他の部面で坤るというつもりで予算を組んでおります。従つてここに載せてありますのはダム自身のものだけの費用でありまして、それにさらに発電を要すれば、その費用も加えなければならぬ。しかしながらこの発電事業をやる費用は、民間資本を導入するなり、その他の方法でこれを遂行して行きたい、こういうつもりであります。
  47. 西村英一

    ○西村(英)委員 今のお話ですと、この費用はダムの費用だけで、その他発電事業の費用なんかは入つていないと申しますが、そうすると、その発電事業は一体どこでやらせるか、その計画は立つていないか、ダムばかりやりましても、それはもちろん洪水の調節にはなりましようけれども、総合性がないと思います。これだけの工事をやつて、全面的な効果が上るということでしたらいいけれども、灌漑、あるいは水道その他、なかんずく発電の事業をやれば、それに莫大な金がかかる、それは民間でやらせるのか、あるいは国家でやるのか、あるいはまた発電事業といたしますれば、日本発送電等との関連においてやるのか、その辺の見きわめがつがずにやるということは、はなはだ計画性がないと思うのであります。この辺につきまして、ただ單にダムをやつておれば将来は何とかなるだろう、こういうような計画であるかどうか、おそらくもつと御計画があるんじやないかしらんと思うのですが、その辺をお聞きしたいと思います。
  48. 目黒清雄

    ○目黒政府委員 発電をやる場合には、どのくらいの発電量があるという計画は立つておりまするが、はたしてこの発電事業をだれにやらせるというところまではまだ未決定なのであります。事業者自体の決定は今後の問題でありますが、この事業をやりますれば、これだけの発電量がある、またこれをやりました場合の発電に対する投資に対する経済的価値というものは、十分成立つという見通しはつけておるのであります。そこで問題になりますのは、この発電業者最初から決定しておかなければ計画性がないとおつしやつたように聞えまするが、必ずしも最初から発電業者を決定する必要はないのでありまして、この事業は相当長期間、三年あるいは五年という長期間かかるわけであります。その間にこの発電事業者を決定すれば、発電工事というものはダム建設とは相当時間的に違いまするので、あとから始めましてもこの事業の完成までには間に合うという状態でありますので、まだ決定しておらぬというのであります。
  49. 西村英一

    ○西村(英)委員 決定していないというからには、それ以上追究してもしようがないですが、府県でやつておるところのダムの工事は、結局これは公共事業費の補助はごくわずかでありまして、大部分預金部資金を借り入れてやつております。もし預金部資金を府県で借り入れてやるということは、その事業そのものがダムを建設いたしまして、いろいろな発電事業をやり、その他の事業をやつて、結局経済的に引合うということであります。従いまして、今問題になつておりまする公共事業がかりに見返り資金で出ない場合は、国家で直轄いたしておるところの工事でも、預金部資金を使つてやるということが十分経済的に引合うものであるかどうか。これは府県のものであれば、預金部資金を使つてつてつて、それで公共事業費の補助はわずかであります。従つて直轄のものもそういうふうに預金部資金を使つても、財源のあるなしは別といたしまして、企業として成り立つて行くものであるかどうか、この辺につきましてお答え願いたい。
  50. 目黒清雄

    ○目黒政府委員 ただいま府県に補助しておりますダム建設の工事は、今お話の通り預金部の資金を活用しておる。これは洪水調節あるいは灌漑用水の目的になる部分は二分の一の補助をやつております。それから発電事業の方は、これは全部預金部資金でまかなつてもらう、こいうことでいろいろ計算しまして、それで採算がとれるという事業を府県が申請して来まして、大体大部分が県営発電に相なると思うのでありまするが、そういう計算のもとにその計画が立つておる。そこでこれらの直轄でありまする場合も、今のような同じ方式は当然とらなくちやならぬと思いまするが、たまたまこれが見返り資金であつた関係上、その辺のところは将来の問題に讓つてつた。そこでいよいよ見返り資金がきゆうくつに相なりますれば、最後は今の預金部資金の活用も考えて行かなければならぬし、その場合それを直轄工事としてやつた場合の預金部資金の活用、利用の方法を今考究しております。その負担率というような問題が相当問題になりまするが、ここにもう一つお考え願わなくちやならぬのは、ダムそれ自身を全部共公事業費でやるかどうかというところにまだ問題が残つておる、と申し上げまするのは、ダムをつくりまして、その目的が三つか四つ他目的になるために、そのダムの一部分が発電にも利用されるということに相なるのでありまして、その場合のダム建設工事費の振割りをどうするか、これが発電になる部分何パーセントが発電の費用へ充当すべきか、何パーセントが公共事業費になるべき部分というような、その振割りの問題が相当むずかしいものであります。そこで今ここで問題になつておりまするのは、猿ヶ石、胆沢の堰堤でありますが、これが承知通りに東北興業あたりがこの発電をやりたいという申出もあります。こういうような場合に、東北興業にこのダムの費用の幾分かを負担せしむべきかどうかということが今問題になつておるのであります。そういうわけでありまして、こういう問題はなかなか簡單にその配分をきめるわけには参りませんので、ある一つの方式をここでつくりたいという考え方を持つております。御承知通りにアメリカT・V・Aの費用負担の割振りの問題は、相当長く議会あたりでもみまして、最後にきまりましたものでありますが、この方式もわれわれにもまだなかなか納得しかねるような非常にむずかしいところがあるのであります。でありますから、その辺のところはさらにわれわれは検討して行きたい。いずれにしても、このダムの一部分は発電に利用される費用の中から出すべきものであるというふうに考えております。
  51. 西村英一

    ○西村(英)委員 もう一つお伺いしたいのは、これは、の公共事業に見返り資金が使われたというのはごく最近のことで、本年の八月ごろきまつたのであります。しかも二十六年度においてはこの見返り資金を打切るというような、あるいは見返り資金から出ないという財源難で非常に困つているというはなはだ計画性のないことにつきまして、私も大臣にでもお伺いしたいと思うのでありますが、客観的情勢といたしましては、もし見返り資金から出すことができなければ、当然一般公共事業費を食い込むということになると思うのであります。しかしながら来年度の公共事業費も、現在発表されております程度におきましては、本年度と大差がないのでありますが、二十六年度またいろいろ別の意味で、一般の公共事業費あるいは災害等がふえると思うのであります。その中でこれが補正予算にも関係があつたのでありますが、特に来年度重視しなければならぬ公共事業の一つといたしましては、あるいは災害の一つといたしましては、高潮に対する問題あるいは海岸堤防に対する問題、こういうことが一つの国土保全の新しい問題として起つて来たと思う。これに対して相当に来年度災害でなくて防火的な意味にいたしましても、金が相当にいると思うのでありますが、局長はこの高潮に対する、あるいは海岸堤防に対する費用を来年度はどういうふうにお考えになつているが、その点をお伺いしてみたいと思います。
  52. 目黒清雄

    ○目黒政府委員 高潮対策は来年度ばかりではございませんで、御承知通り本年度補正予算四十一億の中に十二億だけ特別なわくをとつて、大阪、神戸の問題ばかりではなしに、九州方面の高潮対策をやることになつているのであります。もちろんこれだけではとうてい間に合いませんので、来年はそれに対する予算はもちろんわれわれは要求しておりますし、当然それをわれわれは組まなくちやならぬと思つておりますが、問題は、先へもどりますが、結局見返り資金が公共事業費に食い入れられるか、食い入れられないかというそのことによつて予算が全体的な圧縮を見るかどうかということに相なるのでありまして、思う通りの高潮対策ができるかできぬかということは、一にここに見返り資金が打切ちれるか、あるいは将来に見返り資金が継続されるかということにかかると思うのであります。
  53. 西村英一

    ○西村(英)委員 私の述べんとするところは、ただいま局長が言いましたように、見返り資金が打切られれば一般公共事業費をどういうふうに食い込むかわからぬけれども、一般公共事業費では来年度やることがある、特に海岸堤防等はやちなくちやならぬのでありますから、一般公共事業費を食い込む余地はあまりない、しかも一方大事業は着手した。こういうところに非常に大きい矛盾、悩みがあるわけであります。またもう一つ心配することは、これだけの大工事を着手するからには、――これは河川局長にお尋ねしてもしようがないのでありますが、政府としてはよほど財源的な確信がないと着手はできなかつたと思うのであります。しかも長期にわたる計画でございます。私もこの結果が財源的に悩んで来ますと、現在三箇年で全部の公共事業をやる、ダムの計画をやる、河川の計画をやるということが、やはり四年になり、五年になり、あるいは六年になるということが財源難から起つて来ますと、せつかく多額の金を使いましても、工費の経済的効果を発揮しないのみならず、非常にこれは困つたことになると思うのでありす。おおよそ非常に大きい国家の事業は、継続しかけてこれをやめるということはとうていできないのであります。またそれは非常に国家財政の損失であります。私たち現在一番問題に思つておるのは、例の干拓事業でございます。考えました当初は、非常に計画はよさそうで、着手いたしましたが、財源難のために、今日干拓事業が、着手いたしてから四年も長い間かかつて、ちよびちよび工事をやつておる。その間経済的効果を一つも発揮しておらないのであります。まさにダムその他河川に関する大事業が現在のように財源がしつかりしていない。たとい見返り資金が打切られましても、それに対応するところのある程度の見通しがついていなくてこういうものに着手いたしますと、干拓工事のごとく、五年も六年もかかつて、しかも経済的効果を発揮しないということが起り得るのではないかと思うのであります。前に渡されました調書を見ますとダムの計画にいたしましても、三年で完成するというものが、もう四年になつておる。おそらく次の調書では、また財源難のために五年の調書が出ると私は思うのであります。なるべく早く経済的効果を発揮することが重要な問題でありまするがために、大工事を着手いたしましたからには、特別な考慮をしなければならぬと思います。もしかりにそれをもできないといたしますれば、まだ着手いたしておらないところの、比較的進んでおらないところの工事について再検討をする。あるいはまた猿ヶ石等のダムにつきましては、これは戰時巾着手したダムでありまして、一定の目的がありまして着手いたしたのであります。その発生しましたところの電力を他の生産事業に使つて収益を上げる、そういうふうに考えて着手したのでありまして、ダムそれ自身をやる計画ではなかつた。ダムをやつて生産事業を起す。しかしてそれから収益を上げるという経済効果をねらつたところの計画であつたのでありますが、河川局長のお話でありますと、発電事業その他の問題は、これはあとからだということでありますので、この着手しました公共事業が、財政的見通しその他から行きましてだらだら工事になるのではないか。従つてやりかけたけれども少しも効果を発揮しない、起工式ははなばなしくやつたけれども、竣工式はいつやるかわからぬ、こういうような状態になるのではないかということをはなはだ憂えるものでございます。建設大臣もお見えになりましたが、いろいろお考えもあろうと思うのですが、この公共事業費に対する見返り資金の打切りということについては、先般の委員会でも田中委員会から特にそういう点について建設大臣にお尋ねがあり、建設大臣もまたそれに対してはやつて行くのだというお話を承りましたが、どういう方法によつてやられるのか、その辺をもう少しわれわれに心からのお答えをしていただきたいと思う次第であります。
  54. 増田甲子七

    増田國務大臣 西村さんの御質問は、途中で入つて参りまして前半を拜聽できませんでしたが、後半のお話によつて趣旨のほどは御了解申し上げることができるわけであります。そこで私どもといたしましては、先般もこの委員会において申し上げたのでございますが、見返り資金をもつて去年開始した事業は必ず継続しなくてはならぬ、そういう責任を建設大臣は負担しております。こういうことをはつきりと私は申し上げる次第であります。この際重ねて申し上げておきます。また事業から申しましても、西村さんのお説のごとく、途中で打切るということになつたならば、これは国家的な大損害でありまして、ばかか気違いでなければ、そういうことはしないものであると私は考えるのであります。電力関係事業なんかああいうふうな一種の措置をとつたのも、外資あるいは見返り資金によつて従来継続しておるダム建設事業を打切つたのでは、たいへんな損害であるというところから一つは出発したのではないか、こう考えております。電力事業についても、また河水統制といつたような関係についても、この問題は全然同じ性質の問題である。ことに洪水調節という関係から出発した事業のごときは、断じてやめてはいけないと考えております。それからなお私どもといたしましては、ここに砂防、堰堤、河川改修、いずれも大切でございますが、途中で打切つたのでは何ら意味がない、ナンセンスになると考えております。道路にいたしましても、ことに橋梁は、その年だけであの見返り資金だけで全部できるものならばこれは格別でありますが、そうでない、二箇年継続事業、三箇年継続事業というものを途中でやめてしまう、こういうようなことが無意味であることは、賛言を必要といたさないと考えます。そこで建設大臣としても、安本長官としても、大蔵大臣としても、政府全体として、いやしくも見返り資金をもつて始めた事業あるいは継続事業を継承した事業、こういうものは明年度も継続しなくてはならぬ、この基本理念だけは思想統一ができておるわけであります。それでは見返り資金によつて始めた事業あるいは従来継続事業として行つておるものを継承した事業をどういう方法で将来とも存続せしむべきか、この財源の問題についての御質問に後半はなつたようでありますが、この財源につきましては、大体論から申しますと、今はつきり確定いたしたというところまでは行つておりませんが、見返り資金の総額は、当初政府関係方面に持つてつた額は十二百億でありますが、それが一割減の千八十億ということになつたのでありまして、この千八十億の中からまかなわざるを得ないことになつております。そこで見返り資金をもつて開始した事業あるいは継続継承事業にまず優先性を認める、これに重点を置くべき問題であると私は考えております。そういうふうにいたしたならば一般事業の事業量が去年より減るのではないかというようなお話に必ずなると思うのであります。そこで一般公共事業の事業分量も今年よりは減らさないという方向でぜひとも参りたい、しかも総額は千八十億である、この点がなかなかめんどうな問題をはらんでいると私は考えております。そこでまず一つの方法でありますが、これはまだはつきりしたことではございませんが、従来建設省といたしましては、皆様の間に多少意見を異にしていらつしやる方もございますが、大体において御同感を得たようにも考えまするが、すなわち災害復旧の全額国庫負担を本年度限りとする。明年は三分の一は地方で持つてもらう、そういうことにいたすならば、明年の災害復旧費はほんとうは多いのでありまするが、ことし向うへ持つてつた数は四百五十億という数を持つて行つております。これがかりに三分の一というものを府県あるいは市町村において負担してもらえることになりますと、四百五十億へ二分の三をかけますと六百七十五億ですか、とにかく相当の数になる。しかるところ本年度はまるまる国庫負担ですから四百七十億の事業分量があつたにすぎないのであります。物価高とかいろいろな関係を考慮いたしたとしても、四百五十億へ二分の三をかけると今年の災害復旧費よりも事業分量ははるかに多いから、かりに今年の事業分量に多少ダツシユを振つたくらいというようなところを考えてみますと、四百億ぐらいのところにしてもいいじやないか。そうしますと四百億かける二分の三としますと、六百億である。まず六百億くらいの復旧を来年度は見合うことにして本年は四百七十億ですから、絶対数としては百三十億多いということになります。しかも五十億の金が捻出できる。この五十億というような金を一応財源としては考えております。その他各種の財源のひねり出し方を考えております。これは関係閣僚において、これから懇談会を継続的に持ちまして、何とかくふういたしたい基本的のわれわれの思想統一もできて、今年見返り資金によつて開始した事業、あるいは継承した事業にして、しかも放擲しがたい事業は必ず継続する。但し今年やつた事業であつて、来年は見返り資金はゼロになりつつあるのですから、どうしても継続しなくては困るという事業以外の事業は、例を申すと、あるいはさしさわりがあるかもしれませんが、たとえば道路なら道路――橋梁は別でございます。道路なら道路のヴメントを、あるいは道路幅の拡張なり改修といつたような関係を、ほんとうは継続すべきものなんですから、一般道路改修費その他からでもほんとうは振り向けるべきだと思いますが、一般道路改修費は皆さん御承知通り、全国的に一応配当されておりますから、そういう関係からもかりに行きにくいとすれば、その範囲は多少縮小せざるのやむなきに至るかもしれないというふうに考えておる次第でありますが、いずれにいたしましても見返り資金がゼロになつた点につきましては、われわれは皆さんに対して非常に申訳ない、こう思つておる次第でございます。しかし何とかして善後策を講じなくてはいかぬということを、本日私も閣議において強調いたしまして、財政閣僚を含む各閣僚から了解を完全に得ておるという状況でございます。
  55. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 ただいまきわめて重大な問題をいとも軽々と御答弁になつたのであります。その要点は、かりに災害復旧費を四百億に減らしても、三分の二の補助にするならば工事量が六百億できるという御答弁でありますが、その通りであります。しかしその六百億に対する二百億という地方町村の財政をどうやつてお與えになるおつもりでありますか、起債を許すのでありますか。増税といいましても、今年度の徴税で、もり担税力は限界を越えて次々に問題が起つておるわけであります。政府の方で三分の二にすれば工事量はかわらぬといとも軽々とお話になりますけれども、これを受ける身になつてみまするときわめて重大な問題になるのであります。その点第一にお伺いいたしたい。  第二点といたしまして、それは切実な問題であるけれども、今度は基本論に移るわけであります。一体全額国庫負担を二十五年度限り打切つて、政治的責任といいますか、道義的な責任はどうなるかという問題であります。元来昨年、この全額国庫負担を、これは二十五年度に限るという断りはしてありましたが、この法案が出て参りましたときに、建設委員会の大半の意見といたしましては、それはそれに越したことはないけれども、しかし工事量が減るではないか、また一年限り行うということになると、二十二年、三年災害が去年は約二分の一、二十四年災害は三分の「その恩典に浴するだけであつて、あとに残つた分はどうなるか。それは政治が不公平に行われることになるのではないか、こういう難点であつたのであります。これは幾たびか連合審査会等を開きまして、この問題が解決しなければ、あの全額国庫負担の法案は通りそうもなかつた。ところが最後に、本年度の三月三十一日でありますが、大蔵、地方行政、建設の三委員会の連合審査会におきまして、最後の断が下されたのであります。床次徳二君の質問に当時の国務大臣本多市郎君がこの問題を明らかにいたしたのであります。そして二十六年度においても全額負担の制度を続けると言明されたのであります。私ここで読んでみます。速記録の本多国務大臣のところです。「二十五年度はこれを実施いたしまして、二十六年度以後全額国庫負担をやらないとかいう趣旨ではないのでありまして、やはり全額国庫負担という制度は続ける考えでございます。」こうはつきりここに印刷に残つております。そうしますと、また床次徳二君がもう一度立ちまして、さらにはつきりいたしておきたいから、二十三年度までの二分の一実施したあとの残りの二分の一、また二十四年度の三分の一だけ実施したあとの三分の二、これもことしは遅れるが、全額負担であるとはつきり了解いたしてよろしいかどうかともう一度念を押しました。それに対して本多国務大臣はこう答弁しております。「本年度の事業量を四百七十億程度にとどめておるのでありまして、これは国家財政の関係から定まるのでありますが、二十六年度実施の場合、既往の分も実施のできまする事業量の範囲内において全額国庫負担の制度を続けて行くのでございます。一度にできませんために少し遅れて行くというだけでありまして、この制度は続けて行く考えでございます。」国務大臣の責任において明確にされましたから、実はあの法案が通過をいたしたのであります。そうしてこういうふうな事情があつて通過したものを、ここに軽々にたつた一年やつただけで、そうしてもうことしはやめてしまうということは、法律に対する地方民の信頼が失われることになりはしないか。それに対し建設大臣はどう考えるかという点を第二点で伺いたいのであります。  さらに実際問題として第三点で申し上げまするが、実はこういうちやんと答弁もありましたことではあるし、従つて地方におきましては、福岡県においても、あるいは愛媛県においてもでありますが、地方立てかえにおきまして全額国庫負担はもらえるものなりとして、すでに工事を相当量いたしております。何億といたしておるのであります。これらはとうてい起債もある一定以上許してもらえませんから、やはりその村内の流用によりまして、農業協同組合の金等を使つておるのであります。これが今日農業協同組合が行き詰まりつつある一つの原因でありますが、しかもその三分の一はもう返してもらえない、こういうことになりますと、農業協同組合が続々と倒産するおそれも生ずるのであります。そうでなくても、今日の農村事情におきましては、農業協同組合をいかに育成して行くかというきわめて重大な問題が横たわつておりますときに、この制度簡單に中止するために起る農村への大影響というものは、きわめて恐るべきものがあると存ずるのでありますが、これらの人は、当然年度は遅れても全額もらえるという観念のもとに、またさようにここに大臣が答弁をいたしたのを基礎にして、やむを得ず急ぐ工事を実施したのでありますが、その実施した工事についてどのようなお考えでありますか。以上の三点をお伺いする次第であります。
  56. 増田甲子七

    増田國務大臣 いとも簡單にとおつしやいましたが、私も内心は非常に苦しいのですが、それを簡單に今日本語で表現しただけで、言葉が短いからといつて簡單にあしらつておりません。これは非常に重大な責任を感じてはおります。しかも嚴粛にきようも各閣僚に発言し、考慮も求めておるわけです。そこで明日あたりから必ず懇談会を持つことになります。そこで三分の一の関係はこの委員会においてしばしば私が言明を申し上げた通りに、明年の税をもつてしてはむりである。一種の資本の蓄積であり、生産設備であるからして、これは十年間、十五年間にわたつて商売道具のもとでは拂つてよろしい、すなわち起債によるべきものである。そこで見返り資金がだめになりそうなときに、できるだけのことをして一生懸命地方債のわくの拡張に努めさしたわけであります。今もこれは続行しておりますが、まだ確定はいたしておりません。そこでできれば地方債でやりたい、こう考えております。とにかく明年の府県税と市町村税をもつてまかなわしめる、あるいは府県市町村の收入をもつてまかなわしめるということはむりな話でありますから、何とか地方債のわくが拡張できなければ、一時金融の道を開くというようなことも、政府が率先して考慮し、あるいは裏書きをするというようなことをしなければならぬ。地方債のわくにかからない方法でも、いろいろ金融の道もございますから、そういうようなことをして出さなくてはならぬ、こう私どもも考え、そのために研究を続行をいたします。それから本多君がいろいろ言われたということを私は今初めてお聞きするわけでありますが、その言葉は断言的になつているかどうか、私はその点は本多さんの一つの強い希望である。強い希望を強い言葉で表現したものである、こう考えております。あくまでも法律にある通り、本年度限りとする、そこで私はこの建設委員会においてもしばしばお話した通り、全額国庫負担ということは、本年度支出すべき額を本年度全額を持つのである。しかも十五万円以上の箇所は、本年度出す分について全額を持つのである。であるから三割出れば非常にけつこうだが、かりに一割五分そこらしか出ていない、一割三分くらいしか現在出ておりません、十五、六万円しか出ていない、その十五、六万円を持つ分は、昭和二十五年度分だけは全額出すのである。市町村が持たないというわけではありません。まるまる出すのである。しかしあとの八十万円はどうなるかわからぬということをよく言つております。私は建設大臣拜命以来しばしばそういうことを申しておりますが、そのときに明年のことは、皆様の御意思を尊重しつつ、お互いの力できめて行くということにいたしておつた、ただし建設省としては、どういうことを考えておるかという御質問があつたので、建設省としては、地方でも三分の一を持つてもらいたい。何となれば、これは一種の自治行政の問題である。そこで地方自治団体が自治という立場からも、三分の一くらいは持つ、自分のうちの橋梁なり道路なり、あるいは護岸なりを直すのであるから、まるくすべて国の方で着物を着せてもらうというような考え方は、地方自治なり地方分権ということを特に強調されている今日、おもしろくないという御意見も建設委員の方々から相当出ている。それも私は拜聽いたしております。ですから明年あたりはお互いの間で――何も政府独断でありません。皆さんがお互いの間で研究して御決定を願いたい。そこで皆様の議決にかかる法律には、本年度限りとするこう書いてありますから、これは天下に対する国会なり政府の約束であつて、こうは書いてあるけれども、来年はやはり全額国庫負担を継続するのであるということは、私は公の意思表示としては国民は承知いたしておらない。それでこそ明年度も相かわらず全額国庫負担をやつてほしいという運動がある。何も明年もやるなら運動も何もいらない。そこで府県知事さんも市町村長さんも全額国庫負担を継続してほしいという民衆運動が起つておるゆえんであると思つております。ただしできるなら全額国庫負担が相当大きな額であるならばいたした方がいいと思います。しかし関係の方面と折衝して予算をきめなければならぬことで、かりにそういうことはあり得ないでしようが、災害復旧費三百五十億、公共事業費は千億であると仮定いたしますと、われわれが復旧いたしたいと思つても、どんなに考えても三百五十億の事業はなし得ない。それよりもわれわれはできる限り災害復旧事業の分量をふやしたい。そうして早く病気をなおして健全な状態にして、どなたかがおつしやつた通り、災害復旧というものはごくおもしろくないものであつて、マイナスをゼロにする状態に過ぎない、こういうわけです。そこで病気のところをできるだけ早く回復したいと思つても、ちよつとしか回復しないのでは困る。今からできるだけ多くの分量をゼロの線へ沿つてつて行きたい。それには地方で三分の一を持つてもらいたいという意見を元来建設省は持つておる。これは今年度限りとするという、あの法律のできる前から実は持つておるし、あの法律のできる際にも持つておる。そこで明年はこの法律は一応われわれとしては御破算にしてもらつて、できるだけ事業分量をふやしたい、こういうところから出ておるのです。全額国庫負担というと非常に美名でありますから、県知事さん、市町村長さんもこの美名に眩惑される方がありますが、わけのわかつた方も相当ありまして、事業分量がふえないことには何にもならない。早くこわれた箇所を直したい、こわれた護岸も直したい、流れた橋も元へもどしたい、三分の一しか橋がかからないのでは困る、こう言つておるのです。要するに復旧ということに私どもは主力を注いでおります。元通りの状態に置くということです。  そこで村瀬さんが、農業協同組合の信用関係の方から融資を受けて、相当すでに復旧工事をしておる。それはまるまるもらえると思つておるのであるから、まるまる返さなければいかぬとおつしやいましたが、これも冒頭に私が申し上げました通り、本年度支出すべき部分を目当てにして、農協等から借りられてあつたわけです。ですから本年度支出すべき部分はまるまる国庫から行く。しかしながら本年度かりにある県のある市の災害が百万、そのうちに本年度は十五万きり出なかつたとすれば、十五万円だけがその市の農協へ返されるわけなのです。あとの八十五万円は明年かりに六十万円行くということになりますと、二十万円は市の方で返してもらうと、四十万円は国から返す、こういうことになつて、さらに再来年にあとの二十五万円は送られて行く。ただ借りて事業をしたのだから、全部返せと言われても困る。今年だけは目当てにして金を借りても、もらえるということは、私は言つたこともあります。全額国庫負担ですから、それを目当てにして相当復旧しておつた府県も御承知通りあるわけです。
  57. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 ただいまの増田建設大臣の御答弁は、私は国民が率直にこれを聞きますと、非常に愚弄された嘆きだと思う。なぜかといいますと、今増田大臣のおつしやつた通りの意見は、実は建設省の意見ではありません。建設委員の意見、委員会の意見です。ですから、去年全額国庫負担を一年きりであるとおつしやいましたが、これはわれわれもやめてほしいというのです。ところがそうではないというので始まつた。しかし今年になると、大臣はみなかわられたけれども、特に吉田内閣の重要な大臣であられた増田さんは、ただ三人残られたうちの一入で、一番重要視されて残られたのでありましようが、その大臣から、去年の他の大臣の言われたことはそれは間違いだ、そうではなかつたのだ、もつともつと建設省としては遠くを思いつつやつたのだというのでは、それは実に国民として泣くにも泣かれぬのでありまして、こういうことが起りはしないかというので、ここに連合審査会では、お読みになればわかりますが、実にたくさん質疑応答がかわされておる。そういうことならやつてもらいたくないのだ、去年の工事量をふやしてほしいのだと言つたのであります。今増田大臣は、ちやんと法律にもあるのだという。これは官僚的な御答弁であります。今年限りではないか、こうすぐおつしやいますが、これは官僚の言いそうなことだが、しかしここにちやんと書いてありますから、もし何ならお読みになつてください。本多さんはこう言つておる。これは一年限りにした理由は、こういう理由です、十五万円以下を切り捨てるという点がはたして正しいかどうか、十万円にすべきであるか、二十万円にすべきであるか、この一線がわからないから一応一年限りとしておる。そうしてこの十五万円は切り捨てるというのが適当ならこれを続ける。二十万円なら二十万円、あるいは十万円なら十万円、その一点のために一年制度にしたのでありますと、はつきり一年制度にした理由まで言つておる。速記録を読んでもいいのですが、やめておきますが、はつきり本多さんはおつしやつておる。やめた方であるからとおつしやるかもしれませんが、これはあなたが一緒に大臣をした、第一次というか、第二次の吉田内閣の共同責任である。そういう方法によつて、この全額国庫負担の法案が通過を見たのであります。こう本多さんが言われなかつたら少くとも建設委員に関する限り、これはやはり一年限りでは、いろいろの不公平も起るし、工事量も減るから、もともと通り続けてほしいという大半の意見であつた。従つて今になつてもともと建設省としては三分の二にして工事量をふやす考えであつたのだと言われましては、国民は実に失望を感じ、内閣の大臣という方のおつしやることに信用を置かないということにも相なるのでありまして、さような御答弁はもうひとつ中止をしていただきたいと思います。終つたことをいろいろ議論いたしても、しかたがないのでありまするから、私はこの問題はこの程度にいたしまするが、最後に一点伺つておきます。  しからば、全額国庫負担は決定的になつて、二十六年度からはもうやらないと御決定になつたのでありまするか、もともと去年大半の意見が、一年や二年やるのでは不公平になるから、やつぱり工事量をふやすために三分の二をずつと続けたらどうかという意見であつたにもかかわらず、政府の提案によつてこれを強行されましたのは、シヤウプ勧告に基いて、大体今度の地方税が、災害の全額国庫負担ということや、いわゆる起債四百二十億円、そういうものを基礎にしてあのシヤウプ勧告が出ておるのだから、全額国庫負担は一応実行せねばならぬという強硬な政府の御方針であつた。各委員会の速記録を開きましても、ぜひこれをやれという意見はほとんどどこにも出ていません。一年でやめるのではないかという点だけが論議されておる。政府の方がこの法案を通した。われわれは心配しながらついて行つたにすぎない。それをことしになつて、いとも簡單に、もう一年限りで三分の二に直すのだというのでは、非常に国民は失望を感ずるのでありまするが、これはもう決定的なものでありまするか、まだ何らかの余地が残つておるのでありますかこれを伺いたい。
  58. 増田甲子七

    増田國務大臣 本多さんの言葉に対して、私の議論を形式的論議とおつしやいましたけれども、今私は全部読んでみないで、あなたのお言葉に従つて私が考えますと、十五万円以下のものを全額地方で持つというような所がもし相当出て来れば、結局三分の一くらい地方で持つたことになると同じ考えになるという議論は当時からあつたわけなんで、そこでやつてみなければわからぬから、とりあえず本年はやはり国庫負担にすると、こういうように本多さんがおつしやつてつたとあなたがおつしやいましたがその言葉と、しかも断じてやるのだという言葉とは、本多さん自身の言葉に非常に矛盾があるので、結局本多さんを弁護するわけではないが、やつてみなければわからぬから、一年実施してみるのだというところに本多さんは力を入れておつしやつたのだと思います。やつてみなければわからぬのだというのと、永久に続けるのだというのは、人間の言葉として分裂しておりますから、本多さん自身も十五万円以下の箇所があるのだと言つているのです。そこは村瀬さんもよく御理解願いたい。私は実質的答弁をしているのであつて、形式的論議をやつているのではありません。そこでわれわれも、シヤウプさんの勧告もああいうふうに書いてあるのだから、これは向うさんの御意見もいろいろ違つたので、元来賢明なる建設委員の各位と同じように、われわれもいやいやながら実は追随したような形で、とりあえず一年というところに値下げをしたようなわけです。元来あなた方と同様に、復旧を急ぎたい、そこで事業分量をできるだけふやしたい、こういうところで、初め考えておつたところえ帰つて来た、その間一応こういう横道を歩いた、こういうふうに御了解を願いたいと思います。私は、建設大臣としては、三分の二を国で持ち、三分の一を地方で持つ、もつとも貧弱県として四分の一というような場合があるかもしれませんが、そういう方向に直して参りたいと考えております。まだ終局的に閣議決定をいたしたわけではありませんが、そういう方向へ私は進んで参りたい。というのは、村瀬さんもおつしやる通り、建設委員さんほとんど全部の方の御意見でもあつたことですから、これがデモクラシーだと思つております。
  59. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 議論はやめようと思うのですが、どうしても勝とうという気持がありますから、それではひとつ結末をつけておきまするが、本多さんはこう言つているのです。こうなれば読むよりほかしかたがないから読んでみます。「全額国庫負担の範囲等につきましては、十五万円というような基準を置くか、それとも他の基準によるかということについて研究をいたしたいと思いまして、一年制度にいたしておる次第でございます。これはそういう趣旨でございまして、続くものであると御了承願いたいと存じます。」とはつきりと断言をしておるのです。続くものと了承せよというのでありまするから、それをやめるものとは解釈できません。何と、どうお話になりましても……。従つてこれはいろいろ委員会の議論が出たから、それでは二十五年度で打ち切りにしてはこの法律は通らぬ、二十六年も二十七年もやるということにしようじやないかと閣議か何かで――閣議というほどでなくても、皆さんのところで申合せができて、そうして本多国務大臣が「続くものであると御了承願いたいと存じます。」と断定を下してあるのでありまするから、これはいくら官僚的解釈をなさいましても、どうも逃げる余地はないと思うのであります。まあこの議論を繰返してもしかたがないのでありまするが、ただ地方においては、この問題で大きな悲しい事実が続々と起るであろうということを、特に建設大臣としては御了承いただきまして、その責任を痛感し、二十六年度の災害復旧費については、特別の御配慮を願いたいと思うのであります。最後に、それではもう決定したのでありまするか、建設省としてはこうこうだというお話がありましたが、それはもう動かすべからざるものとして決定したのでありますか、簡單に一言イエスかノーか言つてください。
  60. 増田甲子七

    増田國務大臣 まだ閣議決定というところまで行つておりません。ただしかしながら先ほど申しました通り、見返り資金関係がゼロになりましたから、何とか財源を捻出せなければならぬ。ところで元来われわれの素志としては、国庫は三分の二の負担といたして、事業分量をふやしたいというのでありますから、その素志ともたまたま合致する、こういうことになるのであります。
  61. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 委員長、私の質問はまだたくさんあるのですが、西村さんのを横取りしたようになりますが、よろしいですか。
  62. 内海安吉

    内海委員長代理 あなたは通告しておりますからお続けください。なるべく簡單にひとつお願いいたします。
  63. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 全額国庫負担の問題はこの程度にとどめておきまして、安本長官はまだお見えになりませんか。
  64. 内海安吉

    内海委員長代理 安本長官はまだ用があると言つて参りましたので、ちよつと時間がわかりません。
  65. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 それでは少し建設大臣にお伺いするのでありますが、今年度は当初予算におきまして、公共事業費は九百七十億、補正予算で四十一億、見返り資金で百十億円、計千百二十一億円使うということになつておるのでありますが、来年度は大体千八十億とおつしやいましたが、この今年の千百二十一億に対し、千八十億くらいが至当とは思わないにしましても、まあそこらというふうにお考えであるかどうか、お伺いしたいと思います。
  66. 増田甲子七

    増田國務大臣 非常にこれは不満足でございます。とにかくそういう点については、私は非常に恐縮に存じております。これをもつてしては十分でないのみならず、非常に不足である。ただしかしながら、千八十億に対して千百二十一億と比較されたのでは、三分の一の災害復旧の地方持分もやはり加える必要がある。そういたしますと、かりに二百億持つてもらえば千二百八十億、一方が千百二十一億、こうなるのではないかと思つております。
  67. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 そこで私は見返り資金を今日は徹底的に伺いたいのでありますが、これは安本長官が見えてからにいたしまして、この足らない分をどうするかという処置についての一案、二案というものを次々に伺つてみたいと思うのであります。まず預金部資金を公共事業費に何とか使う道はないか、また使うような方法をお考えになつたことはないかどうかという点であります。それは利子とか、返済とかいう問題について、預金部資金は非常に困ると一口に常識的にお考えになるのはあたりまえでありますが、なぜそういうお尋ねをするのかと申しますと、あるいは先ほどお話が出ました猿ヶ石の堰堤工事、五十里の堰堤工事、こういうものに対しまして建設大臣は、それもとめないのだ、それも何らかでやるのだ。ところがやるとなると、いわゆる一般の方面から金をとつて来ねばならぬ。そうすれば、一般の公共事業費がそれだけ減るということになりますので、そこで預金部資金という問題を私が持出すのでありますが、これは普通ではやれますまい。ところがここに地方公共団体と商法上の法人との中間的な一つの性格の法人を、地方公共団体の單独または連合によつてつくつて、これをして継続事業をなさしめるというようなものを法律化した場合、政府預金部資金の流用についてお考えになるかどうか。以前そういう点も出たことがあります。たとえば関門トンネル、これは見返り資金が今は使われておりませんけれども、ときどき途中で中止の案が出たことがあつたようであります。それで北九州の各府県も相当工事費を分担していたようでありますが、そういう場合にもう一つ、何らか法人格のものを立法化して、それに見返り資金を流用さす方法を考えられないかどうかという問題であります。これについて何かお考えになつたことがあるか、あるいは、そういう方法で相当使えるとお考えになつたかどうかを伺いたいのであります。
  68. 増田甲子七

    増田國務大臣 まず先ほど五十億を出す点については、村瀬さんの御了解を得たと思つております。それからあとどういたしましても私どもは、額によつて、見方によつて違いますけれども、最小限度やはり六十億ぐらいはいる。建設省関係で御承知通り、見返り資金が七十億出ております。そこで六十億ぜひほしい。もつともうんと切られてしまえば、五十億でも行くのじやないかと思いますが、しかし、六十億を絶対にわれわれは確保したい、こう考えております。そこで災害復旧をわれわれが五十億を捻出しても、安本さんがまた方々にわけてしまうということになつたら、これは災害復旧ではいつも七割もらえるものを、向うにやつたために、とられてしまうのでは困るから、見返り資金関係のわくで配分してほしい。こういうことで、一応安本長官に望んでおりますから、この点は御協力を願つておきます。そういたしますと、去年の見返り資金の百十億の中のわくは、建設省関係は割合に多いのでありますから、これは相当確保できると思います。まずこういうことにいたしまして、あとまだ十数億不足がありますが、それに対してどうするか、これはまだくふう研究をこれからするというわけで「今朝も周東君や池田君と相談したのですが、いい知恵は浮んで来ておりません。但し先ほど村瀬さんがおつしやいました三分の一市町村に災害復旧費を持たした場合に、明年度の市町村、府県の歳入をもつて充てることは、これは酷であると私は考えております。そこでこれは地方債に一応譲るべきである。但し地方債のわくを突破した場合はどうなるか。その場合は一時金融というようなことで……。ちよつと速記をやめていただきたい。
  69. 内海安吉

    内海委員長代理 それでは速記をやめてください。     〔速記中止〕
  70. 内海安吉

    内海委員長代理 速記を始めてください。
  71. 田中角榮

    田中(角)委員 建設大臣に簡單に希望を申し上げておきます。ちようど河川、道路の両局長がお見えになつておりますので、特にひとつ大臣に希望を申し上げたいと思います。見返り資金は来年度において打切られるというような事態になつておりますが、私たちの希望といたしましては、まだ最終決定までには四箇月近い日があるのでありますから、見返り資金の継続工事に対する支出というものは、われわれもともにまた努力するつもりであります。ので、これが最小限の支出に対しては大いに努力をしていただきたい。しかもこれができない場合の次善的方策としては、預金部資金等のいわゆる短期の融資なり、起債のわくを広げるなりという別途の道があるわけであります。第三の場合に、どうしても継続工事はもちろん行わなければならないのでありますが、それを最小限度に縮めて行う。しかも見返り資金も預金部資金も、これが現実にはうまくないという場合、当然最小の金額だけは一般の公共事業費の中に組み込まなければならないということになつて来るわけであります。ここに問題があります。これは道路などを例にとつてみますと――河川はそういうこともありませんが、河川よりも、最も大きな道路、長大橋梁等は、これは大きな金をかけた以上どうしてもやらなければならないという場合、道路が本年は三十一億一千万円、来年度は三十億余万円ということになりますと、道路は六十億円と押えられても、たしか千八十億のときに六十四、五億、これよりももつと減るというふうに考えられるのですが、六十億当時で三十億こしらえると、もうすでに三十億ということになつてしまう、そうなりますと、この長大橋が各府県にまたがつておればいいのですが、そうじやなく非常にまとまつておる場合、これは公共事業費を投資をするために、今までのようにいわゆる総花式ではなく、できるだけまとまつた工事を行うということが本質でありながらも、政治のあり方によつて遂にいわゆる分割をして、総花的な予算配分方法がとられるという欠点を補う、そのためには非常に実効があるとは思うのでありますが、特に乏しいもので全国的な希望を幾らかでも満たすということになると、現実にはこれは相当な問題が起きると思うのであります。その意味で六十億から三十億をとられて、しかも三十億でもつて北海道を含む全国にこれをばちまかれるということになりますと、ことしの事業量よりも、各府県別に対しては非常に減るということになります。この場合にも相当な議論が起ると思うのでありまして、こういう場合の予算配分は、建設省関係はもとより、安本長官もおられますので、経済安定本部において公共事業費のうち、わくをきめる場合も、各府県別ということも非常に嚴密に調査をして、その数字というものを二十五年度と二十六年度の間に大きな差額を来さないような調節をとつてもらわなければならない、私たちは今から、この道路の問題などは特に顯著に、すでにこういうことが行われないうちでも考えられるのでありまして、特に道路局長河川局長がおられるので、その責任の衝に当つておられる方方が各種の陳情を各府県から受けられておりながら、これが配分に失敗を来すと重大な問題が起きると思つておりますので、あらかじめ警告を発しておきたい。しかも国土総合開発法並びに特殊の特別都市法も通つたのでありますし、北海道開発法というものも通つておりますので、見返り資金でとられ、かつそういう特殊立法によつて特殊な地域にもその中からわくがさかれることになると、これはつくらない場合には一般のものはえらいことになつてしまう。そこに私たち先日から運営委員会において問題にしておりますところの国土開発法では生ぬるいから、利根川開発法をつくろう、北上川開発法をつくろう、只見川開発法をつくろう、こういうことになりますと、現在までの特別都市建設法等に対しては、政府はあまり予算措置を講じておりません。しかし議員立法である以上当然法律が公布せられたならば、われわれもまた政府をして予算措置を講ぜしめるだけの熱意を持たなければならないし、政府も率先してこれが予算措置を講ずるのが至当であります。そういう場合になりますと、これを軽々に措置し、しかもその措置当を得ない場合は、結果的にまつたく法律の洪水ということになつて、あらゆる問題に全部特別立法を行うということも起るのでありまして、これが来年度の予算配分に対しては、ただ一に各府県の希望をいれられずして、議論が多くなるというのではなく、立法の立場にあるわれわれといたしましても、基本的な理念を含む問題でありますので、特にこの問題に対しては嚴重に注意をしておきたいということだけ一言申し上げておきます。
  72. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 ただいま重大なる問題を田中委員は提起されましたので、私は一言建設大臣に御所信を伺つておきたい。これは新たな問題であります。非常に今の田中委員の御意見は重大であります。そこで各府県への配分を公正にやれという田中委員の問題に関連いたしまして、私は災害査定に当りまして査定官の権限はどういう原則を置かれておるかという点を、この問題についてはまだ大臣から御意見を本委員会として聞いたことはないわけでありますから、この際伺つておきたいと思うのであります。それはたとえば天狗橋問題――今日はあまり議論いたしませんが、この問題などを考えてみましても、そこには査定の限界、いわゆる田中委員は各府県への配分について公正を主張されたのでありますが、私はその一県々々の査定の権限限界というものに対して建設大臣はどういうお考えを持つておるか、これはおよそ内規がありましよう、規定がありましよう。しかし規定というものはこれをそのまま行うというとは実に無味乾燥であつて、灰のような世界になつてしまうのであります。古来名裁判として人心を打ち貫いております大岡裁判というものは、これはすべて規定にないことを実際の社会の実情に合わした点に人心を打つものがあるのであります。従つて規定通りつたく杓子定規に査定官が査定をして来るというならば、これは機械でやつてもよいのでありまして、その間に大岡裁判ほどでないにしても、実情をよく見て、そこに実際と調和した、地方民が喜び、地方の開発になるという査定をするのが至当と思うのでありますが、これがもし人により、陳情の人によつて、あるいは場所によつてその手心を加えるようになりますと、これまた惡政の標本になつて来るものであります。古来破れざればつくろわずというこの原則が、とにかく天狗橋のような問題を生ずる結果になると思うのであります。ただ私の意図するところは、何でもかんでも規定を無視して査定してしまえというのでは断じてありません。そうかといつてまたあまりにきゆうくつな、無味乾燥の灰のようなとりつく島もないような査定も、また天狗橋のごときものを生み出す一つの原因になるのではないか。この点に対し、査定官の権限と心構えというものを建設大臣はどのようにお考えになつておりますか。
  73. 増田甲子七

    増田國務大臣 田中さんの、公共事業費の配分について各府県の均衡を得るように、数字の合理的基礎の上に立つた配慮をせよというお話に対しましては、私は衷心より同感の意を表し、十分気をつけて参りたいと思つております。ただ田中さんも御存じの通り、また指摘の通り、何分にも額が大分減つて参りましたし、しかも見返り資金に上る事業は継続する。北海道の関係も、田中さんが後段で御指摘の通り、いろいろ法律ができておるのだからして、この法律の精神を予算的の意味から生かさねばいかぬということは、これからでき、あるいは従来存在しておる各種の建設法等についても同断でありまして、これがないうちから法律を予算的、財政的な意味から生かすための相当の配分を必要とし、私もまた安本長官とともに非常に苦心をしておる次第であります。御意見の点は十分尊重申し上げまして、誤りなきを期したいということをこの際申し上げます。  それからこれに関連した村瀬さんの、災害のときの査定は一体どういうふうにやつておるのか、また査定官の心持なり、あるいは査定の基準等はどうかという御質問に対して、お答え申し上げます。災害復旧費の査定というものは、私の省の関係官吏が出張して、それぞれ査定いたします。どういう立場から査定するかといいますと、建設大臣の補助者として査定をいたすわけであります。すべて責任あるいは権限は建設大臣が持つておるわけであります。その補助者としての査定であります。そこで実際はどうなつておるかといいますと、私はあまり規定は存じませんが、規定がありますと、その規定は建設大臣の事務のやり方を書いてあるのであつて、間違つたらそれをまた取上げて建設大臣自身が決定する。そういうことの決定は建設大臣の権限ですから、規定を直さないうちは、やり方がやれないというのではないのであつて、やり方というよりは、むしろ権限の方が大事であるから、間違つた場合には建設大臣みずから是正ができる。しかしまあこれは極端な場合です。普通は本省にも査定官のまた上役がある。それからその上役には、河川局長なら河川局長道路局長なら道路局長がおりまして、査定をまた再検討する。それから府県、市町村等において査定が不当であるというように認められた場合は、それぞれこちらへ御注意くだされば、それも参考にいたしまして再検討する、こういうことは十分いたします。ともかくも建設大臣の名において、また補助者として査定に行くのであるから、公正なフエアな、また思慮ある態度で臨むべきものである。ときどき自分が全権を持つているというような考えを起す人がないとは限らぬですから、その点私はいつもくれぐれも注意をして参つている次第でありますが、将来とも十分気をつけて参る。また自分の補助者を監督して参りたいということを申し上げておきます。
  74. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 多少重複することになるかもしれませんが、今日は昭和二十五年の最終の委員会ということで開かれたので、お許しを願いたいと思います。この見返り資金が打切られるということが、ほぼ確定いたしたようなことで、本年度から見返り資金による道路、河川その他の事業が難局に立つていることについては、政府も非常に苦慮されておるし、委員諾君が先ほどから熱心に質疑応答をやるのもそこにあるのでありますが、大体見返り資金でここの表に出ております各種の事業をやるときには、二十五年度でできてしまうのも少数ありますけれども、大体二年ないし、三年継続事業としてそれを計画し、いわゆる関係方面に対して、それでよろしいということになつたとたんに、これを打切るということに相なるそうでありますが、一体そういうふうになつたゆえんと申しますか、もちろん朝鮮の動乱その他国際関係が相当影響いたしまして、日本の経済、財政全般のことから、さようになつたと一応は考えられるのでありますが、一体これは本年度さようなことをやらせて、来年度から工事を打切れというお考えであるか。もしくはここにこういう方法があるからこれでやつたらよろしいという何か話でもあつたのか。政府が非常に努力されておるということは十分知つてはおりますけれども結論的にはさような状況になつておりますが、建設大臣でも安本長官でもよろしゆうございますから、さしつかえがなかつたらお答えを願います。
  75. 内海安吉

    内海委員長代理 速記をとめて。     〔速記中止〕
  76. 内海安吉

    内海委員長代理 速記を始めて……。
  77. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 見返り資金に関係しております各種継続事業は、これを打切らないでやらなければならないということと、それに対して見返り資金が一応現段階においては見込みがない。その間に立つて皆さん非常に苦慮されておるのでありますが、先ほど安本長官もお話の通りに、今後とも見返り資金については十分なる御努力をお願いいたしておきます。そこで一般予算からやれるという関係大臣の間で意思の疏通ができておると、先ほど増田建設大臣も言われるし、ただいま安本長官もそういう御意向を漏らされたのであります。これも先ほど他の委員の方から出ておるのでありますが、さて見返り資金関係の事業を続けるといたしまして、事務当局の方から出ておりますのは、道路関係がきわめて圧縮して、一応のまとまりをつけるだけでも三十億余り、河川関係が、これは全体が出ておりますが、四十三億、合せて七十三億、もちろんその他これ以上にもあるわけでありますが、それをどうするかということで、一般公共事業費から、今のように優先的に天引きされるということになりましたならば、日本全体の河川、道路その他の公共事業は二十六年度に非常に少くなつて来る。これは日本全体の経済の再建から申しますれば、りつぱな政治のやり方ではないと私は考えております。そこで建設大臣は、先ほど災害復旧費を全額負担をやめて、三分の一を地方に負担してもらうようにして、そこに事業量をふやし、その間から約五十億の金を捻出いたしたいという、それも一つの妙案であると思つております。しかし河川、道路だけでもまだ三十億くらいの不足を生ずるのでありますが、先ほど安本の事務当局の話によりますと、大体災害関係の一般公共事業費がまだはつきりいたしておらないが、千六十六億くらいだ。それもまだはつきりした見通しはつけておらないという説明があつたのであります。巷間うわさに上つております六十億の道路費、その他河川もそう大して多くないと思いますが、そのうちからこれだけの経費を天引きされるということになりますと、これは日本全国からいうと、きわめて重大なことになると思うのでありますが、そういうことをされるかどうかということをこの際伺つておきたいと思います。
  78. 周東英雄

    ○周東國務大臣 細目の各省別、事項別の割当はまだきまつておりません。きようも関係大臣と会つた結果いろいろ相談はしておりますが、今お手元に何かあるそうですが、私は聞いてはおらぬのですが、とにかくさつき申し上げたような趣旨で配分関係を相談しております。かなり大きな変化があり、見返り資金というものが一応とられた形においてのやり方については、各地方とも同じような憂えを持つ。その間においていろいろと苦心しておりますが、まだ数字はきまつておりません。
  79. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 それと同じような趣旨でありますが、聞くところによると先ほど田中委員からも大体それと同様の趣旨質問があつたのでありますが、千二百億の公共事業費の一応の案を立てられたときに、北海道の公共事業費として八十五億を――天引してあるかどうか知りませんが、一応わくを立てられたということを聞いておりますが、もちろんその後全体のわくがある程度縮小されましたので、それに応じて縮小してやるというような意向もあるというふうに聞いておるのでありますが、見返り資金の関係が断たれたということで全般に響くということになりましたならば、私は北海道を特に優先して天引されることは適当でない。もちろん北海道の開発についてはある程度の力を入れなければならないということも私ども承知いたしておりますが、さような方針で進まれる、これは閣議で一応了解になつているというふうに聞いておるのでありますが、そういうことで行かれるおつもりであつたかどうか、さようになつたらそれはちよつと簡單に治まらぬのではないかと思いますが、その点ひとつ明言をお願いいたしておきます。
  80. 周東英雄

    ○周東國務大臣 増田さんは北海道開発の長官だから言いにくいかもしれませんから私がかわつて……。今のお話はごもつともであります。かりに全体的な減額が起つたとすれば、これは一部に片寄るというようなことも考えなければならない、これはもつともです。しかしその間においてもおのずからお互いが総合開発計画というものを立てるという主張は、やはり総花式にわけてもいかぬだろう、その点は関係大臣ともよく相談をいたしまして減つたは減つたなりに、額を活用しつつ総合的、重点的な開発が何を優先してやらなければならぬかということも織りまぜて最後の数字は決定いたしたい、かように考えております。
  81. 西村英一

    ○西村(英)委員 言いにくいかもしれませんが、開発長官増田さんにお願いいたします。今の北海道の話が出ましたが、八十五億を閣議決定でやつたというお話が伝わつておる。それらの問題でありますが、それはそうといたしまして、八十五億でも百億でも二百億でもいいのですが、しかしその総合開発の全貌が示されてほしいわけです。その全貌が示されれば幾らでもいいのですが、何も示さずに、ただ八十五億予算を獲得する開発法であつては困る。現在配付されている予算にいたしましても、いろいろなことから調べまして、必ずしも北海道は少くない予算が現在の状態で行つておる。ただ北海道は河川を直す、道路をよくする、それだけが目的ではないわけでありまして、そこに産業が伴う。なかんずく北海道の開発は、おそらくわが国の人口問題に貢献するところがなければ無意味であろうと思う。八十五億でも百億でも、何億でもいいのです。たとえば二十六年度はどれだけ人口がふえる、またふやそうとしておるか、また二十七年度はどれだけの人口をふやそうとしておるか、この人口問題の解決と、どういう産業を興してどういうふうに金を使おうかということに私たちは重点を置きたいのでありまして、開発法のためにただ予算を獲得する開発法はまつぴらごめんだと思うが、その点は……。
  82. 増田甲子七

    増田國務大臣 北海道開発庁長官としてお答え申し上げます。御心配の点は私はないようにいたしたい、一面建設大臣でもございますから、バランスをとつてうまくやつて参りたい。但し西村さんも御存じの通り、北海道開発については昔から一つのわくがありまして、北海道からもらつて来る直接税だけは割もどすという閣議決定が今日も生きております。これは蹂躪され通しなんです。それは八十五億の倍よりもはるかに多いのであるが、とにかく内地から見ますと、習慣とはいいながら、歴史的な事実とはいいながら、北海道から持つて来る方が多い。石炭にいたしましても、魚にいたしましても、農産物にいたしましても、北海道はだからいい所だというようなことを内地で言うのです。しかし北海道にかける金はできるだけ少くしようというのが従来の習慣なんで、そこで私は多少是正をして、やはり向うにもとをかけてもらおうと思つておる。従来内地に大いに役立つておりますけれども、将来はさらに何十倍もよけい役立つ。どうか西村さんも大所高所から見ていただきたい。こう考えております。実際考えてみると、非常に気の毒なんです。直接税だけは北海道拓殖費として出す。それで結局プラスマイナス、ゼロなんですから、そういうことによつて内地を生かして行くようにしよう。北海道の開発といいますと、北海道に一体移民をなんぼ引受けられるのかということをよく聞きますが、それよりも何十倍も内地に貢献しておる。石炭一つだけお考えになつてもわかります。その点は御理解の上にもなお御理解を深くしていただきたい。
  83. 西村英一

    ○西村(英)委員 そういうことは大体承知しております。それですから、抽象的に議論をいたしましてもしようがないのですから、その総合開発の内容あるいは林野にいたしましても本年度二十五年度はどうあろうが、二十六年度はどのくらいにしよう、あるいはその他の一般生産的なものにいたしましてもそういうような線を出しまして、それから出してもらわないと、非常に疑惑を持つわけなんです。北海道の開発につきまして、かれこれ異論をさしはさむ点はございませんが、あらかじめそういうことの内容をお聞きしたいのであります。
  84. 増田甲子七

    増田國務大臣 八十五億円、これは決して閣議決定としてきまつたわけではございません。ただそういう数が一応検討の俎上に上つたことはございます。そこで先ほど瀬戸山さんも御指摘の通り、全体が減つて来れば比例して減つて来るべきだ。安本長官の答弁にも含蓄がございますから、それは十分御理解を願いた、それから御指摘の各種の総合計画というものは提出いたします。
  85. 淺利三朗

    ○淺利委員 ただいま建設大臣というよりも、北海道開発長官としての御意見で、何十年か前にきまつた北海道の收入は北海道に還元する、こういう閣議決定があつて、これを原則として守つて行くというお説でありましたが、この決定は必ずしも私は正しいものとは思いません。日本の全局から見まして、ある県は非常に富裕であり、ある県は貧弱である。そういう場合に、その地方の收入が多いから、そこだけに国費を集中するということであるならば、日本国民を均等の生活水準にすることは至難であろうと思うのであります。要はそういう收入のいかんという問題よりも、北海道の開発によつてどういう効果があり、日本の国土の開発と人口問題の解決、そういうことに関連して初めて出るので、そういう機械的な標準を設けるということは、私は必ずしも賛成できないのです。ことに北海道の歴史から見れば、開拓庁長官の時代から北海道の開発はすべて全額国庫で負担しておる。しかし今日の北海道の現状から見ますると、むしろ文化が東北を越えて北海道が進んでおるというふうにもいわれております。札幌の附近とか、小樽の附近とか、こういう地方は内地以上に富力も進んでおり、文化も進んでおるのです。そういう場合であつても、依然として何十年前の全額国庫の直轄工事でやつておる。こういうことは今日大いに再検討すべき時期ではないか、むしろそういう地方は内地と同様な取扱いをして、その金をもつてさらに奥地を開拓するという方針をとるべき時期ではないかということを私は常に感じておるのであります。ただいま例として北海道の石炭が云々と申されましたけれども、そういうことを言えば、九州はまた九州で、石炭が多いから金をつぎ込めという理論が成立つのであります。ことに石炭は局部的に生産があるのでありまして、この石炭を開発するための道路費とかなんとかいうのならば意味もなしますけれども、ただそこに收入があるから、その金でもつて奥地を開くというのなら、北海道独立論と同じになると思うのであります。日本の今日の現状からいえば、そういうようなセクシヨナリズムでなく、日本全国を見渡して、大所高所から施政の方針を決すべきではないかというふうに私は考えるのであります。先刻瀬戸山委員からも質問がありましたように、総額のうち八十五億を優先的に北海道にとつてしまうとか、あるいは聞くところによれば、道路費はその三〇%を北海道だけに集中して、あとは三都府四十二県がその端数をもつて補われる、こういうやり方は私は必ずしも公平とは思わない。もとより北海道の開発に重点を置くということはわれわれ賛成であります。ただそこにおのずからある程度の限度があるということを考えて、全体の情勢を見て、予算の配分に考慮せられたいという意見を申し上げて、もし御答弁があれば伺つておきたい。
  86. 周東英雄

    ○周東國務大臣 予算が減ると、内輪の分配についてあんばいすることはやむを得ないことでありますが、しかし私ども今浅利さんのお話のように、大所高所から見るつもりであります。北海道開発法ができたときも、一部北海道の入で、北海道のための開発という字が入らぬから不服の人があつたようであります。私は今日狭い四つの島に押し入れられた日本として、やはり北海道が残されたる豊富な大きな資源の場所だと思う。北海道以外の本土にも、四国、九州にも、開発の地がありますが、北海道が人口の点においてかなり稀薄な状態にあることと、資源の未開発の状態を考えて一番大きいと思います。従つて私は、日本国全体のために北海道を開発するという考え方であります。従つてその意味におきましては、今まで遅れておるところへ政府の資金が行つて、そうして食糧増産なり森林資源の開発というような問題について、国全体のために利するところがあるようになることを望んで計画を進めて参るつもりであります。その点におきましては、北海道は他国のような感じを持たずに、兄弟であるという意味において、遅れておる兄弟を早く引上げるということで多少の色をつけて行く必要がありましよう。しかし八十五億ということが今問題になりましたが、それは全体が減らぬときのことで、減つたとすれば、わかりやすい話は、同じ率を下げたとしても八十五億は行かぬわけであります。その点はよくよく心得て兄弟げんかをせぬようにわけますから、よろしくお願いいたします。
  87. 淺利三朗

    ○淺利委員 兄弟げんかじやなく、むしろ北海道の收入は北海道だけに持つて行くという観念を一掃して、多い收入のところから貧しい收入の地方にも均霑せしめるということが、兄弟げんかをなくすことであつて、私はそういう意味において先刻申し上げたのであります。ことに残されたる未開発地帯として北海道を開発するということについては、われわれは大賛成であります。ただ問題は、今日の事態において道路費全体の三〇%を北海道に持つて行つてしまうということが、はたして日本経済の発展に寄與する道であるかどうか、そういうことについては十分の御検討を願いたい。ただ増田長官は北海道を熟知せられておるので、自然自分のよく知つておるところには力を注ぐ、これは人情であります。それは私はあえて申しません。増田長官がかつての東北の長官であつたならば、また東北についても力を注いでいただいたことだろうと思うのでありますが、ただ問題は、われわれ国会議員という立場から見れば、北海道の開発、これも日本の今日の国土開発の上から重点を置かなければならぬ。しかしながら未開発地方はたくさんある。また日本の経済力全体を進める上において、道路の改修ということは、緩急軽重をはかればたくさんあるのであります。その際に北海道だけ三〇%先取りしてしまうというようなことのないように、一定の合理的の基礎のもとに考えて、その次に北海道に重点をどの程度に置くか、その限度について賢明なる御考慮を煩わしたいということを申し上げておくのです。希望を申し上げておきます。
  88. 増田甲子七

    増田國務大臣 浅利さんの御意見ごもつともだと思います。私どもも内地と北海道の調和のとれるようにしたい。伝えられるような道路費の総額の三割を向うに持つて行くことはもつてのほかだということですが、十分調和のとれた拓殖費を計上したいと思います。
  89. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 もう申し上げなくともいいと思いますが、一言申し上げます。北海道の開発については私ども何も反対するわけではありません。ただいま建設大臣も安本長官も兄弟げんかをしないで、北海道を開発することが日本全体のためにいい。これは一つの実例を私は特に開発庁長官に申し上げておきたいのでありますが、過日九州各県の代表が九州の農業開発協議会とかいうのを東京で結成いたしまして、そのとき福岡県の代表が北海道へ参りまして、先ほど人口問題もありましたが、西村君もそういうような意見を言われたのであります。福岡県から代表が参りまして、北海道の副知事の何という方か知りませんが、お会いになつて、福岡県の二男、三男を北海道に相当入れてもらいたい。そうして開拓をやらして、いわば移住と申しますか、そういう計画を立てて相談に行かれたところが、それはけしからぬ――けしからぬと言われたかどうか知りませんけれども、ごめんこうむる。北海道は北海道の二男、三男を入れるためにわれわれは努力しておるのであつて、内地の二男、三男を入れることは困るということで、引揚げて参つたということであります。それで非常に憤慨したという言論が出ておりました。そういうことをやるために北海道を開発して、八十五億が現在六十億くらいに減つているそうでありますけれども、それを天引して、あえて内地とは申し上げませんが、北海道以外の国費をもつて北海道を開発し、しかも北海道にはよその二男、三男を入れないで、現在北海道におる人たちの二男、三男を入れるのであるということを、しかも責任の地位にある人が言われるということになりますれば、あるいは内地の国費は内地で使いましよう、こういうことは国会では申し上げませんけれども、やはり集まつた方々がそういう議論をされる。でありますから、きよう私は特にこの問題を申し上げたのであります。開発庁の長官は直接知事を監督される権限があるかどうかわかりませんけれども、ひとつそういう摩擦のないような方式をとられんことを切望いたします。
  90. 中島茂喜

    ○中島(茂)委員 安本長官お急ぎのようでありますので、安本長官のおられるうちに一言簡單にお伺いしたいと思います。今度は見返り資金が見込みがないというようなお話を先ほどから伺つておるのでありますが、話が少し具体的になりまして恐縮でありますけれども、安本長官の出身地であります山口と、福岡県をつないでおります関門隧道は、私ども国内の道路網を見ました場合に、ぜひとも一日も早く完成させなければならない。こういうことでこの建設委員会の前身とでも申しますか、国土計画委員会の当時からこの問題につきまして十分検討を重ねて来たのであります。当時関係方面にも十分了解をつけまして、この工事の進捗をはかることに努力して参つたのでありますが、昭和二十四年度はたしか一億三千万くらいを投じまして、この完成を急いでおつたのであります。二十五年度におきましては突然関門トンネルの工事は中止されました。従つて見返り資金の配付も受けなかつたのでありますが、当時安本長官はこの関門隧道に対しまして、どういう理由で関門トンネルが見返り資金から落されたか、安本長官がそれほど重要じやないとお考えになつたのか、その間の理由簡單でけつこうでございますから、ざつくばらんにお聞かせ願いたいと思います。なおこれが見返り資金から落ちた、従つて見返り資金で結末をつけなければならない箇所がたくさんあるように先ほどから承つておるのでありますが、これは公共事業費として取上げて着手される御意思があるかどうか、これも重ねて承つておきたいと思います。
  91. 周東英雄

    ○周東國務大臣 関門隧道の問題でありますが、これは私どもは外から見ておつて最もいい仕事じやないかと思つておりました。二十五年度の処置について、私は就任前にもう見返り資金から落ちてきまつておりましたので、どういう理由か実は知らないのであります。ただしかしなぜあれがああなつたかということは、私は多分に今疑問を持つておる。自分の出身地であつても維持費にかける金と継続している金というものはあまり違わぬ。但しもう少し金をかけたら早く進んだろうと思うのですが、これはいろいろ理由があるようです。今後何とか向うの了解を得るように努力してみようと思うのですけれども、二十六年度におきましては、これを見返り資金の予算の中から取出すというわけにも行くまい。ただいまそう考えております。しかしあれをそのまま宝の持ちぐされにして、維持費だけで一歩も進まぬというやり方は、どうも感心したやり方じやないと実は心配しております。ただいまのところそう思つております。
  92. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 私は本日主として安本長官に御質問申し上げるうもりでおつたのでありまするが、非常にお急ぎのよすで、四時半から御用事があるといいますから、これで切り上げますが、ひとつ簡明な御答弁をいただきたいと思うのであります。  公共事業費ほ失業問題の解決から見ても、また幾らかでも完全雇用の実現をはかるためにも、どうしても増額しなければならぬという原則を私は持つている。そこで本年は九百七十億の最初予算、それに四十一億の補正予算、見返り資金百十億円で千百二十一億円、ところが来年度はよく行つて千八十億円程度、今こういう御答弁であります。ところがそれに対しまして、私はどうしても見返り資金という問題を究明いたしておかねば承服のできぬ問題でありますから、箇條的に申し上げますが、従来インベストメント・オンリーという原則のもとに、見返り資金の流用を許されておりましたものが、二十五年度から百十億円というものを許可されるに至つた條件、利子とか何とかいうものがあるわけでありますが、それはどういうものであるか、それから二十五年度に許可しておきながら二十六年度に許可しないという理由は何であるか、この二点をまずお伺いいたしたい。
  93. 周東英雄

    ○周東國務大臣 これは先ほどちよつと速記をはずして話をした点で盡きると思うのでありますが、あなたのお考え以上に、でき得る限り公共事業をふやして、資本蓄積が叫ばれているときに、国土が破壊されて行くことは、最も悲しむべきことである。どうしても国土の保全なりあるいは土地の改良なり、あるいは道路の建設なり、産業道の建設なりをやることが産業の復興とともに失業の対策になるという方針は堅持しております。しかし予算におきましては去年よりもふえた形にはなつておりますが、見返り資金がすべての国際情勢のもとに一応固めておかれるということになつておる。ただいまのところ、私はすぐにこれを引出すことに対してはまだ困難だ、しかし何とかして今後とも努力を続けたいと申し上げている点はそこなんです。この点は御了承いただきたいと思います。
  94. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 私はこの質問をする目的を先に申し上げておきますが、何らかの方法で預金部資金がひとつ使えまいかという点がありますので、それでこの見返り資金の過去のことを聞くわけであります。百十億円二十五年度で使わしてくれる條件はどうであつたのでありましようか。それからもう一つ見返り資金の本質を――大体見返り資金というものは一種の強制国民貯蓄みたようなものでありまして、利子をとつて貸すということにこれはずつと方針がきまつてつた。いわゆるインベストメント・オンリーであつたと思うのであります。二十五年度の公共事業費に見返り資金を百十億貸してくれた條件は何であつたかということであります。利子とか償還とかあるいは貸出しの母体、貸出し先の母体、そういうものはどうであつたかという問題、これは鉄道とか、電信とかいうならはつきりしておりますか、公共事業に使わしてくれた條件は何であつたか。それからもう一つ本質にさかのぼりまして、見返り資金の本質をもう一度安本長官に聞いておきたいのであります。一体これはくれたものであるか、あるいは單に貸してくれておるものであるか。講和会議に何かひもがついておるものであるか、その点であります。
  95. 周東英雄

    ○周東國務大臣 これはたびたび大蔵大臣が予算総会、またほかの委員会で述べておりますが、ただいまのところ、私どもはやはりこれは一応貸したものだと考えております。しかしほかの国の例を見ると、講和條約のときにその問題が決するのであつて、それまでは一応ガリオアの方から入つて来て、国内において円に換算して円資金となる。これは貸付金の形で一応はある。将来どういうふうにきめられるかということは、ほかの国の例を見て、あるいはもらえるのじやないかと思うだけであつて、甘い考えだけで今すぐ決定するわけには行かない、こういうように考えております。
  96. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 貸付金の形であると言われましたが、それならば預金部資金を使うというのと道順は同じようになつて行くわけであります。これはまつたくくれつぱなしのものであるという段になりいわゆる預金部資金とは全然違うが、單に貸付金の形ということになりますと、これが出せるなら預金部資金も何らかの方法で引出されるのではないかという観点に立つわけであります。そこで私はやはり預金部資金を研究する一つ前提としてお伺いをするのでありますが、二十五年度百十億というのは、ただ出しつぱなしであつたものでありますか。貸付金の貸出しだと、利子というものもあり、償還年限というものも当然ついて来るわけでありますが、その中の百十億に対しての條件はどういうものであつたかということであります。
  97. 植田俊雄

    ○植田説明員 ただいま安本長官がお話になりました見返り資金の性質の問題につきましては、私ども大臣のお話の通りと思いますが、現実に国内の資金としてそれがどういうふうに動いておるかと申しますと、見返り資金は使用と運用と二つございまして、鉄道とかあるいは民間の会計に貸し出すものは運用と申しまして、見返り資金会計から別個の個人なりあるいは国の機関なりの会計に貸し出しまして、運用される。私ども運営しました公共事業への分につきましては、これは見返り資金の資金の中での使用でございまして、現在やつておりますダムも見返り資金の直接の使用でございまして、中間には貸付でありますとか、利子でありますとか、償還計画でありますとか、そういうものの全然入つておらない金の使い方であります。従いまして、現在私ども運用しております見返り資金というものは、公共事業費を一般会計の中で運用しておるのと同じように、見返り資金という特別会計の中で工事を実施しておる、こういう性質のものであります。国内的の会計の取扱い方がそうなつておるこういうことを申し上げます。
  98. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 大体見返り資金の形がはつきりして来ましたが、そうしますると、それならば預金部資金を公共事業に使つても何らりくつに合わぬことはないということが、今までの御答弁でわかつて来たのでありまするが、預金部資金を何らかの形で公共事業費に利用するという考えをお持ちになつておられるのでありますか、どうでありますか。
  99. 周東英雄

    ○周東國務大臣 これは御指摘のように私ども政府としても絶えず折衝しておる点なのであります。戰争前における預金部資金というものは、農山村に還元されてこれを使わしたということは、これはお手本があるのでありますから、ぜひ見返り資金のあるなしにかかわらず、もつと農山村に還元し、あるいは都市にも還元して、公共事業的なものへこれを使わしてもらいたいということは、念願であります。先ほど私申し上げましたが、来年度の見返り資金については一部のものがきめられているだけで、あとはまとめて残してあるところに、一緒預金部資金もまとめて考えられておる。預金部につきましても、一応は国債償還、金融債というものでしか認めておりませんが、その銀行を通じて行く形と同じことが何かできないかということについては、まだ努力を続ける余地がある、こういうように思つております。
  100. 西村英一

    ○西村(英)委員 安本長官にその見返り資金のことで私も質問したいのですが、時間を急ぐようですから、先ほど中島委員から関門の話がありましたから、私の意見をちよつと述べておきます。この前道路局長が経済的理由で向うはなかなか承知しない、こういう話ですが、ああいう工事が非常に国家的に不経済なのです。維持費でも一億からおそらく使つておると思うのですが、その点もう少し終戰後の調書をひとつ出していただきたいのですが、私の考え方としては、あれがどういうような計算をして経済効果がないようになつておるか知りませんけれども、使用料をとることにして計算をすれば、おそらく経済効果が出て来るのではないかと思います。どうしてもあれはやり上げないと、ああいうことをして一億の金を維持費に使つて長らくほつておくと、これは国家的に非常に損失です。私はダムの工事も、やりかけて、おそらく長くほつておくようなことになるのではないかということを心配しておるのですが、その他いろいろ例があります。たとえば鉄道の北陸線深草隧道にしましてもほつてあるのですが、多額国費を維持のために使つておる。大工事はやはりやりかけたら何とかして完成する。ことに関門隧道はどういう向うさんの意思があつてやらせぬか知りませんけれども、われわれとしてはなるべく早く仕上げたい。もし放棄できないならば、これを早く仕上げるということが、国費の適切な使い方でないかと思うのですが、安本長官せつかくひとつ努力していただいて再開をお願いする次第であります。使用料をとるというようなことで計算をしてみてはどうかと私は思つております。
  101. 周東英雄

    ○周東國務大臣 道路局長もなかなか苦しみがあると思うのです。言外に、理由の言えないところがあると思う。非常に努力しておられる。私は思いますのに、来年度もまた維持費を出すという話だから、維持費を出さないならやめたらいいと思うが、維持費が出るところにやる必要があるということを私は認めているだろうと思う。それ以上は、どうもやめた理由は、私はあとから来たのでわからぬが、どうもわけがわからぬ。その点は道路局長は非常に苦しんでおられる点で、言うに言われぬところであると思いますから、お察しを願います。
  102. 内海安吉

    内海委員長代理 本日の質問はこの程度といたします。なお先刻村瀬委員増田建設大臣との質問応答中、速記中止前後において不適当な言葉がありましたら、委員長において適当に処理いたしたいと考えます。御了承願いたいと思います。  次会の日程は公報をもつてお知らせいたします。本日はこれをもつて散会いたします。     午後四時二十九分散会