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1950-12-09 第9回国会 参議院 本会議 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十二月九日(土曜日)    午前十時十八分開議     —————————————  議事日程 第十号   昭和二十五年十二月九日    午前十時開議  第一 鉄道建設促進に関する決議案前之園喜一郎君外十三名発議)(委員会審査省略要求事件)  第二 国立学校設置法等の一部を改正する法律案衆議院提出)(委員長報告)  第三 競馬法の一部を改正する法律案衆議院提出)(委員長報告)  第四 船員保険法等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第五 郵政事業特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第六 食糧管理特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第七 米国対日援助物資等処理特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第八 食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第九 農業共済保険特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一〇 鹿兒島県地域給引上げに関する請願委員長報告)  第一一 裁判所書記官等待遇是正に関する請願委員長報告)  第一二 呉市の地域給引下げ反対に関する請願委員長報告)  第一三 寒冷地手当支給恒久制度化等に関する請願委員長報告)  第一四 寒冷地手当支給に関する請願委員長報告)  第一五 裁判所書記官等待遇是正に関する請願委員長報告)  第一六 北海道豊平町真駒内を地域給支給地域指定請願委員長報告)  第一七 福岡県荒木町の地域給引上げに関する請願委員長報告)  第一八 福岡県羽犬塚町の地域給引下げ反対に関する請願委員長報告)  第一九 福岡県築上郡を地域給支給区域指定請願委員長報告)  第二〇 林野庁常動的労務職員に年末手当支給請願委員長報告)  第二一 国家公務員に対する寒冷地手当および石炭手当支給に関する法律中一部改正に関する請願委員長報告)  第二二 復興金融金庫等政府関係機関職員給與ベース改訂に関する請願委員長報告)  第二三 松阪市の地域給引上げに関する請願委員長報告)  第二四 北海道網走市の地域給引上げに関する請願委員長報告)  第二五 福岡県大牟田市の地域給改訂反対に関する請願委員長報告)  第二六 福岡県若松市の地域給改訂反対に関する請願委員長報告)  第二七 直方市の地域給引上げに関する請願委員長報告)  第二八 愛知県新城町の地域給確保に関する請願委員長報告)  第二九 福岡県八幡市の地域給確保に関する請願委員長報告)  第三〇 北海道釧路市の地域給甲地指定請願委員長報告)  第三一 北海道稚内市の地域給支給に関する請願委員長報告)  第三二 福岡県戸畑市の地域給確保に関する請願委員長報告)  第三三 富山県の地域給等支給に関する請願委員長報告)  第三四 石川県金沢市の地域給等引上げに関する請願委員長報告)  第三五 静岡市の地域給甲地指定請願委員長報告)  第三六 山口県の地域給引上げに関する請願委員長報告)  第三七 広島県呉市の地域給確保に関する請願委員長報告)  第三八 岡山県新見町および上市町を地域給支給地指定請願委員長報告)  第三九 愛知県豊橋市の地域給引上げに関する請願委員長報告)  第四〇 長崎県佐世保市の地域給引上げに関する請願委員長報告)  第四一 露見島県の地域給引上げに関する請願委員長報告)  第四二 山口県の地域給支給に関する請願委員長報告)  第四三 岡山県笠岡町の地域給存置に関する請願委員長報告)  第四四 北海道江別町を地域給支給地指定請願委員長報告)  第四五 北海道千歳町を地域給支給地指定請願委員長報告)  第四六 北海道美唄市を地域給支給地指定請願委員長報告)  第四七 仙台市および東北諸都市地域給引上げ等に関する請願委員長報告)  第四八 愛知県蟹江町の地域給引上げに関する請願委員長報告)  第四九 愛知県海部郡の地域給引上げに関する請願委員長報告)  第五〇 名古屋市の地域給確保に関する請願委員長報告)  第五一 神戸市の地域給特地指定請願委員長報告)  第五二 福岡県田川市の地域給引上げ官関する請願委員長報告)  第五三 名古屋市の地域給特地指定請願委員長報告)  第五四 北海道琴似町を地域給支給地指定請願委員長報告)  第五五 北海道苫小牧市の地域給引上げに関する請願委員長報告) 第五六 島根県各都市地域給等存続に関する請願委員長報告) 第五七 北九州五市の地域給確保に関する請願委員長報告) 第五八 北海道網走市の地域給引上げに関する請願委員長報告) 第五九 北海道岩見沢市の地域給引上げに関する請願委員長報告) 第六〇 北海道帯広市を地域給甲地指定請願委員長報告) 第六一 北海道北部都市地域給引上げに関する請願委員長報告) 第六二 室蘭市の地域給引上げに関する請願委員長報告) 第六三 公務員給與ベース引上げ等に関する請願委員長報告) 第六四 郡山市に仙台高等裁判所支部設置請願委員長報告) 第六五 北海道新冠村に法務局出張所設置請願委員長報告) 第六六 新潟県燕町に登記所設置に関する請願委員長報告) 第六七 宮崎県福島町に簡易裁判所および検察庁設置請願委員長報告) 第六八 都心に近代美術館および常設展覧会場建設請願委員長報告) 第六九 六・三制学校建築費国庫補助に関する請願委員長報告) 第七〇 六・三制学校建築費国庫補助継続等に関する請願委員長報告補助追加に関する請願委員長報告) 第七二 標準教育費法制定に関する請願委員長報告) 第七三 教育職員免許法認定講習に要する経費の全額国庫負担に関する請願委員長報告) 第七四 教育公務員特例法第十四條第一項改正に関する請願委員長報告) 第七五 私立学校職員共済組合法案上程促進等に関する請願委員長報告) 第七六 東京水産大学校舎施設対策実施に関する請願(二件)(委員長報告) 第七七 奈良女子大学に教育学部設置請願委員長報告) 第七八 ジェーン台風による被害中小学校復興に関する請願委員長報告) 第七九 福島県立郡山盲ろう学校郡山分校移管に関する請願委員長報告) 第八〇 豪雪地小中学校除雪費国庫負担促進に関する請願委員長報告) 第八一 教育公務員特例法第十四條改正に関する請願委員長報告) 第八二 公民館運動促進に関する請願委員長報告) 第八三 学校教育法私立学校法両法中の一部改正に関する請願委員長報告) 第八四 標準教育費法制定に関する請願委員長報告) 第八五 六・三制校舎整備費国庫補助継続等に関する請願委員長報告) 第八六 教職員の待遇改善に関する請願委員長報告) 第八七 看護婦養成所に対する国庫補助請願委員長報告) 第八八 理容師法中一部改正に関する請願委員長報告) 第八九 池上特殊喫茶店街設置反対に関する請願委員長報告) 第九〇 児童福祉法に基く私営社会事業団体に対して公費の支出をなし得るよう法律制定請願委員長報告) 第九一 結核病根滅対策樹立に関する請願委員長報告) 第九二 国立翠ヶ丘病院移転に関する請願委員長報告) 第九三 未亡人、寡婦に年金支給等請願委員長報告) 第九四 看護婦資格既得権者甲種看護婦国家試験免除請願委員長報告) 第九五 国民健康保険診療費国庫補助に関する請願委員長報告) 第九六 国立きつ音矯正所設立に関する請願委員長報告) 第九七 療養所病床回転根本対策に関する請願委員長報告) 第九八 厚生年金保険基金還元融資に関する請願委員長報告) 第九九 戰争犠牲者遺族生活保護に関する請願委員長報告) 第一〇〇 児童福祉行政予算国庫補助に組替の請願委員長報告) 第一〇一 らい療養所の患者による附添手当増額請願委員長報告) 第一〇二 らい研究所設立等に関する請願委員長報告) 第一〇三 日南海岸国立公園指定請願委員長報告) 第一〇四 医薬分業反対に関する請願委員長報告) 第一〇五 資源調査国庫負担金交付請願委員長報告) 第一〇六 中小企業緊急金融対策等に関する請願委員長報告) 第一〇七 中小企業者に対する金融対策請願委員長報告) 第一〇八 ジェーン台風による関西罹災中小工業復旧に関する請願委員長報告) 第一〇九 喫煙用具輸出保護育成に関する請願委員長報告) 第一一〇 琉球民間貿易促進に関する請願委員長報告) 第一一一 広島公共職業安定所西條出張所安定所昇格等請願委員長報告) 第一一二 九州各市失業対策事業賃金標準甲地区変更等請願委員長報告) 第一一三 農業用電力料金引下げに関する請願委員長報告) 第一一四 江川水系電源開発に関する請願委員長報告) 第一一五 日和田・平間に十五万ボルト送電線建設促進に関する請願委員長報告) 第一一六 直方公務員地域給引上げに関する陳情委員長報告) 第一一七 視覚教材教具無償配給等に関する陳情委員長報告) 第一一八 鹿児島県揖宿地区一帶を海洋国立公園指定陳情委員長報告) 第一一九 戰争犠牲者遺族援護強化に関する陳情委員長報告) 第一二〇 国民健康保険事業危機突破に関する陳情委員長報告)     —————————————
  2. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます  日程第一、鉄道建設促進に関する決議案前之園喜一郎君外十三名発議)(委員会審査省略要求事件)を議題といたします。  本決議案につきましては前之園喜一郎君外十三名より委員会審査省略要求書が提出されております。発議者要求通り委員会審査を省略し、直ちに本決議案の審議に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発議者に対し趣旨説明発言を許します。前之園喜一郎君。    〔前之園喜一郎登壇拍手
  5. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 只今上程になりました鉄道建設促進に関する決議案につきまして、提案理由説明を申上げたいと存じます。先ず案文を朗読いたします。    鉄道建設促進に関する決議   わが国は、終戰後資源に乏しい狭あいな国土ぼう大な人口を擁しているが、国家再建には、産業開発物資の円滑な流通とを最も必要とするものである。然るに国有鉄道にあつては、鉄道敷設法別表に掲げられた予定線の中建設開業をみたものは延長粁にしてその三分の一にすぎず、又工事に着手中戰争のため中止し今日に至つているもの二十有数線に及んでおり、その他民営鉄道の計画する未開業線も多いが、鉄道完成こそ産業開発と民生の安定、即ち国家再建に必要欠くベからざるものである。最近自動車交通の異常な発展をみつつあるが、わが国気候的地理的條件よりみてなお、鉄道輸送にまつものが甚だ多い。   よつて政府は速やかに鉄道建設につき適当な措置を講ずべきである。   右決議する。  以上であります。  御承知通り我が国は終戦後四つの島に国土が制限せられまして、八千万国民はこの四つの島の資源によつて生活の基礎を見出して行かなければならないのであります。それ故に、産業開発貿易の進展、国際観光事業拡充等に最大の力を傾注しなければならないのでございますが、それには先ず第一に交通の発達を促進いたしまして、これによつて人の動き、物資移動等経済活動をますます旺盛にしなければならぬことは申上げるまでもないところでございます。このことは我が国陸上交通の幹線をなすところの国有鉄道の、戰前、戰時中及び戰後における輸送状況に徴しても明らかでございまして、以下少しくその概要を申上げて御参考に供したいと存ずるのであります。  先ず第一に営業キロについて申上げますが、営業キロ昭和十一年に一万七千三百五十四キロ、同十七年一万八千五百四十五キロ、同十九年以降現在は約一万九千七百五十九キロと相成つておるのであります。次に輸送数量について申上げますが、先ず旅客におきましては、昭和十一年、十億五千八百六十三万七百十一名、同十七年、二十二億七千九百八十四万三百十五人、同二十三年、三十二億二千三百二十七万二千九百十八名と相成つております。昭和十一年を指数一〇〇といたしますと、昭和二十三年には三〇四と相成わまして、旅客の数は三倍強に相成つておるのであります。尚、平均乗用車効率にいたしましても、昭和十一年は三二・五人でございましたが、二十三年には八〇・四人に増加いたしておるのであります。これに反しまして有賃列車キロは、昭和十一年を一〇〇といなしますと、二十三年は六五に低下いたしておるのであります。これを平たく申上げますると、昭和十一年に比べまして昭和二十三年は旅客において三倍強になつておる。ところが有賃列車キロは六割五分程度に低下いたしておるのでありますから、今日列車が雑人的な混雑を来たしますことは当然下あると言わなければならないのでございます。  次に貨物はどうかと申しますと、昭和十一年が八千九百三十四万二千百十一トンで、同二十三年が一億一千五百六十五万九千七百十二トンに上つております。二九%の増加率を示しておるのでございます。  以上申上げまするように、交通需要というものはますます旺盛でございまして、それにも拘わらず、国有鉄道戰時中の荒廃又は戰後復旧が非常に不十分でありまする上に、戰時中線路にいたしまして二十路線キロにいたしまして三百九キロ営業を中止しておるのであります。この中止路線の中には、レールを外したり、或いは鉄橋を壊したりして、これを戰力増強のために転用しておるものが多いのでありまするが、その中で戰後営業を復活いたしましたものは、路線にいたしまして十一、キロにして二百七キロでございまして、今尚約三分の一は営業を中止しておる状態であるのでございます。更に戰時中でありますが、工事中の建設線で、土工工事だけが完成いたしましておるものが二十六路線であります。キロにいたしまして三百九十二キロ工事を中止いたしております。これもその後何ら進行していないのであります。この土工工事完成の二十六路線はもうすでにレールを敷けば直ちに運転ができるというところまで来ておるのでありますが、これがそのままの状態に放擲せられてる状況でございます。これらの路線はいずれも我が国産業の上から見まして重要なもののみでございますが、そのほか鉄道敷設法予定線は勿論のこと、そのほかにも、終戰後の各種の事情の変化によりまして、前申上げます路線と同様に、鉄道建設の必要を痛感しておる地方が非常に多いのでありまして、国民はひとしくその実現の一日も早からんことを熱願しておるのでございます。  御承知のごとくすでに国会においても、第一国会以来、全国から提出せられました鉄道建設請願陳情は実に百七十余件に上つておるのでございます。我が運輸委員会におきましては、愼重に審議いたしまして、本院において採択せられたもののみでも六十線を越えておる状況でございます。然るに今日までこれが実現を見ましたもののめぼしいものといたしましては、ただ釜石線の全通があるくらいでございまして、これは、我が国産業発展の上からも、又国民生活の面からも甚だ遺憾に堪えないところであると存ずるのでございます。  以上述べましたことは日本国有鉄道についてでございましたが、民営鉄道状況を見ましても、免許又は特許を受け工事施行に至らぬもの、工事施行の認可を受けて建設中のもの、又は更にその新線免許又は特許を申請しておるものが多数あるのでございます。よつてここに私は速かに国有鉄道建設促進民営鉄道に対しましても、適切なる措置をとられんことを、運輸委員一同発議によりまして、この決議案として政府に強く要望いたすものであります。幸い本日山崎運輸大臣も御出席のようでありますから、只今申上げました決議案に対する御所見を拝聴することができますならば幸いと存じます。  尚、本年の八月の初旬に山崎運輸大臣は、二十六年度の予算において公共事業費の中から二十数億を鉄道建設のほうに繰入れるという御発表になりました。この朗報に対して国民は非常な期待を持つておるのであります。これらの点についても、できまするならば具体的に御所見をお漏らし下さるようにお願い申上げたのであります。  以上私は極く簡単に趣旨の御説明を申上げましたが、何とぞ御賛同の上、本決議案に御賛成下さるようにお願い申上げる次第であります。(拍手
  6. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本決議案の採決をいたします。本決議案に賛成の諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  7. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて決議案は可決せられました。  只今決議に対し運輸大臣より発言を求められました。山崎運輸大臣。    〔国務大臣山崎猛登壇拍手
  8. 山崎猛

    国務大臣山崎猛君) 只今鉄道建設促進に関する決議案を御決議に相成りましたが、右の決議案趣旨に対しましては、政府といたしましても、特に運輸大臣といたしまして平常より抱懐しておる所見と全然一致するものでありまして、誠に今日の日本におきまして適切なる御決議であつたと拜聴いたしたのであります。政府におきましても、我が国現状より見て、殊に経済的復興日本国内開発要求されておる現状におきまして、鉄道建設が必要欠くべからざるものであることを確信しておる次第でありまして、現在におきましても、経済上、財政上できるだけの努力をしまして、建設線促進に関しましては努力をいたしておる次第でありますが、特に本日この議場において御決議になりました趣意に副うて一層の努力をいたしたいと考える次第であります。  尚又御説明の中に、建設資金の面に関して公共事業費云々のお尋ねがあつたのでありますが、御趣意に対しましては、前申上げまするように全力を挙げてこれに副わんとする次第であり、それに、要する資金の面については、今日の日本財政経済状態におきまして、必ずしも安易なる期待をかけることができない状態にありまするので、或いは見返資金によりますか、公共事業費によりますか、或いは預金部資金によりますか、或いはその他の方法によりますか、これらの点につきましては全力を盡してよろしきを制したいと、かように考えておるような次第であります。  以上政府所見を申述べる次第であります。(拍手)      ——————————    〔須藤五郎発言の許可を求む〕
  9. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 須藤五郎君。
  10. 須藤五郎

    須藤五郎君 私はこの際、神戸事件に関しまして緊急質問をすることの動議を提出いたします。
  11. 鈴木清一

    鈴木清一君 只今須藤君の動議に賛成いたします。
  12. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 須藤君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。須藤五郎君。    〔須藤五郎登壇拍手
  14. 須藤五郎

    須藤五郎君 私は日本共産党を代表して、最近神戸市に起つたところの朝鮮人事件に関し、吉田総理並びに大橋法務総裁に質問いたしたいと思います。  先ず最初質問に先立ちまして、なぜかくのごとき事件神戸に起きたか、我が党が調査したところの真相をここに述べまして、政府当局及び同僚諸兄の御参考に供したいと思います。事の起りは去る十一月十七日神戸長田区役所に十四五名の朝鮮人が訪問し、生活保護法適用完全就業及び市民税の減免の交渉参つたのであります。その時に区長は各個人に対しまして調査の上善処すると約束したのであります。その後二十日になりまして、再びその約束の実行されるよう督促するために区役所へ参りましたところ、今度はその中の三名を検束し、合法的な交渉に対しまして意識的な弾圧を以て臨んで参つたのであります。当日その三名のうち二名は釈放されましたが、一名は留置して帰さなかつたのであります。そのために、二十四日になりまして、前述要求検束者を釈放して欲しいという一項目を加え、これを区長に示し、協力方を要請したのであります。そこで区長もこの要請を容れて、共に長田警察署行つたのでありますが、その交渉の留守中に、警官二三百名を動員し、ぶつ、蹴る、殴るの彈圧を始めたのであります。これを聞き伝えましたところの朝鮮人は、自分たちの父母や兄弟たちの安否を気遣いまして、朝鮮人経営西神小学校で授業中の子供たちまで先生の阻止を開かずに駆けつけたのであります。これに対しまして警官諸君はどんな弾圧を加えたか。即ち十四五歳の女の子供を椅子に縛りつけたり、又手錠をかけたり、胸を泥靴で踏んだり、ひどいのは十二三歳の子供の手を折り、又お母さんに抱かれていたところの赤ん坊の頭まで殴つて負傷させたということであります。  私は日本政府朝鮮人に対する基本的な態度を総理にお伺いいたしたいと思うのであります。朝鮮人諸君は四十年の久しきに亘りまして日本帝国主義彈圧の下に奴隷的苦難生活を強いられて来たものであります。特に第二次世界大戦におきましては、日本の戰力のために大きな犠牲を拂い、或る者は戰場に屍をさらし、又飛行場の建設にも、石炭の採掘にも、あらゆる日本施設は、これすべて朝鮮人の血と汗の塊であります。(「その通り」と呼ぶ者あり)この全く申訳のない朝鮮人諸君に対しまして、政府はどれだけの反省とお詫びをいたしましたか。何ら反省するところなく、帝国主義的な夢を未だ貧ろうとしているのではありませんか。(「ノーノー」「その通り」と呼ぶ者あり)だからこそ今日尚、前述のごとき暴圧を加えて何ら恥ずるところがないのであります。尚、今日、在日朝鮮人諸君生活が如何に苦しいか、その一端を述べたいと思います。戰後あらゆる産業から閉め出された朝鮮人は、止むなく心ならずも闇行商密造酒等によつて(笑声、「笑いごとでないぞ」と呼ぶ者あり)生活を支えて来た人人もありますが、最近はそれさえも帝国主義的取締によつて彈圧され、或る者は鉄屑拾つて飢を凌ぎ、又或る者は自由労働者として働いておるのであります。ところがその就業日数さえ、神戸におきましては一ヶ月平均十二三日ということであります。あまつさえ驚くべきことには、この苦しい労働者に対しまして、又生活保護法適用を受けておる者にさえ四百五十円の税金をかけておることであります。これらの例はその一端に過ぎません。朝鮮人生活は日増しにその困難さを加えて来ておるのであります。前述いたしました二十四日の非常識な大暴圧の結果、全県の朝鮮人が心配と激昂の余り、二十七日西神小学校校庭に集まり、全朝鮮民族の問題としてこれを解決せんとしたのであります。これに対しまして警察当局甲号指令を発し、二千名余の武装警官を出動させ、これを包囲したのであります。そうして事実上解散のできないように陷れて置いて解散を命じ、出て来る者を一人々々検束する態勢を整えたのであります。(「誰が煽動したのだ」と呼ぶ者あり)ここにおきまして朝鮮人諸君は、同じ検束されるならば共にされようと悲痛な決心で腕を組んで正門から脱出したのであります。ところが不思議なことには、これをやり過しておいて、五、六町行つた人家の少い焼跡の道路にさしかかると、前以て前方に待機さして置いたところの数百名の警官と後方から押しかけて参りました数百名の警官とで挾み打ちをやり、大混乱に陷れたのであります。そのときたまたまそこを通りかかりました老人や青年さえも朝鮮人であるということのために暴行を加えられ、頭を割られた者が出たそうであります。これは恰かも大正十二年九月の大震災のときに、朝鮮人なるが故に罪なくして虐殺せられたのと揆を一にするものではありませんか。(「ノーノー」「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)この暴圧に対し、足立代議士及び我が党の井之口代議士が調査に参り、市警局長古山氏に面会、実情の報告を求めましたところ、彼は曰く、一切自分は実情を報告する意思がない、自分は今まで民主主義的にやつて来たが、最近は考えが変つて来た、これからは、やり方を変える決心を持つておると公言したのであります。かかるものの考え方こそ、今回の神戸事件を起し、又東京震災のときに虐殺事件を起した原因だと思うが、法務総裁はどう考えられるか、お伺い申上げたいと思います。  尚一つ政府の忘れてはならぬ問題があります。それは朝鮮はもはや日本の植民地ではありません、立派な独立国だということであります。従つて独立国民としての敬意を拂わざる限り、彼らからの反撥は避けられないものと思うのであります。心ある同僚諸君もみずからその立場においてよく考えて頂きたいと思うのであります。先ず他を責める前に深く過去の行為に対して反省することこそ我々の務めだと思うが、この点、総理はどう考えておられるか、伺いたいと思うのであります。朝鮮人諸君の自由の生活を保障することがかかる事件をなくする唯一の途だと思うが、総理はどう考えられか、お伺い申したいと思います。  以上申述べましたごとく、今回の事件は取締当局の行き過ぎがその原因であります。然るに政府は、あらゆる報道機関を動員して、この事件の裏面に共産党があるごとく報じ、その背後を究明せんとしています。(「その通りだ」「何がその通りだ」と呼ぶ者あり)この事件を第二次、第三次の三鷹事件にせんとする陰謀が見えるのでありますが、その背後こそは即ち吉田内閣の悪政そのものではないでしようか。(「そうだ」「悪政だよ」と呼ぶ者あり、拍手)よく胸に手を当てて御反省願いたいのであります。(「共産党の煽動だ」と呼ぶ者あり)曾てヒットラーはユダヤ人の彈圧を利用してナチス・ドイツを作りました。又みずから議事堂に火を放つて共産党弾圧の口実を作りました。今日吉田総理は、朝鮮人彈圧に名をかりて、ひたすら戦争への道を驀進せんとするのかどうか。責任ある答弁を願いたいと思うのであります。今日の政治の行き方を考えるとき、再び愛する青年たちが戰場に動員される時の遠くないことを感ぜられて、憂国の念に堪えないところであります。(「寝言を言うな」と呼ぶ者あり)日本共産党は、祖国を護り、人民を破滅から守るためには、如何なる暴力にも屈服するものでないことを申上げて私の質問を終りたいと思います。(拍手)    〔国務大臣吉田茂君登壇拍手
  15. 吉田茂

    国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。  今回の神戸事件について政府への報告によれば、何ら人種蹂躪の跡はない。又警察官としての行き過ぎたところはないのであります。(拍手、「しらじらしいぞ」と呼ぶ者あり)而してこれが仮に吉田内閣の悪政の結果とすれば、或いは共産党の使嗾の結果であるとも考えられるのであります。私は、日本政府としては、朝鮮人に対しては法律によつて合法的の保護を與えておるのであります。故に諸君が若し朝鮮人に関係になるならば、どうか朝鮮人に対して、合法的に生活をせよ、然らば政府は合法的な保護を與えるのである、又日本の治安を飽くまで維持しろと、こうあなたが朝鮮人に対して勧告されるがいい。(拍手)    〔国務大臣大橋武夫君登壇拍手
  16. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 須藤君の御質問にお答えを申上げます。(「正確に言えよ」と呼ぶ者あり)神戸市警察局長古山君の言動について只今お話があつたのでありまするが、私はこれについては何ら報告を受けておりません。併しながら警察の民主化というものは新警察法の精神でありまして、警察はこの精神に副うて、国民の権利と自由を尊重いたしまするために、社会のすべての障害を除去して参るというのがその使命でございます。従いまして民主的な警察の運営をやつて行くということは、これは今日警察として当然のことであります。(「それをやらないから問題が起つておるのだよ」と呼ぶ者あり)自治警察といえども又この線に沿うてやつておるということを私は確信しております。尚、須藤君のお話の中に、政府神戸事件に関連いたしまして共産党の陰謀であるというようなふうに言論機関を動員いたして宣伝をしている(「そうだ、その通り」と呼ぶ者あり)ということを申しておつたのでありますが、政府は何らこの問題に関しましては言論機関を動員いたしたる事実はございません。(「嘘をつくか」「その通り」と呼ぶ者あり)ただ神戸事件当日、不法行為に出ました朝鮮人日本共産党という署名のありまするビラを配布いたしておつた事実があるのでございます。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)捜査当局といたしましては、このビラが真に日本共産党より出たものであるかないかは別といたしまして、その真相を十分に究明する必要がある。(拍手)かように考えて捜査を続行いたしている次第でございます。(「正直な真相を究明せよ」と呼ぶ者あり)治安上危険且つ有害なる行動に出る慮れのあると認められまする人々に対しましては、国籍の如何を問わず、これに対し必要なる措置をとるべきことは、これは当然でございまするが、特に一部の朝鮮人に対しては、かくのごとき将来の危険を予防いたしまするため適切な措置を講ずる必要がありと認めますので、政府といたしましては愼重にその方法を考究中であるということを申し添えて置きます。(「正しくやつて呉れ、再質問々々々」と呼ぶ者あり、拍手
  17. 須藤五郎

    須藤五郎君 再質問いたしたい。
  18. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 一、二分ありますから再質問の許可をいたします。須藤五郎君。    〔須藤五郎登壇拍手〕    〔「どうした共産党のビラを」「ビラがどうしたというのだ」「共産党の陰謀はどうした」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕
  19. 須藤五郎

    須藤五郎君 昨日十二月八日、私は首相に御出席を願いまして御質問申上げるつもりでおりました。なぜ十二月八日を選んだか。それは日本帝国主義にとつて実に恥ずべき十二月八日、この日を選んで、首相に私はこの壇上から世界に向つて(笑声)あなたに平和宣言をして頂きたかつたのであります。ところがお体が悪いというので昨日御出席がなかつたし、(「共産党の平和宣伝」と呼ぶ者あり)併し一日は遅れましたが、まだ遅くはないと思うのであります。今日、日本国民全体がこのアジアに覆いかぶさつたところの黒い雲におびえて非常に心配している。この際、首相はこの壇上から世界に向つて平和を発せられる勇気がないかどうか。又日本帝国主義がこれまで長い間罪科を重ねて参りました、迷惑をかけて参りましたところのこのアジア民族に対しまして、この壇上から謝罪をする勇気があるかないか。(「余計なことを言うな」と呼ぶ者あり)若しも勇気をお持ちにならないならば、私は今日尚、首相が帝国主義の悪夢をまだ貪つている証拠だと断ぜざるを得ないのであります。(「それが再質問か」「朝鮮人に関係ない」「答弁無用」「答弁できないよ「無用々々」「答弁できないよ」「答弁無用」「進行々々」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し、拍手)    〔国務大臣吉田茂君登壇拍手
  20. 吉田茂

    国務大臣(吉田茂君) かくのごとき宣言をすみ必要はないと認めますからいたしません。(「そうだ」と呼ぶ者あり、笑声、拍手)      ——————————
  21. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第二、国立学校設置法等の一部を改正する法律案衆議院提出)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。文部委員長堀越儀郎君。    〔堀越儀郎君登壇拍手
  22. 堀越儀郎

    ○堀越儀郎君 只今上程されました国立学校設置法等の一部を改正する法律案について文部委員会における審議の経過並びにその結果を御報告申上げます。  提案の理由とするところは、従来の高等商船学校はすでに商船大学に切替えられ、運輸省から文部省に移管まれたのでありまするが、右にならつて、いわゆる従前の規定による学校として運輸省所管に属しておる商船学校を文部省所管に移し、新入学生より学校教育法に基く高等学校としたいというのであります。当委員会におきましては、運輸委員会の代表者及び海員組合関係者その他の意見をも聴取いたしまする等、愼重審議の結果、運輸省の定員に関する事項、即ち第二條の一部を修正すると共に、四点の強い要望を附しまして全員一致可決いたしました。その趣旨及び要点とするところは次の通りであります。  学校教育法に基く商船高等学校といたしました場合には、その修業年限と教育内容から見て、卒業者が従来の商船学校卒業者に與えられていた甲種二等航海士及び甲種二等機関士の海技免状を得ることは困難であると認められる。従つて商船高等学校設置に伴い、政府は左の事項について万全の措置をとるべきである。  一、新制高等学校としての商船高等学校の教程のみでは不足する専門教官と海上実習を補うための技術教育の制度を確立し、商船高等学校の卒業者が引続いてその課程を修めることにより、甲種二級の海技免状を取得するに必要なる受験資格と実力とを得るように措置すること。  二、商船高等学校卒業者が右の課程を修めるため経済負担の重加されることがないように措置するごと。  三、現商船学校に在学中の生徒及び実習生がこの学制改革によつて不利な條件をもたらされることのないように措置すること。  四、現職の教員は、現商船学校の生徒が卒業するまではそのまま継続して在職できるし、将来商船高等学校となつてからも引続きその身分を保障されるよう措置すること。  尚、右の切実なる要望については、文部省関係政府委員からその趣旨に副うよう万全の努力をする旨の確約をいたしましたし、運輸省関係政府委員も又文部当局と十分な協力をする旨の答弁がありましたから、特に附言いたしまして報告といたします。(拍手
  23. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。委員長の報告は修正議決報告でございます。委員長報告通り修正議決することに賛成の諸君起立を求めます。    〔総員起立
  24. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て委員会修正通り議決せられました。      ——————————
  25. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第三、競馬法の一部を改正する法律条(衆議院提出)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。農林委員長岡田宗司君。    〔岡田宗司君登壇拍手
  26. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 只今議題となりました衆議際議員小笠原八十美君外二十八名の提出にかかりまする競馬法の一部を改正する法律案の農林委員会における審査の経過及び結果を御報告申上げます。  この改正法律案の内容は、勝馬投票券、いわゆる馬券の売得金の控除率の引下げを主眼とするものでありまして、最近国営競馬及び地方競馬を通じまして、馬券の売行が不振となり、国及び地方公共団体における財源としての意義を少くし、競馬の経営に支障を来す事態が起るに至りました。而してそのよつて来たるところは控除率が過大であるごとに基くものと考えられるのであります。即ち競馬における控除率は、売得金に対するものと、拂戻金に対するものとを合計いたしまして、平均率国営競馬にありましては三三乃至三七%、地方競馬にありましては三四乃至三六・五%でありまして、馬券を買えばその三分の一以上が控除せられることとなり、これを自転車競技が売得金に対してのみ二五%以内、小型自動車競走が同じく売得金に対してのみ二五%であるのに比べまして、著しく不釣合となつておるのであります。これが競馬の興味をそぎ、延いては競馬不振の原因をなしていると考えられるのであります。かような事情に鑑みまして、競馬法の一部を改正し、馬券の控除率を国営競馬及び地方競馬を通じまして売得金に対し一五%乃至二〇%の範囲内で農林大臣の定める率にいたし、又拂戻金に対しては一〇%に、而して合計平均大体二五%程度に引下げんとするものであります。  委員会におきましては、競馬の現状に鑑み、止むを得ざる措置であると認めまして、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第でございます。  右御報告申上げます。(拍手
  27. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  28. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  29. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第四、船員保険法等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。厚生委員会理事小杉繁安君。    〔小杉繁安君登壇拍手
  30. 小杉繁安

    ○小杉繁安君 只今議題となりました船員保険法等の一部を改正する法律案につきまして、厚生委員会における審議の経過及び結果について御報告申上げます。  本改正案の提案理由は、最近の船員保険事業の実績に徴しまして、船員保険制度の運営の適正化並びに船員保険経済の健全化を図らんとするものでありまして、標準報酬の最低額を適正額まで引上げること、低額年金を増額すること、最近の傷病給付の実情に鑑み、これに対する財政の不均衡を是正するため幾分保険料を引上げること、その他、厚生年金保険法等の関係條文の調整を行うため所要の改正をいたそうとするものであります。  次にその改正内容の要点について申上げます。先ず第一に標準報酬でありますが、船員保険における標準報酬は、従来最低二千円を第一級とし、最高二万四千円を第十九級として十九の段階になつているのでありますが、最近における船員給與の実態に即応せしめると共に、適正な保険給付と保険経済の安定に資するため、この最低二千円を当分の間三千五百円として措置しようとするものであります。第二に保険給付の改善でありますが、昭和二十二年十二月前に発生した障害年金及び遺族年金の額は、職務上の事由によるものにつきましては昭和二十三年九月から五倍にした額で増額支給したのでありますが、今回更にこれを二倍に引上げ、又職務外の事由による障害年金は現在まで財政上の理由によつてそのままにしてあつたのでありますが、今回これも職務上と同様にするため十倍にした額まで増額して支給し、最近の経済情勢に即応せしめようとするのであります。次に、船舶が滅失又は沈没した際におきまして、被保険者が行方不明となつた場合、三ヶ月後死亡推定によつて保険給付をする場合の最終標準報酬月額を、その海難のあつた日の属する月の標準報酬月額といたしておるのであります。これは従来、解釈によつて、死亡推定の原因となつた事故の発生した日の属する月の標準報酬月額として、改正法案と同様の趣旨で運用しているのでありますが、これをこの際明文化して法律関係を明瞭にいたそうとするものであります。第三に保険料率の改正でありますが、最近の経済情勢の下におきましては、医療費及び受診率の増加等によりまして傷病給付に対する費用が著しく増加いたしましたので、保険財政の均衡を保持するため、主として短期保険における保険料率を若干引上げんとするものであります。即ち全部給付を受ける者一六%、失業保険金を受けない者一四%、その他任意継続被保険者の資格に関する規定と、年金、一時金の受給者に同順位者が二人以上ある場合において、その人数によつて等分して支給する規定につきまして、厚生年金保険法等の規定と同様にいたそうとするものであります。  以上が本改正案の内容の大要でありますが、委員会におきましては愼重審議をいたし、政府当局との間に、年金の問題、医療給付の問題、失業給付の問題等々につきまして熱心な質疑応答が交わされましたが、その詳細は速記録によりまして御高覧願いたいと存じます。  かくて質疑を終了いたし、討論省略の上、採決いたしましたところ、全会一致を以ちまして原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  簡単ながら右御報告申上げます。(拍手
  31. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  32. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  33. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程第五、郵政事業特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案日程第六、食糧管理特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案日程第七、米国対日援助物資等処理特別会計法の一部を改正する法律案日程第八、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案日程第九、農業共済保険特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出衆議院送付)、以上五案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事大矢半次郎君。    〔大矢半次郎君登壇拍手
  35. 大矢半次郎

    ○大矢半次郎君 只今議題となりました郵政事業特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案ほか四件の大蔵委員会における審議の経過並びに結果について御報告申上げます。  本案は、郵政事業特別会計における給與ベースの改訂、臨時年末手当の支給等に必要な経費として、四十八億四千一百六十万八千円を要するのでありますが、その財源としましては、既定経費の節約による歳出減及び今後の増收対策による牧人増を見込みましても荷十二億八千三百八十六万八千円の歳入不足を生ずることとなりますので、その不足額を一般会計からの繰入金を以て補填いたそうとするものであります。尚この会計の財政状況が健全な状態になりましたときに、繰入金に相当する金額は、予算の定めるところによりまして一般会計に繰戻そうというのであります。  さて、本案審議に当り、委員諸君より熱心なる質疑があり、政府より懇切なる答弁がありましたが、その詳細は速記録によることを御承知願いたいと存じます。かくて質疑を終了し、討論採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  次に食糧管理特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案の委員会における審議の経過並びに結果につき御報告申上げます。  本案は、本年度において一般会計より二十六億九千二百一万一千円の繰入を計上したのでありますが、その後パリテイ指数の上昇によりまして、当初予想いたしておりました本年度産麦の收量別反当共済金額が平均二千円より二千百円に改められましたため、消費者負担分に相当する金額が一千七十五万円殖えることになりますので、繰入金の限度額を二十七億二百七十六万一千円に引上げ、本特別会計に生じます歳入不足を補填するため、一般会計から繰入を行おうとするものであります。  さて、委員会審議に当りましては、委員諸君より熱心なる質疑と政府より懇切なる説明がありましたが、その詳細は速記録によつて承知願いたいと思います。かくて質疑を終了し、討論採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  次に米国対日援助物資等処理特別会計法の一部を改正する法律案の委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  本案は連合国最高司令官の覚書に基きまして、今回民間貿易によつて輸入した物資を援助物資に振替える方式による対日援助の方法が実施されることになりますので、本特別会計においてその取扱を行うために必要な改正をなそうとするものであります。尚、従来本特別会計で取扱つておりました軍拂下物資につきまして、今回これを明確に規定しようとするものであります。  本案審議に当り、委員諸君より熱心なる質疑があり、政府より懇切なる答弁がありましたが、その詳細は速記録によることを御承知願いたいと存じます。かくて質疑を終了し、討論採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  次に食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案の委員会における審議の経過並びに結果について御報告申上げます。  徒手輸入食糧の価格調整につきましては貿易特別会計において行なつて来たのでありますが、本年度からは、米国対日援助物資の輸入分を除き、貿易特別会計及び民間貿易によつて輸入される食糧につきましては、いずれも食糧管理特別会計において買入価格と売渡価格との差額の調整をすることとなりましたので、一般会計より本会計に価格差補給金の繰入ができるよう所要の改正を行おうとするものであります。  本案審議に当り、委員諸君より熱心なる質疑があり、政府より懇切なる答弁がありましたが、その詳細は速記録によることを御承知願いたいと存じます。かくて質疑を終了し、討論採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  最後に、農業共済保険特別会計歳入不足を補てんするための一般会計から繰入金に関する法律の一部を改正する法律案の委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  本年度産の麦の異常災害による再保険金支拂が増加し、八億八千七百六十万七千円が不足する見込でありますので、この不足額を一般会計から補填することとし、本会計の昭和二十五年度一般会計からの繰入限度額九億一千五百二十万六千円を十八億二百八十一万三千円に引上げるために必要な法規の改正をいたそうとするものであります。  委員会の審議におきましては、委員諸君より熱心なる質疑があり、政府より懇切なる説明がなされたのでありますが、詳細は速記録によつて承知願いたいと思います。かくて質疑を終了し、討論採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定した次第であります。右御報告申上げます。(拍手
  36. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。先ず郵政事業特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  37. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  38. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 次に食糧管理特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案、米国対日援助物資等処理特別会計法の一部を改正する法律案食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案、以上三案全部を問題に供します。三案に賛成の諸君起立を求めます。    〔「起立者多数」〕
  39. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて三案は可決せられました。      ——————————
  40. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 次に農業共済保険特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君起立を求めます。    〔総員起立
  41. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  42. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程の順序を変更して、日程第十より第六十三までの請願、及び日程第百十六の陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。人事委員長木下源吾君。    〔木下源吾君登壇
  44. 木下源吾

    ○木下源吾君 只今議題となりました請願五十四件及び陳情一件について、人事委員会における審査の経過及び結果を御報告申上げます。  先ず請願第四百三十九号は、国家公務員給與ベース引上げ等に関するものでありまして、昭和二十三年実施の六千三百七円べースヘの給與改訂以来、著しい物価の上昇にも拘わらず、昨年十二月の七千八百七十七円ベース人事院勧告は顧みられることなく、給與は二年間に亘つて釘付けされており、ために家計の赤字増大、生活の窮乏、これに加えて最近の生活物資価格の急騰、及び地方税負担の増加が生計費に及ぼす影響は到底堪えられないから、生活維持の最小限度の條件として、給與ベースは本年八月の人事院勧告通り八千五十八円とし、勧告後の物価変動に鑑み、これを本年八月に遡つて実施し、勤務地手当最高三割の維持、扶養手当の増額、下級職員の給與引上率の増加の外、毎年年末手当手取り一ヶ月分支給の法制化、別に本年度の越年資金手取り一ヶ月分支給実現せられたいとの趣旨でありまして、その願意の大体は妥当と認められます。  第二に、請願第三百二十四号は、復興金融金庫等、政府関係四機関職員給與ベース改訂に関するものでありまして、今回のベース改訂に際してはその職務の特殊性を考慮し、従来通り特別手当を加算の上、速かに実現されたいとの趣意であり、その願意の大体は妥当と認められます。  第三に、請願第二十六号外四十五件及び陳情第十九号は、公務員の勤務地手当に関するものでありまして、北海道、東北、東海、北陸、近畿、中国及び九州に亘り、それぞれ特定の市町村における物価の実情その他特殊の事情から、現行の支給割合を引上げ、維持し、又は新たに支給地域に指定されたいとの趣旨でありますが、本件は、これに関する單行法の立案に至るまで愼重な考慮を以て科学的に再検討することを妥当とする意味において、願意を採択すべきものと認めます。  第四には、請願第百九十二号外二件は、公務員寒冷地手当に関するものでありまして、それぞれ本年度の支給額を最低限度とするこの手当の恒久法制化、来年度の予算化、石炭手当相当の薪炭手当支給を要望しており、願意は妥当と認められます。  最後に請願第三百十三号は林野庁の常勤的労務職員の待遇改善請願第七十号及び第二百十四号は、裁判所書記官、少年調査官等の待遇改善に関するもので、職務の特殊性に鑑み、前者はその待遇及び年末手当について一般公務員並みに扱われたい、後者は特別俸給表の適用を受けたいとの趣旨でありまして、願意は極めて妥当と認められます。  本委員会は、以上の請願五十四件及び陳情一件について愼重審査の結果、いずれもその願意は概ね妥当であり、政府をして十分研究の上、所要の措置をとらしめる必要があるものと認めまして、これを議院の会議に付し、採択の上、内閣に送付することを要するものと決定いたしました。  尚これらの外にも寒冷地手当に関する請願一件が本委員会に付託されており、相当研究考慮を要するために一応採択を見合せましたが、この外、給與ベース、年末手当、薪炭手当、勤務地手当、地方公務員法案及び国鉄裁定に関して、非公式の文書による陳情が計五百三十八件に上り、熱心に提出されておる実情であることをこの際特に申し添えて御報告申上げる次第であります。
  45. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情委員長報告通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君起立を求めます。    〔総員起立
  46. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を付て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      ——————————
  47. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程第六十四より第六十七までの請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。法務委員長北村一男君。    〔北村一男君登壇拍手
  49. 北村一男

    ○北村一男君 法務委員会は、請願第百六十二号、郡山市に仙台高等裁判所支部設置請願、第百六十七号、北海道新冠村に法務局出張所設置請願、第二百四号、新潟県燕町に登記所設置に関する請願、第三百号、宮崎県福島町に簡易裁判所及び検察庁設置請願、以上四件につきまして、実情を調査し、政府並びに裁判所の所見を聞き、審議の結果、これを採択し、院議に附して内閣に送付すべきものと決定いたした次第でございます。  以上御報告申上げます。(拍手
  50. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願委員長報告通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君起立を求めます。    〔総員起立
  51. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      ——————————
  52. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程の順序を変更して、日程第六十八より第八十六までの請願及び日程第百十七の陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。文部委員長堀越儀郎君。    〔堀越儀郎君登壇拍手
  54. 堀越儀郎

    ○堀越儀郎君 只今上程されました文部委員会付託の請願及び陳情に関しまして、委員会における審議の経過並びにその結果を御報告申上げます。  請願第十四号、第四十三号、第五十五号、第七十七号、第二百七号、第二百四十五号、第四百三十四号、第四百三十六号の八件及び陳情第五十六号は、いずれも義務教育に関する施設その他について国庫の補助を要望する趣旨のものであります。  請願第百十一号、第百十九号、第百七十一号、第三百二十六号、第四百四十六号の五件は、いずれも教育職員の福祉増進に関する趣旨のものであります。  請願第百七十四号及び第二百二十二号の二件は、東京水産大学校舎の施設対策に関するものでありまして、現在非常に難局に立つておりますることであり、日本の水産界にとつても、文部当局は十分に考慮を拂つて緊急に善処すべきものであると思われるのであります。  請願第百九十七号は、奈良女子大学に教育学部の設置を要望したものであります。請願第三百三十六号は、公民館運動促進のため、他の建築物として用途の変更をするごとの抑制を要望したものであります。請願第三百五十二号は、夜間に授業を行う高等学校について、その教育効果の高揚を図るため、学校教育法及び私立学校法にそれぞれ所要の改正を施すことを要望したものであります。請願第二百十号は、福島県立郡山盲ろう学校郡山分校の移管に関する要望であります。尚、請願第二号は、東京都の都心に近代美術館及び常設展覧会場を建設して、国内美術芸術心の向上に資せんとする趣旨のものであります。  文部委員会におきましては、以上の請願二十件、陳情一件に関しまして愼重審議の結果、いずれもその趣旨を妥当と認め、これを採択の上、内閣に送付すべきものと決定いたしました。  右御報告申上げます。(拍手
  55. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情委員長報告通り採択し、内閣に送付するごとに賛成の諸君起立を求めます。    〔総員起立
  56. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      ——————————
  57. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程の順序を変更して、日程第八十七より第百四までの請願及び日程第百十八より第百二十までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。厚生委員会理事有馬英二君。    〔有馬英二君登壇
  59. 有馬英二

    ○有馬英二君 只今上程せられました請願及び陳情に関する厚生委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  これらの請願陳情を、社会福祉、社会保険、医療及び公衆衛生並びに国立公園関係の四つに大別いたしますと、社会福祉に関するものは五件でありまして、未亡人、寡婦に年金支給戰争犠牲者遺族生活保護、きつ音矯正所の設立、兒童福祉私営施設国庫補助及び兒童福祉行政予算国庫補助に組替等の趣旨のものであります。社会保険に関するものは三件でありまして、国民健康保険診療費の国庫補助及び厚生年金保険基金還元融資等の趣旨のものであります。医療及び公衆衛生に関するものは十件でありまして、看護婦養成所に対する国庫補助、看護婦既得権者の国家試験免除、理容師法の一部改正、医薬分業問題及び特殊喫茶店街設置反対等の趣旨のものであります。国立公園に関するものは二件でありまして、日南海岸及び鹿兒島県揖宿地区国立公園指定趣旨のものであります。  委員会におきましては、保険経済に関する小委員会、結核予防に関する小委員会、及び看護婦、助産婦、保健婦の制度並びに待遇改善に関する小委員会に、それぞれ関連いたしますものを付託いたしまして、愼重に審議の結果、本委員会といたしましては、日程第八十七号より第百四号までの請願十八件及び日程第百十八号より第百二十号までの陳情三件は、いずれも院議に付して内閣に送付すべきものと決定いたしました。  以上御報告申上げます。
  60. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情委員長報告通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君起立を求めます。    〔総員起立
  61. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      ——————————
  62. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程第百五より第百十までの請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員会の報告を求めます。通商産業委員会理事廣瀬與兵衞君。    〔廣瀬與兵衞君登壇拍手
  64. 廣瀬與兵衞

    ○廣瀬與兵衞君 只今議題となりました請願について、通商産業委員会における審議の結果を御報告申上げます。  請願第十三号、資源調査国庫負担金交付請願、同じく第三十四号、中小企業緊急金融対策等に関する請願、同じく第四十四号、中小企業者に対する金融対策請願、同じく第九十号、ジエーン台風による関西罹災中小工業復旧に関する請願、同じく第三百五号、喫煙用具輸出保護育成に関する請願、同じく第三百四十五号、琉球民間貿易促進に関する請願でありますが、本委員会においては審議の結果、以上の請願六件はいずれもその願意を概ね妥当と認め、これらを採択し、議院の会議に付し、且つ内閣に送付を要するものと決定いたしました次第であります。  以上簡單に御報告申上げます。(拍手
  65. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願委員長報告通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君起立を求めます。    〔総員起立
  66. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      ——————————
  67. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程第百十一及び百十二の請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。労働委員長赤松常子君。    〔赤松常子君登壇拍手
  69. 赤松常子

    ○赤松常子君 只今議題となりました請願文書表第百十八号、広島県公共職業安定所西條出張所を安定所昇格等請願外一件につきまして、委員会におきまする審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  請願文書表第百十八号、広島県公共職業安定所西條出張所を安定所昇格等請願は、西條出張所の管轄区域を拡張し、出張所を安定所に昇格されたいと要請するものであります。次に、請願文書表第百九十三号、九州各市失業対策事業賃金標準甲地区変更等請願は、九州各地の失業対策事業の賃金標準を引上げ、事業費補助の対象範囲を拡大されたいと要請するものであります。右請願二件はいずれも願意妥当なるものと認めまして、これを採択し、院議に付し内閣に送付すべきものと決定いたしました。  以上報告申上げます。(拍手
  70. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願委員長報告通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君起立を求めます。    〔総員起立
  71. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      ——————————
  72. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程第百十三より百十五までの請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。電力問題に関する特別委員長石坂豊一君。    〔石坂豊一君登壇拍手
  74. 石坂豊一

    ○石坂豊一君 只今議題となりました請願第四十一号、第五十三号及び第二百九号について、電力問題に関する特別委員会における審査の経過並びに結果を御報告申上げます。  請願第四十一号農業用電力料金引下げに関する請願は、農業の機械化がだんだん普及し始めた現状としましては、電力料金の改正は農業経営に打撃を與えるから、農業用電力料金の引下げを実施されたいとの趣旨であります。請願第五十三号、江川水系電源開発に関する請願は、中国地方電力事情の不安定なる状況に鑑みまして、江川水系明塚水力発電所の建設工事を速かに施行されたいとの趣旨であります。又請願第二百九号日和田—平間に十五万ボルト送電線建設促進に関する請願は、日和田—平間送電容量不足のため常盤地方の各種工業経営に支障を與えているから、速かに十五万ボルト送電線を建設せられたいとの趣旨であります。  本委員会といたしましては、審査の結果、これらの願意は妥当と認めましてこれを採択して、議院の会議に付し、内閣に送付すべきものと決定いたした次第であります。  簡単ながら御報告申上げます。(拍手
  75. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願委員長報告通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君起立を求めます。    〔総員起立
  76. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。  これにて議事日程は全部議了いたしましたが、委員会の審査の結果を待つため午後一時まで休憩いたします。    午前十一時四十八分休憩      ——————————    午後二時三十四分開議
  77. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。  参事に報告いたさせます。    〔海保参事朗読〕 本日委員長から左の報告書を提出した。  中小企業信用保険法案可決報告書  所得税法臨時特例法案可決報告書  物品税法の一部を改正する法律案可決報告書  中小企業信用保険特別会計法案可決報告書      ——————————
  78. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、中小企業信用保険法案(内閣提出衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと刻めます。先ず委員長の報告を求めます。通商産業委員長深川榮左エ門君。    〔深川榮左エ門君登壇拍手
  80. 深川榮左エ門

    ○深川榮左エ門君 只今議題となりました中小企業信用保険法案について、通商産業委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  御承知通り中小企業の振興は我が国経済の自立と安定にとりまして誠に重大な問題でありまするが、特にその金詰りは一般に極めて深刻でありまして、これが打開は頗る緊急を要する次第であります。つきましては、その対策の一つとしまして、即ち中小企業者の金融を円滑にすること、特に長期資金を確保することを目的といたしまして、ここに本法律案の提出を得ました。  そこで本法案の構成を要約して申上げますると、即ち金融機関が中小企業者に融通した貸付金に対して特に政府が信用保険を行う制度であります。つまり貸倒れの危険を政府が保証することによつて業者の担保力を補強し、以て長期の事業資金をより多く穫得せんとする仕組でございます。保険による独立採算制を採りました点においては、先般第七国会で制定されました輸出信用保険法と類似した制度でございます。  さて本法案は十二條よりできておりまするが、今その要点を簡単に申上げますると先ず第一に、本制度の適用を受けます中小企業者は資本金五百万円又は従業員二百名以下の会社、個人及び各種の協同組合であります。第二に、保険される貸付金の限度は、一中小企業者にとり合計三百万円、中小企業等協同組合は一千万円となつております。又貸付期間は六ヶ月以上であり、設備資金でも運転資金でも運転資金でもいいことになつております。第三に、政府と各金融機関の保険契約は、一定の限度による包括契約であります。同時に各個の保険金の支拂額は回收未済額の七五形でありまして、残り二五%は金融機関が負担することになつておりますので、特にその自立性と健全な判断とが期待される次第でございます。第四に、保険料率は保険金額の年三%以内の率を政令で定めることになつています。第五に、政府の業務の一部を商工中央金庫に委託できることになつています。尚、本業務はもとより通産大臣が管掌することになつていますが、金融機関との包括保険契約の締結には、あらかじめ大蔵大臣と協議することになつております。  以上が本法案の要点でございますが、政府は本法案の施行に関して特に中小企業信用保険特別会計法案を提出しています。即ちその基金として二十五年度補正予算におきまして五億円の支出を計上し、二十六年度一般予算におきまして十億円の支出をそれぞれ計上するとのことであります。よつて右の基金に応じまして、本年度において最高三十六億円の貸出を予定し、明年度におきまして百四十四億円の貸出をそれぞれ予定しています。  本委員会におきましては愼重審議し、各委員より熱心な質疑があり、運営につきましても資金源の獲得などにつき種々要望がありましたが、詳細は速記録を御覧の程を願います。かくて質疑を終了し、討論採決をいたしましたが、全会一致を以て可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申上げます。(拍手
  81. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  82. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  83. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、所得税法臨時特例法案、物品税法の一部を改正する法律案、中小企業信用保険特別会計法案、(いずれも内閣提出衆議院送付)、以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
  84. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事大矢半次郎君。    〔大矢半次郎君登壇拍手
  85. 大矢半次郎

    ○大矢半次郎君 只今上程せられました所得税法臨時特例法案につきまして、大蔵委員会における審議の経過並びに結果について御報告いたします。  先ず本案の内容について申上げます。本案は現行所得税法に対して二つの特例を設けようとするものであります。  特例の一つは源泉徴收税額に関するものであります。政府においては国民租税負担の現状に鑑み、昭和二十六年から所得税の負担の一層の軽減合理化を図るよう目下検討中でありますが、差当り昭和二十六年一月一日から同年三月三十一日までの間に支拂われる給與に対する所得税の源泉徴収額につき暫定的に軽減を行う特例を設けようというのであります。即ち取敢えず基礎控除を年三万円、扶養親族及び不具者控除を年一方五千円、税率を課税所得金額五万円以下に対する百分の二十から始まり、百万円を超える金額に対する百分の五十五に至る超過累進税率として計算した場合の税額程度まで、その負担の軽減を図ろうというのであります。  特例のいま一つは、確定申告書の提出期間及び納期に関するものであります。申告所得税につきましては、課税年度終了後から申告期限までに相当の余裕を置いて、納税者の十分な協力によつて自主的な申告納税を期すると共に、税務官署が納税者の所得の実態を的確に調査し、公平且つ適正に課税し得るようにすることが適当と考えられますので、昭和二十五年の農業所得以外の所得につき、確定申告書の提出期間及び納期を一ヶ月延期しようというのであります。  本案につきましては、公聴会を開きまして愼重に審議し、委員諸君から熱心な質疑があり、これに対し政府から懇切な説明がありましたが、その経過の詳細は速記録によつて承知願いたいと思います。  質疑を終了し、討論に入りましたところ、木村委員から、政府の意図する税制改革が税法上の減税であつて、実質的には国民負担は軽減されない点、法人税が不当に軽減せられている点などを挙げて反対の意見、油井委員、大矢委員及び小林委員から、今後機会あるごとに国民負担の軽減を図ると共に、徴税方法に十分な配慮をせられたいとの希望を付して賛成の意見、又森下委員から、政府の意図する税制改革に賛成する意味でなく、單なる一月から三月までの臨時措置として賛成の意見が述べられ、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  右御報告いたします。  次に物品税法の一部を改正する法律案につきまして、大蔵委員会における審議の経過並びに結果について御報告いたします。  先ず本案の内容について申上げます。物品税につきましては、本年一月事務用品及び日常生活用品につき相当大幅に課税の廃止を行うと共に、税率の引下げが行われたのでありますが、その後における課税物品の生産、取引の実情及び一般日常生活の正常化等を考慮いたしまして、明年一月一日から、現在の課税物品中事務用品及び日常生活用品と認められるものについて課税を廃止すると共に、税率を第一種物品については現行百分の七十乃至百分の十を百分の五十乃至百分の五とし、第二種物品については概ね現行の三分の一程度に軽減しようというのであります。面この機会に課税最低限の大幅な引上げ及び新設を行う外、物品税延納の際の担保の範囲を拡張する等、所要の改正を行おうというのであります。  本案につきましては、愼重に審議し、委員諸君から熱心な質疑があり、これに対し政府から懇切な説明がありましたが、その経過の詳細は速記録によつて承知願いたいと思います。  質疑を終了し、討論に入りましたところ、油井委員から、税率、免税点等について更に研究せられたいとの希望を付して賛成の意見、木村委員から、贅沢品、奢侈品以外は免税とすべきであるとの反対の意見、杉山委員から、輸出品、大衆実用品の免税について更に研究せられたいとの希望を付して賛成の意見、又森下委員から、課税物品を更に整理して国民負担を一層軽減せられたいとの希望を付して賛成の意見が述べられ、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  右御報告いたします。  最後に中小企業信用保険特別会計法案の当委員会における審議の経過並びに結果について御報告申上げます。  本案は、只今議決せられました中小企業信用保険法によつて中小企業信用保険制度が実施せられました場合、新たに中小企業信用保険特別会計を設けまして一般会計と区分し、その経理状況を明確にしようとするものであります。本会計は通商産業大臣が管理し、その歳入は、保険料、中小企業信用保険法の規定により政府が代位した貸付金債権の回収金、一般会計からの繰入金及び附属雑收入とし、保険金、保険料の還付金、事務取扱費その他の諸費を以てその歳出となす等、特別会計に必要な請規定の整備をなそうとするものであります。尚、本特別会計の基金としましては、本年度一般会計より五億円繰入れることとなつております。  委員会の審議に当りましては、委員諸君より熱心なる質疑と政府より懇切なる説明がなされたのでありますが、詳細は速記録によつて承知願います。かくて質疑を終了し、討論に入り、木村禧八郎委員、森下委員よりそれぞれ賛成意見が述べられ、採決の結果、全会一致を以つて原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  右御報告申上げます。(拍手
  86. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 所得税法臨時特例法案に対し討論の通告がございます。順次発言を許します。木村禧八郎君。    〔木村禧八郎君登壇拍手
  87. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 只今上程されました所得税法の改正案に対して遺憾ながら反対をするものであります。  反対理由の第一は、この臨時措置を我々ここで容認しますと、二十六年度、来年度におきまして我々が税制改革を考える場合に拘束されぬという点であります。これにつきましては、社会党の森下委員その他の委員から、これは臨時措置である、であるから来年一—三月であるから、その後において又政府はこれを考慮する余地があるのではないか、その場合に考慮されることを期待して賛成されたようでありますが、私はそれを虞れましたので、念のために主税局長にその点を確かめたのであります。ところが主税局長は、来年一—三月においてこれは臨時的にやるのでありますが、二十六年度においては、これが成立すればそのまま二十六年度に適用されるのである、こういう構想で、いわゆる十五ヶ月予算として考えておる、その裏付けとしての税制として考えておる、こういう御意見があつたのです。又来年三月以後において税制改革をやるけれども、砂糖消費税の一部について考えるだけである、こういう政府の意見です。言うまでもなく、この補正予算及びそれの裏付けになつた税制は、十五ヶ月予算として司令部との間に折衝が交わされて決められておるのでありまして、若し我々がここで、この補正予算の裏付けとなつているこの税制を認めますと、形式的には成るほど臨時措置でありますから、来年三月以後において我々は我々の考える税制について検討できるわけでありますけれども、実質的には十五ヶ月予算として総司令部に折衝して了解を得ているわけです。実際の問題になりますと、いつでも我々は非常に困難に逢着するのでありまして、そういう含みを以て決められているこういう税制を我々にここで容認してしまうことは、形式的には自由であるように見えますけれども、実質的には我々は拘束される。こういう意味において、私たちは後に述べますように、シヤウプ税制改革を実施した以後においていろいろ税制問題について改革しなければならぬ点があるのでありますから、我々は税制をもつと合理的に改革する自由をここで保留する意味においても、この十五ヶ月予算の裏付けの一環としてのこの税制改革に私は遺憾ながら反対せざるを得ない。若しここで賛成することになりますと、後で実質的に非常に拘束が生じて来る、矛盾をすることになる。今度の税制改革を承認して、来年度においてそれを反対するということは非常に困難になつて来る。実際的においてそうなる。これが私の反対理由の第一であります。  第二の反対の論拠は、すでに明らかなように、画期的なシヤウプ税制改革が行われましたが、これについては、又この行なつた後の結果については、いろいろ非難あるわけです。殊に我我の一番反対して来た点は、シャウプ税制改革が昭和二十三年度のインフレ期におけるあの当時の階層別国民所得を基にしまして、それに大体六〇%をかけまして二十五年度の予算を推定して、それを基礎にして税制改革をやつたのであります。従いまして税制改革の基礎になつている階層別国民所得というものが非常にはつきりしていないのであります。大蔵省から私が頂戴した資料に昭和二十三年度及び二十四年度の階層別国民所得というものの推定が出て参りまして、それをシャウプさんが推定しました階層別国民所得と比較して見ますと非常に違う。シヤウプさんは五万円以下の所得が非常に日本では多いということを言つておりますが、実際に調べたところによればそうではない。シャウプさんが言つているように五万円以下がそんなに多くはない。シヤウプさんは五万円以下のほうをうんと減税すると財政收入が少くなるから、そのほうは減税できないのだという意見です。ところが五万円以下の收入はシャウプさんが言つているようにそんなに多くない。又五十万、百万以上の高額所得については、シヤウプさんは著しく少いと言つておりますが、実際の調査ではシヤウプさんが言つておるように小いものではない。このように実情と違つた階層別国民所得に基いて税制改革を行いましたが、その結果として非常に不合理な税の徴收になりまして、御承知のように政府はやり直ししているわけであります。間違つたために政府は今度は昭和二十四年度の階層別国民所得を基礎にして課税をやり直しまして、そうして今度の補正にも現われておりますように、いわゆる申告納税をうんと減らしておる。そうして、その勤労所得のほうを自然増收として殖やして行き、税法上の減税として辻褄を合せている。このようにシヤウプ税制改革を実施した結果として実情にそぐわない点がある。こういう点について我々はまだ改正しなければならなぬ点があると思うのです。従いまして我々の党としては、実際の階層別国民所得に従つて税負担を公正にするために、税率につきましては五万円以下一〇%、五万円乃至十万円一五%、十万円乃至十五万円二〇%、十五万円乃至二十万円は二五%、二十万乃至三十万円は三〇%、このような税率にして、もつと下のほうに厚く、下のほうは有利にすべきである一そうして今度の改革にありますように、百万円以上五五%とすることには反対でありまして、やはり現状通り五十万円以上五五%で沢山であります。それは階層別国民所得を見ればそれで沢山であることは分ると思うのです。更に政府は、吉田首相も池田大蔵大臣も、税金が多い、今度減税してもまだ税金が重いから更に減税をしなければならないと言つておりまが、税金の重い原因を政府に聞きましたところ、これは結局一番大きな重圧になつておるのは基礎控除の問題です。基礎控除が諸外国に比べて最低生活を保証するに足りない。これがどうしても税金が重いという感じを起させる一番大きな原因でありまして、これまでインフレ期において物価がどんどん上るに拘わらず、それに比例して基礎控除も上げて行かなかつたために、累積的に基礎控除が物価騰貴に握れましてそのために税金が生活費に食い込む、こういうことになる。従つてこの基礎控除は、今の事情から言つて政府は三万円に引上げましたが、それでは実情にそぐわない。我々地方に行きまして、特に東北地方でありましたが、税の調査に行つたときに、税務署の人たちさえ今やはり勤労者の最低基礎控除として五万円、五万円の基礎控除をしなければ無理である、こう言つておるのであります。我々は従つて現在としては基礎控除を二万五千円から三万円に引上げたのでは少い。少くとも五万円に引上げなくちやいけない。又勤労控除につきましても、この前に従来の二割五分から一割五分に減らされましたが、これを我々は復活を望むわけであります。こういう点におきまして、我々はシヤウプ税制改革を実施したあとの結果を見て これは是正しなければならない。然るにこの補正を、この税制改革をここで我々容認してしまいますと、我々はその自由を拘束される。こういう意味においても反対しなければならないと思うのです。更に又、このシヤウプ税制改革は、言うまでもなく中央、地方を通じての税制改革でありましたが、地方税についても中央の税制改革の一環としてこれはもう一度改正しなければならないことは明らかであります。今度の予算におきましても、今度の国会においても重大なる問題になりました地方財政平衡交付金の八十八億の問題も、帰するところはシヤウプさんの地方税制改革というものに遺憾の点がある。特に府県において税收入が著しく減つてしまつた。そういうところに基礎があるのでありますから、そういう意味でも中央と併せて地方の税制も改革しなければならないのでありますが、そういう点、我々拘束されることになると思うのであります。これが反対の理由の第二であります。  それから第三の反対理由は、これは政府がしばしば言つておるのでありますが、税法上の減税であるということでありまして、実質上の減税にならない。例えば現在四千円の、これは独身者でありますが、月收四千円の人がある。現在の税金は月に二百六十三円でありまして、税の負担率は七%です。百円について七円であります。ところが今度ベースが一千円上る、仮に一千円上るとしまして、ベースが上るのは、物価が騰貴し、生活費がそれだけ高まるから千円ベースが上ると思うのです。従いまして千円上りましても、物価が騰貴すれば、五千円になつてもその購買内容というものは同じであろうと思うのです。五千円になつた場合の税金を今度の税制改革によつて見ますと三百五十三円でありまして、この税負担率は七・六%、百円について七円六十銭、むしろ金が余計になる、こういうような形になつております。従いまとて、政府は減税々々と言つておりますけれども、実際我々が見ると減税になつていない。税法上の減税であつて、そうして税法上の減税はこれは数字の魔術でありまして、数字をいじくれば幾らでもこれは減税できます。自然増收というものは人為的に見積りさえすれば幾らでもできるのであります。国民の望んでいるのは、こういうような税制上の減税ではなく、家計費がどれだけ軽くなるかという意味においての減税であろうと思うのです。そういう意味においては決して今度の臨時措置によつては家計費のうちにおける税負担は軽くない。見せかけの減税である。これは予算審議の過程においても大蔵大臣にお伺いしたのですが、最初は政府はドツジさんの来る前においては、百億円のインベントリー・フアイナンスが必要でなかつたのでありますが、従つて百億円のインベントリー・フアイナンスがない前は七十億の実質的な減税をする筈であつたと思うのです。ところがドツジさんが来まして百億円のインベントリー・フアイナンスを出すことになりましたので、これを税法上の減税に振替えて、そうして所得の見積りを自然増収という形で大きくして、恰かも減税されたごとくにつくろつておるのでありまして、こういうような税制改革は、これは無智な国民を、無智な人を誤まるものである。こういうように我々は思うのでありまして、こういう税制改革につきましては我々は賛成することができないのであります。第四、最後の反対の論拠は法人税についてでありますが、今度の政府の減税案におきまして法人税の見積りが著しく少いと思うのです。法人税について自然増收というものは成るほどやつておりますけれども、この法人税の自然増收の基礎、これを政府に聞きましても、専門家の大矢さんが聞いても、主税局長はこの通り正しいということを答えることができなかつたのです。併しそれは余り我々が考える上りは、多少これはもう少し増收ができるかも知れないという程度の答弁でありましたが、併しこの法人税の増收、自然増收の基礎を考えて見ますと、前年同期の計数をかけているのでありまして、朝鮮動乱後における法人の著しい増收、こういうものは反映ていないと思う。従いましてこの法人税の自然増收の見積り方においても我々は不合理がある。これを適正に課税できますならば、今問題になつております半ヶ月の年末手当、非常に中途半端な年末手当を一ヶ月にしたり、或いは又号俸調整削減による不合理を直すことができたり、今勤労大衆が非常に不満に思つておるそういう点について調整ができるのでありますが、政府はこれについてそういうふうな法人税の自然増收について合理的な見積りをしていないと思うのです。更に法人税について最も根本的な問題点は、前のシヤウプ税制改革におきまして、従来のドイツ的な税制を英米流の税制に変えた結果として、この法人税は著しく低減されまして、現在では三割五分の普通税しかかかつておらない。幾ら儲けても三割五分、累進課税になつておちないのです。そのために法人は非常に時局的に沢山儲かつでおりますが、儲かつていながらむしろ税金が安くなつておる所もある。銀行なんかは特にそうであります。こういう不合理が非常にある。特にこれはすでにしばしば指摘されるのでありますが、この前の税制改革において、これは地方税の問題でありましたが、附加価値税をかけますと法人の税金が多くなるから、住民税において法人の所得割をやめるということであつたのであります。ところが附加価値税はやらなくなつて、事業税というものは存続することになりまして、法人の税負担は著しく安くなつてしまつて、個人の税負担のほうが多くなる、事業税において……。それにも拘わらず住民税において法人の所得割はなくなりました。東京都の大きな所も、百万円も住民税を納めていた法人が、たつた二千四百円納められばいい、こういう不合理が起つて、そしてわが個人の住民税のほうに寄つて来ている。今度の地方税の改正の主要点は応益原則であります。公共団体から多く利益を受ける人が税金を多く納める、こういう原則であります。大きな法人は個人よりも地方公共団体から沢山の恩恵を受けているにも拘わらず、法人のほうの税は著しく減つておる。地方税で減り、而も所得税において三割五分の普通税になつておる。超過累進しないことになつておる。このように個人と法人との税負担において著しく不均衡が生じておる。これはどうしても直さなければならないと思うのであります。  以上申述べました点が我々の反対論拠でありますが、一番最初に主張いたしましたように、こういう内容においてまだまだ改正しなければならぬ点が沢山あります。併しそれはもう間に合いませんから、二十六年度において我我はこれを合理的に、徹底的に改正しなければならないと考えておるのでありますけれども、若しこの臨時措置を我々ここで認めてしまいますと、これは臨時的措置と言いますけれども、先ほども申上げましたように、大蔵当局の言明を聞きましても、実質的にはそうでないというのでありますから、大蔵当局の言明を信頼しまして、我々は反対せざるを得ないのであります。今度の補正予算におきましても、野党懇談会においてその修正に苦心しておりますけれども、一番困難を感じた点は、結局十五ヶ月予算であつたわけであります。成る財源を我々見付けると、これは二十六年度に使うのだ、十五ヶ月予算に縛られて修正できない、非常な困難に逢着してしまう。こういう意味で、我々はこの補正予算なりそれを裏付けている税制改革は單に臨時的措置ではない。單に一—三月の補正予算ではないのであります。来年度に繋がるところの、密接に繋がつているそういう予算なんでありまして、こういう意味で我々は拘束されたくない。反対するゆえんでございます。(拍手
  88. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 森下政一君。    〔森下政一君登壇拍手
  89. 森下政一

    ○森下政一君 日本社会党は、所得税の臨時特例に関する法律案に対して賛成するものであります。  ただ併しながら、ここで極めて明確にして置きたいと思いますことは、社会党の賛成いたしますのは、所得税、特に今回提案されております内容が明確に示しておりますように、源泉徴收に対する所得税、これに対して来たるべき一月から三月の三ヶ月間に設けたいという特例、これに賛成するものであるということをはつきりここで明確にして置きたいと思うのであります。もとより私ども立場におきましても、所得税につきましては、單に源泉徴收に対する面のみならず、所得税全般についてこれを眺めて見まして、大いに改革しなければならぬところの余地が多分にあるということは、これをつねづね主張いたしておるのでありまして、前回の税制改正におきましても、これらの点につきましては大蔵当局と極めて厳しい論争を戰わせて参つたわけなんであります。而も只今木村委員から反対の論拠といたしまして、極めて重点的にここで力説になりましたことは、若し我々がこの一—三月の給與所得に対する源泉徴收分に対する特例に賛成するならば、将来行われるであろうところの、行われることを期待しておるところの税制改正に際して、我々の態度が拘束されることを心配するという意味で反対意見を縷々開陳されたのでありまするが、私はこの点ではやや見解を異にするものでありまして、委員会におきましても、この一—三月の源泉徴收に対する特例に賛成するということは、決して将来の税制改正における社会党の立場が拘束されるものではない。言い換えますならば、極端に申しますならば、若し将来政府の企図するところの税制改正において、たまたま所得税、而もその源泉徴收については、今日のこの特例と同じものが提案されたといたしましても、税制改正として全般的な一部分としてこれが盛られて参りましたときに、これに賛成するということを断じて約束するものではない。ただ現在の経済事情と、現在の勤労大衆の生活の実態を眺めて見まして、現行法よりはやや優ると思うところの特例を設けて、一—三月にこの特例による取扱をしようという政府の意図に対しては賛成をする。單なる特例に対する賛成に過ぎないということをここに明確にいたして置きたいと思うのであります。もとより木村委員を待つまでもなく、所得税に対するところの不満は少くないのであります。殊に現政府が今日減税を常に口にして参つておるのでありますが、衆議院の絶対多数を誇るところの與党をかち得ておりますゆえんのものは、昨年の総選挙において数々の公約を掲げて、これを国民大衆に訴えたその中の一つが即ち減税なのであります。自由党内閣を支持するならば、大幅な減税が断行され、国民の負担は忽ちにして軽減されて、その家計は潤いを増して生活が楽になる、こういう印象を與えましたことが選挙に大勝を博した大きな原因の一つであるということは、何人も異論がないと思うのであります。ところが今日のこの特例、政府の提案しております特例にいたしましても、先刻木村委員が指摘されました通りに、近頃政府が提唱いたしまして、はやりの言葉になつておるかと思われる、いわゆる単なる税法上の減税でございまして、実質的な負担軽減にはならないという不満を我々は持つておるのであります。即ち前国会に提案いたしました税制改革の場合におきましては、源泉徴収の所得に対しましても、例えば課税所得五万円以下、これに対する課税を二〇%とし、これから出発いたしまして、次の段階は八万円、更に十万円、十二万円、十五万円というがごとく、二十万円以下の所得について考えて見ますると、僅かに課税所得の幅が二万円乃至三万円ごとに段階が設けられておりまして、その段階ごとに五%ずつぐらい税金を余計にとるということに前回の税制改正では政府が提案いたした。これが即ち現に行われておる現行法によるところの徴税の仕方なのであります。一体こういうふうな最も国民の中で人数の多い二十万円以下の課税所得の階層、この人々から税金を取るのに、僅かに二万円或いは三万円くらいで一つの段階を区切つて、その段階ごとに税率を五分ずつ殖やして徴収しながら、二十万円を超えると直ちに五十万円までは何らの段階を設けていない。而もこれまでは八五%くらいまで取れましたところの税率を五五%で抑えて、五十万円を超過した者から五五%を取るというふうな措置を講じた。即ち国民最大多数を占めておりますところのいわゆる勤労大衆に対しては極めて段階を細かく刻んで、そうしてなるべくその各階層から多くの税収を上げるという仕組になつておるのに拘わらず、比較的収入の多い、所得の多い経済力の豊富な人々は極めてこれを優遇するかのごとき措置を講ずるということは、誠に言語道断であるということを指摘いたしまして、厳しくこれと論争いたした次第でありましたが、今回、一—三月に実施したいと政府の企図いたしておりますところの特例によりますると、五万円以下二〇%に出発いたしまして、課税所得の刻み方を既往のごとき二万円或いは三万円というふうな小さな刻み方を反省いたしまして、これを捨てて、五万円、十万円、十五万円というがごとく、少くとも五万円の幅を持つた段階を設けて、そうして、税率を五分ずつ引上げて行こう、こういうふうな措置を講じておるのでありまして現行法に比較して見ると確かにこれは一つの進歩であるということが考えらるるわけなのであります。ところが、これによつて政府国民に宣伝されるほどの真の負担の軽減が行われるのであるかということに飜つて思いをいたしまするならば、これは単なる税法上の減税に過ぎないのである。負担の軽減には断じてならぬと私どもは考える。現に朝鮮事変以来のこの一般市場における日常物価の上昇傾向というものは、これはあまねく国民承知いたしておるところであり、或いは来年になりますれば米の消費価格も高くなるのであろうということが考えられておる。こういうふうに家計がだんだん重圧を蒙むる際に、政府は減税をして負担を軽減したと申しましても、この減税によつて、この臨時特例の取扱によつて余力が生じたといたしましても、その生じた余力は一向家計を潤おすものではない。直ちにこれが物価高ということに吸収されて、今日と家計の状態は何ら異ならないということに相成るであろうということが予想されるのであります。国民政府から呼びかけられて、政府は大いに減税をすると、こう申しましたときに、国民期待したものは、減税の結果負担が軽減されて直ちにそれが家計に潤いをもたらす、家計に潤いをもたらすということは、お互いの生活水準がこれによつて向上して行く、生活が楽になるということを考え、且つ期待しておつたのでありまするけれども、遺憾ながら今回の臨時措置を以ていたしましても、現行法よりは一歩進んでおると思われる臨時措置を以ていたしまして、も、尚且つ負担は真実に軽減され、家計が楽になるという面は現われて来ないということを考えまするならば、これを以て我々が到底満足するものでないということは極めて明瞭なのであります。(拍手)更に今回の措置を眺めて見ましても、例えば基礎控除が引上げられておる。扶養控除も引上げられておる。引上げられてはおるのでありまするけれども、本当に負担を軽減いたしまして家計に余力を生ぜしめようということでありますならば、どうして、も更に一層基礎控除を引上げる、扶養控除を引上げるというふうな措置が講ぜられない限りにおきまして、到底家計に余力というものを生み出すことはできないと考えられます。同時に又税率も課税所得僅かに五万円というふうな階層に直ちに二〇%の税金をかける、これが一番税率の低い額でありますが、なぜこれを五分くらいから出発しないか、なぜこれをせめて一割くらいの所から出発しないか。そうして課税所得五万円ごとに一つの段階を刻んで行くという程度でありますならば、更に家計に余力の生ずる実質的な負担の軽減が生み出されるだろうということを我々は考えるのでありまするが、そういつたいわゆる勤労大衆、国民の最大多数を占めております階層にそういつたところの措置を講ずるところに参りますまで、我々は到底満足することができないのであります。殊に私が非常に遺憾に思いますることは、今回の臨時特例によるところの政府の企図は、いわゆる給與所得に対する措置だけでありまして、給與によつて生活いたしておりますところの勤労階級と何ら異なるところのないところの、生活上の、経済上の重圧を蒙つておりますところの一般農民、漁民、或いは営業所得者、こういう階層に対して何らの特殊なる措置が考えられていないという点は、私は最も遺憾に感ずる点なのであります。前回の税制改正においては、御承知のように勤労階級はこれまでの勤労控除というものを大幅に引下げられてしまつているのであります。私はこの勤労控除を元に返して、同時にこれと釣合いのとれる程度におきまして、農民、漁民、営業所得者、こういう人々に対しても何らかの特殊な控除が設けられるということが極めて肝要であると固く信じているわけなのであります。こういうふうな観点から立つて眺めて見ますならば、單に所得税の一つを取上げて見ましても、今回の臨時措置を以て到底私どもは満足することができないのであります。而も尚この臨時措置に賛成するゆえんのものは、若しこれに反対して反対が成立するということになりますならば、遂に国民大衆は現行法によるところの徴税を受けなければならぬ、この臨時措置より遥かに負担の重いところの現行法によるところの徴税を受けなければならぬのだということを見まするときに、未だ決して十分ではないけれども、而も実質的な負担軽減をもたらすものではないけれども、せめて現行法よりは一歩大衆に対して進んでいるという点において、この臨時措置、一—三月の臨時措置を認めるということは、これは認めるほうが大衆に対するところの利益である。こういう観点に立ちまして、粗なる臨時的な三ヶ月間に亘るところの臨時措置としてのみこれを容認せんとするものでありまして、これによりまして、先刻も申上げましたが、若しこのままの姿が来たるべき税制改正に大幅な、否、全体に亘るところの税制改正が企図されて、このままの姿が所得税、特に源泉所得に対して現われて来ましたときに、これに我々は満足しない、これに賛成することを今日約束付けるものでは断じてないということを、私は委員会におきましても明瞭にいたしまして、この単なる三ケ月間の臨時措置としてのみこれを承認しようという態度に出たものであるということを、この際ここで極めて明確にいたして置きたいのであります。(拍手)先刻木村委員は、或いは法人税について論及なさいました。ひとり国税のみならず地方税にまでその論鋒を進められたのでありまするが、これはいわゆる全般の税制改正に対するところの一つの御議論でありまして、今問題になつておりますのは、所得税、特にその所得税のうちのいわゆる源泉徴收のみに対する一—三月の特例というだけのことなのでありまするから、私は税制全般に対する社会党の考え方をここで論述することを避けますが、社会党がこの特例に賛成するゆえんのものは、先刻来申しますように、ただ單なる三ヶ月間の臨時的措置として賛成するに外ならぬということを極めてここでの明瞭にし、同時に社会党が、国税、地方税、全般の体制に対して抱懐しておりますところの日頃の主張というものが、これによつて何ら解体するものでもなく、同時に又将来これと同じ姿のものが現われてもそれに賛成か約束するものでないということを明暗にいたしまして、賛成をいたす次第であります。(拍手
  90. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより採決をいたします。所得税法臨時特例法案及び物品税法の一部を改正する法律案、以上両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  91. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて両案は可決せられました。      ——————————
  92. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 次に中小企業信用保険特別会計法案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  93. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。  議事の都合により、これにて暫時休憩いたします。    午後三時十七分休憩      ——————————    午後五時十分開議
  94. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。  参事に報告いたさせます。    〔海保参事朗読〕  本日委員長から左の報告書を提出した。   地方公務員法案修正議決報告書      ——————————
  95. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、地方公務員法案(内閣提出衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。地方行政委員長岡本愛祐君。    〔岡本愛祐君登壇拍手
  97. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 只今議題となりました地方公務員法案につき、地方行政委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。数次に亘る改革により、憲法に基く地方自治は逐次実現を見つつあるが、ひとり地方公務員制度のみは未だ整備されないまま今日に至つており、更に近く行われるであろう地方行政調査委員会議の勧告に基き、地方公共団体の責務がいよいよ加重されようとするときに当り、地方公共団体の行政の民主的且つ能率的な運営を保障することは最も急務であるから、近代的公務員制度の理念に基く新たな地方公務員制度を確立し、以て地方自治の本旨の実現を図ると共に、地方公務員をして全体の奉仕者たるの実を挙げしめるようにする必要があるというのが、政府の本法案提案の理由であります。本法案は本則六十二條、附則二十項より成り立つておりますが、以下その内容の大体を御紹介いたします。先ず勢頭第一條に、この法律は地方公務員制度に関する根本基準を確立することにより、地方公共団体の行政の民主的且つ能率的な運営を保障し、以て地方自治の本旨の実現に資することを目的とする旨を謳つております。第二に、適用範囲について、この法律は一般職の地方公務員にのみ適用することとし、特別職の範囲は国家公務員の場合よりも若干拡張しております。  第三に、実施運用の方法として、この法律は根本基準のみを規定し、この法律の実施運用は、地方公共団体の自律性と多様性とに即応するよう、地方公共団体の條例等に委ねております。  第四に、人事行政機関として、都道府県及び五大市についてのみ三人の委員からなる人事委員会を設置するものとし、一般の市については市の任意とすると共に、共同設置、事務の委託処理等の便法を認め、又人事委員会を置かない市及び町村においてば、公平事務のみを所管する公平委員会を設置するものとし、この場合にも共同設置、事務の委託処理等の方法を認めています。而してこれらの人事行政機関は、地方公務員の人事行政の総合的企画及び調整に関する事項を掌る等、人事行政の統一を図ることを本来の使命とする、即ち人事行政機関は、人事行政の運営に関して一定の枠を設けることを主たる任務とし、各任命権者はこの枠内で任命権を行使するものとしております。  第五に、地方公務員適用される基準として、すべて国民はこの法律適用について平等に取扱われなければならないという平等取扱の原則、及び地方公共団体は、この法律に基いて定められた給與、勤務條件等が社会一般の情勢に適応するように随時適当に措置すべき旨の情勢適応の原則を掲げております。  第六に、任用、職階制、分限、懲戒、研修、勤務成績の評定、給與、勤務時間その他の勤務條件、福祉及び利益の保護等については、概ね国家公務員法の規定に準じてその大綱を定めております。第七に、服務については、概ね国家公務員法の規定に準じてその大綱を定め、但し服務規律違反に対しては懲戒処分によるものとし、原則として罰則は設けないこととしております。  第八に、政治的行為の制限については、その趣旨が地方公務員の全体の奉仕者としての政治的中立性を保障し、地方公共団体の行政の公正な運営を確保し、職員の利益を保護するところにあることを明らかにすると共に、特に重要と考えられる基本的なもののみを具体的に法律中に規定し、その他は條例により委ねております。   第九に、職員団体については概ね国家公務員法の場合と同様とし、いわゆる団体協約の締結はこれを行い得ないものとするが、職員団体は、法令、條例等に違反しない限りにおいて、当該地方公共団体の当局と書面による申合せを結ぶことができることとしております。第十に、労働組合法等との関係について労働組合法及び労働関係調整法は地方公務員適用しない。労働基準法及び船員法は、この法律に抵触する規定を除いて地方公務員適用するか、但し地方公務員の勤務條件に関する労働基準監督機関の職権は、人事委員会又は地方公共団体の長が行うこととしております。  その他、職務と責任の特殊性に基いてこの法律に対する特例を必要とするものについては別に法律で定めること。公営企業職員の身分取扱については、公営企業の組織、会計、経理、職員の身分取扱等を規定する法律を別に定めるものとし、その法律が定められるまでの間は尚従前の例によること。、  本法施行の順序として、大部分の規定は公布後二ヶ月から施行するものとし、その他は事項により、又地方公共団体の種類により、公布後八ケ月、一年半、二年から施行するという段階を設けたこと等が、本法案の内容中主要な点に相成つております。  地方行政委員会は、本法案の重要性に鑑み、連日或いは人事、文部、労働の三委員会との連合委員会、或いは地方行政単独の委員会を開き、岡野国務、天野文部、保利労働の各大臣、淺井人事院総裁その他の政府委員との間に質疑応答を重ね、又十二月五、六の両日には本法案に関する公聴会を開き、蝋山政道君ら十二名の公述人より意見を聴取し、又各委員との間に質疑 応答を行いました。これらの質疑応答 の中かち二三を御紹介いたします。  本法案第五十七條に規定する教職員、単純労務者に関する特別法、及び 附則第二十項に規定する公共企業職員に関する法律の提案に対する見通しはどうかとの質問に対して、政府側より、目下研究を進めているから、成案を得次第速かに提案したいと思つているが、お尋ねの件に対する関係において基礎法とも言うべき地方公務員法案を先ず御審議願いたいという意味の答弁がありました。  政治的行為の制限の規定と憲法の條章との関係を政府は如何に考えているかとの質問に対しては、憲法第十五條に規定されておる全体の奉仕者である公務員の性格上、及び憲法第十二條にいう公共の福祉のために、憲法第二十七條及び第二十八條の勤労に関する権利の規定について若干の調整が行われていると考える旨の答弁がありました。  弐に人事委員会及び公平委員会の委員は議会の同意を得て地方公共団体の長が選任する規定になつているが、これをより一層民主的な選任方法に改める意思はないかとの質問に対しては、政府提案の方法を十分民主的であると考える旨の答弁がありました。地方公務員法施行に要する経費見込額についての質問に対しては、政府は概算約一億二千万円程度を見積つている旨を答えました。その他、本法案と国家公務員法との比較の問題、一般職と特別職との区別の問題、人事機関の問題、政治的行為の制限の問題、団体協約、団体交渉の問題等につき幾多の重要な質疑応答が行われましたが、それは速記録に譲ることのお許しをお願いいたします。地方行政委員会においては、十二月九日、今日午後二時討論に入りましたところ、国民民主党の岩木哲夫君より、国民民主党及び緑風会の共同修正案が提出されました。その主なる修正点は、  人事委員会及び公平委員会の事務委託の規定を削除すること。  人事委員会又は公平委員会の議事の定足数を全員とすること。二人以上とありますのを全員とすること。  第三に、第三十六條の政治的行為のうち、投票の勧誘運動、署名運動、寄付金募集等についての制限を緩和して、公立学校に勤務する職員以外の一般職員については、その属する地方公共団体の区域外においては、第三十六條に掲げる今申した政治的行為をすることができるものといたしております。それから公立学校に勤務する職員については、当該学校の設置者たる地方公共団体の区域外においては政治的行為をすることができるものとしております。この場合、政治的行為を制限される区域とは、一般職員が都道府県の支庁若しくは地方事務所又は五大市の区に勤務する者であるときは、当該支庁若しくは地方事務所又は区の区域を指すものとし、公立学校に勤務する職員については、五大市の設置する小学校、中学校、幼稚園である場合に限つてその学校の所在する区の区域を指すことといたしております。  第四に、勤務條件に関する措置要求があつた場合、人事委員会又は公平委員会は、いずれも審査を行うと共に事案を判定するものとすること。  第五に、第五十五條第二項の職員団体と地方公共団体当局との書面による申合せを協定に改め、その協定の履行に関する当事者双方の責任を規定すること。  第六に、第五十七條により職務と責任の特殊性に基いて特例を定め得る職員として、公立学校の教職員及び單純労務者を法文中に例示すること。  第七に、政治的行為のそそのかし等に対する罰則を削除すること。  第八に、単純労務者の身分取扱については、第五十七條に基き特例法が制定実施されるまでの間は本法を適用しないで、両従前の例、即ち政令第二百一号によること等が右の修正案の内容であります。  次いで緑風会の西郷吉之助君、社会党の相馬助治君及び第一クラブの石川清一君より修正案賛成、修正部分を除く原案賛成の討論が行われました。かくて採決に入りましたところ、右に述べました修正案及び修正部分を除く原案につきまして、それぞれ全会一致を以て可決すべきものと決定いたした次第であります。  以上御報告を終ります。(拍手
  98. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 本案に対し討論の通告がございます。順次発言を許します。堀眞琴君。    〔堀眞琴君登壇拍手
  99. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 地方公務員法案につきましては三年前からしばしば問題になり、毎度国会が開かれるたびごとに上程が伝えられておつたのでありまするが、その都度、地方公共団体職員を中心とする組合或いは民主的な諸団体の批判があり、或いは反対がありまして、遂に今日まで上程を見るに至らなかつたのであります。ところが、この法案がこの臨時国会に突如として上程され、私はこの短かい期間の臨時国会にどうして本案が上程されたか、その理由を求めるに苦しむものであります。政府説明によりまするというと、国家公務員法がすでに実施されている。地方公務員についてもこれと同じように法案を整備し、そうして地方自治の適正な運営を図らなければならぬ。こういうことと、それからもう一つは、地方自治法においてすでに地方公務員法の制定が約束されている。この二つの理由に基いて上程したのであるというのでありますが、我々も地方公務員に対しまして、適正な民主的な法案ができまして、その身分が十分に保障されることを認めるものではありまするが、併しながら本法案のむしろ基準ともいうべきところの国家公務員法が実施されている、だから地方公務員法案もここで制定しなければならぬという理由は成り立たぬと思うのであります。なぜなら、国家公務員法はすでに実施以来その不合理、矛盾を暴露いたしておるのでありまして、例えば公務員の給與に対する勧告であるとか、或いは公海員の不当なる取扱に対するところの審査要求などに対しまして、人事院が十分にその機能を果し得ないことはすでに今日明らかになつているのであります。従つて国家公務員法について、先ず我々はこれが民主的な修正を先決すべきものでありまして、ここで何を急いで地方公務員法案を上程する理由があるでありましよう。法律はそれに基くところの母法よりももつと改善された形が上程されて初めてそれが有効な効力を持つのであります。法律がその母法よりも更に改悪される、これは日本の進歩を逆転させる ものでありまして、我々としてはそのような法律に賛成することはできないのであります。而もこの国会は僅か一 日延長いたしましても十九日間であります。百三十万の地方公務員の身分について規定するところのこの法案が、この僅かな日数で以て果して十分に審議されるのでありましようか。十分に地方住民の意思もそこに反映しなければならぬ。又第三者の意見も十分に取入れなければならぬ。ところがこの法案の作成に当りまして、果して十分に地方住民の意思をそこに反映しておるか、或いは第三者の公正なる意見がそこに取入れられているかと申しますと、何らそういうことはないのであります。従つて私どもはこの短かい臨時国会において、これを十分に審議することができない。而も地方行政委員会に上程されましてから今日に至るまで僅か数日であります。連合委員会が二日から開かれました。四日、七日と三日間開かれた。それから公聴会が二回開かれておるだけでありまして私どもとしては、この法案に対して十分なる審議を盡したとは申上げることができないのであります。従つてこの法案が急にこの臨時国会に上程された理由を求めるに私どもは苦しむ次第であります。而もこの法案の内容が十分に合理的であり、その民主的な運営の措置が十分に保証されておるというならばともかくも、本法案の内容を見まするというと、幾多の点において我々の承服しがたい点を持つておるのでありまして、我々はその点からもこれに対して反対せざるを得ない。殊に基本的な人間の権利というものを殆んど無視するに等しい状態で剥奪しておるのであります。このような内容を持つところの本法案は、我々としては到底認めることができないのであります。例えば適用範囲について見まするというと、地方公務員の規定がはつきり出ておらぬのであります。誰を地方公務員というか。国家公務員法におきましては、第一條にすでに国家公務員というのはこういうものである、官吏を言うのであるということを明確に規定しておるのでありまするが、本法案におきましては、何人を地方公務員とするかの点について明確な規定がない。それから又地方公務員と申しましても、非常にその範囲は広いのでありまして、一般行政事務を担当する職員もあり、教員もあり、それから又現業の職員もある。それから又いわゆる地方公営企業に従事しているところの職員もあるのであります。地方公営企業の職員については、附則の二十におきまして特別の法律を設けるということになつておるのでありまするが、それから又教職員、それから単純な労務者については、又特例法によつてこれを規定するということになつておるのでありまするが、併しそれからの法案もまだ十分に提出されておらぬし、そういう中で一般行政事務を担当する公務員と等しくこの法案を適用しようというのでありまして、この点について私どもは反対せざるを得ない。それから又公務員の身分を保障するという人事機関でありまするが、この人事機関の構成、権限につきましても、私どもは反対せざるを得ないのであります。例えば権限でありますが、すでに国家公務員法において設けられておるところの人事院が、先程申上げましたように、給與に関する勧告であるとか、或いは不当取扱に対する審査要求などに対しまして、十全の機能を発揮しておらぬ。地方公務員法案によるところの人事機関につきましても同様でありまして、その権限は、例えば勧告することができるとか、或いは審査報告しなければならぬとか規定はしておりまするが、これに対する法的な裏付けがない。任命権者を拘束する何らの規定をもそごに含んでおらないのであります。又その構成について見ましても、地方公共団体の長が議会の承認を得てこれを任命するということになつておる。若し人事行政の民主的に運営を図るというならば、この人事機関に民主的な団体の代表者、これを参加せしめることによつて更に民主化されるのであり、もつと根本的に言うならば、そういう人事機関はむしろ公選にすべきではないか、こう考えられるのであります。公選の場合は勿論いろいろ手続上問題があるとするならば、然らば民主的な団体をこれに参加せしめることによつてその運営を民主的にするということが最も妥当なのでありまするが、そういう方法をとつておらぬのであります。  次に政治行為の制限であります。本法案によりまするというと、政治行為は投票権を除いては殆んど全部これを禁止しておるのであります。制限というよりは、むしろ政治行為の禁止を行なつておるのであります。御承知のように、政治的な自由というものは憲法上に保障された権利である。何人も、如何なる権力によつても、如何なる法律によつてもこれを侵してはならぬというのが憲法の趣旨であります。従つてその意味におきまして、政治的自由はできるだけ幅広くこれを認めるということが憲法の趣旨だと申上げなければならぬ。勿論、地方公務員は、その担当する行政事務の関係から申しまして、或る程度の政治行為の制限は止むを得ないかも知らぬ。併しながら先程申上げましたように、地方公務員の中には、軍に単純な労務に従つておる者、或いは教職員、或いは又その他の一般地方行政事務に参加しないところの職員も含んでおるのでありまして、そういう人々に対しては、政治活動の制限を求めることは妥当ではない、こういう工合に考えられるのであります。而もこの政治的な行為の制限を更に国家公務員法と比較しまするというと、極めて広範囲に亘つておるのであまして、私どもとしましては、政治的な行為のこの制限の條項は、むしろ削除しなければならぬという工合に考えるのであります。  それから又職員団体でありまするが、職員団体の結成、交渉は認めておるのであります。併しながら職員団体の結成については人事委員会にこれを登録しなければならぬ。その登録の條件については人事委員会が干渉する。従つて自主的な自由な職員団体の結成は不可能なのであります。又その交渉でありまするが、その交渉も対等の立場において交渉するのではない。職員団体は地方公共団体の当局と交渉はするが、それは全く主と従との関係においてこれを交渉するのでありまして、文書による申合せを結ぶことができるという言葉によつてそれが表現されておるのであります。職員は必ずしも純粋の労働者とは申上げることができないかも知れぬ。併しながら、ホワイト・カラースであります。職員はその生活程度においては、又その勤務の状況におきまして、労働者と何ら異なるところはないのであります。従つてその職員の労働上の権利を認めるということは憲法の趣旨から申しましても当然であり、本法案が若し適正に地方公務員の身分を保障するというならば、労働上の諸権利を十分に認めて労働上の諸法規を適用すべきであると考えるのであります。マ書簡によりまするというと、公務員の特殊な性格からこれに対して或る程度の権利の制限も止むを得ない。併し半面、政府公務員に対して十分生活上の保障をしなければならぬということを謳つておるのであります、マ書簡のこの趣旨から申しましても、地方公務員に対して、公務員としての労働上の権利、いや勤労者としての労働上の諸権利を認め、その生活を保障することが、地方公務員の身分を守るゆえんであると申上げなければならぬのであります。  次に、本法案は極めて苛酷な罰則を規定しておるのであります。すでに政治的な行為の制限を行い、いや制限というよりは禁止を行い、又労働上の権利を認めない。そこに持つて来まして六十條以下におきまして相当苛酷な罰則を設けておる。地方公務員法は地方公務員の身分を保障する、地方公務員の身分を保護するのだということを語つておりながら、政治上の自由、労働上の権利を奪い、更にこれに対して罰則を加えて、いわばその身分を保障するというよりはそれを拘束する、これが本法案の性格だと申さなければならぬのであります。私はその意味におきまして、この法案に反対するものであります。  尚、修正案でありまするが、修正案の最も重要な点は、この政治行為の制限についてこれを緩和したという点と、職員団体の交渉を文書による「申合せ」をすることができるというのを、「協定」することができると改めたこの二点であります。政治行為の制限について緩和したと申しまするが、併しながら我々は、地方公務員が執務時間中その職場において政治行為をすることは勿論制限されなければならぬが、併しその他の職場において、執務時間以外においてこれを行うことは決して差支えないのであります。従つてこのような市町村区域乃至は都道府県に限るという程度の緩和では、十分にその政治的自由が達成されないのであります。それから又もう一点であるところの五十五條の「申合せ」を「協定」にするという点であります。確かに協定とすることによつて或る程度の拘束力を持たせることができるかも知れぬ。併しその結ばれた協定に必ずしも任命権者に拘束、厳密な意味においては拘束されないのであります。僅かに誠意と責任を以て云々という言葉でこれを拘束するに過ぎないのであります。誠意と責任を似て云々ということでは十分な拘束はできない。我々としてはこういうような極めて曖昧な拘束では本当の意味の法的拘束力にはならない。少くとも協定された事項については任命権者これを確実に行うという保障がそこに認められなければならぬのであります。この意味におきまして私はこの修正案に対しても反対せざるを得ないのであります。要するに本法案は、地方公務員の身分を保障し、これを保護するというよりは、むしろこれに対して拘束を與えるものである。こう申上げなければならぬのであります。法律はこれが守られることによつて初めて法律としての存在意義を持つものでありまして、若しその法律が守られなかつたならば、それはもはや法律としての意義を持たないのであります。私は地方公務員、百三十万の全国の地方公務員諸君がこの法案によつてその身分を拘束され、保護されるよりはむしろ拘束されるというこの性格を、恐らくこれに対して非常な関心を持たれていることと思うのであります。私はこの法律が拘束的な法律であるという意味におきまして、それが若し法律としての十分な存在意義を持つことができない場合には非常に恐るべき結果を私はもたらすものではないかという工合に考えまして、私はこの法案に対する反対の意思を表明するものであります。(拍手
  100. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 小笠原二三男君。    〔小笠原二三男君登壇拍手
  101. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 私は日本社会党を代表し、只今議題となりました地方公務員法案修正案に対し賛成いたすものであります。以下その理由を申しますが、その前に先ず私は本法案を今臨時国会に提出せられました政府の意図並びに立案経過について考えて見たいのであります。御承知通りに、地方自治法に基きます本法案が国会に提出せられなければならない時期は昭和二十三年十二月末日であつたのでありまするがその期限を過ぎること二年、今春漸く試案らしいものを得たのでありまするが、その後遅々として当局の作業が進まず、去る参議院選挙後の第八臨時国会にも突如上程の噂さえあつたのでありますが、沙汰やみとなつたのであります。あの当時において政府與党は、参議院選挙における全国教職員の選挙活動の成果に驚き、これが防止をするために単独立法をしなければならぬということで、その手続をとつたやにも聞えておるのでありまするが、今回そうした過程の中に突如として短かい今期の国会にこの法案が出た。その理由はどこにあつたでありましようか。又、本法案成立に当つて国家公務員法の修正を考慮せられたとのことであり、本案において公共企業体職員の法律を別に作ることを請い、又教職員、単純労務者その他に対して特例法を次期国会に提案するやの噂さえあるのであります。これら関係法案を同時に提出されることは、我々全体的公務員制度の構想の上に立つて慎重審査するものにとつては誠に便であり、又会期の長い通常国会において愼重に議することこそが最も至当な措置であると考えるのに、何故に本法案を急速今国会に上程したのでありましようか。私はかかる過程から政府の態度を付度し、又新聞紙上その他伝えらるるがごとく、公務員、特に教職員の政治活動を制限し、来春の地方公共団体の首長或いは議員の選挙に備えんとする政治的策謀であると断ぜざるを得ないのであります。(拍手)かかることが(「反対しろ」と呼ぶ者あり)若し真なりとせば、我々は、近代的公務員制度を確立し、地方自治の進展を図る重要なる法案が、政府與党の党利党略によつて提案されたことに対しては断乎反対せざるを得ないのであります。(「よしよし」と呼ぶ者あり)かかる行為は、百三十万公務員、家族の利害はもとより、地方住民の福祉を軽視するものと言わざるを得ないのであります。  私は以下修正点に関係する重要な政府原案の部分に対して私の態度を表明したいのでありまするが、その前提となる過去の官僚制度について考えて見たいと思うのであります。  一国の運命はその国の公務員の素質如何にかかる場合が多いことは、東西の歴史がすく示すところであります。このことについては多くの例証を挙げる必要もなく、過去の日本或いはドイツの例を見ることによつて明らかであります。よく知られておるごとく、ドイツにおける国家法人説は王権神授説と民主主義思想との妥協であり、これが日本に入つては天皇機関説となつたと言われておるのでありまするが、明治憲法がその範をプロイセンにとり、現在の敗戦に至るまで相似た経路をとつた、このドイツの官僚制度を顧みますことは誠に重要であると私は考えるのであります。即ちドイツの官吏団の特色は、中世以降の伝統である代官的性格から発生して、一つの官僚群を形成し、ワイマール憲法下の国政を担当し、更にそのままナチス治下の独裁政治においてその下請機関となり、武断政治、警察政治の走狗となり果てたのであります。それは統治権者の権力を背景とし、権力者に代つて権力を振い、民衆とは別個の社会を形成して、常に中間的な存在としての外観を作つていたことにあるのであります。これは賞讃するならば、政治的中立ということであり、非難するならば、常に買弁的或いはブローカー的地位を保持していたものであり、正治的責任を負うことなく、而も政治の実権を掌握しておつたのであります。それは中立の地位にあつて、義務的観念に生きるがごとき外観に隠れて、事実は節操を売るものに外ならなかつたのであります。こうした官吏制度が、遂にドイツにおいて国を破り、国民を塗炭の苦しみに陷れた一つの要因となつたのであります。  過去の日本においてかかる通弊がなかつたでありましようか。ここにおいて私はマツカーサー書簡を思い起したのであります。国家公務員法は、本来、日本における民主的諸制度を成功させるには日本の官僚制度の根本的改革が不可欠であるとの事実の認識の下に考えられたものであると書かれておるのであります。又従つて本改革の成功が占領政策の第一義的目標たるのみならず、それは日本の将来の福祉のための前提條件の一つであると言つておるのであります。私は敗戦の歴史とその原因のすべてとは言わないが官吏即ち公務員制度と一国の運命とを考え合せるとき、粛然襟を正して反省せざるを得ないのであります。私たちは、かくて現下の日本において最も必要なことは、いわゆる官僚制度を民主化することにあるのを知るのであります。権力者の下僕であつた官僚を民衆の下僕たらしめることであり、その糸口は官署と社会との間に存する断層を除去することであります。これがためには公務員の意識を改めることがその一つの方法であり、その任用制度を改めることが他の一つの方法であります。然るに国家公務員法は以上のごとき歴史的事実と現実の要請に対して正しく応え得たものであつたでありましようか。又宿弊たる官僚制度は打破されたでありましようか。又一般の貧しい公務員が保護せられたでありましようか。いや所期の目的に適合しない幾多の矛盾を孕んでいることは、今日において何人も肯定するところでありましよう。    〔議長退席、副議長着席〕  而もこのたび出された地方公務員法案は、その範を国家公務員法にとり、殆んどこれをそのまま移行しておるのであります。我々が政府原案に対して全面的に賛成することができない根本的な理由はここにあるのであります。  以上の立場から二、三申上げたいのでありますが、先ず第一に、本法案の適用の範囲についてであります。地方公共団体の首長公選制度に伴つて私は、責任ある部局長は先の論理的な結論から自由任用とすべきものであると信じておるのであります。このことなくしては首長の政策の伸張はなく、自治の浸透はないのであります。又局部長の頭の切換えはなく、民衆との円満なる接触はないのであります。弐に、この適用範囲においては、単純労務者、現業機関に属する職員、若しくは窓口事務に従う者、或いは教員、即ち行政手段乃至補助者的性格とは別個な者、行政部門の担当者でない者、これらを一切本法案で括りつけ、縛りつけておるのでありまするが、今日国家公務員法がかかる同様の措置をしたことが如何に職場に矛盾を孕んでおるかは経験的に何人にも立証せられておるところであります。こうしたことは、将来の労働運動の健全な発展日本の民主化の立場から断然反対しなければならない点であります。  次に第二の点としましては、我が党も政府原案と鋭く対立しておつた重要な点でありまするが、これは憲法上許された基本的人権に関連する部分であります。それは論争の中心となつたものでありますが、一つは政治的活動の禁止的制限の問題であり、一つは労働基本権の制限乃至排除の問題であります。  先ず第三十六條の政治活動制限の問題でありまするが、私はこの際、端的に申上げたい。制限というならば、逆にどれだけの政治活動の自由が地方公務員に残されているのでありましようか。私は政府に敢えて列挙して頂きたいとさえ思うのであります。而も中立性保持は公務員の保護のためであるということを政府はしばしば言うのでありますが、あとに述べますごとく、財政的裏付けなく、服務、分限等、制限規定のみ多くして、どこに真の保障がありましようか。自己の選挙権の行使のみで、他の一般市民としての権利を排除せられ、そうして身分の保障があるというならば、それは極言すれば、全く監獄の囚人こそ公務員の模範たる境遇にあたると言わざるを得ないのであります。(拍手、「そうだ」と呼ぶ者あり)又公務員の政治活動の行き過ぎというのでありますが、どれだけの行き過ぎがあつたのでありましようか。行き過ぎとは犯罪を指すというならば、過去半世紀、買收、饗応等、悪質なる事犯枚挙にいとまなかつた過失の既成政党のそれと比べてどうでありましようか。(拍手)選挙は主権者の基本的権利行使であり、憲法上の基本的人権であります。仮に一部極く少数の行き過ぎがありとしても、公職選挙法によつてそれは罰すればよく、又幾度かの繰返す選挙によつて国民の批判力に待ち、過誤を改めることこそ、民主主義社会党展の方法ではないでありましようか。(「そうだ」と呼ぶ者あり)従つて我が党は、全体の奉仕者たる自党に立つ公務員については、勤務時間中若しくは公の庁舎施設における政治活動、並びに職権を濫用する政治的行為を禁ずれば足りるものとの基本的態度を堅持して来たりであります。(拍手)然るに政府原案では、法律のみならず、地仕方の條例においてこれが禁止制限の規定をする自由を與えておるのでありますが、このことは十分に憲法違反の 疑いがあると考えるものであります。(拍手)  次に労働基本権の問題であります。終戦後の労働運動が日本民主化の一翼を担い、滔々として発展して参りました過程において、二・一スト前後を中心として幾多の過誤を犯した事例を私も卒直に認めると共に、一昨年マ書簡が出、政令二百一号により幾多の労働運動の制限を受くるも止むを得なかつた当時の情勢、或いはそのとつた措置についても、十分我々は了解することができる点があるのであります。併しその後、幾多茨の道を切り開いて、民主的にして自由なる労働組合が自由世界労連に加盟する程に大きく力強く推進して参りました今日、労働情勢は一変しておるのであります。こうしたことも十分御理解願わなければならないのであります。かかる情勢下に、当時公布された国家公務員法同様に本法案においても団体交渉権、或いは団体協約権が否定せられていることは、日本の民主化を阻むもものとして、我が党は基本的態度として反対して参つたものであります。罷業権の伴わざる団体交渉権さえ否定し、単に陳情的性格にとどまり、団体協約権はおろか、原語ほ一つであるにも拘わらず、協約を申合せとさえ表現して提案された政府の意図、並びに徹底的に労働者たるの立場を否定し、圧殺せんとしておるこの態度に対して、私たちは断じて承服することができないのであります。(拍手)幾多承服できない点がありますけれども、時間がありませんので、(「時間は沢山あるぞ」と呼ぶ者あり)私は日本公務員の労働関係について世界の労働者政府の態度をどう考えているか。一例を引いて強く我々の主張を裏付けたいと考えるのであります。それは去る十一月、ブラッセルにある、日本或いはアメリカ、イギリスその他の労働組合の参加する国際自由労連本部で開かれた執行委員会で決定されました日本側労働組合提案に対する決議の一節であります。その中には、「労働関係の分野において国際自由労連は、日本政府が労働組合の自由を尊重し、公務員の団体交渉権の上に加えられた現行の制限をやめることを要求する。」(拍手)又「国際自由労連は、同じく、人事院勧告及び公共企業体仲裁裁定に基く日本労働組合の賃金増加に関する最近の勧告を履行すべきことをも要求する。」(拍手)こうあるのであります。(「時間励行」「時間はあるぞ」「沈静に」と呼ぶ者あり、笑声)第三の論点といたしまして、一括して申上げますが、人事機関の内容は、その構成、権限、財政等から見て、適当なる人事行政を保持推進するに余りに弱体であります。又職員の任用、昇任は、既得権の保護に急で、旧式な官僚群を温存するに終ると考えられるのであります。又罰則規定が多過ぎ、公務員の積極的自由な活動を阻害し、士気を萎縮せしめる等我々の賛成をしかねる要点を申上げることにとどめます。  以上、要するに政府原案は公務員の取締乃至制限規定が多く、給與、福利、厚生等が確実に保障せられない点、公務員諸君のため、延いては地方自治のためにも誠に遺憾とするところであります。  さて、我が党は本法案に対し、今まで申上げました通り基本的な主張を続けて参つたのでありまするが、先程趣旨弁明のありました修正案に見ます点は、我々の主張の方向により一歩近寄つておるという点において、我が日本社会党は、近き将来公務員制度が根本的に改正せられ、整然として近代的た同法の実施されることを確信して、今回の修正案に対して不満足ながら賛成し、(「滑稽だ」と呼ぶ者あり、笑声、拍手)討論を終るものであります。(拍手
  102. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 兼岩傳一君。    〔兼岩傳一君、拍手
  103. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 私は日本共産党を代表して地方公務員法並びに修正案に付して反対をいたすものであります。(拍手)  政府の原案を見ますと、内容は次の三点に要約されるのであります。第一点、職員の政治的中立を保障するという美しい名前に隠れて、政治的自由を全面的に剥奪しようとしておるものであります。法案第三十六條がこれであります。第二の点は、職員の福祉を増すという美名に隠れまして、生活権擁護の手段であるところの団体交渉権、争議権を完全に奪い、職員を全く無権利な奴隷的な身分に陷れようとしていることであります。これは第三十七條でございます。第三点は、職員に対して一方的に上司の命令に無條件に屈服するという宣誓を行わしめ、且つ軍隊的な至上命令を強要しようとしておりますが、これはまさに天皇制の官僚制度を復活しようと企てているところが明瞭であります。法案第三十一條がこれであります。  それではこの政府原案を不満として出されましたところの修正案の要点は何か。第一に、原案で規定いたしております政治行為の禁止という根本問題、これを勤務先管轄内に限定するということにして、真に根本問題でありますところの政治活動の制限といううことは依然としてこれを容認しておることであります。第二の点は、「申合せ」という法文の中の字句を單に「協定」という字句に改めておりますのみで、最も根本的でありますところの争議権は勿論、団体交渉権の否定は依然としてこれを容認しておるということであります。このような地方公務員を奴隷化しようとするところの原案及び単なる字句の修正に過ぎないというような欺瞞的なこの修正案に対して、我が党は如何にしてもこれに賛成することはできないのであります。  いささかその理由を申述べますと、第一に、地方公務員生活困難を全く無視して、年末を控えまして切実な要求に対しては何らの本格的な財源措置を講ずることなく、破綻に瀕しておるところの地方公共団体に挙げてその責任を転嫁しようとしておることであります。かくして地方公務員の基本的人権は剥奪され、働くための真に必要であるところの最低生活の保障の権利とその手段は奪い去られておるということであります。  第二は、民主勢力の抑圧を意図しておるということであります。人民大衆の信望を失い、そうして自信を喪失いたしました反動勢力は、来年の四月に行われようとする地方選挙で民主勢力を排除するためにこの法案の通過を企図しておるということであります。このことは、正治活動の禁止だけが二ヶ月の猶予期間を置いて直ちに実施されて行くという点で極めて明瞭であります。  第三に、中共の戦時的な財源の確立の負担に加えて、その犠牲を自分で解決しないで住民に強い公務員には低賃金を押付け、そうして地方事業の緊縮を棚上げをすることによつてその目的を達成しようとしておることであります。  第四に、産業の軍事的再編成、それから軍需産業の復活と発達、それから軍事基地の設置というような一連の政策に即応するためには、地方行政制度の大改革をしなければならない。そういうことを政府は企てておる。これをやつてのけるためには、公務員を奴隷のような屈従的な状態に置くことが極めて必要である。  以上がこの地方公務員法の提出せられた狙いであります。このような勤労者の基本的人権を無視するところの法律案は、世界人権宣言に違反し、ポツダム宣言に違反し、極東委員会十六原則に違反するは勿論、日本国憲法に違反することはすでに十分この壇上から論ぜられたところであり、誰の目にも極めて明らかであります。二・一スト以来、占領下の公共の福祉という美しい名前において労働者の幾多の権利が次々に剥奪されて参りましたが、芦田社会党並びに民主党の連立内閣においてポ政令二百一号が公布され、これによつて公務員の団体交渉権、争議権が奪われ、無権利状態に放置されましたが、この内容を更に具体化するために、次いで吉田内閣が国家公務員法、公労法を施行したことは諸君のよく知つておられるとこであります。  然らばこの国家公務員法並びに公労法の制定によつてどういうふうに国内の労働者がなつたかという点は、第一に、国家公務員法の制定による結果といたしまして、職制が強化され、勤労者大衆は苛酷な労働條件を強いられ、その中で上級官僚の権限が増大したために、この上級官僚は腐敗し、且つ堕落し、その様相は目に余るものがあることは、公団の腐敗、或いは特別調達庁の汚辱事件その他で天下に周知の事実であります。それから第二に待遇の問題でありますが、待遇はそれでどうなつたか。人事院の勧告がしばしば出されましても、政府はこれを実行しようとしないで、公務員生活はますます貧窮化し、そうして公労法で縛られました国鉄労働者に対しましては、争議権を奪われた代りだと言つて仲裁機関を設けられておるにも拘わらず、政府はその裁定を決して忠実に実施しようとはしないで、十ヶ月を経過した今日、僅かにその一部分を本国会に提出しておるという始末であります。要するに本法案は、政令二百一号によつて実質的に権利を奪われておりますところの地方公務員の奴隷的な状態法律によつて明らかに確定しようとするものでありまして、而もこれはやがて地方公共企業体の労働者の政治活動をも禁止しようとするところの魂胆を含んでおるのであります。占領以来、鶏鵡返しに、民主主義だとか、民主化だとか、自由国家の繁栄だとかいう美しい言葉が氾濫いたしております。ところがこういう美しい言葉が氾濫するにまさに正比例いたしまして、或いは反比例いたしまして、日本人民の自由な意思による本当の民主的な政治というものは次第片々に行われないで、反対に隷属民族として、隷属国家として特定国の利益に従属させられつつあるということは、同僚議員諸君においてもこれは明瞭に体験しておられるところであります。即ち人民民主勢力の根本的な基礎でありますところの政治活動を次から次へと禁止して行くのは、誰の目にも極めて明瞭な事実であります。若し我々が日本の独立と人民大衆の生活を本当に考えるならば、日本労働者が置かれておりますところの、私が申述べました実情と事実と切り離してこの法案を審議するということは不可能であります。殊に最近の情勢は対日講和近しと言われておりますが、この対日講和が接近するならば、いよいよ日本を民主化し、これを基礎として世界の民主勢力と提携して全面講和を実現しなければならないことは明らかであります。然るに内外の反動勢力は、この世界の民主勢力の発展拡大を阻止するために日本を足場にしようとしておる。その一環として日本の人民の最も根幹でありますところの組織労働者の基本的人権を抑圧し、そうしてフアツシヨ体制を確立するために本法案が提出されておるということは明瞭であります。然るに社会党が、(「社会党に言うのが、自由党に言うのか、はつきりしろ」と呼ぶ者あり)この法案の極く末梢的な、いわば字句の改正に過ぎないというような修正を理由にして本法案に賛成されたことは、私の最も遺憾とするところであります。これによつてこの法案の本質を鮮明にすることを妨げるということは、その主観的意図がどうあろうとも、結局勤労人民大衆を誤まらせ、歴史ある日本社会党を内外の帝国主義陣営に奉仕させるところの(「余計だ余計だ〕と叫ぶ者あり)政党に転落させるところの道であるところの危険性は濃厚であります。(拍手、「要らんことを言うな」と呼ぶ者あり)このことは議論の問題でなくて、最近の半世紀の社会運動の歴史的事実が証明しているところであります。(「余計なことを言うな」と呼ぶ者あり)これこそ社会民主主義の本質であり、これを反省しないならば歴史の批判を受けなければならないということ(「誰に書いてもらつた」と呼ぶ者あり)及びこの本法案が盛り上がつて来るところの独立と平和を求める人民の力で粉砕されるであろうということを私は申上げまして、反対討論を終るものであります。(拍手
  104. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 石川清一君。    〔石川清一君登壇拍手
  105. 石川清一

    ○石川清一君 私は第一クラブの意向を代表いたしまして、不満ながら賛成の討論を行いたいと存じております。(笑声、拍手)  本議院はさきに財政的窮乏に喘ぐ地方公共団体のためにその財政的確立の決議をいたしました。この決議実現されることにつきましては、百三十万の地方公務員が鶴首いたしまして本日迫つておる予算案の審議を待つておるような次第でございます。先程から日本における官僚勢力と結託いたしまして戦争を巻き起しました軍部の暴政に対しては徹底的な批判がございました。我々はその点に触れることなく、ポツダム宣言から今日に至ります日本の民主的な革命のために努力して参りました公務員努力に対しましては深甚の敬意を表すると共に、将来困難な 民生の安定と経済の復興のために地方行政の実務に携わる地方公務員のためには、大きな期待と信頼を持たなければならぬと存じております。、  本日岡野国務大臣、天野文部大臣が先ほどまで見えられておりましたの も、單に本地方公務員法案が本院を通過する云々ではなくて、このあとに追つておりますところの予算案の修正 が、過日本国会において満場一致議決されたごとく修正されることに大きな期待を持つておると存じております。  本地方公務員法案の内容につきましては、これを保護法だと主張する政府並びに與党、これに対しまして、拘束法であつて当然保護法としての実績 を急速に挙げるべき予算措置並びに国家公務員法を含めた急速なる改正を望んでおる社会党、更に政治的自由、憲法に許されておるところの基本的人権の確立した徹底化を目指す共産党並びに労農党、公務員生活保障のためには、その底に流れておるものが何でありましようとも、我々国民の一人として何ら異議はないところでございます。今日までこの法案をめぐりましていろいろな形で現われて参りました政党の動き或いは経済の変動、こうしたものがありましても、この法案は更に公務員の個人の自由なる人格が明確化されることに我々は努力をいたさな ければなりません。若し本法案が政府の述べる保護法といたしますれば、人事院の給與ペースの勧告の実施が明日にもなさなければならず、長い間苦悶いたしておりました社会保障法もすでに実施されるごとく提案されなければならないのでありまして、この裏付けを何ら行わずして、本法案のみ上程いたしました政府の無能、政府の怠慢は、八千万国民がその批判をするばかりでなく、はつきりと明年の四月に或いは五月に行われますところの地方議会の首長並びに議員の選挙に現われると信じております。私はこの法案をめぐる底の流れが何でありましようとも、最善の案を望むことができない場合には、次善の案といたしまして、この法条に賛成いたしますと共に、このあとに追つておる予算の議決に当りまして、地方公務員のために先に決議されましたところの地方財政確立のための平衡交付金の増額が満場一致可決されることを大きな期待を以て、不満ながら賛成いたすものでございます。(拍手
  106. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 岩木哲夫君。    〔岩木哲夫君登壇拍手
  107. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 私は国民民主党を代表いたしまして只今議題となつております地方公務員法案の修正案に賛成の意を表するものであります。併しこの際、私は、何故我が民主党並びに緑風会がかような修正を希望いたしたかということにつきまして考え方を披瀝し、鮮明にいたして置く必要があると存ずるのであります。元来私たちはこの政府の原案にことごとく皆反対をせんとするのではないのであります。大体この法案の趣旨とするところは、地方公務員の過去におきまするとかく非難の多かつた官僚的制度と、その身分のあり方等につきまして、現在の民主主義社会の実情に即する是正の方法をとらんといたしまして、併せて従来とかく不安定でありましたところのいろいろのことを改正或いは確保いたしまして、併せて公務員の福利厚生の具体化実行を法案に盛りまして、その生活の安定を期し、以て地方公共団体の行政の能率的運営を図らんといたしますることは、我が国現下の諸情勢に鑑みましても、更に将来民主主義を育成し、而も社会の指導者であり知識人である公務員、それらの制度におきまして改正をいたして助長をいたして来ることは、ひるがえつて地方自治の発展確立の上にも資するところが大なるゆえんといたしておるところは異存がないわけであります。特に人事問題につきましては、おのおのの公共団体にそれぞれその機関を別途設定いたしまして、或いはその任用、職階制、給與及び勤務條件等につきまして、公正妥当な取扱を図り、或いは人事行政の公平な根本基準を確立することによりまして、これらの公務員に対しまして一層従来に比してその安定性が強化された点は、見逃すことができないのであります。又公務によりまする災害の補償でありますとか、又不利益処分に対しまする審査請求権を與え、或いは団体交渉によりまする給與或いは勤務條件に関しまして適当な措置を講すべき要求権が與えられている等の諸点は、この法律が必ずしも一部に言われる弾圧規定のみの法律でないという点は我々にもわかるのであります。併しながら私たちが当初政府原案に反対の態度をとりましたのは、以上の諸点を除く他の要旨は地方公務員に対しましていろいろ制限的な一方的の拘束規定が殆んどその大半を占め、甚だしき禁止事項があることであります。元来昭和二十三年に国家公務員法の制定されましたその当時の客観情勢、国際情勢或いは国内情勢と、今日の段階は、可なり変遷、変化いたしておるのであります。かかるとぎに、この国家公務員法に準ずる諸般の拘束規定が多くこの法案に盛られて今回国会に提出されましたるいろいろの経緯と、又現在の状態に対しましては、大いにこの法案の是正すべき点が多数発見されて来たのであります。    〔副議長退席、議長着席〕  元来、今回この法案がこの国会に提出されるに至りまする段階までに、長い間各方面で随分激しい論議の中心となつて来ましたのは、団体協約の問題とか、或いは政治活動の禁止の問題でありまするとか、或いは単純労務者を特例除外の枠に置くべきこと等につきまする要求的な或いはこれを批判する論議が盛んであつたことは御案内の通りであります。かような状態に対しまして、政府が今回国会に提出されました本案を、つぶさに検討いたしますと、私たちは地方公務員国民全体の奉仕者として常に公正と中立性を保た なければいかないと考えますので、総 合観点に立つてこの間におきまする最も公正妥当なものをこの際発見して、そうしてこれらの解決点を見出さんとしたものが、即ち今回の緑風、民主共 同提案の修正意見なのであります。  即ち、その修正点の主なるものにつきましては、先程委員長がそれぞれ御報告になりましたが、特に私からこの際指摘いたしたい点は、人事又は公平委員会をそれぞれの機関に置きまするごと、又もれらの人事又は公平委員 会におきまするいろいろの審議事項を、ただ審査だけで後は放任したよう な感じを受けるこの條文では、これらの権威の立場におきましても、或いは地方自治団体それ自体の立場におきましても、或いは公務員の立場におきましても、納得いかない点でありまして、これらに当然判定の機関、判定の権威を與えて、審査いたされたる事項を推進せしむることが是非必要であろ うということを考えて、この点を謳つたのであります。  又もう一点は、文書によりまする「申合せ」を「協定」に改めんといたしましたることは、ただ文書で相互が申合せをするというやわらかいことでは、荷くも団体協約を、団体交渉を仮に文書でいたしまする場合においても、余りにもこれは茶化したものであつて、これらの団体交渉への真撃な良識を一方的に侮ることだとも深く考えられますが故に、この際この「申合せ」の字句を「協定」という強い字句に改めますと共に、更に両者が責任と誠実を以て協定されたることを履行すべき点を強調せんといたしましてここにこの修正意見を掲げたわけであります。次に問題点といたしますることは、原案によりますると政治活動は殆んど禁止の状態でありますが、元来これはポツダム宣言におきましても、我が国の儼然たる憲法の立場におきましても、その基本的人権とその自由は何者といえども侵すことのできない崇高なる精神を、公務員なるが故に、特別に地方公務員の特殊性に鑑みて不当に禁圧束縛するということは、将来民主主義国家の指導者の立場にあり、又知識人としてのいろいろな立場におきましても、必ずしも妥当ではない。こうした人権自由を、或いは冒讀蹂躪するようなことがあるということは、今後ますます民主主義を発展して行かなければならない現下の日本、将来の日本の立場におきましては、この際、先の国家公務員の立場と違いまして、而もその当時の情勢と、今日の情勢と著しく相違いたしておる点に鑑みまして、これは大幅に可能の範囲で政治活動を許可することが妥当であるとの深い考慮を持つた次第であります。特に公務員の政治活動の制限範囲、或いは許可範囲等につきましては、この際、世論まだ明確を欠く解釈を持つておるようでありますから、一言附加して置きたいと存じますることは、第三十六條の第一号から第三号並びに第五号の事項に対しまして、一般公務員の場合は、都道府県庁に勤務せる者はその都道府県外なら差支えがない。地方事務所に勤務せる者はその管轄地域外なら差支えがない。支庁、市町村等に勤務せる者はその地域外なら差支えがない。又公立学校に勤務せる職員の場合につきましては、都道府県立の学校に勤務せる職員はその都道府県外においてなら差支えがない。支庁、都立の学校に勤務せる職員の場合はその支庁、部外なら差支えない。市町村の学校に勤務せる職員の場合はその市町村外なら差支えがない。特別区並びに政令による五大市の区立の学校に勤務せる職員の場合はその区外なら差支えがない。特別区並びに政令による五大市にある義務教育の小、中学校並びに幼稚園等に勤務せる職員の場合はその区の外なら差支えがない。二ヶ町村以上の組合によつて設置されたる学校に勤務せる職員はその関係町村以外は差支えがない。かような点に主として政治活動の修正点を置いたわけでありますが、私たちは元来もう少しその政治活動範囲を拡大いたしたい希望意見も持つておりまするが、諸般の情勢からかような点に落着けたのであります。何故かような公務員国家公務員の場合に比して、それでは政治活動を或る一定限度といえども許したかという問題であります。るが、元来私たちの考えるところは、地方公務員は概ね父祖伝来その地に土着いたしておる者が比較的多い特殊性に鑑みまして、この政治活動の全面的に禁止いたしますることは、前段申上げました憲法の立場におきましても、その個人の自由を剥奪し、人権を余りにも無謀に蹂躪すると考える点でありまするが故に、かような方法を基本的に考えたのであります。併しただ問題は、その土着的生活環境が、又却つて公務員の職掌、職場と、地方住民との間におきまする密着と因縁の関係の濃厚から、ややもすれば公の影響を與えやすい、その立場の利用の過度によりまして、元来公正で中立性を保持されなければならない公務員の純然たる立場といたしましては、従来とかく逸脱した嫌いが時によりまして散見されたのであります。十又或いは進んで特定の政党を支持いたし、或はいこれらを反対し、政治活動の行き過ぎがかなり現在の社会情勢或いは政治情勢諸般の問題に相当激しい論拠がありますることに深き思いをいたしまして今回この制限区域をかような程度に、中庸公正を保つ意味合いでとつたわけであります。又単純労務者に対しまするかような方法をとりましたのは、即ち道路清掃夫でありまするとか、或いは雑役夫でありまするとか、或いは葬儀場の人夫でありまするとかいつたような岩は、当然特例を設けて一般社会と同様の一定限度の政治活動を認めるということは、当然なる現在の社会情勢或いはその労務の実態等に鑑みまして、かような措置が必要且つ適当と考えられたわけであります。以上の大体が我々の修正の骨子といたしまする点でありますが、私はだだ最後に附加えて申上げたいのは、元来なかなか管理方式秩序下の日本の正治推進といたしまして政府は関係方面と折衝されて、国会に提出されるまでにはいろいろの政府努力されたことは了承するのでありまするが、政府におきましも、長年の間これらに対する反対意見或いはこれらは対する矛盾ということが相当分つているに拘わらず、これらに対して関係方面に最大の努力を拂われたのか拂われなかつのか。我々少数の野党の立場で関係方面にこの修正を要望いたしましたるときに、それが許されて、政府がこれを真撃に、この法律案を元来提出するときの考え方、努力につきましての疑問を私は持つているのであります。(拍手)  もう一点は、元来こうした公務員法の制定は、その長所又は短所があつて、その短所を我々は補正いたそうといたすのでありますが、問題は地方財政の現地の危機或いは給與べースの問題等、相当地方公務員の身分と生活に直接関係のある事項を政府が尚等閑に 付せられている点であります。折角公務員のこれら諸般の体制を民主主義に整えましても、これらの生活の安定と、その地方自治体におきまする公正妥当な公務員の職務の遂行に後顧の憂いのないこれらの裏付を政府が特に強力に與えなければ、折角の立派なこれらの公務員法ができ上りましても、(拍手)これは画龍点睛を欠くことを特に憂えるのでありまして、私たちはこの点を特に政府に要望いたしまして、只今の修正案に賛成の意を表する次第であります。(拍手
  108. 佐藤尚武

    ○団長(佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案の表決は記名投票を以て行います。委員長の報告は修正議決報告でございます。委員長報告通り修正議決することに賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上御投票を願います。氏名点呼を行います。議場の閉鎖を命じます。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  109. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 投票漏れはございませんか……投票漏れはないと認めます。これより開票いたします。投票を計算いたさせます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  110. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 投票の結果を報告いたします。投票総数二百二十票、   白色票即ち本案を可とするもの二百十票、青色票即ち本案を否とするもの十票、よつて本案は委員会修正通り可決せられました。(拍手)      ——————————  賛成者(白色票)氏名     二百十名       結城 安次君    山川 良一君       山内 卓郎君    山崎  恒君       村上 義一君    溝口 三郎君       前田  穰君    堀越 儀郎君       藤森 眞治君    藤野 繁雄君       久松 定武君    早川 愼一君       波多野林一君    野田 俊作君       西田 天香君    徳川 宗敬君       伊達源一郎君    高橋 道男君       高橋龍太郎君    高田  寛君       高瀬荘太郎君    高木 正夫君       鈴木 直人君    杉山 昌作君       新谷寅三郎君    島村 軍次君       西郷吉之助君    小林 政夫君       小宮山常吉君    楠見 義男君       木下 辰雄君    河井 彌八君       片柳 眞吉君    柏木 庫治君       加藤 正人君    加賀  操君       奥 むめお君    岡本 愛祐君       岡部  常君    梅原 眞隆君       草葉 隆圓君    尾山 三郎君       長島 銀藏君    宮本 邦彦君       秋山俊一郎君    高橋進太郎君       仁田 竹一君    上原 正吉君       宮田 重文君    池田七郎兵衛君       石川  弘君    大谷 瑩潤君       深水 六郎君    加納 金助君       鈴木 恭一君    大矢半次郎君       野田 卯一君    植竹 春彦君       岡崎 真一君    中川 以良君       小野 義夫君    鈴木 安孝君       黒川 武雄君    横尾  龍君       石坂 豊一君    岩沢 忠恭君       北村 一男君    中川 幸平君       一松 政二君    橋本萬右衞門君       中山 壽彦君    泉山 三六君       工藤 鐵男君    小杉 繁安君       小串 清一君    飯島連次郎君       伊藤 保平君    井上なつゑ君       赤澤 與仁君    赤木 正雄君       黒田 英雄君    廣瀬與兵衞君       川村 松助君    大野木秀次郎君       杉原 荒太君    長谷山行毅君       愛知揆一君    古池 信三君       加藤 武徳君    平井 太郎君       白波瀬米吉君    山縣 勝見君       安井  謙君    山本 米治君       岡田 信次君    西川甚五郎君       瀧井治三郎君    石村 幸作君       池田宇右衞門君    入交 太藏君       島津 忠彦君    石原幹市郎君       三好  始君    紅露 みつ君       深川タマヱ君    木内キヤウ君       平沼彌太郎君    大島 定吉君       郡  祐一君    竹中 七郎君       谷口弥三郎君    有馬 英二君       油井賢太郎君    西山 龜七君       山田 佐一君    堀末  治君       團  伊能君    寺尾  豊君       櫻内 義雄君    西田 隆男君       中井 光次君    重宗 雄三君       大屋 晋三君    平岡 市三君       左藤 義詮君    小林 英三君       城  義臣君    林屋亀次郎君       櫻内 辰郎君    鬼丸 義齊君       中田 吉雄君    村尾 重雄君       青山  正一君    金子 洋文君       門田 定藏君    清澤 俊英君       藤原 道子君    島   清君       野溝  勝君    加藤シヅエ君       若木 勝藏君    永井純一郎君       三橋八次郎君    原  虎一君       齋武  雄君    高田なほ子君       鈴木 強平君    吉川末次郎君       小林 孝平君    山花 秀雄君       松浦 清一君    荒木正三郎君       菊川 孝夫君    赤松 常子君       深川榮左エ門君    菊田 七平君       山田 節男君    三輪 貞治君       成瀬幡 治君    田中  一君       松永 義雄君    小泉 秀吉君       大隈 信幸君    岩木 哲夫君       岩男 仁藏君    伊藤  修君       波多野 鼎君    小笠原二三男君       吉田 法晴君    駒井 藤平君       小川 久義君    境野 清雄君       木内 四郎君    稻垣平太郎君       江田 三郎君    大野 幸一君       曾禰  益君    中村 正雄君       堂森 芳夫君    梅津 錦一君       重盛 壽治君    東   隆君       森 八三一君    岩崎正三郎君       相馬 助治君    石川 清一君       松浦 定義君    三浦 辰雄君       森下  政一君    椿 繁夫君       岡田 宗司君    小松 正雄君       堀木 鎌三君    松原 一彦君       内村 清次君    小酒井義男君       栗山 良夫君    山下 義信君       田方  進君    矢嶋 三義君       佐々木良作君    木下 源吾君       棚橋 小虎君    和田 博雄君       三木 治朗君    下條 恭兵君       河崎 ナツ君    上條 愛一君       森崎  隆君    平林 太一君     —————————————  反対者(青色票)氏名     十名       細川 嘉六君    須藤 五郎君       岩間 正男君    兼岩 傳一君       千葉  信君    木村禧八郎君       堀  眞琴君    水橋 藤作君       鈴木 清一君    羽仁 五郎君      ——————————
  111. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、最高裁判所裁判官国民審査管理委員の選挙を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  112. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。委員の数は十名でございます。
  113. 小川久義

    ○小川久義君 最高裁判所裁判官国民 審査管理委員の選挙は、成規の手続を省略して、議長において指名せられんことの動議を提出いたします。
  114. 高橋道男

    ○高橋道男君 只今の小川君の動議に賛成いたします。
  115. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 小川君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  116. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。つきましては、議長は大野木秀次郎君、工藤鐵男君、黒田英雄君、相馬助治君、小笠原二三男君、中田吉雄君、尾崎行輝君、鈴木文四郎君、一松定吉君、西田隆男君をそれぞれ最高裁判所裁判官国民審査管理委員に指名いたします。(拍手)議事の都合によりこれにて暫時休憩いたします。    午後六時五十八分休憩      ——————————    午後八時一分開議
  117. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。参事に報告いたさせます。    〔海保参事朗読〕 本日委員長から左の報告書を提出した。日本輸出銀行法案可決報告書      ——————————
  118. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、日本輸出銀行法案(内閣提出衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  119. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。大蔵委員長小串清一君。   —————————————    〔審査報告書は都合により最終号附録に掲載〕     —————————————    〔小串清一君登壇拍手
  120. 小串清一

    ○小串清一君 只今議題となりました日本輸出銀行法案の武蔵委員会における審議の経過並びにその結果について御報告申上げます。  本案は、これまで我が国の輸出貿易、特に設備及び技術の輸出を阻害していた一要因である金融面における険路を緩和するために、新たに政府の出資による独立の金融機関を設置いたそうとするものであります。  その内容を簡単に申上げますと、本銀行の資本金は百五十億円でありまして、本年度一般会計より二十五億円、見返資金特別会計より同じく二十五億円、明年度一般会計より五十億円、見返資金特別会計より五十億円、計百五十億円を出資することになつております。又、本銀行の役職員の任免及び地位、大蔵大臣の監督、予算の編成及び執行、経理その外の面につきましては、能率的な運営を図るようにいたしております。その業務の重点は、国内の輸出業者又は輸出品製造業者に対する貸付又は手形の割引に置かれているのでありますが、外国の政府、地方公共団体、輸入業者等に対しましても、同様な業務を行い得ることとなつておるのであります。  さて委員会の審議に当りましては委員各位より御熱心な質疑と政府より懇切周到なる答弁がありましたが、詳細は速記録によりて御了承を願います。かくて質疑を終了し、討論に入りましたところ、油井賢太郎委員より賛成意見が述べられまして、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定した次第であります。   以上御報告申上げます。(拍手
  121. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 本案に対し討論の通告がございます。発言を許します。兼岩傳一君。    〔兼岩傳一君登壇拍手
  122. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 私は日本共産党を代表して日本輸出銀行法案に反対するものであります。   吉田内相は去る十二月七日突如として全国民多数の熱望いたします中共貿易を禁止し、我が国と唇歯輔車の関係にあります大陸経済から日本を切断いたしたのであります。そしてこの切断によつて生ずる日本経済の打撃、その活路を求めようとしてこの輸出銀行法案を急速本国会の閉会間際に提出いたしましたのみか、私が繰返し要望いたしました大蔵、通産、安本などの当然開かなければならない連合委員会も開かなかつたのであります。しかのみならず、止むを得ず私は安本委員として大蔵委員会に出席いたしまして委員外発言を求めましたところ、先程報告されました小串委員長は横暴にも私の質問時間を僅か十分に制限するというような強圧を加え、これに対して僕は委曲を盡して、以下反対討論でこれから申述べますような重要な内容を僅か十分で質疑を盡させようとすることは極めて非民主的であることを力説し、多少時間の緩和を得まして質問をいたしましたところ、これ又実に驚くべき事柄は、政府委員は大蔵省の局長の政府委員でございまして、私の質問しました四項目に亘る質問に対して、殆んど答弁することもできないというような始末で、暫らく他のほうで私が働いておる間に、いずくんぞ知らん、この会議に強引に提出されてしまつておるどいう始末であります。私はこの日本輸出銀行法案というものが如何に重大な内容を含んでおるかということを以下申上げまして、反対討論にいたしたいのであります。  この輸出銀行というものは、政府説明によりますと、日本の輸出を増進するのだとか、或いは自立経済促進するなどという美辞麗句を弄しまして、我々を欺こうとしているのであります、而も遺憾なことには、衆議院におきましては社会党の諸君もこれに賛成しておられるようでありますが、本案の内容は、全くかような輸出の増進とか官立経済促進などというような言葉とは全く違つた内容を持つているものであります。(「社会党は知つているよ」と呼ぶ者あり)輸出銀行の内容は、東南アジアヘのブラントを輸出するために必要な金融機関であるというふうに説明いたしておられますが、然らば東南アジアの情勢は一体現在どうであるか先ずフイリツピンを見ましよう。フィリツピンではすでに武装農民団フク団によつて面積にして四〇%以上が解放されておる。印度支那はヴェトナム人民軍の手によりまして九〇%以上の面積が解放されておる。(「弾圧されている」と呼ぶ者あり)マレーもその大半が解放されておる。(「弾圧されている」と呼ぶ者あり)更にビルマ又然り。然らば、残されております解放去れてない地域にありますところの政府、これは外国の帝国主義の援助を受けている傀儡政権でありますが、これらのこの憐れむべき傀儡政権は、人民の解放闘争を弾圧して植民地的な支配を維持するために汲々としておるわけでありますが、その結果としてこれらの政権がどのように腐敗堕落しておるかということはここで申述べるまでもありません。而も本案によるこの東南アジアヘのブラント輸出とは、この傀儡政権のために工場設備、資材を輸出しようとするのでありまして、いわばこれらの解放軍を成すところの勤労人民、農民、労働者諸君弾圧のため援助をするという結果になるのであります。而もかようなプラント輸出に使うところの資材、機械、器具その他は、まさに日本の復興のためにこそ必要なものなのであります。この日本の復興のために極めて必要な機械、資材、材料その他を輸出して何を得るかと言えば、独立と平和を希うところの勤労人民の政府弾圧することに援助するということになるのであります。これは曾て太平洋戰争のときに、日本の帝国主義が東亜共栄圏という名の下に南方の諸民族を弾圧したことと全く揆を一にするものであります。而も今日これらの計画は、——後進国開発計画という名の下に大規模な軍拡計画が行われておりますが、その一翼を担い、その下請けをするために、日本日本の国内の復興に必要な、極めて必要な資材をこれらに送り出すということになるのであります。これに対してもくろまれております輸出銀行は何をこれに充てるかと申しますと、人民の貯蓄であるところの見返資金と、直接人民から取上げるところの税金を以てこれに充てるのであります。我々は、我我勤労人民の負担によつてこのような憎むべき陰謀の尻馬に乗つてその解放闘争の進展を阻むことによつて、全アジアの殊に南方の人民諸君から将来の深い恨みを買うと同時に、この日本の輸出いたしました輸出代金が以上述べました政治情勢から代金を拂つて貰えないところの危険性の極めて多いこういう貿易のために、人民の血と汗から出たところの見返資金と税金をこれに充てようというのであります。以上述べました南方諾地域の外の他の地域におきましても、私は説明を時間の関係上省略いたしますが、(「ゆつくりやれ」と呼ぶ者あり)輸出いたしますものの役割、日本のこれによつて負うところの損害、日本の人民が他の人民諸君から恨みを買う、そうして注ぎ込んだ金が不拂いになる危険があるという点におきましては、全く同様でございます。現にインドに対しまして水力発電所一万五千キロ施設のプラント輸出、それからパキスンに対しましては特別型の車輌が百有四十三と言われております輸出が御破算になる、キャンセルされるというような羽目に陷ろうとしていることも、関係の方にはよく御承知のことであります。而も問題は以上述べましたような程度ではなくて、更に問題は深刻な問題を含んでいるのであります。それは、このような、以上述べましたような不利益と困難と暗澹たる條件において、尚我々が努力してこの銀行を通じて輸出を続けて行くという、そういう事柄が、更に我々日本それ自身を外国帝国主義者のもくろんでおります戦争の坩堝の中に投ずるという結果に進んで参るのであります。私は以下その証拠を一、二、上げます。  第一の証拠は、この銀行に対する見返資金七十五億円が日本の見返資金千五百億の五%に当るものであります。ところがたまたまヨーロツパに施されておりますヨーロッパの軍備拡張のためのマーシャル計画を受けておりますこの西欧諸国におきます見返資金の割合が、たまたま約五%だけがそういつた戦略物資の買付費に当られておる。これは果して偶然でしようか。これは故意か偶然か。併しながら故意にしろ偶然にしろ、輸出銀行が、全く戦略的物資の、職事準備のために使われるということの、これで大きなヒントを我々は得ざるを得ない。それから第二の根拠は、第二の証拠は、この法案の第二十條にございます融資期間の問題であります。プラント輸出というような、基礎的な工場の施設を輸出するということで、而も貸付期間が非常に短期である。二十一條を見ますと、僅かに五年に限定されております。五年経てはこの業務が停止されるという意図が明らかになつております。これはこのようなプラント輸出というような遠大な、本当に後進国開発というような性質、言葉が本当に内容と一致するならば、かような短かい貸付期間で物になるわけはないのであります。我々が申上げるまでもなく、事業を営んでおられる方ならばどなたも御承知通り、朝鮮の内職以後、日本経済にとりまして最も重要なことは、輸出でなくて日本の再生産を正しい軌道に乗せて拡大し発展して行くための重工業資源の輸入問題であります。輸出でなくして輸入であります、ところが現在資本主義の諸国の猛烈なる軍備拡張のために、物資の輸入は極めて困難になつておるということは誰知らぬ者もない事実であります。然るに吉田内閣は、日本の全産業を縮小生産とインフレ危機に追い込むよう危険に目を閉じて、何らこの問題に対して本格的な手当をすることをサボタージュするのみか、逆に以上申述べましたような極めて危険な、極めて日本の独立と平和を脅かすような、そういう事柄に力を入れようといたしましておることは驚くべき事実であります。例えばこの輸入問題につきまして、総司令部と長い間の熱心な交渉によつて獲得たいという吉田内閣の御自慢のこのユーザンス制度なるものにいたしましても、現在どうでしよう、その実際の効果は……。業者が注文いたしましてから製品の輸入までに六ヶ月もかかるという実情でございます。而も今日のごとく国際情勢が急激に変化して行く状態において、六ヶ月というのは正に平素の六年間の変化を途げるのであります。而もやつと六ヶ月経つて港に入つて来た船から、それじや荷物が直ぐ卸せるかと言いますと、特需に次ぐ特需、前線の状態の激変によつて特需の状態も上り下りし、それがための輸送の輻湊、そういうことのために、折角港に入つておるのに、日本産業資本家は勿論、労働者諸君の熱望するところの材料を陸の上に揚げることもできないで港に碇泊させられておるというのが実情ではありませんか。従つて政府はこのユーザンス制度なるごとき問題を徒らに自慢をしていないで、もつと輸入の問題については本格的に、資本家のみならず、労働者、農民、全国民の先頭に立つて、この輸入問題を解決すべきではありませんか。然るに私が壁頭申上げましたように、閉会間際になつて、このような内容の極めて反動的な、極めて不健全な内容のものを押し付けて急遽これを通そうとしておることは、実に更にもう一度驚いてもいいような事実であります。(笑声、「見解の相違」と呼ぶ者あり)而も吉田内閣は、このような、なすべからざる輸出のために、力を貸すと同時に、なさなければならない輸入、特に支那大陸、特に中共からの開らん炭及び鉄鉱石、工業塩のごとき輸入を全面的に今回禁止したというのであります。このような條件において、果して日本が縮小生産とインフレの、悪性インフレの危機をなくして、鉄鋼業初め日本の基礎産業を将来発展するように持つて行くということが証明されるでしようが。私はこの証明を委員会において得ようとしたところが、勢頭に申述べましたような状態において、何らの誠意ある回答を得ないのみか、時間を制限され連合委員会も開催されないというような状態に置かれたのであります。これが民主的な日本国会であろうか。輸出銀行の行く道は、日本をアジア諸民族を弾圧するための兵器廠とすることである。そうしてこれと引き換えに、日本の全産業の根幹であるところの製鉄産業及び重化学工業その他の重要物資を外国からみずから切断してそうして今残つておる僅かなものを更に高い値段で太平洋を越えてはるばると輸入し、又それを海外のために塗しく役に立たないことに送り出し、そうして日本を危険な状態に陷れようとしておること、これこそが吉田内閣の正に本質である。自由党の上に固められました吉田内閣が品で如何ようなことを言おうとも、この輸出銀行の政策一つではつきりいたしておりましように、外国帝国主義の召使になつてその下働きを務めておられ、これによつて日本産業日本発展と平和を破滅に陷れようとしているかは極めて明瞭であります。  以上の理由によりまして、日本共産党はこの法律案の通過に絶対反対するものであります。(拍手
  123. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これにて討論の 通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  124. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  125. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 参事をして報告いたさせます。    〔海保参事朗読〕   本日衆議院から左の議案を提出し  た。よつて議長は直ちにこれを大蔵委員会に付託した。   国家公務員のための国設宿舎に関   する法律の一部を改正する法律   案   本日委員長から左の報告書を提出  した。   国家公務員のための国設宿舎に関   する法律の一部を改正する法律案   可決報告書      ——————————
  126. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、国家公務員のための国設宿舎に関する法律の一部を改正する法律案衆議院提出)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  127. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないものと認めます。先ず委員長の報告を求めます。大蔵委員長小串清君。    〔小串清一君登壇拍手
  128. 小串清一

    ○小串清君 只今議題となりました国家公務員のための国設宿舎に関する法律の一部を改正する法律案の委員会における審議の経過並びに結果について御報告申上げます。本案は曾て当院において決議の上衆議院へ回送しまして、今回衆議院がこれを修正可決して本院へ送付されたものでありまして、その内容は、国立国会図書館長、衆議院法制局長及び参議院法制局長の職務の重要性に鑑みまして、今回新たに公邸を無料で貸與いたそうとするものであります。さて本案審議に当りましては、格別の質疑もなく、討論、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。右御報告申上げます。(拍手
  129. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君起立を求めます。    〔総員起立
  130. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。  議事の都合によりこれにて暫時休憩いたします。    午後八時二十八分休憩      ——————————    午後八時四十九分開議
  131. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。  参事に報告いたさせます。    〔海保参事朗読〕 本日委員長から左の報告書を提出した。  昭和二十五年度一般会計予算補正  (第1号)可決報告書  昭和二十五年度特別会計予算補正  (特第1号)可決報告書  昭和二十五年度政府関係機関予算補正(機第2号)可決報告書  特別職の職員の給與に関する法律の一部を改正する法律案可決報告書  健康保険法の一部を改正する法律案可決報告書  外国為替特別会計の資本の増加に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案可決報告書      ——————————
  132. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して昭和二十五年度一般会計予算補正(第1号)、昭和二十五年度特別会計予算補正(特第1号)、昭和二十五年度政府関係機関予算補正(機第2号)、以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  133. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないものと認めます。先ず委員長の報告を求めます。予算委員長波多野鼎君。    〔波多野鼎君登壇拍手〕    〔「簡単々々」「ゆつくりやれ」「まだ三時間あるぞ」「頭がいいのだから簡単にやれ」「余り長くやると、ぼろが見えるよ」と呼ぶ者あり〕
  134. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 只今議題となりました昭和二十五年度一般会計予算補正(第1号)、昭和二十五年度特別会計予算補正(特第1号)及び昭和二十五年度政府関係機関予算補正(機第2号)の予算委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。今回提出の補正予算案は二十六年度予算案と一体的な構想の下に編成されておるものでありまして、その主眼といたしますところは、先ず第一に、国民負担の現状に鑑み、能う限りの減税を行うこと、第二に、輸出の増進等に対処するため、外国為替特別会計の所要資金一般会計から繰入れること、第三に、当面緊要な産業資金の疏通を困るために必要な経費を計上すること、第四に、災害復旧費、失業対策費、地方財政平衡交付金の増額等、この際、必要止むを得ない使途に充てるための所要の経費を計上すること、最後に国家公務員の給與の改善を図ることでありまして、その財源の主なるものは、価格調整費の不用額、一般行政費の節約、租税の自然増収等であります。  今回の補正によりまして、昭和二十五年度一般会計予算総額は、歳入、歳 出ともに三十一億七千余万円を増加いたしまして六千六百四十五億円余と相成る次第であります。次にこの補正予算の内容について、その主なるものを申上げます。先ず歳出予算の補正につきましては、価格調整費において二百六十億円の減少となつておりますが、これは輸入食糧等の海外価格の値下り、銑鉄や肥料の国内価格の引上げ等によりまして、これだけの不用額を生ずるに至つたのであります。次に外国為替特別会計への繰入として百億円が計上されておりますがこれは輸出の伸長に伴い外国為替特別会計において外貨の保有に必要な資金に不足を生ずるので、これを一般会計からの繰入で賄おうとするものであります。即ちこの不足を日本銀行からの借入等の措置によつて賄うことはインフレーシヨンの原因となる虞れがあることを懸念して、特にこれを一般会計からの繰入に待つことといたして、おる次第であります。次に当面緊要な産業資金の疏通を図るために必要な経費として、日本輸出銀行の設立に伴う出資金二十五億円及び中小企業信用保険特別会計へ基金繰入五億円、並びに国民金融公庫に対する出資金の増加十億円等が計上されております。次に災害の復旧につきましては、公共事業費の増加四十一億円のほか、主要農作物災害応急対策費、災害応急救助費、文化財その他官庁建物等災害復旧費をも含めまして、災害関係経費は五十億九千八百余万円を増加することと相成つております。尚、失業対策といたしましては、失業対策応急事業費の増加十九億円及び失業保險費の増加十二億二千六百余万円が計上されております。更に地方財政平衡交付金につきましては三十五億円が増額されておるのであります。最後に国家公務員の給與改善に必要な経費といたしまして三十五億四千六百余万円が計上されておりますか、これは来年一月から月額平均一千円程度の給與の引上げと、半ヶ月分の年末手当の支給をするために必要な金額であります。  次に歳入予算補正の内訳といたしましては、租税及び印紙牧人の自然増加六十八億六千二百万円、終戦処理牧人の増加九十二億二千三百余万円の二つを大宗といたしまして、合計百七十五億四千百余万円を増加計上いたしておりますが、高級煙草の売行き不振等による専売益金の減少七十九億七千四百余万円、所得税を中心として、酒税、物品税等について減税を行いますために六十三億九千七百万円、合計百四十三億七千百余万円を減少いたしておりますので、差引三十一億七千余万円を増加いたしております。次に特別会計予算補正(特第1号)は、今回新たに設置いたすこととなりました特別鉱害復旧及び中小企業信用保険の二つの特別会計と、外国為替外十七の特別会計に関するものでありまして輸出貿易の伸張、米価の改定、国家公務員の給與改善、その他、本予算成立後生じました諸般の事情によりまして必要止むを得ない予算補正の措置を講ずることといたしたものでありまして、その補正の総額は、歳入増加額三千四百三十五億六千有余万円、歳出増加額三千四百三十七億八千八百余万円でありまして、この補正の結果、本年度特別会計の歳入歳出予算の総額は、歳入二兆八百三十六億三千四百余万円、歳出二兆四百十三億九千五百余万と相成りまして、特別会計の数も三十二と相成るのであります。  次に政府関係機関予算補正(機第2号)は、日本専売公社、日本国有鉄道及び国民金融公庫の三機関と、今回新たに設立いたしまする日本輸出銀行に関するものでありまして、これらは、国家公務員の給與改善に準じまする職員給與の改善、鉄道輸送力の増強措置、庶民金融の促進並びに生産設備の輸出促進措置等に伴いまして、予算措置を講ずることといたしておるものであります。  さて、本案の審議に当りましては、十一月二十四日予備審査を開始し、十一月三十日及び十二月一日の両日に亘り公聽会を開き、各界の代表者より意見を聞き、十二月四日、本審査に入りましたが、本審査に入るに先だちまして、今回の補正予算案は昭和二十六年度予算と一体的構想の下に編成されておるという事情に照らして、先ずその二十六年度予算の大綱を政府から聽取する必要があるとの動議に基き、大蔵大臣よりその大綱の説明を問い汁後、審議を進めて参つたのであります。  今委員会におきまする補正予算案に関する質疑応答の大要を述べますれば、  朝鮮動乱以後、勤労者の生活水準は統計資料に基いて見れば漸次低下しておるが、労働大臣はどう考えておるかとの質疑に対し、労働大臣より、動乱直前と直後との関係を見れば幾分の低下は認められるとの答弁に対し、更に生活水準の低下傾向は今後も継続されると思われるが、かく低い水準のまま自立経済に入つて行くことは重大問題である、政府はこれをどう思うかとの質疑に対し、同大臣より、動乱直後においては幾分下つたが、特需貿易の増大等の事情もあるから、今後も低下するであろうという見解に同意し得ない、むしろ向上が予想されるとの答弁がありました。  朝鮮動乱以後、世界的に経済情勢の変つて来ておる現在、歳入促進が特に重要と考えるが、政府の対策如何との質疑に対し、周東安定本部長官より、政府としても誠に同感であつて、その対策としては、輸入手続を簡便にし、又外貨使用の許可範囲を決定するに際しては、従来その期中に入つて来る外貨を限度としていたことを改めて、年度を通じてバランスがとれればいいという方法でやつて行く等の処置によつて輸入の促進を図つているとの答弁があり、又将来物資不足から生ずる国内物価の値上りの対策として何らかの統制をなす意思ありやとの質疑に対しては、同長官より、曾つての非能率的な統制な考えていない、政府としては物資需給の調節を図ることに努める考えで、例えば特定の物資政府が一定量を保有して不足を緩和するという方法をとる意図でその実施の準備中であり、恐らく本件は明年度予算面に現われるであろう、又万一不当な値上り等があつた場合の処置としては、先般繊維製品に対してとつた処置と同様の措置をとるとの答弁がありました。  文部行政の基本的方針に関するものであるが、旧憲法の教鞭を何十年となくとつていた各大学の教授をして新憲法の講義を引続きなさしめていることは無理であり、奇少年指導の立場からは、新憲法の精神を体得している教授を以て充てるべきと極り。政府は旧憲法教授を教壇から引かしむる意思はないかとの質疑に対しては、天野文部大臣より、旧憲法を教えていただけの理由を以て新憲法の教授として不適任とは考えない旨の答弁がありました。  対日援助資金に関連し、国内産業資金の供給に如何なる方策を考えているかと質疑に対しては、大蔵大臣より、日本の金融機関は現在殆んど商業金融機関となつており、長期金融が不十分であるに鑑みまして、輸出に対しては輸出銀行を設立し、農林漁業にも長期金融を図り、又工業金融には興銀中心で行くか否かは目下検討中なる旨の答弁があり、次に見返資金の問題については、グレイ報告によつて 一九五一—一九五二会計年度以後、対日援助資金は不用であると勧告せられた旨新聞を通じて承知しているが、政府としては明年度尚一億ドルを期待している。若しその期待が外れる場合においては、国内金融上例えば造船等の資金に困難を来す、それで見返資金の債務償還はこのまま持越して留保して置く考えであるとの答弁があり、更に見返資金の運用に当つて資金を多額にとどめて置くことは、クツシヨンの役割を果すためと言われているが、例えば警察予備隊経費に充当したように、国際情勢の推移に備えるためかどかとの質疑に対し、大蔵大臣より、一部には再軍備とか警察予備隊の拡充とかに使うのではないかと考える向きもあるようだが、政府としては全然さようなことは考えていない、援助資金がなくなつた場合を考えているのであるとの答弁がありました。  政府は米価政策についてどういう考えを持つているかとの質疑に対し、大蔵大臣より、生産者価格は一応五千五百二十九円として予算に組んでありますが、最終的には米価審議会答申を待つて決定される、又消費者価格は十キロにつき現行の四百四十五円を五百二十円に引上げる予定でありますが、政府の方針としては、明年は政府の買入価格を六千百円くらいに見ており、かくして漸次国際価格にさや寄せして行く考えでいるとの答弁があり、又続いて、生産者価格を上げるのはよいが、消費者価格は引上げないほうがよいと思うが、政府所見如何との質疑に対し、大蔵大臣より、生産者価格を上げて、消費者価格を下げるというのは無理であつて、消費者価格を引上げても減税によつて充分カバーできるとの答弁がありました。  朝鮮動乱に中共が介入して成行きが懸念されているが、政府はこの成行きをどう見るかとの質疑に対し、総理大臣より、朝鮮動乱は中共介入によつて危険な様相を呈しているが、私はこれが第三次大戦に発展するとは考えていない、勿論昨今の英米両国首脳の会談や国連の協力等の結果を見ねば何とも言えないが、何人も第三次大戦を惹き起す責任をとることを欲しないであろうし、又その渦中に巻き込まれることを欲しないと思われるので、希望的観測であるが、成る程度のところで落着くのではないかと思うとの答弁がありました。  政府経済自立計画の目標はどこにあるのかとの質疑に対し経済安定本部長官より、適当な国民生活の水準を維持しつつ国際収支の均衡をとることが自立経済の目標であるとの答弁がありました。  警察予備隊の経費を警察予備隊令で債務償還費の中から移用したことについて、今回の補正予算国会の議決を経る手続をとつていないのは、国会予算審議権を無視するものではないかとの質疑に対し、大蔵大臣から、予備隊の経費は法律に代るべきポ政令で移用の措置を講じたものであるから、国会の議決を要しないとの答弁がありました。  国家並びに地方公務員生活を安定せしめるため、人事院勧告の実施は絶対に必要と思うが、政府所見如何との質疑に対し、総理大臣より、公務員の給與はできるだけ改善したいと思うが、現在の財政状態では政府案による以外方法がないとの答弁がありました。  地方財政委員会は地方財政平衡交付金八十八億円の増額と地方債発行額百九十五億円の増額とを要求しておるが、政府はこれを検討したか、したとせばそれを承認しなかつた理由如何との質疑に対し、大蔵大臣より、地方の歳入についての見通しが付かなかつたのは遺憾であるが、国の財政としては許す限りの交付金を計上した、尚、地方起債についてはその枠を四百二十億円にすべく努力したが、三百七十億円に決定を余儀なくされた、但し実質的にもつと枠を拡大する方法について研究しているとの答弁があり、六十四億円の減税は單なる税法上の減税であつて国民の税負担は実質的には少しも軽減されないではないかとの質疑に対し、大蔵大臣より、本年度は昨年度に比し消費者物価指数が下つているので、今回の減税で国民の負担は軽減するとの答弁がありました。  朝鮮動乱の勃発を契機として日本にはインフレの危険があると言われておるが、そのインフレは曾てドツジ氏が指摘した消費インフレではなく、特需、ユーザンス、即ち貿易関係に原因があるのであるから、いわば貿易インフレと称すべきだ、従つて今言われておるインフレの危険解消には輸入を増大しなければならぬと思うが如何との質疑に対し、大蔵大臣より、輸入の増大の必要なことはしばしば言つておる通りであり、その対策として輸入を促進しておるので、第三、第四・四半期には輸入増大を大いに期待しておるとの答弁がありました。  最後に、委員長より、本委員会審議の経過に徴し特に緊要と認めた二つの事項に関し政府に対して質問をいたしました。  その一つは号俸調整問題で、癩、結核等の病院その他特殊の職務に仕事する公務員の給與は、従来一般職員に比し高かつたのであるが、今回の給與の改訂によつて一般公務員と大差がなくなる、その金額は国家予算のうちにおいては九牛の一毛に過ぎないのであるが、それを節約することによつて失うところは誠に大きい、政府はこの特殊勤務者の給與について特別の措置を講ずる必要があると思うがどうかとの質問に対し、大蔵大臣より、特殊勤務職員の給與の不利となる点については予算の執行においてできるだけの調整を図りたいと答弁があり、又義務教育費の国庫負担金の不足分に関する経費の問題について、これは政府法律上の義務はないけれども何とかして出したいと思つて研究中との答弁があつたが、この問題の解決の方法及び方向を示されたいとの質疑に対して、大蔵大臣よ力、御尤であるので政府が地方に貸付けておる十八億円の回収と見合せて解決したいと考えておるとの答弁がありました。  その他現下喫緊の重要諸問題について質疑応答がありましたが、それらの詳細につきましては速記録によつて承知を願いたいと存じます。  以上予算委員会における審議の概要か申述べましたが、その審議の途中において文部委員長より、同委員会の申合せに基き、前年度の義務教育職員に支給せられたる年末手当の半額七億二千七百万円については、これを国庫から支出するよう予算委員会として善処されたき旨の発言があり、又地方行政委員長より、同委員会の決議に基き今次の補正予算に計上せられたる地方財政平衡交付金の三十五億円は、地方財政現状に鑑み少額に過ぎるので、更に増額計上せらるるよう考慮を乞う旨の発言があり、更に人事委員長より同委員会を代表し、政府提出の国家公務員の給與改訂案は人事院勧告の主旨に副わざるにつき、給與べースは人事院勧告通りとし、年末手当は一ケ月分に、療養所その他特殊職務に勤務する職員の号俸調整から生ずる不当の点を改むるよ識力ありたき旨の発言がありました。よつて本委員会といたしましては、これら他の委員会からの申入れについて、その趣旨を体し、審議を進めるよう努力いたしました。  これを以つて質疑を終了し、討論に入りました。先ず羽生委員より日本社会党を代表して反対、山本委員より自由党を代表して賛成、東委員より第一クラブを代表して反対、伊達委員より緑風会を代表して賛成、水村委員より労働者農民党を代表し一、反対、岩間委員より日本共産党を代表して反対、最後に櫻内委員より国民民主党を代表して反対の旨を述べられました。  かくて討論を終局し、採決の結果、本委員会に付託せられました昭和二十五年度予算補正各案は多数を以て可決すべきものと決定いたしました。  右御報告申上げます。(拍手
  135. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 各案に対し討論の通告がございます。順次発言を許します。木村禧八郎君。    〔木村禧八郎君登壇拍手
  136. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 私は労働者農民党を代表いたしまして、只今上程されました二十五年度補正予算に対しまして反対の意思を表明するものであります。  反対の理由の第一は、この二十五年度補正予算の提出の仕方です。参議院に提出した仕方が極めて不完全であつたという点でございます。池田大蔵大臣も財政演説で申述べておられるように、この二十五年度補正予算は二十六年度の予算と合せて、いわゆる十五ケ月予算として一体的構想の下に編成したのであると言われておりますが、その十五ヶ月予算の本体となるべき二十六年度予算は我々に十分に示されておらないのであります。我々予算委員会におきまして、先ず二十五年度補正予算を我々が審議する前提として、象の尻尾だけではなく、象の胴体です、これを示して頂きたい、そうでなければ予算審議に非常に差支えるということを要求いたしたのであります。大蔵大臣はこれに対して最初は御答弁なさらなかつたのでありますが、後において極めて粗雑にそのあらましを我々に示したのでありますが、併しながら我々はその全貌を知ることができなかつた。部分的に象の足の爪先とか、或いは象の耳とか、その程度であつて、総合的にこれを十五ケ月予算として我々は検討することができなかつたのであります。これは大蔵大臣に私は責任があると思う。ただ形式的にこれが十五ヶ月予算として編成されているのなら、これは止むを得ないかも知れませんが、この二十五年度予算を審議して行く過程において、いわゆる野党懇談会におきましては、何とかこの予算をもつとよく、働く者の、勤労大衆のためによく改正しようとして、修正しようとして、いろいろ努力折衝したのでありますが、その過程において、この二十五年度補正予算が厳しく二十六年度予算と繋がつておるということが分つたのであります。例えばこの補正予算を修正しようとする場合、我々は財源を見付ける、その財源を持つて来ると、それが二十六年度予算に繋がつているのです。従つて二十六年度予算がどういうものかということがわからないで、二十五年度補正予算、来年の一—三月予算だけを我々が模索して見たところで、との予算の影響というものはわからないのであります。而もこの補正予算を我々が承認いたしますと、十五ヶ月予算の前提がこの補正予算に織込まれておるのでありまして、従いまして二十六年度予算を我々が承認せざるを得なくなります。例えば予算の編成の基礎になつております米価にいたしましても、税制にいたしましても、給與ベースにいたしましても、これは二十六年度予算に皆繋がつておるわけであります。特に税制におきましては、先ほど所得税の改正の反対討論の場合に申述べましたが、一応形式は一—三月となつておりますが、これが二十六年度にそのまま延長されて行くことになつておるわけであります。従いまして、この際我々がそれに賛成すれば、二十六年度の税制の審議に当つて我々は実質的に拘束せられ、占領下における財政の編成及びその実施に当りまして、これが非常に嚴しいことは、身を以て我々が体験いたしているところでありまして、一応これが形は二十五年度の補正予算という形ですけれども、二十六年度予算と密着しているのでありますから、又それとの関連においてOKを貰つておるのでありますから、ここにおいて二十五年度補正予算が修正できないということになると、二十六年度予算審議において非常な窮地に追い込まれるわけであります。給與ベース、税制、米価、これが二十六年度においてそのまま延長して変えることができない。こういう我々は拘束を受けるのであります。ドツジさんが参りまして、非常に従来の日本予算編成の仕方から見れば変則でありますが、いわゆる十五ヶ月予算というものが、やや長期的の予算が示されたのでありますけれども、これは従来の予算編成方針とは余ほど違います。違いますぶ、これは実際にやつておるのでありまして、従つて我々はこの予算を審議する場合に、これまでのように政府が瞞されてはいけないと思うのです。これが二十五年度の補正予算である。金額は小さいように見えます。併しながらそれが二十六年予算に厳しく繋がつておるという意味におきまして、二十六年度予算が、又二十六年度の税制がどうなつているかということが明らかにされないで、象の尻尾だけを審議して満足しているのでは、我々国会議員として、又予算委員として、これは世界或いは専門家の笑いを招くものと思うのであります。(「心配いらんわ」と呼ぶ者あり)こういう意味におきましてこの予算提出の仕方が極めて遺憾であつた。非常に不完全であつた。従いまして我々は国民に対して二十五年度補正予算を十分に完全な形で審議したと言うことはできないと思います。そう言えない。若しそういうことができると言う人があつたならば、それは私は前提が間違つているのだと思う。これが私がこの二十五年度補正予算に反対せざるを得ない、非常に遺憾ながら反対せざるを得ない第一の理由であります。それから第二の理由は、この二十五度補正予算の内容が著しく非民主的であつて非常に非公正的である。大衆の生活を犠牲にしましてそうしていわゆる資本蓄積が強行される形になつておりまして、今そういう形の中から治安対策費が捻出されておる。そういう点であります。これを更に具体的に申しますれば、先ほども申上げましたように、補正予算の編成の基礎になりました米価、それから税制或いは給與ぺース、この三つの柱の上に二十五年度補正予算が組まれておるのでありますけれども、この三つの柱の米価を例にとつて見ますれば、只今予算委員長が説明されましたように、消費者米価が十キロ当り現行の四百四十五円が五百二十円になつておる。一升につきまして約十一円の値上りになると言われております。輸入米につきましては、四百五十五円が四百六十円、米についてはこのように消費者価格は上ります。併し小麦粉は現行の四百二十五円がやはり据置の四百二十五円、精麦も四百円で据置になつておりまする。麦は据置、お米の消費者価格は相当上る一升について約十一円上る、こういうことになつておる。予算委員会におきまして、なぜこういうふうにお米の値段を相当上げ、麦の方はこれは据置くのであるから、そういう主食の価格体系をとられるのかという質問に対しまして、大蔵大臣は、日本の最近の食生活は不自然だ、例えば予算書に書いてあるところによりますと、米と麦との比価が従来余りに接近し過ぎて経済の実情に副わぬ点があつたので、そのように是正する方針がとられた、こういうことがお米の値段を相当上げて、麦の値段を据置いた、こういう一つの理由になつておる。併しこれだけでは我々よく分りませんので、具体的に大蔵大臣に、それは一体具体的にどういうことであるかということを質問したわけであります。これに対して大蔵大臣は、それは古来の食習慣に戻ることであるという御答弁でありました。古来の食習慣に戻るということは一体どういうことであるかと聞きましたならば、所得の多い人は米を食べる、所得の少い人は麦を食べる、こういうような昔の食習慣に還るという(「鶏だ」「徳川時代だ」と呼ぶ者あり)こういうことがあつたのであります。これを更に極端に言いますと、殊に農業家などにおきましては、昔の食習慣としては粟とか、稗、こういうものを農家は食べている。戦争以後です。いわゆる食糧統制、主食の統制になつてから農民の人たちも米を食べるようになつた。その結果、食糧慣は非常に変つて参りました。非常に民主的になつて、重役さんも、課長も、一般社員も同じようにお米を食べられるようになつた。これは民主的だと思うのです。誰だつて白いお米は食べたいに違いない。人情として……。そういうようにするのが民主的であります。それを逆転させて古来の食習慣……所得のある人はお米を食べられるように、所得の少い人はお米を食べられないように米価を引上げて、小麦で我慢するように、麦で我慢する、こういう主食の価格体系をとつたのであるこういう御答弁なんです。これはですね、私は大蔵大臣の表現の仕方がまずかつたのかも知れませんが(「ノーノー」と叫ぶ者あり)その基本の考え方について私は非常に非民主的ですね。後に触れたいと思いますが、給與ベースの上に厚く下に薄い、こういう姿と非常によく似ている。昔の習慣に還る。それは封建的な、太平洋戦争に導いた軍国主義的な、封建的な昔の食費慣に還る、(「その通り」と呼ぶ者あり)これは私は重大な所見だと思いましたが、そういうような基礎の下に二十五年度補正予算等を編成する重要な條件である消費者米価が決められて行くことになりますと、我々は承服することができないと思います。(「賛成」と呼ぶ者あり)  第二に、二十五年度、補正予算を作るに当りまして、第二の柱です。これは税制改革であります。政府はこれまで減税を主張して参りました。我々がこれまで聞いたところ、又或いは新聞で承知したところによりますと、減税は予算上の減税というように我々は聞いておつたのですが、大蔵大臣は、自分けそういうことを言つたことはないと言つておりますがいつの間にかこれが税法上の減税ということになつて参りまして、そうして、それは実質的な減税とすり替えられておる。こういうふうに我々は感じられるのであります。大蔵大臣はしばしば税法上の減税という言葉を発言されましたが、これは所得を多く見積れば幾らでも税法上の減税はできるわけであります。所得の自然増收というものを人為的にこれを増せば、幾らでも税法上の減税はできるわけであります。これなどはもう数字の魔術に過ぎない。三歳の童子といえども、このようなことはわかるはずであります。こういうような減税の仕方であります。更に又減税のこの内容を見ますと、やはりここにも消費者米価を決めた根本の考え方と同じことが使われてある。例えば高額所得者に対しては、これは五十万円から以上は五五%であつたが、百万円超過五五%にしまして、五十万円以上更に税率を下げた。成るほど低額所得者にも減税を率として均霑さしておりますけれども、それと同時に高額所得者のほうを減税している。更に又法人税の自然増収の見積りにおきまして、政府は非常に過少に見積つている。その自然増収の見積りの基礎につきましても非常に機械的であつて、前年同期との比較においてやつている。御承知のように特需景気で、或いは輸出景気で法人は非常に沢山に儲けておるのでありますが、この前の税制改革によつて法人は三割五分しか、幾ら沢山儲けても税金はかからぬ。累進課税にならない。その上、地方税におきまして、いわゆる住民税の所得割がなくなりましたから、非常に法人は又減税されておるわけです。例えば東京都においてこれまで住民税を百万円納めた法人はたつた二千四百円でよい。地方税においても大減税、中央の税制においても大減税する、こういうような税制になつておる。これなどは今度の補正予算におきましても、何とかこの法人の自然増収が相当ありますから、これを財源に見積つて、そうして年末手当半ヶ月をせめて一ヶ月にする。或いは又調整号俸の切下げ、これを元通りにする、そういうものの財源によつて我々は向けたいといろいろ研究しましたが、それも不可能であつたのでありますけれども、この政府の言う二十五年度補正予算の減税というものの中身は、やはり上に厚く下に薄いのであります。  もう一つの二十五年度補正予算を編成した柱になつている恰與ベースである。これについては上に厚く下に薄いということが非常に論議の種になりまして、これは又計数的にもはつきりしておる。現行の給與の基準におきましては、この給與の低額者と高額者との開きが七・〇一倍であつたと思いますが、人事院勧告ほこれが七・二三倍、政府改正案によれば八・三三倍になる、低額の一級一号の二千四百円の人と、局長給の十四級六号、この給與との開きが非常に拡大された。その理由として、だんだん経済も安定したから、能率的な給與の体系に切替えて行く、そういうことが理由になつておる。決して我々はその考え方に反対するものではありませんが、日本現状においてまだそういうふうな体系に切替えるには早い。大衆の生活は決して安定していないと思う。これなども消費者米価の改訂或いは税制の改正、その基礎になつた上に厚く下に薄いというこの根本的な非民的な考え方、この基礎に立つて給與ベースが考えられています。  このように二十五年度補正予算を編成したその三つの柱であります米価、税制、紬與ベース、この三つとも、その中味を段々検討して行きますと、著しく非民主的である、非公正的であると思います。このような基礎の下に二十五年度補正予算は編成されているのでありまして、我々はこの民主的な時代において、それと全く逆行するような予算の編成の仕方、これに対しては絶対に承服できないのであります。(拍手)こういう形において朝鮮動乱の影響が二十五年度予算に具体的に現われている。政府は臨時国会を召集する時期が遅れたりは、朝鮮動乱の影響、その推移を見て補正予算に反映させる必要があつたから国会召集が遅れたのだと、こう言われましたが、そうして、その影響はどういうふうに織込まれたかといえば、只今申述べましたように、補正予算を編成する三つの柱が上に厚く下に薄いように編成された。そういう形において朝鮮動乱の影響は織込まれた。そういう形で国民生活に及ぼす影響は極めて深刻であると思うのでありますが、そういう形で国民生活が深刻になり、治安が乱れれば、これに対してどういう治安対策をとるか。吉田首相に私は朝鮮動乱の影響或いはその対策として何に重点を置いて考えられたか質問いたしましたところ、吉田総理は、治安の問題については一番真剣に考えている、こういうふうに言われました。その治安対策について法務総裁にお伺いしたのであります。その内容は、警察予備隊その他警察的なものの強化なのであります。こういう形において、一方では大衆の生活を窮乏に陥れ、そうしてその犠牲において資本の蓄積をやる、その犠牲となつて大衆は騒ぐ、不安を感ずる、そういう場合には予備隊その他の権カ、そういうものを以てこれを抑える、これが吉田内閣の治安政策であります。朝鮮動乱の影響をこういうふうに織込んでおる。こんなに非民主的な私は予算の編成の仕方はないと思うのであります。これが二十五年度補正予算に反対せざるを得ない第二の論点でございます。第三の反対論は、政府は、ドツジさんが参られまして折衝した結果、インフレ対策としていわゆる百億のインベントリーを行いまして、そういう形においてインフレを防止する、こういう政策をとりましたが、先程波多野委員長も述べられましたように、朝鮮動乱の結果として起る可能性のある、又起りつつあるインフレは、これは貿易インフレなんです。従つて輸入を増加する形においてこれを防止しなきやならないのに、国民大衆の税金をユーザンスという形において外国為替特別会計にこれを繰り入れる、こういう形でインフレ防止をやつて、これが大衆の犠牲になつておる。見当違いのインフレ防止対策になつておるのです。こういうことが背景にあつて二十五年度補正予算が編成された。とれにも我々は反対なんです。更に第四として資本蓄積の問題でありますが、池田大蔵大臣は財政演説で貸本蓄積を強調されましたが、我々も貸本蓄積に決して反対するものではないのでありますけれども、資本蓄積のやり方です、方法が著しく非民主的である。原始的な資本蓄積のような形で著しく残酷な形において行われておる。戰前の非常なチープ・レーバー、そういうような形において、そうして資本を蓄積しておる、こういう形、これが二十五年度補正予算にはつきりと現われておる。(「さつきのペルはでたらめだぞ」「頑張れ」「まだ五分以上あるぞ」と呼ぶ者あり)更にこの補正予算に(「陳謝させろ」と呼ぶ者あり)反対せざるを得ないのは地方財政です。地方財政要求が、これが無税されておる。これにつきましては非常に論議されまして、今私が又ここで繰返す必要はないと思います。政府は誠意を以てこれを考えない。無視したんです。こういうことは来たるべき地方選挙に相当私は影響すると思うのでありますが、政府はこの地方の要求も無視して、而も予算の公聴会におきましては、この地方財政の逼迫の折柄、地方財政に対して政府は相当これを、いわゆる平衡交付金の増額をすべきであるという公述人が多かつた。公聴会というものを、そういう制度を設けながら、これまで公聴会の非常にまじめな正しい意見はちつとも反映されていない、或る公述人は、このような飾り物のような公聴会では、我々が来てお話するのは無意味である、民主的ということを偽装するための飾り物に過ぎないような公聴会では、我々真剣に来て陳述する勇気を失うと、こういう公述人があつたのです。(拍手)輿論をちつとも反映させないこういう予算編成というものは、我我は賛成できないのであります。  以上が二十五年度補正予算に反対する論拠でありますが、これを要するに、二十五年度補正予算に現われた根本的な政府の考え方、一貫して現われている考え方は、ドイツの農民の話によく似ていると思うんです。シユタウデインガーといろ人が経済の道徳的基礎という本の中で、ドイツの成る農民が自分の持つている馬を苦痛に堪えない程これを撲つて、馬が暴れ出した、その馬を、この馬は言うことをきかないから怪しからんといつて屠殺場に連れて行つてしまつた、こういう話があるんです。吉田内閣の政策はそれと同じであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)二十五年度補正予算に現われておるところの、この貫いておる政策はそれであります。朝鮮動乱の影響を反映させたと言いましたけれども、米価にも、税金にも、給與にも、上に厚く下に薄い、大衆の生活を窮乏に陷れて資本蓄積をするということ、そのために大衆が非常に不安になり、それで治安が乱れて来ると、この馬は暴れる、言うことをきかないからといつて屠殺場に連れて行く、これに類するようなことではないかと思います。原因ほどちらにあるのか。騒ぐ原因は、治安が乱れる原因はどこにあるのか。その中で暴動が起つたり、社会が乱れたりする場合、その責任は歴史上多くの場合は支配者側にあるということを一言つたのは、誰あろうアレキサンダー大王であるということを、(笑声)このシユタウデイソガーという人は述べておる。政治の支配者は、政治の局に当る者は、この点を考えなければならないと思うのでありますが、吉田内閣の政策を一貫するものは、ドイツの農民が、自分の持つておる馬を苦痛に堪えない程これを撲つて、叩いて暴れ出した場合、これは言うことをきかない、これは従順でない、役に立たないといつて屠殺場に連れて行つてしまうのと揆を一つにするものではないか(「ノーノー」「その通り」と呼ぶ者あり)と思うのであります。そうして、そういう考え方を道徳的に合理化し裏付けするために君が代を復活させたり、日の丸を復活させたり、これは訓育道徳そのものであります。馴らす道徳、犬や猫を飼い馴らす道徳であります。(「何を言つておるか」「予算のことだ」と呼ぶ者あり)こういう基礎に基いて二十五年度補正予算が編成された。而もこれは厳しく二十六年度予算に連なつておるのでありまして、この重大な意義を持つ予算に対して我々は絶対に反対せざるを得ないのであります。(拍手
  137. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 岩間正男君。    [岩間正男君登壇拍手
  138. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は日本共産党を代表して本補正予算に反対するものであります。  本補正予算をその一環とするいわゆる十五ヶ月予算とする、いわゆる十五ヶ月予算なるものの編成は、根こそぎ自主性を喪失したものであり、日本語で綴られた外国予算に外ならないのであります。而もこの予算編成の実権を握る外国そのものが、今や国際情勢の急転回を前にして大動揺し、政策方針の見通しを失つていることも周知の通りであります。さればこそ二十六年度予算は今日に至るも遂にその全貌を現わすことができなかつたのであります。朝鮮戦局が如何なる経過発展を辿つているかは、私が論証するまでもなく日々の新聞が覆うべくもなくこれを示しているのであります。アジア人民闘争の勝利、帝国主義者のアジア大陸よりの敗退はもはや覆うべくもない事実であります。單にアジアにおいてのみではない。朝鮮における中国及び朝鮮人民の不抜の勝利の成果として、いわゆる西欧ブロツク諸国の間にも大動揺が起り、世界最大の支配的帝国主義は、アジア人民からのみならず、その子飼いとみなされて来た西欧諸国からさえも孤立しつつあることは、最近の央仏外相会談或いはトルーマン大統領の原爆声明に対する全欧洲諸国の反響等によつて、何人も疑い得ない事実となつて今や現われておるのであります。その結果、━━━━━━━とその出先軍部との間における意見の不統一も窮われるところであります。━━━━━━━━━━━第一に、━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━依然として第一義とし、又絶対的なものとみなす見解と、第二には、西欧ブロツクの軍拡、そのための軍事援助政策の強化を第一義とし、日本の役割を従属的なものに考え、具体的に申しますれば、西欧諸国への援助費目億ドル増額に反比例しまして、日本に対する援助費は二十六年度一億ドルにこれを削減し、それ以後はこれを全部打切ろうとする、この二つの見解が対立していることは周知のことになつているのであります。この二つの見解矛盾は、徹頭徹尾━━━━━一切の犠牲負担を背負わせることによつてのみ━━を依然として反ソ反共の兵站部として又肉弾として役立たせようとすることによつて解決されんとしているのであります。(「何を言つているのだ」と呼ぶ者あり)その結果、十五ヶ月予算は、不可避的に、第一に戦争協力の司軍備予算であり、第二には人民大衆に対する超収奪予算とならざるを得ないのであります。━━━━━━━━━━━目的はまさにここにあり。如何にして援助資金打切り後においても━━━財政経済を依然掌握し、これを━━━大軍備拡張の目的に奉仕させ得るだけの態勢を確保することにあつたと見られるのであります。併しながら一本━━━━━━━━何ものであるか。それは何かのために、誰に対する援助であるか。明らかなことは、少くとも━━━人民大衆にとつてこれは隷属化と收奪化以外の何ものでもないということであります。それ故に英国労働党在米国対英援助の停止を要求しており、ナナ通信におけるピアソン氏の報道によりますれば、イタリアの町の辻々には、「悪魔よ出て失せろ、金を持つてさつさと帰れ」と書いたポスターが貼りめぐらされておる。ピアソン氏は、この「さつさと帰れ」とは━━━━━━意味すると註釈を付けておるような事態も起つておるのであります。フランスにおいても、労働階級は、援助資金は大資本家と反動勢力の援助になつたかも知れないが、我々労働者の賃金は下つたではないかと言つておるのであります。━━━━━━━━━━━━━奴隷化し、収奪を強化し、日本産業を外国の軍拡のための下請けにする挺子であつたのであります。━━━━━の目的は、この挺子に代つて見返資金制度の存続と活用を強化することにあつた。即ち第一に、外国為替特別会計その他の一般会計即ち税金から金を繰入れ、見返資金が今まで引受けていたところの短期証舞を返済し、見返資金の運用余力を増大させること、第二には、産業合理化資金の名の下に日本産業設備を帝国主義の軍事規格に改めさせること、第三に、十五ヶ月予算を通じて一千億の債務償還費を計上し、新たに預金部資金手持ちの国債を見返資金を以て償還させることによつて日本人民の零細資金にも紐を付け、その用途を左右すること、第四に、分断を條件に電力に見返資金を投じ、日本電力事業の実権を外国独占資本に譲り渡し、これを挺子として全産業を支配せんとする意思は明かであります。(「寝言を言うな」と呼ぶ者あり)だが諸君、見返資金とはそもそも誰の金であるか。これは言うまでもなく、国民の税金をその主内容とするものである日本国民の蓄積資金であることは明らかであります。それ故に、見返資金に紐を付けられるということは、自分の繩を他人に渡して自分の頸を締めさせることを意味するに外ならないのであります(拍手、「そうだ」「ノーノー」と呼ぶ者あり)そこで私は先ず第一に、十五ヶ月予算が戦争協力軍拡予算たるの事実を明確に指摘せねばならないのであります。このことは予算面に必らずしも現われない又強いて現わさない一切の政府の政策方針を一貫してますます露骨になりつつあるところであります。例えば朝鮮作戦に—————を具体的に動員している事実は、誰が何と言いくるめようと国際的に証明されたところの事実ではないか。朝鮮民主主義人民共和国の外相朴憲永氏━━━━国際協定、国連憲章を破つて、京城、鉄原地区等の戦闘に旧日本軍人を使用し、李承晩の第七、第八師団に日本軍人多数を参加させていることを指摘し、国連に抗議しておるのであります。更に職安には、何者とも知れぬ周旋人の手によつて誘拐された自由労働者を朝鮮に拉致した数々の事実を誰が否定し得るか。それだけに止まらず、史に国内治安の名の下に警察予備隊を作り、(「よくそんなことが言えたね」「共産党は何をやつた」「ソ連でやれ」と呼ぶ者あり、笑声)公然として再軍備をおつ始めておるのであります。この警察予備隊は、国内治安とはおよそ縁の遠い機関銃、バズーカ砲等の重火器によつて武装され、而もその訓練は外国軍人によつて指導され、服装も用語も教科書もすべて外国式である。このように戦争協力、再軍備予算たることは、内外市国主義者が日本において強行しつつある一切の財政経済政策に一貫して現われているところであります。十五ヶ月予算という大氷山のほんの一角に過ぎない本補正予算にしてからが、頭隠して尻隠さずで、至る所にてのしつぽを出しておるのであります。例えば輸出銀行法がその一例である。帝国主義者と、その傀儡吉田内閣は、中国の隆々たる工業建設を妨害せんとし、対中共貿易禁止の暴挙を行い、誰も喜ばない米国及びドル圏との不利益な反ソ反共貿易日本産業界に強要した。これは始めから損するにきまつているところの貿易であります。輸出銀行は、まさにこの反ソ反共の貿易金融の尻拭いをするために、国民の税金から七十五億、同じく国民の税金に外ならない見返資金から七十五億、合計百五十億の国民負担において強行しようという代物であります。━━━━━━又ポツダム宣言や初期の対日管理方針とは全く違つた━━━の或る一国の新たなる戦略目的のために使用されようとしておる。米国第八十一議会下院歳出委員会における証言おいて、前陣軍衣官ヴオルヒーズ氏は、ゲーリー議員の質問に答えまして、日本に駐屯せる軍隊は、食糧集荷や租税徴集などのことをする軍政班は大部分廃止され、日本におる軍部隊は目下戰時態勢にあり、軍事訓練をやつておるとの証言を行なつておるのであります。このことは、占領軍の手による終戰処理業務はすでに大体において完了しており、現在の占領軍の役割は別個の戰争のための軍事訓練にあることを意味するものでなければならないのであります。━━━━━━━━━━━━━━━     ━━━━━━━━━━━━━ に対する義務とは別個の戰争態勢と軍事訓練のために提供されておるのであります。━━━━━━━━━━外国の職事の訓練費を賄わせるという暴挙は、朝鮮事変勃発以来ますます露骨になりつつあります。例えば本補正予算には、連合国関係損失補償に必要な経費として、新たに一億二千四百万円を計上しておるのでありますが、これは千葉県の片貝を初め、全国十五ヶ所の漁場で、━━━━━━━━━━━━━、漁民に與えた損害に対するところの補償金であります。これは誰が見ても当然に━━━━━━━━によつて支拂わるべきところの性格のものでありますが、これを日本国民の税金で支拂わせようとするのがこの補正予算の性格であります。大体漁民側では約十五億円の賠償を要求しておるのでありますが、━━━━━━━━━━の財布から支拂わせることによつて賠償にならぬ目くされ金でごまかし、結局一部の負担を漁民と納税者に背負わせるという不当極まる結果になつておるのであります。一体吉田内閣は、本予算が十五ヶ月予算と一環だと口を滑らしたにもかかわらず、遂にこの会期中二十六年度予算の全貌を提出し得なかつたのでありますが、これはどのような理由に基くものか。いうまでもなく、二十六年度予算の内容を出したら、戰争協力、再軍備の正体が暴露し、收拾付かなくなるのを恐れての事実であることを考えざるを得ないのであります。実は政府のみならず、その主人公自体、国際情勢の急転回の前に呆然自失していることを示すことに外ならない。補正予算案こそはこの周章狼狽を大衆の目から蔽うための目つぶしの役割を持つものと言わなければならないのであります。勿論へ内外帝国主義者としては、これによつて、あわよくば民同、社会党の顔を立て、年末を控えて盛り上る大衆鬪争を抑えさせようとの意図を持つていたことは明らかであります。池田蔵相が二言目には減税と言い、給與を上げましたと、まるで社会政策であるかのような宣伝をおさおさ試みておるのでありますが、又廣川農相がことごとに興農国会を振り廻しておるのも又農民に対する同様の狙いに外ならないと言わなければならないのであります。だが、かれらはそのために欺瞞的意図を果すに足る最小限度の財源も戰争協力再軍備のために食われて、皆目持ち合わせないというのがその実態であります。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)その欺瞞的意図も今や完全に失敗したと言わなければならない。我々は目を放つて見るがいい。毎日数百数千の労働者大衆が国会に押寄せまして、給與をどうして呉れる、これで年が越せるか、国鉄総定をどうした、地方公務員の給與を出さぬかと叫んでおる。この実精を何と見るのでありますか。これらの大衆を国会に動員したのは誰であるか。共産党だと言いたいでありましようが、実はこれは社会党並びに民同幹都の諸君であります。(「何を言うか」と呼ぶ者あり)内外帝国主義者が育成を意図する労働階級への廻し者なのである。而もこれらの民同幹都諸君にしても、今やこんな欺瞞的な目くされ金でもはや大衆周争を押えることはできないのである。内外帝国主義者は、民同幹都諸君の顔を立てるどころか、今や却つて大衆の前にその顔を潰させておるというのがこの事実ではないか。  補正予算が如何にインチキなものであるかは、地方公務員には何もないこと、国家公務員に対する一千円のベース・アツプも、(「簡單々々」と呼ぶ者あり)実際は三百円程度の値上にしかならない者が大部分を占めておる。而も税金の増徴、地域給寒冷地手当の減額、超勤手当の不拂を勘定に入れますれば、赤字になりかねないところのひどいものである。而も米の消費者価格値上げを初め、電気、ガス、水道料金の値上げを目前に控えまして、名目一千円ぺース・アツプは全くとるに足らないところの、問題にならないところのものであることは明白であります。池田蔵相のいわゆる減税に至りましては、そのインチキ性は白晝━━にも等しく、徴税の具体的事実が(拍手)何よりも雄弁にこれを物語つているのではないか。次の理由を聞かれれば明らかである。(「懲罰」と呼ぶ者あり、その他発言するもの多し)十月末で差押えは百十万四千件、公売は一万六百伴に上つている。東山足立区でも荒川区でも、差押えを受けない商店のほらが少いというのが実情と言われています。豊島区税務署では店の商品を勝手にダンピングして滯納税金の一部として持ち去るというような、実にひどいことが行われているのであります。このような新手な方法を用いても政府は滯納整理を強行しているというのが現状であります。これが家宅侵入、横領、白書強盗でなくて何であるか。又先に中小業者の五人十人死んでも止むを得ないと暴言を吐いた池田蔵相は、先程の木村議員の話にもありましたように、一昨日の参議院予算委員会におきまして、米は上げるから所得の多い岩は米を食べて貰い、所得の少い者には麦を食うことにして貰うつもりだ。(「分つた分かつた」と呼ぶ者あり)いわゆる新たな暴言を吐き、池田放言第三号を放つて、成るほど━━の元締としてのふさわしい暴言を吐いているのであります。  最後に、内外帝国主義者の政策がもたらしておる日本の危機は、労働者、農民、中小商業者に止まらず、広汎な民族産業、資本家自身に及んでおるのが目下の現状であります。現在の危機はまさに全民族的なものであります。朝鮮の人民大衆を直接犠牲とする二百数十割の利益率でボロ儲けをした業者もあります。実除は大部分のメーカーは却つて窮状に落し込まれておるというのが実情であります。それもその筈であります。「輸出貿易か死か」、これが今日あらゆる産業界の共通のスローガンとなつておるにも拘らず、内外帝国主義者が押付ける反ソ反共の貿易方針では、必要原材料はいよいよますます入つて来ず、国除価格は上る一方で、如何に注文があつても引受けることはできないのであります。八幡や日本綱管のような大メーカーでさえも、今まではどうにかやつて行けたけれども、これからは鉄鉱石にしても粘結炭にしても入つて來ない。四百万トン計画などと安本は勝手な計画を一方で立てておるのでありますが、それは中国と貿易をやることによつてのみ可能であつて、反ソ反共の貿易では絶対に不可能なことは余りにも明白な事実と言わなければならないのであります。機械工場に至つてはこの事態はもつとはつきりしております。帝国主義者からのタンクの注文と中共からの農業用トラクターの注文と一体どちらが利益があるか。一方は軍需注文であり、一方は平和注文であります。メーカーにとつては、実は軍需でも民需でも儲かるほうがいいと考えるのでありましよう。併しその儲かるのは果してどちらのものであるか。メーカー自身がこの事態を一番よく知つておるのが実情であります。それ故にすべてのメーカーの望むところは、自由に会社の利益に従つてやらせて貰いたいということであろう思うのであります。それにも拘わらず儲からない軍需注文を押付けられ、儲かるに決つている民需注文を邪魔され、この経済の外的抑圧こそがメーカーにとつては全く癌になつているというのが実情であります。全面講和か單独講和かということは、もはや抽象的なお題目ではないのであります。現段階においては、それはもはや具体的に中共やアジア大陸諸国と友好的な貿易を自由にやれる講和か、これらと対立し遮断されるところの貿易政策か、このことが問題になつているのであります。メーカーたちは今やぎりぎりの岐路に立たされているのであります。帝国主義者とその手先吉田政府が盲目的に追及しつつあるところのいわゆる單独講和なるものの路線は、かくてみすみす日本民族産業資本家を瓦壊させんとしているのであります。  これを以上申述べたのでありますが、これを要するに、十五ヶ月予算の一環と言われる本補正予算は、日本語で作られたところの外国予算であり、平和の衣をかなぐり捨てたところの戰争協力再軍備予算であり、年の瀬を越せないまさに殺人的な予算であります。日本共産党はこのような馬鹿げた予算に絶対反対し、全労働者、農民、中小商工業者とともに、民族資本家の切なる要請にも応えて、日本の完全な自主性の回復を内容とする全面講和、講和と同時に全占領軍の完全な撤退のために断乎として鬪うことを内外に宣明するものであります。(笑声、拍手)  以上を以ちまして日本共産党を代表する私の討論を終ります。(笑声、拍手
  139. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 東隆君。    〔東隆君登壇拍手
  140. 東隆

    ○東隆君 私は第一クラブを代表いたしまして、上程せられております二十五年度の補正予算に対しまして心から反対を表明するものであります。(拍手)  理由の第一は資本の蓄積という点からでありますが、政府説明によりますると、国の資本の蓄積は税金を以てこれをやるのであります。而もそれは名目の貨幣をリザーブするだけでありまして、国の資本を国家資本として投入することによつて大きく国民の福祉を増進するやり方ではないのであります。又民間の資本の蓄積をやる方法は、これは法人税を減額してそうして蓄積をやる、こういうふうに説明をされておるように聞いたのであります。我々はここに蓄積をされて行くところの資本がどういうような方向に使われて行くか、このことを考えなまればならんと思うのであります。  最近、国家財政的な資金のうち、農業協同組合或いは中小企業家が組織をいたしておりますところの協同組合、これらを通して融資されておるもの以外の資本は一体どちらの方に流れておるか、そのことを我々は考えなければならぬのであります。多くの私企業へ国家財政的な資金が流れて行く、ここに私は利権屋がはびこるところの場面があり、又怪しげな政治資金の起きて来るところがある。こういうふうに私は考えるのであります。(拍手国家財政的な資金、そのうち見返資金等はこれは別といたしまして、大宗をなしておる預金部資金、これの構成、一体何から成つておるかと申しますれば、それは郵便貯金であるとか、或いは簡易保險の積立金、こういうようなものが大宗をなしておることは当然のことであります。郵便貯金が、いたいけな子供がお小遣いを節約して貯金をした。そういうようなものが集まり集まつて大きな預金部の資金の構成している。その資金国民の大部分を占めているところの中小業者に融通をされるとするならば、これは正しい。併しそれが市中銀行を十分に利用し得るところの人々に利用をされ、特権的なもののように利用をされるということがあるとするならば、これば決して正しいところのあり方ではないと私は考えるものであります。こういう性格が非常にはつきりと今現われようとしている。これを我々はどうしてもはつきりと認識して、こういう意図の下に今回の予算が編成をされつつあるのだ、されているのだと、(「簡單簡單」と呼ぶものあり)このことをはつきり知らなければならんと思うので、私はこの意味から先ず第一番に反対をするものであります。(「わかつたわかつた」「よく聞け」と呼ぶ者あり)地方財政委員会は地方債の枠の拡大を要請しているのであります。これに対し五十億の増加を認めているのでありますが、今年の春から我はたびたび災害にぶつかつているのであります。春のあの災害、ジエーン、キジアの両台風、これはまざまざと我々にその災害のひどさを感じさせているのでありますが、この災害を復旧するために非常に多くの資金を要するのであります。これに対して政府は十五万円以上のものに対しては全額補助をしてやらせる、こういうことになつておりますが、十五万円以下のものはこれは補助がないのであります。地元で以て当然これはやらなければならないのであります。而もこの額は非常に厖大なものなのであります。戰争を通じて非常に荒らされたところの、そうして窮乏したところの地方の人々が、これを直すために起債に仰ぐというのは、これは当然のことなのであります。而もこれに対して起債の枠を拡げようとはしないのであります。この考え方は冷酷無残これより甚だしいものは私はないと思うのであります。(拍手)こういう態度の下に今回の補正予算は編成をされておるのであります。私は断乎反対せざるを得ないのであります。  フランスのシヤール・ジードという人は、これからの大衆的にして最も民主的な組織は、労働組合と協同組合と保險共済組合の三つであると、こう申しております。これからの民主的な政治を行うためには、この三つの組織、則ち労働組合を通して産業の民主化が行われ、協同組合を通して生活の安定が考えられ、保險共済組合を通して消極的ではあるけれども救貧制度を確立することによつて、我々の産業は発達し、我々の生活は安定するものでありまして、(「その通り」と呼ぶ者あり)これを基本に置いてやらないところに私は正しいところの政治はないし予算もないと思うのであります。そこで、この労働組合に最も関係のあるところの今回の給與の問題、この問題を考えたときに、これはどういうふうになつておるか。人事院の勧告、これは予算委員会の席上において総裁が言つておるように、当然科学的な方法で以て集めてでき上つたものである。政府がどうしてあんなにやさしくああいう数字を出すことができたのだ、こういうふうなことを言われておるほど、それほど熱心に集めて作り上げたところの、積み上げたところの基本の上に立つた人事院の勧告であります。その勧告を惜しげもなくうつちやつて、そうして算術的な平均で以つて割出し、千円アツプのべース・アツプをやつたようになつておりますが、併しその結果は上に厚く下に薄く、そうして癩病や或いは結核のような非常に危險な病気に対して関係をしておるところの医師を初めその他の職員に対して、非常に苛酷な形において待遇をするような方法が出て来ておるのであります。  私はこういうような点を考えて見ても、今度のやり方は非常に短時間に簡單にやつて、そうして国民の各層に納得の行けるような形でないやり方をやつておるという、そういうやり方に対して、私は敢えて人事院の勧告通りにやることを希望せざるを得ないのであります。この意味において今回の予算に私は反対をするものであります。  協同組合の関係について言うならば、農民は農業協同組合を作り、中小企業家は中小企業家の協同組合を作つております。これらを通して資金が融通されるならば、これこそ初めて国民の大多数を占めているところの中小階級に資金の融通が行われるのであります。併し今の政府が言われておるところの中小階級に融通をするという、そういう意味における中小階級というのは、これは決して中小階級ではなくて、百万の金を借りることのできる人であり、我々が考えておる中小階級のそれは、一万、二万に困つておる人であろう、こう言わざるを得ないのであります。こういう人が大多数いる。而もそれは中小企業家のこの協同組合をがつちりと作ることによつて、初めてそれらの人が潤つて行くのであります。我々は、政府財政的な資金をいろいろな名目において融通をしようとしておるけれども、それはこの協同組合の組織をがつちりと作り上げることによつてのみ、初めて立派な効果を上げるのでありまして、それなしには、これは多くの大企業家、或いは大産業家に資金が融通される以外の何ものでもないのであります。これを講じてやらなければならん。従つて予算の面におけるところのあり方は、この中小企業家の協同組合、或いは農山漁村民の作つておるところの協同組合、これをがつちりと保育助長して行くことこそが、これが予算に盛らるべきところのものであると、こう私は考えるのであります。この意味において、そういう意図を持つていない、それとは反対の意図の下に作られておるところの予算に反対をするものであります。  保險共済の仕事は、これは消極的なものではありますけれども、立派な救貧制度であります。ところがこの救貧制度の一つが今度の議会に上程されております。而も健康保險の料率を上げて、そうして殊にこれをごまかそうとしておるのが、これが今の状態なんであります。こういうことはこれを決して正しいところのあり方ではない。今の政府が社会保障ということをやることのできないところの性格を持つておるところのものであるということを雄弁に物語つておるものであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)その背後において決して民主的なものではないのだ、間違つた立場に立つておるのだ、こういうことを完全に表明しておるのであります。私はその意味において、この共済保險の自立、これを通してもこの予算の構成に対して反対をするものであります。  政府は六十四億の減税をすると、こういうことを申しております。而もこれは名目的な減税でありまして、内実は私は決して減税にはならんと思う。農村の側について考えて見ましても、肥料に対する補給金がなくなり、高い肥料を買わなければならぬ農家、その農家の財布の中から出るところのものは何かといえば、これは米価を上げられたことによつてつて高いところの税金、地方税は増徴されておる、高い肥料を買う、同じ財布から出すところの農家は、決して税金を安くしたと、六十四億安くした、こういうことを言われても農家は納得しないでありましよう。これが私は單に税金を下げるということによつて大衆を欺瞞しておる、こういろ以外の何ものでもないような気がするのであります。皆さんほどういうふうに考えるか。(「そう考える」と呼ぶ者あり)私はこの点について賛成をされたところの各位、賛成をしようとするところの各位の気持が分らないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)私は断乎として今回の補正予算に対してこの意味からも反対をせざるを得ないのであります。  今回の第九国会は農相弘禪坊さんのお話では興農議会であります。我々は、この興農議会に弘禪農相ならぬ和尚から、実はお晝に招待を受けたのであります。そうしてここに来たのでありますが、弘禪和尚はどこかに説教が何かに行つて、おられないのであります。三時まで待つてもなかなか帰つて参りません。そうして帰つて来て晝飯を食わない我々に対して何を與えたかというと、澁茶とせんべいを與えたのであります。これが今度の補正予算の中身なんであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)興農議会のこれが中身である。そうして晩飯を食わしてくれるだろうというわけで、実は二十六年度の予算の中身をいろいろ探つたのであります。御馳走の中身を探ろうとしたのでありますが、それに対して弘禪和尚は何と言うかというと、今御馳走は作りつつあるんだ、こういうわけであります。まだ皿にも盛つてないのであります。これが興農議会の中身であります。恐らく全国の農民がこの興農議会の中身を聞くことによつて、農相に対して大きな不信を抱くでありましよう。(拍手)この大きな不信の中身、これが即ちこの興農議会の中身である。私は、この興農議会が最初において、而も我々は晝飯を拔きに来て、そうして何にぶつかつたかといつたら、これは電気事業の再編成がボ政令によつて現われたということによつて、どんちやん騒ぎの中に飛び込んでしまつて、そうしてひどい目に会つたのであります。そうしてこの期間はどういうふうにされたかというと、非常に短かくされてしまつた。審議をすることも何もできなかつた、予算の審議を我々は十分にやつて、そうして国民に応えるだけの責任がある。その責任を十分に果すことができなかつた。修正案を作り上げて、そうしてこれを通すことによつて我々の考え方を或る程度まで満たそうとした。併しそれもなす時間を持たない。時間を與えられていない。かくのごとく興農議会の時期というもの遅らされ、かくのごとく興農議会の中身は短かく、かくのごとく不誠意にこの第九国会というものが政府によつて行われたのであります。その中にあつて我々の審議が滯りなく行われる筈がないであります。この不十分な審議、これを国民が若し聞いたら本当に怒るでしよう。(「反対々々」と呼ぶ者あり)我々はこの短かい中で、そうして審議をして、而も果し得なかつたこのことに対して、大きな憤りを持つて我々はこの第九国会を見送らなければならないことを残念に思うものであります。(拍手)  これらの意味を申上げて、私は断乎としてこの予算案に反対をするものであります。(拍手
  141. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 櫻内義雄君。    〔櫻内義雄君登壇拍手
  142. 櫻内義雄

    ○櫻内義雄君 私は国民民主党を代表いたしまして、只今上程されておりますところの昭和二十五年度の予算補正に関する諸案件につきまして反対の意思表示をするものであります。(拍手)  この予算案の上程に際しまして、吉田総理大臣はこういうことを申しておりました。それは、この国会が野党各派の要求にもかかわらず遅れて開催された理由として言われたことでございます。朝鮮事変の内外に対する影響の重大性に鑑みて、その見通しがついてから国会を開くのだ、そうして開いたのだと、こういうことを申しておるのでございます。又池田大蔵大臣は、各弁士の方々が指摘いたしました通り、今回の予算を以て十五ヶ月の予算である、それを一貫して検討して貰いたいという、さような見解を持つてつたのでございます。ところで、この補正予算が提出されまして、只今ここに最後の審議の過程に入つておりますけれども、総理大臣の見通しとは違いまして、朝鮮動乱の行方は全く我々に推測のできないような状況に立ち至つておるのでございます。かような意味合いからいたしますならば、この点からいたしまして、本補正予算には幾多の欠陥があるということを指摘しなければならないのであります。例えば大蔵大臣は、この朝鮮事変によつて滯貨は一掃された、輸出は増大された、そうして特需景気が来たと言つて、非常に謳歌されておるのであります。併し、この特需景気の実態というものはどういうものでありましようか。私共が委員会におきまして頂きました資料によりますならば、この事変が起りまして十一月末日までに一億五千四百一万ドルの特需があつた。こういうことになつております。この内容を検討して見ますと、金属及び製品、機械、こういうものについて五千五百七十八万ドル、繊維や食糧、木材や化学製品、かようなものについて四千三百五十二万ドル、貿易外の收入といたしまして五千四百七十一万ドルの特需があつたことになつております。只今申上げましたところによつてもお分りのように、繊維や食糧や木材や化学製品について四千三百五十二万ドルの特需があつたということは、これは何を意味するでありましようか。国内需要の停滯を来たして、民需や平和産業への圧迫を物語るところの数字でございます。これらの影響を打開するために、積極的な意図を以てこの予算の補正に臨まねばならなかつたということが御指摘いたしたい点なのでございます。かような意味合いからいたしまして、この補正予算をひもといて参りますときに、我我は次のような財源がまだ求められる、そうして、その財源によつて圧迫を受けておるところの平和産業や農家に対しましていろいろな施策を行なつて貰いたい。これこそが現在のこの動乱に臨んでおるところの日本政府の責任ある行政であると、かように考えるのであります。(拍手)  例えば昭和二十四年度の剰余金は百九十六億円であるということであります。この半分を使つても九十八億円は使える。予算案の中に專売益金の減少を六十八億円余といたしております。一方におきまして酒税の引下げによつて相当の税收があると考えておられる大蔵大臣であります。成る程現在までは煙草の値下げによつて減收はしたでありましようけれども、この特需景気に伴つて相当な需要が起つて来ると考えてもいいのではないか。かように考えて行きますときに、我々は五十億円くらいの專売益金の減收で止まるのではないか、こういうように考えるのであります。又代表の方々の非常な意気込で指摘いたしました外為会計への繰入れば、これは野党各派こぞつて反対である。百億円の繰入れは日銀の借入資金によつてつていいのではないかというのが我々審議いたしました際の結論であります。ここにも財源がある。又再三問題になつておりますところの債務償還費の未済額が現在二百二十億円くらいあるということであります。こういうふうに検討して参りますと、相当な財源があるのでございます。  かかる財源によつて先ず第一にやつて頂きたいことは、それは災害や借金に苦しむところの農民の救済であります。私共一致いたしましてこの国会の召集を要求した点はここにある。而もこの朝鮮動乱によりまして私共が食糧の行政について非常な関心を持つておるということ、これは国民の代表としての当然の責任であります。農林大臣も食糧一割増産ということを唱えましたが、この補正予算の中に果してどれ程積極的な意図を以てあなたの考え方を盛り込まれたでありましようか。(拍手)私は誠にこの点残念に思うのであります。あなたのおつしやつたところをここで申上げますならば、十五ヶ月予算である、だから昭和二十六年度の予算のときに期待をして呉れというのであります。さように現在日本の置かれておる立場が、そのようなテンポの遅いところの行政施策でよろしいでありましようか。(拍手)私はかように考えます。百億は多過ぎるという方があるかも知れません。併し農業施策は一日も早く積極的にやることによりまして将来の備えになると考えるのであります。土地の改良費に五十億円使いたい、農協の補助を三十億円にしたり、農業の科学技術を振興したり、その他の経費に二十億円使いたいというのが私共の見解であります。  又次には人事院が公務員給與ベース改訂につきまして八千五十八円というものを勧告しておるのであります。今回の政府予算の上から申しますならば、八千円ペースだという説明だ。人事院の存在というものを尊重するならば、又これを設けた主旨から考えますならば、僅か五十八円というものを見逃すよりも、この立場を尊重して八千五十八円というものを織り込むことが賢明ではなかつたのでありましようか。それに要する財源は、一月から三月までに僅かに十一億円余であります。年末給與の勧告のように一ヶ月出せばよいではないかと、こういうふうに我々は考えておるのでございます。  又地方財政委員会が、地方財政の危機に鑑み、平衡交付金は八十八億円出すのがよろしいと、これ又勧告をいたしておるのでございますが、本補正予算におきましては三十五億円を計上しただけであります。私はここにおいて不可解に思うのであります。吉田総理は行政機構の整理を叫んでおる。それに対しまして地財委であるとか、或いは人事院であるとか、こういうものを設けて勧告をさせておるのでありますけれども、折角の勧告は蹂躪されまして、何らの効果を現わしておらない。そういう機構でありますならば、吉田首相はこれらを整理して、幾分でも国費の節約に努めるべきではないかと、かように考えるのであります。  中小企業振興のために今回新たに中小企業信用保險制度を設けられました。誠に結構でありますが、この運用を誤まりますならば、銀行に行つてそうして今度は保証を受けるために手間取るというようなことも起きて参ります。国民金融公庫の出資を今度十億殖やしました、これ又結構なことでありますけれども、我々の見解を以ていたしますならば、これらの施策に対しまして、更に一層資金を出して貰いたい、そうして中小企業の振興に寄與して貰いたいと考えるのであります。見返資金に二十四億円の振興費を計上しておりますが、十一月二十二日現在まで七億九千万円しかまだ使つておりません。一面におきまして新らしい出資をしようとするに対して、折角の計上が棚上になつておる事実を皆様方お忘れになつておりません。  朝鮮動乱によりまして一部の方々は景気を謳歌されておりますけれども、その一面におきましては相当な失業者がおります。失業者が増大するということが治安を不安状態に陷れることは当然であります。さような意味合いからいたしますならば、緊急に失業対策費を計上して貰いたい。現在二十七億円に計上されておりますが、これを更にもう十億円ぐらい出して貰つたらばどうかという考えをいたすのであります。  総理大臣は施政方針の短かい時間の中に、文教の振興、健全なる国民精神の涵養を説いておられますが、然らばこの施政方針に応えるところの補正予算にどのようにこれが現われておるのでありましようか。片鱗だに見られないということは誠に残念であります。この一大転換期にありまして、総理の設(ように、国民がしつかりした信念を持つて独立心を持つ、又大きなこの動乱期に堪え得るところの信念を持つ、そういうために文教の振興は行われることは望ましいのであります。我々は六・三制経費の増額にこの際十八億円を見て頂きたいのでございます。  又政府に対して社会保障制度の確立にこれ又審議会が勧告をいたしております。併しこの勧告につきましても見るべきものがないのございます。現在国民健康保險が百五億円の赤字に悩んでおるということを考えるときに、これを救済するために二十二億円ぐらいの支出をして貰いたい。かようにいろいろの点から検討して参りますならば、具体的な施策というものが相当に考えるのでございます。大蔵大臣は補正予算におきまして、六十四億の減税をしたということを得々と述べられておるのであります。国民は負担軽減を望んで止まないけれども、六十四億労の軽減は僅かに三分であります。在物価はどうであるかと申上げますならば、六月に比較して十一月は、日銀消費財物価によりますならば二〇%四と上つておるのでございます。こういうことを考えますときに、この減税は、ただお題目だけである。六十四億円が一方におきまして水増し徴税があるのではないかと疑われることから考えますならば、この減税というものは画餅に等しいということを申さなければならない。(「欺瞞ですよ、嘘ですよ」と呼ぶ者あり)総理大臣は貿易振興の必要性を説いておられます。成程輸出は増大しましたけれども、これは決して正常なる輸出の増大ではないことは国民がよく御存じであります。ドツジ氏の指摘しましたととろに待つまでもたきのであります。併しながら輸出は確かに或る程度増大している。併し一方におきまして輸入の重要性ということをこの際考えなければならないのであります。然るときに、私は昨日三億ドルと指摘をいたしましたけれども、外貨予算におきまして四億四千万ドルアメリカの銀行に無利息で預金をされておる。この事実を考えますとき、もつと適切なる対策があるのではないか。これだけを速かに使つて、そうして輸入を増進して貰いたいと思うのでございます。又同時に、この輸入につきましては、国内的な施策が伴つて貰いたい。現在何ら手が打たれてない。金利であるとか、倉敷料であるとか、保險料の政府負担であるとか、価格変動による損失の補償であるとか、貯蔵費の負担であるとか、考えれば輸入の増大のために生ずるところの国内的施策が随分あると考えるのでございます。金詰りは久し聞かされております。幸いにいたしまして大蔵大臣の御努力によりまして、ドツジ氏の御了解を得て、長期資金の調達については成る程度の施策が盛られております。併しながら預金部資金の運用によつて金融債を百億引受けるからといつて、これで自慢になりません。この運用計画を見ますならば、翌年度への繰越が四百五十二億円になつておる。而もその中で二百三十六億円は直ちに使える金であるということを考えますときに、更に一層の工夫を要望したのでございます。或いは見返資金千五百八十一億円の運用につきまして、十一月下旬において僅かに実際に使用されたのは三百八十七億円というような事情なのでございます。かようにいろいろと、この補正予算を中心といたしまして指摘をして行きますならば、数限りない欠陷があるのでございまして、我々はかような意味合いからいたしまして、社会党や緑風会、第一議員クラブ、労農党の諸君と共に、司令部に対して、この予算案の補正の修正について大なる努力を拂つて参りましたけれども、遂に遺憾ながら我々の希望が達せられなかつた。この際において考えさせられますことは、シヤウプ陣士やドツジ公使が本当に日本国民のためにいろいろの忠告をして頂いたことは有難いのであります。併しながら日本政府は、徒らにこの占領政策に馴れておるのではないでありましようか。(「走り使いをやつておりますよ」と呼ぶ者あり)私共の只今申上げましたような意見のように、この朝鮮動乱の変動期において、積極的な意図を以てこれを補正しまして、国民各階層が如何に努力して行くべきか、努力の焦点を教えるべきであると考えるのでございます。(「簡單々々」と呼ぶ者あり)  最後に、幾多講和の論議が行われておりますが、私はこの際に特に皆様と共に世界の国民に対して訴えたいことは、マツカーサー元帥はかように言つておるのであります。現在講和が行われないのは、それは日本国民の責任ではない、(「議長、時間だ、打切り」「謹聽謹聽」と呼ぶ者あり)お前はポツダム宣言を忠実に履行して来た、こう言つているのであります。我々に義務を履行した以上におきますしは、今度は世界に向つて訴えて行かなければならない。吉田総理大臣は国民がひとしく求めているところ講和について、この宣言を忠実に履行した日本国民の立場からしても、速かに講和の開かれることを積極的に訴えるべきではないかと、かように思つておるのであります。(拍手)何とぞ我々の意見のように、予算面に積極性を盛つて総理は気魄を持つて信念的に出られることを希求して止まないのでございまして、かかる見地に立ちまして本予算案につきましては反対の意思表示をするものであります。(拍手
  143. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 佐多忠隆君。    〔佐多忠隆君登壇拍手〕    〔「時間励行」と呼ぶ者あり〕
  144. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 ここに提案されております昭和二十五年度補正予算に対しまして、私は日本社会党を代表し、はつきりと反対を表明いたします。(拍手)  それは次のような理由によるものであります。  政府はこのたびの予算案を閣議で審議するために過ぐる九月の一ヶ月を費しました。更にドイツ氏との折衝には二ヶ月を経過いたしております。併せて三ヶ月もかかつて審議をいたしておるのであります。然るにこれを国会の審議にかけてからは僅かに二週間を当てただけであります。短時日のうちに幕切れとして、審議を打切る態度をとつたのであります。ここに吉田内閣が国会の審議権を如何に軽視しておるかが明瞭に示されております。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)殊にここで私たちが絶対に容赦のならないことは、例の警察予備隊の経費を予算の審議から全く外したことであります。(拍手)御承知通り政府は過ぐる八月の十日に警察予備隊令なるポツダム政令を出しました。それに基いて一般会計における国債費の中から二百億円を予備隊の経費に充てたのであります。更に又政府は四十六億を海上保安庁の強化のために使つております。国費は改めて申上げるまでもなく、国民の汗と油のかたまりであります。これは一円一銭たりといえども軽々しく使うことはなりません。これを使うに当つては特に国民の納得を得ることが絶対に必要であります。然るに政府は二百億円にも及ぶこの大金を使うに当りまして、国民に何らの了解をも得ようとしなかつたのであります。私たちはこれに対しまして、予算委員会において総理大臣並びに大蔵大臣を追及したのでございます。それを追及されまして、政府予算の審議に付する暇がなかつたと言つております。我々が早くから強く要求しましたように、早期に臨時国会を開きさえしますならば不可能なことはないのであります。ただこの二百数十億を使うというこの一件だけでも取急ぎ臨時国会を開くに値いするほど重大な問題であります。仮に一歩を讓つて、その時にかける暇がなかつたとしましても、現にここに予算の補正案が出ておるのでありますからして、この中に含めて当然に審議すべきものなのに、それすらやらないで頬かぶりで過してしまおうとしておられます。曾て東條軍閥内閣の時代においてさえも、軍事費を予算の審議の外に置くことはできなかつたではありませんか。曾てのあの軍閥時代においてすら然り。然るに吉田内閣は、民主国家を呼号する口裏から、この最も大事な財政の審議権すら無視するという非民主的なことを敢えてやつたのであります。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)吉田内閣の暴虐振りもここに極まれりと言わなければなりません。(拍手、「うまいぞ」「当り前だ」「大したもんだ」と呼ぶ者あり)若しこれが吉田内閣だけのせいでなくて、もつとデリケートなことがあるのだと言われるのならば、国民に対しては口ぐせのように自立性の回復をお説教しておられる吉田総理自身が先頭に立つて財政自主権の回復のために全努力を傾けるべきではありませんか。(「やつているじやないか」「やつているの分らないか」「何をやつているのだ」と呼ぶ者あり、その他発言するもの多し、拍手)それに対して全幅的な努力を拂わずに、しばしばこれを逃避するかに見える吉田総理の態度に対しましては、我々は国民と共に非常な不満を表明せざるを得ません。(「片山内閣はどうした」と呼ぶ者あり)  政府はこの補正予算案を来年度に亘る一五ヶ月予算の一環として編成したと言います。若しそんな長期の見通しの一環であるならば、軍に財政上の收支の辻棲を合わすだけでなくして、当然にその背後に横たわる今後の日本経済に対する明確な判断がなければなりません。(「ある」「どこにあるか」と呼ぶ者あり)殊に朝鮮動乱を契機として世界情勢も日本経済の動向も全く一変して、大きな転換期に立つておるこのときには、それを完全に織込んだ判断が絶対に必要であります。然るに政府はこのことを見落して、漫然と予算を組み、後にドツジ氏に指摘されるに及んで慌ててそれを織近んだに過ぎません。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)従つてそこから出て参りました判断も又全く不的確なものであります。(「日本社会党元気ないぞ」「元気出せ」と呼ぶ者あり)政府はインフレの危機をしばしば口にしながら、どこにインフレ要因があり、それが世界的動向とどう結び付いておるのか、池田大蔵大臣は明確に答えるところがありません。(「嘘を言うな」と呼ぶ者あり)たまたまドツジ氏に指摘されて大蔵大臣は、その要因を国内に外貨が溜り過ぎたことに発見しておられます。そこで、これが対策として、外貨の持ち過ぎから生じましたところの外国為替特別会計の赤字を消すために、一百億円の経費を国民の血税からここに気前よく割いたのであります。これは従来からの超均衡予算、デフレ政策を更に強行するものに外なりません。この赤字は、一方では特需や輸出のために外貨がどんどん溜つて来るのに、その外貨を空しく抱き込んでいたためであります。外貨はこれを積極的に使つて、特別輸入や緊急輸入の手を打たなければならなかつたのに、(「同じことを何遍も言うな」と呼ぶ者あり)それを怠つたから、外貨が溜り過ぎて、円資金は逆に赤字になつたりに外ならないのであります。インベントリー・フアイナンスの百億円は、実にこの政府の失策を国民の犠牲において、国民に後始末させることであります。(拍手)これが不都合でなくして何を不都合と言えましようか。(「その通り」「何だこれだとは」「だまつて聞け」「だまれだまれ」「元気を出せ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し、拍手)成るほど日本経済は朝鮮動乱を契機として(「頭を冷やして来い」と呼ぶ者あり)大きな転換を遂げ、物価騰貴の傾向を多分に孕んでいるのであります。併しながらこの大部分の原因が外の世界情勢にあると見なければなりません。殊に国内のインフレの危險は、外為会計の赤字というふうな皮相な現象の面にあるというよりも、もつと遡つて原材料の手当が、その輸入がうまく進まなかつた。電力が不足している。そのために生産が思うように伸びない。近い将来には過去のデフレ政策がその弊害を現わして参りまして生産が縮小するかも知れないことが考えられる。この点にインフレへの根元があるのであります。従いまして現在のインフレ対策は、溜め込んだ外貨や国内資金を眠らせてアイドルにして置くことでは絶対にありません。(「簡單簡單」と呼ぶ者あり)むしろこれを積極的に活用して原材料の輸入を大いに促進する。(「ゆつくりやれ」「同じことを何回言うのだ」「やかましい」と呼ぶ者あり)治水、治山、電源開発を含む総合的な国土計画や、造船、鉄鋼、石炭、(「頭が悪いぞ」と呼ぶ者あり)繊維産業などに産業資金を調達してやる。これらのことを今やらなければならない時期であります。これは恐らく資本家諸君といえども痛感しておられるところでありましよう。(「うまいうまい」「だまれ」と呼ぶ者あり)見当違いな、或いは皮相なインフレ対策に安住しておる政府の補正予算に(「うまいうまい」と呼ぶ者あり)反対せざるを得ない第一の理由がここにあります。(「うまいうまい」「騒ぐな、だまつて言うことを聞け」と呼ぶ者あり)  第二の反対の理由は、政府がこの予算案において、中央、地方に亘る公務員生活の安定を考えず、農村の窮乏を全く無視し、地方財政の破綻を捨てて顧みない点にあります。人事院が過ぐる八月九日に、政府国家公務員の給與を六千三百七円から八千五十八円に、即ち二七・七%だけ引上げ、年末手当一ヶ月分を支給すべしと勧告しましたことは、諸君が夙に御承知通りであります。然るに政府はこの予算案において僅かに月一千円のベース・アツプにとどめております。年末手当は半月分に削つております。加うるに新給與法に上つて、上に極めて厚く下に非常に薄い職階制を強要し、それを強行しようとしております。又調整号俸を抹殺したり勤務地手当を減額したりしています。公務員の給與を引上げるどころか、むしろ引下げを敢えてやつております。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)現在公務員諸君生活水準が民間人のそれに比べて余りにも低いことは言わずして明らかであります。殊に朝鮮事変後は生計費が上り、地方税が増徴されて、公務員生活はいよいま逼迫して参つております。公務員の大多数の諸君は、地方税を支拂うために大概の人々が借金をして、その借金をこの年末に返さなければならない状態に置かれております。寒室に向う年末を控えまして公務員諸君が悲痛な叫びを挙げていることは、皆さんのお耳にも十分に届いているでありましよう。この叫びを、この悲しい叫びを吉田内閣は冷然として見違つております。(「勝手に言つてろ」呼ぶ者あり)又我々は現在の安定政策の犠牲となつて全く行詰つている農民を救済するために救農国会要求いたしました。廣川農林大臣はこれに応ずるかのことく興農国会を呼号して農民大衆を喜ばせました。然るにここに提出されました補正予算案には雀の涙ほどの救済費しか見込まれておりません。政府は来年度にはうんと見込むからと陳弁しておられますが、その金額のあらましをすら示せないほど何も考えておらないことが予算審議の過程においてはつきりとなつたのであります。(拍手財政措置が考えられていないばかりでなく、その前提になるところの救農政策そのものの大綱すら持合せがありません。来年度予算の編成を殆んど終つております昨今になつて、救農政策の大綱を何とか考えなければなるまいというような慌てた態度をとりつつあります。吉田内閣は農村のことなど殆んど無視している、こう言われて弁解の辞がありますまい。又地方財政の破綻を捨てて顧みない政府の態度は唖然としてあいた口が塞がりません。(「あいてろ」と呼ぶ者あり)全国の道府県知事、市町村長は勿論、地方財政委員会までが、挙げて地方財政平衡交付金八十八億円の増加交付を要求し続けているのに、政府は僅かに三十五億円の増額を認めただけであります。(「いい声だ」「のどが痛かろう」と呼ぶ者あり)又政府は初め地方債の発行額三百七十億円を約束しながら、そのうも七十億円を破棄しております。予算補正によつて必要な地方債百九十五億円を僅かに五十億円に削つております。(「時間々々」と呼ぶ者あり)我々はこの現状を見るに忍びず、先日この議場において地方財政の緊急対策に関する決議をなしたことを、私はここに改めて思い出さざるを得ません。決議は次のように述べております。   さきに政府は(中略)地方財政を充実強化し、民主政治の基盤たる地方自治の確立を図つた。   然るに政府昭和二十五年度補正予算案において僅かに平衡交付金三十五億円の増額を計上するに過ぎない。   かくては地方財政委員会委員長の意見書に述べるが如く地方財政の円滑な運営に重大な支障をきたし地方自治の危機を招来するものと認める。   よつて政府は速やかに地方財政平衡交付金の再度の増額、地方債発行額の大幅の増加その他適当の財政措借を講じ、もつて地方財政の窮乏を救済すべきである。  政府は我々のこの嚴かな決議をすら一片の反古として紙屑籠に叩き込んでおります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)  私共が今年度の予算案に反対いたします第三の理由は、政府がこの窮状を見ながらこれらの経費を支弁するための財源の措置努力しなかつたという点であります。政府は口を開けば、財源がないから仕方がない、無い袖は振れぬと言い張ります。是非必要とあらば百億円のインベントリー・フアイナンスの経費を一夜にしてひねり出す池田大蔵大臣が、五六十億の経費を民生安定、社会不安対策として探し出せない筈はありません。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)マツカーサー元帥は、治安維持のためならば二百億に及ぶ金を国債費から支出することを許しております。この国債費の残額が最近現在で三百二十四億円でございます。この一部を財源に考えることもできるでありましよう。昨年度剰余金百九十五億を政府は明年度の歳入に選り込んでおります。この火急の際には、この半額だけはむしろこれまでの慣例通りに本年度に使うことが妥当でありましよう。終戰処理收入の増加も、朝鮮事変以来の国庫收支の現状から考えれば尚五十億程度を見込むことも無理でないでしよう。專売益金の減少のごときは、当初三十億と見積つていたのに、一ヶ月の後には八十億に引上げております。併し最近の煙草の売行きは必ずしもそれ程に悲観的ではありません。ここにも二十億や三十億の財源をひねり出す余地はありましよう。池田大蔵大臣は最近の法人税の増收を非常に手柄顔に吹聽されますが、これに御着目するならば、政府がこの補正予算案を見込んでいます百八十七億に更に二三十億を附加えることは少しも無理でありますまい。(「時間」と呼ぶ者あり)その外にも、例えば特別調達庁長官の言明によりますと、ここには本年度中にはどうしても使い切れないことの確実は予備金その他の金が五十億円も遊んでおります。又我々の同僚カニエ邦彦君が経済調査庁を通じて調べたところによりますと、食糧管理特別会計昭和二十四年度分には、今までに分つておるものだけでも六十億に及ぶ冗費があります。今年度経費を節約すれば、ここからも十億や二十億は叩き出せましよう。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)これらの点から見まするならば、政府の言うように財源がないのではありません。(「時間嚴守」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)池田大蔵大臣はただ経費を叩き切りさえすればいいと思つている。公務員や農村や、地方公共団体の経費の要求を何とか心配しようという熱意に欠けているだけであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)財源はあちらこちらのポケツトに隠されております。  私たちがこの補正予算案に反対せざるを得ない第四の理由は、(「議長どうした」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  145. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) お静かに願います。
  146. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君(続) 池田大蔵大臣のお得意の減税が減税になつておらずに、むしろ実質的には増税になつている点であります。(「そうだそうだ」「時間時間」と呼ぶ者あり、拍手)  これを要するに、政府日本経済の今後の動向を見損つて、これまでの超均衡財政を固執している。
  147. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 佐多君、時間が来ましたから……。
  148. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君(続) で、我々はここに重ねて日本社会党を代表いたしまして昭和二十五年度補正予算案に反対をいたすことをはつきりと言明いたします。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手
  149. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  先程の岩間正男君の発言中、不穏当な言辞があつたように思われますので、議長は速記録を調べた上、適当に処置をとります。(「反対」と呼ぶ者あり)  これより三案の採決をいたします。三案全部を問題に供します。三案の表決は記名投票を以て行います。三案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上御投票願をいます。氏名点呼を行います。議場の閉鎖を命じます。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  150. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 投票漏れはございませんか……投票漏れないと認めます。これより開票いたします。投票を計算いたさせます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  151. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 投票の結果を報告いたします。  投票総数二百二十七票、白色票即ち三案を可とするもの百二十一票、(拍手)  青色票即ち三案を否とするもの百六票、  よつて三案は可決せられました。(拍手)      ——————————  賛成者(白色票)氏名     百二十一名       山川 良一君    山内 卓郎君       村上 義一君    溝口 三郎君       前田  穰君    堀越 儀郎君       藤森 眞治君    藤野 繁雄君       久松 定武君    早川 愼一君       波多野林一君    野田 俊作君       西田 天香君    徳川 宗敬君       伊達源一郎君    竹下 豐次君       高橋 道男君    高橋龍太郎君       高田  寛君    高瀬荘太郎君       高木 正夫君    田村 文吉君       鈴木 直人君    杉山 昌作君       新谷寅三郎君    島村 軍次君       西郷吉之助君    小林 政夫君       小宮山常吉君    楠見 義男君       木下 辰雄君    河井 彌八君       柏木 庫治君    加藤 正人君       加賀  操君    岡本 愛祐君       岡部  常君    小野  哲君       梅原 眞隆君    草葉 隆圓君       尾山 三郎君    木村 守江君       長島 銀藏君    宮本 邦彦君       秋山俊一郎君    高橋進太郎君       仁田 竹一君    上原 正吉君       宮田 重文君    池田七郎兵衛君       石川 榮一君    大谷 瑩潤君       九鬼紋十郎君    深水 六郎君       加納 金助君    鈴木 恭一君       大矢半次郎君    野田 卯一君       植竹 春彦君    岡崎 真一君       中川 以良君    小野 義夫君       鈴木 安孝君    黒川 武雄君       横尾  龍君    石坂 豊一君       岩沢 忠恭君    北村 一男君       中川 幸平君    一松 政二君       橋本萬右衞門君    徳川 頼貞君       中山 壽彦君    泉山 三六君       工藤 鐵男君    小杉 繁安君       小串 清一君    飯島連次郎君       伊藤 保平君    井上なつゑ君       赤澤 與仁君    赤木 正雄君       黒田 英雄君    廣瀬與兵衞君       川村 松助君    大野木秀次郎君       杉原 荒太君    長谷山行毅君       愛知 揆一君    古池 信三君       加藤 武徳君    平井 太郎君       白波瀬米吉君    山縣 勝見君       安井  謙君    山本 米治君       岡田 信次君    西川甚五郎君       瀧井治三郎君    石村 幸作君       池田宇右衞門君    入交 太藏君       島津 忠彦君    石原幹市郎君       平沼彌太郎君    大島 定吉君       郡  祐一君    松本  昇君       西山 龜七君    山田 佐一君       堀末  治君    團  伊能君       寺尾  豊君    重宗 雄三君       大屋 晋三君    平岡 市三君       左藤 義詮君    小林 英三君       城  義臣君    田方  進君       平林 太一君     —————————————  反対者(青色票)氏名    百六名       三好  始君    紅露 みつ君       深川タマヱ君    木内キヤウ君       竹中 七郎君    谷口弥三郎君       有馬 英二君    油井賢太郎君       櫻内 義雄君    中井 光次君       櫻内 辰郎君    鬼丸 義齊君       中田 吉雄君    村尾 重雄君       青山 正一君    金子 洋文君       門田 定藏君    清澤 俊英君       藤原 道子君    島   清君       野溝  勝君    加藤シヅエ君       若木 勝藏君    永井純一郎君       三橋八次郎君    原  虎一君       齋武  雄君    高田なほ子君       鈴木 強平君    吉川末次郎君       小林 孝平君    山花 秀雄君       松浦 清一君    荒木正三郎君       菊川 孝夫君    赤松 常子君       深川榮左エ門君    菊田 七平君       山田 節男君    三輪 貞治君       成瀬幡 治君    田中  一君       松永 義雄君    小泉 秀吉君       大隈 信幸君    前之園喜一郎君       岩木 哲夫君    岩男 仁藏君       伊藤  修君    波多野 鼎君       小笠原二三男君    吉田 法晴君       駒井 藤平君    小川 久義君       境野 清雄君    木内 四郎君       稻垣平太郎君    江田 三郎君       大野 幸一君    曾禰  益君       中村 正雄君    細川 嘉六君       須藤 五郎君    岩間 正男君       兼岩 傳一君    千葉  信君       木村禧八郎君    堀  眞琴君       水橋 藤作君    鈴木  清一君       堂森 芳夫君    梅津 錦一君       重盛 壽治君    東   隆君       森 八三一君    佐多 忠隆君       小林 亦治君    岩崎正三郎君       相馬 助治君    千田  正君       石川 清一君    松浦 定義君       三浦 辰雄君    森下 政一君       椿  繁夫君    岡田 宗司君       小松 正雄君    堀木 鎌三君       松原 一彦君    羽仁 五郎君       内村 清次君    小酒井義男君       栗山 良夫君    山下 義信君       矢嶋 三義君    西園寺公一君       佐々木良作君    木下 源吾君       棚橋 小虎君    和田 博雄君       三木 治朗君    下條 恭兵君       河崎 ナツ君    上條 愛一君       森崎  隆君    羽生 三七君      ——————————
  152. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 参事をして報告いたさせます。    〔佐藤参事朗読〕  本日委員長から左の報告書を提出した。  一般職の職員の給與に関する法律の一部を改正する法律案可決報告書  国家公務員に対する年末手当の支給に関する法律案可決報告書      ——————————
  153. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、国家公務員に対する年末手当の支給に関する法律案内閣提出衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」「反対」「異議あり」「議事進行」と呼ぶ者あり)
  154. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。人事委員長木下源吾君。    〔木下源吾君登壇拍手
  155. 木下源吾

    ○木下源吾君 只今議題となりました国家公務員に対する年末手当の支給に関する法律案の人事委員会における審議の経過並びに結果について御報告いたします。  先ず本案の提案の理由並びに内容について簡單に申上げますと、本案は、我が国における従来からの生活慣習よりする年末の生計費増大に鑑みて、国家公務員に対しても古くから年末賞與を支給するのが例でありましたが、終戰後従来の賞與制度の廃止に伴い、今日まで年末手当に関しでは、いずれもその年度限りの臨時の措置によつてのみ行われて来たのでありますが、これらの手当をあらかじめ予算に組むところの恒久的な制度にいたそうとするのが本案の提案理由であります。その内容は、第一に、支給範囲を一般職及び特別職の国家公務員とし、第二に、その支給額を、給與月額の半ヶ月分を最高として、その年中における在職期間に応じて差を付けることとし、その支給日を毎年十二月十五日を原則としていることであります。本委員会といたしましては、十二月五日提案理由を聽取した後、審議に入つたことになつておるのでありますが、少しく詳しくこの本案審査の状況について申上げたいと思うのであります。実はこの年末給與の法案と給與法の一部改正法律案とが本委員会に付託された重要な法案でありまして、先ず委員会といたしましては、あらかじめこの法案の重要性に鑑みて委員会を開いて懇談をいたしまして、各党の代表諸君と懇談したのであります。その結果、年末給與は半ヶ月分としてあるけれども、これは一ヶ月分やるのが至当である。(「議長注意せい」と呼ぶ者あり)又……(「賛成するから早くやれよ」と呼ぶ者あり)一方の給與法の一部改正法律案の号俸調整は甚だ不まじめな内容を持つておるのであつて、この二つの点だけはどうしても政府の提案は受け入れられない。これだけはどうしても一ヶ月分やらにやいかん。一方は号俸調整というような、既得権を侵すという、何ら号俸調整を認めた時代の條件が変つておらないのに、これを予算の都合でです、既得権を切下げて、(「委員長報告か演説か」と呼ぶ者あり)そうして労働者を困らせるということはいけないのだ。(「分つた分つた」と呼ぶ者あり、拍手)そこで(「委員長報告をやれよ」と呼ぶ者あり)委員会といたしましてはね。(笑声)自由党の諸君もまじえた全会一致の委員会で、これだけはどうかしてやりたい、こういう話がまとまつたんです。(笑声、拍手)そこで、その外にも意見がありましたが、本案に直接関係がありませんから言いませんが、(「もつと大きい声を出せよ」「やかましい」「黙れ」と呼ぶ者あり)先ず(「不まじめだ」「馬鹿」「何だ」と呼ぶ者あり)この総司令部に参りまして、各代表が行つて公務員課の課長さんにその要旨に申入れてですね。)「それが社会党か」「うるさいぞ」「黙つて聞け」「何を言つてやがる」と呼ぶ者あり)よくシヤーバンさんから御意見を聞き、且つ我々のですね。(「ゆつくりやれ」と呼ぶ者あり)我々の意のあるところを申出て、そうして、そういうようにするために御協力を願おうということで、(「大したもんだ」「ゆつくりやれよ」「それが社会党の代表か」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  156. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 静粛に願います。    〔「よく見ろよく見ろ」「気を落ち着けてやれ」「メガネをふいて」「社会党大したものだ」「それが本質か」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕
  157. 木下源吾

    ○木下源吾君(続) 本月の六日、前日から会見を申込んでお願いしておりましたところが、幸いにシヤーバンさんに許可を得た。私ども社会党の森崎委員、(「大したもんだ社会党は」と呼ぶ者あり)国民民主党の紅露委員、自由党の加藤理事及び私と專門員を同伴いたしまして、シヤーバンさんに御面会いたしました。あらかじめ交響にいたしまして用意しておつた案を提示いたしました。ところがシヤーバン氏の言わるることには、個人としてはですね、この案は政府案より優れていると思う、こういうようにまあ言われたので、私共は非常に喜んだ。そうしてどうかこのことの実現することに御協力と御霊力を御願いいたしたいとお願いした。理由といたしましては、各委員諸君からこもごもその理由を開陳いたしました。内容の主なる点を申上げますると、先ず第一に、朝鮮のあの問題以来、著しく物価が騰貴しておる、そのために公務員生活は(「明日の朝までやれ、ぼつぼつと」呼ぶ者あり)非常に苦しく……(「社会党の責任だよ」「社会党の本性を発揮したな」「何を言つてんの」「何を言うか」「騒いでいるのが自由党の本性だ」「不まじめな社会党の本性を発揮したな」と呼ぶ者あり)
  158. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 静粛に願います。静粛に。    〔「四日までやれ」「酔つぱらつてごてごて言うな」「まじめにやれ」と呼ぶ者あり〕
  159. 木下源吾

    ○木下源吾君(続) 第二には……(「議長の権限を行使しろ」「不まじめな社会党の本性を発揮したな」と呼ぶ者あり)第二には、地方税法の改正によりまして、(「議長々々、酔つぱらいをつまみ出せ」「誰が酔つぱらつている」「貴様だ」と呼ぶ者あり)九月、十月、十一月の地方税は、極端に公務員生活状態を困窮に陷れておる。(「分つた分つた」と呼ぶ者あり、拍手)殊に国鉄においては、(「委員長うまいぞ」と呼ぶ者あり)第二次裁定が一部実施せらるることにおいて、一ヶ月分に該当する給與が支給されるということが確定したのである。(「分つた分つた」と呼ぶ者あり、拍手)このような諸種の理由で、公務員のこの年末におけるところの経済状態は誠に窮乏に頻しておるということを各委員からこもごも訴えたのであります。(「その通り」「使命達成」と呼ぶ者あり)ところがシヤーバン氏は、(謹聽々々」と呼ぶ者あり)よく分つた、だが併しながら、(「委員長の権限」「もつと長くやれ」「ゆつくりゆつくり」と呼ぶ者あり)だが併しながらです、予算に関することは当課においての範囲外である、自分は(「醜態を暴露した」「酔つぱらい黙れ」と呼ぶ者あり)諸君の意見を聞いて(「社会党の醜態を暴露した」「うるさいぞ」「うるさいぞ、同じことばかり言いやがつて」と呼ぶ者あり)予算の関係の方面に(「委員長報告だよ」と呼ぶ者あり)取り次ぎをしてやるから、数字を揃えて持つて来たらよかろう、こういうお話でありましたので、我々は帰つて参りまして直ぐさまそれぞれ機関を動員いたしまして、その計数を揃えて專門員をしてお届けいたしましたところ、(「社会党の本性暴露」と呼ぶ者あり)続いて予算課長の(「もつとやれ」と呼ぶ者あり)リード氏から我々の会見の申入れを受諾せられまして、翌七日に予算課長にお目にかかることができたのであります。(笑声、「謹聽々々」「しつかりやれ」「頑張れよ」「議長々々」と呼ぶ者あり)ここでは私共は(「流すか」と呼ぶ者あり)曾て政府が一ヶ月分の予算を(「ゆつくりやれ、ゆつくりやれ」と呼ぶぶ者あり)組んでやるということが伝えられておつたのでありますが、(「終れ終れ」と呼ぶ者あり)何らかの都合でこれは半月分に削られた、(「結論結論」「議長」と呼ぶ者あり)こういうことについてお尋ねいたしましたところが、(「頑張れ」と呼ぶ者あり日本政府のやつたことである、(笑声)こういうことが明瞭になりました。(拍手、笑声、「議長々々」「何を言つてるんだ」と呼ぶ者あり)均衡予算は(拍手)潰すことはできないが、この予算の関係で(「しつかりやれ」と呼ぶ者あり)内閣において、若し政府において考慮するというような、(「分つた分つた」「謹聽々々」「大事なところだよ」と呼ぶ者あり)再検討するに吝かではない、(「しつかりしつかり」「よしよし分つた」と呼ぶ者あり、拍手)ただOKを與えるかどうかということは(「しつかりしつかり」と呼ぶ者あり)それは言明の限りではないけれどもということを言われました。(「大事なところだ」「ゆつくりゆつくり」「しつかりやれ」と呼ぶ者あり)私共この七日のリード予算課長の会見には(「その通り」「降りろ」「降りろ」「御苦労」と呼ぶ者あり)社会党の(「ゆつくりやれ」と呼ぶ者あり)森崎委員、国民民主党の紅露委員、(「しつかりやれ」と呼ぶ者あり)労働者農民党の千葉委員、私とで、午前十時二十五分から(笑声)午後一時十分までの間、熱心にです、この年末給與を実現さして、一ヶ月分に増額して貰うことの懇請を続けて帰つて参つたのであります。(「分りました」「よし分つた」「大事なところだ」「まだ分らない」「そうだそうだ」「頑張れ」「しつかりやれよ」と呼ぶ者あり、拍手、「議長どうするのだ」、「取締をやれ」「頑張れ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)そのことを本委員会は、この年末給與を(「やれやれ」「どうぞどうぞ」と呼ぶ者あり)政府の半ヶ月分を一ヶ月分にするために……(「議長、やかましくて聞えない」と呼ぶ者あり)
  160. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 静粛に願います。
  161. 木下源吾

    ○木下源吾君(続) 誠意を以てまじめに本委員会は努力して参つたということを御報告申上げます。(「議長、どうした」「何を言うか」と呼ぶ者あり)委員会の、国会内における委員会においては、これ又委員の諸君は、この一ヶ月分に増額するために、本当に(「そうだ」「ロボツト委員長」と呼ぶ者あり)全精魂をこめて(「そうだ」と呼ぶ者あり)活動せられたもりであります。(「大事な場所だ」と呼ぶ者あり)本日のごとき(「降りるな」と呼ぶ者あり)土曜日にも拘わらずです……(「落ち着け」「降りちやいけない」「降りろ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し、拍手
  162. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 静粛に願います。
  163. 木下源吾

    ○木下源吾君 やはり司令部に参りまして最後の懇請を続けたのであります。(議場騒然)
  164. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御静粛に願います。(「委員、委員長」と呼ぶ者あり)御静粛に願います。(「社会党の委員長残れ」「頑張れ」と呼ぶ者あり)
  165. 木下源吾

    ○木下源吾君 時間がございませんから……(「議長、静かに願います」と呼ぶ者あり)そういう熱心に本委員会が最後まで審議を続けて来ましたけれども、只今の最終の委員会におきましては、自由党の議員の動議によつて、ろくろく質疑も討論もせずに省略するの動議が出されました。(「それほいかんね」と呼ぶ者あり)その結果、討論の内容について申上げるものはございません。ただ省略の動議によつて、一気呵成に緑風会の委員諸君の賛成によつてこれが決せられたのでございます。ただこの際、附加えて置きたいことは、この採決の瞬間において……(発言する者多し)
  166. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 静粛に願います。
  167. 木下源吾

    ○木下源吾君 この挙に反対する諸君は憤然退場いたしまして、反対の意を表したということでございます。(「終り」「もつとやれ」「まだ分らん」と呼ぶ者あり)かかる経緯を経まして、委員会においては多数を以て可決したのでございまして、(笑声)私の委員長の報告をこれを以て終了させて頂きます。(拍手
  168. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君起立を求めます。    〔起立者……〕    〔寺尾豊君「議長、この採決に疑義があります。異議を申立てます」と述ぶ〕    〔「反対々々」と呼ぶ者あり〕
  169. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 静粛に願います。繰返します。本案に賛成の諸君起立を求めます。    〔起立者……〕    〔「反対々々」「多数」「異議あり」「議長宣告をしろ」と呼ぶ者あり、拍手、議場騒然〕
  170. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 静粛に願います。繰返します。本案に賛成の諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕    〔「立て立て」「何を言つてるのか」と呼ぶ者あり、議場騒然〕
  171. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 多数と認めます。(拍手)よつて本案は可決せられました。    〔「議長々々」「明瞭に分らんぞ」「繰返せ」と呼ぶ者あり、拍手、議場騒然〕      ——————————
  172. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、健康保險法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」「聞えない、聞えなと「何を言つてるか聞えない」と呼ぶ者あり、議場騒然〕
  173. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 繰返します。健康保險法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」「反対々々」と呼ぶ者あり、議場騒然〕
  174. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) では十二時となりましたので、これにて散会いたします。    午後十二時散会      —————————— ○本日の会議に付した事件  一、日程第一 鉄道建設促進に関する決議案  一、神戸事件に関する緊急質問  一、日程第二 国立学校設置法等の一部を政正する法律上案  一、日程第三 競馬法の一部を改正する法律案  一、日程第四 船員保險法等の一部を改正する法律案  一、日程第五 郵政事業特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案  一、日程第六 食糧管理特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案  一、日程第七 米国対日援助物資等処理特別会計法の一部を改正する法律案  一、日程第八 食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案  一、日程第九 農業共済再保險特別会計の歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案一、日程第十乃至第六十三條の請願一、日程第百十六の陳情一、日程第六十四乃至第六十七の請願一、日程第六十八乃至第八十六の請願一、日程第百十七の陳情一、日程第八十七乃至第百四の請願一、日程第百十八乃至第百二十の陳情一、日程第百五乃至第百十の請願一、日程第百十一及び第百十二の請願一、日程第百十三乃至第百十五の請願一、中小企業信用保険法業一、所得税法臨時特例法案一、物品税法の一部を改正する法律案一、中小企業信用保険特別会計法案一、地方公務員法案一、最高裁判所裁判官国民審査管理委員の選挙一、日本輸出銀行法案一、国家公務員のための国設宿舎に関する法律の一部を改正する法律案一、昭和二十五年度一般会計予算補正(第1号)一、昭和二十五年度特別会計予算補  正(特第1号)一、昭和二十五年度政府関係機関予算補正(機第2号)一、国家公務員に対する年末手当の  支給に関する法律案