○
呉藤説明員 それではただいまの三件につきまして、御
説明申し上げます。御
説明に入ります前に、文字の間違いがございますので、
説明書の方の文字を訂正させていただきたいと思います。四三八号の件につきまして、七十六ページの四行目、上から十七字目に「廃し」とありますが、これを「中止し」と御訂正を願います。それから四三九号でございますが、これの七十七ページ、終りから二行月の六字目に「記載したこと。」と打切
つてありますが、これは「記載したものもあり、」と御訂正を願います。それから七十八ページの一行目の十字目に「ための労務人員増等に起因するもの」とございますが、これは「ため労務人員が増加したことな
ども一つの原因であ
つたもの」と訂正させていただきます。
それでは四三八号を御
説明申し上げます。本件に取上げられておりますデキストリンは、御
承知と思いますが、切手印紙の裏についておりますのりでございます。その原料は澱粉を使
つております。このものにつきまして購入がみだりに行われた、しかも購入したものについて腐敗品が出たという御
指摘でございますが、御
承知のように印紙、切手のようなものは、必ず裏にのりをつけまして、
使用される方が、最も簡単に使えるということが、必要でございます。印刷庁といたしましては、こうした企画があります都度に、必ずのり引きをやるという計画を、一応は立てておるのでございます。たまたまこの取引高税、印紙の製造の御注文は、非常に突発的なものでございまして、しかも納期を非常に急がれておりましたので、早々にのりの原料の手配をいたしました。当時澱粉は、御
承知の
通り統制品でございまして、その割当を
農林省からいただいてお
つたわけであります。
ちようど印刷庁にありますのり引き機械の能力一ぱいのもの、その能力は大体三百二十四キロぐらいでありますが、それに該当する原料澱粉四百九十トンを
農林省から割当を受けまして、割当のわくを業者に引継ぎまして、製造に着手したのであります。ところが、取引高税印紙の需要が、前にも申し上げました
通り、きわめて急を要しましたので、のりを引いておりましたのでは、税法施行の日までに印刷の納品が間に合わないというような見通しがついて参りましたので、
使用者の不便を重々お察しはいたしましたが、余儀なく発注者である主税局とも御相談をいたしまして、数量の多い低額の印紙につきましては、一時のり引きを中止をして、とりあえず発行するということで、製造に着手した次第であります。その後実際の需要に当
つて見ましたところが、零種の御要望、地理的な需要の
予定が大分狂
つて参りましたので、引続き各券種につきまして大増刷をいたしました。そのために、さらにのり引きをしては間に合わないというような
状態を継続してお
つたわけであります。しかしながら、印刷庁といたしましては、前にも申し上げました
通り、いつでものり引きをして、皆様の御便宜に供したいとふうことを
考えておりましたために、デキストリンは、とりあえず在庫品として獲得をしておこう、そうして倉庫に準備をいたしておいた次第であります。ところが、たまたま二一四年の五月一日になりますと、取引高税印紙は
使用せぬということ決定され、われわれとしましては、非常に苦労しましてとり置きましたデキストリンの
使用は、道を失
つたという
事情に立ち至
つたのでございます。かくしまして二十三
年度末に残りましたのが、二百三十三トンという多量のものにな
つたのであります。これはもちろん
検査院の御
指摘の
通り、のりつけをしないというような計画で発足しましたときに、とりあえずデキストリンの購入は中止をするのが、一番よろしいのでございましたが、第一には、原料である澱粉が統制品であ
つた。従
つて割当を受けるための日数も非常にかかりましたし、さらに割当を受けましても、その後これを製造するためには二、三箇月の
期間を要しましたので、急場の間に合わぬというような
事情を、あまりにも先深く考慮いたしました取越し苦労をいたしましたために、結果的に見ましては、かくも多量の在庫品を残すというような不手ぎわな購入を続けた次第であります。このことは、まことに御
指摘の
通りでありまして、遺憾に存じております。なおデキストリンのうち、八十七トンは御
指摘の
通り濕気を呼びまして品質が低下し、切手や印紙などの裏面ののり引き用としては、
使用に耐えないような
状態になりました。その理由は、いろいろございますが、このデキストリンの原料であります澱粉は、当時としては食糧
事情が非常に逼迫しておりましたので、デキストリン用に充当する澱粉のごときは、最も悪質のものを引当ててお
つたのではなかろうか、そのために製品そのものも劣
つてお
つただろう。さらに具体的に申しますと、その品質の程度は、有価証券ののり引き用としては、最低のものであ
つて、辛うじて使
つていた程度のものでありました。と同時に、これを梱包いたします包装材料は、麻袋を使いましたが、この麻袋がきわめて悪か
つた。こういうような原因が、吸濕の理由にな
つておるのであります。しからば、こういうようなものをなぜ買
つたというようなことを、われわれ反省いたしたのでありますが、当時といたしましては、これ以外にはデキストリンを求める方法がなか
つたのであります。当時としましては、これが最上のものであ
つたということで、余儀なく受入れをしてお
つた次第でございます。さらにいけないことには、印刷庁は、従来とも倉庫が十分ではございませんでしたが、滝野川工場の一部が戰災で燃えまして、本件のように予期しないデキストリンを格納する場合には、格納場所に非常に困難でありまして、仮倉庫に
収納した。担当の者といたしましては、もちろん十分な
注意を拂
つては参りましたが、このような
事情がありましたために、普通の程度の
注意を拂いますならば避け得たでありましよう濕度を吸収しまして、このように品質を落してしま
つたような次第であります。
もつともこのものは、品質は低下いたしましたが、製品の包装用には使い得るものでありまして、これにももちろん流用いたしましたが、さらに長
期間これを保管いたしますならば、いよいよ品質落すというおそれがございますので、当庁としても拂下げの
方針でございましたが、売沸いの
価格等について條件の折合いがつきませんで、余儀なくこれを
年度を越しまして、
検査院の御
指摘を受けた次第であります。まことにわれわれとしても遺憾と思
つておりますが、将来かかることのないように十分な
注意をする
考えであります。なお当時の責任者に対しましては、十分かかることのないようにというような、巌重な
注意を與えております。
次の取引高税印紙でございますが、これも前のデキストリンと関連を持
つております。非常に緊急な作業でございまして
——この取引高税印紙の印刷は、平版印刷でや
つておりますが、当時印刷庁では、このような種類の有価証券を、平版印刷ではや
つておりませんので、
予定価格の算出に非常に苦慮いたしましたが、たまたま日本銀行のA百円券が平版印刷にな
つておりましたので、その実績を類推し勘案いたしまして、印刷
予定価格をつくり仕上げ、
検査、封包作業の
部分につきましては、場外作業に付した切手印刷の実績を持
つておりましたので、それを勘案しまして、百面判百万枚当りインキ代五十キロ、従業員数を七百五十名と算定いたした次第であります。なおこれにつきましては、後に実績を調査しましたところ、インキの
使用が四十九キロ、従業人員が六百七十名とな
つたのであります。請負業者が提示されました印刷代金の支拂請求内訳書に記載されております平版インキの
使用量や、その従業員の人数が過大であるという御
指摘を受けたのでありますが、これは
昭和二十三年法律第百七十一号によ
つて、請負業者はきわめて詳細な内訳書を作成することにな
つてお
つたのでありますが、その書類が非常に複雑なものでありました
関係上、書類の作成に非常にふなれでありまして、会社側からはしばしば適正でない文書が出ておりまして、その都度訂正させたこともあるのであります。本件につきましても、その後御請求を受けまして調査いたしましたところ、若干の事実が判明いたしたのであります。たとえば、印刷上必要とするインキのほかに、乾燥剤や溶剤などを、インキの中に記載してお
つたというようなこともございます。それから取引高税印紙のように
——これは若干専門的になりますが、紙一ぱいにインキをつけまして刷る有価証券というものは、あまりに民間会社に例がございませんので、そうした作業のふなれなためや、インキの
使用量が多か
つたこともある。さらに印刷庁から貸與いたしております印刷の版面、用紙、包装紙の授受や、製品を搬出入しますために
使用した人員等も、印刷工と区別せずに計上してある。また当時非常に急がれましたので、製品納入を極端に急がせまして、本平ならば、経済的には貨物自動車に満載して発車すべきものを、とにもかくにも、でき次第若干ずつでも納入させたというような
事態もございまして、発車回数、従
つて従業員数が非常に増加したというようなこともあ
つたわけでありまして、こうい
つたことが、当庁の
予定価格の内訳とは、必ずしも符号しないというようなことにな
つたものと思
つております。根本的には、これは
関係書類の作成になれておらなか
つたという点ではないか、かように
考えております。個々の記載につきまして、なるほどいろいろ御
指摘がございまして、数字上でこぼこもありますが、印刷庁といたしましては、契約金額総体として、業者の見積り額を当庁の
予定価格まで引下げるように
交渉し、
予定価格と同様の契約をいたしておるのでありまして、当庁としては、契約金額そのものが、
予定価格を越えておらなか
つたという点で、一応は納得した次第であります。ただ
予定価格と支拂い請求内訳書の細部の比較を十分にやらなか
つた点は、まことに遺憾な点でありまして、この点については十分担当の者に検討いたすように申し告げました。当時の責任者に対しては、特に作業官庁の
立場におきまして、さらにこういうような
状態がないように、長官から嚴重に訓告を與えておる次第であります。
最後に四四〇でございますが、これは印刷庁が
使用上ますもののうち、パルプ及びみつまたの量が非常に厖大でございまして、この運送契約が非常に多岐にわたりましたので、その
手続を簡素化するということの結果起きた問題であります。運送事務の簡素化、運送能率の増進をはかるために、運送賃金のプール価格を計算いたしまして、これを物価庁にお諮りしまして、
〔
三宅(則)
委員長代理退席、渕
委員長代理着席〕
昭和二十三年八月二十三日、物五第五百四十号及び同年十二月十七日、物五第七百二十二号によ
つて、物価の例外
許可価格を得ておるのであります。この例外
許可価格によりまして、日本通運株式会社と運送契約をいたしたのでございますが、結果的に見ました場合には、個々別に運送契約をした方が、より安く
行つたのであるという結果を生じたのであります。これは当初の計画と実際の運搬とにおきまして、若干
事情の変更がごさいましたので、このような結果を生じたのでありまして、今後はこのような
事情変更の場合には、応急の
措置をとるようにいたしたいと
考えております。これまた担当者に対しては、長官から将来かかることのないように、厳重な訓戒を與えておる次第であります。