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田邊(繁)
政府委員 引揚者住宅の問題は、この
委員会でも申し上げたと思うのですが、実は二十六年度からすつかり建前がかわ
つて来たわけでありまして、昨年開きました
引揚同胞対策審議会におきまして、
引揚者住宅の
対策をどうするかということをいろいろ研究いたしまして、従来
引揚者住宅として建てておるものは、帰
つて来たときの
受入れということで建ててお
つたのであります。つまり新規無縁故
引揚者の
受入れ住宅ということであります。従いまして過去にすでに
引揚げて来て、
住宅に困窮しておる
引揚者のための
対策としては、国の施策としては何もないわけであります。ただ前の厚生省の
予算に計上されております
新規引揚者のための
住宅が少か
つたという偶然の
事情のために、過去の
引揚者のための
住宅が少い、こういう
事情にあ
つたと思います。これはいろいろの
事情からまずいと思いますので、二十六年度以降においては、前の
引揚者に対する定着
住宅としての
住宅を建てるという政策を確立する必要があるということに
なつたわけであります。ただそうなりますと、
引揚者だけに限定してそういう
住宅を建てるということは適当ではないから、
引揚者及び
引揚者と同様の実情にある
住宅困窮者であり、しかも庶民
住宅に入るだけの資力のないものを対象として行こうじやないかということで、厚生
住宅というものの建設がきま
つたわけであります。その点につきましては、これはわれわれの方の引揚援護庁としても、非常に関心の深いところでございます。
引揚者住宅にかわるべきものでありますので、十分安本当局と折衝いたしまして、結局こういう政策は国として必要であるから、大いにやろうということに
決定したわけでありまして、これが第一段にきまりまして、しからばこれを建設省でやるか厚生省でやるかという所管の問題が第二段として出て来たわけであります。この厚生
住宅の実施については厚生省からも必要の
予算を出す、建設省からも必要の
予算を出したわけであります。結局現在の行政組織法、建設省の設置法というものからいたしまして、
住宅の供給建設ということは建設
大臣の所管としてやるべきものであるということで、結局建設省の方に
予算がついたわけであります。従いましてこれは庶民
住宅の範疇、一環としてやるということにきま
つたわけであります。ただその際には厚生省と一緒にな
つてやる、その点につきまして、これは厚生省の社会局の方の所管にな
つておりますので、社会局とそれから建設省の
住宅局、こことよく相談をいたしまして協定をいたしたわけであります。この線に沿うて二十六年度は実施するということにな
つております。たしか戸数は庶民
住宅は二割であ
つたかと思います。ただ従来の
引揚者住宅よりも坪数が少しふえまして八坪、それから單価は従来の
引揚者住宅よりももつと高くな
つております。従来の
引揚者住宅は応急という観念でや
つておるから、どうしても單価が低い、今度は一万八千円ないし二万五千円という一般庶民
住宅並の單価になるわけであります。それから家賃は大体四百円以内ということになるわけであります。従いましてその入居者の選定にあたりましては、ただ公募するというだけでなしに、本人のあらゆる状態を調べて、これを選定して行く、こういうやり方をして参るのであります。従いまして本省におきましては、厚生省と建設省とよく相談してやる、第一線におきましては、民生
委員が十分この問題にタツチするということで進んでおるわけであります。それからもう一つの新しく帰
つて来た
引揚者で、
住宅に困
つておる人がたくさんあ
つた場合どうするか、この問題が従来
通りあるわけであります。もしそういう事態があれば、政府としては予備金から必ずこれを支出するということは、厚生省と
大蔵省とすつかり話がついております。
それからもう一つ
住宅問題につきましては、従来の集団
住宅の措置の問題であります。これは二十五年度の
補正予算の後の
機会におきまして、いろいろ厚生省引揚援護庁の余
つておる
予算を流用いたしまして、相当疎開をいたしました。しかしまだ相当疎開を要するもので、残
つておるものもございます。また補修を要するものも相当あろうかと思います。これはまた二十六年度における引揚援護庁の
予算執行
状況とにらみ合せまして、できるだけ整備をして参りたい、こう考えておるわけであります。