○小平
参考人 ただいま御
紹介にあずかりました
栃木県知事小平であります。
意見を申し上げる前に、
委員長並びに
委員の
方々に御礼を申し上げておきたいと存じます。今回の鉄道の機構改革につきましては、運輸
委員会におかれまして、
委員長並びに
委員の
方々より、宇都宮に管理局を
設置せよというような御決議をいただきましたことは、まことに感謝にたえないのであります。この機会に従来の御厚意に対し、県民を代表して私から御礼を申し上げます。
今回の鉄道機構改革につきましては、もちろん鉄道といたしましては責任体制の明確化、あるいは作業能率増進、なお
独立採算制というようなことを主眼としておやりに
なつたものと考えておりますが、その結果から見ますと、これらのみにとらわれまして、ことにそろばんがあまり高いと申し上げてもよいのではないか、そのために
公共性を失した整備をした、こう申し上げたいのであります。とに
かく鉄道は
公共企業体でありますから、
独立採算制は考えるべきでありますが、われわれ地方民から考えますと、地方の
公共の利便ということを十分お考えにな
つて決定すべきではないか、こういうふうに考えております。その点から申しますと、この大きな八十年来の、鉄道の現在までの歴史を根本的にくつがえすということになるのでありまして、現在の民主的な世の中におきましては、地方におきましても公聽会等のようなものも開いていただきまして、十分われわれ地方民の
意見というものも聞いていただきたかつたということを、今にな
つてわれわれ考えておるのであります。
まず私は宇都宮管理局
設置ということを主体にして申し上げるのでありますが、御承知のように宇都宮は東北線中枢の要地であります。しかも鉄道開設以来、運輸事務所があ
つたのであります。ことに
東京から青森までは、御承知のように七百三十キロというような延長の路線を持
つておるのであります。いわゆるわが
日本の脊髄であります。この脊髄に、今度の機構改革によりますと、
東京から三百六十二キロというものは局がないのであります。
東京から仙台まで少しも局というものはない。従来は宇都宮にあり、福島にあ
つたのでありますが、それが二つとも廃止になりまして、三百六十二キロの間、仙台以外には
一つも局がないのであります。それに伴いまして、水戸に局をつくり、あるいは前橋につくり、高崎につくる、こういうことにな
つたのであります。
栃木県の大部分は高崎が主管することにな
つておりますが、はたして高崎管理局のみで、この大きな場面を十分
運営ができるかどうかということは、私はすこぶる疑問に考えております。私は局の
設置に対しましては、まず十分地方の監督ができるかどうかということが、先決問題であると考えておるのであります。高崎事務所なるものは、高崎線あるいは信越線、もしくは上越線、八高線、こういう方面の管理監督は十文できると私どもも考えております。しかしそれ以外に、両毛線を経まして東北本線は蓮田から黒磯まで、日光線、烏山線というようなこの大きな路線というものは、高崎のような西の方にお
つて、東の方まではたして監督ができるかどうか、私はすこぶる疑問視しております。こういうことになりますとわが
栃木県は、行政区域から申しますと、管理局が三箇所にわかれて、片方は高崎、片方は仙台、水戸、こういうふうになりまして、何をするのにもこの三つの局に伺いを立てねば仕事ができないということに相なるのであります。いわゆる県下は三分されたという結果にな
つております。そういうことでははなはだ迷惑千万でありまして、後ほど申しますが、その後の
経過によりましても、非常な不便を来しておるのであります。私どもはこの決定をしたときに、運輸省に参りましていろいろお話を伺いますと、宇都宮は枢要の地であるから
輸送長を置くのだ、こう言われたのであります。それほど必要な場所に、なぜ局を置かなかつたかと私は申し上げたいのであります。
輸送長は現在宇都宮にありますが、現在の
輸送長の権限ははなはだ微弱でありまして、何の役にも立たない、たた話を承
つておくだけというような現状でありまして、まことに困
つておるのであります。
次に私の申し上げたいことは、先ほども当
委員会におきまして非常に御議論に
なつたようでありますが、改革後の状況はどうかという問題であります。この問題が本日われわれが
招致された主なる重点であると私は考えておるのでありますが、まず一番私どもの困
つておりますことは、貨車の問題であります。これは省の方では、貨車は朝鮮事変以来非常な不足を来しているのだ、機構改革のためではないということをおつしやられておるのでありますが、現在私どもが県内の物産等を搬出する、あるいは他の方面から物資を搬入するという場合におきましても、ほとんど貨車がなくて、一番困
つておりますのは
昭和二十六年度の肥料であります。この
輸送にはほんとうに手をやいておるのであります。これはよけいなことでありますが、私どもの県は米を百七十万石から産出しておる。また多数の特産物があります。また搬出する製品もたくさんあるのであります。しかし一番生産に
影響するものは肥料であります。これが約六万五千トンからの肥料を、今四月までに入れなければならぬ。硫安とか過燐酸というものはだんだん入
つて参りますが、一番困
つているのはタバコの肥料であります。これを関西から約八百トンあまりの品物を今入れようとしておりますが、あるところには貨車があるけれども、いかに運輸省の方に交渉いたしましても、貨車がないというので、ほんとうに今困
つております。この貨車をとるために営業事務所に交渉いたしましても、たた話を聞いているだけで、いつ貨車をまわしてくれるかわからない。また向うから貨車をまわしてもらう手続をいたしましても、これも思うように行かないという現状でありまして、実にこれには困
つている。
それから私どもの県は観光県でありまして、観光を県是としております。従いまして、多方面から
栃木県に観光客を誘致するという場合において、そういう
計画を立てるにしても、一々これを高崎なり、水戸なり、仙台に行かなければ、仕事ができないというような現状てありまして、これも実に困
つております。
それから従来
栃木県、茨城県、あるいは群馬県方面は、水害が非常に多い所であります。
従つて鉄道の工事もたくさんあり、また鉄道工事に付随するところの物品の購入というものもたくさんあるのでありますが、それらに対する物の買入れ、あるいは請負というようなことについても、宇都宮では何もできない。高崎に関するものは高崎の局、水戸に関するものは水戸の局まで行かなければどうにもならない。遠くは仙台まで行
つて、物の購買あるいは請負等をしなければならぬ。この点から申しましても、宇都宮に局がありますれば、宇都宮でただちに話がつくのでありますが、こういうことでは今後地方の産業、経済に及ぼす
影響は実に甚大でありまして、この点は十分御了承を
願つておきたいと思うのであります。
ことに私どもまのあたりに見せつけられているのは、高崎に局かありますために、両毛線にはガソリン・カーを五回運転しております。なかんずく高崎から桐生までは八回のガソリン・カーを運転しております。つまり局の近いところは非常に便利であり、また非常に世話をやいておる。ほかには
栃木県内にはガソリン・カーを運転しているところはほとんどありません。ことに東北本線の宇都宮から北の方の黒磯までに至る間というものは、宇都宮への通勤着が非常に多いのでありますが、これに対してガソリン・カーは一台も動いていない。あるいは烏山線も一日に三、四回しか通
つておりませんが、ガソリン・カーがない。要するに局のあるところは非常に便利を與えている。結論はそういうことになると申し上げておきたいのであります。ただいま高崎方面は非常に交通上便利を得ている。ところが局のないところは非常に虐待をされているという現状であります。こういうことではわれわれは県民として黙視できないのでありまして、ことに
公共性を持
つている運輸省としては、全国至るところ恩恵に浴するような
計画を立てるのが至当ではないかと考えておるのであります。この点は返す返すも私どもは遺憾に考えておるのであります。
時間が十分ということで制限されておりますから、長くは申しませんが、最後に申し上げたいことは、この
委員会におきまして皆さん方満場一致の御決議をいただきましたにもかかわらず、いまだ実現ができないということは、はなはだ遺憾に考えておるのであります。どうか皆さん方の御協力によりまして、一刻も早く宇都宮に管理局を
設置されるように特にお願いをいたしまして、私の
意見を終ります。