○千葉信君 この問題に対して私がこれ以上追及いたしても、恐らく大臣の立場としては、表面上の
只今の御
答弁以外のことは私も御返事頂けないと思いますので、この点については大体追及申上げることを御遠慮申上げ、その次の問題について御
質問申上げます。
御
承知の
通りに今度のこの
地方公務員法は二十三年の七月に出ましたマツカーサー書簡の理念の上に立
つて、そうして先に制定施行された
国家公務員法と同様に、今度の
地方公務員法もマツカーサの書簡に縁由するものだ、そういう立場からいいますると、私はこの根本の理念とな
つておるところのいわゆるマツカーサー書簡の
考え方というものを、たとえその内容に対するいろいろな批判があるといたしましても、一応それを根本として出るとすれば、我々としてはやはりこの
地方公務員法を
審議するに当
つても我々ばかりではなく、これを提案者自身にもその理念の把握を十分に確かめなければならない。いろいろな今までの
国家公務員法の実施から得ました経験によりますると、必ずしも
国家公務員法そのものが完璧でないばかりでなく、又時にはその明確な法文自体すらも非常に歪曲されて解釈しておる傾向がまま
政府当局にも見られておる。こういう点からいいますると、丁度今それと同じ
地方公務員法が制定されようとしておる
段階でございますから、私はその点についていささか
岡野国務大臣に、その理念を十分に把握し、そうして将来この理念の上に立
つて正しくこの
法律を運行して行かれる覚悟を持
つておられるかどうかということに重大な関心を持
つておりまするので、以下私は数カ條御
質問申上げます。
先ず第一に、今度の
地方公務員法は
国家公務員法の場合と同様に、例えば
政治的行為の
制限であるとか、これは非常に
同僚諸君からも種々な角度から論及されたようでございますが、更に又
憲法の二十八條が指向するところの労働権の問題にいたしましても、成るほど団結権というようなものは残されていたし、或いは団体交渉の権利があるかのごとく
規定されてはおりまするけれども、併しながらたとえどのような形において団結権が存置されたといたしましても、罷業権の伴わないところの団結権などというものは、法理論上更の
意味におけるところの団結権ではない。
従つてそういう結果からすれば、
憲法第二十八條はこの
法案が制定されるということによ
つて蹂躙されるも同様だ、ところがこれに対してマツカーサー書簡は次のように述べておられます。「さらに
国家の公益を擁護するために
政府職員に課せられた特別の
制限があるという事実は、
政府に対し常に
政府職員の
福祉ならびに利益のため十分な保護の手段を講じなければならぬ義務を負わしめている。この理念は民主主義
社会においては、完全に理解せられ実現せられているのであ
つて、その故にこそ公職が威嚴と権威と永続性とをそなえており、公職に就き得る機会が広く
一般から好ましい特権として認められ、かつ求められているのである。」このうちで重要であると
考えられることは、一方において特別の
制限があるという事実に対しては、
福祉の擁護或いは利益の保護という点について、
政府がその保護の責任に任じなければならない、こういうことをこの書簡はその根本の
考え方として
はつきりと述べておるのでございます。こういう
制限のあるということに対して、一体
制限を加えられない場合、つまり団体交渉権にいたしましても罷業権にいたしましても、乃至は
憲法の保障するところの
政治的行為の自由にいたしましても、一切を享受しておる場合、今設けられようとしておるこの
地方公務員法によ
つて制限が設けられようとしており、設けられた場合におけるところのこれに対する
福祉或いは利益、集約的に申上げますると、いろいろな福利厚生施設であるとか、或いは待遇、
給與、こういう点について
制限を加えられたものと加えられないものの場合には、一体、どのような
方法が講ぜられなければならないか。同様の待遇でよろしいか、それとも
制限を加えるということの代償としてのより高い待遇というものが当然の結果として必要であるとお
考えになるか、その点についての
国務大臣の御
答弁をお願いいたします。