○秋山
説明員
輸送状況について御
質問のようでありますので、
資料は後ほどお届けすることといたしまして、私から簡單に私がただいま把握しております状況におきまして、陸運並びに海運の
輸送状況及びその隘路等がありますれば、それらの問題等について御
説明を申し上げてみたいと思います。
輸送状況は、昨年の十月ぐらいには非常にいわゆる閑散でありまして、各
方面に
輸送力が余つたような状態であ
つたのございますが、秋の食糧の出来秋とともに、朝鮮動乱に伴う特需景気の増大、そういう面から出荷が非常に旺盛になりまして、漸次繁忙を加えて参
つたのでございます。その上昇カーブは、大体十月ごろから起
つておるようでございまして、それ前までは
鉄道について申し上げますと、駅頭在貨が大体五十万トン程度であ
つたのでありますが、逐次
増加いたして参りまして、最近では百五、六十万トンという線まで上
つております。このことはそれだけ
鉄道輸送が追われておるという状況を示しておるわけであります。駅頭在貨は戰争後の最も忙しかつたときには、三百二、三十万トンまで上つたことがあるのでございまして、そのときの状況までには至
つておりませんけれども、とにかくも在貨がふえ、貨車まわりが悪いという申告を、各
方面から受けなければならないような事態に
なつたわけであります。これに伴いまして
鉄道の
輸送も非常に馬力をかけておるのでありまして、一月の中旬だと思いますが、一日発送量三十七万トンというような、今までにないレコードを出したこともあるのでありまして、貨車まわりにおきましてもその他におきましても、最大の努力をいたしておるわけであります。現在のところ貨車の配給を特に制限いたしておるようなところはないのでございますけれども、部分々々によりましては、貨車の配車が悪いために、貨車を請求してからもらえるまでに十日間あるいは十五日間かかる、ものによりましては二週間くらいかかるというものがありまして、その点で非常な不平も聞いておるのであります。またあるところによりますると、たとえば常磐炭のごときは、生産力一ぱいまでの貨車がないために、生産を制限しなければならないというふうな状態で、非常にやかましいお話があ
つたのでありますが、最近大体において貨車の需要と生産とがマツチいたしておるように思
つております。こういう状態でございまするので、来年は
鉄道としては、やはり何とい
つても貨車の増備にはよほど力を入れまして、貨車の配給が円滑になり、
輸送力をうんと上げるようにしなければならぬと考えておるのでございますが、しかし貨車の
増加だけでは、
鉄道の
輸送力が上る限界というものはおのずから限度がございまするので、そこらは来年の閑散な夏枯れの事態ともにらみ合せまして、再来年はよほど見当をはつきりつけて行かなければならぬと考えておるのであります。
それから自動車の方は、燃料が逐次
増加いたして参
つておりまするので、今のところ自動車
輸送に対する需要で非常に困
つておるという声は、まず聞いていないように考えております。また
鉄道の貨車まわりが相当に悪いところもありまするので、品物によりましては、自動車
輸送に相当転移いたしまして、自動車の運ぶ距離が漸次延びておると思います。この関係の
数字は
手元にございませんので、ただいま
ちよつと御
説明いたしかねるのでございます。
これに伴いまして海運の方はどうかと申しますると、海運の方も一番ひどく感じておりますのは、外航船の不足でございまして、これは昨年十二月、米国のトルーマン大統領の非常事態宣言のありましたときから、急激に一種のヒステリツク的な状況から船が隠れまして、急激なる運賃の高騰を見たのであります。そのために各
方面で輸入手配に手違いを生じましたので、たいへん憂慮されたのでありますが、最近米国におきましては、予備船隊から百五十七万重量トンの船腹を、米国の船主に売却または貸與いたしまして、世界の船腹を緩和する方策を講じまして以来、逐次市況はおちついて参
つておるようであります。これに伴いまして運輸省といたしましては、外航船の
増強対策というものを立てまして、目下これが推進に当
つておるわけでございまして、その
内容は、ただいま
海運局長より御
説明申し上げましたような次第でございます。
ところが一方内航の船腹でありますが、内航の船腹は現在約八十万トンほど動いておるのであります。これは非常に遊休船がたくさんありまするので、これが買上げ始末をするという始末でありまして、戰時の標準船を買い上げる制度をつくりまして、新しい船に漸次、かえて行くという方策を、昨年の臨時
国会におきましてお願いいたしまして、幸いに御賛成を得まして
実施いたしたのでありますが、一般的な
輸送需要の
増加に伴いまして、内航船腹に対するきゆうくつさが現われつつあるのでございます。去年の五月、六月ころには、内航汽船
輸送量は約百万トンでございましたが、現在は百五十万トン程度に
なつております。それだけの
輸送量の
増加があり、従
つて船は金稼働の状態にございます。ところが最近やや本船の船まわりも悪いのではないかというふうにいわれるようにな
つたのでございます。これにつきまして、いろいろと私どもで原因を究明いたして来たのでございますが、八十万トンの船腹に対して百五十万トンの
輸送量では、回転率と申しますか、稼行率が二・一ないし二・二になります。この
数字はあまりに低いものでありますから、その原因を探究いたしましたところが、最近
港湾の事情が非常に惡いということを見出したのであります。
港湾の事情は、特に東京から横浜、清水、名古屋、四日市、大阪、神戸、関門、博多、こういう主要
港湾の実情を特に調べて行
つたのでありますが、この主要
港湾の荷役力のうち、岸壁の荷役力は、相当大きな部分が国連軍の使用に充てられておるという実情でございます。この内航船に対する荷役は、主としてはしけにたよ
つておるわけでございます。しかるにこのはしけが戰争前に比べまして、少いところは二割五分、多いところでも五割
ちよつと、こういう程度まで減
つておるのでございます。従
つてはしけを
増強するということが、今非常に緊急課題と
なつておるというふうに認識いたしております。従いましてはしけが足りませんために荷役が遅れまして、船の回転が思つたほど上
つていないということが、海上
輸送の船まわりの惡い大言な原因に
なつております。つまりはしけが足りませんので、船が少しよけい港に入りますと、全部に荷役ができなくて、はしけのあくのを待
つておるという状態でありまして、そのために船の在港日数がふえまして全体の回転が惡くなる、こういうふうに
なつておるように思われます。そこではしけの
増強策を考えておるわけでありますが、その対策といたしましては、現在の
港湾運送業者が非常に数が多うございまして、しかも規模が小さいために、大修繕または新造するための
資金が、銀行等から得られないという状態にございますので、
港湾運送
事業法というふうなものをお願いいたしまして、そして競争がめちやめちやになる状態をある程度制限する。また運賃その他での賃率の競争等を、何らかの方法によ
つてある程度制限する。そうしてまたはしけ等を一つの財団として、信用を得るようにするといつたようなぐあいに、はしけ
港湾運送
事業に一つの公益
事業的な規制を行う。そうして
港湾運送
事業というものの地位をある程度保護いたしまして、同時に片方
見返り資金等の融資によりまして、急速にはしけの
増強をはかりたい、かような方策を進めまして、目下
関係方面と折衝いたしておるような次第でございます。
機帆船におきましては、現在の
輸送が大体二百二、三十万トン程度にとどま
つておりますが、これは機帆船の能力ではなくて、重油、燃料油の
供給が大体一定程度にとどま
つておりまするために、およそ毎月同じような
数字が出ております。しかしながらこれに対する需要は相当増して来ておるのでありまして、油があればもつと運べるのに、油をどうしてくれないかという声が、非常に強く
なつて参
つております。今後一番手近に
輸送力を
増加し得る方法は、自動車に対する燃料油の増配と、この機帆船に対する燃料油の増配だと思うのでありまして、特に機帆船の燃料油の
増加につきましては、従前とも努力いたしておる次第でありますが、なお一層この点についての努力を強化いたしたい、かように考えておる次第でございます。
概観いたしまして、ただいまのところ
輸送力は、ややきゆうくつだという程度で、およそ需要と
供給とがマツチしておるという状態でありますが、それ以上に
輸送要請が増して参りますと、随所に困難が感じられるのでありまして、それを前も
つて――たとえば
鉄道におきましては貨車の新造による
増加、船の面におきましては、はしけの
増加が、あるいは自動車及び機帆船業におきましては燃料油の増配、こういつた
方面に総合的な対策を講じて進めて行くことが必要であろうかと考えておる次第でございます。
ごく概括でございますが、ただいまの
輸送状況の大体につきまして御
説明申し上げました。