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小峰会計検査院説明員 先に、今の
委員長の御
質問にお答えいたします。
工事の進行状況を
会計検査院は監査するか、こういうお話でございました。御
承知のように
会計検査院の
検査と申しますと、証拠書類として提出になりました文書についての
検査と、
現場を見ましての
検査と、両方あるわけであります。この書面
検査の方は、始終や
つております。その意味で、常に
検査しておるということは言えるわけであります。また
現場は、御
承知のように、そう全部が全部行けるものでもございません。
工事中に参ります場合もございますし、
工事が竣工したときにちようど参ります場合もございます。竣工してから行くということには、必ずしもしておりません。物によりますと、三月なり半年なり過ぎまして行くこともあるわけであります。ちようどいい例が三六一号でありますが、これはでき上りまして
あとで参
つた件で、
検査院としても珍しい
案件であります。これは主要
工事を全部実測したわけであります。図面を一々突き合せまして
——検査院にもそういうものがわかる人間が相当おります。それで竣工図あるいは完成図、それが
支拂いの基礎になるわけでありますが、それと現地とを対照いたしまして実測したわけであります。その結果これはほんとうの完全な検收違いとして、金を百拂
つたところ、実測してみますと九十五しかできていない、九十しかできていない、こういうのがこの三つ並べました件であります。一件々々の
金額は、必ずしも大きいとは申せないのでありますが、この種の
案件というものは、実に遺憾なことでありまして、できてもいないものに対して金を拂
つたというような点で、ここに同種の案を、実は三つ並べたわけであります。この
案件につきましては、先ほど
政府委員の方からのお話で、大体盡きているようであります。土量にも切取りの土量もございまして、一は、
特調の横浜支局の切取りが、実際の切取り土量よりもよけいに見ていたという
案件であります。二は、宮城県の
盛土の方であります。土を盛る量が九千九百六十四立米分を拂
つたのでありますが、そのうち三千九百立米はできていなか
つた、こういう
案件であります。三は、神奈川県のパイプであります。パイプの長さを間違えた、こういう
案件でありまして、それぞれ内容的に違いはございますが、全体を通ずる
批難の骨子は、先ほど申し上げましたように、実際にやらなか
つたものに対して金を拂
つた、こういう
案件であります。
それから三六二は、これは先ほど御
説明がありましたが、ちよつと補足いたします。これは持ち出し、取拂
つたと称するれんが量を、みんな積んだことにして積み手間を拂
つたという案であります。れんがは、御
承知のように運搬途中にもこわれるし、塗りながらもこわれるものであります。これを取扱い途中で計算してはいかぬじやないか、実際に積んだものだけしか手間がかか
つていない、これが骨子であります。これも珍しい案でありまして、
金額は必ずしも大きい案ではございませんが、割合に
検査が行き届いた案であります。
三六三、これは実は大きいのであります。青森県の三沢の基地でありますが、ここには非常に多額の終戰処理費が入
つております大きな基地であります。ここでは、大体
請負人が相当たくさん入
つておりますが、西松建設が一番たくさん
工事をや
つております。そうして匿名で次々と
工事をや
つていたわけであります。ところが、ここに一、二とわけでございますが、これは大体一は二つにわけていただく方がいいのでありまして、前段と後段の分であります。前段は総合仮設費、後段は諸
経費。総合仮設費と申しますと代表的なものは、飯場、
事務所であります。
工事をやる場合には、
請負人の飯場、
事務所というものが必要になります。こういうようなものは、大体積算では、別々の
業者が
一つ一つの
工事を
請負つても、採算がとれるように積算してあるのであります。ところがこれのように次々と
工事を
請負つて行く場合には、
最初の
工事でつくりました飯場が、そのまま役に立つのであります。それにもかかわらず、第二、第三の
工事で飯場なり
事務所なり、それに類するものを新しく建てるだけの
経費を見てあるのがいけないというのが、この一の前段の
批難であります。
それから一の「又」以下、「又、諸
経費においては」とございますが、諸
経費も、
一つ一つの
工事を別々の
請負人が
請負つた場合でも、や
つて行ける雑費が見てあるわけであります。ところが、今申し上げましたように、一人の
請負人が次から次へとや
つて行く場合には、当然
考えようによ
つては、全部を一括して諸
経費を算定すればいいのじやないか、千万円の
工事を三つばらばらにやる場合と、三千万円の
工事を
一つ請負う場合とは、諸雑費は非常に率が違うわけでございます。今仮定の
金額で申し上げましたのですが、この場合には、千万円ずつばらばらに
請負わせたのであるが、同一
請負人が引続きや
つているのだから、三千万円の
工事として諸
経費を見るべきじやないかというのが、第二点の
批難であります。一八%の諸
経費を見たのであるが、これは大体一〇%ぐらいと見るべきじやないかというので、これは大体
経費が多くな
つております。
それから二でありますが、これも
あとから調べますと、非常におかしな結果にな
つて、
批難にな
つたのであります。と申しますのは、あそこへ基地をつくりますときに、まだ山林があ
つたわけであります。その山林の伐木、抜根、伐採
——木を切
つたり、根を抜いたりしたわけでありますが、その根を抜いたり、木を切
つたりした数と、それから拂
つた料金というものを計算してみますと、拂いました分で参りますと、二坪に三本の割合で、目
通りが五寸から一尺程度、相当の木であります。実際に
支拂いました
金額を逆に計算いたしますと、これが二坪に三本くらいの割合で生えていたような計算になるのでありますが、そんなことはあり得ない。これだけの一尺からの木が、二坪に三本も生えるというようなことはあり得ないのでありまして、大体普通は四坪に一本ぐらいの割合で生えているものだそうであります。この山林も、特殊な
事情はおそらくなか
つたのでありまして、大体三坪なり四坪に一本の割合で生えていたのでありますが、実際に拂いました金は、二坪に三本の割合で生えていた、こういうようなわけで、御注意したのでありますが、その点は
当局者もすつかりお認めになりまして、これに相当する五百五万円というものはお返しにな
つた、こういうことにな
つたのであります。
それから三六四でありますが、これは
最初明楽工業でありますが、指名競争で
請負に付しまして、そのままならばよか
つたのでありますが、その後大きな
設計変更がありまして
——これは砂利とかそういうようなものを運搬したのでありますが、石類の運搬量は、非常に減
つたのであります。ところが
支拂う
契約金額は、かえ
つてふえて
しまつた。これはおかしいというので、実は
検査したわけであります。内容を調べてみますと、広島鉄道局で、同じところを一日に四回以上も運搬しておるのに、その
契約の
設計変更後の状況を調べますと、二回七というようなことになりましたので、これはおかしい、広島鉄道局でや
つたくらいのことは、
請負人としてもできるはずなんで、単価はそういうふうに計算するのがほんとうじやないか、こういうことで、ここに
批難にな
つたわけであります。ちよつと今の広島鉄道局のや
つたやつでありますが……。