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1951-03-15 第10回国会 衆議院 経済安定委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月十五日(木曜日)     午前十時五十四分開議  出席委員    委員長 圖司 安正君    理事 志田 義信君 理事 多田  勇君    理事 永井 英修君 理事 竹山祐太郎君    理事 勝間田清一君       岩川 與助君    寺本  齋君       細田 榮藏君    宮原幸三郎君       村上 清治君    森   曉君       笹山茂太郎君    森山 欽司君       中崎  敏君  出席政府委員         経済安定政務次         官       小峯 柳多君         経済安定事務官         (総裁官房長) 平井富三郎君         経済安定事務官         (産業局次長) 前谷 重夫君         経済安定事務官         (物価庁第一部         長)      渡邊 逸亀君         外資委員会事務         局長      賀屋 正雄君  委員外出席者         専  門  員 圓地與四松君         専  門  員 菅田清治郎君     ————————————— 三月十五日  委員羽田野次郎君辞任につき、その補欠として  中村寅太君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 三月十四日  外資に関する法律の一部を改正する法律案(内  閣提出第一〇六号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  連合審査会開会要求に関する件  外資に関する法律の一部を改正する法律案(内  閣提出第一〇六号)  臨時物資需給調整法改正に関する件     —————————————
  2. 圖司安正

    ○圖司委員長 ただいまより会議を開きます。  これより昨十四日本委員会に付託されました(内閣提出第一〇六号)外資に関する法律の一部を改正する法律案議題に供し、政府より提案理由説明を聴取いたします。小峯政府委員。     —————————————
  3. 小峯柳多

    小峯政府委員 ただいま議題となりました外資に関する法律の一部を改正する法律案につき、その提案理由を御説明いたします。  日本経済自立と健全な発展をはかり、かつ国際收支の均衡を維持して行くために、国内における資本蓄積の促進と並んで、民間外資導入が一層促進されることがきわめて必要であることは、あらためて申すまでもありません。政府は昨年外資に関する法律制定いたしまして、民間外資導入を促進するために、外資導入とこれに伴う海外送金に関するわが国方針手続等を明らかにし、外資を保護するための法的措置を定めたのであります。  この法律は、御承知のように本邦に投下された外国資本に伴つて生ずる元本果実海外送金保障措置を設けることを骨子としたものでありますが、制定当時のわが国外貨事情や企業の状態等にかんがみまして、外国資本投下については、認可または届出制度をとり、日本経済自立発展及び国際收支の改善に寄与するものに限つて投下を認めることとしたのであります。ことに資金的投資のうちで、外国投資家による既存株式取得につきましては、当時株価が異常に低かつた事情を考慮いたしまして、その取得外国投資家投資計画の一部であり、かつ、その取得対価外貨によつて行われる場合に限り認められることとなつているのであります。しかしながら外資に関する法律の第二条にも明らかにされている通りわが国に対する外国資本投下は、できる限り自由に認められるべきものであり、届出または認可制限は、その必要の減少に伴い、逐次緩和または廃止されるべきものでありまして、最近の諸情勢から見て、これらの制度による制限は漸次これを緩和すべき時期に立ち至つているものと認められるのであります。よつてこの際外資導入をますます促進するため、外国投資家株式取得に関する右の制限を緩和することといたした次第であります。  すなわち、一、新たに発行せられる株式取得につきましては、配当金海外送金を保障する必要のない場合には認可を要せず、外資委員会届出れば足りるものとし、また第二、既存株式收得につきましては、依然認可制度をとることとしたのでありますが、その取得外貨または外貨と同等の価値のあるものを対価として行われる場合には、その取得投資計画の一部でない場合でも、認可し得ることに改めたのであります。なお、これらの措置とともに、外国資本日本国内で強制的に收用または買收された場合における補償金海外送金手続を明確にし、また公平の見地から外資に関する法律制定以前に、外国人財産收得に関する政令の規定に基き、外資委員会認可を受けた外国人取得した株式についても、配当金海外送金を保障する道を開くことが必要であると思われますので、これら株式について再審査し、外資に関する法律で定める基準に照らして妥当と認められるものについては、爾後その配当金海外送金を保障することといたしたのであります。  以上外資に関する法律の一部を改正する法律案提案理由につきまして、概略を御説明致しましたが、何とぞすみやかに御審議の上、御賛成せられるよう切望する次第であります。     —————————————
  4. 圖司安正

    ○圖司委員長 引続き臨時物資需給調整法改正に関する件を議題に供し、質疑を行います。多田勇君。
  5. 多田勇

    多田委員 物調法の一部を改正する法律案について、先般提案理由説明があつたのであれますが、私どもが最も期待しました自主統制といいますか、民間団体を起用した統制自主的機構ということを考えられておつた点が、ほとんど出ていないように思います。大臣並びに政務次官は、本委員会でも再三新しい統制方式の実施を考えるということを言われておつたのでありますが、こういつた民間機関を活用するところの自主的な統制方式を、どうして物調法改正を契機に実施することができなかつたのか、それは今後の政府統制方式に対する一つ考え方の転換と見るべきか、あるいはまた政府自体は、今後もなるべく自主的な統制方式を活用して行くという考えの上に立つて改正案をこしらえたのであるか、その点についてはつきりした御見解をお聞かせ願いたいと思います。
  6. 小峯柳多

    小峯政府委員 御指摘通りに、私どもはこの物調法改正にあたりましては、今までとは趣を異にした統制方法を考えまして、その方法としまして、いわゆる自主統制のような行き方を考えたのであります。しかしこの自主統制をやりますためには、当然に私的独占禁止法に触れる面が出て参りますし、またそのやり方内容事務に関しましては、事業者団体法にも触れる点も出て参るのであります。私ども経済憲法である私的独占禁止法や、あるいは事業者団体法改正するということに関しましては、多少問題もあるように思うのであります。しかし臨時物資需給調整法における統制の仕方を、自主的な統制に持つて行く範囲において抵触する部分を、この法律限つて適用を除外するというふうな行き方であれば考えていいものだというふうな解釈をとりまして、その折衝をして参つたのであります。ところが関係筋における私的独占禁止あるいは事業者団体法改正に関する意見は非常に強硬でありまして、その点の折衝が思うように進まなかつたわけであります。なおそういういきさつばかりでなしに、統制の本来の性質は、何といつても国家の権力の経済への介入でありますから、政府みずからの手によつて実施することが、統制の本質からいつて当然であろうと思います。私どもはそういう意味統制をやらなくても済むという段階に考えておりましたから、実は自主統制のようなものを一応段階として考えたわけでありますが、それはむずかしいというふうなことになりました以上、形は政府統制というふうなことになりましても、そのやり方に、おのずから最初からねらいましたような精神をくみ込みますために、改正案にもうたつてありますように、民間達識経験者諮問委員会をつくつて、十分に民間意見を反映さした万全な統制措置を講じたい。しかもその統制最小限度ぎりぎりのところまで、必要不可避の場合最小限度に行うという建前をとつておりますから、法文の改正に関するいきさつは以上の通りではありますが、実際の経済統制面の現われ方は、最初に私ども考えましたものと、内容的にはかわらないもので行けるのだというふうに考えておる次第であります。
  7. 多田勇

    多田委員 非常に努力された点については敬意を表しますが、ただ政府が考えておりました自治的な統制への移行という点を強度に実施するための一つ行き方が現在とられているのではないか、それは最近行われました主食配給機構の問題あるいは砂糖配給機構の問題、これらが主食につきましては卸団体民間機能を活用する、砂糖につきましては元卸団体民間機能を活用する線に持つて行かれた、その考え方については同感の意を表する次第でございますが、ただ実際の運用の面に参りますと、單に民間業者自体統制物資を扱うことによつて、その統制を円滑に遂行するということが非常に困難だという実情が、現実に起つてつておるようなことも聞いております。たとえば主食にしましても、各府県別配達運賃といいますか、運賃をきめまして、各府県別食管から払渡しをする価格を、まちまちにいたして行こうという考え方のようでございますが、各府県に参りますと、どうしてもこの運賃を公正にプールするためには、一つプール的な操作機関を、民間業者自体が持たなければならない。あるいは民間業者自体団体によつて、そういつた操作をすることが現在の場合には許されておりませんので、やむを得ざる措置としましては、業者個々においてその操作をしなければならないというようなことになりますと、業者自体、たとえば主食却売機関大半というものは、主食小売業者構成員にした協同組合なり、あるいはまた株式会社なりで構成されておりまして、これは当然事業者団体法に抵触する危険性がございますので、これらの非常に危険性のある団体をして、こういつたプール的な作業を行わしめるというような形をとらざるを得ないようなことになつてしまつたのでございます。また砂糖につきましても実際問題としますと、どうしても砂糖の元売業者一つ団体なりを組織しまして、その団体において品物の操作をし、運賃プール的な機能を活用するということ以外に、円滑な配給統制ができ得ないというような現状に逢着しておるのであります。それは物調法改正により、自主的の統制が可能であるという一つ見通しのもとに、こういつた民間機構への移行を行つたことのように私どもは考えておるのでありますが、物調法改正によつて、こういつた操作ができないというようなことになりますと、主食あるいは砂糖等民間機構への移行問題も、将来大きな問題として問題化する危険性があるのではないか、こういつた点に対して安本当局はどのような考え方を持ち、どのような措置をしようという御見解であるか、その考え方についてひとつお伺いいたしたいと思います。
  8. 小峯柳多

    小峯政府委員 マル公価格のものを民間配給するという形のところに実は今御指摘のような無理が出て来ておると思います。私どもマル公もはずしてまた配給の形も自由にするような形を最善の方法だと考えておりますが、これも環境、条件等に応じましても、ただ理論的、あるいは主義の上で推し進めるというようなことはいたしたくないと考えるのであります。御指摘のような点で、初めはプール計算は、特別なプールに関する法律のようなものできめて行けたらと思つたのでありますが、これも御承知のような段階関係方面との折衝が得られず、従つてこれまた御指摘のように、物資需給調整法における新しい統制方式でも行い得るようになりますれば、それが運用できるようになるだろうとも考えておつたのでありますが、この点も問題があります。従つて今は許される範囲限つて食糧特別会計でもつてプールし、あと業者自己プールでやつていただくほか方法はないわけであります。なお詳細の問題は事務当局から説明いたさせますが、御指摘の点は十分私どもも深い関心を持つておりまして、なお今後も研究を続けて参るつもりであります。
  9. 多田勇

    多田委員 問題は民間機構による自主的な統制範囲、それに対するその筋の考え方が問題になつて来ると思うのでありますが、私どもが今日までいろいろの面で接触した範囲においては、たとえば主食の場合におきましても、どうしても民間機構を活用しなければ運賃プールができないのだ、主食配給統制が困難になるのだというような、はつきりした理由があれば、当然それらの点についても考えなければならないだろうということをはつきり聞いておるのであります。ところがたまたま主食プールについては、おそらくただいま政務次官が言われましたような独禁法、あるいは事業者団体法等の問題との抵触なしに、食管特別会計でやればできるのだ、一つ政府機関でやればできるのだという考え方のもとに、民間団体によるところの特別機関が認められなかつたというように聞いておるのであります。これは自主統制の面で非常に大きな影響があろうと思いますので、主食プールがどのような理由によつて民間団体操作することができなかつたのかという点について、御説明願えれば幸いだと思います。
  10. 前谷重夫

    前谷政府委員 お答え申し上げます。お話のように公団廃止になりますると、従来公団がやつておりました運賃プールが行い得なくなるわけでありまして、当初われわれといたしましては、現在公団が行つておりまする運賃プールを、別途の機関で、つまり業者一つ団体によつて行う。その場合に二通りございまして、一つ全国的なプールの問題と、それから府県におきまするプールの問題と、二つプールの問題があつたわけでございますが、それに対しまして特別の機関をつくりまして、その特殊の団体によりまして運賃プールする。その場合に運賃プール性質上、どうしても強制加入ということが必要であつたわけです。そこで御承知のようにその強制加入をするということが事業者団体法に触れるということで、長らく強制加入の問題において折衝いたしておつたわけでございますが、強制加入が不可能になりますると、あと全国的な段階といたしましては、特別会計プールする以外にいたし方がない。府県の場合におきましては、これは現在の事業者団体法精神範囲におきましても、府県におきまするプールはある程度認められるのじやなかろうかということで、その点もさらに折衝いたしたわけでございますが、これもやはり強制加入という点につきまして、事業者団体法根本精神に触れるということで、実は不可能になつたわけでございます。従いまして現在といたしましては、全国プールは結局政府でもつて行わなければならない。府県内におきまするプール強制加入という制度はございませんけれども、できるだけ一つの組合でもつて、その範囲内でプールをやつて行く、こういう方法しかないということで、現在そういう考え方で進んでおります。
  11. 多田勇

    多田委員 これは業界に今後大きな問題を提供する危険性があるわけであります。と申しますのは、主食の場合全国卸売機関統制されました卸売業者大半というものは、小売業者構成員にした会社のように私どもは聞いておるのです。そういたしますと、小売業者構成員にした会社卸売の活動をするということになりますと、これは当然事業者団体法に抵触する危険性が十分にあると思います。こういつた一つ卸売機関をつくるための指導が、これは安本当局に申し上げても筋が違うかもわかりませんが、農林省なりあるいは食糧庁なりが、こういつた指導方針のもとに、全国的な卸売機関を設置するという行き方を正式にとつたとは思われませんけれども、大体そういう線に沿つて、混乱のない形において主食配給統制を、民間機構にスムーズに移して行こうという考え方で、こういう指導方針をとつたように私どもは聞いておるのであります。これは昨年問題になりました酒の公団廃止後の酒の販売業者の問題で、大蔵省の関係者が相当責任を問われたというような事情も聞いておりますが、こういつた形で一般の業者一つ自主統制可能性を考えながら、一つの初歩的な行き方をとつて来たということは、單に業者だけの責任ではなしに、政府自体が大きな責任を負わなければならない問題になるのじやないか。あるいはまたこれが大きな問題になつた場合に、全国的な主食卸売機関機能が喪失されるという危険性もあるのでございますので、これらの点については、十分に事業者団体法適用除外をはかるべき措置を講ずべきだつたのじやないか、こういうように考えておるのでありますが、先ほど来主食プール操作がどういう理由でできなかつたかという点について、まだはつきりした御答弁を得られませんでしたが、独禁法あるいは団体法に抵触するという理由でなしに、食管特別会計でもできるのだという理由なのかどうか。あるいは独禁法団体法に抵触するから、それは認められないということになつたのかどうか、その点をはつきり説明願いたいと思います。
  12. 前谷重夫

    前谷政府委員 説明が不十分であつたと思いますが、当初は先ほど申しましたように、事業者団体法例外によるプールということでもつて、いろいろ交渉したわけでございます。その例外といたしましては、事業者団体法において行います場合に、強制加入という制度がとれませんので、強制加入がないとプールというものは成立ち得ない。非常に有利な地域に安い運賃で地盤ができました者は、そのプールから除外する、そうして高いところの者だけがプールに参加するということになりますと、運賃プールは成立ちませんから、全部の人がやはりそのプールの中に参加する、そのためには強制加入団体が必要である、こういう考え方でもつて折衝いたしたわけであります。その結果その点が事業者団体法に触れる、こういう建前事業者団体法関係上、自主的な運賃プールができない。そうして法律的には強制加入の点において障害を来した、かような事情でございます。
  13. 多田勇

    多田委員 これ以上は農林省にお聞きしなければなりませんが、私どもがこの問題で折衝しましたときには、どうしても民間団体プール操作をさせなければ、主食配給統制ができないということであれば、十分検討して行こうということを聞いておるのであります。そういつた面から、食管特別会計でやり得るのだというような考え方が主となつて民間プール機関は認められなかつたのではないかというように考えておるのでございますが、それはまあいずれかの機会に農林当局に伺うことにいたしたと思います。  その次に統制に対する政府考え方、これはただいま政務次官から、大体の考え方についてはお聞きしたのでありますが、自主的統制が非常に困難だということになりました後において、統制方式を、やはり同じような形において、政府統制方式を強力に推進するということに考えておるのかどうか、それと今一つは、統制範囲をどの程度に考えているのか、たとえば輸入見通しが非常に困難だというような物資、あるいは大部分輸入しなければならないような物資寡少物資については、今後そういつた事態が生じました場合には、統制を拡大して行く方針であるかどうか、あるいはそういつた物資についても、なるべく統制を拡大せずして、できるだけ統制を圧縮して行く、それと同時に今度の改正法案でできますところの審議会におきまして、現在統制範囲になつております物資等について、この審議会があらためて検討した上で方針をきめるという考え方が、あるいは現在統制されておることについては、審議会はタツチせずして、新しい事態に対して審議会が活動するというようなことになるのかどうか、その点について御説明願いたい。
  14. 小峯柳多

    小峯政府委員 私ども統制をいたす場合は、生産あるいは取引を構成する諸条件の一番下のところで切られる。従つて経済能力に非常に影響がある、害があるという意味で、もちろん統制はなるべくやりませんように努力はいたします。そして本筋としましては、そういう末端的な、でき上つたものに手を加えるような方法でなしに、生産が増強できるように、あるいは流通が円滑に行くような基本的な政策に対して効力をいたして参りますことが第一義であります。しかしそれだけで効果の及びませんような場合には、間接的な統制、たとえばこれも大きな意味から言いますれば、予算の構成もすなわち経済に対する一つ統制の、調整の流れになるわけでありますが、外貨だとかあるいは金融だとかいうふうな面で、統制というよりも必要な面を伸ばして行くような、多少違いのある、重点的な扱いをして行く、なおそれで足りませんような場合、ごく少数の部面につきましては、統制を直接政府の手でやりますが、そのやります場合においても、今度の改正案で御審議願つておりますように、審議会を活用して、民間意見を十分反映して、一方的な政府だけの考え方統制しないという方針をとつて参りたいのであります。そういう意味でありますから、私ども最初自治統制を考えましたときの精神と、今考えておりますやり方とは違つていないと申し上げておきたいと思います。申し落しましたが、審議会はこの物資調整法伴つた審議会でありますから、新しい統制をふやします場合において、御審議願いますことはもちろん、またはずす場合におきましても、また既存のものに対しても、当然御相談願うことになるだろうと思います。
  15. 多田勇

    多田委員 最近の新聞によりますと、石油統制の権限が日本政府に委譲されたという報道がございますが、この点についてその内容を御説明願いたいと思います。
  16. 前谷重夫

    前谷政府委員 石油につきましては、現在指定生産資材として配給いたしております。これが従来の臨時物資需給調整法によつてつておりますが、従来石油輸入につきましては、大部分がガリオアの輸入であつたわけであります。それで一部につきましてある程度民間貿易というものが行われておつたわけでありますが、この民間貿易制度をさらに拡充いたして参りたい、こういう線におきまして折衝をいたしておつたわけであります。この点はまだはつきり民間貿易に完全に移るということにはなつておりませんが、この範囲がだんだん拡大して参るという方向に向つておるわけであります。
  17. 多田勇

    多田委員 現在物調法によつて統制されております物資の中で、近い将来に廃止してもさしつかえないというような物資を考えておられるかどうか、その点をお聞きいたします。
  18. 前谷重夫

    前谷政府委員 ただいまお手元にお配りいたしてございますように、現在大品目におきましては、十種類ほどのものを指定生産資材として統制いたしております。それがその後の需給状況によりまして、この中から現在硫化鉄鉱、硫黄、硫酸、カーボンブラツク、新聞巻取紙印刷三十五号及び三十六号、教科書用紙、サルフアイト・パルプ、ソーダ・パルプ、この九品目につきまして、目下これは統制を撤廃する時期に達しておるというように判断いたしまして、その点につきまして関係方面折衝中でございます。そのうち数品目は、相当近い将来に決定になるだろうと考えております。
  19. 多田勇

    多田委員 たとえばただいま申されました九品目の中で、紙につきまして相当程度最近値上りしておるというように聞いております。統制撤廃をして、しかも需給上不足を生ずるというようなおそれがないかどうか、その見通しをお伺いいたします。
  20. 前谷重夫

    前谷政府委員 紙につきましては、全体の需給の問題からいたしますると緩和いたしておると存じますが、ただこういうふうに統制をいたしておりまする印刷三十五号とか三十六号というふうなものは、いろいろな関係生産が多少落ちておるということと、輸出が急激に進んで参りました。この二点で、紙の中でも二、三の品種につきましては、需給の逼迫を来しそうなおそれがあつたのでございます。これにつきましては、統制を撤廃することによりまして、その品種間のアンバランスが均衡がとれまして、その需給の逼迫のおそれのあるものにつきましても、相当の生産増加によりまして需給が緩和するという点と、必要な場合には輸出の面におきまして、これが抑制措置をとりたい、この両方の方法によりまして、十分需給の均衡がとり得ると私ども考えております。
  21. 多田勇

    多田委員 統制を撤廃した場合に、価格統制廃止するお考えですか。
  22. 前谷重夫

    前谷政府委員 御説の通り価格統制も同時にはずします。
  23. 多田勇

    多田委員 価格統制廃止した場合、たとえば新聞用巻取紙の価格統制をはずしたというような場合に、新聞紙の価格もはずすというようなところまで考えられておられるかどうか。
  24. 渡邊逸亀

    ○渡邊(逸)政府委員 新聞購売料金に対する御質問かと思いますが、その場合購読料金の方もはずすつもりでおります。
  25. 多田勇

    多田委員 それは物調法と関連があると思います。物価統制令での価格統制について、やはり物調法と同じように、民間意見を十分聞くための審議会といつたような制度をつくる考えはないかどうか、その点をお聞きいたします。
  26. 小峯柳多

    小峯政府委員 これは違つた法律で出ておりますので、今のところそれを準備いたしておりませんが、必要な段階が参りました場合、あるいはまたそういうことがこの経験によつて生じたという場合には、考えるようにいたしたいと思います。
  27. 多田勇

    多田委員 物調法で物を統制するために、一般の民間意見を聞かれるという一つの大きな進歩を考えておるようでありますから、価格統制の面についても、やはり民間意見を十分に聞くための一つ機関をつくることが至当ではないかというように考えておりますが、物価統制は政令で出ておるはずでございますので、政令を改正するというようなお考えというよりも、そういつた線でひとつ御検討いただきたいと思います。  その次に、これは物調法の運用の面といいますか、物調法に基いて発せられるいろいろな規則、命令等に関係があると思いますが、最近物資配給機関をつくるために登録制度をとつておられます。ところがこの登録制度は非常に弊害がございまして、業者自体が登録戦のために疲労困憊その極に達しておるというのが現状だろうと思うのであります。こういつた制度でなしに、もつと楽な形で、もつとお互いに明るい気持で、せつかく民間機能を活用されるという考え方で進まれている際でございますので、何らか別の方法を講ずるような考え方をひとつ立てていただきたい。現在そういつた登録制について、どういうようなお考えを持つておられるか、その点をひとつお聞きいたしたいと思います。
  28. 前谷重夫

    前谷政府委員 登録制の問題につきましては、指定配給物資の面になろうかと思いますが、この配給の場合におきましては、統制を確実に、厳格にやります場合においては、やはりその対象となるべきものを明確にしておきたいという意味で、登録制度をとつたわけでございますが、御承知のようにだんだん需給状況も緩和して参りまするので、そうすれば大綱的な統制によつてつて行くという考え方になりますれば、登録制度というものは、そうこまかにやる必要はなくなりまするから、自然に登録制度というものを漸次整理できるかと思います。ただ登録制度の場合には、二つ行き方がございまして、一つ物資配給というものを厳格にするという点と、もう一つは、物資統制に至る前に、登録制度によつて、ある程度自然に統制をしないでやつて行くということも考えられるわけでございます。それは統制前の問題といたしまして登録制度が行われる場合でございます。いずれにいたしましても大綱的な統制という場合には、そうこまかい制度というものは必要でなくなりまするから、だんだんそういう点についても検討いたして参りたい、かように考えております。
  29. 多田勇

    多田委員 実際登録制度は困つた問題であります。しかしこれにかわるべき方法といつてもなかなか見出し得ないと思うのでありますが、大体統制見通しといいますか、将来性というものがある程度目安がついて来ているのではないか。なるべく早い機会に統制廃止するという考え方からすれば、一応現在登録制によつて登録されたものにつきましては、今後あらためて登録のやり直しをしないというようなことで、一つの既得権といいますか——既得権というと問題になりますが、現在登録店舗になつておるものはそのまま認める、しかしながら新しい人が商売をすることを阻止するということもできませんので、一定の扱い数量の標準に達し得るような見通しのあるものに対しては、新しい登録店舗にする。登録店舗のうちでも一つの基準から下つたものに対しては取消しをするというような形で、全般的な登録を行うというようなことを一応廃止していただきたい、こういうように考えておりますが、この点もひとつ十分御検討願いまして、あまり業界に混乱を起すことのないような形で、御処置していただきたいと考えております。
  30. 小峯柳多

    小峯政府委員 御指摘の点はまことに同感であります。研究いたしまして御趣旨に沿うように努力して参るつもりであります。
  31. 勝間田清一

    ○勝間田委員 まず一、二お尋ねしたいと思いますのは、最近統制撤廃などを盛んに政府は計画をいたしておるようでありますが、同時に政府は、自立経済計画を他面において立案をされておるようであります。そういう、早くいえば自由な形で、しかもまだ経済状態は非常にアン・バランスの状態が続いておる中で、経済自立計画に必要な資材の確保なり、資金の確保なりを、一体どういう形でやつて行こうと思つておるのか。一体それを確保できる見通しを持つておるのか、その点を伺いたいと思います。
  32. 小峯柳多

    小峯政府委員 自由にしますという範囲を、非常に根本から、何もかにも自由になるようにおとりになつているのじやないかという感じがいたします。私どもが自由にするというのは、生産の能率を上げるために、経済全体の総合能率を上げるために、統制をやるよりはむしろよかろう、従つて自立経済計画というわくを考えましたが、そのわくでうたつた目標の達成、すなわち経済能率を上げるための必要上、むしろ統制をほどいた方がいいと考えておるのであります。しかしそういう形で自由経済を実現して参りましても、基本の線になつております経済の計画というものを忘れるつもりはありません。従つて自立経済にうたつておるような線に沿つての基礎資材の入手その他の問題につきましては、あるいは外貨の問題、資金、金融の問題、あるいは船の問題等、これを重点的に集めまして、目標の実現だけはやつて参るつもりでありますし、また最近は、いろいろ御心配くださいましたが、どうやら目標通りに行きそうな見通しが立つて参りました。
  33. 勝間田清一

    ○勝間田委員 それならばお尋ねしますが、政府自立計画の中でも、たとえば民間資本動員ということが、かなり大きな比率を占めておる。これを計画の上に乘せて、しかも一定のベースの上に確立させて行くということは、どうしてもやらざるを得ない状態でありますが、これをどうして確保されますか。
  34. 小峯柳多

    小峯政府委員 やはり根本的に考え方が違うようでありまして、その点ではなかなか一致しないだろうと思いますが、たとえば民間の資本を動員するにいたしましても、それはやはり民間資本の充実でありますし、民間企業の活発な繁栄なのであります。今までの戦時中にやつたような統制をやることはかえつてそこなら、そうでなしに自由企業の原則を通して行く方が、民間の繁栄も、より高度に期待される。従つて一々こまかいひもをつけて持つて行くのでなしに、全体の繁栄というものが基礎になつて民間資本の使い方も、投下の仕方もできる、かように考えておる次第であります。
  35. 勝間田清一

    ○勝間田委員 政務次官は抽象論を盛んにお述べになりますが、あなたの計画というものをひとつはつきりしてもらいたいと思います。たとえば民間資本を六千億集中するということが必要になつて来る。それも余力があるならば別問題といたしまして、余力がないのを、計画的な面に乘せて行くということになると、どうしても資金計画というものが必要になり、そのために必要な強制力というものを持たして行かなければならぬ。あるいはそれに対する国家資本なりが投下されて行つて、それが一つの呼び水になつたり、あるいは協調融資になつたり、いろいろな形で行かなければならぬと思う。私はそれを聞いておるのであつて、一体どういう形で自立計画の中に資金動員ができるか、それをどういう確信を持つてつているのかということを、あなたは具体的に説明をされる必要がある。
  36. 小峯柳多

    小峯政府委員 抽象的という御非難がありましたが、私はプリンシプルとしては、申し上げた通りにかわりはないと思います。ただあなたのお尋ねの中で資本動員しますために政府資金をどう使うか、この問題は私どもは今までも随時申し上げて来た通りでありますし、また預金部資金の運用の問題あるいは見返り資金の使い方の問題、あるいは長期資金の使い方の問題等で行えると思います。しかしあなたも御存じだろうと思いますが、今日の金融の逼迫というような問題は、これは單に操作上の問題ではありません。日本の資本蓄積というものの段階が非常に低いということが根本なのでありまして、その資本蓄積段階を積極的に進めるためには、私はあなた方のおつしやるような、いわゆる統制経済では不可能だと考えます。自由企業というものによつて、御承知のような貿易に関しましても、自動承認制なんかを拡大したことによつて、よほど企業のめぐりぐあいが違つて来ていると思います。要は各企業を強くいたしまして、私のいう産業安定の度合いを高めません限り、実は金融も緩和される見込みはないと思うのであります。そういう意味政府資金の投入の仕方は、おのずから計画的に進みますが、民間資本は預金の形でこれを集める以外に、実は方法がないと思うのでありまして、そのためには企業の自由活動というものを保障することが、一番遠いようでありますが、やはり一番近道だと考えておる次第であります。
  37. 勝間田清一

    ○勝間田委員 なかなか政務次官は頭がいいので、どうも言葉をごまかされるようでありまして、資本蓄積が足りないからということを、あなたは前提にされるわけですが、足りないから国家資本の形で、資本を蓄積するにしても、それでは見返り資金その他のものが足りないので、どうしても民間資本の蓄積に依存しなければならぬことになつて来る、その金額は安本でも約六千億と計算しておると思う。それは蓄積できるとしたところで、一体それをどうして税收入の上に乘せて、必要な、たとえばあなたの計画されておる船舶であるとかあるいは電力開発であるとか、あるいは国内の食糧の増産の問題であるとか、いろいろな問題があるわけです。民間資本としての蓄積資本を適当なところにどう動員することができるか。それは少いから問題になるのであつて、少いから今は段階が違うのだという御説明は、自己否定の御説明なので、少いからそれをどういうふうに動員して行くかということを、私はお尋ねするわけであります。
  38. 小峯柳多

    小峯政府委員 少いものを動員する方法も、もちろん問題でありますが、私の申し上げたのは、少いものをふやす方法としては、自由企業がいいのだと申し上げたのであります。なお少いものを動員する方法といたしましては、これは根本のプリンシプルとしまして、やはり抱合せの融資を考えた方がいいと考えます。それが具体的な資金の面で呼び水にもなりますし、またそういう線に沿つて金融的な行政指導といいますか、そういう方向で持つて参る。これをあなたのお考えでは、きつとまた臨時資金調整法みたいなものをお考えかと思いますが、そういうふうなことが、いろいろな意味で弊害の多いということを、私どもはすでに体験として承知して参つておるのでありまして、実際上の考え方から、政府資金との抱合せとして、そういう線に沿つての行政指導で持つて参りたいと考えております。
  39. 勝間田清一

    ○勝間田委員 その場合にあなたの方では、二重生産とか、迂回生産のロスを考えていますか。
  40. 小峯柳多

    小峯政府委員 それはあなたの方の御議論でよく出て来る問題でありますが、二重生産、迂回生産のロスと、それから統制をやることによつての最小の条件経済の能率を切られる点と、どつちが大きいか。私どもは評価の上において、多少の二重生産、迂回生産はありましても、統制によつて一番悪い条件経済の能率を切られる点よりも、むしろましだという結論で、これをやつておるのであります。
  41. 勝間田清一

    ○勝間田委員 並行線になりますので、大体この辺でやめておきますが、しかしそれにしてもあなたの方の価格政策というものを見ておりますと、ほとんど価格が維持できない。価格政策が失敗したという理由で、統制が撤廃されておるように思う。国民生活なり、あるいは生産なりに影響がなくなつたから統制を撤廃するのではなくて、価格政策が維持できなくなつたというので、統制撤廃になるのではありませんか。
  42. 小峯柳多

    小峯政府委員 大分頭のいい御質問でありますが、私ども価格政策に失敗したからというふうな逃腰でやつておるのではありません。逆に自由にほどいた方が、自由価格が自然的な調整をいたします。自由価格というものの長所は、価格によつて需給の調節もするわけでありまして、また自由にほどくことによつて生産の規模が拡大する。そうしますと、末端の花をいじるのではなく、幹をいじるというふうな考え方になる面もありますので、これを考えておるのでありまして、従つてどもは、消極的な逃腰でやつておるのではありません。こういう方法によりまして、価格政策には一つの体系を考えておるわけであります。
  43. 勝間田清一

    ○勝間田委員 価格政策はこれからどうやつていらつしやいますか。
  44. 小峯柳多

    小峯政府委員 経済方式統制経済でやろうと、あるいは自由経済でやろうと、国際経済につながつた今日、封鎖経済でありません今日、海外の物価事情の反映を遮断する方法はあるまいと思います。もし海外の物価事情を遮断するのでありますれば、これは為替の切上げをやるか、あるいはもう一ぺんきつい税金でもつて押える以外には、方法はないのではないかと思います。従いまして私ども考え方としましては、国際物価を正常に反映した段階における物価の動きというものは、これはどうがんばりましても、防げるものではないと考えるのであります。しかし今日の日本の物価の状態を考えますと、そういう正常な国際物価の反映以外に、日本経済の特殊的な弱みでもつて、物価高がプラス・エツキスになつておるような感じでありますが、あるいは船の問題にいたしましても、あるいは産業の合理化の遅れておる問題にいたしましても、そういう面でもつて、国際物価の正常な反映以外に高くなつておるような面があると思います。ことにまた再統制云々に対する懸念もあります。これは物価高よりも、統制によつてものの入手が困難になるといつた見通しで、多少思惑買いも加わつておる感じがいたしますので、そういうふうな、正常な国際物価の反映以外の面を除去することに、まず努力しているつもりであります。正常な国際物価の反映としての日本の物価が実現する段階になりましたときは、やはり賃金あるいは主食に関するものに関しましては、補給金は若干考えて行かなければならぬのではないか、これはまだ研究中の課題でありますが、大体そういう方向で、主食、賃金というものに対する生活安定の重点だけは、考えて行かなければならぬのではないかというふうに考えております。
  45. 勝間田清一

    ○勝間田委員 政務次官はなかなか重大な発言をしておるのでありますが、外国の貿易インフレに対する処置として、あなたは為替の切上げか増税かを考えざるを得ないと、二つの点を言われておる。二つしかないという言葉を使われたが、どつちをやりますか。
  46. 小峯柳多

    小峯政府委員 あなたは国際物価の反映をチエツクする方法、おそらくその点をおつしやりたかつたと思いますが、先まわりをして申し上げたのであります。今の点私どもは、そういう二つの問題とも、全然考えておりません。理論の上で考えれば、そういう考え方であるが、われわれの経済に対する考え方からいうと、その二つの問題とも、今の段階、今の条件で絶対にすべきじやないという考え方であります。
  47. 勝間田清一

    ○勝間田委員 政府の政策を見ておりますと、さつき政府委員説明によりますと、紙その他の統制を撤廃されるようであります。同時に価格政策も撤廃されるようでありますが、一体そういうのは、需給のバランスがよくとれておるから撤廃するのですか、あるいは生活に影響がないから撤廃されるのでありますか、この点をはつきり聞かしていただきたい。
  48. 小峯柳多

    小峯政府委員 二つの御指摘のような点を考慮して統制を撤廃して参ります。しかしここで申し上げておきたいことは、需給のバランスがとれたから統制を撤廃するというふうに考えますと、あるいは見方で、統制が徹頭徹尾とれないかもしれません。私ども統制をとることによつて需給が改善されるという面を考えておるのであります。よく普通統制経済を主張なさる方々は、單に固定的な生産量ということを考えて、分配の問題というようなことを議論なさいますが、私ども統制を解くことによつて生産量がふえる。先ほどの紙の問題でも申し上げましたが、実はマル公で紙にクラスがついておりまして、そのクラスのついたことによつて、かえつてへんぱな紙の値上りを、部分的に来しておるのであります。もしそういうものをとりますと、おのずから彼此融通し合いまして、自然の価格において特に高いものが下るということにもなります。要するにこの不自然なせきを設けておきますことは、かえつて流通なり、生産に阻害になるという意味におきまして、実は統制を解くということを考えておるのでありまして、需給が完全に調和がとれたからとるというよりも、とることによつて需給が改善されるという面を考えておるのであります。
  49. 勝間田清一

    ○勝間田委員 それならお尋ねいたしますが、最近パルプ資源、森林資源が不足の状態にある。そこで政府は、ここにも書いてある通り、森林法の改正によつて、木材関係統制なり、資源の確保をやつて行きたいといわれておる。そういう条件が一方にできておつて、それを加工しておるところの紙製品に対しては統制を撤廃する。これは論理的にどういうふうに統一がとれておるのか。
  50. 小峯柳多

    小峯政府委員 パルプにレーヨン・パルプとサルフアイト・パルプがあつて、片一方に統制があり、片一方に統制がないというような不均衡を直すという意味もあります。そういう点からバランスをとるという考え方でやつておりますし、また森林資源の問題をいろいろ言われましたが、むしろマル公をとることによりまして、レーヨン・パルプ、サルフアイト・パルプ間の相互的流用あるいは融通というようなことも期し得られる、さように考えておるのであります。
  51. 勝間田清一

    ○勝間田委員 いわゆるパルプ間において均衡をとるということは必要かもしれませんが、しかしそれ自身が不足しており、木材原料も不足しておるのであるから、その中の不均衡というものは別にいたしましても、実は統制を撤廃することによつて、不均衡がなくなるということは考えられない。根本的にはそれ自身が不足しており、現在未曽有の値上りをしておるのであるから、ここはやはり統制撤廃論という議論にはならない。むしろあなたの方では森林法の改正等を見て、山から加工品に至るまでの一貫した確保をはかつて行こうという考え方を持つていらつしやるのでしようが、その考えとはどういう関係になるのか。それは私は矛盾しておると思います。
  52. 小峯柳多

    小峯政府委員 ここで。パルプのマル公をとりますと、パルプ会社生産計画というものは自由なものになると思います。今御指摘のように、森林資源がどうこれに結びつくかということもありましよう。たとえばパルプは従来針葉樹が中心になつておりましたが、濶葉樹をパルプにするという方法も、マル公をとることによつて研究が進められるはずであります。また企業がその面で実際に進めておるはずであります。なるほどりくつの上から行くと、森林資源がきゆうくつだといわれておるときに、解くのはどうかというお話もありますが、解くことによつて創意と工夫を、お役人の頭では実は考えの及ばない点が民間企業の中に生れて来る、そういう形にして、なおかつ総合的な森林資源に対する対策というものを考えて行きたい。こういう意味統制撤廃を考えておるのであります。
  53. 勝間田清一

    ○勝間田委員 それなら森林資源の確保ということはどう考えておりますか。これには説明されておりませんので……。
  54. 小峯柳多

    小峯政府委員 これは御承知のように、森林資源というものは一朝一夕にでき上るものではありません。要は現存する森林資源をどう合理的に調整して行くか、私どもはその一環といたしましても、今度の公共事業でも、奥地林道の開発に重点を置いております。同じ林道でも、奥地林道にいたしますと、成長の古い木が切られるわけでありまして、先山で十本切ることよりも、奥山一本で足りる場合もありましよう。奥山の資源を上手に切らないと枯損木になりまして、これが災害のために害をしたり、また森林の正常な成長を妨げておるのでありまして、私どもはそういう点で公共事業費におきましても、奥地林道の開発を通じまして、森林資源の育成を取上げるつもりであります。
  55. 勝間田清一

    ○勝間田委員 それはもう戦争前からやられておる問題で、奥地林道をどう開発するかということは、今あらためて問題にすべきものではない。今あらためて問題にすべきものは、森林の育成であるとか、これの伐採計画であるとか、それから出て来る需要とか、それらを一貫して確保しながら、その原料も同時に確保して行くという形をとつて行くのが、ほんとうの筋であつて、その一環として奥地の未開発資源を開発するということが、当然考えられることであつて、奥地の木を切ればいいという段階でないので、少しその点は違うのじやないかと思います。
  56. 小峯柳多

    小峯政府委員 あなたは古い問題と言われますが、実は行政上そうは効果を上げておると思いません。いくらテーマになりましても、昔の企画院のように、題目ばかり並べて実施することがなければ何にもなりません。その点私どもの内閣は重点的にやつておりますし、今御指摘のように、総合的にやることは忘れてないつもりであります。
  57. 勝間田清一

    ○勝間田委員 森林政策は最も古い問題で、日本の問題はこのことで尽きると思う。現在では奥地の木を切るというだけでなくて、日本の全資源をどう拡充して行くかということが問題なんです。奥地の木を切る問題ではない。そこで私は山から麓までの一貫した確保の方策を、どうとるのかということを聞きたいのであります。
  58. 小峯柳多

    小峯政府委員 いろいろ御質問していただいておりますが、実は私どもは総合官庁ですから、詳細の点は林野庁からお聞きくださることを希望いたします。ただ私どもは総合的に開発の問題を考えておりまして、総合開発ということを特に公共事業で取上げておりますのも、今御指摘のように、総合的な森林資源の開発ということを含めて、考えておることを申し上げておきたいと思います。
  59. 勝間田清一

    ○勝間田委員 これ以上申し上げることはやめまして、今度は食糧と肥料の問題を総合的にお尋ねいたします。肥料の問題で、硫安肥料の統制撤廃をやられて、最近は非常に不足し、アンバランスが出て参つております。あるところでは買いだめが行われておる。実際生産の数量の上から言えば、正常に行きわたるべきものと思う。しかし現在の状態では、遺憾ながら肥料の不足ということは、去年の暮れから春にかけて非常なものがある。そういう事態を現出して、最近では御承知のように、硫安一俵当り、大体工場では現地のレール渡しで、おそらく七百四、五十円になつておる。ここ一、二箇月の間に三、四十円も上つておるわけです。そういう状態を一方に現出しておいて、他方においては、たとえば食糧なんかは統制を確保してやつておるという状態である。だから統制を撤廃するということは、いかにもいいように聞えるが、実際はきわめて不合理な政策をとつておると思うのですが、まず第一に伺いたいことは、肥料をこのままにしておくかどうかということです。
  60. 小峯柳多

    小峯政府委員 御指摘のような状態は、統制をほどいて自由にした一つの過渡期であり、それに加えまして、再統制輸入原材料、電力の問題をにらみ合せた思わくの点が加わつておると思います。政府が既定方針通り進みますれば、時日を経るに従つてだんだん御修正願えると思います。そういう意味で、私どもの肥料に対する考え方を特別改めて行く考えはありません。硫安に関しましては、従来の方針をかえずに参るつもりであります。
  61. 勝間田清一

    ○勝間田委員 米価の決定に対して、これほどの硫安の価格を見込んでおりますか。
  62. 小峯柳多

    小峯政府委員 米の値段はパリテイーで計算しておりますから、肥料の値上りはそれに反映して出て来るものだと考えます。
  63. 勝間田清一

    ○勝間田委員 現在実際農民に入るのは、協同組合からでも少くとも七百六十円であるが、こういう事態を予想してあつたかどうか伺いたい。
  64. 小峯柳多

    小峯政府委員 御説明申し上げます。昨年の秋にきめました米価におきましては、その当時の肥料価格をパリテイーに算定しておりまして、従つて今後の問題はバツク・ペイの問題として補正されることになろうかと思います。
  65. 勝間田清一

    ○勝間田委員 バツク・ペイということを言われましたから、それで私は了承いたします。しかしバツク・ペイのできないものがある。それは何かというと、賃金であります。現在官公吏の賃金を事実上とめておる。去年の暮れに約一千円上げただけだ。しかし現益の物価は御存じの通り、四割上つておる。これは生計費に及ぼす影響が少いからということが従来は言われておつた。しかし生計費の大部分を占めている主食費に非常に影響している。これについてどう思いますか。
  66. 小峯柳多

    小峯政府委員 今バツク・ペイができないというお話でありましたが、やはりそういう精神沿つて研究し、また実施しなければならぬ問題だと考えております。
  67. 勝間田清一

    ○勝間田委員 そういう精神にのつとつて賃金を考えて行くということは、具体的にどういうことでしようか。
  68. 小峯柳多

    小峯政府委員 時期が参りますれば、あるいは許される条件ができて参りますれば、当然給与のことも考えなければならない問題だと思います。
  69. 勝間田清一

    ○勝間田委員 非常に小峯政府委員は事実を歪曲されておると思う。私が一年か二年前に関係方面折衝したときに、賃金に対するバツク・ペイは絶対できないということは、フーバー氏から当時メモランダムが出ております。だからそれはできない。これをどうされますか。
  70. 小峯柳多

    小峯政府委員 私は現案にはつきりバツク・ペイすると申し上げたのではありません。米についてバツク・ペイがあるように、やはり当然考えなければならないと思うというんです。今御指摘のような点は、私も承知しております。追加払いをするというのではなくて、当然給与の問題も考えなければならない、条件の許される場合には、考えたいということを申し上げたのでございます。
  71. 勝間田清一

    ○勝間田委員 それは小峯さんの個人的希望であつて政府がどう考えておるかということとは別問題だと思う。しかしその点については追究しようとは思わない。あなたは統制撤廃を謳歌されておりますが、事実上はそういう歪曲ができておる。肥料と主要食糧との間においても、また資源確保の点においても、あるいは自立経済四箇年計画を立てる上においても、賃金と生計費の点からいつても。支離滅裂だと思う。こういう状態を現出しておいて、最近のインフレ利得を一部の人間にかせがしておる。こういうことはいいとは思わないが、いかに思いますか。
  72. 小峯柳多

    小峯政府委員 統制経済を非常に謳歌されるような前提の御質問のように受取れるのでありますが、なるほど統制をいたしますと、表は確かにきれいに整頓されます。しかし裏座敷でお骨をお折りになるような感じがいたします。私ども正直に総合的にお目にかけておるのでありまして、これは自由経済調整力でよほどバランスはとれてよくなると思います。しかし繰返して申し上げますが、何でもかでも自由にしようとは考えておりませんし、また私どもの役所も、また内閣も、そんな考えは持つておりません。御指摘のように、今のような過渡期的な現象としまして、一部利得者のあることも承知いたしております。これに対する方策をどう考えるか、早めに芽をつむのがいいか、多少力がついてから公正に税金その他で行くのがいいかは、せつかく研究中でございまして、決して見逃しておるつもりはありません。
  73. 勝間田清一

    ○勝間田委員 それから紙などの輸出制限というものを考えていないと言われましたが、輸出統制をこれからどうされますか。
  74. 小峯柳多

    小峯政府委員 これは行政指導でやる面はできますが、正式に法律などでやりますと、補償の問題なども出て参りましよう。私どもは暫くは行政的な指導で行くつもりでありまして、法制化等のことは考えておりません。
  75. 勝間田清一

    ○勝間田委員 吉田総理はこの前、中共との貿易は発展する見込みだと言われておりましたが、現在そちらの地域に対する輸出の統制は、実際行われておるわけですか、行われておるとすれば、どういう根拠に基いて中国への輸出禁止が行われておるのかということを聞きたいと思います。
  76. 前谷重夫

    前谷政府委員 現在貿易管理令によつて輸出許可品目というのがございます。それによつて許可をいたします場合におきましては、諸般の事情を考えて、法律的には許可不許可を決定しております。
  77. 勝間田清一

    ○勝間田委員 その法律に基いた中国に対する輸出の不許可をやる基準ですが、禁止というものはありますか。出さないものはありますか。
  78. 前谷重夫

    前谷政府委員 御承知のように輸出につきましては、一定の品目につきまして許可制を敷いております。その許可制につきましては、そのものの性質その他のことを考えまして、そして許可不許可を決定いたしております。
  79. 勝間田清一

    ○勝間田委員 その許可不許可の基準というものは、どこにあるのですか。
  80. 前谷重夫

    前谷政府委員 許可不許可の問題は、御承知のように、そのものの需給の問題もありましようし、またその物資性質上、輸出すべからざるものというふうな、いろいろの基準のもとにやつておりまして、その基準につきましては、それぞれ関係方面との連絡のもとに、基準がきまつておることと思います。具体的な内容につきましては、通商産業省の方におきまして基準をきめて実施いたしております。
  81. 勝間田清一

    ○勝間田委員 最近香港に対する貿易でイギリスなどが、四回にわたつて二百数十の輸出禁止品目を出しておるようでありますが、貿易の実際の状況は非常に進んでおる。しかし最近伝えられるところによると、国連に対する協力ということがよくいわれるのでありますが、現在の中国に対しては、国連の問題は何ら関係がない。もしありとすれば、これはそれ以外の政治的な考慮だと思う。しかし日本の現在の状態からいえば、私は世界のどことも通商ができるという形の、国際的地位にあると私は思うのでありますが、その点はどう考えておられますか。
  82. 前谷重夫

    前谷政府委員 香港につきましては、御承知のように日本から相当輸出がございますけれども、実は香港から買うべきものがございません。ほとんど中継貿易といたしまして、ある程度のものが従来入つてつたのでございますが、現在においてはあまり入つておらない。そういたしますると、貿易バランスからいたしまして、結局出超になりまして、現在外貨資金の運用からいたしましても思わしくない。そういう点も考慮されておるわけであります。
  83. 勝間田清一

    ○勝間田委員 従来中国との貿易は、全部入超を続けておつたと私は思うのであります。最近は出超になつておるかもしれませんが、最近開らん炭も着いたということを聞いておりますが、この輸入の見込みはどうなつておりますか。中国からの日本への輸入の見込みというものは、今後どう予定してよろしいかということをお尋ねしたい。吉田総理もこの前、中国との貿易は漸次増大すると言われておりますが、その根拠を聞きたいのであります。
  84. 前谷重夫

    前谷政府委員 現在手元に資料がございませんが、現状におきましては、香港等からの輸入物資はあまり進んでおりません。従いまして出超になつておるわけです。
  85. 勝間田清一

    ○勝間田委員 そうすると、吉田総理が漸次中国との貿易は進展すると答弁したことは間違いですか。
  86. 前谷重夫

    前谷政府委員 私が申し上げましたのは現状でございまして、将来の見込みとして、向うからの原料その他の入手が、諸般の国際情勢によつて漸次好転いたして参るという、将来の見通しを総理は申されたのでありまして、私が申し上げましたのは現状のことでございます。
  87. 勝間田清一

    ○勝間田委員 小峯政務次官にお尋ねしたいと思うのでありますが、最近盛んに日米経済協力ということがいわれております。これは一体どの程度に理解したらよろしゆうございますか。
  88. 小峯柳多

    小峯政府委員 まだ正式なやりとりをやつているわけじやございませんし、おそらく先般ダレスさんがお見えになつて話した線が、精神的にはそういうふうになる。私どももそういうことがあつてしかるべきだと思つておりますが、具体的なことはまだ申し上るような段階に至つておりません。
  89. 勝間田清一

    ○勝間田委員 最近日本も、例の割当計画委員会の方に参加するといわれておるのであります。それと関連するわけでありますが、最近の状況から言うと、いわゆる新特需として民間から民間への注文が、相当殺到するんじやないかという懸念が持たれておるのでありますが、政府はどう見ておりますか。
  90. 小峯柳多

    小峯政府委員 あるいはそういうふうなこともあり得るかと思うのであります。しかし私どもはまだ具体的に何も知つておりませんし、またそういう場合には、さきに立てました自立経済計画の総合関係を乱したくないという建前で、お話がありました場合には、受取らぬつもりであります。
  91. 勝間田清一

    ○勝間田委員 特に内需の確保という点が、そういう事態が起きた場合に非常に重要になつて来ると思うのでありますが、これに対する考え方はございましようか。
  92. 小峯柳多

    小峯政府委員 まことに同感でありまして、私が自立経済計画に照してと申し上げましたのは、この自立経済計画は、国際收支のバランスと、同時に生活水準の引上げをねらつております。その線を乱しますと、逆にまた協力しなければなりません場合でも、協力の力がそがれると思います。この点はどうか皆さんからもお知恵を拝借いたしまして、どこまでも内需を確保し、生活の水準を引上げる。またあちら様から協力を依頼されて、その協力賃が日本の経済にプラスされますならば、どうしても生活の水準の引上げに持つて参りたい。抽象的ではありますが、こういうふうに考えております。
  93. 勝間田清一

    ○勝間田委員 それから結局今度の物調法の一部改正によりますと、特に不足する物資ということになつて、それ以外のものは除外される形になりますが、実際上の品目なり、また統制の仕方なりに、具体的にどう影響して参りますか。その点を承りたいと思います。
  94. 小峯柳多

    小峯政府委員 特に不足する物資というのは、実際上そういう観点でやらなければなりませんものが、むしろ表現として漏れておつたというような、字句の意味で御解釈願つたらいいと思うのであります。事実私どもは、物資需給調整法精神も、大体そういう特に不足した物資、もつともこの中には、いろいろ関係方面との折衝でも出たのでありますが、現実だけでなしに、見通しまでも含んで、特に不足するものという考えを含んでおりまして、従つてそのために今日やつておりますものがすぐかわるということもありませんし、また物資需給調整法の根本の精神がかわるようには考えておりません。
  95. 勝間田清一

    ○勝間田委員 それから最後に一つお聞きしたいと思うのは、審議会ができまして、その組織運営は政令にゆだねることになつておりますが、これはどういう見込みで今計画されておりますか。その点をお尋ねいたします。
  96. 小峯柳多

    小峯政府委員 この委員会というものにつきましては、いろいろ御意見がありまして、むしろ委員会はだんだん減らした方がいいじやないかという御意見もありましたが、先ほど他の委員の質問にお答え申し上げましたように、政府だけの考え方でやるよりは、民間の御意見、あるいは達識者の御意見を十分反映させるようにということを考えたのでありまして、なるべく立場にこだわらずに、広く日本経済全体のことをお考え願えるような立場の方々に参加していただきまして、御意見を聞かしていただく。たとえばこのものを統制するかしないか、あるいはその統制する程度を、価格をやるのか、あるいは割当をやるのか、そういうようなことでも、一々御意見を伺つてやるようにしたいと思つております。
  97. 勝間田清一

    ○勝間田委員 物の統制をやつて行く機関が、これは諮問機関のようではありますけれども、私はこういう責任の所在の明白でないものが、特に買いだめ等々の問題、あるいはいろいろな利害関係の輻湊する問題に、宙ぶらりんで参加することのよしあしということは、私は重大な問題だと思う。もしそういう民間の知識をほんとうに動員するというならば、りつぱに役人にして、そうして責任を負つた形で、しかも秘密を守り、また自分の経営する会社や何かに系累がないようにしてやつて行くべきだと私は思う。だから審議会をつくるということが、いかにもいいようでいて、実際上は非常に悪い。またそれを回避しようとすれば、これは單なる形式上の審議会にすぎなくなつて来るのでありまして、これは非常にぐあいの悪い組織だと思う。ここをどうされますか、お尋ねしたいと思います。
  98. 小峯柳多

    小峯政府委員 御指摘のような点は、私どもも実は十分気をつけるつもりであります。従つておのずから人に重点を置いて、その人の人柄、あるいはその人の立場等は、十分考慮しなければなるまいと思います。しかし責任はどこまでも政府が負うのでありまして、従つて参加していただきます方々には、信頼のできる、ほんとうに政府の立場と一緒になつて、公平に物を考えてくださるような人、こういうことで人選については十分注意をして参りたいと思つております。
  99. 勝間田清一

    ○勝間田委員 それはかなり封建的ですよ。人の人選に注意すればそれで済むというのは、昔からの官僚的な考え方である。組織上そうなつて行かなければその弊害というものは除去できない。だから私は、たとえばアメリカならアメリカで、コミツテイーがそのまま実行機関になるということは、これはたしかに民間の知識を動員できて、しかも責任を持つてやるということになり、弊害も少いと思うのです。日本で常にそういうことをやりますが、結局その結果はよくない。これは今まで繰返された問題であると思う。それをまたここに持つて来て、いかにも民間の知識を導入するというような形式をとつて来て、人をごまかすような政策はよくない。またそれではほんとうの仕事はできない。私はこれは形式だと思うのでありますが、これをもつと考え直す意思はございませんか。
  100. 小峯柳多

    小峯政府委員 せつかくの御指摘でありますが、かえる意思はありません。ただ過去の経験も十分ありますから慎重を期しまして、事実において今御指摘になつたようなものが除かれた、いい委員会だとおほめ願えるような運営だけは努力するつもりであります。
  101. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 私は今の問題に関連はあるが、多少離れた一つの例について伺つてみたいと思います。それはきようちようど物価と産業関係の諸君が見えておりますから……。  最近農業関係で、小さいようですが、非常に問題になつておるのは硫黄であります。硫黄は日本には幾らでもあるように、国民的にはわれわれ常識として考えておつたが、非常に足りない。アメリカからももちろん入る見込みはない。そこでパルプその他に非常に確保されて、一番その被害を受けているのは農薬であります。今三千トン以上の硫黄を必要とするにもかかわらず、これが半分程度しか確保されないという結果、農村は非常に迷惑をこうむつておる。これは燐鉱石と同様に、農業生産資材の問題に、政府が非常に冷淡である一つの現われであります。農林省のごときは無力の結果、なすすべも知らない。従つて私は安本に期待するから今日伺うわけでありますが、これを確保する点について、政府は一体どういうことをやつておられるか。聞くところによれば、これは統制をはずし、価格をはずす中に考えられておる一つと想像しますが、それをやるのかやらなぬのか。やつた場合においては、農薬にはこれは行きつこはない。多少の増産は期待されても、パルプの方は、これは原料の比率からいえば、きわめて微々たるものであるから——今日の公定価格に対して輸入もまたやみも、ほとんど倍であります。そういう事実から推して、これは必ずパルプに集中して、農薬の方は確保できつこないではないか。こういう点で価格及び統制撤廃をしようとする安本の計画、あるいは物価庁の計画によつて、こういう危険にさらされる硫黄の問題について、どういうふうにお考えになつておるか、どういう計画を持つておられるか、これをまず伺いたいのであります。
  102. 小峯柳多

    小峯政府委員 私から概略申し上げまして、両事務担当者から説明していただきます。御指摘のように硫黄の統制をはずす計画を進めております。今までの歴史を見ましても、日本は硫黄の輸出国になつてつたくらいに、割合に多かつたのだと思いますが、ただこの硫黄がマル公のために非常に生産制限されておるように思います。といいますのは、硫黄の企業形態が、非常に個人的な色彩の強いものでありまして、むしろ原始的な形でやつておりますものですから、生産のコストがかかるようであります。これをマル公で切つておりますから、近代的企業でやつております面だけが、実は生産をやつておりまして、その他の面は生産から脱落しておるように思います。そういう意味で硫黄の統制をはずしますことで、よほどこれがふえて来る。またふえる実際の地方というものはあるのだと考えております。そのふえたあと、たとえば農薬に対する確保策はどうするかという御質問でありますが、この点については政府は目下研究中でありまして、いつも御熱心に御指導いただいております趣旨に沿うように、努力いたすつもりであります。
  103. 渡邊逸亀

    ○渡邊(逸)政府委員 ただいま政務次官の御答弁の通り、現在の硫黄の生産が、価格統制によつて押えられておる点も見受けられますので、これの統制を廃しまして、増産に資したいと考えております。ただこの場合統制を完全に撤廃するか、あるいは一時マル公の適用を停止するかという問題があります。増産の割合と価格の騰貴の割合とをにらみ合せて、非常に騰貴すれば、いつでもマル公が復活できるような形態で、統制を停止してはどうか、そういう点を目下研究中であります。
  104. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 小峯さんの御答弁は満足するのですが、その中身の問題について、今の御答弁では、やつて見て高くなりそうなら押えるというのですが、われわれの聞くところによれば、マル公が今日の輸入価格の半分であるということが、現実に生産を阻害しておることもよくわかるのですが、その逆にはずせば倍にすぐに上るということも、これは否定できない。幾らでもあるように言われるが、はずしたから即日に生産が倍加するとも、技術的に考えられないというのが、業界や専門家の見るところであつて、そうしろうとの考えのように行くものではない。従つて必ず価格が倍に上る——倍ときつちりは言えないが、上ることは必然、ことに輸入の国際的な価格が高いのだから、上ることは明瞭なんです。そうなるとそれにつれて農薬も倍にしなければならないということになりますが、そういう政策で価格をやつて行くつもりであるか伺いたい。
  105. 渡邊逸亀

    ○渡邊(逸)政府委員 増産されますと、需給関係でただちに国際価格まで上るとも私は考えておらないのであります。われわれ少しでも上つたら、すぐまたマル公を復活するとも考えてはいないのでありまして、そこは生産の増加の状況、硫黄の価格の上り方並びに国際価格との関連において、国民経済に最も効果的な点を考えまして、なるべくならばマル公の停止をして、そうして一定段階に来て、国民経済上安心ができるという段階に至つたら、これを完全に廃止するというふうに考えております。
  106. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 一向にわからないのですが、一体それによつて農薬その他の製品の価格が上るということは認められるのですか。
  107. 渡邊逸亀

    ○渡邊(逸)政府委員 製造原価が上つたために製品の価格が上るということは認めるつもりでおります。
  108. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 それによつて数量はどういう手で確保できますか。
  109. 前谷重夫

    前谷政府委員 現在硫黄につきましては、大体十万トンちよつとの生産かと思います。これを今申しましたように統制を撤廃することになりますと、非常に低位に置かれた鉱山が増産することになりますので、大体明年度においては、十五万トン程度生産が予想されます。従いまして農薬につきましては、現在三千トン程度のものが、さらにそれ以上の供給が可能だろうと考えております。
  110. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 可能だろうということであつて、これは一つ政府には払える力はない。だからパルプの方が非常に有利ならば、現在においてもパルプは要求量の七割くらいしか行つていない。だから十五万トンくらいになつたからといつて、それがほとんどパルプに行つても余るものではない。従つて農薬は、わずかではあるけれども、硫黄そのものが原料の全部なんです。そういう結果、これは原料が上つただけ製品の価格が上つて行く。その反面には実際に農村の農薬を倍には上げられない。従つて原料の価格が上つたならば、農薬の方に硫黄は流れはしない。ただ価格をはずしたならば、無制限に増産ができて行くだろうなどというような、そんなに経済人が甘く考えているかどうか。必要量しか掘りはしない。自分で値段が半分に落ちるように掘るばかはないのでありますから、そういう考え方政府はこれが確保できるとお考えになつておるのかどうか。もう少し親切に、こういうう手も打つつもりだというお考えがあるのかどうか、それを最後に伺つておきます。
  111. 前谷重夫

    前谷政府委員 現在の需給力から申しますと、もちろん人絹、パルプ等の需要量も見込んで、十五万トンあれば十分需給のバランスがとれる、こういう見解を持つております。しかしながら今のお話のように、もし農薬等の用途にまわらなかつた場合どうするかと申しますと、現在統制をいたしておりますけれども、お話のような点は、統制の場合においても起り得るのでございまして、その場合には、政府の行政指導によつて、現実に確保する努力をしておりますので、もちろん統制が撤廃になりまして増産になれば、そういう努力をしなくても行くのではないかと考えられますが、行かない場合におきましては、農薬の点につきましては、もちろん重要なことと考えますので、行政指導によつて確保する道については、十分努力をいたして参りたい、かように考えております。
  112. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 きようはこの程度で打切りますが、どうも非常に不安心であります。どうかこの点については、政務次官においてもあとでまた大騒ぎにならぬように御用意を願いたいと思います。
  113. 志田義信

    ○志田委員 ちようどいいところに来ましたからこの機会にお尋ね申上げますが、この供給に不足する物の中に、石油と原油の問題があると思います。それに対して安本ではどういうように考えておるか、ひとつお知らせ願いたいと思います。
  114. 前谷重夫

    前谷政府委員 御承知のように石油類につきましては、需要に対しまして六割から七割程度の供給しかございません。石油類につきましては、御承知のように、ほとんど海外に依存いたしておりますので、まず第一段といたしましては、輸入の増加に努力するわけでございますが、これにつきましては現在石油類はガリオア輸入になつております。これをできる限り民間輸入に切りかえまして、そうして量の増加をはかりたい、それに必要な外貨につきましても、十分考えて参りたい。同時に原油につきましては、現在三万三千バーレルが精製の限度になつておりますが、この拡張をはかつて参りたいというふうに考えております。
  115. 志田義信

    ○志田委員 今外国から原油を入れるというお話でありましたが、国内原油の価格調整費が廃止されて以来、外国の原油が運賃込みで、一キロ八千百八十円ですか、何かになつておりまして、国内原油が非常に圧迫されておる。こういうことに対しては、どういうようなお考え方を持つておりますか。
  116. 前谷重夫

    前谷政府委員 国内原理につきましては、現在外国の原油がレートの関係で上つてつておりますので、従来のように国内原油が外国製品によつて圧迫されるということは、現状で参りますと、外国原油の單価の値上りにより、外国原油の方がむしろ高目になりはしないか、こういうふうに考えております。
  117. 志田義信

    ○志田委員 高目になつた場合どうするかということを聞いておるのです。高目になるのじやないかということだけでは困る。高目になつた場合に、これに対してどういうふうに調整をする考えなのか、それをお尋ねするのです。
  118. 前谷重夫

    前谷政府委員 お答えいたします。現在そういうふうに外国の原油が高くなつておりますので、それとの調整のもとに国内産原油の価格の改訂を考えております。
  119. 志田義信

    ○志田委員 価格の改訂はいつごろおやりになりますか。
  120. 渡邊逸亀

    ○渡邊(逸)政府委員 これは目下関係方面折衝中にございまして、折衝が済み次第実施いたしたい、かように考えております。大体外国から輸入石油につきましては、四月分から新しい価格を適用することになるのにはないかと思つております。
  121. 志田義信

    ○志田委員 一体日本の原油の採掘量はどのくらいに見ておりますか。
  122. 前谷重夫

    前谷政府委員 現在三十三万キロリツトルと見ております。
  123. 志田義信

    ○志田委員 そこでちよつとお尋ねしたいのですが、今政府では石油の探鉱費に対しまして補助を出しておると思うのです。それで帝国石油に対してどのくらいの補助を出しておるか、ひとつお知らせ願いたい。見返り資金を含めて、見返り資金その他でどのくらいの探鉱費を出しておりますか。
  124. 前谷重夫

    前谷政府委員 ちよつと手元に資料がございませんので、あとで調べて申し上げます。
  125. 志田義信

    ○志田委員 探鉱費には相当な額が出ておると思うのでありますが、今資料が手元にないようであれば、あとでお調べ願つてお知らせ願いたいと思うのです。最近聞くところによると、北海道の帝国石油の天塩の油田が、全然出ないということがわかつておる。あれは戦争中から今日まで補助しておる。これに対して私たちの記憶によりますれば、三十億くらいの金が出ておると思うのですが、もし石油が全然一滴も出ないということがわかつた場合においては、あれは返さなければならぬ金であると思うが、その点はどうですか。
  126. 前谷重夫

    前谷政府委員 その点は具体的に実は通産省で直接やつておりますので、安本としてはちよつとわかりかねます。その点は通産省の方からお聞き願いたいと思います。
  127. 志田義信

    ○志田委員 それは通産省でやつておるけれども、日本の原油の採掘量については、あなたの方で押えておかなければならぬと思う。そういう天塩の油田から出る量に対して、あなた方は計算したことがあるかどうか、それをひとつお尋ねしたい。
  128. 前谷重夫

    前谷政府委員 もちろん国内生産につきましては、各山別に検討いたしておりますが、天塩の場合にどの程度に見たかということは、ただいま手元に資料がございませんから、後刻さらに調べて御報告申し上げます。
  129. 志田義信

    ○志田委員 今あなたは三十三万キロリツトルと言われたけれども、三十二万の間違いではないですか。
  130. 前谷重夫

    前谷政府委員 三十三万キロリツトルは、二十五年度の見込みを申し上げたのです。二十六年度は三十二万キロリツトル程度に下ります。
  131. 志田義信

    ○志田委員 そうすると、昨年よりも日本の原油の採掘量がそれだけ減るということになるのですが、それに対しては、あなたは今減つた分は輸入増加でまかなうという話です。輸入増加をやるという場合におきまして、運賃込みで一キロ八千百八十円で外国から輸入されておるようですが、それでは国内原油が採算がとれない。これによつて非常な圧迫を受けるということになりますと、国内原油の価格の問題は、非常に大きな問題になつて来ると思うのであります。それを具体的にどういうふうに調整するつもりか、それをひとつ説明願いたい。今GHQと交渉中だというが、交渉の内容をひとつお知らせ願いたい。そんなことは秘密じやないでしよう。
  132. 渡邊逸亀

    ○渡邊(逸)政府委員 その方は物価庁の第三部長が交渉しておりますので、御要求があれば、後刻第三部長に出席させまして御回答を申し上げたいと思います。
  133. 志田義信

    ○志田委員 それはぜひ知らしてもらいたい。それからこういう問題は、ほかの委員会でも出る機会が非常に多いと思うのですが、特に臨時物資需給調整法改正に関する件が議題になつておるのですからお尋ね申し上げるのですけれども、帝国石油その他に対しまして、原油の採掘だけやらしておるが、なぜ製油部門はやらせないのか。そのために帝国石油あたりは今後非常に困る。ぜひ製油の部門も許可してもらいたい。太平洋沿岸における外国石油の製油だけにとどまらず、国内の、今承れば三十三万キロリツトル、二十六年度においては三十二万キロリツトルに減るではありましようけれども、とにかくそれだけの量の原油の製油をやつておる。そのおそらく八〇%は、私は帝国石油ではないかと思うのだが、その帝国石油が、原油だけをやつておるのでは、外国石油との競争において、とうてい問題にならぬ。採算割れであることが明らかになつておる。しかも価格調整費が廃止されるという状態になつて参りました場合におきましては、製油部門をこれに許可してくれという要望が業者として出るのは、私は当然ではないかと思うのであります。そういうことに対して当局のお考えはどうですか。
  134. 前谷重夫

    前谷政府委員 お答え申し上げます。御承知のように製油につきましてはいろいろの制限がございまして、製油の再開等につきましては、従来から何回か折衝いたしまして、今日に至つておるわけであります。われわれといたしましても、もちろんその面につきましては、できるだけ製油部門の拡充ということは考えておりますが、先ほど申し上げましたように、現在は三万三千キロバーレルにとどめられております。このわくの拡張等につきましても、今後努力いたしたいと思います。従いましてそういう際には、もちろん製油部門の拡充として努力いたしたいと思いますが、製油部門はなかなかわれわれ日本政府限りで参らない問題になつております。さよう御了承願いたいと思います。
  135. 志田義信

    ○志田委員 製油部門を拡充することに最も隘路となつている内容は、どういうものですか。
  136. 前谷重夫

    前谷政府委員 製油部門の限度につきましては、極東委員会で一定の限度がきめられておるわけです。そこでこの限度をだんだん拡張するために交渉して行きたいと思います。実はその限度につきましては、日本政府としては、自由に限度を拡張するというわけには参らないのであります。
  137. 志田義信

    ○志田委員 最近司令部の考え方は非常にオープンになつて参りまして、そういう方面に対して、原油の輸入の問題から、製油の問題につきましても、日本側にこれを移譲さしてもいいという空気が、非常に濃厚になつておるように聞いておりますが、あなた方の方では、そういうふうにおとりになつておるかどうか、それをひとつお聞きしたい。
  138. 前谷重夫

    前谷政府委員 従来の石油の管理につきましては、御承知のように相当きゆうくつでございましたが、たとえば民間貿易とかいう面につきましては、だんだん緩和されつつある傾向にあろうということは、われわれも看取いたしております。ただ製油の限度ということになりますと、東京の司令部だけでは決定し得ない問題のように伺つております。もちろん限度の拡張についても、われわれは目下司令部を通じて努力いたしておるわけであります。
  139. 志田義信

    ○志田委員 それでどうですか、私はやはり関税等におきましても保護の必要があるということは、国内製油業者、原油業者を含めての問題になろうと思うのでありますが、そういう関税保護の点から、何かお考えになつておるものがあればお聞きしたい。
  140. 前谷重夫

    前谷政府委員 関税につきましては、従来もちろん原油は全体の一割にすぎませんけれども、しかし海外に依存するということはできるだけ避けるという意味において、もちろん保護を考えて行きたいと思つております。ただ原料につきましては、今後改訂されます価格を考えましても、今後レートの値上りが相当ありますと、むしろ海外の原油が相当高くなる。原油のみならず、重油等の方面におきましては、相当部分が海外から入つて参りますので、漁業方面等にも非常な影響がございます。この関税の点につきましては、現在国会で御審議中かと思いますが、現在ある程度税がかかつております。一面におきまして、そういう需要面から、国内生産影響を与えないで、しかもさらに関税をかけることによつて、需要者に対する価格が上るという点について、相当いろいろな御要望があるわけであります。その点については、目下いろいろ検討いたしておるわけでございます。
  141. 志田義信

    ○志田委員 いろいろ検討され、いろいろ考えられておることはたいへんけつこうでありますが、今お願い申し上げた質疑の内容についてお答えをいただけない点につきましては、後刻文書をもつて資料とともにお届け願いたい。  それから、たとえば今の帝国石油のごとく、相当国家で助成したが出なかつた。出たのはガスばかりであつた。われわれは昨年経済安定委員会といたしまして、私も北海道の現地視察をいたしましたところ、そのとき帝国石油の所長さんは、同行の森山委員の質問に答えまして、この油田は日本で最大の油田である。これはいつでも掘れば出る油田である。従つて政府は貯金をしておるようなものであるということを言つた。探鉱費を補助するといつても、これは貯金しているようなものだ。出れば広大な油田であるから、鉱脈を一度掘りさえすれば、わく泉のごとくに油が出て来るということを言つてつた。それが一滴も出ない。しかも尨大な見返り資金並びに国の資金が、これに投入されたということになれば、この試掘に対して与えた通産当局並びに安本の責任は重大でなければならぬと思う。今出ておるのはガスだけしか出ておらぬ。天然ガスの、しかも燃料になるかならぬようなものが出ておる。せめて温度でもついて来れば温泉にでもなるのだがと、付近の人たち言つておる。われわれが暑い最中に山奥まで行つて現地調査をしたときに、そういう傲慢な態度で報告を受けたのです。そのとき私はその所長に対して、なぜそれでは戦時中の要請のはげしかつたときに掘らなかつたかと言つたときに、その所長はそれに対しては答えなかつた。国の貴重な費用を、出るか出ないかわからないようなそういう油田に——場合によつてはつぎ込まなければならぬこともあるかもしれませんけれども、油田の探鉱ということは、今日では相当科学的な調査のもとにできるはずだ。いわゆる最新の科学をもつてつた。突貫工事までやつておる。それにもかかわらず一滴の油も出なかつたということにつきましては、帝国石油の技術の責任は当然のことであるが、これに国家資本を与えた通産並びに安本の責任は、私は重大だと思う。私は、国会内に行政査察の委員会もできておりまして、その委員もしておりますので、これに対する政府の態度によりましては、後日またあらためて委員会をかえて、この問題については検討しなければならぬと思つております。従つて経済安定本部としては、帝国石油のこのたびの北海道の問題について、十分査察をしていただきたい。あなたの方の経済調査庁その他の機関をして、査察をしていただきたい。ただ掘つてみたつて出ない、掘つてしまつてから、金は使つたんだからそれつきりだということでは、今後の日本の石油政策のために非常に遺憾であると思う。当然国の資本を出して掘れば出るところも他にある。北海道の天塩まで行かなくともあるという場合に、これは政治的の圧力によつて、そういう金が出たやの疑いを持つ人もある。この点についてはひとつ十分査察をしていただいて、本委員会に御報告をしていただけるかどうかをお尋ねいたします。
  142. 前谷重夫

    前谷政府委員 経済調査庁とも連絡をとつて、十分調査をいたしまして御報告いたしたいと思います。
  143. 圖司安正

    ○圖司委員長 他に御質疑がなければ、この際お諮りいたします。経済調査庁法の一部を改正する法律案は、現在内閣委員会において審議中でありますが、本委員会といたしましても重要な関連を有する法案でありますので、審議の慎重を期する上から、この際内閣委員会に対して連合審査会開会の申入れを行いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  144. 圖司安正

    ○圖司委員長 御異議なしと認めます。さようとりはからいます。なお開会日時その他につきましては、内閣委員長と協議の上決定いたすことといたします。  本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後零時四十二分散会