○安福説明員 た
だいま御
質問のございました本年度における
引揚げ住宅の建設ないしは補修状況についてまず御説明申します。
御
承知の通り、引揚者住宅の問題には二つの問題がございます。
一つは、
引揚げて来られましていまだ住居を得ておらない方々に対する対策と、過去におきまして帰られた方々に、一応その当時の情勢でやむを得ず兵舎等にお入り
願つておる、その住宅が非常にいたんでおりますので、これに対する
措置と、この二つでございます。
前者につきましては、本年度におきましては、当初予算に公共事業費で五億円の予算を計上されまして、約七千五百戸の家が目下建ちつつあり、すでに建設済みのものもございますが、とにかく年度末までに約七千五百戸の住宅が建設を見る運びにな
つております。
後者すなわち過去にお帰りにな
つて兵舎等にお入りにな
つている方々に対する対策といたしましては、本年度の引揚者対策事業費の余裕分から約四億三千万円流用支出いたしまして、その集団住宅のうちで破損がはなはだしく、そのまま使
つて行けないようなものに対します——いわゆる私の方では疎開と申しておりますが、そういう住宅にお住みにな
つている人々のために、そこで住むことをやめていた
だいて、そのかわり新しい住宅をつくるという事業を実施いたしておりまして、これの本年度末までに建設される予定にな
つておりますのは四千四百四戸でございます。これに対する国庫補助金は二億九千二百七十万円余りでございます。
それから兵舎等の集団住宅で、破損等ははなはだしくはありませんけれ
ども、現在のままでは採光、通風、その他保安衞生上危険のあるものに対しての補修でございますが、これにつきましても、約一億四千万円の国庫補助金を支出いたしまして、目下着々補修を進めつつあるのでございます。これに対する国庫補助金は、た
だいま申しましたように一億四千万円でございますが、合計四億三千万円の流用をいたしまして、先ほど御説明申し上げました一般公共事業費から出した五億円と合せまして、九億三千万円余りの金が支出されることに相な
つております。
そのほかに、昨年九月ごろにありましたジェーン、キジアその他の災害によ
つて被害を受けました引揚者住宅につきましても、約六千三百万円ほどの予算を計上いたしまして、破損をいたしました補修、倒壞流出等をいたしました住宅の新設約千戸を、目下これも建設あるいは補修中でございます。
以上が本年度実施いたしつつあります引揚者住宅対策でございますが、来年度につきましては、た
だいま御
質問もありました通り、厚生住宅という構想をも
つて実施いたす手配に相な
つております。御
承知の通り、引揚者等を含めました
生活困難の方々に対する住宅対策は、過去においては、た
だいま申しましたように引揚者住宅というような面におきましては若干実施しつつあ
つたのでございますが、そのほか未亡人でありますとか、あるいは傷痍者その他の一般
生活困窮者に対する住宅対策というのは、あまり手が届いておらなか
つたのでございます。それで、来年度におきましては、引揚者を含めました一般の
生活困難の方々で、庶民住宅の家賃を支払い得る能力のない方方、住宅金融公庫で貸し出しております金を借りて建てる能力のないのはもちろんでございますが、そういう人々に対しまして、厚生住宅という新しい構想で、来年度は約六千戸近い住宅を建設される予定にな
つております。もちろんこの厚生住宅と申しますのは、一般庶民住宅のわく内でございまして、庶民住宅を実施いたしております建設省と、かような
生活困難者の方々の福利増進の仕事をしております厚生省、この両省が一致協力いたしまして、この建設の事務を取運ぶことに相な
つておる次第でございます。