○委員外議員(木下源吾君) 機会を與えて頂いて感謝いたします。人事委員会におきまして、現に政府の提案によります
一般上職に関する給與法の一部を改正する
法律案を審議中でありまして、この審議の過程におきまして、本日人事委員会の與野党の委員が満場一致を以て次の点を
予算委員会に申入れをして、そうして
予算措置を御配慮を願いたいということの申合せで決定いたしましたので、一言説明さして頂きたいと思います。
一点は政府職員に対する年末給與の問題でありますが、これを政府案がいわゆる〇・五、半カ月分というのを一カ月分支給したいという点であります。もう一点は、今回の
法律の一部改正で特別な給與を受けておる者の俸給表を切替するに当
つて号俸調整をして、そうして従来特別に支給されておる既得権が切捨てられるという結果になり、全国七十万の主として現業に属する、非現業もありますが、この職員の号俸調整をしないでもらいたい。この二点であります。いずれもが
予算の修正を伴わなければ、この点の実現が不可能なので、我々人事委員会におきまして、
予算委員会にお願いする、こういう趣旨であります。第一点の年末給與でございますが、年末給與に関しましては、すでに御
承知の
通り、政府におつきましても、当初一カ月分を支給する意図であつたよりに我々は仄聞しさおるのであります。勿論この
原因は朝鮮の事変以来、物価の値上りが相当以上にな
つてお
つて、生計費に及ぼす影響が甚大であるという点、又現行の六三のベースはすでに二カ年になんなんとしそおるのであ
つて、過去において、人事院からはこれがベースの改訂に関して政府並びに出会に対して一回の勧告を行な
つておるが、これか実現ができておらない。又最近の問題でありますが、今回地方税法改正に当りまして、御案内の
通り九月、十月十一月、この地方税の支拂いに対する負担が非常に大きいでで、公務員の生活が極端に、極度に行詰
つておる実情であるという点、更に又最近国会において、衆議院において実現せられるやに聞いておりますところの国鉄の裁定一部実施に対しまして、国鉄においてはその一カ月分に相当する額をこの年末において受けるという実情であります。かれこれ事情を見まするというと、公務員のこの年末における
経済は最小限度、
曾つてこの八月九日に人事院が勧告いたしました意見書を以て我々に述べられている一カ月分の年末給與を出すということは、最も妥当であるという見解に一致しているのであります。この一カ月分の年末給與をいたしまするのには、政府の
予算の原案によりまするというと、十六億それがしの〇・五という
予算が出ております。更にこれに附加えで、只今申上げる一カ月分にいたしますると、二十九億数千万円が必要りだとい方ことが
考えられるのでありまして、この点の
予算に対する御配慮を願いたいのであります。
次の号俸調整による問題でありますが、これは二千九百二十円ベース切替の際において、それ以来いろいろの事情があつたということを申上げるのでありますが、主としてこの特別な給與を受けている職員は、職務の内容においてこれを受けることが妥当である。又
責任の度合においてもこれを受けることが妥当であり、又職務のいろいろな危險を伴うというそういう点においても妥当であるという、理由によ
つて、海員の五割五号俸、これを最高といたしまして、その他の職員に対して、それぞれ適当なる号俸を
引上げてお
つたのであります。然るに今回政府の原案によりまするというと、これが半減或いはそれ以上に切下げられる面が出て来ておりまするので、この政府案によ
つて実現せられる曉においては、いわゆる政府の千円べース・アツプがその実質においては半額も増額しないという結果に相成るところがございます。そこでこの号俸切替ということは断じていけないということが我が人事委員会の結論でございます。この点に関しましては、参議院の厚生委員会、これは癩病に関するそういうところに勤務しておる医師、看護婦、職員等の
関係から、厚生委員会から決議を以てこの切下げはいけないという申入を我が人事委員会が、受けております。更に電気通信委員会も決議を以て、この号俸切下は不当であるということを私ども人事委員会に申入がなされております。郵政常任委員会においても、同様にこの政府の措置はいけない、不当であるということを決議を以て人事委員会に申入れておるのであります。かかる
状態はすでに
諸君も御
承知つでありまするので、くどくどしくここで御説明は申上げませんが、この号俸切下は如何なることがあ
つても断じていけないという意見に一致いたしましたので、
予算委員会において
一つ深甚の御配慮を願いたいと
考える次第であります。而してこれが財源は今回の
補正予算に関する分で約五億八千万円という
金額であります。
以上は人事委員会の決定によりましてお願いするのでありますが、更に私はこの機会に私の多少の見解を述べさして頂くことを許されるならば、今回の給與法一部改正の政府の
法律案は内容においで人事院の勧告を尊重しておるということを謳
つておりまするが、全然人事院の勧告を無視しておる結果が現われておるということであります。先ず詳しい数字は申上げませんけれども、非常にこの上下の差が上に厚く、下に薄いという点、下のほうのものには全く少く上のほうがぐつと
引上げられておる。而もその下のほうというのは八級以下でありまして、全職員の九〇%を占めるもの、その犠牲において全公務員の約一割が今回の恩典に浴するという甚が好ましからさるところの現象であります。これが人事院の勧告を尊重しておらない一点であります。更に政府のもつと著しく人事院の勧告を無視しておる点は、給與に関する実施は
諸君御案内の
通り人事院にあるのであります。然るに政府の提案せられた法案の附則の第八項によりますると、この給與の実施権を無視しておるこの
條文であります。私ども詳しく言えばこの法案については各所においてかかる現象がございまするが、この二点申上げましても、すでに現政府は給與を近代的にし、民主的に
改革しよりとする意図を以て作られた人事院を骨抜きにして、我が国の給與
制度を古い封建的給與体系に逆転させようとする意図は明瞭であります。私どもはかかる今回の給與法一部改正
法律に際しまして、人事委員会は愼重なる
検討を行な
つておるのでありますが、これらのことについては別の機会に
諸君に篤と御
検討をお願いしたいと思います。
只今前段に申上げました人事委員会が與野党を通じて満場一致を以て決定いたしましたところの年末給與の一カ月分の支給、又号俸調整による被害を救
つて頂くという点において
予算委員会において何とぞ深甚の御配慮を賜わらんことをお願いする次第であります。そして私ども人事委員会におきましては、これらの問題について、決定に当り、法案を揃えまして
関係方面に持
つて参りましたところが、その法案は政府案より極めて優秀であるということを昨日承わ
つたのであります。そして
予算を伴う点については、それぞれその
関係方面に対してでなければ実現が不可能だと
考えられる、こういつうふうに申されたので、私どもは国会の運営を通じて、是非ともこの優秀なる給與法に改めることを
諸君の力によ
つて完成しないと念願しておる次第であります。何とぞよろしく御配慮を賜わりない次第であります。