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砂間委員 最初に
日程第一七、全面講和の即時締結要求と再軍備反対についての
請願の要旨を御
説明申し上げます。
最近新聞紙上に、
日本国民の多くは、必ずしも全面講和を望んでいないこと、また
講和条約後に外国
軍隊が駐屯することを
希望しているという記事が報道されています。今現実には、戦争準備のために、戦争中とま
つたく同じく、生活必需物資は値上りし、物はなくなり、非常に生活は苦しくな
つています。私たちは戦争の恐怖を感じ、わが子、わが夫を戦場に送る戦争に反対です。
日本の婦人はみな、一国ないし数国との講和によ
つて、一方の国とは仲よくな
つても、他の国とは敵となる片手落ちの独講和に反対し、どこの国とも仲よくなる全面講和が結ばれることを心から希求しています。また
日本がアジア諸国に対する侵略基地となり、
日本人がアジアの人々を殺さなければならない再軍備に反対しております。これは最近の各労働組合、なかんずくその婦人たちの態度、あるいは多くの婦人団体が、再軍備反対と全面講和締結を
決議していること、あるいは昨年六月ダレス特使に対し、全面講和締結、戦争反対の
希望を提出した平塚雷鳥氏外四名の婦人が、先日重ねてダレス特使にこの
希望を提出したことによ
つて、あるいはまた商店の店先で、家庭で、常に戦争はいやだ、どこの国とも仲よくなりたいということが、話題にな
つていることなどによ
つて証明されます。ところが新聞やラジオは、この
日本婦人の意思に反した報道をし、それがあたかも
国民の世論であるかのごとく見せかけています。国会では全面講和締結へ向
つての努力はま
つたく払われず、
政府は
国民の世論を押えて独講和を押しつけようとしています。重ねて申します。私たちは、
日本が
軍事基地になり戦争を起す独講和に反対し、全面講和を望みます。国会はすみやかに全面講和の即時締結、再軍備反対を取上げられるよう
請願いたします。というのがこの
請願の
趣旨であります。何とぞ満場一致この
請願を御採択あらんことをお願いいたします。
次に
日程第一八、平和に関する
請願の要旨を申し上げます。この請顔は、東京都北多摩郡清瀬村上宮教会清瀬療園の平和懇談会から提出されたものでございまして、佐藤己未夫君外百三十四名の署名のある
請願でございます。
請願の要旨は長いのでありますから、簡に御
説明申し上げます。過ぐる太平洋戦争において私たち
日本人として人類最初の原子爆弾をこうむり、その惨禍を身をも
つて味わいました。その言語に絶した凄惨さのゆえに、また生あるものすべてを絶滅せずにはおかない強烈なる効果のゆえに、私たちは心から原子兵器を憎みます。私たちは原子兵器の使用に反対せざるを得ません。いな、原子兵器禁止を各国に要求する義務があると
考えるのであります。太平洋戦争が
日本の敗戦に終
つてから五年半、歴代
政府の努力にもかかわらず、
国民の生活が安定したとは言えない現在、戦争の危機が叫ばれ、再軍備が提唱されております。私たちの療養所においても、国家予算の見地から生保打切り、一部負担の増加、あるいは医療従業員の減員等、医療の
目的とは逆行するような措置がとられております。他方日雇い労働者の生活等を見ても、再軍備等のために非常に生活水準が低下している。それは困るからどうかこの戦争に反対してもらいたいというのであります。さらに人間が人間を殺戮することは罪悪であります。人間の大量殺戮である戦争は、たといそれがいかなる名目のもとに行われようとも、大いなる罪悪であります。このゆえにこそ戦争は防止されねばなりませんし、現に行われつつある朝鮮戦乱も早急に終結されなければならないのであります。この際私たち
日本人として、世界平和の実現のために、朝鮮戦乱の終結の一刻も早きことを、米・英・ソ・中四
大国にお願いしたく思います。また私たち
日本人の渇望してやまぬ講和も、将来における戦争の可能性をなくするためには、米・英・ソ・中の四
大国間の協調による講和でなければなりません。私たち
日本人は、そういう最も望ましい形で講和が実現されるよう、米・英・ソ・中の四
大国で話し合
つていただくようお願いしたく思います。というのがこの
請願の
趣旨であります。何とぞこの
請願を満場一致御採択あらんことをお願いいたす次第であります。