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1951-03-07 第10回国会 衆議院 決算委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月七日(水曜日)     午後一時四十一分開議  出席委員    委員長 菅家 喜六君    理事 三宅 則義君 理事 八百板 正君       大上  司君    小川原政信君       庄司 一郎君    田中 角榮君       多武良哲三君    畠山 重勇君       上林與市郎君    井之口政雄君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局次長) 東篠 猛猪君         林野庁長官   横川 信夫君  委員外出席者         農林事務官         (林野庁業務部         薪炭課長)   濱田  正君         会計検査院         事  務  官         (検査第一局         長)      小林 義男君         專  門  員 大久保忠文君         專  門  員 岡林 清英君     ————————————— 三月七日  委員高橋權六君及び藤枝泉介辞任につき、そ  の補欠として小川原政信君及び庄司一郎君が議  長の指名委員に選任された。同日委員小川原  政信君及び庄司一郎辞任につき、その補欠と  して高橋權六君及び藤枝泉介君が議長の指名で  委員に選任された。     —————————————  —本日の会議に付した事件昭和二十四年度特別  会計予備費使用調書(その2)昭和二十四年  度特別会計予算総則第六條並びに第七條に基く  使用調書昭和二十四年度日本国承諾求有  鉄道予備費使用総調める件)書昭和二十五年度  一般会計予備費使用調書(その1)昭和二十  五年度特別会計予備費使用調書(その1)昭  和二十三年度一般会計歳入歳出決算昭和二十三  年度特別会計歳入歳出決算     —————————————
  2. 菅家喜六

    菅家委員長 これより会議を開きます。  前会に御了承を得ておきました通り予備費五件につき審査を進めたいと存じます。  昭和二十四年度特別会計予備費使用調書(その2)、昭和二十四年度特別会計予算総則第六條並びに第七條に基く使用調書昭和二十四年度日本国有鉄道予備費使用調書昭和二十五年度一般会計予備費使用調書(その1)、昭和二十五年度特別会計予備費使用調書(その1)(承諾を求める件)、以上五件を一括して議題といたします。  右に対する質問を許します。井之口君。
  3. 井之口政雄

    井之口委員 ただいま提案されました五件に対して、この報告書が出ておりますが、これに対してきようは会計検査院は御出席ないのですか。
  4. 菅家喜六

    菅家委員長 来ております。
  5. 井之口政雄

    井之口委員 この内容の点について、会計検査院で特に調査した部分は、どういう項目にわたるか。それから二十四年度、二十五年度の分ですから、これはいずれ会計検査院報告の中にも、出て来るだろうとは思つておりますが、あらかじめこの使途の各項目にわたつて会計検査院の御報告を一応承りたいと思います。
  6. 菅家喜六

    菅家委員長 ちよつとお待ちください。今会計検査院小林第一局長を呼びにやつておりますから……。
  7. 井之口政雄

    井之口委員 それでは、それはあとまわしにいたしまして、この項目について不審の点を二、三お尋ねいたしたいと思う次第であります。第五十六ページをあけて見ますと、二十五年度労働省所管予備費使用調書の中において、職業官署終戰処理費としての支出の部で、「連合国軍要請による適格労働者のあつ旋に関する業務を迅速円滑に運営する必要があつたので、その経費を、予備費から使用することについて、昭和二十五年十月二十七日閣議決定を経た、」ということでありまするが、たといこれは閣議決定は経たにいたしましても、こうした連合軍要請というものは、一般終戰処理費においてまかなわるべきもので、予備費をもつてこうしたものがまかなわれたということについて、第一番に疑問を発する点であります。  第二番目に、この連合軍要請とは、一体この場合具体的に申しまして、どういう性質のものであつたか。しかもそれはどういう理由によつて、迅速円滑に運営しなければならなかつたか。予算を組んだ上のことで、政府としては既定方針として処理すべきものであるにかかわらず、こういう特別の手段を連合軍のために採用しなければならなかつたという理由いかん連合軍から、もし適格労働者のあつせん要請するという場合には、普通LRに基いて行われるのが妥当である。しかるに当時二十五年度の予算部分といたしましては、朝鮮事件というものが頭を出しているのであります。朝鮮事件に対して、もしこの費用支出せられているということになりますれば、これはまつた占領政策に対するところの費用ではなくして、これは明らかに国連軍費用を、日本政府が支弁したいうことになり、これは明らかに違法である。この点に対して政府の御答弁を願いたいと思います。
  8. 東篠猛猪

    東篠政府委員 お尋ねの点につきましてお答えを申し上げます。  終戰処理費内容は、ごく大ざつぱに申し上げまして、大きくわけまして終戰処理事業費終戰処理事務費にわかれるわけであります。終戰処理費全体は、御承知通り二十五年度で申し上げますれば、約千九十億というような金額でございますけれども事務費という金額は、その終戰処理費全体に占めます割合は軽微でございまして、その意味合いにおきまして終戰処理費事業費とは異なり、事務費におきまして不足を生ずるというようなことは、実は事柄の内容経費内容事務費でありますだけに、間々生ずることでございます。  それからここに「連合国軍要請による」と書いてございますのは、これは終戰処理費でございまして、先ほどお話のございましたように、連合国側にサービスを提供いたしますところの労働者方々はいわゆるLRによりまして、何人をどういう時期に、どういう場所に調達してほしいという要請が参りますので、連合国軍要請による適格労働者といいます意味は、そういう意味合いのことを書きましたわけでありまして、特に本件につきまして特別連合国軍要請があつたという趣旨をもちまして、この意味合いにおきましては、連合国軍要請による適格労働者という言葉は使つておらないのでありまして、一般的に日本側であつせんをいたしますところの適格労働者というものは、連合国軍要請によるんだという趣旨のことを、経費終戰処理事務費でありますから、念のためここに計上いたしました次第であります。  右に申し上げましたように、職業官署で、終戰処理関係に使われておりますところの事務費不足を生じました場合におきましては、その事態に対処いたしますがために予備費支出を行うことは、予備費性質上から考えまして当然許さるべきことである、かような意味合いにおきまして、十月二十七日の閣議決定を経た次第であります。
  9. 井之口政雄

    井之口委員 ただいまの御説明では、納得いたしかねます。と申しますのは、この労務費なるものは、当時の事情を考えてみますると、すでにあの時分、自由党はインフレを収束させたのだというふうなことを誇つている状態で、物価のある程度の安定ということを実現している。のみならず、あつちにおいて首切り、こつちにおいて首切り失業者は続出している。そのために賃金の切下げということは、あらゆる面において行われている。そういう事情のもとにおいて、かつ連合軍はすでに進駐して以来はや四年、これは次第に撤退して行くことの準備がなされなければならない性質のものではないかと思う。しかるに事務費が、かくどんどんかさんで来る、しかも、それを予備費をもつて支出する。日本国民は、至るところの職安において、仕事をよこせ、自分らは飯が食えないんだ、何とかして予算をふやしてくれ、こういうことを要求しているところのあの時代に、労働省としてそういう方面への支出こそは、最もこの予備費としての使途の本質にかなうものであろうと思うのでありますのに、こういう方面に約二千八百三十万円からの支出がなされておる。私は大阪特別調達庁国政調査に参つたことがございますが、そのときにも、出て参りましたのは何であつたかというと、やはりこの労務費朝鮮事件に関するところの増加分支出している。将来これははたして適法なものなりやいなや、あるいは訂正されなければならないものであるかいなかもわからないというふうな、その当時の当局者の弁明を聞いたのでありますが、ここに明確に出て来ておる。連合軍要請によつて、この予備費からこうしたものが支出されておる。この点は、われわれの満足しかねるところであります。政府としては、労働省としては、むしろこの時分にもつともつと人民大衆失業を考慮し、予備費をもつて、その失業者を救済すべきであつた。その予算を組む当時において予測し得なかつた事情が起つて来ているのは、明らかにあの当時の失業という状態でありますからして、そういう方面に多額に支出しなければならかつたのに、こういう方面に出されるということに対して、政府はいかなる考えをお持ちになりますか。またこの問題に対して会計検査院の方からも、ひとつこれは適当であるかどうか、たとい閣議による決定は見たといたしましても、その閣議決定議会運営の上におきまして、正しいものであるかどうか、この点をひとつお答え願いたい。
  10. 東篠猛猪

    東篠政府委員 先ほども申し上げましたように、これは終戰処理費のうちの事務費でございます。お話のございました、労務費がどんどんふえておるのではないかというお話は、終戰処理事業費の問題でございまして、技術的に申し上げますれば、款項目を異にいたしております。別の予算科目お話が主であるように拜承いたすのでありますが、先ほども申し上げておりますように、連合軍側からの要請がありまして、労働者のあつせんに必要な事務費でございまして、たとえば通信費でございますとか、あるいは連絡費でありますとか、あるいはここにありますような旅費でございますとか、そういう事務を処理するのに必要な金額不足をいたします場合におきましては、予備費支出を当然政府といたして適当なものであるというふうに考えておる次第であります。なお昭和二十五年度の一般会計予算に計上されました予備費は、四億五千万円という金額でございまして、お話のようないわゆる緊急失業対策、応急的な公共事業費という、いわゆる日雇いの方々に対する緊急失業対策という金額をまかなうのには、この四億五千万円程度の予備費では、いかんともいたしがたい事情でありましたので、その後昭和二十五年度の補正予算におきまして、政府といたしましては、これに対処する予算的措置を講じた、かような次第に相なつておる次第であります。
  11. 小林義男

    小林会計検査院説明員 予備費使用につきましては、会計検査院といたしましても、この予備費予備費の目的通り使われているかいなか、またその予備費支出そのもの国会開会中に支出した場合において、その支出したことが過当かどうか、その他一般的に検査をいたしております。ただいまのお話のような予備費の点でありますが、予備費につきましては、閣議におかれても一つの線を設けておられまして、その中に事業量増加等に伴います経営の経費、こういうものは国会開会中であつても、予備費支出しておる。そうして事後において国会の承認を受ける、こういう取扱いをいたしております。本件はそういうような事業量増加に伴うやむを得ない支出である、かように考えておる次第でありまして、取扱い方としては、一応妥当ではないか、かように考えます。
  12. 井之口政雄

    井之口委員 そこでその事業量増加でありますが、事業量は次第に減つて来なければならない性質のものだと思うのでありますが、朝鮮事件をきつかけとして、かく増加して来たということは、これと深い関係があるのではなかろうか。この点について会計検査院は調査なすつていらつしるかどうか、これを伺いたい。
  13. 小林義男

    小林会計検査院説明員 事業量増加労務費なりの支出増加しておりますかどうかという詳細な点につきまして、ただいま資料を持ち合わせておりませんので、そういう点につきましては、後刻御報告申し上げたいと思います。
  14. 井之口政雄

    井之口委員 それではその問題はそれくらいにしておきまして、次に七十ページを見ますと、二十五年度の大蔵省所管印刷庁特別会計の中に「外国紙幣製造受託のため、既定予算不足を補う必要があつたので、その経費を、予備費から使用することについて」云々。こうして約一億五千四百万円の支出がなされているのであります。一体これは、政府はいつ外国紙幣を引受け、こういう印刷業を開始なすつたのであるか、そういう商売国会の承認によつてなすつたのであるか、かつそれは一体どこの紙幣を印刷したものか、どういう必要あつて、そういうことをなすつたのであるか、この点についてお伺いします。
  15. 東篠猛猪

    東篠政府委員 昭和二十五年度特別会計予算は、国会の御審議を仰ぎまして、議決をいただきました昭和二十五年度特別会計予算総則の第五條に「印刷庁特別会計予算に計上した予備費のうち、二億円は、外国紙幣製造に必要な経費以外に使用してはならない、」という言葉をもちまして、国会議決をいただいておるのであります。政府といたしましては、この條項に従いまして、必要に応じまして、外国紙幣製造に必要な経費支出いたした次第でございます。
  16. 井之口政雄

    井之口委員 しからば、その二億円の中に、この一億五千四百万円は入るのでございますか。それよりも、別個の予備費としてここに支出されておるのではないでしようか。
  17. 東篠猛猪

    東篠政府委員 政府といたしましては、第五條に基きまして支出をいたしたものでございますので、予備費のうち、その二億円の一部として支出いたした次第でございます。
  18. 井之口政雄

    井之口委員 しからばそれは一体琉球諸島において通用しておるものなのか、あるいは軍票なのか、あるいはアメリカ本土において流通しておるところの紙幣なのか、あるいは朝鮮に持つて行つたのか、その点を明確にしていただきたいと思います。
  19. 東篠猛猪

    東篠政府委員 諸種の関係がございまして、外国ということで御了承いただきたいと存じます。これ以上申し上げかねます。
  20. 井之口政雄

    井之口委員 そうすると、この内容ははつきりわかりませんが、紙代印刷代印刷所費用等を、みな含むのでございましようか。
  21. 東篠猛猪

    東篠政府委員 仰せ通り外国銀行券製造に必要な経費を、すべて計上いたしております。
  22. 井之口政雄

    井之口委員 そうすると、そのあと残つた建物印刷機械のようなものは、どういう所属関係にありますか、それは外国のものですか。
  23. 東篠猛猪

    東篠政府委員 これは印刷庁作業費でございまして、印刷庁におきまして製造いたしましたことは、申し上げるまでもない次第であります。従いましてお話建物機械等は、印刷庁のものを使つたわけであります。
  24. 井之口政雄

    井之口委員 詳しくお話にならなければ、しかたがありません。  次の項目に飛びまして、七十九ページをあけてみますと、二十五年度通商産業省所管貿易特別会計予備費使用調書が出て参つております。ところが御承知通り、この特別会計におきまして、このうちの鉱工品貿易公団には十六億からの赤字を出して、政府がこれを補償しなければならないという忌まわしい事実さえも発生いたしておるのであります。こういうふうな乱雑なる経理のために、ここに約六十四億からの予備費支出をなさなければならなかつたと判定されるのでありますが、こういうものは当然もつと切り詰められるような性質のものではなかつたろうか、この点について政府並び会計検査院の御答弁を願います。
  25. 東篠猛猪

    東篠政府委員 お答えをいたします。この六十四億円の経費内容は、御承知通りに、外国為替決済関係におきまして発生いたしました経費であります。従いまして、政府といたしましては、外国為替決済関係等に伴いますところの資金受払いが相当巨額に上ります関係上、特に十分注意をいたしまして、この決済関係資金受払いに過誤なきを期しておる次第であります。金額仰せ通りに六十四億という厖大金額でございまするが、これは日本貿易その他外国為替決済というものを、現在の情勢におきましては、いわば政府が為替銀行的な役目をいたすという関係から、生じますところの商取引代金決済でございまして、金額厖大に上りますことは、その意味合いにおきましては、自然なことでございます。ただいま御指摘のございましたような会計紊乱その他のことはないように、私どもといたしましては、できるだけ注意をいたしておる次第でありまして、この六十四億三千万円といいます金額は、ただいま申し上げましたような趣旨で、いわば政府貿易関係為替決済関係に伴いますところの取引関係代金である、そういうふうに御承知願いたいと思います。
  26. 小林義男

    小林会計検査院説明員 ただいまの鉱工品公団等貿易特別会計に対する予備費でございますが、これはただいま大蔵省から御説明のあつた通りでございます。私の方では、別にこれに対してつけ加えて申し上げることはございません
  27. 井之口政雄

    井之口委員 大分事情はわかりましたが、鉱工品貿易公団の十六億の欠損などといいますと、相当大きなものでありまして、たとえば尼崎地方の税務署一箇所をとつてみましても、一箇所全体が取扱つておりますところの税額がほとんど十六億ぐらいのものであります。それを早船なんか二十そこそこの青年がむだに支出して、そして国家に大きな損害をかけている。利益があれば、鉱工品公団から政府に入らなければならない性質のものである。ところが、利益が入るどころか、欠損まで穴埋めしなければならない状態である。その上に今御説明くださいましたところの六十四億からの金は、外国為替決済のために、この商売をやるために、政府の金をこれにつぎ込んでおる。そうして二十六年度の予算においては、約五百億ですか、六百億ですか、またこれにつぎ込んでおる。人民の今日の生活困難の中から、ちよつと差掛けをしてあめの一つ二つを売つていても、あるいは数千円、あるいは数万円の税金を取立てる。その取立てたところの税金資本蓄積をしておる。資本をこれに積んでおるのです。そして外国貿易をさせるというような、この一連のつながりの頭が、すでにこの予備費支出の点に現われておるとわれわれは見るのであります。なるほど、その時分外国為替取引は、政府事業には違いないけれども、しかも、これは当然日銀その他の金融機関の操作をもつてしても可能なのであります。人民から取立てた税金をもつて、こうした商売の元手を支出し、しかもそれを予備費から出すということになりましたならば、何のための予備費であるか。なおこの貿易額は非常に大きいものだからして、六十四億ぐらいはあたりまえだというふうな御説明もありましたけれども国民失業のために悩んでいる。これはもつと大きな問題だ。そういうものは、あまり大き過ぎるからと言つて出さぬ。しかもこういうものには、大き過ぎるから、よけい出したつてあたりまえじやないかという論法をもつてされたのでは、国民はまつたく塗炭の苦しみに悩まねばならぬという結論に到達いたします。こういう点は十分政府において考慮されなければならない問題だと思います。こういう外国為替決済のために予備費を出すというようなこと自体が、会計の制度、予備費使用方針を誤つておるものではないだろうか、こう思いますが、いかがでしようか。
  28. 東篠猛猪

    東篠政府委員 お尋ねが数点にわたつたと思いますので、もし御答弁の漏れました点がありましたならば、また補足して申し上げますが、この外国為替関係貿易特別会計予備費は、これは私から申し上げるまでもなく、一般会計予備費とは関係のないものでございます。従いまして、当初貿易特別会計歳入歳出全体といたしまして、海外との貿易為替決済関係において幾らの收支が生ずるであろうかという計算をいたしまして、予備費を念のためにとつておくという立て方にしておる次第でありまして、本件予備費が、ただちに租税等一般国民負担につながつておるという筋合いのものではございませんので、その点を申させていただきたいと思います。  それから、先ほどちよつと申し上げましたように、失業者緊急対策関係といたしましては、昭和二十五年度の補正予算といたしまして、政府といたしましては対策を講じた次第であります。  それから、五百億も二十六年度においては外国為替特別会計に繰入れがあるではないか、国民負担において、とんでもないことをやつておるという趣旨のことであつたかと拜聴いたしたのでありますが、政府といたしましては、一般会計予算特別会計予算政府関係機関予算、全体の予算を通じまして、收支総合的均衡をはかるということが、現在の財政経済事態に対処いたしますための、最も有効なる方法であるという政策のもとに、外国為替特別会計に対する五百億の繰入れが行われた次第であります。私どもの見解をもつていたしますれば、五百億の繰入れを行いまして、予算全体といたしまして総合予算均衡を達成することによりまして、現在の困難な財政経済状況に対処する最も適切なものであるか。それがすなわち国民経済の安定を導き、国民全般の福祉に貢献する、かような一貫した財政経済政策のもとにいたした次第であります。
  29. 井之口政雄

    井之口委員 そういたしますと、この通産省所管貿易特別会計予算の中に、もうすでに六十四億並びに下の方の十九億というものが、予備費として最初に組まれておつた一般会計から別にまわされたのじやないということですか。
  30. 東篠猛猪

    東篠政府委員 六十一ページでごらんいただきますように、各特別会計にはそれぞれの予備費がありまして、その中から支出されたものでございます。
  31. 井之口政雄

    井之口委員 それにしても、そういう方面にこんな大きな予備費を組んでおるのは、財政の立て方が根本的に悪いのでありますから、その点は追究いたさないことにいたしまして、次にもう一つお伺いいたします。  八十四ページの昭和二十五年度電気通信省所管電気通信事業特別会計予備費使用のところでございますが、通信事業予備費として五千四百四十三万円が必要経費として出されております。その説明によりますと「連合国軍司令部より通信命令が発せられたもの及び通信命令の発せられることが確定した連合国軍関係通信施設建設工事を行う必要があつたので、その経費を、予備費より使用することについて」云々、これが出されたということになつております。先ほど占領軍労務関係が非常に増加したからと言つておられましたが、この連合国労務関係というものは、減りこそすれ増加すべき性質のものではないと思いますのに、朝鮮事変と同時に、ふしぎにこういう増加が起つておる。しかもこれは事務費だから、まあまあこのくらい増加したのはしかたがないというお話でございますが、ここにはさらに建設費としてこれらのものがあげられておるのであります。何で新しくこれら多くの建設費を出さなければならないか、しかも緊急にこれを必要とするような條件日本に起つて来たか、われわれはこれを理解するのに苦しみます。もし朝鮮事変のためにこうしたものが出て来たといたしますれば、これは明らかに違法である、こう思うのであります。この点について政府の御答弁を願います。
  32. 東篠猛猪

    東篠政府委員 先ほど労務のところで申し上げましたのは、一般会計の四億五千万円の予備費関係でございますから、便宜そういうふうに申し上げたのであります。これはやはり電気通信事業特別会計予備費から支出せられたものでありますことはすでに御承知通りでありますが、念のためその点も申し上げておきます。それから通信にいたしましても、輸送にいたしましても、連合軍側からの御要求に対しましては、日本政府といたしまして、その調達命令内容に従いまして、施設をいたしましたり、あいるは輸送をいたしましたり、あるいは通信のことにあたりますことは——わが国の置かれておる立場からいたしまして、連合軍側の御要求に応じなければならぬことは、これは私から申し上げるまでもないところであります。そうして、こういうふうに事業設備関係経費支出いたされました場合におきましては、たとえて申しますならば、設備費の負担金でありますとか、あるいはその後の経常的な運営の費用につきましては、その調達命令に従うかわりに、その対価といたしまして、それぞれの会計におきまして収入になるわけでございまして、決してこれらの金額が純粋な負担に相なるものでもないのであります。連合国軍側から正式にこういうことをやつてほしい、またこういう施設をつくつてもらいたいというお話がありますれば、政府といたしましては、その命令なり指示の内容に即応した施設をし、サービスを提供することは、現在の状況におきましてはやむを得ないことであろう、かように存じております。
  33. 井之口政雄

    井之口委員 陸軍はなくなつた、海軍はなくなつた、それなのに文化的な学校その他の費用は組み方が少い。そうして占領軍維持費に二千億以上の莫大な支出を年々重ねて行かなければならぬ、これに対して国民は非常な疑惑を持つているのであります。しかもそれが一体合理的に使われているかどうか、これに対しては、さらにさらに深い疑惑を持つている。例の大橋法務総裁の二重えんとつ事件といい、終戰後使われた終戰処理費四千数百億、これらの半分以上はだらしなく使われている。会計検査院報告によつても、二十三年度に莫大なる金額の不正事実が起つている。新聞雑誌もこのことを報じているのであります。しかるに連合軍の御命令であれば何でもしかたがない、こういう建前から、減つて行かなければならぬ性質のものが、ますますふえて行く。かつ一般通信関係といたしましては、百二十億からの見返り資金を入れていろいろ設備の改造もやつている上に、なおかつこういうものが出て来て、特に連合軍からの指令としてこういうものが建設せられているが、いかなる必要があつてこうしたものが出て来るかということは、国民がひとしく抱く疑問であります。この点を明らかにしていただかないと、国民は今の終戰理費の使い道——あるいは将来講和がいかなる形でなされるか、もしも單独講和のために、吉田総理とダレス氏との間に締結されたような條約で外国電報が報じている通り、依然として外国軍の駐屯を日本に認めるというふうなことになつて来れば、こうした鉄のカーテンに隠された事実が、やはりずつと続くのではないかという危惧を国民は持つのであります。それで将来この設備は、使つたあと日本のものになるのかどうか、あるいはこれはただ通信費用で、電報を打つた、その電報の費用というふうなものに主としてなるのか、どういうところにこれは工事をして行くのか、この点少しもわからないのであります。その点については、終戰処理そのものがどういうふうに使われているのか、その項目が発表されていない。軍港に使われているのか、あるいは飛行場に使われているのか、それさえもわからぬ。これではわれわれ決算を審議して、国民にその責任を負おうと思つても、負えないような状態になつて来るのであります。まず、とりあえずこの進駐軍のために使われているところの通信費用の内容について、御発表願いたいと思う次第であります。
  34. 東篠猛猪

    東篠政府委員 終戰処理費金額が巨額のものでございますので、政府といたしましては、経理の適正を十分に心がけて、できるだけ努力をしておる次第でございます。終戰処理費金額も、二十六年度におきましては千二十億円、昭和二十五年度の千九十億円に比較いたしますると六十五億円程度減少を見ている次第であります。一体この予備費支出内容は何であるか、こういうお尋ねでありまするが、主として電話施設でありまするとか、あるいは無線施設でありますとか、そういうものがこの内容に相なつております。電話施設と申しましても、もちろん市内のものもありますし、市外のものもあり、それがこの内容になつている次第であります。
  35. 井之口政雄

    井之口委員 では最後に、一番最初に、会計検査院の提出いたしましたこの五項目にわたりましての会計検査内容について、会計検査院から、とりわけ不当として指摘される大きな問題はなかつたか、いずれこれは昭和二十四年度の会計検査報告並びに二十五年度の会計検査報告においても出て来るだろうとは思いまするが、その前にとりあえずその中の不当事項についてひとつ説明願います。
  36. 小林義男

    小林会計検査院説明員 御説明申し上げます。予備費につきましては、従来検査報告にも、その使用当を得ないものというものは、もちろん掲載しておりました。それで二十四年度以降の分についてどうかということでございまするが、二十四年度につきましては、ただいまちよつとはつきり私だけで御返答できない部分もございまするが、大体において二十四年度については、予備費使用不当というものはないと考えております。
  37. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 ただいままでに大分質疑がかわされましたが、私はたつた一つであります。二十九ページ、昭和二十四年度特別会計予算のうち、電気通信事業特別会計におきまして、特別会計予算総則第六條但書に基き、既定予算不足十一億三千六百余万円を増加収入金から充当するに至りました経過をひとつ一応御説明願いたいと思います。
  38. 東篠猛猪

    東篠政府委員 予算総則の第六條並びに第七條に基きますところの使用調書の件でございます。これにつきましては、仰せのように純然たる予備費支出ではございませんが、昭和二十四年度の特別会計予算議決をいただきましたその予算総則におきまして、たとえば六條をちよつと御参考までに読み上げてみますると「国有鉄道事業及び通信事業の各特別会計において、その収入が予算額に比し増加したときは、その増加額に相当する金額は借入金の返還に充当しなければならない。但しその収入の増加事業量増加に伴う場合において予備費使用によつて支弁することができないときは、予備費使用の例に準じて、大蔵大臣の定める基準によりその収入の一部を事業のため直接に必要とする経費に充当することができる」という條項がございます次第であります。従いまして歳入の増加が見込まれました場合に、予備費支出ではございませんが、それに見合いまして事業量増加に絶対必要な経費として十一億三千百万円を計上いたし、その残額をただいま申し上げました第六條の借入金の返還に充当いたすという手続をとつている次第であります。従いまして、仰せのように、これはいわゆる純然たる予備費使用ではないではないかということはその通りでありまするが、政府といたしましては、いわば歳出権という権限をこの予算総則で国会からいただいておりますけれども、歳出の金額を越えて支出いたしておりますので、その実績が予算額を越えている場合におきましては、やはり同様国会で御審議いただくことが、まあ適当であるという考え方に基きまして、使用調書といたしまして、御審議をいただいておる次第でございます。
  39. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 その話で了承いたしましたが、この内容につきましては、電気通信事業ですから、電話とか、いろいろなものがございましよう。もしわかりましたら、御説明願います。
  40. 東篠猛猪

    東篠政府委員 十一億のうちで、電話運営と申しますか、運用と申しますか、そういうランニング・エクスペンスのものが三億七千四百万円でございます。そういういわば経営面でございませんで、その設備施設を保守いたしますのに必要な金があるわけでありますが、それが六億五千四百万でございます。それからほかにいわゆる総掛と申しておりますが、全体として頭にかかつて参ります経費は約一億七千万円という内訳になつておる次第であります。
  41. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 今の東條政府委員の御説明によりまして了承いたしました。  次にもう一つだけ参考に伺いますが、三十七ページに、二十四年度日本国有鉄道予備費のうち、十億円出しております。これは退職手当というのですが、首切りしたという意味ですか、何でしようか、その辺を了解したいと思います。
  42. 東篠猛猪

    東篠政府委員 日本国有鉄道におきましては、最近全体の経営方針と申しますか、きわめて堅実な歩みをいたしております。従いまして、職員の数もできれば減して参りたいという方針を、実は全般的に国有鉄道では採用せられておるのであります。しかしながら、お話のございましたような積極的な首切りということは、できるだけ避けまして、退職者が出ました場合に、これの補充をいたさないという減耗不補充という原則を極力とりまして、不必要な摩擦はできるだけ避ける方針のもとに、国有鉄道では運用をいたしております。
  43. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 東條政府委員お話で了承いたしたわけですが、私どももそれに賛成です。わが自由党は、かつての戰時中にでき上げましたたくさんの、剰員と言つては失礼でありますが、多くの従業員をなるべく整理いたしまして、穏健にして妥当なる活動状況を続けたい、こういう意味合いにおいて、そうした処置をとられたことと思いますが、これは賛成いたす次第でございまして、将来とも、鉄道事業に対しましては、独立採算制を考えておられますが、そういうような予備費はあまりたくさん使われぬ方針でありましようか、この際承りたいと思います。
  44. 東篠猛猪

    東篠政府委員 国鉄の予備費は、大体の考え方といたしましては、おもに運営方面に充て参りたい。建設方面につきましては、一昨日でございましたか、三宅さんからもいろいろお話がございましたが、できるだけ当初から予算の表に出しまして、はつきりと計上いたすべきものは計上いたすという方針をとつております。御案内のように、昭和二十六年度におきましては、三線も当初から予算に計上するという方針をとつております。
  45. 菅家喜六

    菅家委員長 これにて質疑は終了いたしました。
  46. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 ただいま議題となつておりますとこるの、昭和二十四年度特別会計予備費使用調書外四件に対しましては、この際討論を省略いたしまして、ただちに採決せられんことを望みます。
  47. 菅家喜六

    菅家委員長 ただいま三宅委員から動議が提出されました。この動議のごとく決するに御異議でございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 菅家喜六

    菅家委員長 御異議なしと認めまして、ただちに討論を省略して採決に入ります。  右五件は、すべて承諾を与うべきものと議決するに賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  49. 菅家喜六

    菅家委員長 起立多数。よつて右五件は承諾を与えることに決定いたしました。  なお議長あてに提出の報告書作成に関しては、委員長にその文案その他を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 菅家喜六

    菅家委員長 異議ないものと認め、さよう決します。  暫時休憩いたします。     午後二時二十九分休憩      ————◇—————     午後二時二十五分開議
  51. 菅家喜六

    菅家委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  去る二月十九日審議の、昭和二十三年度決算農林省所管中、薪炭需給調節特別会計及び食糧管理特別会計に関する調査の集録については、專門員が鋭意作成に当つておりましたが、一応調査検討の結果ができましたので、お手元に配付の資料に基き、右両特別会計経理の状況に対する審議を続行いたしたいと思います。政府出席者の都合もありますので、薪炭需給調節特別会計の分を先に審議いたします。  それでは右に関する政府当局の説明を簡單に願いたいと思います。
  52. 濱田正

    ○濱田説明員 薪炭につきましては、第五回国会からいろいろと御審議を願いまして、五回の分と六回の審議事項と七回の審議事項のうちで、一番問題になりました点だけを簡單に書いてあります。そこで結局なぜそういう赤字が出たのか、この原因は何か、この内容はどうか、その金額はどうか、こういうのが、当然のことながら、一番の問題であつたわけであります。その問題の中で、さらにこまかくは、現物不足はどうなつたかとか、あるいは——この検査院の批難事項に出ておりますが、横持料とか、あるいは指定業者の手数料の値上げとか、あるいは備蓄とかいうものの内容を詳細に御検討願つたわけであります。  その次の問題は、二十四年の八月一日から特別会計がとまりまして、清算に入つたのでありますが、この清算の状況がどうであるかというのが、大体論議になりました骨子であります。それについて一つ一つ書いたのでありますが、この問題については、第何回国会の何委員会のどなたが論議されたかというふうに書いてあります。  第一ページは、特別会計昭和十五年に成立しましたその時の経過、それからこれをどういう組織で運営したか、それからその運営のやり方——これは相当の変遷をたどつておりますから、その運営のやり方はどうであるかという御質問であります。これについては、別に薪炭対策沿革というものを一覧表にして、これに運営の変遷を書いておいたわけであります。  その次は、三ページの二の問題でありますが、これは特別会計が、そもそも開始以来停止されるまでの間に、全数量をどのくらい買い、どのくらい売り、どのくらい利益があつて、どのくらい経費がかかり、その間にどの程度亡失があつたかという御質問に対しましまて、この数字を書き上げたわけであります、簡單に申し上げますれば、数量におきまして、木炭だけで約一千万トン取扱つたわけであります。そうしてその木炭、ガスまきを入れまして、仕入れが約三百億、売払いが約四百二十九億、差額が——つまり売上げの利益が百二十億、経費が百七十四億かかつた。こういうふうな大体の計数であります。  それから次の問題は、五ページの赤字の原因、内容金額及び現在までの整理状況——これがこの表に書いてありますように、五回、六回、七回の国会において一番論議の中心になりまして、御質問の回数並び委員会等におきましても、一番の幅を占めております。この赤字の原因については、こまかく書いてありますが、概括的に申し上げますと、その内容から見ますれば、大ざつぱにわけまして、需給が非常に逼迫しておつた時代——逼迫しておつたから特別会計が始まつたのでありますが、昭和十五年から二十三年の前半期と見てよろしいと思います。それから、これが逐次かわつて来た時代——二十三年の後半期以降かわつて来ましたから、特別会計が停止ということになつたのでありますが、これによりまして、赤字の性格がかわつて来ております。それをもう一度いいますれば、需給の逼迫しておつた時代は、政府としては、需給調節の大きな責任を持つておるわけでありまして、どうしても供出を促進するために、産地側に重点が置かれざるを得ない。そのいろいろの手段としては、公定価格は一俵幾らときまつておるるのでありますが、ある季節によつては、一俵当り何銭加算するとか、あるいは初めは着駅で買つて、着駅で売つてつたのが、次の段階では発駅で買う、さらにそれが進行して、山元で買うという段階になる、さらにそれがかまの前で買うというように、特別会計業務が奧地へ奧地ヘと進んで行つた。価格は奧地へ進んだだけ安くしなければいかぬわけでありますが、価格はそのままにして奧地へ進んで行つた。こういう関係におきまして、産地側に重点が置かれた。それが二十三年の後半期になるに従いまして、農村の不況の影響を受けまして、農民の現金の収入を多くするために、生産供出が計画量をオーバーして来た。このことにつきましても、予算の限界を越えて債務を負担したという検査院の批難事項がありますが、ものがふえて来れば、今までなら、どんなものでも飛びついて買つてつたものが、選択買いが始まるという状況、つまり片方では生産供出がふえて来る。一方都市においては、そううまく売れない。その間に政府がサンドウイツチになつて来て、備蓄とか、あるいは長尺まきのようなものの値下げ、こういう傾向が出て来た。ちようど二十三年につきましては、前半、後半において、その過渡期の片一方においては小出賃というものが前半期に出ておる。後半期には需給がぐつと加わつて来て、産地と消費地の間に政府がサンドウイツチになる、こういう状況になりまして、消費地側に赤字の原因が移行して出て来た。大体大ざつぱに申し上げれば、こういう性質のものであります。その内容につきましては、六ページから七ページに書いてあります。そこで七ページには二十四年度末の整理の状況を書いてございます。それから八ページ以下十四ページまではこの特別会計の赤字の内容のさらに詳細な点を書いてあるわけであります。第一は現物不足の数量、これをいかように処理したか、それから先ほど言いました備蓄保管——この経費が多くかかつております。これはどういうわけであり、どういう経費がかかつたか。これが九ページ、十ページに行きますと——これも会計検査院の批難事項に出ておりますが、横持料の支出の問題、十一ページ——これも批難事項に出ておりますが、指定業者の手数料増加の問題、十二ページにおきましては、先ほども言いました長尺まきを値下げをした問題、それから十三ページにおいては特別小出賃、早期築窯費支出の問題、これは第六回国会予算委員会で問題になりました検査院と林野庁との間に説明が齟齬しておるじやないか、その点はどうかという問題を、表にして書いたわけであります。  その次の問題は、特別会計の清算に入つてからの問題であります。特別会計が卸あるいは生産者に対して大きな未収金を持つておる、これらの回収については、いかような方法によつてやるのかという御質問に対する答えを書いたわけであります。これにつきましては、昭和二十四年度末までに約百十七億の調定をやつて、八八%の百三億入つたのでありますが、なおその差の十四億何がしというものが、残つておるわけであります。これにつきましては、強制執行をやるというようなことは、表面上は、はなはだ勢いのいいことでありますが、短兵急にやつて、そのめたにかえつてある財産しかとれない、こういうことになれば、逆に国が赤字になつて来る、こういうことになりますので、民事訴訟法による即決和解——これは確定判決と同一の効力を持つておりますから、この即決和解をやるときに個人保証なり抵当物件をとつて、国がとりはぐれがないように処置して行く、こういうやり方でやつております。しかして昨年の九月末現在をもちまして、特別会計の末端機関である木炭事務所がだんだん少くなつて来まして、回収の事務ができないということになりましたので、九月末現在において大蔵省の出先横関である財務部において回収をしていただく、こういうふうにやつて来ておるわけであります。  それから十六ページこれは検査院の批難事項とも関係するわけでありますが、予算外の債務を負担しておる、この問題であります。これは先ほど申し上げましたように、二十三年度の後半期になりまして、需給が経済情勢の影響を受けまして漸次緩和して来た、加うるに暖冬異変で雪が少かつたものですから、どんどん物が出て来た。ところが、生産者は政府以外に売つてはならない、ほかの人には売れない。つまり政府に売るというふうに義務づけられておる。政府はいやでもおうでも持つて来たものを買わざるを得ない。それでは、持つて来たものは幾らでも買うかということになると、予算において逆に限界が出て来る。同時に、当時の状況によれば、どんどん手に入れても、うまくそれが売り切れるかどうか。相当の備蓄も持つておる、この手持の備蓄を放出するのにさえ骨が折れるにかかわらず、持つて来たものをどんどん買おうとしても、予算が許さぬから買えない。特別会計における法規上の建前と、現実の予算の建前との間に、非常に苦しんだわけであります。そこで窮余の処置としてやりましたのが、これも批難事項に出ておりますが、買上制限というものをやつたわけであります。これは法規上の建前をまつ正直に受ければ、穏当な手ではないのでありますが、予算が持てないということになれば、しかたがないとして、買上制限をやつたことはやつたのでありますが、力及ばず、予算の予定数量よりもはみ出して来た、こういうのが実情であつたのであります。  それから十七ページは、今度は五十何億円の赤字を出したじやないか。しからば二十四年度においてどのような損になつたのであるかという御質問に対しましての返事が、十七ページに書いてあるわけであります。  それから次は、これも清算の問題でありますが、二十四年の八月一日に特別会計がとまつた。とまつた時に、政府に手持ちの品物がある。その手持ちのものが、林野庁の予算では三割ぐらい引き、行政管理庁の報告では四、五割は引かざるを得ないだろう、こういう報告であるが、事実はどうなる見込みか、こういう御質問に対して結果を報告したわけであります。  それから次は、第六国会で一番中心的な問題になり、特に予算委員会において大きな問題とたつたのでありますが、突如として特別会計を中止したために、生産者が損害をこうむつた。その損害をどうして補償するか。こういう問題に対する回答であります。  それからその次の二十ページ、二十一ページは、大蔵委員会における、五十四億七千万円を繰入れる法律の討論の要旨を掲げたのであります。最後に二十二ページは、第六回国会の小委員長報告の中から数字を拾いまして一覧表にしたわけであります。  以上くどく申し上げましたが、大体主要点は、こういう点であつたろうと考えております。
  53. 菅家喜六

    菅家委員長 それでは右に関する質問を許すことにいたします。
  54. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 前の決算委員会におきまして、委員のうちより御質問がありまして、こういうような資料ができ上つたのでありますが、この薪炭特別会計は、御承知通り第五、六、七国会から、ずつと今日に至りますまで、大分問題になつたものでありまして、政府当局といたしましても、戰時中の遺産と申しますか、あるいは遺物と申しますか、その事柄を解決するために、相当苦慮されたものであることは、了承するわけであります。私がここで声を大にして言うまでもなく、こういうような特別会計でありますが、何せ統制経済のはなはだしい時でありまして、どちらかというと、ふなれなる官吏の方が商売をするというようなことになりまして、それにつけ込みましたり、便乗いたしまして、悪徳とは申しませんが、商人あるいは業者があやつつて、ある程度まで損耗を招いた、こういうふうにも考えられるのであります。たびたび質問を繰返したことでございますから、あまり長く質問する必要はありませんが、こういう損失を招いた責任は、やはり政府にも確かにあるということだけは、言い得ると思いますから、横川長官に対しまして、はなはだ恐縮ではありますが、一応これに対します所信のほどを承りたいと存じます。
  55. 横川信夫

    ○横川政府委員 政府の担当者といたしまして、ただいまお話のように、戰時中、特に戰争の苛烈な時代ではありまするけれども、かような大きな赤字を出して、国民に非常な御迷惑をおかけいたしたことは、まことに遺憾であると衷心考えておる次第でございます。  なおこの問題の整理につきましては、たびたび委員会等におきましても、いろいろ御注意をいただいておるのでありますが、でき得ますだけ国損を少くするように、部下を督励いたしまして、整理に当つておるところでございます。御了承を願います。
  56. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 先ほど来の説明、あるいは今までの経過報告によりまして、大体了承いたしておりますが、われわれ国民といたしましても、五十数億円を一般会計に繰入れましたことによりまして、それだけ負担があるわけです。なお先ほど説明にもありましたが、未済になつておるものが大蔵省に残つておるように考えておりますが、これはいつごろ解決する見込みでありますか。将来打切りになるようなことはありはしないと思いますが、今の見通しにつきまして——政府といたしましては、委任いたしてあるから知らぬというようなお考えではないと思いますが、そのことにつきまして、一応御説明を承りたいと思います。
  57. 横川信夫

    ○横川政府委員 即決和解の條件といたしまして、年度割に償還計画を立てさせております。ただいまのところでは、最長のもので大体五年ぐらいになつております。でき得ますだけ早くこの解決をいたしたいと努力いたしております。
  58. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 この薪炭特別会計につきましては、すでに長年にわたりまする経過について、各委員会で質問があつたのでありますが、私がかつて一部地方の状況を視察した際において、薪炭特別会計関係を持つておりますいわゆる木炭事務所の職員の就職ということについて、非常に心配いたしております。しかし就職は必ず政府も責任を持つてやるから、しつかりこれを解決せよというふうに激励して参りましたが、その後林野庁におきましては、これらの、失業救済とは言いませんが、どう配置せられましたかという点について、一応承りたいと思います。
  59. 横川信夫

    ○横川政府委員 二十四年度末におきまして、木炭事務所の人員は千六百十五名であります。そのほかに林野庁に八十名おつたのであります。そのうち営林局署に転換いたしましたものが、五百五十名ほどございます。他官庁に参りましたのが、百九十八名でございます。府県庁に就職いたしました者が七十二名でございまして、民間の木炭業界その他に、就職いたしました者が七百九十五名でございます。このうち地方の木炭事務所におきましては、女子の職員を大分使つておりまして、よその土地では就職がいたしかねるというので、そのまま家庭にもどつた者が幾分ございますが、大体それぞれ職を得まして、安定をいたしておるような状況でございます。
  60. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 私は各木炭事務所の職員が、それぞれ職場を求めまして、転出いたしたことにつきましては、政府の努力を多とするのであります、この際はなはだ行き過ぎたことを聞くようですが、将来かくのごとき、薪炭特別会計のようなことを再び繰返さないようにということが、私どもの念願とするところでありますので、この際政府に対しまして一言承つておきたいと思います事柄は、将来のことを勘案するわけでございませんが、こういうような事態を生むに至りましたことに対しまして、官吏の中にも、あるいは業者の中にも、相当越権あるいは行き過ぎ等がありまして、訴訟になり、あるいは懲罰を受け、あるいは訓戒を施さなければならぬという者があつたと思いますが、これらに対しまして、どういう処分をなすつたか。将来こういうことはないように、ひとつ嚴重にやつてもらいたいのですが、これに対する長官の御所信を承りたいと思います。
  61. 横川信夫

    ○横川政府委員 お話のように、事態が非常に紛糾をいたしましたために、いろいろ非違を行いました官吏もおります。木炭事務関係では、十二の木炭、事務所が問題を起しております。関係いたしておりまする人員は十九名でございまして、うち五名は所長であります。なお、ただいま刑事事件として審理をいただいておるのでありますが、うち六人は罪が確定いたしておるのであります。かような事態を起しましたことは、監督者といたしまして、まことに遺憾に存じておるのであります。将来この面ばかりでなしに、官紀の粛正というようなことにつきましては、私ども平素部下を督励いたします立場におる者といたしまして、十分留意をいたしまして、御期待に沿うようにいたしたいと思います。
  62. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 今の横川長官のまじめなる答弁によりまして、了承するにやぶさかではございません。私どもは、林野庁並びに各地方にありまする営林局、これらを見たときにも、了承したことでありますが、今までの経営内容——官庁の経営と民間の経営とは、多少違うのでありまして、ことにその林産物の伐採もしくは販売等につきましては、官庁会計よりやや発展をいたしまして、相当官庁も利益になる、国家も利益になる、たえ業者も便利を得るようにというので、特別会計があるものと思います。これらにつきまして、たびたび質疑応答を繰返したことでありますが今度は民間の事業団体もしくは業者とも、いろいろな関係がございますから、一どきに全部を改院するということは無理でありますが、大体時価を尊重し——場合によりましては特別に公売する、あるいは特売するということもあるわけでありますが、こういうような点もよく勘案いたしまして——末端におきましても、だんだん当委員会あるいは各委員会において論議されたことが浸透しておるように、私ども考えておるのでありますが、その後の状況について、林野庁長官は、各営林局に対しましてどういうふうに指示せられましたか。その後の経営状態といいますか、内容につきまして、この際ひとつ御感想を承れれば仕合せであると存じます。
  63. 横川信夫

    ○横川政府委員 国有林野関係の経営を担当いたしておるのでありますが、小委員会におきまして、数回にわたりましていろいろ御批判をいただいておるのであります。その御批判の要点として私ども理解いたしておる点は、各処分にあたりましては、常に木材その他林産物の市況を嚴重に把握して、嚴正公平なる立場で各需要者に直接融資のでき得るような親切な取扱いをせよというようなことが、ずつと通つておる御批判の思想であると考えておるのでありまして、その後しばしば通牒とか、あるいは会議の席上等におきまして、嚴重にその趣旨を徹底させておるつもりであります。なお末端に参りますると、不十分な点もあるかと存ずるのでありますけれども、今後先般来御批判をいただいておりまする精神を体しまして、十分御期待に沿うように、りつぱな運営をして参りたいと考えておる次第であります。
  64. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 今の林野庁長官の御説明によりまして、われわれ薪炭に関しまする木炭会計についての小委員会、あるいは営林事業についての小委員会において、かつて論議いたしましたことを、率直に各営林局に御伝達くださつたことと思いますが、どうか今おつしやつた事柄は、日本の国の再建の最も重大なことでありますところの経済復興、ことに地元の業者も喜び、また国の経済も成り立つ、この線を強く出すために、ぜひ今日おつしやつた事柄は率直に各営林署に侵透せられんことを重ねて希望いたします。
  65. 畠山重勇

    ○畠山(重)委員 林野庁の国有林産物の取扱方に関して、ただいま三宅委員から質問がありましたので、私も関連してちよつとお尋ねしてみたいと思うのであります。国有林は、特別会計において、できる限り国損を来さない方針でやつておる。こういうことでありまするが、二四年度の大体の経理において、二十四億か二十五億の損失があるということをかねてお話がありましたが、その経理は不足分をどういうふうに処置なさつておるか、この際ちよつと承りたいと思います。
  66. 横川信夫

    ○横川政府委員 二十四年度の決算におきましては、きわめてわずかではありまするけれども、一千万円の利益を出しております。私ども二十四億という赤字を出しておるということは、実は承知しておられない次第でございます。
  67. 畠山重勇

    ○畠山(重)委員 この前の委員会において、二十四、五億の収支の不足を来しておる、これを長期借入れにいたすか、何かによつて経理をせなければならないが、特別会計においては長期借入れはまかりならぬというGHQの方針に基いて、処理方法は検討中だということを、たしか委員会で横川長官からお話があつたように記憶しておりまするが、いかがでございますか。
  68. 横川信夫

    ○横川政府委員 私はただいま畠山委員から初めてそのことを伺つたのでありまして、もちろん私存じませんことを申し上げるはずはないと思うのでありますが、あるいは業務部長からでも、その点を申し上げたかもしれません
  69. 畠山重勇

    ○畠山(重)委員 それでは次会に、私も検討いたしまして、その当時の速記等を調べましてお尋ねいたします。  なお、この際重ねてお伺いしますが、国有林産物を、最も有利に処分せられる御方針であるということに対しては、ただいま長官のお話がございましたが、去る一月一日の木材新聞の秋田営林局事業部長の投稿による新聞記事を拜見いたしますと、公売に出た高い値段で買つた者は理性を失つたものであるというように、公売で高く売れることに対して、ひどく気違い扱いをしておるというような事業部長のあられることは、結局林産物を安く売れば林野庁のいい役人だというお考えであられるかどうか、その点伺いたいと思います。
  70. 横川信夫

    ○横川政府委員 先ほども申し上げましたように、適正な値段で処分をいたしますことを、私ども考えておるのでありまして、秋田の事業部長が雑誌か何かにそういう談話を発表しておる、投稿しておるというようなことは、畠山委員から先般お伺いいたしたのでありまして、私ども現在木材が決して高いとは思つておらないのであります。造林費から計算いたしますると、まだまだ木材は安いところにあるのでありますけれども、従来の沿革からいたしまして、木材だけが飛び拔けて造林費に見合つたような値段まではね上るということは、国民生活の実情から考えましても、いかがと思うのでありまして、漸次無理のない速度で上つて参るということを期待しておるのであります。なおその雑誌に対する投稿あるいは談話のことにつきましては、監督者である秋田営林局長にも注意を与えておるところでありまして、ただ品の勢いが走つてさようなことを申しましたのか、あるいは筆が走り過ぎてそういうことを書くように相なりましたか存じませんが、十分注意はいたしておるのであります。
  71. 畠山重勇

    ○畠山(重)委員 ただいま営林局長は、直接の監督官であるから注意をいたした、こういうことでありますけれども——このことは林野長官に先日お話したことであるが、その注意の結果がどういう状態になつておるか、この際伺いたいと思います。
  72. 横川信夫

    ○横川政府委員 どういうふうになつておるかという正式の報告は、まだ私の方に参つておりませんけれども、当然そういう点は、反省いたしておることだろうと存じます。
  73. 畠山重勇

    ○畠山(重)委員 長官は、公売にあたつては安い値段で売ることを希望しておりますか、それとも国家の財産であるがゆえに、最も有利に売ることがよろしいと感じておるか、この際伺いたいと思います。
  74. 横川信夫

    ○横川政府委員 公売に当りましては、その組織が、最高値段で落札いたすようにいたしておりますので、当然高く売れるのがよいと、私どもは考えております。
  75. 畠山重勇

    ○畠山(重)委員 しからば、そうした何十万部という全国的な新聞紙上を通じて、公売で高い値段で買う者はばかである、こう言われた事業部長、出先の最高番頭さんを、林野庁長官としてはどう処置する決意であるか、この際伺つてみたいと思います。
  76. 横川信夫

    ○横川政府委員 林野庁長官といたしましては、十分訓戒を与えまして当人を反省させ、将来さようなことのないように十分注意をさせるつもりであります。
  77. 畠山重勇

    ○畠山(重)委員 私は、この公売にあたつて、少くとも全国の業者は非常なる損失を来しておるものだと考えられるのであります。なぜかとなると、こうした木材界として最も重要視する全国的な大新聞に、公売はばか値段である、こういうばか値段で買うということは不当であると書かれたことによつて、業者方は、金融面において相当な迷惑を受けておる。また商売にあたつても、公売でとつた材木というものは基準にならぬ、こういうようなことによつて商売に非常な不利益を来しておるものと考える。そうした迷惑を業者に与える役人を使つて商売をおやりになると、やが三業者より国家が損失補償の要求を受けるものと私は考えるが、そうした場合、長官はどういう処置をとるか、伺いたいと思います。
  78. 横川信夫

    ○横川政府委員 私は、お話を伺いましてから、いろいろ秋田の業者の方などにもお目にかかつているのでありますが。畠山先生が取上げておられるほど、一般の業者は深い打撃を受けたというふうには、考えておらないようでございます。従いまして、私どもの方といたしましては、業界に不当な不利益を与えたというふうな結論は、出しておらないのでありまして、先ほど申し上げました十分反省をさせるというような程度で、この処置は終つたことにいたしておるのであまりす。
  79. 井之口政雄

    井之口委員 薪炭特別会計の問題は、考査委員会その他の委員会でいろいろ審議されて、一般会計からの損失補償で一応解決したのですが、今会計検査院のこれを見ますと、薪炭の不足額だけで約十三億になつております。それからきようここに提出された薪炭特別会計の論議事項の中では、五十四億を入れまして、損失を差引いてこれが四十八億になつているわけであります。そこでこれを総括して考えてみますと、現品の不足は十三億、これはこちらの損失の中にも包括されているのか、またそのほかに二十四年度も現品の損失額が出て来るのか。また五十四億の損害補償を入れましてさらにまだ四十八億も残つているのか。この四十八億は損失額になるのですか、そうではないのですか。損失額だとすると、全体の損失額はどれくらいのものであるか。さらにこの薪炭特別会計において得た一切の利益、国家へ納入した利益、さらに政府から資金支出されたものを総決算いたしまして、この薪炭特別会計なるものは、一生涯のうちにおいてどれくらいの利益を得たものなのか。言いかえて見ますと、日本の全木炭を取扱い、そうしていわゆる資本主義的な統制をやつた、社会党並びに民主党の主として主張したやり口でやつて、全体からあがつた利益なるものは一体どれくらいに達したのか。あるいは日本全国の木炭取扱いの商売が決損になつているのか、また五十四億の損失補償をいたしましてから後、いろいろ回収等々の結果、今日さらに利益は残つているのか、そしてこれは政府に返され得るのか、こういう点について、最近の状態をひとつお話していただきたいと思います。
  80. 濱田正

    ○濱田説明員 七ページをごらん願います。今井之口委員の御質問になりました五十四億と四十八億とは、別物ではないのでありまして、この二十四年度末貸借対照表によりますと、六億六千五百万円が利益になつているということになるわけです。利益になるというのは、妙な話でありますが、これは五十四億七千万円を一般会計から入れてもらつた利益になつたわけであります。だからら五十四億七千万円の損ではなかつた、その後の状況によりまして六億六千五百万円だけはかせぎ出した、回収した。どちらでもよいのですが、それを差引いた四十八億というものが十五年から今までずつと総括した状況であります。これのさらにこまかいのは、説明の都合上前後しましたが、三ページをごらんになりますと、昭和十五年度から二十四年度までの総損益計算書——今申しましたのは二十四年度で、年度をばさつと切つてこれをながめたものです。それを今度は十五年からずらりと持つて来ますと、ここにありますように仕入に総額が三百十何億、売上総額が四百二十何億、そうしてそこのところで総利益六億六千何がし、七ページのは二十四年度で切つた。三ページのは十五年からずらつと集計したらこうなつた。こうなりますと、幾ら買つて、幾ら売つて、幾ら利益があつて、幾ら金を使つて、幾ら一般会計からもらつた、差引して六億何がし、つまり四十八億の損であります。
  81. 井之口政雄

    井之口委員 そうすると、あとは返さぬでもいいのですか。
  82. 濱田正

    ○濱田説明員 ですから、次に問題があります。六億何がしの利益というものが二十四年度末のところで——言いかえれば四十八億の損だということになるのです。そこで現在十四億まだ未収金が残つておる。これをみなとことんまで回収してしまうというのが前提であります。そういうことが——まだ想像しておりせんが、もしかりに一銭でも、二銭でもとれぬということになりますれば、この分はこの利益から落ちて来るということでありますので、先ほど申しましたように、個人保証なり抵当物件なりとり、ほんとうの赤字を出しおつたものはそろそろもうけてもらうということで、実はとりはぐれのないようにやつてもらうわけであります。
  83. 井之口政雄

    井之口委員 全体はどれぐらいの概算になるのですか。
  84. 濱田正

    ○濱田説明員 全体のを含めて、二十四年度末の状況においては四十八億の損ということであります。
  85. 井之口政雄

    井之口委員 そうするとそれは五十四億を入れて……。
  86. 濱田正

    ○濱田説明員 五十四億をちようだいしまして、六億何ぼをお返ししましたから、四十八億だけちようだいしました、こういうことです。
  87. 田中角榮

    ○田中(角)委員 林野庁長官がおいでになつておりますので、国有林野の将来の問題に対して、一言だけお聞きをいたしたいと思います。前の三浦長官の時にお話したのでありますが、非常に話が大きいので、また林野庁としてはどうも反対せざるを得ないような立場にあるというようなお話で、そのままになつてつたのであります。これは非常に長い間の懸案であつて、これほその衝におられるところの林野庁の方々としては、あまりおもしろくない言い分であるかもわかりませんが、いわゆる国有物件の払下げという問題は、常に物議をかもしつつあるわけであります。本年は、幸いにして国有林野の払下げに対して、僅少なりといえども千数百万円の黒字が出たというような御説明がありまして、非常にけつこうだと思つたのでありますが、いわゆる国有林野の払下げという問題と、現段階における日本の木材事情ということと、需給の調節、今自由党内部で非常に大きく取上げている治山、治水から見た植林の問題、こういうものは非常にむずかしい問題ではありますが、とにかく解決をせられなければならない。現在までの立場において批判せられたのは、ただに国有財産の払下げに対して効率的な収益を得るということと、公平なる払下げ方法をとつてもらいたいという立場からでありましたが、現在はそうでなく、もう少し複雑多岐な、利益を求めるための国有林野の払下げというよりも、維持管理という問題まで、深刻に考えなければならない段階にあると思うのであります。その意味において、最も合理的なる国有林野行政というものは、どういうふうにしたらいいかという問題までに発展するわけであります。これは一つのしろうと考えになるかもしれませんが、案外こういうものは、しろうと考えの方が、新しい考えでいいのでありまして、そういう意味からの意見でありますが、いわゆる治山、治水、植林、それからなおかつ不毛の土地を開いて、特に自由党の新しい政策にも入れてあるのでありますが、いわゆる奧地林でなければ、もうすでに濫伐、過伐をやつた現在としては森林資源を生み出すことができないというので、非常に大きな国費を投じて林道の開墾も二十六年度に行おう、しかも三箇年、五箇年計画で奧地林の伐採を行う、こういうことを考えて、今までの国有林野の払下げというのではなく、もつと非常に高度の需要から、高度に利用せられなければならない。私たちも関連産業に従事しているものでありますが、私たちの見方から言つても、現在の木材事情から言いますると、今年末あたりには非常にきゆうくつになるのではないか、こういうように考えているわけであります。その意味におきまして、管理という面を、今まで林野庁で直轄でもつてこれをやつておられるということをもう一歩進めて、これを地方庁に委譲してはどうかという問題が、当然考えられるわけであります。そうすると、現在の営林署というものは、農林省直轄のものではない、各都道府県が管理をするようになる。これは当然従事員の方は反対される。伝統があり、歴史があるのでありますが、私は今の状態では、むしろその方がいいじやないかと、こういうようにも考えられる。なぜかというと、各官庁の中に、中央出先官庁というのが、明治の初めからずつとありますが、特にこういう長い歴史を持つたものは、だんだんと費用を削減せられて行くという、非常にかわつた生成発展の歴史を持つている。戰後においては特にそうでありますが、旧内務省が非常に栄え誇つたのが、現在は内務省系統がだんだん権限を縮小されている。だから建設委員会等においても、とかく現在は直轄工事その他のことに対しても、いろいろな議論が出ておるようであります。だから総合的な治山治水をやるのには、国からの調査費というものを二十七年度から認めないで、各府県で総合調査を行う、これは工事ナンバーを打つたものに対して、国費の効率投下を行おう、これがいいではないか。この考えで同じく国有林野の問題も考えられる。私は実情も多少知つているつもりでありますが、そういう道を通つて来たために、昔の営林署というものは、非常に権限のあるものであり、りつぱな官庁であると、大衆も親しみかつ恐れおつた。ところがだんだん費用も削られ、権限も縮小せられて、のれんばかり大きくて、実際はまかなうだけの経費ももらえないというような状態のために、請負わせて木材を出して、マージンをかせぐというようなことも起り得る。これは行政の欠陷であると思う。しかし多少のマイナスがあるからといつて、結果的に見てこういうような存在を論難するのではありませんが、そういうような問題ならば、一歩進めてもう少し大局的に働けるように、実際効果をあげられるような組織にかえられることも非常にいいことである。ただにセクシヨナリズムに立つて、封建的な気持で旧来の伝統を維持するということに汲々とするだけであつてはならないと、こう考えるのであります。その意味で特に林野の問題は、治山、治水——二十六年度になればわれわれが現在考えている総合河川の、山から港までに至る一貫したところの治山、治水計画に対する調査は、各都道府県をして行わしめるという線に浴つた場合、これは少くとも今国有財産を各府県に割りつけるということは、むずかしいかもしれませんが、維持管理を各府県にまかせ、現在の営林署を府県知事の権限内に置くということは、これはむずかしい問題ではない。その場合は国有財産の、いわゆる林野の払下げ、植林その他一貫した施策も、地域的に見て重点的に行い得るのではないか。こういうことを言いますと、まつた林野庁長官の権限を縮小し初めからうまく行かないというよようにお聞取りになるかもしれないが、われわれも政調当時において、こういう問題を真劍に考えてみた。過日の大会において林道の開鑿を決議するというときにも、こういう問題を真劍に考えまして、これはひとつ十分熟慮をする必要がある、こういうところまで来ておつたのです。これは農林委員会でも、当然取上げられる問題だと思いますが、御意見があつたらお聞かせ願いたいし、もしなかつたら、この問題に対してはひとつ愼重に御調査を願いたいということを申し上げたいと申います。
  88. 横川信夫

    ○横川政府委員 ただいまの国有林の取扱い方についての御意見でありますが、私どもも、この数年来国有林の経営が割合に円滑に参りませんで、各方面から非常な御批判をいただいておつたのであります。特に農林大臣等も真劍になつて、どうすることがいいかということを研究しろというようなことで、厳重な御命令も受けておるのであります。まあ素朴な表現で申します。と、全国林野二千五百万町歩のうち、八百万町歩を有しておる国の大きな財産をお預かりしておつて、一千万円ぐらいの利益をあげておつたのでは、どうもならぬじやないか、もう少し経営を改善いたしまして、りつぱな成果をあげ、一般会計に寄与するようにしなければならぬじやないかというようなことで、御注意をいただいております。さようにいたしまして、二十五年度におきましては、部下を督励いたしまして十分検討し、実施させましたのと、たまたま朝鮮事変以来の木材の値上り等によりまして、二十五年度の決算におきましては、約十五億ぐらいの黒字が出るような状態に立ち至つておるのであります。それでありますが、経営が少しよくなつたからと申しましても、現在のままでいくというわけではございません業務部と申しまして、国有林を担当いたしております部に、部長の兼職ではありますけれども、調査室というのを設けまして、将来国有林はいかようにあるべきかということを、あらゆる角度からただいま検討いたしております。その検討の途中におきまして、公社案というようなことも取上げて検討しておりますし、また現在の営林局署の配置分合というような点からも、いろいろ検討いたしておるのでありますが、ただいま田中委員お話のように、ただちに府県に委譲をして府県の経営にまかせたらどうかという御意見に対しましては、ただいますぐここで賛成できるようなわけには参らぬでありますけれども、十分御意見のございますところも伝えまして、担当の者によく研究をさせてみたいと思います。将来いろいろお気づきの点がございましたならば御注意をいただきたいと思います。
  89. 大上司

    ○大上委員 二、三お尋ねいたしますが、本日ちようだいした資料で、特に十四ページに「赤字について会計検査院と林野庁の説明が相違する理由」というので、これは農林、予算あるいは考査等において扱われておりますが、これに対する林野庁のお答えがあります。結論を見ますと、これは年度区分の相違がある。このように言つております。会計検査院のいわゆる報告その他に基くものが、われわれは絶対なりと信用しておるのですが、なぜこのようなことが起きたか。すなわちこれは一つの私企業の経理面におきましても、年度区分を間違えますと、税法上から申しますと、これは追徴加算税とか、あるいは加算税というような両者が非常に来て、個人それ自体の経営にも、大きな影響を及ぼすだけの大きな問題なんです。なぜこのようなことが起きたかというのが一つと、それからそれについて会計検査院と林野庁の説明をあらためて求めます。  その次に、その下の表にありますが、もう一つは評価益というのが出ております。これは林野庁の方では評価益を認めておられる、検査院の方では認めておられない。この中には約十億円近いギヤツプが出ておる。この評価益については、特別会計でよく見受けるのですが、特に今度は公団の清算事務にも大きな影響を及ばしております。これはどういう理由によつて評価益の食い違いが出たのか、この二つ。  それから、私は一括して質問します。その次は、さいぜん井之口委員からのお話によりまして、五十四億何がしの補填をしたことによつて六億円の黒字が生れたということについては、了承したのですが、これについての第七国会、大蔵委員長報告によりまして、わが党といたしましては、生産者に緊急に支払わねばならぬという債務を、早急にしてやりたいというのが根幹であつて特に賛成したのです。従つてこの黒字の六億円が生れたということそれ自体は、大体了承し得るのですが、はたして実際にこの支払いを受くべき人がどのようなてんまつを受けたか、すなわちわれわれの予期した通りの効果があがつたかあがらないか、結論を聞きます。  それから、これは各委員会において、いろいろお話あるいは議題になつたと思うのですが、問題はこのようないわゆる統制方式というものが悪かつたのか、誤つたのか、それでこういう結論が出たのか。あるいはこれを管理するお役人というのがおざなりであつて、行政機構の誤りか、あるいはまたこういうような立法上の誤りか、という三点が来ると思う。それを林野庁長官から特に御説明を求めます。  それから最後に、資料の十八ページでございますが、同じくこれについての値引き理由というのがございます。大体物の値引きというものは、これはわれわれが私企業で見た場合は、相場がある。にもかかわらず、木炭の下の薪等においては三九%も、約四〇%に近いものを見ている。ところが、その値引き理由説明の最後の方にも、「行政管理庁の国会報告によつてみても四○——五〇%程度の値引は必至であろうという見通しでもあり、又予算上においても三〇%の値引を想定していた」ということは、われわれ国民の代表から見ますと、あまりに責任回避的な理由にすぎないじやないか、もつとこれは嚴格に、しかも見通しというものがあるべきはずだと思う。当然この面においては、私企業であろうとあるいは公企業であろうと、採算の面から見ますと、大体見当がつくべきはずであるのに、結論的に見ますと、どうも理由が單におざなり的に、責任回避的に見受けられますが、これはどうか、これだけをあわせて質問します。
  90. 濱田正

    ○濱田説明員 まず第一点の検査院との相違点の問題であります。これは検査院の局長がおいでになりますから御説明になると思いますが、相違点を言うためには、自然検査院の方のことも言わざるを得なくなるのであります。言わざるを得ないと言うと、変なことになります、説明するということになりますが、この評価益の問題であります。評価益そのものについては、見方は何も検査院と相違しているわけではありません、そうしてまた、この評価益を二十三年度決算の中に入れるということは、例の特別会計の決算の規定にあるのでありますから、入れるのがあたりまえであります。あたりまえでありますが、規則に従えば入れなくてはならぬのであります。この政府から出している二十三年度の決定計算書にも、もちろん入つているのであります。従つて、法規上から言うならば、当然検査院の言われる通りにしなければならないのであります。ただ私の方でいろいろ考えましたのは、この評価益というものは、つまりまだ実現していない利益を計上するということは、利益の先食いというふうなかつこうになる。そうなれば結局それによつて損失をカバーするような結果になる。そうなると現実を見落すということになりがちである。だから、ひとつその評価益というものを落して、参考のために計算してみようかというので、決定計算書に正式に出しているものは、もちろん入れております。そうしなければならぬのでありますから、入れております。しかしこれは説明のためには、その法規の通りにしなくてはならぬというのではありませんで、わかつていただけるようにすれば、それでいいのでありますから、説明のために、これを一応参考として落してみた、こういうことであります。従つて決算委員会に正式に提出するものとしては、検査院の通りでなくてはならぬと思つております。  それから次の点は、これは会計検査院の批難事項にも関連するのでありますが、二十三年度の債務と見るべきものを、二十四年度の予算で私どもの方は払いましたので、これを二十四年度の方へ持つて来て、二十三年度の方へ持つて行かなかつた。これはまさに検査院の御指摘の通りである、かように考えておるわけでございます。それで今も言いましたように、根本的な相違というのではなく、ただ裏から見たか表から見たかという相違にすぎないのであります。  それからその次に御質問の、五十四億を一般会計から入れていただきました。はつきり日は記憶いたしませんが、一般会計から入りましたのは、十二月の十二日か十五日だと思います。ただちに三日か四日の間に全部支払いを完了いたしました。それから予算委員会で同時に問題になりました生産者に対する損失補償、これは先ほど言いましたように突然買上げを停止した。生産者は買つてもらえると思つて一生懸命つくつてつた、ところが買つてもらえなないということになると、値下りになつたり、あるいは長く持つていたために品質の低減が出た、これを補償しろ、こういう要求がありまして、政府は見るべきであるという委員長報告が第六国会であつたわけであります。それに基きまして、さつそく五十四億が通るとともに、生産者と折衝を重ね、収支を検討し、要求はたしか二億何がしでしたが、これを検討した結果払いましたのは六千何百万円か、これは支払いを完了して、生産者との関係は結了しておるわけであります。  次は値引きの問題であります。この理由があまり安易だというおしかりを受けたわけでありますが、実は特別会計が非常に困つて来た理由は、生産物の供出が、二十四年度に入りまして非常にふえて来た。逆にこれを売るということになると、消費者の選択買いが始まつて来た。その場合、もし商売人ならば——別に農村のことをどうこうというのではなくして、ただ純粋に商売的に考えれば、オーバー・プロダクシヨンになければ、値段も切つて、買うのも安く、売るのも安くという芸当もやるべきことでありますが、実は政府のことは、公定価格がきまりますと、それはもう公定価格以上はいかぬのでありますが、実際は定価のような存在になりまして、むしろ価格にてこ入れをしておつた、こういう事情があつたのであります。その証拠には、特別会計がとまると同時に、産地で百十六円ぐらいで買つてつたのが、六十円から八十円、九十円程度まで値段が落ちております。そういう状況にありますと同時に、また特別会計がとまり、今度は民間の自取引になりますと、起きて来ました現象は、品物の割合にいいのが市場に出まわつて来た。ところで、政府が手元に持つておるのは、結局今言いましたようになかなか売れない。要するにいい物は先に売れて行つて、妙な物が手元に残つて来た、こういう事情にあつたわけであります。そこで私どもが考えましたのは、ちようど特別会計がとまつたのが八月時分でありましたが、今売るのが得か、これを持つていて十二月までかかつて売るのが得か、十二月には多少高く売れるようにはなるが、そのかわり保管料とか減耗量というものが出て来る、その兼ね合いを考えて売らなければならない、こういう事態がありまして、あるいは入札の方法により、あるいは直接に供出した者に元の価格で引取つてもらうとか、こういう折衝をやりまして、私どもとしては最大限度の努力を払つたつもりでおります。それは物によりまして、今御指摘のまきにつきましては三九%、それから木炭につきましては二十七%——これは物によつて違いますが、総平均におきましては、大体所期の目的といいますか、二六%程度のところで食いとめたのでありまして、最大限度の努力はいたしたわけであります。
  91. 横川信夫

    ○横川政府委員 かような大きな赤字が集積いたしましたことは、昭和十四年からこの仕事をいたしておりながら、途中で完全なたなおろしをしなかつたということが、一つの大きな原因になるのじやないかと思います。たなおろしをいたしておりますれば、行方のわからなかつた木炭、あるいはまきの行方も、その当時でありますれば、はつきりするものがあつたのではないかと思います。それがどこへ行つたのかわからないというのが、一つございます。それと需要の逼迫するに伴いまして、かま元で買ういわゆる空気木炭とか、からすまきとかいうことがありまして、まだ炭、まきになつていないものを苦しまぎれに買い上げるというようなことが一、二あつたようでございますけれども、もちろんこれはあとで完全な処理を済ましております。そういうようなことが、すべて赤字の原因になつておるのじやないかと思うのでありまして、われわれといたしましても嚴重に事務を処理いたしますれば、かような——これは先輩の方々の悪口になりまして申訳ないのでありますけれども、同じ赤字にいたしましても、もう少し国民に御迷惑をかける程度が少くて済んだのではないかというふうに考えておるのであります。
  92. 大上司

    ○大上委員 ただいまの長官のお話に、たなおろしをしなかつた、あるいは先輩云々というお話がありましたが、さすれば、今のお答えは、行政上のいわゆる行政執行面の誤りと解していいかどうか、お答え願いたい。  その次に、濱田さんに一つ関連して申し上げますが、さいぜん申しましたところの評価益の問題の折に出ておりましたが、決算の問題として裏から見るかあるいは表から見るかで、同一のものである、こういうお説に解したのですが、それにひつかかるわけではないのですが、資料の一七ページ、二十四年度における赤字内容、これについての内訳として、帳簿上の誤りが四億四千六百万円ですか、ここに出ております。これはどういうふうな記帳の誤りか知りませんけれども、こういう資料をわれわれが見受けますと、われわれの常識から判断して行きますと——御説明願えればわかるのかもしれませんが、資料ではわかりませんので、この理由をお聞きしておきたい。  その次に、いわゆる一般会計から五十四億を補填したので、三日ないし四日ぐらいでやつたというお話で、その数字が同じく同資料の七千百四十一万九千六百六十八円ですか、この計数を濱田さんは六千何がしかということであります。それはいいのですが、その中の十一項に、生産者損失補償及び支払遅延利息と載つておる。それならば今おつしやつた通りに——これも決してひつかかるのじやないけれども、早急に、三日間ぐらいで清算したものならば、いわゆる支払遅延利息というようなものは生れなかつたはずだ。そこに実際上のものと御説明との間に、何らかの食い違いができたのではないか、この三点だけをお尋ねします。
  93. 濱田正

    ○濱田説明員 帳簿上の誤り四億何がしの問題でありますが、これはまことに申訳ないことでありますが、こういうことであります。つまり帳面に二重に記帳があつた、これに気がつかないとどうなるかといえば年度末になつてそれが評価されまして、ほんとうは全然——まあ一が二になつて、それがあることになつて評価された、またどこかで二重があつてそれが評価された。それを清算において、これはおかしいおかしいというので、ずつと初めからやり直してみますと、妙なものが出て来た。これは現物不足といいましても、ほんとうに物を買つて、行つてみたらなかつたというのと、初めからわれわれの方のミスだつたというのがあります。ミスであろうがあるまいが、少くとも数字があつたことについては評価されますから、これは落さなければならぬ。これは初めから来る問題です。  それから、その次の生産者云々の問題でありますが、これは簡單に申しまして失礼しましたが、この論議事項の十九ページに、生産者の損失補償の問題を取上げております。先ほどの生産者損失補償、支払遅延利息の七千万幾らありました数字の相違は、この中に六千六百四十六万七千円、これが生産者に対する損失補償であります。その差額は何かといえば、これは支払遅延利息であります。だれの支払遅延利息かというと、主として日通、機帆船の支払遅延利息であります。これは例の政府支払い遅延防止法というのがありまして、いやでも払わなければならぬようになつたのです。そこでこれはこういうことをやつたのです。日通あるいは機帆船に対しては、弁償金としてとるものがある、だから政府から払うものをさつさと払えば、弁償金をとるときに払わないと困る。だから弁償金と相殺する方が得だというので、できるだけこれを遅らせた。そのために、こつちから見れば支払い遅延になつたのです。そういう作戰上のことで出てしまつたので、まことに申訳ございません
  94. 井之口政雄

    井之口委員 もう一つ、二つお聞きしますが、五十四億を払う場合、当然国会で問題になつたのは、それほど払わぬでもいいだろう、取立てたらあるだろう、だから今払つてつたら、かえつて取立てるものも取立てられなくなるだろうという意見があつたわけです。ですから、それをそうでないなり、あるいはそうであるなり、ひとつ立証するために、その事情がどうであつたかということをお話してもらいたい。それともう一つ、簡單に考えますと、六億何がしは、計算して行くとよけい払つておるわけになります。それから第二番目に、これを払つたといたしましたならば——日通並びにその他のものにも払つたでしようが、一番大口は、三日間で払つておるのですから、そう零細な計算でもなかつたろうと思うのですが、大口はどれくらいの価格で、どういうところに払つたか。それから日通その他当然支払い遅延になつた——輸送関係とかその他のものは別といたしましても、買い上げたものに払つたのか、銀行に払つたのか、払う相手方の大口のものがわかないでしようか、その点を明らかにしていただきたい。  それから第三番目に、空気木炭、からす木炭のことですが、長官もこれをお認めになつていらつしやる。このからす木炭なり空気木炭は、国民が非常に疑惧の念を持つておる点であります。それについて、政治家がいろいろな圧力を加えて、そうして不当な、納めてもいないようなものの支払いを催促したような事件が、これは考査委員会においても大体は出て来たのじやなかろうかと思うのですが、その点どういう人たちがこれに関与しておるか、御説明を願いたい。
  95. 濱田正

    ○濱田説明員 第一点の御質問でありますが、まさに五十四億入れてやれば、お前たちはいい気持になつて、取立ての方をとらぬでやるだろう、しつかりやれという御指摘はありました。われわれの方も、もちろん五十四億を入れてもらつて、いい気持になつておるわけではありませんで、取立てをやりました。その実績を申し上げますと、大体特別会計は二十四年八月にとまりまして、八、九、十、十一月ごろまでは、大体月の収入が二億円程度ありました。それで五十四億入りましたのは十二月の中ごろであります。それで片方を払うと同時に、もちろんわれわれは取立てを、国会が御指摘になつたように——御指摘にならなくても、当然やるべき問題でありますが、やつたのです。大体十二月ごろ、要するに年末の決済といいますか、それを最大の目標にしまして、大体十二月の収入が六億ぐらいありました。それから一月、二月、三月、ずつと通じまして、大体五億程度収入をあげまして、国会で御指摘になりましたように、お前らずるけているということは、絶対にやらないでやつて来たつもりであります。もちろんそれで十分あがつたとは申し上げませんが、努力はいたしたつもりであります。
  96. 井之口政雄

    井之口委員 それでも欠損は出るのですか。
  97. 濱田正

    ○濱田説明員 いやそれは欠損の問題ではありません。未収金は全部取立ててしまつて、今の四十八億の赤であります。だから未収金の問題とは、今のところ関係がありません政府の債権としてとつておるわけであります。
  98. 井之口政雄

    井之口委員 そうすると、今からまだふえるかもわからない。
  99. 濱田正

    ○濱田説明員 そうです。もし最悪の事態があつて焦げつきができたとすれば、その分だけはふえるということになるかもわかりません。それから今の六億の問題は、払い過ぎでも何でもないのです。簡單に言えば、五十四億もらつたが、それほどいりませんでした。まだ全部とつておりませんが、お返しいたします。こういう筋になるわけです。  それから五十四億を三日ほどで払つたといいますが、これは薪炭課が、何百とある生産者に、一人、々々払うというにはもちろん行きません。それで、あれは五十四億が通るまでの間に、一月ぐらいの余裕がありましたから、各木炭事務所からだれとだれに幾ら払うのかという資料をちやんと集計して、予算をもらつたらぱつと行けるという段取りをしてあつたので、すぐ二、三日の間に木炭事務所に送金したということであります。その支払いは、国会で御指摘がありましたように、また御要望があつたのでありますが、日通とか機帆船に払つたわけでありません、生産者に全部払つたのであります。それから日通とか機帆船は、その後の収入とか、あるいは政府側が弁償金でとるもの、それから向うのとるものを相殺して決済する、こういうやり方でやつたわけであります。
  100. 井之口政雄

    井之口委員 薪炭証券の支払いというのは、何ですか。
  101. 濱田正

    ○濱田説明員 薪炭証券は、たしか五十四億入りまして、三十七億でしたか、返しました。
  102. 多武良哲三

    ○多武良委員 大口……。
  103. 濱田正

    ○濱田説明員 大口というのは、生産者だけでありますから、百万円とか、二百万円とかいうものが積み重なつたものであります。大口といえば、日銀の薪炭証券を返したのが大品であります。
  104. 井之口政雄

    井之口委員 幾らですか、九億ですか。
  105. 濱田正

    ○濱田説明員 そのとき生産者にありました債務は、たしか十五億ぐらいだつたと思います。その残りを日銀に返したわけであります。
  106. 井之口政雄

    井之口委員 十五億の残りは全部日銀に返済する。五十四億……。
  107. 濱田正

    ○濱田説明員 そうです。国会で御承認になるときは、——ちようどあれは一月ほどかかつて何したのですが、その時分は、生産者の支払いが二十億あつた。五十四億入るまでの間に、とにかく収入がありましたから、それを優先的にどんどん払つてつて、この五十四億入つた瞬間には、すでに十五億に減つてつた、こういうことであります。  それからその次の空気木炭の問題であります。これは現物不足のうちの一部の構成要素をなしておるのでありますが、大体木炭、まき、ガスまき、金額でいたしますと、約三千二百万円程度のものであつたのであります。これの整理は、これは検査院の批難事項にも出たおりますが、現物補填——空気なんだから現物を出せというやり方と、それから特別会計はもうとまつたのだから、現物をもらつてもしようがない、金を出せというやり方とで整理しまして、大体現物補填で四百八十万円相当額、それから弁償金、代金回収で約二千五百六十万円見当で全部処置を完了したわけであります。
  108. 井之口政雄

    井之口委員 政治家関係は。
  109. 濱田正

    ○濱田説明員 政治家関係は、別に空気木炭には——うわさは盛んにありますが、別に政治家のだれかれが来たという覚えは持つておりません
  110. 菅家喜六

    菅家委員長 以上で、薪炭需給調節特別会計に関する審査は、一応済んだ次第であります。本日あとに残りました食糧管理特別会計に関する件は、次会すなわち明後九日金曜日午後二時から委員会を開きまして続行いたしたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時三分散会