運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-08-15 第10回国会 衆議院 決算委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年八月十五日(水曜日)     午後一時三十九分開議  出席委員    委員長代理 理事 三宅 則義君    理事 橋本 金一君       高塩 三郎君    高橋 權六君       田中不破三君    多武良哲三君       藤枝 泉介君    畠山 重勇碧       上林與市郎君    井之口政雄君  委員外出席者         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 清英君     ――――――――――――― 七月二十八日  委員高橋權六君辞任につき、その補欠として有  田二郎君が議長指名委員に選任された。 八月九日  委員有田二郎君及び田中不破三君辞任につき、  その補欠として高橋權六君及び石田博英君が議  長の指名委員に選任された。 同月十四日  委員石田博英辞任につき、その補欠として田  中不破三君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 六月五日  昭和二十四年度一般会計歳入歳出決算昭和二  十四年度特別会計歳入歳出決算及び昭和二十四  年度政府関係機関收支出決算 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  派遣委員より報告聽取     ―――――――――――――
  2. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 ただいまより決算委員会を開きます。  本日は委員長議院運営小委員会の方に出席せられましたので、当委員会に御出席になりまするまで、不肖私が委員長の職務を代行いたしますから、さよう御了承を願います。  委員諸君から、委員会開会の御要求もありましたので、本日委員会開会の運びとなりまして、御参集を願つた次第でございます。お暑い折から御出席くださいましたことを感謝いたします。  では、公報掲載通り派遣委員調査報告聽取に関する件を議題といたします。本委員派遣については、去る六月十二日付をもつて議長の承認を得ましたので、三班を編成し、実情調査派遣行つたのでございます。すなわち第一班(四国地方)を田中不破三君、第二班(九州地方)を三宅則義君、第三班(山陰地方)を上林與市郎君の順でございますが、順を追うて調査報告を願いたいと存じます。  第一班の派遣委員といたしまして、田中不破三君より御説明を願いたいと存じます。
  3. 田中不破三

    田中(不)委員 今回四国地方を視察いたしました第一班で調査しましたのは、香川、愛媛、徳島、高知、の四県と、高松国税局四国財務局の六箇所でございます。調査事項の詳細は報告書に譲りまして、調査事項などの二、三につきまして、いささか所見を述べることといたします。  まず第一に、四国地方の四県の取扱いにかかりまする国の歳入中、大蔵省主管にかかわる歳入について申し上げます。昭和二十四年度におきましては、徴收決定済額か七千九百七十二万円でございます。收納済額が六千三百十八万円でありまして、收納未済額は千六百五十四万円であります。次に昭和二十五年度におきましては、徴收決定済額は六千七百五十四万円でありまして、收納済額は五千二百九十四万円であり、すなわち收納未済額は千四百六十万円となつております。ちよつと申し添えますが、この両年度分收納未済額中には、決算の建前上既往年度分は含んでおりません。次に述べます高松国税局收納未済額についても同様であります。両年度とも不納決算額はありません。港湾整備費分担金、これは県が国に收め分担金であります。この港湾整備費分担金收納未済額――これは県の予算関係で延びているのでありまするが、この收納未済額を除きますれば、差引き收入未済額は、昭和二十四年度におきましては九十万円、二十五年度におきましては四十二万となりまするから、收納成績は一見良好のように見られるのであります。しかしこの大蔵省主管事務処理合理性効果收めるという観点から考察しますると、検討の余地があるようであります。この県の事務は、県は国から直接的には何らの報酬を得ることなく国の事務を代行しているのであります。そうして歳入徴收官は県の出納長でございます。県が国の歳入についての債務者である場合のごときは、そこにすつきかとしない関係の生ずるのは自然のことと考えられます。ところで、現在大蔵省はその手足として動かし得る財務局系統組織を、全国的に持つているのでありましてこの機関を活用し、事務処理することが制度上妥当であろうというのであります。  なお地方公共団体職員給與資金貸付金関係前記歳入関係から一応除外してあります。これについては、全国的なもので、都道府県における取扱いがまちまちでございますので、追つ報告書に詳しく書く見込みであります。  第二に、高松国税局管内における租税賦課徴收状況について申し上げます。まず租税賦課については、問題の多い申告所得税昭和二十四年、二十五年分について申し述べます。この昭和二十四年分は当初課税額人員が四十四万八千人、所得が四百六十五億四千七百万円、税額は八十億五千二百万円でありまして、このうち更正決定をしたものは、人員二十八万二千人――これは総人員の六二%に当つております。所得は二百七十三億二千九百万円、税額五十二億七千七百万円でありました。ところが、この更正決定について審査請求をした者は、人員が十四万一千人――これは更正決定人員の五〇%でございまして、それにつき再調査をして誤謬を発見し、訂正したため、最終的には人員は四十三万六千人、所得四百二十九億九百万円、税額六十九億千六百万円となりました。また昭和二十五年分におきましては、課税額人員は二十一万六千人――これは前年分の約五〇%であります。所得は二百八十億四千九百万円、税額は三十億五千六百万円でありまして、このうち更正決定をしたものは、人員一万人――これは課税人員の五%弱に当つております。所得が十八億四千五百万円、税額は三億四千二百万円であります。  以上が申告所得税概要であります。これにはいろいろな角度から観察ができますが、更正決定が、二十四年分において二十八万二千人であつたものが、二十五年分においてわずかに一万人となつたことは、納税人員の激減ということもありますが、確かに税務行政運営上刷新であり、前進でありましよう。この種申告納税の諸税については、法制の整備とその法の施行、すなわち税務行政運用面刷新改善とが相まつて申告納税制度のよいところが発揮されましよう。政府はさきに本委員会で、昭和二十二年ごろ採用した新規職員も、もうすでに四年、五年という年月を経ているから、これからは税務行政運営に自信ができて来たという旨の答弁をされたことがありましたが、事業所得など把握に困難な所得の捕捉、なかなか尋常のことではなく、それを適正につかみ、権衡のとれた課税をし、それによつて納税者司税当局を十分信頼するようになるまではまだまだ前途遼遠でありましよう。当局は絶えず多くの反省と練磨とをなし、もつて完璧の域に達するよう努力されることを切望してやまない次第であります。  次に、徴收の面におきましては、昭和二十四年度收納済額百三十三億八千四百万円、收納未済額三十九億六千八百万円であります。二十五年度では收納済額九十五億三千八百万円、收納未済額九億四千三百万円であります。また年度末現在の滯納額は、昭和二十四年度におきましては、四十五億八千百万円、二十五年度におきましては二十八億九千三百万円となつております。この徴收の方面におきましても、種々改善が行われ、月を経るとともに、これまた従来に比し一段とよい成果を得ることができますようであります。  次に、租税賦課徴收に当る職員汚職行為は、昭和二十四年、昭和二十五年の両年度を通じて十四件であります。この不正行為根絶については、租税負担が軽くない今日、国民の納税思想上にきわめて好ましからぬ影響を及ぼす関係もあり、当局善処方を、さらに一段と強く望む次第であります。  次に、国税局の所管ではありませんが、登録税課税について一言申し添えます。富裕税課税標準額算定上における不動産時価標準と、不動産についての登録税課税の場合の不動産価格標準とは、その一方が適正であれば、他はその適正な方と一致するか、または似通つた価格であつてよろしいのであります。しかるに塩田については、税務署見積り価格を一〇〇としました場合、高松法務局においては五三という関係にあります。これについてはさらに調査を要することと思料いたします。  第三に、四国財務局につきましては、会計法第四十六條に基く官庁会計経理状況等監査に関する事務と、他の国家機関検査調査などの事務との関係について一言述べます。この財務局等の行う四六監査――これは略称でございます。この四六監査は新しい制度でありまして、すなわち支出負担行為制度効果を確保し、予算執行の適正及び効率化並び経理事務の指導、向上をはかる目的のもとに、大蔵省財務局系統機関とが、各省、各庁について行つている監査であります。問題はこの四六の実地監査にあるようであります。これらの監督については、まず会計検査院一般的検査があり、公共事業費については経済安定本部監査があり、特別調達庁については、一年間という期限付ではありまするが、経済調査庁調査があり、それに各省、各庁の内部監査があります。これらのことは、この四六監査とともに、目的は違いますが、この監督を受ける側からしますると、確かに監督の重複と感ずるのでありましよう。これをもつて一概に無理解であるというわけには参らないようであります。申すまでもなく、会計検査院は憲法上の機関であり、その他は広い意味の内部監査であります。この四六監査は軽くなく、租税歳出に充てられている現状からして、予算編成上等から確かに必要な制度であり、それであればこそ、その根拠を法律に置いているのであります。これが適時適切に行われれば、予算は確かに効果的になるものと信ずるのであります。ただ施行後日が浅く、大蔵当局は、その実施方法については反省検討とを重ね、十分の効果收むるようさらに一段の考慮が肝要であります。一方監査などを受ける箇所においては、帳簿書類を十分整備し、監査などが最少の日数で終るよう努むべきでありますことは申すまでもありません。今回のわれわれの調査で、四六監査を受けた箇所で、故意に帳簿書類を作為し、その間不正があるらしいという監査書を見ました。四六監査には、それ自身の目的があり、不正行為摘発を主眼としたものでないにせよ、どこかで真相をつかみ、その責任の帰属を明らかにし、不正の根絶をはかる必要がありましよう。  終りに、以上述べました中には、会計検査院当局への要望とでも申しますか、注文は全然述べてありません。しかしこれも若干あるのでありますが、資料の完備していないものもあり、その全部は報告書に譲ることといたした次第であります。  以上簡單でありますが、私の報告を終ります。
  4. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理  以上をもちまして第一班(四国地方田中不破三君よりの報告は終りました。  次は第三班(山陰地方)を議題といたしまして報告を求めます。上林與市郎君。
  5. 上林與市郎

    上林委員 山陰班における派遣委員調査につき、簡單に御報告いたします。  山陰班は、高橋、金光両委員と私の三名でありまして、六月二十五日より七月四日までの十日間にわたつて調査行つて参りました。調査の日程並び調査箇所は、おおむね次のようであります。六月二十七、八日は鳥取税務署鳥取財務部鳥取県庁及び鳥取検察庁を、六月二十八、二十九、三十日は、松江税務署松江財務部島根県庁松江検察庁を、七月一、二、三日は、山口税務署出口財務部山口県庁及び山口検察庁をそれぞれ調査いたしたのであります。  次に、調査事項につきましては、各税務署では、主として租税徴收状況滯納処理状況対策協議団処理状況青色申告概要、再調査請求及び審査請求事案に対する処理状況、その他現地における特殊事情並び要望事項等であります。  次に、各財務部におきましては、それぞれの業務概要国有財産貸付及び売払い状況、及びこれに伴う收納状況財務部の行う監査実施状況等であります。  次に、県庁におきましては、そこで扱う国の歳入徴收状況、国の歳出特に公共事業費終戰処理費国庫補助金等経理状況であります。各検察庁におきましては、昭和二十四年度決算検査報告法務府所管批難番号第八に「予算使用当を得ないもの」として記述されている事項につき、実地調査行つたのであります。  調査の結果につきおもなるものを簡單に申し上げます。  第一に、税務署における三十五年度歳入徴收状況を申し上げますと、鳥取税務署では、徴收決定額五億五千百万円、收納済額五億一千七百万円、收納割合は九四%、松江税務署では徴收決定額六億四千一百万円、收納済額五億三千八百方円、收納割合は八三%、山口税務署では徴收決定額四億六千九百万円、收納済額四億四百万円、收納割合は九三%となつておりまして、二十四年度徴收成績鳥取八九%、松江七九%、山口七〇%と比べ、二十五年度は著しくよくなつておるのでありまして、これはやはり経済事情の安定並び税法改正による税率引下げ各種控除引上げ及び拡大等影響によるものと考えられます、滯納処理の問題も同様好転しておりまして、徴收未済について、その対策といたしましては、いわゆるインターナル・コントロール・システムにより、個々の納税者と話し合い、滯納者の分類を行つて、相当嚴格な滯納処理を行うというのであります。また青色申告制度につきましては、各税務署を通じて創設時の二十五年度におきましては、かなりの申請を見たのでありますが、本年度は著しく減少している状況であります。そのおもなる事由は、記帳のむずかしさ等によつて、農家に申告を中止するものが多かつたためであります。  次に鳥取松江山口の三税務署のうち、特に鳥取税務署では、管下納税者納説思想はきわめてよく、協調的で納税貯蓄組合も九十組合、千四百人の組織となつており、一方税務署側におきましても、懇切なるサービスを実施し、円滑なる租税徴收行つているのであります。他方松江税務署におきましては、管内松江民主商工会を初めとする企業組合がありまして、減免税運動を展開し、集団的陳情等行つて租税徴收支障を與えているというのであります。この組合は、昨年三月より本年五月までの間に十二回、参加人員延べ千人という大会、デモ、陳情等行つておりまして、税務署納税者ともに、感情的に走つているようにも見受けられるのでありまして、納税思想のよい鳥取税務署と比べ、はなはだ対蹠的であります。  第二に、各財務部における調査につき、簡單に申し上げます。各財務部の二十五年度土地、建物、工作物、機械、船舶等国有財産売払代及び貸付料徴收状況は、鳥取財務部九三%、松江財務部九九%、山口財務部八九%という割合を示し、徴收成績はおおむね良好であります。また各財務部が行う会計法第四十六條に基く監査につきましては、二十五年度の結果は、鳥取七十件、松江八十件という実施成績を上げ、山口財務部では当該年度はなお実施しておらないという状況にあります。一方監査を受ける側としましては、検査監査等の重複している現況に対し、改善の声が出ているような次第でありました。  第三に、各県庁における調査につき申し上げます。まず昭和二十五年度の国の歳入につきましては、一般会計では、鳥取県は、徴收決定額二千七百万円、收納済額四百三十万円、收納割合一六%となつており、島根県では、徴收決定額三百六十万円、收納済額三百五十万円、收納割合九九%、山口県は徴收決定額一千七百五十万円、收納済額五百八十万円、收納割合三五%となつております。また特別会計の方は、自作農創設厚生保險船員保險失業保險等でありまして、いずれも八〇%以上の徴收成績を納めております。  以上国の歳入徴收状況鳥取山口両県とも、一般会計は五〇%以下というはなはだ悪い成績であります。この両県の收納未済のおもなものは、鳥取県では地方公共団体職員給與費貸付金償還金でありまして、震災貸付金及び給與資金資付金となつており、收納未済の八割以上を占めているのであります。山口県の場合は、港湾整備費分担金の未納が主でありまして、同じく九割以上を占めております。前者は県財政の貧困によつて償還となり、これが解決には地方財政平衡交付金増額等地方財政措置政府において善処されるよう強く要望されたのであります。後者の港湾整備費分担金は、下関及び宇部の両港にかかるものでありまして、その後現在に至るまでに、宇部港の分は收納済みとなり、下関港の分については督促中であるとのことであります。  また二十五年度特殊物件收入は各県とも良好でありまして、鳥取では一〇〇%、島根九〇%、山口県八八%でありまして、それぞれ徴收に努力している次第であります。  第四に、鳥取松江及び山口の各検察庁における調査につき申し上げます。検察庁につきましては、二十四年度検査報告批難番号第八にかかる件でありまして、検査報告では予算使用当を得ないものとして法務府外四十四箇所で庁舎、倉庫、分室、特別調室等の名目で新営または増築工事施行したが、構造から見て住宅であり、職員の宿舎に供している。これは予算目的外経費を使用したものであると批難しております。これに対し政府検察庁秘密主義をとり、一般人、新聞記者等事件を推知されては捜査遂行支障を来すおそれがある。これがため庁外特別調室を設け住宅に近いもので世人の注意を免れ、安んじて事に当らしめる必要があるというのであります。かように両者の意見は食い違つているのであります。以上の検査報告並び政府説明に基き、三検察庁実地調査した結果は、鳥取検察庁では一棟当り二十八万円を三棟、同じく三十五万円を二棟計玉棟を、松江検察庁では二棟五十万円をもつて竣工し、山口検察庁では一棟、下関一棟、合せて八十一万円をもつて竣工し、二十五年七月ないし八月までにいずれも用途変更をなし、現在は官舎となつている状況であります。  さて本件は、いずれも当時から職員住宅として使用していたものと認められるのでありまして、検査院の言うごとく、予算目的外経費を使用したものと思われるのであります。  最後に、現地におけるおもなる要望につき申し上げます。税務署におきましては、所得税率引下げ基礎控除引上げ法人税率引上げ累進課税青色申告帳簿簡素化と特典の拡大第一線税務職員増員等でありました。  次に、県庁におきましては、地方債わく増額地方税制改善策として国税の一部委譲、府県民税の復活、平衡交付金増額等でありまして、この外会計職員優遇措置をとるよう強く要望されたのであります。  以上簡單でありますが、私の報告を終ります。  なお詳しくは議長あて提出報告書をごらんいただきたいと思います。
  6. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 以上をもちまして、第三班(山陰地方上林與市郎君の御報告は終りました。  この際お諮りいたします。まだ委員長がお見えになりませんし、他理事の方も御出席がないので、私が第二班の調査報告をいたします関係上、暫時委員高塩三郎君に本席を讓つて議事を進めたいと思います。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 三宅則義

    三宅(則)委員長代理 御異議なしと認め、本席を高塩三郎君にお譲りいたします。     〔三宅(則)委員長代理退席、高鹽委     員長代理着席
  8. 高橋權六

    高橋委員長代理 それでは、次に第二班(九州地方)の派遣報告三宅則義君よりお願いいたします。
  9. 三宅則義

    三宅(則)委員 私は九州の各地を調査いたしましたから、その概況簡單に御報告をいたしたいと思います。  九州班派遣委員井之口委員と私とでありまして、調査期間は七月四日から七月十一日にわたりまして、調査官庁調査事項等はおおむね次の通りでございました。  すなわち七月四日は福岡県庁九州地方建設局、五日は北九州財務局福岡国税局博多税務署、六日は福岡特別調達局、七日は長崎財務部、九日は熊本県庁熊本国税局南九州財務局、十日は日本專売公社熊本地方局、十一日は鹿児島県庁及び専売公社鹿見地方局、以上の諸官署につきまして調査をいたしたものでございます。  調査事項につきましては、福岡熊本鹿児島名県庁におきまして、昭和二十四年、昭和二十五年度における国の歳入徴收状況につきその明細と特殊物件收入概要、国の歳出状況につき、公共事業費終戰処理費支出状況国庫補助金全般にわたる支出状況調査いたしました。さらに各県財政概況にうきましても聽取いたしたものでございます。  九州地方建設局におきましては、昭和二十四年度と二十五年度歳入歳出決算のほか、業務並び管下工事概要調査いたしました。北九州財務局長崎財務部南九州財務局におきましては、それぞれ業務概況昭和二十四年度、二十五年度国有財産貸付、売払い並びにこれに伴う收納状況財産税相続税戰時補償特別税等にかかる物納財産換価処分状況社寺境内地不当貸付の有無とその対策会計法第四十六條に基きまして行う監査実施状況公団清算状況等につきまして調査をいたしました。九州地方といたしましては、国有財産処分につきましては、特に旧軍用財産並びに艦艇の処理につきましてその事情を聽取して参つた次第でございます。  福岡国税局熊本国税局並び博多税務署におきましては、昭和二十四年昭和二十五年度における租税徴收概況、同じく滯納の状況と、これが発生原因並び対策、再調査請求及び審査請求事案等に対しまする処理件数協議団処理状況青色申告状況査察課摘発件数等について調査いたして参りました。  福岡特別調達局におきましては、業務概況とその取扱いにかかる昭和二十四年、二十五年度終戰処理費賠償施設処理費解除物件処理費支出状況調査いたして参りました。  日本専売公社熊本及び鹿見地方局におきましては、事業概況聽取のほか、タバコ工場を視察いたしました。  以上のほか、全般を通ずる調査事項といたしまして、昭和二十四年度会計検査院検査報告事項中、これら諸官庁関係するものにつきまして、その概況並びに前後策、検査院検査状況及び批難事項に対する意見、あるいは要望管下職員不正事件につきその概要会計経理上、業務運営に関して現行制度に対する要望事項等につきましても聽取いたしたのでございます。  調査の範囲は、各官庁並び調査事項ともいずれも広汎にわたりまするので、調査の結果並び意見は、追つて議長あてに提出せられまする報告書中に詳細を盡したいと存じまして、本日はそのうち特に注意すべき事項のみを簡單に御報告いたし、委員諸君の御参考に供したいと思う次第でございます。  まず今回調査いたしました諸官庁のうち、会計検査院検査報告なり検査の結果につきまして、十分なる認識を欠いているやに見受けられた箇所があり、検査の結果なり報告会計職員の執務の参考となる点がはなはだ多く、将来の過誤防止のためにきわめて有効なる資料であると思われるので、政府におきましては、地方出先官庁、自治体、公団公社等に至りまするまで、これを周知徹底せしめられるよう努力せられたいと思う次第でございます。その検査の結果なり業績を死蔵するのでは、その実効を十分に発揮し得ないうらみがあると思われるのでございます。  次に福岡熊本鹿児島各県の財政状況を見まするのに、歳出財政状況は、それぞれ二十五年七十一億円、四十七億円、四十三億円でありましたが、二十六年度予算はそれぞれ七十五億円、四十八億円、四十九億円に増大いたしております。しかしながら、これは本年十二月分までの骨格予算でありまして、平衡交付金地方税等地方財源の不足によりまして、年間の予算を編成することが不可能な状況にあるのでありまして、県政運営上重天な障害となつております。これらにつきましては、ただ九州地方だけではなく、広く地方財政確立上、すみやかに十分なる対策を考えねばならないと思うのでございます。  九州地方建設局におきましては、各種の公共事業施行上、数年にわたる一貫いたしました計画に基く継続費をぜひとも設定してもらいたい、單年度に区分した予算では長期工事の円滑なる進行に障害を来すから、そういう障害を来さないように、また毎四半期ごとに示達せらる予算が遅れがちで、これまた工事の進行を阻害するものが多いのであるから、急速になされたいとの要望がありました。これはまことにもつともなことでありまして、昨年当委員会が北海道地方を調査いたした際も要望せられたところでございまして、政府においてはすみやかにこれが実現をはかるべきものと考える次第でございます。会計法第四十六條に基く大蔵大臣の各省各庁に対する予算執行状況監査は、地方におきましてはそれぞれ財務局が担当いたしておるのでありますが、北九州、南九州各財務局、長崎財務部実施状況を見まするのに、その対象は物品経理状況、生活保護費、国庫補助金交付及び地方公共団体の支出状況公共事業費終戰処理費等にわたつておりまして、管内の諸管庁、地方自治体に随時出向いたして監査施行いたしており、相当の成績を改めておるようであります。しかしながら、なお財務局側担当者の積極性といいますか、熱意において一層の御努力をお願いいたしたい。検査院検査によつて非違を指摘せられる前に、財務局の予算執行監査によつて過誤なわ犯罪を小さい芽のうちに刈りとるという意気込みでやつていただきたいと思うのであります、但し、これは監査あるいは検査を受ける諸官庁、地方自治体側から見ますると、検査院財務局あるいは主務官庁その他各県におきましては監察委員会等、財政監督機関が数多く、提出書類の形式、数量あるいはその応接等におきまして、相当の負担となつて、常務にもさしつかえるとの声が聞かれているのでありまして、財政監督がいかに多元的に行われておりましても、これがため常務に支障を来すがごときことは好ましくないことであります。能率的有効なる財政監督の実施につきましては、会計検査院並び大蔵省当局の御協議、御研究をお願いいたしたいと存ずる次第であります。  各財務局における一般会計所属国有財産貸付、売払い等処分に伴う收納状況は、北九州財務部におきまして、昭和二十五年度末調定総額三億九千六百万円に対し、收納済額は二億七千六百万円、南九州財務局において、本年五月末調定総額七千百万円に対し、收納済額三千二百方円となつておりまして、なお相当多額の未納額を残しております。この内容は、旧軍用財産にかかわるものが大分部でありまして、現在の貨幣価値から見れば、わずかの金額のようにも見られますが、事の性質上收納並びに整理の促進に一段の御努力をお願いいたしたいと存じます。  九州地方における国税徴收状況は、全般的に見まして概して良好のように見受けられました。また二十四年度に比べまして、二十五年度は一段と成績が向上しております。たとえば申告所得税を見ますと、福岡におきましては、二十四年度分徴收決定済額百四十九億円に対し、收納済額七十九億円と、收納歩合が五二%でありましたものが、二十五年度徴收決定済額六十二億円に対し、收納済額五十億円、收納歩合八一%に躍進しております、熊本においては、二十四年度分徴收決定済額百億円に対し、收納済額六十二億円、收納歩合六二%であつたものが、二十五年度は、徴收決定済額四十二億円に対し、收納済額三十六億、收納歩合は八五%に向上いたしております。国税全般を通じて見ましても、両局とも二十四年度八〇%であつた收納歩合は、二十五年度九〇%に上つておりまして、これらは租税制度の確立、経済事情の回復安定化もさろことながら、その衝に当つておられる税務職員諸君の努力と納税思想の徹底によるものと、私どもはなはだ意を強くして参つたような次第であります。  以上、大略御報告申し上げました。なお詳細は議長あての報告書に盡したいと存じます。簡單でありますが、九州班の御報告を終ります。
  10. 高橋權六

    高橋委員長代理 以上の派遣委員報告に対し、御質疑があればこれを許したいと思いますが、御質疑はありませんか。――別段御質疑もないようでありますので、ただいまいたされましたる各班の調査報告書を議長あてに提出いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 高橋權六

    高橋委員長代理 御異議ないものと認めまして、さよう決定し、右報告書の作成並びに提出の手続一切を委員長に一任されたいと存じますので、御了承を願つておきます。  次にお諮りいたします。先般、付託中の昭和二十四年度歳入歳出決算については、審査の緒についたばかりで、閉会中の審査は、ただいま派遣報告のあつた分を除いて、未了の状態でありますので、さよう決議をいたし、報告するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 高橋權六

    高橋委員長代理 異議ないものと認めまして、右手続をとることにいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後二時二十四分散会