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1951-05-16 第10回国会 衆議院 運輸委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月十六日(水曜日)     午後三時四分開議  出席委員    委員長 前田  郁君    理事 大澤嘉平治君 理事 岡田 五郎君    理事 坪内 八郎君      岡村利右衞門君    片岡伊三郎君       玉置 信一君    畠山 鶴吉君       前田 正男君    滿尾 君亮君       山崎 岩男君    木下  榮君       山口シヅエ君  出席政府委員         運輸事務官         (自動車局長) 牛島 辰彌君         運輸事務官         (自動車局業務         部長)     中村  豊君         運 輸 技 官         (自動車局整備         部長)     佐竹 達二君  委員外出席者         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君     ————————————— 五月十五日  海上運送法等の一部を改正する法律案内閣提  出第一六一号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  道路運送法案内閣提出第一三一号)  道路運送法施行法案内閣提出第一三二号)     —————————————
  2. 前田郁

    前田委員長 これより会議を開きます。  道路運送法案及び同法施行法案を議題といたします。これより質疑に入ります。質疑の通告がありますのでこれを許します。大澤嘉平治君。
  3. 大澤嘉平治

    大澤委員 私はこのたび道路運送法改正にあたりまして、一言運輸省当局にお尋ねをいたしたいのであります。このたびの道路運送法改正によりまして、道路運送事業者の健全なる発達のために本法の改正をするということが、第一條にうたわれておるのでありますが、健全なる発達ということは、自動車運送業者に対しまして、一応ある程度までの助長行政並びにこれに対しての何らかの援助を與える処置がなければならないと考えますので当局といたしますれば、どういう援助並びに保護助長行政等に対してのお考えがあるかをお尋ねいたしたいと思います。     〔委員長退席枠内委員長代理着席
  4. 牛島辰彌

    牛島政府委員 今回道路運送法を全部一応書きかえたのであります。この法案の第一條に、この道路運送法目的を掲げてございますが、道路運送事業の適正な運営、また公正な競争確保するということ、道路運送に関する秩序を確立するということ、そういうことによりまして、道路運送の総合的な発達をはかり、もつて公共福祉を増進することを目的とするということを掲げておるのであります。従いましてここに掲げましたことは、道路運送法指導理念でございまして、ただいま御質問のように、道路運送事業の健全な発達をはかることを、直接的には目的に掲げてございませんが、この適正な運営あるいは公正な競争確保するということ、道路運送に関する秩序を確立するという條章によりまして、道路運送事業が結局健全な発達をなし、自家用自動車その他の自動車と相まちまして、道路運送の総合的な発達が企図される、こういうふうに考えておるのであります。道路運送事業の適正なる運営ということにつきましては、運賃料金定額制、現拂い制の規定であるとか、あるいは運送約款規定であるとか、運賃料金等の掲示の規定事業計画に定める業務確保規定公衆利便を阻害する行為禁止等規定その他がございます。また公正な競争確保のためには、免許基準はつきり法律に掲げておる点、運賃料金定額、現拂い制の問題、それから秩序の確立という点につきましては、路線により運送する貨物の集貨及び配達の規定事業区域外運送に関する規定、その他道路運送取扱事業登録制にいたしまして、貨物自動車運送事業者に対しましても非常に安定した状態をつくるというような規定、並びに自家用自動車につきましては旧法と異なりまして、自動車共同使用許可制にする規定、あるいはまた自家用自動車によるところの有償の連送を限定した規定——原則的には禁止をいたしまして、有償運送をやり得る場合を限定した規定等、並びに自家用自動車、特にトラック等に対しましても、車体にその使用者の表示をさせるというような規定を掲げておりますので、これらのことによりまして、道路運送法といたしましては、この目的が達成できるものと考え、やがて道路運送事業発達に資し得ることと考えておるのであります。さらに今回の道路運送法改正によりまして、道路運送車両法を別個の法律にいたしておりまがす、この法律におきまして、登録の性質を従来の単なる行政的な性格から、司法的な関係をも持つた登録性格にかえ、これを根拠にいたしまして抵当法制度等考えております。自動車抵当法を立案いたしまして、動産抵当を設定いたすことにいたしておりますので、これらの点からいたしましても、自動車運送事業者の健全な発達に資し得る点は相当多かろうかと思います。
  5. 大澤嘉平治

    大澤委員 ただいまの御説明によりまして、一応この改正趣旨は了解がつくのでありますが、従来すでに旧法によりまして、かりに農業協同組合等におきますところの自家用自動車に対しまして特免というものを設けて、これに対して運賃料金等をとらせておつたという事実があるようでありますが、これらに対しましての取扱いはどういうことになりますか、この点をひとつお伺いいたします。
  6. 中村豊

    中村(豊)政府委員 一般免許に対しましては一般免許基準によるのでありますが、そのほかに荷主限定し、あるいは物品を限定するような事業、あるいは荷主までは限定できなくても、何らかの條件をつけてすれば許してもよいじやないかというような事業考えられるのでありまして、そういうのを特定免許、あるいは條件付限定免許言つてつたのでありますが、実際の経済実情考えますと、さような事業についてまであまりに一般免許基準で臨むことは厳格に過ぎるので、相当必要なものについてはさような必要な範囲でこれを免許して行くということになるわけであります。そこで今御質問のありました農協の問題でございますが、農協は御承知のように、従来は肥料公団その他の公団、あるいは政府機関取扱いにかかるもの、こういう荷主特定して、特定免許を與えていたわけでございます。ところが公団の廃止、その他の経済の事情の変化に従いまして、荷主特定することが法律的に不可能になりましたので、最近いかにそれを切りかえたらいいかを研究しておるわけでございます。ところがこれをあまりに無制限に解除することは、一般免許との混淆を来しますので、その制限いかにするかの問題になるわけでございますが、ただいまいろいろ考えておる一つの方向は、農村生産にかかる生産物資については、ある程度広くしてもいいのじやないか、かように思うわけでございますが、消費物資として主として農村に入り込むような物資につきましては、一般貨物との範囲が非常に不明確になるものでありますかう、いろいろと強い制限をつけたいと考えております。従いまして、たとえば農業協同組合を荷送人、または荷受人とする物資であつて、たとえばどうこういうものというふうな相当強い條件をつけた参免許に切りかえて、従来特定免許時代にやつていた範囲をあまりに逸脱しないように、こういうようなことを考えたいと思つております。それが農協に対する考え方の大きな第一点であります。  第二点としましては、農協の従来の特定免許時代の実績に徴しましても、相当逸脱行為もあるように見受けられますので、主としてそういうものは農協の中でも組織が確立せずに、業務管理あるいは車両管理というものが、また経理管理というものが十分にされていないような、しつかりしない農協に多いのでありますから、農協の切りかえの際には各村の農協実態をよく調査しまして、責任態勢はつきりしておる、車両もがつちり握つておるし、経理もしつかりしていて、一般の他の農協事業はつきりわけて整理されておるようなものについて認めて行くというふうに、実態をやかましく審査しよう、こういうふうに考えておるわけでございます。
  7. 大澤嘉平治

    大澤委員 ただいまの御答弁によりますと、特定免許とかあるいは荷物の種類とかいうものに対して、非常に複雑多岐にわたつておるようで、もちろんこれに対して荷主なり、あるいはこの関係組合としては、この解釈に苦しむという問題も十分あるように見受けられますので、この際法律改正をしまして、もう少しすつきりした形にしたらいいのじやないか、かように考えますので、農協特定免許に対しましては、そういう従来やつて来た程度を逸脱しない程度でやつて行こうというような考えのようでありますが、そうしてみますと農協のみが一つの特別の扱いを受けて、他の商業協同組合等も、これからもちろん自家用自動車を持つことも考えられますので、そういう自家用自動車を持つことに対しても、やはり特定免許を與える考えであるかどうか、または商業協同組合あるいは他の生産業者組合ができた場合におきましても、もちろん自家用自動車をその組合によつて持つということも当然のことでありますし、してみれば農業協同組合に対してのみ、そういう特別な扱いをすることは不可能であると私は考えます。もちろん他の商業あるいは工業組合等のものができた場合には、それらに対して特別の免許を與えるというようなお考えであるならば、この改正に対しては区分が非常に複雑多岐にわたりますので、実際問題としてはとうてい区わけができ得ないということが起きて来ると私は考えますので、この法律改正に関しまして、もつとすつきりした改正をしていただいたらどうか、私はさように考えますので、この点をもう一言その真意を伺つておきたいと思います。
  8. 中村豊

    中村(豊)政府委員 農協の問題を申し上げましたのは、御質問に例として農協に触れられたのと、それからただいま農協特定から限定へと切りかえを研究しているものですから、それで農協を例にあげたわけでありますが、その他の協同組合あるいはその他大きな会社、工場等自家用が転換する場合にはどうかというような場合につきましては、一般論といたしましては、法律の第六條にあります免許基準従つて審査するわけであります。この免許基準を見ていただきましてもわかりますように、その事業の開始が輸送需要に対して適切であるかどうかとか、それが公衆利便を増進するものであるかどうかとか、あるいはその地区における輸送需要と供給との均衡、バランスがどういうようになつているものであるかとか、そういうようなことが問題になりますし、またそういうことが全部合格しましても、はたしてその事業を的確に遂行するだけの資力、信用、能力を十分に備えているかどうかということ、あるいはその設備が質的に適当なものであるかどうかということを、いろいろと審査するわけでありますから、さようにただ一通り必要があるからといつて、何でもかんでも免許されるというようなことは決してございません。ただ問題は、具体的にその一つ一つの案件をつかまえて実態を調査いたしまして、免許基準に照し合せるということになるわけであります。それが今度の法律で特に従来よりも方針がかわつたということではありませんので、従来の免許基準は、法律に基いて運輸大臣告示でもつて指定されておりましたのを、そういう重要な事項を告示に譲ることは民主的でないということから、法律に明らかにしただけなのでありまして、精神は従来の基準の線を出ていない。ただそれをもう少し時代に合うようにわかりやすく、それこそすつきりした形に直したというわけであります。
  9. 大澤嘉平治

    大澤委員 この法案にも一応免許基準というものがありますから、旧法によりますところの、先ほど申しました農業協同組合に対しての特免というようなものは、一応この際きれいに自家用は自実用、営業用営業用というふうにはつきり区わけをいたしまして——もちろん車両車体等にも自家用自家用という免許をすることになつておりますので、免許基準によつて初めてこれが営業をいたしたいというならば、免許基準によつて営業を出願するという形にかえることが、この法律改正する際に最も必要ではないかと考えられます。特免というようなものは一旦なくして、一つ行政措置でやつたことと考えますので、特免をするという法律は私はまぎらわしいことであると考えます。従つて一応この際自家用自家用営業用営業用と、はつきり車両にまでも区わけして明記することとなつておりますから、これははつきりした上、一応免許基準によつて出願されたならば、これを許すことにすることがよいのではないかと考えられますが、この点について御答弁願いたいと思います。
  10. 中村豊

    中村(豊)政府委員 この法律改正の際に、従来非常にまぎらわしい、あるいは問題であるような特免その他の事業をやめさせて新しくこの法律で審議しろというようなお話を承りましたが、ほかの法律でもありますように、従来された行政処分が、新しい法律でその行政処分に大体該当するようなことがあれば、たいてい附則やあるいは施行法でもつて従来の行政処分を、新しい法律に大体該当した処分を受けたものとみなすというふうに書くのが一般の例でございます。それでこの法案でも施行法の十一條で、旧法に基く処分等の効力といたしまして旧法、つまり今ある道路運送法免許許可、認可、指定その他の行為で、新しいこの法律におのおの相当する規定のあるものは、別に定めのあるものを除いて、この法律免許許可処分を受けたものとみなされる、こういうことにしたわけであります。これはいわば既得権擁護といいますか、せつかく国民が法律に基いて一つ権利を得たわけでありますから、特別の事由がない限り、法律がかわつてもそれと同じ部分は、新しい法律の同じような処分を受けたものとみなす、こういうことにするのが法律の建前として妥当であると思いまして、十一條のような燥文を置いたわけであります。農協その他の特免についても、その点は動かすことは無理ではないかと考えております。
  11. 大澤嘉平治

    大澤委員 先ほども伺いましたように、「道路運送事業の適正な運営及び公正な競争確保するとともに、道路運送に関する秩序を確立することにより、道路運送の総合的な発達を図り、もつて公正の福祉を増進することを目的とする。」これが今度改正されようとする道路運送法の第一條と思いますが、こういう点もまた十分考えなければならないと私は考えます。私の心配するところは、公正な競争確保するということであります。ただに公正な競争という文字だけでは、単に道路狭隘等の問題で、同じ條件を具備したところの免許基準によつて申請された場合、この公正なる競争という文字があるがために、許可を拒むことができないということも考えられますので、道路が狭い場合、すなわち交通上危険を生じるのではないかというような場合においても、一応道路幅員等制限を十分考えないと、この法案が通過した場合に、免許基準によつて申請した場合には、これを許可しなければならないという法律になつておりますので、こういう場合の当局考え方をもう一言伺いたいと思います。
  12. 牛島辰彌

    牛島政府委員 第一條に「公正な競争確保する」という文字を今回入れましたことにつきまして、一部の事業をおやりになつておる方々に非常に不安に思つておられるような向きもあろうかと思うのであります。私どもがこの立案をいたしました趣旨は、決してさような御心配になるような文字ではないと考えております。たとえばバス事業につきましてこれを考えてみますと、バス事業自動車運転事業の中でも最も高度な公共性を有するものでありますから、公衆の利益のために事業の健全なこと、安全なことが強く要求されるのであります。従つて同じ線についての複数制の必要につきましても、最も慎重に考慮しなければならないと思つております。既存事業者のやつております事業の内容なり、当該線路におけるところの輸送需給関係等を、具体的に検討して判断すべきものであります。既存業者誠意をもつて定められた事業計画を遂行し、輸送需要に十分マッチして輸送を完遂しておるような場合におきましては、もちろん免許基準に従いますれば複数制になるわけは当然ないのであります。ただ既存業者誠意もなく、実際の輸送需給につきまして、非常に輸送力が不足しておる。また誠意はありましても能力がない、かかる場合におきましては、どうしても事業公共性にかんがみまして、需給均衡をはかり、一般公衆利便福祉の増進をはからなければならないのでありまして、かかる必要と認められるような場合におきましては、事業複数化いたすべきものであり、しかも複数になりました事業のその後の経営についても、いたずらに不当な競争を惹起し、また経営の基礎を不安定にするようなことは、決して公正な競争と言うわけに参りませんので、その限度においては、免許するに際して十分慎重に処分考えなければならぬと思います。また道路関係からいたしまして、複数ということが無理な場合があるのではないかという御質問でありますが、日本道路状態からいたしますれば、非常に悪い状態でございます。幅員も狭い箇所が相当多いのでありまして、一方戦後におきますところのバスなり、トラックなり、自動車は非常に大型化して参り、また高速度化して参りましたので、道路の悪い、幅員の狭いようなところにおきましては、大型自動車等の行き違いという点におきまして、技術的な困難を伴うようなこともあろうかと思います。この法律におきましては、事業免許を行います場合には、道路管理者意見を聞しことにいたしておりますが、道路管理者意見につきましてはいろいろと技術的な御注文も多かろうかと思います。ただ問題は、一つ路線事業バスにいたしましても、トラック——最近発達して参りました積合せ貨物路線事業にいたしましても、路線事業だけの免許につきまして道路状態だけを考慮いたしましても、実際の問題になりますと、免許業者が単数の場合であつても、道路状態幅員の狭いような箇所におきましては、行き違い等には相当技術的な困難を伴うものでありますので、現行におきましては、道路管理者のいろいろの注文に応じまして、待避所設置等によつて解決しておるのであります。従いまして真に道路運送上必要であり、その道路につきまして待避所設置、あるいは種々なる危険防止設備等をなしますれば、解決されるような場合も多いと思われますので、真に必要と思われるような場合であつて保安上の手配もできておりますならば、ただ道路幅員が狭いということだけでも、複数免許を行う場合があると考えております。道路管理者と十分に連絡をし、道路設備その他につきまして保安上十分の手配ができますれば、たとい若干道路の狭いところにおきましても、複数免許をして参りたいと思うのでありまして、単なる道路幅員のみでは、複数免許をいたさないというような方策はとりたくないと考えております。
  13. 岡田五郎

    岡田(五)委員 今自動車局長から大澤委員質問に対しまして、幅員が狭いという理由だけで複数制をとらないということはやらないというお話があつたようでありますが、過般も実は陸運議員連盟で、自動車道路利用者協会の人のお話を聞いたのでありますが、大体日本道路を、自動車が安全に通行できるような完全な道路といいますか、整備した道路にするためには、一兆何億の予算がかかる。しかるに現在道路費は年間五十億である。すると二百年かかつてやつと日本道路は整備されて、その道路上を日本業者は安全に運行できるというようなお話伺つたのであります。かようなことから推察いたしまして、また私どもが実際体験いたしておりますところでも、幅員の狭い道路は、従つてまた道路状態も非常に悪いということが、この数字からばかりでなしに実際に見、また体験するところでありまして、大体において自動車事故も、幅員の狭いため、その他のために起きる事故が非常に多いのではないか。かようなことから行きますと、公正な競争をこいねがうがために、施設の状態を無視した免許制度をとることは、必ずしも道路実態に合わない。また公正な競争という理想的な面にあまりにとらわれておる行き方ではないか、かように私は考えるのでございます。しかもその線にはすでに既設の路線がある。あるにかかわらず、また狭いにもかかわらず、許すということは、実際においてどうかと私は思うのであります。先ほど言われましたように道路には道路管理者があつて、その道路管理者意見を十分に参考にしてやるとおつしやつておられるのでありますが、現在の日本道路実情から行きまして、幅員五メートル、六メートル以下の狭隘なる道路については、複数制は極力認めないという行き方に行くことが、道路の保全、また交通事故防止、またほんとうの健全かつ適正なる自動車事業発達の面から行きましても、そうあるべきではないか、かように考えるのでありますが、重ねて自動車局長答弁を煩したいのであります。
  14. 牛島辰彌

    牛島政府委員 ただいま岡田委員から御質問がございまして、道路幅員の狭いところに大型車が入るから、事故が多いというようなことがございましたが、現在免許を実際に行います場合には、運輸省といたしましては、陸運局長から道路管理者意見を聞きまして、道路実態に即しまして、実際に保安上必要なる御注文が出ているのであります。この道路はどの程度幅員である、従つて箇所程度の行き違い箇所設置する必要があるというような、詳細な御注文が出ておりますので、その点を守つて参りますならば、自動車交通自体からいたしますれば、まずまず間違いはなかろうかと思うのであります。ただ道路が極端に狭い箇所に、最近のように幅員が二・五メートルもあるような大型車をむやみやたらに入れるというようなことになりますと、道路管理上からも、また交通保安の上からいたしましても、やはり不都合が起るかと思うのであります。従いまして今度の法案の第百二十四條におきまして従来は路線免許だけでございましたけれども事業計画変更で、自動車の大きさであるとか、重量の増加を伴うようなものにつきましても、やはり道路管理者意見を聞くというふうにいたしまして、道路行政自動車運送行政との間の関係を密接に連絡したつもりであります。複数制にするかしないかについては、もしも自動車保安上さしたる心配なしに運行ができるということになりますれば、一般免許基準に従いまして、具体的の路線事業についてこの複数ということは考えて参りたいと思うのであります。免許なり事業計画変更を伴う場合におきましては、もちろん私どもといたしましては、道路状態ということを全然無視するというのではございません。必要があり、運行保安の上においても心配がないというような場合におきましては、道路管理上許される限度において、複数制を実施することもある程度やむを得ないことと思います。
  15. 大澤嘉平治

    大澤委員 ただいまの局長の御答弁を伺いますと、道路の問題は、実際の許可の問題に対しては十分研究して許可するから、その点は心配ないというように伺われたのでありますが、もちろんこの法律制限を設けてなければ、実際問題としては考え方によつていろいろ違つて来ます。行政事務を行う役人の考え方いかんによつては、もちろん危険であるというような考え方も起きるし、あるいは危険ではないというようにも考えられるのでありますし、実際にこれを行つた場合にいたしましても、運転者技術いかんによつても危険ではないし、また運転免許はあるが、技術がまだ上達していない者は危険であるというようなことにもなりますので、まつたくこの点は解釈いかんでむずかしい問題であると考えられる。従つて人権あるいは人命の尊重という意味からいたしまして、十分これを検討しておかなければならない。現在の交通行政を行う最も重要たる自動車局といたしましては、もう一歩これを掘り下げてお考えを願いたいというように私は考える次第であります。でき得ればこの機会にこういう六メートルなら六メートルの——先ほど申しましたように、二メートル半というような車両さえもあるのでありますから、何かの場合からいたしましても、一定の基準を設けて、六メートル以下の道路に対しては複数業者は許さないということが必要ではないか、かように考えられますので、もう一言これに対してのお考えをお伺いしたいと思います。
  16. 牛島辰彌

    牛島政府委員 幅員の六メートル以下というような狭い道路におきまして、ことにバス事業のごときものを複数化いたしまして、そのために万一の運転事故、従いまして人権というような問題を引起すというようなことについては、私どもといたしましては十分慎重に考えなければならぬ問題ではないかと思います。ただ道路にはバスのみならず、一般の乗用車、トラック等が非常に行き通つておりますので、ただ単に幅員だけでこれを制限するということは、私としては御賛成ができないわけでございます。免許に際しまして道路状態、ことに幅員、また使用いたします自動車、あるいは運行回数、その他の点につきましては、十分慎重にこれを検討いたしまして、実際の問題として誤りなきように行政を執行して参りたいと思つております。
  17. 岡田五郎

    岡田(五)委員 それでは私から二、三お尋ね申し上げたいと思います。  まず第一に、自動車運送事業免許の方針でありますが、この免許の方針として第六條にいろいろと具体的な事項が掲げてあります。特に著しきアンバランスを来さないようなこと、あるいはさまざまと免許の方針についてあると思うのであります。また昨日の御説明の中にもあつたと思うのでありますが、さらに免許の方針について、つけ加えて御説明をお願いしたいと思うのであります。
  18. 中村豊

    中村(豊)政府委員 免許の方針に関しましては、この法律で問題になるのは第一條の法の目的全般の問題と、具体的には第六條の免許基準、この二つによるわけでございます。第一條目的については、先ほどの自動車局長から説明申し上げましたから、御了承願えたと思うのでございますが、具体的な問題の審査にあたつて、六條の免許基準が問題になるわけでございます。この基準は先ほど申しましたように、現在の法律運輸大臣告示で出ているところの免許基準を、新しい時代に応ずるようにすつきりと明確にしたわけでございまして、特に問題になる点は、需要供給の均衡がとれているかどうかという点と、申請人の内容がはたしてその事業をやるのに十分な資力、信用、能力を持つているか、それだけの適格性を持つているものかどうかという点が、特に重要であると思うのでございます。輸送需要と供給の均衡の問題でございますが、この問題については、具体的な事案についてその地区の輸送の情勢を十分調査研究しまして、それに対してはたして既存バス事業者、トラック事業者、タクシー、ハイヤー事業者が、十分の輸送供給をしているかどうか、サービスが十分であるか、お客なり荷主の満足を得て、現在の資材、燃料その他の経済の事情において、その前提で十分サービスをしているかどうかを検討するわけでございまして、それが遺憾ながら十分でない場合には、当然免許ということが問題になるわけでございますが、すでに既存業者輸送サービスが十分にされている場合には、新しい免許ということは、いたずらに業界の混乱あるいは事業の不安定、あるいは不当競争の弊にまで陥るおそれがありますので、免許が相当困難になる、こういうことでございます。但し需要と供給の関係を、百対百というふうにあつた場合を言うのではあませんで、著しく不均衡とならないというふうに表わしてありますように、ある程度輸送供給力の方が上まわつて輸送需要量よりは多いことが必要だろうと思います。輸送力の方が輸送需要よりもある程度多い、多い部分をおのおのサービスでもつて争うなり、サービスでお客、荷主の満足を得るこういうことになるのでありましてわれわれは決して百対百というものをもつて、そこで免許基準の線にしようというのではありません。ある程度上まわつた輸送力があることを要望するのでありますが、それ以上ある場合には、著しく不均衡であるということで免許は困難になる、こういう考えでございます。それが需要供給の問題でありますが、第二の重要な問題として、かりに輸送力の方が少い、あるいは十分でなくて、輸送需要の方が多い場合、その数量的な検討では、新規業者の新規免除の余地があるという場合でありましても、その申請人の事業遂行の能力が、はたしていかがであるかということを十分審査する必要があるのでありまして、自動車運送事業のような高度の公益性を持つた事業免許するのに、その事業者荷主あるいは旅客に対して十分な責任を持てないような事業者であれば、まつたく問題にならなくなる、こういうことでございます。特にその二点が審査の重要な点でございまして、そのほか輸送需要に対して適切であるかどうか、公衆利便を増進するものであるかどうか、あるいはその施設がその輸送需要の性質に合つているかどうかということを十分勘案して免許の可否を決定する、こういうことが免許基準について申し上げられると思います。
  19. 滿尾君亮

    滿尾委員 ただいま第六條の免許基準の御説明がございましたが、私は関連してお尋ね申し上げたい。この「著しく不均衡」の一句、これは実は非常にくせものでございまして、この運用いかんでこの六條は生きたり死んだりする。この運用いかんがわが国の免許に関する行政が、明朗になるか不明朗になるかの境であります。私は今まで二、三の実例を体験してよく知つておりますので、この際特にこの第六條を審議しますについてお尋ねして行きたいのでありますが、ただいま政府委員の説明のごとく、著しく不均衡でないといういとは、需要と供給の両方が百、百のバランスの意味ではない、それは当然であります。およそこういう運送事業におきまして、需要と供給が百、百でありましたならば、当該地域におきまする新なる輸送需要というものは、まつたく充足されなくなる。そうすると国がこういう制度をとつたことは、意味がないのであります。常にある程度輸送供給力というものが需要をオーバーしておることが、これらの事業におきましては、ノーマルな状態だと思う。しからばどれだけオーバーするかということが、議論の焦点となる。このオーバーの程度が、著しく不均衡ということの実態に触れて来るわけであります。そこで程度論も十分闘わされなければならないのでありますが、なおその前に、この輸送需要の算定——供給力の算定の方は割合に簡単だ。それは車両なり何なりの設備から一定の方式をもつて計算すれば、大して議論はない。たとえば休車率をどのくらいに見るかというテクニカル問題は多少ございますけれども、それは話合いでお互に異論ない。しかし輸送需要を幾らに見積るかということによつて、この第六條の一項三号はどうにでも解釈がつく。そこで当局にぜひただしておきたいのは、一体いかなる方法をもつてあなた方は輸送需要というものを算定されるか。私の知つております一つの事例によりますと、少くとも当局の今日まで実行せられた輸送要算定の例というものは、きわめて不完全である。もとよりこの輸送需要というものはなかなか捕捉しがたいものでありまして、算術の答えのようにはつきり出て来るものではない。私もその点は同感である。捕捉しがたいものであるにいたしましても、私は現在の運輸省当局のやられておる方式は、まことに不完全なものであり、不満足なものであると思う。なぜさようなことを申し上げるかといえば、ある事例によつてわかつたのでありますが、平生輸送の報告書をとつておられる。それを基準にして当該地域の営業トラックなら営業トラックの輸送力をとり、その輸送力の三割ぐらいを自家用——三割でしたか、七割でしたかちよつと忘れましたが、一定比率をかけて自家用輸送力を算出する。合計して当該地域の輸送力を計算しておられる。その比率をかけることが、ちやんと一定の用紙に印刷してある。下の欄にちやんと印刷してできておる。これを見て私は非常に驚いた。私の考えでは少くとも当局は当該地域に人を出して、いろいろ御研究になり、なるべく客観的指数によつて実証的に輸送需要が幾らあるかということを御研究になるべきだと思うのであります。ところが何ら実証的に努力した形跡がない。少くとも運輸省所管以外の諸機関のつくりましたいろいろな資料を、輸送力を御推定になる材料に使われる道義的義務があると私は思う。ところがかかる努力をしておらぬ。いわんや営業輸送力に対して一定比率をかけて自家用輸送力を出して、それを合計する機械的な方法で、また機械的にやるように印刷した紙を各機関に渡してある。そういうふうな輸送力の算定によつてやれ。それで輸送需要と供給力が均衡を得ておるとか得ていないと言うことはまことにおかしなことで、私はその点において遺憾ながら、運輸省当局のこの輸送需要の御算定の方式について、深甚なる疑いを持たざるを得ない。これは実に驚くべき事実である、私はかように考えるのでありまするが、いかなる方法によつて今後輸送需要を御算定になるか。これはつまり第六條を生かすか殺すかの山なのでありますから、たいへん技術的なことをお尋ねして恐縮でありまするけれども、この点を明確にせられませんと、第六條につきまして私どもはほんとうに虚心坦懐に、りつぱな標準だとは申し上げにくいと思います。
  20. 中村豊

    中村(豊)政府委員 輸送需要の算定方法いかんという、非常にむずかしい問題を御質問でございますが、これが非常にむずかしいということは、ひとり自動車のみならず、比較的資料なり経験を積んだ鉄道においても、非常に困難である。いわんや自動車においてはますますむずかしいということは、最も専門家であられる滿尾委員には、十分御了承願えるところだと思います。従いまして従来あつた例で、それが非常に不満足であるということは、従来の運輸省関係の担保者が悪意であつたのでは決してなく、まつたく問題が困難であつたために、滿尾委員のような御専門の方から見ると、非常に不満足であつた、こういうことであろう思うのであります。われわれもまたその担当の者も、決してこの問題を何らかの意思で扱うということではなく、まつたく客観的に、良心的に扱わなければならぬ問題であるということは、十分徹底しておるのであります。  そこで具体的な問題として、どういうふうに算定するかの問題でございますが、今ちよつとお話がありましたように、他の経済官庁なりその他の経済機関の意向なり見通しも十分参酌しろということは、ごもつともな点でありまして、現にわれわれは四半期計画あるいは年度計画という全国的な計画を立てるときには、その点を十二分に参酌しておりまして、あるいは安本とか各経済官庁、各地方の出先経済機関にまで照会をして、その数字を積み上げておるようなわけであります。その際に地方的にも陸運事務所で、そういう数字が検討されておるわけであります。それで一般論としてはそういう点は十分参酌しておるのでありますが、具体的に某県の某箇所路線ということになりました場合に、その点を調べることが非常に困難であります。しかしながらその努力は十分にいたさなければいけないと思います。なおそのほかにその地方の従来の実績等を勘案しまして、たとえば人口一人当りどのくらいの荷物を輸送するものであるか、あるいはバスにつきましては人口一人当りその地域においては何回くらいバスに乗つたか、何回くらい鉄道に乗つたかというような数字が、一つの一重要な手がかりになるわけであります。それに現段階における情勢、あるいは将来の見通しをつけて、そういう数字を積え重ねて運送需要をまとめてみる、こう考えておるわけであります。そこでただいま御指摘のように、自家用はいかなる場合でも〇三%であるとか。七%であるというふうな、機械的なそろばんをはじくことは、まことに実際に合わないのでございますから、さような点があるとすれば、その点はもちろん直して行つて実態を客観的に、良心的に把握するようにいたしたい、この点は申し上げておきたいと思います。
  21. 滿尾君亮

    滿尾委員 この運送需要を捕捉するのがむずかしいということは、私も御同情申し上げるのでありますが、ただいまの御答弁ではまだ私の真意がうつつておらぬように思うのであります。私は他の経済官庁の見通しというよう    一なものは、あまり問題にしておらぬ。つまり鉄道以外あるいは陸運関係行政官庁以外の、他の客観的指数を組み合せ、それを帰納的に集めて、あなた方の資料とせられるものをひとつつかまえていただきたいということ、たとえば当該関係地域の人口であるとか、その他いろいろな経難活動の指紋がありますが、それらの指数を帰納的に、実証的に組み上げて、客観的な一つ運送需要を想定していただきたい。私の今日まで見聞して了解しておるところでは、陸運局なり、陸運事務所のやり方というものは、主観的な立場に立ち過ぎておる。自分の見込みあるいは自分の畑の統計資料というものに、重きを置き過ぎておられる。かつまたただいま申し上げましたように、自家用貨物自動車輸送力なんかをいかななる場合でも、〇・七をかけるような機械的な措置をしておる。しかもそれはすでに用紙に印刷しておる。それで全国一のいかなる場所においても〇・七をかけるような計算の方式をして、この輸送需要をつくられるようなことがあつては、私は実にけしからぬと思う。れはまた間違いであるのではないかということを私はしばしば忠告しましても、何としても受付けな、私から言わせれば、こういう間違つた方法で、注意を喚起しても改める考えはないし、そして計算せられました指数が、実際に道路運送審議会の委員を動かして物事を決定せられるものとするならば、私はこの道路運送法免許基準なるものは、まことにその生命が死んでしまうと思う。道路運送委員に私は注意した。そうしたら道路運送委員は、自分たちは手足がないのであるから、陸運局のお役人の調べた数字の上に乗つて物を判断する以外に手がないのだ。いかに私に何と仰せられても、当局の調査した数字をあなたのように疑つてかかるというのでは、全然手も足も出ないのだから、何ともすることができない、かんべんしてくれという話で、まことに聞いてみると、その道路運送委員の諸君は、当局の計算しました数字を信用する以外に手がない、何ともすることができぬ。私もお気の毒になつて、それ以上委員諸公を追究しなかつたのでありまするけれども当局自体はどうしてもこの点心をむなしゆうして、もつといい方法、もつと他人をして納得せしむる方法によつて輸送需要を御計算になることが必要である。私は今日までかような間違つた方法によつてそうして間違つた結論をみな出して来ておつたと実は思つておる。これは運輸省の行政の一つのダークポイントであると思う。この点で何と法律にもつともらしい文句を書かれましても、実際の運用は客観的な数字のつくり方、つかまえ方にある。道路運送審議会なんかがあつて、非常に民主的に行政をやつて行くというような体裁にはなつておりますが、根本の急所は実に第七條の第一項第三号の輸送力の算定いかんにあると思う。従つてこの算定方法につきまして、もう少し公明正大に、いやしくも他人から注意をせられたら、十分耳を傾けるぐらいな雅量を持つてやるように、部下の下級行政機関を御指導に相なり、少くとも御方針としてなるべく客観的な資料を集めて、帰納的に実証的につくるのだというような御方針だけを私は伺いたい。その方針をとられる御意思があるかどうかということを伺つておきたい。
  22. 牛島辰彌

    牛島政府委員 ただいま滿尾委員から、まことにわれわれの仕事の盲点をつかれたと思います。輸送需要量の算定につきましては、今後各免許申請につきまして、十分客観的に算定する方法を考えたいと思つております。さらにその客観的方法と同時に、いやしくも免許申請をする者、あるいはこれに反対する者は、公聴等においては的確な資料を提出なさる義務があるのではないかと思います。それらの点を総合勘案して、道路運送審議会等におきまして、この輸送力につきまして結論を出して行くようにいたしたい、こう思つております。     〔坪内委員長代理出席、大澤委員長代理着席〕
  23. 滿尾君亮

    滿尾委員 算定方法についてのお願いにつきましては、ただいま政府委員から相当御考慮をいただく旨を得ましたから、それによつて打切ります。  今度は不均衡であるかどうかの問題でありますが、この不均衡程度の認定を一体どういうふうに考えるか。つまり輸送供給力と需要とのバランスの状態につきまして、先ほどの政府委員は百対百という言葉だけを言われたのでありますが、これは非常に問題にならない。私から言わしめれば、先ほどから申しましたように、輸送供給力というものが、需要を超過するのは自明の理である。それは絶対に超過しなければならない。もしそれが超過しないような輸送力を国家が保有するものであるとすれば、私は職能を果しておらぬと言わなければならぬ。ただ問題は、どの程度に超過した場合について、著しく不均衡なりと算定するのであるか。その程度については、あるいは事業別には多少の差があるかもしれません。あるいは運輸の数量というものは、一年間に季節的な変動があり、従つて一番ピークのところで考えるか、一番少い時期において考えるかというような、テクニカルな問題もからんで来るのでございますけれども、しかし年間平均して考えてみて、ピークとどん底を除いて、比較的ノーマルな時期においてどのくらいの超過をもつて均衡考えておられるか、一ぺん伺つておきたい。
  24. 中村豊

    中村(豊)政府委員 不均衡程度をどの程度までにするかという具体的な御質問でございますが、これは何割ということを数字でお示しすることは、きわめて非論理的であろうと思います。具体的な各地区々々あるいは現実の問題にぶつかつて考えないと、機械的に申し上げるのは実際に合わないと思いますけれども、たとえてみれば二割とかいう程度ぐらいまでは、やはり輸送力のアローアンスとしてなければ、実際の緊急の輸送に困るのではないか、かようなことが言えるのではないかと思います。それならばその二割を絶対に固執するかということになれば、そこは実際の需要に応じなければならないし、また実際の需要として二割も必要ないということもあるかもしれません。極端に輸送需要のベースが百万トンなら百万トンであれば、その二割ならば二十万トンという、非常に大きなアローアンスになるわけでありますから、その辺は画一的には言えないと思います。腰だめの見当は二割ということをものさしにして、その前後をいろいろ考えてみたらどうかということが、一つ考え方だろうと思います。なおピークにおいてピークだけの力を持たなければいかぬとか、あるいは将来輸送需要が非常に膨脹するであろうから、それに応じて備えて行かなければならないということも、これは無理なのでありまして、たとえば輸送需要というものの押え方は、先ほどの話にもどりますが、むずかしいので、先ほどの答弁を少し補足させていただけば、バス旅客に関しては、割合に実際に努力をして輸送需要を調べております。たとえば最近の例を申し上げれば、大阪市内にバスが乗入れたいという免許申請を受けまして、その審査の方法として、たしか四月の八日と二十日でございましたか、大阪市周辺のバス及び電鉄の乗降人員、乗りかえ人員などを、全員を総動員して調べておる、こういうようなことをやつております。こういう方法はその都度とれれば、最も適切ではいかと思いますが、さようなことで人員と予算を勘案して方法として考えております。ただトラックにつきましては、去年でございましだか、東京周辺から東京都内に入り込むトラックがどういうふうに動いておるか、いろいろ調べたこともあるので、そういうような実証的な方法をとつて行きたいと思います。輸送需要として、たとえばバスにすぐ乗れなかつた、次の便三十分か一時間なり待てば乗れたというものも、三十分、一時間待たしたことは輸送需要を充足していないと見るかどうか。また貨物についても、きよう申し込んだが、きよう受付けてくれなかつた、あしたの車で運んでくれた。一日、二日置かれたことを輸送力が足りないと見るかどうかというふうに、実際には輸送需要の数字そのものよりも輸送需要が何ものであるかということについても、具体的に非常にむずかしい問題が起るのでありますが、そういう点を十分に検討し、実際にあやまちなきを期したいと思います。
  25. 滿尾君亮

    滿尾委員 私は第六條第一項第三号の技術的の議論は打切ります。なおこの免許基準に関して第一條との関連につきましても、これは陸運行政の基本方針に関する問題でございますから、関連質問としてはやめまして、明日大臣の御出席をいただいた上で、それから本日資料をいただきましたから、それに基いて明日に私の質問を保留いたしたいと考えます。
  26. 岡田五郎

    岡田(五)委員 今の免許基準の問題につきましては、先ほど大澤委員からも御質問があつて政府委員からも御答弁があつたようであります。また質問が重複いたしましてもどうかと思いますので、大澤委員質問に対する政府委員答弁その他を速記録で拝見しまして、重複しない程度でまたあらためて質問をすることにして、この点留保いたしまして、次に移ります。  まず第一にお尋ね申し上げたいことは、第一條に、「公正な競争確保するとともに、」こうあるのでありますが、先ほどの質問によりますと、あるいは複数制によつて公正な競争をさせるというような御答弁もあつたようでありますが、私は具体的に一例をとつてみますと、岡谷、上諏訪間における国営自動車と民営自動車の公正ならざる競争、すなわちあのいなかにおきまして、一日両者百回、最近は七十回くらいになつたようでありますが、深夜に至つても両者が競争して運行しておるというような不公正な競争に対しまして、政府はどういう行政措置を講ぜられるか。運輸大臣みずから両者に向つて適正な運行回数に減らすように命令されることが法律上できるかどうか、この点をお尋ね申し上げたいのであります。公正なる競争は、単なる複数制ばかりではなしに、また事業計画の内容にも相当関係があると思うのでありますが、それについて政府の御見解も承りたいのであります。
  27. 牛島辰彌

    牛島政府委員 ただいま例をおあげになりました岡谷、上諏訪間の諏訪自動車対国鉄自動車競争、しかもそれはまことに不当な競争でございまして、これにつきましては現在両者において協定を結びまして、一応治まつておるわけであります。こういう事例が出て参りますので、ことに国鉄の経営いたしまする自動車一般民営の自動車との摩擦が各所に起つておりますので、これらについては今回の法案におきまして、国の経営いたしまする自動車運送事業につきまして、従来の規定と異なつ規定を設けておるのであります。すなわち七十九條におきまして、国において経営いたします自動車運送事業に対しまして、道路運送法を適用することが不適当なものにつきましては除外いたしておりますが、この中におきましてさらに検討を加えまして、国鉄自動車に対しましては重要なる事業計画変更であるとか、運賃の認可の問題であるとか、一般の民間と競合し摩擦を起しておる面につきましては、道路運送法を直接適用いたすことにいたしまして、その面からも国鉄と民営との間の調整は、今後におきましてもはかり得るものと思います。また現実問題といたしまして、運輸協定その他の問題が起りますれば、これを認可もいたしますし、また国鉄法によりましても、その命令もできましようし、一般民営に対しましても、運輸協定についての命令も可能なことと考えますので、その面におきまして国鉄対民営自動車の不公正な競争を今後惹起するというようなことについては、大いに改善されるものと考えております。
  28. 岡田五郎

    岡田(五)委員 次に最近観光を目的といたしましたバス事業といいますか、自動車が相当ふえて来ていると思うのでありますが、観光を目的とする自動車運送事業者に対する政府の御方針をこの際承りたいと思います。
  29. 中村豊

    中村(豊)政府委員 観光を目的とする自動車事業は、昨年軽油の使用が認められてから急激に勃興いたしましたし、今年もシーズンを迎えてたいへんな繁昌ぶりでございますが、これについてはある程度経済も安定いたしましたし、燃料、資材の事情も好転して参りましたので、ほんとうに健全な意味のレクリエーシヨンという点から、現在のように発達することは望ましいことであろうと思います。またこれが国際的な観光客を相手にするということになりますれば、国際観光の点から見て大いに奨励すべきことであろうと思います。ただ何といつても貴重な燃料を使うことでありますから、まつたく放漫に、全然無制限にこれを認めるということは、許されないことであろうと思いますので、この点は燃料の配給のときに、配給量を通じてある程度制限はされると思います。その他の一般交通政策から見れば、現在でもこれを発達させることは、まことにけつこうなことと思います。ただ現地における地方鉄道、軌道あるいは現地におけるバス業者との問題、つまりそういう事業がとれるところのお客を奪つてしまうではないかという交通調整の見地はございますけれども、そういうような小さい地区的な既存業者のために、大きく広範囲に機動的に動くような観光自動車の活動を押えることは、無理ではないかと思います。むしろそういう各地の鉄道業者、あるいはバス業者は、その兼業として自分の地域のお客さんを乗せて他の観光地に出かけるということで、相互に活動の分野を大きくして動きまわるということは、適当なことであると思つております。
  30. 滿尾君亮

    滿尾委員 関連して伺いますが、観光自動車に関するお考え伺つたのでありますが、国際観光に関しましては、これはもちろん国際貸借改善の見地から、相当の犠牲を拂つてもやらねばならぬと思うのでありますが、いわゆる国内観光に関する日本の現状における運輸省のお考えは、一体どういうお考えであるか。これについてはどういう理由でどの程度にいま少し発達を助長せられるお考えなのか。統制経済の域をまだ脱していない自動車面において、どういう論拠に基いてどの程度のお考えを持つておられるか、伺つておきたい。
  31. 牛島辰彌

    牛島政府委員 国内観光自動車いわゆる大型貸切自動車でございますが、これは最近少しふえましたが、現在全国で約一千二、三百両動いておると思います。この車が、たとえば東京にしましても、国会であるとか宮城前であるとか、一定の箇所に集まつております。最近は非常に車体もりつぱになつて参りまして、非常に目につくわけでございますが、全国で考えますと約千二、三百両程度だろうと思います。これに対しまして、昨年ディーゼルの配給を開始したのでありますが、学生、生徒等の修学旅行であるとか、あるいは学校の関係で研究のために旅行する、その他一、二ありましたが、ちよつと失念しましたが、そういうことを目的として行くものを主に考えておりまして、一般に物見遊山に行く程度のものでは、まだ燃料の面からいたしますれば違うのであります。しかしながら何と申しましても、大型の貸切で旅行するということは、列車により、また列車と一般バスその他の乗物を乗り継いで行きます旅行よりも非常に快適な点はございますし、この点は、戦後の不安定な経済状態からある程度脱却して参りました現在におきましては、ある程度は許さるべきであろうかと考えております。最近はこの自動車が相当よく活躍いたしておりますが、東京におきまする業者のいろいろの成績を見てみますと、やはり何と申しましても、年間を通じて見ますと、学生、生徒が一番多いようであります。従いましてただ一般に物見遊山に動きまわるためだけに、この自動車が利用されるということは、私どもとして希望しておらぬのでありまして、少くとも修学旅行であるとか、あるいは東京都内の各地の旅行であるというような点において、ある程度の奨励をして参りたい、こう思つておる次第であります。
  32. 滿尾君亮

    滿尾委員 観光自動車につきまして、大型貸切の問題につきましても、わが国の経済のバランスのとれますような時期になりますれば、これにつきましてとかくの論議をする余地はないのであります。ただ現在まだ燃料その他の面におきまして、相当の規正を加えられつつある状態でありますから、つり合いのとれた行政をしていただきたい。私は一概に反対するものではない。しかし陸運行政の、いろいろ制約をこうむつております他の面とのバランスを考えてそうして理由のつく限度においてしかるべく善処していただきたいということをお願いしておきます。
  33. 坪内八郎

    ○坪内委員 局長にお尋ねいたしたいと思います。第一條と第六條と第百二十三條についてお尋ねいたしたいと思うのでありますが、第一條の條文中「及び公正な競争」ということにつきましては、先ほど同僚委員よりもお尋ねがありましたので、この点は私も速記録をよく調べまして十分検討したい。しかしながら私の考えでは、この「及び公正な競争」という点も、将来削除してみる必要があるのではないかというようなことも考えておりますが、この点はあとに譲ることにいたします。さらに第六條につきまして、いわゆる有効幅員道路が六メートル以下の場合でも、並行して許可できるように解釈できるのでありますが、この点は慎重な検討を要すると思うのであります。われわれ自由党の立場からいたしましても、自由経済によつて、適正な合理的な運営によつて競争させ、そうしてこれを利用する者の利便をはかるということにつきましては、われわれの政策にも合致するので、よくわかる点もありますけれども、こういつた事業につきましては、非常に莫大な資本を要することであるし、さらにまた交通事故というような関係からいたしましても、慎重を要すると考えますので、この点もあとに譲ることにいたします。  それから第百二十三條の点でありますが、この点は、免許等の場合に、当該都知事あるいは市長の意見を徴することに相なつておるのでありますが、なぜ当該都知事合び市長の意見を徴さなければならないかという点について、まず局長の御意見を伺つた上で、質問を続行したいと思います。
  34. 牛島辰彌

    牛島政府委員 第百二十三條の問題でございますが、現行法におきましては、第二十九條においてこれと同様な規定があるわけでございます。この二十九條と今回の第百二十三條と異なつております点は、現行の二十九條におきましては、路線免許に際して意見を徴するのは、当該行政区域内だけのものについて意見を徴することになつており、また運賃についても意見を徴することになつております。今回の第百二十三條におきましては、運賃につきましては意見を徴さないことになつております。区域内の免許の場合におきましては、意見を徴することになつておりますと同時に、区域外から引続いて区域の中までの免許申請において、区域内の部分についても意見を徴することになつておるわけであります。意見を徴するということは、地方自治の観点を考慮いたしまして、一般利用者の代表であります都知事または政令で定めました市長の意見を聞いて、その処分を行う建前でございます。
  35. 岡田五郎

    岡田(五)委員 第百二十三條につきまして関連質問でありますが、今承つておりますと、大体区域内の自動車事業、また区域外から区域内に入るものに対して、都知事または市長の意見を聞く、こういうことで、これはなるほど地方自治体の行政の長としての都知事または市長に対する性格としては、非常にけつこうだと考えるのでありますが、ただ悲しいかな——といつては語弊がありますが、実際は都知事または市長は、同様の交通事業経営者の長としての資格を持つのでありまして、民間自動車事業者と、これらの都営または市営の事業体と利害相反し、相入れざる場面があるのであります。もしもそういう考え方がないといたしますならば、同じように地方公共団体のいわゆる旅客、公衆荷主意見を代表する意味において、意見を徴するという議論を推進して行くならば、市町村いわゆる町村長の意見もまた同じように聞いてしかるべきではないか、かように私は考えられるのでありましてむしろ同じような交通事業を行つておる都知事または市長に対しましては、意見を徴しないで比較的公正な立場で審議し、議論いたすために道路審議会だとか、あるいは道路運送審議会だとか、あるいは運輸大臣の諮問機関として運輸審議会があるのでありましてこれらの利害関係相反する立場にある交通事業経営者としての長の都知事、市長の意見はむしろ徴しない方が実際的であり、また公平ではないかと私は考えるのであります。むしろ道路運送審議会、運輸審議会を最も公正に、活発に、適正にこれを利用されまして、その答申に基いて免許可を決定される方がよいのじやないかと思うのでありますが、この点についての政府の御答弁をさらにお願い申し上げます。
  36. 牛島辰彌

    牛島政府委員 現在の法律におきましても、今回の法律におきましても、意見を聞く市長は政令で定める大きな市長だけになつております。現在聞いておりますものは、東京都知事、名古屋、京都、大阪、福岡、神戸、仙台、それから横浜、その大都市におきましては、やはり大都市内の都市交通というものは、他の鉄道、軌道と相まちまして相当重要なものであり、市民の足となり、生活に直結せる面が相当あることは事実だと思うのであります。  従いましてそういう主要なる市長からの意見を徴することにいたしたわけであります。大都市の交通が鉄道・軌道その他の交通機関と総合的に考える必要があり、またその市の周辺の交通関係を除外しては考えられないことはもちろんでありまして、そういう陸運政策の全体にわたる問題は、運輸大臣がその責任において処分すべき問題であると思います。市長から、地方自治の見地からの一応の意見を徴しますことは、決して運輸大臣の権限を拘束するものであるとは考えておりません。またただいま御質問の、ございましたように、これらの大都市におきましてはバス事業経営いたしておりますし、ほとんど大多数のものは電鉄事業経営いたしておるのであります。従いまして意見を徴するという場合におきまして、それら事業者としての意見の発表は、もちろん運輸審議会なり、あるいはまた道路運送審議会等において十分に発表していただくことは、けつこうなことと考えております。市民の代表たる市長として一応地方自治の観点から意見を徴するということも、その限度におきましては必要なのではないかと考えております。
  37. 滿尾君亮

    滿尾委員 百二十三條がいいか悪いかについては、相当議論があるところである。しかしただいまの政府委員の御説明は、私はちよつと納得しがたい。本條に「その区域内の路線につき当該都知事又は市長の意見を徴しなければならない。」と書いてある。こう書いた以上は、運輸大臣は相当に行政官庁の意見に拘束される。これは意見を徴しただけであつて運輸大臣の権限は、認可するかどうか、免許するかどうか、何らのかすりきずも受けないというような御説明に伺つたのでありますが、これは一利害の当事者の意見でなくして、とにかく当該地域の行政官庁としての長たる立場の意見である以上は、私はもし当該の事案について、知事なり市長は、これを否とするという意見運輸大臣に公式に申し出た場合に、これを簡単に無視することはできないであろうと思う。さような行政は私はおかしいと思う。従つてこの意見を徴さねばならぬということを、非常に軽く政府委員は将来の見通しとしてお考えになつておるようでありますが、実際問題として、私は相当これは重い意味を持つと思う。従つてこの百二十三條のいいか悪いかという判断は、かように手軽く片づけて判断すべきではないと実は心配をいたしておるのでありますが、もう一度政府委員の御答弁をいただきたい。
  38. 牛島辰彌

    牛島政府委員 従来におきましても、現行の道路運送法によりましてしばしば都知事または市長の意見を徴しております。ただこの場合におきまして参ります回答は、やはり私どもが見ますと、主として事業者及び事業者の立場に立つたと思われるような回答が多いわけでありまして、必ずしも運輸大臣は、その回答に拘束されないで実施できる特例があるわけでございます。
  39. 坪内八郎

    ○坪内委員 私のお尋ねに対して、局長から先ほどいろいろ御説明がありましたが、現行法の二十九條によつても、運賃とかあるいは許可、認可、あるいは免許というものについて、知事または市長の意見を徴した。今度の新規定によつて、その運賃は別にこれらの意見を徴するということに規定してあるのだというお話でありましたが、さらにお尋ねいたしたいのは、これが過去においてこういつた免許許可あるいは認可の各事項につきましては、道路審議会なりあるいは運輸審議会が慎重に検討いたしまして、的確な判断のもとにそれらの許可、認可、あるいは免許を與えておつたものであろうと思うのでありますが、実際問題として、こういつた知事あるいは市長の意見を徴して、それを具体的にそういつた免許許可あるいは認可という面に現わしたことが、かつて過去にあつたかどうかということを第一にお尋ねいたしたい。  それから第二点におきましては、この知事、市長の意見を徴するのは、主として東京、京都、名古屋、神戸、横浜といつたような大都市に限られておるから、そういう不安はないというようなお話でありますけれども、申すまでもなく政党政治が非常に発達して参りましてデモクラシーが浸透して、さらにまた最近のごとく地方自治法によつて、さらにまた公職選挙法によつていろいろ議員が選出され、地方議員が選出をされる。そうすると大都市に限つて特に政党色が非常に濃厚になつて、それぞれの地方公共団体の議会の議員というものが、政党色の色彩が強くなつて来る、そういう建前になつて来ると、大都市の知事なり市長なりが、特にそういつた自分の本質的な、自主的な意見を申し出ることができなくて、そうして議会の党色によつていわゆる党派の意見によつて左右されるというようなことも出て来るから、むしろこれはこういう知事、市長の意見を聞くということが、逆に悪い面にとられ、ひいては民間企業に圧迫を與えるというような点もあるのではないかというのが、第二点であります。  第三点は、道路審議会とかあるいは運輸審議会にいろいろな手続をして、こういつた免許許可、認可をしてもらうという手続すら非常に煩雑であり、民間業者その他のものにつきましても非常に困難を来しているやさきに、さらにまた知事や市長の意見を徴してそれを決定するということになると、こういつた申請をするものは二重、三重の複雑な手続を要するようなことにも相なるので、私はこういつた点から考えましても、この点はよほど慎重に考えなければならぬということを考えているのでありますが、その点についての局長意見をお尋ねいたしたいと思います。
  40. 牛島辰彌

    牛島政府委員 第三番目から申し上げます。第三番目の、手続が複雑になるということでありますが、これは免許の申請をした事業者は必要がないのでありまして、役所が意見を市長に求めるわけであります。免許の申請が出まして、陸運局長から市長に意見を求める。従いましてその意見の出て来るのがおそい場合におきましては、それだけ日にちがかかるということはありますが、事業者自体の手続が非常に煩雑になるということはないのであります。  第一点について申し上げますが、これらの都市の市長から意見を聴取いたしまして、その後の処分につきましては、この意見にかかわらず道路運送審議会、運輸審議会の審議の際の資料としてこれを報告し、提出してございますので、それらを勘案して最後の決定がなされております。今資料を持ち合せておりませんので、ちよつと具体的に申し上げることができませんから、後ほど調べて御報告をいたします。現在大阪におきましては、大阪の郊外の電鉄会社が経営いたしますバス事業が、また電鉄会社にあらざるところのバス事業者が、大阪市内に対しまして乗入れの申請免許を出願しております。これらの点につきましては、大阪といたしましては一応免許を拒否するような回答をよこしております。いまだこれを道路運送審議会にはかけてはございませんが、大阪市並びに関係業者陸運局長、あるいは商工会議所等がいろいろと相談いたしまして、円満に解決するように委員会の影式によりましていろいろ相談をしている実情にあります。先ほど申し上げました大阪市内におけるバスの乗降客、あるいは電車の乗降客調査というようなことも、その現われとして愼重にやつているような次第でございまして、現状におきましては、意見を聴取しましても、ただちにこれを処分には影響させておりませんので、この程度のものであります——ならば、市長の意見を徴するということはやはり必要ではないかと考えております。
  41. 坪内八郎

    ○坪内委員 いろいろ局長の御説明がございましたが、わが党におきましても行政の簡素化というようなことを、党の政策の大きな問題として取上げておるのでありますが、先ほど私がお尋ねいたしました第三点のいわゆる手続その他が複雑になつて来るということにつきましては、これは役人がそういつた知事なり市長なりの意見を徴するのであつて許可、認可の場合に日数がかかるという点があるけれども、そういつた申請をする者にとつては、何も複雑なことではないのだというようなお話でありますけれども、結局そういつた役人さんが手数がかかるということが、それらの方々に迷惑をかけるというか、スムーズに許可をとれるものがひつかかるというようなことになりますので、今までのあり方から考えましても、申請した者がなかなか簡單に許可を得られないというような実情であつたので、この点はよほど考慮すべき問題であると私は考えているわけであります。さらにまたわれわれが聞くところによると、従来の道路運送審議会なるものの審議ぶりは、愼重にやつておるのでありましようけれども、知事なり市長の意見を徴して、その意見によつて決定的な判断を下したというようなことはほとんどないのであつて、こういう規定を設けておつても、これはほとんど有名無実ではないかと考えておりますので、この点もよほど考慮を要すると私は考えております。  それから先ほど私は、こういう知事や市長の意見を徴することによつて許可、認可あるいは免許について対立的な、そういつた民間業者に何か不安を與えるようなことになりはしないかという点についてもお尋ねをいたしたのでありますが、その点をもう一点お尋ねしたいと思います。
  42. 牛島辰彌

    牛島政府委員 市長が意見を実際に提出して参ります場合には、おおむね市の交通委員会等にはこれを諮つて提出しておるようであります。従いましてその点につきましては種々市議会との関連も考え、また自己の経営いたしておりますバス事業等の影響をも考えて提出いたしております。一旦提出いたしますと、やはり市議会の関係等もございまして、これを変更するという考なことはなかなかむずかしい実情にあるように思われます。またなかなか意見の聴取ができないで、そのためにせつかく申請になりましたものが進められないというようなことも起りがちになるかと思つております。
  43. 岡田五郎

    岡田(五)委員 百二十三の関連質問でありますが、先ほどの自動車局長お話によりますと、現行の二十九によつても、六大都市その他の都市については、都知事または市長の意見を徴することになつておる。しかも実際においてその意見の結果を見ると、地方公共団体の地方自治体の長としての行政的な見地からする意見ではなくて、事業経営者の長としての意見が現われて来ておる。具体的に言うと、ほとんど民間事業の区域内である市内べの進出に対して、反対の意見が多いと私は聞き及んでおるのであります。この新しい法律では、先ほど地方行政の長としての意見を聞くつもりだ、こういうように立案者としてはお考えになつておるようでありますが、現行の二十九でさえもその理想の形の長としての意見ではなくて、経営者の長としての意見が出て来ております。かような現行法の実施の傾向から見ても、その立案者の理想とする形の意見が出て来ないことは、火を見るより明らかな事実である。かような現実の事実があるにかかわらず、理想を追うということは、あまりに現実を無視した立法の理想に追われた形ではないか、かよう一に私は考乏るのであります。ことに、私は実際のことは詳しく知りませんが、市内べの私営バスなり、トラックの進出を、許可をとろうと思えば、反対に市営なり都営バスの区外への進出を交換件に持つて来られるというような現実の経営の取引によつて、いろいろやられておると聞き及んでおるのであります。また都営なり市営をやつておられる長なり知事は、自分の経営しておる事業体の拡大と繁栄と、また経営の健全化を希望することは人情でありまして、自然の結果ではないか。かようなことから、実際に自己保全の傾向に陷るのではないか。私はむしろこういうところの長に行政の長としての意見を期待することは理想であつて、実際は無理である。こういうことからいたしまして、むしろ意見を徴しないで、道路運送審議会なり運輸審議会において、その都市の交通調整というような面をさらにく高いところか糧討して、私が先ほど申し上げました道路運送審議会なり、また運輸審議会において公正にして適正な判断をして決定すべきではないか、かようは考えるのであります。さらに、何がゆえに、この政令で定めた六大都市の市ばかりに限るか。これは暴論であるかもしれませんが、ひいてこれを推進して行くならば、トラック業者なり自動車業者の通過する沿線市町村の長の意見も、この推論をもつて行くならば徴すべきではないか七何がゆえにこの市ばかりに限るのか、こういうようにも考えられますが、この点についてなお政府の喧ねての御意見を承りたいのであります。
  44. 牛島辰彌

    牛島政府委員 岡田委員ただいまの御質問、一々うがつた点が多々あるでのでありますが、この政令で定めました市長と申しますのは、やはりバスにいたしましても、これだけ大きな都市になりますと、一つの形態としまして都市交通というものが考えられると思うのであります。その他一般の小さな都市におきましては、その需要と必要度からいたしましても、またその輸送の性質からいたしましても、必ずしも都市交通の形態をとらなくてもいいのではないか。これらの大きな都市におきましては、バス事業はりつばな都市交通として成り立つておる。また今回一番問題になつております郊外から都心への乗入れのようなものにつきましては、やはり郊外バス的な性格を持つておりますバス事業が、都市内におきまして都市交通に類するものを複数でやつた方がいいか、それとも郊外あるいは長距離のバスの都心への乗入れという直通運転の観点から、都市交通はその都市におけるところのバス事業にまかせ、都心と郊外あるいはその他の遠隔の地と直通するという性格行つた方がいいか、また都心に向いまして、郊外バスを直通乗入れさせるという場合には、都市交通との関連においていろいろ不当な競争の起らないようにして行く方途を講じた方がいいだろうという点も多々ありますし、また実際の運行回数なり経営等についても、市長としてのいろいろの御意見もあろうかと考えますので、そういう意味合いから政令で定めた都市だけについて意見を徴したらどうか、こう考えておるわけであります。これらの点については、この條文を立案するまでには、いろいろの観点から審議されたものであります。地方自治強化のためから市長の意見を尊重するとか、あるいは同意を必要とする等いろいろの意見が出たわけでありますが、結局現状の線において、地方自治の観点から市長の意見を徴する程度において、結論に到達したわけであります。
  45. 坪内八郎

    ○坪内委員 ちよつと簡単に局長にお尋ねいたします。第百二十三條の「知事又は市長の意見を徴しなければならない。」というのを、徴することもできるとか、あるべしとかいうことになる場合においては、どういう影響がありましようか。
  46. 牛島辰彌

    牛島政府委員 市長の意見を徴することができるとなりますと、徴しなくてもいい場合が出て来るわけでございます。しかし本法のように徴しなければならないということになつておりますれば、必ず徴しなければならないし、また徴しなければ行政上の手続の瑕疵がある行為になりますから、その効力に影響をして来る点が起り得ると考えます。
  47. 坪内八郎

    ○坪内委員 その点はよくわかりますが、徴しなければならないということに規定してありますと、そうやらなくちやならぬので、行政上にいろいろな支障が起きて来るかもわからぬけれども、知事または市長の意見を聞かなければならぬという事態が起きて来ない場合もありますので、徴することができる、あるいは徴することあるべしというふうにやつた方がいい場合があるのじやないか、私はこう思うのですが、その点いかがでございますか。
  48. 牛島辰彌

    牛島政府委員 この法文を実際に立案する経過を考えてみますと、市長の意見を徴することができるということにいたしますと、いろいろと複雑な問題もあろうかと考えるわけであります。行政事務の簡素化という点につきましては、もちろんわれわれといたしましても念願し、またそういう方面に持つて参らなければならぬと思いますが、この点に関しましては、一面にはやはり地方自治の強化という点から強く議論される條文でありまして、私どもとしましては、この程度のものがよいのではないかという考えから、かような規定にしたわけであります。
  49. 岡田五郎

    岡田(五)委員 先ほど滿尾委員からお尋ねがありましたように、意見を徴しなければならないというふうなことについて、自動車局長の御説明では、意見は徴するが、これについて尊重するかしないかは大体自由にやるのだということであつた滿尾委員は、意見を徴する以上は、尊重するという気持で徴さなければいけないのではないかというようなお尋ねであつたと思いますが、私もまた同感であります。少くとも意見を徴する以上は、しかも地方自治の強化、地方自治の精神をくむという意味において、地方長官の意見を徴される以上は、尊重するという意味で徴されることと私は考え、また徴されなければならぬ、また尊重されなければいけないと考えるのであります。しかも実際においてわれわれの理想とする、ほんとうに理想的な公平な立場としての地方自治体の長としての意見が、過去の実際においては出て来ない。こういう現実がある以上、しかもこの法文から見て、滿尾委員のおつしやる通り、また私たちが考えておりますように、意見を尊重しなければならないということならば、この法文通り意見を徴するならば、むしろ一般民業の圧迫となり、また不公平な、いわゆるべんぱな都内交通というような結果に陥ることを私はおそれるのでありまして、さような意味から行きまして、地方自治体の意見を徴するということは、なるほどもつともなことでありまするが、実際の動き方から、十分これを考え直さなければならないと思います。こう言つてははなはだ失礼ですが、理想を追うことにあまり急にして、現実を離れた法律は空文化するのでありまして、むしろ現実を基礎にしてこれを立法化し、また現実を理想の方向に一歩々々進めて行くところに、法律の精神があると私は考えるのであります。政府委員の交渉のいろいろな経過からいたしまして、本心ならざる文句をここに入れざるを得なかつたという窮情はお察し申し上げますが、この間われわれは国会の法律審議権の最高の機関といたしまして、こういう現実を基礎として十分にこういう法律の審議に当らなければならないと思いまするし、また修正その他の手続もとらなければならないと考えるのでありますが、なおこの点について御意見をいただきましても、また同じような苦しい御答弁をいただく以外にはないと考えまするので、御答弁を煩わしません。しかしその点につきましては、われわれとしても十分考えなければなりませんが、また政府といたしましてもどうかひとつ現実を基礎として、十分に勇敢にりつぱな法律をつくつてくれるようにお願いを申し上げまして、私の質問にかえる意見の発表をいたした次第であります。
  50. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 明日午後一時より開会することにして、本日はこの程度にて散会いたします。     午後四時十五分散会