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國務大臣(
田村文吉君) 現在の実況につきまして、少しく現在の電気通信事業の概況を簡單に御
説明いたしたいと思いますが、最初に市内
電話について申上げます。戰災によりましてその半ばを失いました我が國の
加入電話は、五ケ年間の
努力によりまして、二十五年三月末には有料
加入者の数が百万余になりました。ほぼ戰前の数に達したのであります。併し産業の復興に伴う
電話の需要には到底応じ得ないのでありまして、二十五
年度におきましては、
加入者開通に関する各種制度の
改善と現有の室
施設の極度の利用等によりまして十一万七千五百を
増設することにいたしたのであります。併し本
年度末までの需要見込数は四十二万余が予定されておりまするので、十一万七千五百を
増設できましても、漸くその二七%を充足し得るに過ぎないのであります。他面、市内
電話のサービスの
程度を見ますると、戰災による基礎
設備の甚大な破壊のために、その完全接続率は
大都市によりましては、戰前が十回に七回通じたものが、現在は十回に四回通ずるのみであります。その原因は、前記基礎
設備の不足の外に、
電話の話中率の高いこと、中間機器
中継線の不足等であります。これらに対しましては鋭意
努力中でありますが、資金の不足のためその
改善は遅々として捗らないのであります。市外
通話におきましては、二十四
年度は一
加入電話が一日平均〇・六七回
通話したのでありますが、本年八月中で見ますと、同じく平均一日〇・七四回
通話したことになりまして、二十四
年度に比較いたしまして、市外
通話の利用数が相当増加しており、今後もますます増加の一途を迫ることが予想せられるのであります。従いまして市外回線は依然として不足を告げ、特急における全國の平均待合せ時分は短距離で一時間四十分、中距離で二時間三十分、長距離三時間を要するのであります。東京大阪の例を見ましても最大三時間を要し、戰前の至急
通話で四十分の待合せでありましたのに比べますると遙かに及ばない情勢にあるのであります。併し市外回線の安定化に関しましては、戰後非常な
努力を払つた結果、最近に至りまして所期の効果を挙げ、障碍時間は一日一回線当り約十分
程度まで短縮することができたのであります。
電信につきましては二十四
年度は内國電報発信は八千百六万六千余通でありまして、昭和十五年の八八%に達したのでありますが、二十五年八月の利用通数を前年の同月に比べて見ますると、一一九%を示しておりまして、利用数も漸次増加の傾向にあります。
電信のサービスの現況は、東京より全國主要各地への普通電報が一時間乃至二時間以内に到達しておりまして、不十分ながら一応常態に復したと
考えられます。
國際電気通信、殊に國際電報の利用は二十五
年度初頭より対外貿易の好転等に伴いまして、増加の一途を辿
つておりましたが、今次朝鮮動乱勃発に伴
つて新聞電報、國際
電話中継
放送、國際
放送電報等が特に著しく増加いたしました。今これを動乱の勃発前と比較いたして見まするというと、新聞電報は約六倍強、國際
電話中継
放送は約一五三倍、國際
放送電報が約二倍強とな
つております。又昭和二十五年九月末までの取扱い実績及び今後における取扱推移等を勘案して、二十五
年度における國際通信取扱数を概算いたしますれば、二十四
年度に比べて電報及び
電話は約二倍に増加するものと
考えられます。これらの激増する通信の
疏通のための回線
措置は次の
通りであります。東京オークランド間の無線
電話連絡三回線を五回線に増強いたしましたのが大月の三十日、東京・サンフランシスコ・プレスワイヤレス無線の第二回路を設定いたしましたのが七月五日、國際
電話中継
放送業務拡張
整備のため、東京國際
電話局内にマスター・コントロール・ルームを設定いたしましたのが十月六日、又動乱のため一時
業務を停止しておりました福岡—京城間電信一回線、東京—京城間、福岡—京城間
電話おのおの一回線は、國際連合軍の京城奪回に伴いまして対韓國との通信
連絡を無線により復活いたしまして、十月十九日に東京—京城間無線
電話回線を、十月二十日には東京—京城間無線電信回線を設定、それぞれ
業務を再開いたしました。又朝鮮動乱勃発後とみにその要請の高められましたニュース写真等を取扱うために、九月二十日から米國との間に写真電信回線を設定いたしまして、正に九年振りにこの
業務を再開することに相成
つたのであります。
本
年度におきまする收支
状況を見ますると、八月までの累計で、支出が百五億三千七百万円余、收入は百七十三億七千二百万円余とな
つておりますが、六十八億三千五百万円の收入超過でありまして、二十四
年度の八月までの收入の累計額に比較いたしますると、およそ二八%の増加となり、増收に向
つている次第であります。大体以上凡そ現況を御報告申上げた次第であります。