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吉川末次郎君 先ほど来の鈴木君の
答弁及び岡野
大臣の
答弁等におきまして、非常に重要なことが私は指摘されねばならんと
考えるわけであります。それは鈴木君は私は個人的に非常に親愛の念を以ているところの優秀なる
官僚でありますが、やはり昔風の
官僚的な
考え方がこの
法案の制定、作成の中にも非常に入
つているんじやないかと思うのでありまして、(笑声)なんということなしにこの
一般職の
範囲を広くして、そうして
役人の身分を保障して置きたいということが非常に
中心観念にな
つておる。ところが
地方の
自治体の
政治におきましても、これは国の
政治におけると同じように主義、
政策の相違、主義の相違と言いますか、イデオロギーの相違というものがあるのでありますから、自由党と社会党とはこれは
政治主義を異にするのであります。国政において異にすると同じように、
地方の
自治体におきましても、主義を異にする。ところが従来は
日本の
地方行政は内務省の
官僚諸君が一〇〇%支配して来たものでありますから、
地方自治体の
政治が
政党政治にな
つてはいかんとか、そういう間違
つたことばかりを国民に教えて来たのでありますが、そんなことはあり得べからざることでありまして、ここに安井
知事の弟さんもおいでになりますが、(笑声)例を東京都にとりますと、東京都は人口六百万、七百万、
日本の人口の約一割、毎年使いますところの経費も、予算額は国の予算の殆んど一割或いはそれ以上くらいを毎年使
つておるのであります。いわば大体においてヨーロツパの
相当な国、オーストリーであるとか、或いは北欧の
相当な国に対比するくらいの経費も使い、又それくらいの人口を持
つておるところなのでありますから、そこで社会
民主主義による
政党もあれば、いわゆる保守主義によ
つて立つところの自由党があ
つて、同じ
地方税のかけ方にしても、我々は勤労階級に安くかけようとするし、保守党のほうでは金持に安く税金をかけるようにしようというような(笑声)わけで、これは
地方自治体にも
意見の相違を来たして来るということは合理的なことなのであります。それと同じように今のことから演繹いたしまして、先に
アメリカの
スポイルズ・システムのことを申しましたが、
スポイルズ・システムの当時におきましては、
共和党が立てば
地方自治体でも国の
役人でも、小使の末まで
共和党一色に塗り潰してしまうということは非常に間違いでありますが、併し全部間違いであるかというと、私は決してそうでないと思うのでありまして、やはり社会党が
地方自治体の政権を握りましたときには、国の政権を握
つたと同じようにその主義
政策を実行するのに極めて容易であるような
一つの
役人組織を持たなければならんのであります。国においては吉田内閣ができまするならば社会党の閣僚はみな引退いたしまして、岡野さんのような銀行の頭取が今度は長官におなりになる(笑声)というようなことになるのでありますから、これは自由党の
政策を行うことにな
つていらつしやる。今東京都の例をとりますと、ヨーロツパの中くらいの国に当るくらいの実力を持
つているところの自治団体なのでありますから、少くとも東京都の大体閣僚に当ります程度のものはやはりこれは入れ替えをするのでなければ、自由党の
政策も行われませんし、社会党が東京都の政権を握りましたときもこれはその
政策を行なえないのであります。今鳥取県の例をお挙げにな
つてお話しになりましたが、全くその
通りでありまして、実例を申しまするならば、北海道であります。北海道の長官は田中君という社会党の、北海道庁の係長をしてお
つた人間が、
選挙で一躍して
知事にな
つたのであります。そういたしますると、なんだこの間まで係長であ
つたやつが
知事に
なつたというようなわけで、その言うことをなかなか聞かないような気持を持つのは、これは私は上層部の局長やなんかの
一つの心理だろうと思います。非常に田中君もその点でいろんな蔭口を言われておるのを私は実際知
つておりますが、そういうやりにくい場面にな
つて来るのであります。ところが
官僚的なイデオロギーからいたしますと、あの係長のようなやつが長官に成り上
つたというようなことが先に来るのでありますが、我々の
立場からいたしますと、イデオロギーが必要なので、社会
民主主義の北海道政が行われることは必要なのでありますから、如何に
役人としての経歴が係長でありましても、私個人的にい
つて田中君は非常に立派な人物だと思
つておりますが、田中君を通じて社会党の道政が行われることが必要だということにな
つて来るのであります。でありますから、そういう点を
考えまするというと、やはり本当にその
行政が行われると、その主義に基くところの、社会党ならば社会党の
行政、自由党ならば自由党の
行政が社会党の政権に変
つてできましたときには、それをひつくりかえして行われるような
行政が行われることになります。そうするというと、これは府県を単位にして
考えますならば、今北海道と東京都について申しましたように、やはり部局長くらいまではいわゆる政務官でなくてはどうしてもいけないのじやないか。現にそれは安井君の兄さんがや
つておる東京都でありますが、東京都の労働局長には林武一君という、これは労働組合の闘士である、市
会議員の経歴もありますが、これは学校経歴から申しますと、小学校もろくろく卒業していない人であります。非常に頭のいい聰明な労働者でありますが、これが現に東京都の労働局長をやりまして好評嘖々として立派に東京都の労働
行政をや
つておるのであります。ところがこの
地方公務員法が制定されまするというと、私は林武一君なんかはどうなのでありますか。まあやめなくてもいいのか知りませんが、今後はそういう人を私は任用されないということになるのじやないかと思いますが、私はそれはやつぱりよくないと思う。もう一度
一つ岡野さんからそれについての御
意見を承わりたい。