○佐竹
政府委員 お答えいたします。まず第一番の御質問でございますが、従来
自動車は動産として扱わておりまして、その
所有権の得喪は、民法の
規定によりまして占有によるということにな
つております。しかしながら御承知のごとく、
自動車というのは価格におきましても
相当高価なものでございまして、單なる品物と同じように扱いますことは、私権の安全の点から申しまして十分とも申されませんので、これをもつと保護するという
意味と、たまたま抵当法を実施いたしまして、これに抵当権を設定するということになりますと、適当なる公示
方法を必要とするのであります。従いまして従来
行政的の目的のためにや
つておりましたこの
登録を、司法的の観念を持たせまして、不動産の登記と同じような
意味を持たせて行こう、こういう
意味合いにおきまして、登記によ
つて所有権の得喪の対抗力を打たせるようにしたのでございます。
次に保安基準でございますが、これは大体世界各国のどこの国の保安
法規にもある問題でございまして、
自動車が町を歩きます場合に、最低限度の保安
條件を備えていなければならない、こういう基準でございます。それで私どもといたしましては
自動車をお使いになる方々に、この最低限度の基準に合格するような整備をしておいていただかなければ、町を歩いてはいけない、こういうことを申し上げ、かつ車両検査におきましては、これを標準といたしまして検査をして行く、こういうためのものでございます。この実質は、現在の
道路運送法から出ております省令で車両規則というのがございますが、これに一切含まれております。これを
法律に格上げした次第でございますが、その
内容になりますと、
数字的の問題が非常に多くなりますし、また技術の進歩その他によ
つて非常にかわ
つて来る場合が多いのでございます。従
つてこれをあまりこまかいことまで
法律に置きますのはいかがかと思いますので、とにかく項目だけをここに掲げまして、詳細なことは省令にまかせる。但し省令をきめる場合にあた
つては、メーカーなりユーザーなりに不当な
制限を加えるものではない、
ほんとうに保安の
意味における
最小限度のものをきめるのであるということを明らかにしている次第でございます。
その次は整備の現状でございますが、わが国における整備の現状は、一口に申しますと遺憾ながら良好とは申すことができないのでございまして、むしろ非常に悪い。さらに言えば大いに寒心すべき状況ではないかと思われる
程度でございます。それで現在のわが国の
段階としては、この整備を自由に放任しておくわけには行かない状態ではないかと思いますので、ここに掲げます一連の整備の方策を盛り込みまして、御審議を願うことにいたしておる次第でございます。それでその大体の
考え方といたしましては、一部には
相当優秀なる整備業者を
免許するとか認可するとかいうことには
つて、いいのだけ残して、整備の状況を上げて行かなければならないというお説も
相当強くございますが、私どもの
考え方といたしましては、これによ
つて商売ができなくなるようなことのないように、できるだけ現状をそのまま認めまして、それに軽い
意味の法の規制を加えまして、たとえば記録を整理する義務とか、検査の責任者をはつきりさせておいて、それが責任を持
つて検査して出すとか、こういう責任体制をそこにとらせることによりまして、その間の自主的な努力によ
つて整備が向上して行くというような
考え方をと
つております。さらにそのほかの問題といたしましては、車検の拡充をいたしますとか、それから
使用者の整備をしつかりやらせるために、車庫に整備の責任者をはつきりさせておく。これも前と同じような趣旨でございまして、現在の人たちが失業してしま
つたり、新しく人を雇い込まなければできないとい
つたようなむずかしいことを
考えておるわけではございませんので、その
資格のごときも非常に低い、むしろ現在や
つている者がそのままのんでそれに責任の体制を與える、こういう趣旨のもとにや
つて行くつもりでおりまして、さらにそれに一年間の経過
規定をもちまして、
資格のない者もそのまま採用して行けるとい
つたような
考え方をいたしておるのであります。
それからその次の分解整備の認証でございますが、これは私どもは
自動車というものは常に保安基準に合格するように整備して
使つていただくことが建前である、国はこれに対してときどき車検によ
つてチエツクするなり、パトロールにかけたりする、ただ整備工場に入りまして大ばらしにばらした場合、これは当然保安基準に適合するかどうか、わけがわからなくなる状態でございますので、りくつを申しますと、建前としては国がそのときに一ぺんチエツクをするのが本来であるという建前をと
つておるのでございますが、実際問題としてはこれはできないことでございますので、その分解整備の工場として認証を受けました工場でそれを実施した場合、そしてそこにおります検査の主任者が検査した場合に国の検査は省略する、こういう建前をと
つております。従いましてこの分解整備をやります工場は、いわば国の検査を代行するような形になりますので、ある基準をきめまして、その
内容を確認し、これを外に向
つて証明する、こういう
考え方なのでございます。また実際問題といたしましてその裏の
考え方は、先ほども申し上げたように、こういうことによ
つてその整備工場におけるインスペクター責任制度を明確にいたしまして、その工場の技術の振興なり責任の所在をはつきりさせる、こういうことが一方の大きな眼目と
考えておりますので、この認証の基準ということにつきましては、私どもはなるべく低く置きまして、現在仕事をしている工場が落第したりなんかすることがあまりないように年度に
考えたいというふうに
考えております。それでこの検査の責任者のごときものも、右から左にあるかというような御心配もおありかと思いますが、その点に関しましても、決してこの基準は
程度の高いものでなく、この
程度のものでございましたら普通にあり得る
程度だと思いますし、また一年間は
資格がなくてもそのまま存續しておいてよろしい、それからその一年間に運輸省がこの法令に基いてやります整備技能者の検定試験を受けてくださればそれをも
つて資格ができる、こういう
考え方にな
つておりますので、まず波瀾はなく行けるものと
考えております。