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滿尾委員 提案者にお伺いいたします。先ほどから今回の
提案の御
趣旨を伺
つておりますと、
国有鉄道は
公共企業体であるけれども、実体において
国有であり、
株主権の発動としての
大臣の
権限のもとにあると
考えておるというような
お話がありましたが、まことにその比喩は巧妙であり、よくわかるのでありますけれども、この
法律案を
審議いたします際の御
説明としては、今の御
説明はたての一面でございまして、その角度からだけ当運輸
委員会が今後この問題を取上げまして、今回の
改正を行うということになりますと、多少の
意見がここに出て来る。私はこの問題の本質としては、主務
大臣たる
運輸大臣が、
公共の利益の
擁護者として行政
監督をせられておるというところに、その本質があるのだと思います。
提案者の御
説明に、この面からするお言葉が非常に乏しか
つたように思いますので、特に私はこの点について
提案者の御
意見を一応伺
つておきたい。もしかような角度、
株主権の発動としての見方、これはたての両面と言えるのでありますけれども――通俗的に言えばそういうことになりますが、建前から言いまして、やはり行政
監督としてこれは取上げて行くべきものである。さようになりました際に、私が
提案者にさらにお伺いいたしたいのは、
国鉄の実態を見ました場合に、現在持
つております
鉄道網を日夜動かしまして、人と物とを運んでおりますこの日常の
運営部面については、世にいわゆる政治色というものが割合にないものだと思うのであります。そこでこの面におきましては、
運営技術の独自性を
提案者は十分御認識に
なつて、今回の御
提案があ
つたものと
考えるのでありますが、先ほどの
国鉄の
株主権の発動というような角度からの御
説明を少し強くとりますと、
経営当事者の
運営技術の独自性をほとんど認めない――と
言つては言葉が強過ぎますが、あらゆる
経営面に対して、一応の見解をさしはさむというふうにもとられるおそれがあ
つたように思いますが、
提案者のお
考えの中には、通常の
鉄道運営においては、独立の
経営、技術の独自性を十分御認識に
なつておられるかどうか、このことを第二番目にお伺いいたしたい。
第三番目に、かように
考えてみました場合に、この五十四條の運用の問題でありますが、
提案者の御
説明にありました
通り、これは伝家の宝刀であ
つて、みだりに発動するものでないということでありましたから、私も十分安心はいたしておりますけれども、この
法文の
規定の体裁は、今日までありますところの行政
監督の各種の
法文に照しまして、この形は少しきつ過ぎるように思われる。この第五十四條の解釈につきまして、
国鉄法が初めて
提案せられました当時の
運輸大臣の
説明等を御引用になりまして、当時からそういう思想であ
つたというふうな御
説明でありましたが、これは見解の相違かもしれませんけれども、その当時の
大臣はそれを誤解しておられた、あるいはその後運輸省において、かような積極
命令ができるというような解釈をと
つたということは、これは当局の間違いである。通常の
法律上の解釈に従いますれば、それは少しきつ過ぎたと思います。しかしながら今回は別な
立法論的な角度から、こういうぐあいに
規定したいという御
提案でありますから、それにあながち反対はいたさないのでありますけれども、ただいまの二点について、お伺いいたしましたことと同様に、特に五十四條の運用については、将来伝家の宝刀として十分自省していただくという建前で御立案に
なつたものだということを、重ねて御言明をいただきたいと
考えるのであります。これが第三点であります。
第四点にお伺いいたしますことは、この五十四條の一項の裏づけとして、どうしても財政的な裏づけの
規定が必要のように思いますが、ただいまの
国鉄法の四十一條の二に、交付金という欄があるのであります。この交付金をそのまま適用になる
考えでおられるのか、あるいは四十一條の二の交付金のほかに、さらに五十四條の第一項を受けての條文を創設するという用意を、将来に持
つておられるのであるかどうか、このことを伺いたい。
第五番目に、附則の中の第九條の三に「
運輸大臣は、
公共の
福祉を
増進するため特に必要があると認めるときは、」とありますが、この
公共の
福祉というのは、将来経済界の変動した場合、つまり物価が非常に上
つたとか下
つた――この場合は特に下
つた場合をさすのでありますが、その経済界の変動という要素も、
公共の
福祉の中に入れておられるかどうか、これだけをお伺いしておきたいと思います。