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1950-12-04 第9回国会 参議院 通商産業委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十二月四日(月曜日)    午後一時四十四分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○鉱業法案内閣送付)(第八回国会  継続) ○採石法案内閣送付)(第八回国会  継続) ○鉱業法施行法案内閣送付) ○特別鉱害復旧臨時措置法の一部を改  正する法律案内閣送付) ○一般鉱害賠償問題に関する件   —————————————
  2. 深川榮左エ門

    ○委員長(深川榮左エ門君) これより委員会を開きます。本日の議題はあらかじめ公報で御通知申上げました通り鉱業法案、同施行法案採石法案及び先週土曜日提案理由説明をされました特別鉱害復旧臨時措置法の一部を改正する法律案であります。なお本日は通産当局のほかに鉱害対策につきまして、農林大臣建設大臣経済安定本部長官の出席を要求しておりまするが、この点につきまして、今のところ通産大臣は出席することになつております。農林大臣そのほかは今交渉しておりますので、確たることはわかり、ませんが、大体要求は言つてありますから、後刻出席するものと私は考えております。  それでは各法案につきまして、御質疑のあるかたは御発言をお願いいたします。
  3. 西田隆男

    西田隆男君 私は先日の委員会安本農林省通産省三者の御協議によつて特別鉱害から除外されている一般鉱害復旧の問題について、岡田次官に質問したのでありますが、その際いろいろ御親切な御答弁がありましたが、従つて我々は鉱業法審査施行法に関連している法律案審査の前に、特別鉱害に除外された他の過去における一般鉱害の問題について、通産省のどうしたら一般鉱害復旧が可能であるか、如何なる方法通産省考えておられるか、この点について岡田次長一つ説明をお願いいたします。
  4. 岡田秀男

    説明員岡田秀男君) この前の委員会におきまして、特別鉱害から除外されました一般鉱害を早急に復旧し得るような方策を立てて、鉱害被害者安心を與えるようにせよという強い御要望がございましたのですが、その節私どもとしては誠に御同感であると同時に、事極めて重大な問題でございますので、丁度鉱業法改正審議会と似たような意味合におきまして、通産省にこれの專門の審議会を設置いたしまして、速急にこれが対策を立てて行きたいと、かような御答弁を申して置いたのであります。何分本問題につきましては、通産省だけで解決いたし得る問題でございませんで、最も関係のありますのは大蔵省並び安本農林省、又広く申しますれば建設省なり或いは厚生省なり、運輸省なり、各が面に亘りまするのでありますので、私どもだけから、かような方法でやるということを軽々に申しがたいのであります。ただまあ鉱業所管官庁といたしまして、私どもが事務的にどんな方向行つたらよかろうかというふうなことを速急の間に討議いたしましたところによりますれば、先ず今度の特別鉱害におきまして、正確に特別鉱害とは認定できないのでございますけれども特別鉱害として認定せられた工事を施行する上において、その関連した土地も合せて復旧するというのでありませんというと、特別鉱害復旧をやりましても、その効来を挙げ得ないというふうな工事がありまして、例えて申しますると、成る田圃なら田圃一部分特別鉱害に認定されておりまして、それだけ復旧いたしましたのでは、排水管の問題でありますとか、いろいろの関係で他の土地と合せてやりませんというと、目的が達成しないというような事例が若干あります。それらの事例解決方策といたしまして、私どもがとりましたのは受益者負担方策をとりまして、例えば当該炭鉱におきましては、その当時の金銭賠償で支拂つております。こういう金額を今度の特別会計に繰入れてもらいまして、それで国の補助金等と合せまして特別鉱害と認定せられた工事と一体としての工事を執行するというふうな方策をとつたのであります。炭鉱側といたしましても、当該一般鉱害地について放置いたして置きますならば、殆んど永久的に金銭賠償を續けて行かねばならないものが、今度の特別鉱害受益者として、参加することによりまして、一時には、つまり工事が完成するまでの間は金銭賠償とその復旧負担分と申しますか、それとが二重に出るわけではございますけれども、それによつて短期間復旧ができ、その後においては金銭賠償をしなくても済むという状態が参りまするわけでありまして、炭鉱側も欣然としてそこに参加された事例があるのであります。一般鉱害復旧につきましても、この特別鉱害におきまする受益者負担構想を取入れまして、炭鉱が現在被害者に拂つておりまする金銭賠償額というものを、例えば特別鉱害におきまするような特別会計で出して頂く、若しも国の会計が許しまするならば、多少補助率に差があるといたしましても、国からも若干の公共事業費関係において、補助が出してもらえる、或いは関係公共団体においても一部の負担がしてもらえるという事態に相成りまするならば、特別鉱害受益者負担事例考えて見ますれば、そういう構想で行けば、存外円満に一般鉱害の処理ができるのじやなかろうかというような考え  を持つておるのであります。併し何分にも国家財政緊迫折柄でございまするし、特別鉱害復旧が本年から向う五ヶ年に亘りまして相当莫大な国幣を費すわけでございます。これと並行して、一般鉱害の問題をスタートするといたしまするならば、ここに問題は国の財政の問題が大きくクローズ・アップされて来るわけであると思うのであります。この点につきましては、どういたしましても、大蔵省なり、経済安定本部なりのそれぞれのかたがたと十分な協議を遂げまして、打開の方策が認められませんといけないわけでございます。それらの点も併せまして、この審議会十分本件解決策を見出すように努力いたしたい、かように私どもとしては考えておるわけでございます。
  5. 西田隆男

    西田隆男君 只今岡田次長から至極建設的な御意見を聞いたわけですが、最後審議会を設けて、その審議会でこの問題を一緒検討したいというような御答弁でしたが、我々が考えておりますのは、新らしい鉱業法が発足すると共に、過去における鉱業被害に対する処置が何らかの決定を見なければならんという考え方を多く持つておるわけであります。それはなぜかと言いますと、この鉱業法による鉱害の補償は金銭賠償、民法上の損害賠償基本観念に基いてきめられておるので、これから発生するであろう鉱業被害に対してすらも、被害を受けるところの国民の人々は非常な不安を感じておる。而も過去における鉱害すらも復旧できない状態において、そういう法律を施行するということは、我々国民代表として如何にも残念であります。こういう観点から、少くともこの鉱業法が  発足する前に、実際の一般鉱害被害復旧に着手するということでなくても、何らか着手できるような具体的な構想通産省なり、或いは農林省なり、或いは安本大蔵省なり、四省の協議によつてせめて決定だけはしてもらわなくてはならんというふうに私は考えております。今の岡田次長の御説明は、そういうふうな方法行つたならば、或いは一般鉱害復旧も軌道に乗るであろうと私も考えておりますので、只今次長考えておられるような方向に早急に関係各省意見をまとめられ、そうして直ちに一般鉱害復旧に着手できるであろうという安心感を與えられるような具体的な方策関係各省の間で御協議の上御決定願いたい、かように私は思うのですが、丁度安本長官もお見えになつておるようですが、安本長官は、今の岡田次長一般鉱害に対する考え方に対してどういう御意見を持つておられるか、一応一つ意見を承わりたい。
  6. 周東英雄

    國務大臣周東英雄君) 鉱害に対する処置については、只今次長からお話を申上げた通りだと思います。特別鉱害戰時中国の要請によつてかなり無理をして業者に掘らせた、その結果起つた鉱害について、国が或る程度補助をして賠償し、復旧せしめるということの行き方は、当然であると思いますが、一般鉱害については、やや特別鉱害に対するものとは理論的には質的に違うのではないかと私は思つております。併し鉱山の被害が、過失なくしても、相当に思わざる原因からよく公共の福祉に反するような被害を起し得る場合もあるでありましようから、その際に、或る程度国家補助復旧に求めたいという御意向は、一応私も御尤もだと思うのですが、ただ現在の財政上の問題で相当額を要するものと考えられますので、これは十分に考究して然るべきものと私は考えます。私は今突然お伺いしたのですが、できればやはりこういうものについては、何らの企業者の側に負担なくして国から補助をもらつて復旧する、国の負担によつて補助するということだけでは質的にいけないのじやないかと思う。私はただ個人的の考えを御意見に対して申上げるのでございますが、やはりできれば鉱業者自体が平生から或る程度積立金をしつ、保険的なものを考えつ、それに国家が再保険的な考え  方を入れて行くというような処置考えつ、国の予算的措置考えるのも一つ方法じやないかと思いますが、只今お伺いしたところによりまして、直ちにどういうふうに決定するということは、財政と睨み合せて考えなければならん問題でありますから、今次長が申上げたように、速急に審議会においてどういう方向に持つて行くかということを研究し、決定するのがよかろうじやないかと、かように考える次第であります。
  7. 西田隆男

    西田隆男君 今安本長官お答えを承わりまして、一応概念的な考え方としては、この委員会では初めてのようですし、安本長官もその程度であろうと思うのでありますが、実際の鉱業被害の問題は、安本長官がお考えになつているよりはもつと深刻な様相を呈しておりますので、安本長官の御意見の中に保険的なというお言葉もありましたが、そういう構想が今度の新らしい鉱業法の中に織込まれておりますと、こういう問題もそれほど大きな問題として当委員会でも取上げなくても済むのですけれども、この鉱業法の中にそういう意味合はちつとも含まれなくて、民事訴訟法による損害賠償という点が原則として取上げられておりますので、従つて私はさつきから申上げているような問題が関連して大きくク  ローズ・アップされているわけであります。そこで安本長官としての只今の御答弁によるお考え方には私も反対をするのではありません。従つて通産省農林省とは陥落以外の問題については非常に共通点が多いので、農林省耕地の改良その他の点に関する経費一部分を、農林省にも通産省から御相談になつて、この予算の組替えをして頂いて、鉱害復旧国家補助の一助にもするという考え方もこれは持つて差支えないと私は考えますので、さつき申上げましたように、安本長官の今のお答えであれば、安定本部としても全く通産省乃至農林省との考えかと非常な懸隔があるとは私ども思われません。早急に一つそういう関係四省の係官の会議を開いて頂きたいと思う。そしてそこでこの問題を取上げて御検討願つて、通常考えられるような協議会でなくして、急速にこの問題に対する少くとも関係四省の間の一致した意見を当委員会一つ御被露をお願いして、当委員会一般鉱害被害賠償に対する態度の決定に対して一つ出してもらいたい。かように考えますが、急速にそういう関係四省の会議を開いて一般鉱害被害についての御協議ができるか。これは安本長官でも次長でも結構ですが。
  8. 周東英雄

    國務大臣周東英雄君) 次長からも先ほど御答弁した通りに、質的には考慮したいという考えを持つているのであります。私ども只今お話したような何かの形が考えられて然るべきと考えますが、これは結局非常に大きな財政上の負担になります。その点は次の段階において考えようということを次長も申しておるようでありまして、今急速に今度の予算等に織込んでどうするという段階にはすぐには私は困難ではないかと、かように考えております。
  9. 西田隆男

    西田隆男君 私が申上げておりますのは、補正予算を含めて、或いは通常国会が開かれる来年度予算にそれを直ちに織込めと、そういう窮窟なことを申上げておるのではないのでありまして、国の財政と睨み合わせてどうにかしてやろうという意思表示ができたならば、一般鉱害復旧に対しての被害民安心するであろうし、一般鉱害の問題に関しては、今から調査をしてその復旧方法をきめるので、幾ら官庁命令系統が完全であるとは言いながら、とても一ヶ月、二ヶ月でできる問題ではない。如何に早くても少くとも三ヶ月なり半歳なりの時日を要する問題なんですから、基本的な考え方についての関係各省の御意見がまとまれば私は結構だというふうに考えておるのです。財政上の問題につきましても、安本長官は今の特別鉱害の問題と関連して、或いは毎年五億、六億の金をというふうにお考えになつておるかもわかりませんが、私はそういうことを申上げておるのではございません。結局この一般鉱害というものがここ五年、十年或いは十五年かかつても、その間で復旧が完全にして貰えるんだというふうな感じを先ず被害民が持つことと、これを持たせるような具体的な方法国家財政の許す範囲内において、関係各省の間の話合いできめて頂きたいということを要望しておるのであります。そういう意味において安本長官関係各省会議を開いて、そういうふうな意味合いで促進できるように御協力を是非願いたいと思うのです。
  10. 周東英雄

    國務大臣周東英雄君) 御趣旨の点はよく了承いたしております。できるだけ早い機会にそういうふうになるように関係各省相談をいたしたいと思います。
  11. 吉田法晴

    吉田法晴君 大体西田委員から質問の形で当委員会意見を述べられたのでありますが、安本長官はこの問題についてはお初めてかも知れませんが、安本でも石田事務官なりその他下の方では十分御存じのことなんであります。たまたま問題が鉱業改正に関連して、鉱害賠償金銭賠償でするという原案によるか、それとも原状回復という原則によるかという、この原則論から出発した問題の具体的な解決方 法として、この委員会で問題が取上げられたわけなんであります。で今まではこの委員会での懇談会の形式、或いは陳情者関係各省の皆さんにも出てもらつて懇談をして来た結果、ここに長官に出てもらつて確認を得よう。そうしてなお大蔵省方面につきましても、はつきりした確認を得たいということで出て頂いているのでありますから、もう少しこれは何と言いますか、話をコンクリートにする意味において御質問申上げているわけであります。そこで問題を、これは私からいたすのは順序でないかも知れませんけれども、もう一度繰返してお話をし、長官の御意向を承わりたいと考えるのでありますが、先般当委員会で現地を廻りました際に、私は福岡県下をずつと廻つたのでありますが、如何なる所でも金銭賠償原案を支持する意見と、それからどうしてもこの百十一條條文原状回復主義で変えてもらいたい、こういう議論が大きく対立をいたしたのであります。併し原則的な議論では解決をいたしませんので、それでは條文の論議は第二として、実際に原状回復をする途を開ける、こういう点については最後に双方懇談し、意見の一致を見て参つて来たのであります。当委員会に数日前に陳情された福岡県の被害町村長代表も、それから列席された鉱業界代表にしても、その点は大体確言をされたのであります。私がくどく申す必要もありませんけれども原状回復について、山がひつ込んだから、山を全部もとの通りの高さにせい、こういう議論をしているのではありません。元の状態に返すというのは、担保であれば担保がとれるようにしてもらいたい、こういう要望なのでありますが、実際問題として、例えば低くなつている所にポンプを施設して、四、五十万円の金をかけることによつて何本町歩という耕地面積が上つている実際があるのであります。それからこれは特別鉱害の前にも、鉱業事業については国が出して復旧をされている、それから或いは鉱業法は従来この原案通り原状回復主義でありましたけれども、実際には炭鉱も出して復旧しているという実態があるわけです。そこで先ほどの安本長官保険の思想を言われましたけれども、或いはそういう点も戎々は考えて見たのであります。そうしてその保険がただ鉱業権者なら鉱業権者に任せるというのではなくて、国も入つてやらなければならん実情にある、それは炭価を抑えられている点もあるし、或いは又鉱害の問題に国として公共的な立場から関與しなければならん点もあります。若し保險をやるとしても、社会保険その他のように国がタッチした公共的な保険でなければならんと考えるのであります。そこで具体的な方法になりますが、先ほど安本長官答弁には、いろいろ研究しよう、それから岡田次長のお言葉にも、国の負担の問題もあるし、こういう際どういう工合に負担するかということについても研究の必要はあると、こういう御答弁でありましたが、その点については、少くとも今までの当委員会を中心にして相談されて参りましたところでは、国も責任の一端を負い、幾らか負担して、そして鉱業権者も出し、或いは受益者負担ということになるかも知れませんけれども相当現状の効用回復ができる方向には進む、併しその費用負担割合いと言いますか、或いは実際の国なら国が出してやるとして、どの程度を出すかといつたような点を、これはむずかしい点になりますが、そういう点を一つ審議会を作つて審議しよう、言い換えますと、実際に法案ができる細目について協議してもらいたい、研究してもらうというのが、大体の方向であつただろうと思うのであります。その辺多少岡田君のお話或いは安本長官お話食違いがありますので、その点を一つ更に御確認を願つて前進いたしたいと考えますが、岡田次長の方から一つ……。
  12. 岡田秀男

    説明員岡田秀男君) 私ども鉱業法を所管いたしておりまする立場からいたしますれば、まさに一般鉱害原状回復方法で何とかしなくちやならないということにつきましては、強く私どももその必要を痛感いたしておるものでありまして、何らかの形で方法を見付けたいと念願いたしておるものであります。この前の委員会におきまして、この御要望もありましたので、一、二関係方面とも各省方面とも当つて見たのでありまするが、金の問題に関しまするというと、簡單原則をきめるということもなかなかむずかしい状態でございます。いずれにしましても、何とかしなくちやならないということにつきましては、安本長官も先ほど申されたのでございまして、私は仮に国の財政が許すものでありまするならば、国からも或る程度補助金を出してもらうということによつて本件が非常にやり易くなるのじやないかという意味で、特別鉱害における受益者負担の例を引きまして、こういうふうな例もあるのでありまするからして、この線に乗つて問題を解決するという方向へ進めまするものならば、割合簡單に行くんじやないかと思うのでありますが、その中の根本の点は、大体国の財政一般鉱害に対して負担をし得るや否や、若し得るといたしまして、どのくらい得るものかというところの限度が一番の問題じやなかろうかと思うのであります。その点を語りまする意味におきまして、先ほど申上げましたように、多少の日時を頂きまして、安本なり或いは私のところなり幹事役となりまして、関係のところと具体的に検討を進めまして、早急に或る程度の結論を得たい、かように申述べたわけであります。
  13. 吉田法晴

    吉田法晴君 保険金は結構なのでありますが、一番問題なのは、研究をして、それじや原状回復の線に進むことについては、原状効用を回復する方向に進むことはできなくなつた、こういうことでは、これは困る。そのときになりまして逃げたなんとかで追つかけて見ても仕方がない。今日そこで問題は中味は大きな問題だと考えますので、それは問題でありますけれども、これはまあ御列席の………お並びでございますが、今年の五月三日、あの第七通常国会の終ります日に、最終の日に、一般鉱害に関する決議案が衆議院で行われて、そして政府弁明がなされております。その政府弁明は、私が申上げるまでもなく、残りの一般鉱害についても、決議案にある通り政府考えも全く同様であります。併しながらこれに対しましては云々というのでございますが、引續き特別鉱害解決したと同様の威力を以て決議案趣旨に副うよう努力させて頂きますと言つておられる。政府としても責任が残つておると考えるのであります。問題はうやはり漸進の姿になつて参ると思うのであります。先般来協議をいたしております線は、特別鉱害の外の一般鉱害について、原状効用を回復する必要あるものについては復旧工事を行う、これが一つ、それから復旧工事は国の事業としてこれを行う、それからその復旧に必要な費用は国と、それから地方公共団体、それから鉱業権者、その他或いは被害関係人、或いは受益者といつたまうなことになるかも知れませんけれども、共同して負担するということ、それが三つ、そしてその具体的な立案準備のために、先ほどお話のような委員会委員会と申しますか、或いは審議会と申しますか、そういうものを作るという方向にあるわけなんでありますが、その点について重ねて一つ答弁を承わりたいと思います。
  14. 岡田秀男

    説明員岡田秀男君) そのお手許の今お読上げになりました案は、私どもが一応本件を取上げるといたしますれば、そういうふうな方向で取上げるより方法がないだろうという考え方を一応まとめたものでございます。それにつきまして、先ほど来申上げましたように、一般の問題は経費負担の問題なんであります。私どもといたしまして、一般鉱害を繰越し申上げますように、何とかの方法によりまして回復するという熱意並びに念願においては、人後に落ちないものでございまするが、問題は経費の問題であると思うのでございます。従いまして検討を加えるにいたしましても、大蔵省にしましても、経済安定本部にしましても、金の問題を踏み切るためには相当資料も集め、大体の見当も付くのだというところへ来ないというと、なかなか本当の意味のことができないのじやないかと思うのであります。そこで私どもとしまして、繰返し申上げておりますのは、一つ本気で数字を挙げて、この関係方面と御相談する時間を與えて欲しい、かように繰返し申上げておるわけでありまして、お座なりに逃げようとか、何とかいう意味でなしに、本当にこの案を具体化さすためには、私ども熱意と誠意を以て関係省方面に当りまするならば、関係省方面におかれましても、何らかの方法において私ども考えを御援助下さるのじやなかろうか、こう考えておるわけであります。その意味において十分に議を盡すと申しましても、のんべんだらりんとやるのじやなく、議をまとめ、議を盡すいとまを與えて頂きたい、かように申すのであります。
  15. 吉田法晴

    吉田法晴君 お話通り、先ほど読上げました要綱と申しますか、これについては従来御相談申上げて参つたのでありますから、これに基いて実現に各省相談し、努力をしたいという、一応お気持はよくわかるのであります。なお私どももこの鉱業法一緒特別法を作るということについて、或いは本国会で成立せしむることについて難点のあることも十分承知はいたしておるのであります。併しながら問題は鉱業法のこの百十一條條文そのものを、これは原状回復にしてもらわなければと、こういう強い要望もありましただけに、審議会の出発ははつきり約束ができると、それからその審議会の任務もこういうものなんだ、どの程度になるか、或いはどういう負担割合をするかということはともかくとして、原状回復方向に向つて進むのだという方向だけは、動き出しだけははつきりして頂きませんことには、我々としましてもこの問題を了解し、或いは鉱業法審議を進めることが実際問題としてできない。そこで方向については、その点了承して進むのだという点について言明を頂きたいわけなのであります。具体的に御説明をいたしますが、安本長官が事情がおわかりにならぬようですから、御説明いたします。一つの例をとつて申上げますが、昨年これは北九州の鹿兒島本線の沿線ですが、遠賀村という所があります。この遠賀村という所で二、三十町歩、昨年は全然とれなかつた、水につかつて……。それが僅かに堤防を直し、ポンプを一つ据えただけで今年は完全に米がとれた。私は秋に案内を受けてその竣工式に来てくれということで、私は出ることができませんでしたけれども、去年は何にもとれないで、今年は二、三十町歩の米がとれたという喜びは、これは金銭には代えがたいものだと思う、それから先般も来ておりましたが、古月であります。その役場の横に昨年、これは三菱の会社からでありますけれども、会社なり或いはその辺は特別鉱害に認定されましたのか、はつきり数学的には知りませんが、ポンプを二つ据付けたのであります。三百五十馬力のポンプを二つ据付けて、そのために去年は村の殆んど全部が水浸しになつてできなかつた耕地が、これも又今年行つて見ますというと見事にでき上つているのであります。で御心配のような、例えば陷没をしたものを全部元のままにあげろというようなことを言つているんではないのであります。このポンプ一つを据付けただけで何十町歩の耕地復旧する、或いは稻田が見事に実るという実態を見ます場合には、これは何とかしなければならん。個人だとか或いは政党だとか、或いはこの会社事業、そういうものを越えて私は考えなければならぬ問題だと考えるのであります。そうしてもう一つ申上げますが、例えばボタ山をピラミツト型に作つておりますが、これを頭から水をかけて流しますと、泥は流れて行く、それを埋めることによつても、これはいわば反あたり十五万以上、二十万近くもかかるということでなくても、実際には或る程度復旧をすることができる、これは方法についてはいろいろあると思うのでありますが、なお先ほど申しましたように、鉄道だとか、道路だとか、これははつきり申しますと、放つて置いても直ります。放つて置いても直るというのは、それは国がそれを見過すわけにいかぬから、或いは鉄道をあげ、或いは道路をあげられるでありましよう。併し問題は耕地が一番主になるわけであります。宅地にいたしましても、従来の鉱業法がどうなつておろうとも、実際相当あげている、殆んどあげていると言つてもいいでしよう。問題はそういう原状の回復について、それはそれでよろしいのだ。併しどういうような或いは負担割合、或いは国なら国が出してやつて行くかということになると、これは相当簡單には参らぬことになります。だからその点については研究をしてもらいたいのです。方法についてはこれは安本長官も国土保全と申しますか、或いは将来に亘る開発計画というか、先般もお話が出ておりましたけれども、新らしい山の上の、或いは僻陬の地の開拓よりも熟田で陷没している、それもポンプ一つでとにかく何十町歩をあげるような事業はこれは当然国家的にしなければならん問題じやないか、こういうことはこれは誰がお考え下さつてもわかることだと思いますけれども、問題はその具体的な方法審議会を作つて研究して頂いたら結構だと思います。問題は審議会を作り、そうしてそういう原状効用の回復する方向に進むについては、先ず賛成を願つて、そうして進んでもらいたい、こういう希望でいるのであります。その方向についての、まあ資源庁は大体わかつておりますが、安本その他の御意向を承わりたいというのが、私どもの質問の趣旨であり、それから御考慮願いたい点なんであります。
  16. 周東英雄

    國務大臣周東英雄君) お話の点はよくわかりましたが、結局鉱害の原因を起した責任がどこにあるかということも、結局原状回復を仮に認めた場合における負担割合のあれになつて来る。又原状回復する場所が、今のようにその原状回復に必要な経費というものがあつて、なお且つその生産というもののコストなり、生産というものを進めて行くことが国家的見地から見て大きに必要であるというような場合等、原状回復を認めるにしても、その場合はおのずから限定されることはお認めになるようなお話であります。そういう関係においてならば、とにかく私どもも将来に向つて何とかその方向で以て研究を進めるということについては賛成であります。ただあなたがこの方向にそうきめたら、すぐに早くやれということになると、財政上の問題があるだろうし、或いは負担割合はきめたらいいとおつしやるが、かなりこれは複雑な問題である。一律にそういう場合に国家が何割、企業者が何割、受益者が何割というふうにきまらぬ問題を相当に含んでいる。そうすると、鉱業権者というものは、あとつぶれたら国なりが相当割合でやつてくれるのだろうということで、企業の経営がめちやくちやにやられて来られたら、これは熟田が陷没したらたまつたものじやない。これらに対する鉱業法を施行する監督はあるけれども相当の施策をなしつ、人とか或いはこういう地盤については成るほど資源はあるけれども困るとか、或いはその掘るについて、やはりその資源を掘ることのほうが上の土地を残して農業政策をやることよりも、国家的見地から見て、その地下資源を掘ることのほうが正しいとするならば、これもこの土地鉱業権者が買收してやる、こういうようなすべての問題がこれには含んでいる。相当私は複雑な問題があると思うのです。或いは吉田さんはそこらは除外して、簡單にとにかく原則は認めろということになつても困るから、そういうことは留保しつ考えて行くならば、文鉱業法について研究することについて異議はないと思います。
  17. 西田隆男

    西田隆男君 今の安本長官の御答弁を聞いておりますと、我々は提案されておる鉱業法案審査の等一日目に立ち返らざる得ない答弁のように思います。安本長官鉱業法は御承知かも知れませんが、この鉱業法の中に規定されております賠償は、さつきも申しましたように、民事訴訟法損害賠償原則としての金銭賠償ということになつておりますので、その他の鉱業を施行する上における制限規定は、今安本長官のおつしやつたような規定は何ら設けていない、従つて鉱業権者が若し誠実を欠いた企業をやれば、安本長官の御心配になつておりますところの現象が生ずる慮れがこの鉱業法では多分に考えられる。そこで当委員会は、それでは困るから何とか被害者に対しての被害復旧が或る程度満足してもらえるように、この法律案を改正しなくちや、修正しなくちやならない、こういう意見がこの委員会の圧倒的な意見なんであります。私が安本長官やら資源庁の次官に対してお尋ねしておるのは、吉田君の言われるように、金銭賠償原則原状回復に変えろという意味ではなくして、少くとも過去において起きておつて損害の賠償ができなかつたものに対して、鉱業権者を主体としてその損害の賠償をする、これは原則的に勿論である。併しながら現在の日本の石炭企業の実態から考えまして、鉱業権者だけではどうしても賠償のできないという部面があつた場合には、国が公共事業費の一部を割くとか、或いは別な意味における予算措置を講ずることによつて、現在発生しておる鉱業被害を一応復旧するという考え方を持つてもらいたい。この考え方を実現するために関係各省間で一つ協議をして、そうして具体的な方法を早急に、こういう方法でやろうという関係各省のまとまつた意見だけでも御提示してもらわなければ、これから先の鉱業法を通すか通さぬかという問題について難点がある。従つてそういう問題の解決を一応付けるという見通しが付けば、この鉱業法の通ることによつて生ずる欠陷を審議会等によつて原則的な問題から立ち返つて金銭賠償復旧のできない点に対しては、つまり鉱業権者並び政府受益者というような考え方で何らかの措置をとるようなことを決定しなくちやならない。こういう二つの段階に分けて私はお話を申上げたはずなんでありまして、今の吉田君に対する御答弁はあとでお願いいたしまして、私が今申上げましたことに対して、先ず第一点は一般鉱害復旧に対して関係各省で早急に連絡協議会を開いて、この結論を得るために一つ努力するという、或いはせぬということに対する御答弁を頂きたいのであります。第二点は、今回の鉱業法施行後の金銭賠償による、この法律案に盛られてあるような方法によつて復旧できない損害に対して、審議会というものを作つて、そこでその善後策を講ずるということに対して否か応かというこの二つのお答えを頂きたい。
  18. 周東英雄

    國務大臣周東英雄君) 一の点については関係のほうで研究相談いたすことはやります。二の問題についても、このことは吉田さんに対して御答弁したことで御了承を頂けることだろうと思います。今西田さんからもお話がありましたように、これは根本的の問題になると、なかなか利害が輻輳しておると私は思う。私が所見を述べしたことに対して、だから鉱業法の改正がこれでは足らぬから云々ということが出たが、そのことは別問題じやないかと思う。若し根本において賠償を、原状回復についてやるとかやらぬとかいうことを決定する場合に、そういうことが予算的な関係でできる見通しが立つたならば、その改正の措置をとるときに、それをやることについていろいろな弊害が起らないように、必要なる改正を加えてやつて遅くないと私は思います。従つていずれにいたしましても、一般鉱害に対する措置については、できるだけ速かに関係各省意見をまとめて進んで行きたいと考えております。
  19. 西田隆男

    西田隆男君 えらい性急に、安本長官にあたかも期日を明示してこうせよというようにおとりになるといけませんから、そういう意味ではありませんから、平らな気持で一つお答え願いたいのでありますが、私たちかこの鉱業法審査して行きます上において、少くとも本臨時国会の会期中に、第一の点についての各省間の協議をおまとめになつて、この委員会の席上で一応その構想だけでもお話が願えるように御努力が願えるかどうか、この点に対して安本長官にもう一遍お答えを願いたいと思います。
  20. 周東英雄

    ○国君大臣(周東英雄君) 私が今申しましたように、至急に関係省と話合はいたしますが、今西田さんの御質問の裏にある、それならば速かに早よう、鉱業権者だけで負担ができぬから国が出せということをすぐ決定することにつきましては、財源の現在の状態からいつて、すぐには困難じやないかと思うのです。併し先ほどからもお話しますように、一般鉱害に対して、産業上国家公共立場からいつて、これを原状に回復することが大きな立場に立つて有利であるというふうな場合において、この原状を回復するということについて如何なる負担割合においてか、一部国家が持つようなことにすることは一つの行き方であるということについては政府も異存はないのであります。残るところは財政上の処置が残されておりますから、その方向への努力はいたしますが、すぐにこれを併せて並行して行けということについては、すぐに至急にこの会期中にまとめろというようなことは困難じやないかと思いますが、一応関係方面関係省との間に話をしてみることはいたします。
  21. 西田隆男

    西田隆男君 私が今お尋ねしていることは安本長官から只今お答えのあつたほど窮窟な質問をしたわけではありません。相手方は鉱業権者であり、且つ一般公共団体のこと、或いは国の予算的措置の問題等々については、関係各省で、四省でお話になつたところで、又相手があるので、これがきまろうとは私は考えておりませんが、原則としてそういうことをやられる点について、こうこうこういうふうな考え方に基いて一般鉱害の問題を処置しようではないかという、少くとも関係各省四省間の意見の一致を今会期中にやつて頂くことができるかどうか、やつて頂きたい、そうして当委員会でその意見の一致した原則についての問題を発表して頂きたい、こういうお願いなんです。
  22. 周東英雄

    國務大臣周東英雄君) 今のお話のような意味においてならば、勿論先ほどからお答えしているように、話合は進めて見ますとお答え申上げているわけなんであります。
  23. 西田隆男

    西田隆男君 話合を進めて見ますではなくて、お進めになつて一つ結論を得るように安本長官として御協力が願えますかどうかと、こういうことであります。
  24. 周東英雄

    ○国務大臣(周東英雄君) 私は言葉が足りませんが、私の言葉の裏を十分御推察頂けると思つております。
  25. 西田隆男

    西田隆男君 えらい安本長官は変な答弁ですか、私は別に安本長官を追及しようとか何とか考えているのではなくて、言葉の裏を推察することができないのは、私に能力がないのですから、能力がない者にはわかるようにお  答え願い失い。
  26. 周東英雄

    ○国務大臣(周東英雄君) 私の申上げておるのは、先ほどのようなお話が御了解頂けるならば、その範囲で関係省と話を付けてお話を申上げます。
  27. 西田隆男

    西田隆男君 有難うございました。
  28. 小野義夫

    ○小野義夫君 安本長官にちよつと……。これは質問になるか、或いはただ要望になるかわかりませんが、この問題は、鉱害々々と、特別鉱害或いは一般鉱害といつて、如何にも害のほうばかりのようなお考えのように伺うのでありますが、ちよつと私の今ここにおける経済的な考え方を申しますというと、筑豊その他において一万七千町歩のいわゆる池になつておる荒廃の熟田がある。これを回復する金というものは、およそ百七、八十億か、二百億の金だと、こういうのです。九州地方ですから、米は反当三石できると思う。三石の米ができるというと、ここでは五十万石の米がとれる。五十万石の米というのは、二百二十五億に該当するのである。二十五億の金が入つて来る。又食糧も、金に代えられる食糧が五十万石、いわゆる日本の人口五十万人がそれによつて食える。こういうことがあるとすると、我々実業人から見ますというと、如何にも害を国家で除くために換算を無視してやるように聞えるのですが、私はこれは経済的に当然国土開発の意味において、北海道や東北の降雨地に非常に金をかけたり、非常に困難なる干拓事業をやること、これは理念的には非常に立派であるけれども、算盤的には甚だ振わない事業であるのであります。このことを農地局長に極力言つたけれども、一向お感じかないようである。今日は農林大臣がおいでになるなら、すべてこういう問題は、経済上に発生した問題は、経済上で行くか行かないかという本当の検討が必要であるのに、今日までかかる検討が行われておらない。非常に茫漠たるところの書類ができておるのであります。故に、今の西田委員の御希望は、審議会なら審議会を直ちにやつて、そうして金はどういうふうになり、第一期にはどうやればいいというような具体的方法を講ずることを要求せられておるものと、私は解釈しておるのでありまして、今すぐ政府責任をとつて、こうやるああやる、或いは受益者があるとどうするというような具体的な問題をきめる前に、あらかじめ概念的にそういうものを、審査委員会でもすぐ作りまするならば、そうすれば恐らくこの鉱業法案というものは、今難なく皆さんが或いは通すかも知れないのであるけれども、そのことに何の目鼻も付かないということになると、或いは鉱業法案はこの臨時国会に通過困難なことになるかもわからないのです。ですから、これはどうもややもすると、農林省のほうは通産省責任だ、通産省のほうはこれは農林省のほうだというふうに、どうも問題をあちらこちらといわゆる管轄違いに持つて来る虞れがあるのでありまして、この点につきましては、安本長官が特に各省間の意見のまちまちになるのをまとめて頂きまして、そうしてこういう問題は、私は経済的にも十分価値ある問題として、非常に面白い問題ではないかと考えておるのであります。どうかそういう意味で至急に、甚だ性急のようであるが、組織だけは、審議会を作るとか作らないとかいうことだけは、どうしても一つこの会期中に政府の声明をして頂きたいと、こう考えます。
  29. 周東英雄

    國務大臣周東英雄君) 今の御質問に対しては、実は先ほどからはつきりとお答えしておるのでありまして、私も一般鉱害だついては考えなければなるまいと思う。それに対しまして、次長からも、審議会等を通じて考えるというお話を申上げておるわけです。ただそのときに吉田さんのお話は、研究の結果やめられては困る、大体やることの方向に向つており、そのつもりでやはり委員会を作るわけです。この点は御了承願いたい。結局私どもは先ほど申上げましたように、根本的においては、そこへ或る程度の金をかけて原状を回復して農地に持つて行くほうが産業的に効果があるかないかということは。第一に考えなければならん問題でしよう。併し第二段においては、多少金はかかるが、日本のような耕地の少いところにおいては、金は余計かかり過ぎるかも知れんが、併しこれを回復して置いたほうがよかろうと、それについては、個人的にやつても採算がとれぬから、国家がそういう場合には大きな立場から補助なり、何かを考えるということも必要になつて来るかと思う。具体的な場合に、如何なる場所、如何なる範疇に属するものについて原状に復するかどうかということはきめないにしても、一応の考え方については研究をして見たいということを申上げたわけであります。具体的な実施の内容等については、今お話しになつた百八十億ですか、今後に起る問題は、かなり大きな金が要るわけでありましようから、財政的の事情と睨み合せて具体的にきめて行かなければならんと、かように思つております。
  30. 吉田法晴

    吉田法晴君 先ほど来の御答弁で大体了承したのでありますか、一点だけ附加えてお尋ねをして行きたいと思います。それは特別鉱害復旧臨時措置法を通しますときに、例えば公共事業を国庫負担二分の一、或いは水道四分の一というような負担率の引上げについて、これはその当時の宮幡政務次官であつたと思うのですが、それは政府として引受けてきまつたものとして私ども答弁を聞いておつた。ところがその通産委員会における御答弁は、実現に非常な困難を感じ、重ねて今度の臨時国会に改正法案を出さなければならんような事態になつたわけです。いわばあの当時の通産委員会からしますならば、我々はその点だまされて通したような感じがするのでございます。そこで問題は、審議会を作ることは方向が大体少くともここで出たように考えるのであります。問題は、それについて審議会を作つて参るということになりますれば、審議会運営の費用という問題が問題になつて参ると思うのであります。安本長官も出て頂いてのお話でありますから、そういう点について間違いはないと思うのであります。重ねて大蔵大臣に来てもらつて、その点について念を押さなければならんものかどうか、ここで安本長官が引受けられるかどうか、その点を一つ答弁願いたい。念のために申上げますが、復旧経費負担についての国費の問題ではないのです。審議会設置に伴います経費負担の問題について、重ねて私ども大蔵大臣を呼んで質問なり何なりしなければならんかどうか、その点を一つ念を押して置きたいと思います。
  31. 岡田秀男

    説明員岡田秀男君) 特別鉱害補助率の引上げの問題につきまして、お触れになつたのでありまするが、この問題は国会のほうの強力な御声援を得まして、私どもといたしましても、大蔵省なり、経済安定本部と御折衝申しました結果、従来地方公共団体補助率を加えまして、おおむね六〇%の補助率でありましたものが、八〇%の補助率まで上つておるのであります。ただ従来の規定によりますると、国の公共事業に対しまする補助率を上げれば上げるほど脱落者が殖える仕組に相成つておりまするので、後者を特別会計に切り換えまする改正案と同時に、脱落規定を、つまり特別会計に参加せずに自分だけで独立で工事をする人のきめ工合を改正するということでありまして、補助率を引上げずに、その尻ぬぐいを法律の改正に持つて来たというわけではございません。その点を御了承願いたいと思います。それからこの審議会の問題でございまするが、従来とも特に官制に書きませんで、実際上は審議会と同様の形におきまして、各省の中に委員会その他のものが設置されているのでございまして、官制上に審議会を置きますならば予算が要るのでありますが、その形を簡略にいたしますならば、既定の予算の範囲内でも十分運営して行くことができるのでございまして、その点につきましては、更に検討を加えたいと思います。
  32. 深川榮左エ門

    ○委員長(深川榮左エ門君) 只今建設大臣がお見えになりましたが、御質問ございましたら………
  33. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 今日はそういう質問の要旨を伝えてありませんので、恐らく安定本部のほうでも御用意がないと思いますが、この次の機会で結構でございますから、一応お願いいたして置きたいと思います。それは鉱業法なり、採石法なりを本国会におきまして成案を急がれておりますが、これは要するに日本の地下資源が非常に多種多様でありまして、そういうものを国の財産といたしまして、法律を以て管理するかたがた、鉱業権者に対しても或る程度国家的な安定の保障をしようというような高度の意味でありまして、極めて結構なことでありますけれども、最近の世界的な情勢を考えて見ましても、地下資源の開発というのは、やはり一つの国の大きな方針がなければならんのではないか、ただ鉱法だけを作  り、採石法だけを作りましても、大きな経済の流れの中ではなかなか地下資源の開発ということがうまく行かないのでありまして、こういう観点から、安定本部としてどういう工合に国の地下資源の開発を、経済或いは産業と結び付けて最有効的にするようにお考えになつているか、この点が伺いたいわけであります。更に具体的に申上げまするならば、日本の地下資源が極めて多極多様でありますけれども、それの採掘ということになりますと、外国の採掘の状態なんか比較いたしまして、非常に採算割れをするのが多かろうと思います。従いまして無方針で臨んで参ります場合には、折角国に資源がありながら、徒らに輸入品に仰ぐということになりますので、こういう点は国として或る方針を定めないで、ただ市場価格に野ざらしにいたしまして、そうしてどんどんと輸入価格の安いものをそのまま入れてしまう、こういうような態勢で行かれるのか、或いはそこに何らかの方針を設けまして、国内のできるだけの自給自足をやるという観点から資源の開発を進められるのか、こういうような点は非常に大きな問題であろうと思います。で、特に只今つておられる政府の態度からいたしますと、すべて自由経済主義に則つておやりになつているのでありまして、この点は一つ考えとして止むを得ないのでありますけれども従つて国が特定の鉱山に援助を與えろということはなかなか行われがたい事情でありますが、併し国全体の資源を最も効果的に開発し、そうして輸入品と価格の上においても競争し得る、こういうような段階に導く、こういうためにはやはり技術の指導或いは技術的な援助ということが当然必要であろうと思うのであります。従いましてアメリカその他の先進国の優秀な開発技術、或いは開発機構というようなものを国が入れまして、そういうものを特定な事業に貸與する、そういうことによつて開発に要する価格を下げるというようなことも、当然現在の政府のとつておられる経済政策に背反するものでないと私は考える。そういうようなことをお考えになつているか。それから更にこの輸出或いは国内消費というようなことを考え、又は輸入も勿論あるわけでありますが、そういうような点を含めて各種の金属、非鉄金属その他いろいろな資源を国内の必要量並びに国内の産出量、そういつたようなものを総合的に見まして、どういつたようなものに重点を置いて国は開発指導をして行かれようとしているか。この点を秩序を立て、或いは計画を立ててやりませんと、折角或る時期に投資をしたところの山が自然に廃坑になつてしまう。又或る時期に必要になりますると、それに二重の投資をしてやらなければならんというようなことで、国全体としてこの鉱山に対する投資に非常に無駄が出て来ると思うのであります。そういうような一朝一夕に工場を造るような工合し簡單に著手のできない、こういつたような地下資源の開発に対しましては、やはり長期的な一つの計画を持ち、そうして指導して行かなければならんと思うのであります。そういうような点につきまして、安定本部としてどういうようなお考えを持つているか。ここに鉱業法関係の参考資料としまして、各種資源の埋蔵量だとかも、いろいろなものを頂いたのでありますが、これはただ單なる数字的な埋蔵量の調査でありますが、これを産業経済と結び付けるためには、もう少し高い観点から、これの国家的な利用というような点を調べて、私は総合的な一つの計画を是非共この鉱業法審議の中で承わつて置きたいと、こういう工合に考えておるのであります。
  34. 周東英雄

    國務大臣周東英雄君) 御質問の第一点は、国内の鉱山資源、地下資源の開発についてどういう態度をとるのか、輸入のほうをやつて国内のほうの開発をそのまま遅らしておるのかという御質問のようでありました。これは併し政府としても、どこまでも先ず日本の国内資源の総合的開発の立場に立つて、地下資源をできるだけ開発増進して、資源の増産を図るという方向に向つて進めておるわけでありまして、いろいろまだ終局な結論には達しておりませんが、自立経済を確立する上においても、石炭、鉄その他の鉱物資源についても、どういうふうにして、どのくらいの目標の下に資源開発、増産を進めて行くかということの上に立つて施策を進めているわけでありまして、今内地のものの足らないというものについては止むなく輸入をいたしておるものも多々あることは御承知の通りでありますが、根本の理念は、国内の資源を開発して、できるだけ自給度を増すという方向へ進めることに努力はいたしております。従つて又そういう場合において奨励の方法としては、御承知のように探鉱奨励金、鉱を探す、探鉱奨励金等を私どもとしてはまあ進めておりますかたわら、コストの引下げ等については、今金額は最終的にまだきまめませんが、合理化資金、これは單に鉱工業の、鉱山関係だけでなくて、広く一般鉱工業関係において、できるだけ老廃朽して来たところの設備、機械等の置き換え、能率化を図るために、合理化資金を出してコスト引下げに備え、将来に向つての輸出の増進等に努めたいという方向に向つて進んでおることを申上げて置きます。それから第三点ですか、どういう品目について採掘計画或いは資源の開発の計画を進めておるかということについては、政府委員のほうからお答えをいたさせます。
  35. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 今お答えを願つたわけですが、私が今概括的に御質問を申上げましたことにつきまして、或る程度資料を用意せられまして、今日ではなくてもよろしうございますから、次回にでも今少し数字的な根拠を入れて一つ説明を頂きたい、こういう工合に考えております。
  36. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 只今資料は大体私どものほうの所管になると思いまするので、資源庁といたしまして、資料をまとめましてお手許に差上げたいと思います。
  37. 吉田法晴

    吉田法晴君 今日お忙しい中を、安本長官のみならず建設大臣も出て頂きましたので、折角出て頂きました趣旨からいたしまして、私どもの質問の点を端的に提出しまして、お答えを得たいと思います。現在この委員会鉱業法審議をしておるわけでありますが、この鉱業法のこれは改正でなくて、新らしい鉱業法案が出ておるわけでありますが、その法案の中で、ほかにいろいろありますけれども、一番問題になつておりますのは鉱害賠償のことを規定いたしました百十一條前後の問題でございます。これは現地で各方面意見を取りまとめましたときにも一番問題になつた原状回復か、金銭賠償かということが非常に問題になりました。鉱業権者側は、これは原案通り金銭賠償主義を原則にして、そして原状回復を例外とするという原案にしてもらいたい。それから被害者のほうでは、是非とも反対に原状回復原則にして金銭賠償を例外にしてもらいたい、こういう意見が繰返し繰返し述べられました。又公聽会を開きましても、衆議院においても、参議院においても、その点が双方から違つた意見が出されておるわけであります。そこで問題はこの法案審議に当つて、その鉱害賠償の規定をどうするかという問題になるわけでありますが、原則論議論を闘わしておりましても、問題は解決をしないのであります。規定の仕方は裏腹になりましても、多少は違いましても、両方の希望を條文の上に、文字の上で一つにすることはできないのでありますが、併しながら実際にはそれは可能でないわけではないと、私ども考えるのであります。実際の例を特別鉱害にとつて見ますと、原因は戰争中に強行出炭をしたという原因でありますが、或いは鉄道が下つた、或いは道路が下つた、或いは川が埋まつた、提防が決壊して、家が浸り、耕地が浸り、墓か浸りしておるわけでありますが、それを特別鉱害復旧臨時措置法という措置で救うことができたわけであります。もう少し実例を申上げますと、先ほどもここで例を引いたんでありますが、遠賀村で、昨年は二、三十町も浸つて、ひよろひようになつた稻を見て、農民は本当に天を仰いで涙をこぼした。それが今年はポンプを造り、そうして僅かに堤防を上げたために、すつかり黄金の波を打たせることができた。同じような事態は随所にあるわけであります。これは金銭賠償主義か、或いは原状回復主義かという議論を闘わしておる姿によつてではなくして、実際の措置によつて、そういう金銭を超えた、或いは国土保全と申しますか、或いは食糧自給態勢の強化と言いますか、そういう実際の解決ができておるのであります。そこで鉱業法改正に関連した根本論議、或いはやや弊害がありますけれども、文字の上の議論を重ねるよりも、実際に原状効用が回復される方法考え、そうしてそれを特別の立法にしたらと、こうしたことを、これは実状にも通じ、或いは法理についても一番知つておる私どもから話を出したのであります。現地においても或る程度双方の了解が付いたと考えております。それから問題は  この委員会に持越されて、この委員会  でも論議された。或いは公述人の意見も聞いた。それより以上に、或いは現状視察の意見も聞いたわけでありますけれども、大体の方向原状効用も回復するために特別立法を作ることに、ついては、関係者は異議がない。そこでこの臨時国会が始まります前に、継續審議になつておりましたので、資源庁その他二、三の担当者とも相談をして、その特別法の骨子らしいものを作つて、そうして鉱業法審議と併せて、この特別法立案の運びを進めたいと、こういうことで参つたのであります。そうして果せるかな委員会が始まりますと、その点が一番問題になつて、この点が解決しなければ、鉱業法審議が進められぬ、或いはこの特別法の制定の出発がなされないならば、この鉱業法を参議院としては上げるわけに行かぬ、こういう空気になつておるわけであります。ついでに申しますが、衆議院では附帶決議をするという話でありますが、衆議院は前に一般鉱害についての決議があるのであります。それがそのままになつて不発弾に終つて、更にそういう附帶決議をするというようなことでは、参議院の通産委員会は承知がならぬ、こういうことで今日に参つておるわけであります。元ほど来資源庁、それから安本長官に大体この点の骨子をお話をして、了解を得つあつたわけでありますが、大体話の中心は特別鉱害以外の一般鉱害、これは今後起つて来るものが中心になると思うのでありますが、それについて原状効用を回復する必要のあるものについては復旧工事を行うということ、それから第二点は、復旧工事は国の事業としてこれを行うこと。第三点は復旧に必要な費用は国と地方公共団体、それから鉱業権者その他利害関係人が共同して負担すること。それから四点は、この実際の中味になりますと、或いは国が幾ら出す、或いは地方公共団体が幾ら出す、或いは鉱業権者が幾ら出すというようなことになりますと、これは根本について相当問題があろう、或いは安本長官は先ほど一律に行かぬかも知らぬ、工事によつて違うかも知らぬといつたような意見も述べられましたが、その中味が非常に問題であるので、方向はこういう方向に進むことにして、その案を作ること、要綱に肉を付け、或いは血を通わせる、具体的な内容については審議会を作つて、そうして進む、それについて関係各省の協力を願いたい、それについての今までは資源庁、それから安本長官意見を求めておつたわけであります。折角出て頂いた建設大臣に、道路或いは河川、公共事業、土木事業関係について、担当の大臣としてこの方向についてどういう工合に考えられるか、はつきり一つ承わりたいと、これが御出席を煩わした私ども趣旨であり、又得たい答弁なのであります。
  38. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 吉田さんの御質問に対しては、すでに安本長官或いは通産省においてお答えいたしたところでございます。私ども建設省といたしましては、通産省、或いは安本と同じ意見でございます。即ち鉱害というものは、結局現状回復をしなくてはならぬ、こういうことを考えております。プリンシプルとしては、そこで現状回復の手段として各種の方法法律的或いは予算的措置が講じられておるわけでありますが、特別鉱害は御承知のごとく特別鉱害復旧臨時措置法によりまして、八〇%国が持ち、一〇%が所在地公共団体、あとの一〇%は配炭公団のプール計算で持つ、こういうことでございます。尤もあの法律ができる前、すでに建設省といたしましては、約二億に亘る鉱害復旧補助費を支出いたしておる次第であります。これは従来の即ち三分の二の枠によつて、災害復旧と同じような意味鉱害復旧をいたしております。将来は然らば特別鉱害復旧はこの臨時措置法で、今の仕掛けで処置し得る特別鉱害以外のもの、即ち臨時措置法以外の鉱害に対してはどうするかという御質問のように思います。これは私のほうといたしましては、すでに両当局からお答えいたしたと思いますが、現状回復を旨としなければならん、災害ができるだけ復旧されることが必要であると同様に、鉱害による各種の施設もやはり現状回復が大切である、こう思つております。そこで従来は三分の二の支出は財政措置として国庫において三分の二の支出をいたしまして、現状回復をいたしたのであります。そこで特別鉱害以外の範疇に属する鉱害でございましても、各種の施設にして現状回復を要すると思われるものがありますならば、従来の枠、即ち三分の二というような比率によつて国庫から支出をいたしまして、現状回復をできるだけ早く図りたいというのが建設当局として、私の持つておる希望でございます。但しこれはいずれにいたしましても、安本或いは通産省と協力一致、密接なる連絡をとりつ私は希望を果したい、希望を達成いたしまして、皆さんの御期待に副いたいと、こう思つております。そこであなたのおつしやつた先ず特別鉱害復旧しなければならん、断じて復旧工事を行わなければならんということは、私も全然同感であります。それで原則として国が行うべきである。国になるか、公共団体になるか、それは存じませんが、とにかく私は公共的施設は、公共的なそれぞれの費用公共的の団体が負担して、これを実行すべきものであると、こう考えております。それから費用はできるだけ分担してやりたい。而もその分担関係は、できるならば国において三分の二負担いたしたい、こう考えております。なおこの規定は別段法律的な規定はございません。従来とも財政措置に関する内部の訓示規定のようなものでございますから、この規定は現在でも生きておるというふうに我々は解釈しております。但し各種の特別鉱害以外の鉱害復旧についての復旧対策審議会といつたものを作つて、或いは率について、或いは額について、或いは支出方法について、或いは範疇について関係三省が相談して参りたい。こういう点につきましては、安本長官或いは通産省当局から御答弁申上げた通りでございます。
  39. 吉田法晴

    吉田法晴君 さすがに建設大臣お話が早分りがして、大変結構に思うのでございますが、これは多少事情を知つておりますものには、建設省で建設大臣がそういつたことを言つて頂くということについては大体了解が付くのであります。先ほどもあなたのおられませんところで話が出ておつたのでありますが、或いは鉄道だとか、これは管轄は違いますけれども、或いは河川というものはこれはどうしても上げなければならんので原状回復の線が今の御答弁のように強く出て参り、又実際に上がるのでございます。ところが問題は、例えば河川とそれから農地というようなものは食つ付いております。食つ付いた場合が非常に多いのでありますが、ところが河川のほうは今の御答弁のように原状回復主義復旧される傾向が非常に強い、ところが續いておる農地にはなかなか参らぬというようなのが、これが実際であります。ところが例えば一番今普遍的に行われておるポンプ・アップの方式によつて、何十町声、何百町歩の農地を回復するとしても、どうしても河川と農地は建設大臣の協力がなければならんわけであります。そういう意味において一番問題になるこの耕地のほかに墓地もありますけれども、それは現在の情勢からいつてどうしても上げなければならん、一番問題になるのは農地ということになろうかと、私は考えるのでありますが、そこで全体の特別鉱害でない鉱害の現状回復主義を推し進めて行くには、何としても建設省の御協力を願い、建設省が中心になつて一つ御推進を願わなければならんと考えますので、その点について一つ建設大臣として特段の御協力を願いたいと思うのでありますが、これは希望になるかと思うのでありますが、折角この早わかりのした御答弁を頂きましたので、附加えてお願い申上げて置く次第であります。
  40. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 吉田さんにお答えいたします。特別鉱害以外の鉱害であつて、而も建設省所管の河川なり、或いは橋梁なり、或いは道路なり、堤防なりの鉱害原状に回復することにつきましては、この方法については先ほど申し上げた通りでございます。それからこれらの諸土木施設をできるだけ早く原状回復するということにつきましては、もとより建設省所管の分につきましては、建設省において主体的立場をとつて安本或いは通産省と協力一致やつて行きたい、こういうふうに思つております。
  41. 吉田法晴

    吉田法晴君 今重ねてお願いしたのは、建設省関係でなくて、建設省関係はこれはまあ余りここで論議しなくても原状回復割合に容易な方向にある。そこで困難な方向について関連しておりますし、或いは先ほど申しましたように、この河川と耕地というものは実際に復旧の場合には食つ付いておる、そこで担当以外の全体の鉱害原状回復主義の推進について、特に全問題になつております特別法を布くことについて、そうしてそれを具体的には審議会を作つて相談をしておるのでありまして、こういう点について御指示と御推進をお願いしたい、その点について重ねて一つお願いして置きます。
  42. 増田甲子七

    國務大臣(増田甲子七君) 吉田さんの非常に私に期待されての御希望でございますが、私は安本長官と違いまして、各省を統轄するというような立場に立つておりませんが、ただ非常に利害関係の深い省でございますから、よその省なり、或いは大蔵当局にそれぞれ刺激を與える、或いはお願いするというような立場に立つて御期待に副いたいと、こう思つております。
  43. 深川榮左エ門

    ○委員長(深川榮左エ門君) 建設大臣に御質問ござませんか。
  44. 吉田法晴

    吉田法晴君 問題の特別鉱害の問題につきましては、関係大臣の出席を得て、或る程度今までのところでは私としても了解できるような答弁も頂きました。残る点は、一点大蔵大臣の点があるのでありますが、それらについてはなお委員長或いは理事等に御相談を願うことにいたしまして、先般来鉱業法自身について、いろいろな條文について質疑を續けておつたのでございますが、それを續けたいと思うのですが、如何ですか。
  45. 深川榮左エ門

    ○委員長(深川榮左エ門君) どうぞ。
  46. 吉田法晴

    吉田法晴君 多少論理的には順序が狂うかも知れませんが、第四條です。「この法律において「鉱業」とは、鉱物の試掘、採掘及びこれに附属する選鉱、製錬その他の事業をいう。」という規定で、これは旧法にも、旧法というのですか、今までの現行法にもそういう規定があるのでありますが、お尋ねせんとする問題は、坑口に近い、採掘現場に近い選鉱場、製錬場ではなくて、離れておる選鉱場、或いは製錬操の問題でありますが、これは鉱業法についての従来の解説書を引張り出すまでもないと思うのでありますが、少くとも私がここで手に入れた本で読んで見ても、例えば三池の神岡鉱業の製錬所或いは佐賀関の製錬所その他につきましても、これを鉱業法の中に入れるというのが通説のように考えるのでありますが、この五月十九日の通産省、労働省のこれは名前が並列に書いてありますが、省令第一号というのですか、これによりますと、通産省、労働省協議の結果、何と申しますか、鉱業法の中から外してあるのであります。今後も問題になりますけれども、従来の鉱業法の解釈としては、鉱業の中に入れられたものがどうして外されたのか、その点お伺いいたしたいと思います。
  47. 岡田秀男

    説明員岡田秀男君) 佐賀関でありますとか三池の製錬所等、鉱業法の建前から申しますれば、お説の通り、従来とも、勿論現在におきましても、鉱業の範疇に入りまして、鉱業法の適用を受けるのでございます。ただここで外しましたのは、労働者の保護立法でありますところの労働省所管の労働基準法で災害の防止に当るか、鉱山保安法で災害の防止に当るかという問題だけでございます。従来鉱業法の適用を受けておりまするところの製錬所といたしましては、鉱山保安法でこれを取締つてつたのでございまするが、何分例えば三池の製錬所にいたしましても、佐賃関の製錬所にいたしましても、或いは大阪の太平鉱業の製錬所にいたしましても、鉱山そのものとは非常に遠隔の地にございまして、直接鉱山との作業形態上における因果関係が余りございません。まあ大阪なり、三池なりの地方にございまするところの一般の工場と、その作業形態においては殆んど同一でございまするので、労働者の保護の立場から見ますれば、むしろ鉱山保安法でこれを規正いたしまするよりも、労働基準法によりましてこれを規律して参るほうが現実の面において妥当であろう、かような結論に達しました結果、鉱山保安法の適用範囲より除外いたしまして、これを一般の工場並みに、労働基準法の適用の範囲内に繰入れた。かようなわけでございまして、鉱業法立場から言いますれば、これはやはり鉱業事業場として、鉱業法の対象になつておるわけでございます。
  48. 吉田法晴

    吉田法晴君 これは鉱業法の適用を受けるか、或いは鉱業法の適用から外すかということは、いろいろな点において変化が出て参ると思うのであります。どちらをとるかということは、これは相当問題であると思うのですが、或いは労働者、或いは事業者、立場が違えば違うだけ意見も違つて参ると思うのであります。それから我々から考えまして、どつちであるかということも、これは検討をしなければならん問題だと思うのでありますが、それらの点について、今までと、こういう重大な変化をとられるに当つて、或いは利害関係人の意見を徴せられ、或いは公正な第三者の意見を聞かれたということはあるのですか、その点を伺いたいと思います。
  49. 岡田秀男

    説明員岡田秀男君) この点につきましては、労働省と私のほうで主として交渉いたしたのでございまするが、その間関係労働者の団体でありますとか、或いは関係事業者の団体等とは随時意見を交換いたしたのであります。要するに先ほど申上げましたように、鉱業法の建前から言いますれば、鉱業を行う事業ではございまするけれども、その所在地並び事業場内における作業の状態が、一般のいわゆる工場と全然といつてもよろしいほど類似いたしておりまするので、これを鉱山保安法の建前から申しまして、特に一般の工場と、労働者の保護というふうな見地から見ました場合に、一般の工場とか区別いたしまして、鉱山保安法で規律するのは却つて少し鉱山関係のほうが出過ぎておるような感じもございまするので、一般の工場における労働者の保護立法であります労働基準法に基く労働安全規則ですか、その対象にしたほうが実情に合うだろうという大体の結論になつたわけでございます。
  50. 吉田法晴

    吉田法晴君 恐らくまあ利害関係者の意見も徴せられたということもございましようし、これは私としてその点について十分の例と言いますか、時間がないので、この点について結論を付けかねるのですが、問題であるということだけは分る。それからなおその点について、最近の鉱山行政の上でだんだん小さくなつて来つあることを感ずるのです。その一つの現われでなければ幸いだというような気がするのです。それからもう一つ、労働者のために云々というお話がございましたけれども事業体が別々になつておればとにかくですが、或いは労働者にしても、金属山自体で働いておる者と、製錬所で働いておる者とが、同じ事業体と申しますか、会社に属しておる、こういう点からして、この保安上の問題については、或いは言われるような点もあるかも知れないと思いますが、必ずしも労働者のためになるかならぬかということも、これは疑問があると思います。それからもう一つ、これはそういう点から申しまして、事業体の方でも必ずしも分離することがいいかどうかという点が甚だ疑問があると思うのであります。その点については、その質問を留保して置きたいと思うのでありまするが、一応留保して先に進んで頂きたいと思いますが……。
  51. 岡田秀男

    説明員岡田秀男君) 多少足りないところがありましたから……。製錬所を全部労働基準法の方へ移したのじやないのでございまして、例えば日立でありますとか、足尾でありますとかというふうに、製錬所がその鉱山と一体を成しておるような状態で進んでおる。いわゆる鉱山と一体を成しておる製錬所につきましては、従来通り鉱山保安法でやるのでございまして、その鉱山と非常に遠隔の地にございまして、その山とのいわゆる作業上の関連が一応切れておるようなものであり、而もその状態が附近の工場と殆んど変りのない工合に運営されておるというものを、例外的にこの実情に応ずるように変えたというにとどまるのであります。なお念のために申上げて置きたいのでございまするが、今度鉱業法が両院を通過いたすと仮定いたしますならば、鉱物の追加ができるわけでございます。この新らしく追加される鉱物の事業場におきまする労働者の保護は、従来は労働基準法で行われておつたのでございまするけれども、この法案が通過いたしますれば、自働的に鉱山保安法の範疇に入つて参りまして、この新らしい追加鉱物における労働者の保護なり、鉱害の防止の問題は、鉱山保安法の所管のうちに入つて来るわけであります。鉱山の関係が退却するということではないように存じております。その点についてちよつと申上げて置きます。
  52. 吉田法晴

    吉田法晴君 山元のとにかく製錬所或いは製鋼所が云々という点は、初めから心得て質問をしている点ですが、なおその上に立つて疑問が残りますので、質問を留保いたします。この点については……。ただ今の追加鉱物に関連してお話のありました点から関連して質問をいたしますが、そうしますと、例えばセメント工場、現地にありますセメント工場等は鉱山保安法の適用があるわけでしようか。
  53. 岡田秀男

    説明員岡田秀男君) 石灰石の事業上から見ますと、ちよつとまあセメント工場も普通のメタル山の製錬工場と似たようなふうに見受けられるのでありますが、このセメント工場は石を加工いたしまして、全然違つたものを造つているのでありまして、鉱山の附属事業場とは理解しがたいと考えまするので、このセメント工場には鉱山保安法の適用はございません。
  54. 吉田法晴

    吉田法晴君 重ねて問いますと、山の採石場に近接している、食つ付いているセメント工場について言うならば、工場の入口までは鉱山保安法、それから工場の門を入つたら工場法その他或いは労働安全衞生規則と、こういう工合に同じ事業場が二つに切られると、こういう工合に理解してよろしうございますか。
  55. 岡田秀男

    説明員岡田秀男君) さようでございます。
  56. 吉田法晴

    吉田法晴君 その点は又にいたしまして、次は百十四條のいわゆる予定賠償の点でありますが、これも公述その他で随分問題になつた條文であることはまあ御承知であろうと思いますが、基本のいわゆる予定賠償というのが心配せられるような弊害を生むか生まぬかという点も一つあるのであります。それでこれは我妻先生でしたか、言われているように、これは賠償の打切りではないと、こういうように言つておられますけれども、実際にはそういう役割しか、これは果さないと考えるのでありますが、そういたしますと、具体的に申しますと、大きな鉱山等でありますならば、そういう弊害はありませんでしようけれども、実際に私どもが体験しました例で、小さい鉱業権者の場合、或いは心配されているように資力の弱い租鉱権者のような場合には、この予定賠償の金額が極めて少い金額で済むことが少くも従来はあつた。そうして現に或る一つの例を思い起すのですが、小さい川が洗炭用水でだんだん埋つて、そうしてそれが耕地に氾濫する。現に相当鉱害があるわけであります。それを今度の特別鉱害なら特別鉱害で救済しようとしても、すでに金銭賠償が済んでいる、こういうことで全然問題にしてくれない、こういう事例を見るわけでありますが、これは鉱業権者の場合に大きいところばかりではない、或いは公正なところばかりではないというのが実態なんでありますが、それらの点について、この條文或いはこの制度をどういう工合に運用することによつて、それらの弊害を除こうとせられるのか、その点を先ず伺いたいと思います。
  57. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 予定賠償の規定は実は現行法にもあつたのでございます。新法ではその予定賠償の規定その他鉱害賠償全般につきまして、より合理的な解決が行われるようにという趣旨で二、三の修正が行われたのであります。その一つは、この予定賠償にも関連いたすわけでありますが、第二項になつておりまして、第一項に、先ず現行法になかつた規定でございますが、その額が著しく不相当であるときは、増減の請求ができるという規定が入つているわけでございます。これはまあ取りきめましたときと情勢の変化があるわけであります。詳細に取りきめましたときと著しくまあ状況も変つている場合、不相当という場合、まあ高過ぎる場合、安過ぎる場合、両方あるわけでありますが、当事者側の増減の請求ができるという規定が入れてあるわけであります。それから第二点といたしましては、二項でございますが、例えば建物がだんだん傾きつつあるというような場合がございますが、建物の場合で考えますと、この建物全体の対価を拂つてしまつておきますれば、建物を全部買つたという恰好に相成るわけでありまして、賠償は全部済むということが考えられ得るわけでありますが、それにつきまして、現行法ではこの二項のような規定もございませんために、被害者側として買つてくれというふうな要求をいたしましても、加害者側の方は、又それが買う場合には少し不適当でございますが、予定賠償、全然移転までには至りませんで、今後三年分なら三年分というものの枠をきめたいという場合に、それをきめたといたしましても、それが又その建物が第三者に移転されますと、三年分を前の所有者に拂つたつもりでありましても、建物を買つた人が、いやわしのほうは何とかしてもらわなければ困るというふうに持ち込まれる場合、対抗力がないというようなことから、そういうような話合もうつかりできないというような場合があるのでありますが、それにつきまして登録の途を作りまして、再考を図るという途を開いたのが第二点であります。それから只今お話のございました、この趣旨はいいが、実際運用の問題として低い額で押し付けられるということがあるのではないか、それに対して法の運用なり、法の趣旨従つてという点でございますが、第一点は、一項の後段の規定が働きますのと、第二の問題といたしましても、行政官庁としては相当面倒な仕事だと思いますが、この賠償につきまして、或る合法的な基準を作りまして公表するということが、加害者、被害者の勢力関係において、いわば不合理なところにきまるということが、とかくありがちなところでございますが、それを牽制するというと語弊がございますが、客観的に見て、合法的な線はこの辺だということをきめますことが、実際的ではなかろうかと考えまして、そういう基準を定めて公表するというようなことを考えたわけであります。勿論それぞれ不服のある人は訴訟まで持つて行けるわけですが、訴訟がルーズになりまして、相当面倒くさいということで泣寝入りになるということもありがちなことでありますし、そういうことの予防と言いますか、訴訟まで持ち込まないで、事態が合理的な線で片付くということの一つの手助けというような意味で、合理的な基準を作りまして公表する、それは強制するものではありませんが、事実問題として、それが或る目安になつて行くのではないか、さような点を考えまして、現行法よりは相当の進歩ではなかろうかと、私ども考えておるわけであります。
  58. 吉田法晴

    吉田法晴君 その二項の点も触れられましたが、この登録の問題でありますが、「政令で定めるところにより、登録をしたときは、」云々と書いてありますけれども、政令は私ども了解いたしておりませんのでわかりませんけれども、どういう構想であるのか、特に不動産登記法との関係についてどういう形をとられるのか、その点を承わりたいと思います。
  59. 讃岐喜八

    説明員(讃岐喜八君) この政令は法務府の民事局で作つてくれることになつておるのですが、まだ原案はできておりません。構想といたしましては、不動産登記法と関連のある登記簿でございまして、登記所に置くのでございます。そうしまして、不動産の移転がございました場合には、すぐその登記簿に関連が付くように拵える、こういうふうに今のところは考えられておるのでありまして、この政令は民事局長が自分が作つてやるということで、実は引受けて頂いたので、我々は安心しておるのであります。
  60. 吉田法晴

    吉田法晴君 新らしいそういう登録に関する政令ができるということで、いろいろ問題があると思うのですが、差当り私ども疑問に思いますのは、その登録される権利と申しますか、これは何が登録されるのか、事実はわかるのでありますが、権利の性質、そういうものについて疑問が持たれるのですが、どういうふうにお考えになつておられるのですか。
  61. 讃岐喜八

    説明員(讃岐喜八君) 不動産についてでございますが、賠償があつた、幾らあつた、いつあつた、そういうことを登録する予定でございます。
  62. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうすると、事実を登録すると言いますか、或いはいわば損害賠償の予定された額ということになりますと、債権的なもののようにも考えられますけれども、その辺のことについてはどうなんでしようか。
  63. 讃岐喜八

    説明員(讃岐喜八君) 恐れ入りますが、もう一度御質問をお願いいたします。
  64. 吉田法晴

    吉田法晴君 損害賠償の額が予定されるということになりましたら、予定ざれた金額ということになりますから、これは金額ということになると思いますが、債権を登録するのですか、それとも何と言いますか、その契約というか、予定されたその事実そのものを登録するのですか、その辺の登録の客体を……。
  65. 讃岐喜八

    説明員(讃岐喜八君) 契約登録するのであります、契約の内容になつた事実であります。先ほど申上げましたことは間違いました。施行法の問題であります。
  66. 吉田法晴

    吉田法晴君 この辺は政令の性質、不動産の登記法との関係、それらの点について、これは何と申しますか、法  理上いろいろ錯綜した問題が想像せられるのでありますが、事実政令の案そのものがありませんので、一応の構想を承わるということになれば、その程度にしかならぬと思いますが、その点はなおあとに譲りまして、次に移ります。租鉱権の問題でありますが、実はこれは正確な名前をちよつと忘れましたが、国管法が廃止になりますときに、私は心配し、指摘したのですが、従来こういう使用権の根拠法規、石炭鉱業権等臨時措置法がなくなつて使用権の根拠がなくなつた。で、実際にもう従来の斤先契約で使用権の設定せられずにいるものが幾らかあるのではないかという疑問をその当時も持つたのです。今でも多少そういう疑問が持たれます。それからなお今日、従来石炭鉱業権等臨時措置法がなくなつたために、今度の鉱業法で租鉱権の規定ができたとしても問題が残るのではないか、法の空白期間によるいろいろな問題があるのじやないかということを心配するのでありますが、それらの点については、どういう実情になつておるか、或いはどういう法規によつて処理を講ぜられるのか、その点を承わりた  いと思います。
  67. 讃岐喜八

    説明員(讃岐喜八君) 石災鉱業権等臨時措置法による使用権というものが、現在残つてございます。と申しますのは、石炭鉱業権等臨時措置法は廃止になりましたけれども、その附則第三項の規定によりまして、本法がなくなつても、その使用権の存續する期間の間残るのだという規定がございます。その規定によりまして現在生きているのでございます。その今生きている使用権を、今度施行法によりまして租鉱権とみなしたわけでございます。特に石炭鉱業権等臨時措置法におきましては、試掘権においても使用権が設定されておりましたから、試掘権の設定された使用権も租鉱権とみなすということで、そのまま新鉱業法の施行後は租鉱権として前にきめられた存續期間の間存續する。その存續期間が満了しました後は、新鉱業法による租鉱権として改めて更新ができる、こういうことになるのでございます。
  68. 吉田法晴

    吉田法晴君 この点についての実情を少し資料で頂きたいんですが、例えば心配をしますのは、臨時措賠法がなくなつてから一年足らずの期間ですから、大体まあ繋つておるかと思うのですが、若しこの期間の中に切取られたものがあるといたしますならば、それは何とも救済の仕方がない、方法がない。これはまあ当然ですけれども、従来斤先掘契約があつたけれども、使用権に切換が済んでいないのが若干あるのじやないかと思うのです。こういうことが、これは杞憂かも知れませんけれども、多少そういう心配があるのですが、そういう点はなかつたかということなんです。
  69. 小村健夫

    説明員(小村健夫君) その点について御説明申上げます。只今第一の石炭鉱業権等臨時措置法廃止後きめた使用權はないかということですが、大体使用権は新らしくできましたもんで、相当の期間も多かつたので、あまり切れたという例は聞いておりません。ただときどき切れて困るといつた方ほうどうしたらいいかということは聞いております。私どもそれに対しては新鉱業法で租鉱権の制度ができるから、それができた場合に租鉱権として設定してもらいたいということは申しておりました。これは前の臨時措置法を廃止するということに伴います止むを得ない措置で、それを飽くまで續けられるというふうに思いますことは、前の法律廃止そのものの意味をなくすことで止むを得ないことだろうというふうに思います。救済方法としましては、鉱業法を成るべく早く施行するということになります。それから第二の点につきましては、斤尖掘の件につきましては、この前に臨時措置法を廃止いたしますときに、半年ぐらい前から各地方に通知を出しまして、極力廃止後は使用権を設定できなくなるから、現在斤先でやつているところがあれば、極力早い機会に申請をさして、早く使用権設定を行うように指導をいたしまして、大体において申請のあつたものは全部使用権設定の許可をいたしておりまして、大体全部、本人が希望しないようなものは別でございますが、当事者が希望するものにつきましては、全部使用権に相成つているというふうに考えております。
  70. 吉田法晴

    吉田法晴君 使用権を租鉱権、言葉の違いであづただけではないような気もいたしますけれども、従来使用権も用益物権という説明がなされているようですし、今度は租鉱権ははつきり物権であるとすると、こういう規定の仕方がされておりますが、事実上使用権を租鉱権にせられました、言葉の違いかも知れませんが、その理由と、それから使用権と租鉱権との法律的な相違の点がありましたならば、御説明を願いたいと思います。
  71. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) この一番大きな違いは、使用権の場合におきましては、目的が非常に違つておりましたけれども、石炭について言えば、当時の石炭増産という趣旨から、この特別の旧鉱業法にない使用権というものを認めて行つたわけでございますが、新鉱業法に今度定めました租鉱権につきましては、それぞれ増産の要請という趣旨は全然ないわけでございます。残炭とか薄層とかいうようなものは、例外的に鉱業権者との関係、いわば一種の請負に似たようなものなんでありますが、それを認める客観的な考え方というものは全然異なつているわけなんでございまして、例外的にこれを考えておるということになつているわけでございます。それから旧法の場合におきましては、採掘鉱区ばかりでなしに、試掘鉱区につきましても増産という、まあ至上命令から認めておつたのでありますが、今度の新法を作るにつきまして、試掘権というものの基本的な考え方を、試掘権は採掘を前提として稼行の価値があるかどうか、その点を調べるという意味で決めた権利でありまして、鉱業の本体は飽くまで採掘だというふうに見ておりますので、その点から使用権といつております対象を、鉱業採掘権に限つているわけでございます。一度大きな違いと申しますものは、そういうことに相成るかと思うわけであります。今お尋ねがございました使用権という今までの言葉をやめて、租鉱権という名前にどうしてしたかという今お話でございますが、これは極端に申しまして、特別な理由があるわけではございません。使用権というものが石炭についてございましたのと、或いは金属の重要鉱物増産法という中に、戰時中にその例としてあつたわけでありますが、一つの強制的な増産という至上命令をこの強制的な使用権というような感じ、匂いも附きまとつていることでもございますし、基本的な考え方から、先ほど申上げましたような趣旨から、増産のためにという感覚はなくしておりますので、今までの実体としては、今申しましたように請負掘というのと似ておりまするし、目的なり趣旨なりが根本的に変りました関係から、昔の言葉がいわば或る種の匂いを残しておるという点がございますので、性質の変つたのに関連して名前を変えたらどうかというようなことから、若干中国臭い名前ではありますが、外に適当な言葉がございませんので選んだような次第でございます。
  72. 吉田法晴

    吉田法晴君 生まれた時代が違うから違うと、それにまつわる多少の違うところもあるというお話はわかるのですが、それは実質的には余りないようで、実際的ではないわけですね。言葉は新法は、残鉱の掘採その他鉱区の一部における鉱物の経済的開発を行うためと書いてありますが、実体は今言われるように請負掘なんですし、鉱区の一部分割合に小資本で開発するというこの実体は、使用権の場合も、或いは租鉱権についても大して変りはなかろうと思います。それらの点についてお尋ねしたわけでありますが、そこで問題はそういう租鉱権を認めることについての弊害、これは鉱業被害者から、或いは小資本の租鉱権者には十分な賠償の能力がないのじやないかと、こういうようなお話もありましたし、或いはそういう小規模の租鉱権をどんどん許すということになりますと、或いは待遇の問題、或いは保安の問題その他にもいろいろ弊害が出て来やせんかという心配がありまして、租鉱権を認めることの基本的な点までも問題になると思いますが、それらの点についての租鉱権にまつわります弊害の除去について、どういうように実際問題として考えられておるか、それらの点についてお尋ねをして置きたいと思います。
  73. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 鉱業権者と租鉱権者との関係が請負掘である。その点の実体は相似ておるわけであります。併し先ほども申しましたように、根本的に増産という趣旨でできておりましたので鉱業権者なり試掘権者なりが自分でやる力がないという場合、場合によつて国が或る人にやらしたほうがよろしいというような感覚で、その区についての掘採権を他人に與えようとしたのが従来の趣旨であります。従いまして、全鉱区についてもそれを認めるというのが従来の観念であつたわけであります。その点基本法であります鉱業法を作りますときに、そういう考え方を取入れて行くかどうかということを議論をしたわけでございますが、結局従来の使用権というのは、一つの増産という要請に基く異常なケースで、飽くまで鉱業権というものは、鉱業権者が自分で掘るということを本則ということにすべきものである。他人をして鉱区内の鉱物の掘採を認めるというのは、それによつて実際上の効用のある限度内に止める。飽くまでも例外的に認めるという考え方をとつたわけであります。これを全鉱区についていわゆる戰時中の試掘権と同様に租鉱権を認めるということになりますと、非常に極端な言い方になりまするが、鉱業権者は観念的に自分で掘らなければならんという観念が根本的に薄れるのが一つと、その結果としまして、現在いろいろ行われておりまする鉱業権の譲渡というようなことも、譲渡の形はとらないで、権だけは何とかしてとつて置いて、まあ租鉱権で人に掘つてもらつて、ねむり口銭をとるというようなことに相成る弊風も予想しなければならん。そうなりますると、結局鉱業全体のコストと言いますか、  そういう中にそういう弊風が生じました場合にはねむり口銭が鉱業権に付きまとうということも考え得るかと思います。さようなこと等を考えますると、結局租鉱権を認める場合は飽くまで例外で、鉱業権者が自分で掘るのが本則だという建前で、租鉱権というものの権利関係というもの及び義務関係というものを規定すべきではないかということで、ここにありますように、そういう趣旨の下に限定的に考えまして規定し、従来のような全部に及ぶというようなことのないようにいたしたわけであるのであります。
  74. 深川榮左エ門

    ○委員長(深川榮左エ門君) 質問はまだあると思いますが次回に譲りまして、この委員会をこれで散会いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 深川榮左エ門

    ○委員長(深川榮左エ門君) それでは散会いたします。    午後四時七分散会  出席者は左の通り。    委員長    深川榮左エ門君    理事            古池 信三君            廣瀬與兵衞君            栗山 良夫君            結城 安次君    委員            小野 義夫君            重宗 雄三君            西田 隆男君            小松 正雄君            島   清君            吉田 法晴君            加藤 正人君            山川 良一君            山田 卓郎君   国務大臣    建 設 大 臣 増田甲子七君    国 務 大 臣 周東 英雄君   政府委員    通商産業政務次    官       首藤 新八君    資源庁鉱山局長 徳永 久次君   説明員    資源庁次長   岡田 秀男君    資源庁鉱政課長 讃岐 喜八君    資源庁鉱政課勤    務       小村 健夫君