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堀木鎌三君 少くとも、これも
数字が明らかなんでありまするから、約二年の
間國家公務員が
給與が釘付けにな
つてお
つた、その間に局間の
工業平均は、二十三年の下期は非常に
上つておりまするが、爾後も微騰を続けておることは、これは
統計の示すところであります。でありまするから、この点について私は
労働大臣として端的にこの事実はお
認めにならなければならない
数字である。
かたがた朝鮮動乱以後、やはりすでに九月の
統計によりますと、
工業平均給與が九千円を突破いたしております。それからCPIも
上つておりまするし、すべての点におきまして、むしろ先ほど
木村委員が言われましたように、
物価と
労働賃金との
関係及び
消費水準の
関係等におきましては、結局
労働者の
実質賃金は
低下の
状況にあり、
公務員の
生活水準はやはり
低下の
状況にある。又この推移は或る
程度起
つて参る、で、ここにやはり問題があるのだと思うのであります。で、やはり
労働大臣が
お答えになりました中にも、すでに二つの要素を含んでおる。先ほどの御
答弁では、全体として
生産は
上昇し
景気はよくなるだろう、
雇用は増大するだろう、だからそう
労働者の
生活については心配することはないとおつしやりながら、
賃金の問題を
比較いたしますると、いろいろ
民間にいい所もあれば惡い所もある、こういうふうな御
答弁にな
つて参ります。いわゆる
経済政策のしわ寄せがどこに行われて参るかという、ここに問題が生じて参るのでございまして、そこに
政策があるわけだと、こう私は
考えるのであります。どうか
労働大臣としては、私も
木村委員と同じように、要するに
大蔵大臣が言われ、
安本長官が全体として
経済の動向を言われまするが、その
影響がどこに起
つて来るか、その
影響は
國民の各層にいろいろな
違つた状況を起しておるのであります。そこに問題が私はあるわけである、こういうふうに
考えるのであります。
併しこの点につきましては、更に別に御担当の
官房長官でもおいでになりましたときに問題を譲りたいと思うのでありますが、第二段にお聞きいたしたいことは、結局私の観点に従えば、最近の
アメリカのグレイ報告によりまして、
日本の
経済が一刻も早く自立できるように、そうして対日援助見返資金はもう来年からは打切ろうと、こう言
つておるような
状況であります。即ち私どの予期に反して、私どもが
日本の
経済を再建しようという
考え方から、現に
安本で御計画にな
つておるところの
自立経済審議会におきまする三カ年計画よりも、著しく早く
日本の
経済を
自立経済に持
つて参り、
アメリカの援助を打切ろう。又今朝新聞が唱えますところによりますると、いわゆるドツジ、池田会談におきましても、その点に対する観点から、債務償還費等その他につきまして、諸種の会談が行われたようでありまするが、そうな
つて参りますると、一番心配になりますることは、
日本の
経済を非常に縮小された現在のままで一定の安定した
自立経済、つまり
輸出入の点から見まするならば、大体
戰前の三〇%
程度の
輸出入の下に日立
経済を立てなくてはならんというふうなことに相成りますると、これは大変なことに相成ると思うのであります。従
つて我が國といたしましては、至急に我が國の
生産過程が急速に、従来よりも急速に再
生産過程に廻らなければならん。その中で一番大切なのは、労働力を如何に使うかという問題だろうと思うのであります。この点につきましても、グレイ氏はその調査報告で指摘いたしておるのでありますが、この点に対して、
労働大臣の御
関係ありますことについて一、
二お聞きいたしたいと思うのであります。
先ず第一に、公共事業費でございます。これは本来は
安本長官が御担当ではありますが、
労働大臣は失業対策からこの問題に同じく御
関係にな
つておるわけでありますが、私は、二十三年の四月に公共事業について
失業者の吸收率というものを御きめに
なつた政府としても、何か失業対策の
一環として、公共事業費が非常に殖えたということにつきまして、あたかも失業対策に非常に役に立
つておるかのごとき観を與えておられるのでありますが、実際におきましてはこの公共事業費に対する
失業者吸收率が非常に少い、この点が第一点であります。大体私ども地方を見て参りますると、一応この吸收率の割当につきましては、
職業安定所が努力しておられるところは
認めるのでありますが、如何に少いかという一例を
一つ申上げて見たいと思うのでありますが、大阪におままして、六月におきまして職を得たいと思
つて活動しておる者が十一万一千人であ
つたわけでありますが、それに対して約半数の五万五千人が救済されておる、何らかの形で救済されておる。その中で公共事業に就労した者は僅か千二百三十四人であります。失業対策事業によ
つた人が一万一千人、この十二万人の半分の中の一番大きなのは、失業保險金を貰
つていて救済されしている三万四千人であります。即ち公共事業によ
つて救済されておるところの
失業者というものは非常に少い、こういう点から
考えまして、もつと
安本と緊密な御連繋にな
つて、公共事業費にそれだけあの金額をお殖しにな
つておるに伴
つて、できるだけ
失業者の吸收ということにお
考えをお向けになるべきでなかろうかというのが、これが第一点であります。
第二点は、失業応急対策事業として、失業対策事業を非常に御推進にな
つて御努力にな
つておる点は
認めるのでありますが、どうもその実態が
日本の産業の復興と結付いてない。その点につきましては、事業の性質上むずかしいところがございますか、やはり計画的に、そうして
労働者を組織化し、技術と訓練を與える方向に持
つて行かなければならないと思うのであります。それでないと、草むしりやどぶ掃除ということが主たる仕事の対象になりがちになる。更にもつと進みましては、一番問題になりますることは、これに資材的な裏打がないために、非常にそういう仕事にだけしか向けられなくな
つて来ておる。現に地方におきましては、これに資材的裏打があれば日、本の産業の復興と結付いた仕事になるのだがということは、もう全國同一に言うことであります。この点につきまして、もつとお
考えをなさり、施策を推進なさるべきではなかろうか、こういうふうに
考えるのであります。ただ、
職業安定所に参
つて私どもあの実情を見て参りますると、中には全く
職業安定所においでになることが無駄な時間であり、労力であ
つて、むしろ
生活保護の対象、
生活が非常に困窮しておる……
生活保護の対象に持
つて行かれるふうがある。その分については
生活保護法のほうで十分吸收される、保護の対象として
生活の道を
考えてやる、こういうふうに区別をなされば、少くとも私は
日本の産業復興と結付いて参るのじやなかろうか。こういう性格かもつともつとはつきり出ることによ
つて、初めて
日本の労働力というものが高揚され、能率的に産業復興と結付くのである。
労働大臣のおやりになることは、レッド・パージで
失業者の数をお殖やしになるのでは無論ないだろう、こう私は
考えるのでありまして、どうかこの際にそういう方向に物事を、殊に
幾分金額が殖えました際に、特にそういう方向に新らしく施策を御推進なさることを希望するのでありますが、これらについての何か具体的な御考慮がありましたら、ここで御
説明願いたいと思います。