○太宰
政府委員 ただいま議題になりました四六五号より四八六号までのことにつきまして、おわびかたがた御
説明いたしたいと思います。
四六五は、国立
病院及び療養所の
収納未済多額に上るものといたしまして、八雲
病院ほか七箇所で、二十三
年度中に
徴収決定した
病院収入五千八百十三万円のうち、二千八百万円余が
収納未済とな
つている。これの全国平均の
病院収入の収納率を見ますと、国立
病院は八二%、療養所は七八%一平均八〇%とな
つておるわけでありますが、特に八雲
病院等の成績が五〇%にすぎない、この点のおしかりを受けたのであります。これは
検査院の
指摘の
通りでございます。ただ当時の状況を申しますと、この批難されました八箇所の
収納未済のおもなる原因と申しますのは、生活保護法及び社会保険による分の
収納未済が多いのでございます。これは当時
ちようど御案内の
通り、非常に財政的に
地方が苦しくなりました時代でございまして、生活保護法による者につきましても、
関係市町村の財政が非常に苦しいというようなことで、これがつい延びましたことが理由にな
つておるように聞いております。また社会保険の方につきましても、御
承知の
通り、社会保険がこのころから急激に財政困難をきわめて参りまして、その
支拂いが遅延にな
つた、こういうことが非常に大きな原因をなしておるように思うのでございますが、いずれにいたしましても、かような高率に上ります
収納未済を出しましたことについては、申訳ないと存じております。なおこの
収納未済の分の二千八百万円のうち本年一月末までに二千六百万円余は収納済みにな
つておりまして、残りのものにつきましても、なお早急に収納するように
努力中でございます。それから当時の
責任者に対しましては、厚生大臣から嚴重な
注意を與えて、今後を戒めておきましたような次第であります。
次の四六六号、薬品売渡代金の
徴収に当り
処置当を得ないもの
——これは
昭和二十二、二十三両
年度におきまして、都道
府県に厚生省から配給いたしましたDDTの代金でございまして、
徴収決定漏れに
なつでいるものが、二十四年の十月末現在で、
東京都外十県分で千五百八十三万円余ある。これが薬品売渡代金の
徴収で、
処置当を得ないものとして批難を受けたのでございます。これも当時の状況を申し上げますると、その
府県でいろいろ
使用目的が違いまして、たとえばそれを県として使うのであるか、それとも
市町村として使うのであるか、あるいはさらに一般国民に配給いたしまして、一般用として
使用するのであるか、その
使用目的によりまして、それぞれ価格が異なりまして、県の場合は二分の一、
市町村の場合は三分の二、一般用の場合は全額というようにいたしまして、その分をそれぞれの
使用目的に応じまして、代価のきまりました分を、
府県が一括して納入告知書を出して
徴収して、こちらに納めるということにな
つてお
つたのでございますが、その実際の
使用区分が変更にな
つた。たとえば、県で使
つておるものを
市町村が使うようにな
つたというようなことになりますと、当然県の場合の値段よりも高い値段でこれを売
つて、国にそれだけの収入が入らねばならないのでございますので、その都度、都道
府県より、さような
使用区分の変更がございましたような場合には、こちらに報告をいたせまして、こちらでその
決定額の訂正をするという手続をとるようにな
つてお
つたのでございまするが、こちらの方の
事務もまことにふなれでございまして、また県の方に対する監督も不行届きの点がございまして、都道
府県からの報告もなか
つたというようなことからして、先ほど申し上げたような多額の徴收の
決定漏れが出ました次第でございます。これはまことに遺憾に存じますので、かかることのないよう、十分
注意いたしたいつもりでございます。なおこの
徴収決定漏れの千五百八十三万円というものは、二十五年の十月に全額納まりましたような次第でございます。
それからその末尾の方にあります薬品代、二十三
年度末までに五億五千二百五十三万七千六百九円、
徴収決定をしたが、
年度末までに収納済額が一億六千百二十七万四千三十三円にすぎないという点でございますが、これも大いにその後
努力をいたしまして、本年一月末現在で、五億五千万円のうち五億二千四百五十六万余円というものが収納済みになりまして、残りの分につきましても、なお引続き早急に納入するよう督励中でございます。さよう御了承願いたいと存じます。なお当時の
責任者に対しましても、厚生大臣から、かかることのないように
注意を促して、
処分をいたしました。
それから四六七、これは
東京都及び北海道で、
昭和二十二
年度中に、管内
地方公共団体に対しで、生活保護費
補助金として六億八千二百八万余円概算
交付して、その精算による
補助超過額千二百五十一万余円の回収が遅延したということについて批難を受けたものでございます。これは私
どもの方の手落ちでございまして。何とも申訳もございません。今後十分に
注意いたしたいと思います。なお超過額は、
東京都におきましては
昭和二十五年の三月、北海道も同様三月に、それぞれ全額返納させましたような次第でございます。それから当時の
責任者に対しましても、大臣から
注意を與えて、今後を戒めたような次第でございます。
同じく四六八号、これは北海道外六
府県で、
昭和二十二
年度中に、公共団体である道
府県に対し、児童福祉法による施設及び事業費
補助金として犬百三十八万円概算
交付しているが、その精算による
補助超過額二百三十二万七千余円の回収が遅延していたということで、
指摘を受けたのでございますが、これもその
通りでございまして、今後は監督を一層嚴にいたしまして、かようなことを二度と繰返さないようにいたしたいと存じます。この
補助超過額も、作二十五年の五月までに全部返納をいたさせましたような次第でございます。なお
責任者に対しましても、厳重な
注意を與えてれ今後を戒めたような次第でございます。
それからその次の四八九から四七九までの間は、
補助金の
交付にあたりまして、まだ
工事に着手さえしていなか
つたものに対して
補助金を與えてお
つた、あるいは
年度を越えたものについても
補助を與えた、かようなことでおしかりを受けたのでありますが、これも
指摘の
通りでございまして、まことに申訳ないと存じます。これはただ当時の状況を申し上げますると、当時御案内の
通りに、文化国家として再生いたします上につきまして、こういう児童福祉
関係あるいは生活保護施設
関係という
方面にうんと力を注がねばならないというので、これの
拡充整備について、都道
府県を大いに督励もいたしましたし、また
地方からも、この設置要望が非常に切なものがありましたので、極力いだだきました
予算を生かすように
努力して参
つたのでありますが、
地方におきましては、当初に予定しでお
つた土地あるいは
建物が変更にな
つた、あるいは諸費材の入手が予定した
通り入らなか
つたということで、つい
年度を越えざるを得ないようにな
つた。それもしやくし定規で参りますと、当然その分は不用としてもどさなければならないのでありますけれ
ども、当時の
関係者があまりにこういう施設を早く整備するということにばかり夢中になりまして、
会計法上の手続を忘れましたために、かような結果になりましたので、これも今後こういうことのないよう十分
注意いたしたいと存じます。なおその
工事は、
昭和二十四年の十月までに全部竣工いたしましたことを最後に御報告を申し上げておきます。
それから次の四八〇は、鹿児島県の県立精神
病院の
経費に対しまして、
補助金として概算で百十五万四千五百三十八円を
交付した。ところがそれの
決算を見ますと、事業費支出額の二百五十万円に対して、事業収入額が三百七十万円余であ
つて、ま
つたく
補助の必要がないのに、
補助申請資料を調査することなく、漫然と
補助したという点につきまして、
検査院より
指摘されたのでございます。これもまことに何ら弁解の余地のない、私
どもの手落ちでございまして、申訳ないと思
つております。なお
責任者に対しましては厳重なる
注意を與えました。同時に、その
補助いたしました分につきましては、二十五年の四月に返納させましたような次第でございます。
それから四八一でございますが、これは
東京都で産院の設置費
補助として二百万円を
交付した。これは産院の設置費八百四十万円に対して、二十三
年度において四百万円を
補助の対象として、二分の一相当額を
交付した。ところがこれはそこの
購入の対象である
建物が、いろいろな悪
條件がございまして、結局ものにならなか
つたというので、これについて、
補助金交付当時に、そういう
事情を詳しく調査すればわか
つたのではないか、それを十分調査もしないでこれを
交付したという点は、
処置当を得ないとして
指摘せられたものでございますが、これもその
通りで、まことに遺憾に存ずるのであります。これも当時の
事情を申し上げさせていただきますれば、やはり前申しましたように、児童福祉施設というものを、大いに
拡充しなければならない状況下にございまして、産院の設置は非常に強く要望されておりました。たまたまこの
土地が戦争前に都立産院の所在地でもありましたので、何とかしてこの
土地に建てたい、その
建物の買収や、そこに住んでおります現
居住者の移転も確実に履行できるという話でありましたので、それをなお一層調査すればわかりましたものを、そのまま、それではよかろうというので
補助金を
交付したために、結局これがおしかりを受ける原因とな
つたのでございます。これはその後におきまして、私の方で都の
当局を再三督励したのでございまするが、進捗していないということが判明いたしましたので、
昭和二十四
年度の継続
補助はこれを打切ることにいたしまして、二十三
年度の
補助金につきましては、二十五年の十一月に返納をいたさせましたような次第でございます。なお当時の
責任者に対しましても、今後かかることのないよう、厳重に大臣から
注意を與えましたような次第でございます。
それから四八二号は、これは宮城県で二十三年の九月に風水害がございまして、それの災害救助費
補助金として三千百万円を
交付した。それが実施しました結果、八百二十七万円の不用額を生じたにもかかわらず、すみやかに精算をしなか
つたということに対して、批難されたのでございます。これはまたたいへん遺憾なことでございますが、この風水害というのは、例のアイオン台風でございまして、非常に大きな災害を受けた。それで県としては、その
経費を
立てかえをすることができませんので、申請しまして、一応概算
交付したのでございますが、その混乱のときに
手違いを生じまして、一部刑事
事件を起したような
事情もございました。そのために
関係書類を会上部検察
当局の押収するところとなりまして、
事務の停頓を起し、その次に出ました
職員が、新規でふなれでありましたので、また
事務処理にあた
つて当を得ないようなために遅れた、かようなことで、いろいろ重なりまして、精算が遅延したような次第でありまして、これも
検査院の
指摘せられた
通りで、申訳なく存ずる次第であります。今後かかることのないよう十分
注意したいと存じます。なお返納金は八百二十七万円、二十五年一月に完納させてございます。
それから四八三号、これは
東京都の民政局世話課で、
職員が間違いを起しまして、犯罪によ
つて国に
損害を與えたということでございます。こういうことは、従来からもときどきございまして、まことに申訳ないと存じまして、相当
注意をいたしておるつもりでございまするけれ
ども、なお足りない点がございまして、こういう御迷惑をおかけするようなことができましたのは、申訳ないと存じます。この犯人には、懲戒免職をいたしますとともに、
昭和二十四年九月に起訴せられまして、懲役一年六箇月の判決を受けて目下服役中でございます。この横領金の
弁償につきましては、
東京簡易裁判所で既決係の申
立てが成立いたしました次第であります。なお監督者に対しましても、それぞれ大臣から行政
処分を
行つた次第でございます。
その次の四八四、これも同じく岐阜県の世話課で、雇が犯罪を犯しまして国に
損害を與えた
事項でございます。これも御
指摘の
通り、まことにかような
事態を生じましたことについては、遺憾に存ずる次第であります。それからその犯人及び共犯の二人とも検察
当局から二十三年の十二月に公訴の提起がございまして、それぞれ懲役三年の判決を受けました。それから
被害金額のうち百五十八万円だけは
弁償済みで、残りの分につきましても、なお弁済させるべく
努力しておりますが、現存両人とも懲役三年の刑で服役中でございまして、なお財産を調べてみましたが、さしあた
つて取
立てる資産もございませんので、これは本人たちが出所いたしました後に協定してきめたい、なるべく早く国にもどすようにいたしたいと存じます。なお監督者及び
責任者に対しましては、それぞれ大臣から行政
処分を行いまして、今後を戒めたような次第でございます。
それから四八五号の物品の取扱
処置当を得ないものこれは多少
事情が複雑化しておりますので、ごく荒筋だけ申し上げまして、
あとでまた御
質問に応じて
お答えいたしたいと存じますが、この
事件は、厚生省で
昭和二十三
年度に腸チフス・パラチフス混合ワクチン
——普通腸パラ混合ワクチンと申しておりますか
——これを三千七百万CC前
年度から繰越して保有してお
つた。それを今度は二十三年に、各
地方でも
つて伝染病の予防注射をいたします際に、各
府県の方での需要量は三千百万CCであ
つた。そうすると、国の前期の繰越しの三千七百万CCで、それが全部まかなえる
状態にもかかわらず、その間における国の
処置がよろしきを得ていなか
つた。と申しますのは、厚生省は、そのワクチンのメーカーに対しまして、二十三
年度中の需要見込額を五千万CCとみなして、メーカーにこの生産を手配して五千万CC製造させた。そして一方におきまして、
政府の配給代行機関、まあ請負でございますが、厚生省の命によ
つてこういう薬品の保管、配給の実際
事務を取扱
つております山之内製薬会社をして、
府県に対して、自分の手持の三千七百万CCの中から、
府県の需要として要求のありました三千百万CCをずつと流させましてそうして
府県から得ました金でも
つて、今度は国に納めないで、直接それでも
つてメーカーに、先ほど生産命令を発しました分を買
つて、その部品を国の倉庫に入れて、まあ新陳代謝をしたというようなことが、これが
会計法上の違反である。のみならず、その三千百万CCの中で、千六百万CCだけは今のようなやりくりで現品で補充したが、補充未済とな
つた残りの千五百万CCについては、二十四年の九月にな
つて、これを二千百万余円でも
つて山之内製薬会社に売り渡している、しかも、その金が十二月現在では全部納ま
つていない、こういう点を、また
検査院としては、
処置当を得ないとして
指摘せられたような次第でございます。最後にもう一つ、国の現品の保有状況から見ると、二十二
年度からの繰越しの残品及び山之内製薬会社が先ほどのからくりによ
つてあとで補充いたしました千五百万CC、合計して二千百七十万CCというものが、二十四年九月に
至つて有効期限が経過したために廃棄
処分されている。これは一番
最初に厚生省が、前
年度から持ち越した分を率先して山之内をして売らせておけば、結局国はこういうような有効期限の切れたようなものをつくらないで全部さばくことができたんじやないか、こういう点も厚生省は手落ちであるということで、
検査院から
指摘を受けたのでございます。私
ども検査院からのおしかりを受けましたときに承りました点では、そういう
会計法に違反しているという点でしかられましたので、その点は私
ども何の
お答えする余地もございません、まことに申訳ないと存ずるのでございますが、ただどうしてこんなからくりをしたかということにつきまして、当時の状況を
ちよつと一言申し上げさせていただきますると、当時は、御案内の
通り、非常に伝染病が国内にはやりつつある状況でございまして、GHQも非常に関心を持ちまして、
昭和二十三
年度を迎えるにあたりまして、GHQの方から、腸チフス、パラチフス予防のための対策を
立てろ、そのためには十分なる対策を
立てろという指示がございました。それに基きまして厚生省としては、中央にこういう対策審議会というものを設けまして、大体そこで来
年度どれくらいいるであろうという見通しを
立て、その見通しに基きまして、メーカーに、二十二
年度のうちに、この五千万CCのワクチンの製造を発注いたしたのであります。と申しまするのは、こういうもののはやりますのが、春から夏にかけてでございますので、手配を早くしておかなければならない。のみならず、こういうものの製造期間が三箇月かかりますので、急にはやり出してから、おいとい
つてすぐできるような筋合いのものでもございませんので、早目に見通しを
立ててやらねばならなか
つたというので、二十二
年度のうちに、その手配をいたしましたわけで、その五千万CCというのは、その当時あらゆる状況を勘案いたしまして、大体そのくらいと思
つて出したのでございます。ところが二十三
年度に入りましてから、
府県から実際に申請して、これだけ送
つてくれと具体的な問題になりました際には、三千百万CCであ
つた。そこに見通しの違いが出たというのでございますが、この点は、私
どもの方で専門家が愼重にや
つたつもりではございますけれ
ども、なお間違いができましたことは、残念に思うのであります。
それともう一つは、二十三
年度に、例の予防接種法という法律が国会を
通りまして、この接種法に基きますると、こういう予防接種は、爾今は全部各人からとれという、
大蔵省あたりではそういう
考えをと
つておりました。その前年までは、全部国でも
つてやる。従
つて国としては、こういうワクチン類を国家買上げいたしまして、それを
府県に配りまして、
府県がその分の金を国に納める、そうして
府県は、
府県市町村の費用でも
つて、この予防接種をや
つてお
つたという状況であ
つたのでありますが、この予防接種法の施行に伴いまして、各人からとるのだから、従
つて国は買上げする必要はないというので、
予算を削られたのでございます。その結果、メーカーは五千万CCをつくれということを厚生省から言われたけれ
ども、一体そのときの賛金はどうなるのか、国家買上げでございますれば、もう
年度でも越せば、すぐに買い上げてもらえるだろうという予定で、何とか金繰りがついたのでございますが、末端の国民一人々々から金をとり上げて来て、それから自分のところに金が入るのだということになりますと、御
承知の
通りメーカーがつくりまして、
府県へ流して末端の
市町村まで行きまして、それから各人から金をと
つてそれがさらに
府県を通
つて返
つて来る。その間には、数箇月かあるいはそれ以上の期間を要する。その間をメーカーとしては、運転資金がどうにもならない非常な苦況に
立ち至りました次第でございます。そこで当時の
関係者が寄りまして、これは万やむを得ないということで、先ほど一番冒頭に申し上げましたような、からくりをいたしたわけでございます。
もう一度申し上げますれば、まず国が保有いたしている物品を、当時山之内に保管させておりましたので、この山之内を通じて
府県に流させまして、
府県で末端から金が入
つて来ると、それを国に納めないで、山之内に納めさせて、山之内がメーカーからさつそくその金でも
つて物品を
購入して、その物品を
政府の倉庫に納める。これを厳重にやれば、結局それでいいじやないか。たとえば
政府にいたしますれば、このワクチンというものを保管しておりますると、有効期限というものがございますので、漸次古くな
つて使えなくなる。それが今のような
措置によ
つて交代いたしますれば、有効期限がそれだけ更新されるではないか、
業者にいたしますれば、それによ
つて金詰まりというものが
解決されるというようなことで、
業者もよい。また同時に、
業者のつくりましたワクチン類というものが、国なり公共団体が使います以外は、だれもほしがる者はございませんので、これはほかの商品と違いまして、結局国がめんどうを見てやらなければつくりません。一たび国が生産命令を出しておきながら、これを袖にしたということになりますれば、今後こういう
業者の協力というものも、なかなか望みずらいのではないかというような、あれこれの
考えも加わりまして、さような
措置をと
つたのでございます。ただそのときに、今から
考えますれば、なお一段と深く検討いたしまして、それぞれ適法な
措置をとりましたならば、今日かようなおしかりを受けることもなか
つたと思うのでありますが、さようなことで思い至りませんで、かような次第になりまして、
検査院からおしかりを受けたのでございます。まことにこれは申訳ないと存じております。そのために
関係者につきましては、厚生大臣からそれぞれ今後を戒めるべく
注意を促しました。同時に山之内につきましても、補充未済とな
つた分で売り渡しました分についても、納めさせますように
努力いたしまして、すでに未済の分は全額納入にな
つておるような次第でございます。
なおその一番末項にございまする二千百万CCが、有効期限経過のため廃棄
処分されたと申しまするのは、これは御
承知のあの京都のヂフテリヤ
事件が、二十三年の秋に起りまして、GHQ
当局から、一切のワクチンの
使用を二十三年の十二月に禁止されました。その場合に、日本の国内にありまするものは、全部ワクチンの
使用を禁止して、これを国立予防衛生
研究所に集めまして、もう一ぺん
検定をし直す、そうして合格したものだけもう一ぺん市場に出させるという非常
措置をとられました。その
検定に一年間かかりました。ために、その間に有効期限の切れるものが続出いたしたのでございます。これは申訳ないとは存じますが、さような
事情で、この大量のものが有効期限経過のために廃棄
処分されたような次第でございます。おわびいたす次第でございます。
最後に四八六号の、
職員の犯罪に因り国に
損害を與えたもの
——これは福岡県の直方の社会保険出張所で、
事務員が横領した
事案でございまして、これも先ほど世話課の
事件と同様、
注意をいたしておるつもりでございましても、ついこういうものがときどき出まして、まことに申訳ないと存じます。犯罪防止につきまして一層
注意を促し、あるいは監督の
強化をはかりたいと存じます。なお犯人及び共犯は二十四年の五月に公訴の提起がありまして、それぞれ懲役刑を受けおります。その
被害金額のうちでも、若干は弁済済みにな
つておりますが、残りの分につきましては、この犯人三人とも資力がございませんので、定期貸しと申しますか、毎月少しずつ返すということで、これを返すような
措置を講じました次第でございます。なお
責任者につきましては、大臣から厳重に処罰をいたしまして、今後を戒めました次第でございます。
以上
厚生省所管の
批難事項につきまして、厚生省の立場から、当時の
事情を申し上げますと同時に、おわびいたす次第でございます。