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滿尾委員 ただいま第六條の
免許基準の御説明がございましたが、私は関連してお尋ね申し上げたい。この「著しく不
均衡」の一句、これは実は非常にくせものでございまして、この運用
いかんでこの六條は生きたり死んだりする。この運用
いかんがわが国の
免許に関する行政が、明朗になるか不明朗になるかの境であります。私は今まで二、三の実例を体験してよく知
つておりますので、この際特にこの第六條を審議しますについてお尋ねして行きたいのでありますが、
ただいま
政府委員の説明のごとく、著しく不
均衡でないといういとは、
需要と供給の両方が百、百のバランスの意味ではない、それは当然であります。およそこういう
運送事業におきまして、
需要と供給が百、百でありましたならば、当該地域におきまする新なる
輸送需要というものは、ま
つたく充足されなくなる。そうすると国がこういう制度をと
つたことは、意味がないのであります。常にある
程度輸送供給力というものが
需要をオーバーしておることが、これらの
事業におきましては、ノーマルな
状態だと思う。しからばどれだけオーバーするかということが、議論の焦点となる。このオーバーの
程度が、著しく不
均衡ということの
実態に触れて来るわけであります。そこで
程度論も十分闘わされなければならないのでありますが、なおその前に、この
輸送需要の算定
——供給力の算定の方は割合に簡単だ。それは
車両なり何なりの
設備から一定の方式をも
つて計算すれば、大して議論はない。たとえば休車率をどのくらいに見るかというテクニカル問題は多少ございますけれ
ども、それは話合いでお互に異論ない。しかし
輸送需要を幾らに見積るかということによ
つて、この第六條の一項三号はどうにでも
解釈がつく。そこで
当局にぜひ
ただしておきたいのは、一体いかなる方法をも
つてあなた方は
輸送需要というものを算定されるか。私の知
つております
一つの事例によりますと、少くとも
当局の今日まで実行せられた
輸送要算定の例というものは、きわめて不完全である。もとよりこの
輸送需要というものはなかなか捕捉しがたいものでありまして、算術の答えのように
はつきり出て来るものではない。私もその点は同感である。捕捉しがたいものであるにいたしましても、私は現在の
運輸省当局のやられておる方式は、まことに不完全なものであり、不満足なものであると思う。なぜさようなことを申し上げるかといえば、ある事例によ
つてわか
つたのでありますが、平生
輸送の報告書をと
つておられる。それを
基準にして当該地域の
営業トラックなら
営業トラックの
輸送力をとり、その
輸送力の三割ぐらいを
自家用の
——三割でしたか、七割でしたかちよつと忘れましたが、一定比率をかけて
自家用の
輸送力を算出する。合計して当該地域の
輸送力を計算しておられる。その比率をかけることが、ちやんと一定の用紙に印刷してある。下の欄にちやんと印刷してできておる。これを見て私は非常に驚いた。私の
考えでは少くとも
当局は当該地域に人を出して、いろいろ御研究になり、なるべく客観的指数によ
つて実証的に
輸送需要が幾らあるかということを御研究になるべきだと思うのであります。ところが何ら実証的に努力した形跡がない。少くとも
運輸省所管以外の諸機関のつくりましたいろいろな資料を、
輸送力を御推定になる材料に使われる道義的義務があると私は思う。ところがかかる努力をしておらぬ。いわんや
営業輸送力に対して一定比率をかけて
自家用の
輸送力を出して、それを合計する機械的な方法で、また機械的にやるように印刷した紙を各機関に渡してある。そういうふうな
輸送力の算定によ
つてやれ。それで
輸送需要と供給力が
均衡を得ておるとか得ていないと言うことはまことにおかしなことで、私はその点において遺憾ながら、
運輸省御
当局のこの
輸送需要の御算定の方式について、深甚なる疑いを持たざるを得ない。これは実に驚くべき事実である、私はかように
考えるのでありまするが、いかなる方法によ
つて今後
輸送需要を御算定になるか。これ
はつまり第六條を生かすか殺すかの山なのでありますから、たいへん
技術的なことをお尋ねして恐縮でありまするけれ
ども、この点を明確にせられませんと、第六條につきまして私
どもはほんとうに虚心坦懐に、りつぱな標準だとは申し上げにくいと思います。