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小峯政府委員 非常に広汎な問題の御意見でありましたが、私は物価高すなわちインフレだと
考えることは誤りのように思います。財政的な原因、すなわちインフレ予算から、少い
物資に対して有効需要が殺倒しますような場合には、物価高がそのままインフレになるものだと私は思います。ただ今日ただいまのように、国際的な物価が
日本経済に反映して、
輸入原材料が高い、
輸出品も高いというような形において招来されておる物価高、その物価高をすなわちインフレだと御
指摘になることに、私は少し
考え方が違うと思います。もちろん今の物価高の中には、單にそういう国際物価の反映だけでなしに、
日本経済の
一つの弱み、
先ほど触れましたような
船腹が少いとか、そのために船運賃がかなり不利な條件に立
つております。また思惑の需要もありましよう。今御
指摘のように、先行きに対する商人の
一つの
見通しの問題もありましよう。そういうふうな附加的な條件はありますが、根本的には、私は今日の国際物価高が
日本の物価高に反映しているものだと思います。そういうふうに国際物価高が、
日本経済に反映する姿は、かりに
統制経済でやりましても、自由
経済でやりましても、国際
経済の
影響がないということはないと思います。ただこれを遮断するためには、為替でもいじる以外に
方法はないのであります。今日為替をいじるというようなことは、夢にも
考えられないと私たち信じております。問題になりません。そうしますと物価だけを押えるということだけでなしに、すなわち物価の安定ということだけでなしに、物価は高くな
つても、その高い物価が国民生活の收支の上に、あるいは企業会計の收支の上に、合理的に循環するような形で
考えて参りますれば、
経済の安定になると私は
考えるのであります。また事実
日本だけの物価を、どうしても押えようというようなことがあり得るとは思わないのであります。そういう
意味で、單に物価荷をつかまえるということでなしに、その物価高の中に、十分に活発な
経済循環というものが伴うかどうか、こういうところにポイントを置いて政策は
考えるべきものじやないかと思
つております。また
輸入の問題でありますが、非常にいい御
指摘をいただいたので、今の
輸入の
外貨は多少あるが、これを買
つて行けば、緊急
輸入して行けば、なくな
つてしまうのじやないかという御
指摘であります。実は私もそういう心配がありますから、
輸入々々とおつしやいますが、
輸出のことも重点を忘れないつもりなんであります。
日本の
経済はその日暮しでありまして、働きながら食
つて行く。働きながら多少でもためて行くという姿でありますから、もし
日本の
輸出の問題が、考慮しなくてもいいだけの実力がありますれば、
輸出の調整、あるい代
外貨による備蓄の
問題等、もつと積極的に、あるいは一方的に進まれる
方法もあるだろうと思います。かような
意味からいいまして、まだ
経済の立省りは日が浅くて、働きながら食
つて行く、働きながらためて行くという今日の段階で、その点のむずかしいことは
指摘の
通りであります。ただそういうふうな
経済でありますがゆえに、
従つて国際
経済との関連をよく頭に入れながら、
日本だけの
経済、
日本だけの物価というものは、あり得ないような
感じが私はするのであります。率直に申し上げますと、御教示をいただきましたが、私
どもはどうも国際
経済に対する問題は、今のような
関係になるのじやないかというふうに
考えまして、その中で、しからばどうして
日本の
経済を、あるいは物価を安定させる面で、一歩でも二歩でも前進するかと申しますと、
先ほどから申し上げますように、船の問題で、
日本の
経済のある弱みを直して行きたい。そうして国際的な動きにプラスして、
日本経済に加わ
つておるその附加的條件を除去するということが、一ぱいではないかと私に
考えております。物価の
統制の
問題等も、そういう線で、すなわち
輸出貿易にさしさわりのないように、
日本の
経済的な活動にブレーキがかからないように、その点に根幹を置きまして、不必要な、あるいは思想的な
統制、あるいは
統制のための
統制というようなことは、絶対に避けたい、かような
考え々で、政策の切り盛りをして行
つておると御
承知願いたいのであります。