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國務大臣(横尾龍君) お答えいたします。造船業のことに関して私が申上げますと、手前みそになりますのですが、実情についてお話をいたしたいと
思つております。御存じの
通り我が國の造船の鋼材に規格料というものが
価格のほかにあるのです。そのほかに又寸法のエキストラというものがついておるのです。これが元は規格料というのがトン六千円であ
つたのであります。これが最近の
価格によりますと三千円にな
つております。寸法のものに関しましては二千四百円であるかのようです。この方法等のエキストラは、実は我が國の在来の造船業に使
つておりましたのは、定尺物の倍数、こう申しますと甚だわかりにくうございますが、定尺と申しますと三尺、六尺、それから四尺に八尺、五尺に十尺というものが、これがマーケツトの定尺なのです。そういたしまして造船業に使いますものは長い板を使いますので、それで三尺六尺物であれば、三尺十二尺というのは倍と、こういうふうにな
つております。そうすると、これは長いものになりますと、幾らか検査の不合格の率が多くなる、そういうこともあるかと思います。それから規格料と申しますと、造船規格と申しまして引張
つてどのくらい力がなければならん、或いは曲げまして、百八十度曲げて亀裂が出るかというような試験をするのであります。それに対しましては、
外國ではそういうエキストラというものは我々聞いたことがない、日本のものに限
つてそういうものがあると申しますことは、スクラツプの惡いのと、或いは鉄鉱石が惡いのと、例えてみますとコツパアが余計あるとすればどうだというようなものでありますので、これらを除去いたしますならば、今お話のような
補給金をとりましても大した影響はない。それで
政府といたしましては、何としてもそれに適合するような鉄鉱石を輸入することが必要である、こう考えるのです。そのほかにも型物と申しますのがあります。これも寸法の大きさによ
つて多少値段が高いのです。これらを考え合せましたときに、現に廣畑の板は八幡の板より安いのです。これはロールがいいからであります。これを検査いたしますときに先ず表面検査というものをいたすのであります。それから又厚み検査をいたします。その厚みとこの厚みが、それが違うということが多い。そういうことはこれは成るパーセンテージ以上違いますと不合格になるのであります。ロール
関係がありますので廣畑のものは八幡のものよりも幾らか安いのであります。そういうことを考え合せますと共に、又いろいろ造船技術が遅れておりますので、船価が高くな
つておることは事実であります。甚だ失礼なことを長く申上げたのですが、我々が船をデザインしてお
つた頃は、要するに鉄材のスクラツプは一〇%以下であ
つたのです。最近に至りまして二五%の鉄材のスクラツプが出ておるのです。且つ又製鉄業者からいいまして、規格に適合するところのものは約七〇%以下だと聞いております。これらを先刻申上げましたように、銑鉄にいい鉱石を入れてやるということと、且つ又平炉メーカーにはいい銑鉄を入れてやるということが私は考えられるのではないかと思うのです。でありまするので、國家財政の非常な窮迫の際には、又企業家のほうにおいてもすべての知識を総合いたしまして、そうして單価の引下をやることにする、これは私は当然な
義務じやなかろうか、実は補助をもらうということに対しましては、業者に対してはやりたいとは思いましたけれども、先刻申上げましたように、國家財政を勘案いたしまして、又それ以上に必要なる部面もあ
つたように見受けたのであります。私は遺憾ながらこれは取止めるよりほかないと、こういうふうな考えを持つのであります。決して私は製鉄業者、その他のかたがたの現在の情勢を考えないわけではありませんけれども、そういう
状況と且つ又先刻安本長官からお話のように、現在の
外國の
価格も相当に高いのであります。日本のほうもそれまで上げてもらえれば、生産の赤字があまり大きな赤字でなく、少くなるのではないかという気がいたしてお
つたのであります。それで又来
年度になりましても非常な変動がありましたならば、改めて考慮してもらうということで私は引下げたのであります。さように御了承願いたいと思います。