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1950-12-03 第9回国会 参議院 地方行政委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十二月三日(日曜日)    午前十時五十四分開会   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件行政書士法案衆議院提出) ○地方公務員法案内閣送付)   ―――――――――――――
  2. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これより地方行政委員会を開会いたします。  本日は先ず行政書士法案審議をいたしたいと思います。先ず衆議院提出でありますから、衆議院議員川本議員から説明を求めます。
  3. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) 只今議題となりました行政書士法案につきまして、衆議院地方行政委員会におきまする起草の経過並びに提案理由等につきまして、その要旨を簡單に申上げたいと思います。  御承知のごとく行政書士代書人名称を以ちまして、従来長く内務省令代書人規則の規律を受けて参つたのでありまするが、終戰後右規則が失効いたしまして以来、都道府県の中には條例を設けて地方的に行政書士業を規律しておるものも現われて参りましたが、併し今日尚未だ條例制定すらいたしていない地方も相当多数ございますので、関係業者の不安と一般公衆の不利、不便は甚だしいものがあるのであります。そこで法律を以て行政書士に関する諸般の事項を明知し、右の不安、不便を除却せんとするものでありまするが、このことは又他面には書類を受理する官公署執務能率の向上にも裨益するところが甚大であると存じます。  次にこの法律案内容を申上げますると、本法二十三條、及び附則十項より成立つておりまして、行政書士業務資格試験登録事務所報酬行政書士会、同連合会に関する事項罰則、その他不正業者取締に関する事項等亘つて必要な規定を設けているのであります。  先ず資格といたしましては、知事施行する行政書士試験に合格した者であることを原則的の資格要件といたしまして、この試験を受けるには、或いは学校教育法による高等学校卒業者たること、又國、地方公共団体公務員として三年以上行政事務を担当したこと、或いは知事がこれらに相当する知識と能力を有する者と認めましたことを必要要件といたしております。併し例外としましてこの法律施行の際、現に引続き一年以上行政書士業務を行なつておる者で、曾てこの業務を行なつた年数を通算いたしまして三年以上になる者は、特に無試験本法による行政書士資格を與えることといたしております。尚本法施行の際現に行政書士業を行なつております者は、本法施行の日から二月以内に登録を受ければ、本法施行後一年を限り行政書士名称を用いて業務を行い得ることにいたしております。  次に行政書士となりまするには都道府県に備付ける行政書士の名簿に氏名、生年月日、事務所等條例所定事項登録せしめることといたし、尚その事務所は一ヶ所と限定し、ただ知事認可によりまして出張所を設け得ることといたしております。而して知事が必要あると認めたときは当該吏員にその身分を証明する証票を携帯させ、関係者にこれを呈示させ、行政書士事務所に立入り、帳簿及び関係書類を検査させることができるように規定しております。但しこの立入り検査は犯罪捜査のために認められたと解釈してはならないこと及び日出より日沒までの間でなければならないことを明定しております。  又行政書士がこの法律又はこれに基く命令規則その他知事処分に違反したとき、或いはいわゆる重大なる非行があるききは、知事は公開による聴聞を行なつた後、一年以内の業務の停止又は登録取消を行い得ることにいたしております。又もぐり業者に対する取締を行うことにしまして、一画には一般公衆が不測の損害を受けないようにし、又他面には登録業者利益保護を図つておるのであります。  最後にこの法律実施のための手続その他その執行に関し必要な規定総理府令で定めることとし、本法実施昭和二十六年三月一日からといたしております。  本法案は第八臨時國会において七月二十五日に当委員会の成案を決定して委員会提出法律案とするに決定したのでありましたが、都合によりまして第八回臨時会におきましては不成立となりましたので、閉会中継続審査をいたしまして本國会提出いたしたのでございます。  以上簡單に御説明申上げましたが、何とぞ愼重御審議上速かに可決いたされまするようお願いを申上げる次第であります。  尚注文などにつきましての詳細の点につきましては法制局係官等も参つておりますので、そのほうからお聞き頂きますよう附加えて申上げます。
  4. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 衆議院議員川本末治君の外に衆議院法制局第一部長三浦義男君、それから專門員長橋茂男君が見えております。それから他方自治庁側から鈴木政府委員が見えております。御質疑をお願いいたします。
  5. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 只今行政書士法提案趣旨をお聞きいたしたのでありますが、これは従来のあの地方裁判所長認可を受けておつた代書人との関係、あの司法書士との関係はどういうことになりますか。
  6. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) お答えいたします。これは従来裁判所のほうの関係登記書類などを取扱つておりますものは司法書士法によりまして司法書士としての取扱を受けております。このほうは、この行政書士と申しますものは、わかりやすく申上げますと、警察又は区役所等におきまする戸籍事務とかいろいろな手続という程度仕事をいたしておるものでありまして、司法書士とは全然別個の立場でございます。
  7. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 そうしますと、あれでしようか、特に司法関係司法書士法があるように、これに対応する行政関係のほうのこういう事務をやる人の一括した法案だと、こう承知してよろしいわけでございますか。
  8. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) お説の通りでございます。
  9. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今提案者説明かありましたが、この法案に対する利害得失というような点について自治庁説明をお願いいたします。
  10. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この行政書士法案に関しましては、衆議院におきまして御立案の際からいろいろ地方自治庁事務当局のほうと御折衝、御協議を頂きまして、私共といたしましてもこの法案全体につきましては何ら異存のないものでございまして、行政書士が正常にその業務を運営いたしますことを保障いたしますということは地方行政を公正に行う上から申しましても、又行政書士に関するいろいろな不正事件が行われないようにする上から申しましても、地方自治のためにはこの程度の一つの規制をするということは、適当なことじやないかというふうに考えておるのでございます。
  11. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) お諮りいたしますが、少し詳しく衆議院法制局のほうから説明させましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは三浦法制局第一部長に各條につきまして少し詳しく御説明願います。
  13. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 ちよつとその前に一言、この法案衆議院において各党の共同提案ですか。
  14. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) これは衆議院地方行政委員会におきまして全員一致でこれを可決した委員会法案として提出したものであります。
  15. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) 行政書士法提案趣旨につきましては、川本議員から大体お話がございました通りでございますが、要点をかいつまんで更に申上げますると、行政書士法に類似いたしますものといたしましては、従来の法律でこういうものを規制いたしておりますのは、例えば公認会計士とか、弁護士とか弁理士税務代理士司法書士土地家屋調査士建築士といろいろあるわけでございます。行政書士先ほどお話がありました通り官公庁提出いたしまする文書、主に区役所等提出いたしまする、或いは市町村役場において提出いたしますのが主であると思いますが、或いは戸籍事務それからそれ以外に亘りますと、例えば警察関係書類、それから内容証明、或いは個人関係契約書書類作成とか、或いは履歴書とか、こういうようなことがその職務の大要のものであろうかと考えるのでございます。他のほうには先ほど申しましたようないろいろこれに類する仕事をする業務がございまするが、それにはそれぞれの法律がすでに出ておりまして、只今申上げましたような仕事についての法律処置がまだございませんので、今回提案になりましたことと思つております。  第一條に掲げてございますのは、その業務範囲規定してあるのでございまして、他のほうのすでに私が先ほど申上げましたような人たちが行いまする業務は除きまして、それ以外官公署提出する先ほど申述べましたような権利、義務又は事実証明に関する書類作成行政書士は主たる任務といたしておるわけであります。  それから第二條にその資格を書いてあるのでございますが、これは一応試験前提といたしまして、試験に合格した者が行政書士となる、こういうことにいたしております。公認会計士はすべて試験制度であります。弁護士試験制度であります。それから弁理士試験制度資格を加味しておるようであります。それから税務代理士資格のみによつておるのであります。それから司法書士資格によつております。それから土地家屋調査士試験資格とをかね合わせておりますし、建築士試験制度によつておるのでございます。資格だけによつておりますのも、その資格のある学校以上とか特殊の技術というようなことに限定いたしております。この行政書士におきましては試験に合格しなければその仕事ができないということにいたしまして、その試験は三條に書いてございますように大体新制高等学校を卒業した者、それから地方におきましては國又は地方公共団体公務員として行政事務を三年以上担当いたしておりました者、或いはこれと同等程度能力を持つておる者というようなところに限定いたしまして、試験をすることにいたしておるわけであります。  それから試験につきましては、第四條に規定してございますように毎年一回以上行うことにいたしまして、その試験手続等については都道府県においてこれを決める、こういうことにいたしておるのであります。  それから第五條におきまして試験の場合の資格でございまするが、これは他のどのようなこういう制度にも大体同じような規定があるわけでございまして、第五條はその欠格事由を挙げておるわけであります。  それから第六條におきましては、一度行政書士となりました場合に、それの公正な運用を図る上から皆んな登録制度を設けるということにいたしてあるのでありまして、第六條は登録関係手続その他の取扱規定してあるわけでございます。  それから第七條におきましては、一旦登録いたしました場合におきまして、特殊の事由が起りました場合の登録抹消という制度をとりまして、登録からそれを抹消いたしまして、その場合には仕事ができないという事項を第七條は列挙してあるわけでございます。これも大体外のものと同じような趣旨になつております。  それから第八條におきましては、業務をいよいよ開始する場合におきましての事務所設置につきましては、一個所ということを原則といたしておりまして、都道府県内におきましては、知事認可を受けまして出張所を設け得るということにしてあるわけでございます。その事務所を多数設けるということを自由に許すということも考え得られるのでありますけれども、そういうふうにいたしますと行政書士が、自分が名義だけを取りまして、そうして府県の方々に出張所を置きまして権利だけを使つておるというような、弊害が起りますので、これを避ける意味からそういうようなことにいたしておるわけでございます。  第九條は報酬でありまして、現在との行政書士に関しましては都道府県條例でいろいろ行政書士取扱を決めておるのがあるわけでございまするが、それらにおきまして、この報酬等、いろいろ認可制度が、知事認可制度になつておりまして、これがその書類内容によりまするけれども、一枚当り三十円程度というようつなことになつておるようでございますが、それらの額は行政書士が決めまして、そうして都道府県知事が一応報酬額を決めまして、そうしてその額の範囲内においてやらせる。こういうことにいたしておるわけでございます。  第十條は行政書士業務執行上の帳簿の備付の件でございます。第十一條は当然のことでありますけれども、こういう制度によります以上依頼を拒むことはできないということであります。第十二條秘密等事項取扱いまするので、これに対する規定をしてあるわけでございます。第十三條は必要があります場合におきまして、監督上事務所等に立入ります場合の処置の現定でございます。第十四條は登録抹消という事項でございまして、特別の違法行為がありました場合等におきましての登録取消等処分であります。これが第十四條になつておるわけでございます。尚これは愼重にいたしまするために聽聞制度をとつております。第十五條行政書士会設置でございまして、行政書士会を作ることにつきましては、原則として自由になつておるわけでございますが、ただそういう行政書士会を作ります場合におきましては、十六條においてその会則の記載事項を限定いたしまして、それから十七條において会員となります者の範囲、それから第十八條におきまして都道府県行政書士会と全國を單位とする連合会との関係等規定しておるわけでございまするが、これらはすべて行政書士の自由な発意にとつて設立するということを一応前提としておるのであります。  第十九條におきましては、行政書士行政書士法規定いたしまする関係上、そうでない者が行政書士仕事を行いまする場合につきましての取締規定でございます。第二十條は以上の事項に関しまして特別の事項につき細則を設ける場合の委任現定でございます。  それから二十一條―二十二條等につきましては、それぞれの必要の制限規定に応じまする罰則処置でございます。  それから附則の第一項におきまして、昭和二十六年の三月一日から施行するということにいたしてございます。来年の三月一日からでございますが、これは従来のいろいろ行政書士に関しましては條例等取扱つておりまして、これが新法に乗り移りました場合におきまして、或いは更に試験制度、その他地方において規則等制定いたしまする準備期間が要りますので、その余裕を置きまして、三月一日からということにいたしておるのでございます。それから第二項におきましては、経過規定といたしまして、丁度この法律が三月一日施行になりました場合に、一年以上業務を行なつておる場合で、今までやつておる期間を通算いたしまして三年以上実績があつた行政書士というものは、この本法による行政書士と同様の取扱をするということにいたしておるわけでございます。附則の三項は、そういう人たち登録その他の取扱の現定が書いてございます。  それから附則の第四項におきましては、只今申上げました附則第二項以外の人たちで、この法律で、この際、つまり来年三月一日現在におきまして、年限制限なしにたまたまそのときに業務を行なつている人たちにつきましては、その人たちに或る程度の特典を與えるという意味におきまして、施行後一年間は、行政書士名前使つてその仕事を行うことができるということにいたしておるのでございまして、これは本来この法律にいう行政書士とみなすものではございませんので、その行政書士の事実行為をいたすことを法律上認めるということであります。ただ罰則等につきましては制約を加えるということになつて、過渡的の処置規定してあるわけであります。第五項におきましてその人たち登録等取扱手続を書いてございます。それから第六項におきましては本法におきまして一年一回試験をするということになつておりますので、差当り試験を、この法律施行後六ヶ月以内に最初行政書士試験を行うということにいたしたのであります。  附則の第七項におきましては、この法律試験を行います場合におきましての受験の資格と、それからどの程度に何年間試験を受けることができるかというような措置規定でございます。それから附則の第八項におきましては、報酬額等につきましては知事が定めますまでの間、従前の額を法律でやり得るという経過措置でございます。それから附則の第九項におきましては、この法律施行前に打いまして行為に対しまする罰則適用でございます。これは地方條例等罰則等を設けているものもございまするので、施行前の行為につきましては、新法罰則によらないで従前の法令によるということにいたしてあるわけであります。それから尚附則十項におきましては、この事務地方自治庁事務とするということを設置法の中の文章の中に加えるということであります。大体以上が行政書士法法律要点であります。
  16. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御質問をお願いします。
  17. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 地方によりましてはいわゆる司法書士とか、弁護士とかか行政書士と同じような事務をやつているのですが、その関係はどういうふうになるわけなんですか。やはりそういうのは改めて試論を受けなくてはならないのですか、或いは十九條の但書で行けるのかどうか、その点ばどうなんでありますか。
  18. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) それは第一條の二項に、一応その限界規定してございまして、この官公署と申しますと広い意味でありますが、その場合におきまして、例えば官公署提出する書類でありましても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、その事務を行うことができないということで行政書士、それから他の弁護士、その他のそういう書士法との限界規定してあるわけでございます。只今お話の点は、これを同じような仕事をやつてつた人はどうかというお話だろうと思いますが、それは従来はそれぞれ行政書士法地方條例等において行政書士仕事を規律しておるに過ぎませんので、事実上行政書士と第一條に掲げております仕事を、例えば具体的に申上げますれば、区役所等に対しまする書類提出、いろいろなことを、他の名前において行政書士以外の司法書士等において行なつておる場合においては、勿論そこに資格があるということであります。ただおのずから行政書士としてその人がやるのではなくて、司法書士でありながら同時に行政書士仕事をやつておるという二重の資格がある。かようなことになつておるわけであります。
  19. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 そうしますと、例えば弁護士でも司法書士でも、従来第一條のこういう仕事をやつてつたのですが、この法律施行伴つて、そういう弁護士でも或いは司法書士でも、何と申しますか、この法律適用を受けて行政書士という資格を得なければいけないわけなのですか。
  20. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) その点につきましては、例えば司法書士では、本来の司法書士仕事をやるには、最初司法書士法によつて登録を受けるということになりますので、その人か又行政書士仕事をやろうとする場合におきましては行政書士法において登録を受けてやる、この手続をして資格を得るということは必要だろうと思います。併しながらその人が両方仕事をやり得るかどうか、司法書士でありながら行政書士仕事がやり得るかどうかということは、その人の仕事内容司法書士でありながら、司法書士以外の行政書士仕事内容としておつた場合には両方資格がある。こういうようなことになるのであります。
  21. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 そうすると、弁護士でも司法書士でもこの法律制定伴つてやはりこういう仕事をやるためには行政書士としての登録を受けなくてはならない。こういうことになるわけですか。
  22. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) さようでございます。
  23. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それに関連して伺いますが、現在司法書士で、そして最近の半年は行政書士仕事をやつておるけれども前はやつていなかつた司法書士は前からやつてつたが、行政書士仕事は半年前からやつておるという人が仮にあるとすれば、その人は三月からは行政書士仕事はやれない。こういうことになりますね。
  24. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) それは附則の二項のほうは一年以上となつておりますから、それには該当いたしません。行政書士とは限りませんが、四項のほうで半年くらいでありますればこのほうは年限を書いておりませんから、行政書士名称を用いて一年間は行政書士仕事ができる。かようになつております。
  25. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 一年間限りで、一年以上はできない……。
  26. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) あとは試験を受ける……。
  27. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) どんなに有能な人でもですね。
  28. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) はい。
  29. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 そうするとあれですか。弁護士なら弁護士の場合で司法書士法なんかでは当然それは司法書士仕事ができるということになつておるわけですが、この場合はそういうのでもやはり試験を受けてそしてやらなければいけないという、こういうことになるわけですな。年限に満たない場合は……。それから年限があつて登録しなければならない。こういうことになるわけですか。
  30. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) 弁護士におきましては私先ほど申上げたのが言葉が足りなかつたと思いますが、弁護士法におきましては第三條におきまして「弁護士は、当事者その他関係人依頼又は官公署の委嘱によつて訴訟事件、非訟事件及び訴願、審査の請求、異議申立等行政庁に対する不服申立事件に関する行為その他一般法律事務を行うことを職務とする。」ということになつておりますので、この範囲におきましては勿論弁護士は当然できますので、結果におきましては大部分は弁護士行政書士という登録を受けませんでも、只今経過規定におきまして行政書士仕事は私は事実上できると思います。ただこれに該当いたしません場合におきましては、行政書士資格を取らなければ、その程度においては直ちに弁護士といえども行政書士仕事はできない。かようなことになつております。
  31. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 違つた都道府県認可を受ける場合ですが、府県が違う場合にはそのおのおの府県認可を受ければ、一個所と限らないで府県二つ三つ亘つてもかまわないのですか。
  32. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) その点につきましては、この行政書士は必ず一都道府県に限るということを原則といたしておるのでありまして、他の都道府県におきまして仕事をやろうとする場合におきましては、そちらのほうで登録を受けて、そして前の登録取消される、かような結果になるわけでございます。それは第六條の第四項でごでざいます。「行政書士登録を受けた者は、やむを得ない事由がある場合に限り、第二條規定にかかわらず、第三條と申しますのは先ほどの資格でございますか、その失格を受けた者は資格を受けた都道府県で「行政書士となる資格を有することができる」。というのでありますから、それ以外の都道府県では資格がない。そういうことになります。そういう「規定にかかわらず、他の都道府県において、その都道府県知事認可を受けることにより、行政書士となる資格を有することができる。」かようになつております。
  33. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 その点をもう一度伺いますが、止むを得ない事由がある場合というのは行政書士の……。
  34. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) これは行政書士は必ず試験制度原則といたしおりますので、他の都道府県において行政書士仕事をやろうとする場合には、改めて試験を受け直して、そうして登録を受けなければ行政書士資格を得られないのでありますけれども、その試験を受けませんで、特別止むを得ず住所を移す、或いは一方のほうではいろいろな関係仕事ができないからどうしても他の県で仕事をやりたいという特殊事情がありました場合には、試験なしに認可だけでやれる。こういうわけでございます。
  35. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 もう一点伺いますが、事務所設置場所を変えれば、結局府県を変えた場合には、変つた所では事務所設置認可だけを受けるのですか。試験を又受けるのですか。
  36. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) 変つた所におきましては、只今規定によりまして認可だけ受ければ試験は受けない。かようになつております。
  37. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 第八條事務所は一個所に限ると言い、出張所を設けるというのは認可を受けなければならん、こういうふうなことは何か仕事範囲を特に制限するようなことがありますが、こういうふうな種類のものは皆こういうふうな規正になつておるのか、その点を伺いたい。
  38. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) 例えば司法書士について例を申上げますれば、これと同じような規定司法書士法でも置いてございます。この点はこういうようなところから立法趣旨があると思つておりまするが、それはあまり事務所設置を自由にいたしますと、これに実際仕事を、行政書士自体が実際自分でその仕事をするということが前提であるのでありますこれを自分が行政書士登録だけを受けまして、あとはそれ以外多数の人を使つて、名義だけを出して方々に出張所事務所を設けるということになりますと弊害が伴うということかありますので、その点から実際自分の仕事をやり得る能力を考えますると大体一個所、こういうことになるのじやないかと考えます。
  39. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 もう一点伺いますが、一個所の事務所行政書士試験を受けるというのは一体一人以上はどうですか。二人も三人も一緒にこの仕事をやつておる場合は事務所をどのぐらい……。
  40. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) その場合におきましては、とにかく行政書士は一人について一個所でございまするから、共同でやる場合においては三個所までが最高の制限であろうと思います。尚又事務所が一個所にありまして出張所を設けることができますので、出張所を方々に二個所、三個所或いは四、五個所、かようなことも可能であろうかと思います。
  41. 石川清一

    ○石川清一君 行政上の書類は全部行政書士の手を経なければならんかどうか、先ずそれを伺いたい。
  42. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) さようなことはございませんので、これは自分で書くのがむしろ建前であろうかと存じまするが、そういうことができなかつたり、或いはいろいろの都合上、他に依頼してやるということが便宜である場合に行政書士仕事をするのでございますから、第一條にも、「他人の依頼を受け報酬を得て、」ということにしてございます。
  43. 石川清一

    ○石川清一君 この場合に、町村役場或いは市役所か、便宜上その吏員が厚意的にこれを扱つた場合にどうなりますか。
  44. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) その点は業務と……。
  45. 石川清一

    ○石川清一君 厚意と申しますと、時間外に取扱つた場合には……。
  46. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) その点はそれか報酬を得てやるというようなことになりえますと、業務ということになるかとも思いまするけれども、私共がお互いに他から頼まれましてそれを便宜書いてやるということだけでありますれば、行政書士法規定に反するということはないだろうと思います。
  47. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 この試験の科目ですが、こういう試験科目はどういう程度試験をするのか。例えば弁護士試験と同等の程度試験をさすのか、それ以下なんですか、どの程度に目標を置かれるのですか。
  48. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) これは法律関係等につきまするところの一般的な知識ということを大体前提といたしまして、そう高度のあれは必要でないかと思つております。例えば一番これで必要なのは、無論憲法は当然のことでありましようが、民法或いは手続法等の一般概念というようなところが大体この試験の標準ではないかと考えております。
  49. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 例えば大学生の在学中の学生でも試験をパスすれば一向差支えない、学生でも……。その点どうでしよう。
  50. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) その点は勿論差支えございません。
  51. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 先ほどから私は一例を弁護士の例で引いたのですが、どうして……。司法書士や何かではいわゆる一定の資格のある者が、直ちに司法書士として認定を與えられる基準になるわけですね。従つて我々の常識から言えば、行政書士法においても、例えば府県の吏員を十年以上もやつたつとか、丁度裁判官をやつた者が司法書士としての資格を與えられるように、何か試験を受けなくても当然社会常識からこれらの事務については一応こなせるという認定をなし得る者は、当然その認定で資格を持ち得るような方法にならなかつたのか。どうしてそれが司法書士と違つた試験制度を励行したのか。そこの違いはどうですか。
  52. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) そういう司法書士で行いまする仕事は法務局の管轄区域を主体といたしまして、その範囲内で司法書士仕事はできるというようになつておりまして、その仕事も特殊の司法関係の裁判所等に、或いは検察庁、法務局等に提出いたしまするところの書類というようなことに限られておりますので、地方法務局の認可を得て司法書士仕事をやるというような制度になつておると思つておりまするが、行政書士のほうは仕事範囲が割に一般常識的と言いますか、広範囲でございまして、而もそれが一般的な仕事でございますので、例えば先ほど申しましたように戸籍、役場等で処理いたします戸籍関係書類、例えば出産の届とか何とかいうことはこれは必ずしも特殊の人でなければできないことでなくて、一般の人が誰でもやればやり得る仕事であります。ただ忙しいために自分で書けないから書いて貰うとか、或いは特殊の、全然字か書けないから依頼するというようなこともたまにはあるかも知れませんが、大体においてはさようなことだろうと思います。従いましてその仕事内容から申しますと、極めて一般的、広汎でありますので、それを資格という点から見た場合に誰にでも或る程度許してよさそうな仕事であると思うのであります。そうなりますると、非常に仕事関係から申しまして、やはりその間に乱雑に流れ、又取扱の点から申しまして愼重を欠くということにもなりますので、さような程度の学力を持つておる人を前提といたしまして、その中から試験によつて特殊のこういう業態をすることに適当なる人を選び出す。かような制度にこの建前は一応はなつておるのであります。
  53. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 ですから、私の申上げたいと思いまするのは、比較的專門的知識でないのだから、そういうものについて試験をして、それの合格者に與えるということは考えられると思う。ところが、その外に例えば公務員試験も今あるわけでありますから、まあ昔で言えば高等文官試験、或いは普通文官試験とか、そういうような公務員試験や何かで合格して、普通官庁などに五年なら五年、十年なら十年、そういう試験をとつてそういうふうに勤務した者に、経験のある者については試験しなくても行政書士に成り得るような途を開いて置いたほうが簡易でないかという気がするのですが、その点どういう考えですか。
  54. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) その点は御尤もな御意見だと思いまして、この資格の場合に一応そういうことは問題としたのでありまするが、又逆に考えますると、さようなことになりますると特殊な人たちに特典を與えるというようなことになる嫌いがございまするし、それから又認可制度にいたしますると先ほど申しましたような仕事の性質上すべての人に大体認可を與えてよさそうなことにもなりますので、やはりそこに試験制度を、一般常識的な、法律常識的な試験を加味しまして、それによつて適当な人を選び出すということがこういう行政書士仕事の性質上から推しまして適当ではなかろうかと、かようなことになつたわけでございます。
  55. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 私は逆にこういう試験制度施行すると、むしろその試験を通つたものとか何とかいう非常に門戸が閉されて、一種の行政書士というものが一つの特権的な職業になると思うのです。それがこういう性質から広く門戸を開放して置くということが、こういう書類は元来は自分がやり得る、或いはサービスのよいところじや官庁がやつてくれるというのが建前のものをまあこういつたところで大部分のものが簡易にやり得るということで一般性を持ち得ると思うのです。こういう試験制度は却つて門戸を閉して一つの專門化し、特権化するという嫌いが出て来るのじやないか。
  56. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) その点はお説の通り御尤もな点もあると存じますが、先ほど申上げましたように或る特殊の学力以上、例えば学校出た者は試験を受けないですぐ行政書士資格を獲得する。それから又これを一般に門戸を開放した場合にそういう資格のない者はどういうふうに扱いをするかということになりますと、やはり試験なり何かの特殊の制度を考えなくちやならんことになるだろうと思いますが、そういう場合を比較いたしましたときに、一方は学校出た者はすぐにその行政書士の特権を得られる。一方のほうは学校出なかつたというばかりにその特権がないということは制度趣旨から申しまして、現在の、殊に新らしい憲法下のこういう制度を考えます場合におきましては如何かというような点をも勘案いたされましてまあ試験制度が適当であろうと、かような、結論になつたと思つております。
  57. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 私はやはり司法書士や何かでも長く司法事務官をやつた者については認定でいいんじやないかということで、将来やはり行政事務官なんかを多年やつてつた者には試験なしでも與え得る途を開いたほうが非常に、今までも全然これは取締規則と言いますか、そういう適用規則がなかつたということは、これは要するに一般的に誰でもやり得ると、こういつたような仕組なんですから、それがこういう試験制度で非常に特権化して来るということになつて、却つてその点が閉されて窮屈になる。従つて同時に行政書士報酬なり、手数料なりが非常に高くなるようか感じをするのですが……。
  58. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) その点はどうも行政書士仕事の性質が一般的でありまするので、今のお説のような御趣旨から申しますると、結局大学を出た者、或いはそういう程度資格を持つている者は誰でも許していいということになりますると、殆んど皆或る程度学校卒業した者、或いは経験のある者は皆許してもいい、こういうことに結果としてはなるのじやないかと思つております。そうなりますると、特にこの行政書士の或る程度資格向上というような点から一定の範囲の者から選び出そうと、こういうような点から申しますると、まあどうかという点も考えられまするし、それから司法書士等におきましては、これは裁判所の事務官とか、裁判所の書記官とか、或いは裁判所の書記官補、特殊のそういう仕事に或る期間従事している者は認可制度によつてやる。これは司法書士仕事が特殊の裁判所、或いは検察庁等の仕事に限られておりまするものですからさようなことも考え得ると思いますから行政書士の職は非常に一般的である関係上、資格を広くするという建前になりますると、どうもやはり試験制度を加味しまして、御説のような趣旨から試験制度の運用においてそういう点ば御趣旨に副うようにしたらば如何なものかと考える次第であります。
  59. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 私はその逆で、むしろ一般的專門的ですと割合に試験制度というものは楽だと思うのです、いわゆる專門的な試験範囲で……。ところが事務一般的だということは同時に常識に近いということです。そういう意味から言えばやはり行政官庁に十年とか五年とか勤めたという方がむしろこういう事務をこなすにも適当じやないか。ところがそれをたまたま非常に広い部面についての試験ですから試験問題でも非常にむずかしいのです。従つてその試験をたまたま通つたか通らないかつということだけで決めるということが却つてこの制度に副わないのじやないか。むしろそうならばこの制度自体は学校を卒業したとか、こういう資格のある物について試験制度も必要でしようけれども、その外にそういう行政事務に多年の経験ある者については認定によつて與えるというような途を開いたほうが適当じやないかと思うのですが、どういうものでしようか
  60. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) そういたしますると、御説のあれを具体的に考えますると試験制度を全廃いたしまして或る特殊の学校等の卒業資格なりを持つておる者は、者以上はすべて認可によつてやるということでございましようか。それともそういうものを認可制度にもよるし、それからそれ以外、それらのものを持つていないこういう人でも勿論こういう制度ができれば当然何らかの形においてそれに参與し得ることを考えていいと思うのでありますが、そういう人たちには試験制度を加味するという両方建の御意見でございましようか。どういう御意見でございましようか。
  61. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 私はこの書士法にあるような試験制度も必要だと思うのです。併しその外に丁度司法書士と同じように司法事務官といつたようなものに平仄が合うように行政事務に十年以上なら十年以上経験した者と、或いはこれに準ずる者と、そういうものには試験を除いて認定によつて資格を與える、こういうのも併用すべきじやないかという気がするのです。
  62. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 只今高橋君の質問されたことにも関連するのでありますが、その資格を有する、行政書士資格を有する者というのと行政書士というのとは違うというように第六條ではなつておるようでありますが、行政書士となる資格を有する者の中に今のような試験制度試験において合格した者、或いは一定の経歴を持つというような者を入れるか入れないかということが今議論の焦点になつておるわけであります。それは差しおきましてその資格を持つておる者が事実上行政書士の業を行わんとする場合には登録を受けなければならないということになつておるようであります。従つて自分はこれから行政書士になりたい、行政書士の業をやつて行きたいと決意した人があるとするならば、先ず行政書士になる資格を有する者というものにならなければならない。それには試験に合格しなければならん。こういうことになつておるのです。そこで試験に合格するには試験を受ければよろしい。こういうことになるのですが、そこで第一にお開きしたいのは、その試験に、いわゆる誰でも試験を受けたいと思う人は試験を受けてそうして一定の成績があれば合格する、こういうことになると思うのです。即ち登録というものとそれは別でありまして、試験を受けで合格する人はすべて行政書士になる資格を有する者になつて来る。ところがその次の段階においていよいよ行政書士の業を行わんとするのに都道府県知事登録を受けなければならない。こういうことになるわけであります。この登録を受ける場合に第六條の二項によると手数料を納めなければならないということになつておる。従つて登録手数料を納めさえずれば全部それは登録して貰えるものかどうかという点をお聞きしたいのであります。一方行政書士会というのが十五條にあるようでありますが、或いは行政書士会の全國連合会もできるというようになつておりますが、この登録を受けようとする者、いわゆる行政書士になる資格を有する者が登録を受けようとする場合に往々にして行政書士会の意見を聞いてそうして行政書士会がそれでよろしいというような場合に初めて府県登録をするというようなことが行われることが想像できるのであります。ところがこの行政書士会は恐らく自分の既存の権益を新らしく登録を受けんとする者のために、いわゆる自分の権益が侵されるということが当然考えられるわけでありまするから、成るたけその新らしい登録をさせまいとするような考え方が持ち得ると思う。そこで行政書士会なるものが非常に強い権限を持ち、そうして行政書士会の意見に従つて府県知事登録をするというような手続を仮にとるようなことになると、幾ら試験に合格した人がありましても、何人合格いたしましてもいよいよこの登録を得んとする場合には、実は現実の場合において登録を取ることができないということになつて来ると思う。そこで結局先ほど高橋君の言われた問題でありますが、これは資格を有する者の話でありましたが、私の観点は登録をするということにおいて申上げておるのですけれども、新らしくやりたいというような人が全然なれない、資格を持つておる者は沢山あるけれども、新らしく行政書士の業はなかなか登録は受けられないということになりはしないかということを考えるのであります。この点について第六條の二項の手数料を納めるというのは手数料を納めれば誰でも登録できるのか。資格を有する者は誰でも登録をして貰えるということになつておるのかどうか。この方面がはつきりいたしておりません。そうすれば登録を受けた者の間において自由競争というものが自然に上つて来る。これも又止むを得ないかも知れませんし、その点の関係をどういうふうに……登録の方針ですね、それをお聞きしたいと思います。
  63. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) その点は第六條の二項におきまして「政令の定めるところにより、登録手数料を納めなければならない。」そういうふうになつておりますが、それはただ手数料を政令によつて定めるということの趣旨だけでありまして、すでに試験に合格して資格を有した者が登録を受けることを制限する趣旨は毫も持つていないわけであります。仮にそういうことを制限しようと、或いは先ほど御懸念のありましたような行政書士会がそれについて何らかの関係を持つというようなことになりまする場合におきましては、それは法律においてそれを規定するということが必要であろうかと思うのでありまして、そういうことはいわゆる資格を有する者についての更に制限も加味して、権利義務の制限になりますので、法律事項であると考えますので、そうことについての何らの制限の置いていない。この行政書士法案におきましては、只今のような点につきましては資格を有する者は当然登録もそのままに受け得る、かような趣旨になつておる次第であります。
  64. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 法律の建前はそうなつておりますが、いよいよこの法律が運営されることになりますと、恐らくここに行政書士会というものが生れて来るわけでございますから、その行政書士会登録をするところの府県知事の係官との間におけるところの関連というものは、非常に強くなつて来ると思うのです。そうして実際の運営におきましては、やはり行政書士会の意見を聞いて、あそこはよろしいとか、あそこは惡いとかいうようなことになる。或いはもつとひどくなるというと、行所書士会が相当の手数料等を取つたりして、或いは相当の権利金的なものを取つたり、そういうことをすればまあ登録にしてもよいという意見を知事に出すというようなことがあり得るというようにも考えられまするので、そういうことは全然許さない趣旨の見込の下に実行されておるというようなことは将来県知事等に通牒を出すなり、或いは行政書士会にはつきりそういう点を言うなりということをして置く必要があると思うのですが、その点を一応お聞きしたい。
  65. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) その点は御尤もな御意見でございまして、将来の行政書士法運営の問題として、極めて大事なことであると存じまするが、この法律の問題といたしましては、第十五條におきまして行政書士会規定を置いてございます。この行政書士会法律上はその第二項に規定してございまするように、「行政書士の品位を保持し、その業務の改善進歩を図るため、会員の指導及び連絡に関する事務を行うことを目的とする。」かようなことになつておりまして、これが行政書士会法律登録その他の点において関與し得るということは、法律上は何も考えてございませんし、又さようなことがあつてよかろうわけはないと考えております。従いましてこの法律趣旨からは、只今申しましたように行政書士会はあるべきでございまするが、実際問題といたしまして運用の面におきまして行政書士会登録その他の点におきまして、いろいろ嘴入れるというようなことが仮に懸念いたされるといたしますれば、この行政書士に関しまする事項取扱つておりまする当局におきまして、然るべき御処置が必要であろうかと存じておりますが、この法律趣旨におきましては、只今の十五條……第六條におきまして、行政書士とかる資格を有する者は特に登録を受けなければならないし、又登録を受ける場合におきましては当然政令によつて登録手数料は決めなきやなりませんので、その根処を六條の二項に置いたのに過ぎないのでありまして、資格のある者は当然そのまま登録を受け得る建前に法律はなつておりまするので、法律上のそういう懸念はないと思いまするが、只今申上げましたようなこと以外に運用上考慮を要する点があれば然るべくそれは当局でお考えを願つたほうがよかろうと存じます。
  66. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 提案者並びに自治庁も賛成しておるようでございますが、お二人に極めて素朴な質問ですが、行政書士法が必要だ、必要だというお話を聞いておるのですが、そうしてそれが國民の利益だというように言われるのですが、非常に不便を感ずる場合も多く出て来ると思われる点がある。と申しますのは、村などで書類を整えることのできない者は、役場吏員であるとか、或いは都市から帰農しておる者、そういう方に頼んでやる。又その人たちが正業としてそれをやつて行くのには仕事の量が少い。片手間仕事にやつておる。非常に便利に重宝がられておるというような場合が多いので、こういうやかましい法律が出ると、村のものは町或いは市まで出てですね、そういう人に書いて貰わなければどうにもならないというふうなことになるのじやないか。而も司法書士のように專門的な非常に裁判関係で利害関係が直接影響するというような大事なものではない。單に官庁などの簡單書類その他を一々そういう手続をしなければならんということでは煩瑣であると思われる点が第一点。第二点としては國民に利益を與えないようなうまくない代書人というようなものは頼むほうの側から自然淘汰されて行くのであつて試験その他を以てこうしたものにだけ仕事をやらせるのだというようなことをやる必要がないのじやないか。これは私の素人考えなので、もう少しその点考慮せられたかどうか、御意見をお伺いしたい。
  67. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) お答え申しげます。お説御尤もだと思いますが、御承知のように従来内務省令で取締を受けておりました代書人は現在ではその規則がなくなりましてから野放しになつております。中には事実上随分忌わしい代書人も現在ないではないようでありまして、そういう点から行きますと、御承知のように各方面あらゆる自由業者がいろいろな立場におきまして法律制定されており、すでに地方税法の中にも行政書士という業としてはつきり挙げてありますので、何らの取締もなければ何もないというような点は現在の業者の立場だけでなく、一般の人が迷惑を受けることはそれに報酬規定もないというような今までの状態でございますから、非常に迷惑しておる面も沢山あると思いますし、それからお言葉のような辺鄙な町村におきまする行政方面の関係書類取扱などにつきましては、先刻三浦部長が高橋委員の御質問にお答え申上げておりますように、報酬を貰わずに片手間におやりになるということにつきましては差支えないように意見も出しておりますので、それに尚辺鄙な所などでお使いになる場合には、何しろ商売人でなく、報酬さえ正式に貰わなければ、どなたに頼まれても、必ずしも行政書士の行なつておる仕事というものは先刻から縷々三浦部長から御説明申上げたようにむずかしい職業じやないから、実際字の書けないような人や忙しい人はその者にお任せになつて別にそう不便はないのじやないか、かように私共は考えております。ただこの取締をするために又は一般の、外の利益のためにと申上げましたことは、先般来申上げておりまするように、事実上忌わしいもぐり業者取締るというような点に私共は重点を置いております。これらの点については巷間で大体御承知の問題だと思いますが、戰後非常に低級な人で、却つてめちやくちやな料金を取られておるというような点も相当見受けられます。地方私法の建前から言つても、この際、こうした関係の業者の中にただ一つだけこの代書人が取残されておりますので、それらの点も多少考えまして、私共のほうとしては立案をいたしたような次第であります。
  68. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) 只今小笠原議員からお尋ねがありましたので、尚附加えて申上げますが、行政書士法行政官庁に出します書類はすべて行政書士の手を通じなければ出せないということを建前といたしておるのではございません点は御承知のことと思います。ただ行政官庁に出す場合におきまして、その依頼を受けて職業としてやりますものはこういう程度資格を持つ、こういうような人でなければならないということを規定いたしますことによりましてその仕事の、書類作成いたしまする業務の公正を図り同時に依頼者側の便利を図る、そういうことが趣旨なのでございまするので、何もこういう人に頼まないで自分でやり得る能力のある人は勿論のこと、誰かお互いの依頼を受けまして特にそれを業として、職業としてやるのではなくしてお互いの信頼関係とか友人関係依頼を受けてやることば制限するという趣旨はございませんので、その点は川本議員からお話がありました通りでございますが、尚念のために附加えて置きます。
  69. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 そういうことはさつきから説明されて承知しておるのでありますが、職業としようと考えなくても、辺鄙な都市においてはあの人がいいというので頼んでやる、その部落なら部落でみんかその人に持つてつて面倒くさいことを頼むというようなことになつて半職業的になつておる場合がある。而もその人は試験を受けて登録まで取つてやろうというような意思はない。そういう人に大根を持つてつたり米を一升持つてつたりして頼む。そういうようなのは、こういう行政書士会とか何とかいつて特権的なものが出て、試験を以て我々やつたのだということになつて仕事の邪魔ですから結局そういうようなものを取締る、告発する、或いは競争相手として叩きつけてやる。こういうようなことは当然起つて来るのじやないかというようなことが予想される。字の書けない者、仕事が忙しいから顧みたいという辺鄙な所に住む方々は、一々行政書士登録しておるところの事務所まで出て行くというようなことになる場合が多いんじやないか。而も辺鄙な町村等で一々希望して行政書士試験を受け登録をする者が全國に出て来ればそれもいいでしようけれども、なかなかそうも参らんのじやないか。それでさつき言いました手数料をむやみに高く取るというようなものは、手数料にこの規定制限すればいいのであつて試験を受けで一定の資格を得た者でなければこういうものはやれないのだというようなことになつたら少数者にどうしても特権的な職業感を與えるのじやないか。却つてそういう届出その他で一般國民が不便を感ずるという場合も相当多く出て来るのじやないか、こういう質問なんです。
  70. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) お答え申上げます。御説ば極く辺鄙な所などの依頼者が非常に困るのではないかというような御意見のように拜聽いたしまするが、勿論それは常識的の問題ではないかと思いますが、そういう一定の業としてやるほどの仕事でもない、町くらいなら相当依頼者がありましようから、小なり業者として立ち行くでありましようし、少しくらいずつやつておるのをそれを田舎のほうの所まで、いや報酬とかどうとかという点はないじやないか。行政書士会においもそういう点がないじやないかと私共は考えておりまするが、それをいま一つの報酬の点の規定ということはやはり何かよりどころがありませんと、現在では自由業でどこにも取締も何もありませんものですから、一人で三十円取るもの、或いは百円取る人もあるだろうし、又折角書いて貰つて金を取られてもこれは実際これじや駄目だというようなものも相当あるやにも存じまするので、只今御懸念になります田舎の方が非常に不便をするということは、そこは常識の問題だと私はさように考えております。御質問の御主旨に合つていないかも知れませんが、大体そういうようなわけでありますから、田舎の方にはそんなに問題は起きぬのではないか、かように考えております。
  71. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 私もそうあつて欲しいと思いますのですが、やはり業者として折角、試験を受付けたようなものは競争相手になるような商売の繁昌しないような部面については日をつけるのではないか。而も親切心で書いてやつて何か貰つたというようなことが、一つの事件として扱われれば一年間の徴役というようなことをやられたのでは非常に困るというようなことになるのではないか。これは見解の相違だということになるかも知れませんが、そういうことが考えられる次第であります。これ以上申上げません。  次に專門員のほうに御質問申上げますが、市役所等でサービスに無料で、そういう書類作成してくれるというようなことをやらせるためには試験を受けて資格のある者を市の吏員として採用するか、市の吏員にやはりこの試験を受けさせてやらせるというようなことになるのでしようか。又もう一つは、県知事認可を受けなければ事務所も開けない。或いは出張所を持てないというようなことになつておるのですがその場合、市長が変つて知事に庁内に事務所を置くというような認可を願わなければならないのか、これが第二点。第三点として、そういうふうに無料でやることによつて、他の個人としてこの業をやつておる者の職業を圧迫するというような問題が起つた場合には、どういうふうに扱つて行くものでしようか、この三点を伺います。
  72. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) 行政書士仕事を、例えば役所において無料でやる場合におきましては、無料でそういうことを役所がやるということは少しも差支えないと思つております。でありますが、役所が誰か特定の人を雇いまして手数料を取つてやるということになりますれば、それは行政書士資格を取つた者を置いてやらなければいけないと思います。無料サービスは少しもこの法の禁止するところではございません。その点につきましては十九條の規定にもございますように、「行政書士でない者は、報酬を得る目的で行政書士の業業を行うことができない。」こうなつております。  事務所の点は、勿論無料で仕事をやります場合におきましては、行政書士法制限を受けるわけではございませんから、これは別個の問題となります。ただそういう業体が、無料サービスをすることは、公の施設においては、これは可能でありましようけれども、個人といたしましては、そういうことは業体として成立得ないだろうと思いますから、実際問題としては無料で個人としてやるようなことはないと思います。官庁等の公の施設においては、そういうことをやることが考えられるだけではなかろうかと思います。
  73. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 もう一つ伺います。どうも素人考えかも知れませんけれども、手数料を貰つて職業とするものは一定の資格を要する。そうでないものはどんなぼんくらが書いたものでもよろしいのだということは、どうもこの法の趣旨から言つておかしいのではないか。やつぱり國民の利益のためにどうしても資格を必要だと主張するこの法の建前から言うならば、報酬の如何にかかわらず、こういう仕事をする者は一定の資格を持つた者でなければならんというほうがこの法の性格から言つて正しいのではないかというふうに考えるのですが、この点お答え願いたい。
  74. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) 行政書士法が立案されまする趣旨は、官庁に出しまするところの権利、義務とか、或いは証明関係書類を営業として、それを商売といたしましてやる人たちの保護と同時に、それに依頼する人たちの、一般市民の立場を保護するということが行政書士法の狙いでありまするので、そういう業態としてすることに対するいろいろな取扱方の規定行政書士法でございます点は御承知の通りであろうと存ずるのでありますか、従いましてそれを職業といたしませんで、個人でやることは先ほども申上げましたように全くの自由であると國じように、若し無料でそういう依頼する人が沢山仮におりました場合におきましては、依頼する人の信頼において、あの人に依頼すれば立派なものを書いてくれるだろうというようなことの信頼さえあれば、どういう人が相手であつてこの証明書類等を作成いたしましてもこれは全く個人生活の自由であろうと思いまして、法律で規制する範囲ではなかろうと思うのであります。従いましてそういう人たちまでもひつくるめまして何か制限をいたすということになりますれば、結局私が先ほど申上げましたように、官公署提出する書類はすべて行政書士でなければ出せないということの前提をとらなければそういう人たちまでをも制限する規定を作るわけに行かないと思いまするが、それは行政書士法の立案の趣旨ではございませんので、只今申上げたようなことになると思います。
  75. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 だから、そういう趣旨でやれば今度は逆にその國民の自然淘汰に待つようにすればいいのじやないか。いい者のところには頼みに行く、惡い者のところには頼みに行かない。頼みに行つた者は國民のほうがそれだけの力を持たなかつたのだというだけで、何と申しますか、こういう規定を必要としないということでもいいじやないか。例えばさつき提案者のほうで手数料のととが非常に問題にされているようですが、この報酬等についてはそういう諸官庁に提出する書類依頼を受けて暫く者は、その業をする者はこれこれこれこれの以上の報酬を取つてはならん。それだけのことを決めたらそれはそれで片付くのじやないかというふうに思う。これは素人流の考えですが、今の答弁ではどうも納得行きません。
  76. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) それでは私から、こういう説明でよろしいかどうか存じませんか、尚附加えて申上げたいと存じますが、例えば司法書士でもその他建築士でも、或いは弁護士でも、すべてそれぞれの業に関しまするところの法律を、弁護士法なり司法書士法なり、その他の法律ができません以前におきましては勿論仰せの通りのようなことで、自由にやつてつたと存ずるのでありますが、それぞれの、それらの仕事、更にこの行政書士仕事につきましてもその書類官公署提出する性質のものでございまする関係上、その書類内容はたとえ些細なものでございましてもそれが公の権利関係、或いは私の権利関係に重大な影響を及ぼす書類作成ということの業務に関與いたしまするので、それらの公益的な性質に鑑みまして依頼者を保護する。それが業態として多数の人たちがその仕事に携わつておる場合におきまして、それらの点につきまして公正の見地からそれらを依頼軒を保護し、同時にその業務の公正を期するということはやはり法律といたしまして規定する領域であろうと思うのでありまして、例えば報酬の問題は勿論のことでございますが、依頼を受けました行政書士は秘密を守るということ等につきましても行政書士法の十二條規定してあるのでございまして、こういうあれがございませんと、たとえ極く内々の書類をいろいろ依頼して作つた場合におきましても、そういうことがありませんとその義務を遂行することもできませんし、その他書類帳簿等におきましても自由な職業にいたしておきました場合におきましては、それらの帳簿も自由に勝手にいろいろできるのでありますが、多少それが報酬額を超過して取つて依頼を受けてはいないかどうかという検査の必要上もそういうようなものを備付けましてやることは、依頼者が安心して行政書士仕事を頼める途を開くことになりますし、又或る程度行政書士資格を要件といたしますことは、やはり行政書士依頼する人々をだんだん安心させることになりまして、それが延いて行政書士業務を繁栄させるということになるのじやないかと思うのでありまして、さような見地から行政書士法が長い間の懸案でございまして、これはたしか今から十数年前からであつたと思いますが、その頃議会等に請願が出ておりまして、たびたびそういう陳情、請願が議会の議にも上つておるのでありまして、先ほど川本議員からお話がありましたように、司法書士までの段階におきましては、こういう関係業者法律が完備されましたが、いわゆる代書人という人たちがまだ取残された部分に属しておりますので、以上申上げましたような趣旨から立案されました点を御了承願います。只今ありました質問にお答えになつておるかどうか存じませんが、一応申上げました次第であります。
  77. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 では最後に自治庁に伺いますが、そういう非常に重要な法案で、全く地方自治のためにも重大な関係のあるというこういう法案が、どうして議員提出になるまで自治庁では放つたらかして置いて政府提案としなかつたのであるか、お伺いして置きます。
  78. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この行政書士法につきましては、従来、先ほど川本議員から仰せになりましたように、中央の法令としては、一種の警察法令として内務省令がありましてこれを取締つてつたわけでございますが、それがそのよう次警察命令等が一切根拠を失いましたために爾来放任せられて来でおつたのであります。ところが実際先ほどいろいろ御指摘がありましたように、そういう代書人と申しますかいわゆる行政書士の中には惡質な者があり、ために無辜の良民が非常に不利益を受けるというようなことがございますのみならず、又そういう書面の相手方でありますところの官公署の立場から申しましても、これが真に公正か一定の資格のあるような者が、要するに過ちのないような者がその作成をいたし、これを提出して参りましたほうが、扱う上におきましても能率的に扱えるというようなこともございますので、やはり何らかそこに中央の法律等によりましての規制を設ける必要はあるであろうということを考えて来たのであります。古い時代におきましても、府県知事等におきまして警察上の命令、或いは府県令等によりましてこれを規制することは勿論可能であつたわけでありますが、まだそれでは足りないので中央の内務省令で規制をしておつたということは当時におきましても同様な趣旨の傾向かあつたからだろうと思うのでありまして、そういう関係もございましたのでしようが、府県等からは中央で何かそういうような規制の法律を作る考えはないか、そういうものを作つてくれんかという種々の要望もあつたのであります。併しながら私のほうもいろいろ他の事務にも忙殺されておりましたし、又國会のほうで御立案中であるというような話も伺つておりましたので、特に自治庁といたしましては面接その立案の責に当るようなことはいたさなかつたのでありまするが、私共どいたしましてもこのような何らかの中央の法律による保障が必要ではないかということはかねてから考えておつたのでございます。
  79. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今までいろいろ伺つで見ると、提案者の方並びに自治庁に聞いて見ると積極的に大いにこれは賛成するほどの長所もないのでありますが、又一面考えるとこういうものが法案になつて罰則まで附いておるのでありますから、へたすれば非常に引つかかる場合が殖えて来るわけであります。こういうような点で欠点もある。更に、一点伺つて置きたいのは、第十九條の「報酬を得る目的」ということでありますが、行政書士でないその本人が何らの報酬を受けない目的でやつたが、社会通念上から極めて簡單に相手が謝礼、或いは足代という意味で謝礼を持つて来た、謝礼を持つて来たから受取つたという場合には十九條において取締の対象になるかどうかということであります。
  80. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) 只今の点は、その当事者の目的意思によると思いますが、たとえ報酬仕事の前後を問わず報酬として出された場合におきましてはこれの対象になりますが、それが全くそういうような目的意思がなくて行われた場合におきましては、第十九條の対象になるものではないと考えております。
  81. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 そういう答えになると思つてつたのでありますが、そういうこともあるので報酬を得る目的でなく、ただ謝礼を持つて来たから貰つたという、そういうことになつて来ると非常にややこしくなつて来て、どうも旧来の代書人よりも名前が厳しく行政書士となり、尚且つその資格を極めて簡單にするならば一応差支えないと思いますが、新たに試験制度を設けた、更にそれに罰則を伴うと、そういうようなことはあまり感心をいたさないと思いますが、非常に長所というのもあまりないし、それじや決定的な欠点も法案にないと思いますが、その点ももう少し簡單にして、試験制度なんかということでなく、そういうものは弁護士と違つて非常に簡單なものでありますから、都道府県に届け出る程度でいいと思いますが、罰則ということは全然必要ないのでありまして、やりたいものは都道府県知事に届ける程度でいいと思いますが、厳しい試験とか罰則ということはさつき鈴木委員も言われたようなことも出て来ると思いますから、それほどには必要があるかどうかということを考えますが、その点はどうですか。
  82. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) 行政書士に関しましては先ほどお話がありましたように、大正九年に内務省令の代書人規則ができまして、尚その制度に関しまして一般取締準則を規定いたしておつたわけであります。その中身もそれぞれ罰則規定がございまするし、それ以後最近におきましては各都道府県におきまして條例を以て行政書士令というものを作つておるわけであります。その中におきましても、勿論一定の事項の違反につきましては罰則規定を置いておるわけでありまして、東京都におきましても、一例を申上げますと東京都行政書士條例というものが昭和二十三年におきましてできております。これにも一定の事項規定いたしましてその違反については罰則規定を置いておるわけであります。こういうのが方々の條例にあるわけでありまして、只今我々の知つておる範囲内におきましては、その二十三年の條例でこういう規定をいたしていると記憶しているのでございますが、こういうようなことでまちまちに各都道府県ごとにいろいろ行政書士のことを規律いたしておりますが、それらを通じまするところの準則的な基準を決めまする意味におきましての行政書士法というもめはやはり必要ではなかろうかと思うのでございます。それは各都道府県が思い思いにそれだけのものを作つていることは、やはり都道府県においてそれぞれの必要があるということでございまして、それら各都道府県相互間の相違等を一定の準則に照らしまして規律いたしまして、後はできるだけ都道府県のここに任して行くというような建方をこの行政書士法ではとつているわけでございますので、その点を予め御了承を願いたいと思います。
  83. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 私も十九條が一番問題だと思いましてお聞きしたいと思つてつたのですが、西郷君から質問がありましたのですが、結局この行政書士法の運用の問題として将来問題になるのは私は登録の問題と十九條の問題だと思うのです。十九條の問題は今の西郷君の質問に対する御意見がありましたが、私はこの十九條というのは削除したほうがいいのじやないかぐらいに深く考えているのです。それは小笠原君からも先ほどありましたし、川本議員からも御意見がありましたけれども、行政書士というものの品位の向上のためにはいろいろな規定を作つて置くことが必要だと思います。勿論試験制度までやる必要があるかどうかということは別でありまするけれども、そういうことを規定して品位を高める必要があるということは、行政書士以外の者で行政書士業務を行なつた場合には処罰されるというような規定は非常に不便だと思うのです。勿論今の「報酬を得る目的で」ということが一つあり、「業務を行うことができない」ということが一つあると思います。こういう解釈があつて報酬がなければそれでよろしいのだ、第二はそれでなければ事業をしなければそれでよろしいのだ、仕事さえしなければそれでいいのだ、書くことはいいのだと、こういう二つの理窟がありますけれども、恐らく行政書士会ができまして、行政書士会などの仕事の一番大きい部分というものは私は十九條の摘発というようなことが行われると思うのです。又その一つは行政書士でない者が持つてつた書類は市役所等ではなかなか受付けない。若し受付けたならば横槍を入れると、そういうようなことになるわけなんです。受付へ持つてつたらこれは駄目だ、この書類は不備だというようなことがあつて、又帰つてどうしても行政書士に頼んで来なければこれは受付けないと、こういうようなことが起り得る。つまり一つの行政書士の会が法律規定されてはつきりとした以上はそういうことが力強く運用されて行くだろうし、又第十九條による摘発、これは非常に貧乏な人たちはまあ隣りの人にも頼むでありましようし、区役所の係の人が大体教えてくれますし、大体市役所や県庁あたりでは法律ができますと、こういうような手続でたければできないぞということを、よく研究会などを開きまして、そうして県庁あたりは届書まで、それをガリ版に刷りまして、そうして書き上げたのだということを今まで教えてくれる、そういうようなことをやる場合に、この法律が出ますというと、そういう親切、役所の親切な指導というものが実際行政書士法に移つてしまう、こういうことがあるのではないかということを考え、それでこの十九條が主観的に裁判所に行つた場合は罪にならないでありましよう、裁判所でやあ私は業務を行なつたのではないのだ、或いは報酬を得る目的じやなかつたということが裁判所に行つて刑事裁判にまでなつて、そうして弁論すれば、お前は無罪だという判決になるだろうけれど、それまでの間か大切ででございまして、この十九條というものは一般人たち行政上の届出をする場合に、いつもそれで以てひつかかるというようなことになりはせんかということを考えるので、むしろ私はこの十九條は要らないのじやないかという工合に考えておるのですが、その見解を一つお聞きしたいと思うのです。若しそうでなければこの解釈をうんとはつきり具体的に一つ説明して置いて頂きたい。
  84. 三浦義男

    衆議院法制局参事三浦義男君) 十九條の問題に関連いたしまして、極めて実情的なお話がございましたが、或いはいろいろ掘り下げて考えました場合におきまして、又現段階におきましては、さような事例が皆無だとは言えないかも知れませんが、この十九條のような規定は、外の法律、例えば司法書士法、或いは土地家屋調査士法等すべてこの法律を設けました規定におきましては、同様の規定があるのでございまして、一応の解釈はかつておると思つておりますが、先ほど申上げましたように、行政書士でない者は報酬を得る目的で行政書士業務を行うことができないと申しまするのは、勿論その前に報酬を得てやることもできません。又あとでも報酬を得る目的でやつた場合にはいかんことは当然でありますが、そうでなくしても、暗黙に表面その意思を現わさなくても、内々におきましてそういうことを得る目的で書いてやつて、あとから物を貰つてそれを黙認しておるということは、勿論報酬を得る目的に該当すると思いますが、そこらの点は個々の具体的事情によりまして、個々に決めなければならないものであります。一概にこういう場合、こういう場合ということにはちよつとなかなか参りかねると思つておりますが、趣旨はそういうような目的を以て暗黙に了解してやるようなものも勿論いかんわけでありますが、そういうようなことでやるのがいけないということを第九條は規定して、同時に行政書士としての正当か業務を行うという者を保護する、こういう規定であろうと思います。
  85. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 議事進行について発言したいと思いますが、これは私遅く来たのですが、議員提出法案ですね。
  86. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 衆議院提出です。
  87. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 先に議員提出の競輪法案を、まあ議員提出法案として可決しまして、その地方財政に寄與した面もありますが、起つた弊害から鑑みまして、非常に代論も沸騰してまあいろいろ社会的な批判も受けておるわけであります。只今この法案をいろいろ御説明受け、且つ内容を検討して見ましても我々は特にいろいろ考えさせられる点がありますので、まだいろいろ質問したいと思いますので、一つここで休憩して午後でもやつて頂けるようにして……。
  88. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今のお申出がありましたが、これは議員提出でもありますし、いろいろの点もありますので、これはもう少し愼重に検討を加える必要があると思つております。今、午後続いてやつたらどうかどいうお話がありましたが、午後するなら継続してこの審議をやるのもいいと思いますが、今度改めて委員長に諮つて頂きたいのですが、今日は日曜で朝からやつているわけですが、まあ今会期は短いことでもあり、まあ一応勉強はしておるわけですが、いろいろ他に月来もあるのですから、日曜の午後は成るべく馬力をかけて、午後やるなら成べく争い時間に……。今日は多少個人的な仕事もできるように、この点をもう一つここで諮つて頂きたい。決して我々はただ時間を延ばすとか何んとか、そういう考えでなく、日曜でもあることですから、午後やるなら馬力をかけで短時間でやる、余り遅くまでやらんようにして頂きたい。それを諮つて頂きたい。
  89. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今中田君及び西郷君から議事進行に関して御意見が出ましたが、先ず最初お諮りいたしますが、この衆議院提出行政書士法案について今まで皆さんの御意見を拝聴いたしておりますと、なかなか問題もありますから、尚研究することにして、これはこの程度で、今日は審議を打切つて行きたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  90. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ではさように計らいます。  次いで、西郷君からの御意見でございますが、午後にたつて能率を上げて成るべく早く会議を終りたいというこれは……。
  91. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 そうすると、これは今日打切りですか。
  92. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 打切りです。
  93. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 折角おいでになつておるのですから、午後やりかけたついでにこれを午後やるのでしたら……。
  94. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ちよつと速記を止めて下さい。    午後零時三十七分速速記中止    ―――――・―――――    午後一時七分速記開始
  95. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記を始めて下さい。  それではお諮りいたします。只今委員長理事の懇談をいたしまして、大体それでは二時から審議をお願いをいたしまして、そうして西郷君の速記のとまつている間に御発言のありましたことを目標として審議を続けるということにいたしたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ではそういうふうに決定いたします。二時に開会します。時間を厳守いたします。それでは休憩します。    午後一時八分休憩    ―――――・―――――    午後二時十二分開会
  97. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 休憩前に引続き委員会を再開いたします。  地方公務員法案の予備審査をいたします。質問をお願いいたします。
  98. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 質問申上げる前に、公聴会の件について切にお願いがあるわけです。労働組合関係の方の公述人、一応決定した名簿によりますと、大阪市の従業員組合の輪違君という方が出ておるのですが、この方は衆議院の公聴会における公述人としてもうおやりになつておられる方であります。そこでその関係の労働組合のほうで相談した結果、同じ人がやはり参議院でやるということはまずいだろうから、大阪市従としては了解するから別個の人に変更して貰いたいという希望が出ておるのであります。で、その別個の人というのは、同じ関係の組合ですが、神戸市役所の従業員組合の人でありますが、ちよつと紹介しますと、その執行委員長をしておられる芝田長太郎君という方ですが、この方に替えて頂けないものかという申出がこの関係団体から今朝私わところまでありましたので、この点どうするか、委員長においてお諮り願つて、できるならばその希望が達せられるようにお願いしたいと思います。
  99. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) お諮りいたします。只今小笠原委員より、公聴会の公述人につきまして、お申出がありました。それは二日目の六日の公述人の中に、輪違清次君、大阪市の従業員組合書記長になつております。この方が衆議院で公述した関係で、同様の団体である神戸市の従業員組合の書記長の芝田長太郎君に差し替えて貰いたいということであります。これはちよつと小笠原君に伺いますが、この二つの従業員組合の間ではよく相談ができているのですね。
  100. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 相談ができて納得済みだそうでございます。
  101. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) そういう次第でありますから、差し替えに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  102. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ではそういうふうに変更いたします。
  103. 堀末治

    ○堀末治君 一向差支えございませんが、輪運針に、当人に確かめておいたほうがよいでしよう。
  104. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) そういたします。それで万間違いないと思いますから、念を押します。  申上げますが、公述人に田中一郎君がなつております。これは衆議院にも名前が出ておりまし丸けれども、族行中で、衆議院では公述をされなかつたのでありますから、念のために申上げて置きます。  それでは質疑をお願いすることにいたし度して、今日は第二章に移つて質疑を願いたいと存じます。第六條、先ず政府委員説明を願います。
  105. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 第二章の第六條でございますが、これは任命権者を、どういうものが任命権者でおるかということを示した規定でございまして、ここにございまするように、地方団体の長、議会の議長、選挙管理委員会、監督委員会、公安委員会、教育委員会、人事委員会、公平委員会並びに市町村の警察長及び消防長、括弧の中は東京都の特例のことでございまして、警視総監、消防総監というのは、この地方公共団体警察長なり消防長に当るわけでございます。その他法令又は條例に基く任命権者は、法律に特別の定がある場合を除く外、この法律並びにこれに基く條例地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規稚に従つて、それぞれ職員の任命、休職、免職及び懲戒を行う権限を有する。それぞれの任命権の根拠は、各特別の法律なり、條例なり、規則なりに定められておるわけでございまして、そこで定めております規定に従つてこういう権限を持つておる。ただその行い方につきまして、地方公務員法は枠を設けておる、こういうことであります。これは要するに任命権の所在身変更するものではないわけでございまして、任命権者がどういうものであるかということを示した規定であります。それから第二項は、その任命権に関しまして、これを委任することができる、委任を受ける相手方は、それぞれの任命権者の補助機関である上級の地方公務員であります。例えば知事で申しますると、部長なり地方事務所長或いは支所長といつたようなものにこれを委任することができると、こういうような意味でございます。
  106. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御質疑を願います。
  107. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 ちよつとその前に、遡つて恐縮ですが、五條です。五條に関しまする経費その他につきましての質問がありまして、資料の提出方をどなたかでしたか要求されまして、ここに出ていますので、一つ入りますまでこれについて御説明をお願いしたいと思います。
  108. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これはお手許に配付いたしました地方公務員施行に要する経費所要額調、これは都道府県と五大都市が必置でございますが、これは人事委員三人といたしまして、事務局長以下二十名、但しそれぞれ府県におきましては欠員その他がいずれ4ございまするので、十人は配置転換による、こういう考え方で調べております。それから市のほうでは昨日もお話を申上げましたように、人口二十万以上の市というのを押えておりまして、大体職員千人ぐらいのところ、こういう考え方でございまするので、そこでは事務職員は十人というふうにいたしております。半数はやはり配置転換をする。1及び2以外の地方公共団体は、都道府県の人事委員会に委任してその事務を行うものとし、経費は計上しない。ここの下に書いてございまするのは平均の一応の基準になりますものを規定をいたしておるわけでございまして、大体都道府県の場合には二百四万、人事委員会の委員、それから下のほうは事務局の職員の人件費等でございます。そういうものを合せますと全体で約一億一千五百七十万というふうに考えております。
  109. 相馬助治

    ○相馬助治君 只今鈴木政府委員から御説明になりました地方自治庁公務員課が発表いたしました地方公務員施行に要する経費所要額調ですね。これを見まして総括的に申しまして、極めて間に合せに作られたという印象を受けるわけです。従つて率直にお尋ねしたいことは、昨日の私の質問に連関いたしまして早急にこのようなものを作つたものであるか、当初より地方自治庁として予定していた案であるか、その辺について一応承わりたいと思います。
  110. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 私共は当初から大体事務局職員は二十人置くべきで、範囲都道府県警察、消防、教員等を入れますと、奈良県のような特別少いところでも大体六千人からの人がおりますので、これは必ず必置にいたしたい。人口二十万というのは大体職員数千人ということで、これは大体千人以上になりますれば独立の人事委員会女持つということが原則的に適当であるというのが、一つのアメリカ等の経験における法則でもございまするので、そういうところで当初から抑えた、こういう考え方になつておるのでございまして、それで計算をして提出いたした次第でございます。
  111. 相馬助治

    ○相馬助治君 そうしますと、これは理想案というよりは、最小限度この程度の構成の人員ならばやり得るであろうという、そういう見通しを持つて作うつた案だとこういう意味ですか。
  112. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 私共といたしましては、これが一つの基準になるもので、こういうようなものを若しも実施ということに相成りますれば、地方に示して参考に供したい、かように考えております。
  113. 相馬助治

    ○相馬助治君 御承知のようにこの人事委員会というのは、指導機関であると同時に監督機関であり、同時にいろいろの調査をするところの調査統計機関でもあり得るわけであつて、そういう非常に広い面の仕事を考えて見た場合においては、このような僅かの人数の構成では到底満足なことができない。こういうふうに今考えるわけですが、それらについてはこういう構成で以て十分であるという意味でありまするか。理想論とするならばもつと人数を増して、その構成の面においてはどういう部課を置くというようなことを考えているか、こういう点についても一つ御説明願いたいと思います。
  114. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 御尤もなお尋ねでございますが、私共といたしましても、それぞれ都道府県……東京都、大阪と、或いは鳥取県、或いは奈良県というようなところとではおのずから違いがございますので、これはそういう全体を通じての一つの経費算定の基準という気持でやつたのでございます。これが東京都なり、或いは大阪というようなところでは、やはり相当これを大きくして行かなければならんと思いまするし、鳥取県のようなところでは、或いはこれだけも必要はないというような結論になるかも存じません。併しこれは一応の基準としまして、飽くまでも都道府県なり、市が自主的に決めるのが法の建前でございまするから、我々としてはそういう参考的なものを示そう、こういう考え方でおるのでございます。
  115. 相馬助治

    ○相馬助治君 最終的にこういう委員会を構成するのは地方自治団体の責任で断ることはもう論ずるまでもありません。併し新たにこういう立法が行われるというと、この人事委員会を設けるためには、各地方自治団体では、地方自治庁にどういうふうにして作つたらよろしいか、どういうふうな構成が正しかろう、どのような仕事をさせるべきであろうかというようないろいろの照会等もあろうと思うのです。そういう意味でここでこういう杜撰な……私に言わしめれば杜撰な案を持つならば、これはないほうがむしろいいのであつて、私が何が故に杜撰であるかとこう申しまするかというと、地方労働委員会というものを御覧になつても分ると思うのです。各府県に置かれている労働委員会、これはどんな小さな県においても、労働委員会事務局長以下職員というものは現在六十人から、或いは八十人になんなんとしておるのです。そういうふうな体系に類似した委員会等を十分勘案されて作つたものであるかどうか、そういうことを一つお尋ねいたします。
  116. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 地労委の規模との比較の御論がございましたが、地労委につきましては独立の職員もお話のようにおるわけでございますが、府県の労働部なり、労政課の職員この兼職の者が相当おるように私共存じております。で、杜撰の案、杜撰の案と仰せになりまするが、別に〇〇県人事委員会設置條例の案というのを差上げてあります。これは私共今までの研究の段階において一応到達いたしました人事委員会事務局の組織の例をここに書いたのでございまして、考え方といたしましては事務局を総務窒、職員課、審査課、こう三つの部門に分けるようにしております。これは総務室というのは大体事務局自体の、人事委員会自体の庶務的なことをやるという考え方で、職員課なり、審査課は、職員のほうは一般の人事行政全体についての調査なり、研究なり、そういうようなことをやる建前にいたしておりまして、審査課のほうは主として不利益処分審査、或いは勤務條件に関する措置の要求の審査、こういうふうな三つの事務の部門を設けて構成をしておるということが適当であろうとかように考えております。
  117. 相馬助治

    ○相馬助治君 昨日岡野國務大臣が申されたような非常に大きな目途を持つた地方自治大学というような構想もある。こういう際にこの地方公務員の再訓練の問題、それからいろいろな意味の教養を高める講習の問題、そういうふうな指導的なことはこれはどこでやることになりますか。
  118. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 今お話の問題は、要するに公務員の研修の問題でございますが、これは法律案で申しますとまだずつとあとのほうに出て参ります。第七節に規定をいたしているところであります。そこで御説明を申上げると存じますが、簡單に申しますと、要するにそれぞれのこれは任命権者が研修をやるという建前をとつております。と申しますのは、教員につきましてはやはり教育委員会、選挙につきましてはやはり選挙委員会というのが第一次的ないわゆる研修をやるということでございます。人事行政自体に対する研修になつて参ればこれは人事委員会でいたしまするが、それは職員課、この考え方によりますと職員課のほうの所管でございます。こういうふうになつております。
  119. 相馬助治

    ○相馬助治君 現在の地方自治の実態から推して見て、一番大きな問題は人事の交流が行われないということであり、それから又各課別に定員の関係によつて将来有為なる人材がその希望を失つているというような姿を見せていることはもう鈴木政府委員も御承知の通りでしよう。従つてその研修に関することも教員のような特殊な者が教育委員会によつて行われるということは分りますが、その他の一般行政取扱地方公務員についてはやはり一括してこの人事委員会においてこれを指導して行かなければならないと、こういうふうに思うわけです。それを総務室の仕事の部門として置いて、そのようなことで完全を期し得るとお考えであるかどうか、その点を承わりたい。
  120. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 現在このお手許に差上げました表の中に地方にどういう研修の機構があり、計画があるかということは御参考に差上げてある書類の中にあるわけでございますが、大抵多くの府県におきましては自治研修所と言いますか、自治講習所というようなものを設けまして、これは初任の職員、或いは再教育職員等の講習をやつておりまするが、これは要するに総務部の人事課の系統でやつているものが多いと存じます。そういうような研修計画全体についてのこと、その研修の方法等につきましては人事委員会が任命権者に勧告するというのがこの三十九條にございますようにこの法案の建前でございます。その第二項にはこの研修は第一次的には任命権者が行う、こういうふうに書いてございます。
  121. 相馬助治

    ○相馬助治君 その法律は分つておる。その人事委員会がこの任命権者に勧告をして研修を行うという法律の條文は分つておるのですが、現実の問題としてはどこでやるのかとこういうことになるわけです。現実の問題はどこ院でやるのか、それを聞いている。
  122. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この参考資料の十三というところに地方公務員の研修制度調というのがございますが、これによりますと現在研修所を設けておりまするものが十九でございます。研修規定のあるのが二十一、研修会或いは講習会の開催の計画等もみなことにございますが、同時にその右のほうに主管課係名どいうのがごございます。これを読みますと大体今申上げましたように人事課とか職員課というのが管理いたしております。この法案の建前といたしましては今申上げましたように、教員とか、警察とか、消防とかいうようなところにつきましてはそれぞれ任命権者が第一次的に研修をする。この研修は何もこういう研修所を設けて一々やるという意味にのみ解する必要はなく、それぞれ初めて警察に入つた、或いは初めて消防に入つたという人につきましてはそれぞれのところで第一次的な教育もいたしましようし、経済部なり農林部の職員になればそこで又事実上の教育があるわけであります。その外に一般的に例えば地方自治とはどういうことであるかというような仕組の問題とか、そういうようなこと全体を府県行政なら府県行政についての研修をこういう一般的な研修所でやつているわけでありますが、これをこの法案といたしましては例えば條例によつてそれを人事委員会に所管せしめるということも可能でございますし、現在一般的にこういうような研修所を持つておりますところでは恐らく大きなそういうような形になるであろうと思います。これは第八條の第一項の第十一号に「前各号に掲げるものを除く外、法律又は條例に基きその権限に属せしめられた事務」というのがございまして、当然に人事委員会がそういうものを主管せしめることができる建前になつております。
  123. 相馬助治

    ○相馬助治君 どうも私の質問と政府委員の答弁がピタリと合わないのですが、これは聞き方が下手なのかちよつと分りませんが、私が問題にしておりますのは教育は教育委員会において研修をする、警察警察の面において研修をなされている、こういう自体を私も認めておるのです。ところが地方の自治の現在の姿を見まするというと、それぞれ公務員が專門的になつているわけなんです。即ち教育委員会事務局に入つた者はそのことばかりやつて、他の一般行政のことは何も知らない。又知り得る機会もない。又知り得るであろうところの研修の機会もない。従つてこれの人事交流というようなものも行われない。そういうようなことのために前途ある人が最初くぐつた門によつて、運のいい者は定員の上役の者がやめて昇進する、運が惡いと上の人がいつまでも頑張つていて、百年一日のごとくどうにもならぬ。こういう問題があるために、人事委員会というものはこれを機会といたしまして総括的に県の職員の人事交流等をも勘案した基本的訓練を意味する研修をこういう委員会が当然行うべきだ。こういう私は一つの見解を持つてそういう意味合の研修はどこで行われるのだと先ず聞いているのです。それが人事委員会において行われるのだというのならば、人事委員会のどこでそれをやるのだ、こう言つているのです。それを鈴木政府委員説明では職員課においてやるというふうな意味お話でありますが、それならばこればかりの三十人くらいの職員でそういうことができるのか、これを尋ねているのです。
  124. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この二十人の案の中には、お話のようなものは含んでおりません。そういうようなこと々特に人事委員会の権限として人事委員会に所管せしめるということでありますからば、現在すでにそれらの定員というようなものがあるわけですから、それの配置転換というような定数の変更をして人事委員会がそういうことを所管するというふうに解釈することは勿論できるわけです。
  125. 相馬助治

    ○相馬助治君 話は誠に至極御尤でその通りたんですが、現実はそうは行かない。私の言うているように警察警察官のための研修機関を設け、その所要の職員を持つております。それに人里委員会ができたときには一般的なことをやるためにそこに職員を選り得るか。送り得ない。何故ならば警察警察独自の研修をやはり依然必要とするものなんです。そうなつて来るというと、この案にあるところの費用が沢山かかる、こう突込表れることが、苦しさの余りチヨボチヨボとした人数を以てこれだけでやれるのだ、こういう案を我々に見せたことか杜撰だと私はこう申しておるのです。杜撰だとはお考えにならんですか。
  126. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 先ほどから私が口を極めて申上げましたように、警察なり消防なり、それぞれの任命権者に基きますそういう專門的な研修は、人事委員会がまとめてやりますよりも、これは却つてそういうところでやつたほうが能率が上るのであります。この法案の建前は任命権者か研修をするということを第一に優先的に考えておるわけです。あなたの仰せになりまする人事交流という問題は、研修のみによつてこれは達成し得るわけではかいわけでありまして、この交流という計画は、この人事委員会としては、人事行政に関する総合的な企画をやるということを八條にちやんと謳つております。そういう企画の問題として、あらゆる方法を以てこれを考えて行かなければならんので、研修もお説のことく交流に若干の関係は持つと思いますが、それとこれとは面接的な関係は私はないと思います。で今の全般的な、要するに自治全体については、例えば基礎的な研修をやる。こういうようなことは成るほどお説のごとくでございまして、そういうようなものをやるとすればどこかよろしいかということになつて来るわけであります。これは例えば府県で申しますと、総務部の例えば地方課というようなところが所管としてやるのが適当である。こういう論もございましようし、或いは人事委員会にこれを移して、人事委員会がやるほうがよろしいという論もございましよう。併しそれは府県のそれぞれの條例で、どちらに所属せしめるかということを考えたらいい。こういうふうに私は考えております。
  127. 相馬助治

    ○相馬助治君 私は、先ほどから口を極めて申しておりまするように、條例で、一体その県の独自性によつてどこがやるのがよろしいと、そういう考え方ならば、何も自治庁でこういうものを出す必要がない。むしろ今の地方自治の姿というものは、新たなるこういう法案ができるというと、一体如何に作つたらよろしいのでございますかと、あなた方のところに聞きに来るに決まつておる。だから私はそういう研修というようなものも、地方公務員に対する一般的、基本的訓練をするためには、先ず人事委員会が面接に研修させる機関を持つべきである。こういう建前をとつて先ほどから伺つておるのでありまして、そうすると最終的に鈴木政府委員説明を要約して見れば、こういうことですか。人事委員会というものが研修を直接にやるかやらないかということは、府県の独自性によるということが第一点。で、仮に人事委員会が研修の面を扱うにしても、それはデスク・プランで、こういうことをやつたらよかろう、ああいうことをやつたらよかろうというだけであつて、それ以上の何物もない。こんな意味を持つ極くこれはつまらんものである。こういうふうに了解してよろしいですか。
  128. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 私はつまらんものとは考えてはおりませんが、國の人事委員会を御覧になりましても、人事院自身か、國家公務員全体の研修をやるということは、これは不可能であります。地方でもやはり、都道府県に六千人もの職員がおりまして、警察も消防も、或いは現在は教員も府県の所管になつておる。こういうような状態において一つの人事委員会が、その全体の研修をやるということは、これは不可能であります。そういう意味で、現在すでにできておりまする、例えば自治講習所というような式のものは(いわばこれは地方事務所とか、総務部の大体本来の地方自治法の運営に当る者、地方税法の運営に当るというような者を対象にしておるのであつて、経済部の職員でありますとか、教育委員会の職員であるとか、警察とか、消防というような職員までの研修も、すべて引受けてやつておるところはどこもないのであります。又人事委員会は何が專門であるか上申せば、人事行政の運営ということが專門であつて地方自治の運営自体についての專門家が多いということは私は言えないと思う、そういう意味です。併しこれはそれぞれの運用の問題でありまするから、人事委員会にそういう一般的な自治についての研修を皆やらせるのだということを計画せられ、それでやるということは別に否定をする必要もないし、そのほうがいいというならそれでもいいのであります。それを一律にそういう方式で人事委員会にすべて、全地方公務員の教育をやれということは、そういうことは初めから出発いたしまするのに何と申しましても適当でないと思うのであります。そういうことを法律の上で規定をしていないというだけであります。八條八号には、職員の研修に関する総合的企画を行うこと、というのを、人里委員会の一つの職責といたしております。そういう要するに計画機関、企画機関ということの性格を強く出しておるのでありまして、任命権者がそれぞれ行うことを第一次に考えているというわけであります。
  129. 相馬助治

    ○相馬助治君 今問題になつておりまする地方公務員法案の條文についての意見の食い違いではないので、私はその法律のことを聞いておるのじやないのです。この法律案法律となつて施行されます場合には、直ちに人事委員会というものを地方公務員は持たなくちやならない。その場合に、現実の地方自治の状態では恐らく地方自治庁に、どういう規模でどんな仕事をやつたらよかろう、こういうふうに聞いて来るであろう。そのときに地方自治庁公務員課が発表したところの、これがモデルであるというのでは、これではあまりにもちやちである。そうして、どうも私人が惡いようでありまするが、推測いたしまするに、昨日こういうものを示せという私の質問に対しまして、昨夜徹夜して頑張られて作つて、こういう資料を持つて来て我々に見せたのではないかとも思えるので、甚だ侮辱するようなことで恐縮でありまするが、こういうものであるならば決めて置かないほうがよろしいと、私こういう建前をとつているので、これはやはり思考する必要もなく、地方自治庁といたしましては、現段階においては最終的な理想案であり、完成案でありますか。
  130. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 先刻来の相馬委員の御説明は私も傾聴いたしておりまするので、これを最終案というふうに気くばつて私共決して考えておりません。お説の点は十分酌み入れまして、実施までの段階には当國会における御審議を十分拝聴いたしまして、更にその上で考えて行きたいと思うのであります。
  131. 相馬助治

    ○相馬助治君 非常に物分りいい御返答で敬意を表します。それで問題は、こういう人事委員会がどうできるかが私共地方公務員法の審議に当つて重要なので、この法律案通りましたらゆるゆる考えるのでなくて、この法律案がこの参議院において審議されておりまする温和において、是非とも討論採決という前にもう一度、どういうふうにお考え直しになつたかということを尋ねますので、みつしり一つ御研究置きを願いたいと思います。
  132. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 私昨日午後ちよつと席を外しておりましたので、重複する場合があるかと思い示すが、概括的な質問を二つぐらいしたいと思います。岡野大臣は再三再四私たちの質問に御答弁される中に、近代的な公務員制度に関するこの法案は、進歩的なものであるということを再三言つておられるのでありまするので、念のため、どういう観点に立つて進歩的な法案であるとお考えになつておられるか、お聞きしたいと思います。
  133. 岡野清豪

    ○國務大臣(岡野清豪君) 小笠原委員の御質問にお答え申上げます。進歩的と申しますことは、近代人事行政を、民主的、能率的にやる。これが趣旨でございまして、それが今までなかつた、そうしてこれが出て来た。そうしてこの法案は少くとも近代世界各國における公務員法として、まあ模範的というべきものじやないかという感じを持つてつている次第であります。
  134. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 そういう観念的な御答弁ではなく、どこが近代的な制度かどうか、具体的に御指摘頂きたい。
  135. 岡野清豪

    ○國務大臣(岡野清豪君) 詳しくは逐條解義のときに御説明申上げますけれども、それは概括して政府委員から申上げることにいたします。
  136. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 進歩的と申しますることは、要するにこの法案全体が現在の地方公務員制度に比較いたしまして、非常に進歩的ということが言えると思うのであります。御承知のように、これは提案理由でも大臣から申上げましたごとく、古い官吏の制度がすでに死滅しておるようなものまで引張り出して適用しておる状態でございまして、それに比較いたしますれば、これは遥かに進歩的でありまするのみならず、一般的に進歩的と言われております近代人事行政原則を取入れております。そういう意味で進歩的と言えると思います。
  137. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 現在の制度は古くさいものである。これが出ることによつて進歩的な近代的な制度ができるということですが、法案を概観しますと、公務員自体の立場に立つと、取締る、拘束するという部面が多くて、保護するという部面は少いように思われる。而も福利、厚生或いは給與、こうしたようなものは抽象的な原則的な條文一、二だけ載つてつて、細部に亘つて安心でき得るような水準的な、或いは義務付けるようなそういう法律規定が極めて少い。現在であると、例えばこれは一つの例でありまするが、地方公務員或いは地方公務員である教職員等においては、給與の問題になりますと國家公務員の例によるということで、先ず先ず國家公務員的な水準の諸給與をして貰つているのでありまするが、この法によりますというと、一切地方の人事委員会、或いはその意見、勧告等に慕いて県の條例を以てこれを措置するということになれば、全國的には給與の上に凹凸が生ずるであろうということを心配される点があるのであります。而もこの財政的な裏付として國家がどれだけのことをやつてくれるのかということを私考えたいと思うのでありまするが、地方財政も國の財政も相関的な関係に立つておる点で、先ほど来地方財政について各種の論議があつたわけであります。而もですね、今のような状態においてさえも例えば地財委が要求しておる年末給與四十五億何がしというものは大蔵省の査定においては認めない。或いは教職員の過年度の年末給與七億二千七百万円も削除する。或いは又一月から三月までのベース・アツプに伴う増額分の半額九億を國で見ようとしておるものを削除した。或いは級別推定表の切替による費用四億一千九百万円というものもこれも地財委自体が認めない。こういうような状態にして置いて、而も地方公務員が安心して保護を受け得るということは、非常に問題にされる点が多いであろうと私は思うのであります。従つてそういう部面においては進歩的であるかどうか、これは相当疑問としなくちやならん点と思いますが、國としては、例えば今一例に給與を挙げましたが、そういうアンバランスになるような部面についてどういう指導的な立場に立たれるのであるか、お伺いしたいと思います。又職階制の問題でありまするが、これもこの法律においてはたつた一條を以て規定しておつて、そうして職階制の基本原則はすべて盛られていると広言しているのでありまするが、國家公務員法等から見ると、これは非常に簡單原則的なことになつているのじやないかと思われますし、又このことが多分近代的であると言われるでしようが、大体県、五大都市に職階制を実施するというようにできているようでありまして、その他のところは職階制を実施しない。ところが、人事委員会を置くところは、その他のところでも任意に行ける。そういう市等においては職階制をそういう近代的なものだというものを、そうならば逆にお聞きしますが、実施しないのか。こういうような点も私たちとして非常に疑問とするところであります。で、職階制は各般の論議のある通り非常に技術的にむずかしい。そういうを一気にそれは中央の人事委員が指導し、研修もさせて地方の、人事委員会を指導されるのでしようが、そういうものをどうしても実施しなければならんというその理由についてもお伺いしたい。この職階制については二つ、実施しなくちやならんという理由と、そんならば任意の人事委員会を置く都市において、なぜこれは実施させないかという部面についてお伺いします。
  138. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 現在の都道府県の職員等に対しまして、例によるという表現で國家公務員原則を引張つておる行き方に対して却つて保障が少い。こういうようなことにつきまして先ず給與に関連してのお尋ねでありますが、給與に関しましては、この法案におきましては、考え方といたしましては國の公務員との間に権衡を失しないようにしなければならない。又他の地方団体の公務員との間に権衡を失しないようにしなければならんという原則を謳つております。その意味は給與の例によるという言葉につきましては、従来この法律上の解釈としても非常に問題がございまして、このために或る地方団体等におきましては裁判出件まで惹き起すというようなことになつておりまして、これを厳格に解釈いたしまするというと、國家公務員に給與を支給しておりまする方法に、如何なる形において違反いたしましてもすべて違法、こういうことになるのであります。或る地方の検察庁の見解によれば、そういうものはすべて涜職になるのだ。こういうようなことが曽てあつたわけでございまして、そういうようなことになりまするというと、これはどうも適当でないのみならず、地方自治の本旨から申しましても、自己の所属職員の給與を勝手に決められない。自主的に決められないということ目体につきましては、やはり自治の建前から言つて非常に問題があると思います。ただその決める場合におきましては、國なり他の地方団体との間において十分権衡を図つて決めなければならんということを要求することは、これは自治の自主性も害しませんし、一面職員の利益の保護、保障ということも考ておるわけでございまして、両者の要求を調整いたしました考え方としては権衡を失してはならない。こういうことで公務員の利益を保護するような保障を與えて行きたい。こういうような考え方であります。
  139. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 そうすると、この條文にあるように権衡を失してはいけないということを書いてさえあれば保障ができるような錯覚を起すのでありますか、そこで私は財政的な裏付が今でさえもこういう状況において、地方の自治、地方の財政の独立と、こういう立場に立つてその方面を國当体が強く主張する半面、地方の財政が非常に困つた状態になるという、そういう限られた範囲、限られた條件の中におる地方公務員の場合、任命権者が如何ほど國家公務員並みにしたいと考えておつても、ない袖は振れないという状態になる点においては、私はこの法律を出す以上は、國が相当な財政的な裏付をする必要があるのじやないか、こういう意見をその裏には持つてつて質問をしておる次第なのです。ここに権衡を失してはならないと書いてあれば、それは地方の団体を拘束するものであるかどうか、もう一度はつきりお伺いして置きたい。
  140. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 財源の問題に至り袋するならば、これは現在の制度並びにこの地方公務員法案しの間におきましては、何ら実質的に変化はないわけでございまして、財源はこれはできるだけ潤沢にいたさたさればなりませんが、非常にそれが乏しい、いろいろな要求を満たし得ない、こういう場合におきましては、その財源を一体どれに当てるか。人件費に優先的に当てるか、或いは他の物件費等に当てるかということは、それぞれの長なり、地方議会なりが最終的に決定せられるわけでございまして、この法律の要求いたしておりまするところは、給與表といものが具体的に條例で定まるわけでありまするが、その決定する際においては権衡を失しないように考慮しなければならん、こういうことを法律上の要求といたしておるのであります。
  141. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 それはよく法律に従来あつたのですが、理事者側のほうにとつては都合がいいようになつておる。まあ極端に申しますと、ちやんと抜け道があるような法律が従来あつたのであります。教職員関係たどの給與についても、但し地方でなになにによつてはということで、しなくてもいいようにやつてつた。而もこれはただしなければならない、考慮したぐちやならんということだけ言つてつて考慮しない場合にはどうするという何らの規定もない。そうしますたらば、そういう望みだけを託してこの法律を出すということになるのじやないか。こういう点が我々としては非常に問題とされるところじやないかということを思うのであります。でこの点はその條章に行きましたら又質問いたしますが、そんならば取締るほうの規定はこの法公布後二ケ月というふうに短日月に早く取締つて置いて、保護するほう、そういう部面については一年六ケ月、二年ぐらいかかつてもよろしいと、こういうふうにしておるのは、ただ單に技術的にそういう期間を置かなくちや次らんというような意味合の御説明に承わつておつ先のですが、そうであるとするならば、保護するほうと、裏付として拘束するほうも発動させるというふうに、一年六ケ月なら一年六ケ月、二年後なら二年後に全体的に実施するというふうな法案にするのが近代的な公務員制度実施に伴う地方公務員の自覚を促すゆえんではないかと、こう考えるのですが、何故取締るはうは早くやり、守つてやるほうは、まあいい加減にというと語弊がありますけれども、逐次段階を追うてやるようにこの條章で決めたのか、その点の見解を承わりたい。
  142. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この法律施行を一時に二年くらい先になつてつたらどうかというような御意見でございまするが、これは目次をちよつと御覧頂きますると、決してその取締るものだけを先にやつて、その他は後にやるというのではないのであります。大体の施行の順序を目次の章のところで申上げますと、第一章総則、第二章人事機関、第三章の第一節通則、これは公布後二ケ月を経て施行をいたします。第二節、第三節の任用、職階制は只今も御意見がございましたように、非常にこれは準備研究を要する問題でございまするので、五大都市、都道府県は一年半後、その他の人事委員会を置く市に適用になりまするが、そういうところでは二年後、こういうことにしております。第四節の給與、勤務時間その他の勤務條件、これは公布後二ケ月を経て施行をいたします。今の給與のいろいろの問題は皆直ちに施行になる部類に入つているわけであります。それから第五説の分限及び懲戒、この分限懲戒に関しましては人事機関が働きますので、人事機関は設置完了いたしまするのが都道府県、五大市ではこの法律公布後六ケ月、その他の市では八ケ月ということに一応なつておりまするから、そういう人事機関がすべて設置せられた後からこれは作つて行くという考え方で八ケ月後に施行する。それから第六節の服務、取締ると言われたのはこれかも知れませんが、この第六節、それから第七節研修及び勤務成績の評定、第八節福祉及び利益の保護、第一款厚生幅利制度、第二款公務員災害補償、これはいずれも公布後ニケ月後に施行いたします。それから第三款、第四款は今の人事委員会が働きまするので公布後八ケ月であります。第九節の職員団体、いわゆる交渉の問題などはこれも公布後ニケ月から施行になります。第四章の補則、これも公布後施行になります。第五章はそれぞれ施行になつているところについては罰則が動いて来るわけであります。そういうことでありまして、決して取締るものだけを先に働かすというようなことは毛頭考えていないのであります。一体的に一時に施行せよと仰せになりましても、先ず中心規定である人事機関を作つて参りまして、その人事委員なり、事務局長の研修をし、準備、調査、研究をして行きませんとできませんので、どうしてもこれは國の場合も御承知の遡り段階的になつておりまして、その方式にこれはよらざるを得なくなります。
  143. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 取締るほうだけということが非常に厳格に御解釈になられたようですが、一般的に申上げておるのであつて、私の申上げておることは案外妥当ではないかとさえ思われる点がある。例えば政治活動の自由制限なんというふうなのはこれはもう早くやつて、不利益処分審査等は委員会ができなければこういうことは先ずない。或いは幅利厚生のほうの問題等は速かにやらなくちやならんと言つておりますけれども、それが確かに公布後二ケ月だと言つたところでできつこはないところなんです。又恩給或いは一時退職金のその制度等も非常に複雑な部面がある。おいそれとすぐはこれは片付かない問題である。そういう実質的に公務員が守られる部面が大かたこれは後廻しにされると、実際上そういうことを私は申上げておるのであります。而もそれならばニケ月後実施、或いは一年六ケ月後実施でもいいが、その実施になつたとき或る一定の保護的な水準にまで義務付けられてなつておらなければならないのではないかというと、そうじやない。財政と睨み合せて逐次やればいいというふうになつておりますから、その財政的に十分でない限りにおいては永久にこれは行届かない問題が起つて来るわけなんです。これらの点についても相当な義務拘束があつて然るべきじやないかというのが私の意見なんであつて、あまりこの意見を言つておると、又見解の相違になりますからその條章に至つたときに少しく詳しく申上げたいと思います。お茶も出ましたのでもう後は保留いたします。
  144. 相馬助治

    ○相馬助治君 本法律案制定されますと他の教育公務員特例法、教育委員会法等と抵触する面がある。従つてでれに連関して特に明日の連合委員会に私は文部省の出席を要求します。
  145. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 文部大臣は要求してあります。
  146. 相馬助治

    ○相馬助治君 私がなぜこの速記にとどめてこういうものをものものしくやるかというならば、何を聞いても分らんから、こういうことを聞きますということを教えてやりますから、委員長、相馬はこういうことを要求しておるのだということ言うて下さい、そういう意味なんです。
  147. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 それでは私もこの際お願いしで置きたいのですが、第三修の一般職、特別職或いは現業、非現業、公企業体の場合労働組合、公務員に関する單独立法、或いは特例法等の問題に関連して労働省の見解をお聞きしたいと思いますので、労働大臣並びに政府委員である賀來労政局長の出席を單独にこの委員会が開かれる際にお願いしたいと思います。
  148. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 承知いたしました。
  149. 相馬助治

    ○相馬助治君 さつきの要求事項ちよつと一部訂正。單独で地方行政委員会が開かれる場合に、天野文部大臣の出席を要求します。
  150. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 承知しました。外に議事進行その他について御意見ございませんか。明日の連合委員会の打合せ、そういうことにつきまして……。    〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  151. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ございませんか。それではこれで散会いたします。    午後三時十三分散会  出席者は左の通り。    委員長     岡本 愛祐君    理事            堀  末治君    委員            高橋進太郎君            安井  謙君           小笠原二三男君            相馬 助治君            中田 吉雄君            西郷吉之助君            鈴木 直人君            岩木 哲夫君            石川 清一君   衆議院議員            川本 末治君   國務大臣    國 務 大 臣 岡野 清豪君   政府委員    地方自治庁次長 鈴木 俊一君    衆議院法制局側    参     事    (第一部長)  三浦 義男君