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委員長(
波多野鼎君) それではこれより
委員会を
開会いたします。閉会中に
昭和二十五年度
予算の
國民経済に及ぼす
影響に関する
調査を
継続調査でや
つて参りましたが、まだその
調査を完了してはおりません。併し
参議院規則第五十五條によりまして、この
会期の初めにその旨の
報告書を
議長に提出いたさなければなりません。そこで
報告書をまとめて見たのでありますが、相当
内容の広汎なものにな
つております。従いましてその
要領を只今申上げまして、
報告書全体については後で御覧を願うことにいたしまして、先ず
要領だけをちよつと申上げます。
この
報告書の草案は、今までに前後七回に
亘つて委員会を開きまして、三班に分けて
現地調査を行いましたその結果を概括的にまとめたものでありまして、
報告書の構成は、第一が
調査の経過、第二が
調査の結果、この
調査の結果という第二部につきましては、一、はしがき、二、第一
四半期について、三が第三
四半期について、四が結び、こういうふうにな
つております。先程申上げました
ように、
調査報告の
内容は問題が非常に広汎でありますために、
内容も広汎に亘
つておりますが、主として
財政資金の対
民間收支を中心に、数字的に且つ具体的に記述いたしております。それらの点を詳しく申上げる時間がありませんので、抜きにいたしまして、大要だけを申上げて見ますと、第一に、
政府の対
民間收支のバランスは勿論
財政の引上超過で、昨年度から引続いて超
均衡予算を実行して参りました結果、第一
四半期には非常な
デフレが起きております。
滯貨が堆積いたしまして、身動きもならない
ような
状態でありました。そこへたまたま
朝鮮動乱が勃発いたしまして、これが
滯貨を一掃すると同時に、
財政の
デフレ的な作用を大分緩和するという効果を持
つたのであります。第二点、そこで第二
四半期に入りますと、
動乱の
影響で
経済界の一部には活況を呈して参りました。いわゆる
特需景気であります。併しその反面、農村、
中小企業といつた
ような、つまり第一
四半期に
デフレ不況で一番困
つておりました
國民階層が、今度の
特需景気にも一番恵まれていないという
状態が生れております。
金融を例にと
つて見ますと、信用の潤沢に
なつたところと、尚依然として金詰りのひどいところとがありまして、
輸出や
特需に
重点が置かれる結果、これに恵まれない
部面は
資金難が
却つてひどくな
つているという傾向も見られるのであります。即ち非常に
びつこの状態が生れております。第三点、それに今の
ように
特需や
輸出がどんどん伸びて、輸入がさつ
ぱり振わないという
ような
状態が続いて参りますと、インフレーシヨンの懸念も相当濃厚にあると思われるのであります。第四点、そこで
結論としまして、勿論最後の
結論は本
報告では出てはおりませんが、
中間報告の簡單な結びとしての
結論といたしましては、大掴みの方向だけを申上げて見ますと、要するに今後の
予算執行に関連して、これからの
財政金融政策というものはインフレを抑制しながら、この
経済に現われました
跛行性を是正する、即ち
産業活動、
金融部面その他におけるでこぼこを調整するというところに
重点が置かれる必要つがあるというのであります。大体こういう
ような
内容の
報告書を出したいと思
つております。先程申上げました
ように、詳しい数学その他も沢山ありますが、これは省かして頂きまして、今申上げた
内容の
報告書を
議長に提出するにつきましてお諮りするわけであります。御
異議がございませんければ、そういうふうに図りたいと思いますが、如何でございまし
ようか。
〔「
異議なし」と呼ぶ者あり〕