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1951-05-23 第10回国会 衆議院 外務委員会 第17号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十六年五月二十三日(水曜日) 午前十時二十九分
開議
出席委員
委員長
守島
伍郎
君
理事
北澤 直吉君
理事
佐々木盛雄
君
理事
竹尾 弌君
理事
山本
利壽
君 淺香 忠雄君 伊藤
郷一
君
植原悦二郎
君 大村 清一君
小川原政信
君 菊池 義郎君
栗山長次郎
君 近藤 鶴代君 仲内 憲治君 中山 マサ君
福田
篤泰君
並木
芳雄君 松本
瀧藏
君
武藤運十郎
君 砂間
一良
君 米原 昶君 高倉 定助君 黒田 寿男君
出席国務大臣
法 務 総 裁
大橋
武夫君
出席政府委員
外務政務次官
草葉
隆圓
君
外務事務官
(
条約局長
) 島津
久大君
外務事務官
(
条約局長
) 西村
熊雄
君
海上保安官
(
警備救難部
長) 松野 清秀君
委員外
の
出席者
専 門 員 佐藤 敏人君 専 門 員 村瀬 忠夫君 ――
―――――――――――
五月十九日
委員砂間一良
君
辞任
につき、その
補欠
として江
崎一治
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同月二十二日
委員小川原政信
君
辞任
につき、その
補欠
として
尾崎末吉
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同月二十三日
委員尾崎末吉
君、
江崎一治
君及び
福田篤泰
君辞 任につき、その
補欠
として
小川原政信
君、砂間
一良
君及び
星島二郎
君が
議長
の
指名
で
委員
に選 任された。 ――
―――――――――――
五月二十一日
日本政府在外事務所設置法
の一部を改正する法
律案
(
内閣提出
第一四五号)(
参議院送付
) 同月二十二日
奄美大島諸島
の
日本復帰等
に関する
請願
(井上 知治君外九名
紹介
)(第二二二八号)
アナタハン
島の同
胞引揚促進
に関する
請願
(岩 本信行君
紹介
)(第二二二九号) の審査を本
委員会
に付託された。 同日
アナタハン
島
残留者引揚促
進に関する
陳情書
(第七八七 号) 海外同
胞引揚完了促進
に関する
陳情書
( 第七九七号) を本
委員会
に送付された。 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した事件
日本政府在外事務所設置法
の一部を改正する法
律案
(
内閣提出
第一四五号)(
参議院送付
)
国際情勢等
に関する件 ――
―――――――――――
守島伍郎
1
○守島
委員長
ただいまより
外務委員会
を
開会
いたします。
日本政府在外事務所設置法
の一部を改正する
法律案
(
内閣提出
第一四五号)を
議題
といたします。
本案
につきましては
質疑
及び討論もございませんようでございまするから、ただちに採決に入ります。
日本政府在外事務所設置法
の一部を改正する
法律案
(
内閣提出
第一四五号)について採決いたします。
本案
を
原案
の通り可決するに御
賛成
の諸君の御
起立
を求めます。 〔
賛成者起立
〕
守島伍郎
2
○守島
委員長
起立
多数。よ
つて本案
は
原案
の通り可決いたしました。
砂間一良
3
○
砂間委員
議事進行
について……。私は
委員長
の
議事
の
運営
の
やり方
につきまして、きわめて遺憾の意を表するものであります。と申しますのは、
委員会
における
議案
の
審議
は、大体
委員会
に付託された
議案
の
提出
されたその順序に
従つて
審議
して行くのが普通の
やり方
だと思うのであります。ところがこの
平和擁護
に関する
決議案
につきましては、すでに二月からこの
委員会
に付託されておりまして、その後もう三箇月近くもた
つて
おるのであります。それを何らの
理由
なくして、
委員長
は
審議
をほ
つた
から
かし
にしてある。うんだとも、つぶれたともわけがわからぬで、たな
上げ
にしておる。どういうわけでこの
審議
を
サボつて
おられるのか、
委員長
からはつきりひとつその
理由
と事情を明らかにしていただきたいと思います。私
ども
の考えるところによりますと、今日
日本国民
の最も要望しておる切実な問題はこの平和の問題でありまして、この
平和擁護
に関する
決議案
は、
全日本国民
の声を
盛つた
ものであるというふうに確信しておるのであります。今この
朝鮮
の
戦争等
をきつかけにいたしまして、
戦争
の脅威が非常に強くな
つて
おるときに、こういう
決議案
の
審議
ということはきわめて重要だと思うのでありますが、
委員長
はこういう重要な
案件
の
審議
をまるでほ
つた
ら
かし
にしておいて、そうして
在外事務所
の
設置
だとかなんとかいう大して
重要性
もないやつばかり先にや
つて
おるということが、私
ども
はまことに理解に苦しむのであります。この
平和擁護
に関する
決議案
は、案文を読んでみましても、だれでも異存のないところだと思う。
平和擁護
に関する
決議
日本
は、
ポツダム宣言
の受諾により、
武装解除
と
徹底的民主化
を通じて、
平和国家
の建設を義務づけられている。 特に、
日本
は原爆の惨かを最初にうけ、
戦争
の悲惨と罪悪を身にしみて体験している。
従つて
、
国民
は新
戦争
を心から恐怖し、憎悪し、その危険におびえている。 よ
つて
、
政府
は
国民
の要望にこたえ、平和を守るため、次の
措置
をとられたい。 一 平和を守るための一切の
国民運動
を奨励助長すること。 二
犯罪的戦争
を宣伝し、ちよう発し、並びにこれに協力する一切の
行為
を禁止する
措置
を講ずること。 右
決議
する。
守島伍郎
4
○守島
委員長
議事進行
は簡単にお話ください。
砂間一良
5
○
砂間委員
簡単にやります。自由党といえ
ども
、
反対
の余地はないと思うのであります。ともすれば、
平和擁護運動
が何か共産党の
一つ
の
外郭運動
であるというようなでたらめな
デマ宣伝
をや
つて
いる向きもないではありませんけれ
ども
、すでにこの
平和擁護運動
は、あらゆる学者、思想家、
宗教家
……。
守島伍郎
6
○守島
委員長
簡単に
議事進行
だけにしてください。
砂間一良
7
○
砂間委員
各界各層
の
人たち
がこぞ
つて
や
つて
おるのでありまして、たとえば天皇の義弟に当る東本願寺の
法王大谷光暢
氏のごときも、これに参加しておられます。またクリスチヤンの
団体
であるとか、あるいはいろいろな間の諸
団体
が、こぞ
つて
この
平和擁護
の
運動
を強力に進めておるのであります。こういうときにおきまして、
国会
がこの
国民
の声を代表して
平和擁護
に関する
決議
をするということは、最も時宜に適した、また最も重大な問題だと思うのであります。そういう
案件
が
成規
の
手続
をと
つて
国会
に
提出
され、しかも
委員会
の
審議
に付託されておるのに、その
審議
を二箇月近くもほ
つた
ら
かし
ておいて、そうしていつ
審議
するかわからぬような、そういうふうな
委員長
の
議事
の
運営
の
やり方
に対しましては、私
ども
はどうしても合点が参りません。この際
委員長
はいつこの
議案
を
審議
してくださるのか、それをひとつはつきり明示していただきたい、と同時に、これまで
サボつて
たな
上げ
にして来た
理由
を明らかにして、ここで弁明していただきたいと思うのであります。
守島伍郎
8
○守島
委員長
お答えいたします。あなたの御
意見
はあなたの御
意見
として承りますが、あなたの方からお出しに
なつ
たものを、私
ども
はそう重要で緊急なものと認めておりません。それでほかの
議案
にかか
つて
おります間、延ばしておりましたが、近く
理事会
を開きますから、その
理事会
で決定いたしましてとりはからいます。 なお
原案
に帰りまして、
本案
につきましての
報告書
の作成は、先例によりまして、
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
守島伍郎
9
○守島
委員長
御
異議
ないと認め、さようとりはからいます。 —————————————
守島伍郎
10
○守島
委員長
次に
国際情勢等
に関する件を
議題
といたします。
政府側
より発言を求められておりますから、これを許します。
外務政務次官
。
草葉隆圓
11
○
草葉政府委員
先回
国際情勢
について御
報告
を申し
上げ
ました後におきまする私
ども
の
関心
を最も引いておりまする国際問題は非常に多く、その
内容
もかなり複雑でありまするが、以下特に重要と思われまする。そうしてまた
世界
の
関心
を集めておると思われまする問題につきまして御
報告
を申し
上げ
たいと思います。第一は、
朝鮮
問題についてでございます。
朝鮮
問題につきましては、
戦局
の
状態
は、最近
共産軍
の攻勢の再開によりまして、一層活発化して参
つた感
がいたしまするが、し
かし
世界
の
視聴
を集めておりまする点は、これら
戦局自身
の問題ということよりも、むしろ
朝鮮動乱
に関する諸種の国際的な
動き
にあるように思われるのであります。この点から見ますと、
マツカーサー元帥解任
後、
北鮮側
では
国際連合総会議長
、
安全保障理事会議長
に対しまして、
国際連合軍
は
戦闘行為
を停止して、
平和擁護協議会
の議決に基いて、
和平解決
を求むべきであるというような
意味
の電報を送りましたが、この
声明
に対しましては、三人
調停委員会
におきまして
検討
の上、応答しないことにな
つたの
であります。またアジア・アラブ十二箇国は、このような新
事態
に対しまして、北京におりまする
インド大使
を通じて、再度
中共
の
意向
を打診いたしましたが、
中共側
から
国連側
の対
中共非難決議
の撤回を要求いたしましたために、これも失敗に帰した次第であります。 このように、さしあたり
和平
の望みがないと見ました
アメリカ
は、去る七日、
国連
の対
中共集団処置委員会
に対しまして、
中共北鮮支配下
の地域に対する
戦略物資
の
全面的輸出禁止
を要請いたしました
決議案
を
提出
するに
至つたの
であります。この案は、従来
中共
に対しまする
経済制裁
に
反対
しておりました
イギリス
なり
フランスなり
が、この
アメリカ案
に同調するに至りましたために、この
委員会
、
総会
では棄権を除く
全会一致
をも
つて
可決され、これによりまして、二月一日に
国際連合総会
において
決議
いたし、その
共産侵略行為
を非難された
中共
は、今やその行動に対しましても、実質的な
制裁処置
がとられることと
なつ
た次第でございます。 なお
イギリス
は、これに先だちまして、
中共
に対するゴムの
輸出
を今後完全に停止する
意向
を明らかにいたしたのでありまするが、この
処置
は
国際連合集団処置委員会
におきまする
イギリス
の
態度
とともに、最近の
国際情勢
が、
イギリス
の
中共
に対しまする
態度
に、微妙な
影響
を與えておりますることを示すものであろうと存じます。
国際連合
が漸次
中共
に対する
経済圧迫
を強化して参り、これをなすにつれまして、
民主陣営諸国
の
態度
も、次第に硬化の方途をたど
つて
来ておる
状態
でありまするが、
共産陣営
の方におきましては、最近二つの点が特に
注目
を引く点と思われるのであります。 その
一つ
は
国連
の
マリク
・
ソ連代表
がオースチン・
アメリカ代表
に対しまして、
朝鮮動乱
の
解決
について
米ソ会談
を開こうという瀬踏み的なことをいたしたという点であります。これは両方の当事者とも否定しておるのでありますが、し
かし
非公式にあ
つた
という事実そのものは否定していないようであります。 第二の点は
アメリカ
の
上院
の
ジヨンソン議員
が、
朝鮮動乱勃発
一周年を期して、三十八度線を境として停戦をし、
外国軍隊
は年内に撤退することにすべしということを提唱いたしまして、それが
ソ連
の
プラウダ紙
に大きく
報道
されたという事実であります。これまでの
ソ連
の
報道機関
は、このような
反対側
の
提案
に対しましては、ほとんどこれを無視して来てお
つた状態
でありますのに、この
報道
がただいま申し
上げ
ましたように強く大きく取
上げ
られました点が、
注目
を引く点でございます。 なお
アメリカ
の
上院
におきまする
マツカーサー元帥解任
の問題についての
軍事外交合同委員会
におきまして、
マーシヤル長官
がなしました
証言
の発表せられないものの中に、
朝鮮動乱
の将来に対して大きな
楽観材料
となるべきものがあ
つた
と言われておるのでありまして、一
上院議員
はこれを漏らしたことによりまして、その後
委員会
の席で陳謝をいたしましたが、その
内容
につきましては、新兵器に関するものであ
つた
ことを示唆する
報道
も行われておるのであります。この
マツカーサー元帥解任
の問題をめぐりまする論争で、
朝鮮動乱
に対する
アメリカ政府当局
の
方針
が、いろいろな角度から明らかにされましたが、その根本が
朝鮮動乱
の拡大を避けつつ、あくまでも
侵略
を排除することにありますことは、言うまでもないことでございます。こうして、まだ手放しの
楽観
はもとより許されないと思われまするが、
朝鮮動乱
の局地的おちつきのきざしが漸次濃化しておると思われる次第でございます。第二の問題は、
軍拡
を
中心
にしました
材料配分等
に基いた
イギリス閣僚
の
辞職
という問題が、
相当注目
を引く問題であろうと存じます。
イギリス
では四月の末に
ベヴアン労働相
と
ウイルソス商務相
との
辞職
が
相当注目
を引いたのでありますが、
辞職
の直接の
原因
となりました点は、従来
徴收
を免除されておりました、御
承知
のめがねなり義歯の代金の半額を、患者から徴収することに
なつ
たという点についての問題でありますが、し
かし
それはそう簡単な問題ではなくて、その
背後
には
相当
深い問題がひそまれてお
つた
と思われるのであります。これに対しまして
ベヴアン労働相
は、
イギリス
の
下院
におきまして
辞職理由
を述べました中に、
アメリカ
の再
軍備計画
が、
国内民間消費
の
圧迫
によらずして、生産増強によ
つて
これをまかなおうとしておることは、
事態
を重大化しているものである。すなわちこの方法で行われて来るとするならば、
世界
の
原料不足
は一層進んで来て、
アメリカ
以外の
国々
の
民間経済
はそのために破滅するであろう。再
軍備
を行う一方、
国民
の
生活水準
と
社会保障計画
は従来通り維持されなければならないという
意味
のことを述べて、その立場を説明されたのであります。この
辞職
を
契機
といたしまして
イギリス
の
労働党
はひとまず党内の団結を固めて、一応その危機を脱したのでありまするが、戦後六年にわたる
耐乏生活
によりまして、
一般大衆
もようやく
労働党
を離れつつあるといわれておる点もあるのでございます。ことにその後の
補欠選挙
の
状態
を見ましても、あるいは五月一日に実施されました全
イギリス
の各都市の
市会議員
の
選挙
の結果に現われました
状態
から考えましても、
保守党
の総
選挙実施
の要求が日々強くなりつつある
状態
でありまして、一部ではおそくともこの秋までには総
選挙
は必至であろうと見られておる
状態
と思われます。この
イギリス
の二人の
閣僚
の
辞職
につきましては、
世界
の再
軍備計画
に伴いまする
原料不足
が、今申し
上げ
たようにその背景とな
つて
おると思われるのでありますが、
ウイルソス商務相
はその
辞職
の
理由
の中で、
イギリス
は
世界原料供給
上妥当な
配分
を受けておらないと申しておりますし、また現在程度の
原料入手
では、四十七億ポンドによる再
軍備計画
は、とうてい実行はできないと申しておるのであります。この点から見ましても、各国の
軍拡
に伴いまする
原料需要
の増加に
伴つて
、軍需を主とする原材料の買い進みは
需要供給関係
に大きな変化を示して、
米国
と
西欧諸国
の間にも軋轢を生ずるに至
つた
ことは明らかでありまして、この点で
原料
の
供給
がはたして
需要
を保
つて
行くことができるか、実際の
状態
において
原料
が足りない
状態
であるかどうか。またもしそうだとするならば、早急の増産によ
つて
これを補給することができるかどうか、あるいはまた
民間需要
の削減によ
つて
これをまかない得るかどうか、こういう問題を
検討
しまして、国際的に需給の調節をはかることが、たいへけな急務とな
つて参つたの
でありまして、すでにこの点につきましては、
先回
御
報告
申し
上げ
ました
国際原料割当機関
がかような趣旨から設けられて、かつ
原料別
の
割当
に関する
委員会
がすでにそれぞれ
ワシントン
で
会議
を開かれ、
各種別手続規定
を定めますと同時に、小
委員会
を設けて、
割当原料
に対する
検討
が行われておることを申し
上げ
た次第であります。この
会議
には
共産主義国
を除きまして、
生産消費
に特に
関係
の深い
国々
が参加しているのでありますが、まだその結果が終了いたしたものはないようであります。
生産消費国家
にはどのような
割当
が今後行われるかということは、まだ不明でありますが、し
かし
この結論が出まするまでには、
相当
いろいろな困難な問題があ
つて
、これを克服しなければならないだろうと存じます。
わが国
におきましても、この問題につきましては、
先回
も申し
上げ
ましたように、重大な
関係
を持つものでありまして、
ワシントン
に現在
使節団
を派遣して、主として
米国
よりの
原料入手
に努力せしめますと同時に、
貿易協定
を通じて、諸
外国
からもでき得る限り、多くの
原料
を輸入するよう努力をいたしておる次第でございます。 それから最近特に大きな
注目
を引いておりまする
イラン
の問題について一言御
報告
を申し
上げ
ておきます。
イラン
の問題は去る三月
イラン国会
がアングロ・
イラン
アン、いわゆる
AI
の
国有化法案
を可決いたしましてから、
世界
の
視聴
を一時に集めた感があるのであります。この
法案
の可決を
契機
といたしまして、
排外的国民主義
はいよいよ高揚をいたし、
左右両翼
による極端な反英、
反米デモ
が行われ、さらに
南部油田地帯
におきましても左翼によるストが発生して、
イギリス人
三名、
イラン人
多数の
死傷者
さえ出すに
至つた状態
であります。この間
ワシントン
では
イラン
問題に関する御
承知
の
米英会談
が開かれて、その結果満足すべき結果をも
つて
終つた
と、簡単にコミユニケが発表されましたが、当時
イラン
の
アラ首相
は、
米英
の
イラン干渉
だと
声明
を発した次第であります。この
国有化
の
具体案
について、
国会
の
提案
が
注目
されておりましたが、四月二十五日、
委員会
から
提案
されました
AI
の
接収
についての勧告は、その後御
承知
のように
上下両院
を通過いたしまして、五月二日には国王の署名もなされるに
至つたの
であります。この問題を
契機
といたしまして、英国からなされました
重大警告
に自信を失いました
アラ内閣
は遂に総
辞職
をいたしまして、
国民戦線派
の
モサデグ博士
に組閣が委嘱されまして、現在
モサデグ内閣
によ
つて処理
をされておる
状態
であります。この
モサデグ内閣
の所属いたしておりまするのは、いわゆる
国民戦線派
でありますが、これは
極右的民族主義政党
でありますから、そこに一層反
米英
的であると考えられますと同時に、反ソ的であるとも思われるのであります。最近
国内共産運動
に対しまして
相当
強く取締りをいたしておるようであります。現在のところ
アメリカ
は
イラン
に
AI
の
国有化
を認めますと同時に、
イギリス
の
技術的管理
及び石油の対
英供給持続
を認めることによ
つて
、紛争の
解決
を期待しておるようでございますが、
イギリス
といたしましては、
イラン
の一方的
措置
が他の
中近東諸国
における
権益協定
に将来
相当
大きく波及を来すことをおもんばかりまして、
イラン
が現在の
方針
を固持する限り、国際司法裁判所に提訴をも辞せない
態度
と考えとを持
つて
おるようであります。十九日
イラン政府
に手交されました
イギリス
の覚書にも、この
イギリス
の
態度
が述べられておると伝えられておる次第であります。なお同国の
共産分子
は、
接収貫徹
を期する、今申し
上げ
ました民族主義的な現
内閣
が、対
英交渉
という難関に直面するこの時期を待
つて
、
政権
の掌握をねら
つて
おるといわれておりまして、三箇月以内に
接収
を終ろうとする現
内閣
が今後どのような
態度
に出るか、まことに重大な
状態
にな
つて
来ておると思われます。 次に
オーストラリア
の総
選挙
の問題について、一言申し
上げ
ます。四月二十八日行われました
オーストラリア
の総
選挙
は、国際的にも非常な
注目
を拂われてお
つたの
であります。それは
労働党
は従来
アメリカ
の対
日講和案
のように、再
軍備禁止条項
を含まない
平和条約
には絶対
反対
であると唱えて参
つて
おりましたから、
従つて
総
選挙
の結果、野党が勝利を得ました場合には、
アメリカ
が
欧州政府
とこれまで進めて参りました
講和
の下相談も、一応御破算になるのではないか、またなるわけであると考えられます点から、
相当
大きくこの総
選挙
の結果が
注目
されてお
つたの
であります。し
かし
選挙
の結果は、
上院
では
比例代表
によりますために、まだ判然とはいたしませんが、
下院
では
政府党
が多数を制しまして六十六対五十五という結果を示したのであります。
上院
でも、いろいろな
報道
を総合いたしますると、
政府党
は前回よりも数
議席
を増して、
労働党
とほぼ同数の
議席
を獲得する模様でありますから、
保守党
が
政権
を維持する点については、従来通り維持し得るという
状態
に相な
つて参つたの
であります。なお
アメリカ政府
は、この濠州の総
選挙
に先だちまして、
アメリカ
、
オーストラリア
、ニュージーランド間に
安全保障
に関するとりきめを結ぶ用意がある旨を明らかにしたことが、この関連におきまして想起される次第であります。
最後
に
パリ
におきます四箇国
外相代理会議
の
状態
について一言申し
上げ
ておきたいと存じます。四箇国
パリ外相代理会議
は、
開会
後二箇月を経ました今日、なお続行中でありますが、
アメリカ
、
イギリス
、
フランス側
と
ソ連
の主張の
背後
の対立の焦点は、
ソ連
が
西ドイツ
の再
軍備
問題を第一義的に取扱
つて
おりますのに対しまして、
アメリカ
、
イギリス
、
フランス側
が
西ドイツ
の再武装問題は、現在の
国際的緊張
の結果であ
つて
、それは決して直接の
原因
ではない。
ソ連
や
東ヨーロッパ諸国
が厖大な
軍備
を持
つて
いるからこそ、
西ドイツ
の安全の問題も起
つて
来るのであ
つて
、
国際的緊張
の
原因
を全般的に
検討
すべきであると主張いたしておるのであります。こうして三月五日
開会
いたしましてから、ほとんど進展を見ない
状態
にかんがみまして、三
国側
は五月二日に
三つ
の
議題草案
を新しく整理して
提案
いたしまして、
ソ連
に対しまして、そのいずれかに同意するように示したのであります。し
かし
その
三つ
の
提案
に対しまして、
ソ連側
はそのいずれにも同意を與えておりませんが、現在のところこの
提案
を
中心
として四箇国間に
討議
が続けられておる
状態
でありまして、この
討議
において
ソ連側
は、新たに
北大西洋条約
と
アメリカ
の
軍事基地
の問題を
議題
に加えることを主張いたしましたが、この点に対しましては
西欧側
のいるるところとはならなか
つたの
であります。ドイツの非
武装化
の問題は、
開会
以来
ソ連
が最も重視しておる問題でありまするが、この問題を
議題
のどこに置くかという問題を、
外相会議自体
で決定しようとする
アメリカ
の
提案
が、
ソ連代表
によ
つて
受入れられたとも伝えられますので、四箇国
外相代理会議
もそろそろ大詰めに近寄
つた感
があると思われるのであります。すなわちこの四箇国
外相代理会議
の
議題
を決定する
予備会議
がどつちにころぶかは、
世界
の
政局全般
の将来の発展に
相当
大きな
影響
があると存ぜられまするが、
朝鮮動乱
の帰趨とともに
世界
の
関心
を集めている重大な点と存ずるのであります。 対
日講和
の問題につきましては、先般
総理大臣
から本
会議
において、また本
委員会
におきましてその
内容
を御
報告
申し
上げ
た次第でございまするが、その後の国際的な
動き
につきましては、
新聞等
に詳しく
報道
されておる域を脱しておらないと存じまするから、この点につきましては、
総理
の御説明以上につけ加える点がございませんので、以上をもちまして最近の
国際情勢
の御
報告
といたします。
守島伍郎
12
○守島
委員長
それでは
質疑
を許します。
並木
君。
並木芳雄
13
○
並木委員
私は
大橋法務総裁
に質問したいと思います。ただいまも
草葉次官
から
最後
のところで
報告
がありましたけれ
ども
、対
日講和条約
をめぐ
つて
の
政府
の
国会
に対する
報告
は、まことにお
ざなりであるような感じ
がいたします。私は、先日来の
政府
の言動を見るときに、いかにも
国会軽視
のきらいがありますので、実ははなはだ遺憾としておる。
わが国
の
憲法
がはたしてこれを許しているのかどうか。あるいは
憲法違反
の疑いもあるのではないか。そこで私は、対
日講和条約締結
に関連し、
憲法
上の疑義について、
責任国務大臣
たる
大橋法務総裁
の見解をただしたいと思うのであります。 第一に
憲法
第六十二条の
国政
の
調査
についてであります。
憲法
第六十二条には「両議院は、各々
国政
に関する
調査
を行い、これに関して、証人の出頭及び
証言
並びに記録の
提出
を要求することができる」とあります。ここにいう
国政
の
調査
とは、どういう事項をさすのか具体的には示されていませんので、無制限であると思いますけれ
ども
、この点いかがでしようか。
従つて
条約案の
調査
も当然この中に含まれると考えていいかどうか。もしそうだとするならば、
国会
は
内閣
総理大臣
に対し、条約の草案を
提出
するよう要求できると思いますけれ
ども
、この点いかがですか。しかるに吉田
総理
は条約の草案を
国会
に示しておりません。
総理
は、条約の草案を発表しないという約束をしたり、
国会
に示さないということはできないわけで、この点あるいは
憲法違反
の疑いがあるのではないかと思うのでありますが、総裁の見解をまずお聞きしたいと思います。
大橋武夫
14
○
大橋
国務大臣 ただいまの
並木
君の御質問の第一点は、
憲法
第六十二条の
国政
に関する
調査
というのがどういう事項をさすか、具体的には示されていないから、無制限であると思われるがどうか、ということであります。
憲法
第六十二条の
国政
調査
権の範囲は非常に広いのであります。従いまして、もちろん条約に関する
調査
も、このうちには当然入
つて
おるというふうに解釈をいたしております。し
かし
ながら
憲法
自体は、議院の
調査
権及び
調査
の手段といたしまして、証人の
証言
等を要求する権能を認めておるのにとどまるわけでございます。これに対応した義務までを定めたものとは認められておらないのであります。この義務は
憲法
から来るのではないのでありまして、証人につきましては別に議院における証人の宣誓及び
証言
等に関する法律によ
つて
規定をいたしてあります。これを見ますると、第五条におきまして、「各議院若しくは
委員会
又は両議院の合同審査会は、出頭した証人が公務員である場合又は公務員であ
つた
場合その者が知り得た事実について、本人又は当該公務所から職務上の秘密に関するものであることを申し立てたときは、当該公務所又はその監督庁の承認がなければ、
証言
又は書類の
提出
を求めることができない。」ということにな
つて
おります。そして第二項におきましては、「当該公務所又はその監督庁が前項の承認を拒むときは、その
理由
を疏明しなければならない。その
理由
をその議院若しくは
委員会
又は合同審査会において受諾し得る場合には、証人は
証言
又は書類を
提出
する必要がない。」第三項「前項の
理由
を受諾することができない場合は、その議院若しくは
委員会
又は合同審査会は、更にその
証言
又は書類の
提出
が国家の重大な利益に悪
影響
を及ぼす旨の
内閣
の
声明
を要求することができる。その
声明
があ
つた
場合は、証人は
証言
又は書類を
提出
する必要がない。」こういうような規定があるのでございます。これらの規定の趣旨は、公務員が証人となりました場合、祕密事項については一定の
手続
及び条件のもとに
証言
を拒否できるということを定めておるわけであります。これらの規定の趣旨から考えますと、条約の草案をあらかじめ
国会
に
報告
いたしますことが、相手国との
関係
上、国家の重大な利益に
影響
を及ぼすような場合におきましては、
政府
としてその公表を拒否できるわけでありまして、かような法律の規定を背景といたしまして、
政府
は、相手国の希望その他相手方との交渉の必要上、条約草案を一定の時期まで公表しないという約束もいたし得る根拠があると解釈をいたしております。
並木芳雄
15
○
並木委員
それでは私は質問でございますから、その次に移ります。 第二点といたしまして、外交
関係
を
国会
に
報告
することについてお尋ねしたいと思います。
憲法
第七十二条には、「
内閣
総理大臣
は、
内閣
を代表して
議案
を
国会
に
提出
し、一般国務及び外交
関係
について
国会
に
報告
し、並びに行政各部を指揮監督する。」とあります。この第七十二条は、
内閣
総理大臣
の権限を定めたように読めるのでありますけれ
ども
、そうであるかどうか、それとも権限とともに義務をも定めたものであるかどうか。外交
関係
について
国会
に
報告
するということは、権限であるか義務であるかということであります、もし義務であるとするならば、なぜ吉田
総理大臣
は、条約の
内容
を
国会
に
報告
しないのであるか。これはただいまの総裁の御答弁ともあるいは関連して来るかと思いますが、
報告
しない点はあるいは
憲法違反
の疑いが生じて来ることにもなりますので、法務総裁の考えをお示し願いたいと思います。
大橋武夫
16
○
大橋
国務大臣 先はどの点は、
憲法
第六十二条と関連いたしましてのお答えでございましたが、今回は
憲法
第七十二条の
関係
についての御質問であります。
憲法
第七十二条の規定は、
内閣
総理大臣
の権限を定めたように読めるが、はたしてそうであるか。一般国務、ことに外交
関係
について
国会
に
報告
することは、権限であると同時に義務でもあるわけではないかという趣旨の御質問と存ずるのであります。
憲法
第七十二条の規定は、
内閣
総理大臣
の権限及び所掌事務の範囲を定めたものでありまするが、同時に一般国務及び外交
関係
について
国会
に
報告
いたしますることは、
内閣
総理大臣
の義務でもある、こういうふうに解しております。
従つて
外交
関係
についてあるいは一般国務について
国会
に
報告
することは、
内閣
総理大臣
の権限でありますると同時に、確かに義務である。し
かし
ながらその義務は、
国政
及び外交の全般の状況についての
報告
で十分なのでありまして、この第七十二条の要求はそれ以上ではない。特定の事項、ことに時期的にそれを公表いたしますることが国家公共の利益に反するような事柄まで必ず
報告
しなければならぬという義務までを課しているものとは解しておりません。
並木芳雄
17
○
並木委員
きようはお伺いするだけにいたしますから、第三に移ります。
憲法
第七十三条、
国会
に対し条約の承認を求めることについてお確かめしたいと思います。
憲法
第七十三条の三には、
内閣
の行う事務として、「条約を締結すること。但し、事前に、時宜によ
つて
は事後に、
国会
の承認を経ることを必要とする。」とあります。条約は署名によ
つて
すでにその
内容
が確定するのでありますから、署名はすなわち実質上の締結であると考えられるのであります。
従つて
事前に、すなわち締結前にというのは、署名前にと解すべきではないかと思うのでありますが、法務総裁のお考えはどうであるか。すべて条約が署名前に
国会
の承認を求めることが新しい民主主義の
憲法
の建前であり、国権の最高機関たる
国会
を尊重することになるのではないかと思うのでありますが、総裁の見解をお尋ねしたいと思います。「また時宜によ
つて
は事後に、」という但書は、私はあるいは不要であるのみならず、有害ではないかと思うのでございます。
国会
が開かれておらなければ、臨時
国会
を開けばいいのでありますから、不便は感じないと思います。
従つて
この点不要ではないか。のみならずこの「時宜によ
つて
」ということを
内閣
が幅を広く解釈して濫用するおそれがないとも限らないと思うのであります。条約を締結しておいて、いつまでも
国会
の承認を求めないでおくこともあり得るわけです。
国会
はこの場合、つんぼさじきに置かれるおそれがあります。法務総裁は「時宜によ
つて
」をどう解釈されますか。
国会
が開かれていなければ、臨時
国会
を開くか、次の
国会
には必ずかけるというように、ごく狭い
意味
に解すべきであると思いますが、いかでしようか。私は事後承認の但書は、これをむしろ
憲法
から取除いた方がいいのではないかと考えるのですけれ
ども
、この点法務総裁のお考えをお聞きしたいと思います。
大橋武夫
18
○
大橋
国務大臣 まず
憲法
第七十三条第三号の「事前に」という点の
意味
でございまするが、条約には御
承知
の通り調印のみによ
つて
完全に有効に成立いたしまするものと、調印後の批准によ
つて
成立いたしまするものと二通りあるわけです。従いまして「事前に」というのは、文字通り条約が確定的に成立する前にという
意味
でございまして、調印のみで完全に成立するものにつきましては調印の前、また批准によ
つて
成立するものにつきましては批准の前ということを
意味
するものと解しております。 次に「時宜によ
つて
」ということは、どういう
意味
であるかということですが、これは場合によ
つて
は、あるいは都合によ
つて
はとい
つた
ような
意味
に近い
相当
広い
意味
を考えておるわけであります。
従つて
行
政権
の裁量の幅が非常に広くな
つて
おるということは言い得るのでありまするが、これは諸
外国
でも条約締結については、比較的行政部に重点を置かれておるところでありまして、わが
憲法
といたしましても、その通例に従
つた
ものと存ずるのであります。
内閣
がこれを濫用することを心配せられておられるようでありますが、事後の場合におきましても、いずれは
国会
の承認を求めるものでありまして、その際に批判を受けるわけでございまするから、
政府
は十分なる良識をも
つて
行動することは当然であり、濫用ということは考えられないと存ずるのであります。ことに
日本
国
憲法
は諸
外国
の実例に比べまするというと、広くすべての条約を
国会
の承認を求めるという建前にな
つて
おるのでございまして、この点は一部の国におきまして、条約のうち特定の種類の条約に限
つて
国会
の承認を求めるというような
やり方
に比べますると、
日本
国
憲法
の範囲は非常に広くな
つて
おりますので、これらの点から考えましても、やはり「時宜によ
つて
は事後に」承認を求めるという場合も
相当
あり得るということを考え、またそれがために適切な規定をいたしてある、こう考えますると、現行
憲法
はこのままでさしつかえないと考える次第であります。ことにたとえば一例をあげますると、政策には大きな
関係
のない技術的な条約を、
国会
閉会中に結ぶという場合におきましては、当然事後の承認ということが考えられることであります。これらの場合を救済いたしまする規定といたしまして、現行
憲法
はこのままでさしつかえなかろうと考えます。
並木芳雄
19
○
並木委員
その場合、
国会
が開かれておらなければ、必ず臨時
国会
を開くか、次の
国会
にはかけるというふうに、「時宜によ
つて
」の
意味
を狭く解釈されませんかどうか。
大橋武夫
20
○
大橋
国務大臣 これはやはり条約の
内容
によることだと存じます。その辺は行政部の良識に基いて判断をいたしまして、
憲法
の規定の誤りなき運用を期して参りたい、こういうことであると思います。
並木芳雄
21
○
並木委員
そうしますと、今度の対
日講和条約
も、必ずしも
国会
閉会中であるからとい
つて
臨時
国会
を開かないということも言えるわけですか。
大橋武夫
22
○
大橋
国務大臣 これは条約の
内容
によりましてきまるべき事柄でありまして、ただいま対
日講和条約
の
内容
も決定いたしておりません。その決定いたしましたる
内容
に従いまして、
政府
においてそのとき良識に
従つて
判断をいたし、そうして臨時
国会
を開いて事前に御承認を得るかいなかということを決定すべきものであろうと存ずるのであります。但し事の性質といたしまして、今回の
講和
条約というがごときことは、
わが国
といたしまして非常に重大な事柄であるということは考え得られることでございまして、その場合に事前に臨時
国会
を開き、
国会
の承認を得るかいなかということは、それによ
つて
常識的に御判断をいただいてしかるべきことだと思います。
並木芳雄
23
○
並木委員
第四に、条約を
国会
が承認しない場合及び修正承認ということについてお尋ねしておきたいと思います。条約を締結したあとで
国会
の事後承認を求めたとき、
国会
がこれを承認せず、否決する場合は必ずしも起り得ないことではございません。たとえば與党、野党の数が非常に接近しておるときとか、連立
内閣
のときなどにはあるいは起るかもしれないのであります。この場合、条約は効力を失うのかどうか。要するにこの場合の条約の効力について、
日本
の
憲法
の建前をお伺いしておきたいと思うのです。 それから事前たると事後たるとを問わず、
国会
は条約の
内容
をわが
憲法
の建前上修正して承認することができるかどうか、これもあわせてお尋ねしておきたいと思います。
大橋武夫
24
○
大橋
国務大臣 事前に
国会
の承認を求められたる場合におきまして、
国会
が承認しないという場合におきましては、当然その後に
政府
が批准をするということはあり得ない、あるいは調印をすることはあり得ないわけであります。この場合にはその後条約が成立するという問題を生じないのでありまするが、事後に
国会
の承認を求めまする場合におきましては、
政府
当局といたしましては、条約締結にあた
つて
国会
の方の承認が得られるような確信のある
内容
の条約を結ぶことは、これは当然でありまするから、一般問題として
国会
の承認を得られないということはないと存じまするが、万一にも
国会
の承認を得られない場合におきましては、その条約の効力はどうなるかと申しますると、条約自体は相手国との
関係
ですでに有効に成立いたしているわけでありますから、
国会
の不承認によ
つて
条約が法律上当然に効力を失うものとは考えないのであります。し
かし
政府
といたしましては、
国会
で承認されなか
つた
という事情をよく先方に了解させまして、当該条約を廃棄することに努めるべき政治的責任は当然負わなければならない、かように考える次第であります。 それから次に修正の問題でございまするが、条約の締結権そのものは
憲法
上
内閣
の権限とな
つて
おるのでありますから、
国会
が承認されるについて修正承認ということは、法律的には考えられないと存ずるのであります。もとより将来の改正の機会に対する修正の希望を述べられるということはあり得ると思います。条約そのものを修正して承認するということは、
国会
としてはあり得ないと考えます。
並木芳雄
25
○
並木委員
それでは
最後
に条約の種類についてお尋ねしておきたいと思います。
憲法
の条約という言葉は、国家間のとりきめの総称であ
つて
、狭い
意味
の条約ではないと思うのでありますがどうであるか。つかり国家間のとりきめには、条約という言葉のほかに協定とか協約とか約定とか規約とか議定書とか宣言とか憲章とかいろいろあります。し
かし
日本
の
憲法
にいう条約は、すべてこれらのものを包含しておるものと解すべきであるか、この点を明らかにしていただきたいと思います。もしそうでないと、条約という文字を使わないで他の文字を使
つて
、
国会
の承認を経ないところの約束ができ上
つて
しまうおそれがあるからでございます。祕密協定のごときものが結ばれる心配があるからお尋ねをしておきます。先ほどちよつとこの点法務総裁の答弁に触れられたようでございますが、
わが国
の
憲法
は広くすべての条約を含むように御答弁の中にあ
つた
ようですが、ただいまお尋ねしたような点はつきりしていただきたいと思います。
従つて
伝えられる日米防衛協定ももちろん条約であ
つて
、当然
国会
の承認を要するものと解釈できると思いますけれ
ども
、この点もあわせて明らかにしていただきたいと思います。
大橋武夫
26
○
大橋
国務大臣
憲法
の条約という言葉が、形式上何々条約という名前のもののみではなく、協定、約定、議定書、宣言、いかなる名称たるとを問わず実体的な
意味
に解すべきものであることは、お説の通りであると考えるのであります。し
かし
ここに申しておりまする条約というものは、すべての国家間の約束ことごとくを
意味
するのではないのでありまして、国家と国家との間におきまする国際法上の権利義務を定めましたところの基本的な約束を
意味
するものと考えるのであります。かような基本的とりきめから派生いたしまするところの、これが施行についての施行細則的なとりきめとか、きわめて技術的な特定行政庁対特定行政庁の間の事務的なとりきめとかいうようなものは、これはこの条約といううちには入らないと存ずるのであります。また純粋に国の私法上の権利義務に関するものだけを
内容
といたしたような事柄、こういう私法上の約束はこの条約のうちには含まれておらない、かように解釈をいたしておるのであります。し
かし
て、ただいま例外的に申し
上げ
ましたような基本的とりきめから派生いたしております施行細則的なとりきめであるとか、あるいは行政庁対行政庁のきわめて技術的な事務的なとわきめであるとか、あるいは私法上のとりきめであるとか、こうい
つた
事柄は
憲法
第七十三条第二号の「外交
関係
を処理すること。」というこの
内閣
の権限によりまして、
内閣
のみで単独に行い得るものと考えているのであります。しからば日米防衛協定というような事柄が、かりにこの条約に入るであろうかどうであろうかということでございますが、これは国家の防衛につきましての国家間の権利義務を規定いたしました当然国際法上の権利義務に関する
内容
を含むものでありましようが、そういう
内容
を含んでおりますものは、ここにいう条約と解すべきことは、これは法律上当然だと考えております。
守島伍郎
27
○守島
委員長
菊池君。
菊池義郎
28
○菊池
委員
私の話はこれはちともうかる話でありますが、南洋群島のサイパン、テニヤン、ロタボナペ、ヤツプ、パラオ、そういう所に沈められておりまする軍艦、商船八十八隻の引揚げに参加するように
日本
が許可されたとのことでありましたが、この引揚げられました軍艦、商船は引揚げたあげくは
日本
でも
つて
これを所有することができるのでありますか、どうですか。沈没した軍艦、商船であ
つて
も、これは戦利品に入るものでありますか、どうですか。
西村熊雄
29
○西村(熊)
政府
委員
なかなかむず
かし
い御質問だと思います。沈んでいる場所によることだと思いますが、公海の場合には無主物というものになりましよう。一国の領海内に沈没している場合には、その領海の所有国のものでありましよう。こういうふうに考えているわけであります。実例を申し
上げ
ますと、図南丸の場合には
日本
側で引揚げまして、そうして
アメリカ
の方から
日本
側で買いと
つた
、こう了解しております。場所によ
つて
判断することだ、こう思います。
守島伍郎
30
○守島
委員長
ちよつと申し
上げ
ますが、法務総裁は非常にお急ぎになるそうでございますから、法務総裁に対する質問だけを……。
菊池義郎
31
○菊池
委員
法務総裁はよろしゆうございます。つまり南洋群島は
戦争
の終結するまでは
日本
の委任統治領であ
つた
ようなわけなんでありますから、その領海内に沈められておりますところの軍艦商船は、その所有権はどういうふうになるか。私がお伺いしようというのは、沈められている商船の中で十何隻これを使うことができるというような新聞の
報道
がありましたのでお伺いするのです。議論のための議論ではないのです。
西村熊雄
32
○西村(熊)
政府
委員
南洋群島につきましては、すでに一九四七年に信託統治協定が有効に発効いたしておりますので、何といいましても、同地域は合衆国の施
政権
のもとにある、こう了解すべきものだと思うのであります。ただそういう
関係
が、
日本
一国に対する
関係
においてまだ確定しない、こういうことは純粋の法律上の問題としては言えることでございましよう。し
かし
日本
以外の
関係
においては、完全に信託統治行政が確立いたしております。
従つて
その領海内に沈没いたしております元
日本
の軍艦、または商船といえ
ども
現在
日本
のものであるという主張は成り立たない、やはり施
政権
国の管轄のもとに帰属しておる。
従つて
それを引揚げるなり、それを取得するについては、施
政権
国である合衆
国側
の同意を必要とするというふうになると考えるわけであります。ヤツプ島において引揚げました商船の場合も、すでに合衆
国側
の許可を受けて引揚げて、しかもそれを買いと
つた
ということにな
つて
おると私は了解いたしております。
菊池義郎
33
○菊池
委員
アメリカ
がいくさに勝ちまして、南洋群島を占有しておるのでありますが、ああいう委任統治領というものは、
講和
会議
を必要とせずして、ただちに戦勝国の領土になる、あるいは委任統治領なりに変更することはできるものですかどうですか。
西村熊雄
34
○西村(熊)
政府
委員
可能、不可能の問題は別といたしまして、すでに一九四七年に委任統治の制度が施行されております。
平和条約
は、連合国がすでにと
つて
いる
措置
を、
日本
において承認するという
意味
においての規定は置かれることになる、こう考えます。
菊池義郎
35
○菊池
委員
そうすると引揚げられる八十八隻の船、これはもうみな元の
日本
軍艦、
日本
の商船でありますが、そのうちの軍艦などはやはり連合国がこの前
日本
に残された六百八十隻の軍艦のうち、百二十隻英、米、
ソ連
、チヤイナの四箇国でと
つて
、あとは全部
日本
に残して使用を命じておる、その中に入れていいと解釈してさしつかえないのですか、どうですか。
西村熊雄
36
○西村(熊)
政府
委員
御質問の
意味
がわからないのでございますが……。
菊池義郎
37
○菊池
委員
つまり戦勝国の戦利品であります
日本
の軍艦、
日本
に終戦当時残
つて
お
つた
六百八十隻のうち百二十二隻だけ連合国がと
つて
おるのです。小さい駆逐艦、海防艦百二十二隻だけと
つて
、四箇国でわけて、あとは全部
日本
に残して使用を命じておる、そのうちからして大きな軍艦二百隻だけは解体しろ、そのあとを使えという命令が出ておるのです。もし引揚げた軍艦の中で使えるようなものがあ
つた
場合、それを商船につくりかえて使うとかなんとかいう━━できるかできぬかはわかりませんが、それを何かに利用しようという場合、当然にその命令の中に含むものであるとして、自由に使
つて
よろしいものであるかどうか。
西村熊雄
38
○西村(熊)
政府
委員
御質問は、終戦時連合国の方で、戦利品として獲得した兵器の処理の問題であると思いますが事務当局としては主管
関係
でございませんので、御答弁するだけの資料を持
つて
おりません。
菊池義郎
39
○菊池
委員
軍艦は別といたしまして、商船でありますが、十何隻引揚げて使えるものがあ
つた
という。これは当然
日本
がもらうことができるものであると考えてよろしいものかどうか。また使えない商船、軍艦、莫大な古鉄です。この古鉄は
日本
がもらい受けることができるのかどうか、この点お伺いしておきたいと思います。
西村熊雄
40
○西村(熊)
政府
委員
御質問の要旨がよくわからないのですが、どこで引揚げた十何隻の商船かによ
つて
御答弁が違うと思いますので……。
菊池義郎
41
○菊池
委員
それはつまり元の
日本
の委任統治領でありました南洋諸島です。
西村熊雄
42
○西村(熊)
政府
委員
南洋諸島で十何隻の
日本
の商船が引揚げられたという話もまだ聞いておりませんし、御答弁いたしかねます。し
かし
御質問に対しては冒頭御説明申し
上げ
た通りでございます。
菊池義郎
43
○菊池
委員
新聞に十何隻使えるものがあるということが
報道
されております。そうして
日本
がその南洋群島の軍艦、商船の引揚げに参加を許されたということは、これはもうはつきりしているのです。
西村熊雄
44
○西村(熊)
政府
委員
御質問のような問題は、もう少し事情を具体的に明らかにしてから御答弁した方が間違いなかろうと思います。またないしは外務省
関係
ではなくて、他に
関係
主管庁があるように思いますので、その方から御答弁申し
上げ
た方がよろしかろうと思いますので、今日は答弁を差控えさせていただきます。
守島伍郎
45
○守島
委員長
小川原君。
小川原政信
46
○小川原
委員
この際少し込み入
つて
おるようですが、外務当局にお話を申し
上げ
たいと思います。この海を隔ててアジア大陸と対峙しておる
わが国
は、今日の二大対立からのがれることはできない。そこでわれわれの一番心配しておりますることは、アジア大陸に
ソ連
と
中共
がどういう備えをしておるのであるか、その備えの概略を承りたい。
草葉隆圓
47
○
草葉政府委員
実はただいまの御質問まことに重大な問題だと思います。
従つて
外務当局といたしましても、これらの点につきましては、なるべく詳細な資料を得たいと努力をいたしておりまするがまた同時に一方はそういうもしや備えがありますならばありますだけ、そういう点をなるべく発表しない方法をとるだろう。ただ最近新聞あるいはマツカーサ元帥の解任に関する
証言
等によりまして
承知
いたしておる資料の程度でありまして、今の御質問の大陸地方におきまする備えという点につきまして、確実な資料を持ちかねている
状態
であります。
小川原政信
48
○小川原
委員
わかりました。おわかりにならないものは尋ねることができないからしかたがない。そこで、全然わからないのでありますか、
ソ連
の海、陸、空の活動というものは、国家としてここで御発表になることにおさしつかえがあ
つて
御発表にならないのか、全然わからないのですか、その点をひとつお聞きしておきたい。
草葉隆圓
49
○
草葉政府委員
これは実は御
承知
のように従来と違いまして正式に在外公館を持たないのでありますから、いわゆる国家として知
つて
おるということは申し
上げ
かねると私は思います。ただ従来から
朝鮮動乱
に関します総司令官なり、あるいは今申し
上げ
ましたような情報におきまする発表等におきましては、いろいろあるいは漠然と、あるいは具体的に発表されておりまするが、
日本
政府
自体がみずからの手によ
つて
資料を集めるという方法は、現在持ちませんので、さよう御
承知
を願いたい。
小川原政信
50
○小川原
委員
さらにお聞きするのでありますが、おわかりにならないものは、これはいたし方ありませんが、これはりくつでもなければ、ごく何でもないことなのですが、北海道の近海に近ごろ機雷が続々流れて来ます。これはどういうふうに御当局は見ておられますか。
草葉隆圓
51
○
草葉政府委員
ただいまの御質問のような具体的な
状態
は、北海道その他でもちよいちよい現実において承
つて
おります。これは海流の
関係
等から流れて来る場合もあろうと存じまするが、どういう
原因
によ
つて
という点につきましては、実は
承知
いたしかねておる
状態
であります。
小川原政信
52
○小川原
委員
原因
を私は聞いておるのじやない。これは政治的に考えれば、そのくらいなことはばかでもわかる。そんなことをお尋ねしているのではありません。機雷が近ごろ流れるということは、ま
つた
く大戦後の機雷であるのか、あるいはいたずらをされておるのか、それとも何らかの目的によ
つて
や
つて
おるのであるか、そういうことを国家がわからないのでありましようか。わからぬとおつしやれば、これはそれきりのことでありますが、その辺をわれわれは
国民
として聞いておく必要があるのである。海流によ
つて
流れることは当然のことです。(笑声)
草葉隆圓
53
○
草葉政府委員
これは
戦争
中のすべての機雷が、処理済みとも考えられませんから、機雷によりましては、あるいはそういうものもあるかとも存じます。し
かし
朝鮮動乱
等によりまして、その後機雷等の敷設というものが全然ないとも考えられません。従いまして機雷が太平洋
戦争
と
関係
があ
つた
ものか、全然ないものかは、機雷によ
つて
これを判断する以外にはないのではないかと思います。ただ
世界
の最近の情勢が、今申し
上げ
たような
状態
でありまするから、全部の機雷が太平洋
戦争
の残物ということばかりは断定しかねるのではないかと存じます。
守島伍郎
54
○守島
委員長
小川原
委員
にちよつと申し
上げ
ますが、その問題は直接外務省には
関係
ないように私は思います。そうしてそれに直接
関係
のあります運輸省及び海上保安庁の役人を今呼んでおります。参りましたならばもう少し詳しいことをお聞きすることができるかもしれません。外務省との間にはこんにやく問答になるかと存じますので、ただいま呼んでおります。
小川原政信
55
○小川原
委員
それでは所管が違うと言われるか知りませんが、外務省に対しまして
一つ
お尋ねしておきたい。これは
最後
にお尋ねをしようと思
つて
お
つたの
ですが、週報に、北海道に対する六月攻勢とか七月攻勢とか、人民
政府
軍ということが続々書かれております。これはあなた方の御所管でないとすれば、それまででありますが、何かそういうことが入手されておるでありましようか。
草葉隆圓
56
○
草葉政府委員
ただいまのは多分売
つて
おります
日本
週報であ
つた
と存じますが、
日本
週報が何かの資料でそういうふうに書いておると存じますが、これは外務省と直接
関係
はございません。
守島伍郎
57
○守島
委員長
次は佐々木君。
佐々木盛雄
58
○佐々木(盛)
委員
私は対
日講和条約
に関連して伝えられております
講和
条約の草案を大体の構想として外務当局の見解を二、三聞いておきたいと思うのであります。もとより
講和
条約の成文は外務省に到着をしておりまして、皆さんも御
承知
のことであろうと考えられます。決して私はその
講和
条約の成文の
内容
について、本日ここで論議をするわけではございません。新聞に
報道
されておる程度の案文、構想を土台としてお聞きをするわけでございますかすら、条約の
内容
でないから、さほどかた苦しくお考え願わなくてけつこうだろうと思います。 まず承
つて
おきたいことは、いわゆる条約草案として伝えられるものによりますと、今度の条約の締結によ
つて
、
日本
及びその領海における
日本国民
の完全なる主権を認めるということにな
つて
おりますが、そうすると、
ポツダム宣言
あるいは降伏文書や、その後これに関連して発せられた幾多の指令等におきまして、
日本
の徹底的な武装の解除ということが命令されておるわけでありますが、このいわゆる条約草案なるものを読んでみましても、たとえば
安全保障
の項目を見ますと、武力を行使することを慎むという言葉が書いてありまして、決して武力を禁止するということは書いてありません。またさらに個別的、集団的固有の自衛権を
日本
が持
つて
おることを認める、そのために集団
安全保障
のとりきめに参加することを認めるということが、これは一般に通説として信じられておるところでありますが、そういたしますと、今度の
講和
条約というものの骨子は、
日本
の自衛権の発動としての個別的ないし集団的武力の行使ないし再
軍備
というようなことを、決して禁止する前提のもとに立
つた
ものでない、こういうふうにわれわれは考えるわけでありますが、そういたしますと、今度の
講和
条約ができますと、今までの
ポツダム宣言
や降伏文書やその他の指令等との
関係
は、どういうふうになるかというような点について承
つて
おきたいと存じます。
西村熊雄
59
○西村(熊)
政府
委員
その点は、従来
米国
政府
におきまして、対ソ回答の中に回答を与えておる点でございます。従来連合国間に存しておりましたいろいろな公文書、いわゆる
日本
の処理に関する公文書、カイロ宣言、
ポツダム宣言
、ヤルタ協定、降伏文書、こういうようなものは、
平和条約
ができるまでの占領期間における連合国の対日政策を規定したものであ
つて
、こういう文書に包含されてあるいろいろな条項が、
平和条約
後なお効力を持続するためには、それが
平和条約
のうちに取入れられなければならないし、取入れられておるという範囲内においてのみ、
平和条約
後も効力を持つものである、こういうことを言
つて
おります。この点は先日発表になりました
米国
の対ソ覚書の中にも繰返し述べられておる点でございます。
佐々木盛雄
60
○佐々木(盛)
委員
今私の質問いたしましたことのお答えがなか
つた
ようでありますが、この
日本
の完全なる主権を認めるという規定や、あるいはまた武力をやたらに使用することを慎むというふうな条項や、あるいは個別的、集団的固有の自衛権を
日本
が持
つて
おることを認めるというような規定等を総合して考えますと、今度の
平和条約
は、自衛権の発動としての武力行使ないし再
軍備
というようなものを、禁止したという原則のもとに立つものではない、こういうふうに考えるのですが、いかがでしようか。
西村熊雄
61
○西村(熊)
政府
委員
その点は私
ども
もそういうふうに考えております。
佐々木盛雄
62
○佐々木(盛)
委員
それから次はま
つた
く事務的、技術的な点でありますが、いわゆる伝えられる条約草案によりますと、
日本
は
朝鮮
、台湾、澎湖島及び南極圏に対するすべての権利、領有権、請求権を放棄するという規定があるわけであります。
朝鮮
、台湾、澎湖島並びに南極圏に対する権利、領有権、請求権の具体的に特におもなものがあ
つた
ら、それをお聞かせ願いたいと思います。
西村熊雄
63
○西村(熊)
政府
委員
御質問は南極圏にあると了解いたしますが、南極圏に対する
日本
の主張と申しますのは、皆さん御
承知
の白瀬探検隊によりまして、今手元に資料を持ち合せておりませんので、ここに正確な緯度、経度を申し
上げ
ることができませんが、二つの地点について先占の権利を白瀬中尉が主張いたされました。そうしてその白瀬中尉の要請がもととなりまして、これまた年代を正確に申し
上げ
るだけの資料を持ち合せておりませんが、正式に取
上げ
まして、これを合衆国
政府
に通告いたしたことがございます。
政府
が
ワシントン
駐在の大使を通じまして、公式に国務省に申入れをする前に、合衆国の地学協会でありましたか、そこでは白瀬中尉の主張を認めまして、同協会で発行いたしております地図などには、全部大和雪原というような名称も書入れてお
つた
ほどであります。合衆国のいわゆる地学協会と私は了解いたしておりますが、そうい
つた
学術的
団体
はすでに承認いたしておりまして、そういうふうな
関係
から、その後わが
政府
の方で正式に
アメリカ政府
に対して申入れをしてあります。その申入れの趣旨は、やはり南極圏における白瀬探検隊によ
つて
先占された地点に対して、先占権を主張する、これはまだ放棄しないという趣旨の申入れでございます。そういうふうないきさつがございましたので、おそらく合衆国
政府
におきまして、条約草案を起草されるにあた
つて
、従来
政府
が維持しておりました主張といいますか、それをこの際放棄するということを明白にしたものであろう、こう考えております。
佐々木盛雄
64
○佐々木(盛)
委員
それはよくわかりました。
最後
に、いわゆる条約草案なるものの最終条項におきまして、本条約は、いかなる国もこれを調印遵守しない限り、その国に対しいかなる権利、領有権及び利益も与えない、
日本
の権利、領有権及び利益は、本条約を調印、批准ないし遵守しない国の利益のために縮小され、また害されることはないという規定がございます。そういたしますと、今度の対日条約が効力を発生いたしましたときに、条約に参加しなか
つた
連合国との間の領土権の帰属の
関係
はどうなるか。たとえばこの最終条項の規定に従いますと、かりに
ソ連
が対
日講和条約
に参加しなか
つた
場合におきましては、南樺太、千島等の領有権は、これを
ソ連
に帰属せしめないという規定になると思うのでありますが、そういう場合に、条約が効力を発生したときに、条約に参加しない連合国、具体的に申しますならば、たとえば
ソ連
との
関係
において、南樺太、千島というような
関係
でありますが、そういう領土権が一体どこに帰属するのかという点を、ひとつ御説明願いたいと思います。
西村熊雄
65
○西村(熊)
政府
委員
おそらく佐々木
委員
のお読みに
なつ
たヘンスレーの条約案というものは、新聞に載
つた
約文を御参照になりましたのでいそういう御疑念がお起りに
なつ
たかと思いますが、私
ども
の手元でヘンスレーの英文と、新聞に載りました
日本
文とを比較いたしまして、私
ども
の方で手を入れたものによりますと、御質問の条項の
意味
はこういうふうにな
つて
おります。この対日
平和条約
に署名し、批准し、または加入しない限り、どの国もこの条約に基いて権利、権限または利益を取得することはないというのが一段であります。御質問の点は、これによ
つて
回答できるのでありまして、かりに
ソ連
というものがこの条約に署名しない、批准もしない、また加入もしないということになりますれば、領土条項に南樺太及び千島は
ソ連
に帰属するという規定が入
つて
おりましても、その規定によ
つて
何らの権利も権限も利益も得ないのである、こういうことになるわけであります。
従つて
この両地域は依然として法律的には、
日本
の主権というものがまだ放棄されていない、こういう
事態
になるわけであります。
佐々木盛雄
66
○佐々木(盛)
委員
次に最終条項の方で、本条約が
日本
と条約批准国との間に効力を発生した後、三年以内にいつでも本条約に参加することができるということにな
つて
おります。そうすると、三年以内に条約に参加したときは、まず第一に、今申した南樺太や千島は、当然
ソ連
の領有に帰するものと思われるわけでありますが、この点はどうか。 さらに第二は、三年以内にもしも参加しないときは、これらの島々の領土権は永久に
日本
の領有権に帰するのか、その領土権ははたしていずこに帰属するか、この二点についてお聞かせ願いたいと思います。
西村熊雄
67
○西村(熊)
政府
委員
この条項は、
平和条約
がいずれかの国との間で効力を生じたあとで、三年間だけはこの条約に署名しなか
つた
ものが加入できる、こういう考え方であります。むろん条約の加入というものは、条約が効力を発生したあと、その条約に署名していない国が当事国となる条約でありますので、こういう効力が生じた後に、加入という問題が起り得るわけであります。ですから加入の期間を三年と限
つて
いるところに、規定の
意味
があると思うのであります。これは
日本
と連合国との間の
戦争
関係
というものをできるだけ早く終了させたい、いつまでも無期限に加入を認めるということでは、いつに
なつ
たら全面的に
戦争
関係
が終了するときがあるかわからないので、それにあるタイムリー・リミツトをつけて、なるべく各国の加入を促進したいという趣旨から入
つて
いるのではなかろうかと一応考えている次第であります。この条項で、御質問はもし
ソ連
が三年以内に加入して来なか
つた
。むろんその場合条約に署名もしておりません。署名もしないでいて条約の効力発生後三年たちましても、その間に
ソ連
邦が加入して来なか
つた
場合には、それでは南樺太、千島における主権の
関係
はどうなるか、こういう御質問であ
つた
ように思うわけであります。その場合には何と申しましても、
日本
といたしましては、純粋に法律的の問題といたしましては、
日本
の主権というものは両地域になお残る、こういう立場をとらざるを得ない、こう思うのであります。
佐々木盛雄
68
○佐々木(盛)
委員
最後
にもう一点だけ承
つて
おきますが、これは最終条項によりまして、
日本
はいかなる国との間にも本条約によ
つて
、条約参加国に与えられるとされているものより、より大きな利益を与えるような
講和
条約なり、賠償の
解決
を行わないという
意味
の規定があります。そうすると、今度できまする
講和
条約よりも、大なる利益を与えるような
講和
を、他の国と結ぶことができないわけであります。しからば、同等のまたはそれよりも小なる利益を与えるような条約を、
日本
との間に個別的に締結をするというようなことができるものかどうかという点を、
最後
に承
つて
おきたいと思います。
西村熊雄
69
○西村(熊)
政府
委員
私は特にまず冒頭にお断りしておきたいと思います。それは佐々木
委員
があげられましたのは、いわゆるヘンスレーの条約草案なるものについての御質問であります。それに対して私がすでにお答え申し
上げ
たことが、同僚からの今御注意も受けましたが、なるほど
政府
当局としてはしない方がいいじやないかと思うわけでありますが、つい私の方で仮定の上に立
つて
、仮定の御質問に対して私は御答弁申し
上げ
ました。これはま
つた
く仮定の上に立
つて
の仮定の御質問に対して、私が一事務当局として、ほんとうに軽い
意味
で仮定的な答弁をいたしたものだと御了承をお願いしたいと思います。それがために
政府
の見解というようなものをコメントするという意思は毛頭ございませんので、その点御了承願いたいと思います。ことに新聞
関係
の方にお願いいたしたいと思いますのは、この私の答弁を新聞記事などにしていただかないように懇請いたします。従来とも同じようなケースで、たびたび私は
政府
の最高責任者に御迷惑を及ぼしておりますので、また同じようなあやまちを繰返すことになるのじやないかと思いまして、はなはだ慚愧の至りにたえません。その点御了承を願いたいと思います。 そこで先ほどの御質問に対してお答え申し
上げ
ます。その条項の
意味
は、考えられているこの草案——この草案といいますのは、この仮定にな
つて
おります草案の条件よりも、有利な条件で、平和
解決
をこの草案に加入して来ない国と
日本
は結んではいけません、こういう
意味
でございます。だからこれは私
ども
は全面的に
講和
になるということを切望いたしますが、そういう形にならなか
つた
場合には、
日本
は爾余の国との国交
関係
を平常化しようとする場合に、この
平和条約
よりも有利な条件を相手国に与えてはいけませんよ、こういう
意味
であります。それでは逆に佐々木
委員
の御質問になりましたように、より不利な条件で平和
関係
を回復することを承諾するようなものがあ
つた
場合はどうなるか、そういう場合には、この条約によ
つて
は阻止されていない。こういうことでございます。私
ども
事務当局としての解釈でございます。どうか
政府
の見解とおりにならないように、くれぐれもお願いいたします。
守島伍郎
70
○守島
委員長
砂間君。
砂間一良
71
○
砂間委員
ただいまの領土の問題に関してお尋ねいたします。三年以内にたとえばソビエト等が対
日講和条約
に参加しなか
つた
場合には、南樺太や千島の領土権については、純粋な法律上からすれば、
日本
の主権が持続するものと思うという、先ほどの西村
条約局長
の御発言でありますが、その点についてもう少しお伺いしたいと思います。
日本
は降伏文書の中で、
ポツダム宣言
の条項を誠実に履行するというふうなことがはつきり規定されております。その
ポツダム宣言
の中には、第八項に、カイロ宣言の条項は履行せらるべく、また
日本
国の主権は本州、北海道、九州及び四国並びにわれらの決定する諸小島に局限せらるべし、こういうふうにな
つて
おりまして、南樺太や千島等はこのわれらの決定する者小島という中に入るのではないかというふうに私考えるわけであります。ところがこのわれらの決定する諸小島の中では、ヤルタ協定によりまして、すでに南樺太や千島の帰属については、連合国の間で協定がもう成立しておるわけであります。
従つて
ポツダム宣言
の八項にいわれておる、われらの決定する諸小島の中で、少くとも南樺太や千島の帰属については、もう連合国の間で決定がなされておる、こういうふうに解釈するわけであります。この
ポツダム宣言
を
日本
が降伏文書の中で、はつきり誠実に履行するということで受諾しておるのでありますから、すでに連合国間で決定されておる南樺太や千島の帰属について、もしソビエトが対
日講和条約
に参加しなか
つた
場合には、これらの決定がすべて無効にな
つて
、
日本
の主権が依然として及ぶというふうな
条約局長
の解釈は、はなはだ不穏当な、
日本
としまして少くとも連合国に対して義務違反、条約違反というふうなことになるのじやないかといふうに思うのであります。その辺につきまして、もう少し詳しく御説明していただきたいと思います。
西村熊雄
72
○西村(熊)
政府
委員
一体
戦争
の結果起りまする戦敗国の領土処分というものは、戦勝国と戦敗国との間の
平和条約
によ
つて
最終的に確定されるのでございます。これは国際法の動かすべからざる原則でございます。カイロ宣言は純粋に三連合国家の申合せでございまして、あそこの趣旨は、
戦争
に勝
つた
あと
日本
の領土処分はどういう
方針
でしようという大綱の申合せをしたものであります。ヤルタ協定は、これまた三国間において、
日本
の職後における領土処分の問題についてこうしようという三国間限りの申合せ、
日本
の領土処分の大綱についての申合せであります。
ポツダム宣言
はカイロ宣言のみを言及しておりますと同時に、それに加えて
日本
の諸小島の帰属は自分たちの方で、連合国の間できめる、こういうことを言
つて
おるわけであります。ですから降伏文書におきまして
ポツダム宣言
を受諾いたしました
日本
といたしましては、カイロ宣言と
ポツダム宣言
は十分了承いたして降伏しておるわけでございますが、ヤルタ協定に関する限りは、
日本
は全然その存在を知りません。
従つて
ヤルタ協定と
日本
との間には、何ら直接には法的
関係
は存在し得ないのであります。繰返し繰り返し申し
上げ
ますが、一国の領土条約の最終的処分というものは、
平和条約
によ
つて
確定されるものであります。今考えられておる
平和条約
草案なるものにも、カイロ宣言やヤルタ協定や
ポツダム宣言
の趣旨に沿うての条項が考えられております。その趣旨のことは
アメリカ
の対ソ覚書によ
つて
もはつきりと説明いたしております。そういうものが
日本
に対して法的に有効に成立するのは、対日
平和条約
が効力を発生することによ
つて
であります。
従つて
この
平和条約
に参加しない国がもしあるとするならば——私はそういう国か一国もないことを希望いたしますが、もしあ
つて
、その国が取得すべき領域についての条項が存在しておるとしまするならば、そしてその国がこの条約に加入しないということになれば、その国と
日本
との間においてはやはり現在の
状態
が存続いたします。すなわち領土の主権の帰属というものは未決定のままに残る、いわば
日本
の主権というものは法律的にはなお
日本
のものとして存続する、こういうことになるわけであります。この点は私一点の疑いもないものであります。既存のいろいろな連合国間の文書というものは、
アメリカ
も繰返し繰り返し言
つて
おりますように、対
日講和
において最終的に決定する。法定効果を持つものではなくて、連合国が他日締結される対
日講和
に織り込む領土
方針
を規定しておるものにすぎないのであります。
砂間一良
73
○
砂間委員
戦敗国の領土問題は
平和条約
によ
つて
最終的に決定せられるものであるということは一応わかりますが、し
かし
先ほど
条約局長
の申されました
ポツダム宣言
やあるいは極東
委員会
の諸決定等は、
平和条約
締結までの暫定的な占領政策をきめたものであるから、
講和
条約が成立したならば、そういうものは全部御破算にな
つて
無効にな
つて
しまう、こういう解釈は、
アメリカ
側は一方的に盛んにや
つて
おるわけでありますが、また
条約局長
もそれに同意せられているような御説明があ
つたの
でありますが、私はその点に少し理解のできないところがあるのであります。たとえばヤルタ協定は米・英・ソ三国間の協定でありまして、これは対
日講和
が成立するしないにかかわらず、これらの三国間の国際協定というものは十分効力を持
つて
行くものであります。あるいはポツダム協定等にいたしましても、これらの協定は
講和
条約の成立するしないにかかわらずやはり協定は協定として、それが破棄されない限りは有効であるというふうに私は考えるものであります。
従つて
ヤルタ協定によ
つて
三国間で南樺太や千島の帰属が決定されておる。それがたとえばソビエトが対
日講和
に参加しなか
つた
から、それでヤルタ協定、米・英・ソ間のこの協定が無効になるというふうな考え方は、少し論理の飛躍ではないか。(「実質的に三国間で破棄しておるではないか」と呼ぶ者あり)三国間の協定は協定として、対
日講和
が成立するしないにかかわらず、これはやはり有効です。こういうふうに考えるわけであります。ところでこの対
日講和
についてでありますが、これはもうこの前の前の
委員会
でも私質問して、その答弁がはなはだ不誠意でありまして、納得が行くような答弁ができなか
つたの
でありますが、
日本
は降伏文書におきましては連合国に対して降伏しておるのであります。それでソビエト、中国をも含めた連合国と全面
講和
が結ばれるならばこの問題はないのでありますが、この降伏文書に違反して、またこれまでの国際諸協定等に違反いたしまして、そうしてこそこそと連合国の中のある特定の国と
講和
条約を結んだというふうな場合におきまして、未参加の国があ
つた
から、それでそれらの
国々
は
日本
に対する
講和
問題についてのいろんな権利を失
つて
しまうというふうな解釈は、これはきわめて一方的でありまして、また非常に乱暴な、むちやくちやな解釈であるというふうに私
ども
は考えるわけであります。し
かし
この問題は今日は時間もあまりありませんので、またあらためて別の機会にゆつくりひとつ質問したいと思うのでありますが、南樺太、千島は別といたしまして、他の方面の、たとえば琉球、小笠原等についてでありますが、ついこの前の
委員会
におきましても、奄美大島の方々が十何方の署名を持
つて
、
日本
に返るようにしてもらいたいという陳情を持
つて
参りました。 〔発言する者あり〕
守島伍郎
74
○守島
委員長
御静粛に願います。
砂間一良
75
○
砂間委員
あるいは小笠原の
人たち
もやはり全島をあげて、
日本
と
一つ
になりたいということを言
つて
おるのであります。 〔発言する者あり〕
守島伍郎
76
○守島
委員長
御静粛に願います。
砂間一良
77
○
砂間委員
この琉球、小笠原の帰属については、
ポツダム宣言
の第八項によりますと、われらが決定する、こういうことにな
つて
おるのであります。ここにいうわれらということは、これは連合国、ことに降伏文書の中には、連合国は米・英・ソ中国のこの四大国であるということがはつきり書いてあるのでありますから、
従つて
小笠原、奄美大島、琉球等の帰属については、この
ポツダム宣言
の第八項にいわれておる、このわれらが決定するという、その
意味
からいたしますと、これは当然連合国であ
つて
、しかもその連合国は四大国でなければならぬ。しかるに
アメリカ
の今の対
日講和
の草案を見ますと、
アメリカ
が単独で一方的にきめている。これをか
つて
に
日本
本土から切り離しまして、そうして要塞をつく
つた
り、いろいろな
軍事基地
をつく
つた
りしておるというようなことにな
つて
おるのでありますが、こういう
アメリカ
の
講和
条約案というものをかりに
日本
が承認するということになりますと、これは
ポツダム宣言
の違反にもなると思うのでありますが、こういう領土の——いわゆるわれらの決定する諸小島という中に含まれる、具体的には琉球、小笠原等の帰属について、
アメリカ
の
講和
条約草案を受諾するということは、
ポツダム宣言
の違反になるのではないかと思うのでありますが、その辺の解釈は外務当局としてはどういうふうな見解を持
つて
おられますか。
西村熊雄
78
○西村(熊)
政府
委員
今、おつしやいました御
意見
には、全面的に
賛成
いたしかねるわけでございますが、どういう考え方でそういうふうな御結論になるか、実はふしぎに思う次第でございます。今日御質問にな
つて
おる点に対しては、先日の合衆国の覚書が完全に答弁を与えております。一体共産党の方のおつしやるように、対日
平和条約
は四大国でつくらなければならぬという、こういう主張それ自身がすでに大体連合国間で大きな争いにな
つて
おるのでありまして、今日まで米ソ間にとりかわされました文書を冷静に読んでみまして、私は四大国で対
日講和条約
はつくらなければならぬという議論の根拠というものはないと思うのであります。合衆国はいわゆる対日
戦争
に積極的に参加した国全部が一緒にな
つて
条約をつくるべきものである。もし
ソ連
の言う通り、四国外務大臣
会議
で
講和
条約案をつくるということになるならば、終戦直前一週間だけ対日戦に参加した国以外に、もつとく対日戦に対して絶大なる寄与をした国の
平和条約
締結参加を奪うことになる。こういう不当な結果になるような
手続
は絶対に承服しないということを強調いたしております。なおまた唯一の
ソ連
邦の方で最も有力な論拠として引用いたしておりますベルリン
会議
の
議事
に関する議定書でありますが、外務大臣
理事会
、の権限についての規定、それの明文を引用いたしまして、外務大臣
会議
に授権いたしておる事柄は、欧州における五国の
平和条約
草案、それに対独
平和条約
草案の起草、これだけにな
つて
いて、その他の問題については四国間に同意したその他の事項を外務大臣
会議
にかけてよい、こういう明文規定にな
つて
いる。ところが対日
平和条約
問題については、合衆国は四国外務大臣
会議
にかけることに
賛成
しない、
従つて
問題にならないということをあわせて言
つて
おるわけであります。
従つて
条約起草の
手続
がどういうふうになるかということは、繰返して申しますように、主として連合国間の問題であ
つて
、
日本
政府
としては連合国間の決定を待
つて
、それによ
つて
一日も早く一国でも多くの国と平和の
状態
に入りたいという立場をとるわけであります。
従つて
合衆国が今日全面的な
講和
を最終目標として、できるだけ多数の国との間に、一挙に対日
関係
において平和
関係
が回復できるような
平和条約
をつくろうと全面的に努力をしておられますに対してわれわれがこれに協力し、その努力が一日も早く実を結びますようにという立場をとることは、何ら従来の連合国間の公の文書の精神に反するところはないのであります。むしろそうい
つた
アメリカ
の努力に対して、そつぽを向いている一、二の国の
態度
こそ批判さるべきでありまして、
日本
政府
の
態度
が批判さるべき
理由
は毛頭ないと信ずるわけであります。また
平和条約
における領土条項がどうなるかということも、
アメリカ
の対ソ覚書にはつきり言
つて
おりまするように、
アメリカ
が考えておる条約草案そのものは、まさに
ポツダム宣言
にい
つて
いる通り、
ポツダム宣言
にはカイロ宣言の諸条項は必ず実施され、
日本
の主権は本州、北海道、九州、四国並びに連合国の決定する諸小島に局限されるとしるされているが、
米国
の条約草案はまさに
日本
の主権を右規定の通りに制限しているのであると、こう言
つて
おります。その通りにな
つて
いる草案を受けるか、受けないかは、各連合国
政府
の決定されるところでありまして私
ども
としては批評の限りでありません。
砂間一良
79
○
砂間委員
もう一点……。
守島伍郎
80
○守島
委員長
もう時間がありません。小川原君。ただ小川原君に申しますが、もう時間が非常に少くなりまして、もう一人質問される方があります。から簡単に願います。
小川原政信
81
○小川原
委員
私の質問はごく簡単であります。今保安庁の方がおいでたようですからお尋ねしたいのですが、本月の七日ごろから非常に機雷が北海道の周辺を流れるということで、連絡船が遂に夜間就航を停止してしま
つた
、こういう状況にあるのですが、今も
つて
これが復活しないのであります。どういうような状況にあるか、非常に道民が危惧を抱いておるようなわけでありますから、詳細なお話を承りたいと思います。
松野清秀
82
○松野
政府
委員
今お話がありましたように、事実最近津軽海峡に機雷らしいものが流れておるような
報告
がありますので、海上保安庁におきましては、現在青森、函館方面に配属いたしておりまする船艇の全勢力をあげまして、主として津軽海峡の西口付近に重点を置きまして、晝夜警戒に当らせているわけであります。むろんこの機雷の発見ということは、夜間は非常に困難であると思いますが、なおレーダーが効果があるかどうか、そういう点にも疑問がありまするが、最近配船いたしておりまする巡視船は、レーダーな
ども
持
つて
おりますので、そういうものも活用しまして、今申し
上げ
ましたように、特に西口に重点は置いておりまするが、要するに津軽海峡全般にわたりて晝夜哨戒いたしまして、その早期発見と、事故の防止という点につきまして、全力を注いでや
つて
おる次第であります。
小川原政信
83
○小川原
委員
機雷らしいものというのですから、機雷とは限
つて
おらないのですか。
松野清秀
84
○松野
政府
委員
それは実際津軽海峡へ入
つて
来たものは、捕捉したものがないので、機雷らしいというのであります。
小川原政信
85
○小川原
委員
私は遠慮されているような気がしてならないのです。あまり遠慮されぬで、機雷か機雷でないか、そのくらいのことはわからぬのですか。 それからそのものがどこの国のものかわからないのですか。そういうものもひとつわか
つた
ら発表してもらいたい。遠慮することはないと思う。 それからもう
一つ
お尋ねしておきたいのですが、これは
わが国
の監視船では爆破できぬということを聞いておるのですが、そういうことはないでしようか、どういうものでしようか。そういう点をお話願いたいのです。
松野清秀
86
○松野
政府
委員
この機雷が流れておるというような情報は、漁船から入
つて
おるわけでありますが、そういうわけで、はつきり機雷とまでは申し
上げ
られない、かように申し
上げ
た次第であります。 なおこれがどこの国の機雷であるかということでありまするが、(「新聞に出ている」と呼ぶ者あり)新聞に出ておりまするが……。
小川原政信
87
○小川原
委員
遠慮せぬで言
つて
ください。遠慮してはいけません。
国民
の重大な
関心
事ですよ。
松野清秀
88
○松野
政府
委員
今申し
上げ
たように、津軽海峡へ入
つて
来ておりますもので、捕捉したものはないのでありまするから、これがはたしてどこの国のものであるかということは、ちよつと申し
上げ
かねるわけであります。 なお海上保安庁の船で、そういうものを見つけた場合に、爆破する力がないかどうかというようなお話でありますが、現在海上に配置しております船が、全部爆破する武器を持
つて
おるわけではありませんが、そのうち若干隻は爆破するだけの装置は持
つて
おります。
小川原政信
89
○小川原
委員
北海道の周辺に、監視船は一体どのくらいおるのですか。北の方に行けば、ほとんど毎日のように続々と漁船は拿捕され、機雷は流れる、私は実は余分のことですが、外務省の情報は一番確かなもので、よく知
つて
おられると思うたから聞いたのです。所管も知
つて
おるのです。われわれ
国民
は、そのくらいに
関心
を持
つて
いるのです。けれ
ども
所管でないと言われるなら聞く要はないけれ
ども
、今北海道民四百万はあげてどうなるかという心配をしている。
政府
はしつかりここで
声明
をいたしまして、決して不安なことはない、安心しておれという体制をと
つて
もらわなければならぬ、それで私はどうも官吏はあまり気に食わぬ、こういうことを言
つた
ら人の領分を侵す、こういうことを言
つた
らあつちにさわる、そういうことでなく、遠慮なくどしどし言
つて
、そうしてわれわれはそのことを聞いて、それに対処しようという決心で聞いているのです。理論の展開をしているのではない。今実際問題として、北海道はどういうところにあるか、北海道といえば小さいけれ
ども
、
わが国
の四分の一の領土です。これをいかにしなければならぬか、
わが国
の独立は一体どうして行かなければならぬか、こういうことなんです。それであるから遠慮なく私も聞きますから、遠慮なく言
つて
いただきたい。そういうわけでありますが、監視船は何ぼおるか、そうしてどういう働きをするのか、どういうことを雑ないところで話をしていただきたい。
松野清秀
90
○松野
政府
委員
現在津軽海峡の警戒に当てておりまするのは、青森におります二十三メーターの内火艇一隻、江差に配船しております二十三メーターの内火艇二隻、函館に配船しております七百トン級のプロツク一隻、さらに函館に配船しておりまする旧海軍の飛行救難艇が一隻、大体この勢力があの付近に配船しております船であります。現在海上保安庁におきましては、昨年のマツカーサー書簡以来ずいぶん船艇の増強はいたしておりまするが、船の建造には
相当
期間を要しまする
関係
で、現在なお巡視船の総勢力七十隻をもちまして、八千余海里に及ぶ沿岸の、治安の維持、航海の安全の確保というような大きな任務をや
つて
おるわけでありまして、むろん津軽海峡に機雷が入るというようなととは、重大な
事態
でありまするから、できる限りの船は集中しなければいかぬのでありますが、今申し
上げ
たような状況でありまして、ほかにやはり遭難なんかも毎日何件かあるというような状況でありまして、現在におきましては、それ以上には集中することは困難であるという
状態
であります。なお現に私の方の、特にそういうような機雷の処分、あるいは掃海というような面を担当いたしておりまする航路啓開本部長を現地にやつおりまするが、いろいろ現地の事情等もよく
調査
いたしまして、できれば現に内海あたりの警戒に使
つて
おりまする船も、一部分はまわしたいということも、現在計画中でありまして、今申し
上げ
ましたように航路啓海本部長が行
つて
おりまするので、最近のうちにそういう点もわかると思いまして、できるだけ増強をしたい、かように考えておる次第であります。
小川原政信
91
○小川原
委員
よくわかりましたが、航路はいつごろ復活する見込みでしようか。
松野清秀
92
○松野
政府
委員
航路の復活と申しましても、むろん船をいくら集中しても、それはもう全部確かに絶対安全というまでには、網でも張らなければ、容易に期待し得ない、かように考えておりますので、今後は、やはり浮遊機雷が津軽海峡へ入り込みますれば、むろん漁船なんかもおりますから、発見されると思いますが、やはり一応ある期間は、実績から見て絶対機雷が入
つて
来ないという見通しがつかなければ、絶対安全というようなことは、いつに
なつ
たら言えるかということは、今ちよつと申しかねる段階でございます。
守島伍郎
93
○守島
委員長
山本君。
山本利壽
94
○山本(利)
委員
ごく簡単に一、二点お伺いいたします。今回
米国
政府
によ
つて
対ソ覚書全文というものが発表せられて、それが
ワシントン
二十日発のUP特電で
わが国
にも伝えられておるようでありますが、その中で約二十万の
日本
人兵士が、家庭に帰り、平和的生活に復帰することを妨げておる、
日本国民
は、これら
日本
人兵士が降伏条項に約束されているように、平和的職業に復帰するのを待ちわびているという文句があるのでありますが、今まで
わが国
の方では抑留されている人間は三十七万というふうにたびたび承
つて
おるようであります。これを
アメリカ
の方では約二十万と発表されたのでありますが、この点に関する食い違いはどいうものでありましようか。もし三十七万であるなれば、すぐこの点の訂正的な
声明
というものを、
わが国
の
政府
は海外に向
つて
する必要があるのではないか、あるいは二十万が正しか
つた
なれば、全
国民
にそのように
政府
は訂正方を発表すべきではないか、かように考えますが、この点について御答弁願いたい。
草葉隆圓
95
○
草葉政府委員
今御質問の点につきまして、実は従来三十六万九千三百八十二名ということを
政府
は発表しており、またこのことは昨年の十一月の
国際連合総会
におきましても、
委員会
におきましても、オブザーヴアーとして行
つて
、大体その数を確認しながら発表いたしております数字でございます。中山さんのお話でその当時
政府
が発表した数字であります。ただいまの
アメリカ
の発表の中に二十万とありますのは、兵士という数字で現われておりますので、
従つて
大体三十六万九千という中の兵士というのを取
上げ
ての発表であろうと想像いたしております。
山本利壽
96
○山本(利)
委員
そうしますと、ただいますぐに御答弁が願えなければ、約三十七万のうちの二十万というのが兵士であ
つて
、その他が兵士でないのかどうか。ただ今ここではそうだろうという御想像でありますけれ
ども
、今わからなければ、この次の
委員会
にでもこの点は発表していただきたい。なおこの
委員会
でなくとも、留守家族の者、その他全
国民
はこの問題については非常に
関心
を持
つて
おりまするから、権威ある対ソ覚書の全文の中に二十万という数字が出ると、いろいろ思想的にも混乱すると思いますから、
政府
の善処方を要望いたします。
草葉隆圓
97
○
草葉政府委員
今手元に資料を持
つて
おりませんので、ただいまの御質問の点につきまして、次会に詳しく御
報告
申し
上げ
ます。
アメリカ
の今の数字は兵士というので現われております。
山本利壽
98
○山本(利)
委員
本日横尾通産相は、総司令部にマーカツト経済科学局長を尋ねて、
日本
、パキスタンの経済
関係
の問題、さらにパラオ島の開発等について、いろいろお話があるように新聞紙上に載
つて
おりますが、パラオ島の領土的所属というものと、それから産業的に見た場合の
わが国
との
関係
について、ひとつ簡単に御説明を承りたいと思います。
草葉隆圓
99
○
草葉政府委員
ただいまの点は、今ちよつと手元に資料を持ちませんので、他の機会にお譲りを願いたいと思います。
山本利壽
100
○山本(利)
委員
それでは今の点は、私のお願いしました以上に、その産業開発に関する
内容
についても、これは横尾通産大臣からでもよろしゆうございますから、詳細にひとつ承りたいと思います。 もう
一つ
承りたいのは、
講和
会議
を前にいたしまして、大幅に追放解除が行われるということが大体発表されており、世間の人はこれを待ちわびているわけでありますが、また最近の記事によると、
政府
の都合か自由党の都合かでこの
講和
会議
前における——それも一般には六月には大幅解除があると期待してお
つたの
でありますが、それが遅れるかもしれないとい
つた
ようなうわさを聞くのでありますが、この追放解除の問題について承りたいと思います。
草葉隆圓
101
○
草葉政府委員
実は追放の問題は
内閣
官房長官が出まして御答弁を申し
上げ
る方が適当であろうと存じますから、私からお答え申し
上げ
るのを差控えさしていただきたいと思います。
山本利壽
102
○山本(利)
委員
それでは時間の都合で私は差控えますが、きよう私の質問いたしましたことはいずれもとつさであ
つて
、御答弁が不完全であると思いますから、この次の機会に最初にお願いしたいと思います。
守島伍郎
103
○守島
委員長
ではこの次に外務省から御答弁を願いたいと思います。 次会は公報をも
つて
お知らせいたします。 本日はこれをも
つて
散会いたします。 午後零時四十七分散会