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1951-05-15 第10回国会 衆議院 運輸委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月十五日(火曜日)     午後一時三十五分開議  出席委員    委員長 前田  郁君    理事 大澤嘉平治君 理事 岡田 五郎君    理事 坪内 八郎君       稻田 直道君   岡村利右衞門君       尾崎 末吉君    片岡伊三郎君       黒澤富次郎君    玉置 信一君       畠山 鶴吉君    前田 正男君       滿尾 君亮君    山崎 岩男君       木下  榮君    原   彪君       淺沼稻次郎君    山口シヅエ君       今野 武雄君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 山崎  猛君  出席政府委員         運輸事務官         (大臣官房長) 荒本茂久二君         運輸事務官         (自動車局長) 牛島 辰彌君         運 輸 技 官         (自動車局整備         部長)     佐竹 達二君  委員外出席者         参議院議員   鈴木 恭一君         運輸事務官         (港湾局港政課         長)      四方田耕三君         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君     ————————————— 本日の会議に付した事件  小委員長補欠選任  道路通送法案内閣提出第二三一号)  道路運送法施行法案内閣提出第一三二号)  自動車抵当法案内閣提出第一三三号)  自動車抵当法施行法案内閣提出第一三四号)  道路運送車両法案内閣提出第二三五号)  道路運送車両法施行法案内閣提出第二三六  号)  港湾運送事業法案参議院提出参法第一五号)     —————————————
  2. 岡田五郎

    岡田(五)委員長代理 それではこれより会議を開きます。  委員長不在でありますので、理事の私が委員長の職務を行います。  では道路運送法案及び同法施行法案自動車抵当法案及び同法施行法案道路運送車両法案及び同法施行法案につき、法案の概要の説明を求めます。牛島政府委員
  3. 牛島辰彌

    牛島政府委員 先般運輸大臣から道路運送法案、同法施行法案道路運送車両法案、同法施行法案並びに自動車抵当法案、同法施行法案につきまして、提案理由の説明がございましたが、以下六法案につきましてさらに條章を追いまして御説明申し上げたいと存じます。  現在道路運送に関する法律といたしましては、今回の道路運送法案と同じ名前の道路運送法がございます。現行の道路運送法は、昭和二十二年の十二月に制定されたものでありますが、御承知のごとく当時はまだ相当に統制的色彩の強い情勢下にありましたので、その後三箇年を経過しまして、社会的、経済的諸情勢のおおむね安定いたしました今日といたしましては、相当多数の不備欠陥を有しておることが痛感されるのであります。すなわち第一に、行政の民主化をさらに徹底いたしまして、事業者の自主的、積極的な活動を促進いたすこと、第二に、能率的な経営のもとに公正な競争を確保する態勢を整備いたすこと、第三に、道路運送事業公共性にかんがみまして、事業の運営をより一層適切なるものにいたしまして、利用者公衆の利便の増大を促進いたすこと、第四に、道路運送の秩序を確立いたしまして、道路運送の各分野の総合的な発達を促進いたしますこと、以上のようなことが強く要請されているのでありまして、これら現行法の有する不備欠陥を是正いたしまして、今後の道路運送の発展を期待しているのであります。  次に道路運送法及び同施行法案の内容に対しまして御説明申し上げます。今回の道路運送法案は、十章百三十八條及び附則一項、道路運送法施行法案は二十五條及び附則一項からなつております。  最初に道路運送法案から御説明申し上げます。第一章は総則でございまして、この法律の目的と、この法律一般に通ずるおもなる用語の定義とを規定いたしております。第一條に掲げるこの法律の目的は、同時に道路運送行政指導理念でありまして、一見はなはだ抽象的に規定してありますが、以下この法案の各條項に規定してありますことは、すべてこの理念の具体化されたものであります。内容といたしましてはおおむね現行法の線に沿いまして、その上にただいま申し上げました本法案提出の趣旨を盛り込みまして、事業の適正な運営と、公正な競争の確保と、道路運送の総合的な発達をはかることを明らかにいたしました。第二條に規定いたしました定義のうち、特に申し上げたいことは、事業の定義でありまして、現行法は有償であるとまた無償であるとを問わず、他人の需要に応じてする道路運送業務をすべて事業の範囲に含めておりますが、無償の事業につきましては法規制の適用が不適当なものが多いので、原則として道路運送事業者は有償のものに限ることといたしまして、法律適用合理化をはかつております。ただ自動車道事業につきましてだけは、無償のものであつても、保安に関しましては有償のものと同様に規律する必要がありますので、有償であると無償であるとを問わないことにいたしております。  第二章は自動車運送事業について規定いたしておりす。第三條におきまして事業の種類を定めております。現行法運送契約の形式によりまして、乗合、貸切あるいは積合、貸切というふうに分類いたしておりますが、トラツク事業につきましては、この分類方法は実態に適しておりませんので、事業活動地理的分野を基準としまして、路線事業区域事業に分類いたしました。また現行法は使用する自動車による事業の差異に触れておりませんが、運送の性質や事業の性格が相当異なつておりますので、自動車の大きさによる分類をも併用いたしまして、旅客部門におきましては、乗車定員十一人以上のものを一般貸切事業乗車定員十人以下のものを一般乗用事業といたしました。また貨物部門におきましては、最大積載量一トン以下の自動車のみを使用いたしますものを一般小型事業、それ以外のものを一般区域事業または一般路線事業というぐあいに区別いたしております。このため現行法で四種類である一般事業は六種類となります。なお特定事業につきしましては、現在四種類でありますのを、旅客、貨物の二種類に整理いたしました。  第四條におきましては、自動車運送事業免許制である旨を明らかにしております。この点は現行法と同様であります。  第六條は、その免許をいたす場合の基準を掲げておりまして、現行法運輸大臣の公示にゆだねておりますのを、行政の民主化の見地から、本法案におきましては、法律中にはつきりと示すことといたしました。その内容といたしましては、現在公示しておりますものを整理いたしまして、必要欠くべからざるものだけを五項目掲げておりますが、事業の公共性にかんがみまして、その地区の輸送の事情によくマツチして、公衆の利便を増進するものであること、輸送秩序の維持と不当競争の防止のため、輸送の需給が著しく不均衡にならないこと、及びその事業を確実に遂行する能力を有するものであることを要件といたしまして、この免許が公共事業の特許である旨を示しております。  次に第八條から第十一條までに、運賃、料金の定額制と現払い制とを規定いたしております。定額制というのは一定の確定額として運賃、料金を認可いたし、その実施にあたりましては、認可額に対して任意の割増し、割引あるいは割もどしを許さない制度でありまして、これは自動車運送事業の全部に適用いたすことになつております。現払い制と申しますのは、トラツク事業のみについて採用するものでありますが、運送貨物を荷受人に引渡すまでに、運賃、料金を受取らなければならないことを原則とする制度であります。しかしすべての運送についてこの原則を押すことは実際上不可能でありますから、荷主の経理上の手続その他やむを得ない場合には、省令で指定する期間内は支払いを延期してもよいことにいたしましたほか、大口荷主などの場合で常時反覆的に運送を委託しているため、一々の運送について現払いを行うことが非常に煩雑である場合は、別に支払い猶予期間の許可を受けて支払いを延期することができる道を開いております。この二つの新しい運賃制度は、利用者の個々に対する不当な差別的取扱い事業者間の不当な競争を防止するために、きわめて有効な制度であると考えておりますが、区域のトラツク事業につきましては、急激に商慣行を変更することは磨擦があると考えますので、施行後一箇年の猶予期間を置くことといたしました。なおこの新制度は物価統制令運賃統制とは、観念的にも技術的にも両立することが困難でありますので、附則におきまして、物価統制令による運賃統制の廃止後に実施することといたしております。  第十四條の貨物の種類、性質の確認と第十七條の引渡し不能貨物の寄託の規定は、現行法にない新しい制度でありますが、路線貨物自動車運送事業の発達に伴いまして、事業の正常な運営を確保いたしますために必要となつたものでありまして、この制度は鉄道営業法通運事業法におきましては、すでに制度化されているもであります。  第二十三條の路線により運送する貨物の集貨、配達と、第二十四條の事業区域外の運送の規定も、新らしいものであります。第四條におきまして、免許は路線または事業区域ごとに行う旨をはつきり規定いたしまして、原則としてはこの路線または事業区域外には自動車を使用して運送行為はできないのでありますが、自動車運送機動性という現実の必要によりまして、路線トラツク事業集配区域は免許のいらない指定制といたしました。また事業区域外にわたる運送が利用者のために必要であつて、しかも免許事業者によることが困難な場合には、許可によつて臨時的な区域外運送ができることといたしました。  第二十五條から第三十條までの事故報告、従業員、運転者、小児の無賃運送、旅客の禁止行為等の規定は、現行法にはない規定でありますが、ほとんどすべて現に省令で規定している事項でありまして、自動車運送事業の公共的な運営を確保するためのものであります。ただ第二十七條の運転者の資格に関する規定のみは、まつたく新らしいものでありまして、運送の安全のために、旅客自動車運送事業運転者は一般の運転免許のほかに、一定の年齢または運転経験等資格要件を要求したものでありますが、この制度は諸外国のほとんどすべてに採用されているものであります。  第三十二條の公衆の利便を阻害する行為の禁止等の規定は、現行法にもある規定でありますが、特に利用者の個々に対する不当な差別的取扱いの禁止を新しく加えて、この法案の新しい指導理念を明らかにしております。なお本條による処分については、聴聞の手続を要することにいたしまして、行政の民主化をはかることといたしました。  第三十四條は、運送命令の規定でありまして、現行法にもある規定でありますが、命令を出し得る場合を制限するとともに、損失を補償する旨を規定いたしまして、事業者に不当な負担のかかることを防止することに考慮を加えております。  第四十一條の事業の休止及び廃止の規定も、現行法のものを大体踏襲しておりますが、休止の期間を原則として一年に限つております。これは自動車運送事業は、その公共性にかんがみまして、免許を受けた事業は公衆の利便のために極力運営を継続すべきでありまして、長い期間にわたつて免許の上に眠ることは、免許制度の本旨に反するものと認められるからであります。  以上のほか、第二章には相当多くの規定を掲げておりますが、大体現行法のものに技術的な修正を加えた程度で、特に御説明申し上げる必要はないと存じます。  次に第三章は、自動車道及び自動車道事業といたしまして、自動車道事業専用自動車に関して規定いたしております。  自動車道事業につきましては、その公共性にかんがみまして、現行法の通り、第四十七條におきまして、免許制をとつておりますが、自動車運送事業と同じく、行政の民主化の見地から、第四十九條にその基準を明示いたしました。内容といたしましては、大体自動車運送事業に準ずるものでありますが、この事業は特に長期にわたつて、多額の資本を投下して経営する性質のものでありますので、その点を審査の項目としてあげております。  第五十一條は、自動車道の技術的な基準について規定してあります。自動車道は、高速度交通に対する施設でありますから、特にその保安について注意する必要がありますので、省令で定める技術上の基準に合致することを要求しております。第五十七條から第六十條にわたりまして、詳しく自動車道の検査に関する事項を規定いたしましたこと、第六十三條におきまして保安上の供用制限認可事項といたしましたこと、第六十八條におきまして、自動車道維持管理について規定するとともに、道路標識の設置を事業者の義務といたしましたことなどは、すべて高速度交通に対する保安を確保するという趣一日によるものであります。  第五十三條は、路線等の公示でありますが、自動車道の開設につきましては、土地の収用などの問題が生じますので、早目に利害関係人に周知させようという目的のものであります。  第六十一條におきましては、使用料金について規定いたしてあります。自動車道につきましても、その公共性にかんがみまして、自動車運送事業と同様な考え方から定額制をとつております。  そのほか本章には、大体自動車運送事業に準じた規定と現行法を踏襲した規定とが含まれております。  第四章におきましては、国の経営する自動車運送事業自動車道事業について規定しております。日本国有鉄道公共企業体でおりますが、日本国有鉄道法によつて現行法では国と同じ取扱いを受けており、本法案におきましても同様であります。  事業の開始につきまして承認を要するという第七十六條と第七十八條の規定、路線事業に関して民営事業に補償するという第七十七條の規定は、現行法と同様であります。  第七十九條におきましては、国営事業であるという特殊性によりまして、民営事業と同様の取扱いをすることが適当でないと考えられます規定の適用除外を定めておりまして、現行法にも同様の條文がありますが、内容といたしましては、国鉄が公共企業体に移行した事情等を勘案いたし、現行法で除外しておりますものを再検討いたし、民営事業との調整をはかる意味におきまして、運賃、料金の認可、休止、廃止の許可、重要な事業計画の変更の認来、報告、検査などの規定を、新しく国営事業にも適用することにしております。  次に第五章におきましては、自動車運送取扱事業について規定してあります。この事業の実態は、路線トラツク事業に対する仲介あつせんを業とするものでありまして、ちようど鉄道に対する通運事業のような存在であります。現行法はこの事業についてはまつたく触れておりませんが、最近の路線トラツク事業の発達に伴いまして、大都市におきまして急速に発達して参つは、道路運送上なかなか大きな役割を占めておりますので、これを利用する一般公衆の利益の保護と、道路運送の総合的な発達改善をはかりますためには、どうしてもある程度の監督をいたす必要が痛感されますので、新たに一章を設けて法規制を加えることにいたしたのであります。  第八十七條におきまして、この事業が登録制であることが定められてあります。この事業は通運事業と異なりまして、概して小規模の経営のものが多く、しかもこのような末端業務は、トラツク事業者が直営する場合も少くありませんので、免許制というような大げさなことは、かえつて弊害が伴うとの考え方から、登録制といたしたわけであります。登録のやり方については第八十三條に定めてありますが、一定の欠格事由に該当いたします場合、事業に必要な最小限度の設備をも有していない場合、それから資力、信用の状態がきわめて不十分なもの以外は、登録しなければならないことといたしております。  第八十五條におきましては、運賃、料金が認可制であることを規定しておりますが、これは荷主との関係におきまして、特に重要な事項でありますので、第八十六條の取扱約款とともに、認可を要することといたしました。しかしながら自動車運送事業のような高度の公共事業と異なりまして、運賃、料金の定額制、現払い制はその必要もないし、また実態上困難であると考えますので、この規定は設けてありません。   (岡田(五)委員長代理退席委員長   着席〕  第八十九條は、禁止行為に関する規定でありまして、取扱事業者は、自分の相手方として登録してある自動車運送事業者以外の者に対して、取扱行為をしてはならないことにしております。これは荷主の予想しなかつた運送事業者によつて、貨物が運送されることを防止する必要からであります。  第九十二條は、停止、取消しの規定でありまして、違反行為があつたときとか、欠格事由に該当するようになつた場合には、聴聞の後に事業の停止または取消しを行うことができるようにしてあります。  そのほか二、三届出義務などの規定がありますが、特に御説明申し上げる必要もないと存じます。  第六章は軽車両運送事業に関する規定でありますが、内容としてはほとんど現行法の通りでありますから、御説明を省略させていただきます。  第七章は、自家用自動車の使用に関して規定してあります。自家用自動車は、道路運送上きわめて重要な地位を占めておりまして、その健全な発達はもとより望ましいことでありますが、自家用車が、その本来の分野において活動することにつきましては、極力規制を避けることが好ましいと考えております。しかしながら、自家用車が事業の分野に乗り出すようなことがありとすれば、すでに自家用車の意味を没却するばかりでなく、輸送の分野を撹乱し、輸送の秩序を混乱に陥れ、ひいては道路運送の総合的な発達を阻害する結果を招くことになるのでありまして、たといその行為によつて一小部分の利益はあつたといたしましても、終局的には国民全体の利益をそこなうものであります。本章はこのような趣旨から規定せられておりまして、道路運送の秩序を確立するとともに、自家用車がその本来の分野において健全に発達いたすことを期待しているのであります。  第九十九條の使用の届出は、現在省令によつて実施している事項を法律に引上げたものでありまして、実態把握の目的を有するものであります。  第百條の共同使用の制度は、新しい制度でありまして、許可制といたしておりますが、ただいま申し上げた趣旨によつて、自家用車本来の分野から逸脱することを防止する目的に基くものであります。  第百一條の有償運送と賃貸の制限は現行法と軌を一にしておりますが、現行法有償運送を絶対に禁止する規定が実態に即せず、かえつて秩序を乱す原因となつた事情にかんがみまして、災害のため緊急を要する場合と、公共の福祉を確保するためやむを得ない場合であつて、許可を受けた場合にはこれを認めることといたしまして、制度の合理化をはかりました。  第百二條の制限、禁止の規定も、現行法を踏襲しておりますが、現在適用除外となつている乗車定員七人以下の乗用車が適用の範囲に入つたことと、処分をする場合を具体的に列挙したことが異なつております。  次に第八章は、道路運送審議会に関する規定であります。骨子は現行法のものを受継いでおりますが、三箇年間の経験にかんがみまして、若干の修正を加えております。  第百四條の諮問事項の規定は、運賃、料金に関する事項が加わつた点がかわつております。  第百六條の組織の規定では、現在総計九十七人であります委員定数を半減いたしまして、四十九人といたしました。その任命方法は第百七條に規定してありますが、現在各都府県二名、北海道七名の委員定数通り候補者を知事が推薦いたしましたのを、そのまま任命する制度を改めまして、委員定数、すなわち各都府県一名、北海道四名の定数に対して、二倍以上の候補者を推薦いたし、そのうちから運輸大臣が任命することにいたしまして、任命に幅を持たせております。  第百八條では、国会や地方公共団体の議会の議員は委員となれないことといたしましたが、これは審議会行政機関的性格にかんがみまして、政治的な影響を避けたわけであります。  第百十條は、委員の事業からの隔離  の規定であります。現行法では、審議会の同意と大臣の承認を受けた場合のほかは、一般的に兼職を禁止しておりますが、審議会運営の公正を期するために、関係事業からの隔離をさらに一層徹底させて、投資についてまでも制限を設ける一方、不必要な一般的兼職禁止の制限を解除したのであります。  第百十五條は、公聽会の規定でありまして、現行法では公聽会開催絶対主義をとることといたしておりますが、この法案では任意主義に改めております。  以上がおもな修正点であります。その他の道路運送審議会に関する規定は、ほとんど現在の制度そのままでありますので、御説明を省略させていただきます。  第九章は雑則でありまして、第八章までの各章に入れることが適当でない條項を集めて規定しております。この章もおおむね現行法と同様でありますから、相違点のみを御説明申し上げます。  第百二十二條の職権委任の規定では、貨物軽十両運送事業に関する行政庁を、現行法陸運局長から都道府県知事に改める等の一部の修正を加えております。  第百二十三條の地方公共団体の区域内のバス事業について、免許とか、事業計画変更の認可とかの処分をする場合に、都知事または市長の意見を徴する規定もほとんど現行法の通りでありますが、現行法に含まれていない市外からの乗入れ線についても、意見を徴するなどの修正をいたしました。  第百二十四條の道路管理者の意見の聴取の規定は、現在省令にあります規定を法律に引上げたものでありまして、自動車運送事業と道路との密接不離の関係にかんがみまして、免許と事業計画の変更であつて、自動車の大きさまたは重量を増加するようなものの認可の処分をする場合に、道路管理者道路管理上の技術的な意見を徴して、運送の保安を期するとともに、道路の改良を促進しようとするものであります。  第百三十五條の団体の届出の規定は、まつたく新しい規定であります。この法案の目的とするところを実現するためには、関係諸団体の協力を求めることも必要でありますので、その実態を把握するために届出をさせることといたしました。  第百二十七條の自動車使用者の氏名等を表示する制度も新しいものでありまして、実態把握の目的と道路運送秩序の確立に資するために、本條を設けたものでありますが、その必要のないもの、または表示をすることによつて使用にはなはだしく不便を来すようなものについては、適用しないことにいたしております。  次に第十章は罰則でありますが、罰金の最高額につきまして、貨幣価値の変動を参酌いたしまして、無免許営業につきましては、一万円でありましたものを三十万円に引上げたほか、行政犯については大体十倍から三十倍程度に引上げ自動車転覆の罪などの刑事犯につきましては、刑法にならいまして、六十倍程度に引上げております。そのほかには特に申し上げるほどのこともございません。  次に附則でありますが、この法案は七月一日から施行することといたしております。なお運賃関係の若干の規定を物価統制令による運賃統制の廃止後に適用いたしますことは、先ほど申し上げた通りであります。  なお現行法に規定してあります車両の登録、検査、整備等の規定は、別個に道路運送車両法案といたしましたから、本法案にはまつたく触れておりません。  最後に道路運送法施行法案について申し上げます。この法案は、道路運送法を実施いたしますための経過的措置について規定しておりますので、ほとんどが技術的な事項であります。  第一條には、現行道路運送法の廃止を規定し、第二條では、自動車運送取扱事業が、新しく行政の対象となつたことに伴う運輸省設置法の改正を規定しております。以下第七條まで関係法令について所要の修正を加えております。  道路運送審議会につきましては、本法案の施行の際全部新しく任命する建前をとりまして、現行法によつて委員である者は、本法案施行の前日に免職するとともに、新しい委員の候補者の推薦は、本法案施行前にも行えることといたしまして、この制度の移りかわりの円滑を期しております。これらは第八條と第九條に規定してあります。  第十條には、現行法による特定自動車運送事業の免許であつて、運賃、料金の認可を受けなかつたものは、失効することを規定いたしておりますが、これは従来事業の範囲であつた無償の事業が、事業の範囲外とされることに伴うものでありまして、一般事業については、無償の事業は事実上ありませんので、特定事業についてのみ規定してあります。  第十一條におきましては、現行法に基いてした免許等の行為は、新法によつてしたものとみなすことにいたしております。しかしたとえば事業種別などは相当の変更がありますので、具体的な移りかわりの方法は、口令で定めることにしております。  そのほかの各種の規定は、すべて経過措置に対する技術的な規定でありまして、特に申し上げる必要もないと考えますから、省略させていただきます。  以上で道路運送法案及び道路運送法施行法案の御説明を終ります。  次に道路運送車両法案及び同法施行法案の概要について御説明申し上げます。  一般産業経済の復興、諸資材の緩和等に伴いまして、最近における自動車交通の復興ぶりは目ざましいものがございます。  自動車の数におきまして、戦前最高の昭和十三年の二十一万七千両に対しまして、昨年十二月末の数は三十八万七千両となつておりまして、毎月一万両近くが増加いたしておる状況であります。このほか連合軍関係の自動車も多数運行されておりまして、ごらんの通りの自動車交通の輻湊ぶりを呈しているのでございます。これらの自動車の中には、バスにおいて最高乗車定員九十人を越え、トラツクにおいて最高積載トン数十トンを越えるようなデイーゼル車やトレーラー付自動車のような大型のものから、二輪及び三輪の自動車、スクーターのような小型のものがありますし、最新式高速自動車に対し車齢十数年の旧式自動車や代燃車が動いているのであります。  車両数が増加し、各種車両が交錯し、スピードが増し、長距離にわたつて行動するようになりますと、勢い車両事故も増加して参るのでありまして、昭和二十五年中における事業用自動車の重大事故だけでも八百七十件を数えているような状態であります。  自動車登録の面におきましても、現下の社会経済事情等を反映しまして、虚偽の登録申請が次第にふえて参り、遺憾なが登録事故が漸増している現状でありまして、自動車がふえればふえるほど、自動車実態把握と流通の安全確保の必要性が増大して参るのであります。  以上のような実情でございますから、車両事故及び登録事故を防止して、車両の安全性を確保し、日進月歩する自動車の発達に即応いたしますことは、きわめて緊急を要するものと存じます。  このため、国の統制的強権力を拡充強化いたすことは極力避け、きわめて合理的は法規律のもとに、民主的な行政の運営によりまして、保安の目的を達成して行きたいと考えるのでありまして、今回道路運送車両法案を提出いたしましたのもこの趣旨でございます。  現在道路運送車両の保安に関しましては、道路運送法の第五十四條(車両の検査)、第五十五條(車両の整備)及び第五十六條(自動車の登録)の三箇條において原則的に規定され、具体的詳細は同法に基く車両規則、自動車整備工場認定規則、自動車整備士技能検定規則、自動車の指定に関する省令等の諾省令に委任しているのであります。  国民の権利を制限し、義務を課します事項等は、極力具体的に法律に規定することが民主的でありますので、右の諸省令に規定いたしております事項を法律事項とする必要がありますのと、買主的合理的方法によります車両保安の確保のために、後説明いたしますような事項を法律に規定する必要がありますので、道路運送法第八章車両関係規定の改正を要するのであります。このようにいたしますと、條文がきわめて厖大になりますので、海上運送法と船舶安全法との関係、並びに米国における州際交通法と統一車両法との関係のように、事業監理法規と保皮法規との二つの法体系に分離いたす方が妥当であると考えまして、道路運送法の全面改正を機会に、単行法としての道路運送車両法案を提出いたした次第でございます。以下本法案におきまして改正いたしました事項を中心としまして、法案の要点を御説明いたしたいと存じます。  第一章総則におきましては、本法の目的、本法中に使用される用語の定義及び自動車の種別を規定いたしております。  第一條本法の目的は、道路運送車両の安全を確保いたしまして、公共の福祉を増進することにあるのでありますが、この目的の規定の中に本法の構成及び要点を示しております。すなわち第一に所有権の公証でありますが、これは自動車を目的とする所有権を第二章に規定いたしております自動車登録原簿に登録することによりまして、行政上(実態把握、盗難予防)及び民事上(所有権の得衷、変更の対抗力付与)の目的を達成いたすということであります。第二に、安全性の確保と申します。のは、車両の構造及び装置が運行に耐えるために、必要最小限度の安全性を有することを確保することがありまして、第三章保安基準、第四章整備、第五章検査、第七十八條自動車分解整備事業の認証等において規定されております。第三に、整備についての技術の向上とは、車両の安全性を増進するために整備技術の向上を促進することでありまして、第五十五條自動車整備士の技能検定、第九十四條優良自動車整備事業者の認定、第九十五條自動車整備振興会等において規定されております。第四に、自動車の整備事業の健全な発達を、自動車整備士の技能検定制度(第五十五條)、自動車分解整備事業の認証制度(第七十八條)、優良自動車整備事業者の認定制度(第九十四條)、自動車整備振興会の法規制等によつて期したことであります。  次に、第二條及び第三條の関係でありますが、場現行法におきまして、原動機付自動車自動車として取扱われているのでありますが、それに対する法規制を緩和して実情に即応いたすために、自動車の範囲から分離独立させました。従つて本法において道路運送車両は、従来の自動車及び軽車両と原動機付自動に区分されるのであります。(第二條第一項)  第二章は、自動車登録制度に関する規定であります。現行法におきましては、道路運送法第五十六條に基きまして、車両規則の第四節第四十條ないし第四十四條に規定されているのでありますが、これをできるだけ詳細に法律に規定いたしますとともに、従来自動車の登録が、自動車両数、分布状態等の実態把握を主たる目的といたしておりますのに対し、本法におきましては登録に完全な権利の証明及び車両検査合格の証明となるような効力を付与いたしまして、登録制度の役割を拡張したのであります。このため本法におきましては、次のような新しい方法によりまして登録の正確を期し、制度の目的達成をはかつたのであります。  第一に自動車実態把握、盗難予防、安全性の維持等の行政目的のために、第四條非登録自動車の運行禁止、第十二條ないし第十五條の各種登録の強制等に関しまして規定いたしますとともに、登録の手続といたしまして、たとえば第六條の一両一用紙、第二十一條の登銀原簿の保存等、第二十二條の登銀原簿謄本等の記規定を置き、不動産及び船舶の登記手続に準じました。第五條におきまして、自動車登録に対しまして、不動産及び船舶の登記に匹敵する登記的効力を与えまして、私法制度における安全の確保の手段といたすとともに、後に御説明いたします自動車抵当制度創設の道を開いたのであります。  第二に、第十九條におきまして、自動車登録番号標の表示制度を規定いたしておりますが、現行法によります車両番号標が、車両検査に合格した証明のみでありますのに対しまして、登録番号標は、その証明とともに正当な所有権を有する証明といたしたいのであります。  第三に登録制度の目的達成のために第十七條におきまして、その検認制度を規定いたしてあります。すなわち登録自動車の所有者は、行政庁が公示または通知する期間内に自動車及び自動車検査証を行政庁に提示しなければなりません。  第四に、第十一條自動車登録番号標の交付制度及び第二十五條ないし第二十八條自動車登録番号標交付代行者の制度を採用しまして、標板の適正を確保したことであります。標板の行政庁交付制度は米国等において実施されておりますが、本法におきましては、この国家事務の信託にたえ得る適正な者に対して、標板の販売業務を代行させる新しい制度を加えたのであります。  第五に、第二十九條から第三十二條におきまして、自動車の同一性を表示する手段であります車台番号及び原動機番号の打刻及びその保存につきまして、明確に規定いたしました。自動車の登録に登記的効力を与えますためには、打刻の厳正は絶対に必要となるのであります。  第六に、第三十七條及び第三十八條におきまして登録に関する訴願の前位手続といたしまして異議の申立て制度を採用し、事務処理の迅速化とその民主化を期した次第であります。  第三章は、道路運送車両の構造、装置及び性能につきまして、保安上必要最小限度の基準を規定したものでありまして、この基準に適合しなければ、道路運送車両を運行することはできないのでありますが、この基準に従いまして、第四章に規定されております道路運送車両の整備、及び第五章に規定されております道路運送車両の検査が行われることによりまして、車両の安全性が確保されるのであります。現行法におきましては、車両の保安基準の規定は、すべて車両規則に包括的に委任いたし、その第六條ないし第二十三條の三に具体的に規定されているのでありますが、本法におきましては、現行規定と同じような保安基準の必要項目につきまして具体的に規定いたしました。しかしその内容につきましては、日進月歩いたします道路運送車両の発達に即応するため、法律に固定いたしませず、省令に委任することとしております。なお第四十六條の保安上の技術基準の原則の規定は、本法において道路運送車両の保安基準を規定したのは、道路運送車両の安全性確保の目的のみで、それ以外には何ものもないという意味であります。道路運送車両の発達は車両が活発化し、それを随所に使用いたしまして公共の便益を増進することであります。従いまして運輸大臣が、運輸省令で定めます保安基準は、不必要な制限を加えて車両の使用による道路運送の発達、及び車両生産者の創意くふうによる車両生産の発達を阻害するものであつてはならないことは当然でありますので、このことに関しまして注意的に規定いたしたものであります。  第四章は、道路運送車両の整備についての規定であります。車両は、前章に規定した保安基準に適合しないと、運行の用に供することができませんから、その使用者は常に車両を整備しておかなければなりません。現行法におきましては、第五十五條に(1)車両の使用者に対し整備をすべき義務(第一項)、(2)行政庁に対し整備命令権の付与(第二項)及び(3)行政庁に対し整備命令違反者に対する強制措置権の付与(第三項)を規定し、具体的事項は、車両規則第三十五條ないし第三十九條及び第四十七條に委任いたしております。  本法におきましては、使用者の自主的整備に重点を置きまして、次の諸点につきまして新たに規定を加えました。第一に、第四十七條の規定によりまして、運行開始前の仕業点検により日常整備の完璧を期することであります。第二に、自動車使用者の自主的整備体制の充実のために、第四十八條整備の技術基準による勧告制度、第五十條ないし第五十三條の整備管理者制度及び第五十六條の自動車車庫に関する勧告制度を設けたことであります。整備管理者の制度は、乗車定員十一人以上の自動車、すなわちバス型車両の使用者自動車運送事業者または十両以上の自動車使用者に対し、車両整備励行に関する責任者を選任させまして、その技術者としての良心に信頼しまして自動車の自主的整備を確保いたしたものであります。なお整備技能の向上をはかりますため、自動車整備士技能検定規則によつて実施いたしておりました整備士技能の任意検定制度を第五十五條に規定いたしました。  次に第五章について申し上げます。第五章におきましては、道路運送車両の安全性を確保するため国の行う手段として、当該車両が第三項に規定する保安基準に適合しているかどうか、その使用者が使用の権利を有するかどうかを確認いたすための車両検査について規定いたしております。道路運送車両は、第五十八條及び第七十三号に規定いたしますように、その使用の本拠の位置を管轄する行政庁の行う検査を受け、その検査証の交付を受けなければ、運行の用に供することはできません。  現行法におきましては、第五十四條に原則を規定いたし、具体的規定は車両規則に委任いたしております。本法におきましては、第五十八條新規検査、第六十二條継続検査、第六十三條臨時検査及び第六十四條において自動車を分解整備した場合に受ける分解整備検査についてそれぞれ規定するとともに、車両の検査証に関しまして第六十條、第六十一條及び第六十六條ないし第七十條にきわめて具体的詳細に規定いたしております。しかしその内容は、自動車の分解整備検査を加えたこと及び原動機付自転車を自動車より分離して検査を簡単にしたことのほかは、現行とまつたくかわりがないのであります。  次に、自動車の保安及び使用効率の向上並びに使用者等の利便の増進を目的として、自動車の指定に関する省令に基きまして、現在行つております自動車の型式指定制度につきまして第七十五條に規定いたしました。自動車の型式指定制度は、申請の自動車の構造、装置及び性能が保安基準に適合し、かつ均一性を持つております場合、その型式を指定し一第五十九條第二項新規検査の省略、第七條第三項新規登録の場合の自動車呈示の省略等の効果を与えまして、自動車製作者、自動車使用者等の便利をはかつた制度であります。  次に、現在車両規則第二十六條によつて行つております使用前の自動車、すなわち商品自動車に対する予備検査の制度に関しまして、その手続その他を詳細に第七十一條に規定いたしました。この制度は、自動車の所有者の申請により車両検査を行い、保安基準に適合する場合は自動車予備校査証を発行、これにより自動車の新規検査の手続の省略を受けることができるのでありまして、所有者の自動車販売を円滑にいたすとともに、新所有者、使用者の便益をはかつたものであります。なお原動機付自転車が自動車の範疇から分離されたことによりまして、その検査は旅客軽車両の検査と同様に、第七十三條第一項におきまして、都知事または市町村長の権限となつております。  第六章は、自動車の整備事業に関する規定であります。自動車の保安を確保いたしますためには、その保安基準を定め、自動車使用者の整備及び国の車両検査を完全正確に行いますとともに、自動車整備を業といたします整備事業者の体制を確立することが同時に必要であります。現行法におきましては、自動車整備事業に関する法規制として、前に申し上げました自動車整備士技能検定規則に基く自動車整備士の検定制度、及び自動車整備工場認定規則に基く整備工場の認定制度の二つの任意制度があるだけでありますので、自動車の保安確保上片手落ちと言はざるを得ません。  本法におきましては、第六十四條第一項本文によりまして自動車を分解し整備した場合は、使用者はその都度車両検査を受けなければならない建前になつておりますが、この検査の実施は、現在の車両検査設備及び車両検査要員をもつてしてはとうてい不可能でありますから、自動車分解整備事業者に国にかわつて分解整備検査を正確に行わしめる体制を考える必要が生ずるのであります。また最初に申し上げましたような車両事情、すなわち整備不良に基く車両事故の頻発、自動車の高速度化に基く保安向上の必要性、老朽自動車の増加に基く分解整備の必要性の増大等にかんがみましても、自動車使用者の全面的委託を受けて整備作業を行います分解整備事業者の体制を確立いたしますことは、緊急事であります。過般のアジア及び極東経済委員会におきまして、自動車の整備体制の遅れているアジア諸国においては、これが体制確立のため特段の措置を講ずべきであることを決議いたしております。  本法におきましては、整備技術の特殊性に応じまして、第七十七條で自動車分解整備事業を普通自動車分解整備事業、小型自動車分解整備事業及び電気自動車分解整備事業の三種類に分類いたし、次のような事項を法律に規定いたしております。  第一に第七十八條、第七十九條、第八十條及び第八十四條の事業認証に関する規定であります。自動車分解整備事業を経営しようとする者は、第七十八條第一項によりまして、事業の種類及び分解整備完成検査を行う事業場ことに陸運局長の認証を受けなければなりません。認証と申しますのは、国の検査に準ずる完成検査を適正に施行し得る最低限度の技術上の能力を有するかどうか、及びその事業場が完全な分解整備を行い、かつ完成検査を施行するために必要な最低限度の設備を有するかどうかを純粋に技術的、物理的に確認いたすとともに、依頼自動車を信頼して管理させ得るかどうかについて、最低限度の欠格要件に照して形式的に確認し、その結果要件を具備するものであるときは、表示等の方法により、自動車使用者その他一般に対し、自動車の保安の見地から国が行政上証明するものであります。この認証は、第八十條に規定する認証基準に従つて行われるのであります。  第二に、第九十條におきまして、自動車分解整備事業者が分解整備を完了したときは、その自動車について国にかわつて完成検査を行わなければならないことを規定するとともに、その完成検査の責任を明確にして、安全性の確保上遺憾のないようにするため検査主任者の制度を定め、その選任方法、監督方法等について第八十五條ないし第八十八條に規定いたしております。検査主任者の完成検査が終つた自動車に対しましては、第六十四條第一項但書によりまして、国の分解整備検査が省略されます。  第三に、第八十一條事業内容変更の場合の届出義務、第八十二條事業者の相続または合併、及び第八十三條の事業の譲渡の規定を設けますとともに、一般自動車使用者の便利のために、第八十九條で分解整備事業者の標識表示の義務を規定し、実態把握、行政監督のために第九十一條におきまして分解整備記録簿備えつけの義務を規定いたし、さらに第九十二條及び第九十三條におきまして、設備が技術基準に適合しない場合の保安命令、並びに事業継続の適格性を欠くに至つた場合の事業の停止及び認証の取消しに関しまして規定を設けました。これ等の規定は、整備事業の健全な発達をはかり、かつ完成検査の代行等のごとき民主的な方法により、行政上の保安目的を達成するためのものでございます。また整備技術及び整備設備の質の向上をはかりますために、運輸省令の自動車整備工場認定規則に基きまして、自動車整備工場の認定制度を実施いたしておりますが、二十三年八月規則施行以来、本日までに三百六十六工場について認定をしております。本法におきましては、この制度を第九十四條に規定いたしましたが、実施の要領は従前通りでございます。なお第九十五條に自動車整備振興会に関する規定を設けましたが、これは民法第三十四條による公益法人でありまして、自動車整備の設備の改善及び技術の向上をはかり、自動車整備事業の全体のレベルを向上せしめるための法的措置でございます。自動車整備振興会の活動は、事業者団体法の範囲内に限られるのでありますが、自動車整備の向上及び事業の発達に役立つものと考えております。  次に第七章について申し上げます。第七章は雑則でありまして、前各章の規定に対する補充規定を列挙したものであります。第八十七條の登録自動車に対する強制執行等の規定は、登録自動車であつて軽自動車及び二輪の小型自動車以外のものが、第五條の規定によりまして不動産的な取扱いを受けることになりましたので、その強制執行及び競売につきまして、不動産及び船舶に準じた取扱いによるための規定であります。  第九十八條に、不正使用等の禁止についてでありますが、自動車登録番号標、自動車登録の検認票、臨時運行許可番号標等を偽造、変造などを行いますと、本法の目的達成を阻害いたしますから、刑法の公文書偽造の罰に準じて罰則を課す必要があるので、本條に規定したのであります。  第九十九條は、工場敷地内、飛行場、岸壁等、道路以外の場所のみにおいて自動車を使用する場合の保安基準を定めたものであります。  第百條は、実情把握の最も端的な方法であります報告徴収及び立入検査に関する規定であります。  行政の公正と国民の権利の保護を期しますための民主的規定としまして、第百一條一般に対する運輸大臣の告示の義務、第百三條顧問の制度、第百四條訴願の規定があります。  第百二條におきましては、登録その他に要する経費に対する受益者負担の適正化及び国の財源確保のための手数料に関することを規定いたしております。   第百五條は、職権委任の規定であります。本法に基く行政処分はすべて国の事務でありますが、事柄の重要度に応じまして、陸運局長に対し職権を委任し、またはさらに陸運局長の権限を都道府県知事に委任することとしたのでありますが、現行法の第四條第三項の規定に相当するものでありまして、現行とほとんどかわりありません。ただ原動機付自転車が自動車より分離されましたことに伴いまして、その行政庁が都の特別区以外の区域及び道府県においては市町村長になりましたことと、自動車の臨時運行の許可権限庁が、現行は都道府県知事でありますが、本法におきましては、申請者の便利のために、都道府県知事、市長、特別区の区長及び政令で定める町村長となつたことであります。  第八章の罰則は、前各章の規定の励行を確保いたしますために、各種の刑罰及び行政罰に関して規定いたしました。第百十一條はいわゆる両罰規定でありまして、一般の行政法規にありますように、行為の主体のみならず、その使用主に対しても罰金刑を課しまして、使用主の監督の励行をはかつたものであります。  附則におきましては、本法施行の日を規定いたしましたが、本法を一般に周知さす期間、法律によつて委任された命令の制定を準備いたす期間等を考慮いたしまして、七月一日を施行期日とたいしております。ただ本法におきまして、新たに軽自動車及び二輪の小型自動車以外の登録自動車に対しまして、不動産的な取扱いをするようにいたしましたので、登録内容を毎確認してその真正を期しますための期間、新しい民事的効力を付与したことを一般に周知徹底させるための期間等、その円滑な実施のためには、相当の準備期間を必要といたしますので、本件に関する第五條並びに第九十七條第一項及び第三項の規定は、昭和二十七年四月一日から施行することと致しました。  次に道路運送車両法施行法案について申し上げます。これは、本法実施のために関係法令を廃止または改正いたすとともに、現行法に基く処分の経過措置等に関して規定いたしたものであります。  第一に道路運送車両法におきまして、従来車両規則等の省令で規定されておりました事項を極力法待事項といたしましたので、第一條はそれらの省令を廃止いたしたのであります。  第二に、道路運送車両法におきまして原動機付自転車を自動車から分離いたすとともに、自動車登録番号標交付代行者の指定、自動車の車台番号及び原動機番号の打刻、自動車車庫についての勧告……。     〔委員長退席、大沢委員長代理着席〕 自動車の使用にかかる整備管理者等、自動車整備士の技能検定、自動車整備事業の認証、及び優良自動車整備事業者の認定を新たに法律に規定いたしましたので、それに伴いまして、第二條により運輸省設置法の関係箇所を整理いたしました。  第三に、現行法に基く処分の経過措置に関するもので、第三條ないし第十六條の規定がこれに相当いたします。すなわち自動車の登録に関する第三條及び第四條の規定、臨時運転の許可に関する第五條の規定、自動車の検査に関する第六條及び第七條の規定、原動機付自転車に関する第八條の規定、旅客軽車両の検査に関する第九條の規定、自動車整備士技能検定に関する第十條の規定、自動車の指定に関する第十一條の規定、自動車整備工場の認定に関する第十二條の規定、車両番号標及びその封印に関する第十三條ないし第十五條の規定、臨時運転許可証、臨時車両番号標、車両検査証等に関する第十六條の規定でありまして、それぞれ旧法による処分を新法による処分とみなすごとと規定したものであります。  第四に、新しく規定されました事項に関しまして、猶予期間等を規定したものでありまして、第十七條ないし第二十二條の規定がこれに当ります。すなわち道路運送車両法施行の際、現に自動車の車両番号標の販売を業としている者に関する第十七條の規定、整備管理者の選任に関する第十八條の規定、道路運送車両法施行の際、現に自動車分解整備事業に相当する事業を経営している者に関する第十九條の規定、検査主任者の選任に関する第二十條の規定、手数料の免除に関する第二十一條の規定及び陸運局長自動車登録番号標の交付及び購入に関する第二十二條の規定であります。第十七條におきましては六箇月、第十八條ないし第二十條におきましては一箇年の猶予期間を認めております。  第二十一條は、旧法による登録の確認の意味の新規登録に対しまして手数料を免除する規定であります。  第二十二條は、予算その他の関係で当分の間、陸運局長自動車登録番号標の交付及び購入の事務を行わない旨の規定であります。  附則は、法律施行の日を定めております。施行法は、道路運送車両法実施のための法律でありますから、道路運送車両法施行日、すなわち昭和二十六年七月一日を施行の日としたのであります。  以上によりまして、道路運送車両法案及び同法施行法案に関しましてそのおもな点の御説明を終りますが、よろしくお願いいたします。
  4. 佐竹達二

    ○佐竹政府委員 私から自動車抵当法案及び同法施行法案の概略を御説明申し上げます。  最近におきます自動車輸送の復興の状態はきわめて目ざましいものがあるのでありますが、現下の経済情勢下におきまして、事業資金調達等金融面に関しましては、関係業者は非常な努力を要するのでありまして、これが救済策として、金融円滑化のための制度を、法律化いたしますことは、自動車輸送の健全な発達のために緊急事であるのでございます。  自動車抵当制度の創設を必要といたします第一の理由は、車両更新の促進ということであります。自動車は、消粍率が大きく、物理的耐用年数が短いものでありますから、これを適切に更新いたしませんと、燃料費、整備費等が激増しまして、事業の収支が不健全になりますとともに、老朽車両は、往々事故の原因となりますので、安全性の確保が困難となつて参るのであります。しかしながら、新車を購入いたしますときに、その代金を自己資本によりまして即時払いをすることは、自動車運送事業者の現状におきましてはほとんど不可能に近いのでありまして、月賦による方法と購入資金借入れの方法とが考えられるのであります。  昨年七月調査によりますと、運送事業車両はほとんど百パーセント、自家用車両はその過半数が月賦販売によつております。現在の月賦販売制度におきましては、販売業者は、債権の担保として車両の所有権を保留しつつ、現車の使用は買主にゆだね、月賦金を完済したときに初めて所有権を買主に譲る方法をとつているのでありますが、自動車は動産でありますので、所有者はそれを占有しない限り、即時取得、先取特権の効力等によりまして、その所有権を失うおそれがありますから、きわめて不安定であります。この欠陥を除去いたしますために、現在の最も進歩した担保方法であります抵、権の設定を、自動車に対しても可能にいたしますことが強く要望されるのであります。  次に、車両購入資金の借入れの方法といたしまして、現在所有している自動車使用はそのままとして、その所有権を銀行等、債権者に壤渡し、債務完済後再び所有権をとりもどす方法、いわゆる壤渡担保の形式が用いられております。しかし、この譲渡担保の方法も、自動車か動産であります限り、前の月賦販売制度による方法と同様な欠陥があるのでありまして、自動車抵当制度が要望されるのであります。  自動車抵当制度の創設を必要といたします第二の理由は、運転資金等の資金確保を容易にするということであります。自動車運送事業者の固定資産のうち、その約八〇%は自動車でありまして、それを担保として資金を調達いたします場合は、前にお話しいたしました譲渡担保の方法をとつているのであります。従いまして確実、迅速かつ簡易な担保方法といたしまして、自動車抵当制度が要望されるのであります。現行法上、動産に抵当権の設定が認められておりますのは、農業動産信用法によります農業用動産と、商法の規定によります船舶のみでありまして、自動車にそれが認められていない理由は、適当な公示の方法がなかつたためであります。  しかるに、今回の道路運送車両法によりまして、自動車抵当制度実施の必要條件が十分に充足されることになりました。すなわち、自動車登録制度は、二十三年道路運送法施行と同時に実施しておりますので、実際の運営も次第に整備されて参つたのでありますが、道路運送車両法におきましてはすでに御説明いたしましたように、自動車の車台番号及び原動機番号の打刻及び保存につきまして明確に規定し、自動車の同一性の把握を容易にいたしますとともに、自動車登録の手続をさらに整備充実することによりまして、道路運送車両法第五條におきまして自動車登録に対して、自動車の所有権に関する公示力を与え、自動車を不動産的に取扱うようにしたのであります。この登録制度を抵当権の公示方法として利用することによりまして、動産抵当として自動車抵当制度の実施が法律的に可能となつたのでございます。  以下法案内容につきまして御説明いたします。  第一に、この法律の制定の目的について第一條規定しておりますが、これは自動車抵当制度の必要な理由につきまして御説明いたしましたように、自動車抵当制度を創設いたしまして、車両更新の円滑化及び資金調達の確保をはかること、従つてそれによりまして自動車運送事業発達自動車輸送の振興をはかるということであります。  第二に、自動車抵当権の意義及び性質であります。自動車抵当権は物権、すなわち一定の物を直接に支配して利益を受ける排他的権利でありますが、民法に定める物権でなく、民法第百七十五條にいいますところの他の法律、すなわち自動車抵当法により創設せられた物件であります。  抵当権は、民法第三百六十九條第一項に規定いたしておりますように、債務者または第三者が、占有を移さないで債務の担保に供しました目的物に対しまして、債権者が他の債権者に優先して自己の債権の弁済を受ける権利でありますから、本法第四條におきましても、自動車を対象といたします動産抵当権であります自動車抵当権につきまして、民法と同様な内容について規定したのであります。抵当権と質権との根本的な相違は、前者にありましては、目的物を引続き担保権設定者の占有にとどめるのに反しまして、後者にありましては、目的物を担保権者に現実に引渡しますか、あるいは少くとも第三者に占有せしめまして、担保権設定者がみずからこれを現実に占有し得ないのであります。なお抵当権の不可分性及び物上代位性につきましては、あとで御説明いたします。  第三に、自動車抵当権の設定でございます。第二條及び第三條は自動車抵当権の目的となり得る自動車規定したものであります。軽自動車及び二輪の小型自動車は物理的に小さく簡易に過ぎますので、事実と公示との符合を確保することが困難でありますので、これを除いておりますが、これは船舶が二十総トン以上のものに限られるのと同じ理由であります。また抵当権の公示方法といたしまして、道路運送車両法によります自動車登録を利用いたします関係上、同法による登録を受けていない自動車は、抵当権の対象となり得ないのであります。  なお法律関係の錯綜を防止いたしますために、第二十條におきまして抵当権の対象となり得る自動車を質権の目的とすることはできないことを規定しております。抵当権を設定し得る債権に関しましては、農業動産信用法のごとき制限を設けておりません。自動車抵当権は、他の抵当権と同様に契約のごとき意思表示だけで設定することができるのでありまして、これは民法第百七十六條によるのであります。たとえば質権の設定が目的物を質権者に譲渡すことを必要としているのと異なるのであります。第九條に規定いたしておりますが、抵当権の設定は自己の債務ばかりでなく、他人の債務を担保するためにも可能でありまして、この場合抵当権設定者が債務を弁済し、また抵当権の実行によりまして抵当自動車の所有権を失つたときには、債務者に対し求償することができるのであります。この規定は、民法第三百七十二條におきまして準用する第三百五十一條質権の物上保証人の求償権の規定と同じ趣旨でございます。前に申しましたように自動車砥当権の設定は、意思表示だけで可能でありますが、抵当権の取得、喪失及び変更に関しまして第三者に主張いたしますのためには、第五條規定しておりますように自動車登録原簿に所定の登録を受けなければならないるであります。  第四は、抵当権の効力についてでありますが、おおむね條文の順位に従いまして御説明いたしたいと存じます。  第四條の規定によりまして、抵当権者が他の債権者に優先して自己の債権の弁済を受け得ることにつきましては、抵当権の性質として御説明申し上げた通りでありますが、さらに第十五條によりまして、抵当権者は抵当自動車の代価で弁済を受けられない債権残額につきまして、他の債権者と同様に、抵当自動車以外の一般財産から弁済を受けることができるのであります。また第十五條第二項は、抵当自動車の代価に先だつて一般財産の代価の配当を受けられますときには、抵当債権者は債権全額で配当に加入し得ることを規定しております。しかしこの場合、一般債権者の保護をはかるため、第十五條第三項は、一般債権者は抵当権者に配当すべき金額の供託を請求することができる旨を規定しております。すなわち抵当権の実行によりまして弁済を受け得ない債権の不足部分につきまして、供託金から弁済を受けるのでありまして、供託金になお余りがあります場合は、一般債権者に分配されるのであります。第十五條は民法第三百九十四條に相当する規定であります。  次は第六條に規定いたしております抵当権の効力の及ぶ目的物の範囲でありますが、これは民法第三百七十條に相当するものでございます。抵当権は、抵当自動車自体とともに、その効方を確保するために附加して一体となつている物、たとえばシートのごとき従物に及ぶという規定であります。しかし同條但書によりまして、抵当権設定行為におきまして別の定めをすることもできますとともに、債務者が抵当自動車に物を附加させたために、債務者の一般財産が減少して、一般債権者の権利を詐害いたすような場合には、自動車抵当権の効力はその附加物には及ばないのであります。  次は第七條規定いたしております抵当権の不可分性でありますが、これは民法第三百七十二條によります民法第二百九十六條の準用と同じ趣旨のものであります、たとえば債務者が債務の半額を弁済いたしましましても、債権者は後の債権のために、抵当自動車の全部の上に抵当権の効力を及ぼすことができる規定でありまして、債権担保の効力を強固にするためのものであります。  次は第八條規定いたしております抵当権の物上代位でありますが、これは民法第三百七十二條によります民法第三百四條の準用と同じ趣旨のものであります。抵当権は抵当自動車の讓渡、貸付、滅失または毀損によりまして、抵当権設定者が受けるべき譲渡対価、賃貸料及び賃貸借他の権利金、保険金及び損害賠償金その他に対します請求権の上にも及ぶのであります。  次は抵当権の順位に関します第十條及び第十一條規定であります。第十條は民法第三百七十三條に相当する規定でありますが、同一の自動車に対しまして数個の抵当権が設定されましたときの抵当権の順位は、登録の前後すなわち対抗力を具備した時期によるということであります。なお登録をしていない抵当権者は、第三者に対抗する効力を持ちませんから、他の登録のあります抵当権者に対しまして先順位を主張できないばかりでなく、一般債権者に対しても優先権を主張することはできません。  第十一條は、抵当権者と先取特権の順位を規定したものでありますが、動産抵当権であります自動車抵当権は、動産質権の同等以上の保護を受けるべきでありますことは当然でございますから、動産質権の先取特権に対します順位関係を踏襲したのであります。すなわち自動車抵当権は、民法第三百三十條第一項に規定いたします第一順位の先取特権でありますところの不動産賃貸、旅客宿泊及び運送の先取特権と同一の順位としたのであります。  次は第十二條に規定いたしております被担保債権の範囲でありますが、これは民法第三百七十四條に相当するものでございます。抵当権者が約定利息その他の定期金を請求する債権を持ち、それも抵当権によつて担保されております場合に、抵当権実行のとき、抵当権の及び得る範囲を満期となりました最後の二年分に制限いたしまして、二番抵当権者のように、抵当自動車について正当な利益を持つております第三者を保護する規定でございます。同條第二項によりまして、遅延利息に対しましても同様な制限を受けるのであります。  次は抵当自動車の第三取得者の保護の規定でございます。  第十三條は代価弁済でありまして、民法第三百七十七條に相当する規定であります。たとえば六十万円の債権の担保のなつております自動車を五十万円で買う第三者があります場合、抵当権者が買主に対しましてその代価を請求し、買主がこれに応じて弁済する制度であります。債権残額十万円は無担保債権として存続しますが、抵当権はこれによつて消滅するのでありまして、この制度は抵当権者と第三取得者とがともにこの結果を欲した場合のものでありますから、抵当権者も第三取得者も好都合であるわけです。  第十四條は民法第三百九十一條に相当する規定でありまして、抵当自動車の第三取得者が抵当自動車の価値を維持するために、たとえば日常整備費等の必要費及びたとえば自動車改良費等の有益費を支出いたしましたときは、優先的にその費用の償還を受けることができるのであります。  次は抵当権の実行に関します第十六條及び第十七條規定であります。自動車抵当権の目的とすることのできます自動車は、道路運送車両法によります登録自動車で、軽自動車及び二翰の小型自動車以外のものでありまして、その対抗力は自動車登録原簿への登録に対して付与されているのでありますから、道路運送車両法により抹消登録があつた場合には、そのときから抵当目的物も対抗力もなくなるりくつでありますが、これでは抵当権者に対しまして酷でありますから、保護規定を置く必要があります。  第十六條の前段は、抵当自動車につきまして、道路運送車両法第十五條による抹消登録の場合の規定でありまして、車両法第十五條第一項各号に規定しておりますように、登録自動車が滅失し、解体し、または自動車の用途を廃止したときと、当該自動車の車台がかわつて自動車の同一性がなくなつた場合におきましては、抵当権者はさきに御説明いたしました物上代位権を発動することができるのでありますが、そのために必要な差押えを確実にいたすために、陸運局長の抵当権者に対しまする通知義務を規定したのであります。第十六條後段及び第十七條は、道路運送車両法第十六條によります任意抹消登録の場合の規定でありまして、道路運送車両法第十六條の規定によりまして、登録自動車を運行の用に供することをやめ、抹消登録を申請いたしましとたきは、自動車の同一性はそのままでありますから、第八條によります物上代位権の発動は不可能でありますので、特に抵当権者の保護を規定したものであります。第十六條後段は、陸運局長の通知義務を規定し、第十七條第一項は、右の通知があつた場合は、抵当権者は債権の弁済期到来前でも、ただちに抵当権を実行することができることを規定したのであります。第三項によりまして、この実行着手可能の期間は、通知を受けた日から三箇月に限定し、所有者の利益を保護しております。第三項に陸運局長の抹消登録処分の保留を規定いたしましたのは、抵当目的物及び対抗要件の喪失を防止するためであります。さらに第四項は、裁判所の競落を許す決定が確定いたしましたときは、任意抹消登録の申請がなかつたものとみなして、競買人に移転登録をすればよいことにしたのであります。元来ならば、一旦抹消登録を行い、さらに競買人の新規登録を要するのを簡便したのであります。  抵当権実行の手続に関しましては、不動産に準ずることとしまして、道路運送車両法第九十七條規定いたしております。  なお、この新制度の円滑な運用のために、絶対必要な法律関係以外のものはなるべく省略して、登録内容等の簡素化をはかりまして、民法第三百七十五條及び第三百七十六條の抵当権の処分、民法第三百七十八條ないし第三百八十七條の滌除、民法第三百九十二條、第三百九十三條の共同抵当における特則等の法律関係は本法に援用しておりません。  第五は抵当権の消滅でございます。抵当権は被担保債権の消滅、競売の完結、目的物の滅失、代価弁済、混同、目的物の収用等によつて消滅するのでありますが、第十八條及び第十九條は、抵当権の消滅に関します特殊の事項規定いたしたものでありまして、民法第三百九十六條及び第三百九十七條に相当する規定であります。  第十八條は、自動車抵当権の時効消滅の規定であります。抵当権は、債権を担保する目的をもつて存在する権利でありますから、債務者及び抵当権設定者に対しては、被担保債権が民法第百六十七條第一項の規定によつて消滅時効にかかるまでは、時効によつて消滅しないことを規定したのでありますが、抵当権の消滅時効は、民法第百六十七條第二項の原則によりまして、二十年でございます。なお債権者及び抵当権設定者以外の者、たとえば次順位の抵当権者または抵当自動車の第三取得者に対します関係では、被担保債権が消滅時効にかからなくとも抵当権だけが単独で消滅時効にかかるのであります。     〔大澤委員長代理退席、三委員長着席〕  第十九條は、取得時効によります自動車抵当権の消滅を規定いたしたものであります。民法第百六十二條第一項の規定によりまして、二十年間占有の意思をもつて、平穏かつ公然に他人の自動車を占有した者は、時効によつてその所有権を完全に取得するのでありますから、その自動車の上の他人の抵当権も消滅するのでありますが「本條は債務者または抵当権設定者が、たとい時効取得に必要な占有状態を継続しても、これによつて自動車抵当権は消滅しないという点に意義があるのであります。  最後に附則におきましては、本法施行の日を規定いたしましたが、本法施行のために必要な道路運送車両法の関係條文、すなわち登録自動車の所有権の得喪の対抗力に関します第五條、登録自動車に対する強制執行等に関します第九十七條第一項及び第三項の施行の日が昭和二十七年四月一日になつておりますので、それに本法を一致させますために、昭和二十七年四月一日を施行の日としたのであります。  これは道路運送車両法の施行期日について御説明申し上げましたように、自動車抵当権の対象となります軽自動車及び二輪の小型自動車以外の登録自動車の登録内容を再確認してその真正を期しますための期間、新しい制度でありますから一般に周知徹底させるとともに、役所がその実施の準備をいたします期間等、相当の準備期間を要するからであります。  次に、自動車抵当法施行法案でありますが、これは自動車抵当法実施のため、関係法令を改正いたすとともに、現に各種財団等に属しております自動車に対します経過的措置等を定めたものであります。  第一に、軽自動車及び二輪の小型自動車以外の自動車は、道路運送車両法におきまして不動産的取扱いを受け、自動車抵当法によりまして抵当権の対象となるようになりましたから、それが鉄道抵当法によります鉄道財団、工場抵当法によります工場財団等の組成物件になります場合にも不動産と同じような取扱いにいたしたものであります。  第一條は、鉄道抵当法の改正でありまして、不動産に対します自動車、不動産の登記に対します自動車、不動産の登記に対します自動車の登録、管轄登記所に対します管轄陸運局長等を鉄道抵当法の関係規定の中に加えたのであります。  第二條は、工場抵当法の改正でありまして、第一條の鉄道抵当法の改正と同じ趣旨であります。ただ工場抵当法に第十三條の二を加え、道路運送車両法による自動車で軽自動車及び二輪の小型自動車以外のもの、すなわち不動産的取扱いを受ける自動車は、自動車登録原簿に登録を受けなければ、工場財団に属することができない旨を規定いたしましたのは、工場抵当法第十二條におきまして、工場財団を組成すべき土地または建物について所有権保存の登記を義務づけておりますことに対応したのでありまして、これも右の自動車を不動産的に取扱うことから出たのであります。  なお鉱業財団抵当、漁業財団抵当及び自動車交通事業財団抵当については、工場抵当法の規定を準用し、軌道財団抵当及び運河財団抵当については、鉄道抵当法の規定を準用しているから、本條と同じような規定を別に必要としないのであります。  第二に、自動車抵当法によりまして、新たに自動車が抵当権の目的となるようになりましたので、自動車の動産抵当につきましては、農業動産信用法による必要もなくなりましたし、私法関係の錯綜を防止する意味もありまして、自動車抵当法によることとしたのであります。これが第三條によります農業動産信用法施行令の改正であります。  第三に、自動車抵当法施行の際に、各種財団の組成物件となつております自動車、農業動産偏用法によりまして抵当権の目的物となつております自動車及び質権の目的となつております自動車に関します必要な経過措置を規定いたしたのであります。  第四條は、自動車抵当法施行の際、鉄道財団に属しております自動車に関するものでありまして、その自動車道路運送車両法による登録を受けるまでは、当然動産として上取扱いまして、改正前の鉄道抵当の規定を適用するのでありますが、道路運送車両法による登録を受けました場合は、不動産的取扱いとなりますので、鉄道抵当法におきましても、改正後の規定が適用されることとなるのであります。本條第二項以下の規定は、現在財団の組成物件となつております自動車が、登録自動車なつた場合の取扱い方法を規定いたしたものでありまして、第二項及び第三項によつてその自動車は、財団目録に表示の変更が登録されるとともに、第四項及び第五項によつて鉄道財団に属する旨が自動車登録原簿に登録されるのであります。これによりまして自動車抵当法の円滑な施行が期し得られるわけでございます。  第五條は、自動車抵当注施行の際に工場財団、鉱業財団等の財団の組成物件となつております自動車につきましても、鉄道財団の組成物件となつております場合と同様に取扱うのが当然でありますから、第四條によります方法を準用したのであります。  第六條は、自動車抵当法施行の際、農業動産信用法によりまして抵当権の目的物となつております自動車に関する規定であります。第三條によります農業動産信用法施行令の改正によりまして、軽自動車及び三輪の小型自動車以外の自動車は、農業動産信用法による抵当権の対象とはなり得ないのであありますが、現に対象となつておりますものにつきましては、適正な調整をいたす必要がありますので、次のような方法によつたのであります。  第一項によりまして二箇月の猶予期間を置いてありますが、抵当権設定者が道路運送車両法によります自動車登録原簿に登録を受けた場合は、抵当権者が右の期間内に、その自動車の農業動産信用法による抵当権の目的となつている旨の登録を自動車登録原簿に受けますと、自動車抵当法によります抵当権とみなされるのであります。もし二箇月以内に、抵当権設定者がその自動車につきまして道路運送車両法によります登録を受けない場合は、抵当権者はただちに抵当権を実行することができるであります。  第七條は、自動車抵当法施行の際、現に質権の対象となつております自動車に関まる規定であります。自動車抵当権の目的となり得ます自動車は、自動車抵当法第二十條によりまして、質権の目的となることを禁ぜられておるのでありますが、現に質権の対象となつておりますものにつきましては、適正な調整をいたす必要がありますので、二箇月の猶予期間を認め、その期間内に質権の目的となつている旨を自動車登録原簿に登録を受ければ、質権の効力が存続することとしたのであります。  第四は、自動車抵当権の登録は私権の登記と同様でありますので、登録税を徴収する必要がありますから、第八條によりまして登録税法を改正したのであります。その税額は、農業用動産抵当の登記の場合の登録税と同額であります。  第五は、自動車抵当法によります自動車抵当を社債の物上担保とする道を開き、運送事業者等のために相当長期の比較的多額の賃金確保をはかりますために、第九條におきまして、担保付社債信託法の改正を行い、船舶抵当の次に自動車抵当を規定したのであります。  最後に附則は、法律施行の日を定めております。施行法は、自動車抵当法実施のための法律でありますから、自動車抵当法施行の日、すなわち昭和二十七年四月一日を施行の日としたのであります。  以上によりまして、自動車抵当法案及び同法施行法案等に関しまして、御説明を終ります。
  5. 前田郁

    前田委員長 本案に対する質疑は次会に行います。     —————————————
  6. 坪内八郎

    ○坪内委員 この際、委員諸君のお許しを得まして、次の議題外のことにつきまして発言をさせていただき、次の件について動議を提出いたしたいと考えるわけであります。  すなわちいわゆるF型船の救済方について、わが国の海運業界の現状並びに周到なる海運政策の大局的見地からして、これに対し当委員会の委員諸君の強力なる御協力をいただきまして、次の措置について協力するという申合せをしていただきたい、かような動議を提出いたしたいと思うのであります。  そこで協力事項を簡単に申し上げます。すなわち第一に、F型レシプロ船をデイーゼル船に改装する資金を、日本開発銀行またはその他の長期低利資金より借入れできるよう特別の措置を講ぜられたいということと、第二は、F型船に対する市中金融機関及び復金等よりの借入金約四億七百六十万円を、近くできるところの日本開発銀行またはその他の長期低利融資資金に肩がわりできるような措置を講じてもらいたいというのがその協力事項であります。  そこでこの御協力をいただくにつきましては、F型船の建造の経運を簡単に御説明申し上げ、御協力をいただきたいと思うのでありますが、もともとこのF型船は、終戦当時のわが国の工業生産の規模に適用せる船型として、終戦後昭和二十二年の造船建造計画に対し、国家的要請に基く政府当局の慫慂に呼応して、第一次より第三次まで連続建造せられたるわが国唯一の内航新造船であつたのであります。建造当時における燃料獲得などが非常に困難なる情勢にかんがみまして、政府の慫慂により不利なる採算をも顧みず、レシプロ機関を準備し、海上輸送力に貢献したことは特筆に値するところであります。右建造には艦船公団との共有を認められたが、これは政府においてもその建造を緊急措置とせられたためであると存じます。  さらにF型船の価値につきましては、本船はわが国港湾の地理的事情並びに石炭その他の積荷ロットより見て、荷主側にとり最も手ごろなる内航輸送機関として重要度の大なることは、衆目の見るところであります。現在内航船腹の大半を占める戦標改E型船は、その建造事情よりして、早晩相前後して使用不能となると思います。内航船腹の急激なる減少到来を予想せられる必然の趨勢にあり、わが国唯一の新造内航船腹としての本船の必要不可欠なることは、容易に考えられるところであります。そこで現船価も今後の新造船価に比較すれば、低船価とならんとの見方も失当ではないのであつて、当面わが国造船能力はあげて外航船腹建造に充当せられている現状にかんがみ、海運政策の大局的見地からいたしまして、本船の温存維持は絶対に必要であると信ずるのであります。  次にF型船運賃採算の特殊性について申し上げると、内航運賃は日本の地形からして、海岸線に並行する国鉄運賃と競合状態にあるため、勢い国鉄運賃が基本になり、しかも国鉄運賃は公称独立採算とはいうものの、私企業の操算とはまつたく類を異にする特殊な採算であつて、投下資本に対する金利、償却等は一切認められていない。かかる特殊採算の国鉄運賃に、内航運賃は追随せざるを得ない点に無理があると思われるのであります。しかもF型船は中共、朝鮮等に進出する調節弁が失われている一方、外航にも出られず、年中不採算な内航市場にとじ込められている事情にあるのであります。F型船は戦後国策の要請に沿つて、当時の特殊事情により不採算をも顧みず、急造せられたるため、その建造船価、船員費、運航費、保険料等割高につき、経営困難となり、赤字採算を続けて来ているのであります。本船は現状においては採算を割り、かりに経営者をかえ、これを運営するとしても、このままでは繁船のほかなき運命にあり、何人といえども本船を保有希望する者なく、不稼働船腹となり、近海重要物資輸送に支障を来すこととなるので、この際本船の更生活用をはかることが、わが国海運政策として緊急事であると思うのであります。従つて国家的な損失の防止におきましても、本陳情に関するF型二十六隻の総船価十三億五千五百万円中六五%に当る八億八千三百万円は、国家共有持分であり、その経営を現状の不備な状態に放置しておくことは、公団持分将来の償還に関しても多分に影響あり、国民の血統がしり切れとんぼにならぬよう、経営の好転をはかり、国家損失を防止したい、こういうことでありまして、結論におきましては、当初申し上げました通り、レシプロ船をデイーゼル・エンジンに切りかえるところの改造費の金融措置をしてもらいたいということと、それから銀行関係の、いわゆる肩がわりの関係を当委員会に何とかひとつ協力方をお願いしたい、こういうことでありますが、この点につきましては三月の下旬の、休会前の当委員会にも、当面の関係者から深刻な陳情がされておりまして、何とかしてこの問題を取上げて、これの救済方を講じてやらなければならないということをわれわれは考えたわけでありますが、委員諸君の御賛同を得まして、これが協力方の申合せをしていただきたいというのが、私の発言、動議の内容でございますので、よろしく委員諸君の御賛同を願いたいわけであります。
  7. 前田郁

    前田委員長 ただいま坪内委員より、F型船に対します借入れ問題その他についての、当委員会の協力方の申合せをしたいということでありますが、もちろん協力に対する問題に対しては、どなたも異議のないことと思いますが、皆さんただいまの坪内君の申出に対して御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 前田郁

    前田委員長 それではさよう決定いたします。     —————————————
  9. 前田郁

    前田委員長 次に、港湾運送事業法案を議題といたします。質疑を続けます。岡田五郎君。
  10. 岡田五郎

    岡田(五)委員 昨日大分質問いたしましたので、あと二、三点だけ簡単に質問させていただきまして、私の質問を打切りたいと思うのであります。港湾運送事業法の第十五條によりますと、「港湾運送事業者は、特定の利用者に対し貨物の多寡その他の理由により不当な差別的、取扱をしてはならない。」かような條項になつておるのでありますが、たとえば石炭だとかあるいは木材だとかいうような、相当長期にわたりまして、しかも定期的に、相当大品に入るような品物に対しまして、いわゆる「貨物の多寡」というこの文句を適用いたしまして、割引その他特殊な扱いができないものであるかどうか。この点、一応提案者の御説明を願いたいと思います。
  11. 鈴木恭一

    ○鈴木参議院議員 お答えいたします。十五條におきましては、特定の利用者に対して、貨物の多寡その他の理由によつて不当な差別待遇をしてはならない。ここに不当と申しておるのでありますが、これは客観的に見まして、また商取引の現状から見まして、不当であるということを申しておるのであります。従つてお話のような長期にわたり、あるいは継続的にあるいは定期的に大口のものを、実際の取扱いとして、今日割引登録をいたしております。これが現在の商取引において認められます場合におきましては、われわれとしては不当とは認めておりません。従つてそうしたものにある程度の割引をされることは、当然本法は予想いたしておるわけでございます。
  12. 岡田五郎

    岡田(五)委員 次に、昨日ちよつと質問しておりまして途中で切れたのでありますが、運賃料金の決定は、大体その当時の物価事情または賃金事情を考慮せられてきめられると私は考えるのであります。従いまして経済事情の変遷に応じまして、運賃料金もまた変遷しなければならないのではないかと考えるのであります。この運賃料金の制定の形を見ますと、届出をいたしまして、利害関係者が異議を申し立てて、そうしてこれが採択されて、決定されてしまえば、その後は、いかに経済事情が変化いたしましても、運賃料金変更は、港湾運送業者の自発的行為をまつ以外は、これが変更はできない、こういう事情に相なつておるのであります。私はこの運賃料金決定後における経済事情の著しき変化があつた場合には、運輸大臣は港湾運送業者に対して、運賃料金変更を命じ、または勧告するという方途を講ずべきではないかと考えるのでありますが、この点につきまして提案者の御説明を願いたいのであります。
  13. 鈴木恭一

    ○鈴木参議院議員 一旦決定を見ました運賃及び料金が、その後の経済事情の変化によりまして、第九條の第四項のこの二つの基準から著しく離れて参ります。すなわち適正な原価を償わない、かつ適正な利潤を含むという、その適正が、非常な差をもつて適正でないというふうな事情に立ち至るということにつきましては、昨日もいろいろお話がございましたが、まさにお話の通り、最初の決定に対しましては、この基準でいたしております。その後は、本法といたしましては、実際の取引の事情等から見まして、経済事情が著しく変化いたしました場合におきましては、業者の方から、自由競争の建前をとつておりますこの事業におきましては、必ず料金並びに運賃の訂正が行われるだろうということを予定しておりまして、大体それでよろしいのではないかということを、私昨日答弁いたしたのでございます。重ねてお話がございますが、われわれ提案者といたしましても、その事情はよくわかるのでございます。確かに最初に一定基準で決定したものが、未来永劫それでなければならないとは考えておりません。御意見の筋はよくわかるのでありまして、そういうふうに進むことも反対ではないのでございます。ただ現在の道路運送法でありますとか、あるいは通運事業法におきましても、同様な基準によつて運輸大臣運賃及び料金認可いたしております。その後運輸大臣といたしましては、事情の変化によりましてこれを引下げるというふうなことは、積極的にはいたした規定がございません。言葉をかえて申しますと、御趣旨はよくわかるのでありますが、運輸省としての運輸料金の政策の根本にも触れる問題でもございますので、もし政府においてその基準変更してもよろしいということでありますならば、提案者としては異存はないのでございます。この点一言提案者としてお返事申し上げます。
  14. 岡田五郎

    岡田(五)委員 提案者の御説明で大体了解いたしたのであります。なるほど通運事業におきましては、道路運送法による自動車関係料金にいたしましても、今提案者が言われるような方式になつておるのでありますが、御承知のように経済事情一定不変のものではないのであります。従つて運賃料金もまたこの経済事情を基礎にいたしている以上は、当然変更あるべきであると考えるのであります。ことに私が申し上げますように著しき経済事情の変化の場合、ことに当業者は自分の事業利益多きを期待するのが入情でありまして、この事業者の自発的変更をまつことが、かえつてこういう港湾事業者あるいは通運事業運送事業のいわゆる公共性を滅却するおそれがあると考えるのであります。かような意味から行きまして、公共の保護者、また公益の保護者である運輸大臣が、積極的に行政命令といたしまして、著しき経済事情の変化ある場合には勧告または命令を発し、妥当なる公共性の保持に努めることが当然であると考えるのであります。この点につきまして関係の方面ともいろいろ交渉してみたのでございますが、本法案の一日も早く審議通過を要する客観的な事情もあり、また関係方面の意向もあるのでありまして、修正手続をとることを差控えたのでありますが、できるだけ最近の機会におきまして、議員立法による修正か、あるいはまた政府において私の趣旨に賛同せられるならば、政府提案において修正の措置を講ぜられることを私は希望し、また私の意思を表明いたしまして、政府のこれに対する考え方をさらにお尋ね申し上げたいのであります。
  15. 鈴木恭一

    ○鈴木参議院議員 ただいま政府委員の方がおられないのですが、実は先ほど来この問題につきまして政府の意向も尋ねたのでございますが、著しく経済事情が変化したような場合におきましては、本法を改正いたしましてもさしつかえないという御意見でございましたことを、かわりまして御報告申し上げておきます。
  16. 岡田五郎

    岡田(五)委員 後ほど修正の動議を出したいと思いますが、念のために提案者の意見を参考までにお聞きしてみたいと思うのであります。附則の第五項に「自動車抵当法施行法」云々と書いてあるのでありますが、御承知のように自動車抵当法施行法は目下当委員会におきまして審議中でありまして、いまだ公布を見ていないのであります。私はこの経過見まして、この附則の第五項は削除すべきではないか、こう考えるのでありますが、提案者の御意見を承りたいのであります。
  17. 鈴木恭一

    ○鈴木参議院議員 ただいま御発言の通りと私も考えます。ただ自動車抵当法施行法が出ました際に、その方でこの法律を改正するということにいたしてさしつかえないと思います。
  18. 坪内八郎

    ○坪内委員 提案者に罰則の件でお尋ねいたしたいと思います。第五章の罰則のところに、第三十四條の一、いわゆる第四條の規定に違反した場合、大臣登録を受けなかつた場合、それから港湾運送事業者が自分の名義を他人に貸したとか利用させたという場合には、五万円以下の罰金だということになつておりますが、罰金を加える前に、何か行政処分で違反者を押えるというようなことはしないのですか、この点をお尋ねしたいと思います。
  19. 鈴木恭一

    ○鈴木参議院議員 第一の場合におきましては、これは無登録なのでありまして、これは別に経過規定のないことは当然と申しますか、やむを行ないことでありますが、第十四條の規定、すなわち他人の名義貸しにつきましては、その前に二十二條で当該事業停止を命じます。あるいは登録を取消すという手続をとつてつております。
  20. 坪内八郎

    ○坪内委員 その点は私もわかるのでありますが、いわゆる大臣登録を受けない者が、こういつた港湾運送事業を営んだ場合に、ただちにこれが司法処分で罰金だということになると、罰金を受けるまでの間は仕事をしていい、あるいは仕事をされる方がある。司法処分に付すには、裁判の判決の結果司法処分に付すということになるので、その間相当の期間があるのではないかということを考えるので、罰金に処する前に適当な行政処分が必要であると考えるのでありますが、その点はどうお考えになりますか。
  21. 鈴木恭一

    ○鈴木参議院議員 従来のこういういわゆる保護規定といたしまして、免許事業等におきましては、別にその前に処分というふうなものは考えないのが通例のように考えておるのでありますが、いかがでございましよう。
  22. 坪内八郎

    ○坪内委員 大体われわれの考え方からすると、こういつた司法処分に付するということは、理想でないと思うのでありますけれども、現実の問題としては、たとえば道路使用してそこに材木なり何か物件を置きたいという場合に、罰金なりあるいは科料なりを科せられるまでは使用していいのだからというので、当然そういう道路使用したり、あるいはこういつた営業をして、裁判上の判決があるまではやつてもいいのだというようなことで、世上往々そういうことが行われておるので、そういうことがないようお尋ねしておるのであります。従つて五万円の罰金だということになると、おそらく本人が罰金に不服であつて控訴したというような場合でも、相当半年なり一年以上の期間がかかる。その間どんどん金がとれないのだというので、行政処分がないということになると、こういつた大臣登録を受けない者が仕事をして行くおそれがあるということを考えるので、私は質問をしたわけであります。
  23. 鈴木恭一

    ○鈴木参議院議員 実際にはあるいはそういうふうな悪質な者がおるかもしれませんが、現在のこうした免許体系におきましては、やはりそういうことをやむを得ないといたしておるかどうかわかりませんが、事実上そうした悪質な者が存在するということを拒否するわけには行かないと思います。
  24. 坪内八郎

    ○坪内委員 そこでこの法律はその点に欠陷があると思うのでありますが、五万円以下の司法処分をする前に、そういつた行政規定をうたつておくことが、私は実際の法の運営、あるいは取締りとしては理想じやないかということを考えておりますので、この点はもう少し政府の方とも御研究なさつて考慮する余地があるのではないか、かように思います。
  25. 滿尾君亮

    滿尾委員 先ほど鈴木さんからの岡田委員に対する御答弁で、第十五條の差別取扱い禁止の点で、岡田委員からは多分相当長期の割引の問題なんかについてお尋ねがあつたようでありますが、その御答弁によりますと、ある程度社会の常識に反しない限りにおいては、割引してもいいのだというような御答弁のように私伺つたのですが、それは少し法律考え方が違つているのではないかと思う。第十條に運賃及び料金の遵守ということが書いてあつて、収受した運賃の割りもどしをしてはいかぬと書いてある。またきめたものも高くても安くてもいかぬと書いてあるから、特定のお客さんのみに対して割引することは、第十條で禁止してある。十五條の差別の取扱い禁止ということは、いわゆる取扱いの問題であつて料金の問題を含まないように解釈せられるのでありますが、このことだけもう一度お尋ねしておきたい。
  26. 鈴木恭一

    ○鈴木参議院議員 先ほど私御答弁申し上げたのは、要するに料金の幅の問題でありまして、長期あるいは大量のもの、継続的なものに対して、それが一般の商取引において認められるような場合におきまして、料金決定の際にそのものは認めるというのであります。従つて認めました以上は、その料金定額制維持して、それより下まわつたり、あるいは一部上まわつたり、あるいは割引したりしてはならないことは当然であります。ただ料金のきめ方の幅としては、相当客観的な事情を考慮に入れるということを申し上げたのであります。
  27. 滿尾君亮

    滿尾委員 それは大臣許可をとられますときに、そういう大口のものを特別にとられれば合法的になると思いますけれども、十條の運賃のきめ方というものは、やはり定額制でなければ、料金よりも高額もしくは低額ということの表現はほとんど意味をなさない。これにすでに幅のあるもので、何円から何円までよろしいというようなことを予想しておられるのであるかどうか。そういたしますと一般公衆利用者の間につきましては、業者は非常にこれを自由にすることができまして、こういう不特定多数の公衆の利用に供する事業料金としては、非常に不都合になるように思うのでありますが、十條の意味は、私は必ずや定額運賃と解釈いたしますが、その点いかがでありますか。
  28. 鈴木恭一

    ○鈴木参議院議員 運賃及び料金が、ただいまお話のように港湾運送事業できめられるものでありますれば、それでもよろしいのであります。陸上運送の場合におきましては、そういうことがきわめてはつきりいたすのでありますけれども、海上運送の場合においては、料金は必ずしもきちんときまつた料金できめるということは、多少むずかしい面も確かにあるわけであります。たとえば荒天の場合の荷役というふうなときに、どの程度の荒天——荒天と申しましてもいろいろ波の状況、風の状況、四囲の状況によつてきまるものでありまして、それを一本できめることは私は困難だと思います。また大量の貨物のものであるとか、あるいは必ずきまつたもので、はしけを一ぱいそこにあてがつておけばいいのだということは、コストの面でも非常にかわつて参りますので、そういうようなところに陸上運賃と違つた幅を持たせることは、やむを得ないのではないかと私考えております。
  29. 滿尾君亮

    滿尾委員 もちろん荒天その他の條件によつてかわゆますことは、当然なことであります。陸上の運賃におきましても、夜間の作業とか、雨天の場合であるとか、これはいわゆる加重條件であつて、基本率というものはやはりしつかりいたしませんと、公共事業としての運賃制度としてははなはだおかしなものだと思います。しかしその点につきましては一応質問を打切りまして、大臣がお見えになりましたから、法案に関しまして私は大臣の所見をひとつお尋ね申し上げたいと思うのであります。  実はこの法案を前々会から私ども研究いたし、審議をして参つたのでありますが、率直に申しまして、この法案は私どもといたしまして幾多の疑念を持たざるを得ないようなかつこうになつております。港湾運送事業ということでありますから、運送事業全体を通ずる原則といたしまして、私はこの種の法案のねらうべき要点は、大体三つあるだろうと思う。一つは、業者の実力をつけて信用の程度を高めて、その仕事の執行力に関しまして十分社会の期待にこたえるだけの実力をつけるという面を、この法律規定しなければならない。また第二の点は、不特定多数の一般公衆の利用に供するいわゆるサービス事業でありますから、公衆に対して公平でなければいかぬ。特定の人と結んで特定の便宜を与えて他の人にはその便宜を供与しないというにとになりますと、世の中のほんとうの自由競争をこの面から破ることになりますから、ぜひ取扱いが公平でなければならぬ。その公平の中には運賃がやはり公平でなければならぬ。人によつて異にするということがあつては困ると思います。この点について、今の提案者の御説明では、私は若干の疑念を持つております。また運賃だけでなく、引受けの順番とか、あるいは引受けの義務とかいう面における取扱いで、差別待遇をしてはいかぬ。公平に扱わなければならぬが、これは第二の原則だと思う。第三は、人様の財産を一時自己の専有に移すのでありますから、もし間違いがありましたときに、十分損害賠償をするだけの実力を持ち、それだけの信用がなくてはいかぬと思います。  この三つの立場から、私はこのたびの御提案になりました法案を拝見いたしたのでありますが、いずれの点におきましても、どうももう一歩というところで、これが非常に不十分のように思うのであります。第一、業者の信用、実力をつけるという面から見ましても、なぜこれを免許事業にされないか。運輸大臣は、幾多のこういうサービスを本体とする取扱い事業の御監督をなさつている。あるいは自動車の面におきましても、あるいは通運事業等におきましても、みなこれを免許制にして、自由競争の観念はありますけれども、ある程度その立場を考えて、不当競争のできないような立場をお考えになつている。ところが港湾運送事業におきましては、千五百人とか三千人とかいう莫大な業者がおつて濫立の状態で、見る影もないような状態なのでありますが、これはいろいろ自由主義的な思想であるとか、外国の慣例であるとか、いろいろなお話は伺いましたが、いずれにしてもこの現状は非常に芳ばしくないものである。少くとも漸進的にでもこの点については将来免許制にお進めになるお考えがあるかどうか。  またこれらの他のサービス事業におきましては、いずれも大体個人企業というものをお認めになつておらない。つまり資力、信用という点から見て、法人格を要請しておられるのでありますが、この事業に関する限り個人でもさしつかえない。もちろん個人でも変な会社よりりつばな人はおるのでございますが、少くとも事業経営内容を決算報告によつて社会的に発表いたします法人格を持つている方が、やはりこれらの事業としてはふさわしいと私は考えるのであります。  また運賃の面につきましても、大体業者の申請に為つて大臣はこれを認める。もちろん異議の申立があつた場合には、大臣は適当の措置をとられることになつており、また異議の申立てがなくても、大臣は見るところによつていろいろ処置せられる建前になつておりますが、法案の建前は、異議の申立てがあつたときということを先に書きまして、大臣が自分の職権によつて発動せられる場合を二番目に書いておりますから、原則としては異議の申立てがなければ、大臣はあまり手を出さない、こういうように非常に消極的な御監督の態度を示しておられるのであります。  またやめますときには、やめて三十日以内に本人は届を出さなければならぬ。私が提案者の鈴木さんにお伺いをいたしましたところによると、いやその方の利用者との関係は、民法、商法、その他の法律関係で、普通の司法上の関係で片づくからよいではないかと言われますが、これは初めからまつたく営業自由の商売であればその通りでございますけれども、少くとも大臣が、お前は認可した港湾運送業者だなどという看板をかけさせておいて、その看板を信用してその店と取引をした人が、わしのうちはもう仕事をやめましたということで、係争中のものについては跡始末について十分の措置をとらぬのは、公衆に対して不親切である、また主務大臣の態度としてこれはしり切れとんぼで、まことに困つたことだと考えざるを得ないのであります。また差別待遇等につきましても、荷物の多寡その他の理由により不当な差別的な取扱いをしてはならぬというふうに書いてある程度でありまして、別に持つて来た順番で引受ける——他の運送業におきましては、必ず引受けの順番をきめる。もちろん腐るような魚の場合には特別に規定してありますが、その他の場合におきましては、大体公衆に対して取扱いの公平を確保しておるわけであります。ところがこれらにつきましてもきわめてあいまい模糊たることで、まあかつてほうだいというようなことになつておるのであります。かような面におきまして、大体業者の資力信用を高める点において不十分、公衆取扱い原則の公平を期する面において不十分、また万一間違いのありました場合に損害賠償の確保をいたす点においても不十分、どうも不十分だらけの感じがして申訳ないのでありますが、これらにつきまして今後大臣は適当な機会において、われわれが満足するような法案をさらに他日お出しになるお考えがあるかどうかということを伺つて、私のお尋ねを終りたいと思います。
  30. 山崎猛

    山崎国務大臣 ただいま御質問の前提として御意見を傾聴いたしました。申し上げるまでもなく海上と陸上とおのずから異なるところがあり、さらにまた国際的影響も考慮に入れなければならない状態にあり、ことにまた終戦後の新しい法律の移行性等も見て行かなければならぬ点がありますし、御指摘のような御批判の点もあるかもしれません。しかしこれはもちろん立法府において法律として御決定の上、われわれは行政を執行して行くわけであります。その上において御指摘のごとき欠陷、あるいはそれ以上の想像し得ざりし欠陷も現われて来るかもしれないのであります。それらに対しましては、その現われた面に対して修正手続をとらなければならぬことである。あるいはまた根本的に改廃もいたさなければならぬことがあるかもしれません。それらは一応どうぞ御審議、御決定の上で、われわれ行政府の手におまかせ願つて、その段階に入りたいと考えるのであります。決して立法府において御審議願つた法をたてにとつて、やぶさかな考えは持たないつもりであります。修正であれ、改廃であれ、その必要に応じて時宜に適したる態度をとりたいと私としては考えております。以上お答え申し上げます。
  31. 滿尾君亮

    滿尾委員 大臣から将来この法案の改善についてのお約束がございましたから、いろいろな客観情勢に即応する現段階といたしまして、私どもこの法案に賛成する考えであります。
  32. 坪内八郎

    ○坪内委員 この際大臣に一点お尋ねいたしたいと思います。先ほども提案者にお尋ねしたのでありますが、はつきりした回答を得られなかつたのであります。いわゆる港湾運送事業を営まんとする者は大臣登録申請をして、許可を得た者でなければできないということになつておることは御承知の通りであります。ところがこれは、許可を受けないで営業した者は罰金五万円以下だということになると、罰金が来るまで営業を続ける者が出て来ることと、それから五万円以下ということになつておるから、この商売をやるとあるいは何百万というような利益があがるかもわかぬから、罰金はとられても幾らでもない、わずか五万円じやないかということで、現実の問題としては罰金をとられてもよいからということで、あるいは無登録のままやる者が出て来るかもしれぬ。こういう罰則の規定ではなくて、ただちに大臣のそういう登録を得なくて営業を営んだ者は、行政処分禁止するということでよいのじやないかということを考えておるのであります。この点は政府側もあまりはつきりしてないということでありますが、大臣の政治的感覚はどうでありますか。これを罰金にするということよりも——司法処分にするということよりも、登録を得ないでやつた者はやめさせる、行政処分にした方がよろしいと思いますが、その点大臣はどういうふうにお考えでありますか。
  33. 山崎猛

    山崎国務大臣 私もお尋ねに対して即答いたしかねます。十分研究して、具体的のものをもつてお答えすべきだと考えますが、ただいま滿尾委員にお答えした精神をただちにこれに当てはめまして、改廃の必要があればかえて行くというふうに考えておる次第であります。
  34. 坪内八郎

    ○坪内委員 それでは提案者にちよつとお尋ねいたしますが、こういつた罰則を規定いたしましたのは、そういう業者の良心的の面を勘案して、さような不正行為をやる者はほぼおるまいというような見込みでやつておるのかどうか、その点を承りたい。
  35. 鈴木恭一

    ○鈴木参議院議員 大体ただいま坪内委員の申された通りで、この罰則によつてそういう業者はできないだろうという見通しであります。
  36. 前田郁

    前田委員長 ほかに御質疑の方はございませんか。  それではこれにて質疑は終了いたしました。  委員長の手元に、本案に対し岡田委員より修正案が提出されておりますので、その趣旨説明を求めます。岡田五郎君。     —————————————    港湾運送事業法案に対す    る修正案  港湾運送事業法案の一部を次のように修正する。  附則中第五項を削り、第六項を第五項とし、以下一項ずつ繰り上げ、新附則第八項中「第七項」を「第六項」に改める。     —————————————
  37. 岡田五郎

    岡田(五)委員 港湾運送事業法案の一部を、次のように修正いたしたいと存ずるのであります。  附則中の第五項を削りまして、その以下の項を一項ずつ繰上げることであります。それから一項ずつ繰上げました結果、今までの九項が八項になつて来るわけでありますが、その八項中にあります「第七項」という文字を「第六項」ということに修正いたしたいと思うのであります。  この修正の理由を簡単に御説明申し上げます。本法案によりますと、附則の第五項で自動車抵当法施行法の一部を改正するように規定されてありますが、御承知の通り自動車抵当法施行法案は目下審議中でありまして、いまだ公布されておりません。従いましてその條項を削除するのが適当と思いますので。本修正案を提出したような次第でございます。
  38. 滿尾君亮

    滿尾委員 この問題につきましては、私が三月三十一日に質問したところ、杉山参議院法制局参事は、形式としてはない方が非常にきれいでございますけれども、あつたからといつて、別にどうということはないという答弁をしておりますが、法律技術的な形式で、はやはり修正しなければいけませんか。
  39. 岡田五郎

    岡田(五)委員 この問題につきましては、休会前の国会におきましていろいろ議論したのではございますが、衆議院の方の法制局の見解では、どうしてもこれを修正しなければ法的に不都合だ、かような意見がございまして、実は修正手続関係方面にとつたようなわけであります。これを削除いたしました結果、先ほど提案者からも言われましたように、自動車抵当施行法の方にこれの裏になる條項を追加する、かような手続をとる予定になつておる次第であります。
  40. 前田郁

    前田委員長 本案及び修正案に対する討論は、これを省略することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 前田郁

    前田委員長 それではさよう決定いたします。  これより採決いたします。まず岡田五郎君提出の修正案について採決いたします。賛成の諸君の御起立を願います。     〔総員起立〕
  42. 前田郁

    前田委員長 起立総員。よつて修正案は可決いたしました。  次にただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。賛成の諸君の御起立を願います。     〔総員起立〕
  43. 前田郁

    前田委員長 起立総員。よつて修正部分を除く原案は可決いたしました。よつて港湾運送事業法案修正議決いたしました。  この際お諮りいたします。ただいま修正議決いたしました本案に対する委員長報告については、委員長に御一仕を願いたいと存じますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 前田郁

    前田委員長 それではさよう決定いたします。     —————————————
  45. 前田郁

    前田委員長 この際お諮りいたします。先日道路運送法案外三案につき公聴会を開会いたすことにいたしたのでありますが、公聴会に呼びます公述人の選定につきましては、委員長及び理事に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 前田郁

    前田委員長 それではさよう決定いたします。なお公聴会は来週月曜日、二十一日午前十時たり開会いたしますので、念のためお知らせいたします。     —————————————
  47. 前田郁

    前田委員長 次に観光小委員長畠山鶴吉君が去る三月三十一日小委員長を辞任されましたので、観光小委員長が欠けておりますので、この際小委員長補欠選任を行いたいと存じますが、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 前田郁

    前田委員長 それでは畠山鶴吉君を観光小委員長に選任いたします。  本日はこれにて散会いたします。明日午後一時より開会いたします。     午後四時十二分散会