○大橋国務
大臣 まず最初に警察予備隊増員の問題でございますが、国内治安は
国際情勢と大いに関連を持
つておるのでありますが、現在のところ、国内治安について大きな不安があるとは考えておらないわけであります。従いまして、警察予備隊の増員について、世上いろいろ臆測もあ
つたようでありますが、目下の
段階において増員をするということは、
政府といたしましては考えておりません。むしろ現在はすでに入隊いたしておりまする七万五千の
内容の充実のために、
努力をいたすべき時期である、こう考えておるわけであります。
次に訓練の問題でございまするが、
アメリカ国旗のもとにおいて訓練をしておるという事実は、警察予備隊にはありませんので、警察予備隊において使用いたしておりまする国旗は、これは日章旗でございます。もし
アメリカの国旗が警察予備隊の近所において飜
つておるといたしまするならば、それは特にこれらの警察予備隊に援助を與えるための米軍将校の事務所において、米軍のしるしとしての
アメリカの国旗が飜
つておる、そういうことはありますが、これは警察予備隊に直接
関係のない、アヌリカ側の部隊の旗でございまして、警察予備隊は常に日章旗のもとにおいて訓練をいたしておるという次第でございます。
なおまた国旗は別といたしまして、一時
アメリカ軍の将校あるいは下士がこの警察予備隊員の訓練に直接関與いたしたことはございます。これはなぜであるかと申しますと、警察予備隊において使用いたしておりまする兵器は、ことごとく米軍かり貸與されたものでございまして、これの操作等の技術的な面におきまして、事実上
アメリカ人の指導を受けたことはあります。しかしながら現在におきましては、
日本側の各級の指揮官がすでに整備せられてあるのでありまして、この
日本人だけで一切の訓練をやるという
状態に相な
つておるのであります。もちろん指揮権につきましては、すべて
日本人にあるのでありまして、米軍がこれが指揮をとるということは断じてないのであります。
それから訓練に関連いたしまして、幹部の試験の問題でございまするが、昨年暮れまでの間一般隊員から幹部を募集いたしまするために、これが選考試験を行いまして、この試験のために一部の隊員が特に試験勉強をするというようなこともいわれてお
つたのでございまするが、事実はその問題はきわめて簡易な常識問題でありまして、いずれも無理のない試験でありますから、決して試験のために特別の勉強をしなければ合格しないというようなものではなか
つたのであります。そうして、またこの試験を受けるについての資格あるいは試験の結果の判定等におきましては、常に平素の訓練というものも考慮に入れて決定をいたしておるのでありまして、試験勉強のみで試験に合格するとい
つたような試験をいたしてはおりませんので、これがために特に訓練を怠りがちであるという事実はなか
つたものと確信をいたしております。
それから次に給與に関する問題でございますが、この点は大蔵省とのいろいろな折衝が遅れておりましたので、昨年暮れまでは当初予定いたしましたる給與を支給することができなか
つたのでありまするが、幸いにこの点も円満に妥結いたしまして、昨年暮れをもちまして全員に入隊当初から約束した
通りの給與の全額をすでに支拂
つているわけであります。
それから警察予備隊が国外に動員されるという不安があるがどうかという点についてでございますが、警察予備隊は決して国外に動員されるということはない、またそういうことは警察予備隊本来の性格に反するものである、こういうふうに十分に隊員に
説明をいたしておりますし、ただいまでは予備隊の中にさような不安は一掃されておる
状態であります。
また予算の問題、これは二十五年度において二百億、二十六年度において百六十億と相な
つております。もとより決して十分な予算であるとは考えられませんが、しかし他の経費等の振合いもありまして、百六十億をもちましてできる限りのことをいたして参りたい。ある程度のものはこれで十分である、こう考えております。
また現在各地にありますキヤンプが将来どういうふうに整備されるか、この点は大体警察予備隊の組織といたしましては、七万五千全体を警察予備隊総隊と呼びまして、これに最高の指揮官を置いてあります。そうしてその下に管区総監四名、管理補給総監一名を置きまして、四つの管区隊及び一つの管理補給部隊というものに編成をいたすのであります。なお管区隊の中には連隊、またその連隊の下に大隊、中隊、小隊、分隊こういうふうに編成をいたしまして、それぞれ連隊長、大隊長、中隊長、小隊長、分隊長というように一本の指揮系統が最高の指揮官から出る、こういうことになるわけであります。従いまして現在ありまするところの各キヤンプにおける部隊をそれぞれいずれかの連隊、大隊等に所属をいたし、それはさらにそれを総轄いたしておりまする管区隊に所属する、こういうことにな
つております。
それから
最後に、現在の訓練、特に指揮官において、作戰指揮の経験がない者が大部分である。これはお話の
通りでございまして、警察予備隊創設に際しまして、
政府はこれが旧
軍隊化することを極力警戒いたしまして、追放令によりまして追放せられたる人たちは一切これに入れない、こういう方針をも
つて参
つておるのであります。その点は今後においても、この方針をも
つて進むことには、かわりはないのでございます。従いまして、その結果、当然過去において作戰指揮等、実戰の経験のある者が非常に少数であるということは言い得るのでありまするが、しかしその中におきましても、追放に該当しない旧軍人は相当この中に採用せられております。また相当な指揮官として任務についておるのであります。特に今後におきまして、警察予備隊の幹部とするために、旧将校を追放解除するというようなこと、また旧下士官を追放解除するというようなことは
政府といたしましては考えておりません。しかしながら幸いにいたしまして、昨年秋に、陸海軍の兵学校あるいは士官学校を卒業いたしました若い将校の一部が追放解除の恩典に浴したわけでございます。これらの諸君は今後適当な訓練をほどこしまして、警察予備隊に採用できるような道を開いて、そうして現在の指揮官の訓練が不足をいたしておるその欠陷を補うように努めたい、かように考えておる次第であります。