○
河崎ナツ君 私は
日本社会党を代表いたしまして、
吉田内閣総理大臣の
施政方針演説に対しまして少し
質問さして頂きます。
吉田内閣の
施政方針演説は、成る程
講和、財政、いろいろ当面の重要な
方針を語られておりますが、いつもそうであるように、今度もそうでありましたが、
国民の半数以上を占めておりますところの
婦人と
子供の育成、
生活その他につきまして、
政府の心を一言半句も述べたことはありません。それは
吉田内閣の
封建性から、
女子供のことを
政治的には一人前には考えることが少いから、取り抜かしても怪しまないのだとも思えるのでございます。(
拍手)丁度例えて見ますならば、恰かも四角い座敷を丸く掃きまして、よく男の方はそうなさいますが、
隅々にごみを掃き残しておりますが、それでも掃いたように思う。
吉田内閣の
政治の
隅々には捨て置かれました
婦人と
子供に関するいろいろな問題がごろごろとしておるのでございます。私はこれを取上げまして、そこに見られますところの現
政府の
政治の半面を指摘いたしまして、適切なる施策を促したいと思いますものでございます。
先ず第一に、
労働憲章の
一つでありますところの
労働基準法が、今日におきましては実際は
勤労者、
年少勤労者を守り得ない
状態にありますことを申上げて、
政府の御
所見をお聞きしたいと思うものでございます。(
拍手)
事態は
基準法を守らせる係の
監督官の人数が
工場の数に比べまして余りにも少いことに起
つておるのでございます。今日届出の
工場は五十九万二千五百何がしございまして、
監督官がたつた二千五百九十五人であります。これでは一人の受持が二百八十六
工場、四年に一度しか見廻われない形にな
つております。この結果、
監督官は
奔命に疲れて
過労のために
病気続出の現状でございます。その
罹病率が公務員百人に対しまして、
最高裁判所のかたですと六・一人の
割合であり、国税庁のかたですと七・三人、
農地委員会のかたですと九・六人、そうして
労働基準局の
監督のかたがたは十五人乃至十六人おるわけでございます。これに基きましても如何に
過労に……
奔命に疲れているか、こういうわけでございますからして、各
工場はまあいわば
違反のし放題になりがちである。
年間二十万
工場ほどの巡視で、その
違反が百二十万五千余件ありと報告されておりまして、恐らく全
工場では三百十三万余件ぐらいに推定されるのではないか。況んや先月調査されました国勢調査での
増加見込の
工場数が十四万ほど殖えておることでございますから、計七十四万
余工場ともなりますれば、事は甚だ大変でございます。だが、もつと重大なことは、この莫大な
工場におきましての
違反の件数は、それだけ
勤労者を
資本の重圧にさらしている結果にな
つていることでございます。(
拍手)而も今
特需景気の王座に立
つております
繊維関係で働いておりますところの五十万
婦人年少勤労者が、この
工場の悪
條件にさらされながら、身を挺してその使命を果しておるのでございます。これは、
政府は若しや今
特需景気に沸き返
つております
繊維界のその
歓声に気を取られまして、この
歓声の実体を
基準法の守られない
裸工場で日夜稼ぎ出しておる五十万
婦人年少労働者の大きな
犠牲を頬被りして見送
つてしまうのじやないでしようか。(
拍手)でなければ、速かに
監督官の数を増し、法の
実施を守らせまして、
違反なき明るい
工場にして、快く安心して
勤労者を働かせようとお思いにはなりませんか。
保利労働大臣の御
所見をお尋ねいたしたいと存じます。
尚又、
基準法の
実施に関しまして私は
文部大臣に申上げたいと思います。
日本の
基準法も、
婦人の母性を尊重して、
勤労婦人に
産前産後の
有給休暇を認めております。(「
委員会でやれ」と呼ぶ者あり)ところで文部省は学校の
定員定額制実施に当りまして、
養護教員や
休職保養教員のためには
増定員をいたしまして
予算が通
つておりますのに、
産前産後休養の
教員だけを取残して今日に
至つております。勿論今度の
補正予算にも考慮されておりません。
女子教員の分娩は昨年二十四年度で二万一千人ばかりあります。法の上では
産休を認められながら、人の裏付けをされないこの
妊娠教員たちは、
代り手のない
産休をしては生徒がかわいそうだと大部分は無理をして出勤しております。ですから
女教員には流産だの早産だの難産などが多いのであります。でなければ、他の方々に済まないと、心弱い
妊娠教員は自分の
経済生活を
犠牲にして退職します。男の
教員よりもずつと女の
教員が勤続年数の短かいのも
一つはこういうこともあるのです。一方には学校長も
女教員の
産休を喜ばず、未婚者の就任を歓迎するかのごとき傾きさえ出て来ております。これが又
妊娠教員を居辛くし、一層退職へと追込んでおります。裏付けのない
産休が
女子教員をこういう窮地に追込んでおりますことを
政府は知
つておいでになりましようか。而もこれが解決は一にかか
つて天野
文部大臣が
産休の裏付けを学校の定員定額に組込むことのみにあり、又池田大蔵
大臣はこれを
予算上認めることのみであります。(
拍手)にも拘わらず
女教員の
産休を尚も裏付けないままに据え置いて、年々二万一千何がしの
妊娠教員に苦悩を強いておる限り、私はここにも
吉田内閣の
封建性、非民主性ありと非難するものも止むを得ないのでございます。(
拍手)池田、天野両
大臣の御
所見をお聞かせ願います。
尚、
勤労婦人に関しまして、全国十一万何がしの看護婦の問題が今日看護婦の
人たちを悩ませております。看護婦の制度が変り、差しずめ既成看護婦が、既得権を持
つている看護婦がどういう立場に置かれているか。あの
過労の中から先ず
国家試験を受けなければ一人前として立てない。それらにつきましての問題につきまして、最も親切な立場から、どう既成看護婦を立たせて行くかということにつきましての厚生
大臣のお考えを、一言全国看護婦のためにお聞かせ願いたいのでございます。
私は次に平衡交付金が三十万收容兒童を踏み潰しかけている事実につきまして
吉田総理に申上げたいと存じます。今年度から地方自治確立育成のために地方財政平衡交付金制を
実施いたしましたことは一応尤もな次第であります。だからと言
つて一律に交付金に置き替えることはどうかという論議の声がございましたが、その
一つが兒童福祉法によりますところの施設收容兒童のための兒童保護費でありました。同じ性質のものである
生活保護費が交付金の枠外に補助費として置かれまして適正に措置されておりますのに、この兒童保護費が枠内に置かれまして、ともすれば
政治的
発言力の強い部面から押されがちな地方財政に任されたのでございます。果せるかな、過去四ケ月間にすでに著しい支障が来たしておりますことを私は実地視察で発見し、又都道府県からの報告が示しております。保護費の未拂いや新らしい保護兒童の認定や、新施設認可の取止めや、入所兒童の制限や、富裕兒への置き替えや、さては保護費が低下し出したというふうな事柄で、施設に收容されておりますところの孤兒、或いは浮浪兒、或いは棄子、精神薄弱児、盲聾唖兒など、三十万保護兒童の
生活が今脅かされております。尚、引続いて保護の手を待
つておりますところの四十万の兒童への新らしい措置の手も引込められて行く憐れな
事態の出現でございます。これは又延いては、そこに働く志の清純な、聖職に甘んずる多くの保姆、世話婦の人々の職場を狹め、
生活を脅かすことででもあるのでございます。或いは人が申しましよう。市町村当局も新制度への切り換えでまだ慣れないだろう、長い目で見ておれば将来はうまく行くに違いないと申します。だが兒童は生きております。その日の
生活乃至生命線を確保する必要がございます。地方自治能力の成熟するその時期まで待
つてはいられないものがあります。これは何としても速かに兒童の保護費は
生活保護費と同じ平衡交付金の枠から外すべきではないでしようか。それとも
政府は三十万保護兒童が平衡交付金に押し潰されかけている
事態から頬被りで行こうとでも言うのでありましようか。当面の責任者の黒川厚生
大臣はどうお考えでしよう。岡野
国務大臣、池田大蔵
大臣の御
所見を切にお願いいたしたいと思います。
次に私の心を打ちますものは、六十一万の未亡人が女の細腕に百二十五万の幼兒を抱えまして、このインフレの嵐の中を冬将軍と顔を合せて立
つておりますところの
日本の未亡人世帯の問題でございます。
生活保護法による被保護世帯の四五%は母子世帯でありますことは、未亡人の少くとも三分の一はこの法律にともかく最低線を支えられていることにおきまして、一応は落着いて来ましたが、今や次の段階といたしまして
二つの問題を当面要求いたしております。
一つは、母は
子供の育成にその命を賭けております。そのためにも積極的な
自立的な
生活の確立を望んで止みません。このためにも先ず未亡人家庭への育英資金の大幅な開放と生業資金の貸付を積極的に考えらるべきではないでしようか。ところが育英資金につきましては、被
生活保護者には、よしや優秀な子であ
つても、高校、大学への途が閉されております。又、生業資金におきましても、その貸付
條件が返済の見込のある者か一定の
生活特技のある者というようなものでございますので、未亡
人たちには余り巖し過ぎると申しますか、未亡
人たちの能力では高い所に、手の届かない所にありますので、結局は水上の月と眺めてしまうよりほかありません。未亡人の道を次へ開くために、この
二つの面は何とか打開しなければなりません。このことにつきまして厚生
大臣の御
所見をお伺いしたいと思います。
更に私の黙視するに忍びませんことは、この未亡人世帶を通して見ました
日本の女の細腕につきまして、男の細腕という言葉はありません。この女の細腕につきましてでございます。
生活技能を一人前に持
つていない者は
日本で九五%と言われております。ここに未亡人世帯への対策が、資金貸付の前に先ず生業の手ほどきから始められねばならない、手数のかかるものであります。未亡人の
生活無能力へのこの不安焦燥の結果は、遂に母子心中に終るか子持ち夜の女に落ちて行くのであります。而も
日本にはすべての母と子の
生活を制限なく守り抜く法の措置もございません。どこの国にも
子供を抱えた未亡人世帶はありますが、多くの国はすでに社会保障制度に盛り込まれてその母と子は守られている上に、母なる女性は向らかの
生活技能を一人前に持たされていること九五%であることは、その国の未亡人対策が
日本の場合と雲泥の差の難易があることが知らされます。けれども
日本の女性が生れながらにして無能力なのではありません。久しきに亘
つて三従の教えの枠の中に生きるように平人前と育てられて来た結果であります。これは又、今までの
日本の女子教育と職業教育の欠陷によると思いますが、天野
文部大臣は何とお考えでありましようか。近頃文部省は、司令部の示唆もありまして、職業教育について大きな展開を画しているらしく、学校共同実習所の発表はその
一つとして好もしい限りでありますが、事、女子の職業教育に関する限り、その施策が甚だ旧態依然たる恨みありとしばしば聞くのであります。未亡人
生活はいつの世にもある女性の人生行路の一駒です。これからの未亡人対策の一環としても文部省の女子の職業教育は重要だと思うのでありますが、如何なる施策を立て、如何に考えておられるのか。未亡人及び全
婦人のために天野
文部大臣の御
所見をお伺いいたします。
次に私共の見付けます問題は、多子人工妊婦中絶に
婦人が今日さらされまして、余りに多くさらされ過ぎておることにつきましての危險を申上げます。多子は貧困に追い込む大きな原因の
一つであることは言うまでもありません。その上、
日本は退つ引きならぬ
人口問題解決のためにも、多子問題に当面しています。前国会で人工妊娠中絶が提案されていましたが、大衆はすでに自分の
生活を守るために保健所を通して、妊娠中絶を著々実行しております。即ち
昭和二十二年には十万人程ありましたのが、
昭和二十四年には二十四万人でありました。ところが二十五年度は上半期ですでに二十二万を超えて、恐らく
年間五十万人を超えるであろうと厚生省は推定いたしております。それらは皆、工員、勤め人、公務員、失業者、日雇者等々の妻たちでありまして、
経済上の理由四五%、他は「つわり」、結核などの病気だと保健所は報告いたしております。これらが一応妊娠に
関係いたしましての好もしい展開であるのでありますが、こうして妊娠中絶にだけ任せて置きますのは又由々しい結果を招来することを私は厚生
大臣にお考え願いたいと思うものであります。妊娠は母性の自然の生理現象でありまして、中絶は母体にと
つて不自然であります。
技術的にも衛生的にも軽々しい妊娠中絶は母体を損い、弱め、余病を起し易くし、或いは死にさえ至らしめます。でなければ直ぐ次の妊娠中絶をして又次の中絶を必要とします。無策のままいつまでもこの妊娠中絶のみにさらして置きますことは母性の浪費であり、母性の冒涜でさえあると思います。もはや今日は妊娠調節に重点を置いた強い厚生行政に入るべきではないかと思います。(
拍手)にも拘わらず末端実践機関でありますところの保健所では、避妊への指導啓蒙が極めて手薄であります。これは本省の決意の弱さが反映しているので、本省がはずめば末端もはずんで来ます。そうして女性の母性はますます守られると思います。黒川厚生
大臣は、この分り切つた母性の浪費をこれからも尚引続いて
日本の女性に堪え忍ばせようとなさるのでありましようか。それとも妊娠調節への新らしい
計画をお持ちでありましようか。
日本の全
婦人のために、分けても働く
工場農村婦人のために熱意ある御
所見をお聞かせ願いたいと思います。
次に、現
政府が労働省の
婦人少年局の存在を二度までも揺すぶり続ける
事態を通じて、現
政府の
婦人少年者への無理解な
封建性を強く指摘いたしたいと思います。(
拍手)
政府は前にも行政機構の整理をして冗費を省くというので、この局を全面的に取止めようとしたのでありましたが、今度は聞くところによりますと他省へ分散吸收せしめようとするというのだそうであります。取止め、分散吸收必ずしも悪いとは言われません。だが事にもより物にもよりけりであります。
婦人少年局が
日本の民主化にどんな使命を担
つて設置されたかが正しく理解されたならば、取止めも分散吸收も断じてできるものではないと思います。この局は
婦人労働、年少労働及び
婦人課の三課から成る今は小さい局ではありますが、その任務は甚だ高邁雄健であります。先ず働く
婦人の健康と母性を保護し、地位の
向上に努めると共に、働く少年少女を過重な労働から保護し、そして男尊女卑の封建的弊風を打破して、
婦人の社会的、
経済的地位の
向上を図ろうと目指しております。そのために先ず調査資料を收集しつつ一二歩来たのでありますが、早くも分散されて、
婦人課は厚生省の兒童局へ、他の二課は基準
監督局へ吸收されたのでは、如上の使命が果してどこで達成されるのでありましようか。(
拍手)性格が違い、社会的感覚の違う所では別のものにな
つてしまうより外はありません。
保利労働大臣はそうはお思いになりませんか。
婦人局は三年前労働省の設置と同時に置かれたのでありますが、こうして働く女子年少者の問題が
国家的に取上げられ、
国家行政機構の中に一局を設けられましたことは、
我が国有史以来初めてのことであります。(
拍手)由来、女子年少
労働者の低賃金とと悪な労働
條件を以て、
世界市場に注目を攻撃の的となり、又封建的差別
思想の根強さを以て
世界に知られていたところの
日本にとりましては、これは又真に画期的なことであります。ここにおいて
婦人少年局の社会史的な、文化史的な意義の深さを感じます。
保利労働大臣はそうお思いになりませんか。(
拍手)この使命を達成する第一歩として、
婦人少年
労働者の
生活、労働の実態調査が少年局でなされておりますが、これが又
日本に曾てない立派な記録でありまして、見かけは眇たる小冊子でありますが、
日本の
婦人解放の貴重なる科学的礎石の
一つ々々であります。全くこの局の任務はかか
つて又今後にあるのでありまして、解消し又分散するどころか、むしろますます強化して、
婦人少年者に対する総合的な行政を推進する鉄の枢軸とさえなすべきだと思います。(
拍手)これを未だに尚、揺さぶり続けている現
政府の御
見解はどうか。
保利労働大臣にしつかりとお伺いしたいと思います。
最後に社会保障制度につきましての
政府のあり方について
質問いたします。人間は働けるときと働けないときがあります。働ける人と働けない人があります。失業、老齢、病気等で働けなければ收入はありません。收入がなければ
生活ができません。
生活のできないことが人間の
最大悲惨事であります。この悲惨事をなくして、いつでもみんなの
生活を守り、
生活を保障する
政治、この
政治が
世界の新らしい
政治の流れであります。社会保障制度こそがその具体案なのであります。然るに
吉田総理大臣はこの方面にも積極的なる
発言の
一つもなかつたことは残念であります。(
拍手)社会保障制度審議会の審議案……
委員会からすでに出ている答申勧告案を、
政府はいつ頃からどの程度に
実施するおつもりでありましようか。
日本の
婦人は先程も申上げましたように、九五%まで、健康であ
つても、職場があ
つても一人前に働く力を持
つていませんので、
生活無能力者にせられて来ましたから、常に
生活に脅かされ、
生活保護者に卑屈になりがちでございます。臍繰金等をいつの頃からか作るようにさえなり果てました。(笑声)何という情ないことでございましよう。だから社会保障制度は
婦人の
生活に生命の火をつけるものといたしまして、
独立人への心構えに入る一歩といたしまして、どんなに期待していたか知れないのであります。社会保障制度によりまして一番救われますのは、現段階の
日本におきましての
婦人の
生活であります。多数の
子供を抱えてお
つても
子供年金がある、未亡人にな
つて子供を多勢抱えていても寡婦年金、遺兒年金がある、老年にな
つても養老年金がある、これらの社会保障による
生活支柱は女の心を落着けまして、嫁や婿に必要以上に機嫌をとつたり、必要以上に虚勢を張つたりすることは要らなくな
つて、女同士の応待がどんなに自然になることでしよう。けれども今度の審議会の勧告案は、
子供年金は被用者にも一般
国民にも省かれております。寡婦年金、遺兒年金、養老年金は、一般
国民には若し財政の余裕があつたらと
條件付きでありまして、多分見込はありますまい。これを知
つて婦人はどんなにがつかりしたか知れませせん。被用者の家族以外の大部分の
婦人、多数の
婦人は又もや取残されたのであります。
国民の半数を占める
婦人、その
婦人の大部分を取残した社会保障制度は
婦人にと
つては甚だ意味が薄いではありませんか。そんなに意味の軽い今度の案を現
政府は又六掛ぐらいにしか実行しないだろうと聞いておりますが、それは本当でありましようか。これこそ
吉田総理大臣からしつかりと、その肝をお聞かせ願いたいと思います。(
拍手)
一体、六十一万未亡人と百二十五万
子供との母子家庭の
生活は、
生活保護法の外は何で守ることになるのでしよう。同じ未亡人であるのに、欧米諸国の未亡人に比べて
日本の方々は気の毒でなりません。せめてこの方々だけでも何とか方法を講ずる途はないものでありましようか。それから又、
子供は遺児に限らず、すべての
子供は全く育成する大人の責任、その責任におきまして、成るべく早く
子供年金をとり上げて行くつもりはありませんか。この
二つは黒川厚生
大臣から御
所見をお伺いいたしたいと思います。
そうして一方には、社会保障を強く裏付けるものといたしまして、並行して次のことを一層推進することを附加えたいと思います。
教育保障といたしまして、義務教育費の全額国庫負担と育英金の拡充、保育所、乳児院の増設、これらの国康負担によりまして、
子供に関する身体と能力とを
国家が十分に支えて行きますならば、大きな社会保障制度への強みでございます。又栄養保障として、中小学校給食の国庫負担、又簡素にして能率的な集団住宅、共同住宅の国庫負担の住宅
政策、これらの保障は、又間接に
婦人の
生活、分けても
勤労婦人の
生活を簡素化し、能率化して、
婦人が当面しておりますところの
生活の重圧から解放することをも意味いたしておりまするが、社会保障制度はこの面におきましても将来の
婦人を一人前に立たせる大きな救いの道であります。併し最もそれらの徹底的に考えられなければならぬことは、完全雇用であり、最低賃金の制定でありますが、これはどうしても一歩々々
政府に取上げて貰わなければならぬことでありまして、ここまで参りますまでに六掛の現
政府が幾年かかりますことか。併し今のところ、この審議会の答申に、勧告、少くとも六掛でなく、一〇〇%のそこから出発することを現
政府に要請したいと思います。
以上の事柄は小事でありますかのごとくでありますが、実は一連の常に
婦人と
子供を立ちすくませておりますところの大きな
政治の取残しであります。この
事態に対しましての
吉田内閣の責任を以上で以て指摘したいと思つた次第でございます。私の
質問はこれで終ります。(
拍手)
〔
国務大臣吉田茂君
登壇、
拍手〕