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1950-12-07 第9回国会 参議院 地方行政・人事・文部・労働連合委員会 第4号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    昭和二十五年十二月七日(木曜日)    午後一時五十五分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○地方公務員法案内閣提出衆議院  送付)   —————————————
  2. 堀末治

    委員長代理堀末治君) それではこれから地方行政人事文部、労働の合同連合委員会を続行いたします。これから開会いたします。
  3. 堀眞琴

    堀眞琴君 去る四日の質問に続きまして、なお、二、三の点を質問申上げたいと思うのでありまするが、地方公務員法政府説明によるというと、地方公務員身分を保護するという趣旨の下にできておるわけたのでありますが、ところが分限に関する條項を見まするというと、地方公務員分限に関して非常に広汎な権限任命権者に與えられておるのであります。第二十八條によりますというと、勤務成績がよくない者、身体に故障のある者、そういう者が当然降任或いは免職をされるということは、これは一応納得できるといたしましても、ところがその他「その職に必要な適格性を欠く場合」においては、これを免職することができるということになつておるのであります。地方公務員自分を保障するという建前から申しまして、任命権者がその適格性を欠くかどうかということを判定する場合には、勢い個人的な、一方的な判定しかそこに行われないのでありまして、そうなりますると、一方的な措置によつて免職を要求されるという結果にならざるを得ないのであります。身分を保障する、保護する法案法律そのものがそのような結果になるということは、これはどうしても身分を保護するという規定とは我々としては見受けることができないのでありますが、その点に関して先ず第一に国務大臣の明快な御答弁をお願いしたいと思う。
  4. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。身分を保障する、保護するという趣旨も多分に盛られておることは事実でございます。と同時に地方行政中立性帶びて、そうして民主的、能率的に運営されるということも又この公務員法案を作りましたゆえんでございます。でありますから、公務員におきまして、即ち適格性を欠くような者は、地方行政の堅実を期して行く上において面白くないのではないか、こう考えましてこれが入れてあるわけでございますが、併しほかの條文を御覽下さいますると、そういう場合には人事委員会において十分これを審査して、そうしてその妥当なりや否やを判定して、そうして民主的にこれを解決して行くという方法も付けてございます。結局適格性を欠くという点は、地方行政運営が堅実にやつて行けるという意味において、そういうような規定を置くと同時に、この身分を保障する意味におきましては人事委員会においてこれを救済すると、こういう二つの方策をとり、そうして両々相待つて健全なる地方行政運用ができて行く、こう考えておるわけであります。
  5. 堀眞琴

    堀眞琴君 人事委員会があるからして公正な取扱いができるというお話でありますが、適格性を欠くという判定を行うのは任命権者であります。それと人事委員会が公正な措置を行うというのでありますが、国家公務員法の場合において見ましても、人事院が示して公務員の不当なる措置に対して適当なる措置を講じたかということになりますると、我々としても疑問なきを得ないのであります。ましてや地方公務員決によつて設けられまするところの人事委員会というものは、国家公務員法による人事院に比べまするというと、その権限も極めてあいまいであり、力も弱いのでありまして、従つて適当な措置をとると申しましても、その措置が十分に任命権者を拘束する力がないということになりますれば、適格性判定は一方的にだけ決定されるという結果を招くということは明らかではないかという工合考えるのでありまするが、その点重ねてもう一度御答弁願いたいと思います。
  6. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。私は御説の要点は、只今国家公務員法に設けられておりますところの人事院というものが、余り完全なる発達をしないのであるから、地方において人事委員会ができても十分公務員身分を保障してくれ、又保護してくれることができかねるのではないか、こういう御懸念だと思います。併したから何と申しましても、この国家公務員法と申し地方公務員法と申し、少くとも今までよりはすつかり変つた組織運営とをやつて行く制度でございますから、その出発最初におきましては甚だいろいろ遺憾な点もございましようが、一般の常識が発達し、又同時にこれに選ばれて来る任免権者、又その任免権者が推薦してそうして議会において同意をされた人事委員会委員というようなものがだんだんと向上して参りますことが、我々の理想でございますから、そうなつて行きますれば、私は公平にやつて行けるのじやないかと思います。まだ出発最初において、又過渡期において遺憾な点の出て来ることは、只今仰せのごとく国家人事院においても我々も遺憾とする点があるように存じますが、地方におきましても、これが出発しました後に十分とは行かない点も出て来るかとも思いますけれども、併し何と申しましても、やはり地方自治をよくして行くという意味において、私はこの程度人事委員会を置いてやつて行けば、地方公務員は救われて行くのではないかと、こう考えてやつておる次第であります。
  7. 堀眞琴

    堀眞琴君 人事委員会運営がやがてよくなつて行くだろうからというお話でありますが、併しながら出発点に際して、過渡期でもあるから遺憾な点があることも認められているのでありますからして、地方自治が完全に行われる。そうして官庁もそれから又地方公共団体民主化されるというような段階にたつてからでも人事委員を設けて、そうして公務員身分を保障することをやつても私は遅くはないと思います。今急速にこれをやるがためにいろいろな遺憾な点が出て来るということになるというと、地方公務員法そのものに対する疑念も起つて来るのではないかと思う。法律というものは、御承知のようにそれが遵守されるのが唯一の條件なんです。守られない法律なんというものは幾ら作つたつて意味なのであつて、そういう意味から申しましても、むしろ地方自治が或る程度発達し、官庁民主化される、そのときを待つてこういうような機関を設けるということでも遅くはないのじやないか。こういう工合考えるのでありますが、その点についてどうお考えになりますか。
  8. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答えいたします。私は、やはり民主政治と申しますものが、とにかくこの終戦以来まあ民主政治ができたわけでございますから、非常な政治的の革命時期でございまするから、その意味におきましてはやはり一般住民民主的理想、並びに民主的の取扱方というものを発展させ、向上さして行くことが先ず第一でございまするけれども、同時にやはり制度もそれに並行して作つて行きまして、而して両々相待つて本当の民主的の地方行政で行くというふうにするほうがいいと存じます。でございますからもう少し立派な、住民の常識的又民主的の考え方になり、又国民がそういうふうに向上発展した後に公務員法を作つたらいいではないかというこれも一つの御説であると思いますが、私経済界におりました関係上、経済で申しましても、ただ通貨の安定ということだけではいけませんし、復興もして行かなければならない。そうしますと、復興なり通貨の安定というようなものがやはり両々相待つてつて行かんと、その目的を達しなければ安定の目的も達して行かない。こういうふうに考えまして、やはり制度制度として作つて置く、同時に国民を立派に教育して行く、これが両方並行して進んで行つて真価が出て行くのではないかと、こう私は考えております。
  9. 堀眞琴

    堀眞琴君 岡野国務大臣の御意見通り確かに制度を作らなければならない。同時に啓蒙も必要であるということは、私は全然否定するわけではありませんが、併しくどいようでありますが、適格性を欠くという判定が一方的にだけ行われるという結果になるということは、これはくどいようでありますが、国家公務員法の場合についても十分我々は認められるのであります。その点につきまして、私はやはり人事委員の、若し設けるならば人事委員権限を、單なる勧告とか或いは勧告することができる、或いは措置をとることができるというようなものじやなくして、やはり拘束力を持つたものにしなければ、あなたのおつしやるような人事行政の公正なる運営というものは出て来ないと思う。そういう点についてはこの前若干御質問申上げたのでありますが、十分明確なる回答を得られなかつたのであります。岡野国務大臣の今のお考えから申しますと、拘束力を持つところの権限人事委員に與えるというようなことが前提になると思うのでありますが、その点につきましてはどうお考えになりますか。もう一度お尋ねいたしたいと思います。
  10. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 私は原案で作つております人事委員でやつて行くほうが地方自主性を尊重して行く、同時に地方民啓蒙にもなると思います。何でもかんでも拘束してしまうということも余りどうかと思います。若し地方実情に応じましてうんと拘束力を付けなければならないようなことがございますれば、又これは條例とか規則というものによつてその調整をして行けばいいではないかということで、この法案は大綱を示しまして、條例規則というものを各地方自治団体実情に応じてきめるということにさせてございますから、その辺で調節が付いて行くのではないかと存じ上げております。
  11. 堀眞琴

    堀眞琴君 只今の御意見はむしろ地方公務員に対しておつしやることが私は妥当だと思います。人事委員に関しましては、やはり明文を以て人事委員はこれこれの権限があるということをはつきり申しませんと、人事委員そのもの存在価値というものが非常に削減される。第一機能を発揮し得ないということがはつきりしていると思う。そういう点から申しまして、人事委員の行うところの措置なり勧告なり、そういうものに対しましては、もつと強力な拘束力を持たせるということが地方公務員身分を保障することになると思います。地方実情によつて特殊性を活かして、條例なりその他なりで適当にこれを行えばいいじやないかというお話でありますが、それでは本当地方公務員法を制定し、その中に人事委員を設けた理由がなくなると思います。その点についてもう一度御答弁を願いたいと思います。
  12. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 只今大臣からお尋ねの点につきましての一般原則を申上げたわけでございますが、この地方公務員法案におきましては、御指摘の公務員適格性を欠きましたために職を免ぜられました場合におきまして、その不利益になる処分に関しまして人事委員会審査の請求をいたしました場合におきましては、人事委員会或いは公平委員会はその審査の結果に基いて処分を或いは取消す、或いは修正する、更に必要があります場合におきましては、給與とかその値いわゆる原状回復をするのに必要な適切なる指示もし得るということをこの法案としては考えておるわけでございまして、殊にこの原状回復等をいたしまするに必要な指示に対しまして従わない場合におきましては、これを処罰するというようなことで、その指示の徹底を期しておるわけでございまして、非常に事後の処置としては強力な保障の手段を講じておるわけでございます。
  13. 堀眞琴

    堀眞琴君 あとに質問される同僚諸君もたくさん控えておりますから、この問題はこの辺にいたしまして、次に政治活動制限の問題についてお尋ね申上げたいと思います。この問題につきましては、過日天野文部大臣出席の折にも同僚諸君から一、二質問が行われたのでありまするが、私は岡野国務大臣に対しまして、この三十六條を中心としまする政治活動制限に関しまして二、三の質問を申上げたいのであります。過般の天野文部大臣との質問の際にも、一部地方公務員の中に行き過ぎがある、そのためにこういう政治活動制限ということも止むを得ず出て来たのだというお話があつたのでありまするが、若し一部地方公務員の中に行過ぎがある、そのために法律を以て政治活動制限するのだということになりまするというと、行き過ぎがあつたから法律を何でもかんでも作らなければならないということになりまして、大変なことになつて行くと思う。むしろ一部公務員行き過ぎがあつたにしても、その行き過ぎがあつた場合には、その行き過ぎを犯した本人の反省を求めるなり、或いは国民の他から是正して行けばいいわけでありまして、ところが本決案によりまするというと、殆んど一切の政治的な行為制限する、投票権を除いては何ら政治的な活動の自由がないということになるのでありまして、これでは憲法上に保障された基本的な人権としての政治的な活動の自由というものが、殆んど全く奪い去られるという結果になると思う。昨日の宇都宮市長証言にも、宇都宮市長に就任して以来、衆議院選挙或いは参院議選挙教育委員選挙と大きな選挙を三回もやつている。初めの頃は市役所職員の中にも相当急進的な運動を試みる者があつたが、次第に是正された。自分としては現在市役所職員に対しまして、政治的な行為制限する必要を認めないということを現に宇都宮市長証言されているわけです。この憲法上に保障された最大の権限ともいうべきところの政治的な自由というものを、投票権を除いて殆んど全部これを制限するということは、非常に行き過ぎではないかという工合考えるのでありまするが、この点について国務大臣から一つ総括的に御答弁を願いたいと思いま参す。
  14. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。この地方公務員法は、やはり国家公務員法釣合をとつたものにしなければならんというのが、先ず我々が立案いたします根本の観念でございます。只今国家公務員法は御承知でもございましようが、ああいうような厳しい制限をしておりますが、併しこの地方公務員法に盛りました点は、あれよりは若干緩和されておる状態でございます。でございますからこの地方公務員法と申しますものは、国家公務員法と同時にできなければならない、又併存しなければならない、こういうような法律の性質でございますから、先ず国家公務員法観念に準じまして、そうしてそれを建前としまして組み出したものでございます。  それから、それじや今の情勢にあつて行き過ぎじやないか。こういう思召でございますが、併し私といたしましては、国家公務員法が現存の法律であります以上は、やはり現在の法律を尊重しまして、その程度に合せて地方公務員法を作り釣合をとる、こういう考えでやつております。それから一部行き過ぎの者があつたからこれをやつたという、私案は列席しておりませんで甚だ恐縮でございますが、文部大臣がどう答弁されたかは存じませんけれども、今堀委員から伺いました点によりますれば、一部行き過ぎがあつたからこんなに縛らなければならんのだというようなことに承わりましたが、私は文部大臣のお考えは、無論文部大臣文部省関係方面公務員に関して感ぜられたことをお述べになつたことと存じます。併しそれは同時に私としても受入れられる議論でございまして、意見同意でございます。御承知通りに、これは公務員法刑法と比べるのは甚だ比べ方が惡いのでございますけれども、併し八千万の国民の中に仮に十万とか二十万の罪人が出るようなことが予想されましても、やはり刑法で十分縛つて置くというような法律も作るようなことでございますから、まあそういうことがあつちやいかんから一つつて行こうと、こういう意味におきまして、或いはどういうお言葉文部大臣仰せなつたかわかりませんけれども、その趣旨は私は尊重してよろしいと、こう考えます。
  15. 堀眞琴

    堀眞琴君 刑法になぞらえるのはどうかと思うというお話でありますが、刑法は決して十万そこそこの犯罪者を目標にしてできておる法律ではないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)若し刑法がそういうような犯罪者だけを、僅かの犯罪者だけを目的にしてできておるものならば、法律としての価値は私はないと思う。刑法社会秩序の安全を保障するという建前で八千万の国民対象にして作つておるのであります。同じように地方公務員法も若干の行き過ぎ者対象にして政治的な行為制限をやつておるのではないと私は思う。地方公務員百三十万人を対象にしてやつたものである。従つてその観点から申しますというと、地方公務員法によつて地方公務員の政治的自由を、その一部の人を対象にして制限するということは当を得ない、法律趣旨から言つてそういうことは私は不当であるという工合考えるのでありますが、その点についての御答弁を願いたいのです。
  16. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 刑法と並べましたのは、或いは先ほども申上げましたように妥当ではないかと存じますけれども、併し地方公務員がこれだけの制限をしなければ、その中立性が保てなくなるだろう。こういう意味におきましてこれは三十六條を作つておるものでございますから、その一部の行き過ぎという方面に余りお捉われにならないでお考え願いたいと存じます。
  17. 堀眞琴

    堀眞琴君 どうも岡野国務大臣答弁は余りはつきりしないのでありますが、要するにこの宇都宮市長証言にもある通り地方公務員政治的行為制限する必要を認めないということが我々としても十分に理解できるのでありまするが、ところが一部の行き過ぎ者を予想しながらこういう法案を作るということは、これは地方公務員全体が政治的行き過ぎをするものだという前提の上に立つておるとしか考えられないのであります。その点から申しまして、私はこれはむしろ政治的な活動については、公務員については、例えば地方公務員と申しましてもいろいろあるのでありまして、一般行政事務を担当する者、それから教育に携わる職員もあり、地方公営事業に携わる職員もあり、現場の現業職員もある。いろいろあるのでありまして、一般行政事務に携わる職員については或る程度制限は止むを得ないとしても、併しその他の職員については、やはり広汎に憲法上に保障された政治的な自由ということを認めることが民主的でもあるし、又地方行政の今後の民主化を図る上においても非常に貢献するところがあるのじやないかという工合考えるのでありまするか、この点についてもう一度国務大臣の御答弁を願いたいと思います。
  18. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。御説至極御尤もでございまして、その通りでございます。でございますからこの公務員法がこの法の中に織り込んでございますように、公益、公営事業の点において相当考慮して新立法したいと思いますし、又いろいろいわゆる行政でなくて、現業だけをやつておるというような公務員に対しても、適当な又新らしい立法をしてやつて行く。こういうような考えを持つておりまして、御説の通り趣旨によつてこの法案はできておるわけであります。
  19. 岩間正男

    岩間正男君 議事進行について……、ちよつと議事進行について、岡野国務大臣に質したいことがあるのであります。それは実は地方公務員法案につきましては、只今審議が続行されておるのであります。この問題が、できましたら劈頭において私は是非これはこの政府責任者態度を明らかにして審議に入る必要に迫られております。四、五日前から吉田総理出席を求めておつたのでありますけれども、未だにその出席がない。(「その通り」と呼ぶ者あり)こういうことでありますから、取りあえず先ず岡野国務相にこれはお伺いする。岡野国務相が果してこれで答弁ができますかどうか、若し不満足でありましたら、やはり最高責任者である吉田総理出席を求あまして、当然これはなさなければならないところの務めでありますので、私は不満足だつたら依然として吉田総理出席を願いたい。問題の内容は何であるかと言いますと、非常に重要な問題であります。それは過日本院を通過しましたところの決議案、つまり国会審議権擁護決議案とも関係することでございますが、巷間聞くところによりまするというと、この地方公務員法案が本国会で上らない、つまり流れる、そういう段階なつた場合には、その直後においてポ政令によつてこれをなされるというようなこともいわれておるのであります。若しそういうような措置がなされると仮りにしましたならば、この審議は全く無意味になる、そういうような観点からしまして、政府においては若しこの法案が本国会を流れた場合において、どのような一体措置をされるか。今私の聞きたいことは、ボ政令的な措置は絶対しないのであるかどうか。その点を先ず明らかにしなければ、我々の審議というものは非常に無意味になつて来る。こういう点がありますので、この点について岡野国務大臣の御答弁を願いたいと思います。(「答弁の必要なし」と呼ぶ者あり)
  20. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 御答弁申上げます。政府といたしましては、ポ政令で出す意思は目下持つておりません。
  21. 岩間正男

    岩間正男君 これは公式な政府態度でありますか。これはつまり閣議によつて決定され、そして誰しもが承認するところの態度でありますかどうか。(「答弁の必要なし」と呼ぶ者あり)或いは岡野国務大臣だけの一個の見解であるかどうか。この点を明らかにして頂きたい。
  22. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。私は不馴れといえども国務大臣の末席を汚しておりまして、現内閣に閣僚として入つております。従つて私の申上げておることは、閣議決定はしておりませんけれども、現内閣意思を発表することでありますから御了承願います。
  23. 岩間正男

    岩間正男君 そういうふうに言われましたけれども、これは別の問題の上のことでありますが、この前の平衡交付金問題におきましては、これは池田蔵相岡野国務相意見が真向に対立しておる、全然これは食い違つておる、そういう実例もありますので、我我としましては單に今、岡野国務相を信じないというのではありませんけれども、岡野国務相の今の御答弁だけでは私はこれは十分ではない。若し閣議によつて本当に決定されておるのであつたならば、そういうような公式態度を声明されることを私は要求したい。そこでこの要求は非常に重要でありますので、(「閣議の必要なし」と呼ぶ者あり)而も緊急な問題でありますから、各委員におきましてもこういう問題をそういう審議の根本的な問題に属するこれは問題でありますから、これを委員長においてもお取計らい願いたいと思います。それについて私は岡野国務相を信じないというのではありませんけれども、もつと問題を明らかにするために吉田総理出席を求めてこの問題をはつきりさせなければならん。(「出席無用」と呼ぶ者あり))こういうふうに考えます。
  24. 堀末治

    委員長代理堀末治君) 岩間君に申上げますが、今総理大臣予算委員会出席中だそうであります。幸いに向うの質問が終ればこちらのほうに顔を出してよろしいという知らせがあるそうでありますから、それまであなたの御質問は保留して頂いたら如何でしようか。
  25. 岩間正男

    岩間正男君 承知しました。
  26. 堀眞琴

    堀眞琴君 政治活動制限の問題についてもう一点お伺いしたいのでありますが、提案理由説明によりますというと、地方公務員中立性を尊重する。それから地方行政事務の適正な運用を図る、公共福祉のために政治活動制限をやるということでありますが、しばしば政府公共福祉ということを言われるが、公共福祉という言葉について岡野国務大臣がどのように考えておられるか。この政治活動制限の問題に関連して御答弁を願いたい。
  27. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 大変困つた質問でございますが、公共福祉といえばやはり公共福祉という、まあ常識的言葉的に判断するよりほかに方法はないと思いますが、何かそれについてもう少し突き詰めた質問が頂ければ結構だと思います。
  28. 堀眞琴

    堀眞琴君 公共福祉というのは常識的にしか考えられない、こういうお話でありますが、公共福祉という観念が出て参りましたのは、御承知のように十九世紀末葉からでありまして、法律意識が分裂をしておつて社会において法の意識の統一を欠くという必要から出て参つたのであります。ところが公共福祉という観念はそういう意味を持つものであるにもかかわらず、事実は一方的に公共福祉という観念の内容がきめられて参つておるのであります。従いまして、政治活動制限という問題に関連して申上げますと、一部の行き過ぎ者を是正するというような意味公共福祉という言葉をここで以て主張されるということになると、つまり一方的な見解でその内容を決定する、一部の者が云々ということで以てきめてしまつたら……、公共は飽くまでも公共なんであります。大衆、日本の人民なのであります。そういう観点から本当公共福祉ということを考えないというと、この問題は解決しないと思うのでありますが、その点について国務大臣の御意見を伺いたいと思います。
  29. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 堀先生のほうがその点は御造詣が深いのでありまして、実は、私堀先生に言葉を返すこともありませんが、(「そこが大事だ」と呼ぶ者あり)これは公共福祉を如何にこれに織り込んだかという点について、今事務当局から事務的に御説明なさせます。
  30. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 公共福祉につきましては、憲法にございまするように、この憲法規定いたしております趣旨と、それからなお公務員の全体奉仕者としての性格というような点から、この地方公務員法案におきましては、各條におきましてそのような地方公務員の権利なり義務なりを明確にいたしておりますが、これは他面地方公務員の利益を保護するという面と両両相待つて規定をいたしておるのでございまして、この法案全体は、要するにこのような形において地方公務員の秩序を維持し、且つ地方公務員の利益を維持する結果といたしまして、地方行政民主化され且つ能率的に運営される、これが即ち全体として公共福祉を維持するゆえんであると、こういうふうに考えておるのであります。
  31. 堀眞琴

    堀眞琴君 この最後の政治活動制限に関して、外国の事例をどの程度に参考にしてこの法案を作つたのか、この点についてお伺いしたい。
  32. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 外国の例は外国の例として一応参考とはいたしましたけれども、私どもといたしましては、国家公務員法なり、只今申上げました憲法規定をしてございますところの、地方公務員は全地方住民の奉仕者であるというような性格、或いはこの権利の濫用ということは、公共福祉の点から好ましくないというような意味の点、或いはこの労働関係の団結権でございますとか、勤労の最低條件を定めました保障の規定とか、そういうような基本的な線を如何に具体化するかということを主たる問題として権討をして、このような案を作つたわけでございまして、いろいろ参考にはいたしましたが、やはり直接的な問題といたしましては、憲法なり国家公務員法というものを主として参考にいたしたのであります。
  33. 堀眞琴

    堀眞琴君 憲法なり国家公務員法なりを参考にして立案されたということでありますが、憲法では御承知通り、例えば基本的人権につきましては、バージニアの権利宣言であるとか、フランスの権利宣言であるとか、或いは一七九一年の憲法であるとかいうようなものが一応の参考になつた文献だと思います。国家公務員法についてもやはりそれぞれの参考文献があると思うのであります。地方公務員法案につきましても、やはり先進諸国の法令というものが相当参考になるだろうと思います。アメリカではどうとかイギリスではどうとかいうことを具体的に私は申上げるのではない。ただそれを参考にした程度で、アメリカだけの立法例を参考にされたか、それともイギリスやフランスやイタリー、こういうようなヨーロツパ諸国の立法例を参考にされたか、その点をお尋ねしておるのであります。
  34. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) アメリカの例等も勿論参考にいたしまして、現在お手許に差上げてあると存じまするが、その他の公務員制度等に関しましても、勿論これを参考にいたしたのであります。
  35. 堀眞琴

    堀眞琴君 その他の国の立法例も参考にされたということになりまするというと、ヨーロツパの諸国におきましては、地方公務員並びに国家公務員につきましては、日本の法律に比べまして遥かに広い政治的自由を確保されておるのであります。そういう点どのように考えられて立案されたか。その点もう一度お尋ねしたいと思います。
  36. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) その点は堀先生のほうが遥かにお詳しいと存じまするのでございますが、只今私どもといたしましては、アメリカの人事制度は御承知のごとく比較的まとまつたものとして、殊にそもそもが地方公務員につきましても、相当都市等におきましては詳細なる人事行政制度が確立されておるのが多いのでございまするが、どうも私ども甚だ不勉強ではございますけれども、大陸系統の諸国におきましての、特に地方公務員に関しましての適切なる立法例というものが私ども甚だ勉強不十分でございまするが、見当りませんので、勿論国家公務員制度と申しますか、官吏制度につきましてはいろいろございますけれども、地方公務員自体の問題になりまするというと、やはりアメリカの制度のほうが一番例をとりやすく考えられた次第であります。
  37. 堀眞琴

    堀眞琴君 どうも政府委員説明は甚だ私満足しかねるのでありまするが、併しこの問題を余りやりますというと、何か変な学問上の議論になりまするのでやめますが、次に職員団体についてお尋ねいたしたいと思います。御承知のようにホワイト・カフースという言葉があるのでありまするが、地方公務員もその意味においては労働者と同じ立場に立つておるのであります。純粋の労働者と申すわけではありませんが、労働者と同じ立場に立つておる。従つてその立場において団結権なり団体交渉権なりを持つことは私は当然だと思うのでありまするが、ところがこの法律案によりまするというと先ず団結権について見ましても、その結成につきましていろいろの制限法案に設けられておる。登録をしなければならない、登録はいいとしても、余り人事委員会がこれに干渉する。むしろ自主的に職員団体の結成を行わしめ、これを登録せしめるということで私は十分ではないかと思いますが、その点に関しまして岡野国務大臣はどのようなお考えを持つておられるか、御答弁を願いたいと思います。
  38. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 地方公務員の団体の結成とか、又団体交渉権とか何とかいう議論もいろいろ出たのでございますが、併し只今の日本の現状といたしましては、国家公務員法に準じて作つたこの法案でございますので、大体それに似たようなことにしておりますが、併しただ私どもが考えますのは、国家公務員法よりは幾分団体に対して有利なような趣旨で組み込んでおるわけでございます。それで御質問趣旨が実はよく呑み込めませんのでございますが、私といたしましては、将来本当現業とか、又本当の公営企業を営んでおるという、行政面には余り関係のない者については、又別途に考慮しようと考えておりますので、一般行政職員としましては、この程度のものが適当ではないかと、こう考えておるわけであります。
  39. 堀眞琴

    堀眞琴君 団結権といえば、当然職員団体が自主的にそれに基いて結成されることを意味するのでありまして、人事委員会がこれに対して、その結成について干渉するということは、結局その団体を御用化する結果にたると思う。ですから私は団結権を認める以上は、その団体の結成については自主的に団体を結成させるという方向へ当局が持つて行くほうがむしろ適当ではないかという工合考えるのでありまするが、その点について質問申上げたのであります。その点を重ねて御答弁願いたいと思います。
  40. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 職員団体に関しまして、御指摘のごとく余りに多くのいろいろの制限を設けますということは、これは適当でないと存じます。この法案におきましても、その意味におきましてどうしても基準を定めておいたほうがよろしいと思う事項は直接法律規定をいたしまして、成べく地方人事委員会規則とか、そういうようなところに任せる余地をできるだけ少くいたしまして、地方に任す点はすべて條例でこれを定めて行こうということにいたしまして、職員団体の権利を強く保障するように配慮しておるのでございます。なお登録の際におきまして、人事委員会がこれを受付をいたすわけでございますが、その際人事委員会といたしましては、要するに法律なり條例に定められておることに合致しておるかどうかということだけを確認するわけでございまして、何ら人事委員会自体がこれに対して自主的なる制限を加えるとか指示を與えるとかいうようなことは適当でないと考えまして、そのようなふうにはいたしていないのでございます。
  41. 堀眞琴

    堀眞琴君 法案によりまするというと、たしか職員団体が人事委員会指示した一定の條項を盛らなければ、登録を拒否することができるということになつてつたと思いますが、その点についてはどうなんですか。
  42. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) その点は先ほども申上げましたように、人事委員会に対して職員団体が規約を定めまして登録を申請しなければならんのでありまして、人事委員会としては、この場合、この法律及びこれに基く條例規定に適合するかどうかということだけを認定するわけでございまして、適合をいたしまするものならば、これを登録をいたしましてその旨を通知しなければならんと、かようにいたしておるのであります。
  43. 堀眞琴

    堀眞琴君 それから交渉の問題でありますが、職員団体として十分にその機能を発揮するというためには、当局に対しまして自由に自主的に対等に交渉することが最もその交渉をして価値あらしあるものだと、こう思うのであります。ところがこの法案によりますると、五十五條でありまするが、「登録を受けた職員団体は、條例で定める條件又は事情の下において、」云々と書いてある。而も、「交渉することができる。」こういうことになつておるのでありまして、「交渉することができる。」ということになりますと、交渉しないこともできると、こういう工合にも解釈できるのではないか。そうしますと、この交渉というものは、殆んど職員団体として当局との間の関係をいわゆる交渉することにならんのではないかという工合考えられるのでありまするが、この点についてはどのように考えられておるか、その点をお尋ねいたしたいと思います。
  44. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 職員団体が交渉をいたします場合のことでございますが、これは特にこの法律に、「條例で定める條件又は事情の下において、」「地方公共団体の当局と交渉することができる。」と謳いましたゆえんは、やはり勤務時間中において、給與を受けるその時間中においてなお且つ交渉できるという意味でこれは書いておるわけでございまして、ただそのような場合におきまして、如何なる場合に最も公務の処理に支障のない状況において交渉ができるかというようなことは、それぞれの地方々々の実情によつてきめたら適当であろうという意味から、これを條例で交渉いたすべき場合、方法等について規定しようということでございます。これも單に人事委員会規則ということではなく、地方議会の議決を経ました條例でこれを定めるということにいたしまして、やはり職員団体並びに職員の権利の保障に支障がないようにしようという配慮をいたしておるのであります。なお「交渉することができる。」と申しまする意味は、勿論御指摘のごとく交渉しないこともできるわけでございまするが、このできると申しまする意味は、要するに交渉権、交渉する権利を與えたという意味でございまして、「交渉することができる。」という以上は、これの相手かたになりまするところの地方公共団体の当局は、これに対して交渉に応じなければならない、こういう半面の義務を当局に課しておるわけでございます。
  45. 堀眞琴

    堀眞琴君 更に第二項におきまして、当該地方公共団体の当局と書面による申合せを行うことができるということになつておるのでありまするが、「申合せ」というものの内容について、協定とどう違うかということについてお尋ねいたしたいと思います。
  46. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この「申合せ」という言葉を何故用いたかということでございますが、この法律におきましては、いささか字句に亘りまして恐縮でございますが、この機関と機関との間の意思の合致のことを協定という言葉で表現をいたすことに統一をいたしております。或る地方団体が試験をいたします場合に、自己の人事委員会が試験いたしませんで、他の人事委員会に委託をして試験をする、或いは他の人事委員会と共同して試験をするという方法を認めておりまするが、これはその人事委員会と他の人事委員会との協定でそういう共同試験或いは委託試験をやる、こういう建前を認めております。又国の例えば人事院でございまするとか或いは地方自治庁でございまするとか、或いは他の都道府県なり市町村の市の人事委員会と或る一つ地方団体の人事委員会とが協定を結んで、いろいろ人事行政に関する情報の交換をするというようなことも別に規定をいたしておりまするが、この場合も要するに機関と機関との間の約束でございまするので、これを協定という言葉で表現をいたしております。そういうふうにこの法律といたしましては、協定という言葉はそのような趣旨においてこれを用いることにいたしたのでございまして、ここで書面による申合せと申しておりまする場合に、協定という言葉を用いますることは、やはりそれらとまぎらわしくなりまするのみならず、その一つ前の項にございまするように、「団体協約を締結す為権利を含まないものとする。」という協約という言葉ともまぎらわしい関係がございますので、別の意味で書面による申合せという言葉を用いた次第でございます。
  47. 堀眞琴

    堀眞琴君 この五十五條を見ますると、第一項につきましても第二項につきましても、要するに職員団体というものはいわゆる労働組合ではなくて、全く当局の御用的な団体であり、対等の立場に立つて交渉するものでもなく、その交渉の結果については單なる書面による申合せということになつているのでありまして、これでは地方公務員身分を保障するという趣旨から申しまして、極めて遺憾ではないか、むしろ団体交渉権をはつきり認めて、書面による申合せではなくて、協約でも協定でもいいですが、そういうようなはつきりした言葉にしたほうが地方公務員法趣旨から申しまして、又地方公務員身分を、保障するという建前から申しましても、そのほうがより適当ではないかと思いますが、その点について岡野国務大臣はどう考えられるか、御答弁を願いたいと思います。
  48. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。法の一貫した趣旨から申しますというと、この職員団体というものは、地方公共団体と対等の関係に置くものじやないと、こういうことを前提にいたしております。でございますが、併し公務員の勤務條件とか給料の値上とか何とかいうことに対しては、これはやはり労務者として一番身近で、又一番大切なことでございますから、これに対する交渉はさせることがいいだろうという考えから交渉権を認めたわけでございます。でございますからそういう趣旨から申しますれば、やはりこの五十五條の程度の交渉権にし、同時に書面による申合せをするということが妥当だろうと私考えます。
  49. 堀眞琴

    堀眞琴君 職員団体を対等の立場に置かないという前提から出発されたということでありまするが、そうすると職員団体というものは全く従属的な立場に置かれる団体だと、こういう工合政府のほうでは解釈されておるのでありますか、この点もう一度お尋ねいたしたいと思います。
  50. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申します。従属的な立場ということがいいか惡いか存じませんけれども、公務員は全体の住民に対して奉仕しておる者、その意味におきましては私は公務員は全体の奉仕者であるという意味においては従属的立場だろうと思います。
  51. 堀眞琴

    堀眞琴君 全体に対して奉仕する、その意味においては全体に対して従属しておる。それは私も決して反対しているわけじやないのです。全体に対しまして地方公務員としては確かに従属しているわけであります。併しいわゆる地方公共団体の長乃至は当局者、これが住民そのものだということにはならんと思う。勿論住民によつて選挙され、住民身分といいますか、或いは住民の権利を代行する機関ではありましようけれども、併しそれは代行するだけに過ぎないのでありまして、住民そのものではないということが考えられると思うのであります。その点につきまして国務大臣のお考えをお願いしたいと思います。
  52. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申します。私の理念といたしましては、公務員という者は全体に対する奉仕者、即ち住民に対する奉仕者である。そうして公共団体の理事者、長という者はこれは住民を代表しておるものでございますから、やはり奉仕される住民、その代表である代表者ということになれば、やはり間接的な従属関係になるんじやないかと、こう考えております。
  53. 堀眞琴

    堀眞琴君 次に、この法律の適用範囲について一、二質問申上げたいのでありまするが、先ず第一に国家公務員法におきましては、たしか国家公務員法の第一條か何かに国家公務員規定が明白に出ているはずであります。憲法何條かに規定した……、国家公務員法の第一條の第一項に、「この法律は、もつぱら日本国憲法第七十三條にいう官吏に関する事務を掌理する基準を定めるものである。」という工合に、この法律対象であるところの国家公務員について明確な規定を設けているのであります。ところがこの地方公務員法案におきましては、地方公務員に対して明確な規定をどこにも設けておらんのでありまするが、その点につきまして岡野国務大臣のお考えをお願いいたしたいと思うのであります。
  54. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 便宜私から答えさせて頂きますが、この国家公務員法におきまして、「第七十三條にいう官吏に関する事務」と申しますることは、要するに官吏という言葉憲法と結びつけて引張つて来ているだけでございまして、然らば官吏とは何ぞやということは、これはやはり直接には規定いたしておらんのでございます。地方公務員法に関しましても、これは地方公務員と申しますれば、一般的には先ず地方公共団体の機関が任命する者であり、又地方公共団体の事務或いは地方公共団体の機関の処理する事務に従事している者であり、又給與地方公共団体から受ける者というようなことによつて、おのずからこれは判定がつくものと考えておるわけでございまして、従つて特に地方公務員とは何ぞやということにつきましての規定を設けなかつた次第であります。
  55. 堀眞琴

    堀眞琴君 法律の適用範囲を明確にするということは、その法律が尊守されることの一つ條件になるものだと思うのです。国家公務員法の第一條というものは、官吏ということをここに持つて来ただけであつて、官吏の内容については何ら説明しておらんというお話でありまするが、併し一応官吏ということで、我々は大体今政府委員説明されたような内容のことを我々は耳にしているのであります。ところが地方公務員法案におきましてはそういう箇條はどこにも書かれていないのであります。第一條、第二條、第三條と全然出ておらないのでありまして、地方公務員というものがどういうものであるかということについて明確なやはり限界を設けることが、この法の効力を確保するということに私はなると思うのでありまするが、その点について国務大臣はどのように考えられるか、御答弁を願いたいと思います。
  56. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 地方公務員につきまして、御指摘のように地方公務員とは何と何を、どういうものを言うということを書きますのも一つ方法と存じまするけれども、今先ほど申上げましたような趣旨において地方公務員というものが理解できますることは、すでにこれは一般の常識にもなつておるわけでありまして、私どもといたしましては、特にこの点に関しまして規定を設ける必要がないと、かように考えたのであります。
  57. 堀眞琴

    堀眞琴君 もう一つ適用範囲について、地方公務員法を設けるとするならば、私は一般行政事務を担当する地方公務員に関して、これを設けるべきであつて、その他の地方公共団体に雇用されている職員に対しては本決案を適用しないということが適当であると思うのでありまするが、その点に関して御答弁を願いたいと思います。
  58. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 行政職に従事しておりまする者についてだけ地方公務員法を適用するというのも、成るほど一つのお考えではございまするが、他面地方公共団体の機関が任命し、地方公共団体から給與を受けておる、又その経営をいたしておりまするところの事業なり事務に従事しておる者でございまするならば、やはり地方自治なる建前から申しまするというと、それらの職員の民主的な能率的な行政運営を保障いたしますような人事制度を打ち立てるということは、やはり同様に必要であると思うのでございまして、今申上げましたような性格から申しますると、即ち任命権の所在とか、給與を受けているという点から申しますと、行政職に従事いたしております者も、いわゆる現業職員につきましても特に差がないのでございますから、そういう面から申しますれば、これはやはり一般的な地方公務員法を作りまして、そういうような職員にも適用して行くということが一つ考えであると思いまして、その趣旨に従つたわけでございます。ただ現業に関しましては、別途にいろいろ政府としても考えておるところがございまするので、その趣旨において、例えば労働基準監督の問題でございまするとかいう点を考えておりますし、又将来の問題としては、この点を特に国家公務員現業職員と併せて考えて行きたいと、かように考えておるのであります。
  59. 堀眞琴

    堀眞琴君 最後にもう一つお伺いしたいのでありまするが、この地方公務員法案は、地方公務員身分を保障するという建前でできておるものでありまして、いわば保護規定の範囲に属するものでございますが、ところが実際の法文を見まするというと、例えば政治活動制限を、制限というよりは禁止を行なつておる。或いは労働関係の保護諸法規が排除されているというような点から申しましても、それから又最後には六十條から六十二條までの三カ條に亘つてかなり苛酷な罰則を設けているのであります。私はこれらの点から申しまして、これはむしろ地方公務員活動を抑制するがための法規である。こういう工合に解釈せざるを得ない結論になると思うのであります。罰則の点について申しますというと、地方公務員法においてしてはならんと規定されている事項については、むしろこれは行政処分を以て十分とするものであつて、その他の刑罰的な事項についてはむしろ刑法にこれを讓るべきじやないか。そのことが地方公務員身分を保障するという建前からいつて適当で、はないかと考えるのでありますが、それらの点を考えまするというと、私どもはこの地方公務員法案地方公務員身分を保護するものではなくて、むしろこれは拘束するために作ろうとするのだという結論に達せざるを得ないと思うのでありまするが、この点に対しまして岡野大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  60. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。私は御説も一応の御尤もなことと存じますが、併しながらこれは提案理由にも申上げましたように、地方自治というものを最も中立的にやつて行きたい。こういう意味から先ず第一に地方行政を円満に円滑に適正に行わせて行くということが一つの狙いでございます。同時にそういたしますと、いろいろ制限規準も置かなければなりません。併しその制限をいたします点におきまして、国家公務員法に準じて行つた公務員法案ではございますけれども、国家公務員法より緩和してある点はいろいろございまして、むしろ現行の国家公務員法に比べれば、大幅に罰則規定なんかは取りはずしておる次第でございます。でございますから現行の国家公務員法があれがとにかく法律として行われておるという時代におきましてこの地方公務員法案が出ますならば、私はむしろ罰則規定なんというものは非常に緩和されておる。こう私は考えておりますから、保護されておるという消極的の部面もある、こうお考え下すつて結構だと思います。
  61. 堀末治

    委員長代理堀末治君) 質疑者の通告の中に岡野国務大臣に御質疑のかたもございますか。
  62. 千葉信

    ○千葉信君 岡野国務大臣に対して御質問申上げます。この地方公務員法案か非常に重要な法案であるということについては私から改めて申上げるまでもなく、地方自治の重要性、或いは百三十万の地方公務員の労務の問題からいいましても、こういう重要な法案というものは私の考えからすれば、少くとも常識的に言つても相当長い期間というものを見て、その中で愼重にあらゆる角度から検討されなければならない。こういう考え方はこれは恐らくどなたも異論のないところだろうと思うわけですが、今度の短かい臨時国会の会期中に、強引にこれを審議し、結論を出してしまおうとする政府態度というのは、何と言いくるめましようとも、これはやはり来年行われるところの地方選挙に対する党利党略に基いた考え以外の何ものでもない。恐らく岡野国務大臣もこれに対しては真つ向からそんなことはないと否定されるでございましよう。併し新聞の伝えるところによりますると、最近岡崎官房長官の談話として、来年の地方選挙の期日について少し延ばしたほうがいいという意見が出ておりまして、そういうことになるとすれば、あえてこの臨時国会でどうしても通さなければならないという強引の態度を一応考慮してもよろしい、こういうふうに非常に正直に、この臨時国会地方公務員法を通そうとしたその底意が奈辺にあつたかということを白状しておられるようでございますが、そういう経過から言いましても、一体内閣としては、或いは又自由党としては、どこまでも理も非もなくこういう短い国会でかかる重要なる法案を強引に押切ろうというお考えをお持ちか。それとも又数日のこの審議の経過から見ても、まだまだあらゆる角度から審議を要するし、時間の点からいつても到底本国会ではたとえ一日ぐらい延期せらるるということがありましても、非常に私はそれだけでは不十分だと、こう考えておるわけですが、この点について岡野国務大臣から党利党略上、選挙対策として、本国会にどうしても通したいのだということは恐らく言われないでしようけれども、少くとも愼承審議する用意をお持ちになつておられるかどうか、この点について先ず簡單に御答弁を承わりたいと思います。
  63. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。この点につきましては私も幾度も御答弁申上げた次第でございますが、改めて連合審査でございますから申上げます。この法案は御承知でもございましようが、国家公務員法と一緒にできなければならん義務付けられた法案であるのであります。時期を申しますれば二十三年の十二月三十一日までにもうできていなければばらないというように法律で拘束をしておる次第でございます。それが遺憾ながら今日まで出ませんといういきさつは、いろいろ関係方面との折衝が行詰りましたり、又その間にいろいろの情勢の変化なんかありまして、案を幾度も幾度も練りまして、そうして今日に至つた次第でございます。でございますから、我々といたしましては、法律を尊重して、そうしてできるだけ早い機会において国会の御審議を願うということが我々の義務でございます。でございますから、でき上り次第如何なる国会においても一つ審議を願いたい、こう存じて出したわけでございます。  それから期間が非常に短いという仰せでございますが、併し御承知でもございましようが、この公務員法案は開会劈頭二十一日に差出したものでございます。でございますから、衆議院で先議いたしますけれども、参議院においても予備審査をして頂きたい。そういたしますれば期間十八日でございますから、重要な法律案ではございますけれども、法案は六十二條でございますので、十分御審議が願えることと存じて出した次第でございます。  又その次に強引にこれを押切ろうとか何とかいうことは、我々政府の者としては考えておりません。一旦国会に提出いたしました以上は、十分御納得の行くような御審議をして頂きまして、そうしてこれを希望といたしますれば、できるだけ早くやつて頂きたい。こういうことを考えておる次第でございます。
  64. 千葉信

    ○千葉信君 この問題に対して私がこれ以上追及いたしても、恐らく大臣の立場としては、表面上の只今の御答弁以外のことは私も御返事頂けないと思いますので、この点については大体追及申上げることを御遠慮申上げ、その次の問題について御質問申上げます。  御承知通りに今度のこの地方公務員法は二十三年の七月に出ましたマツカーサー書簡の理念の上に立つて、そうして先に制定施行された国家公務員法と同様に、今度の地方公務員法もマツカーサの書簡に縁由するものだ、そういう立場からいいますると、私はこの根本の理念となつておるところのいわゆるマツカーサー書簡の考え方というものを、たとえその内容に対するいろいろな批判があるといたしましても、一応それを根本として出るとすれば、我々としてはやはりこの地方公務員法審議するに当つても我々ばかりではなく、これを提案者自身にもその理念の把握を十分に確かめなければならない。いろいろな今までの国家公務員法の実施から得ました経験によりますると、必ずしも国家公務員法そのものが完璧でないばかりでなく、又時にはその明確な法文自体すらも非常に歪曲されて解釈しておる傾向がまま政府当局にも見られておる。こういう点からいいますると、丁度今それと同じ地方公務員法が制定されようとしておる段階でございますから、私はその点についていささか岡野国務大臣に、その理念を十分に把握し、そうして将来この理念の上に立つて正しくこの法律を運行して行かれる覚悟を持つておられるかどうかということに重大な関心を持つておりまするので、以下私は数カ條御質問申上げます。  先ず第一に、今度の地方公務員法国家公務員法の場合と同様に、例えば政治的行為制限であるとか、これは非常に同僚諸君からも種々な角度から論及されたようでございますが、更に又憲法の二十八條が指向するところの労働権の問題にいたしましても、成るほど団結権というようなものは残されていたし、或いは団体交渉の権利があるかのごとく規定されてはおりまするけれども、併しながらたとえどのような形において団結権が存置されたといたしましても、罷業権の伴わないところの団結権などというものは、法理論上更の意味におけるところの団結権ではない。従つてそういう結果からすれば、憲法第二十八條はこの法案が制定されるということによつて蹂躙されるも同様だ、ところがこれに対してマツカーサー書簡は次のように述べておられます。「さらに国家の公益を擁護するために政府職員に課せられた特別の制限があるという事実は、政府に対し常に政府職員福祉ならびに利益のため十分な保護の手段を講じなければならぬ義務を負わしめている。この理念は民主主義社会においては、完全に理解せられ実現せられているのであつて、その故にこそ公職が威嚴と権威と永続性とをそなえており、公職に就き得る機会が広く一般から好ましい特権として認められ、かつ求められているのである。」このうちで重要であると考えられることは、一方において特別の制限があるという事実に対しては、福祉の擁護或いは利益の保護という点について、政府がその保護の責任に任じなければならない、こういうことをこの書簡はその根本の考え方としてはつきりと述べておるのでございます。こういう制限のあるということに対して、一体制限を加えられない場合、つまり団体交渉権にいたしましても罷業権にいたしましても、乃至は憲法の保障するところの政治的行為の自由にいたしましても、一切を享受しておる場合、今設けられようとしておるこの地方公務員法によつて制限が設けられようとしており、設けられた場合におけるところのこれに対する福祉或いは利益、集約的に申上げますると、いろいろな福利厚生施設であるとか、或いは待遇、給與、こういう点について制限を加えられたものと加えられないものの場合には、一体、どのような方法が講ぜられなければならないか。同様の待遇でよろしいか、それとも制限を加えるということの代償としてのより高い待遇というものが当然の結果として必要であるとお考えになるか、その点についての国務大臣の御答弁をお願いいたします。
  65. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。その点につきましてもたびたび繰返し御答弁申上げた次第でございます。併しもう一度詳しく政府当局として御説明申上げます。
  66. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 只今御指摘の点でございますが、マツカーサー書簡に只今お読みになりましたように、政府職員福祉並びに利益を十分に保護するように他面において考えなければならんということは、まさにその通りでございまして、この地方公務員法案におきましても、その趣旨におきまして地方公務員の利益保護に関する各種の用意をいたしておるのであります。罷業権とか或いは労働法上のいわゆる調停、仲裁というような、そういり法規における団体交渉権、或いは団体協約の締結権という、労働法の体系における法規は、公務員の一面の性格でありますところの全体の奉仕者というような点からこれは取入れませんで、公務員法の体系において、それぞれ団結権なり或いは交渉をする権利なりを認めたわけでございまして、憲法が保障しておりまする団結権なり、或いは殊に勤務條件に関する保障は、公務員法の体系の中においてこれは認めているわけでございます。殊に労働基準に関しましては、これを適用する建前にいたしておりまして、ただ二、三地方公務員の性格と相反する点だけを排除しておるような次第でございます。なお地方公務員の待遇なり給與について、今のマツカアーサー書簡の趣旨にありまする利益保護という点をどういうふうに規定しているかということでございまするが、これはこの法案におきましては、地方公務員給與が、同じような性格を持つておりまする国家公務員、或いは他の地方公共団体公務員給與と権衡を失しないようにしなければならんという趣旨を謳つておりまするし、又給與を定めまするに当りましては、国なり地方公務員給與並びに民間事業に従事いたしております者の給與、或いは生計費といつたようなものを十分考慮して給與を定めなければならんというふうにしておりまするのみならず、給與につきましては地方議会の議決を経て定めるところの、條例を以つてこれは定めなければならんという趣旨を明確にいたしております。要するに各地方において全住民の代表者である議会の議決を経た條例を基礎にして給與が定められるようにいたしておるわけでございます。なおその他この法律といたしましては、例えば職階制適用の原則でございますとか、給與に関する人事委の勧告権というような点も、国家公務員につきましてと同様の趣旨において規定をいたしておりまして、このような方法によつて公務員の利益保護ということを規定しておる次第でございます。
  67. 千葉信

    ○千葉信君 私は非常に大事な根本的な問題だと思いますので、できるだけ岡野国務大臣の御答弁をお願いしたいのでございます。いろいろ自治庁から御答弁はありましたけれども、今回の地方公務員法を見ましても、これはやはり国家公務員法と殆ど同様で、むしろ同様だというよりも……、これはあとで御質問申上げまするけれども、一応私どもの見るところでは、国家公務員法よりもより多く利益の保護という趣旨から人事委員会であるとか、或いは公平委員会とか、こういうものを設けるにいたしましても、国家公務員法における場合の人事院自体も、人事院権限というものは何か焦点がぼやけて、非常に権限が稀薄になつておる。こういう感銘を受けているわけでございますが、従つて私ども国家公務員法において集中的に公務員の利益を擁護するという立場において人事院のいわゆる権限なり或いはその権限の行使の條件なりに相当重大な関心を持ちながら、この法案審議しなければならない。こういうふうに考えておるわけでございまするが、一体現在のこの法案に、只今申上げたような点で関連いたしまする国家公務員法におけるところのいわゆる人事院の、公務員の利益の擁護という立場が如何に守られているかどうか、それから又政府自体がこの国家公務員法によるところの人事院の勧告をどの程度入れておるかどうか、こういう点については、これは論議の必要もないと思いますが、こういう形において果して国家公務員の現在の利益の擁護ということが、こういうマツカーサーの書簡に謳われているところの制限を加えた場合の利益の保護、こういうことが行われているとお考えになつておられるかどうか、その点御答弁をお願いいたします。
  68. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。国家公務員法における人事院が、公務員の利益を保護するという建前をそのまま移して、地方公務員においてもとつておる次第でございます。ただ問題は、御承知通り地方公共団体と申しますものは一万幾らでございます。非常に多い、並びに性質の異つたような団体があります。それを総括的にいたしますものですから、非常にぼやけたように思召すと存じますけれども、一番大事な勘どころだけは抑えております。そうしてあとは自治の精神によつて地方団体が條例又は規則によつて適当にこれをやつて行く、こういうふうに考えております。決して公務員の利益を保護しないような、若しくは中央の公務員法における人事院規則のごときやかましいことはしておりません。これは結局不足するところは地方自治に任す、同時に実情に合つた情勢に人事委を運用して行く、こういうような狙いでやつておる次第であります。
  69. 千葉信

    ○千葉信君 私の御質問申上げる要点に答えられておらないようでございますが、国家公務員法に基くところのいわゆる人事院の勧告であるとか、或いはそれに原因するところの政府公務員に対する待遇というものが、これがこの理念に盛られておるように、制限を加えられた場合の保護の責任ということを政府が十分にとつておられるかどうか、申上げるまでもなく諸外国の場合等におきましても、同様に公務員に対しては或る程度制限が加えられております。併し制限があつても、いささかも混乱、紛争を起さないように、それぞれ適当な保護が行われておる。例えば具体的に申しげますと、一般公務員国家公務員等の場合には、一般の労働者よりも遥かに高い水準にある。ところが遺憾ながら現在の日本におきましては、一般職に関する限り民間の労働賃金が九千七百円水準にある、これは大蔵大臣の言明に徴しても明らかでございます。ところが今度の人事院の勧告に対する政府案を見ますると、やつと八千円程度に抑えようとしておる。こういうことが先ほど読みましたマッカーサー書簡によるところの、制限を加えた場合の保護ということを政府の責任とはつきり規定してあるにかかわらず、政府はその保護の責任を果しておらないのではないか。この点について岡野国務大臣は果しておるとお考えになるかどうか、その点を私は御答弁をお願いしておるのでございます。
  70. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。只今の問題は国家公務員の問題だと思いますが、これは御承知でもございましようが、人事院は独立してそういうような勧告をし得ますけれども、併しながら一面又日本の財政の実情というものに会わせて物事を運んで行かなければなりませんから、人事院勧告をそのまま受入れなかつたということは、一にかかつて日本の財政基礎に関することでございます。この財政基礎の如何によりまして十分なる待遇ができないということも甚だ遺憾ではございまするが、止むを得ないことでございます。
  71. 千葉信

    ○千葉信君 そういたしますると、待遇をよくしないということは、財政上の理由によるということについては一応納得するといたしましても、一体それでは制限を加えたということの裏付がどこに求められるか。そうなれば逆にいうと、そういう財政上の理由によつて正当な待遇ができないから、これはやはり或る程度その公務員に対する制限というものを緩和する必要が理論上起つては来はしないか、こういう点については大臣はどうお考えでございますか。
  72. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) どうもちよつと……。
  73. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 給與には十分でない半面の、何といいますか、ギブ・アンド・テークというような形で、給與が十分でなければ制限を緩かにしたらいいじやないかという御議論のようでございますが、これは一つの御議論ではございますけれども、決して地方公務員法案制限をせんがために制限をしておるわけではないわけでございまして、飽くまでも全体の住民に対する奉仕者であるという趣旨を貫かんとする一連の理由から、このような或いは制限を加えるようなところがあろうかと存じますので、これは憲法も又公務員の性格を、全体の奉仕者ということで規定いたしておるわけであります。その趣旨からいたしますところの若干の規定がございますことは、これは止むを得ない結果でございます。
  74. 千葉信

    ○千葉信君 岡野国務大臣は、私の質問申上げておることはわからないとおつしやいますけれども、一体どういう点がおわかりにならないのか。私が今申上げておることは、これは單に今度の地方公務員法の制定の問題を考えた場合は或いはわからないかも知れませんけれども、少くとも先ほど自治庁からも御答弁がありましたように、地方公務員法が制定せられるということになりますと、これはやはりあらゆる角度において国家公務員と同様の措置が講ぜられる。勿論従来から申しましても、地方自治法に基づく地方職員法が、国家公務員法とできるだけ同等の水準において待遇するということになつておるようでございますが、従つてこういうふうな国家公務員法、或いは今度重ねて地方公務員法が制定せられるということになりますと、今申上げたようにこの公務員諸君に、地方国家と限らずこの公務員諸君に加えられるところの制限というものが、結局この待遇そのものを裏付とするものでなければ、政府の責任とはつきりマ書簡にも謳われておるような責任を果すのでなければ……、只今答弁によりますると、これは決して制限ではないと言われるけれども、数日来論議されておる点からいいましても、政治的活動の自由、或いは罷業権の獲得、こういう問題についても明らかに制限が行われようとしておる。そうしてその制限を加えるだけの代償として、或いは又それの救済の措置として国家公務員法における人事院と同様の規定が設けられておる、ところが国家公務員法におけるところの人事院が十分にその職責を果しておらないし、政府又この人事院の勧告に対しても常に蹂躙するような態度をとつておる。そうして公務員の待遇が適正に行われておらないということになりますと、私どもは地方公務員諸君の将来にとつて非常に重要な問題でございますので、政府としてはこの点についてどういうふうに考えておるか、その点を私は御質問申上げておるわけでございます。
  75. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) よくわかりました。御説はとにかく給與が十分でないにかかわらず、こういう制限をすることがおかしいのじやないか、こういうような御質問のようにとれますが、今国家公務員人事院というものがありまして、それによつて公務員のいろいろ給與のことなんかも勧告せられ、そうして政府がどうも財政の都合上十分な人事院の勧告に従うことができん、こういうことは先ほども申上げましたように、中央の財政事情が許さないからどうしてもいけない、こういうことでございます。ところがこれが若し地方公務員でございますと、まあ東京とか大阪というような大きな所になりますれば、国家公務員と同じようにわけのわからんことになるかも知れませんけれども、大体において地方の小さい世帶でございますと、恐らく公務員諸君自分のところの団体はどのくらいな税収入があるか、又どのくらいな平衡交付金をもらえるか、又どのくらいな起債をできるかということがわかりまして、そうして問題ははつきりとして来る次第でございます。でございますから、恐らく中央に勤めておりますところの公務員が、政府には金がない金がないと言うけれども、こんなにあるじやないか、ああいうふうにあるじやないかと、大きな財政の中で、而もその財政がそれぞれ国家のために必要な支出があるということがはつきりと素人目にはわからないで、金があるけれども出してくれぬというところに問題が出ますけれども、併し地方のものになりましたら、そういう世帶が小さくなりまして、はつきりしますから、その点において私は中央の官吏が政府に対して非常にやかましく言われるよりは、地方の官吏のほうがもつとよくわかりやすく、成るほど我我はこうこういう要求を出すけれども、この財政では行かないだろうということがわかり得る機会が多いと思いますから、その意味におきましても、私はこの公務員法に掲げておりますような程度の保護規定で納得の行くような保障ができて進んで行くのではないかと、こう私は考えます。
  76. 千葉信

    ○千葉信君 まああなたも言われるように、スムースな形に行けば、私はちつとも心配しないのでありますが、今の国家公務員法の実績から見ても夢の又夢であります。殊に今度のこの地方公務員法におきまして、国家公務員法の第三條とこの法案の第八條とが対比されるかと思いますが、この場合にも人事院権限というものと今度の人事委員会権限というものが非常にずれて来ておる。人事院国家公務員法の実施の責任を全面的に負つておるけれども、今度の地方公務員法案はその点が明確に規定されておらない。この点に対する大臣の御見解、それから又国家公務員法におけるところの第二十八條の勧告の問題と、本決におけるところの第二十六條の問題、この点については、人事院の勧告は情勢適応の原則に従つて随時これを勧告しなければならない。国会も又政府と同様に、政府国会もこれに対して十分の考慮をして決定をしなければならない。そうして又一年に一回は政府国会に対して状況を報告すると同時に、五分以上の変動があつた場合にはこれに対して勧告をしなければならない。こうなつておりますけれども、本法によりますると、報告の時期を一年に一回勧告することができるとある。しなければならないという言葉とすることができるという言葉には、日本人の感覚からいつて明らかに強弱の相違がある。どうしてこういうような差をつけたか。この点についての大臣の御見解を承わります。
  77. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 第一点といたしましては、これはやはり表現は違つておりますけれども、実質は同じことでございます。それから第二点につきましては、しなければならないというのと、それからできるということでございますから、これはやはり地方における自主権を認めまして、そうしてできるならば地方公共団体がおのおの自分の自由裁量によつてやる。若しこれが必要であるならば條例を以てこれをすることにすればいいように私は考えます。
  78. 千葉信

    ○千葉信君 今後の問題としていろいろ地方公務員給與の問題、厚生福利の施設等は非常に重要でございますけれども、私は一応この法案審議するに当つては現在の地方公務員の待遇水準というものがどういう形にあるかということが、この法案審議の上に非常に参考にもなるし、又或る程度この法案審議の上に影響を持つものだという、そういう考え方を以ちまして、実は連合委員会の劈頭におきまして地方公務員の待遇のあり方ということと、国家公務員の現在の待遇水準というものとの比較の私は資料を御提出願つたのでございます。ところがそれに対して地方自治庁のほうから出て参りました資料を見ますと、誠に不誠意極まる、インチキ極まる資料を平気で出して来られた。現状の比較表だといつて出して来られた地方公務員のいわゆる賃金ベースの数字というのは、昭和二十四年の一月一日の資料を出して来られた。そうして現状だと名乗つていて、一般職の政府職員の賃金ベースの点につきましては、どこからこの数字が出たか疑わざるを得ない。一体現在の国家公務員の賃金ベースのこの数字はいつに基礎を求められて比較されたか、この点を承わりたいと思います。
  79. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 政府委員からお答え申上げます。
  80. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは地方職員給與に関する調を差上げたのでございます、御承知のように地方公務員は一万数百の団体に勤務しておるわけでございまして、地方財政平衡交付金の財政需要の算定等につきましても、御承知のごとく非常に苦労をしておるわけであります。殊に給與の実態の問題になつて参りますと、いよいよこの調査というものは非常にむずかしくございまして、報告をお願いいたしましても、なかなかその期限通りには参りませんし、又その定められましたような様式による報告が必ずしも参らないのであります。そこでいろいろ資料としてはとるべきものがあるわけでございまするが、最も最近において最も確実と考えられるものを差上げたわけでございまして、お手許に差上げました地方職員給與調は二十四年の十月の調でございます。そういうような意味において御了承願いたいと思います。
  81. 千葉信

    ○千葉信君 只今の御答弁では二十四年の十月の調だということになつておりますが、遺憾ながら只今の提出せられておる資料によりますと、その数字が二十四年の一月一日の数字と符節を合わしておりますが、これはどういうことでございましようか。それから成るほどいろいろな点から地方自治庁のほうでは、全体の計数ということはなかなか集計困難であるということはわかるのでありまするけれども、それならそれで正直に、そういう点についてこの資料に説明を加えて御提出願いたかつた。よく見て初めてわかつたのでございますが、大体この調べておりまする、昭和二十四年の一月一日の調査というものも、成るほど地方公務員の全体の数字というのは計上されておるし、更にその平均の賃金が計上されておりまするけれども、この人員の点は何ら調査したという数字ではなくして、ただ單にそれだけいるという数字に過ぎない。そうしてその末端のほうに、実際に元の調はどういうところから調べたかといいますと、ここに書いてあるのによりますると、二十四年の一月現在により地方の事務部局の職員についてだけ調べた。こういう数字が私どもの参考にならないことは明らかである。これはもう当然その水準というのはぐんと上つた形において結論が出て来るということは誰が考えてもこれは明らかでございます。それから又もう一つは、国家公務員の現在におけるところの給與水準というのは六千三百二十一円、大蔵省の本年六月一日の調によりますると、同種の給與全体を集計した場合の平均が六千五百五十六円、大蔵省の発表しておりまするのと、なぜ自治庁の発表した数字がこういうふうに違うのか、この点についての御答弁を承わりたいと思います。
  82. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 資料の点についていろいろ御不満の点があろうと存じますが、その点私ども大変恐縮に存じておりまするけれども、何分給與に関しまして現在何といいますか、法的に地方からこれを提出いたして頂きます根拠がございません。ございませんが、特に地方の厚意に依頼いたしまして、私どもこういう調査をいたしておるのでございますけれども、都道府県に関しまする限りは割合に数も少くございますし、事務職員も比較的揃つておりまするから、割合にとりやすいのでございまするが、市町村の点に至りますると、これは非常に困難でございます。殊に公務員の職與に関しまして、だんだんと終戦後やかましくなつて来たわけでございますが、どうもいろいろの本当給與の実態の調というものが、私ども給與実態調査というようなものを一昨年いたしました。いたしましたが、何と申しましてもこれは抽出的な調査しかできませんので、全体の調査をいたしますということになりますと、やはり国勢調査というようなそのくらいの大きな、大掛りな方式で相当多額の経費を出しませんと相整いませんのであります。そういう機会を私ども持ちたいと思つておりますが、何分現在の状況におきましては、この程度のことしかできなかつたのでございまして、この点は十分一つ御了承を頂きたいと思うのであります。  なお大蔵省の数字と地方自治庁が発表いたしました数字とが食い違いがあるということでございますが、大蔵省におきましては、恐らく大蔵省の財務部の系統によつて調査をいたしましたものをお持ちになつておられるのじやないかと思いますが、地方自治庁におきましては、地方自治庁自体が地方公務員について調べましたもの、或いは地方財政委員会が調べましたものを利用いたしております。なお国家公務員についての数字は、地方自治庁は人事院の数字をとつておる次第であります。
  83. 原虎一

    ○原虎一君 前以て政府委員出席をお願いして置きますが、労働大臣、それから法務府関係のかたをできるだけお呼び願いたいと思います。  先ず第一に岡野国務大臣にお尋ねいたしますが、先ほど他の委員からの質問に対して、この法案の緊急性について御説明があつた。それを承わりますと、二十三年の十二月に作らなければならなかつたこの法律が、今日までできていない、であるからこの国会において制定されることを希望するという御希望であつたのであります。法律を尊重する意味でというお言葉もありましたが、法律を尊重されるという言葉を聞いて甚だ意を強くしたのでありますが、吉田総理の下に岡野国務大臣法律を尊重しなければならんというお言葉が出ることは我々大いに意を強くするところで、国会開会中においても国会の議を経なければならない当然な案件をポツダム政令によつてやられる、来して憲法を尊重する意思ありやいなや疑わざるを得ない。その総理の下におられる岡野国務大臣が、地方公務員法だけは法律を尊重して早くやりたい。誠に御勝手な御意見ではないかと言わざるを得ないのであります。先ず法律を尊重されるならば、(「本論」と呼ぶ者あり)総理から十分に法律を尊重されるように、憲法を尊重されるように(「大きなことを言うな」「本論をやれ」と呼ぶ者あり)お考え願いたい。委員長質問者以外の発言を許しておると混乱しても知りませんぜ。
  84. 堀末治

    委員長代理堀末治君) 静粛に願います。
  85. 原虎一

    ○原虎一君 そこで(「委員長、議場整理をしないと」と呼ぶ者あり)この法律の制定をしなければならないということは、今、岡野大臣が言われまするように、法律を尊重して制定する、それ以外に何らの理由がないのであります。それだけを先ずお伺いしたいと思います。
  86. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) この公務員法案が出されなければならない、又早く出されねばならんということは、先ほどお褒めの言葉を頂きましたように法律を尊重しなければならんということに盡きるわけでございますが、この公務員法は御承知通り、この新憲法ができまして、地方自治ということに重点を置きまして、地方自治の確立が即ち民主主義政治の根幹をなすものである、こういうような我々理念に立つておりまして、そういたしまするならば、新自治法ができましたにかかわらず、今地方公務員が縛られておりますところの法律と申しますのは、実に千差万別、種々雑多でございまして、而もその中には一部死文に化したものもございますし、明治時代にできたようなものを引用しておりましたり、又元、国家公務員が縛られておつたような法律で、今のところではもうすでに国家公務員を縛る資格のないようなもので縛られておつたり、そんなことがございますので、まあ自治確立の意味において新自治法が出まして、その新自治法に従つて新らしい自治行政をやつて行くのにはその官吏は如何に服務して行くかということを体系付けて、そうして今日のこの法案を提出した次第でございます。でございますから、一面におきまして法律によつてこういう法案を出さなければならないということに義務付けられておりますこと、即ち法律を尊重して法案を出し、同時にその法案を何故出さなければならなくなつたかと申しますと、新憲法並びに新自治法によりまして新らしい自治制度ができた、それに対して新らしい自治制度の下において務めて行くところの地方公務員が、古い制度の官吏服務紀律であるとか、若しくは何やらとかいろいろな旧式な、すでに死文化し、又時代に合わないで適用されないような規則、規律によつてそうして服務して行かなければならない、これは面白くない。でございますから最も近代的な案を一つまとめまして、そうして地方公務員の執務の基準にして行きたいと、こういう考えからこの法案を出すことになつたわけであります。
  87. 原虎一

    ○原虎一君 新憲法はできましたのがずつと前でありますから、ここ二年間というものは……。それ以前に新憲法はできております。でこの二年間というものは、こういう地方公務員法というようなものを作らなくても、国家公務員法ができまして、政令第二百一号でやつて来ておつたわけであります。そうしてこの僅か会期二週間余り、二十日に足らないところの臨時国会審議しなければならないということは、これは私は今岡野国務大臣の御説明では納得できない、何らかの緊急性がなければならないと思うのでありますが、この点は別に今御説明以外の緊急性はありませんですか。
  88. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。会期が短いからこういうような重要法案審議しろというのは無理じやないか、こういう御趣旨のようでございますが、併し先ほども申上げましたように、成るほど重要なる法案ではございますけれども、これを今日まで作り上げますまでにはいろいろ各方面意見も聽取いたしまして、大体において知事、市町村長並びに県会議員、それから市町村会議員というような連中、又労働組合の連中、そういう方面意見も叩きまして、練ることは十分練つて出しておる次第でございます。そういうようにしまして、大体各方面意見を聽取して作り上げました法案であると同時に、先ほど申上げましたように短いとは申しますが、併し十八日間ある開会劈頭に出して両院で並行して御審議を願つた、こういう次第でございますから、私はそう大して無理じやないというような感じを持つておるのであります。併しながら国会における審議権は、これも憲法の條章に従いまして、政府といたしましては尊重いたしておりますから、会期が短いにかかわらず御審議をお願いすることは甚だ無理とは存じますけれども、政府自身といたしましては、余り短い期間でもないように感じておる次第でございます。その点は或いは御意見と相違するかとも存じますが、まあ私の心境を申上げますればそういうふうなことであります。
  89. 原虎一

    ○原虎一君 大臣が言われるほど私は会期が短いところへこういう重要法案を出して、余りに審議を急がすことは不都合ではないか、こういう意味でお伺いしておるわけではありません。併しながら通常国会というものがもう目の前にある臨時国会でありまして、その場合の臨時国会にいの一番にお出しになつたということは、政府の誠意のほどを私どもは認めるのでありますけれども、何も臨時国会に出さなければならないという緊急性が実は私どもには納得できなかつたのであります。この点はたびたび他の機会にも御答弁になつておるようでありますから、先に移りまして、もう一つお伺いしたい点は、政令第二百一号で今日地方公務員は律せられておるが、政令第二百一号で律せられておることによつて、この法律が本国会を通過して行かなければ非常に不都合が生ずる、政令第二百一号では地方行政に非常に差障りがあるのだ、こういう点があるのかないのか、この点を一つ地方公務員が現在政令第二百一号によつて律せられておる、そのために非常に、不都合があるのだからこの法律を早くきめなければならん、こういう点があるかないか、この点をお伺いしたい。
  90. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。政令二百一号で規定されておるのでございますが、あれは御承知通り切捨て御免になつておるのでございます。でございますが、この法案ではそういうことをせずに、いろいろ先般来御説明申上げておりますように保護規定を織り込んだ新体系のものでありますから、むしろ政令第二百一号によつて縛られるよりは、この法案のほうが公務員の利益を保護しておるという点が明らかになつておる次第でございます。
  91. 原虎一

    ○原虎一君 これはちよつと私は大臣のお言葉としては了解できないのでありますが、政令二百一号で律せられておる公務員は気の毒であるからこの法律を作るのだ、こういう御答弁でありますが、これでよろしうございますか。
  92. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 私は政令二百一号で縛られるよりは、この公務員法によつて保護されたほうがいいと言うのであります。
  93. 原虎一

    ○原虎一君 そういたしますと、私と見解を大分異にいたしますので、誠にお手数でありますけれども政令二百一号による公務員の規律と、この法律によつて保護される点を、要点を御説明を、対比して御説明を願いたいと思います。
  94. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 一切承わりました。詳しく政府委員から御答弁いたさせます。
  95. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 政令二百一号と地方公務員法案の差違の主要な点を申上げます。政令二百一号におきましては、御承知のように只今大臣からも申上げましたごとく不当労働行為によりまする場合以外におきましては、例えば懲戒免職をせられたとかいうような場合におきまして、地労委に持出して参りますることは勿論できませんし、又事後におきまして地方団体の何らかの機関がこれを審査するというような方法が全然ないわけでございますが、この地方公務員法案によりますと、不利益処分審査という形におきまして、そういう例えば懲戒免職されましたような場合におきましても、事後これを審査をし、場合によれば懲戒処分を取消す、或いは原状回復のためのいろいろな指示をするというようなことができるわけであります。そういう意味の利益保障が政令二百一号にはないという点が、この地方公務員法案と変つておる大きな点の一つであります。なお附随的に幾つか申上げますれば、例えば当局と交渉をいたしまする場合におきまして、書面による申合せを結ぶことができるという点でございまするが、この点も法律の上にはつきりと確認をいたしておるという点において、政令二百一号よりも地方公務員法案のほうが公務員の利益を保護するに適切である、かように考えておるのでございます。大体主なる点と申しますれば以上のような点であると思いまするが、更に附言をいたしますれば、例えば勤務條件に関しまして、給與とかそういうものに関しまして積極的に一つ給與の状況を改善してもらいたい、こういう行政措置を当局に要求をいたしますることは、この政令二百一号並びに現状におきましては、何ら法的の保障がないのでございまするが、この法案におきましては、そのような場合におきましても行政措置審査の請求をいたしまして、正式に人事委員会にこれを持出しまして、人事委員会がこれを審査をする。自分でやることは自分でやる、他の機関がやるべきことについては勧告するというような措置を講じておりまして、要するに積極的並びに消極的な両面から利益保護を図ることをこの法案考えております。この点が政令二百一号との差違の主要なる点であります。
  96. 原虎一

    ○原虎一君 大変利益があるように当局はお考えになつているようでありますが、私は今の御説明では利益はないとは申しませんが、そのためにこの法律ができてどれだけ効果があるかということは、これから又質問申上げますればわかると思いますが、この不当労働行為というようなものに対しては、この法律によりますと、人事委員会若しくは公平委員会によつて審議決定されるという程度のものだと思いますが、それ以上何か利益がありますか。
  97. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 人事委員会によつて決定されるということでございまするが、これにつきましてま先ほども申上げましたように、例えば解雇等につきましてこれを取消すとか、或いは元に遡つて解雇された時代からそれが取消された時代までの間の給與を支拂うとか、原状回復指示人事委員会がするようになつておりますが、その指示に若しも任命権者が従わないというような場合におきましては、これ又刑罰を課せられるというようなことによつて、利益保障を厚くいたしておるのであります。
  98. 原虎一

    ○原虎一君 人事委員会の勧告を聞かなかつた場合というのは、不当労働行為の範囲でありまして、この法律の制定の骨子と申しますものは、一方に団体交渉のごとき憲法で認められておるところの人権というものを剥奪する代りに、労働條件というものを人事委員会或いは公平委員会によつて審議され、その勧告によつて改善されて行くところにあると思うのです。そこでこの労働條件、勤務條件、或いは給與に関する問題については利益はどの程度ありましようか。
  99. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この点は先ほど千葉さんの御指摘になりました問題と関連いたしておるわけでございますが、最も基本的な問題として給與の点を考えますると、給與は生計費なり、或いは国なり他の地方公共団体職員給與、或いは民間の従業者の給與というようなことを考慮して定めなければならん。或いは国なり他の地方公共団体公務員給與と権衡を失しないようにしなければならんというふうな意味の配慮を規定しております。更に情勢適応の原則並びに給與に関しましての人事委員会の勧告権を決定しておるわけでございまして、こういうようなことによりまして、給與につきましての條件の改善が可能であろうと存じます。なお先に申上げました給與をベース・アップしてくれというような一つの要求をいたしまして、それに基いて今の勧告をするというようなことが、他面書面による申合を結ぶときにおける交渉を認めることと相待ちまして、地方公務員給與に関しましては現状よりはこれは遙かに各種の手段による保障が可能になつて来ると思います。
  100. 原虎一

    ○原虎一君 公務員の利益の問題については、今御説明があつた程度だと思うが、ところが最も国民生活の上に希望を抱かしめるところのいわゆる政治活動というものを禁止してしまうわけであります。今日地方公務員の中に給與に関するいろいろな改善の要求は当然あります。と申しますのは今政府委員説明をされましたように、人事院の勧告が本当に尊重されて今日まで来ていない。幾度か人事院政府に向つて国家公務員給與の改善を勧告いたしましても、今日まで放任されておる。だから今政府委員説明されるようなことによつて、果して自分たちの給與人事院の勧告若しくは公平委員会の勧告通りになされるかどうかということについては大なる疑問を持つて知る。一方政府がこの法律を制定することによつて公務員の希望を充たす途を開くということを大きく取上げておりますけれども、その途を開くということが、今説明をいたしましたごとく大きな希望を抱かせ得ない状態で、一方国民の生活に必要なる政治活動というものが、制限されてしまう、一体これが国民にとつて、或いは地方公務員にとつてプラスになるでありましようか。その点を一つ伺いたいと思います。
  101. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 給與につきまして各種の公務員意見を表明する途、交渉する途を開きまして、又人事委員会に対していろいろのことを要求いたしまして、そういうよう方法給與の改善を図る方式を考えておるわけでございますが、それによつて果して給與の改善ができるかどうかということについての御心配は御尤もであります。この地方の財源が確保せられますならば、このような方式によりまして地方公務員給與は極めて円滑に且つ適正に維持せられるであろうということを期待しておるのでございます。何分にも現在の地方財政は、まだこれが確立するという段階には至つておりませんので、従つてそのような事態の下におきましては、或いはすべての状態が満足されるということには相成らんかと思います。これは私ども甚だ遺憾とは存じておりますけれども、やはりこのような公正なる一つの途を開きまして、少しでも給與の改善が可能であるようにいたしますることは、このような状況の下におきましてもなお十分理由があることであると存じまするし、地方財政の確立は確立として、これは又大いに今後考えて行かなければならないと私ども考えておるのであります。
  102. 原虎一

    ○原虎一君 労働大臣は見えておりますか。
  103. 堀末治

    委員長代理堀末治君) いいえ。
  104. 原虎一

    ○原虎一君 それではその前に岡野国務大臣に確認をして置いて頂きたいと思いますが、只今まで鈴木政府委員説明いたしましたことは、大臣もその点について御異論はない、全部御承認なさいますか。
  105. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申しげます。政府委員と私とは一心同体でありまして、政府委員が申上げましたことは私の足りないことを補足し、同時に詳しく説明申上げたことでありますので、政府委員の申上げましたことにつきましては同感でございますし、責任を負います。
  106. 原虎一

    ○原虎一君 労働大臣見えましたか。
  107. 堀末治

    委員長代理堀末治君) 今見えますが。
  108. 原虎一

    ○原虎一君 それでは労働大臣が見えますまでにほかのほうをお伺いいたします。その前に……。
  109. 堀末治

    委員長代理堀末治君) 法制意見長官が見えておりますが、如何ですか。
  110. 原虎一

    ○原虎一君 部分的にのみは行きませんので、暫くお待ち願いたいと思うのですが、條章を突いて行くときに御意見を伺つてお答え願いたいと、御了承願いたいと思うのです。
  111. 堀末治

  112. 原虎一

    ○原虎一君 それでは委員長に前以てお断りいたしますが、御承知のようにこの連合委員会では、一般質問が終りますれば、その主査であるところの人事委員会が條章に亘つて質疑応答をされ、最後に討論をされるのでありますから、その機会に我々労働委員出席できれば別でありまするが、できないのが普通でありまするから、大体或る程度まで條章を追つて政府の見解を質して置きたいと思います。あらかじめ御了解を願つて置きたいと思います。  それで第一に地方公務員の範囲であります。これは大体明確に出ておるようでありますが、ここに問題は、四頁、五頁、六頁に亘りますこの地方公務員というものの範囲の中に、單純労務者、地方公共団体の單純労務者をやはり特別に扱うか、一般職としてこれに入れるかという問題であります。政府当局も御存じだと思いまするが、例えば東京都のごときは公園におけるところの掃除をする、或いは道路を掃除する、或いは汚物の運搬に当る、いろいろのこういう單純労務者の諸君を、地方行政の事務、行政事務を扱う者と同様に律するということは不都合ではないか、これに対して政府はやはり一般職として同一に扱う御意思であるかどうか。又そういうふうに條文はなつておるように伺いますが、この点に対する御見解をお述べ願いたいと思います。
  113. 堀末治

    委員長代理堀末治君) 岡野国務大臣への質問ですか。
  114. 原虎一

    ○原虎一君 それは大臣でなくて、條章でございますから政府委員でよろしうございます。
  115. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 地方公務員の範囲の問題についてのお尋ねでございますが、今現業職員をどういうふうに扱うかということにつきましての御意見でございますが、行政事務に従事いたしまする者と、いわゆる現業に従事いたしまする者と、その従事いたしまする勤務の対象といたしましては御指摘のように違う点があるのでございまするが、地方公共団体から給與を受けておるという点、或いは地方公共団体の機関が任命をするという点におきましてはやはり行政職員と同じような地位でございまするので、そういう意味でこの地方公務員法案におきましては、一応現業職員に関しましてもこの地方公務員法案を適用する建前をとつております。従つてこれを一般職という考え方にいたしておりまするが、将来の問題といたしましては、国家公務員現業の問題と併せて考究をいたしたいと、かように今考えておるのでございます。
  116. 原虎一

    ○原虎一君 そういたしますと、この法律が効力を発しますれば、その後におきましては地方公共団体が條例その他によつてこれを省くという、この單純労務者を除くということは不可能でありますか、可能でありますか。
  117. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この法律建前といたしましては、お話のようなことは不可能でございます。
  118. 原虎一

    ○原虎一君 法制局の御見解も同様でありましようか。
  119. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 只今政府委員がお答えいたしました通りに了解いたしております。
  120. 堀末治

    委員長代理堀末治君) 幸い労働大臣が見えられましたから、一つ労働大臣に……。
  121. 原虎一

    ○原虎一君 法制局で、この條章の関係において明確なる御答弁を願いたいと思います。
  122. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 五十七條に関連をしてのお尋ねのようでございますが、職務と責任の特殊性がありまする地方公務員に対しましては、別に法律で特例を定めるということにいたしております。でこの趣旨は、現在考えておりまするのは、教育公務員でございまするが、若しも将来只今申上げましたような研究の結果として、現業地方公務員に関しましては特例を設けるということに相成りまするならば、この五十七條を根拠として特例を別に法律で設ける。こういうことに相成ると思います。
  123. 原虎一

    ○原虎一君 その五十七條関係でありますが、先ほど申しましたのは、私は先ほどもお断りしておりまするように、條章に基いて行きまするけれども、そう細かくやつておらないのですが、まあ私としては大まかに基本的なものを多くしているのです。従つてこの法律が制定されるということになれば、どの條章に基いても、地方公共団体が特例を設けて單純労務者を除外するということはできないという先ほどの御答弁がありました。そこで法制局はそうなるということを條章に基いて御説明を願いたい。こう言つているわけです。
  124. 林修三

    政府委員(林修三君) お答えいたします。この地方公務員法案の第五十七條におきまして、職員のうちその職務と責任の特殊性に基いて特例を必要とする者は、別に法律で定めるということになつておりまして、ここに申します職員は、一般職の職員ということが法律案の第三條に出ております。その結果といたしまして、五條で一般職と特別職の区別をいたしまして、第三條で特別職として列挙しておりません公務員は全部一般職になつております。従つて今の現業職員は、一応一般職の職員といたしまして、これに関する法律の特例は五十七條を根拠とすることによつてのみ規定することになつております。
  125. 原虎一

    ○原虎一君 そこで岡野国務大臣にお伺いするのでありますが、こうした單純労務までもこの法律によつて実施しなければならんところの根拠、これは法制技術者としては、或いは一官僚としてはそういうことを考えるかも知れませんけれども、国の政治を扱われるところの、地方行政を担任される国務大臣として、そういう單純な汚物を処理するような人までもこの法律で実施しなければならん。ただ給與公共団体から支給を受けるから、汚物を処理する人も或いは極端に言えば火葬場の従事員もこの法律の適用を受けなければならんということは、政治家として妥当な法律とお考えになりますか。
  126. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。原さんのお説至極御尤もでございまして、私も同感でございますが、御承知通り国家公務員のほうではやはりそういうふうな汚物なんかございませんけれども、地方公務員の中でいわゆる現業と称せられるもので行政面にタッチしていないというような職員、これはたくさんございます。これは種類は非常にたくさんございます。それでありますから、初めの意見といたしましては、何とか別の取扱いにしたいと考えておつたのでありますけれども、地方公務員というものは技術的の観点から行きますというと、やはり一般職の中に入るのだからこれで縛る、縛るというとおかしいですけれ場ども、(笑声)その中に入れて置くことにしたわけでございます。私のほうの考えといたしましては、将来そういうふうな現業職員につきましては特別の法律を出そうという下心を以ちまして、この五十七條というものを特別に附加えたわけでございます。いずれそれは研究の結果適当な法律を出すことになるだろうと思います。
  127. 原虎一

    ○原虎一君 労働大臣に折角御出席を願つておりますが、そこで労働法によりまするところの労働者という定義は、非常に変つて参りつつあると思います。御承知のように労働法の第三條は、私が申上げますまでもなく労働大臣はよく御存じのかたでありまして、念のために読みますると、「この法律で「労働者」とは職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる收入によつて生活するものをいう。」「地方公共団体の警察吏員及び消防吏員は、労働組合を結成し、又は労働組合に加入することができない。」、この地方公共団体の警察吏員と消防吏員のみは労働組合に加入できないのでございますが、この法律ができますと、公務員は労働組合を作ることができない。そういうと労働組合法の労働者という定義も直さなければなりませんし、この三條を改正しなければならんと思いまするが、労働大臣のお考えをお伺いいたします。
  128. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 御指摘の点につきまして、労働者として法律の解釈を、殊に考え方を変えて行くということはございませんので、ただ問題になつております地方公務員関係におきましては、あたかも国家公務員のかたがたに対する措置と同様に、全体の奉仕者であるという特殊な任務につきまして、いわゆる公務員制度、中央地方を通ずる公務員制度を確立いたします。その上からいわゆる労働法上の或る程度の適用性ということは止むを得ない、法律でやつております。労働者の解釈を労働省は決して変えてはおりません。御了承願います。
  129. 原虎一

    ○原虎一君 私がお尋ねしているのは、この労働者の定義と、それから地方公共団体の警察吏員及び消防吏員のみがこの労働組合を作ることができないのでありまして、この法律だけを見るときは、当然他の吏員もできるのであります。そういう点についてこれは書いてなくて、別な法律によつて、單独法によつて消防吏員の団結が禁止されている法律が別にある、或いは警察官の団結を禁止している法律は別にあるというならば、地方公務員も又別な法律によつて單独法によつて団結権を禁止されるべきであつて、この労働組合法第三條だけで行きますれば、そういう地方公務員だけ除いて、警察官と消防吏員だけになつているわけなんです。それで私は法体系の上から言つて法制局長等のお考えをお伺いしたい。
  130. 林修三

    政府委員(林修三君) これは労働組合法制定当時におきましては、第四條がございまして、第三條の範囲には地方公務員が入つてつたわけであると思います。従つてこの第四條で地方団体の警察吏員と消防吏員とに対しての組合結成を許しておつた。今度のこの地方公務員法においては国家公務員法の場合と同様に第五十八條におきまして労働組合法の適用を排除いたしております。従つてその結果といたしまして、地方公務員法が成立いたします曉におきましては、労働組合法第三條の職員の範囲からは地方公務員の範囲が拔けて来る、こういうことに相成ろうかと思います。従つてこの第四條の規定、公僕たる地方公務員の点から実質上何と申しますか、これと同様な規定地方公務員法のうちに謳われておりますから、実質的に意味のない規定に相成つておる、こういうことに相成ると思います。
  131. 原虎一

    ○原虎一君 この点は後日に讓りまして、次へ進みたいと思います。これは労働大臣並びに岡野国務大臣にお伺いいたします。職員団体と団体交渉の問題であります。第五十二條によつて職員団体、第五十三條によつて団体の登録というものが出ているのでありまするが、第五十五條におきまして「登録を受けた職員団体は、條例で定める條件又は事情の下において、職員給與、勤務時間その他の勤務條件に関し、当該地方公共団体の当局と交渉することができる。なお、これに附帶して社交的又は厚生的活動を含む適法な目的のため交渉することを防げない。但し、これらの交渉は、当該地方公共団体の当局と団体協約を締結する権利を含まないものとする。」ということになつており、その第二項におきましては終いのほうに「当該地方公共団体の当局と書面による申合せを結ぶことができる。」そこでこの「団体協約を締結する権利を含まない」、この点の具体的権利を有しないが、あとで書面による申合せができるということはどういうことであるか。又その書面によつて結ばれたところの申合せというものはどういう法的根拠により得るものであるか。その点についての御説明を願いたいと思います。
  132. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。この但書に書いてありまする「団体協約の権利を含まないものとする。」ということは、これは労働組合法なんかでいいます罷業権とか、争議権とかいうものを伴うような協約をすることはできないというような意味に解しておるわけでございます。それからあとの「書面による申合せを結ぶことができる。」と申しまするのは、御承知通り公務員の利益を保護する意味におきまして、給與とか、勤務時間その他勤務條件に関して條例規則に違反しない限りは当局と交渉をすることができる。その点においてはいわゆる交渉権を持つておるのでございます。交渉権を持つております以上は、そのところに、話合の結果に必ずそこに結論が出て来ると思います。その結論が出て来まするが、たとえこれが口頭の約束であつても約束は約束でございます。でありますから、その約束をあとでいざこざの起きませんようにちやんと申合せを書いたものを取り交して置くということもできると、こういうように御解釈下さつて結構でございます。    〔委員長代理堀末治君退席、委員長着席〕
  133. 原虎一

    ○原虎一君 労働大臣の解釈を。
  134. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 岡野国務大臣の御答弁で御了承願います。
  135. 原虎一

    ○原虎一君 今の国務大臣の御答弁を伺いますと、「団体協約を締結する権利を含まない」ということは、罷業権を有するような団体協約とはどういうものですか。私の解するところでは団体協約というものは罷業権のないものでも協約を結ぶことは当然できる。団体協約をやるという団結権のなかに罷業権が含まれるのであつて、団体協約は罷業権がなくてもできる。それから罷業権を持つような団体協約を締結する権利を含まないというこれは私は了解できない。団体協約とは如何なるものか、この解釈を一つ
  136. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 今まで労働組合法が適用されておりましたものですから、そうしますと、団体協約をいたしておつたわけであります。団体協約をいたしておりますと、罷業権、争議権というものが伴つて今まで行われておつたわけでございますが、この新法におきましては、そういうふうな労働組合法にいうごとき団体協約というものはする権利はない。併しながら勤務條件とか何とかいう意味で当局とお互いに交渉することができるという交渉権を與えた。その交渉権に対しては書いたもので申合せをすることができる。こういうことになつておる次第であります。
  137. 原虎一

    ○原虎一君 団体協約というここで使つておる団体協約の定義は明らかでない。今岡野国務大臣が言われますように、団体協約の締結の権利を含まない。今団体協約を結べば罷業権があるとか、ないとか言いますけれども、団体協約は罷業権を持つたものでも団体と団体の協約はあり得ると思います。この点が明確に私にはわからない。従つて第三項で受けておりますところの申合せを書類で作るということは一つの協約ではない。団体協約とか何とかいう、これを団体協約とかいうこういう文字によつて考えになつておるのじやないかということを考えますが、協約には違いない、申合せは……従つて協約でありますが、それに違反したものに対する何らかの処置制裁が行われるところがなければならない。口頭であろうと或いはそれを確認するための申合せ書類でありますならば、その申合せは私は飽くまで職員団体と地方自治体の代表者である長との協約である。その協約に違反したものに対する処置は当然行われなければならない。従つて「団体協約を結ぶ権利を含まない」というこの言著は私はどうも理解できない。この点を……。
  138. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この「団体協約を締結する権利を含まないものとする。」ということにつきましては、只今岡野国務大臣から申上げたことく、労働法等におきまして規定をせられておりますところの罷業権、或いは協約を履行しなかつた場合の、調停仲裁の制度というようなものの裏付によりまするところのいわゆる団体協約、こういうものを「締結する権利を含まない」、こういうふうな趣旨でございまして、お話のようにこの点は実は労働組合法なり、労働関係調整法を排除いたしておりまするから、当然の事理でございますけれども、この点を更に明確ならしあるためにこの点に謳てあるわけでございます。交渉の結果といたしまして、当局と職員団体との間に意思の合致がございまするならば、その意思が合致するという点において一つの約束が成立するわけでございます。これを協定と申すか、或いは申合せと申すか、協約と申すか、言葉は用語だけを取出して考えて見まするというと、大差ないと存じまするが、団体協約という言葉につきましては、今申上げましたような意味におきまする一つの労働法上の言葉に相成つておりまするので、この公務員法の体系におきましては、それと別個の形におきまして書類による申合せというふうにいたした次第であります。
  139. 原虎一

    ○原虎一君 それならばやはり私が先ほど申しましたように、地方公共団体の長とそれから職員の団体の代表者とがここで申合せをするということは一種の契約である。その契約に対して契約を履行しなかつたものに対する制裁はどこでどう行われますか。その点を明らかにして頂きたい。
  140. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 両者の間に意思が、合致いたしました事項がございまする場合におきましては、これは長としては……長と申しますか、地方公共団体の当局といたしましては、これを実現するくらいの道義的責任を持つことに相成ると存じますが、若しもその合致せられましたる事項につきまして、これがなかなか実現せられないというような場合におきましては、先刻御説明申上げましたような勤務條件に関する措置の要求という一つの手続によりまして、これを人事委員会に持出しまして、人事委員会においてこの請求の審査をいたしまして、その結果に基きまして、例えば俸給を上げるというようなことでございまするならば、その趣旨の勧告を予算編成権者である長に対して行うというような結果に相成ると思います。
  141. 原虎一

    ○原虎一君 そういたしますと、この申合せというものは御説明のように一方が履行しなかつたという場合に、何らの履行の処置をとることのできないものですか、例えば職員団体側が履行しなかつたときには、どうなるのですか。どういう処置が行われるのですか。
  142. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは申合せの効力といたしましては、法令なり條例なり規則に抵触しない限りにおいて申合せをすることができると、こういうことでございまして、従つてそのような公の法規におきまして禁止せられておる事項につきましては、これは仮に申合せをいたしましても無効でございまするが、そういう法規に違反をしない、抵触しないという場合におきましては、今申上げましたような意味の結果に相成ると存じまするが、職員団体が仮に両者の間に意思の合致いたしましたことについて、自己が行うべきことを行わなかつたという場合におきましては、やはり半面の当事者である長と同じような意味の責任が起つて来ると思うのであります。
  143. 原虎一

    ○原虎一君 でありますから、今の御説明程度で行きますれば、きかない場合には、これが履行されない場合には道義的責任しかないという結果になるのでございますが、例えばこういうことを現に私どもは経験しておる。例えば公労法の十六條の解釈が違うために、当然国鉄裁定に対する履行のために、予算を附して国会に出すべきものが国会に出されてはいない。そうでなしに裁定そのものの可否を国会審議すべきを、歪曲した解釈をもつて来ても法の不備のために如何ともなし得ない。これは申合せしたから申合せというものを履行しなかつた場合の両者に対する制裁がなくて何の申合せがありますか。例えばこういう例があるのです。長或いは公共団体の長は団体と協約をする。ところが地方の議会が、或いは地方議会の有力者が長に対して牽制を加えて、これを不履行にする場合が地方自治体にあり得るのです。そのときに制裁が加えられるということにならなければ、これは全くよく言われる絵に画いたぼた餅で、これは私に言わせますれば、労働組合法による団体協約を禁止する代りに、何かそこに団体協約に代るような匂いのさすものにつけて置こうというに過ぎない。これは誠に不備極まるものであると言わざるを得ないように私は感ずるのです。今までの御答弁によりましては、申合せをする以上は一つの立派な契約であります。契約不履行者に対して私はこれは法制局のかたにもお伺いしますが、こういうものに関して、契約不履行者に対して如何なる法的な処置ができるかという問題であります。
  144. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 只今鈴木政府委員からお答えした通りであります。結局申合せというものは同者の意見と申しますか、気持の合致したところが書面になつて残るわけであります。その効力はどうなるかというようなお話でございますが、書面に仮に署名をして両者が申合せをするということになれば、只今申しました通り当事者の道義的な責任というものが飽くまでも中心となつて、すべてが円満に処理されるというふうに考えております。
  145. 原虎一

    ○原虎一君 只今法制局の御答弁は、これは地方行政のかたから直接答弁されるよりかもつとあいまいな答弁をされておるのですが、要するに協約不履行に対するところの損害賠償を訴えるところの法的根拠があるかどうかという点を、私は法に対しては素人であるからお伺いしているのです。
  146. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 言葉が足りませんで申訳ございませんですが、この申合せの内容になります事項は、第一に先ほど政府委員鈴木君の申しましたように、法令、條例地方公共団体規則、その他の規定というものに抵触しないということが一つの大きなあれでございます。それから先ほどのお尋ねにちよつと入つておりましたが、例えば議決機関というものがあるのですが、議決機関の議決を要するような事柄について、その議決機関がその申合せに副うような処置をとられなかつたらどうするかというようなこともお話に入つてつたように存ずるのでありますが、大体この申合せの内容になります事柄は、先ほども申されました大きな規定に、これこれの規定に抵触しない限りにおいてという枠があります。又関係の理事者がこの申合せの当事者になるといたしますれば、理事者が自分の裁量で行い得る範囲のことにしか恐らく申合せにサインをするということはできないことであるということは、事柄の性質から当然だろうと思います。従いまして、仮に議決機関の議決を要するような事項であるといたしますれば、理事者としては十分努力をする、こういう案を出して議決が通るということを努力するということで申合せの内容になるわけであります。かような点から彼此総合勘案して参りますと、先ほど私がお答え申しました通り、道義的責任を中心にして事が運ばれるという一言に盡きるというように私は存ずるのであります。    〔委員長退席、文部委員長堀越儀郎君委員長席に着く〕
  147. 原虎一

    ○原虎一君 突然の質問で、法制局当局の御説明では私は納得できない。同時にこれは明確にして置かなければならん問題であります。将来これは私は不明確なために、契約不履行に対する損害賠償の訴え等が起されるか否かという問題が起きて来る。従つてこれはこの地方公務員法全体に亘りまして法制当局が検討されて、この申合せに対する違反をした者に対しては、損害賠償の訴えができ得るか或いはできないか。その法的な根拠を明確にされるように十分検討されて御答弁を願いたい。今日答弁を要求はいたしません。  それから労働大臣折角お待ちで……。これは労働省にも大いに今の質問について責任があるから、お調べを願つて置かなければならん。それからこの法案によりますというと、岡野大臣が言われたように、罷業権も団体交渉権も剥奪してしまう。そこで地方公務員の労働條件に関しては、人事委員会若しくは公平委員会が勧告をするということになりますが、従つてこの勧告というものに対するものがどれだけの効力、どれだけの権威を持つておるものか。この点を、第何條によつてこういうふうにしているからこの勧告はこうたる第何條によつてこういうように規定しているからこの勧告はこう実行しなければならん、第何條によつてこうなつておるからこの勧告はきかなくてもいいのだ、こういう説明を願いたい。
  148. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) とにかく地方自治団体と申しますものができ得るだけ融和に自治行政をやらして行きたいというのが根本の趣旨でございますから、今申合せの点につきましていろいろ道義的な責任を持たせるということによつてつておるのですが、大きな国家機関と違いまして、小さな機関になりますと、その間和やかにやつて行けばいい、又地方では相当の人が長にもおられるし、又委員にもなつておられますし、それから又地方公務員としましても、公務員はその地方公共団体の中におきましてはやはり住民から尊敬されるような人であろうと思いますから、そういうような人同士の間で話合をしたり、勧告をしたりなんかされる、道義的などうしても拘束力がむしろ法規で縛る以上に、もつと忠実に履行されるような私は考えになつて来ると思うのです。又そうなつて行くことが地方の非常に融和した円満な自治行政ができるのではないかと思いまして、ただ勧告はできる、こういうような程度にしております。何もかも法律でやかましく権利義務で角突き合うということは、私は自治行政趣旨として余り面白くないのじやないかという考えを以て、こういうふうにしておる次第でございます。
  149. 原虎一

    ○原虎一君 地方自治体は円満に行く、法律によらなくても円満に行くものだという考え方は、私ども行きたいという考えはありますけれども、行くものだと断定はできません。かなり問題が起きて来る。でありますから、先ほど鈴木政府委員から説明がありましたように、これは非常に地方公務員給與生活の上においても、或いは不当労働行為の問題においても、地方公務員を擁護する建前で、この辺が非常に現行政令二百一号よりかいいのだというふうに強調されております。併し人事委員会若しくは公平委員会の決定が、勧告されたものが公共団体の執行機関によつて責任者、長によつてそれが受入れられないということはあり得るのであります。殊にその模範は国家公務員法において吉田内閣が示されておる。政府でさえ人事院の勧告は聞かなくていいのだ、いわんや地方公共団体が一々聞いておられるか。こうなることは、私は悪いことばかり考えるようでありますけれどもあり得るのであります。あり得るどころか大いにあり得るであろうと思うのです。それでは問題の種をこの法律が作る。人事委員会の勧告が正当でないという判断をどこがするということはないのでありますから、地方公共団体の長が財政上とか何とかかんとか理由をつけてやらんということになる。でありまするから、そういうふうに事を考えますと、この法律があるために人事委員会の勧告を聞かない、人事委員会は勧告したのじやないかというので、今日人事院勧告通り政府に実行しろという運動が起つて、定時退庁であるとか、一斉賜暇、休暇というような問題参が起る、人事委員会の勧告というものが権威あるものならば、これは当然聞かなければならん。又人事委員会の勧告を即座に聞かなければならんということは、地方財政等の面で危險性があるとするならば、人事委員会の勧告というものの判定をどこがきめて行くか、これは重要な問題だと思う。今日政府国家公務員法の不備といいますか、国家公務員法の不備のためにいろいろな社会問題、労働問題が起きておる。それを現実に二年間体験したこの問題を、そのまま地方公共団体法律で押しつけることになる。これは非常に無責任と言われても仕方がない。これは非常に私は重要な点であると思う。だから先ほど鈴木政府委員が、人事委員会の勧告によつで待遇の改善を図る、ここに大いに地方公務員の希望を満たす、幸福を図る、福祉を図ることができると言われるならば、その勧告が実施されるということになつていなければならん。ところがそれは丁度今、政府人事院と、それから公務員との三つ巴で揉み合うようなことをやはり地方に押しつける。これは私はどうしてもこの二年の体験によつて地方に問題が起きないようにすることが大事じやないか。大臣の御希望になるような円満に行くということは、我々は最も希望するところでありますけれども、この法律があるために、私は円満にならなくなるじやないかという懸念から御質問するわけです。
  150. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答えいたします。お説至極御尤もでございます。若し勧告があるにかかわらず、又その勧告が條例にも違反しませんし、又正当である、又納得の行く勧告であるという場合に、これを地方の理事者が実行しないということが、一万数百の公共団体の中には或いはないとも限りません。併しながらその点においてこそ、私はこの地方自治に非常に依存しておるわけでありまして、若しそういうことがたび重つてあるとしますれば、地方のことでございまするから、條例を作り、規則を作ることができる権能をその地方自治体が持つておりますから、地方議会において條例を作る勧告があつたにもかかわらず、これをしないときには、どうするこうするというふうなことは自主性を尊重しまして、地方公共団体の議会、即ち地方公共団体の最高機関が、これを適当に処理する條例なり、規則なりを作つてくれるだろう、こう考え、又作らせていいと私は考えております。
  151. 原虎一

    ○原虎一君 明確なる答弁がありまして、そこで私はこの基本的な公務員法というようなものができました後に、この基本法に基いて、今岡野大臣が言われまするように、地方公共団体が、人事委員会から勧告があつたときにはこれを聞かなければならん、履行の義務を負わすという條例を作ることが抵触しないかという点を明らかにして頂きたい。これは法制局もその見解を明らかにして貰いたい。
  152. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 今の勤務條件に関する措置の要求の審査の結果といたしまして、その委員会が地方の長等に対して勧告をする。その勧告をいたしました場合に、それに拘束力ありや否やということでございますが、これにつきましては今いろいろ申上げましたごとく、勧告でございますから、それ自体としては拘束力はございません。そうしてこの勧告を実現いたしますための方法といたしましては、先ほど大臣が申されましたように、それぞれの地方団体の長なり、或いは議会の考え方なり、又議事手続等によつて具体的にきまつて来るわけでございまして、それは地方自治体の建前から申しまして、そういうことを地方に任せるということがこれは適当であろうと思います。現在の地方財政が窮乏しておりまする折柄におきまして、必ずその人事委員会の決定に対して、その通り直ちに給與、給料表を改訂し、必ずその通り実行しなければならんということを決定いたしますることは、これはやはり将来地方財政が全く確立いたしました暁は別といたしまして、現在の段階におきましては、やはり限られたる地方財源をどのように配分いたすかということは、やはりそれぞれの地方団体の予算を編成し、或いはこれを審議いたしまする機関の自主的な決定にゆだねることが適当だと思うのであります。その結果としては、一万数百の中で中には必ずしも地方公務員の希望するような状態に副わない結果になるところがあろうかとも思いますけれども、これ又止むを得ないことであり、そういうことに関しましては、それぞれ又長なり、議会なりの責任を問うべき別個の法的手段があるわけでございますから、それはそれぞれの自治運営に任せて、私はおくのがこの地方自治体に勤務しておる地方公務員制度としては適当ではないかと思うのであります。
  153. 堀越儀郎

    委員長代理(堀越儀郎君) 原委員いいですか。相馬委員に……
  154. 原虎一

    ○原虎一君 一つだけならいいです。
  155. 相馬助治

    ○相馬助治君 申合せによつて職員組合の希望する点について、当該の理事者と話合いがまとまらない。従つてこの職員福祉を保護する積極的な規定地方條例によつてそれは定めた方がいいだろう、こういう大臣の答弁です。そういうことは本決案に抵触しないかというのが原委員質問なんです。従つてこれを具体的な例にいたしまするならば、人事委員会の勧告によつて給與の改訂等が勧告された場合には、当該の市町村長は必ずこれに服しなければならない、服さない場合にはその職をやめなければならない。こういうような條例をきめ得ることも現実にはあり得ると思う。そういうことをして差支えないのであるか。これを具体的に一つ御返事を頂きたい。
  156. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 今の人事委員会の勧告につきまして、その勧告を必ず実施しなければならないという條例を作りますことは、先ほど御説明申上げましたような趣旨から申しまして適当でない。又法律上の問題といたしましては、この地方公務員法案におきまして必要な勧告をしなければならないと規定をし、その勧告について更に拘束力を與えるような規定を設けておりませんので、やはりこの法律案の趣旨といたしましては、御指摘のような具体的の條例を設けることはやはり法律上も可能でない、不可能であるというふうに解すべきではないかと考えております。(「大臣の答えは間違つておる。」と呼ぶ者あり)
  157. 原虎一

    ○原虎一君 そこで今国務大臣が言われたのと、政府委員当局の御答弁は全く違つておる、そういう状態で私は審議は進められない。従つて私はこの問題は非常に重大でありますから、政府当局が十分に検討されて、なお法制局も検討されて、そういう地方におけるところの條例を作つてもいいかどうかという点を明らかにされてから私の質問を続けて行きたい。どうか本日はこの程度で打ち切られんことを切望いたします。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  158. 堀越儀郎

    委員長代理(堀越儀郎君) ほかに……
  159. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 私もう一度言葉はつきりさせておきます。速記録を御覧下さればあとでわかることでございますが、先ほど申上げましたのは、御承知通りこの條文の点から言いますれば、條例規則、規程なんかに違反しない限りにおきましての一つの申合せでございますから、無論その現行の條例規則、規程には違反していないことは確かであります。それで申合せと申しますと極く具体的に申しますれば努力する、一つ給與を上げてくれ、併しそれは條例できまつておる給與だから只今のところでは併しこれを支拂うわけにいかない。併しながらできるだけそれは私ども一つそういう方面に努力しようという約束をいたします。そうして努力して、そうして若し條例を改正することができるならば條例も改正できましようし、又新らしい法律を作るということもできましよう。その辺は自主的に地方議会並びに地方公共団体の長に任して置く方がいいと思うのであります。ただ問題となりますのは、その條例を作りますことが一体この法案でできるかできんかと申しますが、私が先ほど申上げましたように、この條例に違反しない限り、又抵触しない限りにおいての申合せでございますから、そういう具体的な問題は起きないと思うのであります。結局努力しよう、努力しようと言つてつても、どうしてもしないからそれじやいかんじやないかという輿論が起きるに私はきまつておると思います。そうすれば結局その地方議会というものが取上げまして、こういうようなことでは困るから一つ條例を変えようじやないかという議論になりましてできて行く、そうして條例とか規則というものができる。その辺はやはり地方自主性に任しておいたらいいのじやないかということが私の趣旨でございます。
  160. 原虎一

    ○原虎一君 大臣の御趣旨は御趣旨としてお聞きして置きますが、私どもが審議の上において当局の解釈が問題になると思います。当局の解釈は先ほどの御説明では明確を欠いておりますので、従つて大臣の言辞をとつてどうこうというのではないのですが、当局が法律を制定するときに最も明確にして置かなければ、後日法の解釈如何によつて問題が紛糾する。私は苦がい経験を持ち責任を痛感しておるのです。それは公労法十六條でありますが、この公労法の十六條は繰返して言いますけれども、労働省の法規課における解釈は明らかに仲裁に対しては予算を附して国会の承認を求めなければならんという解釈であります。それを政府当局は挙げて仲裁裁定はそれ自体を国会に出していいかどうかを出して決めてもらうか、或いは私どもが作りました法律の上で條文が不備のためというよりも、政府が歪曲できるような條文であつたために、先般参議院の労働委員会におきまして、各権威者、法律その他の権威者を集めて現行法律と我々が改正せんとするところのことを公聽会で一日間やりましたが、いずれの権威者も法律学者も、現行法と我々がとる解釈とは、そうあるべきだと皆言つておるにもかかわらず、政府一つの権力を以ておるからこれを曲げておる。そういう私どもは苦がい経験を経ておりますから、法律は疑義あるところは明らかして制定しなければ、疑問の中に法律を制定することは絶対に相ならんと思います。従つて政府当局の解釈が地方で、地方人事委が勧告した場合においては、その勧告は地方條例において聞かなければならんという條例を作ることは差支えないというお考えのように御説明が大臣からあり、鈴木政府委員からは、それは困難じやないか。できないとは言わんけれども、困難じやないかという意味の、非常に無理であるという御答弁があつた政府意見、見解が一致していません。法制局も御研究なさつて、この法律はどことどことによつて、それはそういうことが地方公共団体、自治体が地方條例を作ることができないということを明確に願い、そうしてそれによつて我々はこの法律の解釈によつて、この問題を審議して行かなければいけない。これは重要な問題であります。勧告がいい加減になされておるために今日起らなくてもいい社会問題、労働問題が起つておる、法の不備であると言わなければならん。従つてどうか私はこれは大臣の言辞と政府委員の言辞の相違を掴えて責めるというようなことは考えておりませんが、併しながら岡野大臣があとから御説明なさいましたこともありますので、その前にその御答弁になりました点もよく速記を見まして、そうしてこれは我々が審議すべきものである。とても今日速記をすぐ翻訳できない。委員長から岡野国務大臣の御答弁を最後のほうの二つはどうか今夜中に速記を翻訳するように、又鈴木政府委員答弁した点も、今私が申しました質問しました点も、今夜中に翻訳して明朝、私どもの手に渡るように願つて、それから検討してその後に政府当局も法制局と相談なされて、明確な御答弁をなさるように御準備を願いたい。これだけを要求いたしまして、私はまだ質問がありますけれども、私の質問は留保させて頂きまして、実は労働委員会で重要な問題がありまして呼びにも来ておりますので、どうかそれだけを要求して置きます。
  161. 堀越儀郎

    委員長代理(堀越儀郎君) 岡野国務大臣予算委員会出席されますので、もう十分間ほど岡野国務大臣に質疑のある方は御質疑を願いたい。
  162. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 実は今日の問題は重要な問題でございますから、これを一つ今の動議を委員長において適切なお取計らいを願いたいということを私からも重ねてお願いする次第であります。  この地方公務員法の案の内容説明の中に、政治活動の禁止の問題につきまして二、三その例として挙げてあるわけですが、何か職員の利益保護になることを明らかにすると共に、こういうふうにありまして、職員政治活動をすると、何か使用者のほうからひどい圧迫があるから、それがために政治活動を禁止するのだというような意味説明がこの前にあつたと思うのでございます。若し仮りそういうようなことがあるとするならば、それは政府は予想をしてそういうことを言つておるのか。現実にそういうことがあつて、ここにその理由として挙げているのか、その点先ずお伺いしたい。
  163. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) それは職員が若し自主性を失いますというと、地方行政というものは完全に行きませんし、又極く具体的な例を申上げますならば、市長を非常に応援して、そうしておつたにもかかわらず、反対党の市長が出て来た。そうなると自分が盛んに反対党の人の選挙に際して大いに努力した自分自身としても良心的にも居辛いし、又中には惡い……と申上げては相済まんけれども、いわゆる反対党のために非常に政治活動をした人というものに対しては、安心をしてことを任すことができないのではないかということが出るのも人情でございますから、そういう過誤を起さしめないでいつも忠実に自分の職務を続けて行けるというような意味で、政治活動制限したほうが安全ではないか、こういう考えであります。
  164. 相馬助治

    ○相馬助治君 この際三十分の休憩の動議を提出いたします。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  165. 堀越儀郎

    委員長代理(堀越儀郎君) 相馬君の動議に御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  166. 堀越儀郎

    委員長代理(堀越儀郎君) では三十分間休憩いたします。    午後五時五分休憩    —————・—————    午後七時三分開会
  167. 岡本愛祐

    委員長(岡本愛祐君) 休憩前に引続き連合委員会を再会いたします。  人事院総裁が見えましたから矢嶋君御質問を願います。
  168. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 このたび地方公務員法案が議題に上程されておるわけでございますが、この地方公務員法と、国家公務員法とは一連の関係があるものでありまするし、総裁は国家公務員法に基いてできたところの人事院の総裁であり、公務員の利益を保護する立場にありますので、その角度からお尋ねいたしたいと思うわけであります。今度の地方公務員法案の中には人事委員会並びに公平委員会の設置が規定されておるわけであります。あの案の中にあるような人事委員会並びに公平委員会で、果して地方公務員福祉並びに利益の保護が保障されるかどうかということを、今まで人事院の総裁として経験のある淺井総裁に意見を承わりたいと思うのであります。
  169. 淺井清

    政府委員(淺井清君) お答えを申上げます。国家公務員法のような地方公務員法を制定いたしまするならば、その人事の專掌機関といたしまして人事院に該当するような機関を設けなければならないものと思つております。この案に人事院といたしましては立案に参画いたしたことはございませんが、これを拝見いたしますると、おおむね妥当であり、これで結構だと思つております。ただ残されました問題は、むしろその人事委員会委員の人選のむずかしさにあるように思いまするが、これは運用上の問題でございまするからして、制度上の問題ではないと存じております。
  170. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 臨時人事委員会ができた当時に、こういう制度ができればこれは国家公務員は非常に助かる、事務能率も上がるであろうと、随分と期待された当時のことを思い出すわけです。そうして当時淺井総裁以下が任命されたときに、この臨時人事委員会、後にこれは人事院と発展的に解消したわけでありますが、この制度ができたときの期待というものは大したものだつたと思います。現在の人事院というものは、これからできるところの地方公務員法によるところの人事委員会、或いは公平委員会に比較しますというと、相当の拘束力を持つておるように考えられるわけです。今度できるところの人事委員会並びに公平委員会については今まで若干問題になりましたが、殊んど地方公共団体を拘束するところの力も持たないし、具体的に言つて裁定権みたいな性格のものは殊んど持つていない。こういうときに淺井人事院総裁は十分機能が発握できるということを言われるのでありますが、これはもう少し突つ込んでお伺いしたいと思うのです。当時人事院ができたとき応は新聞雑誌におきましても、或いは国会の論議におきましても、四権分立になるんじやないかと、それほど重要視され、又期待された人事院が、果して当時の期待に沿うコースを辿りつつあるかどうか。例えば具体的に申上げますが、相当に強力な人事院すら制約を受けてはいないか。例えば今度のべース・アップにつきましても、人事院がどの程度のベースにすればいいかという意見を述べる前に、大蔵大臣は盛んに現在の六・三ベースというものはすでに七千円を突破しておる、人事院が七・八ベースあたりを勧告したときに、そんなべースは高過ぎるということを大蔵大臣が人事院でベースを出す前に言われたり、或いは人事院給與体系を発表する前に先立つて、大蔵大臣が給與というものは現在の給與体系はいけない、上に厚く下に薄く変えなければいかんというようなことを人事院意見を発表する前に大蔵大臣か盛んにそういうことを放送されておられた。それから昨年十二月に七・八ベースを勧告された、そうしてこれが無視されて、そうして先般の第八国会では総裁はすでに科学的データーの下に近くベースの改訂を勧告しなければならん時期が来た。そうしていつ勧告を発するかという質問に対しては、極めて近い機会に、今国会中に勧告するつもりであるということを参議院の本会議場で堂々と答弁されて、二日か三日も経たないうちに、すでに山下人事官が変わられてその勧告ができないというような、こういう一連の動き、更に又小さい問題でありますが、今まで現業職員の生活が確保され、その基底の上に或いは三・七べース、或いは六・三べース、こういうふうに人事院給與体系を打立てて行かれた。いわゆる調整方法なるものが人事院の了解もなくて大蔵省の一存でそういうものが捨てられている。或いは不利益処分の取扱いにしても人事院が生まれて以来僅かに七件程度にとどまつている。私は真僞のほどは知りませんけれども、よく勧告案が出るとか、或いは不利益処分あたりがあると、新聞、ラジオでは何々大臣が淺井総裁を訪問して懇談したというようなことはよく放送されるし、そういうところから相当大きい権限が與えられ、発足当時四権分立ではないかとまで言われた人事院する相当の制約を受けているのではないか。そうなりますと、今度地方にできますところの人事委員会或いは公平委員会、現在の地方公務員法、この法案にある程度人事委員会或いは公平委員会では、先ほど総裁が指摘されましたように、委員の構成というものはどうなるかということは、これは火を見るより明らかでありますし、殆んどその委員会というものは地方公共団体の首長並びに首脳部の言うがままに動いて、取締法規の分だけは十二分に法というものは活かされ、その保護機関たるべき方面においてはなおざりにして、いわゆるこの地方公務員法の実施というものが、結果においては公務員の取締法規、彈圧法規に終始するのではないかということを私は非常に懸念するのです。以上私は過去の人事院のあり方の一部を申上げて、重ねて人事院総裁に、この案の人事委員会公平委員会がこういう案で果して地方公務員の保護機関たり得て、そうして彼らの身分を安定させ、更に地方行政の事務能率を向上させ得るかということを、現在淺井総裁が国家公務員の保護機関の責任者だけに、私は重ねてお尋ねいたす次第であります。
  171. 淺井清

    政府委員(淺井清君) いろいろの御質疑が含まれていたのでございまするが、第一に人事院というものの制度自体の強さという問題をお示しになつたのでございまするが、アメリカのように内閣国務大臣もございませんところで発達いたして参りましたこの人事院制度を、国会に対して連帶責任を負つている内閣のある日本において発達させるということは、その権限の強さをどの程度にとどめるかという非常にむずかしい問題があると存じております。若し人事院権限が余りに強大になりますれば、内閣はどうして国会に対して連帶責任を負い得るやという問題が反対に起つて参るかと存じておりまするけれども、只今国家公務員法規定いたしておりまする人事院の強さというものは、制度上といたしましては、あれだけでよいかと思つております。それでは勧告等が弱過ぎるというお示しもございましたけれども、成るほど大蔵大臣は、曾つて人事院のベースは高過ぎる、これだけしか上げないなぞと仰せになりましたけれども、すでに今回提出されました給與法案においてはともかく人事院の勧告を尊重し、ということになつておりまするし、国会等におきまして、ともかく人事院の勧告を尊重するということを述べられておる。この放送も放送として価値があるように思います。つまりともかくも人事院の勧告が尊重されなければならないという雰囲気の下において、政府が話を進めなければならんということは、やはり独立性のある人事院の持つている強さの一面であろうかと存じております。なお人事院の勧告の実現につきましては、参議院の御努力をこの上ともお願いする次第でございます。  それではこの地方公務員法の中にあるこれでよろしいか、これでは弱過ぎるのではないかというようなお話もあり、又理事者の思うようになるのではないかというようなお示しもありましたけれども、およそ法律を立法いたします場合は、良識ある運用ということを前提としてしか立案のしようがありません。極端な場合を考慮して立案するということになりますれば、却つて惡法になるかと存じますからして、要するにこの案は良識ある運営ということを前提として立てられておるのでございますから、制度といたしましてはこの程度でよろしいかと存じます。
  172. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ここは人事委員会でありませんので、勧告その他について突込んでお開きしませんが、ただ一言今度の人事院の勧告について、政府給與法の改正案に述べられたことに如何にも人事院総裁は満足されておるように聞きとれるわけでありますが、昨年以来再三の勧告の結果今度議会に上程された給與改正法律案に対して人事院総裁は満足されておるのでありますか、如何でしようか。それだけ一言……。
  173. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 決して満足はいたしません。只今申上げたのは、政府といたしましても誰といたしましても、とにかく人事院の勧告の趣旨を尊重するとかなんとかいう雰囲気の下に話を進めなければならないところに、勧告の制度法律以上に力があるということだけを申上げたのでありまして、政府案の内容について人事院は決して満足でないということは、これは衆議院におきましても、又参議院の予算委員会におきましても詳しく申述べたところであります。この席上でその点に亘つて申述べるのは如何かと思いますから、それは差控えますが、決して満足はいたしておりません。
  174. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 総裁が、委員の構成が問題になるのではないかという点は心配されておると先ほど申されたわけであります。更に総裁は制度としては人事委員会、或いは公平委員会というものはこれでいいと考える、こういうことも申されたわけであります。私も昨日の質問におきまして、この委員の構成が現在の地方民主化過程の実情からいつて、これは最も重要な問題だということを本委員会の席上でも意見を述べたものであります。地方ではちよつと意見でも言いますと、もうこれはすぐ赤だというように言つて、それらを排除しようという傾向が非常に強くあります。それから委員というものがこの法案に盛られておるような選出の仕方をいたしますというと結局任命する側とそれから公務員を保護しなければならん立場のものとは馴れ合いになる虞れが多分にある。これは警察制度における公安委員会あたりの運用をみればはつきりとしておると思うのです。こういう点についてはまあ若しもこの法案が成立した後においては十分考えなければならん点である。それで私としては、やはり現段階においては地方公共団体の理事者と、それから登録された職員団体の代表者とが十分協議して一致したものを、地方公共団体の承認を得て、地方公共団体の首長がこれを指名するというような形をとれば、最も妥当ではないかと、こういうふうに考えているものでありますが、これ以上この点意見に触れますので申上げません。  ただここで、次に人事院総裁にお伺いいたしたい点は、政治活動の点に言及して行くわけであります。それは立案者に言わせますというと、君らは委員の構成がこの案で不満だというのはおかしいと、地方公共団体の議員というものは公選によつて出て来ているのだ、地方の首長も又然りであると、そうなれば地方の首長が提案して地方公共団体の議会がこれを承認したものは最も人民の総意を現わすものであり、民主的であると、こういう答弁をされるわけです。ところが、実際の過去の地方公共団体の政治、それから現在の政治というものも不満があるが故に、地方の勤労者、公務員というものが、民主政治の時代に、代議政治の時代に、正々堂々と自分らの基本人権であるところの政治活動というものを活かして、そうして議会に進出し、そういう働く人の代表として、或いは公務員実情というものがよくわかつた立場から正正堂々と議会に打つて出て、そうして民主政治下にあるべき姿において、その目的を貫徹しようという行動をとつて参りますというと、曾ての国家公務員法、或いは今度の地方公務法案に盛られておりますように、公務員というものは全体の奉仕者であるという美名の下に、必要以上にこれを取締り彈圧しようという傾向が私はこの法案のうちに見えていると思うのです。そこで質問の要点に触れますが、国家公務員法の百二條と地方公務員法案の三十六條を比較いたしますと、地方公務員法案の三十六條のほうがよほど詳しくなつておると思うのです。取締が嚴しくなつておると思うのです。それは国家公務員法の百二條は大骨だけ簡單に書きまして、そうしていわゆる二十四年の九月に出されましたところの人事院規則、これによつて適用範囲とか、或いは政治行為の定義とか、或いは政治目的の定義というような点につきまして、詳しく人事院規則で出されて取締つてあるわけであります。その人事院規則で出ておる部分を地方公務員法案の三十六條に持つて来ておりますので、この国家公務員法の百二條と地方公務員法案の三十六條とを比べますというと、地方公務員法案の三十六條のほうがよほど取締が嚴重になつておる。更に地方公務員法案には、人事委員会規則で更に取締を拡大することができるようになつておる。その規則にはどういうことが予想されるかということを質問しましたところが、恐らく人事委員会規則には国家公務員法人事院規則に盛られておる若干が取上げられるであろうという政府委員のかたの御答弁であります。そこで問題になりますのは、この国家公務員法の百二條に関連しての二十四年九月に出された人事院規則というものは、これは国家公務員法の十六條によつて淺井総裁が出されたわけであります。当時百二條を非常に上廻つたああいう人事院規則によつて、微に入り、細を穿つた人事院規則によつて国家公務員政治活動を束縛した点については、当時相当の私は議論がされたと思うのです。あの当時この規則を出されるに当つては、当時の労働情勢とか、或いは社会情勢、経済情勢あたりから出されたと思うのでありますが、この人事院規則国家公務員法の十六條に示されておるように、いつでも適宜に改廃することができると、こうなつておるわけであります。で私が人事院総裁にお伺いいたしたい点は、今度地方公務員法案を出されるに当つて、この人事院規則というものは自由に人事官が改廃できるものでありますから、私はこの地方公務員法を出すに先立つて、あなたが出されたところのあの人事院規則を緩和する意思はないかどうか。私としては緩和すべきであるとこう考えるのです。緩和する意思があるかないかをお伺いいたしたいのです。と申しますのは、まあよく地方公務員法案国家公務員法があるから、それに倣つて地方公務員法案を出すのだということをよく言われておるわけなんですね。ところが地方公共団体ではなかなか十分な検討ができないから、国家公務員ですらこれだけの人事院規則で縛つてあるのだから、地方公務員人事委員会のほうにおいては更に縛つていいというような、非常に私は度の過ぎた人事委員会規則ができる虞れが多分にあると思うのです。だから私は現在においてもつと適応したところの人事院規則に改正すべきではないか。あのあなたが出されたところの人事院規則を読みますというと、ともかく私の影響性もいけないと、私的にもいけない、時間外にもいけない、まあ極端に言えば、夫婦で夜寢床の中に入つて寢物語でもいけないといふうに、実に微に入り細に穿つて規定してあると思うのです。そこで重ねてお伺いいたしますが、地方公務員法案を今度制定されるに先立つて、現在の労働情勢の大転換等を考察されて、この人事院規則を現在の状況に沿うようにこれを緩和、改廃される意思はありませんかどうか、その点お伺いいたしたいと思います。
  175. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 第一にお尋ねになりました地方公務員法案のほうが国家公務員法百二條よりも取締りが嚴しいというようなお考えは、私は御同感することはできないのでございまするが、一体政治活動の禁止と申しますることは、いわば基本的人権にも関係することでございまするからして、これを法律において書くということは正しい。すべて法律に書けなければ、その大筋だけでも法律に書いて置くことがむしろ本筋ではなかろうか。その意味におきまして、地方公務員法案はよろしいと思つております。国家公務員法のほうはこれを挙げて人事院に委任立法の形をとつておりまするが、これはまあ国会の御意思でかように当時なつておるのでございまするから、私は批判いたしませんが、これはむしろ本筋ではないのではないか。地方公務員法法案のほうが本筋であろうかと思つておりまするから、決して嚴しいというようなことはございません。  それから次に、国家公務員法の百二條によりまする人事院規則が微に入り細を穿つておるとのお尋ねでありまするが、これは徴に入り細を穿ちませんと、抽象的な規定ではひつかかる者が却つて多いのでございます。夫婦間云云のお話がございましたけれども、それは恐らく例えば投票の勧誘等のことをお指しになつたことと思いまするが、人事院規則で勧誘と申しまするのは、一つの計画の一部分としてやつた勧誘だけを問題とする運営方針をとつております。つまり勧透、ソリシテイングという言葉でございまするが、そういう形式をとつておりまするから、お示しのような場合におきましては、全然問題にならんのでございます。  それから最後に、地方公務員法案が成立するに先だちまして人事院規則を改正する意思があるかどうかとのお尋ねでございます。これは非常に適切な御質疑でございまして、私どもも非常に重要に考えてお答えをしなければならん点と思いまするが、先ず第一に、地方公務員法案とこの人事院規則とは、只今のところ比較ができないのでございます。なぜかと申しますると、只今お示しのように、三十六條に掲げてありまするもののほかに、條例を以てなお何がしかの制限をすることができると、條例と申しますれば、各地方公共団体おのおの違つてもよろしいのではないか。そういたしますれば、甲の村と乙の町とも違う。そうすれば、国家公務員をどうしてこれに揃えて人事院規則を改正すればよろしいか、只今のところではちよつと考え及ばないのでございます。仮にただ抽象的に申しますれば、およそ法規はこれを作りましたときの情勢に基くということは、全く仰せの通りでございますからして、この地方公務員法案が成立いたしましたその後の情勢をよく考慮いたしまして、御趣旨を尊重いたして善処いたしたいと思つております。
  176. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 総裁は委任立法であるから、それで国家公務員法人事院規則を作つたとすれば、それよりも地方公務員法案の形体の方が正しいのじやないかと思うと、こういう意見が今述べられたわけですが、確かに国会は委任立法をやつているわけでありますが、だからといつてあのあなたが二十年九月に出された人事院規則ですね。あの政治的行為を果して国会が、国家公務員法を立法府が立法した場合に、そういうことを予想しておつたかどうかということです。人事院規則で定める政治的行為はしてはならないと、こういうふうな立法したときに、その立法府は政治的行為をあなたが人事院規則で定義したほど、あれほどのものを考えておつたかどうかということは私は疑問だと思う。委任立法だからといつてそういう定義を立法府にも諮らないで、あなたの権限と責任においてあれほどの人事院規則を出されるということは適当でしようかどうでしようか。どういうふうにお考えになつておりますか。
  177. 淺井清

    政府委員(淺井清君) これはお答えがしにくいのでございますが、委任立法でございますれば、信頼してお委せ下すつたことと考えるのはこれは先ず話の筋でございます。ただ、今申しましたようにだんだんと時も経過いたしておりますから、その時々に適当するように考慮しなければならんということは、これは常に考えている点で、ひとりあの人事院規則のみに限つたことではございません。
  178. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 地方人事委員会規則も逐次制定して参るわけでございますが、今総裁が話されたように、甲の村、乙の町とそれぞれ違う規則を作るだろうと思うのです。併しその場合に、何といつて国家公務員法に基くところの人事院の制定せるところの人事院規則というものは指導性と影響を多分に持つと思いますが、そういう場合におきまして、公務員の元締めである総裁であられるところの淺井総裁も先ほどから話されましたように、最も時勢に適応するところの人事院規則の改廃に努力されんことを私は要望いたしまして、総裁に対する質問を終ります。
  179. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 岡野国務大臣はおいでになるのですか。
  180. 岡本愛祐

    委員長(岡本愛祐君) 今予算委員会へ行つております。もうすぐ参ると思います。労働大臣は門まで来ているのですが入れないのです。今入れるように手配をいたしております。  ちよつとお諮りいたしますが、淺井人事院総裁に御質問ございませんか。
  181. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 ちよつと前の矢嶋委員質問にダブるかも知れないのですが、そのときはあなたの方で……矢嶋君のほうからもちよつと教えて頂くことにいたします。国家公務員法に「職員の意に反する不利益な処分に関する審査」というようなところがありまして、そうしてあなたのほうから資料を頂いているわけであります。その資料によりますと、最初にこの説明一つ事務当局のほうに求めたいのでありますが、処分承認というところで免職取消しの件数が二件でありまして、員数が二百四十五となつておりますが、どういう意味か一通り説明願いたい。
  182. 淺井清

    政府委員(淺井清君) それはその書類を手許に持つておりません。恐らく大勢の者を併合して一度に審査いたすからかようになるだろうと思つております。例えば一斉に罷免されたようなものは、一団として併せて審議いたしますから二件で人数が多い、こういうことだろうと思つております。
  183. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 処分承認ということは免職を取消されたのか、あなたのほうが取消しを命ぜられたのじやないかと思いますが、そういう意味じやございませんか。
  184. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 処分承認といいますのは、処分者がやつた処分を承認したのですから、免職は取消さないということです。
  185. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そうすると、ここにまあいろいろとこういう資料が提出されているんですが、この資料が完全なものかどうかということを非常に疑うわけですが、総裁として、一つの補助機関の建前にあるこの人事院で、あなたが取扱つておられることを通じまして、この立法過程で本当にその不当な不利益処分を受けた人たちが護られているかどうかということについて、あなたの率直なる一つ見解を私は聞かして頂きたいと思います。
  186. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 人事院に提訴いたしましたものは、我々公正なる立場からそういうことをやるために、まあ権限も独立しているということでございまするから、十分やつているつもりでございます。たまたま問題になつておりますけれども、例えば飯山水産庁長官に対しまする免職処分の取消し等のごときは御承知通りだと思つております。ただ問題は罷免されませんとこの処分がきかないわけでございます。ですから強制的にこの辞表を取りまして辞職させたというような場合にはこの人事院に提訴する権限がないわけでございます。尤も権利の上に眠るものは保護しないといえばそれまでであります。その点については少上考えるところがあつていいんじやないかと思つております。
  187. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 只今の御意見のことにつきましては、今度のこの審議の上に重大な見解だと思うので、これは参考にして行かなくちやならないと思うんです。仮に今おつしやいましたように不利益処分ということは、地方で行きますと、結同辞表を取られてしまうんです。実情は……。そうしてさあそれから提訴というような形になると思うんです。異議の申立をする。而もそれで月給はもらえなくなつてしまうんです。本人が言いますと……。そういうことによりましてすつたもんだやつておるうちに、一年も二年もかかつてしまう。従つてそういうことは取下げてしまつて、他のほうへ就職しなければならないというようなことになつてしまうのが、私たち実情だ、こう考えておるわけでございます。それを今度の地公法がやはりそういうことを思つているわけですけれども、地方人事委員会、或いは公平委員会関係の当局の人たちが任命して行くわけでございます。そういう人たちなら、あなたたちのつまり国家公務員に対するところのあなたがたの立場よりも地方公務員の立場におけるところのその人事委員会、或いは公平委員会のほうが非常に微力だ、これは私は有名無実なものになつてしまつて一つの申訳的に、こういう方法が作つてある、だから君たちはこれで保護されているのだ、こういうような政府の実に口実と申しますか、言い訳を與えるような、実質的にはそういうようなものになつてしまいやしないかという点において、心配を私はせざるを得ないものでございますが、一つそういうふうな点について、あなたも一つそういうような保護をする、中立とおつしやればそれまででございますが、そういうような観点に立つてこれに対する御意見一つお聞かせ願いたいと思います。
  188. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 国家公務員の場合でも地方公務員の場合でも同じことになつておりまするが、その意に反してやつた不利益処分について初めて提訴権があるということでございます。ですから初めに自分が辞表を出して、依願免官の形になりますと、たとえそれが強要されたといたしましても、いわゆる刑法上の脅迫が成立する場合は別でございまするが、そうでない限り、この提訴権がないということになるのでございます。この点は我々取扱いました事件簿についても非常に遺憾の点があるのでございますが、併しこれは要するに公務員の自覚に待つほか仕方がないのであります。敢然として不合理なる処分について辞表を出さないということでございませんと、どうにもならない。これはどうしても制度上の問題ではなくて公務員の自覚に待つべき問題のように思つております。
  189. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 本問題については私質問を打切りまして、次にお伺いしたいことは、国家公務員法の九十三條の公務傷病に対する補償のところで、法律によつて定めるとか、或いは九十五條には「人事院は、なるべくすみやかに、補償制度の研究を行い、その成果を国会及び内閣に提出するとともに、その計画を実施しなければならない。」こういうふうに謳つてあるわけでございますが、これに対しまして、あなたのほうは、まだ法律が私は寡聞にして出ていないように思うのでございますが、その通りでございましようか。
  190. 淺井清

    政府委員(淺井清君) すでに法案ができておりまして、いつでも勧告し、又は内閣を通じて国会に提出し得る段階にあると思いますが、ただこの国会が会期が短いために、次の国会に廻つておるのだ、こういうふうな状態になつております。つまり只今お示しのは、公務傷病に対する補償制度法案でございます。それは近く国会に提出し得る段階になつております。ただこの公務傷病でございますが、これは傷害でございますので、非常に大きな部分を占めておりました国鉄は今これから抜けておる状態でございますから、一年にどれほどの件数がございまするか、大よそ五千件くらいしかないように思つております。
  191. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そうしますと、三年一カ月ほどにもなるわけでございますが、会期が短いから今国会にはこれを勧告しなかつた。あなたのほうとして出さなかつた従つて次期第十の通常国会には出す用意がある。こういうふうに解釈してよろしうございますか。
  192. 淺井清

    政府委員(淺井清君) その通りでございます。
  193. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 それからもう一つ、七十三條もやはり人事院関係でいろいろ職員の厚生とか、いろいろのことにおいて、あなたのほうが計画をして云々というようなことがございまして、これに対して資料が私の手許にも配られておりますが、あなたのほうとしてこれでまあ人事院としては、要求をして十分やつてつて頂ける状態であるのか。やはり国の予算関係上あなたのほうとして、丁度ベースの問題と同じようなもので、政府として十分に取上げておらないのか。あなたのほうの立案勧告に対してどんなふうに、今現に実施されておることに対しまして、あなたのほうのお考えはどうなんでございますか。
  194. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 誠に恐縮なお答えですけれども、この点は最も遅れて発足しておる部分でございます。最近この元気回復、つまりレクリエーシヨン等の仕事をやつと始め出した程度になつておりますが、これは職階、給與その他重要な部分の仕事が次々と起つて参りましたために、この部分は非常に遅れておるのでございます。この点は今後大いに努力いたしたいと思つております。なおついでに申上げたいのですが、恩給に関しましてはやつと最近結論を得ておりますので、これは極めて近い将来に発表をいたし、更にその成果をこの公務員法規定に基きまして、国会及び内閣に勧告をする。こういう段取りになろうかと思います。
  195. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 この遅れておつたということでございますが、あなたのほうとして昨年やられたのに対しまして、予算が何ぼか出ております。来年は七百万という数字を聞いておつたのでありますが、私はそれが国家公務員の数字と、人数と比較して見まして、あなたのほうとしてはせいぜい一ぱいである、或いは二年目としてはここらあたりが妥当な数字である、こういうような関係においてあれは出された数字であるのか。もつとうんと拡げて行かなければならないけれども、現在の財政状況の段階として非常に遠慮して出した数字でございましようか。どちらでございましようか。
  196. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 勿論それはあとでお述べになりましたような状態でございます。
  197. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私のほうとして非常にこれは、こういうようなことが結局地方公務員にも、あなたの国家公務員の受けておる恩典が地方公務員に及ぼす影響が非常に甚大でございます。かく国家公務員においてやられておることが地方公務員にも準拠されていろいろとなつて来るわけでございます。そこで国家公務員のほうが遅れておる、それから又或いは非常に不十分な、ただ單に名目的なものだけしかやられないということになると、及ぼす影響が非常に甚大でございますから、一つあなたのほうとしてもここに示されておる、そうして国家公務員が片一方でいろいろのものを失つてつても、こういうところで補われるのでありますから、そういうところをよく勘案されまして、あなたのほうとして本当に適切なものとしての私は企画、或いは調整とか、或いは監視ですか、そういうようなものをやつて頂きたい。こういうことをこの機会においてお願いするわけでございます。
  198. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 総裁に、あなたは人事院の総裁とされまして、いわゆる国家公務員身分を守る、保護する、こういうふうないわゆる人事院の性格の上から、現在人事院が発足されてからどういう点において非常に心配されたか、悩まれたか、その点について……。
  199. 淺井清

    政府委員(淺井清君) どういうふうにお答えすればよろしいのでございまするか、差しずめ一番差し迫つた問題といたしましては給與の問題だろうと思つております。これにつきましては御承知のごとく我々及ばずながら努力をして参つたつもりでございます。先ずこれだけお答えをいたします。
  200. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 確かに総裁はその点において悩まれておつたと私も考えるのでありますが、というのはいわゆる国家公務員一つの労働組合三法の適用からはずれてしまつて、ただ單なる職員団体というような形、そうして交渉もいわゆる団交権とか、或いは協約権とか、或いは罷業権ということを剥奪されてしまつた後に、残るものは非常にいわゆる自分の生活を守つて行く上の生計費とか、いわゆる給與を保つて行くということについて非常に悲惨な状況に陷るだろうと思うのであります。その点をとにかく十分守つて呉れるところのものは、今悩まれておるというふうな御答弁があつたように、私は人事院にあると思うのであります。そういう点から二年間乃至三年間非常に御苦労なすつたということであつたのでありますが、それにつきまして今回のこの政府給與法というふうなものは、その立場から考え公務員の生活を保つて行く上に十分なものであるかどうか、これについての忌憚のない御批判をお願いします。
  201. 淺井清

    政府委員(淺井清君) この席上でその点に亘りますのは如何かと存じますが、御質問がございましたのでお答えを申上げたいと思いますが、政府の案と申しまするものは、このベースというものの額におきましては人事院の案と大差はないように思つております。大よそ八千円見当に政府案はなるものじやないか。然らば人事院のいわゆるべースとそう大差はないと思つております。ただ人事院といたしましては、不満に思いまする点は大よそ二カ所でございまして、第一は俸給表の問題、即ち人事院の勧告案は我々みずから下に厚く上に薄からざると申しておりましたが、それが大体下に薄く上に厚くなつておる点。第二は調整号俸を切下げまして切替をいたしてありまする点。この二点がその主なものでございますが、なお年末手当といたしましては人事院はあれを純然たる給與といたしまして十三カ月分の俸給を年に拂う、こういう形になつておりますのが、半カ月分になつておる点等でございます。
  202. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そういう点に御不満があるということが明瞭になりますれば、それに対して人事院の総裁といたしまして、今後如何なる措置をとられるか、この点について伺います。
  203. 淺井清

    政府委員(淺井清君) これがつまり人事院権限の問題になつておると思います。若し人事院が勧告をいたし、一方において自由に給與予算をきめることができるというまでの権限を持ちますれば、これは憲法違反になると存じております。内閣の所轄庁でございまする人事院といたしましては、公正なる立場から勧告をいたし、その勧告に基いて内閣及び国会の処置を待つ、これが物の本筋であろうと思つております。ただそれは法律上の建前を申したに過ぎませんので、我々いやしくも勧告をいたしました場合においては、これが実現を期するということはこれ当然の責務でございまするから、我々が国会に参りまして、我々の立場を国会に訴え、国会の御決定を仰ぐ、こういう努力を今いたしておる次第でございます。
  204. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 総裁の処置方法ということは、私は三年前からたびたび聞いておるのでありますが、すでに勧告をして、そうして国会でこれを解決してもらいたい、こういうような御答弁が多いように思うのであります。もう一歩きり込んで、ただ單に国会で決定してもらいたい、給與方面だけについて決定してもらいたいということよりも、むしろ人事院の性格が法的にきめられてある。この性格がどうしてももう一歩人事院らしいところの立場をとるという方面に改善されなければならない、こういうようなことを計画なされておることはないか。
  205. 淺井清

    政府委員(淺井清君) この点について私はここに人事院の見解を申述べる段階ではないと思いまするが、これは非常にむずかしい点であろうと思つております。我が憲法によりますれば、国会に対して連帶責任を負うものは内閣であつて憲法第七十三條によりますれば、公務員に関することは内閣の事務と相成つております。この内閣の事務を人事院内閣の所轄庁としてやつておりまするものであり、且つ公務員給與は予算上の措置が必要でございまして、この予算上の措置は、憲法国会及び内閣権限に属しておることが明白といたしまするならば、只今お示しのように、人事院権限をもつと強化するということがどうしてできるかという問題が起つて来るかと思つております。
  206. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 議事進行についてお諮り願いたいと思いますが、或いは委員長にお伺いすることかもわからんのですが、本日の午後は地方行政委員会單独の委員会開催の予定と承知いたしておるが、連合委員会の質問がたくさんおありの模様で、或いはいろいろの都合で今日午後、又晩になつたと思うのでありますが、ところで又明日一日という会期に際して、單独の地方行政委員会ではまだ質疑も残つておるように伺いまするし、且つ私たちは修正意見を有しておつて関係方面に折衝もなされなければならん。かような事情等に鑑みまして、委員長は諮られまして、議長に、或いは議院運営委員会に、今日の情勢から見ればもう半日延期してもらいたいということになりますが、半日延期というのはおかしいが、とにかく半日分、單独の地方行政委員会が食い込まれはおるという一点、それから関係方面との折衝もあること等に鑑みまして、一日会期延長方の議運としての御方針をお取りまとめ願えましたら、非常に結構だと思います。お諮り願いたいと思います。
  207. 岡本愛祐

    委員長(岡本愛祐君) ちよつと岩木君に御相談いたしますが、連合委員会でございますから、地方行政委員会でその御相談をしたほうがいいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  208. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 地方行政委員会をあとでやりますか。
  209. 岡本愛祐

    委員長(岡本愛祐君) やります。やるつもりでおります。  この機会に皆様にお諮りしたしますが、まだ御通告のかたが原君、若木君、それから荒木君、成瀬君、高田君、これだけ残つております。それから岩間君もあります。そこで今岩木君からもお話がございましたように、地方行政委員会におきましては、まだ各條につきまして逐條審議も残つておりますので、成るべく皆様の御質問が重複しないように、又この地方公務員法案関係の薄いことはそのおのおのの委員会でお願いをするように、そういうふうにいたしたいと思います。まだ岡野国務大臣が出ませんのは誠に恐縮であります。私八時の約束でもうじき出ると思います。そういうことで今日は御勉強して頂きまして、十二時になりましても、この連合委員会を続けて頂きまして、そうして今日のうちに連合委員会を終つて頂きたい、こういうふうに思つております。尤も多少休憩を頂いて地方行政委員会を開かなければならんことが起るかも知れません。岩木君からの御話もございましたが……。
  210. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 これはちよつと……本日の夜の十二時まで連合委員会をやられるということになりますと、恐らく御熱心な質問者があるように承わつておりますが、相当時間を要すると思いますので、ちよつとこれより御休憩願つて、ほんの僅か地方行政委員会の審議の状態に鑑み、会期の態度につきまして、御協議願つたらどうかと思いますが、如何でしようか。
  211. 岡本愛祐

    委員長(岡本愛祐君) もう少し続けまして、そういうように取計らいたいと思います。  人事院総裁に対して御質問がございましたらお願いいたします。
  212. 原虎一

    ○原虎一君 人事院総裁にお尋ねいたします。その前に、委員長が今日関係方面においでになりまして、他のかたが代つて委員長をやられました先般の私の質問に対する政府答弁が、岡野国務大臣と鈴木政府委員との御答弁が食い違つております。これは速記を飜訳いたしまして、見た上でなお質さなければならん。而もこれは重要なることであります。従つて連合委員会を打切られるにいたしましても、私の質問を打切られるということは甚だ迷惑であります。なお政府は法の解釈に対する意見を統一して答弁されるはずであります。それから法務府、法制局関係におきましても、私の質問に対する法的根拠に基く答弁をされるように要求して、まだ今もしませんし。恐らく明日になるのじやないかと思います。そういう点が残つておりますので、その点はあらかじめ御了解を得ておきたいと思います。  私は人事院総裁に質問いたします点は、その前に総裁に第一にお尋ねいたします点は、この法案の最も重要なる点、最も地方公務員の受けるところの福祉、この法によつて地方公務員が現状よりどれだけ福祉を受けるか。この点について人事院総裁の見解をお伺いいたしたいと思います。
  213. 淺井清

    政府委員(淺井清君) おのずから法案審議に触れるものでございまするから、お答えするのは甚だ異なものと存じておりまするが、私ども人事院といたしましては、この法案がその点において適切であると、かように考えております。
  214. 原虎一

    ○原虎一君 これは勿論所管が違いますから質問か少し的をはずれたようなお考えをお持ちになるかもわかりませんが、少くとも公務員法に準ずるものでありますし、人事院規則に準ずるものが将来生まれて来るのであります。従つてこれは現在の人事院においては国家公務員法による運営の結果がどういう状態になるかということは、責任の地位にあるあなたが一番よく御存知のはずであります。その総裁の証言というものは、これはこの法の制定に当る我々の審議に重要なる証言であると思う。従つて所管が違うことは違いますけれども、人事院総裁としてこの法に対して我々が質問をしてその証言を求めたときに、証言されることはこれは当然だと思う、それでお伺いしておるのです。さらばこれが適切なものであるということは、現在の地方公務員法にこれをはめて、どの点と、どの点が地方公務員に與える福祉がある。又現在のように政令二百一号で縛られておる状態であるならば、この点と、この点が非常に不幸を見ておる。こういり点についてのあなたの御見解を承わりたいのであります。
  215. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 一言にして申しますれば、国家公務員法と同じように、いわゆるキヤリア・システムというものを地方公務員に確立するという点は、確かに、最も根本的なものの一つではないかと、かように考えております。
  216. 原虎一

    ○原虎一君 それでは具体的にお伺いいたしますが、御承知のように憲法に造詣の深いあなたでありまして憲法の第二十八條の団結権、団体交渉権、団体協約の権利をこの法律は取上げてしまうのであります。そうして公務員の労働條件、いわゆる勤務時間、給與の問題は人事委並びに公平委員会がきめるのであります。この人事委、公平委員会がきめるという場合に、あなたの今までの御経験によれば、我々も悩んでおるでありますが、今まで数回人事院給與の改訂を政府に向つて勧告し国会に通告されたわけでありまするが、今日まで改正されたことはないのであります。ところがこの法律によりますれば、どういうふうに人事委或いは公平委員会が勧告すればそれが直ちに公務員給與の改訂に福祉をもたらす点があるか。その点をお伺いいたしたいのであります。
  217. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 国家公務員の場合についてのいろいろとあれがございましたけれども、これはすでに申しましたように、只今制度人事院権限というものにはおのづから限界があるように思つております。それと同じように地方公務員法におきましても、これらの機関の権限にもおのづから限界があると、こういうことは止むを得んのではないかと思つております。その権限の範囲内におきまして公務員福祉に努力するようなことになりまするのは、これは大きな行政機構のうちの一つの機関の立場としては止むを得んことだろうと思います。若しこのような制度、例えば国家公務員における人事院のようなものの制度がなかつた場合には、より多く果して公務員の利益が保護できるかどうかということは、私は非常に疑問であろうと思つております。それと同じことが地方公務員についても言い得るのではなかろうかと存じております。
  218. 原虎一

    ○原虎一君 そこでお伺いしますが、その場合何ですが、政令二百一号がなかつた場合にというが、これがあるから今日罷業権も奪われておる、正規の団体協約を結ぶということも不可能である。政令二百一号が廃止されたら、以前のように憲法二十八條けそのまま労働者に適用されるのであります。この法律を作るということは、政令二百一号を永久にやるという法律を作ることになるのです。政令二百一号が撤回されれば、こういう拘束は受けないのであります。その点で現在公務員は、地方公務員は政令二百一号で拘束をされているわけであります。それを今度は永久に法によつて縛るという、むしろ政令二百一号がなかつたならば、不幸な点がいわゆる憲法二十八條の団体交渉権、団体協約によつて確立されて行くのであります。その点あなたの御答弁は納得できないのであります。
  219. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 先ず第一に憲法三十八條の勤労者の団結権、団体交渉権の尊ぶべきことをお述べになりましたが、誠に御同感でございまするが、同時に憲法の基本的な人権というものは公共福祉のためには制限せられ得るものであり、又これを濫用してはならないということも又憲法規定であるということは当然のことだろうと思います。従いまして憲法にありまする基本的人権でも、公共福祉のためには止むを得ざる制限を受けることは仕方がないのでございます。  第三には、やはり公務に勤労を捧げまするものと、私企業に従事いたしまするものとの間にはおのずから違いがあろうかと思います。この二つの原理からいたしまして、地方公務良の場合におきましても、その団結権、団体行動権が制限せられるということは、これは止むを得ないのでございまして、この制限の範囲内においてその保護を全うする手段を講じなければならない。こういうふうな筋道になつて来るように我々は考えております。
  220. 原虎一

    ○原虎一君 総裁の御答弁によりますと、公共福祉のためには憲法二十八條の権限を極度に侵害しても止むを得ない。これは逆に申しますれば、憲法二十八條というものは、公共福祉のために全部を、何でも彼でも構わない全部を剥奪しても構わないというふうにお考えのように受取れるのであります。これはとんでもない間違いでありまして、御承知のように国の資本で国の経営にかかる国鉄或いに專売にいたしましても、公共福祉のために罷業権を剥奪いたしましたので、仲裁裁定というところの機関が設けられておる。これは団体交渉という権限を認めております。同じ国のための事業に従事せるものでありましても、事業形態が違うということによつて、できるだけ団体の交渉権というもの、或いはその結果について裁判の判定のごとき効力を持つ仲裁委員会というものを作つておる。若し今日人事院が、国家公務員に対して人事院の勧告がもう一つその上の審議機関或いは裁判制度によつてこれが審議されて決定されて行くものでありますれば、今日のごとく一斉賜暇休暇をとつて人事院の勧告を政府に要求して実施させようというような問題は起きないのであります。いわゆる団体交渉権、罷業権というものを剥奪して、而もその頼るべき人事院の勧告というものが政府の一方的な意思によつてこれが蹂躙し得るという状態にあるから、私は労働問題、社会問題が起きて来るのであります。若しこれが人事院の勧告に対してもつと愼重に扱うということになれば、或いは裁判制度を設ける、或いは国会がこれによつて適当な審議をして、これが国会において決定する何らかの方法を講ずれば、こうした問題は、いわゆる一斉賜暇休暇のごときこういう社会的問題が起つて来ないのであります。あなたは公共福祉のためには基本的人権をすべて奪つても差支ないのだというお考えのように伺わざるを得ない御答弁だと私は感じたのであります。できるだけ憲法を我々は守つて行かなければなりません。吉田首相といえども憲法を無視して軍事基地を簡單に与えるという御答弁はできないのであります。やはり我々は憲法は守らなければならない、憲法に最も御造詣の深いあなたが公共福祉のためには、すべて基本的人権を奪つてもかまわないがごとき御見解を披瀝されることは甚だ残念であります。  もう一度私のお伺いしたい点は、今日まで二カ年数カ月あなたが人事院総裁として国家公務員法の下に、最も公務員が期待する、人事院の最も重要な任務であります給與の改訂に対して、私はあなたは苦がい経験をなされていると思うのです。その経験を我々は今日あの公務員法を制定するときと同じような法案を作つて地方自治体にこれを渡すということは無責任極まるのであります。すでに二カ年数カ月間経験した体験によつて人事院も、或いは所管大臣も、我々国会議員も、要するによりよきものにして、地方公務員に適用する法律を作らなければ、二年前に作つてすでに体験して苦がい経験をあなたが持つておられると思う法律をその通り地方に渡すということは、無責任極まるものと考えますから、人事院総裁としての過去二カ年の体験に基く見解をお聞きしておるわけであります。
  221. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 私は基本的人権は公共福祉のためにすべてを奪つてもいいとは申さなかつたつもりでございまして、公共福祉のためにこれが制限されることも止むを得ざるものがあるということを申述べたに過ぎません。  それから次に国鉄裁定の場合と比較されまして、人事院の勧告を更に決定する機関が他にあればよろしいと仰せられましたが、これが即ち国家公務員法では国会に当つておるわけであります。国民の代表者たる国会人事院の勧告を決定する最終権があるのでございますから、制度上それでよろしいかと思います。
  222. 原虎一

    ○原虎一君 制度上はよろしいということは、今日初めてお聞きするのでありますが、いわゆる人事院の勧告が今日のような状態に……、今まで勧告を二、三回出されてそれが実施されない状態にある。これは人事院における責任者の総裁として、一体この状態がこれでいいのであるか。国家公務員が従事するのにこういう状態が簡單に行われているということが、それで正しいというお考えであるかどうか。この点を私はお伺いしておるわけであります。
  223. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 法律上の制度といたしましては、人事院権限としての勧告を只今以上に強化いたす手はないように思うのであります。ただこれは良識ある政治の運営に待つほかいたし方がないものと考えております。
  224. 岡本愛祐

    委員長(岡本愛祐君) 原君に申上げますが、先ほどお話のございました法制意見第二局長林修三君が一応御答弁申上げたいということでございますが、よろしうございますか。
  225. 原虎一

    ○原虎一君 誰ですか。
  226. 岡本愛祐

    委員長(岡本愛祐君) 林法制意見第二局長へあなた意見が保留してあるので、発言したいということですが。
  227. 林修三

    政府委員(林修三君) 先ほど御質問ございました、地方団体の当局と職員団体との交渉のところの解釈でございますが、これは先ほど佐藤法制意見長官からお答えいたしました通り考えまして、それ以上実は附加えることはないのではないかと存じております。
  228. 原虎一

    ○原虎一君 ちよつと御答弁が私は呑込めないのでありますが、甚だ愚鈍にして申訳ありませんが、私が先ほど質問いたしましたのは、第五十五條の二項のしまいの方にあります「当該地方公共団体の当局と書面による申合せを結ぶことができる。」これに対して申合せを履行せざる場合において、どういう処置が取り得るのであるか。例えば労働者側が違反した場合に、履行しなかつた場合において、逆にその団体の地方自治体の長から損害を受けたときに、損害賠償というようなことが契約不履行によつて起り得るのであるかどうか。この点についてお伺いしておるのであります。
  229. 林修三

    政府委員(林修三君) この第五十五條の第一項の但書によりますと、この地方団体の当局と職員団体との問の交渉は団体協約を締結する権利を含まない。かように相成つております。而して二項におきまして、この場合におきまして職員団体のかたと地方公共団体の当局の間で交渉をいたしました結果、意見が合致いたしました場合には、その合致した事項が法令、條例規則等に違反しない場合においては、両方の意見が合致したことを書面によつて確認するということが認められておるわけであります。ここで考えますると、意見の合致して書面に相成ります事項は、法令、條例地方公共団体規則等に違反しない事項でありますので、例えばその内容もおのずからそこに制限があることと存ずるわけであります。大体大まかに分けますれば、一つの事項といたしましては例えば給與を引上げて貰いたい、これは併し給與を引上げる権限地方公共団体の当局そのものにはないわけでありまして、結局そういう條例を議会で制定してもらうということに相成るわけであります。従つてそういう條例が通るように努力をせよ、こういうような内容のものであろうかと思います。こういう場合におきましてはその交渉の結果、そこで申合せができましたことの履行ということは、結局お互いに円満に話合いをして、成るべくその交渉したところを実現して行く、こういうことに相成ろうかと思うのであります。又ものによりましては、併しながら予算の範囲内におきまして、予算もあり、或いは條例規則等に違反しない例えば厚生施設を作るというような場合もあろうかと存じますが、例えばその場合或る地方団体の庁舎に風呂場を作る、或いは宿舎に作るというような場合に、そういう予算がある、そういうことを作ることも條例等に違反しない、こういう場合におきまして地方団体の当局と職員団体の間に、その風呂場をどういうふうに作る、どういうふうにしてどういう構造にするかということにつきましては申合せができた。こういう場合におきましても大体同じようにお互いの話合でそれが実現するように努力される、こういうことに相成ろうかと思うのであります。こういう事項につきまして更にそれがもう少し強い強制力があるか。先ほどから申されました損害賠償の問題になるか、或いは裁判所の問題になるかというようなことかと思うのですが、これは一応その規定を設けました趣旨から申せば、道義的にお互いに話合つて参るということであろうかと思うのであります、裁判所のほうでそういうことを取上げるかどうかは、又裁判所の問題であろうかと思います。
  230. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 今日の質疑はこの辺で打切つて予算委員会も大体打切つて散会したようですから、この辺で打切つて、明日十時から開くようにしたい、こういう動議を提出いたします。    〔「賛成」「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  231. 岡本愛祐

    委員長(岡本愛祐君) それではちよつとこのまま休憩いたしまして、委員長、理事のかたにお集りを願つて……。(「それはおかしい」と呼ぶ者あり)
  232. 岩間正男

    岩間正男君 その前に質問したいことがあるのですが、私は先ほど吉田総理出席をどうしてもこの審議に先だちまして基本的問題としてこれを要求しまして、そのときに委員長もこれを認めて下さつたのです。それでそれどうなりました。吉田総理見えられますか、今晩見えられますか。
  233. 岡本愛祐

    委員長(岡本愛祐君) 晝予算委員会出席されまして、そのあとでこちらへおいで願うことにしておつたのです。ところが予算委員会の途中で渉外関係ですぐ行かなければならんということで行かれまして、遂においでがなかつたような次第であります。あなたの御出席がこちらにないものですから、いつ呼ぶか、その点がはつきりしませんし……。
  234. 岩間正男

    岩間正男君 実は先ほど私参りまして岡野国務相に質したのでありますけれども、それでは不十分な点があつたのであります。それで政府最高責任者出席を頂かなければどうしてもこの問題は解決しないものだから、それで出席委員長から、そのとき丁度岡本委員長お見えになりませんで、理事のかたがいらつしやつたわけなんです。そういうことを御決定頂いたわけです。今晩お見えになりませんとすると、是非これは明日出席をお願い申上げたい。こういうふうに考えているわけであります。
  235. 岡本愛祐

    委員長(岡本愛祐君) ではこのまま休憩いたしまして……。
  236. 原虎一

    ○原虎一君 議事進行で動議が出まして私は動議が成立したように思つたのでありますけれども、(「その通り」と呼ぶ者あり)そうでないで休憩されるということになれば、先ほどの点を簡單ですから明確にして置きたいと思います。
  237. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 私が提出いたしました動議についてお諮りを願いたい。
  238. 岡本愛祐

    委員長(岡本愛祐君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  239. 岡本愛祐

    委員長(岡本愛祐君) 速記を始めて……。それでは十五分間このまま休憩をいたします。    午後八時二十六分休憩    —————・—————    午後九時十二分開会
  240. 岡本愛祐

    委員長(岡本愛祐君) それでは休憩前に引続き委員会を再開いたします。  先ず休憩中に行いました四委員長、四委員会の理事の打合会で打合せましたことを御報告申上げてお諮りをいたします。  本日の会議はこの程度で打切りとすることにしまして、その代り明日、まだ質問通告者が五人残つておられます。それは原君、若木君、岩間君、成瀬君、高田君、この五人の方であります。それでその一人の方の質問及びその応答の時間を三十分以内として頂きまして、そしてそのお話合いによつて、その三十分はその五人の間で融通をして頂くことにしまして、そして総計の時間を二時間半として、そして連合委員会を打切ることにいたしたい。そして委員長はそういうふうにうまく運びますように極力努力をする。で又私のほうは出席要求の大臣が来ますように極力努力をいたします。そういうことで運びたい、こういう結論になりました。これに対して御承認を頂きたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  241. 岡本愛祐

    委員長(岡本愛祐君) それではそのように決定いたします。それでは本日はこれにて散会いたします。    午後九時十四分散会  出席者は左の通り。   地方行政委員    委員長     岡本 愛祐君    理事            堀  末治君            吉川末次郎君            竹中 七郎君    委員            石村 幸作君            岩沢 忠恭君            高橋進太郎君            安井  謙君           小笠原二三男君            相馬 助治君            中田 吉雄君            西郷吉之助君            鈴木 直人君            岩木 哲夫君            石川 清一君   人事委員    委員長     木下 源吾君    理事            加藤 武徳君            千葉  信君    委員            森崎  隆君            紅露 みつ君   文部委員    委員長     堀越 儀郎君    理事            加納 金助君            成瀬 幡治君            若木 勝藏君            木内キヤウ君    委員            木村 守江君            荒木正三郎君            高田なほ子君            矢嶋 三義君            岩間 正男君   労働委員    委員長     赤松 常子君    理事      原  虎一君    委員            宮田 重文君            山花 秀雄君            堀木 鎌三君            堀  眞琴君   国務大臣    労 働 大 臣 保利  茂君    国 務 大 臣 岡野 清豪君   政府委員    人事院総裁   淺井  清君    地方自治政務次    官       小野  哲君    地方自治庁次長 鈴木 俊一君    法務府法制意見    長官      佐藤 達夫君    法務府法制意見    第二局長    林  修三君    労働省労政局長 賀來才二郎君