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1951-03-22 第10回国会 衆議院 経済安定委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十二日(木曜日)     午前十一時五十二分開議  出席委員    委員長 圖司 安正君    理事 多田  勇君 理事 竹山祐太郎君    理事勝間田 清一君       岩川 與助君   小野瀬忠兵衞君       金光 義邦君    寺本  齋君       奈良 治二君    細田 榮藏君       宮原幸三郎君    森   曉君       笹山茂太郎君  出席政府委員         経済安定事務官         (総裁官房次         長)      河野 通一君         経済安定技官         (資源調査会事         務局長)    安芸 皓一君  委員外出席者         経済安定事務官         (資源調査会事         務局次長)   小船  清君         専  門  員 圓地與四松君         専  門  員 菅田清治郎君     ————————————— 本日の会議に付した事件  国土調査法案内閣提出第九二号)     —————————————
  2. 圖司安正

    圖司委員長 ただいまより会議を開きます。  これより内閣提出第九二号国土調査法案を議題に供し、政府当局より内容説明を聴取いたします。安芸政府委員
  3. 安芸皓一

    安芸政府委員 それでは国土調査法案に対しまして、今までの経過とそのねらつていることにつきまして御説明申し上げたいと思います。  終戦後、私どもはどうして生きて行こうかということにつきまして、それぞれいろいろな分野で考えられていたのでございますが、その中におきましても、われわれの持つておりますものを最も有効に使つて行くということが最も必要ではないか、そう考えて参りますと、私どもの持つておるものと申しますと、土地でございます。この土地が今までどういうふうに使われており、これをもう少しよく使つて行けばどうなるだろうかというようなことにつきましては、民間におきましても考えられておりましたし、また昭和二十二年だつたと思いましたが、経済安定本部の中に資源委員会が設けられました際におきましても、そこにおいて最も大きな課題として考えて参つたのでございます。その後民間研究をしておられる方々、それから委員会において考えておりました方たちも一緒になりまして、この問題についていろいろデイスカツスして参りました結果、一体土地を最も有効に使つて行こうと申しましても、われわれとしてもすでにもう長いこと使つて来ておるのでありまして、ほとんど日本では使つておられないところはないというのが実態でございますが、しかしもう一度振りかえつて、どんなふうに使われているかといいますと、非常にいろいろな点でわからない点が出て来るのであります。たとえば日本地籍を見ましても、百二十何万町歩という、耕地のおそらく二〇%を越えるような土地が「その他」というような項目に入つている状態で、かかる土地一体生産力をどの程度まで実際あげ得るものか、実際どの程度のものをつくり出しているのかという点まで深く考えて参りますと、どうもはつきりしていない点が非常に多いのでございまして、土地の持つております生産力というものについて、もう少し徹底的に調査し、研究して行くべきじやないか、その上に初めて最も有効な利用方策が立てられるのじやないかという考えになつて参りまして、資源委員会におきましては、調査を実行するようにという勧告を政府へ申し入れたのであります。国会におかれましても、その点非常に関心をお持ちであつたと思うのでございますが、第五国会でございますか、早急に一貫された土地計画土地調査をすべきであるという建議をお出しになつたのでございます。私たち土地実態を知ることが、今後土地をどう使つて行くかという上に大きな問題になるのでございます。なかなか土地実態というものがはつきりわかつておりません。実態と申しましても、これは土地がどんな実態であり、どんな生産力があり、もしそれが何かほかの原因で阻害しているものがあれば、どんな原因で阻害しているのかという点まで考えて参りますと、先ほど申しましたように、日本土地は非常にたくさん、古い歴史を持つて使われており、この土地をよくして行こうという努力は、もちろん各方面でなされておるようであります。たとえば日本の持つております土地について、各方面で所管されております農林省なり、あるいは水の方におきます建設省、あるいは電気関係方面でも、非常に多くの研究調査が進められて来ておることは確かなのでございますが、しかしそれが今まで非常に個別に行われて来ていた点、それからそれぞれが自分の所管の目的のみで調査が進められて来たという点がございまして、これをほかの方に使うと申しますか、そういう点になつて参りますと、必ずしもそのまま有効に使えない。せつかく調査されておりましても、その間にお互いに連絡が非常に少い、統一されてやつておらないために、非常に費用の損失もあると考えられますので、これを一貫した形で調査をすべきではないかと考えまして、そのまとまつた形として、国土調査をなすべきであると考えて来たわけなのでございます。  私どもこういう点に関心を持ちまして、いろいろ調査を進めて参りました。たとえば土地生産力を見ておりましても、これは場所々々によつて特殊な性格を持つておりますし、一様には言えませんが、ある場所について考えてみますと、毎年々々だんだんと土地生産力が減つて来ておる所もございます。ある土地では長い期間にわたつて詳しく調べてみますと、ある所では比較的、ほかの條件に煩わされないで、割合に平均されたような生産力をあげている所もございますし、またこれはある理由だと思いますが、ある所ではいいときはいいが、非常に変動が多い所がある。要するに今後は日本の持つております国内資源をもつと有効に使つて行こうというふうに考えますと、まずそのために国土総合開発とか、いろいろな問題が起きて来て、早急に開発しなければならないというふうに一般の声が高まつて参りまして、各種の機関もできますし、いろいろ検討を進めております。しかし日本のように非常に古くから使われ、しかも非常にたくさんの人が住んでおります所きは、なかなかそういうふうな、新しくものを起して行こうというには、いろいろな問題も起きて参りまして、実態そのものをよく知つていないと非常に無理が行くということであります。たとえばある一つ目的のために開いて行こうといたしましても、そのほかにいろんな條件がありますので、早急に行かない。そのためにまたマイナスのような現象もずいぶん起きて来るのでありまして、そのためには全体としてどういうふうに物があるかを、はつきりとつかんでおくことが、こういうものを進展させて行く上に、非常に必要だと思うのでございます。特に土地生産力土地から得ます農作物が主になりますが、そういうものを見ましても、先ほど申し上げましたように、全体的に見ますれば、ある地域ではむしろここ数年の聞逐次生産力が上つて来ております。土地面積も明治の初めから見れば非常にふえて来ておりますが、ここ十年、二十年の間はほとんど停滞しておりますし、生産力もだんだん停滞気味になつて、しかもある箇所ではむしろ減つて来ておる。しかも非常に不安定な生産をあげておる所もあるわけなのでして、今後国内資源を有効に利用して行く上から考えますと、どうしたら土地生産力を安定さすかということが、最も必要なのじやないかと思うのございます。とにかく日本土地生産力を知ろうといたしますためには、もちろん面積的な広がりというものも必要であるし、同時にその持つております土地の質も知らなければならぬのでございます。その上に私どもは最も安定された形の生産力をあげて行くという方向に、これから進んで行かなければならないと考えるのでございまして、もしもこのように、われわれが持つております土地生産力を安定させて行くということになりますれば、そのためには何が必要か、何を知らなければならないかということをまず考えまして、それに必要な資料を、全国的に統一された形でこれを調べて行きたいというふうに考えておるのでございます。  それで今回のこの国土調査と申しますものは、この資料を収集いたしましてこれを実際に事業化して、具体的に仕事をして行かれるところへ提供しようと考えておるわけでございます。先ほどある所では土地生産力が減退しているということを申し上げましたが、実例について考えてみますと、たとえばこれは日本では非常に特殊なものではございますが、北海道とかあるいは南九州のような火山灰地帯におきましては、逐年に収量が減つておるような現象もございます。これは一体何が原因だろうかということを考えますと、もちろん肥料が減つて来たということもあるわけであります。しかしああいうふうな非常に粗粒地土地構成のところでは、肥料がどんなふうに作用するかということが問題になるだろうと思うのでございます。どうせそういう所は畑作が主でありますから、割合燐酸系肥料を使うだろうと思います。たとえば南九州では骨粉なんかを非常にたくさん使つております。ああいうふうな粗粒地のところでありますと、表面の土砂が流れるということも考えられます。そういたしますと、そういうところに使つております肥料も同時に流されるというようなことで、肥料の効果が非常に少いと思われるのです。そういうふうな土壌構成、それからそういう火山灰地帯といたしますと、多少傾斜いたしておりますので、そういう所ではまた表土が流されるというようなことも入つて参ります。しかし作物を植えます場合、あるいは耕作いたします場合に、そういうものを自然に阻止できるような方法、たとえば作物の輪作の問題とか、耕やす場合にいたしましても、耕作の仕方でこれを阻止することができるというふうに考えられて来るのであります。そういう一つの例もございますし、これは私の方である一河川について調べたわけでございますが、たとえば利根川水系について調べて見ましても、一番作物が安定していると申しますが、反当の収量が多いと同時に、その間の変動の非常に少いような地点を考えてみますと、利根川地帯で最も多くの面積を占めており、しかも水があつて非常にいいだろうと考えております川沿いの部分は、非常に低い土地でございますが、そういうところは収量が非常に少くて、しかも非常に変動が多い。むしろ低いところから中段に上りました幾らか土地の高い方は、反当収量も多いし、また安定度も高いということがわかるのであります。それからまたずつと上流の方に参りまして高くなりますと、全体の収量が減つて来る。これは気候的ないろいろなものがあるかと思いますが、そういうような状況に分類されるのであります。これも調べてみますと、最も低い所、多くの面積を占めております所は非常に排水が悪い、これは逐次川床が上つて来れば自然に排水が悪くなつて来る。同時にだんだん大きな堤防をつくつて参りますと、川が自然に上つて参ります。そういたしますと排水が非常な支障を来して来る。そのために地方的な雨とか、そういうようなものも非常に影響して参りまして、生産力が非常に不確定になるのであります。こういうふうな問題が起きて参りますので、これに対する処置といたしますれば、畑作地帯水田地帯—同じ水田地帯でも低湿地帯、あるいはその中間地帶ということでいろいろかわつては参りますが、その原因を探つてみますと、そういうところでは水のはけがいいとか悪いとか、その土地の使い方という問題に改良し、考えなければならぬ点があるのじやないかと思います。同時にまた土地が非常に細分されておりますために、耕作方法とかそういう問題がかなり影響して来るのじやないかという点も考えられるのでありまして、要するに日本土地生産を安定化させて行くためには、土地広がりを知ると同時に、その土地の質を知る—土地の質と申しますのは、土壌の物理的な構成と同時に化学的な構成—さらにこういう所が水が非常にかかりいいとか、排水に非常に苦しんでおるとか、そういう問題を探り、それを耕作して行くのに最も都合のよいような状況をその上につくつて行くということが考えられるのでありまして、そのために面積を知り、土地状況、さらにそれにどのような生産を上げているかということを知ることが必要だと思うのであります。さらにこれが耕地から林地の方へ入つて参りますと、その中間地帶をどういうふうに使つてつたらよいかという問題も起きて参りますし、林地自身についても、今後土地の保全という面と同時に、森林の生産力をいかにして上げて行くかということも、私ども考えなければならない重大な課題でありまして、そういう面を知るのには、今申しましたような基礎的な資料が必要だと思うのでありまして、そういう面の調査を進めて行きたいというふうに考えた次第でございます。  大体今申しましたような趣旨国土調査をやつて行きたいと思うのでございます。ところが国土全体を知る、今申しましたような数字を、国土全体についてはつきりつかむということは、実際なかなか容易ではないのでございまして、費用の点から申しましても、非常に多額費用がかかりますので、これを現実実施して行く上におきましては、どういう方法が一番いいだろうかという点についていいろろ考えたのでございますが、その結論といたしまして、大体御審議をお願いいたしますような一つの案を私どもつくつたわけなんでございます。  大体その調査内容といたしましては、基本的な調査、それから土地分類調査、さらに水調査地籍調査というふうに考えたわけであります。そういたしまして国ではこの場合基本的な調査を行い、さらにその土地分類あるいは水につきまして、その基本になりまする調査を行います。これは大体考えてみましても、国内場所々々によつて非常に違うとは申しますが、実際は大体において幾つかの同一種類のものに分類することができますので、その所におきましてその全般を調べて行く場合に、基本になる調査を国が行いまして、広く一般にはそれにならつてつて行けるような方式を考えたわけであります。  それから地籍の問題でございますが、これは特に実際土地をどういうふうに使つて行こうかということにつきまして、土地生産力を安定させ、さらに増加することを実際希望し、現実に行いたいという地域につきまして、特にそういう問題はそういう所でやつていただきたいというふうな方式に考えております。と申しますのは先ほどもちよつと申しましたように、たとえばある火山地帯生産力が落ち、変動が非常に多いので、これを安定させたいとか、あるいはこれは現実に申しますと、土地改良の設定によつて土地改良を考えておられますが、さらにある所では土地交換分合を行いまして、耕作方法からその生産力を安定させて行こうというふうな努力がされておりますので、そういう所に全般的な、統一された形での調査を進めて行き、その上に個別ではなくて、全体と同じような一つ基準従つた調査行つて、その具体的な土地改良計画をつくつて、実際の仕事をして行くものを、むしろ促進させるような方式をとりたいと考えた次第でございます。それでございますから、大体国で主としてやります仕事は国の費用でやりますが、具体化して行こうという点につきましては、これに非常に関心を持つておられるところが主体になりますので、これに対しては国としてはこれに援助するというふうな形で進めて行きたいと思うのでございます。こうなりますとあるいは非常に時間がかかるということになりますが、私どもとしてはなるべくこれが早く全般的に進み得ることを希望するのでございまして、現実に私ども見ておりましても、実際に土地を耕しておられる方々からの希望が非常に多いのでありまして、これをできるだけ促進させて行きたいと思うのでございます。それそぞれの地区でそういう計画をお立てになりますと、新しく地籍はつきりして参ります。土地面積はつきりしないために、いろいろな問題が起きていることも聞いておるのでありますが、その問題もそれによつてまた自然に解決がついて行くのではないかというふうに思つておる次第でございます。  以上簡単でございますが、よろしくお願いいたします。
  4. 圖司安正

    圖司委員長 以上の説明に対し、質疑があればこれを許します。
  5. 多田勇

    多田委員 ただいまの御説明によりまして、理想としては非常にけつこうな考え方で、こうあらねばならぬというように私ども考えますが、ただ実際国土調査をいたします場合において、基準点測量については国の負担においてやる、その他の測量については都道府県、あるいは市町村等公共団体負担においてやるというようなことでは、完全な測量ができないのではないかということが一番心配される点だろうと思います。全部国の負担において地籍調査までやり得ないというような事情について御説明願いたいと思います。
  6. 河野通一

    河野(通)政府委員 お話の点はごもつともでありますが、私どもこの法案を立案いたしました趣旨から申し上げますと、国の財政事情等から考えまして、国だけで負担しないで、その国土調査利益を受ける地方公共団体と申しますか、あるいは当該それに準ずるような団体も、応分負担をしていただくということが適当であろうかと考えた次第であります。  なお都道府県あるいはその他の地方公共団体地籍調査をいたします場合にも、ある一定條件のもとにおきましては、国庫から予算の範囲内において補助をいたすことに相なつております。もつともこの補助率と申しますか、どの程度費用の中で、何割程度国庫で持ちますか、あるいは総額としてどの程度補助額が支出されるかということにつきましては、まだ国の財政関係もありますので、的確には申し上げられませんが、趣旨といたしましては、一定條件のもとにおいては国でもこれを補助いたす。しかしながら地方の直接利益を受けられる側においても、この国土調査に関しましては、ある程度の御負担を願いたい、かような趣旨によつてこの法案ができている次第であります。
  7. 多田勇

    多田委員 説明としては確かにそうでございますが、これだけ厖大な計画を立てられ、しかもこの計画一つだけでもくずれるということは、この計画自体目的をかえつて変な形にするという危険性がありますので、むしろ一応の計画が立ちました以上は、強制的にこの目的を達成するための手段を講ずるというようなことにしなければ、なかなか実際の問題になると、困難な問題がいろいろ起きてくるのではないか、こういうように思います。そこで国の財政を考えて、全部国で負担することは困難だというようなお話でございますが、確かに受益者負担ということも一応考えられましようけれども、現在の受益者自体、たとえば農地の問題にしてもこういつた地籍調査までされる、一筆調査までされるということになると、農地を所有する者自体がむしろこの測量に対して反対をするのではないか、ということは、現実農地相当伸びがあるというような事情、あるいは供出の面に影響するというような事情から、当然農地についての測量は相当大きな反対を受けるために、結局地方都道府県あるいは市町村でも、実際の測量に着手するということは、おそらく不可能ではないかということになりますと、こういつたある計画を立てられて、昭和三十五年までに完成しようと考えましても、結局においては基準点測量だけにとどまつて、その他の測量については、あるいは水質関係とか、水利関係とか、そういつた特殊なもの以外の測量は不可能になるのではないかというように考えられますけれども、それに対する当局の見通しと、完全な測量が三十五年までにできるのだという確信を、ある程度まで具体的にお話願えればけつこうだと思います。
  8. 河野通一

    河野(通)政府委員 お話のように、地籍調査と申しますか、一筆ごと調査につきましては、当該土地所有者の側において調査の結果、かえつて地籍が今まで台帳面上に載つておりますその結果、そういうことになる公算は、ことに林野等においては非常に大きいかと思います。しかしながら私どもは現に各地方市町村におきましても、正確な地籍調査がされることが必要であるという強い要望のある向きも聞いております。それではそういうところは具体的に調査の結果、地籍がふえるようなことにならないようなところであるかもしれませんが、少くとも私ども地方によつて相当地籍調査を綿密に、科学的と申しますか、正確に把握することが必要であるという声を非常に強く聞いている向きもあるのでありまして、結局においてこれらの調査が、農民自身利益になるというふうに考えられる点もありますので、私どもはその点が当面としては相当問題はあるかと思いますが、長い目で見た場合におきましては、地方公共団体負担によりそれを国がある一定條件のもとに補助するという仕組みのもとにおいて、つまり申し上げますならば、受益者がある程度負担をすることによつて地籍調査を進めることは、必ずしも不可能ではないというふうな考え方のもとに出発しております。もつともこれは非常に申しにくいことでありますが、国の予算関係もございまして、実は昭和二十六年度におきましては、この国土調査のためにさかれている費用というものは、二億円足らずしかございません。従いまして、この国の費用を用いまして地籍調査まで国が補助して行くということは、二十六年度に関する限りにおいては、実はまだ実施に移す段階までは、今申し上げました財政上の理由から困難ではないかと考えます。もちろんこれは補正予算等の問題が起りました場合にお認め願えれば、問題はある程度解決するかと思いますが、当面としては、二十六年度においてはこの地籍調査まで国が補助して進めて行くだけの財政的な余力がない、こういうような事態でもありますので、二十六年度に関する限りにおいては、これらの点がどういうふうに地方方々に受取られ、また歓迎されるが、あるいは忌避されるかという問題につきましても、はつきりしたことは申し上げるわけに参りませんが、昭和二十七年度からはぜひともできるだけ多額予算を計上いたしまして、これらの仕事に対して国も応分補助をして、この仕事の推進をはかつて行きたいと考えております。具体的には今申し上げました国の財政の許す限りにおいてこの補助率を相当高く上げて行くということが可能でありますならば、私は必ずしも国が全額負担をしてこれをやらなくても、実現は可能ではないか、しかしその点については、結局国の財政がどの程度まで補助ができるかという問題にかかつて参りますので、今後においては、私どもとしては、できるだけ国がこの補助をいたします場合に、多額補助ができるように、そうしてこの地籍調査市町村等の自発的な発意に基きまして、推進されて参りますような裏づけを、できるだけつつて参りたい、かように考えている次第であります。
  9. 多田勇

    多田委員 この計画を見ますと、二十六年度は基準点測量だけにとどまるようでありますが、ただいまお話のように、国の財政関係上、全額国庫負担とすることは困難だというふうな事情でございます場合でも、なるべく国の負担の額を増加し、国が基準点測量に着手すると同時に、強制的に各地方公共団体にも、その実施に参加できるような態勢をとることが絶対的に必要ではないか。ただいま提案されました法案で見ますと、単に必要な場合には政府が勧告するなり、あるいは地方公共団体が、自発的に安本長官の承認を得てやるという程度でございますと、完全な測量が困難ではないか。いま一つは二十六年度から基準点測量を開始されるようでございますが、これと並行いたしまして耕地整理の場合、あるいは国土総合開発の場合といつたように、他の面でもそれぞれこれに関連のあるところの測量が行われているはずであります。これらの測量を全部一括しまして、これらの測量を行う場合は、国土調査に基くところの一定基準に基いた測量をしなければならないというように、他の事業に対しても協力するところの、強制的な措置を講じて行くことが必要だと考えますが、この法案で見ますと、単に勧告するなり、要求するなりの程度であります。これに対して強制的に他の事業でいたします測量の場合でも、この国土総合調査基準に基いた測量をしなければならないというような措置をとることが、どうしてできなかつたのか、その点についての見解と、その事情をひとつ御説明願います。
  10. 安芸皓一

    安芸政府委員 ただいまの問題でございますが、私ども国が一貫して早くやつていただけるというような方式を実は当初考えたのでございますが、現実の問題としてなかなかそれが困難のような事態に承りまして、それならばどうやつたらよいかという点をさらに考えたのでございます。要するに私は実際に土地使つていらつしやる方々が、ほんとうにこれをどういうふうにして行つたらよくなるであろうかというようなことを、自分自身でお考えになり、それをそういう発案に従つて国が援助して行くというような行き方が、もしとられるならば、むしろそれも非常にけつこうではないかと思いまして、こういうふうにしたわけでございます。同時にこれによりますと、こういうふうにやつて行けばこういうふうになるのだというようなことにつきまして、私どもといたしましても、できるだけその趣旨が徹底し、こうやればこれだけの利益があるのだということを、はつきり認識していただけるような努力は非常にするつもりでありまして、そういうものによつて逐次これをカバーして、できるだけ早い機会に、測量の完成をして行きたいということを、現在では考えている次第でございます。
  11. 小船清

    ○小船説明員 耕地整理組合等におきまして測量及び調査をいたします場合におきまして、測量自体につきましては、現在の測量法で、その公共測量としての一定の技術上の規制を受けることになつているのでございますが、それが実際問題といたしまして、お話にありましたように、基準点が非常に遠いところにありますというような関係から、実際問題としてできないわけでございます。これを基準点に結びつけることになりますと、やはりさらに四等三角点その他を設置いたします事業が、あわせて行われると同時に、その基準点と一応結びつけるようにするために、耕地整理組合等におきまして、経費の増額を来すという実情になるわけでございます。その点につきましてただいま局長からお話のありましたように、そういう場合におきましては、この法律におきまして、測量に関しましては国土調査として正確な測量が行われるように勧告する、こういう考え方になつているわけでございます。なお耕地整理組合等におきましては、交換分合等を実施いたします場合に、地方調査等も実施いたしております。これらにつきましても、それぞれ地元の実際上の必要性からの調査はいたしますが、あまりに地方的な実情にとらわれまして、これを国土全体の立場から見ましたいろいろな調査実施しないというような関係がございますので、そういう関係につきましては、国土調査としての性格を持たせるように実施せしめるわけでございます。これを強制いたします場合におきましては、地元の負担等も考慮いたしまして、勧告による経費の裏づけ等を考えるべきだという建前になつでおるのでございますが、その際の実施方法につきましては、作業規定の準則が中央から示されまして、またこれが末端の地方公共団体等に普及宣伝せられまして、その作業規定の準則に基く作業規定によつて、それらの仕事が実際に実施されるようにという、そういう点の普及宣伝につきましては、この法案と並行して、別途十分努力いたしたいと考えております。
  12. 多田勇

    多田委員 非常に努力したいという御意見はごもつともと思います。現在耕地整理組合等で行つております測量は、現在の基準点に関連なしに、単にその一局部の耕地を中心にした事業として測量行つているのか、あるいは一応現在の基準点を考慮に入れての測量が行われているのか、もし現在の基準点を考慮に入れずに、その一局地を中心とした測量が行われているということであるならば、今度の国土調査基準にいたしまして、一応耕地整理組合等が測量をいます場合にも、やはり現在考えられているような、一平方キロあるいは二平方キロ等の基準点を、並行して設定するというような考え方でやはり耕地整理組合あるいは国土総合開発計画等に基く測量等についても、基準点測量と並行して行わせることが可能であるか、不可能であるか、この点について御説明を願いたいと思います。
  13. 小船清

    ○小船説明員 基準点測量は、ただいまのところ五箇年間で優先して実施することになつております。初年度の事業分量は、全国にまたがつて基準点測量実施いたすほどの分量ではございませんが、なるべくお話のような点をわれわれも考えまして、この事業との関連が深い地方に、広く基準点測量の作業を実施いたしたいと考えております。この数年内には、全国の基準点が新しく設置されるということになりまして、お話のような新しい結びつきができることと思つております。
  14. 多田勇

    多田委員 そういたしますと、基準点測量は、別途に今度の国土調査法でやるのだ、基準点測量ができました上で、過去に行われましたいろいろな測量を、これに結びつけて行くのだというような御見解のようでございますが、その場合にも、やはり耕地整理あるいは国土総合開発というような測量に対しても、国土調査基準に基いて測量するような強制力を持たせる必要があるのではないか、そうすることが測量を一日も早く完成することができると考えられますが、一方では耕地整理国土総合開発測量し、一方では国土調査法に基くいろいろな測量が行われるということになると、非常に不経済になるのではないか、そういつた面についてもつと合理的に、国のあらゆるこういつた測量的な機能を動員して、国土調査を一日も早く完成させるための強制力を持たせることが必要ではないかと思いますが、どうして強制力を持たせられないのですか、その事情について承りたい。
  15. 河野通一

    河野(通)政府委員 今説明員から申し上げましたように、私ども基準点の設定の作業を急ぎまして、それと各種の地籍調査の作業が結びついて参りまするならば、特に法律上強制力を持たせなくても、今申し上げました普及宣伝と申しますか、勧告と申しますか、そういうような措置によりまして事実上行われて行く。また実際そうせざるを得ないことであろうと思いますので、法律であまりやかましい強制的な規定を設けない方がいいという一般的な考え方から、そうしたのであります。
  16. 多田勇

    多田委員 少ししつこいようですが、こういつた他の法令に基くところの測量に対しても、やはり国土調査基準にした一つの方針に基いて測量するというように強制力を持たせては、何か弊害があるのですか。
  17. 河野通一

    河野(通)政府委員 弊害は別にないと思いますが、そうまでしなくても目的を達せられるならば、特に法律上、強制的な規定を設けなくてもいいのじやないか、それだけのことでございます。
  18. 多田勇

    多田委員 それから国庫負担の範囲ですが、基準点測量に対しては国庫が全部負担する。それからそのほかに国庫負担するものを考えておられるようですが、基準点測量以外に国庫負担しようというようなものは、どういうものを現在お考えになつておられますか。
  19. 小船清

    ○小船説明員 お配りいたしました負担区分にございますように、国庫が原則として負担すべきであると考えておりますものは、基準点測量のほか基本調査すべて——国土調査基本図の作成、土地分類基本調査水調査、これでございます。これはその他の調査基本となるものでございますから、国が原則として負担すべきであるというふうに考えております。法案にございますように都道府県におきましてこれらの調査実施いたしたいと考える場合におきましては、都道府県においても実施できると考えておりますので、その面に関する限りは、例外的に都道府県負担する場合があり得る、こういうことでございます。  次に土地分類調査水調査につきましては、相当の技術を要しますので、これらの調査に関しましては、基本的な調査事項及び重要なる地域につきましては国が調査をいたし、その場合に国庫において経費を負担いたしたい、こういうふうに考えております。なお地籍調査は国が実施いたしませんので、負担いたしません。
  20. 多田勇

    多田委員 ただいまの御説明ですが、基準点測量全額国庫負担する、その他の土地分類調査水調査といつたものは、都道府県でも負担する場合があるというお考えなのか、あるいはこれらのうち、国が負担すべきものを特に——たとえば利根川についての利水関係水質関係、そういつた特殊なものについては、国が負担するというような考えなのか、あるいはその問題問題について国が負担するか、都道府県負担するかという区分をきめて行くのか、国庫負担基準をどの程度に置いておられるか伺いたい。
  21. 小船清

    ○小船説明員 お答えいたします。基本調査の問題につきましてまず申し上げますと、土地分類基本調査につきましては、全国的に一定測量の場合におきます基準点に相当するような意味合いの基本調査実施いたすべきだと考えております。従いましてこれは重要なる事項のみならず、おおむね土地分類調査すべてを含みます事項につきまして、その実施の分布の度合いが荒く全国にまたがつておる、こういう調査実施すべきであると考えております。  次に水基本調査につきましては、これはその他の調査のいわば見本になるものでございますので、全国の地域を幾つかにわけまして、その最も代表的な水系につきまして、全部の調査事項について水系ごとに国が実施すべきであるというふうに考えております。  次に一般土地分類調査でございます。これは基本調査に基きまして、重要なる国民経済上の緊要性のある地域から、順次に全国的に国が実施いたしたい。しかもその場合におきましては、ごく細部の分類まで国が実施いたすことは、経費の点から考えましても困難でございますので、地方公共団体等が、自主的に細部にわたつて調査できる、その基本となるある程度の団地の調査までを、国が実施いたすべきであると考えております。  次に一般水調査でございます。これにつきましては、従来の河川に関する調査との関係もございまして、河川にそれそぞれ適用河川、準用河川等の区別がございますので、それらのことも勘案いたしまして、国が従来とも実施すべきであると考えられておつた川を、主として国が調査すべきであるというふうに考えております。
  22. 多田勇

    多田委員 費用負担のうち、市町村あるいは都道府県もありますが、主として市町村負担するものに地籍調査があるのですが、最もひまのかかるものは地籍調査だろうと思うのです。この地籍調査について、国が負担しないで、全部地方公共団体負担させるというお考えのようでございますが、特に地籍調査のみ国が負担しないというのはどういう理由ですか、御説明願いたい。
  23. 小船清

    ○小船説明員 地籍調査の場合におきましては、この表がまずかつたかもしれませんが、国がみずから実施することがありませんので、その場合における国の負担がないという表でございまして、Bといたしまして、勧告に基いて実施する場合におきましては、国が負担するわけでございます。従いまして、国は自分が実施する経費としてではなしに、補助金という形式で、国の負担は相当な額に上るわけでございますので、今の問題につきましては、都道府県等が国と一緒になつて実施するというふうにお考えいただいた方がいいじやないかと考えております。
  24. 多田勇

    多田委員 地籍調査で一番問題になる点は、それぞれの所有者の境界線の問題だと思います。この境界線の問題については、従来も長いのは一世紀にもわたるような紛争が行われておるように私ども聞いておりますが、今度の国土調査について地籍調査をいたします場合に、これらの紛争をどういつた形で急速に解決して行くかという目安をはつきりつけなければ、一筆調査は実際問題として不可能になるおそれがありますが、これについて政府はどういうお考えを持つておられますか。
  25. 小船清

    ○小船説明員 地籍調査の場合におきましては、現状を正確に調査することが目的でございますので、紛争があります場合、あるいは不明な場合につきましては、その付近を正確に調査することによつて、不明または紛争のある境界を今後判定する場合の重要な資料になることは私は考えておりますが、その調査の際には、紛争を解決するという建前にはなつておりません。
  26. 河野通一

    河野(通)政府委員 ちよつと補足させていただきます。今説明員から申しました通りでありますが、境界の問題は、土地の筆の境界の問題と所有権の問題と二つあるわけだと思います。ここで考えておりますのは、筆の境界につきましては、一筆調査をやります場合には相当はつきり出て参ると思いますが、その筆のうちの所有権がどういう形になつておるか、つまり一筆調査におきまして、その中に所有権というものが入つておるかもしれませんが、そういう点の所有権関係は、この法律の関係で解決いたすところまでは行つておりません。要するに土地の筆の境界だけははつきりいたしますが、所有権の問題には触れない、かような考えであります。
  27. 多田勇

    多田委員 筆の問題だけにとどめて、所有権の点には触れないというお話でございますが、所有権の問題に触れずに、はたして地籍調査ができるかどうか、これは非常に疑問だろうと思うのです。こういつた境界線の問題等のうるさい問題に触れずに調査したいというような考え方から、そういうような考え方が生れるのだろうと思います。なるほど境界線の問題は非常にむずかしい問題で、なるべくこういつた問題に触れたくないという気持はわかりますけれども、一応この調査によつて、所有権の問題もはつきりさせる必要がある。これは当然この調査によつてはつきりして来なければならぬはずでありますのでこの問題を等閑視して国土調査をするということは、現実に沿わないことになりはしないか、こう思うのですが、所有権の問題を特に考え方から取去つたという理由といま一つは、所有権の問題を考えずにこういつた一筆調査をしても、実際の調査の面に支障を生じないかどうか、その点について承りたい。
  28. 河野通一

    河野(通)政府委員 その点が実は非常にむずかしい問題でありまして、この地籍調査によつて、当然に所有権の関係の境界もうらはらになつて出て来ることは、パーセンテージから見てほとんど大部分だろうと考えます。また筆の調査をいたしました境界と、所有権の境界とが、紛争があり、あるいはぴつたり来ない場合におきましても、地籍調査によつて調べました境界が、所有権の境界の大きな証拠の一つになつて使われるであろうということも推定されます。しかしながらこの土地調査によりまして、ただちに所有権の境界を設定したり、あるいは確定したりするところまでは、国土調査法の問題外であろうと考えましたので、その点は踏み込んでおりません。しかし大部分の問題は、そういうことで筆と所有権の境とは大体一致するものであろうと思いますし、また一致しないものにつきましては、その筆の調査によつてできた境が、所有権の境を推定する一つの大きな材料になることも考えられますので、非常に特殊な場合は別といたしまして、大部分の問題はそれによつて解決される方向に、非常に促進されるのではないかと考えております。
  29. 多田勇

    多田委員 解決される方向に促進されるという御意見でありますが、むしろ境界線の問題を各所で数多く起すための、一つの動機になるのではないか。従いまして境界線の問題はなかなかむずかしい問題で、解決するためには非常な努力を必要とすると思うのでありますが、やはり調査する以上は、境界線の問題もはつきりするような、法的措置を講ずることが必要である。法的措置を講ずるために支障を生ずるような事情があれば別ですが、法的措置を講ずるような考え方がないかどうか、この点について伺いたい。
  30. 小船清

    ○小船説明員 この調査のために、茨城県の磯原町で標本調査実施してみたのであります。その際の経験にかんがみますと、紛争、不明の場合の事例でございますが、大体地元の首脳部等のごあつせんで話合いがついております。そういうようなこともございますし、また地籍調査は、耕地整理組合その他が、交換分合その他の事業を実施します場合に、あわせて実施することを本旨といたしておりますので、それらの事業を実施いたします場合に、実際問題としては、当然現在の筆の境界を明確にいたしまして事業を実施し、新しい計画をつくつておるのでございます。それらの事業を見ましても、法律的な強制を与えることは、かえつて当事者の間におきます考え方を刺激いたしまして、この仕事が円滑に推進することを妨げるのではないか。現状をいろいろ考えてみまして、別途地籍調査方法につきましては、指導方針としていろいろ指示いたしますならば、法律的な強制なしに実施する方が、実情に即するのではないか、こういう考え方から立案されたのであります。
  31. 安芸皓一

    安芸政府委員 ただいま説明員から申しましたような次第でございまして、実は私どもも初めはその点を十分に考えたのでございますが、何といつても早く土地の利用形態の合理化と申しますか、それを促進させるような処置がとりたい、それに対する資料をできるだけ早く提供しようというような意味合いを主として考えたものでございますから、そういうふうになつたのでございます。
  32. 多田勇

    多田委員 その次に、計画実施するための実施機関と、実施団体というのがございますが、現在実施機関、実施団体はどういうようなものを考えておられますか。
  33. 小船清

    ○小船説明員 実施団体を先に申し上げます。実施団体といたしましては都道府県市町村地方公共団体のほか、まず例示にありますように、土地改良区でございますが、そのほかに土地改良方に基いて土地改良事業を実施することができるようになつております農業協同組合及び農地委員会、これらが農地に関する実施団体と予想いたしております。森林につきましては、森林組合及びその連合会が考えられます。また都市方面におきましては、区画整理組合等が実施団体として考えられると思つております。  次に政府機関でございますが、政府機関といたしましては建設省、農林省、そのほか通産省、運輸省、法務府、あるいはわずかでございますが、上水道関係等につきましては、厚生省等が関係して参ると考えております。
  34. 多田勇

    多田委員 そういたしますと、この調査はほとんど国の機関でやることになるのでありますが、実際調査に当りますための技術員がこの厖大な計画を達成するに必要なだけの技術員があるかどうか、その辺をお伺いいたします。
  35. 小船清

    ○小船説明員 この大きな調査実施いたしますためには、現在政府におります職員だけではもちろん不十分だと考えておりますが、この法案のそもそもの建前が、関係方面の機関及び団体の技術員を総動員して実施いたしたい考えでおります関係上、できるだけ新たなる増員は少くして実施いたしたいと考えております。しかしながら測量等につきましては、やはりどうしても測量員を増加する必要もございますし、またその他の調査につきましては、従来の技術員をある程度再教育、研修を実施せしめる必要もあると考えおります。研修等につきましては、すでに二十六年度にもある程度経費が計上せられておりますように、今後最も重点を置いて、関係技術者の動員のための研修を実施いたしたいというふりに考えております。なお測量関係におきましては、基準調査基準点測量のためには、二十六年度新たに百四十二人の測量技術者を要する計算になつております。これは測量士または測量士補の資格を有する者のうちから、非常勤職員として政府が新たに雇傭することになつております。
  36. 多田勇

    多田委員 従来の例から見ますと、たとえば区画整理組合あるいは耕地整理組合あるいは地方公共団体土地計画等の一切の測量の面から考えてみましても、これらの団体がみずから測量実施する場合と、民間の人たちに委託而をして測量実施した場合とでは、民間に委託した場合の方が非常に成績かいいように聞いておりますが、今度の国土調査について、民間測量士に委託するということを全然考えずに、これらの実施団体あるいは国の機関で全部実施するというお考えであるかどうか。民間測量士等を起用するといようなお考えはないかどうか、お伺いいたします。
  37. 安芸皓一

    安芸政府委員 その点でございますが、これは基準点の三角点の増設でありますが、これは非常に特殊な技術を要しまして、これは政府で担当いたしますが、そのほかの面につきましては、もちろんそういう場合もあるだろうと考えております。一般にそういう委託をしてやるということも、実際問題として出て来るだろうと思います。
  38. 多田勇

    多田委員 最後にもう一つ、細部測量基準図ですが、市街地が五百分の一、農地地域が一千分の一、林野地域が二千五百分の一または五千分の一というようになつております。せつかく調査をします以上は、農地関係で一千分の一では、実際に利用度が非常に低いのではないかというようなことがいわれております。これを農地関係についても五百分の一、林野関係につきましても、いま少し大きな面で基本図をつくる必要があるという話を聞いておりますが、この点については技術的な問題で私どもわかりませんけれども、市街地を五百分の一農地を一千分の一というようにわけました理由、それからこれでさしつかえないかどうか、その点について御説明願います。
  39. 安芸皓一

    安芸政府委員 その尺度の問題でございますが、これはいろいろ検討はいたしたのでございますが、一応専門家の間で議論いたしました結果、大体この程度で進めて行つて目的は達せられるだろうというふうに考えたわけなのでございます。
  40. 多田勇

    多田委員 最後に経費の問題ですが、経費を大体三百億程度予想されておりますが、大体細部測量については、図上計算といいますか、そういつた形測量されるように思います。そういたしますと、この三百億という金額は少し多いのではないかというような意見もございますし、従つてこの三百億のうち、国庫負担は、先ほどのお話で、現在はつきりした見通しがつかないということでございますが、大体二十七年度から、国庫負担地方負担とを、どの程度に考えておられるか、その見通しをお伺いいたします。
  41. 河野通一

    河野(通)政府委員 第一の、三百億という数字は、今御指摘のように実はまだ固まつた数字ではございません。一応私どもが頭の中で持つております材料に基きまして算定いたしたものでございますから、はつきりしたことは申し上げられませんが、できるだけ国なりあるいは地方公共団体の経費を節約して、総額としてはできるだけ圧縮した金額でもつて、所期の目的を達成するように、今後も努力して参りたいと考えております。御指摘の点、あるいはそんな金をかけなくてもいいのではないかという御意見もいろいろな方面から拝聴いたしておりますので、この点はさらに厳密に査定をいたしまして、極力国費なりあるいは地方の経費の圧縮に努めたいと考えております。  第二点の、地方と国の経費の分担の率の問題でありますが、これは先ほどもちよつと抽象的に申し上げたように、国の財政地方財政状況というものをよく見比べて、補助率でありますとかあるいは補助すべき條件等につきましては、きめて行かなければならぬと考えております。二十七年度から具体的に起つて参ります国と地方との負担の問題につきましては、私ども一応いろいろな観点から研究いたしたものはございますけれども、お示しいたしましてこういう考え方でおるということを申し上げるまでには、いましばらく国の財政の今後の見通し及び地方財政状況等を勘案した上でなければ、何とも申し上げかねる次第であります。
  42. 圖司安正

    圖司委員長 奈良治二君。
  43. 奈良治二

    ○奈良委員 私が質問いたしたいと思つたことは、今まででほぼ尽きてしまつたのですが、ただ一点、国土調査の担当機関は、いろいろたくさん国の機関としてあるわけでありまして、そのおのおのについて、政令でもつて調査の具体的な事項を規定するというような法案なのですが、これが矛盾撞着するような——もちろん調整は審議会の方でやるでしようけれども、何かしら大きな不安があるような気がするのですが、その点はどうですか。
  44. 安芸皓一

    安芸政府委員 ただいまの点でありますが、現実の問題といたしまして、相当技術力と申しますか、そういうものを持つていないと、こういう調査ができません。すでに各機関で技術力を持つと同時に、また現在でもそういうふうにやつておいでになりますが、そういう問題をこういう一つのまとまつた考え方に持つていくために、いろいろ重複する点その他を省くことができるようにして行きたいと思うのでありまして、その方針なり行き方、その仕事の量と申しますか、そういうものを一応まとまつた一つ計画の中で、それぞれの担当機関が分担して行くというような行き方が現在のところでは一番やりやすい方法であるし、また早急にできるのじやないかと考えましてこういうふうにいたしたのであります。
  45. 奈良治二

    ○奈良委員 たとえば水調査にいたしましても、治水関係は建設省が担当する、灌漑用水の方は農林省が担当するというような場合に、実際問題としてどつちに重点を置かるべきか。水の調査にしても、不明というような場合が出て来ないでしようか。そういう場合にどういう処置をとられるのでしようか。
  46. 安芸皓一

    安芸政府委員 そういう問題は、たとえば一つの川にしてもどことどこを調査するか、建設省が現在考えておられるのはどのくらいの分野を占めるか、さらに洪水防禦対策につきましては、どの点とどの点をよく調べる、農業用水につきましてはどの点を調べるという計画は、国土審議会で決定いたすことで、それに従つてそれぞれの所管しておる分野については、それぞれの所管省で調べることにいたしますから、その点はそう混乱しないでやつて行けるのじやないかと私どもは思うのであります。
  47. 奈良治二

    ○奈良委員 現在の各省が、自分らの省の本来のいろいろな調査なり、企画なり、今後り事業に対しての設計なり、そういうものをつくつて事業をやりつつあるわけでありますが、それとこの国土調査との関連性につきましては、予算的な面でどれだけの関連性を持つてやられるか。全然関連性のないことで、実施機関としてやられるお考えですか。関連性があるならば、どこまで関連させるおつもりですか、その点をお尋ねいたします。
  48. 河野通一

    河野(通)政府委員 お話の各実施機関の間で、ばらくに調査いたしておりました弊害と申しますか、あるいは非能率と申しますか、そういう点を排除いたしまして、できるだけ少い経費でもつて、あるいは少い手数でもつて、統一的に、計画的に、重複を避けて調査を推進して行きたいというのが、実は本法の目的でありまして従来ありましたようなそういうむだを、できるだけ排除するように、運用においてもちろん考えて参りたいと思つております。   第二点の経費の使用方法の問題でありますが、この点も調査前において通産省であるとか、建設省であるとか、いろいろな調査費を持つて調査いたしておるものがございます。この調査をできるだけ統一的な面から見て、利用できる範囲内のものは利用し、さらに重ねて調査しないようにして、国費の節約をはかつて行きたい。それから今後各省が実施いたします経費も、原則といたしましては、この国土調査のための経費の中に集中されることに相なるかと思います。その集中された経費を、ただいまお話申し上げましたような審議会の基本方針の決定に基きまして、この調査は通産省なら通産省で、こういうふうに調査する、この点は農林省関係調査をやらせるというようなことにいたしまして、それに応じた費用を、一本にまとめました調査費用の中からわけて実施機関に交付して調査させる。一種の委託調査のような形になるかと思います。そういうことによりましてできるだけむだをやめ、重複を避け、統一的な、計画的な、むだのない調査をいたしたいと考えております。
  49. 奈良治二

    ○奈良委員 いろいろな機関がやる事業に対して出した補助は、やはり国の関係機関の各省庁を通じての補助なのでしようか、それとも総合的な一つ計画のもとに取扱うことになるのでしようか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  50. 小船清

    ○小船説明員 補助につきましては、基本の方針を経済安定本部において定めまして、これを関係各省に通達いたしまして、その方針に基きまして、各省大臣が地方補助を支出する、こういうふうにやりたいと考えます。
  51. 奈良治二

    ○奈良委員 各省々々からというわけですか。
  52. 小船清

    ○小船説明員 そうです。
  53. 圖司安正

    圖司委員長 他に御質疑がなければ、本日はこの程度にて散会いたします。  次会は、明二十三日午後一時より本委員室において開会いたします。     午後一時十九分散会