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1951-03-22 第10回国会 衆議院 運輸委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十二日(木曜日)     午前十一時五分開議  出席委員    委員長 前田  郁君    理事 大澤嘉平治君 理事 岡田 五郎君    理事 坪内 八郎君 理事 原   彪君      岡村利右衞門君    尾崎 末吉君       黒澤富次郎君    玉置 信一君       畠山 鶴吉君    前田 正男君       滿尾 君亮君    山崎 岩男君       木下  榮君    山口シヅエ君       江崎 一治君    石野 久男君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 山崎  猛君  出席政府委員         運輸政務次官  關谷 勝利君         運輸事務官         (海運局長)  岡田 修一君         運輸事務官         (船員局長)  山口  傳君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      足羽 則之君         海上保安庁次長 柳澤 米吉君  委員外出席者         参議院議員   岡田 信次君         参議院議員   山縣 勝見君         参  考  人         (栃木県知事) 小平 重吉君         参  考  人         (栃木県議会議         長)      大川 信助君         参  考  人         (宇都宮市長) 佐藤和三郎君         参  考  人         (栃木県商工会         議所協会会頭) 玉木 榮吉君         参  考  人         (日本国有鉄道         高崎鉄道管理局         宇都宮分室施設         課長)     深谷 義雄君         参  考  人         (兵庫県商工部         長)      吉田 豐信君         参  考  人         (日本通運株式         会社姫路支店         長)      今井 信治君         参  考  人         (姫路総務局         長)      坂井 直重君         参  考  人         (姫路会議         長)      望月 秀雄君         参  考  人         (神戸銀行姫路         支店次長)   玉田 芳彦君         專  門  員 堤  正威君         專  門  員 岩村  勝君     ――――――――――――― 三月十七日  委員黒澤富次郎辞任につき、その補欠として  中垣國男君が議長指名委員に選任された。 同日  委員中垣國男辞任につき、その補欠として黒  澤富次郎君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 三月十五日  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案内閣  提出第一一〇号) 同月十六日  船舶職員法案内閣提出第一一六号)(予) 同月十九日  帝都高速度交通営団法の一部を改正する法律案  (岡田信次外正名提出参法第八号)(予) 同月二十日  帝都高速度交通営団法の一部を改正する法律案  (参議院提出参法第八号)  低性能船舶買入法の一部を改正する法律案(山  縣勝見君外四名提出参法第九号)(予)  低性能船舶買入法規定により国が買い入れた  船舶外航船腹需給調整のためにする売拂に関  する法律案山縣勝見君外四名提出参法第一  〇号)(予) 同月十六日  下田港改修工事施行請願畠山鶴吉紹介)  (第一三一九号)  滝ノ町に地震観測所設置請願篠田弘作君紹  介)(第一三二〇号)  三島駅を東京鉄道管理局に編入の請願畠山鶴  吉君紹介)(第一三二一号)  浜松、米原間電化促進請願江崎真澄君紹  介)(第一三二二号)  二俣線輸送強化に関する請願中村幸八君外一  名紹介)(第一三二三号)  伊東港改修工事施行請願畠山鶴吉紹介)  (第一三九〇号)  岩滝口、本庄両駅間の私営バスを国営に切替の  請願前尾繁三郎紹介)(第一三九一号)  参宮線復線復活請願中村清紹介)(第一  三九二号)  阿萬港改修並びに避難港に指定請願塩田賀  四郎君紹介)(第一三九三号)  大川改修工事施行請願井上知治紹介)  (第一四一四号)  三重、延岡間鉄道敷設請願佐藤重違君外八  名紹介)(第一四一五号) の審査を本委員会に付託された。 三月十五日  桜島火山研究所建設に関する陳情書  (第三八〇号)  宮原線貫通促進に関する陳情書  (第三八三号)  東京鹿兒島間夜間急行並びに日豊線都城、鹿  兒島間準急列車運転に関する陳情書  (第  三九九号)  霞目飛行場民間飛行場として指定陳情書  (第四二九号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  参考人より意見聽取の件  地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、  公共船員職業安定所設置に関し承認を求める  の件(内閣提出承認第四号)  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案内閣  提出第一一〇号)  帝都高速度交通営団法の一部を改正する法律案  (参議院提出参法第八号)  船舶職員法案内閣提出第一一六号)(予)  低性能船舶買入法の一部を改正する法律案(山  縣勝見君外四名提出参法第九号)(予)  低性能船舶買入法規定により国が買い入れた  船舶外航船腹需給調整のためにする売拂に関  する法律案山縣勝見君外四名提出参法第一  〇号)(予)  国鉄地方機構に関する件     ―――――――――――――
  2. 前田郁

    前田委員長 これより会議を開きます。  帝都高速度交通営団法の一部を改正する法律案議題とし、審議を進めます。まず提出者提案理由説明を求めます。参議院議員岡田信次君。     —————————————
  3. 岡田信次

    岡田参議院議員 ただいま議題となりました帝都高速度交通営団法の一部を改正する法律案提案理由を御説明いたします。  東京都におきまする交通機関整備拡充をはかるために、昭和十六年帝都高速度交通営団特別法に基いて設立されましてから、地下高速鉄道建設経営を進めて参りましたが、戰時中から戰後にかけての資材、資金難から、新線建設ができないで今日に至つておるのであります。終戰後都内交通は著しい混雑を続けておりまして、これを打開し、今後の輸送増加に対処するためには、急速なる地下高速鉄道建設が最も適当でありますことは申すまでもありません。  ここにおきまして、昨年来都民初め関係者の切実な要望にこたえて、まず第一着手として、都内で最も混乱した輸送を続けております国鉄山手線池袋神田間の輸送力を増強するために、東京高速鉄道網第四号線の一部である池袋神田間の建設計画を進めて参りましたが、何分にもこの建設費だけで四十八億円を必要とし、今後の計画路線を完成するためには、巨額の資金を必要とすると見込まれ、その資金民間に依存することは非常に困難と考えられますので、その所要額のうち、大部分を米国日援助見返り資金資金運用部資金等政府資金に依存することができるように、その受入体制を整えることと、本営団設立当時の趣旨にかんがみまして、さらに公益的運営ができますようにするため、帝都高速度交通営団法の一部を改正する必要に迫られましたので、この法律案提出することに相なつた次第であります。  この際本法律案のおもなる事項についての概要を述べさしていただきたいと存じます。  第一は、帝都高速度交通営団は、創設当時より特別法により公共事業を行うことになつておりますので、現行公法上の法人であることを明確にいたしますとともに、その出資者日本国有鉄道と、関係地方公共団体とにいたしまして、従来出資しておりました民間持分を、できるだけ早い時期に買入れ償却することにいたしたのであります。その理由は、帝都高速度交通営団は、今後の地下鉄道建設に厖大なる資金が必要になりますが、このような資金は、国または公共団体信用力並びに政府資金に依存する必要があると考えられますので、資本の純化をはかり、あわせて資金運用部資金法に基いて、政府資金運用の対象とする措置を講じたわけであります。なお民間出資を買入れ償却することにつきましては、帝都高速度交通営団出資者と協議して買入れ価額その他について、出費者の了解を得たときに初めて行い得るものでありまして、強制的に出資を解消させる建前ではありません。  第二、資金運用部資金法の特例を認めたことであります。これは帝都高速度交通営団は、現在の民間出資者持分をできるだけすみやかに買入れ償却することになつておりますが、償却が完了するまでは、民間出資を持つていることになりますので、この民間出資が償却せられるまでの間は、民間出資を持つていない法人として、資金運用部資金貸付を受け、または交通債券の引受をしてもらうことができるようにいたしたのであります。  第三に、米国日援助見返り資金運用による貸付金につきまして、一般担保規定を設けたことであります。これは本年度において、すでに米国日援助見返り資金から二億五千万円の借入れをいたしました。これに対して交通債券と同様に一般担保をつけることにいたしたのであります。  第四に、帝都高速度交通営団管理委員会を設けたことであります。これは帝都高速度交通営団公共の福祉の増進を目的とする公法人でありますので、同営団業務について、国家公共の点から見て適切な判断のできる人を選んで委員会を構成し、收支予算事業計画資金計画及び收支決算について審議決定させ、自主的に公益目的とする運営を行わせることが、最も民主的と考えられるので、従来総裁の諮問機関であつた評議委員会を廃止して、管理委員会を設けることにいたしたのであります。管理委員会委員は五人とし、主務大臣の任命といたしております。  第五に、帝都高速度交通営団役職員の地位を明確にいたしたことであります。帝都高速度交通営団公法上の法人でありますので、その役職員公共に奉仕する精神で勤務することは当然でありまするが、事業の性質上機動的な活動を必要とするので、刑法その他の罰則の適用についてだけ、公務員とみなすことといたしたのであります  第六に、帝都高速度交通営団は、その予算及び決算に関する書類を、主務大臣及び日本国有鉄道並びに出資者である地方公共団体提出するとともに、主たる事務所に備え、一般の閲覧に供することにいたしたことであります。これは帝都高速度交通営団業務は、首都として、東京都民はもちろん、国民一般関心を持たるべきものでありますので、広く一般に批判してもらうことが適当てあると考えたからであります。  以上、本法律案提案理由並びにその内容概要を御説明いたした次第でございまするが、何とぞ愼重に御審議の上、すみやかに御協賛あらんことをお願い申し上げます。
  4. 前田郁

    前田委員長 本案質疑は次回に譲ります。     —————————————
  5. 前田郁

    前田委員長 次に日本国有鉄道法の一部を改正する法律案議題とし、審議を進めます。まず政府より提案理由説明を求めます。山崎運輸大臣。     —————————————
  6. 山崎猛

    山崎国務大臣 日本国有鉄道法の一部を改正いたしまして、国鉄職員地方議会議員を兼ねることができるようにいたす案は、前国会に提案いたし、審議未了なつたものであります。  この法案にはその後いろいろな御意見がございましたので、政府といたしましては、とりあえず第七国会において、法律第百五十九号制定の際、同時になすべきであつた條文の字句の整理のみをいたすこととし、本法案提出いたした次第でございます。何とぞ十分御審議の上に御可決あらんことをお願いいたす次第であります。
  7. 前田郁

    前田委員長 本案質疑は次回に譲ります。     —————————————
  8. 前田郁

    前田委員長 次に船舶職員法案議題とし、審議を進めます。まず政府より提案理由説明を求めます。山崎運輸大臣
  9. 山崎猛

    山崎国務大臣 ただいま上程されました船舶職員法案について、提案理由を御説明申し上げます。  現行職員法は明治二十九年の制定にかかる古い法律でありまして、その後必要に応じ一部改正を加えては参りましたが、船舶航行の安全を確保するにはなお不十分な点がありましたので、政府といたしましては、これが全面的改正につき検討を重ね、このたびようやく成案を得、現行法を廃止し、新法を制定する形をとつて、ここに提案する運びとなつた次第であります。  改正要点を申し上げますれば、まず第一は海技従事者免許更新制採用であります。すなわち免許は五年ごとに更新することといたしたのであります。現行法におきましては、一旦海技免状を受有すれば、たとい心身の欠陥、技術の進歩に応じた必要な知識の不足等のために、現に職員として不的確であつても、その職務をとり得る建前となつておりますので、その不合理を改めましたことであります。  第一は、小型船舶に対する船舶職員制度採用であります。総トン数二十トン未満の帆船、漁船等につきましては、現行法はその適用を留保しておるのでありますが、かかる船舶の海難はゆるがせにできない実情にありますので、これらの小型船舶にも小型船舶操縱士という新しい資格職員を乘り組ませることにいたしたのであります。  第三は、海技従事者国家試験制度の是正であります。最近の国家試験制度のあり方にかんがみ、現行法上のいわゆる認定学校卒業者に対する学術試験免除措置を廃止することといたしたのであります。  第四には、船舶職員として船舶に乘り組ますべき者の資格の表の改正であります。すなわち資格の表を一層合理的なものとするため、一般船舶については、表の基準となる船舶航行区域の区分につき、所要改正を加え、漁船については一般船舶に比べ軽減の取扱いをしていたのをやめて、妥当な資格に引上げることといたしました。改正要点は以上の通りでありますが、このほか前に述べました資格の表の画期的改正にかんがみまして、その表の適用には必要な準備期間を設けるなど、所要経過措置を講じておる次第でございます。  以上大略の御説明でありますけれども、何とぞ十分に御審議の上、御可決あらんことをおお願いいたす次第であります。
  10. 前田郁

    前田委員長 本案質疑次会に譲ります。     —————————————
  11. 前田郁

    前田委員長 次に地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、公共船員職業安定所設置に関し承認を求めるの件を議題とし、審議を進めます。御質疑のある方は質疑を許します。
  12. 坪内八郎

    坪内委員 ただいま議題となりました承認を求めるの件につきましては、先般の委員会におきましても愼重審議をいたしまして、賢明なる委員諸君におきましても、別にこれは質疑もないことだろうと思うのであります。この際質疑、討論を打切つて、ただちに承認されんことの動議提出いたします。
  13. 前田郁

    前田委員長 坪内君の動議に御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 前田郁

    前田委員長 それではさよう決定いたします。  これより地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、公共船員職業安定所設置に関し承認を求めるの件につき採決いたします。本案に対し承認を與うることに賛成の諸君の御起立を願います。     〔総員起立
  15. 前田郁

    前田委員長 起立総員。よつて本案承認を與うべきものと決定いたしました。  なおお諮りいたします。本件に対する委員長報告につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 前田郁

    前田委員長 それではさよう決定いたします。     —————————————
  17. 前田郁

    前田委員長 この際お諮りいたします。本委員会に付託になつておりますモーターボート競走法案につきまして、審議参考の資に供するため参考人招致いたしたいと存じます。なお参考人の選定、招致時日につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 前田郁

    前田委員長 それではさよう決定いたします。  この際お諮りいたします。本日招致参考人中神戸商工会議所会頭宮崎彦一郎君の代理人として、姫路会議長望月秀雄君を招致いたすことに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 前田郁

    前田委員長 それではさよう決定いたします。     —————————————
  20. 坪内八郎

    坪内委員 私はこの際運輸大臣がお見えでございますので、国鉄運賃値上げの件のことにつきまして御意見をお伺いいたしまして、また必要が生じますれば、国鉄首脳部に当委員会に御出席願つて、その真備をただしてみたいと思うのであります。  すでに御承知のごとく、国鉄最高首脳部の一、二の方々か、近き将来において国鉄運賃値上げをしようというようなことを新聞紙上に発表いたしておりまして、非常にこれは重大な問題であることは申すまでもありません。従つてこの問題につきましては、われわれも重大な関心がございますので、愼重にこの問題を検討したいと思うのでございますが、大臣におきましてはそれらの点につきまして、国鉄と何か連絡の上に、そういう計画で進んでおられるのかどうか。その点の模様をひとつお聞かせ願いたいと考えるのであります。
  21. 山崎猛

    山崎国務大臣 ただいま坪内委員より運賃の問題について、運輸大臣としての考えはどうかというお尋ねを承つたのであります。運賃の問題は運輸行政の上においてはきわめて重大にして、愼重取扱いをいたさなければならない問題であると、平生考えております。運賃は貨物の場合においても旅客の場合においても、経済自立復興を目ざしておる日本の現段階においては、これが大きな影響を来すということは、私が申し上げるまでもないところなのであります。もちろん一般物価値上りもあることであり、従つてまた国民生活自然生活費の向上をさせなければならない状態でありますが、運ぶ荷物がすでに経済的に値上りをする以上は、運ぶ方においてもまたこれに応じた何らかの手段を講じなければならないということが、当然のりくつとは考えられるのでありますけれども、最初に申し上げたような、運賃政策経済自立復興の上から、大きな影響を持つものである、産業の開発の上からも、国民経済関係からいつても、大きな関係を持つものであるという観点に立つ場合においては、それにもかかわらず重大なる考慮をこれに拂つて行かなければならないと思うのであります。ただいま坪内委員が御指摘に相たりましたが、新聞紙上等に伝えられておるというようなことでありましたが、あるいはそういうことが新聞記事にありましたかどうか、不幸にして私はその新聞記事を見なかつたのでありますが、かりにこれを見ておりませんでも、右申し上げたような心持で、運賃政策については対処したいと考えておるのであります。さらにまた運賃問題について、国有鉄道側の幹部と何らかの相談等があつたかというような点も御指摘があつたのでございますが、それはありません。あるいはもしそういうことが新聞に出たとすれば、国有鉄道を経営しておる。独立採算制公共企業性等の重い責任をもつて国有鉄道運営に当つておる当事者として、一つ意見を持つておつたかもしれないのでありますが、しかしまだそれらについては、私は相談を受けてもおらず、協議もいたしておりません。しかし経済情勢の変化に応じて、運賃をいかなる方法で扱うへきかということは重大な問題でありますから、せつかくの意義ある御質問と考えまして、この点については進んでそれらの点について部内の意見を定めておくようにいたしたいと考える次第であります。
  22. 坪内八郎

    坪内委員 ただいま運輸大臣の御説明によりまして、国鉄運賃値上げにつきましては、国鉄首脳部と何ら打合せその他をやつていないというようなことで、その点は了承いたしました。しかし、新聞記事でございますので、事実のほどか那辺にあるかわかりませんけれども、かくのごとき重大な問題を、一国鉄首脳部方々新聞紙上に発表するということに対しては、まことにわれわれは遺憾の意を表するものであります。もちろん国鉄公共企業体として、その許された範囲内において、その自伝をもつて運営に当られることは、われわれは何らさしはさむ意見はないのであります。けれども今日の国民経済の面から考えまして、かくのごとき重大なる発表をなさるということにつきましては、われわれはもつと深く愼重考慮を拂つてつてもらわなければならない、かような意見を持つておるのであります。従つて将来この問題につきまして、国鉄首脳部を当委員会招致いたしまして、いま少しその真相を調査したい、かような考え方を持つておりますので、委員長におかれましてはこの問題につきまして、国鉄関係者を当委員会招致されるとりはからいをなさるよう希望をいたしておきます。
  23. 山崎猛

    山崎国務大臣 ただいまのお尋ねに対して、つけ加えてお答え申し上げておきますが、運賃の問題は当然国会の議に付して、御審議を願わなければならないことと考えまするので、そういう機会がありましたならば、国会を煩わず結果と相なろうかと思いますから、あらかじめお含みおきを願いたいと考える次第であります。
  24. 前田郁

  25. 玉置信一

    玉置(信)委員 私も運輸大臣が御臨席のこの際、緊急な問題といたしまして次の二点をきわめて簡單にお伺いしたいのであります。  第一点は、民間航空に関する今日の運輸当局としての計画内容であります。前の当委員会におきまして、航空長官から内容をある程度承つたのでありますが、その後新聞によりましても、当初計画せられた民間航空は、経営者アメリカ側会社、しかもパイロツトも向うさんというようなことでありましたが、その後関係筋の示唆といいますか、指示といいますか、それによつて、これを全部日本側に許可をいたして、民間航空か開設されるということが伝えられたのであります。そのときの計画は、東京・大阪・福岡、それから東京北海道札幌というふうに説明があつたのでありますが、今日これがどういう計画のもとに進んでおられますか、お伺いします。  第二点は、私ども最近聞くところによりますと、東京札幌、すなわち千歳をサービス・ステーシヨンとするこの北海道東京間の民間航空はやらない。特に大蔵大臣がこれに反対しておるということが伝えられまして、昨日のごときは北海道から電報まで参つておるわけであります。国内状況から見まして、民間航空経営の面は、長距離ほどその意義があり、特に北海道客観情勢から見ましても、あるいは地の利等から見ましても、北海道こそ東京間に航空路を開設すべきであると思うのに、こうしたことが伝えられておることに対しまして、道民多数が非常な失望を感じ、期待はずれの感を持つているわけであります。電報等は省略いたしまするが、これに対してまず運輸大臣の御所見をお伺いしたいのであります。
  26. 山崎猛

    山崎国務大臣 お尋ね日本民間航空事業の点でありますが、実は昨年の夏から秋と時期の経過従つて、一口に申せば、日本側に対して非常に都合のよろしいように進展をいたしたのであります。ということは、結論から申し上げるならば、およそ地上運営については、全部あげて日本側一つ会社を設けてこれに当ることになるのであります。向う側でなすことは、これは極東委員会において早く制限されたことの最小限度、すなわち飛行機を持つこと、それを運転すること、これだけのことが向う側で、地上における一切のことは日本運営する、ここまで拡大されたのであります。幸いにしてそれはこの正月以後にさように進んで参つたのでありますが、その後日本側の方においても、また外国側の方における仕事の状態も、短い期間ではありますが着々進められて、進行の道をたどつておる次第であります。こういうことは講和会議成立後において、日本は自主的に当然国際航空事業にも参加すべきはずでありますので、そのためにも地上一切の運営のことを、日本側でこれに当るという措置が事前にできつつあるということは、大きな目から見て将来の見通しとしても、非常に有望な朗報であるのであります。  さらにまた具体的の問題として、東京北海道、すなわち千歳飛行場間の航空路線は行わないというようなうわさが伝わつておる。大蔵大臣がそれに反対をされておるというようなお話でありましたが、日本民間飛行の運営の問題は、かかつて運輸省の所轄なのでありますから、運輸大臣はまだ北海道東京間を航行することをやめようという心持は持つておりません。その点をここではつきり申し上げておく次第であります。ただ大蔵大臣意見がかりに外に漏れたとすれば、それは経費の予算の関係等において、相当今苦心をされておりますので、あるいは一次的あるいは二次的というようなことでも——これは私の想像でありますから、大蔵大臣がそういうことを考えておると言うのではありません。これは私の想像ではありますか、一期線、二期線というなことを常識的に考えたかもしれませんが、それも私が大蔵大臣から直接承つたわけではありません。運輸省といたしましては、南は福岡、北は北海道の間に、日本民間航空を開設して行きたいというつもりで、予算その他の準備の措置について、せつかく努力をいたしておる最中であるということを、ここではつきり申し上げてさしつかえないと思うのであります。どうかいろいろに伝えられるデマなどに左右されずに、御不審の点がありましたならば、いつ何時でも運輸省当局に直接お確めを願いますれば、ありのままをお答えして、地方の民心の動揺のないように努めたいと考えておる次第であります。概略お答え申し上げます。
  27. 玉置信一

    玉置(信)委員 ただいま運輸大臣から御親切に、しかも詳細にわたつての御答弁がありましたので、非常に安心をし、満足をするものであります。大臣も仰せられたように、私も大蔵大臣の言われておることについては、予算関係等よりお話になつておることと想像をいたしておりますが、特に参議院議員の石川議員から、大蔵大臣の反対理由の点も聞かされておりましたので、單なる民間人でなく、国会に籍を有する石川君よりも御注意がありましたので、特に引合いにしてお話を申し上げたわけでありまして、当然運輸省の所管でありますし、運輸大臣の権限範囲に属するのでありますから安心はいたしておりますが、どうか全国的に一様な時期においてこのラインを設定するように、ここに重ねて御要望申し上げて、私の質問を打切ります。
  28. 前田郁

    前田委員長 運輸大臣は参議院の方に呼ばれております。なるべく簡單にお願いいたします。原君。
  29. 原彪

    ○原(彪)委員 国有鉄道の行政機構の改革の問題につきまして、どうも割切れない点がございますので、一つ委員長にお答えを願い、一つ大臣にお答えを願いたいと思うのであります。本日の会議には各地方から、それぞれ行政機構の改革に関係のある有力な方々をお呼びになつて、公聽会式にこれから運営されようとしておられますが、各地方からおいでになつ方々に対しては、まことに御苦労様と申し上げたいのでありますが、私は少くとも今までの当委員会経過からしまして、昨年の夏当委員会において、行政機構の改革の問題について、委員をあげて各地方に実地調査に行かせまして、つぶさに実情を調査し、また地元の輿論を聽取いたしまして、この委員会においてその結果の報告をそれぞれなされております。しかして昨年の九月十九日にこの委員会において、国有鉄道の行政機構の改革については、特に青森、宇都宮、姫路、下関に鉄道管理局を設置すべしという決議が満場一致をもつてなされ、それから十二月の国会におきましても、その後この国会における決議を尊重して、運輸大臣はいかなる措置をとられたかという質問を私はいたしておるのでありますが、もうすでに半年になつてつて、何らこの委員会において国民を背景としたこの決議に対して実行されてないということは、非常に割切れない点であります。  またもう一つの点は、その決議をなしたあとに、なぜ地元の輿論をここで聞かなければならぬかという点であります。むしろ決議をする前に、地元の輿論を聞くために、ここに公聽会を開くということが順序であろうと想うのでありますが、まずその点について、委員長はいかなるお考えで、決議が済んだあとに、むしろこの決議を実行することを政府に迫るべき立場の委員長が、公聽会を開かれるか、その御意向をまず承りたいと思います。
  30. 前田郁

    前田委員長 ただいまの原委員お尋ねに対しましてお答えいたします。原委員が申されました通り、昨年の八月以来当委員会といたしましては現地を調査いたしまして、そうして各地の模様をつぶさに調査いたしたわけであります。その結果、ただいま申された四箇所の管理局を設置すべしという決議をしたわけでありますが、今回おいでを願いましたのは、実施後すでに八箇月を経過しておりますので、この八箇月間の経過から見まして、独立採算刷並びに公共企業体という見地から、現地がどういうふうにこれをごらんになつておるか、そういう点をさらに公聽会を開いてお聞きいたしまして、これをば政府の方にも参考資料として送つて、われわれの決議を一日も早く実行していただきたい、こういうことで実は本日ここにおいでを願つたようなわけであります。要するに昨年は機構改革直後でありまして、いろいろな点がありましたけれども、すでに八箇月も経過しておりますから、これに対して相当いい面も現われ、また悪い面も現われておるわけですから、その点を今日は十分に各地の皆様からお聞きしたい、こういうわけであります。
  31. 原彪

    ○原(彪)委員 ただいまの委員長の御答弁には、多少疑義があるのであります。そうすると昨夏当委員会が各地に実地視察に行つたが、その調査が十分でなかつたというようにも聞えるのであります。決議したものは政府に実行してもらわなければならない。むしろ義務づけられる決議だと思うのでありまして、決議したあとに、日にちがたつたから、事情をまた聽取するというのは、どうも納得行きませんが、これ以上追究申し上げてもしようがありませんので、またせつかくおいでになつたのでありますから、地元の方々の御意向は承ることといたします。  次に私は大臣お尋ねしたいのでありますが、昨年の十二月九日にも、この決議に対する実行をどうされるのかと私が御質問申し上げたときに、大臣は、その決議を尊重して実行するように努力をする、そのために国有鉄道に対して報告書を求めるというようなお話があつたのでありますが、すでに半年近く経過しておつて委員会はたびたび開かれ、国会が開かれましてもう半ばに相なつておるのに、何ら当委員会に報告がないということは、まことに遺憾なのでありまして、大臣はどういうお考えをお持ちになつておるか、一言伺わさせていただきたいと思います。
  32. 山崎猛

    山崎国務大臣 機構改革の問題につきましては、私がここで繰返し申し上げるまでもなく、前国会以来お答えをしておつたところに何もかわりはないのであります。着々その線に沿うて、できるだけの手続並びに手は打ちつつあるのであります。しかしながらこの場合、はなはだ率直には申し上げかねるのでありますが、御同様に占領統治下の現状の日本におきましては、なかなかこちらで思つたように参らない事情もありまして、思うにまかせず遅々としておつたような結果が現われておるのであります。ただいまその後の報告の状況はどうかということでありますが、実は運輸省の当局としましては、国有鉄道の側から、その後の経過等については、その折々に報告を聽取いたしております。さらにまた本日ここで公聽会をお開きになられるということでありますが、ただいま委員長の適切な御説明のあつたあとでありますから、これに対して何ら申し添える点はありませんけれども、実施後の最近の実情について、さらにまた地方の関係者の見るところをお聞き取りになるということで、まことにけつこうなことと考え、運輸当局者としては重大な参考資料になる、こういうふうに考えて期待をかけておるような次第であります。一応お答え申し上げます。
  33. 原彪

    ○原(彪)委員 大臣の御答弁によりますと、占領治下であつてなかなかむずかしい点があるというふうに私は解釈しましたが、この国有鉄道の行政機構の改革の問題について、去る十二月に私が加賀山総裁に御質問申し上げた際に、加賀山総裁は明確に、司令部から何らの地域的な示唆は受けていないということを御答弁されたことは、速記録に明らかであります。それでありますがゆえに、大臣も同様に司令部から示唆をお受けにならぬと、私はかように解釈しておりますので、特にこれは国有鉄道の監督機関であり、また四十七條かの公共の福祉のためには命令を発することができるという権限をお持ちになつておる大臣でありますので、私は早急に御手配されておるものと思つてつたのであります。しかるに今日まで長く延びましたので、私はかように御質問申し上げるわけであります。
  34. 山崎猛

    山崎国務大臣 それは私においてはきわめて明瞭なことなのであります。国有鉄道総裁は、運営の事務を担当しておる最高の責任者であります。私は日本政府側の一閣僚であり、同時に政治的に含みを持つた折衝もいたさなければならないのでありますから、国有鉄道の総裁がさように答えられるのが当然であり、私はさらに政治的の含みを持つて、この問題の遂行に努力いたさなければならないのであります。その場合に占領統治下という言葉が出て参るのであります。事務的には何らの示唆も受けていないということは、当然であるのであります。
  35. 江崎一治

    江崎(一)委員 大臣は時間がないようでありますので、簡單に二、三の点だけお伺いいたします。船員にとりましては外航従事令というのは、非常に重要な死活問題でありますので、この外航従事令がどこの権限によつて出されるのか。もつとはつきり言いますと、日本政府の権限で出すのか、それともほかの権限によつてこれが発行されるのか、その点を明らかにしてもらいたいと考えます。
  36. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 それは日本政府でこれに関する政令を出しておりまするので、日本政府の権限でございます。
  37. 江崎一治

    江崎(一)委員 今の岡田海運局長のお話、去年十一月十日に運輸省の吉田労政課長の言つておるのとは、非常に矛盾するのであります。労政課長はこの席で言つたのではないが、海運局を訪問していろいろお尋ねしたときに、この従事令については日本政府の権限外だと言つておるのであります。この点が非常に不可思議に思いましたので、今日お伺いした次第であります。日本政府がやるというなら、それでけつこうであります。
  38. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 労政課長がどういう席で言いましたか、ひとつ十分調査をいたしまして、その上御返事をいたします。
  39. 江崎一治

    江崎(一)委員 これは引揚船であるところの高砂丸とか信濃丸の問題であります。現在この二つの船はCMMC、商船管理委員会、この管下で朝鮮事件に関する輸送をやつておるわけでありますが、これの麦押い関係はどうなるのでありますか。スカジヤツプの方から支拂いがあるのか、あるいはまた引揚げのための財源からこれを麦押つておるのか、この点はどうなつておりますか。その魚を明らかにしてもらいたいと思います。
  40. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 帰還輸送船は、運営会が使用しておるのであります。運営会から米軍の方に傭船に出しております。従つてその傭船料は米軍の方から運営会に支拂うことになります。     —————————————
  41. 前田郁

    前田委員長 次に、低性能船舶買入法の一部を改正する法律案及び低性能船舶買入法規定により国が買い入れた船舶外航船腹需給調整のためにする売拂に関する法律案を一括して議題となし、審議を進めます。両案の提案の理由説明を求めます。山縣勝見君。     —————————————     —————————————
  42. 山縣勝見

    山縣参議院議員 低性能船舶買入法の一部を改正する法律案及び低性能船舶買入法規定により国か買い入れた船舶外航船腹需給調整のためにする売拂に関する法律案につきまして、提案の理由その他説明申し上げたいと思います。  さきに国会を通過いたしまして、現に施行せられております低性能船舶買入法でございますが、この規定によつて政府と先買契約かすでに締結せられまして、政府へ引渡さなければならない船舶がありますが、その中で帰還輸送船として現に使用されておりますもの、及び米軍によつて使用されているものがあるのであります。これらに関しましては、関係方面の要請もございまして、低性能船舶買入法のうちに規定されております、すなわち第十五條の後段には買入れ船舶の売主による保管、第十六條の第三項には大蔵大臣による売拂い、なおまた解撤、破棄、並びに第十七條には買受人による解撤等について期限を定めておりますか、関係方面より、帰還輸送船でありますとか、米軍によつて使用されております船舶は、当分の間さような船の使用が必要であるという意向でありますので、大体本年三月末に引渡しをいたさなければいかぬことになつておるのでありますし、なおまたそれに関して保管、解撤、破棄あるいは売拂い等のいろいろの規定がございますが、さような船舶に関しましては、それらの期限を一箇年間延長いたしますことか、関係方面の要請にもこたえ、また現実の事態に即するものと考えまして、この低性能船舶買入法の一部を改正する法律案提出いたした次第でございます。要点はきわめて簡單てございまして、今提案理由で御説明申しました通り、買い入れました船は運輸大臣が管理をいたしまして、その船を管理いたしております間は、それを売りました船主に保管の責任を負わしておるのであります。なおまたそれを売りますときには、第十六條によつてその船を大蔵大臣に引継ぎまして、大蔵大臣は一定の期限にこれを解撤または破棄をいたす等の規定はいたしておりまするので、これらに関して大体一年くらいがよかろうという考えのもとに、一箇年間延長いたしたのでございます。  なおまた別個の法律として御審議を願うことに相なつておりまする低性能船舶買入法規定により国か買い入れた船舶外航船腹需給調整のためにする売拂に関する法律案でありまするが、これも法律の名前は非常に長いものでありまするが、一言にして申しますると、低性能船舶買入法によりまして、国が買い入れまして、国が所有権を取得いたしました船につきましても、その後ことに外航船腹の需給の点から見まして、現朴政府の財政資金をオペレートいたしてまで、十分に船を配船するとか、新造船その他船腹の拡充に、非常な努力を国家として拂つておる際でありますから、戰標船といえども適当の改造をいたしまして、クラスをとつて外航に就航し得ますならば、古い船を輸入して多額の金を外国に拂うということよりも、いろいろな点から見て適当ではなかろうか、従つて国か所有権を取得いたしました船のうちで、これをさらに拂いもどしを受けて改造いたして、クラスをとるようなことであるならば、これをもう一度拂いもどすことか適当ではないか、その際の価格は、大体買入れ価格に、運輸大臣がその船骸の引渡しを受けまして、大蔵大臣がさらに売りもどしをいたしますまでの期間に対して、大体適当な利率——適当な利率は、その法律にありまする通り日歩二銭七厘でありまするが、それを加えたものでもつて売りもどしをする。なおこの際には、さような戰標船を売りました船主は、たいていエンジン等を一応その船からおろしまして、引渡しをいたしておるのであります。これを改造いたします際には、さようなボイラー等を再びその船に積み込んで、そうして改造いたしますことが適当であります。さような意味から、その船を売りました船主に優先的に売りもどしをいたします方が、これまた国家的に見て適当ではなかろうかというふうに、ここで規定されておるのであります。  なおこれは一般の会計法その他の法律にもありまするので、当然のことでございまするが、注意規定として、引渡した船骸を売り拂つたときには、船主からその対価、すなわち買入れ価格とその期間に対する利息を加えましたもの、その対価の支拂いを受けた後でなければ、その船骸を再ひ大蔵大臣は船主に引渡してはいかぬという規定であります。これは一般会計法によりて当然のことでありまするが、これまた注意規定で第二條に盛つておるのであります。  なお第三條に、この準用規定がございまするが、これは先ほど来申しましたように、買入法によつて船を政府に売りますると、運輸大臣は適当の期間管理いたします。その管理をいたします間、売りました船主が国家にかわつて保管の責に任ずるのであります。それが第十四條、第十五條に規定されております。なおまた第十六條には、運輸大臣はその買入法によつて買い入れた船を売りまするときには、大蔵大臣に引継がなければいかぬという規定がございます。なおまた第十六條の第三項には、大蔵大臣運輸大臣からその船骸を引継ぎました後において、どうしてもその船骸を解撤者等に売拂いができないときには、本年の九月末までに解撤とかあるいは破棄しなければいかぬという規定がございまするが、なおまたこの低性能船舶買入法の一部を改正いたしまして、一箇年間延長いたします。この法律案の第十七條の二、すなわち一箇年間延長ということも、今後改造いたしますには、やはり適当の期間がいりますから、今回修正される低性能船舶買入法案の第十七條第一項もあわせて準用いたした方が適当ではないか、こういうふうなことで、この十四條、十五條、十六條第一項及び第三項及び第十七條の二の一項、これを準用いたすということにいたしたのであります。  なおまたこれも当然のことでございまして、あらためて條文に入れることもいかがかと考えましたが、一応注意規定といたしまして、低性能船舶買入法の第十七條は解撤義務を規定いたしております。なおまたこの十八條に譲渡等の禁止を規定いたしております。これも当然のことであるのでありますが、一応注意規定として挿入いたした方かよかろうということで、第四條に挿入いたしておるのであります。  内容はきわめて簡單でありまして、低性能航船買入法の一部を改正するというのは、先ほど来申しましたような大体六隻、帰還輸送船一隻、それからMSTSで使用いたしておりまする船舶が五隻、重量トンにいたしまして一万五千百五十九トンであります。その買入れ価格は六千六百七十七万一千円余でありまするが、これも先ほど申しましたように、当分関係方面の要請によつて、その使用を延ばすことが適当である。従つて性能船舶買入法規定いたしておりまする引渡し等の期間を、一箇年間延長いたすというのが前者の内容であります。後者の方は、御承知の通り外航船腹が非常に不足しておりますので、せつかくかような際でありますから、政府が買入れた船をもう一度拂い下げて改造させて、外航船腹としてクラスをとらして就航さす。その価格は買入れ価格とさらに船主に売りもどしをいたしますまでの期間における日歩二銭七厘を加えたもの、管理費用を加えませんでしたのは、きわめて小額でありまして、一箇月一万六千円余でありますから、これはむしろ加えない方がよかろうということにいたしたのであります。大体さような趣旨てもつて、この両案を提出いたしましたような次第でありまして、何とぞ御審議をお願いいたしたいと思います。
  43. 前田郁

    前田委員長 本案に対し坪内君から簡單な質問をいたしたいとのことでありますから、これを許します。坪内八郎君。
  44. 坪内八郎

    坪内委員 ただいま議題となりました両法案のうち、後者の法案につきまして二、三お尋ねいたしたいと思うのであります。この両法案につきましては、今日わが国の海運業界の動向から考えまして、すみやかにこの両法案国会を通過することを期待また希望いたすものであります。そこでただいまの提案理由の詳細にわたる説明で、了解いたす点もあるのでありまするが、後者の場合の、すなわち低性能船舶買入法規定により国が買い入れた船舶外航船腹需給調整のためにする売拂に関する法律案でありますが、この売り拂いの條件が、外航船腹の需給調整のためにこれを売り拂うのだということになつております。この点につきまして資金関係その他の点もありますので、私は二、三質問申し上げたいのであります。  この両案につきまして、ただいま提案者の説明によりますと、これは関係筋の示唆があつたのだというようなことのお話がありましたが、後者の面においても関係筋の示唆があつたのか、それともわが国の海運業界の今日の現状からして、海運政策として政府がそういう建前で進むのか、あるいは船主側の要望によつてこのようなことになつたのか、その点まずお尋ねいたしたいと思います。  さらにまたもう一点は、これを外航船腹として需給調整のためにやるのだというお話でありますが、もともとこの低性能船舶買入法をわれわれが通過させるときに、ほとんどこの船はボロ船で使いものにならない、しかも年数において三十年経過した船を、一応国がスクラツプにしてやろうという建前政府が買い上げたのであつて、ほとんどこの船は使いものにならぬじやないかと思う。従つてこれを外航船腹の需給調整のためにやろうとするならば、相当これは改修費用がかかると思うのであります。今日トン当り五万円以上もするという現状であつて、その資金面をどうするのかという点が第二点であります。その御答弁によりまして、質問をさらに続行いたしたいと思います。
  45. 山縣勝見

    山縣参議院議員 ただいまの御質問にお答えを申し上げますが、第一点の関係方面の示唆によつてつたのであるか云々というお話に対しましては、私は先ほど御説明の際は、前者の一部修正に関する法律案に関しましては、関係方面の示唆がありましたが、後者の方はむしろ日本の現在の情勢から見て、政府の要請とか、あるいは業者が要請したということでなくて、国策としてかような措置をとることが必要じやないかという趣旨から、議員提出として提案をいたしたのであります。なお後者の方につきましては、これはお説の通りでございまして、昨年の朝鮮動乱の起りまするまでは、繋船が九十万トンないし百万トンあつたのであります。従つてまた世界の海運事情におきましても、現在のごとき船舶の緊急状態ではなかつたのでありまするから、日本の海運の将来を考え、また日本海運政策の大本から見まして、かような戰標船は解撤をいたして、日本の商船隊の健全性をはかり、将来の発展をはかるということが、国策として適当であるということでもつて、当時の、ことに近海における船腹需給の関係から、この法案提出されたのでありまするが、その後御承知のように現在は内航におきましても、ほとんど繋船は一つもありませんし、なおまた最近の事情から申しますと、内航船舶も非常な需給の逼迫を来しておるのであります。いわんや外航船舶は、御承知のように来年度の昭和二十六年度の通産省の案、つまり重要物資の輸入計画も、現在の船腹量をもつていたしましては、非常な危惧の念を抱かざるを得ぬ状態でありまするし、また今後両三年の見通しからいたしましても、このような船腹の問題から、日本のあらゆる生産計画が達成されないということであります。従つてまず船舶拡充の基本政策を適当に考慮することが必要であろうと思うのでありまするが、改造費が相当かかるのじやないかという今のお話でございまするが、これは現在三十年あたりの船を輸入いたすといたしましても、相当の価格であります。現に海外市場は非常に上りつつあります。でありまするから、改造いたしますときには、一応その船骸があるのでありまするし、なおまたその改造費は日本の造船所においてやるのでありますから、国際收支の関係、外貨の点から申しますれば、日本においてこの改造をいたすことが適当であろう。従つてこの改造いたす船を、あまり高ければ船主がいたさぬのでありますから、船主が大体において自分の計算において改造いたして、クラスをとつて外航船とすることに対しては、政府みずからの危険においてやるのでありますから、そこにおのずから改造費において適当な拂いもどしを受けて、改造いたすことに相なるだろうと思います。現石日本の船腹拡充の基本から申して、新造、改進あるいは買船等を適当に勘案してやるべきだという見地から、この程度の——大体今問題になつておりますのは五隻でありまするが、五隻で三万七千トン程度のものを改造いたすために、かような法律案を出しますることが適当でないかと考えて、提出いたしました次第であります。
  46. 坪内八郎

    坪内委員 御答弁は簡單でけつこうであります。そこでこのスクラツプにしなくてはならぬようなボロ船を改修するには、二千トン級の船でも、大ざつぱに見積つておそらく一億から二億くらいの改修費がかかるのじやないかと思うのでありますが、そういう資金関係につきまして、これは政府が何か補助するのか、あるいはこれを船主側で、今日資金難であえいでいる現状においてまかなうのかどうかという点をお尋ねしておきます。  第二点は、船主側がこれを買いもどしまして、そういつた改修ができないという場合に、これが政府の要望の通り、他に買手があつてこれを改修してやろうという場合には譲渡ができるのかということ、この二点を簡單にお尋ねいたしたい。
  47. 山縣勝見

    山縣参議院議員 前者の点につきましては、政府から御答弁があつた方が適当ではないかと思いますが、いかがでありましようか。
  48. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 御晩の通りこれが改造には相当の金を要するわけてあります。しかし政府といたしましては、何とかその改造についての財政的援助を與えたいという気持を持つて、いろいろ折衝いたしておりまするが、今のところ見込みがございません。従いまして現在民間側でこれを買いもとして改造しようというものは、すべて自分のところで調達をした金で改造していただく、それ以外に手がないのであります。
  49. 坪内八郎

    坪内委員 そうすると売り渡す條件としては、船主側がこれを改造するという條件のもとに、政府から買いもどしができるのであつて、それができない場合はどうなりますか、その点海運局長に伺います。
  50. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 契約條項の中に、外航船として改造するということを條件にいたしております。従いましてその條件が満たされない場合には、買いもどし契約違反として、何らか違約に対する條項を考えたいと思います。
  51. 坪内八郎

    坪内委員 その点はつきりしないのでありますが、もう一点、外航船腹需給調節のためにこれは政府から買いもどすのだというのでありますが、これをそういつた外航船腹のみにわくを小さくしないで、他の用途方面、たとえばほかの面にこれを改修するという考えはないのかどうか、その点を一点お尋ねいたしたいと思います。
  52. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 その点も同様にその契約條項の中に、自分が改進しないで他に改造しようとする者にさらに譲渡するという場合、契約の一方である政府のあらかじめ了解を得た上で、そういう措置をとり得るというふうな事柄を、その契約の中に規定してはどうか、かように考えております。
  53. 坪内八郎

    坪内委員 その点は了解いたしました。そこでそういつた條件のもとに、資金面もいわゆる買主側である船主側がやらなければならないということになると、個人の財産権というものを侵害することにならないのかどうか、その点をお尋ねいたします。
  54. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 これはすでに国の所有に移つたものを買いもどす場合、一つの契約でありますから、別に既存の個人の所有権に制限を加えるとか、そういうものにはならないと思います。
  55. 坪内八郎

    坪内委員 そういつた改修を條件としてこの売買が行われるのであつて、それをできないという場合に、どうでもやれということになると、政府資金面においてもそういつた莫大な資金の調達は、今のところ見込み薄だというような御答弁と考え合せまして、どうもその点が納得が行かないのでありますが、もし買いもどし側の船主側が、改修が意のごとくならないという場合は、政府の了解のもとに他に譲渡できるのかということを、もう一度お伺いいたしたいと思うのであります。
  56. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 この法律目的が、船骸を再び船の形にもどして、有効に利用しようという趣旨でございますから、買いもどした者が自分でできないので、他にそういう能力のある者があり、それが改造を希望するという場合の転売は、あらかじめ政府の了解を求めて譲り得るというふうにしてはどうか、これは契約の内容にはつきりそういうふうに規定すればよい、かように契約の方に譲つておるわけであります。
  57. 前田郁

    前田委員長 ちよつと重大な法案につきましての打合会を開きたいと思いますから、きようの質問はこの程度においていただいて、明日質問を続行いたしますから、どうか明日に譲つていただきたいと思います。  では一応これで休憩いたしまして、午後一時から引続いて開くことにいたします。     午後零時二十分休憩      ————◇—————     午後二時十分開議
  58. 前田郁

    前田委員長 これより委員会を開きます。  この際お諮りいたします。本日招致参考人中、藻川淳二君及び吉川覺君の代理人として、玉田芳彦君及び吉田豊信君を招致いたすに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 前田郁

    前田委員長 それではさよう決定いたします。  委員会を開くにあたりまして、本日御出席参考人各位にごあいさつ申し上げます。本国会の劈頭運輸委員会は、陸運、海運、空運に関する事項につき国政調査をいたすことに決定し、国会が持つ国政調査権の一端として、運輸行政全般にわたり、本日まで検討して参つたのでありますが、昭和二十四年六月一日発足いたしました日本国有鉄道公共企業性、独立採算制、ひいてはその機構面につき、調査の過程において、また種々の法案審議の際におきまして、委員会として愼重に再検討いたさねばならぬ段階に到達いたしたのであります。  去る第八国会の本委員会におきまして、国鉄新機構の状況につき視察の結果、東北、北関東、近畿、中国においては、運営上幾多の支障欠陥ありと認め、国有鉄道運営の円滑を期し、公共の福祉を増進するため、すみやかに青森、宇都宮、姫路、下関に鉄道管理局を設置するようとの決議を行つたことは、すでに御承知のことと存じます。  国鉄の新地方機構発足以来数箇月を経過いたしておりますので、現地における状況につき、地元関係者の忌憚なき御意見を聞き、本調査の資に供したいと存じ、本日お招きいたしたわけであります。各位におかれましては、その立場々々より腹蔵なき御意見の御開陳を御願いいたします。  本日は御多忙中のところ、貴重なる時間をおさきになり出席していただきまして、委員長として厚く御礼申し上げます。  なお議事の順序を申し上げますと、参考人の発言時間は約十分程度といたし、その後において委員より質疑があることと存じますが、これに対しても忌憚なくお答え願いたいのであります。  なお念のため申し上げておきますが、衆議院規則の定めるところにより、発言は委員長の許可を受くることになつております。また発言の内容は、意見を聞こうとする案件の範囲を越えてはならぬことになつております。また参考人委員に対して質疑することはできませんから、御了承願います。ではこれより参考人から御意見を聽取いたします。参考人方々の氏名等につきましては、配付いたしました名簿にておわかりのことと存じますが、初めに委員長より紹介します。栃木県知事小平重吉君。
  60. 小平重吉

    ○小平参考人 ただいま御紹介にあずかりました栃木県知事小平であります。意見を申し上げる前に、委員長並びに委員方々に御礼を申し上げておきたいと存じます。今回の鉄道の機構改革につきましては、運輸委員会におかれまして、委員長並びに委員方々より、宇都宮に管理局を設置せよというような御決議をいただきましたことは、まことに感謝にたえないのであります。この機会に従来の御厚意に対し、県民を代表して私から御礼を申し上げます。  今回の鉄道機構改革につきましては、もちろん鉄道といたしましては責任体制の明確化、あるいは作業能率増進、なお独立採算制というようなことを主眼としておやりになつたものと考えておりますが、その結果から見ますと、これらのみにとらわれまして、ことにそろばんがあまり高いと申し上げてもよいのではないか、そのために公共性を失した整備をした、こう申し上げたいのであります。とにかく鉄道は公共企業体でありますから、独立採算制は考えるべきでありますが、われわれ地方民から考えますと、地方の公共の利便ということを十分お考えになつて決定すべきではないか、こういうふうに考えております。その点から申しますと、この大きな八十年来の、鉄道の現在までの歴史を根本的にくつがえすということになるのでありまして、現在の民主的な世の中におきましては、地方におきましても公聽会等のようなものも開いていただきまして、十分われわれ地方民の意見というものも聞いていただきたかつたということを、今になつてわれわれ考えておるのであります。  まず私は宇都宮管理局設置ということを主体にして申し上げるのでありますが、御承知のように宇都宮は東北線中枢の要地であります。しかも鉄道開設以来、運輸事務所があつたのであります。ことに東京から青森までは、御承知のように七百三十キロというような延長の路線を持つておるのであります。いわゆるわが日本の脊髄であります。この脊髄に、今度の機構改革によりますと、東京から三百六十二キロというものは局がないのであります。東京から仙台まで少しも局というものはない。従来は宇都宮にあり、福島にあつたのでありますが、それが二つとも廃止になりまして、三百六十二キロの間、仙台以外には一つも局がないのであります。それに伴いまして、水戸に局をつくり、あるいは前橋につくり、高崎につくる、こういうことになつたのであります。栃木県の大部分は高崎が主管することになつておりますが、はたして高崎管理局のみで、この大きな場面を十分運営ができるかどうかということは、私はすこぶる疑問に考えております。私は局の設置に対しましては、まず十分地方の監督ができるかどうかということが、先決問題であると考えておるのであります。高崎事務所なるものは、高崎線あるいは信越線、もしくは上越線、八高線、こういう方面の管理監督は十文できると私どもも考えております。しかしそれ以外に、両毛線を経まして東北本線は蓮田から黒磯まで、日光線、烏山線というようなこの大きな路線というものは、高崎のような西の方におつて、東の方まではたして監督ができるかどうか、私はすこぶる疑問視しております。こういうことになりますとわが栃木県は、行政区域から申しますと、管理局が三箇所にわかれて、片方は高崎、片方は仙台、水戸、こういうふうになりまして、何をするのにもこの三つの局に伺いを立てねば仕事ができないということに相なるのであります。いわゆる県下は三分されたという結果になつております。そういうことでははなはだ迷惑千万でありまして、後ほど申しますが、その後の経過によりましても、非常な不便を来しておるのであります。私どもはこの決定をしたときに、運輸省に参りましていろいろお話を伺いますと、宇都宮は枢要の地であるから輸送長を置くのだ、こう言われたのであります。それほど必要な場所に、なぜ局を置かなかつたかと私は申し上げたいのであります。輸送長は現在宇都宮にありますが、現在の輸送長の権限ははなはだ微弱でありまして、何の役にも立たない、たた話を承つておくだけというような現状でありまして、まことに困つておるのであります。  次に私の申し上げたいことは、先ほども当委員会におきまして非常に御議論になつたようでありますが、改革後の状況はどうかという問題であります。この問題が本日われわれが招致された主なる重点であると私は考えておるのでありますが、まず一番私どもの困つておりますことは、貨車の問題であります。これは省の方では、貨車は朝鮮事変以来非常な不足を来しているのだ、機構改革のためではないということをおつしやられておるのでありますが、現在私どもが県内の物産等を搬出する、あるいは他の方面から物資を搬入するという場合におきましても、ほとんど貨車がなくて、一番困つておりますのは昭和二十六年度の肥料であります。この輸送にはほんとうに手をやいておるのであります。これはよけいなことでありますが、私どもの県は米を百七十万石から産出しておる。また多数の特産物があります。また搬出する製品もたくさんあるのであります。しかし一番生産に影響するものは肥料であります。これが約六万五千トンからの肥料を、今四月までに入れなければならぬ。硫安とか過燐酸というものはだんだん入つて参りますが、一番困つているのはタバコの肥料であります。これを関西から約八百トンあまりの品物を今入れようとしておりますが、あるところには貨車があるけれども、いかに運輸省の方に交渉いたしましても、貨車がないというので、ほんとうに今困つております。この貨車をとるために営業事務所に交渉いたしましても、たた話を聞いているだけで、いつ貨車をまわしてくれるかわからない。また向うから貨車をまわしてもらう手続をいたしましても、これも思うように行かないという現状でありまして、実にこれには困つている。  それから私どもの県は観光県でありまして、観光を県是としております。従いまして、多方面から栃木県に観光客を誘致するという場合において、そういう計画を立てるにしても、一々これを高崎なり、水戸なり、仙台に行かなければ、仕事ができないというような現状てありまして、これも実に困つております。  それから従来栃木県、茨城県、あるいは群馬県方面は、水害が非常に多い所であります。従つて鉄道の工事もたくさんあり、また鉄道工事に付随するところの物品の購入というものもたくさんあるのでありますが、それらに対する物の買入れ、あるいは請負というようなことについても、宇都宮では何もできない。高崎に関するものは高崎の局、水戸に関するものは水戸の局まで行かなければどうにもならない。遠くは仙台まで行つて、物の購買あるいは請負等をしなければならぬ。この点から申しましても、宇都宮に局がありますれば、宇都宮でただちに話がつくのでありますが、こういうことでは今後地方の産業、経済に及ぼす影響は実に甚大でありまして、この点は十分御了承を願つておきたいと思うのであります。  ことに私どもまのあたりに見せつけられているのは、高崎に局かありますために、両毛線にはガソリン・カーを五回運転しております。なかんずく高崎から桐生までは八回のガソリン・カーを運転しております。つまり局の近いところは非常に便利であり、また非常に世話をやいておる。ほかには栃木県内にはガソリン・カーを運転しているところはほとんどありません。ことに東北本線の宇都宮から北の方の黒磯までに至る間というものは、宇都宮への通勤着が非常に多いのでありますが、これに対してガソリン・カーは一台も動いていない。あるいは烏山線も一日に三、四回しか通つておりませんが、ガソリン・カーがない。要するに局のあるところは非常に便利を與えている。結論はそういうことになると申し上げておきたいのであります。ただいま高崎方面は非常に交通上便利を得ている。ところが局のないところは非常に虐待をされているという現状であります。こういうことではわれわれは県民として黙視できないのでありまして、ことに公共性を持つている運輸省としては、全国至るところ恩恵に浴するような計画を立てるのが至当ではないかと考えておるのであります。この点は返す返すも私どもは遺憾に考えておるのであります。  時間が十分ということで制限されておりますから、長くは申しませんが、最後に申し上げたいことは、この委員会におきまして皆さん方満場一致の御決議をいただきましたにもかかわらず、いまだ実現ができないということは、はなはだ遺憾に考えておるのであります。どうか皆さん方の御協力によりまして、一刻も早く宇都宮に管理局を設置されるように特にお願いをいたしまして、私の意見を終ります。
  61. 前田郁

    前田委員長 次に栃木県県議会議大川信助君を御紹介いたします。
  62. 大川信助

    大川参考人 宇都宮管理局設置の必要性につきましては、知事から詳しく説明がございましたので、私から重複するようなことを申し上げる必要はないかと存じます。簡單に許された時間を拜借いたしまして申し上げたいと存じます。  鉄道は独立採算制を主とし、公共性の事業であるということであるならば、独立採算制そのものが、單に採算上の問題にとらわれて、ほんとうに国家資源の開発、あるいは産業に対する重要物資の輸送、また観光、人間の交流というものに重点を置かずに、ただ経済に重点を置くということであつたならば、それは真に国家的な経済を生むゆえんではないと思うのでありまして、こういう点から申しますならば、先ほど知事から申しましたように、両毛沿線には産業的な大都市があるのであります。ことに栃木県としては、面積の七五%は山林であり、そこには有名な三依、栗山のわが国にも珍しい原始林があつて、国家的な林産資源を持つております。また日光を中心とする国立公園は、国家的に非常に大きな重要性を持つて登場して来ているわけであります。こうしたもののほかに、先ほど知事から申し上げましたように、農産物としても、またタバコのようなもの、またその他かんぴよう等の重要資材もありますので、これらが全国に輸送されることは、ひとり本県の経済に資するのみならず、国家全体の問題として考えなければならないと思うのであります。こういう際において、すべての輸送機関が高崎、水戸、あるいは仙台等に、その管理の区域が分断されましては、この輸送その他に対する連絡上、少からざる不便があるのであります。ことに管理局と現場との連絡というものは、上長の指示を得なければなりませんので、その事情を上申する場合においても、これを電話によつてのみ利用することは不可能でありまして、結局それには一々現地から各管理局に交渉をしなければならないような不合理があります。従つて高崎から黒磯間の所要時間は五時間二十分を要する、あるいは仙台、黒磯間六時間五十分を要するというようなことでありまして、その連絡に非常な時間を要するのでございまして、これらについても不便の点が非常に多いのでございます。また高崎管理局管内には、非常に山岳が伏起いたしまして、急流河川が非常に多い関係上、アイオン、カザリン等の水害当時におきましても、非常に災害が起つたのであります。これらの復旧を要する際におきましても、また列車の不通の状態から見ましても、これが復旧について少からざる不便を感じたことは、過去の歴史によつて明らかになつております。数字をあげて申し上げますならば、去る八月六日の水害によつて、常磐線が不通になつた。同線の列車は、水戸線小山経由の迂回輸送を行つたが、その実績を申し上げてみますならば、八月七日から八月十七日までの十一日間におきまして、旅客列車の回数が百四回であつた。一日平均すれば十回である。貨物列車は百八回であつて、一日平均が十回である。その他は三十六回で、一日平均して三回である。総回転数が二百四十八回で、平均いたしまして一日の回転数は二十三回、当時小山駅では、右の迂回列車が非常に殺到したために、線路容量を超過せんとするような混乱状態が起つた。その原因は水戸、高崎、東京の三局が遠距離に隔絶しておる関係上、各局間の打合せ、連絡が円滑に行われなかつたためである。かかる異常の場合において、その近くの宇都宮に管理局があるならば、時々刻々適切なる指示がなされて、夏季増水期間における常磐線の水害不通、あるいは冬季の降雪期における上越線の雪害不通は例年のことであるが、これが対策上からも短期間にこれを開通することができる。こういうふうな関係も持ちますので、それらの点を総合しますると、重要物資の輸送上非常な関係を持ちます。  また作業上の欠陥から申しましても、資材その他を取入れる関係は、その連絡が複雑しておりまして、非常に困難性が伴うのであります。経済上から申しましても非常に関係がございますので、その物資の交流が不円滑になる関係上、両毛線の沿線の足利、佐野、桐生一帶の地におきます輸出織物の搬出輸送等におきましても、時期遅れあるいはまた不便な金融上の問題も起るのでありまして、ことに最近繊維製品の需要が非常に多くなつ関係上、また流行の変遷等も変化がすこぶる急激になつたために、それらの事情を察知するにいたしましても、輸送機関が大きな関係を有するのでございます。  かような点からいたしまして、私どもはどうしても栃木県下一円の各線を一丸としたところの、いわゆる宇都宮管理部の従来の機構が最も適切であつたというように考えられるわけであります。すでに衆議院の委員会におきましても、また参議院の委員会におきましても通過して、もはやその実施期に入ろうとする前に立ちまして、先ほど委員会を傍聽いたしました際にも、ある方からお話が出ましたが、どうか一日も早く宇都宮管理局復活を急速にしていただきまするよう、切に私からもお願い申し上げたいと思います。時間に制限がございますので、以上申し上げまして終ります。
  63. 前田郁

    前田委員長 次に宇都賞市長佐藤和三郎君にお願いいたします。
  64. 佐藤和三郎

    ○佐藤参考人 ただいま御紹介にあずかりました宇都宮市長佐藤和三郎であります。令回宇都宮管理局設置関係につきましての委員の皆様の御協力に対しまして、厚くお礼を申し上げる次第であります。  すでに知事、県会議長よりもお話がありました通り、東北線は一応幹線であります。この幹線の三百六十キロの間には管理局がないのでありまして、上越線関係におきましては、東京より百キロの高崎にあるわけであります。水戸線につきましては、百十六キロ離れた水戸にあるわけであります。東北線に限りましては、三百六十一キロの仙台までは管理局がないという関係に相なります。ことに東北線は、北海道方面に行く最短距離でありまして七百三十五キロ、常盤線は七百五十キロという状況に相なるわけであります。かような関係によりまして、今後の東北及び北海道方面は、どうしても東北線に重点を置いていただかなければならぬ。しかもその管理上からいたしましても、百四キロの宇都宮市というものを、当然重要視していただかなければならぬ、こういうように考えるわけであります。すでにこの委員会においても、また委員の皆様におかれましても御調査等を願いまして、この御決定を見ていただいたわけであります。その後の機構改革によりまして、栃木県の管理部は高崎、水戸、仙台に三分割されておりまして、管理局は主として高崎管理局ということになるわけであります。  さような関係によりまして、栃木県の現在の状況というものは、すでに両氏からお話がありました通り、経済上から見ますと非常な打撃をこうむつておるのであります。と申しますのは、栃木県に所為しておつても、管理関係の鉄道の方々も、令部大体高崎管理局に属するという関係になります。従いまして仕事の面におきましても、ほとんど従来宇都宮を中心とする物資の購入、請負その他が、全部高崎管理局に移つてしまう。しかも職員の給料の源泉徴收というようなものも、すべて高崎税務署に納める。たといこつちに住んでおつても、さようなことに相なるわけでありまして、財政的に税收関係からいたしましても、さような関係によりまして、いわゆる平衡交付金にも非常に影響を及ぼして来るわけであります。その宇都宮の状況を申し上げますと、これは小さい例になるかもしれませんが、宇都宮税務署管内において納める所得税の百分の十八というようなことになりまする関係上、宇都宮が源泉徴收はできないということによつて、それが減るわけであります。さような関係によりまして、過般の平衡交付金におきましては、税收関係が減るからというので、特別平衡交付金をお願いしておるわけでありますが、いまだにこの関係は勘案されない。これは小さな問題であるかもしれないけれども、地方財政にとつては大きな問題であります。いずれにせよ、物資の購入関係につきましても、さように相当減つてつておるわけであります。  なお連絡の問題であります。北関東営業事務所というものが宇都宮に置かれておりますが、これは一種の連絡場所であつて、実際面におきましては、こちらの要望を伝達していただくということについて、非常な不便があるのでありまして、従来宇都宮に運輸事務所がありました当時に比較いたしまするならば、財政的にも便宜上においても、われわれといたしましては非常に不便を感じておるということに相なるわけであります。ことに相当古い歴史を持つた運輸事務所当時以来、宇都宮管理部であつた関係上、住民関係、いわゆる駅員の宿舎その他において、現在相当できておるのであります。その当時焼けましたけれども、りつぱなものができ上つておるわけであります。現在それがほとんどがらがらになつておる。しかも住宅関係につきましては、これをこわして持つて行くというようなことになりますれば、実は鉄道自体としてもそれだけよけいな費用がかかるわけであります。さような関係でありまして、十分今後とも皆様のお力によりまして、一日も早く宇都宮に管理局の設置をお願いしたい、かように考えるわけであります。よろしくお願いいたします。
  65. 前田郁

    前田委員長 次は栃木県商工会議所協会会頭玉木榮吉君にお願い申し上げます。
  66. 玉木榮吉

    ○玉木参考人 私の申し上げますのは、会議所側から見まして管理局の設置を要望する理由を申し上げたいと思います。  私は宇都宮の商工会議所の会頭を兼ねております。従来会議所の事業でありまする観光関係あるいは商工業の指導、こういうようなものにつきまして、直接会議所で宇都宮の従来ありました管理部に交渉いたしまして、秋の観光あるいは夏の海岸地に客を送るような場合におきまする催しも、きわめて短時間のうちに実現しておつたのであります。さらにまた各地への栃木県の物産の輸送あるいはよそから入る品物に対する業者の輸送のあつせん等も直接やつておりまして、その関係上、宇都宮市は戰災をこうむりましたが、非常な早さをもつて復興したのであります。これは事実建築にしても、あらゆる資材の交流も、きわめて円滑に行つてつたのであります。ところが昨年夢にも思いませんでしたが、この管理部が廃止され、しかもその上に立つ管理局が高崎という相当遠距離に偏在するに至りまして、実は私どもまた高崎に一回も廃止の理由に関して交渉したことはございません。私は貨物協会の役員もしておりまして、そこに苦情委員会を設けておりますが、物資の交流とか、貨物輸送に関する鉄道側の配車状況につきまして、苦情が続出しておるような状況でございます。これをどう解決するか。たとい宇都宮にさようなものをつくつたところが、その結論を得ない機関は無用な機関である。私はその運営に対して、はなはだ疑問を持たざるを得ない。一々高崎へ行くということになると、列車の状況をごらんになつてもわかりますが、両毛線を通つて参りますと、東京へ行く倍かかる。しかも電話等では、私どもの用は足せるものではありません。従いまして現在一番困つておりますのは農産物の輸送関係、さらにまた栃木県は独特の林産国でありまして、鉄道の資材なども相当供給しておるのでありますが、これなどもいつの間にか山間地に悲劇が起つておるのであります。まくら木は切つたが、輸送がなかなか思うように行かない、こういうことが問題としてあるわけであります。栃木県の土建業界は砂利、木材等に惠まれまして、非常な勢いで発達しておるのでありますが、昨年以来は悲惨のどん底にございます。また業者といたしましても、いす、机その他の調度品を直接宇都宮の管理部に納めておつたのでありますが、昨年高崎に移りましてから、いす一つ納められない実情でございます。私どもはあらゆる手を盡しまして、栃木県の木工品の発達をはかつておるのでありますが、そのようなことのために非常に阻害されておるのであります。  私は先日、宇都宮の管理部が移転されました後の、家庭必需品の販売状況を調べてみたのでございますが、鉄道管理部の職員が高崎に移りまして——大体四百名近くの世帶が移つてしまつたのでございます。これにつきまして、少くとも年間五千万以上の購買力が、宇都宮市の商人から減つております。なお土建関係で資材納入等を考えますときには、少くとも年間十億ぐらいの産業界の打撃を、今後こうむるのではないかと私は思うのであります。こういう点が宇都宮市に管理局の設置を要望する大きな原因でございます。しかも宇都宮は仙台、東京間の一番大きな都会でございまして、県庁の所在地として県の政治機構の中心地でありまするから、やはりこういう大きな都会地に結びつくのが、国鉄の政策遂行の原因になるのではなかろうかと痛感するものであります。どうぞ私どもの要望を一日も早く実現されんことをお願い申し上げる次第でございます。
  67. 前田郁

    前田委員長 次に高崎鉄道管理局宇都宮分室施設課長深谷義雄君にお願い申し上げます。
  68. 深谷義雄

    ○深谷参考人 私は国鉄職員として、国鉄の幹部が是として施行せられた今度の機構改革に対して、いろいろ申し上げることは、職員としてはなはだ心苦しいのでありますが、参考人としてお呼出しになり、先ほど委員長から腹蔵なく意見を述べろというお話でありますから、私は国鉄の営業のあらゆる部門について申し上げることはできませんが、私の担当しておる仕事から考えまして、私の意見を述べさせていただきます。そういう意味で、どうか国鉄の幹部の方には寛容なる心持をもつて職員の一人としての意見としてお聞取り願いたいと思うのであります。  今度の機構改革は、もちろん経営の合理化、責任態勢の確立ということから発足されたのでございます。従来四段階であつたということに対しましても、考え直さなければならない点もあつたのでありますが、現在三段階になりましたことにつきまして、実施後新しいので欠点もあり、やりにくい点もあつた、そういう点を改良すればよろしいというふうにもお考えになつておることと思いますが、最近アメリカから帰られた国鉄幹部の報告を聞きますと、アメリカの鉄道においても三段階の鉄道会社はある、しかしながら大きい会社になれば四段階の会社があるというふうに、アメリカにおいても鉄道会社は全部が三段階ではないという報告を聞いております。そういうことから考えまして、わが国の国鉄においても、現在二十七局がありまするが、これを本庁で全部統轄して見ることは、相当困難性があるのではないかということから考えまして、やはりある段階、地方庁といつたようた段階を設けて、予算、人事、そういつたものの整調をはかる一つの機関か必要ではないかというふうに私は考えるのでありますし、また幹部の中にも、そういう意見を持つておられる方があります。それで二十七局現在あつて、三段階でやれということでありますれば、宇都宮のように、あるいはその他の数箇所のように、非常に職員も熱望しておる箇所に対しては、数箇所増設していただいた方が、職員としてもやりいいのではないか、こういうように考えております。それで四段階という問題は別にしまして、宇都宮を初め数箇所が要求しておる、職員も希望し、県下も非常に熱望しておるということに対しまして、すみやかに局を設置していただきたいと考えております。
  69. 前田郁

    前田委員長 これて宇都宮関係方々の公述をお聞きしたわけでありますが、これに対して委員各位から御質問はございませんか。
  70. 岡田五郎

    岡田(五)委員 栃木県知事の小平さんにお尋ね申し上げたいと思います。私から申し上げるまでもなく、鉄道は大きな経済機関であります。この経済機関は、経済行政に不即不離のものであると考えるのであります。そこでお尋ね申し上げたいことは、いわゆる県の経済行政といいますか、県政を施行せられるにあたりまして、今まで宇都宮運輸事務所あるいは保線事務所、また宇都宮管理部というものがありまして、このたびは管理部がなくなりまして、いわゆる経済行政と不即不離の経済機関である鉄道の中枢部が“県政の中枢である県庁と離れたのであります。かような面におきまして、知事に、経済行政を施行する上において、経済機構の中枢である管理部なり管理局がなくなつたということについての不便さを、もし具体的な例がありましたならばお述べ願えればけつこうだと思います。
  71. 小平重吉

    ○小平参考人 ただいまの御質疑に対してお答えいたします。経済行政と運輸機関というものが不即不離であるということにつきましては、まことに私も同感であります。実は先ほども、時間がありましたならばこの問題につきましてるる申し上げたいと考えておつたのでありますが、端的にそれが現われておる事実かあるのであります。  御承知のように鉄道の行政と県の行政というものは、始終連絡をとらなければならないということは申し上げるまでもないのでありまして、なかんずく栃木県内には、鉄道のやつておりますバスがありますが、このバスの問題などにつきましては一番射つております。何しろバスを走らせるのには、道路の問題、橋梁の問題が付随して来るのでありますが、そういう問題につきまして一々御協議をするという場合においても、従来は宇都宮には運輸事務所がありましたから、ただちに交渉ができたのでありますが、こういう点につきましては、一々高崎の管理局に属するものは高崎管理局までわざわざ行かなければならない。電話等で話しましても、なかなか容易ではないのであります。今日の通信機関では、半日かかつてもなかなか電話に出ないという事実があります。従つてあそこまで行くのにはどうしても二日間くらいかかります。ことに栃木県の北の方の問題につきましては、仙台まで行かなければならない。仙台までは三日がかりということになるのであります。これはお互い非常な不便であると考えております。宇都宮にありさえすればただちに話もできるのでありますが、それが道路を直すのにも、橋梁の修理にしても、出かけなければ話ができないということなのであります。この点は端的に現われておる不合理の現象であります。  それから先ほど私が申しましたが、県の行政といたしまして、御承知のように目下食糧行政ということが非常に大きな問題になつております。供出という責任を負わなくちやならぬが、供出を完全にやるのには、やはり何と申しましても農村に肥料を配給するということが一番の先決問題であります。ところが先ほど申しますように、肥料を持ち込むのには貨車が先決問題でありますが、現在の状況では六、七万トンの肥料を搬入しなければならぬのに、栃木県では今大体三割しか入つていない。品物がないかという問題でありますが、品物は貨車がまわれば相当入るということなのでありますが、これらもほとんど入らない。先ほども申しましたが、タバコ肥料には一番困る。これは関西方面から菜種かすを搬入するのでありますが、栃木県では五千町歩つくつておるが、その肥料が一割ないし二割くらいしか入らないので、これらの問題の解決のためにも、このことを宇都宮の営業事務所にも話をしておりますが、いつになつたららちがあくのかわからないというような状況であります。今御指摘になりましたように、県の行政面と鉄道というものがまつたく不即不離であります。その点から申しますと、一刻も早く宇都宮に管理局を設けていただきたいということを、私どもは痛感するのであります。どうぞよろしく御盡力願いたいと思います。
  72. 坪内八郎

    坪内委員 私は他の要望とともに、宇都宮に管理局を設置すべしということを強く要望いたしている者の一人でありますが、ただいま各参考人の方から、地元といたしましては実にもつともないろいろ参考になるお話を承りまして、まことに参考になりました。そこで現実の問題といたしまして、将来宇都宮に管理局を置くということになりますと、その受入れ態勢が問題になつて来ると思うのであります。先ほど佐藤宇都宮市長よりその点についてちよつと触れたようでありますが、かつて管理部があつたときの建物は現在どんな状態になつているかということについて、その状態をだれか適当な方からお伺いいたしたいと思います。
  73. 深谷義雄

    ○深谷参考人 現在管理部の建物は、間仕切りその他の工事を終り、今月中に竣工し、すぐ現場機関が入ることになつております。
  74. 坪内八郎

    坪内委員 聞くところによると、かつての建物をとりこわしつつあるということを聞いているのですが、その点はどんなぐあいですか。
  75. 深谷義雄

    ○深谷参考人 現在機構改革によつてあきました管理部の建物は、工事をしまして現場機関を入れて利用できるものは利用し、利用できないというか、あるいは戰災後つくつた非常に惡い建物であつて、保守に非常に金がかかるというようなところは、経営の合理化の面からこれをとりこわす、あるいは拂い下げる、こういう方針になつております。
  76. 坪内八郎

    坪内委員 そこで私のお尋ねするのは、建物をとりこわしつつあるのかないのか、その点をお尋ねします。
  77. 深谷義雄

    ○深谷参考人 先ほども申し上げましたように、今月中に管理部庁舎の模様がえ工事が竣工したあとへ現場を入れ、それからとりこわすという形になりますので、現在はまだこわしておりません。それから拂下げの方もまだやつてはおりません。
  78. 坪内八郎

    坪内委員 今のお話が真実であればけつこうですが、私の聞くところによると、この建物をとりこわしつつあるというようなことを聞いているのであります。そこでわれわれ委員の立場からいたしましても、将来宇都宮に管理局を置くということになりますと、この建物を百パーセントに利用しなければならないので、当委員会といたしましては、さようなことがもしありといたしますならば、委員長のとりはからいでしばらくその中止方を国鉄側に申し入れるように要望しておきます。
  79. 岡田五郎

    岡田(五)委員 深谷さんは鉄道の運営について御経験を持ち、また目下その運営の衝に当つておられるように承つておりますが、先ほど知事からお話もありましたように、また事実さようでありますが、東京から仙台まで三百九十何キロの間、管理局がないのであります。しかも私が申し上げるまてもなく、東北本線、東海道線、山陽線、鹿兒島本線、常磐線、北海道の函館本線等は、要するに日本の三つの島の背骨であると考えるのであります。しかも先ほど県会議長の大川さんも言つておられましたが、昨年の八月中旬の常磐線の水害で、十一日間不通であつた。その間、北海道、東北地方に向う列車は、大部分東北本線に集中した、こういうお話もありまして、全国的に列車密度の非常に強いところであり、従つて線路敷設あるいは鉄道の企画あるいは鉄道の司令部といいますか、指揮所というようなものは、相当密度を濃くして設置すべきではないか、かように私は個人的な意見を持つておるのであります、そこで深谷さんにお伺いいたしたいのであります。ことに深谷さんは、鉄道の線路保守といいまするか、施設の方に関係しておられたようでありますし、また関係しておられるようでありますが、施設の保守の面において、そのように列車密度の多いこの鉄道線路に、三百六十何キロ間指揮所がないということについて、具体的にどういうように不便を感じておられるか、かようにお聞きいたしたいのであります。要するに事故があつた場合の復旧は、これ一に指揮所からの命令によつて、鉄道のあらゆる機関が一糸乱れず働いてこそ、私は復旧が一日も早く完了するのである、かように考えるのであります。その指揮所が、電話をしても通じない、列車に乘つても六時間もかかるというような高崎にある場合における、線路保存上、また鉄道保安上、どういうように不便を感ぜられたか、また感ぜられる懸念を持つておられるか、この点率直に御意見を承りたいのであります。
  80. 深谷義雄

    ○深谷参考人 ただいま御質問になりました東北本線の重要性ということは、私が申し上げるまでもないのであります。事故の場合にいかに困るかというお話でありますが、幸いにも昨年の八月以降には、大きな水害がなかつたのでありまして、今まではそういつた苦労はなかつたのであります。しかし過去の上越線、それから常磐線というような水害から考えますと、やはり宇都宮に管理局があつた方が、能率的に、あるいは本庁との連絡といつた点で、復旧だとかそういつた点で非常にやりいいというように考えております。それで現在私が監査員として宇都宮に残つておりますが、水害とかそういつた場合には、全権が私にまかせられるのでありまして、私が独断でやつてよろしいということになつております。それだからその点につきましては、ただいまの御質問のような懸念は相当薄らぐのではないかというふうには考えられますが、何しろ平索、部下職員全部に命令権を持つておるということではないのでありますから、災害のときにのみその命令権を與えられましても、あるいはやりにくい点があるのではないか、こういうふうな懸念を持つております。
  81. 岡田五郎

    岡田(五)委員 私は災害の場合のみを考えておるのでありません。災害その他列車の転覆事故、鉄道はいつどこで、どういう事故を起し、いつ何どき天災地変によりまして線路が切断され、また列車が不通になるかもしれぬと思うのであります。しかも鉄道には、機関車を上げるには機関区の関係、機関区では機関車が上らないというような場合には、工機部の応援を求めなければならないというようなことで、深谷さんの小なる指揮権では、鉄道のあらゆる事故の復旧には、権限かあまりに少な過ぎるのではないか、かように私は考えるのであります。そこで私が問題にいたしたいのは、支線のことならともかくも、先ほど私が申し上げましたような国の背骨であり、重要な幹線であつて、ここの一時間の列車の不通は、他の線区への五時間なり六時間の列車の不通として響いて来ると私は思うのであります。かような意味において、国鉄の経済幹としての使命と、この東北本線の経済幹としての、背骨である重要性を私は認識しておるのであります。かような意味において、災害のみならず、事故の場合に、指揮所か高崎にあつてはたしてうまく行くであろうかという自信のほどを承つたのでありますか、先ほどちよつと承つております空気といいますか、気持では、現在のままでも大して不便はなさそうだ。多少不便のあるようなお言葉もありましたが、大して不便もなさそうだという感じを受けたのでありますが、その辺のところをもう少しはつきりお答えを願えれば、非常にけつこうだと思うのであります。
  82. 深谷義雄

    ○深谷参考人 ただいまおつしやつた通りでありまして、実際にはなかなかやりにくいだろうと思います。
  83. 山崎岩男

    山崎(岩)委員 深谷参考人お尋ね申し上げたいのですが、管理部当時において設けられてありました通信施設あるいは無電の施設、さまざまな通信施設かあるはずでありますが、それを撤去したという活を聞きましたが、事実でしようか。
  84. 深谷義雄

    ○深谷参考人 その通信設備に対しましては、私の所管ではありませんのでよく存じませんが、デスパツチヤーというようなものを一部移転したように聞いておりますが、現存宇都宮にデスパツチヤーの一部がありまして、それを運用しております。機構改革の建前から言えば、全部高崎に移して、高崎から全部指令するのが非常に便利であろう、そうあるべきだというふうに考えられますか、現在宇都宮に少し残されておるということは、やはり宇都宮にそういつたものがあつた方がやりいいということに結論がなるのではないかと思います。
  85. 山崎岩男

    山崎(岩)委員 もう一点お尋ねしますが、管理部当時におりました職員は、ただいま高崎方面に移つたり、各所に分散して移つておるわけでありますが、その移つた先の宿舎の関係が非常に整備されておつて、通勤などには苦しいということはありませんか。みんな宿舎から自分の職場に通うことができるように、施設ができておりますか。それとも宇都宮に住んでおつて、そこから通勤してたいへん不便を感じておるというような実例はありませんか。
  86. 深谷義雄

    ○深谷参考人 宇都宮から高崎に転勤あるいは水戸に転勤された方は、大体合宿所で生活しております。現在宿舎の建築をやつておられますが、全部入るということはなかなかならないのではないかと思われますことと、宇都宮からその合宿所に通つておりますので、その点、個人的に言いますと、苦痛を感じておる人が多いのではないかと思います。
  87. 前田郁

    前田委員長 それでは次に、姫路関係の方にお聞きいたしたいと思います。まず兵庫県商工部長吉田豊信君にお願い申し上げます。
  88. 吉田豐信

    ○吉田参考人 まず運輸委員長並びに運輸委員の、管理局に関します御努力と御熱誠並びに決議につきまして、兵庫県といたしまして深甚なる感謝を表明いたしたいと思うのであります。     〔委員長退席、大達委員長代理着席〕 しかして姫路管理局設置を要望いたしまする理由につきまして申し上げたいと考えます。  まず第一の点といたしましては、県といたしまして、県内が三分割されるということにつきまして、非常なる苦痛を訴えるものであります。すなわち県内の事項につきまして、福知山に行かなければならない、また岡山に行かなければならない、また大阪に赴かなければならない。かような意味におきまして、たとえば福知山に行く場合におきましては、泊りがけで行かなければならないのであります。岡山に行く場合におきましても、一日を要するのであります。県といたしましては、一つの行政区域といたしまして総合的なる運営を欲するのでございますが、これが三つにわかれておるということにつきましては、経済上の意味におきましても、また社会上の意味におきましても、また文化的なる意味におきましても、時にまた行政的なる意味におきましても、諸種の不便が輻湊いたしますので、ここに姫路管理局を設置せられたいということを熱望いたす次第であります。  第二の点といたしましては、姫路が交通の要衝であるということを申し上げたいのであります。姫路は御承知のごとく山陰、山陽をつなく地点であり、また山陽道に位する要衝でございます、姫路を中心といたしまして、姫新線、播但線、あるいは飾磨線が出ておるのであります。また山陽電鉄がこれに接続しておるのであります。また加古川線も関連いたしておるのであります。大体青森から下関に至る間におきまして通過したければならない県は兵庫県であります。かような兵庫県に、一つの関所があるべきことは当然だと思うのであります。もしこの兵庫県内におきまして、交通が遮断されるような場合におきましては、青森から九州に至る日本が両断されることになるわけでありますので、ここに一つの管理局を設けまして、これをそういうことにならないようにしなければならない。関所かあることは理の当然だと考えるのであります。先ほど申し上げましたように、交通の要衝でありますし、また山陽線といたしましては、技術的面におきまして、この地区において非常なる輸送の隘路を来しておることを聞いておるのであります。さような意味におきまして、山陽本道の中枢をもつて強固にせられる必要がある。姫路を中心にいたしまして、山陰道とつながつておるのでありまして、陰陽をつなぐこの地点に管理局がないということは、まことに常識的に申し上げましても当を得ないものと思いますので、この交通の要衝である姫路に管理局をぜひ設置願いたいのであります。  第三の理由といたしましては、姫路が経済的にも大きな一つの中心でおるということでございます。本県の経済といたしましては、瀬戸内海に間まつておるのでございまして、これを大きくわかちまして、大阪から神戸に至ります阪神の工業地帶、神戸より赤穂に至ります西播瀬戸内海工業地帶にわかれると思うのであります。しかして瀬戸内海の工業地帶におきましては、紡績工場数社、並びに重工業といたしましては冨士製鉄初め播磨造船所、その他機械工場を控えておるのであります。なお中小企業体といたしましては県下の三分の一を占めておる趨勢にあるのでございます。たとえば皮革の鞣成にいたしますと、日本の四〇%を占めておるのであります。マツチの生産にいたしましても六〇%に及んでおるのであります。かような瀬戸内海の西播といいますか、経済の中心でございまして、かようなところに管理局がたいということは、輸送の上におきまして非常なる苦痛を県民は訴えておるのであります。たとえば輸出にいたしましても、早急に出さなければいけない。あるいは特需にいたしましても、これが受注を完成いたしますのには、日数を争うのであります。かようなところに管理局がありませんで、福知山とか、岡山とか、大阪とかに行かなければならないということでは、経済の要求を充足しないのであります。のみならず、将来本県が工業的に発展する地域といたしましては、姫路を中心といたしまするこの瀬戸内海の地域でございまして、ぜひともここに、将来発展の上におきましても管理局を設置願いたいのであります。  第四の理由は、治安上というよりも、一つの例といたしまして、たとえば国家警察予備隊の運用につきましてお聞き願えれば、如実にわかるのではないかと思うのであります、姫路には警察予備隊が設置せられる予定になつております。また伊丹にもあるのでございますが、もし一朝有事の際におきまして、警察予備隊を運用せんとする場合、現在の状況によりましても、姫新各線から岡山に電話を申込みます場合、通話の七三%は、輻湊時におきましては拒絶せられるような状況になつておるのであります。また人をもつて福知山その他におもむきまして、連絡せんとする場合におきましても、先ほど申し上げましたように、直行いたしまして数時間を要するのであります。かようなことにおきましては、この枢要の地に存在させる予備隊の運営等につきましても、非常に支障を来す。その他の事案におきましても、かようなことが言えると思うのでありますが、特に警察予備隊のことにつきましてこのことを申し上げまして、これか万般につきまして、かようなことになつておるという一例といたしまして、お聞き取り願いたいと思うのであります。  以上要しまするに、姫路鉄道管理局の設置につきまして、今日に及びますほとんど一年近い間、要望をいたしておりまするわけでございまして、かつまた姫路鉄道管理局の設備は、近代的設備と、優秀なる通信機を備えておるわけでございます。先ほども栃木県知事よりお話がございましたことく、鉄道は経済性のみならず、公共性を持たなければならないと思うのでございますが、地方の経済、政治、文化その他諸種の意味におきまして、重要なる役割を管理局は持つておるわけでございますから、鉄道自身の経済のみならず、公共性の意味においてもお考えいただく。以上申し上げました大きな諸事由によりまして、ぜひとも皆さんのお力によりまして、姫路市に管理局を設置せられんことを、三百万兵庫県の県民の世論といたしまして、ここに強くお願い申し上げる次第であります。
  89. 大澤嘉平治

    ○大澤委員長代理 次は今井信治君にお願いいたします。
  90. 今井信治

    ○今井参考人 私は姫路市を中心といたしまする通運業者の代表として参つたのでありますが、国鉄の機構か改革されまして以来、前に姫路管理部のありました当時と、廃止後の貨車の配車状態とを見ますのに、非常に差異があるように思うのであります。なぜなれば前の管理部の当時には、管理部の配車の方かよく貨物の事情を調べられて、そして計画的に配車をされた。それがために輸送が非常に円滑にできておつたのであります。また御承知の通りに私どもの播州というところは、日本で一番重要な米麦の生産地であります。その一例を申しますのに、昨年の米のとれました時期に、米穀事務所の方では、なるべく本年は生産地で保管をするというような建前であつたのであります。それがために神戸方面に輸送される米は割合少かつたのでありますが、それでも輸送上貨車の配車にいろいろ手違いが生じまして、完全な輸送ができなかつたために、やむを得ずトラツク輸送をやりましたが、トラツク業者といたしましては、四苦八苦してこれが輸送を完全にやつたのであります。それが先ほど申しましたように、管理部のあつた当時ならば、そういう輸送は完全に計画的に輸送をしていただいておつたのであります。また播州米は酒米のもとになるのでありますか、これまた西宮、灘という方面に多数輸送をするのであります。これらもただいま申しましたような、貨車の配車事情か非常に惡かつたために困難いたしまして、最後にはトラツクで輸送をしたというようなことになつているのであります。  かようなことで管理局か現在では三箇所にわかれていて、大阪管理局、福知山管理局、岡山管理局、これら一局から配車かされるのでありまして、これが一つも統一的でない。姫路に営業所かありますので、営業所の方と相談いたしまして、営業所の方はいろいろ力は入れていただけるのではありますが、何分自分の手元に貨車がない、貨車が自由にならぬというところから、自然にそういう手違いが生じているというように考えます。  また西播地方には、御承知のように製粉業者が多数あるのでありまして、昨年管理部が廃止されまして以来、その製粉を神戸地方に一瞬に輸送をしなければならぬ命令が出たのであります。これが輸送も営業所を通じまして配車をお願いしたのでありますか、どうもそれだけの荷物を一時に輸送することはできないということで断られたのであります。やむを得ずこれらもあちらこちらのトラツク業者と相談しまして、全部トラツクで輸送をしたというような状態になつているのであります。  これらは一、二の例でありますが、先ほど申された通りに、姫路に今後警察予備隊ができまして、もし一朝事が起つたような場合には、必ずそういう結果になるのではないかというように思うのであります。これらは三局が、いわゆる播州方向は末端ばかりでありまして、そこまで連絡かとれぬのじやないかというように想像するのであります。ぜひそれかため一刻も早く姫路に管理局を設置していただくことをお願いしたい、かように思うのであります。  もう一つお願いしておきたいのは、貨車の配車か、昨今非常に不公平になつているように思われるのであります。その例を姫路の中だけに切り離して申しますと、姫路市には九つの駅所かあるのでありますか、その駅か三つの管理局によつて分割されておるのであります、播但線は福知川の管理局、姫新線は岡山の管理局、飾磨線と姫路以西の上郡までは大阪管理局というふうに、三局にわかれておるのであります。姫路市内だけでも三つの局にわかれているということか、非常にすべてに支障があつて、それかために姫路市内の小さな駅で荷物の少い所に割合貨車がよけい行く、荷物の多い駅所には貨車が割合少いというような、姫路市内だけでも非常な不公平な配車の状態になつているというふうに思います。これらも姫路に管理局ができますれば、そういうことは、実情とよく照し合せていただいて、配車してもらうことかできると思うのであります。  なお以上の公述に特に付言しておきたいと思いますのは、私が例をあげて説明して参りますと、いかにも国鉄関係機関の不誠意、怠慢のために惹起された現況のようにとられると思いますが、そうではありません。私どものここ数箇月間の惡戰苦闘の体験の結果、これはかかる意識的なものではなく、自由経済の特徴である高度の競争の結果生ずる京阪神経済による当西播地方の圧迫の上に、国鉄の機構が阪神地区には鬼に金棒で、姫路地区には泣きつらにはちのようなかつこうで改革されたためでありまして、このことは取扱者側においていかに計画的に仕事をしようとしても、越え得ない限界以上の、機構と地方の実情がぴつたりしないという欠陥によつて来ているものでありまして、配車要求を無理に通そうとすれば、單に国鉄部内に迷惑をかけるばかりであると考えるのであります。配車事情か惡いために、各個の企業経営に大きな圧迫を及ぼし、その損害は單に資金、資材等の運用上に対するもののみでなく、極端な場合は、融資面の不如意から雇用人の賃金遅拂いが起るというに至りましては、まさに私企業に対する公企業の圧迫にひとしい結果となり、一種の社会問題であると言つても過言ではないと思うのであります。     〔大澤委員長代理退席、委員長着席〕  最後に結論といたしまして、将来性ある当地方の現状打開のみではなく、開発の一環として、産業の根幹である輸送の円滑化を達成するために、ぜひ姫路に管理局の早期実現を、再び繰返してお願いする次第であります。
  91. 前田郁

    前田委員長 次に姫路総務局長坂井直重君にお願い申し上げます。
  92. 坂井直重

    ○坂井参考人 姫路管理局設置に関しまして、前お二人の参考人方々から、この姫路管理局設置の絶対必要なるゆえんをるる御説明になりましたので、私か屋上屋を架するのもどうかと思いますが、私の考えておりますところ、市の考えておりますところを、簡單に御説明申し上げたいと考えます。  まず第一に姫路、大きくは播州地方の特殊性というものをお考え願いたい。これは何をいたしますについても、一律平等に一つ法律とか一つの規則によつておやりになるのではなくて、各地方々々の特殊性、そういうものを十分に重んじて改革をしていただきたい、まず第一にかように考えるのであります。しからばいかなる特殊性があるかということにつきましては、今いろいろお話がありましたが、わが姫路地方は、すでに飽和点に達しております阪神重工業地帶とは違いまして、前途洋々たるものがあるのであります。すでに日本的、いな世界的な存在といたしまして、広畑の製鉄所の再開がありまして、本年中には百パーセント、フルに動くという計画も伝えられておりまして、それに要する資材等は厖大な数に上つて来ると考えられます。これは将来のことでありますが、また一方、各重工業、軽工業が林立しておりまして、それは特需景気ではありませんか、将来の日本のために、今や増設また増設でありまして、たとえば紡績業等は相当な増錘をしております。これに応じましてわが姫路市は、工場誘致委員というものをつくりまして、いまや大きな工場を誘致せんとする態勢に入つておるのであります。かく躍進途上にあります姫路市の十分なる御認識をお願いしたいと思います。  それから姫路市におきましては、戰災都市でありますので、どこの都市でも同じことでありますが、非常に厖大な経費を投じて、都市計画を考えておるのであります。その都市計画の根幹となり、基本となつたものは、姫路駅の設置でありましたが、これはいろいろな関係でいまだ実現に至つておりませんが、この大姫路駅を改築されるということ自身、すでに姫路市が将来大きくなるということを、国鉄当局並びに政府当局か御認識になつたものであると考えております。われわれはこの姫路設置の一口も早からんことを望みますとともに、それを管理いたしますところの管理局が、一刻も早く姫路市に設置されることを要望するわけであります。  幸いにして、この運輸委員会の決議もすでになつております。われわれは、国会は国権の最高機関であると考えております。いわゆる民主政治下において国民がこぞつてこれを要望し、しかもそれに加えて、賢明なる国会委員会が満場一致これを御決議になつたにもかかわらず、何ゆえにこれを設置されないかというところに、多大の疑問を持つものであります。少くとも国会は、予算に対する審議権があると考えます。しかしながら、独立採算制とはいいながら、国鉄におきましてもやはり予算の裏づけなくしてはこれはてきない。そうするならば、この管理局問題については、当然この委員会がタツチさるへき問題であります、そのタツチされた結果が、ここに決議となつたものでありますが、それが実現したいということでありますれば、国民の要求するところに従つて法律をかえるべきであります。今の法律制度によりまして、この管理局がてきないということが万一あるならば、それをかえるだけの権限が国会にはあるのではないかと考えるのでありますが、国会の権威のためにこうした方法をもつて、ひとつわが姫路市、あるいは播州のために十分なる御審議をされるとともに、われわれの声を十分お聞き取りくださいまして、姫路に管理局を設置いただくように切にお願いしておきます。特殊事情につきましては、まだいろいろ他の参考人からもお述べになると思いますが、こういう点は私は一切省きまして、以上をもつて姫路管理局設置に対する意見といたしたいと思います。
  93. 前田郁

    前田委員長 次に姫路会議長望月秀雄君にお願い申し上げます。
  94. 望月秀雄

    望月参考人 姫路管理局が廃止になりましてからあと。運輸委員会の各位がこの管理局復興のために、いろいろ御心労、御協力くだされましたことについて、厚く感謝の意を表する次筋であります。  当姫路市は、先ほど県商工部長より申し上げましたごとく、鉄道交通の要衝にあるばかりでなく、一万トン級三隻同時接岸ができます広畑港、並びにこのたび全国重要港湾に指定されました飾磨港、両港を持ちまして、海運のまた要衝にあるわけでありまして、瀬戸内海の重要地点に位するという地理的恩惠に惠まれまして、非常な経済、商工業面の発達を来しており、ただいまでは京阪神方面経済ブロツクの一環ではなく、新しく播州経済ブロツクを形成しつつある様相を呈しておるのであります。すなわち広畑製鉄所を初めとし、播磨造船所のごとき全国屈指の大工場、また大日本セルロイド、滝川セルロイドなどは、全国生産量の約八割を占めております。また山陽北中皮革を初めとします皮革業、並びに日産農林、大同マツチ等を主工場に持つマツチ工業は、全国生産量の約五割を占めておるような次第でありまして、その他東洋紡績、錘紡、龍田紡績、敷島紡、日本毛織加古川工場、大同毛織などの繊維工場を初めとし、別府化学、多木肥料、山陽色素、木村、塩野義製薬等の化学工場、その他製塩、火力発電、木材工業等、豊饒な播州平野を控え、そこに生殖される農産物と製粉、製麺業、これらの生産は実に目ざましい躍進を遂げておるわけであります。それらの一環をなします地域の人口は、約百数十万を数えておるわけでありまして、これらを養いまする姫路駅に集まる生鮮食料品のごときも、一日三十貨車を数えるような状態になつております。試みに、さきに設置されました福知山管理局管内と、旧姫路管理部管内の重要取扱い物資の量を比較いたしてみますと、一キロ当り扱いトン数は、発送において福知山は七百五十に対し姫路千二百、到着において福知山五百に対し姫路千四百を数えておるというような実情であります。  しかしこの盛んなる工業、商業の死命を制するものは、これは実に輸送機関にあるのでありまして、この商工業と密接不可分の関係にある配車事情をごく簡單に申し上げますと、過去姫路管理部当時は、管下貨客の動向を敏捷しかも的確に把握することによつて、最大の能力を発揮し、ひいては商機を逸せない輸送に即応できて、利用者が非常に信頼を持つてつたのであります。しかるに改革後の実情は、岡山、大阪、福知山の管理局の配車計画に基くものでありますがゆえに、後述の業務上また通信系統の不疎通と相まつて、次のごとき非難が起つているのであります。  第一番に、貨車まわりかたいへんおそく、貨車数が非常に減少して商機を逸し、商工業者の直接の損害が大きいこと、第二に、希望の貨車がまわらないゆえに、貨車の損傷と安定性を欠いていること、第三に、荷物を取扱う労務者の雇用計画か樹立されないということ、第四に、配車不的確のために、生鮮食料品の腐敗損失が続出していること、第五に、危險物輸送について駅保管所の不備上、配車の確実性なきために格段の警戒を必要とすること、第六に、荷受組合また荷主等に対する指導取締りがまちまちであり、統制上非常な迷惑を受けているということであります。過去の功績は改革によつて一度に地に落ちつつあるやに見受けられ、早急に復元なきときは、他の輸送機関への転向も余儀なくされまして、最近の自動車事故の続出はこれらの実情を物語るものであります。国有鉄道法第一條に示された能率的な運営により、これを発展せしめ、もつて公共の福祉を増進することを目的とする改革であるとは断じられないのであります。  以上からする貨車配車の不円滑その他の欠陥は、播州方面の商工業の企業経営の自由を極度に圧迫しておりまして、この損失は国家的なものであると考えるのであります。どうか委員各位にもこの実情をよく御賢察くださいまして、管理局設置のために各般の御努力くださいますことをお願いいたしまして、公述にかえさせていただきます。
  95. 前田郁

    前田委員長 次に神戸銀行姫路支店次長玉田芳彦さんにお願いいたします。
  96. 玉田芳彦

    ○玉田参考人 御指定になりましたので、姫路の金融界を代表いたしまして意見を申し上げます。  姫路市の経済界及び金融状態、ことに金融状態を申しますと、日本の十一大銀行のうち、八大銀行までが姫路に店を持つておりまして、市内の店の数か十六ございます。昭和二十六年二月末預金総計は三十五億余万円、貸金は二十二億余万円であります。また姫路地区の銀行店舗の数は実に七十五箇店に上り、預金概算は百億円ございまして、貸金もまた相当に出ております。日本銀行におかれましては、姫路市に日本銀行券寄託券制度を設けられまして、当地の産業、ことに金融方面において非常なる便宜をはかつてもらつております。ここで日本銀行券寄託券制度というものをちよつと御存じのない方もあると思いますので御説明申し上げますが、私の勤務しておりまする神戸銀行姫路支店で、毎日相当数量の現金を取扱つておりますが、その現金を一々日本銀行ヘトラツクで輸送しております。ところがその数量なり回数が非常に多いので、日本銀行としても見るに見かねまして、日本銀行千円券と百円券でございますが、日本銀行さんの方に私の方の金庫室を一部お貸し申して、立会いてその現金を保管している次第でございます。必要に応じましてその現金を、日本銀行から月数回出張してもらいましてお出しするとか、また納めるとか、またそこへ納まつたら、市中に流通している紙幣がそれだけ減つたという日本銀行の統計に相なります。その制度か日本銀行券寄託券制度でございます。現在日本銀行券寄託券制度をとつておられるのは、日本中で二、三箇所しかないということであります。日本銀行の支店、あるいは日本銀行営業所及び日本銀行寄託券制度のある所は、経済的にまた金融的においても、最重要なる地区であることは申すまでもなく、いかに日本銀行が姫路の経済金融面を重視しておられるかがわかると思います。  先刻来の参考人から申されました貨物の荷動きを裏つけするものは、必ず資金の流れというものでございます。資金の流れを現金て決済するものと、銀行為替によつて決済するものと、二つに分類することができるのでありまして、今現金の動きを私の勤務している神戸銀行姫路支店のみにて、毎月二十五億余万円程度の現金が出入りしている次第であります。営業日数が二十五日でございましたら、一日に一億円づつの現金が動いているのでございます。これは兵庫県下、神戸市を含んで拘ります。神戸市を含む兵庫県の現金の出入りの、約三分の一以上に相当する金額でございます。為替関係決済、すなわち送金振込みとか代金取立て等によつて、荷動きの物資の代金を決済するその数字は、明確にこれを把握することは非常に困難でございまして、私の店一箇店で最近半期間に仕向二十億円、被仕向五十五億余万円でありますから、姫路地区の七十五の銀行支店の取扱い金額をこれによつて推定してみますと、莫大なる数字となつているのでございます。それを現金決済分と総計して考えますと、その取扱い金額から経済状態を推して行くと、百数十万人の人口を有する都市の取扱い金額に匹敵するものでございます。日本銀行が姫路市に寄託券制度を設けられている理由は、以上ではつきりいたすと存じます。  商工業方面におきましても、先刻来の説明にありました冨士製鉄広畑製鉄所、播磨造船、生野明延鉱山、その他セルロイド、金属工業、機械工業、化学工業、皮革工業、紡績毛織、製材、マツチ、食料品工業、平面デパート式の商業等隆盛をきわめていることは、姫路市がいかに地形的に、あるいはまた交通及び労働力、また工業には必ず水が必要なので用水、その他すべての立地條件が絶対的に有利であるということによつてかくも盛大になつている次第でございます。阪神地区が右工業の立地條件の大体飽和点に達しておりますので、姫路地区は現有より以上にますます発展が約束されている次第でございます。右の数字等は隣接の、管理局もございます岡山とか、福知山、米子、それらの管理局設置区域の経済状態と比較してみますのに、姫路がはるかにこれらを離して隆盛をきわめておりまして、運送その他に鉄道の必要を痛感いたしておる次第でございます。  以上申し上げましたように、これだけの経済力のあるところには、必ず鉄道管理局の設置が必要だと存じます。以上御参考に申し上げます。
  97. 前田郁

    前田委員長 これで姫路関係参考人の公述も終つたわけでございますが、これに対して委員の方から御質問がございますれば、質問を許します。
  98. 岡田五郎

    岡田(五)委員 まず県の商工部長にお尋ね申し上げたい。先ほど来いろいろ御意見を伺つておりますると、大体阪神地区の工場地帶はすでに飽和状態になつて、工場地帶はむしろ明石以西、ことに姫路付近に集中建設され、また今後される傾向がある、こういうお話がありましたか、私も大体同感をいたしております。ことに大阪港、またそれに関連しての尼崎港というものは、私の聞くところによりますと自然な沈下作用がありまして、重要港としての使命を果す上に非常に苦心さんたんをしておられるように思うのであります。かような阪神地区における尼崎あるいは大阪港の自然的な障害に基きまして、おのずから重工業地帶は将来は明石以西、特に地域的に相当広域な姫路附近に集中すると私は思うのでありますが、県の経済行政、特に商工関係を扱つておられます商工部長から、この尼崎、大阪港の自然的障害に関連しての姫路付近の工場地帶としての発展性につきまして、参考のためにお聞かせ願いたいと思うのであります。
  99. 吉田豐信

    ○吉田参考人 ただいま御質問のありましたように、兵庫県の経済の発展の方向といたしましては、重化学工業に向いたいと考えておるのであります。しこうしてその地域におきましても、阪神のごとき飽和地点よりも、明石より赤穂に至りまする広汎なる、かつ交通至便なる瀬戸内海沿岸を開拓すべきである、かように考えておるような次第でございます。しこうして港湾の関係におきましても、神戸は大然の良港でございますし、これをさらに広畑、飾磨等の優秀なる港湾をもつて補うことによりまして、この播州姫路を中心といたします兵庫県西部、瀬戸内海の工業地帶が造成せられると考えておるのでございます。現在の県の商工業的な地位におきましては、東京、大阪の次に愛知県と並びまして、日本の第三ないし第四位を争つておるわけでございまして、しこうしてその半分のものは明石より赤穗に至ります姫路管理部の管轄内にあるわけでございます。しかるにもかかわらず、現在駅頭百六十万の滯貨がありまして、これを輸送するのに五、六日もかかるというような状況のように伝え聞いておるのであります。こういうことでは、特需は期日を急ぐのでありますから、これを横浜に送らなければならない約束の期間に間に合わない、あるいは神戸より輸出しますのに、約束の期間に間に合わないというようなことになるだろうと思うのであります。まことに経済を阻害すること大なるものがありますし、また先ほど御質問のありましたように、将来この地域を工業の発展地域、さらに躍進すべき地域と考えておりまして、現在におきましても、たとえば日セルにおきましては、十五億円の巨費を投じまして合成樹脂繊維をつくらんとし、富士製鉄におきましては日産一千トンの高炉を開設せんといたしておるのであります。かような趨勢のところでありまして、これには交通、貨車まわりがよろしいということでなければ、発展をしないと思うのであります。将来の発展の地域といたしましても、ぜひ管理局が設置されまして、交通貨車まわりその他港湾との連繋におきまして便利になることが、県の産業行政として特に重要なのでございます。
  100. 岡田五郎

    岡田(五)委員 もう一つ商工部長にお尋ねいたしたいと思いますが、兵庫県下では、神戸市を除きまして、おそらく私は姫路は第二の重要な都市であると考えるのであります。人口も多分二十万近くあるのではないかと思うのであります。しかも兵庫県下の経済の大部分と言つては言葉が悪いのでありますが、大半はこの表側といいますか、阪神及び西播、東播地区に私は集中しておると思うのであります。ことに姫路は、先ほど商工部長が言われましたように、商工業また水産のみならず、この背後地帶の山地における森林資源その他を集散する重要な経済都市であると私は考えるのであります。従いまして県の商工行政においても、またその他の経済行政におきましても、おそらく神戸市あるいは姫路市を中心として、いろいろ施策を講ぜられておるのだろうと想像いたしておるのでありまするが、はたしてさようでありますかどうか、商工部長の御意見を承りたいのであります。
  101. 吉田豐信

    ○吉田参考人 ただいま御質問のように、県といたしましては、阪神間並びに姫路市を中心といたしまする瀬戸内海東方の地域におきまして、経済施策を講じておるのであります。たとえば一昨日におきましても、西播地区開発審議会を姫路市に持ちまして、諸種の経済あるいは商工業の開発方策につきましてこれを審議し、かつ必要なる措置、たとえば助成等を含めまする必要な措置をも講じつつあるわけてあります。特に重点を入れておるということをここに申し上げる次第であります。
  102. 岡田五郎

    岡田(五)委員 次に今井さんにお尋ね申し上げたいのであります。今井さんは幸いにして日本通運の姫路支店長をしておられまして、鉄道に関連しての小通途面につきましては、実際に体験をしておられます。あるいは間違つておるかもしれませんが、私の推知いたしておりまする範囲内から申し上げまするならば、姫新線の荷物あるいはお客というものは、人体姫路市を中心にして動いておるのではないか。また播但線にいたしましても、ほとんど姫路市を中心にして動いておるのではないか。また山陽線にしても、少くとも上郡以東は姫路を中継とし、また姫路に落ちておるのではないか。加古川線の大部分においてもしかりと私は考えておるのでありますが、鉄道の貨物あるいは依存はそういう動きをしておるものでしようか、その辺お知らせを願いたいのであります。
  103. 今井信治

    ○今井参考人 ただいまの質問に対してお答えを申し上げます。播但線並びに姫新線は、姫路を中心としておることははつきりしておるので断ります。姫新線の上月から姫路まで、山陽線の上郡から姫路まで、播但線の和田山から姫路まで——播但線は和川山でなしに、山陰線の八鹿方向から姫路までと言う方が当つておるかとも思うのでありますが、これらは毎日その沿線の商人が、すべて姫路へ買出しに来るのであります。播但線で八鹿から姫路までの間の買出しに来る数が人体一口に七、八十人、姫新線の上月から姫路まで買出しに来ますのがこれも約七、八十人、それから上郡から姫路までの間が、百二、三十人は優に来ると思うのであります。これらの人が毎日荷物を十個買うか、十五個買うか、みな相当姫路から持つてつてつたのでありますが、それだけを旅客と一緒に汽車に持つて乗るということは許されませんので、管理部がありました当時は、いろいろこれを考えてもらいまして、客車に貨車をつけてもらつて輸送しておつたのであります。それが管理部がなくなりましてから二局にまたがつたために、中には違法であるというような箇所もありまして、現在ではそれが廃止になつて、商人が毎日トラックによつて輸送しなければならぬというような状態になつております。また旅客でございますが、旅客も相当数播但線などは乗つております。私はちようど播但線の生野から通勤しておりますが、かなりの人か通勤しておりますために、ガソリン・カーを昨今こしらえていただいて、寺前まではガソリン・カーが一口に三往復ないし五往復通うておりますが、それ以北はまだガソリンカーがないので、非常に、不便を感じております。そこで私妙なことを言うようですが、幸いにことしも鉄道当局の方でスチームを通していただいて、非常にけつこうだ思いをしたのですが、先般も客車の中でスチームが通つておらなかつたので、車掌さんに、きようはなぜスチームが通らぬのですかと申しましたら、実は播但線は福知山の管理局の管轄になりますので、豊岡の機関車を使うておりますけれども、私どもは姫路の車掌区の車掌でございますので、それを福岡の運転手に言いましても聞いてくれません、それでスチームの通らぬようなこともありますが、これがすべて姫路の管理局とか、あるいは姫路の管轄で、車掌も機関車も姫路から出ておるということなら、そういうふうに言つたら聞いてくれるということを言つておりました。これは参考になるかならぬかわかりませんが、いずれにしましても姫路を中心にして——加古川線にしてもそうでありますが、姫路市は集散地でありまして、たとえて申しますると果物にしても、りんごなどは一日に約十五、六車入ります。その他鮮魚なども上五、六車入るのであります。これが全部一日姫路へ集まりまして、姫路から加古川線ならば西脇方面、あるいは北條方面、播但線にしましたら八鹿方面まで、姫新線にしましたら上月付近まで、それから加古川方面まで、また西は上郡まてというように、すべて配給機関のようになつておるのでございます。姫路を中心にしておるということは、かようなことを申し上げて御参考にしていただきたいと思います。
  104. 岡田五郎

    岡田(五)委員 もう一つ今井さんにお尋ね申し上げたい。姫路市の中にあります鉄道の駅、京口以北は全部福知山に入る、播磨高岡以北は岡川に入つてしまうというようなことで、兵庫県が三つの管理局に三つ裂きにされたと同じ形に、人口わずかといいまするか、ちようど手ごろな二十万の姫路市の駅が、八つ裂きにされてしまつておるのでありますまつたく兵庫県のモデルを姫路市に表したような形になつておるのであります。実際小運送面を担当いたしておられまする姫路支店長といたしまして、同じ市内の小運送を総合的に一括的に、貨車の請求にしても、また荷おろし、配達にいたしましても、集荷にいたしましても、多分日通でおやりになつておるのではないかと思うのでありますが、私たち非常に懸念いたしますることは、とかく所かわれば気風がかわるということで、福知山管理局勤務になれば福知山気分になるし、岡山管理局勤務になれば岡山気分になるのが人情ではないか。かような人情の相違が姫路市を八つ裂きにいたしまして、人情の相違からするいろいろな摩擦、齟齬が生ずると思うのですが、実際の小運送面を扱つておられる日通の支店長の御体験を聞きたいと思います。具体的に京口の駅長さんは、私は福知山管理局長の隷下でありますから、その命令に従いますと言い、また播磨高岡の駅長さんは、私は岡山管理局の命令に従う、しかも姫路の駅長さんは大阪鉄道管理局長の命令に従います、かようなことですか、これらの人たちを相手にいろいろと仕事をしておられまする日通の支店長の、実際上の体験をお聞かせ願いたいと思います。
  105. 今井信治

    ○今井参考人 ただいまのお尋ねの件につきましては、ちようど管理部が廃止になりまして以来、先ほどの栃木県か一つにわかれたというようなことと違いまして、姫路市だけで三つの管理局に分割されたというこの苦しみは、一刻も忘れたことはないのであります。姫路市の中の京日、野串、仁豊野の藩担線の三駅は福知山管理局の管内に入る。姫新線の高岡、それから私の方の所轄から申しますと姫路、御着、これだけは大阪の方であります。それから飾磨港は、これは飾磨の支店の管轄でありますが、網干は相生支店の管轄であります。そういうふうに支店は支店で三箇所が管轄をしなければならぬ。また市内は、私の方でちようど六駅でありますが、姫新線はただいま申されたように岡山の局長さんの管轄でありますので、岡山気風になろう。また播但線の三駅は福知山管理局の管轄でありますために、福知山の気風になろう。大阪の局管内の御着と姫路駅は大阪の気風になろうということで、根本の方針は一つにしましても、すべてその局その局でやることが違うということになつておるために、非常に困つておるわけであります。さきに申しました配車にしましても、すべて福知山の管理局にしても岡山の管理局にしても、大阪の管理局から貨車を幾分流してもらわなければ、これが完全にと申しますか、十のものを一つにしても、四つにしてもまかなうことかできないのであります。これは鉄道におられた方はよく御承知のことと思いますが、かりに姫路の駅に貨車が何ぼかいるとしても、その方を押えて、姫路の隣の播但線の京口、野里、仁夢野というような小駅の方に比較的貨車が多くまわつて姫路の方には貨車を貸してもらえないという状態にありまして、姫路駅に荷物を出しても四日も五日もかかる。しかし京口ならばすぐその日積める。ほんの二キロほどのところで、京口に出せばすぐ行くということで、荷主さんからやかましく言われるのでありますが、場合によりますと一旦姫路に持ちこんだ荷物でも、小運送運賃をかけて京口の方へわざわざ持つて行くというようなことが間々あるのであります。こういうわけで私どもは、支店から申しますと京口でも姫路でもどつちにかけても同じことだというようなことではありますが、荷主さんの気分としては、またそういうむだな金をかけて、別に小運送をしなければならぬというような苦しい立場にあるのであります。これは私事で、皆さんに聞いていただくようなことではありませんが、しかしながら国家から考えると、よほどそういう点に損な点もあります。配車の不公平と申しますか、そういう点でよほど一般の荷主さんに対して御迷惑をかげておる点もあるのであります。
  106. 岡田五郎

    岡田(五)委員 次に坂井さんにお尋ね申し上げますが、私の知つているところでは、姫路市から山陽線の上りまたは下りの始発列車が出ているように心得ております。かような面から見まして、姫路は山陽線上における交通上の重要都市であると考えますが、さようであるかどうかお聞かせ願いたい。  それから最近聞くところによりますと、姫路市を中心といたしまして東海道線、山陽線の電化、特に米原、姫路間の電化、特にそのうち西明石、姫路間の電化を請願され、要望されているように聞き及んでいるのであります。もちろん請願され、要望せらるるにあたつては、電化を必要とするほどの交通量があり、また経済事情があると考えるのでありますが、さような請願をしている動きと申しますか、輿論の動きがあるのがどうか、この点をお聞かせ願いたいと思います。
  107. 坂井直重

    ○坂井参考人 姫路駅から上りあるいは下りの始発は何本かあります。ことに上りなどは、姫路で乗車客が非常に輻湊いたしますので、一輛ないし二輌増結する列車もあるのであります、これはやはり姫路が非常に経済的に動きつつある証左であろうと考えます。またただいまお尋ねになりました電化問題につきましては、三年ぐらい前から請願もいたしましたし、本省の方へも直接市長などが参りましていろいろ懇願もし、あるいは大阪へも参りましたり、現存も続けているわけであります。姫路市から神戸、大阪方面へ行く人は非常に多いのでありまして、山陽電車がありますが、これは神戸で切れており、また兵庫駅から乗りかえなければならぬという不便もありますので、姫路駅から神戸、大阪、東部まで運転をすれば非常に便利であるというので、全市民があげてこれを要望しております。われわれもこの問題につきましては、一刻も早くさようなとりはからいを願いたいと心から願つているわけであります。
  108. 玉置信一

    玉置(信)委員 私はごく簡單に望月参考人、古田参考人、坂井参考人の三君にお尋ねいたしたいと思います。私実はこの前の国政調査には、他に公用があつて出張できなかつたのであります。従つて現地の実情を把握することができないし、今日なお実際の事情を知らたいのでありますが、ある有力筋の話を聞くところによりますれば、今日の機構改革により廃止された管理局設置問題に対する運動が、ややもすると政治的の何らかの工作と申しますか、示唆等によつてなされているかのごとく聞くのでありまして、私ども運輸委員の一人として、非常に奇怪に感じているわけてあります。そこで第一にお伺いすることは、姫路市民がこの管理局を廃止後今日まで、この問題に対していかなる関心を持ち、また今日管理局の復活を要望しております市の輿論がどのような状態にあるか、すなわち関心の度合いがどうなつておりますか。これは市会議長さんにお伺いするのであります。  次に、かつて姫路管理部の管轄下にあつた県民が、廃止された当時と今日、どのような考えを持つておられますか、これを吉田さんにお伺いしたいのであります。言うまでもなく本委員会は、全会一致をもつてさきに決議をいたしておりますが、その結果並びに経過等から見まして、政治的にとやかくこの問題を取上げてやろうなんという——いわゆる政治的と申しましても、個々の立場を政治的取上げておるという事実の毛頭ないことは、周知の通りでございます。これに関して他のある方面から、あたかも前段申し上げましたように、政治的な動きによつて運輸委員会が動かされておるかのごとき言を私ども聞くに至つて、はなはだ心外であり、奇怪に思つておるのであります。これについて率直たる御意見をお伺いしますと同時に、この問題について、国鉄あるいはその他に陳情されたことがありますれば、どの点を陳情され、特に国鉄はこれに対していかなるお答えをなされておつたか、この点もお伺いしたいのであります。  第三点は、この姫路の管理部を復活させることとさせないことによつて、すなわちこれができないことによる不便のための経済的損失、それからここに復活して姫路管理局を設けることによつて国鉄の経営面に対して一体差引どれだけの損失を来すというような、何か統計的な、科学的なデータでもありますれば、お示しを願いたいのであります。
  109. 望月秀雄

    望月参考人 ただいま姫路市民がこの管理局設置問題をいかに熱望しておるか、あるいはまたそうでなくて、政治的に動いておるのではないかというようなお尋ねであつたように考えますので、姫路市民のそれらの能度について、抽象的ではあるがお答え申し上げます。  実はこの管理部が廃止になりました八月、いなその前の四月ごろから、姫路市民のこれに対する落胆はたいへんなものでありまして、それぞれの業種の団体長などが、商工会議所を中心といたしまして、それぞれ大阪鉄道局などへも陳情に参り、また当国会に対しまして、また鉄道当局に対しましても、県知事を初め、姫路の業者、また大工場、その他市民の代表である市会、見会など、すべてをあげて、県下一円にこのことについては復興を望んでおるのでありまして、たとえばわれわれがこのたびこちらへ参りますにつきましても、各新聞機関が参りまして、この管理局の設置は明るい曙光があるのかどうかということを尋ねて参りました、事が機密に属することが多いので、また市民に安心する程度のことを申し述べられたいのでありますが、市民はたいへんこの復活を望んでおりますので、そのことにつきましては、先ほど植々公述人から申し上げた通りでありまして、決して政治的に動いておるとか何とかいうようなものでは絶対にないのでありまして、これは市民の腹からの熱望であることを、ここで披瀝する次第であります。
  110. 吉田豐信

    ○吉田参考人 ただいま玉置先生から御質問の、廃止に対する県民の考えはどうかという点について申し上げますと、まず旅客の面におきましては、たとえば先ほどのスチームの話を初め、満員になりますので、臨時列車の増発あるいは客車の増結とか、諸種の面におきまして旅客の不便を来しております。県民といたしましては、現在従前の管理部のありましたときよりも不便を感じておりますので、これが管理局設置によつて改善ができるということで、旅客の面におきましても熱望しておるのであります。また貨物の面におきましても、管理部廃止後の実際の状況にかんがみまして、特に駅頭滞貨がふえるというような点におきまして、経済活動上の困難を来しますので、要しますのに県民といたしましては、管理部があつたときの方が非常によかつた。それで全部が、管理局をもう一ぺん復活していたたきたい、かように考えておるのであります。  さらに政治的な面におきましては、これは政治運動として県の方も考えておりませんで、行政的、経済的問題といたしまして、管理局の設置をお願いいたしておるのであります。
  111. 坂井直重

    ○坂井参考人 ただいま管理部廃止後の経理面といいますか、市民の経済面にいかなる影響があるか、科学的に、あるいは統計的にわかれば出せというお話であります。私今はなはだ何ですが、そういう統計を持つておりません。しかしながらこれは、必ず市民の何らかの面において、たとえば配車の不的確のために生鮮食料品等が腐敗したとか、あるいは貨車の遅延によつて日時を空費したとか、荷受け機関などが、貨車の遅延等から労働契約を変更しなければならぬというような面、その他いろいろな面がありますが、そうした面において、やはり大なり小なり経済的のマイナスになるということは考えられますが、そうしたものを今不幸にして統計を持つておりません。そういうぐあいに御了承を願つておきたいと思います。
  112. 玉置信一

    玉置(信)委員 どなたでもいいのですが、国鉄当局その他に陳情なされた方がありましたならば、先ほど御質問申し上げたことについてのお答えを願いたいと思います。
  113. 望月秀雄

    望月参考人 陳情につきましては、二十五年の四月ごろより、再三国鉄当局にも、当国会にもしておるわけでありますが、国鉄当局はこれについて、国鉄当局の公共性は認めるが、採算制をもあわせ述べられて、はつきりとした御回答は得ておりません。ただ川崎大臣から、要するに公共性を主張されて、なるべく善処したいというような御回答は得ております。それらをいつもるの望みといたしまして、姫路駅御通過の総裁などにもあいさつに参りまして、市民の真情を訴えて、この管理局の復興をお願いしておるわけでありますが、いまだにはつきりとした御回答を得ておらないのであります。
  114. 原彪

    ○原(彪)委員 管理局設置の問題について、地元の方々の切々たる御事情をお聞きいたしまして、いまさらながら事の重要性を痛感いたしております。しかしこの重要性につきましては、すでに昨年の夏、当委員会において国政調査の名のもとに、各地に行きまして事情を調査いたしておりますし、本日は詳細について承りましたが、根本方針についてはすでに委員会において決議があつたのでございます。遠いところをわざわざおいでいただいたことについては、ほんとうに感謝にたえない次第でありますが、ただここで私が特に委員長に申し上げたいことは、すでに本委員会において決議をなされておりまして、もう数箇月を経ておるのであります。委員長は本委員会を代表する立場にありますので、しかも政府與党であられるのでありますから、政府を鞭撻してこの決議を実行させるように、さらにさらに御努力いただきたいと思つております。  それからもう一つのことは、先ほど大臣が私に御答弁なさつたことについて、私ははなはだ割切れないものがあります。つまり今度の国有鉄道の行政機構の改革について、加賀山総裁はその筋の指水を受けないと明言しておるにかかわらず、大臣はいかにも寝ておる子をゆり動かすような態度のように、私には思われるのでありまして、国有鉄道総裁の言葉と大臣の言葉が、両方食い出逢つておるように思いまして、私は非常に遺憾に考えます。しかも加賀山総裁は、運輸大臣の監督を受けておる一つの機関であります。その機関が全然示唆を受けていない。それを大臣が、しかも政治的考慮を拂うという抽象的な言葉でありますが、何だか寝ておる子を動かすような気がしてならないのであります。そういう点について、委員長本與党の方でありますから、十分横から御協力いただいて、この決議案を一日も早く実行するように特にお願いしたいのであります。いまさら申し上げるまでもなく、国民の代表である本委員会の決議というものは、最も重大であつて、もしこの決議がいれられないというようなことになつたならば、本委員会が権威を失墜することは最も重大だと思います。委員長におかれては、最善の御努力をお願いしたいと思います。
  115. 前田郁

    前田委員長 ただいま原委員より、従来述べられましたところの各地域の鉄道管理局については、本委員会で決議をしたのであるから、どうしてもこれを実行しなければ、本委員会の権威にかかわることであるということでありまして、ごもつともでございます。今日まで私ども衆参両院の委員長がたびたび会合をいたしまして、その筋にも幾回となく委員会の動向を申し出ております。なお当局に対しましても強い申出をいたしております。その結果というわげじやありませんが、やはりいろいろそういうことかだんだん反映いたしまして、今日のこういう会合で参考人の方もおいでを願わなければならぬことになつたのでありまして、私は一歩前進であると考えております。なお原委員のおつしやいましたことに対しましては、今後徹底的に努力をいたしたいと存ずる次第であります。  それでは参考人方々は遠路御苦労をお願いいたしまして、まことに感謝の至りにたえない次第でございます。ここに厚く御札を申し上げます。  本日はこれにて散会いたします、明日午前十時半より委員会を開会いたします。     午後四時三十六分散会