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説明員(
松任谷健太郎君)
漁業無線の
経過につきましては前
委員会におきましてその大筋を
お話申上げたのでございますけれども、その際一番問題になりましたのは、御
承知の
通り八月に
電波監理委員会でお開きになりました
公聽会におきまして
漁業無線局の
開設の
根本基準に関する
規則案が一番問題にな
つたのでございます。この点につきましては現在の
漁業無線の
実情は海岸の
無線局が六十ございます。その中で県が
経営しておりますものは二十四ございます。それから
組合で
経営しておりますのは三十三ございまして、その他が五つとい
つたような数字に
なつておりまして、
陸上局全体の数の五六%の
ウエートを占めているというような
関係と、一方
漁船の
無線局につきましては二千九百隻ほどの
無線局があるのでございまして、これが全船舶の
無線局の七七%とい
つたような
ウエートを占めておるのでございます。そこでこの
漁業無線に関しまする
生産関係の
水産庁当局といたしましては、とにかくこういう非常に近代的な
無線とい
つたような
施設が十分に
事業経営の面並びに
漁業生産の面に有効的に活用できるとい
つたようなことが図られますように、各種の施策を講じておる次第でございまして、御
承知の
通り大正十年以来
水産庁といたしましても
陸上の
無線局に対する
施設補助を図つて参り、
漁業の
発達に応じた
無線の
利用ということを講じつつあ
つた次第でございます。それがいろいろと先ほど申しましたように県営の
無線の
発達になり、或いは
組合の
無線の
発達になりまして各地で
相当の効果を
收めておるのでございます。それに見ならいまして最近ではまだ
施設のない漁村につきましても
設置要望の声が多いのでございまして、我々といたしましては成るべくこうい
つた生産なり、
経営に役立つような
施設の普及につきましては、力を入れて業者の
要望を聞いてやりたいというふうに
考えて
努力をしておるのでございます。その間その
運営の問題につきにまして
電波法の
施行が出ましてから、
電波法を嚴格に適用すると従来そういうふうな運用を
図つて参つた関係を多少規制しなければ
いかんというような
関係が出て参
つたのでございまして、
電波の
関係から申しますると、そういう新規の
開設者の希望の多い場合に、
電波が割当確保されるかというような問題でありまするとか、確保された
電波を如何に公平、能率的な
利用を図つて参るかというような
見地からいたしまして、その
経営体制を何とか広く
利用させるような
体制に切換えてはどうかというような
考え方が基になりまして、その
開設の
根本基準の案ができておりまして、具体的に申しますると従来の
協同組合でやつているようなものも、
利用者を
組合員とする
任意組合を
作つて專門無線とい
つたような実態を備えたらどうかというような
意味合いの案に
なつておるのでございます。そこでその話は
前々からいろいろ問題であ
つたのでございまして、当時私共
水産当局といたしましては、でき得るならば
協同組合というものが広く
電波の
利用者、
水産無線の
利用者を
構成員にできるような形に
なつてお
つたならば、そういう問題は起らんだろうというような
意味合いから、
協同組合法等の
改正等も
考えてお
つたのでございまするが、御
承知の
通り水産業協同組合法は、
昭和二十四年の二月に
施行されたのでございまして、現在まで僅か一年九ヶ月しかたつておらないのでございます。当時はまだ一年足らずの
施行経過でございまして、
協同組合が真に
漁業者の民主的な、而も
中小の零細な
漁業者の
福利増進組織とたしまして、完全な活動をして参り、完全な
組織を作つて参ります過程にあ
つたのでございまして、そうい
つたような
意味合いからいたしまして
加入する
法人等につきまして、
関係方面でも問題がございまして、
中小の零細な
漁業者の
福利増進を主体とする絹織が、資本的なものに動かされては
いかんというような
意味合いから申しまして、
法人加入には、これは第一次の
改正でございまするが、制限が設けられたのでございます。即ち
法人であつて使用する
従業員が三百人
未満のもの、乃至は
使用漁船の三百トン
未満のもの、そういうものが
加入を認められたのでございまして、それ以上の大きな
法人につきましては、
加入を、
協同組合のまあ趣旨から申しまして制限するというような
体制にな
つてしまつたのでございます。そこでそうい
つたような
法律の
実情に
なつておりますので、この
関係をなかなか突き破ることは、その当時困難であろうというような我々は見通しを立てたのでございます。従いましてこの
電波の
利用形態、有効な公平な
電波の
利用というような
見地から申しますれば、
漁業生産の面と
電波監理の面とを睨み合せまして、何とか
漁業無線の
運営の合理的な
体制を作らなきや
いかんであろうというようなことからいたしまして、
陸上無線局を中心とする管理
組合というものと、それから
漁船を中心とする
利用組合という二つの形を
考えまして、それぞれに
法人格を與えてはつきりとしたそこに
利用関係を設定させまして、広く如何なる
漁船の
無線施設者でも
利用できるような、それから又地域的に申しましても、どこの漁場に参りましても、最寄りの
漁業無線が
利用できますような形を
考えて、一応の要綱を作
つたような次第でございます。そこでいろいろとそうい
つた要綱を基にしましてこれを何とか
法律化しなきや
いかんというふうに我々は
考えた次第でございまして、現在自然的にと申しまするか、地域的に
発達して参つている各種の
漁業無線形態というものを、こうい
つた考え方の下に切替えを行うというようなためには、どうしても
法律が必要であろう。それまでは今のような現状の形態を認めて参りまして、
法律ができましたならば切替えを行な
つたらどうかというふうに私共は
考えたのでございます。そこで
公聽会の席上におきましても、現在の
漁業無線の形態が必ずしも合理的ではないというような
意味のことを申上げ、併しながら新しく
漁業者の負担になる、或いは権利
義務て関するような事柄が加わるようなことになります場合には、
法律を要するであろうからして、それまでは従来
通りの形を何とか
電波法の解釈、運用で図つて頂けんかというような
意味合いのことを陳情いたしたのでございます。そこでその当時の
公聽会における審理宮の御
意見といたしましては、任意団体でやるとい
つたようなことは、とにかく
電波法第一條の
関係の精神から申しまして適当な
処置であろう。併しながらその構想を実施すべき時期につきましては、
漁業界の現状に鑑みまして、できるだけ
漁業の混乱を避けるために、一定の準備期間を設けるべきではないかというような端的な御
意見を付けられたのでございまして、その理由といたしましては
漁業無線と、
漁業それ自体とはとにかく車の両輪のような
関係なので、
漁業無線の監理というものにつきましても
漁業政策を全く度外視して行わるべきではない。従いましてその問題を解決いたしますためには
関係官民の間に
誠意のある協議を必要とするであろう。而もそれにつきましたは有効な機関を要するものと思われるので、
漁業無線の円満な
運営と
漁業無線局運営の一応の見通しを付けて後に、実施に移すのが最も適切な
方法であろうとい
つたような
意味の御
意見を、
公聽会の後で付けておられたのでございます。そういうふうないきさつのありました後におきまして、いろいろの御
事情、
電波法の迅速な
施行とい
つたような
関係もあ
つたと存ずるのでございまするが、とにかくその基準の附則ができたのでございます。基準附則が公布にな
つたのでございます。そこですぐ問題に
なつて参りますのは先ほど申上げましたように、従来の
漁業界というものが持つてお
つた無線施設を新しく今度
協同組合ができましてそれを讓渡するとい
つたような場合には新規に免許を受けなければ
いかんというふうに
電波法にもございまするし、その点の新規免許についてどう取扱うかというような問題と、それから第二番目は県営のものが
相当多数
漁業者によつて
利用されておる。そうい
つたものが
漁業者に負担をかけずにどういうふうに
運営ができるであろうかというふうな点でございます。それから更に先ほど申上げました
通り、大正十年以来
水産当局が補助をしておりました
漁業無線の
陸上局の
施設の問題につきまして、本年度はどういう形でやるべきであろうか。早く地元としては指令が欲しいというようなこともありまして、そうい
つた差迫
つたいろいろの問題を含んで、この問題が
漁業者の各種の陳情と
なつて我々のほうにも参り、又
國会のほうにも陳情がなされたというような
実情にな
つたのでございます。そこでいろいろと私のほうもこの善処方について
考えたのでございますが、とにかく
水産庁といたしましては出ました規則を十分尊重いたしまして、何らか
協同組合法の
改正をもう一遍押して見る必要がある。と申しますのは、すでに先ほど申上げましたように、水産業
協同組合法
施行以来一年九ヶ月を経ておる。当初問題になりましたのはまだ育成過程の設立過程の一年足らずの途中であ
つた。今におきましては、すでに各漁村に設立されるべき
協同組合も設立されましたし、その数も四千以上にも上つておりまして、もうこれ以上
協同組合が設立されることもありませんし、それから事業の動き出しにつきましても、そうい
つた協同組合はとにかく
中小零細な
漁業者の
福利増進組織として、
相当活発に活動を開始しておる。こういうような現状におきましては、更にこの
無線の問題を中心にしまして、
協同組合法の
改正が可能であろうというふうに見通しを立てまして、目下その
協同組合法の
改正案につきまして、鋭意その促進方を
努力しておるのでございます。
関係方面の意向といたしましても、今のような
実情であればそうい
つたことも認められるだろうというようなことでございまして、ただ問題は
協同組合というものが本質的に
中小零細な
漁業者の
福利増進施設である。それが資本的な力で以て左右されては困るというようなことでございますので、経理の面なり、或いは外の事業の面につきまして、そういう弊害のないような形において、
協同組合法の
改正をするというような方針の下に
研究を進めておるのでございます。従いまして第二の問題といたしましては、とにかくそういうふうな
法律が
改正になりますまでは、何とか現在の形が混乱を見ずに、その形に切替えができますように、適当御
処置を御
要望申上げるというような意向の下に、
電波監理委員会のほうにも申上げている次第でございます。大体さような
経過を辿つております。