○西村(熊)
政府委員 ごく簡単にこの
憲章の概略を御
説明申し上げようと思います。
この
憲章は前文と八十二箇條からな
つておる相当大きな
憲章であります。本文は十九章にわかれております。
前文におきましては、すべての人民の幸福と円満な
関係と安全の基礎である九つの原則をあげまして、締約国はこの九つの原則を受諾して、すべての人民の健康を増進し、保護するため、国際協力をなす
目的で
世界保健機関を設立することを明らかにいたしております。
第一章は第一條でございますが、この
機関の
目的を定めておりまするすべての人民が可能な最高の健康水準に到達することが、この
機関の
目的である、こうい
つております。
第二章は第
二條でございます。この
機関の任務を列挙いたしております。二十二の事項が並べてありますが、その要領はお手元にあります
説明書の第三ページに八つにわけて
説明してございます。御参照願います。
第三章は第三條ないし第八條でありますが、
加盟国と準
加盟国について
規定を設けております。第三條はすべての国がこの
機関に加入することができるということを明らかにいたしております。第四條は国際連合の
加盟国の
加盟手続、第五條はこの
憲章を作成しました一九四六年の国際保健
会議にオブザーヴアーの派遣を招請された国の
加盟手続、第六條はその他の国の
加盟手続を
規定いたしております。
わが国はこの第六條の
規定によ
つて加盟いたそうとしておるのであります。すなわち第六條によりますと、国際連合とこの
機関との間の協力
関係を定めまする協定の定める條件に従うとありますが、実際はこの協力に関する協定は何らの條件を定めておりません。
加盟を
申請した国は、
申請が
保健総会の過半数の投票によ
つて承認されたとき
加盟国として認められる。しかし
加盟の效力は、その後におきまして、その国がこの
憲章の受諾書を国際連合
事務総長に寄託したときに効力を生ずるということにな
つております。これは第十九章にその
規定がございます。また国際
関係の処理について責任を持たない領域または領域群のために、準
加盟国の制度が第八條で認められております。
第四章は第九條でございますが、この
機関の事業が
保健総会と執行
理事会と
事務局によ
つて途行されるということを
規定いたしております。
第五章は第十條ないし第二十三條でございますが、
保健総会に関する
規定でございます。
総会は
加盟国の
代表で構成され、
保健機関の政策を決定いたします、執行
理事会及び
事務局の上級指導監督
機関であります。定期的年次会期として会合しますし、また特別会期として会合することもできます。それから
保健総会が條約または協定を採択した場合には、十八箇月以内にその條約または協定の受諾に関する
手続を、
加盟国はとらなければならないということにな
つております。これは第二十條に
規定しております。
第六章は第二十四條ないし第二十九條でございますが、執行
理事会に関する
規定であります。この
理事会は、
総会が選挙しまする十八箇国の任命した十八人の
委員で構成され、
総会の決定と政策その他
総会によ
つて委託された住務を、
総会全体にかわ
つて実施する
機関であります。少くとも毎年二回会合することにな
つております。
第七章は第三十條ないし第三十七條であります。
事務局に関する
規定であります。
事務局は
局長並びに技術的
職員及び
事務的
職員で構成され、ああらゆる会合に関する
事務を担当し、また
保健機関の財政
状況報告、それから
予算見積書を作成して、
理事会に提出することにな
つております。
第八章は第二十八條ないし第四十條であります。
委員会に関する
規定であります。執行
理事会は
総会の指示に基き、または
事務局長の
提案に基き、または自発的に各種の
委員会を
設置することができるということにな
つております。
第九章は、第四十一條と第四十
二條であります。
会議に関する
規定であります。
保健総会または執行
理事会は、この
機関の権限内にあるすべての問題を
審議するために、地方的
会議、
一般的
会議、技術的
会議その他の特別
会議を招集することができると
規定されております。
第十章は第四十三條であります。本部の所在地を
規定しておりますが、
総会が国際連合と協議して決定するとな
つております。これはジュネーヴに決定されました。
第十一章は第四十四條ないし第五十四條であります。地域的とりきめについて
規定いたしております。
保健機関の一部としまして、
総会の定める各地区に地域的
機関を
設置することができることにな
つております。地域的
機関は、地域
委員会と地域
事務局とから構成されております。そうしてもつぱら地域的性質の事項について政策を立てるということにな
つております。第一回の
保健総会は、六つの地域を指定いたしました。
わが国はそのうちの西太平洋地区に含まれております。西太平洋地区の
事務局は暫定的に香港にございます。
第十二章は、第五十五條ないし第五十八條であります。
機関の
予算と
経費について
規定いたしております。
機関の財政的基礎は、
加盟国の醵出します分担金並びに寄付金及び遺贈でございます。歳出入
予算案は、毎年
事務局が作成しまして、執行
理事会の
審議を経て
総会に提出され、
総会が
承認すれば
予算が成立いたします。そうして
加盟国間に割当が行われるということにな
つております。緊急事態及び不測の事件に応ずるために、特別資金が
設置されまして、執行
理事会の裁量によ
つて使用されることにな
つております。
第十三章は、第五十九條と第六十條であります。表決について
規定いたしております。重要問題についての
総会の決定は、
出席し、投票する
加盟国の三分の二の多数によります。その重要問題とは條約または協定の採択と、この
機関に国際連合及び
政府間
機関との
関係を設定します協定の
承認と
憲章の
改正の三つであります。その他の事項はすべて
出席し、投票する
加盟国の単純多数決によるということにな
つております。執行
理事会その他の
委員会の表決も、同じような原則に従うことにな
つております。
第十四章は、第六十一條ないし第六十五條であります。
加盟国がこの
機関に提出しなければならない各種の報告について
規定しております。
第十五章は、第六十六條ないし第六十八條であります。
機関の
法律行為能力、状権及び免除について
規定しております。この
機関は各
加盟国の領域内で、その
目的達成及びその任務の送行のため必要な
法律行為能力を有し、また特権及び免除を享有するということにな
つております。
第十大章は、第六十九條ないし第七十
二條であります。他の
機関との
関係を
規定しております。この
機関は、国際連合の專門
機関の一つであります他の
政府間
機関と協力
関係を持つことができます。また民間の国際団体または
政府の、もしくは民間の
国内団体との協力ができるということにな
つております。
第十七章は第七十三條でありまして、
憲章の
改正について
規定しております。前に申しましたように、
憲章の
改正は、
保健総会の三分の二の投票で採択されます。
加盟国の三分の二が憲法上の
手続に
従つて受諾しますと、すべての
加盟国に対して効力を生ずるということにな
つております。
第十八章は第七十四條ないし第七十七條でありまして、解釈に関する
規定であります。解釈または適用に関する疑義または紛争で、交渉または
保健総会で解決されないものは、国際司法裁判所に付託することにな
つております。またその
機関はその権限内で生ずる
法律問題につきまして、国際司法裁判所に勧告的意見を求めることができるとな
つております。
第十九章は第七十八條ないし第八十
二條であります。この
憲章の効力の発生について
規定いたしております。国が
憲章の当事国となるのは、第一に
承認を條件としない署名、第二に
承認を條件とする署名、及びその後の受諾、第三に受諾の三つであります。
わが国は今受諾によりまして当事国となろうといたしておる次第であります。受諾は、国際連合
事務総長に正式文書を寄託することによ
つて効力を生ずるということを、第七十九條が明らかにしております。
以上であります。