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1951-03-24 第10回国会 衆議院 運輸委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十四日(土曜日)     午前十時五十九分開議  出席委員    委員長 前田  郁君    理事 大澤嘉平治君 理事 岡田 五郎君    理事 坪内 八郎君      岡村利右衞門君    尾崎 末吉君       黒澤富次郎君    玉置 信一君       畠山 鶴吉君    前田 正男君       滿尾 君亮君    山崎 岩男君       川島 金次君    山口シヅエ君       江崎 一治君  出席政府委員         運輸事務官         (海運局長)  岡田 修一君  委員外出席者         参議院議員   岡田 信次君         参議院議員   山縣 勝見君         参  考  人         (自動車内燃補         助器研究所長) 福島 世根君         参  考  人         (財団法人舟艇         協会前理事長) 堤  徳三君         專  門  員 岩村  勝君         專  門  員 堤  正威君     ————————————— 三月二十四日  委員石野久男君辞任につき、その補欠として中  原健次君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 三月二十四日  港湾法の一部を改正する法律案坪内八郎君外  五名提出衆法第二一号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  参考人より意見聽取に関する件  帝都高速度交通営団法の一部を改正する法律案  (参議院提出参法第八号)  低性能船舶買入法の一部を改正する法律案(参  議院提出参法第九号)  低性能船舶買入法規定により国が買い入れた  船舶外航船腹需給調整のためにする売払に関  する法律案参議院提出参法第一〇号)  モーターボート競走法案神田博君外四十九名  提出衆法第一二号)     —————————————
  2. 前田郁

    前田委員長 これより会議を開きます。  帝都高速度交通営団法の一部を改正する法律案議題とし、審議を進めます。質疑を続行いたします。前田正男君。
  3. 前田正男

    前田(正)委員 本法律案につきまして、少しく所見を述べ、質問いたしたいと思います。  まず第一に、私はこの法律案が制定されるにあたりまして、その対象である池袋神田の間の地下鉄を新たに設けることに対しまして、政府財政資金援助をいたしまして、見返り資金及び預金部資金等で幾らかの援助をいたしたいというが、私もまことにけつこうなことであると賛意を表するのであります。従いましてこの工事はできるだけ早く着工せられて、一日もすみやかに竣工して、東京都内方々その他の方々交通の利便になるようにされることについては、私も何ら異議はないところでありまして、また早く竣工されることを望む次第であります。しかしながらこの法律におきまして問題の点は多々あると思うのであります。この法律が甲に見返り資金及び資金運用部資金をもらうという点につきまして、必要な法律修正をするということだけならばいいのでありますが、それに関連して地下鉄機構その他を修正するということになつておるのであります。しかしながらそういう点から見ますと、実は今回の修正案にも、あるいはまた現在の交通営団法自身にも、相当いろいろの欠点があります。特にこれは、戰時中の立法でありまして、私は相当修正を要する点があると思うのであります。従いまして当然そういう機構までいじるならば、この法律案の根本まで修正されなければならないと考えるのであります。しかしながら見返り資金あるいは預金部資金関係で、非常にこれを急いでおられるというお話でありますけれども、われわれとしては地元意見も聞かなければなりませんし、いろいろな関係上、この法律をそう急ぐことは、国会としての審議においていろいろと疑問の点が出て来ると思いますので、まず急がなければならぬか、急がなくてもいいかという点から質問に入つて行きたいと思います。  そこでまず第一番に、附則の第三番目のところに、「この法律施行前に貸し付けた米国対日援助見返資資金運用による貸付金についても、適用する。」と書いてあるのでありまして、この法律が通らなければ見返り資金が困るとか、あるいはこの法律案通つてからでないと見返り資金が貸し付けられないというようには、この法律では解釈できないと思いますが、提案者はいかにお考えになつておりますか。その点からひとつ伺いたいと思います。
  4. 岡田信次

    岡田参議院議員 前田先生のお尋ねの、この法律が通らなければ見返り資金がどうかということでございますが、見返り資金につきましては、先日の提案理由説明の中にも申し上げました通り、すでに本年度に二億五千万円もらいましたので、ただいまのところ見返り資金はこの法律関係ないのでございますけれども、今後預金部資金運用する面におきまして、ぜひこの法律を早急に通過するようにお願いいたしたい、かように存ずるのであります。
  5. 前田正男

    前田(正)委員 今の提案者の御説明で明らかになつたと思うのでありますが、見返り資金をもらうことによつてこの法律を急ぐということは、われわれも実はおかしいと思うのであります。この法律の文句から見ましても、「施行前」と書いてある。従来からそういう例は電力その他にもたくさんありました。また政治的な関係上、見返り資金の交付が遅れましても、それにかわるべく興銀あるいは勧銀等からその見返り資金の融資を受けるということを担保にいたしまして、前借りで金を借りておりました引力その他の例もあるのでありまして、私はその理由によつてこの法律を置くということは、今の提案者のおつしやる通り、必要がないと思います。  その次の点でございますが、預金部資金関係でお急ぎになるということは、まことによくわかるのでありまして、預金部資金関係予算衆議院を通過しております。現在参議院でいろいろと今回の予算措置の検討をしておりますが、これに関係しますものは附則の10に、資金運用部資金法を適用するということが書いてあるのでありますが、この資金運用部資金法案は、御承知通り、現在衆議院の方におきましても審議中であります。これに対しましては簡易保險の問題その他からいろいろと異論もあつて、われわれの手元にはいろいろの陳情が相当出ておる法案であります。しかしながら国家の全体の資金運用方面から、この法案もいずれは衆議院を通過することとは存じますけれども、現在おのおのの意見を聞きますと、あるいはその間の妥協から、あるいはまたその間のいろいろの修正等の交渉をしておる最中でありまして、現在われわれ衆議院において審議中のものでありますので、その見通しがつかないのに、この法案資金運用部資金法を適用するということを明示してありますので、この法案を急いで通過するということは、われわれ衆議院議員としての審議の愼重をはなはだ欠くように考えるのであります。この点につきまして提案者とされましては、資金運用部資金法というものとこの法案との関連につきまして、ここに書いてある適用ということは、ぜひとも必要であるというふうにお考えになつておると思うのでありますけれども、資金運用部資金法の成立を見ないのに、急いで通さなければならない、そういう理由がおありになるかどうかということについて、ひとつ御見解をお聞かせ願いたいと思うのであります。
  6. 岡田信次

    岡田参議院議員 実はただいまの前田先生のような御議論が、参議院におきましても相当活発にあつたのでございますが、何分参議院先議関係上、参議院を通過したのであります。なおこの資金計画を少しく申し上げますと、昨日申し上げました通り資金運用部資金を来年度は大体九億予定いたしておるのであります。来年度神田池袋間を建設する資金といたしまして、全体で十五億六千余万円いるのであります。でございますから資金運用部資金以外に、大体六億六千万円ばかり一般民間資金交通債券として募集したい。この資金計画を立てます上に、この法律を確定いたしませんと、興銀その他があつせんする年度資金計画の中に入りにくいという事情がございますので、急いでおるわけでございます。
  7. 前田正男

    前田(正)委員 今の御答弁によりましても明らかな通り参議院先議立場上これをお認めになつたと思うのでありますが、衆議院においては現在その法案が問題になつて審議中でありますので、私は当然この資金運用部法案見通しのつくまでは、われわれの委員会においてもそう急いで審議する必要はないということは明らかであると思います。従いまして、いろいろとそういうお話がありますけれども、私はこの際この法案に盛られております根本的な問題を、さらに私たち審議を進めて行く時間的な余裕があると考えたいのであります。実はこの法案につきましては、すでに御承知通りでありまして、地元からも相当いろいろな反対運動が起つておるのであります。またこの法案の第一條にも、地下高速度交通事業を営むということが書いてありまして、主としてという言葉もありません。こういうような点からしましても、もしこれを地上になすならば、第一條をある程度修正する必要もあると思うのであります。またこの地下反対者人たち陳情は、各委員手元にも請願書が出ておる通りでありますが、こういうふうないろいろの意見もありますので、私はこの際この文京区の人たちのいろいろな反対の御意見を伺うとともに、また地下鉄総裁がこれに対していかに考えておるか、あるいはまたこれに対して必要な補償というものをどういうふうに考えておるか。そういうことと、もう一つは、今回この提案理由にも書いてありますように、この際民間出資を排除することになつておるのでありますが、この民間出資を排除することは、今後の東京都の交通網については、将来に非常に大きな影響を與えると私は感ずるのであります。従いまして、この排除されますところの民間出資者方たちの御意見も伺う必要が当然あると私は考えます。国会自主性が非常に大きく叫ばれておるときであり、ことに講和を控えて、われわれは重要な立場に立つておるのでありまして、私の今後の質問を続行するにあたりましては、まず今申し上げました地元反対者帝都高速度交通営団総裁その他の幹部、及び今度排除されますところの民間の私鉄の幹部の方方にもおいでを願つて参考人として御意見を述べていただいて、これに対して質問をさせていただきたいと思うのでありますが、委員長からひとつ皆さんにお諮り願いたいと思います。その動議提出いたします。
  8. 前田郁

    前田委員長 ただいま前田正男委員より、帝都高速度交通営団法の一部を改正する法律案につきまして、交通営団幹部、並びにこの法律に基きまして民間資本が排除されますので、その排除される側の、いわゆる民間側の方も呼んで意見を聽取してみたい。それから文京区の路線に対する反対陳情もありますので、そういう方々を一応参考人として呼んで聞きたい。こういう中出でありますが、これについて御異議はありませんか。
  9. 岡田五郎

    岡田(五)委員 私今出席したので、話の内容はよくわかりませんが、帝都高速度交通営団総裁または民間出資者参考人として呼ばれることにつきましては、私は賛成いたしますが、ただこの高架になる小石川でありますとか、本郷でありますとか、文京沿線の方を呼ぶということについては、私多少異議を持つておるのであります。この高架にするか地下にするかということは、要するに高速度交通営団工事施行方法である、かように私は考えるのであります。文京区の方といえども、この地下鉄ができることについては非常に賛成しておられるようでありますが、ただこれが高架になることについての反対があるようであります。高架にするか地下にするかは、要するに行政監督をしておられる運輸省が、十分民意を反映して、この工事内容についての認許可を與えらるべきではないか、かような意味におきまして、私は文京区の方々を呼ぶことにつきましては、遺憾ながら反対の意を表したいと思います。
  10. 前田正男

    前田(正)委員 岡田委員お話でございますけれども、実は私たちは、この国会というものは非常に民主的に成り立つておるものであると思います。しかも私たち手元に、この設計を変更してくれ——今のお話通り、これに反対ということではありませんが、設計を変更してくれという請願も出ておるのであります。われわれ国会としては、これに対する地元意見も聞き、そうしてそれに対する地下鉄総裁の意向であるとか、そういうものを聞くべきである。またこの反対がどうしても無理であるならば、それに対して、この工事をやるについて、いかなる補償等を要求しておるかというような問題も聞くのが、われわれ国会の当然の務めであると思うのであります。一方的にこの話を進めて行くというよりは、やはり国会最終決定機関でありますから、国会におきまして各委員方々が、いろいろ意見のあるものはこれを聞いてやるのが当然の立場であります。それがために国会としても、請願陳情等の手続も認めておるのでありますから、この審議にあたりまし工、地元方たちの御意見を聞くことは当然であると思います。岡田委員お話通り、何も反対しておるのではありませんが、いろいろと変更その他の希望意見があるようでありますから、希望意見を聞いてやるのが当然ではないかと私は考えます。
  11. 岡田五郎

    岡田(五)委員 私は今後法案審議におきまして、こういう委員会においてそういう地元反対賛成について一々参考人として呼ぶということが、例になることをおそれるがゆえに反対するのであります。具体的な高速度交通営団の例を離れまして、たとえば一例を鉄道建設にとつてみますならば、ある町を通すことは、その隣の村が反対する場合もあるかもしれぬと思うのであります。かような場合に、法案審議のためにその陳情について一々参考人を呼ぶというようなことになりましたならば、それは国会運営の点から少し逸脱しておるのではないか、かように懸念いたしますがゆえに、私は反対をいたしておるのでありますから、総裁と、またこの交通営団に非常に利害関係のある民間出資者を呼ぶことにつきましては賛成をいたしまして、地理的沿線文京区の方を呼ぶことにつきましては、かような意味をもつて私は反対いたします。
  12. 前田正男

    前田(正)委員 まことにごもつともな御意見のようでもありますけれども、私たちはこういう法案審議におきまして、相当その土地の方の利害とか、あるいは生活、その他いろいろな問題に影響を與える事柄につきましては、必要のある場合はこれを聞くのがあたりまえであると思います。御承知通り最近におきましても、管理局の問題につきましては、現在参考人を呼んで聞いておるのであります。本案文京区のこの関係の多数の人たちに、非常な大きな影響を與える問題でありますので、管理局の問題で参考人を呼んでおるという実例から見ましても、またわれわれ国会の今後の運営上からも、当然呼ぶべきではないかと思うのであります。しかもこれが参議院においてでも呼んで意見を聞いておるならば、私たちも遠慮すべきでありますけれども、参議院においてもそれは聞いていないというような実情であります。また地元がそういうことを述べたいという希望を持つておるし、請願も出ておるのに、衆議院参議院意見を聞かないでこの法案を通してしまうということは、国会自主性、また民主的な運営という観点からも、考えなければならない問題であると思うのであります。どうか皆さんの御賛成を願いたいと思います。
  13. 前田郁

    前田委員長 ただいまの前田君の参考人を呼ぶという動議に対しては、どなたも御異議がないと思いますが、その人選並びに日時は委員長理事におまかせ願いたいと思いますが、いかがでしようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 前田郁

    前田委員長 それではさよう決定いたします。江崎君。
  15. 江崎一治

    江崎(一)委員 昨日の帝都高速度交通営団法に関する質問に引続いてお伺いをいたします。今年度は新線計画にわずか三億しかかけておらないのに、この帝都高速度だけに資金運用部資金多額に使うことになるのでありますが、これは国家の大きな観点から見たときに、非常にアンバランスな感じがするのです。なぜこんなに急がなければならぬのか、なぜ今ただちにこれだけの金を使つてやらなければならぬのかということについて、昨日も御説明が非常に不十分であつたと思いますから、その点提案者から御説明を願いたいと思います。
  16. 岡田信次

    岡田参議院議員 日本の全体の鉄道網拡充整備するということについて、最近国有鉄道なり、あるいは政府がとつている方策につきましては、私もはなはだ不満を感じております。従いまして預金部資金なり、あるいはその他の資金を、今後大いに国有鉄道に通じまして、これが拡充をはからなければならぬと存じておるのでございまするが、一方、東京都におきまする現在の池袋神田間の交通というものは、御承知通りに非常な雑踏で、朝夕のラッシュアワーにおきましては、三〇〇%ないし四〇〇%以上の人が詰め込んでおるという実情でございますので、何としてもこれを救済し整備しなければならぬということも、また御了承願えると思うのでございます。この意味合いにおきまして、東京都におけるこの区間の地下鉄道建設をぜひ急ぎたいと思います。また今後の国有鉄道における全国的な建設につきましては、国有鉄道はもちろんのこと、皆様方並びにわれわれ国会議員も力を合せてその拡充をはかり、その資金を心配するというふうに持つて行かねばならぬだろうと存ずるのであります。
  17. 江崎一治

    江崎(一)委員 資金運用部資金というようなものは、大きな観点から言えば、これは国民の福祉のために使わなければならぬと思います。御承知通り日本食糧がない。しかしながらずつと全国を見ますと、耕作すれば耕地になる土地がまだたくさんあるのであります。この資金運用部資金をこれにうんとつぎ込んでやりますと、食糧問題はほとんど国内で自給自足できる態勢ができるのではないかと思うのであります。この全国的な観点から見ますと、そういう点の方が地下鉄の問題よりもずつと重要ではないかと思うのであります。そういう日本食糧問題というような問題に対して資金をつぎ込むということを忘れてしまつて、ただ帝都交通地獄だけを解決するために多額の金を注ぎ込むということについて、非常に私は割切れないものを感ずるのであります。そういう大きな国の政治という観点からして、こういう提案をされるということに矛盾は感ぜられないものだろうか、その点をお伺いいたしたいのであります。
  18. 岡田信次

    岡田参議院議員 農業関係お話につきましては、公共事業費その他からもいろいろ資金が出ておりますし、また資金運用部方面からも今後相当運用されることと存ずるのであります。しかしいずれにいたしましても、今後農地を開発するにいたしましても、交通関係がその基盤をなすものであろうと存じますので、先ほど申し上げましたように、日本の全体の線路網を早急に拠充するという方面に、国鉄自体の経費でなく、国の一般の費用を投ずるように、今後力を注がなければならぬだろうと考えるのであります。また一方、都市におきまする諸般の活動も、その根幹は交通にあると存じますが、幸い見返り資金も一応出ましたし、さらに預金部資金の活用の話もついておりますので、これもやりたいと考えております。
  19. 江崎一治

    江崎(一)委員 地下鉄ができますところの歴史的な段階を見ますと、戦争が近くなつて来ると、地下鉄をやり出す。これが直接戰争のためだとは言いませんが、しかしながら近代戦においては、地下鉄の利用というものが非常に大きな意義があるのであります。そういう意味において、世界情勢が非常に急迫して来た今日において、そういう理由地下鉄をやろうという意図が多少でもあつたのかどうか、その点はどうですか。
  20. 岡田信次

    岡田参議院議員 地下鉄戦争関係でございますが、実際問題として戦争が起つた場合には、防空壕その他として地下鉄があるいは多少の役に立つかもしれませんが、今回の分につきましては、私はもちろんのこと、全然戦争とは無関係考えておるのでございます。
  21. 前田郁

    前田委員長 本案に対する審議次会に讓ります。     —————————————
  22. 前田郁

    前田委員長 次に低性能船舶買入法の一部を改正する法律案及び低性能船舶買入法規定により国が買い入れた船舶外航船腹需給調整のためにする売払に関する法律案一括議題として審議を進めます。質疑を続行いたします。江崎君。
  23. 江崎一治

    江崎(一)委員 昨日もお伺いしたのでありますけれども、この低性能船舶買入法国会を通過しまして間もなく、これを一年延期する、あるいはこれを買いもどしするというような、逆の法律提出されなければならぬ状態になつて来たことについて、昨日山縣議員からも説明があつたのでありますが、その説明によりますと、これは日本だけの国内的な問題でなく、国際的なスケールで影響されたからだという結論になると思うのであります。そうしますと日本がこの二つの陣営戦争に巻き込まれるということさえしなければ、日本が今までのようにやつて行くためには、こんな無理をしなくてもいいのではないかという気がするのです。われわれは日本船舶運営その他が、世界の大きな勢力によつて自由に左右され、飜弄されておるという感じがする。そういう点についてどうですか。自主性がないということですか。この点について御説明願いたい。
  24. 山縣勝見

    山縣参議院議員 ただいまの御質問にお答えいたします。昨日国際的に関係があると申しましたのは、御承知通り海運は他の国内産業と違いまして、相当国際性を持つておるという意味で申したのであります。現在の国際情勢から見まして、両陣営と申しますか、さようなものが対立しておる。その中に巻き込まれなければ、そのような措置は必要ではないというお話でありましたが、そうではないのでありまして、日本の戦前からの地理的、経済的事情から申しましても、日本国民が平常の場合において最低限生活をいたしますために必要な食糧、衣料にいたしましても、その他のものを生産いたします原材料にしても、海外依存度が非常に高かつたのであります。それが戦後におきましては、御承知通り日本の国土が、この小さな四つの島にとじ込められたのでありますから、すべての資源の大部分が海外に依存いたすのであります。戦争とか両陣営の対立を離れまして、日本国民最低限の衣食住を確保いたしますために、必要な生産のための原材料を確保いたしますために、最低限必要な輸送を確保しなければいかぬ、さような意味から外航船舶が必要である。これは国際的、政治的な要件ということを離れましても必要なことでありますので、提案いたした次第であります。
  25. 江崎一治

    江崎(一)委員 山縣議員からはなはだ異なことをお伺いしたわけであります。昨日もはつきりおつしやつたと思いますが、日本地理的関係から、日本の必要な物資アジア方面から求めておつた時分には、大体よかつたのだが、その後これを遠く欧州やアメリカから輸入しなければならない事態が起つたので、船腹が足りなくなつたのだという御説明があつたように思います。これは明らかに、特に朝鮮事変影響ではないかと思いますが、そういう点はいかがですか。
  26. 山縣勝見

    山縣参議院議員 昨日私が申しましたのは、昭和二十五年第四・四半期、すなわち本年の一月から三月までにおいて、中共から輸入しておつた鉄鉱石であるとか、粘結炭であるとか、大豆であるとか、塩であるとか、こういうものが五十数万トン必要であると申したのであつて日本の現在必要な物資の数量が五十万トンだけに限られておりますならば——なお昭和二十六年度において三百万トンぐらい中共からの輸入があると申しましたが、日本の二十六年度におけるあらゆる食糧原材料必要量が三百万トン程度でこれまたありますならば、御説のようなことに相なりますが、昭和二十六年度におきましても、定期物資なりあるいは石油、重油等を除きまして、大体千四百万トン程度あるのであります。しかも千四百万トンに対して、昨日も申し上げましたが、年間を通じて大体百十万デッドウエイト・トン程度の船腹しか日本にない。かりに日本が外国から買船をするとか傭船をいたしましても、通産省の見込みによりましては百万トン内外である。しかも買船も非常に困難であります。いわんや傭船も非常に困難でありますから、この百万トン内外を外国船に依存することも非常に困難でありますし、しかもなおこの千四百万トンの物資を確保するためには、通産省の算定によりますと約三百二、四十万トン、しかも日本に平均百万トンしか船腹がない。外国船に依存するのが百万トン内外、これが非常に困難だ。かりに日本に相当の新造計画あるいは改造計画ができて、そうして年間通算いたしまして平均百万トン内外の船腹が確保されて、外国船の傭船がこれまた、非常に困難であるけれども百万トン確保されて、なおかつ再三、三十万トン不足だ。百二、三十万トン不足だと申しますのは、これをもつて輸入する物資の量は約四百万トン内外である。通産省は三百六十何万トンと申しておりますが、昨日も申し上げました通り、輸入に相当のずれがあり、なおかつ遠距離輸送になりましたので——遠距離輸送ということを申しましたから、そのことだけを取上げてお話があるのでありますが、そうではないのであつて、全体の数から見ますと、中共からの輸送は、ごく一部分であります。さようなことによつてなおかつ船腹の需給の緊迫程度が増したということを申したので、かりにさような遠距離輸送の範囲にありませんでも、相当数の食糧が現在不足でありますから、日本の現状といたしましてはかような措置が必要である、かように申し上げたのであります。
  27. 江崎一治

    江崎(一)委員 食糧の輸入についてずいぶん強調されたようでありますけれども、われわれの計算によると、年間二百万トンの輸入で十分じやないかと思います。この低性能船舶買上法案が上程されたときに、百万トンぐらいの繋船がある、余剰船舶がある、これが日本の海運業のがんであると非常に強調されたわけであります。それから六箇月足らずの間に、この繋船不況時代から一躍船腹不足という状態になつて来た。こういつた状態の大変化は、今の簡單な御説明だけでは納得できない。もちろん朝鮮動乱以来、日本の産業体系がすつかりかわつたと思いますが、特に鉄鉱並びにアルミニウム工業の飛躍的な増産、このことは世界戦争ということに切つても切れぬ関係があるわけです。これをやつて行くのならわが国の船腹もいるでしよう。日本世界戦争に参加するために船腹が必要になつて来た。こういうような行き方に同意し、こういう行き方に協力するというやり方は、日本国民のために非常に大きな災害をもたらすことになるだろうということを心配するわけですが、そういうことはお考えになりませんか。
  28. 山縣勝見

    山縣参議院議員 いろいろ御説を拝承いたしまするが、戦争に協力するとかいう意味では毛頭ないのは当然であります。ただ現実の問題として、竹本の八千万国民世界の現実に対処して、食糧を確保して最低限生活を維持することに対して、国家が適当な施策をすることは当然であります。戦争に協力するにあらずして、かような現実の事態に対して八千万国民最低限生活を確保し、最低限の衣食住を確保するために、政府最低限措置をとりますることは当然でありますから、さような意味でこの法案提出した次第であります。
  29. 江崎一治

    江崎(一)委員 そうしますと、六箇月前にはわれわれの生活水準は問題にならなかつたが、この点多少よくなつたのですか。
  30. 山縣勝見

    山縣参議院議員 本法案に対する趣旨説明の範囲外と考えますが、一言申し上げます。世界の情勢は、昨年の朝鮮動乱の直前と比較して変化したことは、現実の問題であります。生活水準等におきましては、他に統計がありまして、他の所管から説明があると思います。ただいまの御質問は、生活の水準を犠牲にして云々ということでありまするが、御質問の趣旨をもう少し明らかにいたしてもらいたいと思います。
  31. 江崎一治

    江崎(一)委員 もう少し詳しく御説明申し上げましよう。日本国民が最低主情を僻むために必要な物資海外から輸入するためには、どうしてもあと百万トンやそこらの船舶が必要である、こういうようにおつしやるわけです。しかし六箇月ほど前には、日本国民生活を保障するだけの輸入をするために百万トンくらい余つている、こう言つている。そういうことです。そこの変化があなたの説明だけではあまりに納得できない、こう言うのです。
  32. 山縣勝見

    山縣参議院議員 大体おわかりになつてつて、御質問になつておるのではないかと思うのでありまして、よく御承知だと思うのであります。昨年の八日以前における世界の情勢と現在の情勢とは、非常に違つております。もし時間をおかし願えますならば、さらに詳細に申し上げまするが、本法案を御審議願いまするについては、大体十分に御説明申し上げたと思うのであります。船腹量の点から申しますと、世界船腹量の関係、従つて日本船腹量の関係は、昨日詳細にわたつて数字をもつて申し上げたのであります。本年度において最低限千四百万トンの重要物資を輸送いたしますためには、大体三百四、五十万重量トンの船腹がいる。さような情勢と、昨年朝鮮動乱の起る直前における日本の外航につきましては、御承知通り相当の制約がございまして、当然に日本国民生活最低限を維持するための食糧原材料を外国から輸入することが必要であつたが、船腹が行けなかつた。従つて船腹の過剰が相当あつたのであります。百万トンないし百二十万トンの絶対的な過剰があつたのではないのであつて、外航上制約があつて、行きたくても行けなかつた。従つて総体的な船腹の過剰があつたのでありまして、その当時と比較いたしますれば、百万トンないし二百万トンの差があつたとは言えないのであります。その間の関係をよく御了察願えますれば、大体その後、における世界の情勢の変化を助長する意味において、この法案提出いたしておるのでないことは御承知通りであります。これらの点を御勘案くだされば、大体御了承願えると思うのであります。
  33. 江崎一治

    江崎(一)委員 ただいまの御説明はいろいろ疑義があり、まだまだ御質問を申し上げたい点があるのでありますけれども、山縣議員は時間がないようでありますから、本日はこれくらいにしておきます。
  34. 玉置信一

    ○玉置(信)委員 私は政府側に御質問申し上げたいと思います。運輸大臣が外航船腹の需給調整上必要と認めた場合には、買入れ船舶を改造の上外航適格船とすることを條件として売り払うとうたつておりますが、政府日本の自工経済を目ざし、かつ講和を目の前に控えて、国内態勢をさらに経済的に飛躍せんがために、船舶増強の施策を講じつつあるときにおいて、さらにこうした買入れ船をこうした條件のもとにおいて売り払うということになりますと、政府自体が新たな船舶増強をしようとする計画そのものが十分満たされないがために、こうした措置を講ずるのであるかどうかということが第一点。  第二点は、さらにこうした適格船が買上げをする標準の中にまだあるものであるかどうか、こういう点をお伺いいたしておきたいと思います。
  35. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 一旦政府に売り払いました低性能船を、さらに払いもどしを受けて外航適格船にするということは、やはり政府船舶増強対策の一環でございます。御承知通り新造を中心といたしまして、第六次の追加として七万トン、第七次の建造計画として四十万トンを考えておりまするが、そのうちの二十万トンは目下手続中でございます。次に買船で約二十万重量トンで十二、三万総トン、それへらさらに戰標船の改造が約二十九隻くらいあります。そのほかに一ぺん売りました船を買いもどしまして改造するのが、約五はいを予定しておるわけであります。船腹増強対策の一環としてこれをやろう、かように考えております。
  36. 玉置信一

    ○玉置(信)委員 政府の新造計画というものは、船舶増強の一環としてこの措置をとるということになりますと、政府としてはさきにこうした低性能船腹の質入れをする場合に、こうしたことを予想しないで、買上げを措置した当時つくつたものであるか、この点をお伺いいたします。
  37. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 先ほど来山縣議員から御説明がありましたように、今日の事態は私どもまつたく予想していなかつたのであります。こういう船腹逼迫が顯著になりましたのは、去年の十二月のトルーマン大統領の非常事態宣言以来であります。それまでは日本船で約二割運び、八割が外国船でありました。ところがその八割の外国船が、非常事態宣言以来、大西洋方面の荷動きが非常にふえまして、東洋方面場に来るのが減つて参つた。従いまして、日本自体の船をもつて日本の品物を運ぶ必要が起つて来た。そこで十二月以降において、こういうつぶれかけた船まで再生活用しようという方針をとらざるを得なくなつたような次第であります。まつたく予想しない事態であつたがために、一見矛盾したような措置をとらざるを得なくなつたような次第であります。
  38. 坪内八郎

    坪内委員 私はこの際両案について、次のようなとりはからいをするよう動議提出してみたいと思うのであります。両案の中で前者の場合は、私が申すまでもなく、提案者並びに政府当局からもお話がありました通り、朝鮮動乱を契機として、わが国の海運業界の状態からして、かかる処置をとることが妥当であるということは、賢明なる委員諸君のひとしく認識するところであろうと思うのであります。後者の件につきましては、これまた海運業界の現在の状態からして、政府が買い上げた低性能船舶をさらに元の船主側に還元をして、これを改修し、外航船舶として活用させようということも、時宜を得た処置だと私は考えるのであります。しかもこれに関連いたしまして、国会の両院において、去る二月と思いましたが、外航船腹緊急増強に関する決議案を、われわれは満場一致をもつて賛成いたしておるような建前からいたしまして、この両案につきましては本質的には賛成をしなければならないじやないか、かように考えるわけであります。委員各位からもいろいろな質疑がありまして、昨日は共産党の江崎君から、かかるスクラップにするような、文字通り低性能船舶を外航に使うということは、非常にいたんでいるやさきに、船員にとつて非常に危險じやないかというようなごもつともなお話もありましたが、これにつきましては多年海運業界で経験の深い提案者から、そういう心配はないという話もあつたようで、さようわれわれは了承していいのではないかと思つております。本日またいろいろ質疑がありましたが、大体われわれは了承いたしてよかろう、かように考えるのであります。  そこで私はこの後者の場合に、多少疑問があるわけであります。すなわちこの低性能船を船主側に還元するということの條件が、これを改修して外航船舶の調整のために使うということでありますが、これを改修するということになると一億、二億の金がかかる。その資金面の裏づけも政府があつせんせずして、これを船主側に手放しに渡してしまうということは、その点に何か矛盾があるような気がいたすのであります。そこでそれらの資金面につきまして、能力のあるものがあつたならば、これを他に何らかの方法で転売するなり、譲渡するなりして、政府の方針通り、これを外航船腹に活用するというような建前も、あるいは考慮してよいのじやないかというようなことも考えられるのであります。さらにまたこの法案が、外航船腹拡充のためにのみこれを適用するというような幅の小さい法律になつておりますが、この点ももう少し幅を広めて、他の面にも活用ができるような措置を開くことも、考慮すべきであるということを考えるものであります。  さらにこの際私は特に政府当局に要望いたしておきたいのでありますが、これに関連いたしまして、いわゆる低性能船舶買上げ剰余金の関係について、岡田局長の言質をいただいた上で、この法案の取扱い方について委員各位の御賛同を願いたいわけでありますが、それは昨日もお話いたしました通り、このいわゆる剰余金というものがかれこれ十億近くある。十億近くあるけれども、目下これは大蔵省に繰越金みたいな関係で、これが繰越されて行くというようなお話でありましたが、昨日もわれわれ質問いたしました通り、もともとこの金は海運業界のために流用しようという関係で、二十五年度予算に組まれておる関係もありますので、この際ぜひとも運輸省は、海運業界においてこの金を流用できるような行政的な事務の折衝なり、あるいはそういつた促進方を十分に考慮していただくということをお考えいただきたいということと、さらにまたこの剰余金が一部のものに流用されることなくして、広くわが国の海運業界に平等に支出されるというような建前で、進んでほしいということをまず私は強く要望いたしまして、この点について岡田局長の答弁を求めまして、そうしてこの際両案につきましては、討論を打切つて御採決あらんことを望む次第であります。
  39. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 ただいま坪内委員からお話のありました剰余金になるであろう十億円の今後の使途につきまして、私どもといたしましては、この十億円を外国船の購入並びに戰標船の改造のために、政府資金の一部融資という方向に持つて行きたいというので、いろいろ努力をしたことは、昨日も申し上げた通りであります。ただ非常に予算技術上困難でありますのと、また二十五年度の補正予算ということに相当の無理がある。また時間も非常に少いというふうな点から、これが具体化を見ておらないのであります。この金は二十六年度に繰越されまして、一般の金と一緒になるわけでありますが、私ども今までやつて参りました外国船の購入を、なお今後続けて行かなければならぬのじやないだろうかと思うのであります。さらにここにあげてありますような船の改造その他に相当の資金がいるわけです。この資金をどうするかということが、私どもの今一番の問題でございます。従いましてこれに対する資金手当をもう少し国家の力で強力にやるように持つて行きたいというのが念願でございます。しかしこれは相当大きい問題でございまして、私ここでそういうふうにいたしましようということは、申し上げることはできないのでございますが、何とか努力を続けたいと考えているのです。これにつきましては相当政治的な力も必要と考えるのでございまして、国会方面の十分なる御協力を得まして、私どもの企図しております船舶増強対策が円滑にできまするようにお力添えを願い、私どもといたしましては、この上とも最善の努力をいたしたいと考えております。
  40. 坪内八郎

    坪内委員 局長の御意見わかるのでありますが、船舶増強の点についてわれわれが御協力申し上げることは当然でありますが、この際局長としてもう少し積極的な態度で、この剰余金の予算的な技術面の措置については、非常に困難な点があるということでありますが、十分努力されて、さらにこの剰余金の流用については、運輸省で流用できるようになつたあかつきは、広くわが国の海運業界のすべてに流用できるように考慮するという点をお話できないものかどうか、お尋ねいたします。
  41. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、私もどとしましては最善の努力をいたして行きたい、かように考えます。またこの金が利用できるようになりました場合、私どもといたしましては、これを特定のものにのみ利用させるということは毛頭考えておりません。私どもの従来とつて来ました政策をごらん願つてもわかりますが、すべての海運業者に対して、平等に機会と権利を與えるという方針をとつているのでありまして、広く日本の海運の増強に資するように、その金を使うことに努力いたしたいと考えております。
  42. 坪内八郎

    坪内委員 将来この剰余金の流用につきましては、多々問題が起ると思いまして、念のために質問したわけであります。従つて局長のお話通り、この剰余金は特定のものにのみ渡るということのないように、広く海運業界全般に行き渡るように十分考慮して、それらの政策を行政的に打立てて行かれるように強く要望して、この際すみやかにこの両案の討論を打切つて、採決されんことを望む次第であります。
  43. 前田郁

    前田委員長 坪内君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
  44. 前田郁

    前田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  両案を一括して採決いたします。両案に賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  45. 前田郁

    前田委員長 起立多数。よつて本案はいずれも可決いたしました。  この際おはかりいたします。両案に対する委員長報告については委員長に御一任を願います。  暫時休憩いたします。午後一時半より再開いたします。     午後零時一分休憩      ————◇—————     午後一時四十八分開議
  46. 前田郁

    前田委員長 これより委員会を再開いたします。  モーターボート競走法案議題とし、審議を進めます。  本案に対し、一昨日参考人招致の件を決定いたしておりますので、まず本案に対する本委員会審議の参考に供するため、各参考人より意見を聽取いたします。  参考人の方に一言申し上げます。衆議院規則の定むるところにより、参考人の発言は、委員長の許可を受けることになつております。また参考人の発言は、聞こうとする案件の範囲を越えてはならないことになつておりますから、御承知おきください。本日は御多忙中御出席くださいまして、まことにありがとうございます。委員長として厚く御礼申し上げます。  それではこれより参考人より意見を聽取いたします。まず堤徳主君にお願いいたします。
  47. 堤徳三

    ○堤参考人 モーターボートのことにつきまして、一言申し上げたいと思います。モーターボートは、元来日本においては非常に発達がおそいのでございまして、アメリカではこれが非常に発達しておる。日本におきましては決してそのエンジンまた船の性能が悪くて発達がおそいのではございませんで、単に需要がないということに主眼があるのであります。そしてこれの需要をふやすということは、ある特別な、たとえば今度お願い申し上げておるような法案が通ることによつて、非常に需要がふえて来るのではないか。また方々よりの要望もございまして、海外からの注文も相当ございますが、遺憾ながら日本における需要がないために、その業者もこれに対して熱の入れ方がはなはだ少いのでございます。この性能の発達向上によりまして、業者も十二分の力がつきましたならば、これが海外に輸出することができると思います。そして値段におきましても、現在日本において少し大量につくりましたならば、アメリカのエンジンまたは船の約六割程度の値段で輸出できるのじやないかというふうに観測しております。それから日本の青少年が海岸寺において安全に舟遊びをすることが、今まではできかねておつたのでございますが、こういう催しが盛んになるにつれてだんだん海岸におけるヨット・ハーバー的の施設がふえて来るというようなことから、青少年の海に対する関心がもつともつと高まつて参るのではないかと考えておりますし、それからまたモーターボートの競走は比較的経費がかからない。すなわち大きな施設を必要としないのでありまして、いきなり厖大な競技場をつくらないでも、ごく簡単にやりますれば、景色のいい海岸または湖岸におきまして、自然の緩流等を利用してピクニック的に、艇劵を買いながら楽しめる。そして水に親しむ気持を起すというように、最初にかけます費用は割合に少いというところが、まずやりいいのではないかと考えております。
  48. 前田郁

    前田委員長 次に福島世根君にお願いいたします。
  49. 福島世根

    ○福島参考人 現在アメリカ合衆国で建造されておりますモーターボートの台数は、年間約十万隻以上で、金額にいたしまして一億ドル、長い海岸線と無数の湖沼、河川を持つ同国では、大型船舶を建造する造船業とはまつたく別個に、モーターボート工業ともいうべきものが、自動車工業と相並んで成立するほど、モーターボートの需要はきわめて大きいのでございます。これらのモーターボートは軍用、警備用、すなわち有名なるコースト・ガードに、さらに漁業用等の大量需要があるとともに、一般遊覧用、スポーツ用、競走用等、きわめて広汎に使われております。先ごろ時速百六十マイルの世界最高記録を出した競走艇と競走し得るモーターボートが十そう以上も現存するくらい、米国のモーターボート競走界の盛況はまことにけんらんたるもので、小は一そう一千ドルくらいの船外機艇から、大は一そう五万ドルもする世界最高速艇までありまして、一回のレースに一場するものは多いときは二百そう以上に及び、年間の競走回数は一千を数えます。現在盛況中のモーターボート製造会社は、特に有名なものだけでも機関七十社以上、艇二百社以上で、これらの会社がみな一様に毎年新型を発表し、一社で数モデルから、多いものは数十モデルの標準型の艇及び機関を製造して市場に供給していることは、まことに驚嘆のほかございません。わが国におきましても、この競技がモーターボート業界の大きな推進力となりますよう、よろしくお願いいたします。
  50. 坪内八郎

    坪内委員 両参考人にお尋ねいたします。まことに恐縮ですが、堤さんと福島さんの個々の参考人としての職種は出ておりますが、モーターボートに対する経歴といいますか、経験といいますか、そういつた点の自己紹介をしていただくと、御参考になろうと思います。
  51. 堤徳三

    ○堤参考人 私は学校時代から非常に船がすきでございまして、モーターボートというものがからだにも一番いいし、またわれわれ日本として外に出て行くという上におきまして、非常に海に関心を持つておりまして、十五歳くらいから約三十年間、日本でモーターボートに乘つております。その間アメリカの船、それから友人その他とともにクラブを組織し、また財団法人日本モーターボート協会というものを創立いたしまして、「舵」という雑誌をすでに十年間以上出しております。これはただ青少年の海に対する観念を深め、また船の宣伝というような意味で出しております。そういうような状態であります。
  52. 福島世根

    ○福島参考人 私は女でありますが、やはり堤さん同様若いときから船がたいへんすきで、モーターボートでなく、ただのボートに非常に興味を持ちました。それから今度ヨットがたいへんすきになり、ヨットに興味を持ちまして、自分でヨットを持ちましたり、またモーターボートを買い受けまして、楽しんだこともあるようなわけで、たまたまただいまのような時世になりましたので、これを堤さんとはかりまして、モーターボート競走の運営をしていただくようにお願いして、御一緒にやる次第でございます。
  53. 坪内八郎

    坪内委員 非常に恐縮なことをお尋ねいたしまして、参考になりました。そこで提案理由やその他参考資料で、ほぼこのモーターボート競走法案に対する認識を深めているのでございます。実は実際問題としてこれを実施するのに、どういうような方法でやるのかということについて、簡単でいいですから、もう少しわかりやすくお答えいただきたいと思うのであります。  それからもう一点は、採算面がとれるのかどうかということです。その二点をひとつわかりやすくお話願いたいと思います。
  54. 堤徳三

    ○堤参考人 モーターボートのレースの方法と申しますのは、要するに幅約八十メートル、長さ八百メートル、水深約一メートル半の水面があれば、レースができるのでありまして、一回に約八隻ないし十隻のモーターボートを、約五マイルの距離を競走させることになつております。その船は特に競走用としてつくられましたたいへん軽い船でございまして、これに十馬力ないし三十馬力くらいのエンジンをつけまして、時速三十マイルないし六十マイルくらいの速力で競走するわけでございます。この安全性というものは非常に強うございまして、今までに事故によつて死んだ方は一人もないのでございます。軽い船でありますから、ひつくり返りましても、すぐに表に飛び出してしまう。それから選手にはすべてプロテクター及びカポツクの救命ブイをつけさせてやつておりますので、危險はございません。そのエンジンも二色ございまして、外につけまして軽便にいかなる所にも持つて行けて、漁船にもつけられるような船外機艇を持ちますのと、内に大きなエンジンを入れて百馬力、二百馬力、大きいのは六千馬力ばかりのエンジンをつけてやるのがあります。さしづめ日本におきましては、船外機艇によつて出発する。これが約十馬力から三十馬力のエンジンをそろえるつもりであります。それでクラスごとに、十馬力は十馬力、二十馬力は二十馬力として競走させまして、不公平のないようにいたしております。  それに対して審判というものが非常にむずかしいのでありますが、幸いにわれわれの同志その他で、三十年来ボートに乘つておる連中がございますので、審判については今のところ一つの支障もなく、ことに最近数回外人との競走をいたしましたが、外人の方もこのわれわれの審判の裁定というものに対しては、いかなる疑いも持つてないというような状態であります。  それから採算の点につきましては、今後初めてやることでありまして、確実なことは申し上げられないのでございますが、われわれが従来二十回にわたりまするレースをやりましたが、これは一つのかけもございません。ただスポーツとして見に来るということだけにかかわりませず、最低で三万人、多いときには十五万人の観衆を引きつけております。それは確かにこのモーターボート・レースというものが、見て非常におもしろいということを示唆するものではないかと思います。そういう点から帰納いたしまして、今度それにかけが加わり、かつ景勝の地においてやれるということによりまして、相当なお客さんが引けるのではないかというふうに推算しております。大体一日一万人のお客様がお入りになれば、十二分の採算がとれるというふうに考えております。
  55. 坪内八郎

    坪内委員 そこで船の券というのですか、その券を幾らで買うのですか。それから何か柵でも設けて、入場券をさらにとつてやるのかどうか、そんな点はどうですか。それからボートは一台どのくらい価格がいたしますか。
  56. 堤徳三

    ○堤参考人 やはり競輪、競馬同様に柵を設けてその中でやります。ただこれに、先ほど申し上げた通り簡単にやる方法と大きくやる方法とございます。大きなスタンドをつくつてやれば、相当の費用がかかるのでありますが、海岸におきましてはそのスタンドは、あるいは救命艇の格納庫になり、あるいはほかのボートレースまたは水上競技のスタンドにも併用せられ、または見張力台なり海の家になるというようなことが、ほかの競技と違うように思います。  それから船の値段は大体一台、艇が平均約十万ないし十五万円、エンジンがやはり十万ないし二十万円でございまして、一隻の船に大体二十万から三十五万かかる予定でございます。  それから券の値段は、やはりほかの競技と同じように、百円を基準にいたしておりまして、総売上げの七五%を艇券をお買いになつた方にお返しする、二五%は施行者がおとりになる、そのうち五%はその土地の競走会がおとりになる、これがその費用に当るわけであります。それからその中の三%を国庫にお出ししますので、施行者が一七%おとりになることになります。それによつてすべての競技をまかなう。大体われわれの予想では、その一七%の半分くらいで競技が十二分にやつて行けるのではないかというふうに考えております。
  57. 坪内八郎

    坪内委員 先ほどのお話の中で、これは将来六割程度輸出するのだというお話でしたが、日本のそういつたボートは、エンジンにいたしましても、あるいはボートそのものにいたしましても、技術の面で外国よりも劣つておるのじやないかと思うのですが、それはどういう意味で六割程度の輸出ができるのか。それから選手は男ばかりか、女ばかりか、男も女もやるのか、その点もちよつとお尋ねいたします。
  58. 堤徳三

    ○堤参考人 先ほど六割と申し上げましたのは、数量の六割ではございませんで、値段の六割であります。アメリカの船が千ドルでできますものならば、約六百ドル程度でできる。こういう意味でございまして、現在は輸出はほとんどないのでございます。アメリカ、では最近はモーターボートのエンジンの製造を禁止するという法規をつくるということをちよつと漏れ聞いておりますので、今後この事業が盛んになることによつて、輸出の面においては十二分の自信があるのでございます。というのは、パキスタンその他からわれわれの協会あてに、日本の船はどうだ、また日本のエンジンはどうだと、盛んに賛同が参つております。またアメリカのバイヤーからも盛んにそういうことを開いております。あるいは値段が間に合う。それからエンジンの性能そのものも大して劣つてないのでございまして、これは戰争中に飛行機のエンジンをやつたおかげで、たいへん軽い冶金の進歩によりまして、ほぼアメリカのエンジンに追随することができるようなエンジンが最近に試作ながらできております。  それから船は日本人は非常にうまいのでありまして、昔から日本の木船というものは相当定評がございます。ことにレース用の船または軽い船におきましては、巧妙な手法が非常に影響しまして、われわれが外人と競走しましても、毎年日本の船が日本においては勝つております。  それから選手については、私どもは男女区別を設けないつもりでおります。と申しますのは、女性もやはり船に乘り、あるいは海洋に出ていただきたい。それからもう一つは、エンジンが運んでくれますために、女性でもほかの競技ほど体力的には決して逕庭がない。ことにアメリカの小型の船のあたりは、むしろ女性が毎年選手権をとつておるような状態でございますので、女性の進出を歓迎したいというふうに考えております。
  59. 坪内八郎

    坪内委員 競輪や競馬は、その選手をを養成などいたしておりますが、モーターボートの場合は選手がおるのですが、またすぐ間に合うものかどうか。
  60. 堤徳三

    ○堤参考人 学生を戦争前から盛んに勧誘いたしまして、今までに約一万人の学生諸君が、この船に習熟しております。それから現在までにわれわれのクラブ、協会あたりで、ボートに乘つておる者が相当ございます。それらを組合同し、また自動車に習熟した者に、約一月ないし一月半の訓練を与えれば、十二分に選手として使えると思います。
  61. 岡田五郎

    岡田(五)委員 大体坪内委員から詳しくお尋ねになりましたので、私の尋ねることはなくなつたのでありますが、選手は大体登録制になつておるようでありますが、登録だけすればいいのであるか、その他に登録にあたつて何か資格でも必要なんですか、その辺のところをお尋ねいたします。
  62. 堤徳三

    ○堤参考人 登録には身体検査と学力検査、それから実施の検査、この三つをして、安全かつ公正なレースをするようにいたしております。
  63. 岡田五郎

    岡田(五)委員 このモーターボートの競走によりまして、モーターボートが発達する、これは非常にけつこうでありますが、かような競走にとかく随伴しがちな悪い傾向は、これによつて国民の投機心をあおりまして、あるいは昔の言葉であるかもしれませんが、淳風美俗に反するがごとき傾向が、競輪のある箇所において起つたがごとき弊害が起りはしないかということで、これを多少懸念するのでございますが、かような懸念はないものかどうか伺います。
  64. 堤徳三

    ○堤参考人 そういう懸念は、いわゆる普通のかけごと、競輪、競馬その他と同様でございまして、決してないとは申し上げられないのでございますが、ただ日本の青少年その他、少なくとも都会におる者、これらが海に出て行くというようなことによつても、いくらかプラスになるのではないかと思います。それから船のインチキと申しますか、そういうことがモーターボートでは行われがたいのでございます。やおちようが行われがたいということは申し上げられると思います。
  65. 滿尾君亮

    滿尾委員 ただいまインチキが行われがたいという点についてのお話がございましたが、私はその点について疑念を持つております。オート・レースの場合とモーターボートの場合と、大分性格が似ているのではないか。オート・レースの実績は私もあまりよく知らないのでありますが、ちよつと聞いたところによりますと、エンジンの故障というものが相当出るようであります。エンジンの故障があれば、過去において非常に勝つた経歴を持つておる選手が出ましても、エンジンの故障は保しがたいのでありますから、そこで大穴が出る。ところがモーターボートの場合においても同様に、ほとんど免れがたいものは競走中におけるエンジンの故障ということになるだろうと思います。そうすると、過去においてどんな輝かしい経歴、戦績を持つた選手でも、とたんに負けるのであります。結局これはエンジンの故障ということがもとになるのだと思いますが、エンジンの故障というものは観客が外から見ることができない。外部から監督することが不可能である。従つて紛擾というものは、私はむしろ競輪の場合よりももつともつと大きなチャンスがあるような気がするのです。またその競走の結果が、ほとんどエンジンのよさにかかる場合は相当に多いと思う。どういうコースをとられるか知りませんけれども、おそらくモーターボートのコースは直線だと思うが、カーブのコースをとられる場合があるかどうか。直線コースの場合であれば、エンジンのフアクター、つまりエンジンの調子がいいか悪いかということと、その性能に依存することが非常に大きいのであります。そうなるとこれはなかなか問題で、買う人は、エンジンの專門的知識があつて買う人はほとんどない。それはどこの会社のエンジンはどこの会社のエンジンよりもいいというようなことは多少あるかもしれませんが、結局同じ会社でつくつたものでも、できのいいものもあれば悪いものもある。また調子のいいものも悪いものもあるのでありますから、その紛擾というものは、むしろモーターボートにおいては最も危險だと思うのですが、当事者においてはどういうお考えを持つておられましようか。
  66. 堤徳三

    ○堤参考人 まことにごもつともな御質問でございまして、そういう懸念が非常に多いのでございますが、エンジンの故障というものは、事前の工作及び十二分の検査によつて防げるのでございます。またその大穴が出た場合に、そのエンジンがはたして故障であるかどうかということは、音響その他によつて專門家には十分わかるのでございますから、ただこれを無理に故障させたか、また故意にスピードを落しておるのかどうかということを判定することによつて、やおちようかどうかということの判定ができるのではないかと思うのであります。モーターボートの加速機はオードバイその他とまつたく違つておりまして、艇外についておりまして、そのレバーを倒すことによつてフル・スピードを出し得るのです。手前に引けば低速になり、一ぱいに押せばフル・スピードになる。これは途中でめがねで見れば明らかにわかりますので、全力を盡したかどうかという一つの証拠になるのであります。それから白波の立ちぐあいとエンジンの音響、エンジンは回転の多いものになりますと六千回ぐらいの回転をいたし、そのために特殊の高いピッチの音がします。その音によりましても、全性能を発揮しているかどうか判定がつくのでございます。それからエンジンすなわち勝ち船であるか、いい船すなわち勝ち船であるかということは、これは御承知ないのでちよつとやむを得ない御質問かと存じますが、今までの例におきましても、決していいエンジンが勝つているのではございません。まずオートバイにおきましても、コースの関係上、フル・スピードで走つているオートバイというものは一台もないのでございます。現在でも七十キロ、八十キロ程度のスピードで走つておりますが、フル・スピードを出せば百二十キロ以上ぐらい出せるのであります。それがコースの関係で出せない。ところがモーターボートは、直線のコースにおきましては全速力で走つております。そうしてこれは周回レースをいたします。千メートルのコースを五百メートルの直線で二度往復する、それを繰返すというコースをとつておりますので、五マイル・レースになると八回のターンをいたしております。そのターンの技術というものが、モーターボートにおいては、自動車、オートバイのごとくかじがそのままにきかないために、非常に技術を要するのであります。そして上手な選手は、ターンで必ず取返しております。現在日本にも高梨という人がおりまして、せんだつてもアメリカのクラークという一流の選手と対戦いたしましたが、これはエンジンに遜色があつたのですが、ターンがあるために十分に勝つております。そういうふうに長年乘つているということと、水の状況、流れの状況、風の状況、その他のものを巧みに取入れまして、操縦に熟練している選手がむしろ勝つというふうに私は考えているのであります。エンジンの時速におきまして、五マイルぐらいの差でありましたならば、十二分に熟練した者の方が勝つ可能性が多いのでございます。このくらいでよろしゆうございましようか。
  67. 滿尾君亮

    滿尾委員 ただいま技術的な御説明を伺つたのでありますが、技術の要素が多いということです。しからばモーターボートの競走の勝敗を決するフアクターというものは、どういうものを考えておられるか。たとえば風のコンディシヨン、流れのコンディシヨンというものは、同じ競走に出る人には同じフアクタ治で働くのであります。それは隅田川のまん中と端つことでは多少違うかもしれませんが、一応同じだと考えております。先ほど私はエンジンという言葉で申したのでありますが、社会の構造なり、全体の技術的なフアクターということでエンジンということを言つておるのであつて、決してエンジンだけを申しているのではないのであります。結局選手の熟練度、あるいは国志というか、フアイテイング・スピリットの要素、そういう要素を一応精神的なフアクターとするならば、これは物的フアクターであり、技術的要素である。こういうものをとつて私は申し上げたいのですが一体そういうものは、この競走に関してはどういう程度に働くと見ておるか、まずそれを伺いたい。  それからこのモーターボートの競走は、一体どんな場所においてやられるつもりであるか。隅田川でやられるか、琵琶湖でやられるか、普通の海上でやられるか。してみると、全出で考えてみて、このモーター・レースを挙行し得る可能性のある府県はどのくらいあるか。あるいはどこもかしこもみなできる條件を持つておるものか、これもひとつ伺いたい。  それから地方財政の改善をはかるためにこのボート競走をやるのだいう、これはこういうものにつきものの方式をとつているのでありますが、モーターボートと地方財政とは非常に縁が遠いように思うのでありますけれども、せつかくお出しになる以上は、地方財政よりもほかのことに大いに金を使われたらどうか。こういう紋切型の方式に持つて行くよりも、海洋思想の普及なり何なりをもつと大きく取上げたらどうか。われわれは公共団体の財政をよくするために、わざわざモーター・レースをやる必要はないと同様に、その間には何らの必然的な関連性もないのであり、これはばかげた愚の骨頂だと思う。かようなばかげたことに金を使わないで、海洋に関する国民の知識涵養なり何なり、大いに大義名分に出られたらどうか。どうも競輪、競馬のまねをして、法律の趣旨をお書きになることはばかげたことである。私はあえてかように申し上げたいと思う。
  68. 堤徳三

    ○堤参考人 ただいまモーター・レースのフアクターが人の精神的なものにあるか、船の方にあるかというような御質問がありましたが、これは両方にあるのでございまして、まず船の定型というものがまだ一定しておりません。オートバイまたは自動車、自転車というものは、大体において形が一定しておりますが、船の方におきましては、たとえば三点支持型であるとか、いろいろ型ができておりまして、船の定型というものは一定しておらないために、これによつて技術者が刺激されることは非常に大きいのであります。自分の新しい創意、くふうを入れた船をつくるとか、または船底のちよつとした構造をかえることによつて、スピードを増す。そういうことによつてできる非常にデリケートなものがあるのであります。エンジンの方も取扱い方によつて非常に違うのでございまして、ふだんから十二分の手入れをし、ブリーク・インをしたエンジンは非常にスピードが出るというふうに、その個人々々の選手のエンジンに対する深い考え方というものが非常に影響して参ります。  それから、風、波、その他が同じ程度にかかるのではないかという御質問でございましたが、川筋におきましても、海においても、一間ごとに違つております。それでそれを巧みに利用するということによつて、多少外まわりしても、いい潮に乘り、またはごみをよけて通るとか、選手のいろいろな注意深さということによつて、非常に勝敗が決するのでございます。アメリカ人がなぜ日本人のボートに負けるかというと、注意深さにおいて足りないのでございまして、ただスピードと馬力にまかせてまつすぐに走り、いきなりわらにひつかかつて負けるというようなことが多いのであります。そしてその注意深さということは、ふだんの練磨ということに大いに関連性があるように存じております。  それから各府県どことどこでできるかという御質問でございましたが、それは河川または非常に静かな海岸ならばどこででもできるのでありまして、東京におきましては隅田川であるとか、あるいは神奈川におきましては箱根であるとか、ごく状況がよければ鎌倉の海岸においてもできるりであります。ことに広島県あたりにおいては、実にやる所が多いのでありまして、大体それの基準は、常時いわゆる白波等が立たない所であります。それから大波、巻波が起らない所、流れの影響があまり多くない所、または干満の差があまりひどくない所、見物するのにしよい所、そういうふうに大体において〇・五メートル以下の波ならば、いつでもできるのでございますので、それ以上の波がむやみに立たないような所を選べば、日本中どこでもできないという所はないのでありまして、その点は各地の観光地その他に裨益するところが非常に大きいのではないかと考えております。  それからこの法案の地方財政との問題でございますが、これは逸脱するかもしれませんが……。
  69. 前田郁

    前田委員長 ちよつと滿尾君に申し上げますが、堤さんはきよう参考人として呼んだのでありまして、そういうことはいずれまた提案者に御説明をお願いすることにいたしましよう。参考人提案者と間違わないように願います。
  70. 滿尾君亮

    滿尾委員 今モーターボートを施行し得る土地方々にあるというお話を伺いましたが、今度は、かりにこれを実際に計画した場合に、まず切符を売る設備であるとか、いろいろな設備がいるわけですが、一箇所を施設するためには、大体何百万円、何千万円くらいの設備費を必要とする仕事であるか。その目途はどういうふうに考えておられますか。また観客は何万人ぐらい集まればよいか。それは場所によつて土地々々によつて非常に違うわけでありましようけれども、特別日本中で一番大きい所ではなしに、ごくありふれたアヴアレージのところをお考えになつて、最小限度大体何千万円くらい施設費を投じなければならぬとお考えになつておるか。大体どのくらいの人間がそこに集まるという予想を立てておられるか。事業の採算という見地から見て、どんな程度のお見通しを持つておられるか、お伺いしたい。
  71. 堤徳三

    ○堤参考人 御質問通り、場所によつてまつたく違うのでございます。われわれの方で大体の計算をいたしましたところ、ごく小さい所では約三百万円ぐらいの施設費でいいのではなしか。また大きく考えますと、六千万円以上の施設費がかかるというふうに考えますので、今後おやりになる土地土地一つ一つによつて、研究してみなければならぬ仕事ではないかと存じております。それからごく簡単な海岸でおやりになる場合には、施設その他にも傘がかかりませんので、五千人のお客が来れば採算がとれる。相当の施設を持つているものでも、一万人お書様が来ていただければ、採算がとれるというふうに考えております。
  72. 江崎一治

    江崎(一)委員 この前競輪法が国会提出されたときも、やはり自転車の民主的な水準を高めて輸出、云々ということがあつたのであります。それと同じようなことが今述べられておるのでありますが、この競輪法はその後どういうふうにどうであつたかということを顧みてみますと、これは地方公共団体のばくちの場銭かせぎにすぎない。そのために地方の人民大衆は非常にえらい打撃を受けております。このために首をつつて死んだ人もある。またこういつたようなことが起らないとも限らないと思うが、その点はどう考えられますか。ただ一言だけでよろしいからお答え願いたい。
  73. 前田郁

    前田委員長 それは提案者からまた御説明を願うことにしたらどうですか。きようは参考人として呼んだのですから、そういう問題は提案者に御質問願いたいと思います。——ほかにどなたかお尋ねになる方はございませんか。
  74. 坪内八郎

    坪内委員  この提案理由の中に、地方財政の改善をはかるために地方公共団体の財源の收入になるのだということがあるのでありますが、競輪とか競馬の場合は、主として地方公共団体が主体となつて国会に働きかけたということですけれども、参考人の方には、この地方公共団体の自治体から何かそういう協力的なお話があつてつておるのでありますか。ただ皆さんだけでそういうふうなことを進めておるのでありますか。
  75. 堤徳三

    ○堤参考人 私どもはそういう問題についてはまつたくわからないのでございまして、この法案を通すことを議員方々に伺いまして、こういう方がよろしいというだけの話であります。
  76. 岡田五郎

    岡田(五)委員 モーターボートの最盛期といいますか、最適の時期ですが、日本のような細長い国でありますから、鹿兒島の方へ行けば一年中やれると言われてしまえば別ですが、たとえば東京ならば東京付近において、常識的に言えば夏がいいとか、冬も頻繁にやれるものかどうか、その辺のところを伺いたい。
  77. 堤徳三

    ○堤参考人 真冬はあまり寒いために、エンジンの始動その他に支障を来しますし、また観客のことを考えまして、大体十二月、一月、二月を除いて、一年中やれると考えております。これの荷盛期は、五月から八月ごろまでがむしろ再盛期になるのではないかと考えております。
  78. 岡田五郎

    岡田(五)委員 このたび本国会議員提出としてこの競走法案が出ておりますが、これも通過するだろうと思いますけれども、もし通過されますと、実際において今年の夏にでも、箱根あたりでやれそうなお見込みというか、空気がありますか。
  79. 堤徳三

    ○堤参考人 大体七月二十日の海の記念日を期しまして、一番先に設備され、またはお申込みになつたところでやりたい。このために準備しております。
  80. 滿尾君亮

    滿尾委員 このモーターボート競走法案ですが、今回御提案なつたような方式で、勝舟投票券を常設的に原則的にやつておるモーターボート競走は、外国においても行われておりますか。
  81. 堤徳三

    ○堤参考人 外国におきましては、勝舟投票券は売つておらないのでございます。一番盛んなアメリカで、年に一千回ぐらいの競走のうち、プロフエツシヨナルの競走が約七割を占めております。そのレースはクラブから醵金されたもの、またはモーターボート会社、エンジン会社等から相当多額の賞金をかけられたものによつて競走されておりますし、また観客が個人的にかけておるのが、非常に多いと思うのでございますが、こういう方法は外国ではとつておらないと思います。
  82. 山口シヅエ

    ○山口(シ)委員 お伺いいたします。この場合の競技は、男子選手と女子選手の区別はどうなさいますか。一緒になさいますか、それとも男子の選手と女子の選手をおわけになつて競技なさるのですか。
  83. 堤徳三

    ○堤参考人 これは男子も女子も区別いたしておりません。馬力、舟の大きさ、その他同じ制限でありますれば、それに乘る者が男子選手であろうと、女子選手であろうと、同様に扱つております。
  84. 山口シヅエ

    ○山口(シ)委員 わかりました。
  85. 前田郁

    前田委員長 それでは参考人に対する質問はもうないようでございますから、本日はこれで参考人に対する質問は打切ります。ありがとうございました。  なお本案提案者に対する質問は、次会に譲ります。  次回は公報をもつてお知らせすることとし、本日はこれをもつて散会いたします。     午後二時四十四分散会