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徳永政府委員 帝石の現在の
原油の販売価格は、ただいまマル公がございまして、八千四百五十円で押えられているわけでございます。そのもとにおきまして、どの
程度の
保護を受け、そうしてまた経営上どの
程度の
状況に相な
つておるかということでありますが、ごくわかりやすく申しますと、昨年度、本年度の
石油に対しまする国の地質
調査及び試堀の助成金というものは、全体で一億三千万円ほどであります。このうち天然ガス二千万円ほど行
つております。従いまして
石油関係に行きましたものは、一億千万円ほど行
つておるわけです。この一億一千万円のうち、
帝石へいかほど行
つているかという
数字は、まだ全般が完了いたしておりませんので、はつきりした
数字はわかりませんが、
生産の割合から見まして、一億見当行くであろうということは、大ざつぱに推測し得るわけであります。それから実は
帝石に対しまする助成は、それだけではないのでございまして、現在これは臨時
過渡期の措置でございますが、
輸入の重油のうち、
アメリカの軍の油として非常に安いものが入
つて参りますので、それは本質的にはほかの重油と同じ使用
価値のあるものでございますが、値段が非常に安いというものでございます。それをほかの重油並に売らしてもらうということによりまして、差益が
相当出て参ります。その差益を国産
原油の
生産者へわけるということに相な
つているのであります。これは
政府として長続きし得る本質的な運命を持
つておりませんから、目先そういうものがございましたので、助成の一環としてや
つてもら
つておるわけであります。その金額が、大ざつぱに申しまして、正確な
数字は記憶しておりませんが、ほぼ四億円くらいになろう。これは全
石油生産者に行きますが、先ほどの試掘奬励金のときと同じでありまして、大部分が
帝石に行くということが、
数字的な
関係から想像できるわけであります。そうしますと、かれこれ約五億円くらいのものが、特別の助成の形で
保護されているということが言えると思います。ところで経営面から見ました場合に、どういう收支バランスを示しているかということでありますが、昨年の九月か十月かの決算に出ております
数字は、表面十億円の資本金に対しまして、二億四千万円の
利益を計上いたしております。その
数字と国の助成のバランスを
考えていただきますならば、二億四千万円、二割四分の
利益率ということであります。一見世間並の
利益率を上げているじやないかというふうにも言えるかと思うわけでありますが、しかしその背後に見のがしてならないのは、国の探鉱、試掘奬励金が一億見当行き、それから価格調整によりまして約四億が行
つている。それによ
つてその
程度しか
利益を上げ得ない
状況にあるということが
一つ、それからもう
一つ注目していただきたい問題は、
石油がまだ一本立ちしていないという
状況は、経営面におきまする経費のうちの、探鉱、試掘にまわし得ている仕事の量のバランスであります。これは
石油に限らず、地下
資源の
開発産業の特有のものでありますが、
産業の性質といたしまして、ほかの製造工業でありますれば、
原料を食わして、それを加工するというのが仕事でございます。地下
産業は、常につかんでいるものを食
つて行く。食うだけの仕事をしておりますれば、山はそれで運命が縮んでしまうわけでありますから、常に次の食う材料を探さなければならないという、ほかの
産業にない特殊の運命を必然的に持
つているわけであります。それに投じまする総経費の中における経費の割合の理想的な形というものは、どの
程度に見るかということでございますが、
アメリカ等の
産業の
事情から見まして、その割合を全体の五割というふうに見るのが、健全な
目標と見られておるわけであります。ところが
帝石の前期の決算に表われておりまする仕事ぶりというものを、過去のものから比べますれば、地質
調査及び試掘に投じまする金というものは漸増をいたしておりまするが、ただいまのところ到達しておる
目標は、わずかに三割でございます。五割の理想に対して、三割
程度しか行
つていないというのが現状でございます。せめてこれを四割くらいにはしたいというのを、目先の
目標にいたしておるわけでございます。それも先ほど申しましたことく、国からの試掘奬励金ももらい、さらに
間接に価格プールによりまする助成の恩惠を受けても、三割
程度しかそういう積極面の
資源探査の面に金をまわし得ない実情にあるわけであります。これは先ほ
どもたまたま御
質問ございましたように、天北なら天北の探査を見ましても、結局一本井戸を掘りますだけに、結果的に見ますれば、
帝石自身としては一億二千万円に捨て金に
なつたわけであります。そういう非常に危險の高い、捨て金を次々と投じて行かなければ、仕事の永続性を保ち得ないという
産業であります。私の最初申し上げました五十万キロ・ベースで、十五箇年の
確定埋蔵量をつかむということは、その
レベルまで来ました場合には、価格面におきまして国際的な競争力もでき得るであろうし、その中から健全経営として、
資源開発の方にまわし得る金も出て来るようになるであろうということをいわれておるわけです。採油だけがひとりふとるわけではありませんが、採油がふとりますれば、採油の面で実際の
生産がふえますれば、実際の掘る方の面は経費がそうふえなくて、規模が大きくなればもうけがよけいになるわけです。その余力を
開発の方にまわし得る。それによ
つて今の三割というものがだんだん上
つて行く。それが
石油鉱業——これはひとり
石油鉱業に限りませんが、鉱業の
特殊性でございます。現状はそれほどの
政府の手厚い
保護があるにもかかわらず、まだ一本立ちできる段階に至
つておらないというのが現状でございます。