運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-05-29 第10回国会 衆議院 経済安定委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月二十九日(火曜日)     午前十一時三十二分開議  出席委員    委員長 圖司 安正君    理事 志田 義信君 理事 多田  勇君    理事 永井 英修君 理事 勝間田清一君       岩川 與助君   小野瀬忠兵衞君       奈良 治二君    細田 榮藏君       宮原幸三郎君    村上 清治君       森   曉君    笹山茂太郎君       森山 欽司君  出席政府委員         公益事業委員会         事務総長    松田 太郎君         経済安定事務官         (物価庁第三部         長)      川上 為治君  委員外出席者         経済安定事務官         (産業局電力課         長)      澤田  達君         專  門  員 圓地與四松君         專  門  員 菅田清治郎君     ————————————— 本日の会議に付した事件  電力問題に関する件     —————————————
  2. 圖司安正

    圖司委員長 ただいまより会議を開きます。  これより電力問題を議題に供し、特に最近の緊迫せる電力事情に関し、安定本部及び公益事業委員会より総合的電力対策について説明を聴取いたすことにいたします。公益事業委員会事務総長松田太郎君。
  3. 松田太郎

    松田政府委員 それでは私からごく輪郭と申しますか、電気事業の最近の情勢につきましてお話を申上げまして、なお足りません点その他は、経済安定本部の方からお話を願いたいと思います。  御承知のように電気事業編成の問題は、過去三年間もみにもんだ問題でございますが、昨年の暮れにポツダム政令によりまして電気事業編成令が公布施行されました。これによりまして、電気事業編成根本方針が決定されました。その方針に基きまして去る五月一日に発電送電及び配属を一貫した各独立電気事業会社が、全国地域に設立を見ました。これと同時に従来の日本発送電会社及び各配電会社は解散をしたのであります。新会社になりまして、その最もねらいといたしますところは、従来日本発送電全国を一貫して発電及び送電の仕事を行い、それから各配電会社が、それぞれ日本発送電から受けました馬力を各事業者の方に配電しておるという関係を、ただいま申しましたように九地域において縦に一貫いたしました。言いかえればそれぞれの地区における一つ電気事業会社が、発電から配電に至るまで一貫して経営することによつて、いかにしてその地区需要に合う発電計画を立てるか。それからまたそれぞれ各地域ごとに競争いたしまして、自主的にこの需要者に対するサービス改善をいかにして行くかというような点を、従来のようなあまり競争のない状態に置かずに、そういう点に各電気事業者が、それぞれの創意くふうを凝らして、電気事業の発達、これに伴うサービス改善というものに力を注ぐというところが、そのねらいでありますことは今さらに申し上げるまでもないところであります。しからば新会社が発足せられ、時あたかも日米経済協力に関するマーケット声明が発せられた今日におきまして、わが国の自立経済というものを、一刻も早く確立するということは、ますますその緊要度が増したのでありますが、この自立経済を達成いたしますためには、どうしてもそのもとといたしまして、あらゆる産業の基礎であり、また動力源でありますところの電力開発、言いかえれば電力供給を、豊富かつ円滑にするということが何よりも大事なことでありまして、そういう意味で各新会社といたしましても、今後における電源開発を、どういうぐあいにして参るかということにつきましては、現在いろいろな計画を立てまして検討中であります。また公益事業委員会としましても、経済安定本部と十分緊密な連絡をとりまして、大体の今後の行き方を考えておるのであります。御承知のごとく終戦後しばらくの間は別といたしまして、二十四年度から五年度にかけまして、特に朝鮮事変の勃発以来というものは、非常な電力需要増になつて参つております。一例を申し上げますならば、一昨年の暮れにおきましては、大体全国におきまして五百二十万キロワットくらいの電力需要でございましたのが、昨年の暮れには、六百四十万キロワットというように激増いたしまして、百二十万キロワット、パーセンテージにいたしますと、一八%くらいの増加を来しておるのであります。今後の電源開発というものをどの程度いたして参るかということについては、経済安定本部におかれまして、いわゆる経済自立審議会におかれましても、今後の需要をどの程度増加して行くと見るのが適当であるかどいうことにつきましては、いろいろ御検討になつておりまして、一応毎年の需要増を三・六%程度を見ておられる計画があるわけであります。しかしながら最近の情勢は一〇%から今申しましたように、極端な場合には一八%くらいまでも上つて参つておるのでありますから、その間の調整をどういうぐあいに考えるか。言いかえればどの程度需要増を見て参るかということが非常に重大な問題でありまして、公益事業委員会としましても、一応三・六%の線についても検討をいたしますと同時に、大体年間一〇%くらいの増を来す場合には、どういう結果になるかというような点もいろいろ検討をいたしております。この需要が毎年一〇%くらいずつ増加いたしました場合に、将来五箇年くらいの計画で、昭和三十年度くらいにおいてこれに追いつくためには、毎年どれくらいの資金がいるかというようなことにつきましても、いろいろ検討いたしたのでありますが、かりに一〇%増の需用を一応まかなうといたしましても、電源開発のためには、大体年々六百億ないし七百億円の資金が必要なのであります。またかりにその程度でありましても、結局昭和三十年度におきましては、まだ三〇%近くの電力不足するという傾向にもあるのでありまして、この辺がこの需用増に対する計画というものに対しまして、絶えず資金並びに資材の面から、これをどういうぐあいに調整して行くことが必要であるかということが問題になつて参るのであります。ただいまその理想と現実というものをかみ合せまして、一応の公益事業委員会の案といたしましては、まず資金計画を申しますと、あとでちよつと電気料金等の問題について、ある程度触れさせていただきますが、その場合に、結局電気事業の再評価をいたさなければならない時期になつておるのであります。その再評価によりまして、償却しなければならない償却費とか、あるいは他の金融機関等からの借入金あるいは社債の募集、その他見返り資金等考慮に入れまして大体六百億程度資金計画を本年度組んでおるのでありまするが、このうち約二百五十億につきましては、発送変電等改良工事、あるいは配電拡充工事というようなことを考えております。特にこのうちには、いわゆる電力ロスというものが非常に多いのでございまして、これが戦前は二〇%からせいぜい二四、五%くらいでございましたのが、戦時中から戦後にかけまして、資材不足その他の関係で、送電線その他の修理が十分参りませんでしたような関係もございまして、その他壇用という言葉を使つておりますが、盗用せられる分等をも含めますと、現在におきましては、電力のそういうロスが大体三〇%近くもあるのであります。このロスを極力減退して参るというために、本年度約二百五十億円のうちで、八十八億円くらいを見ておるのでありますが、そういつた今の送電線等改良工事も含めまして二百五十億、それから今後における電源開発工事につきましてはい従来からの継続工事と、それから本年度に入りまして新しく計画いたします新規工事等を含めまして、三百五十億というものを考えております。その大部分というものは、見返り資金によつてまかなわれることになると思つておりますが、そういうことで一応本年度六百億というものを想定いたしておりますが、電気事業会社等考えは、これをまだまだ上まわつたような計画をいろいろ検討しておるようでありますが、何分にも今申しましたような資金の面からいたしまして、どの程度におちつくかということは、今後の研究の結果にまたざるを得ないと思つておるのであります。しからばこの六百億のうち電源開発のために充てられる三百五十億によりまして、今後どういうような電力増加考えられるかと申しますと、二十七年度、二十八年度等において、新たにどの程度新規工事が予定せられるかということは別にいたしまして、今申しました資金で、従来の継続工事と二十六年度における新規工事とを今後において継続して進めて行くという前提をとりますと、昭和三十年度におきまして約百三十五万キロワットばかりの増量ができるのでありますが、それにいたしましてもやはり当時の需用を予想いたします場合に、三割程度電力不足を来たすのではないか、かような考えをいたしておるのであります。従つてこの問題につきましては、今後電気事業実態を十分健全化いたしまして、あるいは社債をさらに募集する方法を講ずるとか、将来は増資の道を考えるとか、あるいはさらには外資導入の道も開くように努めるというようなことが、今後における電気事業会社の最も大きな使命であると考えておるのであります。ころいつた電気事業会社経理健全化をはかつて参りますことが、結局今後における資金調達に役立ち、言いかえれば電源開発に力を注いで行ける理由であるのでありますが、御承知のごとく今日の電気事業会社と申しますものは、いわゆる資産評価法による再評価を、電気事業編成令によりまして新会社ができますまでは、法律の上で禁ぜられておつたのであります。言いかえればそういう禁止の道がなければ、他の事業会社と同様に、もつと早くから再評価方法考えまして、特に電力のような固定資産の非常に多い事業におきましては、これに必要な減価償却を前々からいたしまして、少くとも現状の施設をそのまま持続して行くということを、考慮しなければならない問題だつたのでありますが、先ほど申しましたような法令上の禁止規定もございまして、結局新会社ができるまでは再評価を行うことができなかつたのであります。そこで今度五月一日を期しまして、新会社が発足せられると同時に、この再評価の問題が、各会社とも非常な関心事になつて参りました。もつともその時期をいつにするか、あるいはどの程度評価するかということにつきましては、これはそれぞれの新会社首脳部考えによつて行わるべき問題でございますが、かりにこの九つ会社の全体の現在の資産帳簿価格で表示いたしますと、約三百三十億になつておるのであります。これを再評価法によつて許される最高限度まで再評価をいたしますと、約三千八百億円になるのであります。倍率は十一・五倍ということになるのであります。ところがこれに対する償却を、しからばどの程度やれるかと申しますと、定率法によりますと、約二百四十億程度償却ができることになるのであますが、これが現在再評価を行わない場合におきましては、わずか二十億から、二十四、五億程度しか償却ができない。言いかえれば従来日発及び旧配電会社の総収入が、総計二十五年度等は八百億ほどございましたが、そのうちでわずかに二十億前後のものしか償却をしていない。言いかえればみすみす資本の食いつぶしをやつて参つたというような状態でございまして、この点をどうしても、健全な新会社経理状態を達成いたしますためには、再評価法によりまして、どの程度評価をいたし、どの程度償却するかということは、これは先ほど申しましたような意味で新会社の判断すべきところでありますが、いずれにいたしましても、この再評価をいたしまして、償却を相当見積りましで、いわゆる自己資産の蓄積というものに振り向けねばならぬということが、一つの大きな問題なのであります。この問題が最近特にこの電気料金値上げの問題として、いろいろ問題になつております本質の、一番大きな点だと考えているのであります。そのほか修繕費等につきましても、最近のように鉄鋼でありますとか、セメントでありますとかいうような、資材の非常な値上りというような点からいたしまして、修繕費等の金額が相当上昇する見通し、それからまた石炭費などにつきましても、たとえば二十五年度におきましては四百九十万程度石炭をたいておりますが、先ほど申しましたように、年々激増いたします需要に対処いたしますためには、やはり石炭を相当たかなければならぬのであります。今日のようないわゆる豊水期に近いときにおきましても、相当量石炭をたいているのであります。二十六年度計画につきましては、六百二十万トンくらいの石炭をたかざるを得ぬのじやないかというような見通しであります。またこれに対する石炭の単価というものが、御承知のように従来は一トン三千三百円でありましたものが、最近の傾向では四千百円、さらにそれを上まわるというような状況にもなつて参つておりまして、その石炭費増加の問題、あるいは人件費の問題、これは御承知のように本年初めに中労委の裁定によりまして、電力事業従業員の方々の賃金ベースというものが、従来八千五百円ベースでありましたのが、一万二百円ベースに上つているというようないろいろな点がございまして、ここに電気料金の値上のやむを得ないという本質があるわけであります。しかしながらこの電気料金の問題につきましては、公共事業令によりますれば、あくまでこれは電気事業会社の方でそれぞれ必要とする料金改訂委員会に申請いたしまして、委員会といたしましては、それを公聴会等にかけまして、十分需要者側の意向を反映するようにいたしまして、適正なところに結論しなければならぬのであります。従つて世間で七割何分とかいろいろな話は出ておりますけれども、そういうことはいまだ何ら決定したものではないのであります。新会社がいずれ、最近の情勢では電気料金改訂の申請が出て来るとは思つておりますが、その際に今申し上げましたような観点だけは中心に置きまして、電気事業者並び消費者の間の利害関係調整というものを、いわゆるレギユラトリー・ボデー、公益事業委員会としては考えて参らなければならぬと考えておりますが、そういつた電気料金の問題を、先ほど申しました意味で、新会社経理実態を健全にして行く。言いかえれば、世間ややもいたしますと、この電気料金値上げによりまして、いかにも電源開発工事をその料金収入によつて行おうというような考え方ではないかという疑いを持つて見られているようでありますが、あくまでもこの料金改訂中心というものは、新会社経理内容健全化いたしまして、先ほど申しましたような資本の食いつぶしにならないように、そういう点を健全化いたすことが中心になるのでありまして、それによつて第二段の策として資金調達を容易にして、そしてその上で電源開発をやつて参りたい。こういうようなねらいにあるのであります。  以上が新会社が発足いたしまして、特に新会社といたしまして、その性格上今後の電源開発の問題、あるいは特に最近に問題となつております電気料金等の問題につきましての一応のアウト・ラインでございますが、なおその他の点につきまして、言い足らざるところその他は、御質問に応じまして、お答えできる範囲でお答えいたしたいと思つております。
  4. 圖司安正

    圖司委員長 次は澤田説明員より説明を聴取いたします。
  5. 澤田達

    澤田説明員 安本電力課長でございます。ただいま最近の電力事情につきまして、大体の方向、問題点については御説明が盡きていると思いますが、ややこまかい点、特に産業局といたしまして、産業電力不足の点について若干補足いたしまして御説明いたしたい、かように存ずる次第であります。  先ほど御説明の中で需要の点と開発不足の問題に触れておりますが、その数をややこまかく申し上げますと、先般一応の結論を見ました自立経済計画需要供給とは、いかような関係にあるかと申しますと、自立経済計画による二十六年度需要見通しと、実際に二十六年度実施見通し計画とにおいて若干の食い違いが生じまして、大体自立経済計画見通しを立てましたときよりも、おのおのの部面について若干の伸びがございました。その伸びを加えまして、いわゆる自立経済計画の一部見通し改訂による需要をとりまして、需要供給とを見ますと、たとえて申しますと、二十六年度におきましては、石炭においては四千四百万トン程度鉄鍋におきましては、鋼材四百万トン程度、アルミニユームにおきましては三万六千トン程度セメントにおいては五百五十万程度、硫安におきましては九十一万程度、繊維におきましては七億ポンド、人絹、スフにおきましては三十九万ポンド等々の、自立計画よりもやや上まわつた生産見通しによる需要を積み重ねまして、六百億円の計画による建設計画とこれとの需要不足率を見ますると、二十六年度におきましては、平水といたしますと約一割程度、三十年におきましては一二%程度不足になつております。なおこの目立経済計画よりもさらに大きな需要につきましては、公益事業委員会の方で御査定になり、御検討なさつておる数値によりますと、三十年度においては二五、六%ないし三〇%程度不足というような数も出ておるようでありますが、自立経済といたしましては、今申しましたようなことでございます。そこで安本といたしましても、資金の点、資材の点、工事力の点、電気事業の再編成後の実施の面における能力等々を勘案いたしまして、二十六年度、最低これだけは建設工事をしなければならないという案を練りつつございますが、それが先ほど公益事業委員会の方から御説明のあつた六百億と、ほぼ一致しておるわけでございます。そのややこまかい数を申し上げますると、水力継続といたしましては、十七箇地点、完成いたしますときに三十三万キロ、それから二十六年度新規に着工いたしますのが二十箇地点、これが完成いたしますと、四十九万九千キロ増加いたすわけであります。これを合せまして、水力におきましては八十三万四千キロ、これに火力といたしましては、継続いたしておる工事が、五箇地点で十四万五千キロ、新規火力の増設をいたしますものが、十箇地点で、完成いたしますと三十九万五千キロ、火力の合計が、十五箇地点で五十四万キロ、火力合せますると、継続新規を合せまして五十二箇地点、約百三十七万キロという建設工事計画いたしておるわけでございますが、この所用資金の三百五十億のうち、見返り資金からは百五十億がほぼ決定いたしておるわけでございます。これにさらに百億を加えまして二百五十億の見返り資金を現在予定いたしておる次第でございます。見返り等からは、まあ二百五十億が、今のところ精一ぱいであろうと存じまするので、自己資金調達等につきましては、先ほど公益事業委員会から御説明のあつた通り、電気料金等の善処によりまして、自己資金調達をぜひともはからなければならないということは、安本といたしましても、まつたく同じ考えをもつておる次第でございます。これは自立経済計画に対しまする今後の開発についてでございますが、当面いたしまする需給につきましては、二十五年度においては大体四百億キロワット・アワーの電気を発生いたした次第でございますが、これは二十五年度が二十四年度に引続く非常な豊水であつたためでございまして、二十六年度かりに平水といたしますと、四百億を割りまして、三百五十億になるかもしれぬ次第でございまして、二十六年度当面といたしましては、非常に自立経済上必要な電気不足を来しまするので、この見通しに基きまして、割当制度に対しましては、安本といたしましては、現在の割当制度を十分検討いたしまして、最も合理的な数値割当できますように検討いたしておる次第でございまして、割当制度権限問題等につきましても、公益事業委員会と打合せをいたしまして、意見が十分一致した線で改訂せらるべき合理的な割当制度を、二十六年度続行いたしたい、かように考えておる次第でございます。開発計画のこまかい数と割当制度の権限問題について若干補足いたしまして、御説明を終りたいと思います。
  6. 圖司安正

    圖司委員長 以上の説明に対し、質疑があればこれを許します。多田勇君。
  7. 多田勇

    多田委員 ただいまいろいろ詳しいお話がございましたが、二、三の点についてお伺いいたしたいと思います。それはまず第一に、電力編成後の実施状況は、産業の構造並びに電力融通の上にどのような影響を及ぼしているかという点でございますが、産業立地條件の重点が、電力を基本にして組み立てられておりました関係上、再編成後に各電力会社電力割当等関係上、立地條件意味が相当程度失われて来たというような状態になつておりますけれども、これらの点について再編成されます当時に、各電力会社電力量の割山三等について、どのような考え方電力量割当をいたしておつたかというような点について、具体的に御説明願いたいと思います。
  8. 松田太郎

    松田政府委員 電気事業の再編成のねらいが、先ほど申しましたように、各九地区におきまして発電送電配電を一貫いたしまして、この経営に当りまして、いわゆる電源開発、言いかえれば電力供給を豊富にする、これにつきまして、あくまでそれぞれの会社自己の責任において、あらゆる創意くふうをこらしてこれに当るというような点は、先ほどもちよつと申し上げたのでありますが、今回再編成にあたりまして、そういう点についても、法律的に申しましても、また実際の点から申しましても、いろいろな考慮が払われておるのであります。と申しますのは、本来この電気事業会社をそれぞれ九つにわけました趣旨というものは、どこまでもその地区におきまして、新会社が、その創意くふうによつて電力供給をふやす、そうして電源開発を、いよいよ豊かにしおくというためには、その地区における新会社経理面健全化が必要である、言いかえれば独立採算制によりまして、それぞれの地区において、電力需給関係調整をはかつて行くという点にあると思うのであります。しかしながら従来日本発送電におきまして全国一貫して発電を行い、各配電会社関係におきましても、電力供給あるいは料金問題等につきまして、それぞれプール的な考え方でやつてつたのでありますから、それを新会社ができたとたんに、一挙にその考え方を根本的に改めるということになりますと、自然お話のように、従来の各産業立地條件等から申しまして、非常な支障を来すということに相なりますので、この電力割当につきましても、それぞれの地区特殊性は、地区別考えて参りますが、しかしながらどうしても足りない点につきましては、たとえば九州の電力不足に対しては、中国から電力融通する、また中国不足に対しては、関西から馬力融通をする、また関西不足に対しては、北陸地区から電力融通をするというような、一例でありますが、それぞれ電力融通契約というものを法律上も結び得ることになつておりまして、また現にその融通契約というものを、新会社会において契約の取りきめをいたしているのであります。  またいろいろな天候の変化その他不慮の障害のために、そういつた融通契約だけでは電力調整が不十分であるというような場合には、従来日本発送電には配電指令士というものがあつたのでありますが、今度は電力融通のための緊急な措置をとる意味での配電連絡所というものをつくりまして、そこにおいて常に時々刻々の電力需給関係の報告をとつておりまして、融通契約だけでは十分補えないという場合には、その配電連絡所と申しますか、そこから常に電力緊急事態に即した融通命令を、相互間の自主的な申合せによりまして行い得るようにいたしているのであります。さしあたりのところは今申しましたような措置で、電力の各地区における割当に対して、従来とさしたる変化がないように考えておりますが、先ほど申しましたように、いつまでも甲の地区は乙の地区から電力融通を受けておる。言いかえれば、せつかく電力が豊富に出るにかかわらず、その電力を他地区融通しなければならぬ、本来その地区電力供給をして、そこで産業を起さなければならぬにもかかわらず、今申しましたような結果になつており、また同じようなことが電力料金地域差の問題についてもいえるのでありますが、九州でありますとか、あるいは関西でありますとか、関東でありますとかいうような、どちらかと申しますると火力発電に依存しておるようなところに対しては、水力地帯に置かれておりまするところの会社から、ある程度料金の補給をしておるというような建前に、現在は法律上もなつておるのであります。本来安いコストで電気が出るにもかかわらず、その出た電力並びに料金に関する補給金を、他の会社の方に出さなければならぬということになれば、どうしてもおのずから新会社としての努力に、だんだんと熱意を失つて来るような結果にもなりますし、また受ける方の側とすれば、やはりいつまでも旧態依然として、電力不足すれば他の地区から電力がもらえる、また料金が高くつけば、安い料金になるように他の地区から補給金をもらえるというようなことで、いつまでも他に依存するというようなことでは、本来の使命を果す上に不都合であるというような点もございます。従つてこの電力融通の問題でありますとか、特に電気料金地域差の調整等の問題につきましては、遠からず、だんだんと廃止して行く方向に向いて行かなければならぬと考えておるのであります。そうして本来電力が豊富であり、かつ低廉であるところに、今後の産業の立地問題は取上げられて行くべき性質のものではないか、かように考えておるわけであります。
  9. 多田勇

    多田委員 理論としては非常に筋の通つた理論なんですが、現実の問題としまして——たとへば、再編成後に、会社同士の融通契約があるために、電力需給調整が非常に困難だ、たとえば一つ地区電力会社が、降雨事情その他によつて電力不足したというような場合でも、連絡所から融通命令を出すというようなお話でございますが、はたしてその融通命令が円滑に遂行できるかどうか。これはただいまお話のように、各会社がお互いの創意工夫によつて独立採算制をとるということを基本に考えておるというような現在の行き方からすれば、融通契約があるために、各地域によつて電力需給状況が非常に偏頗になる。その結果は、せつかくの産業が相当大きな影響を受けるというような結果になるだろうと思うのでありますが、ただいまお話連絡所を通しての融通命令、これがどの程度に円滑に行われておるか。その結果、各地区別電力供給が、大体需用に対して公平にされておるかどうか。こういつた点について、現在の状況を御説明願います。
  10. 松田太郎

    松田政府委員 その点につきましては、結局現在の電力割当が公正妥当に行われているかどうかという点に帰結すると思うのであります。結局送られて参りました電力を、はたしてその割当の線に沿いまして供給できるようになつておるかどうかというところに、先ほどお話申し上げましたような各社間の電力融通契約の問題があります。それからまた融通契約だけでは十分に完全な供給がむずかしいというような場合には、今申しましたような給電連絡所というようなところが、その個々の場合の調整に当るようにいたしておるのであります。要するにこの点につきましては、従来の日本発送電でやつておりましたような線に沿いまして、北海道、四国を除きました各七会社のそれぞれのそういう方のエキスパートが集まりまして、この給電連絡の事務を扱つておるのでありますが、それはどこまでも第二次的なものでありまして、第一段としては、今の融通契約の問題によつて解決せざるを得ないことになつておるのであります。これにつきましては、何分にも新会社発足間もないことでありますので、仰せのごとく今日において完璧とまでは言えないと思うのでおりますが、それぞれの会社ができるだけの努力をただいまいたしまして、その間の調整に力を注いでおりますので、この点は時を経るごとに改善されて参ると思うのであります。しかしながら、どこまでもポイントは、今お話電力割当が適正であるかどうかという点にあると思うのであります。これにつきましては、公益事業委員会といたしましては、大体一年間の想定、各四年期の想定、さらに毎月の想定というものを、たとえばこの二十六年度につきましては、二十五年度の末に一応とつたのであります。しからばその後毎月の電力割当をどういうぐあいにするか、毎月の電力供給力をどう見るかということにつきましては、今申しました年度を通じての、あらかじめの想定計画はございますが、必ずしもその想定計画によらずに、月々の水の状況でありますとか、あるいは石炭状況でありますとか、そういうような点を加味いたしまして、極力電力供給を多くするように考えております。もちろんこの供給力につきましては、一応公益事業委員会として責任があるわけでありますが、安定本部あるいは通産省その他ともいろいろ打合せをいたしまして、その電力供給力を毎月どう見るかということをきめておるのであります。そのうちで、たとえば電燈に対する電力をどういうぐあいに割当てるとか、それからまた電力に関しましても、三千キロワット未満の、いわゆる大口、小口等の電力需用者に対する電力割当をどうするかということにつきましては、少くとも現在におきましては、一定のそういう割当を算出いたします方式がございまして、その方式に従つていたしておるのであまりすが、問題は三千キロワット以上の、つまり特別大口電力需用者に対する割当をどうするかということが、今後の産業界における最も重大な点であると思います。これにつきましては、何と申しましても産業政策全体をにらみ、常にその計画を立てておられるところの経済安定本部が最も責任を持つて考えられる部面でございますので、その産業政策に応じて、今月はどういう部門に対してどれだけの生産をふやさなければならぬか。それにはどうしてもどれだけの電力がいるという意味での電力割当につきまして、言いかえれば特別大口電力割当に対しましては、経済安定本部でおきめになりました線に従つて公益事業委員会としては現実の割当をいたしておるのであります。その場合に割当量というものはどこまでも、いわゆる標準も力料金をもつてあがない得るところの電力量をいうのでありまして、それ以上に電力をお使いになるという場合には、いわゆる火力料金と申しますか、特別料金と申しますか、相当高い料金電力を買わなければならぬというような関係になつて参りまして、従つてその辺の電力割当の制度を、従来のような方針を今後も貫いて行くことがいいか、あるいは今後そういう点についても改正をいたしまして、電力割当並びに料金等の関係において、さらに再検討をする必要があるのじやないかというような点は、先ほど経済安定本部の方からも御説明のあつたところでありますが、いずれにいたしましても今申しましたように、各新会社といたしましては、いやしくも割当てられました電力については、極力その供給に遺憾のないように努力はいたしておりますが、何分にも発足早々の点で、十分に参らぬ点はあると思うのであります。その点は今後の努力にわれわれもまたなければならぬ。またそういうように委員会はもちろんのことでありますが、国会初め各方面からそういう点について強くおしかりをいただく必要があるのじやないか、その点は私も考えております。
  11. 澤田達

    澤田説明員 ちよつとその点補足申し上げます。融通につきましては時々刻々の融通と、あるいはある月は非常に渇水に陥つた場合の融通問題があるかと存じます。これについては亦御説明があつた通りでありますが、もう一つの問題といたしましては、各地区のわくが需給計画がきまりまして、それに伴う地区融通量がきまるわけであります。その関係について割当等の点について若干御説明申し上げます。  二十六年度需給計画は、先ほど御説明があつた通りに決定されたわけでありますが、その際に三千キロ以下の動力及び電燈等につきましては、所定の基準がございまするので、それが所要量は機械的に算出できるわけでありますが、その上に乗つかる各地区の三千キロ以上のわくがどうであるか、その各地区の三千キロ以上の割当のわくを乗せた量によつて地区融通量というものがきまるわけであります。この三千キロ以上のわくをいかように決定したかと申しますと、大体各地区の三千キロ以上の需用家の実績、特に特需等も考慮いたしました実績、それから三千キロ以上の各地区需用家の契約界量、それから申請量、この三つの要素を考慮いたしまして、三千キロ以上の各地区のわくを算定いたしまして、これは公益事業委員会と十分技術的にも打合せをいたしまして決定したわけであります。決定いたしまして、それに伴つて地区間の融通する量が決定せられたわけであります。しかし年度計画は毎四中期、毎月改訂せられることになりますので、過渡期におきましては特に三千キロ以上の需用を十分検討いたしまして、三千キロ以上のわくを、地区的にも毎四年期毎月検討改訂をいたしまして、それに伴つて融通の量も十分検討せられた上改訂せられることと存じます。ただ将来のことについては、今公益事業委員会等からもお話がありましたような線に行かざるを得ないかと思います。
  12. 多田勇

    多田委員 再編成なつたために不円滑になつたというようなことのないように、再編成全部がいろいろな問題があると思いますが、御努力願いたいと思います。そこでただいま公益事業委員会並びに安本からお話のありました将来の点についての問題でございますが、これは非常に大きな問題だと思います。ただいま割当その他の統制は継続して行きたいというお話でありまするけれども、しかし電力会社が個々に独立しました以上は、その会社自体があらゆる家庭の需用者に対するサービスはもちろん、その会社自体の独立採算制をとるための努力をし、現実に独立採算性をとるための線に向つて行くということのために、将来は各会社相互の融通というようなものも廃止して、その会社発電能力の範囲内において、電力供給する線に向つて行こうというようなお考えのようでございます。そういたしますと一番最初に御質問申し上げましたように、電力という大きな立地條件によつて日本の産業構造ができ上り、その後さらに日発等によつてその分布状態がかわつて参りまして、再び発電能力のある地域産業構造ができ上るというような形になると思いますが、大体先ほど来のお話では、三十年度においてすら、安本の見解では一二%、公益事業委員会見通しでは三〇%程度電力不足をする見通しだというような状態であるにもかかわらず、各会社相互間の融通も廃止するし、各会社自体の発電能力によつて、その会社供給範囲内の電力をまかなつて行こうというような考え方を将来持つておられるということでございます。大体そういつた形になるのは、要するに電力割当が廃止されるといいますか、統制が廃止されるといいますか、そういつた時期はいつごろに見込まれておるか、その点についてお伺いいたします。
  13. 松田太郎

    松田政府委員 電力の統制と申しますか、割当を廃止する時期はいつであるかということは、非常にお答えしにくい問題でございまして、正面に申しますれば、たとえば現在各電力会社から、いろいろ電力料金の改定等の問題について、内々委員会の方にその原稿と申しますか、仮案というようなものを出して参つておるのでありますが、そういうような点を調べてみますと、電気会社の間におきましては、たとえば電気料金というものを、今後の電力の使用料に応じまして、一定以上使用する場合には、電力料金をふやして行くというような考え方によつて、いわゆる割当を廃止して行きたいというような考え方を持つておる所もあるようであります。しかしながらこの問題につきましては、先ほど申しましたように、かりにそういう正式な案が出ましても、委員会としても、経済安定本部その他と十分な連繋をとりまして検討しなければならぬことはもちろん、聴聞会等におきましても、各事業者その他国民一般の方々の御意見を十分考えなければならぬ問題であります。しかしながら大局的に申しまして、日米経済協力というような強い線が発表せられておりまして、この電力供給というものを極力ふやして行かなければならぬということはもちろんでありますが、しかしながら先ほど来申しましたような、かんじんな資金の問題あるいは資材の問題、特に資金の問題は一番重要な点であると思います。この資金調達ということが、各産業を通じで同じことと思いますが、この電力事業におきましても御多分に漏れず、非常に困難な状況なのであります。これが料金改定の必要性を唱えられる一つのゆえんとも考えられるのであります。従つてそういつたような資金計画等の今後の推移によりまして、電力供給力がはたして安定本部のおつしやるようなぐあいに進んで参るかどうかというようなことについても、これはいろいろ検討しなければならない問題もあるのであります。しかしながらいずれにいたしましても、現実の問題といたしまして、電力需給関係が逼迫しております今日において、電力割当をただちに撤廃するということは、とうてい許すべきことではないであろうと私は考えておるのであります。従つて今後電力需用に呼応しまして、資材資金等の面もだんだんと目鼻がついて、電力供給との間にさほどの開きがないというような時期が参りますれば、自然今言つた電力割当電力統制というような問題につきましても、おのずから問題は解決せられると思うのでありますが、少くとも現状においては、もちろんここ数年というものを今から考えまして、いつ電力割当が廃止せられるかということについては、ここでお答えはいたしかねると思うのです。要するにくどいようでありますが、現状におきましては電力割当制というものは、国家全体の見地から見まして、非常に困難なことである、かように私としては考えております。
  14. 多田勇

    多田委員 遠い将来の理想として一応伺つておきます。それから私ども電力行政の権限の問題について、とかくいろいろな話を聞いておりますので、公益事業委員会経済安定本部、あるいは電力料金につきましては、公益事業委員会物価庁、この間の権限の問題がはたして円滑に解決せられたかどうかという点が、非常に大きな問題になつておるようであります。ところがただいま公益事業委員会並びに経済安定本部の方々のお話でお伺いいたしますと、それぞれ連絡をとつておられるということで、非常にただいま委員会でのお話は、スムーズに、お互いに譲り合つておるようでありますが、はたして電力行政についての権限が明確になつておるかどうか、公益事業委員会経済安定本部との関係がどうなつておるのか、あるいはまた経済安定本部電力需給計画の立案並びにその実施上具体的にどういうような権限を持つておるのか、またどういうような処置がとれるのか、あるいはまた現にどういうような方法をとつておるのか、あるいはまた公益事業委員会が、現に遂行しつつあるいろいろな措置は、経済安定本部考えておるところの産業経済策の遂行上に支障はないかどうか、あるいはまた支障があるとすれば、どのような点が支障があるのか、あるい場はまたその改善についてどういうような対策をとろうということを、経済安定本部考えておるのか、それからいま一つは、電力料金の問題でありますが、日本の物価政策上、価格というものを物価庁一本で行くという措置が今まで強くとられて参りましたが、電力料金につきましては、公共事業令によりまして、たとえば先ほど来お話がありましたように、各会社の申請に基いて、公益事業委員会が適切安当な料金をきめるということになつておるのでありますが、この料金の決定について、物価庁との関係はどういうような関係になつておるのか、物価庁自体としてはこのような電力料金のきめ方、すなわち国民の生活に非常に大きな影響のある料金、日本の価格政策に重大な関係のある電力料金というものを物価庁から切り離して、日本の価格政策が遂行できるという自信を持つておるかどうか、その点についてそれぞれ係の方から御説明願います。
  15. 松田太郎

    松田政府委員 まず第一に、電力割当の問題につきまして、経済安定本部公益事業委員会との関係から申し上げますが、御承知のように電力供給力をいかに見るかということは、絶えず水の出方でありますとか、あるいは石炭の入手状況でありますとかいうような点を考えまして、これを決定しなければならぬ問題でありますので、これにつきましては、公益事業委員会としてその責任を持つておるのであります。しかしながらこの点につきましても、経済安定本部におかれても、絶えず電力需用関係から見まして、どの程度供給力を考えてもらわぬと因るという御意向は常にあるのでありまして、従つて毎月具体的に、その月々の電力供給力をどういうぐあいに見るかということにつきましては、経済安定本部その他の関係省の御意向というものも、できるだけ反映するようにいたしております。しかしながらあまりにそのわくを多くめ認た結果、途中において、あるいは緊急措置を講じて電力の制限をしなくちやならぬというようなことになりましても、消費者の方に非常に迷惑をかけるのでありまして、従つてその電力供給力をどういうぐあいに見るかということが、いつも経済安定本部等と御相談をいたして参ります上において、絶えず議論の焦点になり、お互いに検討して決定しなければならぬのであります。その点が一番の根本の問題になると私は思つておるのであります。しかしながら今日までにおきましては、その点につきましては、経済安定本部その他の関係省の御意向等も十分反映してきめておるつもりであります。さてそこで、その供給力ができました場合に、先ほど来お話申し上げしまたように、いわゆる電燈の関係でありますとか、あるいはビルデイング等の業務用の関係とか、あるいは進駐軍関係の電燈とかいうようなものをどういうぐあいにはじき出すか、それからまた三千キロワット未満の大口、小品等の動力関係電力を、どういうふうに割当てるかということにつきましては、少くとも現在におきまし部は一定の質定方式がございまして、それによつて自然きまることになつているので、その点は大した議論の余地はないのであります。要はその全体の供給力から、今申しました電燈並びに三千キロワット未満の動力に充てる電力を除きました残りが、いわゆる特別大口電力と申しております三千キロワット以上の電力消費者に対する割当のわくになるのであります。このわくの範囲内において地区別に、どういうぐあいに各需用家に対する電力の配分をしたらいいかということは、あくまで産業政策全体をにらまれ、そしてそのときそれにおける優先的に電力割当をしなければならぬ産業方面を、どういうぐあいに考えるかということにつきましては、経済安定本部が当然お考えにならなければならぬ問題でございますので、その点は経済安定本部の策定せられました結論に、公益事業委員会としては従つておるのでございます。これをまた公益事業委員会といたしましても、ある程度の意見がございます場合には、率直に経済安定本部の方にもお話を申し上げて、その間の調整もお願いしておるのであります。いずれにいたしましても、建前といたしましては、簡単に申しますれば、電力供給力をどうするかということは、公益事業委員会が最終の責任を持ち、それからまた特別大口電力割当をどうするかということの最終責任は、経済安定本部が持たれる。しかし実際問題としては、その間事務的には絶えず御連絡をいたして、月々の計画量というものをきめておる、こういう関係に相なつておるのであります。  それから第二の電力料金の権限の問題でございますが、この点につきましては、物価庁とせられましても、いろいろ御意見はあると思うのでありますが、まず公共事業令等の法律的な見解と申しますか、公共事業令の生まれた精神から申しますと、電気料金あるいはガス料金のような、いわゆる公益事業としての料金については、単に政府の方で一方的に決定をすべきものではなくて、どこまでも新会社がどういう料金を必要とするかというその前提に立つて申請をして、それに対して公益事業委員会というものは、独自の判断できめるのでなしに、聴聞会等を開きまして、各需用者の意向を十分反映する道を開く。それからまたきまりました料金に対しましても、さらにその料金の認可に対して不服のある方々は、いつでも公益事業委員会に対して異議の申立てができるというように、公益事業であるだけに、その料金の認可と申しますか、決定にあたりましては、十分国民の総意が反映し得るような道を開いておるのが、この公共事業令の精神でございますので、そういう点で先般司令部のマーカット局長からのメモランダムも出まして、その権限につきましては、公益事業委員会にあることを明瞭にされたのであります。しかしながら、ただいま仰せのごとく、電気料金というものは、あらゆる産業の基礎になる価格でありまして、従つてこの電気料金改訂いかんということが、自然あらゆる物価にも大なり小なり影響を与えて来るわけであります。従つてそこにあるいはインフレを助長する問題とか、そういうような問題も出て参ります。従つてこの物価全体を見ておられるところの物価庁としての御見解というものを、十分公益事業委員会としても伺つて、認可案もつくらなければならぬのでありまして、そういう意味では、先般来公益事業委員会の委員も、本院並びに参議院のそれぞれの委員会にも出席しまして、また物価庁の方からも責任者がおいでになりまして、両者の間において、事務的に十分緊密な連絡をとりつつ、その間の調整をはかつて参るということについては、御確約ができておるようなわけであります。そういう意味で、一応権限といたしましては、電気料金等につきましても、公益事業委員会にあるということにはなつておりますが、その実際の運用にあたりましては、物価政策全体をにらんでおりますところの物価庁の意見は、十分伺つて遺憾なきを期して参りたいと考えております。
  16. 澤田達

    澤田説明員 電力課長として御説明申し上げますが、割当につきましては、御承知のように、従来は安本の設置法に基く訓令である安本訓令、電力需給調整要領というものに基きまして、通産省が電気事業法を根拠といたしまして、通産、安本共同省令による電力需給調整規則というものをつくつて割当並びに制限を実施しておつたわけでございまして、安本におきまして供給力並びに各部門別、産業別等の割当の基本計画を定め、これに基いて通産省電力局において割当実施しておつたわけでございます。今般公共事業令の五十六條に、公益事業委員会公益事業委員会規則で需給調整ができるように規定せられ、それに基きまして三月十四日付の公益事業委員会規則が出まして、それの第三條で、安本公益事業委員会の決定いたしますところの地区別、月別の特別大口の総わくの範囲内において産業配分をするというふうに、法規上はつきりいたした次第でございます。またこれらの規則が出ますにつきましても、公益事業委員会との間においてはいろいろ討議を重ねて来た次第でございますが、要するに今後の実際の運用におきましては、今公益事業委員会の方から御説明いたしました通りに、安永がある限り、また電力不足しておる限り、アロケーシヨンを続けておる限り、安本といたしましては、公益事業委員会の定められたわくをそのまま受取つて、アロケーシヨンすることは不十分でございますので、三千キロにわくのきまる前の総供給力、並びに三千キロ以外のものに対する割当についても、事前に事務的には十分打合せ、検討をいたしまして、両者の十分に意見の一致した点で運営せられるように、今後とも十分注意もし、また努力も重ねて行かなければならぬと考えております。
  17. 川上為治

    ○川上政府委員 料金の決定の権限につきましては、先ほど公益事業委員会事務総長からお話があつた通りでありまして、去る十八日に司令部のメモが出まして、権限の所在についてはつきりされたわけであります。しかしながら、先ほどお話がありましたように、物価庁の全体の価格政策上から考えまして、物価庁はそれに対しまして全然タッチしないでよろしいかというような問題につきましては、すなわち物価政策全体から見まして切り離してよろしいかというような点につきましては、これまた公益事業委員会の方からお話がありましたように、私どもの方としましては、絶対に切り離し得ない、公益事業委員会の方がお考えになつておる以上に非常に強くこの問題については切り離し得ないと考えておるのであります。しかしながら、先ほど申し上げましたように、十八日に法律上の権限の所在につきましてのはつきりしたメモが関係筋から出ましたので、私どもといたしましては、少くともポツ勅の解釈につきましての最高の権威は、司令部と関係筋だと聞いておりますので、物価庁としましては、それに従わなければならないというふうに考えておるわけであります。ただこの機会におきまして、私どもの方としましては、法律的に見ましても、また実際上から見ましても、物価庁が少くとも主になり、あるいは共管の措置によりまして、この電気料金の決定につきましては実施すべきであると考えました理由につきまして、若干この機会に申し上げておきたいと思うのであります。法律の問題につきましては、あまりくどくどしく申し上げたくないのでありますが、要するに戦後におきまして、物価統制令が順次に立法施行せられましてから、米価にしましても、あるいは鉄道運賃につきましても、その他すべての価格あるいは料金につきまして、物価庁で集中的にこの統制令によつて実施をしておるわけであります。すなわち物価統制令の第七條によりまして、他の法律を指定しますと、その指定されました法律による認可なり、あるいは指定の権限は、すべて物価庁長官の方に移つて来ておるわけでありまして、先ほど申し上げました米価とか、運賃、あるいはタバコとか、鉄鋼とかその他のものは、すべて現在物価庁に集中行政されておるわけでありまして、電気事業法に基く電気料金にしましても、あるいは瓦斯事業法に聴きますガス料金にいたしましても、すべて従来は物価庁へ一本に集中されて実施されて来たわけであります。ただきわめて重要な大きな問題、すなわち米価でありますとか、あるいは鉄道運賃でありますとか、そういうものにつきましては、これは両省の共管、すなわち鉄道運賃につきましては、運輸省と物価庁との共管、米価につきましては農林省と物価庁の兵曹というような措置でやつて来たのでありまして、少くとも物価統制令はきわめて緊急な臨時的な立法であるというふうに考えますと、当然公共事業令ができましても、電気料金あるいはガス料金につきまして、共管の措置をとることは、何ら法律的にも問題にならないじやないかというふうに考えていたわけであります。またこの公共事業令によります聴聞会とか、その他民主的な機構につきましても、物価統制令との関係におきましては、法律上別に矛盾するわけでも何でもない。またそういう機関につきましては、十分共管の措置をとりましても活用できるというように、私どもの方では考えていたのでありまして、これらの点につきましては、日本政府部内その他におきましても、われわれの考え方に対しまして相当賛成していた向きもあるわけであります。しかしそういう法律的な問題は別にしまして、実際上の問題からいいますれば、物価庁を除きましては、全体的な価格政策というものを除きましでは、電気料金にしましてもガス料金につきましても、おそらく決定できないのではないかと考えられるのであります。すなわち電気料金の原価であります、たとえば石炭代でありますとか、あるいは鉄の価格をいかに見るか、あるいはセメントの価格をいかに見るかというような問題につきましては、その点につきまして最も精通しておるのは物価庁でありまして、今後石炭の価格がいかになるであろうか、またいかになるべきか、あるいはセメントの価格がいかになるべきかというようないろいろの問題につきましては、最も物価庁が詳しく知つておるとわれわれは考えておるのであります。また他の産業に及ぼす影響につきましても、電気料金の問題はきわめて重大な問題があるわけでありまして、たとえば特に化学産業、すなわち硫安とか、ソーダとか、そういうようなものに及ぼす影響、それからまた非鉄あるいは電気製錬というようなものに及ぼす影響につきましては、非常に大きな問題があるわけでありまして料金なり価格なり、そういうものはすべて現在物価庁が集中的にやつておることを考えますれば、そういう実質的な問題からいいましても、物価庁がこれに対しましては非常になかん計を持ち、関心を持つていなければならないのでありまして、今申し上げました実質的な点からいいますと、この電気料金決定につきましては、物価庁、すなわち価格全体を行政上ておりますところに全然関係なくということでなく、これの意向を十分考えていただかなければ、おそらく電気料金なりガス料金の決定ということはできないのではないかというように、私は考えるのであります。従つて法律的にも実際的にも、むしろ私どもの方としましては電気料金、ガス料金の決定権限につきましては、物価庁と共管の措置をとることが最も妥当ではないかというふうに考えていたのであります。これはこの十八日以前までそういうことを考えていたのでありまして、十八日以降におきましては、ポ勅の解釈は、少くとも関係筋が最高の権威を持つておりますので、われわれはそれに従わなければならないと考えておりますけれども、実際上は今申し上げましたような非常な関係を持つておりますので、先ほども公益事業委員会事務総長からお話がありましたように、この問題につきましては十分両方で連絡もし、研究もし、調査も一緒にして、料金の決定につきましては遺憾がないようにしたいと考えまして、要すれば両方の、この料金認可につきましての内部的なとりきめをしたいとも考えておるわけであります。現在におきましてはそういうような考え方でやつておりまして、電気料金の非公式な各会社からの案といいますか、申請案といいますか、仮案といいますか、そういうようなものにつきましても、公益事業委員会と十分連絡をとりまして、実は一緒に聞いておるというような状況になつておりまして、私どもの方としましては、権限が公益事業委員会に最終的に移つたとしましても、その間の連絡なり、今後の料金の決定につきましては、両方十分相談をいたしまして、実施して行きたいと考えております。
  18. 多田勇

    多田委員 ただいま物価庁お話、はなはだ同感でございますが、ただ公共事業令が出ました当時、第五條の十九号と二十号ですか、これにはつきり公益事業委員会の権限に思えるような表現がしてあるのであります。しかし公益事業委員会が生まれます当時のいろいろないきさつから考えまして、大体今までの計画については安定本部、価格については物価庁を基本にして行われるであろうというような意見が相当多かつたのでございますが、それがたまたま公共事業令が施行になりまして、相当期間がたつてから司令部側の見解が表明されたという点に、何かすつきりしないものがあるような感じがいたすのであります。どういうような経過で公共事業令に対するマーカット局長のメモランダムが出るようになつたのか。その間の事情について公益事業委員会から御説明願いたいと思います。
  19. 松田太郎

    松田政府委員 簡単に御説明申し上げますが、要するにこの点につきまして、司令部がどういうお考えでそのメモランダムを出されたかということは、私どもから申し上げる筋ではないと思いますが、この公益事業委員会ができました際に、いわゆる電気料金の問題の権限につきましては、かねてからそういう問題が腹蔵されておつたということについては私どもも承知しておりまして、もちろん物価庁その他には当然でありますが、司令部の方にも私の方の見解だけは出しておいたのであります。しかしながら御承知のように、実際問題として電気料金を認可しなければならぬ。委員会では電気料金改訂という問題もその当時は問題になつておりません。のみならず、むしろ公益事業委員金としましては、電気事業の再編成の問題が何よりも目下の急務でございまして、それに専念しておつたようなわけであります。それが新会社ができましてから、いよいよ料金認可の問題等につきまして、具体的にその今の権限の問題をはつきりしなければならぬということになりまして、物価庁あるいは経済安本部とも、こちらの方の意向を申し上げておつたわけであります。また物価庁の方とせられましても、おそらく関係筋に対しまして御見解は述べていられたことと思うのでありますが、両者の見解はそれぞれ司令部の方には達せられておつたと思います。その後司令部がそれに雇いてそういうような決定をなされたのか、そういう点につきましては、私どものお答えする限りではないと思いますが、それに至りますまでの間において、公益事業委員会としては今のような経緯をたどつて参りましたことを申し上げて、お許しを願いたいと思います。
  20. 多田勇

    多田委員 権限の問題はその程度にしまして、料金の問題であります。これは物価庁の方からも御説明願いたいと思いますが、今までの電気料金物価庁のいろいろな算定よりましてきめられておつた。ところが電力編成の結果、新聞紙上で伝えられておるところによりますと、相当程度値上げをしなければまかなつて行けないというようなことが伝えられておりますし、先ほど来公益事業委員会からのお話でも、電力料金値上げは必至であるというような御見解のようでありますが、物価庁の当時の算定が、はたして電力料金として妥当でなかつたのかどうか、物価庁が算定しました電力料金の算定の時期以後において、新聞紙上では七割程度という厖大な値上りが伝えられておりますけれども、その厖大な値上げをしなければならない要素が、はたして新しく生れたのかどうか、そういつた点についてひとつ簡単でけつこうですから御見解をお伺いいたしたい。  それからいま一つは、値上げの理由といたしましては、公益事業委員会からのお話では、修繕費の上昇、あるいは炭価の値上り、あるいはまた人件費の値上り等要するに会社独立採算制を維持するために必要な限度において、価格の改正を各会社が申請して来るであろう、それによつてこれを基本にして、電力料金を公正にきめて行きたいというお話でございますが、一方安本からのお話では、電源開発に要する見返り資金二百五十億円以外の不足の百億について、電力料金値上げによつてカバーして行きたいという御説明、この間に相当大きな食い違いがあるようであります。公益事業委員会の方では、電源開発のために新会社が新しい電力料金をきめるのでないということを、特に念を押されておるにもかかわらず、安定本部の方の御説明では、電源開発のための三百五十億円のうちの百億を、この料金値上げによつてまかなつて行きたいという御説明のように聞いたのでありますが、この間相当大きな食が違いがございますし、電力料金自体が国民生活に及ぼす影響が非常に大きいという関係上、この点についてもはつきりした御説明をお願いいたしたい。  それからいま一つお願いいたしておきたい点は、いろいろな資料をひとつ御提出いただきたいという点でございますが、希望いたします点は、水力料金火力料金との算定方法についてでございます。水力火力の原価構成がどうなつておるかというような資料、あるいはまた家庭の電気料金等における定額料金制と、その料金のきめ方がどういうようなことになつておるのか、あるいはまた家庭用電力及び工業用電力料金の算定方法等について、資料を御提出願いたいということをお願い申し上げます。ただいま御質問申し上げました点について簡単でけつこうですから御説明願いたい。
  21. 川上為治

    ○川上政府委員 先ほど公益事業委員会事務総長から、電気料金につきましてはなるべく近い機会におきまして、ある程度上げなくちやならぬのではないかというふうに聞えますような御答弁があつたというようなお話があつたのですが、私どもの方としましても、現在の料金をある程度どうしても上げなければ、電源開発、あるいは電力設備の補修ということはできないのじやないか、言いかえれば、安定本部並びに公益事業委員会の方で、今後計画されております電力計画量に対しまして、それをどうしても実施しますためには、ある程度和気料金を引上げなければ行けないのじやないかというふうに考えておるわけであります。それは単に融資、すなわち金融その他の方面で、どうしても償えないというような点が出て参りまして、電気料金の方である程度負担しなければいけないのじやないかというふうに考えておるわけであります。ただしかしながら、どの程度電気料金を上げるベきかという問題につきましては、私どもの方としましても、まだ何ら決定的なものはできておりません。世上よく物価庁の案としましては大割二分とか、あるいは五割幾らというようなお話はありますけれども、私どもの方としましては、全然そういうような案は決定されておりません。ただ一部担当官あたりにおきまして、いろいろ計算してみると、最高その程度は上げなくちやならぬというような気持を持つておるかもしれませんが、そういうことがたまたま伝わつたんじやないかというふうに考えられます。そこである程度どうしても上げなければいけないのじやないかという点について、現在の料金の中に織り込んでおります原価、それからその後の状態につきまして簡単に申し上げますと、大きな問題としましては、人件費石炭代、修繕費、減価償却、これ以外に自家発の費用をいかに見るかいう問題が大きな問題として残るかと思うのですが、給料につきましては、現在の料金、これは基準料金でありますが、基準料金の中に織り込んでおりますのは、当時の賃金でありました五千三百円程度が基礎になりまして、実質的には七千六百円程度のものが現在の料金の中には入つておるわけであります。ところがその後昨年の四月、今年の一月の二回賃金の変更がありまして、現在におきまして、基準料金におきまして一万二百円べースになつておりますし、それに基準外を入れますと一万二千円程度になるかと考えられるのであります。従つて現実におきましてはこういう賃金を払つておるわけであります。この賃金がほかの産業と比べまして、はたして妥当であるか妥当でないかという問題、またすぐそのままを改訂する料金の中に組み入れるべきかどうかという問題、それからそのときの人数と現在の人数はかわつておるか、かわつていなかという問題、そういう問題につきましては、さらに十分検討しなければならぬのではないかというふうに考えております。  次に石炭代でありますが、石炭代につきましては、現在の料金の中には四百六十五万トンの三千三百三十円べースということでやつております。ところが御承知の通り、最近におきましては、石灰の価格は非常に上つておりまして、同じカロリーで大体四千三百円程度で、四月におきましては契約されております。今後この石炭の価格がはたしてどういうように動くか、この問題につきましては相当議論もあるかと思うのでありますけれども、最近の情勢は非常に強気でありますので、少くとも五百万トンなり、あるいは六百万トンなりたくことにしまして、そうして石炭の価格が三千三百幾らというものが、すでに四千三百円というようなことに上つておるとしますれば、当時の原価計算をどうしてもかえなくちやならぬというようなことに、この点からもなつて来るのではないかと考えられます。  修繕費につきましても、大体現在年間百三十億なり百四十億ぐらい実際はかかつておるのでありますが、現在の料金の中に含めておりますのは、八十七億程度しか含めていないのでありまして、その後鉄の値段のごときは二倍になり、あるいは三倍に上つておりますし、セメントの価格につきましても、相当上まわつておるわけであります。そういう点から考えましても、修繕費につきましても、当時よりは相当よけい見なければ、同じ修繕もできないのじやないかというふうに考えられるのであります。  減価償却につきましては、先ほど事務総長からお話がありましたが、再評価をしまして、定率法で行くと、少くとも二百五十億、二百四十億くらいのものは必要だ、定額で行きましても、百億くらいのものはどうしても必要だというようなことになるわけです。現在の料金におきましては、わずか十億程度償却を見込んでおるわけであります。そういうようないろいろな要素からいたしますと、今ここで何割とか、そういうことは申し上げられませんけれども、少くともある程度の引上げが必要じやないかというふうに考えられるわけであります。六百億の設備資金をたとい金融あるいは見返り資金等でまかないましても、それは限りがありますから、どうしてもある程度料金の方にかけて来るということはやむを得ないのじやないかというふうに考えておるわけであります。たとえば償却につきましては、定率法で行くか、あるいは定額法で行くかあるいは二百五十億で行くか、あるいは百億足らずで行くかというような問題につきましては、他の産業に及ぼす影響、あるいはまた一般生計費に及ぼす影響、そういうことを十分考えまして、われわれの方としましては、公益事業委員会と相談をいたしまして、料金の認可にあたりましては、十分われわれの方の意見も反映していただくようにしたいと考えておるわけであります。
  22. 澤田達

    澤田説明員 建設工事資金の点で、私の言葉足らざるため誤解があつたと存じますので、その点を御説明申し上げます。  先ほど見返り資金で、既定の百五十億。プラス百億増額を予定しておるけれども、この資金繰りの点から電気料金の善処が必要だ考える、かように申し上げたわけでございますが、その意味は、決して電源開発費そのものを電気料金に織り込むという意味ではありませんで、資金繰りから電気料金改訂が必至であろう、こういう意味であります。その意味は、建設所要資金三百五十億のうち二百五十億までは予定せられるが、あとは増資、社債、借入れ等、いわゆる自己調達でまかなわなければならないわけであありますが、この自己調達が可能になるように、電気事業の経営内容の改善に資するような料金改訂が必要である、かような意味でございます。なおこの建設以外のロス軽減その他配電の改良の自己資金工事につきましても、電気事業の経営内容の充実化に必要な程度料金改訂が必至になつて来るであろう、かような意味でございます。
  23. 多田勇

    多田委員 まだお聞きしたいことはたくさんございますが時間がございませんので、最後に一つお伺いいたします。電力需給関係で、どうもまだ納得の行かない点がございますので、これは後ほど資料を御提出願うことにして一言だけお説明願いたい点は、たとえば昭和二十五年度の第四・四半期の濁水期の電力割当量が、二十六年度の第一・四半期の豊水期電力割当量よりも、むしろ多かつたというような現象を呈しておるのでありますが、こういつた現象から見ますと、先ほど御説明のありましたロスを三〇%程度見ておるという点、あるいは超過料金を払えば相当程度電力供給があるというような現状からしまして、いま少し電力割当について再検討する必要があるのではないかというような点が——これはしろうと考えなんですが、思われるのですけれども、これについて現在の供給量が大体正当なものであり、あるいはまたロスが正当なものであるというような御見解をとつておられるのか。あるいはまた相当ゆとりのあるような割当をしておるのか、とすれば、先ほど題題になりました各院電力会社融通の問題も相当程度緩和されるのではないかと考えますが、その点をお伺いいたしたい。  いま一つは、最近産業近代化の線に沿つて新しい企業が生まれて参りますが、これらの産業近代化の線に沿つた新しい企業に対して、電力割当を特別に考えていただきたいと思うのであります。それらについの御見解を、簡単でけつこうですからお願いします。
  24. 松田太郎

    松田政府委員 第一に昭和二十五年度の第四・四中期、言いかえれば二十六年の一—三月の濁水期に比べて、二十六年の四—六月、言いかえれば豊水期にならんとしておるときの方が、電力割当が少かつたようなぐあいに考えるのだが、どうかというようなお話がございますが、これにつきましては、絶対量は、もちろん昭和二十六年度の第一・四半期、言いかえれば、四—六月の方が多いのであります。もちろん二十六年の一—三月におきましても、本来でありますと、あれだけの供給力を見込むということは、非常に結果的にはむずかしかつたのであります。ただ前年及び前々年度は、非常に異常豊水でございましたために、多少その点も考えまして、二十五年度の第四・四半期も相当のわくをつけたのであります。しかしながら御承知のように、この一—三月というものは非常な濁水でありまして、従つて二月におきましては、一週間ばかり緊急電力制限をしなければならなかつたというようなことになつておるのであります。それから二十六年度の第一・四半期におきましては、大体この水の量というものを平水に最初考えまして、ただお話ロスの問題でございますが、先ほど申し上げましたように、今日三〇%ぐらいがロスになつておるのであります。しかしながらこれをできるだけ減さなければならぬということは当然でありまして、本年度資金計画の中にも、八十八億ばかりをロスの軽減にあてがいまして、大体三年間で三%ぐらいのロスの軽減を考えておる。言いかえれば、二七%ぐらいにまでこぎ着けたいと考えているのであります。いずれにいたしましても、本年度の第一・四半期におきましては、それを各会社の努力目標という意味もございまして、二六%程度しかロスを見ないというような行き方でやつたのであります。しかし四月、五月に入りまして例年以上に豊水にもなつて参りましたので、その程度電力の追加はいたしたのでありますが、しかしながら特に当時の情勢として、化学肥科とか、アルミニウムというような、相当電力を食うものに対して、できるだけ豊水時に電力供給をしたいという経済安定本部考えもありまして、従つて二十六年度の第一・四年期においては、特に化学肥料等に相当の電力をつけられました結果、他の方にしわが寄りまして、そういう他の面につきましては、この一月等に比べてかえつて割当が減つたというような結果に一時なつたのであります。これを各方面から非常な御要求がございまして、減つたものにつきましては、一月程度の量にまでふやしましたことは、御承知の通りと思うのであります。なお今後の新規企業には、電力割当をどういうぐあいに考えて行くかということにつきましては、何分にも電力供給力全体は極力ふやすようにはいたしておりますが、今日さなきだに需用がずつとふえて参つておりますものですから、新規企業に対して特にこぶつきで電力割当をするということは、なかなかむずかしいと思うのであります。従つてその新規企業が国家的に見て真に必要なものであるならば、おそらく経済安定本部とせられましても、他の産業についてある程度電力割当を減しても、その新規企業に割当てなければならぬというような結果に相なるのじやないかと思います。しかしその点は、電力のわく全体の問題と、それから産業間の重要性の問題について御検討になることと考えております。
  25. 圖司安正

    圖司委員長 他に御質問がなければ本日はこれにて散会いたします。     午後三時二十一分散会