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家坂政府委員 捕鯨の
捕獲作業につきまして、いろいろこの條約の
附表でも
つて規定を設けられてあるのでありますが、それを要約いたしまして申し上げたいと思います。
この條約の
加入国は、自国の
捕鯨母船または陸上の
鯨体処理場に
政府の
監督官を配置しまして、條約
本文に
規定する
事項のほか、左の
制限禁止事項の
取締りを行わねばならないということに相な
つておるのであります。
その一つは
せみ鯨及びこく鯨の
捕獲を
禁止しております。これは非常に現在濫獲の結果その
頭数が減
つていますので、全面的に
捕獲を
禁止しておる、こういう
内容を持
つておるのであります。それから稚鯨及び授乳期の
母鯨の
捕獲も
禁止しております。
それから第三は、
捕鯨母船の
操業区域に関しまして、いろいろの
制限を付しておるのであります。
それから第四は、ひ
げ鯨の
捕獲期間の
制限、これは全
水域におきましては、大体一年のうちに継続六箇月を
規定しておるのであります。だから半年は全然ひ
げ鯨に属するものは
捕獲することができない、かように相な
つております。
それから第五は、南緯四十度以南、すなわち私
どもが
南氷洋と申しております
水域でありますが、そこにおきまして
ざとう鯨の
捕獲を
制限しております。ただいまでは千二百五十頭以上をとることができない、さように
制限しておるのであります。
それから第六には、
南氷洋におきましてひ
げ鯨の
捕獲する
漁期を
制限しておるのでありまして、ただいま
規定されておりますのは、十二月の二十二日から翌年の四月の七日までしかとることができないのであります。
それから第七には、
南氷洋におけるひ
げ鯨の
捕獲の
頭数を
制限しております。これは
各国は
捕鯨母船を派遣しまして、
捕獲しておるのでありますが、その
捕獲の総数が一万六千頭という
制限を付しておりまして、先ほど申し上げました四月の七日までとれる
漁期にはな
つておるのでありますけれ
ども、一万六千頭に達しますれば、いつでも中止しなければならないという
規則に相な
つております。
第八は、各鯨の
種類につきまして、
捕獲の
体長の
制限を付しておるのであります。鯨の大きさによりまして、
制限をしておるのであります。たとえば
南氷洋におきましては、しろながす鯨は七十フィート以上。七十フイート以下のものはとることはできない。かような
制限をつけておるのであります。その他の鯨におきましても、おのおのその
体長によりまして、
制限をしております。
第九は、
鯨体の
完全利用に関する
制限禁止をしておるのであります。
内臓物とかそういつたものは捨ててもかまいませんが、肉その他のものは必ずこれを
処理して、完全に
利用しなければいかぬ。かような
制限あるいは
禁止がつくられておるのであります。
第十には、
母船式捕鯨におきましては、
捕獲より
処理までの時間的の
制限を設けておるのでありまして、
捕鯨船が鯨を
捕獲いたしまして、
母船のところまで持
つて参りまして、デツキに上げるまで、三十三時間以内でなければならないというような
規定があるのでありまして、これは完全に
利用するということと、それから鮮度のよいうちにせつかくと
つた鯨の十分なる
利用をさせるべきであるという考えから、そういう
規定がつくられてあるのであります。
十一には、労務者に対しまして、報酬支拂い
條件の
制限があるのでありまして、これは
捕獲しました
頭数のみでなく、鯨の
種類とかそうしたいろいろの
條件も勘案して、支拂い
條件としなければならぬというような
制限であります。
十二には、その他
捕獲に関する
通報等の完全なる
履行。いろいろこの
国際條約におきましては、
捕獲に関する
規定法規を問題がありますたびに改正するような機会がありますので、そのためにはどうしても完全なるデータがなければいかぬということで、この
捕獲に関する
通報等を迅速正確に報告する
義務を課せられておるのでありまして、これの完全なる
履行を求められておるのであります。
以上のほか、
加入国は
関係法令の制定、改訂の場合や、
捕獲生産の結果等、
委員会の指定する
事項を、その都度
国際捕鯨委員会に報告すべく
規定しておるのであります。
大体
附表に織り込まれておりまするおもなる
内容は、ただいま御
説明申し上げたような
内容に相な
つておるのであります。