○
石井説明員 ただいま
委員長から御指定のございました十五件につき、一括御
説明を申し上げます。
五三五号の、物品の売払い
代金の未
徴收の問題でございまするが、この件につきましては、
会計検査院の
検査御
報告の
通り、まことに申訳ないことでございます。この東京
鉄道局の
代金未
徴收のうち、
日本鉄道会に対するものは非常にたくさんございます。これは当時
石炭の割当の
関係で、私鉄の
石炭を、国鉄において一括割当を受けまして、そうして私鉄用の
石炭を
日本鉄道会に売り渡しへ
鉄道会から各種の地方
鉄道あるいは関連事業に売り渡してお
つたという、この売渡し
代金でございまして、そのうち
日本鉄道会に対する分は、この会が二十三年の四月になりまして閉鎖機関に指定されましたために、直接とるわけには参りかねるので、同年五月にただちに債権申告をいたしました。その他の分につきましては、できるだけ收納を完了するように、いろいろ督促をいたしております。最近におきましては、
日本鉄道会の分とも合せまして、收納済み額が百三十九万円
程度に
なつております。未だに收納せぬ残額が六百四十四万円ございまするが、このうち五百三十五万円ほどは
日本鉄道会の分でございます。それから新潟
鉄道局の不二越鉱業に対する分、これは二十五年三月三十日と同年四月十一日二回にわたりまして、残額を全部收納完結いたしております。かような売払い
代金の未
徴收を生じまして、
検査院の御
指摘を受けるような事態に
なつたことは、まことに遺憾でございます。
関係者に対しましては、それぞれ
訓告の
処分を行
つておる次第でございます。
次に五三六号の大井問題でございまするが、これは大井工機部におきまして、制輪子
——ブレーキ・ブロツクを
——ただいまは工場と申しておりまするが、
鉄道工場におきまして自家生産いたして所要数量を満たしておるのでありますが、御
承知の
通り昭和二十二年ごろから三年にかけましては、コークスにも優秀なものが少く、たまに手に入りましても、非常にその質が惡いために、鋳物類でつく
つておりますところのブレーキ・ブロツクがどうしても所要数量を満たせない、それで半ば消耗品でございますブレーキ、ブロツクが所要数量に満たない。特に東京附近の電車並びに客車を主として扱
つておるのでありまするが、族客
輸送、通勤
輸送にきわめて重大な結果を及ぼす。当時の電車
輸送の状態は
——今日におきましても、通勤
輸送は、改善されたとはいえ、なお相当混雑を来して、皆さんに迷惑をかけておりまするが、当時の通勤状況といたしましては、もつと混雑をきわめて、いわゆる殺人電車というふうなぐあいに言われ、またそのために人命を落したような
事故も、遺憾ながらあ
つたような次第でございますので、この上ブレーキ・ブロツクによる
支障のために
輸送ができなくなると、非常に困るじやないかというようなことで、非常にあせりました。従いまして、自家生産の鋳物は、コークスの入手の見通しがつかないので、やむを得ず外注をいたしたのでございます。ところが、
政府のいろいろの施策等によりまして、コークスの入手が割合に好転いたしましたので、非常に喜んで自家生産をやりました。その結果制輪子
——ブレーキ・ブロツクの生産も、二十三年度に入
つて非常に活発と
なつたわけでございます。ところで、一方外注の制輪子の方は、その間を埋めるために発注いたしましたが、予定より遅れて参りました。そのために大量を一時に納入された結果、いろいろ未稼働品もたくさん生じまして、そこで品質調査を行いましたが、どうも外注品の品質があまりおもしろくないということで、外注品はもう要求を打切りましたが、使用実績を勘案いたしまして、どうしても二万個ほど未稼働品として
処分売却する
——そのまま積んで置くことに
なつてしまいますので、結局
処分したわけでございます。その結果、いりもしないものを注文したというふうな結果になりまして、
検査院の御
指摘を受ける事態に
なつたのであります。結果はまことにさような状態でございまするが、こういう
事件を起しましたゆえんのものは、結局当時の
輸送情勢、特に電車あるいは旅客列車の
輸送情勢を御想起願いますれば、当事者がかような焦燥にかられて、いささか
経理上思わしからぬ結果を生じたという経緯につきましては、幾分の御参酌を願えるのではないかと思うのでございます。しかしながら
経理上思わしくないことは御
指摘の
通りでございますので、
責任者に対しましては、それぞれ
訓告処分を
行つた次第でございます。
五三七号の、貯蔵品
購入資金の運用当を得ないものというのは、これは一つは、結局いろいろの被服類を貯蔵品で
購入いたしまして、無償配給あるいは有償配給いたしたのでございますが、これは御
承知のように、二十二年度の冬に非常に貨物
輸送が増加しまして、なお二十三年度におきましては、
日本経済復興のために
鉄道貨物を一億三千万トンぜひ
輸送しなければならない、かような強い要請がございました。ところが、当時の情勢からいたしまして、今日からいたしますれば、非常に夢のような事態でございますがが、繊維製品が非常に逼迫しておりまして、戸外労働に従事いたしております者、あるいは積雪地帶に従事いたしております者の被服類が行き届かないために、勤労意欲が非常に阻害され、この大事な貨物
輸送がいかに推進されるかということになりましたので、閣議決定を願いまして、そういう方面に対しての特段の手を打つ、安本におきましても、この繊維製品類の割当のわくをふやす等、いろいろの御配慮を願
つたわけでございます。そういう
意味合いからいたしまして、結局無償配給をして、戸外労働に対する繊維製品の、いろいろな着物類だとか、あるいははきもの類等をできるだけ貸与いたしたい、かように考えたのでございます。やはり年度を通じて参りますうちに、どうも
予算上無償貸与ということができなく
なつたというので、結局有償配給にしたのもあるわけでございます。かような結果、
検査院の御
指摘のように
なつたわけでございまするが、無償配給にいたしました分は、いずれも業務上必要なものは無償で貸与するという規定がございます。それにもかかわらず、いろいろ職種、地域あるいはその配給、貸与する被服類の限定がございます。その範囲外に出るものにつきましては、やはり所要の
手続をも
つて決済を経て、それでその分を臨時に貸与範囲を拡大してや
つたわけでございます。その間成規の
手続はと
つておるのでございまするが、そういうような状態で、貯蔵品の
購入資金を使
つたわけでございます。その御
指摘の中には、防寒チヨツキの單価を四百丸十五円のものを二百七十三円で評価がえをしたのはよろしくないという御
指摘がございます。これは四百九十五円の單価のものを二百七十三円で有償配給いたしたのでありまするが、実は当時貯蔵品は全部一律の定率をも
つて評価がえいたしたのであります。二十三年度におきましては、物価騰貴が数次ございましたので、貯蔵品の單価も引上げたわけでございまするが、これの評価がえにあた
つては一律に評価がえしたのであります。従いまして、この防寒チヨツキも平均單価が四百九十五円に相
なつたわけでございます。しかしながらこれはいざ有償配給と
なつて実物を見ますと、どうも高過ぎる、やはり
購入原価の二百七十三円が適当なわけであ
つたのであります。これに評価がえをいたした上で、成規の
手続をして配給するのが当然でございましたが、それを省略いたしましたために、高いものを安く売
つたというようなかつこうに相
なつたのは、まことに遺憾でございますが、実情はさような実情でございます。
なお名古屋
鉄道局におきましては、コム布、皮ぐつを無償で貸与したということでございます。これはやはり機関庫の技工あるいは駅手などが、さようなはきものが入手できないために、げたばきで
作業に従事するというような状態で、まことに危險でもあり、勤労能率上非常に不適当でもありましたので、やむを得ず
鉄道局限りで実施いたしたかつこうに
なつたのでございます。事柄億まことにやむを得ないことではあ
つたかもしれませんが、
鉄道局限りで実施いたしましたので、これは当然
鉄道局長には権限がないことを実施いたしまして、まことに遺憾なことでございます。今後はかようなことのないように
嚴重に
注意を与え、
責任者はそれぞれ
訓告処分をいたしたのであります。
それから五三八号はいこれは労
務者用石けんを買
つたけれども、これがあまり使用に適しない粗惡品であ
つたという御
注意であります。これは当時非常に石けんが逼迫しておりまして、
昭和二十三年度におきましては、安本の割当が必要数の四分の一
程度でございました。ところが、
現場におきましては、石けんがなければ、工場あるいは機関区等の
作業はどうしてもできないのであります。そこで何とか勤労能率の向上をはかるとともに、当時の労働組合運動の趨勢とも見合せまして、各
鉄道局では、石けんの要求に対しまして何とか手を打たなければならぬというために、割当外の市場品の入手に苦心したのであります。その結果この
会計検査院の御
指摘のような結果に
なつたのでありまして、粗惡品を相当
購入したということに相なりました。しかしながらこの粗惡品はそれだけに安かろうと惡かろうで、値段も安いのであります。そこでいくら安くても、使えないものはしかたがございませんので、その後の処置といたしましては、四対一の割合で東京
鉄道局管内では良品ととりかえて
現場に配付した。それから大阪
鉄道局の方では、これは再製させまして、使用に耐えるような品物に全部直させて納入させております。かような次第でございまするので、今後はさようなことのないように
十分注意いたさせまして、
責任者に対しましても、それぞれ
訓告処分をいたしたのでございます。
五三九号は、これは機関車のウオーター・ゲージのことでございまするが、要するに当時ガラスの製品が非常に粗惡でございまして、機関車に水の入
つております分骨を示す計器が、運転中どんどん破裂してしまう、こういうわけで、幾らかまに水が入
つているかわからないというような状態で、運転上非常に危險でありまして、
従事員からもやかましく請求があ
つたのでありますし、また運転上もゆるがせにできなか
つたわけであります。ところが、入手いたしますると、非常に粗惡品が多くて一運行に数本予備を用意しておかなければならないというような状態のために、何とか良質品を手に入れたい、こういうことで良質品の入手にあせ
つて、たまたまこの製作所の品物がきわめて優秀であるということで、同社とも交渉いたしまして、製作させたわけであります。その品物はきわめて良質品でございまして、
目的には合致したのでありまするが、その値段が少し高過ぎた。特に他
鉄道局の
購入事情と比較しますと相当高い、こういう御批難でございます。これは
会計検査院の御
指摘の
通り、他
鉄道局の
購入状況等を調査しますれば、かような高い値段で
購入契約するということはなか
つたかと思いますが、ただ、ただいま申し上げましたようなめくら運転を余儀なくされて、やかましく言われておる実情を見まして、
購入する方がややあせりぎみに
なつたというようなことは、私は御
了承願えると思うのであります。しかしながら、それにいたしましても、その單価の
契約の仕方が少し軽率であ
つたことは、まことに申訳ないと思
つておる次第でありまして、
責任者に対しましては、
訓告処分を
行つた次第でございます。
五四〇号、これは亜鉛メツキの鉄板の加工賃が著しく高価である、こういう御批難でございます。これは御
指摘の中にありますように、加工賃見積り明細書に亜鉛地金代二百五十キロ分と、いりもしないものを非常に過大に計上してあるのでございまして、これが
検査院の御
指摘を受けるもとと
なつたかと思うのでありまするが、これはま
つたくこんなに亜鉛はいらないのでございます。ところが、実はこの担当者がふなれで、そのほかにいりますところのすずとかアンチモニー、あるいはコークスとかいう副
資材は、全然計上しておりません。まあ
やり方が非常にルーズで、全部亜鉛地金にまとめて、副
資材関係の
経費を計上してしま
つたというような結果に
なつたのでありまして、加工賃そのものの單価は、これは当時のマル公格等から逆算してみますると、必ずしも不当でないと思うのであります。これは加工賃は大体六千八百四十円で請負わせたのでございます。当時の物価庁告示を基礎にいたしまして、亜鉛メツキ殊板と普通鉄板との差から考えてみますと、やはり大体六千八百五十円ぐらいに相なると考えるのでありまして、必ずしも値段そのものは不当ではないと思うのでありまするが、加工賃見積り明細書等において、使いもしないものをたくさん使
つたように書いてしま
つたような
やり方は、ルーズな
やり方でありますので、まことに申訳ないと思うのでありまして、
関係者に対しましては、このようなことのないように
嚴重に
注意を与えた次第でございます。
それから五四一号の、まきの製造
代金でございまするが、これは御
承知の
通り、当時薪炭不足でございまして、国鉄も自家生産をしなければならぬということで、兵庫県におきましても、自家生産は認めてくれたのでありますが、その地域は
一般薪炭生産者の供出のじやまにならないように、きわめて経済的に不利、不便な僻陬の地に指定するというようなことで、これが生野町の黒川火というところの山林にきめられたのであります。そこでこれを大鉄産業に原木を支給しまして、委託加工したのでありまするが、この地は生野駅から二十数キロ山奥でありまして、労務賃と
運搬賃に非常に食われてしま
つた。その結果統制額でまきを買うよりも、高価なものについたというようなことは、当時のあらゆる自家生産については言えるのじやないかと思うのであります。まことにやむを得ないことであり、遺憾なことだと思うのでございますが、そういう結果に
なつたのであります。二十三年の八月以降は、薪炭の需給状態が非常に緩和いたしまして、かような経済的に不利益な自家生産をしなくても、所要の配給を得られることになりましたので、自家生産を廃止いたした次第でございます。
五四二の、タンク車の使用料の
支払いが不当であ
つたというのでございますが、これは内外
輸送と
日本石油の二つの会社が、旧軍に対しまして相当の債権を持
つてお
つた。それでその所有でありましたタンク車は、自分たちがその
かわりに譲渡されたから、これを名義変更して申請して参
つたのであります。そこで当時
運輸省でありますが、国鉄におきましては、二十二年二月にこの名義変更を認可いたしまして、両社に対しまして国鉄から使用料を払
つていたのでありますが、後日に至りまして、これは国有物件とすべきであるということでございまして、終戰当時にさかのぼ
つてそういうふうなお取扱いになるということになりましたので、結果といたしますと、どうも真の所有者でないものに使用料を
支払つていたという結果に相
なつたわけでございます。別に特段の惡意はなくて、当時の
事情から見て、この譲り受けということを認め、そうしてタンク車の活用をはからなければならないという実情でございました。また大蔵省といたしましても、この件の取扱いにつきましては、両者に対しては、国有物件といたしましたとき以前のものについては、弁償金という形で処理しておるようでございます。それらを勘案いたしますと、
手続上、確かに
検査院の御
指摘の
通りでありまするが、
事情やむを得ないものがあ
つたことを御
了承願えるのではないかと思うのでございます。
五四三号の、ケーソンを北海道庁に無償で貸し付けた問題でございます。これはケーソン十個が大体室蘭の港にございまして、これを北海道庁の方から貸してくれないかというような話があ
つたわけでございます。ところが、当時は国鉄といたしましても、
終戰後の情勢の変化によ
つて、このケーソンを使うあてがございませんものですから、かつまた申込者が公共団体でございまするので、漫然とその申入れを受諾して、ただでお貸ししてしま
つたというようなかつこうに
なつておるわけでございます。しかしながら、今日はこのケーソンの製作費も高く
なつておりますので、ここでただちに道庁に対しまして、その
代金を払
つてくれというのもいかがかと思われますので、国鉄といたしましては、いずれ函館の水陸
連絡設備の修繕に同様のケーソンが必要だという見通しもございまするので、そういう際にはそのケーソンを製作して提供してくれというようなふうに、道庁の方と協定をいたしておるわけでございます。事柄はさような事柄でございまして、管理上必ずしも妥当ではないという点もあるかと思うのでありまするが、いきさつを申し上げると、さようなことでありますので、この点もまた御
了承願いたいと思うのであります。なお今後はこういうことのないように職務執行上
嚴重に
注意をいたしたいと思いまするし、なお
昭和二十四年の六月から
公共企業体と相なりましてからは、独立採算というような
建前から、こういう点についての認識も、末端まできわめて徹底いたして参
つたようでございますので、再びかようなルーズな
やり方をするようなことはないと信じておる次第でございます。
五四四号の、貯蔵品の
経理が当を得ないものという御
指摘でございまするが、これは先ほど
工事関係のときに申し上げましたことと、大体似たような
事情でございまして、二十三年度中には物価の改訂が非常に高か
つた、非常に物価が高騰いたしました。従いまして、予定以上物価改訂が高率と
なつたので、貯蔵品もこれに応じて改訂されたわけでございますが、たび重なる
災害応急
工事等のために
予算を超過するということで、
追加予算をお願いいたしましたが、結局先ほど申し上げましたようなドツジ
予算が急にとられたために、この引締めが間に合力なか
つた。既定
予算の範囲内でいろいろやりくりいたしましたが、遂に及ばず、
多額の貯蔵品を一部仮使用というようなかつこうで年度を越したわけでございます。まことに
やり方といたしましては、ぐあいの惡い
やり方でございます。しかしながら今後はかようなことも、経済の安定、均衡
予算の確立に向
つておることでありますし、また制度の上からも、
支出負担行為の
認証制度が確立されました。
従つて、
予算もないのに、いろいろの
工事を興すこともできないように相
なつております上、また
資材配給部面の機構も、一昨年来改正いたしておりますので、かようなあやまちを再び起すことはない、かように考えておる次第でございます。
その次は、末
契約のまま車両を製作納入させたものでございますが、これは二十三年度におきまして、
日本の経済復興、あるいは社会情勢を緩和するために、旅客列車、貨物列車ともに、非常に混雑を遂げておりましたものを、急速に改善するために、相当車両をふやしたい、かような計画で
予算を組んでお
つたのでございますが、七月に物価改訂が行われて、非常に物価が高騰した。その結果当初計画によるところの車両の新造計画が、新造不能と
なつたわけでございます。しかしながらまた一方、車両製作の方は、当初計画でも
つて見越し生産を
行つたわけであります。その結果、国鉄の方の
購入予算と食い違いができまして、メーカーの方で相当手持ちの車両を生じてしま
つたわけであります。ところがメーカーの方は、せつかくつく
つたものでございますし、国鉄の車両はほかに市場性もありませんから、結局売れなければ工場に置いておかなければならぬ。しかしながら、かえ
つて、じやまになります上に、使わないでおけば車両のいたみも早いというようなわけで、ただでいいから使
つてくれということを国鉄の方に言
つて参
つたわけでございます。そこで国鉄の方も、それならばということで、一応無償でこれを使用してお
つたというようなかつこうに相
なつたわけでございます。まことに
経理上ルーズな
やり方でございます。これはその後二十六年度の
予算におきまして、全部消化いたして正規のものにいたしたのでございまするが、
やり方といたしましては、いかにも
事情やむを得ないといいながら、ルーズな
やり方でございまするので、
責任者に対しましては
嚴重に
注意を与えた次第でございます。
五四六号の、貯蔵品の取扱い当を得ないものといいますのは、これは札幌
鉄道局におけるまくら木、これが検收の能力の不足と、それから搬出が意のごとくならなか
つたために、非常に腐蝕のまくら木を生じたのでございます。さらに惡いのは、その腐蝕のまくら木を東京
鉄道局その他の
鉄道局が保転いたしまして、そしてこれにわざわざクレオソートまで注入してしま
つたというようなことでございます。これは
検査院御
指摘の
通り、まことにルーズな
やり方でございます。ただ当時の
事情といたしますと、戰時中の酷使のために、
線路の敷設まくら木が非常に腐朽して取扱いも十分でなか
つたために、運転上非常に憂慮すべき状態に
なつたため、まくら木の増産並びにまくら木用材の獲得ということに必死に
なつてお
つたのでありまして、最も生産力があると見られた北海道地区に対しまして、できるだけたくさんの割当が来たのであります。その結果検收能力を上まわ
つて、あるいは
輸送力を上まわ
つたような割当をした結果に相
なつたのが、かような申訳のない結果を生んだのではないかと思うのであります。こういうような状態を演じましたので、その後は物品の検收保管について、特に機構の改善をはかりまして、検收
職員の養成に努め、
検査の適正と、保管管理の的確を期しておる次第であります。この分に対しましては、非常にたくさん
責任者もございますので、全部にわたりましては七十三名にわた
つて処分をいたして、一番重きものは停職、それから三箇月、十分の一を初めといたしまして、減給
処分に付しましたものが約三十六名ございます。そのほか戒告、
訓告処分もいたしておるわけでございます。何とぞ御
了承を願いたいと思う次第であります。
五四七、
交付原材料が未回收のままと
なつているもの
——これは
会計検査院の御
報告の
通りで、まことに申訳ございません。このうち一人の方は片づいたのでありますが、伊藤某という者に対しまする弁償金はまだ未回收であります。これはもう資産もなく
なつて、強制執行をいたしましても、訴訟
手続の金の方が高過ぎるというような状態なので、遺憾ながら未回收に
なつております。この
関係者につきましては、もう今日退職しておる者が多いので、特段の
処分はいたしておりませんが、今後こういうことのないように、
十分注意をいたして行くつもりであります。
五四八号の、貯蔵品の整理当を得ないものという御
指摘でございますが、これは御
指摘の
通りでございます。要するにはなはだ申しにくいことでございますが、戰争中及び終戰直後にわたりましては、いろいろな事由で仕事の
やり方もルーズに
なつておりますし、また物品の払い出し、亡失等の処理もきちんときちようめんに行
つていないというようなことが、確かにあ
つたわけでございます。かような、いわばあかをためたままではどうにもならぬということで、ようやく二十三年度末あたりに、全部これをきれいに整理しようということで、これらの
措置をとりましたために、結局亡失毀損というようなものに対しまして、
多額の金額を出しました。あるいは貯蔵品の元帳残高とたな卸残高とが非常な差額を生じたということになるわけでございます。これらを一々糾明いたしますためには、約千二百余の物品
会計官吏の全部の出納簿の受払い事実と、元帳登記の有無を再調査しなければなりません。まことに困難をきわめた仕事でありましたために、整理上やむを得ず欠損処理というような処理方をいたしまして、
検査院のおしかりを受けるような結果に相
なつたわけでございます。事実かような
やり方は、何と申しましても申訳ないのでございますが、もし一つの終戰直後における、あかを落すということが事実問題として御
了承が願えましたならば、ある
程度その点でごしんしやくを願えるのではないかと思うのであります。これ以後は、物品の払い出しは伝票による以外は、一切出納がなし得ないというように、規程を改正いたしまして、また積送品勘定というものを設定いたしまして、
輸送中の貯蔵品の動態も把握できるような制度に改めております。一ぺんあかを払い落しました上で、新しいしつかりした制度を組み立てておりますので、今後こういうような
事項はほとんど起らないように相なるものと期待しておる次第であります。
なお
昭和二十二年度分が一つございますが、これは三四八号、立木の伐採にあたりまして
過払いをいたしまして、その返納に至
つていないということでございます。これは
会計検査院の御
指摘の
通りでございます。
〔
藤枝委員長代理退席、
三宅(則)
委員長代理着席〕
これもまことに遺憾なことでございます。このうち石坂某の分については、当時差上げました
説明書には、まだ残額があるようでございますが、これは全部二十四年の九月に済んでおります。竹内某の分につきましては、これはその後一万円返納いたしておりますが、まだ残額が三十一万円ほどございます。これはもうま
つたく赤貧洗うがごとき状態に
なつておりますもので、いかんとも手のつけようがないので、督促はいたしておりますが、ちよつと望みがない、まことに遺憾な結果に
なつております。お許しを願いたいと思う次第であります。