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1951-02-14 第10回国会 衆議院 外務委員会 第4号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十六年二月十四日(水曜日) 午前十時十八分
開議
出席委員
委員長
守島
伍郎
君
理事
北澤 直吉君
理事
佐々木盛雄
君
理事
竹尾 弌君
理事
山本
利壽
君 大村 清一君
菊池
義郎君
栗山長次郎
君 仲内 憲治君 中山 マサ君 福田 篤泰君
並木
芳雄君 松本
瀧藏
君
武藤運十郎
君 高田 富之君 高倉 定助君 黒田 寿男君
出席国務大臣
文 部 大 臣
天野
貞祐君
出席政府委員
外務政務次官
草葉
隆圓
君
外務事務官
(
大臣官房会計
課長) 千葉 皓君
外務事務官
(
政務局長
)
島津
久大君
委員外
の
出席者
專 門 員 佐藤 敏人君 專 門 員 村瀬 忠夫君
—————————————
二月八日
委員川上貫一
君辞任につき、その補欠として砂
間一良
君が
議長
の指名で
委員
に選任された。
—————————————
本日の
会議
に付した事件
国際情勢等
に関する件
—————————————
守島伍郎
1
○守島
委員長
ただいまより
外務委員会
を開会いたします。 ついでに申し上げますが、あした午前中
委員会
を開きまして、
外務大臣
は十時に出席せられることにな
つて
おりますから、あしたはどうぞ皆さん時間をお守りくださいますようお願いいたします。 次に
国際情勢等
に関する件を
議題
といたします。まず
外務当局
から発言を求められておりますから、これを許します。
草葉隆圓
2
○
草葉政府委員
前回申し上げました後におきます
国際情勢
について申し上げたいと存じます。 まず対
日講和
の問題でございますが、
東京
におきまする
ダレス使節団
と
政府当局
との
話合い
の模様につきましては、昨日
総理大臣
が本院の本
会議
で申し上げました
通り
でございまして、ここにあらためて繰返す必要もないと存じます。ただ
講和
問題に関連いたしまして、最近フイリツピン、濠州、
ニユージーランド等
で、
太平洋條
約というような
内容
を持つたものの
締結
の提唱が活発に行われておりまして、これに対しまして、
アメリカ側
も同情的な意向が表明せられておるのであります。
従つてダレス大使
が
マニラ
あるいはキヤンベラあるいは
ウエリントン等
を訪問されまする際に、この問題が
一つ
の重要な
議題
になるであろうとの観測が強いのでありまして、現に
マニラ
では、すでに十二日
キリ
ノ
大統領
と
ダレス大使
との
会談
におきまして、この問題が討議せられたようであります。実は
フイリピン
におきましては、前々から申し上げたこともありますように、従来から
賠償
問題につきまして、強い主張をいたしておりまして、
フイリピン政府
は去る十一日
公式声明
におきまして、
キリ
ノ
大統領
は今週
マニラ
で行われる
ダレス特使
との
会談
で、八十億ドルの対
日賠償要求
を強調するはずであると発表いたしたのであります。これに対しましては、
ダレス大使
は
記者会見
におきまして、
アメリカ
は
フイリピン
の
日本
に対する
賠償要求
の
正当性
は認めるが、しかしこの問題は、
要求
が妥当であるかどうかといつたようなことの問題ではなく、その
要求
を満足させる
経済
的な方途を見出せるかどうかという問題にあるのであ
つてアメリカ
は現在の
情勢下
では、
賠償
を獲得する実際的な
方法
を見出すことができないのであるという
意味
のことを述べられ、さらに平和の目的は第一次大戦後の
ヴエルサイユ條
約の場合のように、單に
敗戦国
に條約の諸
條項
を受諾するように強制するだけでは達成できないのであるという
意味
のことを申しておられます。これをも
つて
見ましても、
アメリカ政府
の対
日講和
問題に関しまするかくのごとき
基本方針
は、
ダレス大使
が
東京
でもしばしば言明せられたところでありまするが、これをさらに
マニラ
においても繰返して強調されておりますことは、私
ども
日本国民
といたしまして、まことに感謝にたえないところであります。次に
朝鮮
の
動乱
についてその後の
状態
を申し上げますると、戦局は、御案内のように一進一退の
状態
でございまするが、さらに
アメリカ
は
国際連合軍
として、新しく
増強
を、いたしておるようでありまして、だんだんと優勢なる地位を占めつつあるように見られるのであります。また一方、
国際連合
におきます
平和的解決
の
動き
は、その後
停頓状態
にあるようでありまするが、
アメリカ
が提案いたしました
中共非難決議案
は、先回申し上げました
通り
、一月三十一日
国連総会政治委員会
におきまして、
賛成
四十四、
反対
七、
棄権
九という
状態
でも
つて
可決され、本
会議
でも同様の票数をもちまして二月一日可決されたのであります。この
反対
の七票は
共産ブロツク
五箇国のほかに、
インド
と
ビルマ
を含んでおります。
棄権
九票は
アジア
・
アラブ
十二簡国の中の七箇国と、
スエーデン
、ユーゴとを含んでおるのであります。
朝鮮動乱
の
平和的解決
のために、従来共同して参
つて
おりました
アジア
・
アラブ
の諸国が、この
決議案
の表決に際しまして、それぞれ異
なつ
た態度をとるに
至つたの
が見られるのでありまして、レバノン、イラン、イラクの三箇国は
賛成
をし、
インド
、
ビルマ
が
反対
をし、その他の七箇国は
棄権
をしたという
状態
を現わしております。なお
インド
、
ビルマ
の
反対
は、
中共
の
行動
を是認して、これを非難するために
反対
したというのではなくて、現在の
情勢
においてこの
決議
をすることは、問題の
平和的解決
を阻害するおそれがあるという
意味
で
反対
をいたしておりますることは、申すまでもないことでございます。この
決議案
の
趣旨弁明
にあたりまして、オースチン・
アメリカ代表
は、との
決議案
は
国際連合軍
に新たなる
行動
をとる権限を與えるものではないということを申し、さらにこの
決議案
で提案されているあつせん
委員会
は、ただちに活動することが可能であり、
中共当局
が
平和的解決
に門戸をとざしていないことがわかるならば、調停の試みられる間、
集団処置委員会
の
仕事
は差控えられるであろうと述べておるのであります。このあつせん
委員会
は
総会議長
と、その
議長
の指名しました二名をも
つて
、組織することにな
つて
おるのでありまするが、いろいろな紆余曲折の結果、最近ようやく決定いたしまして、
総会議長
の
エンテザーム議長
と
スエーデン
、メキシコのそれぞれの
代表
が任命されたのであります。そうしてここに再び
平和解決
の
動き
が再開されることとなることができまして、
アメリカ当局
も
平和解決
の望みをまだ捨てていないと存ずるのであります。
欧州
におきまする四箇国
会議
の問題について申し上げますと、昨年十一月三日、
ソ連政府
は
ドイツ
の非
武装化
に関するポツダム
協定
履行問題を審議いたしまするために、
米英仏ソ
四箇国の
外相会議
を提案いたしまして、その後
ソ連
と三箇国との間に
会議
の
議題等
の問題で応酬がかわされてお
つたの
でありまするが、最近
ソ連
から三国にそれぞれ回答をなし、
ドイツ
の再
軍備
問題に限らず、
世界全般
の問題について討議する
外相会議
を開くための準備のために、
パリあたり
で
予備会議
を開くということが申されたのでありまするが、最近いよいよ三月十日この
会議
を
パリ
で開くことに決定いたしたようであります。 次いで
アメリカ
、
フランス
両
首脳部
の
会談
についてでありまするが、
トルーマン・プレヴアン会談
は、先月の末
プレヴアン仏首相
がワシントンを訪問いたしまして、二日間にわたり
トルーマン大統領
と
会談
いたしました。その結果、
アメリカ
は
インド
シナにおける
フランス軍
に対する
援助
を
増強
するということ、また
フランス
は
欧州防衛計画
を今後とも強力に推進するということ、この問題について
両国
の合意がなされたというのであります。なお
プレヴアン・フランス首相
は、その後ローマにおもむきまして、一昨十二日から
イタリア首相
以下
首脳部
と
会談
を行
つて
おるようであります。
最後
に
漁業
問題に関しまする
日米
間の
紳士協定
について申し上げておきます。
漁業
問題につきましては、対
日講和
に関する
アメリカ
の示しました七項目の中に、
日本
は
漁業
に関する多数
国内間條
約に加入することに同意する、という
趣旨
がありまして、
講和
の一環として重要視されておることがわかるのであります。今回
ダレス大使
、
吉田総理
の
会談
におきましても、先方から、
日本
人が将来
米国
の
漁業資源
を荒すことの懸念を表明され、特に
東太平洋
の
ブリストル湾
の
さけ
の
漁業——
これは御
承知
の
通り
、
戰前農林省
が
試験船
を出しましたため、
米国
で相当な問題とな
つて
、
外交交渉
となりまして、その結果
日本側
から自発的に漁船を出さぬことを声明いたしましておちついた問題でありまするが、この
ブリストル湾
の
さけ漁業
を、
アメリカ
の
西海岸地方
の業者が問題にしておりまして、対
日講和
の場合の障害となるおそれがありまする点を指摘されたのであります。わが方といたしましては、公海の
漁業
の自由という
原則
と、
漁業
問題の
基本的考え方
を披瀝しまして、
彼我ダレス
、
吉田
の両者間におきまする
話合い
の結果、自発的に次のような
趣旨
のことを申し入れることにいたしたのであります。その第一は、書簡にも
はつ
きりと示してありまする
通り
、
日本政府
は
国際漁業協定
に忠実に参加する
方針
を確認し、あらゆる水域における
漁業資源
の侵犯を
禁止
する。この
禁止
に違反する者は厳罰に処するという点であります。第二は、
官民合同
の
委員会
を設けて、この
禁止
が遵守されるようにいたすということ。第三には、
外国政府
の任命した
代表者
が
委員会
にオブザーヴアーとして出席するよう招請するということ。そしてこれを確認する
意味
におきまして、昨日発表いたしましたように、
総理
と
ダレス大使
との間に二月七日付の
文書
をとりかわした次第でございます。以上であります。 この機会に、
昭和
二十六年度の
外務省関係
の
予算
を一
通り
申し上げたいと思います。
外務省所管
の二十六年度
予算
の
総額
は、十二億二千六百四十八万九千円でありまするが、その内訳の大体を申し上げますと、第一は
外務大臣官房
の
経費
であります。これは普通どこでもあります
官房関係
の
経費
であります。その
総額
一億四千九百六十八万円、それに旧
外地官署所属職員
の
恩給事務
の
処理
、並びに明治以来の
日本外交文書
の
編纂公刊
のため必要な
経費
三百七十二万八千円、
合計
一億五千三百四十万八千円であります。 第二には
政務局
の
経費
であります。
政務局
でいたしておりまする
外国
に関する
政務
の
処理
、
内外新聞通信
並びに報道に関する
事務
の
処理
、法令の審査、
行政
の考査、
所管行政
の
総合調整
、
国際経済機関
に対する
協力
、
国際経済事情
の
調査
、太平洋戦争並びに
日本管理
に関する資料の
収集等
の
政務局所管
の
仕事
に要しまする
経費
として二千七百五万八千円、また
情報啓発事業
及び
国際文化事業
並びに
通商利益
の
増進保護
に関する費用といたしまして二千百七十六万三千円、合せて四千八百八十二万一千円でございます。 第三は條約局の
経費
でありまして、
国際條
約その他
国際約束
の
締結
、
国際法
及び
渉外法律事項
の
処理
、
国際連合
その他
国際常設機関
との
協力
に関する
事務等
の
経費
といたしまして九百八十四万四千円、
国際條
約等に新たに加入する等の
経費
としまして百八十九万七千円、
合計
一千百七十四万一千円であります。 第四は
調査局
の
経費
でありまして、
一般国際情勢
、
各国
の
政治
、
経済
、
外交
に関する
調査研究
を行う
経費
といたしまして一千二百十一万一千円、その他
国際情勢
の
基本的調査研究
に必要な
経費
としまして三百四十一万一千円、
合計
一千五百五十二万二千円を計上いたしております。 第五は
管理局
の
経費
でありまして、
邦人
の
海外渡航
、
在外財産
に関する
事務
、
旅券
の
発給査証
に関する
事務
、
朝鮮
、台湾、樺太、関東州、
南洋都島等
の旧
外地
及び沖縄に関する
残務整理事務
、未
引揚げ邦人
の
調査
に関する
事務等
を行います
経費
として一千八百二十六万九千円、また
在外邦人
の戸籍及び
国籍関係事務
、
旅券
及び
渡航
並びに
査証事務
、
夫引揚げ邦人
に関するいろいろな
調査事務
、
在外公館等借入金
の
整理事務
、旧
外地官署残務整理事務
に必要な
経費
といたしまして五千百六十七万二千円、並びに旧
外地官署所属引揚げ職員
の
給與支給等
に要しまする
経費
として八千万円、
合計
一億四千九百九十四万一千円を計上いたしております。 第六は
連絡局
の
経費
といたしまして、中央における
連合国官憲
との
連絡事務
、及びこれに関連する各
庁事務
の
総合調整等
に要しまする
経費
として二千六百八十万円を計上しております。 第七に、
連絡調整事務局
の
経費
でありまして、これは全国十二
地方
に設置せられておりまする
事務局
、ここで
地方
における
連合国官憲
との
連絡事務
並びに関連する各
庁事務
の
総合調整
をつかさど
つて
おりまして、これに要しまする
経費
として五千十万八千円を計上しております。 第八は、
外務省研修所
の
経費
であります。これは
外務省
の
職員等
に、
外交再開
の日に備えまして、遺憾のないよう必要な
研究
を行わしめているのでありまして、この
経費
として一千九百七十万八千円を計上しております。 第九は、
在外公館
の
経費
でありまして、
明年度
におきましては、
在外事務所
二十館を予定して、その
経費
として四億九千四百四十六万二千円、及び主要な
在外事務所
九箇所に設置上ます
商品見本展示室
の
経費
として五千三百六十七万五千円、
合計
五億四千八百十三万七千円を計上しております。 第十は、
出入国管理庁
の
経費
であります。
不法入国者
の
強制退去
に関する 一般
事務
なり、
正規入国者
の
管理事務
、
外国人登録
に関する
事務
、及び
不法入国者
の護送、収容、送還のため必要な
経費
として
合計
二億九十九万一千円を計上しております。
最後
に、
国立国会図書館
の
支部図書館
の
経費
として百三十一万二千円を計上しております。 以上十二億二千六百四十八万九千円が
昭和
二十六年度の
外務省
の
予算
とな
つて
おります。一応御説明申し上げます。
守島伍郎
3
○守島
委員長
それでは
通告順
に従いまして、質疑を許します。
菊池
君。
菊池義郎
4
○
菊池委員
この前
島津
さんが答えてくださらなか
つたの
で、
質問
に先だ
つて
ちよつとお伺いしたいことは、
ダレス特使
と
総理
との間における
会談
の
内容
、つまり具体的な
内容
について、
外務当局
の方々は、
総理
からよく聞かされておられるのであるかどうか、また厳重に口を緘されておるのであるかどうか。そういう点についてお伺いしておきませんと、
質問
がむだにな
つて
、むだしやべりになりますから……。
草葉隆圓
5
○
草葉政府委員
承知
しておるつもりであります。
菊池義郎
6
○
菊池委員
日本
に
米軍
が
講和
後駐留して
日本
の安全に
任ずる
とも言
つて
おられ、これに
総理
も同意をせられたようでありますが、向うが進んで置かないで、
日本
が希望して
軍隊
を置いてもらう場合、もちろんこれは
日米
の
協定
によるでありましようが、その
経費
は大体どつちから出ることに話がきま
つて
いるのか、これを伺います。
草葉隆圓
7
○
草葉政府委員
まだそういう
内容
の具体的なことは、
講和
の際のとりきめでないと、
はつ
きりしたことは申し上げかねると思います。
菊池義郎
8
○
菊池委員
そうすると、駐留してくれます
軍隊
の
兵力
は大体どのくらいになりますか。終戦後
日本
に駐在したあのくらいの
兵力
でありますか。
草葉隆圓
9
○
草葉政府委員
これも
講和
の具体的な
状態
にな
つて
初めて
両国
間で決定する問題だと考えております。今どこに何者という
状態
までは進んでおらないのであります。
菊池義郎
10
○
菊池委員
その大体の
兵力
、つまり
日本
の安全を保障するに十分な
兵力
をとどめるというのは、申訳的の
兵力
であ
つて
はならぬわけです。たとえば
ダレス
の、
日本
が希望するならばという
條件
は、希望しないならばほつたらかすという
意味
にもとれるのであるから、
申訳的軍隊
であ
つて
はならぬ。
日本
の安全を保障するに足るだけの
軍隊
でなければならぬと思う。そういう点について大体のところを……。
草葉隆圓
11
○
草葉政府委員
昨日も
総理
が申し上げたように、いわゆる
国内
の
治安
は
日本
で万全を期するが、
国外
の問題については、
日本
では力がないというような
意味
のことを申し上げました。
従つて国外
の侵略に対し、駐兵という点において、それに相当する
方法
でないと有力でないということは、ただいまの御
質問
と同様であります。
菊池義郎
12
○
菊池委員
日本
は
外敵
の
侵入
を防ぐために
集団
に
安全保障
を求めるのであるか、あるいは
日米
の
協定
によるのであるか、これはどつちでありますか。
草葉隆圓
13
○
草葉政府委員
これもどちらということが確定的に決定されるのは今後の問題でありますので、さよう御
承知
を願います。
菊池義郎
14
○
菊池委員
昨日の
総理
の議会における
ダレス
との
会談
の
報告
でありますが、その
報告
の中で、
国力
の回復を待
つて
日本
が
集団
に
安全保障
を求める場合に、列国に対してそう
役割
を果さなければならないということを言われたのでありますが、その
日本
の
役割
を果すについての
方法
、それは再
軍備
によるのか、あるいは
警察予備隊
の
増強
によるのであるか、その他いかなる
方法
によるか、この点
総理
からさだめしお聞きにな
つて
おられると思いますので、
お話
を願います。
草葉隆圓
15
○
草葉政府委員
それはいろいろな
方法
が考えられるように思います。しかし現在の、
敗戦
後の
日本
の
経済状態
では、
日本
の力に相応するだけの
方法
以外にできないことは申し上げるまでもないことでありまして、むしろそれを越えることは、かえ
つて
国力
を進展するゆえんでないことは、昨日も
総理
から申し上げた
通り
であります。
従つて日本
の実情に印する最も妥当なる
方法
というものが、
中心
の問題にな
つて
参ると思います。
菊池義郎
16
○
菊池委員
その
方法
ですが、再
軍備
その他何によるか、それは大体腹に納めておられるだろうと思うのでありますが、その点で最も妥当なる
方法
はどういうことですか。
草葉隆圓
17
○
草葉政府委員
ただちに再
軍備
というようなことは、とうてい今の
日本
の力ではできない……。
菊池義郎
18
○
菊池委員
警察予備隊
ですか。
草葉隆圓
19
○
草葉政府委員
従つて外敵
の
侵入
に対しては、
日本
が希望するならば
アメリカ
の
援助
を受ける、こういう段取りに進んで来ておると御了承願います。
菊池義郎
20
○
菊池委員
当分の間はでありましようが、
国力
が回復せられたる場合において、その後においてどういう
方法
をとられる
構想
を持
つて
おられますか。
草葉隆圓
21
○
草葉政府委員
これはその
国力
の回復した当時の
国際情勢
にもよりましようし、その当時の
状態
によ
つて
、
日本国民
が十分に最善の
方法
を検討するということに相なりまするから、
従つて
現在からこの方向で進むということをきめてかかるのは、むしろかえ
つて
妥当ではないと存じます。
菊池義郎
22
○
菊池委員
日本
がもし再
軍備
をするとなると、その
経費
の
援助
です。西欧に対する
援助
のごとく、
日本
にも
援助
してもらえる
ダレス
さんとの何か
話合い
でもあ
つたの
でありましようか、どうですか。これはもう当然考えられることです。
草葉隆圓
23
○
草葉政府委員
ただいまも申し上げましたように、再
軍備
というのは、現在の
段階
においては困難な
状態
にあるということは、
総理
も申し上げた
通り
であります。
従つて
ただちに
講和
と同時に
日本
が再
軍備
をして、そこで相当な
援助
を得るという
段階
、
話合い
ではないことを御
承知
を願いたいと思います。
菊池義郎
24
○
菊池委員
再
軍備
につきましては、すでに
英国連邦
の
各国
が大体制限づきでも
つて
承認しておるというような
状態
でありますが、
アメリカ
の
輿論
を見ましても、七五%が
日本
の再
軍備
を許すべしということが
輿論調査
に現われておる。それでもう今とな
つて
は再
軍備
を唱えても、ちつともさしつえないと思う。ただ
経費
の問題がありますが、再
軍備
について
総理
は最初からこれを否定して来られた。
憲法
の改正はせぬ、
憲法
は守るべしということを言
つて
おられる。
憲法
を当分守り拔く決意を固めておられるならば、
外敵
の
侵入
に対しては、
アメリカ
に当分たよるといたしまして、内乱に対しては七万五千ではまだとても足らない、
予備隊
では足らないと私は考えております。
民主党あたり
でも
予備隊
を二十万ぐらいにしたらどうかというような
意見
もあります。私は少くとも三、四十万あるいは四、五十万ぐらいにしたらどうか、その
経費
の出どころがなければ、これは
義務制度
にして、たとえば納税の
義務
、教育の
義務
みたいに昔の
徴集制度
にして、そうして
増強
したらどうですか。そういつた
構想
は
政府
においてはあるのでしようか。
草葉隆圓
25
○
草葉政府委員
一応は昨日
総理
から現状で十分であるが、さらに
内容
なり、すべてを
増強
するということは申し上げた
通り
でありますが、これは
国内治安
に関しましてはむしろ法務府
関係
になりますので、私
ども
は昨日
総理
が申し上げたことをも
つて
進んでおる次第であります。
菊池義郎
26
○
菊池委員
それからわれわれに
関係
のある
小笠原
についても、
小笠原
の
信託統治
はどうも
ダレス
さんの言うことを見ましても讓らない風が見えますが、これに対して
総理
は、結局
アメリカ
の
信託統治
の
意見
に譲歩せられたのかどうか、こういうことはお聞きすることの方が無理かもしれませんが、もしできることでしたならば……。
草葉隆圓
27
○
草葉政府委員
日本政府
としましては、
降伏文書
に調印し、その後
ポツダム宣言
を十分に忠実に履行して参り、今後の
国際情勢
の
動き
による対
日講和
の一日も早く
締結
されることを熱望しております。ただいろいろの領土の問題につきましては、
国民
の意思は十分伝わ
つて
いるとは存じますが、今申し上げましたような
意味
におきまして、
日本政府
としましては、
十分アメリカ
の熱意に信頼して進んでいる次第であります。
菊池義郎
28
○
菊池委員
私はこれで終ります。
守島伍郎
29
○守島
委員長
それでは
並木
君。
並木芳雄
30
○
並木委員
私はあとから
天野文部大臣
に
精神的自衛力
と
国際文化
の交流、こういうことについて
質問
したいと思いますから、ほかに
質問
の方があつたら先にまわしていただいてよいのであります。ただ
一つ
だけこの前の
ひつかかり
がありますので、お尋ねしておきます。 例の七
原則
の第四なのであります。「
安全保障
、」この中に「
日本国区域
における
国際
の平和と安全の維持のために、
日本国
の
施設
と合衆国の及びおそらくはその他の
軍隊
との間に
継続的協力的責任
が存在することを考慮する。」この「
施設
」についてこの前お尋ねしておいたのですが、どういうものをさすのか、そうしてどういう
概念
でも
つて
ダレス
さんとの
交渉
に
政府
は
話合い
に当られたか。これがやつぱり
はつ
きりしておらなければ、
安全保障
の問題というものの
話合い
が進められなかつたと思うのです。この点をお尋ねいたします。
草葉隆圓
31
○
草葉政府委員
これはこの前の御
質問
で、
政務局長
から一応お答えいたしたと存じますが、この「
施設
」の
内容
につきましては、またさきに
菊池委員
から御
質問
がありましたようないろいろ具体的な
状態
が決定をいたしまして、初めて
施設
というものの
内容
が具体的にきま
つて
来ると思います。
従つて
そういうこまかい具体的な問題はまだ発表申し上げるところまでは参
つて
おりません。
並木芳雄
32
○
並木委員
しかしこれは、今度の
安全保障
に関連しては一番重要な問題なのです。原語は
フアシリテイーズ
と書いてあります。訳語によ
つて
は
便益
というふうにも訳してある。
外務省
の條約局の方では
施設
と訳しておるのです。これはやはり
専門家
であるところの
外務当局
で、
フアシリテイーズ
とは何ぞやということが相当具体的に定義づけられないなれば、どうしてこういう話会いが進められるか。私
ども
はそういう疑問を持つ、その
概念
はどうですか。
草葉隆圓
33
○
草葉政府委員
研究
としましてはいろいろなことが
研究
されると存じます。ただ具体的に参りますると、あるいは
協力
なり、具体的な
施設
なり、すべてのことが入る場合もありましようし、
従つて
具体的にこれこれというときに、初めてこの
フアシリテイーズ
というのが
具体性
を帯びて参りますので、ただいま申し上げた
通り
であります。それならば
施設
はどういう
施設
であり、どういう姿であるかということは、その具体的の
協定
ができまする際には、
はつ
きりと相談し合うことに相なると思うのであります。
並木芳雄
34
○
並木委員
いろいろ
研究
されたことがあるということは、今の
お話
からよくわかりますが、
研究
されたものの中には人というもの
——施設
と人をあれするのは、私
ども
とても考えられないのですけれ
ども
、人を通じての
便益
と訳したときにはそういうことが出て来るかもしれない。人というものを
中心
にしたものも、今言われたいろいろ広いあらゆるものが含まれるという中に含まれて、
研究
の対象とな
つて
おつたかどうか、お伺いしたい。
草葉隆圓
35
○
草葉政府委員
研究
をしましても、これはごく抽象的なことでありまして、かえ
つて
抽象的な、一般的なことを申し上げると誤解を生じまするから、ただいま申し上げましたように、具体的な問題が生じまして、それによ
つて
両国
で相談し合うというときに、初めて
はつ
きりして参る問題であります。
並木芳雄
36
○
並木委員
政府
としてはこれを広く解釈するか、それとも狭く解釈するか。私はできるだけこの
フアシリテイーズ
の
意味
を狭く解釈すべきではないかと思うのですが、
政府
は今までの
話合い
の過程及び今後において、これをどういうふうにできるだけ縮めて持
つて
行く考えであるか、伺いたい。
草葉隆圓
37
○
草葉政府委員
先ほ
ども
申し上げました
国際情勢
の様相によりまして、
日本
が希望するならば駐兵をする。その
日本
の希望の
状態
によ
つて
、狭くも広くも解釈し得るのでありまするから、その
情勢
によ
つて
、初めて
外敵
の
侵入
に対する
方法
という点から割出されて来る問題だと存じております。
守島伍郎
38
○守島
委員長
それでは黒田君。
黒田寿男
39
○黒田
委員
念のためにお伺いしでおきたいと思いますが、
ダレス特使
と
吉田総理
との今のお
話合い
の新聞紙上その他によ
つて
報ぜられておるところを拜見いたしますと、大体
安全保障
の問題は、狭い
意味
の
講和
條約の中には入らないで、別個の條約でつくるというふうにきまつたと思いますが、その点どうでありますか。
草葉隆圓
40
○
草葉政府委員
講和
條約が具体的に形の上に現われませんと、今ここで
はつ
きりと申し上げかねまするが、大体はお見込みの
通り
で間違いはないかと存じております。しかし実際は条約文の上に現われたときに、初めてそれがもつと明瞭になりまするから、こうだということは今ちよつと言いかねると思いまするけれ
ども
、大体はその御見当でけつこうじやないかと思います。
黒田寿男
41
○黒田
委員
ちよつと
はつ
きりしませんでしたが、別個になる、大体今までの経過によ
つて
そういうことになると思うのです。それならそれでけつこうでありますが、そういうふうに解釈してかまわぬですか。
草葉隆圓
42
○
草葉政府委員
大体御
意見
でけつこうだと思います。
黒田寿男
43
○黒田
委員
それでは大体そういうことを前提として
お話
を申し上げたいと思うのであります。少ししつこいようでありますけれ
ども
、私
ども
どうしても一応解決しておかなければなりません問題でありますから、お尋ねいたしたいと思いますが、そうな
つて
参りますと、普通の
講和
条約は、私
ども
勝者と敗者という
関係
で、勝者の意思が押しつけられるというようにな
つて
も、これはやむを得ない問題であると考えておるのであります。ところがただいま大体の見通しとしては、
安全保障
の問題は、そういう
意味
での
講和
条約の
内容
にならないで、わが国が
講和
条約によりまして一応独立の国となり、自主権を回復いたしましたあとで、
会議
的に
外国
と
協定
をする。こういう見地から私は
質問
してみたいと思うのですが、そうな
つて
参りますと、私はやはり
憲法
の問題を
国民
としては一応真剣に解釈してみなければならないと思うのです。これはみんなが疑問に思
つて
おることでありますから、とにかくできるだけのお答えを願いたいと思うのですが、
安全保障
の問題として今
菊池
君の御
質問
に対しまして、次官のお答えになりましたところでは、まだいわゆる単独の軍事
協定
になるか、あるいは地域的
集団
保障の体制になるか、そういうことはよくわからないとおつしやいましたが、私もそれはまだそうであろうと思います。しかしながらいずれにいたしましても、
アメリカ
との単独な軍事
協定
になりまして、それにまた太平洋の諸国が後日にな
つて
参加するという形式になるか、あるいはまた初めからいわゆる
太平洋條
約というような地域的な
集団
保障体制の中にわが国が入
つて
行くか、これはどつちにいたしましても、結局は広い
意味
において一種の軍事
協定
が結ばれるということになるのだということは、これはもうそう予想できると思いますが、いかがでございましようか。
草葉隆圓
44
○
草葉政府委員
ダレス特使
との
会談
におきましても、その後発表もいたしましたし、また御
承知
のように
日本
が希望いたしまするならば、
日本
に駐兵をする、
日本
は大いにこれを歓迎しておるのだという
意味
におきましての
協定
というものは、そういうことで進んで参ることは当然でありまするから、その
意味
の御
質問
の
内容
であつたと存じまするので、さよう御
承知
を願いたいと思います。
黒田寿男
45
○黒田
委員
第一にはおそらく一種の軍事
協定
になる。結論から言えば、具体的に単独の軍事
協定
になるか、地域的の
集団
保障体制になるかわかりませんが、広い
意味
においてそういう軍事
協定
の性質を特つたものになるということは、大体そのようになると予想してよろしいでしようね。
草葉隆圓
46
○
草葉政府委員
軍に関する
話合い
であるから軍事
協定
だということになると、まあそういう言葉でも使い得るかとも存じますが、今申された
内容
は、今申し上げたような
内容
であります。
黒田寿男
47
○黒田
委員
どうも
はつ
きりいたしませんが、その点はそれといたしまして、もう
一つ
次の問題は、今ちよつと次官もお触れになりましたが、そういうことにな
つて
参りますと、結局
外国
の
軍隊
が
日本
に駐屯することになる、これも予想しなければならないと思いますが、いかがでございましようか。
草葉隆圓
48
○
草葉政府委員
お見込みの
通り
だと思います。
黒田寿男
49
○黒田
委員
第三の問題は、そのようにな
つて
参りますと、やはり軍事基地をわが国において提供するということに、必然的にならざるを得ないと思うのですが、この点はいかがですか。
草葉隆圓
50
○
草葉政府委員
これはさつき
並木委員
からの
お話
にもありましたが、
施設
の
内容
がどうかという問題に結局はな
つて
来ると存じます。そういう
意味
において御了承を願いたいのであります。
黒田寿男
51
○黒田
委員
その点はちよつと明瞭を欠いておると思いますが、常識上から考えますれば、先ほどの第一段の推論から申しますれば、当然軍事基地の提供ということにならざるを得ないと思いますけれ
ども
、これはしかしこれ以上は
質問
しないことにいたします。 そこで
憲法
との問題が起るようでありますが、わが国は自衛権を行使するためにも軍事力は用いない、こういうように私
ども
は——これは一般の多数の学者並びに
政治
家の解釈だと思います。芦田氏のごときは自衛のためには武力を持
つて
もいい、こういう御解釈のようであり、またごく少数の
憲法
学者の中にはそういう
意見
を持
つて
おる人もあるようでありますけれ
ども
、大体通説といたしましては、第九條第二項によりまして、自衛権の存在は認めるけれ
ども
、その行使の手段として武力を用いることはしない、こういうように解釈しておりますが、これは念のために
政府
の御解釈を承
つて
おきたいと思います。
草葉隆圓
52
○
草葉政府委員
これはいわゆる自衛のための武力を持たないという
意味
におきましてのただいまの御
質問
で、いろいろ議論があるがという
お話
でありましたが、すでにこの点は何回も御答弁は申し上げておる
通り
でありまして、武力を持たないという一応の見当をも
つて
進んでおりますことは、大体御
質問
の
内容
と同様だと存じます。
黒田寿男
53
○黒田
委員
大体
政府
の方も私
ども
の考えと、また多数説と一致しておると思います。それを確かめておきまして、その次に起る問題でありますが、そうな
つて
参りますと、
日本
が自衛のために武力を用いることをしない、自衛の
方法
は別個に——これは
吉田
首相もしよつちゆう申しておられますが、武力というものと結びつかないでも、自衛の
方法
はあるということを言
つて
おられる。私
ども
もその点では
吉田
首相のごとく従来考えてお
つたの
でありますが、ところが今回、
日本
は
軍備
を持たないけれ
ども
、
外国
と軍事
協定
を結びまして、
日本
の自衛権の行使として
外国
の
軍隊
を用いるということにな
つて
くれば、これは
憲法
におきまして、戦争を放棄し、平和主義を宣言したその
趣旨
と両立しない、
憲法
のこの精神と反すると私は思います。これはこの前も申しましたが、もう一ぺん繰返して申しますけれ
ども
、たとえば私自身がピストルを持たない、短刀を持たないから、自分は非武装だと申しましても、やはり私が合意の上で護衛をつけておる、柔道何段の護衛が私についてお
つて
、それがピストルを持ち、短刀を持
つて
、私を護衛してくれておるということになれば、それでは私は非武装とは言えない。私
ども
は常識を持
つて
おりますから、常識から考えるならそう考えられます。
日本
自身が
軍備
を持たないといいましても、
外国
の
軍備
をも
つて
自衛するということになれば、これは結局対外的には同じではないか。警察力は対内的のものでありますけれ
ども
、軍事力というものは対外的のものであります。私
ども
はすべて対外的に考えなければならぬ。言いかえれば、
外国
はどう思うかという立場に立
つて
わが国を省みなければならぬ。そうな
つて
参りますと、
日本
自身が武力を持つことが
憲法
違反であるならば、
外国
の軍事力と自衛のために結びつくということも、同様に
憲法
の精神に反する、こういうように私
ども
は解釈せねばならぬと思う。この点いかがでございましようか。
草葉隆圓
54
○
草葉政府委員
ほかの国から
外敵
を守るためにでも、
日本
に駐兵することは、
憲法
違反ではないかという結論的な御
質問
でありますが、そのことだけをもちましては
憲法
違反にはならないと思います。
憲法
は、申し上げるまでもなく、
日本国
に自衛権がないというているのではありませんし、また自衛権というような国家固有の権利は放棄できるものではないのであります。
従つて
憲法
が明文上
禁止
いたしておりますことのほか、
日本
が平和と安全のために、自衛上必要と思いますようなことを行います場合でも、
憲法
の規定によ
つて
その精神に反しているというようなことは、無理な解釈ではないか。
憲法
に違反しているということは考えられないと存じます。それなら他の
国際
的に中立を守
つて
おります国におきましても、ぐるりの国々がそれぞれ世話をしたりいろいろしている場合におきましても、そのことがすでにその国の
憲法
違反になるのではないかというような議論が生じて来ることになると思います。
黒田寿男
55
○黒田
委員
ちよつと次官は私の
質問
の
趣旨
を誤解しておいでになりはしないか。私は
日本
の自衛権がないなどということを決して言
つて
おるのではありません。いやしくも独立国家であります以上、自衛権を持
つて
おることは当然のことであります。個人において正当防衛権を持
つて
おるのと同じことであります。
従つて
私は自衛権がないというような議論をしておるのではありませんが、自衛権を行使するための手段として武力を用いるということは
憲法
が
禁止
しておる、これを私は申し上げておるのであります。念のために私は
吉田総理
のよく言
つて
おられることを引用してみると、
吉田総理
はこう言
つて
おられる。今までの武力がなければ自衛権を全うし得ないというのは古い、しかも誤つた考えである。列国の平和的
日本
に対する信頼が、
日本国民
の平和に対する決意が、わが国の
安全保障
の核心である、こういう答えをよくしておられる。
総理
はそういうふうに始終言
つて
おられるのでありまして、これは
総理
も決して自衛権を否定しておるのではない。私自身も
日本
の自衛権を否定しておるのではありません。また
総理
が再
軍備
をしないということを繰返して申しておられましたのは、やはりこういう御
趣旨
からではなかつたかと思う。しかるに
日本
自身は再
軍備
をしないけれ
ども
、
外国
の
軍隊
の力によ
つて
自衛権を行使する手段にするということになれば、結局同じことである。
憲法
の戦争放棄という見地から見れば、
外国
の目から見れば、同じである。
従つて日本
の再
軍備
が現在の
憲法
に違反するという解釈をとる以上は、自衛権の行使として
外国
と軍事
協定
を結ぶということは、同様に
憲法
の精神に反すると思うのです。私はそう思う。次官はそう思わないというかもしれませんが、しかしそう思わないとおつしやるならば、もう少し私
ども
に納得の行くような御解釈を願わなければならぬと思うのですけれ
ども
、どうも今の
お話
は私としては納得が行かないのです。私
ども
やはり
憲法
の精神に反すると考えておる。——なお私の
質問
を続けてよろしゆうございますか。
守島伍郎
56
○守島
委員長
黒田君に申し上げますが、文部大臣がおいでにな
つて
お急ぎになるそうですから、そのあとでお願いいたします。——それでは
並木
君。
並木芳雄
57
○
並木委員
昨日の
吉田総理
の演説に関連いたしまして、本日午後は私の方の苫米地さんが
質問
に立ち、あしたは松本
委員
が
外務委員会
で
質問
に立つことにな
つて
おります。私は
吉田
首相の演説に関連いたしまして、
天野文部大臣
に精神的の自衛力、あるいは自衛精神とい
つて
もいいでしよう。
精神的自衛力
と
日米
文化ないし
国際文化
の交流などについてこの際御所見を承りたいと思うのです。昨日の演説を聞きまして、私
ども
は何か満たされない、うつろな宙に浮いたような感じがいたしました。それはやはり今の
政府
が知らしむべからず、よらしむべし、今度の
講和
対策な
ども
、われわれの手だけでやるのだ、
国民
はただ命令するところについてくればよいのだというようなけはいがうかがわれますので、私は首相の言にもありました、場合によ
つて
は犠牲を拂わなければならない、そういうようなときに、その犠牲の対象となる者はだれだ、結局若い学徒であり、青年じやないか、そのような点を
中心
として、そういう者に対して、ほんとうに精神的の自衛力、これが裏づけとならなければ、どんな仏をつく
つて
も魂が入らない。
日本
の
安全保障
というものはだめだ。この際ひとつ
天野
さんに大奮発をしてもらわなければならないのじやないか。そういう前提のもとにお尋ねするのであります。 まず首相は最も問題となるものは、わが国の
安全保障
の点であると前置きをいたしまして、「いずれの国も共産主義の侵攻に対して共同防衛をも
つて
するのほかなく」と断言いたしております。終戦以来五箇年有半、戰争のない世界、少くとも
日本
には戦争が完全にないのだということを前提として、
憲法
では戦争も武装も放棄して、教育上は画期的な青少年の学校、家庭、社会教育というものが行われて来たのです。ところが今や戦争の脅威にさらされる
日本
に急変して参りました。間接的侵略、直接的侵略が現実の問題として取上げられて参
つたの
です。文相はこの切りかえをどういうふうに教育
行政
の上で反映して行くお考えでございましよう。教育基本法あるいは学校教育法などに改正を加える用意があるかどうか。ありとすればどういう点であるか。しかも共産主義の侵攻という言葉が首相の口から公然と出ておるのです。そうすると思想の自由を認める現在の
憲法
のもとで、文相はこれをどう聞かれたか。
憲法
との調和をどういうふうに文相は苦悶しておられるか。
憲法
改正をしなければここまでは行けないのではないかというものが、やはり若い者の中に疑問として相当あるのでございます。そういう点に対しての解明をお伺いしたいと思う。
天野貞祐
58
○
天野
国務大臣 ただいまの御
質問
の要点は、要するに
日本
の置かれている現実が非常にかわ
つて
来た、だから教育もこの際切りかえてしまうことが必要なんじやないかという御趣意に帰着するかと思います。確かに
日本
の現実は非常にかわ
つて
来ているということは明らかな事柄でございますが、しかし教育基本法に述べられている教育の精神というものは、その現実の相違にかかわらず存立するものだと私は信じております。でありますから教育基本法をさしあた
つて
改めるという考えは持
つて
おりません。しかし教育の個々のやり方とか教育法というようなものは、いろいろ改めることが必要かと思いますが、基本法の精神、
日本
がほんとうに平和を愛して行くという精神は、現実の相違にかかわらず、これは一番大切なことであ
つて
、私は何らかえる必要がないと考えております。
並木芳雄
59
○
並木委員
共産主義の侵攻の点についてはいかがでしよう。
天野貞祐
60
○
天野
国務大臣 もつと立ち入
つて
論ずることが必要でしたら、ここで論じてもよろしいのでありますが、つまり精神的な自衛力といいますか、
並木
さんのお言葉によれば自衛的精神力、そういうようなものを涵養することが、私はそれに対して最も重要だと思います。この精神力というのは、もとよりこれが必要にして十分な
條件
ではございません。けれ
ども
必要な
條件
であります。これがなくては一国は存立して行かない。そういう
意味
で、私はその
精神的自衛力
とい
つて
も、まず何よりも大切なことはやはり道徳力だと思う。国の青年あるいは学生たちみんな——必ずしも学生といわず、すべての青年たちを、ほんとうに力のある
日本
人にすることが最も必要なことだと思うのです。ところが力のある
日本
人というのはどういうものだと言うならば、健康があるということも力でありますし、いろいろな技能力を持
つて
いるということも力でございますが、しかし根本において道徳力を持
つて
いるということがなくては、ほんとうの
意味
の力ある
日本
人とはなれないと思うのです。そういう道徳力というものがないならば、いかに技能にひいでていても、いかに知識を持
つて
いても、そういう知識とか技能とか財力とかいうものが、かえ
つて
害をなすということさえもあり得るのでございまして、だから道徳力の涵養ということが筋金になるわけだと思うのです。ところが道徳力と申しますと、世間に非常に誤つた考えは、道徳力というのは、要するによい心がけなんだ、良心的だということでも
つて
道徳力と思うのですが、これももとより道徳力でありますが、それでは十分でないので、そういう道徳力だけでなしに、もうと人間の知性を開発するということが、非常に重要な道徳教育の要素だと思う。それでなければ、いかに国を愛しても五・一五とか二・二六というような事件は、その人たちは非常な愛国の熱情をも
つて
やりますけれ
ども
、それが非常に間違
つて
いるということなんです。だからもつと頭を明るくすることが必要です。そういう情熱を理性によ
つて
照すことが必要である。そういう
意味
の教育です。ほんとうの
意味
の徳育というもの、そういうものを振興することによ
つて
、青年ばかりでなく、一般に社会をもつと健康にしよう。一体道徳的に堕落して栄えた国家というものはないので、一番の国家の源泉は、そういう
意味
の道徳力にあると私は信じておりますので、そういう線に沿うて、学生はもちろん一般社会の青年をも指導して行きたいという考えを持
つて
いるわけでございます。
従つて
そういう力のある青年なんです。しかしそれが同時に
日本
人でなくてはいけない。
日本
人という自覚を持たなくてはならない。そういう点からして、私はいわゆる激情的な愛国心ではなくて、はげしい頭の暗い愛国心ではなくて、頭の透明な、理性に照された——私の言葉て言うならば、静かな愛国心を涵養して行きたい、というのでございます。大体の輪郭を申せばそういう考えであります。
中山マサ
61
○中山
委員
関連して……。近ごろの青少年層で、いろいろ間違つたことをやりまして、法廷に引出されなければならないようなことに
なつ
たときに、なぜにこういうことに
なつ
たかと
質問
された場合には、いわゆる昔は天皇を
中心
という
一つ
の線によ
つて
教育されて来た自分たちが、この
敗戦
によ
つて
その線を失
つて
しまつた。だからよりどころがないから、こういうことにな
つたの
だというような、これは多分申訳的な言いぐさであろうとは思うのでございますけれ
ども
、こういうことを言う青年男女が非常に多いということを私は見ておりますが、この際終戦後今まで教えられておりました修身というような科目が全然廃されているというところに、私は新しい指導力がないのじやないかということを、私も長らく教育界におつた人間でございますから、私の頭が古いのかもしれませんけれ
ども
、そういうことに私はこのごろしきりに考えをいたすようにな
つて
参りました。この際新しい
講和
というものが與えられまして、もう一ぺん
日本
が新
日本
として立
つて
行くこの時代におきましての文部大臣として、何か今先生がおつしやられましたところの静かなる愛国心というようなものを養うところの、いわゆる古い言葉でいえば、修身というような科目を置いていただくことはできないものでございましようか。いわゆる青年の時期の特徴といたしましては、批判と破壊というようなものがあげられていることを、私はある書物で読んだのでございますが、まことに青年層のこういう特質というものは、共産主義とぴつたり合うものがあると私は思
つて
おります。青年時代のこういう特質によ
つて
、共産主義がだんだんと発展して行
つて
、何も指導精神がないというところと、三つめものが三つ
ども
えにな
つて
、こういう
国内
不安が起されているのじやないかということを、私は非常に心配しているものでございますが、この際そういういわゆる静かなる愛国心というものを、尋常一年生から養
つて
行くような指導力を持
つて
いる科目をお置きになる御意思はないものか、私は文部大臣にお尋ねをいたしたいのであります。
並木芳雄
62
○
並木委員
天野文部大臣
の静かなる愛国心はほんとうに傾聴に値すると思うのです。今中山さんからも
お話
が出ました
通り
非常にけつこうなんですけれ
ども
、今日までの教育の
方法
が、国家を
中心
としたり、社会のためにとか、あるいは
国民
全体のためにというような気持をなるべく忘れさせよう、忘れさせようとして来たのじやないか、どつちかというと、個というものを
中心
として、個性を大事にするということが強調されたために、つまりこの百八十度の転回をするときに来て、切りかえが非常にむずかしく
なつ
ちや
つたの
ではないかと思うのです。愛国心を静かなる愛国心によ
つて
養い、祖国愛というものを燃え上らせるのはいいのですけれ
ども
、ほんとうに燃え上らせるには、ただその程度の
方法
でいいかどうか、中山さんの
質問
はそこからも来ていると思うのです。天皇はすでに国の象徴たるにとどま
つて
おります。また君が代というものも一部には半信半疑をも
つて
歌われている、こういうような
状態
では、静かなる愛国心が一たび動く愛国心に
なつ
たときに、若き学徒青年というものは、どういうものを
中心
として立ち上るか、それが私
ども
の聞きたいところなんです。国連旗のもとにと言
つて
も、あるいは民主主義を守るためにと言
つて
も、自由を確保すべしと言
つて
も、まだまだなかなか世の若い人々には徹底しておらないのじやないかと思うのです。 そこで文部大臣は、ただいま修身教育という
お話
も出ましたが、か
つて
の教育勅語は問題にならないまでも、何らかこれにかわる、ちよつとこれは私見ですが、たとえば愛国の誓いというようなものをつく
つて
、これでいわゆる
精神的自衛力
の結集をはかる
一つ
の目標というものを定めることが必要ではないかと私は思うのです。そういうようなお心構えが文部大臣にあるかということをあわせてお答えを願います。
天野貞祐
63
○
天野
国務大臣 まず修身科というような科目が必要ではないかというお考えですが、修身というと人が非常に誤解をしておると思うのです。修身というのはだれもできないような、先生も口でばかり言
つて
実行しないようなことを教えるのが修身であるというように世間で考える。あるいは忠君愛国だというようなこと、非常特別な場合における非常の事柄を教えるようなことが修身なんだ、そういうことが修身ならば修身はいらないのです。けれ
ども
そうではなくして、ほんとうの
意味
における人間の生き方とか、あるいはまた
国民
としての心構えとかいうようなことをよく教えるということが、私はぜひ必要だと思うのです。そういう科目を小学校から大学まで一貫してあるということがよいことだと自分は信じております。しかし今ただちにそういう科目をつくらなくとも、社会科というものがすでにそういう役目を演じておりますから、しばらくこれによ
つて
やろうと私は今考えておるわけですが、このたび文部省から発表したのをも
つて
私があれですべて満足いたしておるわけではございませんので、さらに
研究
をいたしたいと考えております。 それにつきまして小学校でございますと、修身ということに当ること、子供に礼儀を教えるとか、あるいは子供にどういうように勉強したらよいとか、いろいろなことを教えて行くというようなことは、これは必ずしも
専門家
でなくともできることで、すべての先生がそれを担任すべきことであ
つて
、すべての先生はただ学科を教えればよいというのではなくて、子供の道徳教育ということを常に念頭に置いてやるべきものだ、と申しても数学の先生とか、国語の先生に一々いわゆる道徳的な話をしてくれというのではなくして、それぞれの先生がほんとうに自分の科目を正確に教え、また生徒に
質問
などを受けて、自分が間違
つて
おつたならば淡白にそれを認める、あるいはどんなできない子供でも、その子供を尊重して行くとか、そういうことがすぐれた道徳教育だと思
つて
おるのです。そういうことは小学校あるいは中学くらいではそれで足りますけれ
ども
、その上の高等学校とかあるいは大学の前期というようなことにな
つて
来ますと、ただいま
並木
さんの
お話
にありました個と全というような問題、そういうようなことを
はつ
きりさせないと、学生が十分自分の行為をして行く指導原理を持つことができないと祖う。だからそういうことになると、専門的な
一つ
の科目が必要ではないか。これを社会科と呼ぼうと、修身科と呼ぼうと、倫理学科と呼ぼうと、何と呼んでもいいのですが、実践的なそういう働きをして行くのに必要な知的解明ということが、私は必要にな
つて
来はしないかと思う。そういう
意味
で、私は今中山さんのおつしやつたような、
一つ
の何かの科目を小学校から一貫して、系統的に立てて行くことが必要だという考えを抱いております。
並木
さんのお考えはごもつともでございまして、戦時中非常に個人というものを無視して、すべて全体主義という考えから個というものは
意味
はないのだ。個人というものはただ国家の方便であ
つて
、はなはだしきに至れば、個人というのはただの人的資源だというようなことさえも言
つて
、個人と言
つて
もいけない。人格ということを言
つて
もいけない。自由ということを言
つて
もいけない。その無謀な全体主義が、
日本
の社会において、いかに横暴をきわめていたかということは、当時思想界に住んでおつた者の痛感いたしたことでございます。ところがその反動として、昨今ではまつたく個人ということだけを考えて、そうして個人の、いわば母体となるべき社会とか国家というものを何も考えないという点に、現下の悩みがあるということは、今
並木
さんのおつしやつたことにまつたく同感いたすものでございます。そこで個人の単なる安逸ということでは、とうてい人間の存在の意義というものは見出されない。そうではなくして、個人といえ
ども
常に
国民
なんだ。われわれの血潮の中にはわれわれの祖先の脈搏が、今日なお脈々として波打
つて
おるのだという自覚を、すべての学生に持たせたい。われわれはこの国土に生れ、この国土に育ち、この国土に死ぬのだ。そうしてこの国というのは、われわれのいわば母体なんだ。自分たちはこの国と一にして二、二にして一、そういう
関係
に立
つて
おるのだというふうなことをだんだん自覚させて行くということが、先ほど申した力のある
日本
人をつく
つて
行くのに必要だ、そういうことも
一つ
の科目として、そこに
専門家
がいて初めてできるのじやないかということで、中山さんのおつしやつたような
一つ
の科目は私も必要ではないかという考えであります。
高田富之
64
○高田(富)
委員
先ほど来文相の静かな愛国心、精神的自衛というようなことにつきまして、いろいろとご高説を承つた次第でありますが、文相は、現在どうかは承
つて
おりませんが、つい最近まで、非常に御熱心な、全面
講和
が理想であるということの主張者であつたとかねがね承
つて
おります。やはり学問の自由ということが文教政策の
中心
として、
ポツダム宣言
によりまして降伏しまして以来、今日まで一貫して来ておつたという文相の確信のもとに、当然これは全面
講和
によりまして、広く世界に知識を求め、そうして
各国
のいろいろな思想、文化というものを取入れつつ、わが民族の
状態
に適応するようにこれを消化し、よきをとり、あしきを捨てる。こういう見地から、どうしても文教の自主独立、自由な発展というものなしには、学問の自由もなし、民族の知性の向上もあり得ないという、きわめて当然な見地に立たれての全面
講和
論であつたかと推察するものであります。こういうような見地から見ますると、昨日の
総理
の御演説の中にも、今後
アメリカ
との間には相当文化的な方面でも緊密な提携をし、一体とな
つて
進んで行けるようになるということは非常に喜ばしいということを述べておられるのでありますが、文相といたしましては、この際そういう方向にのみ行くことは、
日本
の今後の文教の独立、発展という見地から見て、いささかあなたの御所見とは食い違いがあるのではないか、こう考えられるのでありますが、文相のお考えをお伺いしたい。
天野貞祐
65
○
天野
国務大臣 私は全面
講和
ということについては、か
つて
国会においても自分の
意見
を述べましたのをここに繰返すことは、まことに恐縮でございますが、せつかくの御
質問
でありますから、ごく簡単に私の考えを述べますと、私は初めから全面
講和
が実に望ましいということをこいねが
つて
います。今日といえ
ども
その点においては何らかわるところはございません。全面
講和
というものに対して、私は非常なあこがれを持
つて
います。けれ
ども
初めから私は、全面
講和
ができないときには単独
講和
はいけないかというと、それはいかぬという結論を自分は得ることができないから、一番最初に朝日新聞社から問われたときも、返事しなか
つたの
はそのわけでございます。全面
講和
ができなければどこまでも
講和
をやらぬ、このままいつまでもや
つて
行くというのも、私は二つの見解だと思
つて
います。しかし私はその見解を抱くことができないから、初めからそういう主張をしたことは一度もございません。岩波
関係
——岩波
関係
と言うと少し語弊がありますが、平和問題懇談会というものにおいて、願望として全面
講和
ということをやるのだ。私はそのとき確かめたのです。これは必ずこれでなければいかぬという論なんですかと言うと、そうじやない、願望としてだというので、私はそれに署名したのです。今日としても、願望ということに署名せよといえば、喜んで署名いたします。そういう点では、願望としては何でもかわらないのですが、実際問題としてそれができないということになれば、これはいたし方ないのではないか、そういう考えを抱いております。 それから学問の自由という
お話
が出ましたが、学問の自由というのは、
日本
の発明した言葉のように私は思います。これは学問
研究
の自由、あるいは学問教授の自由、学問修得の自由とい
つて
、
ドイツ
でも
つて
大学の自由として数えられていることを、おそらく三つを集めて学問の自由という言葉で表現せられておることじやないかと思います。学問そのものの自由ということはあり得ないのです。学問をやる者の、主体の持
つて
いる自由、
研究
、教授、学習、そういうものではないかと思います。そういう自由というもの、いつでも人間の持
つて
いる、そういう
政治
的な
意味
の自由というものは、無制限ではないので、限界のないところには自由はない。そういう
意味
で、私
ども
は現在といえ
ども
、
日本
の学問には自由があると思
つて
おります。私は哲学の
研究
者ですけれ
ども
、いかに哲学を
研究
しても、ちつともさしつかえないばかりではない、もつともつと
研究
しなければならないと思うのであります。私は、自由がない、自由がないという声を聞くことが大にして、ほんとうに持
つて
る自由を活用することはまだ足らないと思う。もつと大学の諸君などに、自由を活用して、ほんとうに
研究
をしていただきたいという考えを持
つて
おります。
アメリカ
と文化交流をするということも、まことにけつこうな話で、
アメリカ
の文化にもわれわれの大いに学ぶべきことがあるから、そういう
意味
で私の考えは少しもずれていないと思います。
守島伍郎
66
○守島
委員長
高田君、通告者がたくさんございますから、関連
質問
は一応おやめ願います。
高田富之
67
○高田(富)
委員
それでは、あとで時間がありましたら……。
並木芳雄
68
○
並木委員
先ほどの私の
質問
に対して文相は、その意気や壯とすべき所見を述べられたのでありますが、私はどうして、教育
行政
、文部
行政
として具体化していただかないといけないと思うのです。これを、漸次という言葉をお使いに
なつ
たかと思いますが、なかなか漸次じや間に合わないのじやないかと思います。文部大臣は相当悩んでおられて、四階の図書館で、スイスの中立という本を読んでおられるそうでありますけれ
ども
、私は文部大臣がこの期に及んで相当苦しい心境を持
つて
おることは推測にかたくありません。それと同時に、
吉田
総理大臣
をたしなめる唯一の閣僚も、また
天野文部大臣
ある、私
ども
はそう期待しているわけです。そこでたとえば国の
精神的自衛力
というものを涵養する
一つ
の骨幹として、地域青年団、あるいは地域婦人会というものがありますが、これが民主的に育成されておる今日において、その運営がもつぱら
経済
的の原因で行き詰ま
つて
おるところが多い。そういものに対して力を入れて、
経済
的に育成して行くべきじやないか。最近聞きますと、ユネスコから
日本
の青年団体に対して、寄付な
ども
あるやに聞いております。そういう際でもございますから、ひとつ先ほどの気持を具体化する
方法
として、そういうことを実行していただきたい思いますが、そのお考えがあるかどうか。
天野貞祐
69
○
天野
国務大臣 まず今おつしやいました補助のことから申します。そういう青年団などを補助することは、社会教育法によ
つて
禁ぜられております。なぜかと申しますと、戰時中の青年団などが、非常に片寄つた考えであつたということが、原因でありましよう。それで今補助はできないことにな
つて
おります。またかりにできるとしても、私はここに問題があると思うのです。
政府
が先に立
つて
、そういう青年団を補助して活動さすということになりますと、以前の翼壯団というようなものと同じ感じを世間が受けて、私
ども
が今まで考えているようなほんとうの
意味
の愛国的情熱というもの、愛国心というものを養うことに、かえ
つて
逆行するおそれがある。そういう点にいろいろむずかしいことがある。今の社会は、いわば
政府
のやることを悪く言わぬと人気のないような点もあ
つて
、人がむやみに
政府
のやることを非難するという傾向もないではございませんから、よほどそういう点は愼重に指導して行かなければならないと思
つて
おります。また先ほどおつしやいました愛国の誓いというようなことも、そういう形ではどうも今の人にアツピールしないというか、適しないと私は思います。そこで私は靜かなる愛国心などという表現を用いるわけでございます。
並木
さんの御精神には私も非常に同感ですが、その
方法
としては、
並木
さんのおつしやるところでは私はどうかと思
つて
おります。私は決して漸次というのではなく、できるだけ今の時代に即応して行きたいという考えを持
つて
おります。ついでながら、私が
総理
をたしなめるなどということは、私の考え及ばないところであります。(笑声)
総理
の指導のもとにいたしておるということをここに申し述べることを許していただきたいと思います。
並木芳雄
70
○
並木委員
それでは大分時間をいただきましたから、
最後
にもう一点お伺いしたいのは、首相の演説にもありました
国際文化
の交流であります。
日本
文化の交流と申されたかもしれませんが、私は
日米
だけでなく、これはどうしても
国際文化
の交流というところまで広げて行かなければいけないと思うのです。それから
日米
文化の交流でも、首相は
米国
と
協力
関係
に入ることが最も適宜の方策であるというようなことを言
つて
おりますが、この
日米
協力
関係
に入る場合でも、十分両者の気持と気持が通じないと、ぴたりとしたことが行われないという場合があると思う。ちよつとした例を引きましても、町の女、これな
ども
若い人の気持を聞いてみると——町の女になるような人は非常にお気の毒で、私は個人的な立場では同情しますが、これを通じて案外若い人たちが、反米思想とい
つて
はおかしいが、そういう反感を持つのです。そういう点でやはりこれは両者の文化の交流ということを急いでやらなければいかぬ。こういう点においてロツクフエラー氏がおいでに
なつ
たということは、非常に意義があると思う。そこで文相はこの際どうしてもこの抱負について一言なかるべからざるところだと思うのですが、どういう方向に
日米
文化の交流を持
つて
行くか、そしてひいては
国際文化
の交流を持
つて
行こうとするか、抱かれておる具体的のものを幾つかでも披瀝していただいたならば幸いだと思います。
天野貞祐
71
○
天野
国務大臣 私は、この文化の交流ということは、何も
アメリカ
だけではなくして、世界中とすべきであるという
並木委員
の御
意見
は、当然のことだと思
つて
おります。現に平和條約ができないにかかわらず、昨年から日仏間に留学生の交換をするということが始ま
つて
いるということなどは、実に喜ぶべきことだと思
つて
おります。
アメリカ
に対しても同じことで、できるだけ文化的な交流をする。しかしその際に最も重要なことは、言うまでもなくわれわれの自主性であ
つて
、こじき根性でやろうという考えを決して私は持
つて
おりません。自分らがほんとうに独立的な
日本国
として、そして将来ほんとうの自尊心を持
つて
文化の交流をやりたい。その項目をということでございますから、私がちよつと考えたところを申せば、留学生制度の確立とか、教育、学術及び文化に関する資料の交換とか教職員、
研究
者その他の文化
関係
者の交換とか、文化アタツシエの設置とか、著作権の問題を解決するとか、そういうようなこともさしあた
つて
私
ども
の考えるところでございます。私があくまでも強調したいことは、われわれがどこまでも独立自尊の精神を持
つて
、そして
外国
の文化を消化して、それをほんとうに自分たちのものにする。そういう
意味
において、どこまでもわれわれは
日本
人だ——けれ
ども
、
日本
的であるということは、決して
国際
的であるとか、世界的であるとかいうことと矛盾することなくして、最もよき世界人をつくるには、最もよい
日本
人をつくらなければならないというのが私の考えであります。
黒田寿男
72
○黒田
委員
私は
集団
保障とか、軍事
協定
の問題と
憲法
との関連について、たびたび
政府
に
質問
したのでありますが、いつもまだ現実の問題ではないとか、その他の理由で
はつ
きりした答えが得られなか
つたの
でありますが、結論に対する賛否は別といたしまして、とにかく
草葉
次官から
はつ
きりとした
政府
の見解を示されたそのことは、私は
一つ
の前進であ
つて
、非常に参考になると思うのです。ただ念のために、こういうことを申し上げては失礼でありますけれ
ども
、お聞きしたいと思いますが、先刻の、自衛権の行使のために
外国
と軍事
協定
を結ぶということは、
憲法
違反にはならないという次官の御
意見
は、これは
政府
の御
意見
として承
つて
おいてよろしゆうございましようか。こういうことを
質問
しますのは、たいへん失礼でございますけれ
ども
、あとから、あれは自分だけの
意見
だというようなことになると、どうも
はつ
きりしません。
政府
はこう考えておるという
意味
で、それを
代表
して次官は一定の断定を下されたのであるか。この点を念のためにお聞きして、それから私の
質問
を続けます。
草葉隆圓
73
○
草葉政府委員
さよう御解釈願
つて
けつこうであります。
守島伍郎
74
○守島
委員長
速記をとめてください。 〔速記中止〕
守島伍郎
75
○守島
委員長
速記を始めてください。それでは高田君。
高田富之
76
○高田(富)
委員
この前にもちよつと御
質問
したのですが、もしも中国、ソビエトを除外いたしまして、さしあたり
アメリカ
等と
講和
を結ぶということになりました場合に、
講和
を
締結
しなかつた国々と
日本
との間には、依然として
降伏文書
による
義務
を誠実に履行する立場に立つわけであります。
従つて
ポツダム宣言
にのつと
つて
、それらの国々に対しましては、
日本
がこれを履行して行く
義務
が当然残る、たしかこういうふうな答弁を次官がなさつたように記憶しております。そういたしますと、この
講和
によりまして——どういう條約になるかということは、大体七
原則
で明らかにされておる
通り
でありますが、なお詳細な條約案が提示されまして、そういうものに
従つて
條約が結ばれる。そうするとその條約に
従つて日本
が進む方向、いろいろな権利
義務
の
関係
と、それから
ポツダム宣言
、
降伏文書
によ
つて
日本
が負うている
義務
との間に、いろいろな矛盾ができて来ますから、事実上これは非常にむずかしいことになるのでありますが、しかしそれにもかかわらず、やはり
国際法
上あるいは
国際
信義の上から、いろいろな点から見まして、この前御答弁に
なつ
たように、條約の
締結
されていない国との間には、依然として
降伏文書
並びにそれに伴う
ポツダム宣言
履行の
義務
が残るという御見解にはかわりありませんか。
草葉隆圓
77
○
草葉政府委員
前々回御答弁申し上げました
内容
と同一でございます。
高田富之
78
○高田(富)
委員
そうすると、そういうことになるわけですね。
草葉隆圓
79
○
草葉政府委員
従つて
、
講和
を結びません国とは、御見解のように全部が
講和
の
状態
に入りませんから、
降伏文書
等による
関係
が続けられる。しかし、さらにその後の
国際
間のいろいろな進展によりまして、この問題の解決等にも資して行く場合はあろうと存じますが、單に法理的、あるいは
国際法
的に考えると、御
意見
のようにな
つて
来ます。
中山マサ
80
○中山
委員
その点に関しまして、この間新聞紙上に、そういう場合ができて来たときは、対日
理事
会がそういうことに対する管理に当る人を指名するということが書いてございましたが、これはどういうことになるのでございますか、お尋ねしたいと思います。
草葉隆圓
81
○
草葉政府委員
今後の問題で、今にわかに私もどうとは申し上げかねるのでありますが、ただ対日
理事
会において指名した者がするというようなことまでは現在考えられておらないと存じます。また考えられないのではないか、もつと今後の
動き
によ
つて
考えるべき問題であろうと思います。
高田富之
82
○高田(富)
委員
けれ
ども
、これはちよつとおかしいと思うのです。やはり
降伏文書
によ
つて
これを履行するということを
政府
が確認しておるとすれば、当然その場合には、今中山さんの御
質問
に
なつ
たような事態が起り得ることもちやんと予期していなければならないし、もしそれをいろいろな
国際
的
関係
等で妨害になるというふうに相手方が認めれば、この妨害を排除してでも、合法的に
日本
に対しまして
降伏文書
に基いた
義務
を履行せしめるために武力を行使されても、まつたくこれは
国際法
上正当な権利を行使するのでありますから、われわれは当然それを甘受せねばならない、こういうことになると思いますが、それはどういうふうにお考えになりますか。
草葉隆圓
83
○
草葉政府委員
実はただいまの御
質問
の
意味
が
はつ
きりいたしかねたのであります。結局御
質問
は、戰争
状態
にあつた国のうちで、数箇国が平和條約を
締結
して、数箇国が
締結
していない場合に、その
締結
していない国が、何かの
方法
をも
つて
日本
に対して当
つて
来るというような問題の御
質問
でございますか。——これは現在の私
ども
の考えといたしましては、そういう場合もあり得るとも存じますが、必ずしもそうではないのではないか。一応戦争
状態
は終了しておる。しかし
講和
をそれらの国々も望んではおるけれ
ども
、その運びに至
つて
おらないという
意味
において、その残つた国々がさらに集ま
つて
何分の
方法
を講ずるというようなことは、いろいろな
情勢
から考えましても判断しかねるのでございます。
高田富之
84
○高田(富)
委員
一応事実問題とわけまして、
ポツダム宣言
、降伏
條項
等を
日本
が忠実に履行するという
国際
信義の建前からしても、動かすべからざる
日本政府
の態度、これはやはり明確にしておかなければならぬと思うのです。
従つて
先ほ
ども
言われたように、依然としてそれらの国々に対して
降伏文書
の厳守、
ポツダム宣言
の厳守ということを
日本
が誓うという態度であるとすれば、それが実行されない違つた
内容
を持つ條約に調印をしてしまつたという事態が起りました場合には、これに対しまして、相手方が持
つて
おる
国際法
上の当然の権利を行使して、
日本
に進駐して来るというようなことがありましようとも、これはいかんともできないはずであるし、
日本政府
としても、そういうことは
国際
信義の建前、
国際法
を遵守する建前から認めるということは、先ほどあなたが言明された
通り
でありますから、そういう事態がないだろうということでなくて、そういうこともあり得るということを考えた上において、やはりこのときには理論上こうだということが
はつ
きりしないと非常におかしい。
国民
もどういうふうに判断してよいのかわからないことにな
つて
しまう。首尾一貫して
国際法
を遵守し、
国際
信義を重んずるという立場をと
つて
いるようであり、またと
つて
いないようでもあるので、事実問題を抜きにしまして、そういう問題と思います。
草葉隆圓
85
○
草葉政府委員
さきにも申し上げましたように、敵対行為が続いているというのと戦争
状態
の終了というのとはおのずから違う。戦争
状態
の終了は
講和
によ
つて
明瞭になる。敵対行為はすでに終了いたしておると存じます。
従つて
今後は、それぞれの国との
講和
という形で戦争
状態
が終了すると存じます。そういう
意味
におきまして、
講和
を結ばなかつた場合の処置を今
日本
がや
つて
おくということについては、にわかに同意いたしかねるのであります。
高田富之
86
○高田(富)
委員
そういたしますと、一部の国と
講和
を結ぶけれ
ども
、他の残つた国ともやはり至急に
講和
を結びたいと思
つて
いる、結ぶように考えているから、そういう国と結ばないということを前提とした場合は考えるに及ばぬ、こういうように考えてよいのです。
草葉隆圓
87
○
草葉政府委員
最初からその
方針
で参
つて
おります。戰争
状態
にありました全部の国と、できるなら
講和
を結ぶのは当然であります。戦争の終了を現わす
方法
として当然であります。しかし、そういう
情勢
は、過去におきましてもなかなかできておりません。
日本
におきましての今回の場合でも、かりにできないような場合を予想いたしての
お話
と存じまするが、そういう
状態
にありましても、今後早く結ばれる
状態
になりますることは、これは
日本国民
として当然望むところであろうと思います。
高田富之
88
○高田(富)
委員
そういたしますと、今の御答弁で、とりあえず
アメリカ
と
講和
を結んだ、あるいはこれに続いて若干の国と結んだ、しかしどうしてもなかなか結べない国が
最後
に残りそうだが、これに対しても早く
講和
を結ぼうという願望と努力を捨てるものではない、こう理解していいと思いますが、これでいいですね。
草葉隆圓
89
○
草葉政府委員
御
意見
の
通り
であります。
高田富之
90
○高田(富)
委員
そういたしますと、最初に取結ぶ
講和
の
内容
というものは非常に重大だと思うのです。この
内容
が、もしも将来全面的にずつと
各国
が
日本
に対して
講和
を結んでくれる可能性も、
日本
人が考えて考えられるというのならこれに対して努力をする。早く中国もや
つて
ください、ソビエトもや
つて
くださいという願望を持ちつつ、
国際
関係
の協調を促進する立場にわれわれも立つ。これは非常に話がわかる。しかし最初に取結ぶ
講和
の
内容
が、後にわれわれが望んでおる、
講和
をしたいと思
つて
おる相手方の国々と、とうてい氷炭相いれないような、二律背反的なものを
内容
とするものに調印するということになりますれば、今あなたの言われた願望は、まつたく問題にならぬということになるのでありますが、その点はどうお考えになりますか。
草葉隆圓
91
○
草葉政府委員
おそらく
講和
の
内容
は、今後だんだんと具体的にな
つて
参りましようが、二律背反的な、永久の世界の平和のために、
日本
が
講和
を結ぶことが阻害になるような
講和
では絶対にないと存じます。
高田富之
92
○高田(富)
委員
それは一種の詭弁でありまして、もうすでに
アメリカ
が
日本
に示しました七
原則
に対しまするソビエト同盟の回答、それから周恩来中
国外
相の声明、特に周恩来外相は、中華人民共和国を除外して行われる一切の
講和
の準備、手続は、すべてこれは無効であるということを明確に言明いたしておりますし、
両国
とも
ポツダム宣言
による
日本
の完全な非
武装化
、ポ宣言十二項による
外国
軍隊
の撤退ということを根本といたしておりますし、他方におきましてはまつたくそれと逆のことを根本といたしております。こういうふうにまつたく事実が氷炭相いれないものでありますので、これを今あなたの言
つて
おるような立場で承認するというようなことは、とうてい考えられないといわざるを得ないのです。そこで中国におきましては先ほ
ども
私が申し上げました
通り
、もしそういうふうなことをして、中国及びソビエトに対する
国際
信義を
日本
が無視、蹂躙する、そうして
降伏文書
を事実上破棄するというような
行動
をとるにおいては……(「破棄しないよ」と呼ぶ者あり)単独
講和
というのは事実上破棄です。こういうふうなときには、これに対して合法的な何らかの強力な手段を講じてでも、やはりそういうことをやるというような決意を、中国及びソビエトの国家人民がするということも、われわれは
国際
信義の立場、
国際法
上甘受しなければならない当然の責任がこちらにある。みずからその責任を背負
つて
出るということになると思うのでありますが、どうですか。
草葉隆圓
93
○
草葉政府委員
私
ども
の見解では、決してそうではないのであります。むしろ
ソ連
及び
アメリカ
の間におきましては、いろいろ七項目を
中心
にした応答がなされておるようでありまして、今後もさらに進捗いたすとは存じますが、世界の国々は
日本
の立場をよく理解してくれましたが、今後結ばれるであろうと存じます
講和
には、おそらく十分な理解と
協力
をして守れて、決して無謀なる
方法
をも
つて
来ることはないと信じております。
守島伍郎
94
○守島
委員長
もう時間がありませんから、北澤君。北澤君に御相談いたしますが、簡単ならばお願いいたしますが、時間がございませんから……。
北澤直吉
95
○北澤
委員
時間もないようですから、
外務省
の
予算
の問題についし簡単にお伺いいたします。この二十六年度の
外務省
の
予算
ですが、これは二十六年度中に
講和
條約が調印されて、批准の交換が済んで効力が発生する、こういうことを予想してつくられた
予算
であると思
つて
間違いありませんか。
草葉隆圓
96
○
草葉政府委員
これは平常の
予算
を組んでおります。
従つて
この年度内にさような
状態
になりますと、それに即応した
予算
をさらに検討いたして参らなければならないと思います。
北澤直吉
97
○北澤
委員
そうしますと、本来はこの
予算
は現状のままで推移するという決定をして、二十六年度
予算
を組まれたものでありますが、
総理大臣
の国会におきまする
お話
によりましても、今年中には
講和
條約ができる確信がある、ちやんと調印されて、効力を発生する確信がある、こういうふうに申されておるわけであります。従いまして二十六年度の途中におきまして、そういう事態ができて来ると私は思うのでありますが、そうしますと、この
外務省
の
予算
というものは、根本的に私はかわ
つて
来るのではないかと思います。まず機構の点から考えても、あるいは金の上から考えましても、非常に大きくかわ
つて
来なければならぬ問題と思うのでありますが、まずお伺いしたいのは、
外務省
の機構の問題であります。私は終局
講和
條約ができまして、そうして
日本
が
国際
社会に入
つて
行くということになりますと、
外務省
の今の機構は、これは大幅に拡張しなければならぬ、こう思うのであります。たとえば
講和
條約が結ばれますと、各所に通商條約が結ばれますが、そういうような見地から申しますと、どうしても通商局というものができなければならぬ。この
講和
後の通商上の無條約
状態
を脱して
各国
と通商條約を結ぶためには、元の通商局をつく
つて
専門的
仕事
に当るということも必要でありましようし、それからいよいよ
日本
が独立国として立ち上つた後におきましては、
日本
が
国際
世界における情報を収集し、
日本
の立場を宣伝、啓発する元の情報部のような強力な組織がないと、
外務省
としても
仕事
をやる上に困ると思うのであります。そういうふうな
講和
後におきまする
外務省
の機構につきまして、もし
構想
がありまするならば伺いたいと思うのであります。
草葉隆圓
98
○
草葉政府委員
御
質問
の
内容
にありまするようなことは、十分考えて行かねばならないと存じまするが、いろいろと各省間にも
関係
いたしまする問題であらまするし、
外務省
たけでも
つて
これを決定することはできないような大きい問題もたくさんありますので、十分
研究
しながら愼重に進んで参りたいと存じます。
北澤直吉
99
○北澤
委員
機構の問題につきましてもいろいろ御
研究
中と思いますが、問題は機構とともに人の問題が問題になるだろうと思うのであります。
講和
條約ができました後に、
日本
が独立しまして
外務省
の機構を拡張する場合におきまして、相当数の人を得なければならない。特にこれまで
日本
の
国際
関係
におきまする経験ある人を、
外務省
として必要とすると思うのでありますが、現在
研究
所においていろいろや
つて
おりまする人以外に、多数の人を一体どういう方面からとるのか、そういう点について、もしお考えがありまするならば伺いたい。
草葉隆圓
100
○
草葉政府委員
終戦後、か
つて
の
委員会
でも申し上げましたように、だんだんと機構が縮小されて、
従つて
機構はあるいは急いで講じられますけれ
ども
、人の問題になると、なかなか簡単には参らない場合が多いのであります。幸いに各省に
外務省
から出ておりまする
外務省
出身の有能な人たちもおります。かつまた、今後十分人材を養成するという方向には力を注いで参らなければならないと存じます。目下いろいろな点におきまして、具体的に考慮をいたしておる次第であります。
北澤直吉
101
○北澤
委員
先ほ
ども
文部大臣から
お話
がありまして、
日本
と
外国
との文化の交流という問題は非常に重要であ
つて
、
政府
としてもできるだけやる、こういうふうな
お話
であ
つたの
でありますが、この
外務省
の
予算
を見ておりますると、たとえば情報啓発、事業実施に必要な
経費
、
国際文化事業
実施に必要な
経費
というものを見ますと、去年よりは多少ふえておる。
情報啓発事業
の方は、去年は六百八十五万円であ
つたの
が、ことしは千六百六十二万円、文化事業の方は、去年は百十七万円が、ことしはこれより減
つて
おる。そういうわけでありまして、せつかく
政府
の方では、そういう
国際
的な文化の向上その他についても非常な
方針
を持
つて
おりまするけれ
ども
、これを裏づける
予算
の面から申しますると、もちろんこれは文部省と
外務省
の両方にわた
つて
おると思うのでありますが、
外務省
のこういう方面に対する
予算
が非常に少い。せつかく講話條約を結んで
日本
が世界に乗り出して
各国
との友好
関係
を増進して、そうして
日本
の信用を得るというような場合に、こういうようなおそまつな
予算
で、一体
外国
との文化の交流ができるかどうかと私は疑うのであります。もちろん財政の全般を見合して
予算
をつくる必要はあろうと思うのでありますが、こういう点をもう少しとれなかつたものかどうか、そういう点につきまして、これまでの経過をひとつ……。
草葉隆圓
102
○
草葉政府委員
これと並行いたしまして、いわゆる
講和
條約も本年中には少くとも進み得る可能性が多く見られて参
つて
おります。
従つて
ただいま
お話
のありましたように、
講和
條約が済みましたら、
外務省
の
予算
、
外務省
のそれぞれの機構等も今般的に考え直して、皆様方の御協賛をいただかなければならないということに相な
つて
参ると思います。そういう
意味
におきまして、平常年度の
予算
としては一応この程度にしまして、来るべき
講和
後の
外務省
の
日本
外交
という立場からの
予算
は、十分な検討を加えながら進んで行かなければならないと存じておりますので、一応平常年度はこの程度にとどまつた次第であります。
守島伍郎
103
○守島
委員長
北沢君、時間がありませんから、次の機会に御希望でありますれば機会を與えますから……。佐々木君。
佐々木盛雄
104
○佐々木(盛)
委員
それでは御要望に沿いまして、きわめて簡単に結論だけを申します。実は昨日発表になりました
吉田総理
と
ダレス大使
の間に交換されました
日本
の
漁業
問題に関する交換
文書
に関連して二、三承
つて
おきたいと存じます。ちよつとお聞きしますが、農林省
関係
の方はお見えにな
つて
おりますか、いらつしやいませんか。——それでは主として
外務省
に関連する事項についてのみ承
つて
おきます。 今度の交換
文書
の
趣旨
というものは要するに
日本
が、
講和
條約によ
つて
独立して、
漁業
協定
というものが正式に
締結
されるまでの自発的な措置としての暫定的な漁場の各種の制限を加えたものでありまして、さらにそのために
関係
各国
のオブザーヴアーを加えた
委員会
の設置などを
日本
みずからが、提言するというようなことによ
つて
、主として
アメリカ
の
日本
漁船に対するところの不安や脅威というものを解消することによ
つて
、も
つて
目の前に追
つて
おります
講和
会議
にいい影響を與えようという、深い配慮から行われたものと考えるが、こういうことがこの交換
文書
の中に表われておりますこと自体について見まするならば、今日死活の岐路に逢着いたしております
日本
の
漁業
問題につきましては、決して朗報ではなくして、非常な制限を加えられたものであると私は考えるのであります。そこでまず承
つて
おきたいことは、
講和
條約が
締結
されたならば、ただちに、ないしは時間的には少くともその間に何らの空白なくして、ほとんど同時に
日米
漁業
協定
というようなとりきめでもできるというような見通しのもとに、これまでこういう
交渉
が行われたものか、どうかという点をまず承
つて
おきたい。
草葉隆圓
105
○
草葉政府委員
講和
後ただちに
漁業
協定
ができるように望んではおりますが、必ずしもそうは参りかねる場合もあると思います。その点は御了承願いたい。
佐々木盛雄
106
○佐々木(盛)
委員
それではこの
文書
の
趣旨
をよく読んでみますと、最初に
講和
條約ができた後、何らかの時期に
日米
の
漁業
協定
というものが結ばれ、これを基本的なラインとして、たとえば
ソ連
であるとか、あるいは
中共
であるとか、あるいは台湾
関係
等のそれぞれの個別的な
協定
を結んで行くというような
構想
のようにわれわれは考えられるのでありますが、いかがでありましようか。
草葉隆圓
107
○
草葉政府委員
実はここにもありますように、従来世界漁場に対する
日本
漁業
の脅威というものが、相当災いしておつた場合が多いのであります。
従つて
今後今まであります世界の
漁業
関係
の條約というようなものは、
日本
は十分これを守
つて
、さようなことのないようにするのがまず第一点にな
つて
来ると存じます。
従つて
今後の冬日との問題等につきましては、相当合、後の問題になりますが、一応十分
日本
としては
漁業
の面において誠意をも
つて
当
つて
行くということを
はつ
きりと確認する立場をと
つて
、このような交換
文書
と相
なつ
た次第であります。
佐々木盛雄
108
○佐々木(盛)
委員
非常に失礼な話ですが、おそらくは
政務
次官はあまり
漁業
問題について詳しく関心をお持ちではないのではないでしようかと私は率直に考える。どなたかもう少しこれに関しまして
交渉
に当られてよくおわかりの方がいらつしやらないのですか。これだけ重大な
日本
の漁民と申しますか、
漁業
全体の死活に関する問題をとりきめたのでありますから、その間には相当な見通しや考え方があ
つて
のことだと私は考えるのであります。 それでは基本的なことを承
つて
おきますが、一体
外交
上の専門のことでありますから、これを知らぬとおつしやることはないだろう。今度の
漁業
協定
ができますと、たとえば
日米
漁業
協定
というものができますが、これを見ましても、たとえばべーリング海だとかアラスカ方面とか、こういつたところの
漁業
が非常な制限を受けておるのであります。従いまして
講和
ができた国とはその結果
漁業
協定
が結ばれると考えますが、全面
講和
の場合と同じように、
講和
のできない国との間の
漁業
権の問題はどういうふうに残るかということをまず承
つて
おきたい。
島津久大
109
○
島津
政府
委員
ただいまの御
質問
の
最後
のところをちよつと聞き漏らしましたが、先ほど来非常な
日本
の
漁業
の制限になるという御
意見
があ
つたの
でありますけれ
ども
、この全体の
趣旨
から申しまして、決して一方的に不利な立場に
日本
の
漁業
が立つというような性質のものではないと考えます。たとえば
アメリカ
とカナダとの間に
協定
がありまして、その
協定
の
趣旨
を
日本
は守るということは、それらの国と同様の立場で、たとえば魚族の保存であるとかなんとか、そういう目的を達することになるのでありまして、
日本
だけが不利な立場に立つという
関係
にはならないと思います。
佐々木盛雄
110
○佐々木(盛)
委員
最後
に一点だけ、
外務省
プロパーの問題でありますから承
つて
おきますが、これは先ほど来繰返し申しますように、ほんとうに重大な
漁業
権のわが国の権益に関する問題であります。申すまでもなく、
憲法
におきましては、第六十條並びに第六十一條におきまして、條約の
締結
に国会の承認を必要とすることも規定をせられておりますし、また
憲法
第七十三條によりますと、内閣の行う行為として、
外交
関係
を
処理
することと、しかしながら條約を
締結
する場合においては、事前に、もしくは時宜によ
つて
は事後に、国会の承認を経るということにな
つて
おるわけであります。それでこれから
漁業
協定
の問題が具体的に浮んで来るとは考えますけれ
ども
、少くとも主権在民の精神から、またこの新しい
憲法
の精神から申しまして、このような重大な権益に関連する問題でありますから、私は当然これは事前に国会の承認を求めるのが、正しい民主的な行き方だろうと考えておるわけであります。さような点から申しまして、この
漁業
條約というものの具体的な草案が、国会にかかることはもとよりでありますが、こういうものについてはもつと事前に国会に全貌を提出いたしまして、当然国会の審議を求めるということが望ましいことと考えるわけでありますが、そういうことをする用意があるかどうかということを承
つて
おきたい。
草葉隆圓
111
○
草葉政府委員
この
漁業
問題に関します
吉田総理
と
ダレス大使
との往復
文書
に盛られました
内容
の
話合い
、これは実は従来から
漁業
問題について、相当世界の
漁業
界を
日本
の
漁業
界が刺激をしておる。
従つて
それが
講和
に與える影響を、先ほど申し上げましたように考慮しながら、ひとつ十分今後においては、
日本
漁業
は最も紳士的にまた正義に立
つて
進んで行こうという
内容
でありますことは、ごらんになるとわかる
通り
であります。
従つて
この
内容
は、実は事前に御相談申し上げる程度のものではないと存じます。むしろこの
文書
は、従来から不安にな
つて
おりました
日本
漁業
界に対して、ある一種の——むしろ逆に
はつ
きりした安心を持
つて
進んでいただけることだと信じます。
従つて
この前提に立
つて
、今後具体的に問題が進んで参ります條約等におきましては、あるいは事前に、あるいは事後に、そのときの
情勢
に応じまして——御相談の機会がなかつたら事後になりますけれ
ども
、
憲法
に示されました
状態
において、十分国会の意思を尊重して参りますことは当然でございます。
守島伍郎
112
○守島
委員長
それでは本日はこれで散会いたします。次会は明十五日午前十時から開きますが、先ほど申し上げました
通り
、今の予定では、
外務大臣
は時間
通り
に参られますから、御質疑をなさる予定の方は、どうぞ時間
通り
においでを願います。 本日はこれで散会いたします。 午後零時三十五分散会