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政府委員(舟山正吉君)
日本輸出銀行法案につきましてや要点を御説明申上げたいと存じます。
この輸出長期金融機関の構想につきましては、この度以来いろいろ案が
考えられまして、その他、
考え方にも幾変転があ
つたわけでございまして、最近やつとこの形に面まりましたので、提案が遅れましたことは甚だ申訳ないことに思
つております。條を追いまして要点を申上げて見たいと存じます。
第一條は輸出銀行設置の趣旨を謳いましたものでありまして、
一般の金融機関やが行う輸出金融を補完し、奨励することを目的といたしております。これは現在
民間の銀行が輸出金融を行うに
当りまして、いわゆるプラント等の、長期金融を要しますやるものにつきましては、必ずしも市中銀行だけの力では十分にこれを賄うことができまやせんので、かたわらその輸出増進ということやが急務とされております
現状に鑑み、市中銀行の行いますこの種の金融を輸出銀行がその機能の足りないところを補
つて行くという趣旨を謳
つたものでございます。
第二條は、日本輸出銀行は法人格でございまして、公法上の法人といたします。全額
政府出資でありますし、それから総裁、監事の任免は
内閣総理大臣やがやります。
予算、決算については国会に提出いたしまして
審議を受けるのでやございまして、これを公法上の法人といたしたのであります。
第三條は、事務所、差当
つて主たる事務所を東京に置きますが、従たる事務所につきましては今後の推移に応じまして設置やすることにいたしたのであります。
第四條、
資本金は百五十億円といたしまして、
政府の
一般会計と見返資金から折半で出すのでありますが、そのうち五十億円は二十五
年度において、百億円は二十六
年度において出資する予定にな
つております。
第五條の定款につきましては、特に申上げることもないかと存じます。
第六條、登記、第七條は名称の使用制限、これにつきましても特に申上げることはないかと存じます。
第八條の解散、日本輸出銀行の解散についてはそのときに
法律で以て詳細に定めるということにな
つております。それから第二項は、日本輸出銀行が解散した場合におきましてはその残余財産は第四條第一項の規定にありますように、
一般会計と見返資金から出資しているのでありますが、その出資の割合に応じましてそれぞれ
一般会計及び特別会計に帰属せしめるという旨を謳
つております。
第九條につきましては特に申上げることもないかと存じます。
第二章、役員及び
職員。第十條に、この銀行には役員として総裁一人、専務理事一人、理事三人以内及び監事二人以内を置く旨を謳
つております。
第十一條につきましては、特に申上げることはないかと存じます。
第十二條の役員の任命につきましては、総裁及び監事は、
内閣総理大臣が任命いたすのでございまして、専務理事及び理事は総裁が任命いたします。
第十三條、役員の任期につきましては四年でありますやが、当初任命にかかりますものにつきましては、この平理事三人のうち二人が二年、監事二人のうち一人が二年といたしまして、この任期が重やなり合
つて行くことにな
つて参るのでやございます。このことは附則に語
つてございます。
第十四條は代表権の制限、第十五條は代理人の選任、第十六條は
職員の任命、特に申上げることはございませんや。
第十七條、役員及び
職員の地位でやございます。この日本輸出銀行は全額
政府出資の特殊機関でありまするところから、この銀行の役員及び
職員は、或いはこれを国家
公務員とすべきであるとい
つたような
意見もあ
つたのでありますが、人材を採用し、十分に腕を振わしますためにそれをいたしませんで、ただ刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する
職員とみなしまして、
公務員とはな
つておらないのでございます。
第三章、業務。ここに日本輸出銀行の業務の範囲を規定しているのでありますが、第十八條で、この三項目で業務の大綱を示しているのであります。第一は、設備(船舶及び車両を含む。)及びこれらの
部分品等であ
つて、本邦で生産されたものを輸出する場合、並びにこれらに伴
つて本邦からの技術の提供、例えば機械の据付等の技術、サービスの提供がしやすくいたしますために、この銀竹は本邦の輸出業者又は本邦輸出品製造業者に対しまして資金を貸し付けることが眼目にな
つております。但し銀行が日本輸出銀行と一緒になりまして、その資金の貸付を受けようとする者に対して資金を融通する場合に限るのであり、且つ資金の借入希望者が銀行を経由いたしまして、この銀行に貸付の申込をするときに限るのであります。このことは言い換えますれば、いわゆる参加融資をする場合に限るのでありまして、且つこの融資資借入申込者から直接にこの銀行が申込を受けないということを謳
つているのでございます。いろいろ輸出金融機関についての論議の経過におきまして、債務の負担及び引受もこの銀行の機能に加えることが論議せられましたが、最終案ではこれは省かれているのであります。業務の第二点は、設備等を輸出し、設備及び技術を輸出いたしますために、市中銀行に対しまして、この銀行が、市中銀行が輸出業者又は輸出品製造業者に手形貸付をし、或いは手形の割引をして、それらの手形をこの銀行で再割引をすることが業務であるのであります。それから第三は、例外的の場合になりまするが、本邦から設備等を相手国に輸出いたします際に、当該外国
政府、外国の
政府機関等に対しましてこの銀行が円資金の貸付をする場合を
考えておるのであります。但書に「その貸付を受ける者が、当該貸付を受けることにより当該外国の法令の規定に違背することとなる場合を除く。」とありますのは、先方の国の為替管理法令等に違背してはならない旨を注意した規定であります。第四号に「前各号に附帯する業務」とありますのは、融資後の担保の管理、回収等の業務を
考えておるのであります。
それから第二項に参りまして、以上銀行やの行います資金の貸付又は手形の割引は、銀行が、通常の條件により資金の供給を行うことが困難な場合であ
つて、且つ、本邦からの設備備等の、こちらから申しまして輸出の契約が現に締結され、或いは締結が確実に
なつた場合等に限るという趣旨でありまして、これを言い換えますれば、見越し生産等の資金は供給してはいけないということ、それから飽くまでこの銀行は市中銀行の補完作用の範囲に活動が限局せられるということを謳
つたものであります。なお参加融資につきまして、案の
審議の経過につきましては、この銀行と市中銀行と融資の割合を
法律に謳
つて見ようかとしたこともあ
つたのでありますが、これは最終案では削除になりまして、業務
方法書に謳うことに相成
つております。
それから第十九條は、銀行の貸付の利率を謳
つておるのであります。これを具体的に、年何分以下というような規定をいたすことは避けまして、「輸出銀行の事務や
取扱費、業務委託費その他の諸費及び資産の運用損失を償うに足るように、」ということを謳いまして、余り低くなることを避けしめたのであります。資金を借りる業者から申しますれば、低いほうがよろしいのでありますが、これは一種の輸出奨励の方策ともなるという疑いを持たれることを避けますために、一方においてこうやいう規定を設けたのであります。なお後段にありますように、市中「銀行の貸付利率及び手形の割引歩合を勘案して定める」といたしまして、必ずしも市中金利と同率でなければならんということは、これを緩めた次第でやございます。実際問題といたしましては業務
方法書等に更に一段と具体的な基準を掲げることにつ相成るかと
考えております。
それから次の項は、貸付利率は相手方によ
つて非常に不公平があ
つてはいけない、同じ種類の貸付に対しては同一の金利でなければならないという趣旨を謳
つたものでございます。
それから第二十條は、貸付金の償還期限及び割引に係る手形の支拂期限を定めたのでございます。第一項に六カ月以上、三年以内ということにいたしております。六カ月を超えるといたしましたのは、六カ月以内のものにつきましては、普通の貿手の再割で賄える短期輸出金融であるという思想であります。それから三年に抑えましたことはこれまでのプラントものの輸出は大体三年以内のものが多いようでありますので、一応ここで抑えたのでありますが、次の項におきましてなお例外的の場合には、三年を超え五年以内のものとすることができるというふうに例外を設けたのでございます。それが余りにこの期間を長くいたして置きますと、契約のときに支拂條件につきまして不利なことが出て参るのを防止する意図に出たものであります。
それから二十一條は、この銀行の業務を営みます業務の期間を定めたものでありまして、設立の日から五年までは資金の貸付、又は手形の割引をすることができる。それでその後のことは又別途の
措置に待
つたわけであります。このままやりますると、五年を経過した後は既往の貸付の回収をなすということになるのであります。併しここでは一応五年を以て区切
つたということに過ぎないと存じます。
次に二十二條は、業務
方法書、営業の基礎となります諸事項を業務
方法書に書かすわけでございます。
それから二十三條は、この銀行から業務の委託を受けました銀行の委託業務に関しまする役員及び
職員の地位を規定したものでございます。
それから二十四條には、この銀行の業務の性格を念のため謳
つたのでございます。「日本輸出銀行は、第一條に掲げる目的にかんがみ、輸出金融について、銀行その他の金融機関と競争してはならない。」といたしてございます。
第四章は会計、第二十五條は、
事業年度を一年といたす現定であります。
それから第二十六條は、この銀行の收入及び支出の
予算は大蔵大臣を経由して、国会の
審議を受けるということを謳
つたものでございます。この点につきましても、輸出金融機関の
事業計画全体について、国会の
審議を受けなければならないとい
つたような
考え方もあるわけでありますが、例えば国民金融公庫等については、現在そういうふうにな
つておるのでありますが、その個々におきましてはただ収支の
予算を国会の
審議にかけることにして、その他の活動を自由にしたのでございます。
それから第二十七條は予備費の規定、第二十八條は
予算の議決の規定、第二十九條は
予算の通知の規定、特に申上げることはございません。
第二十條は、追加
予算及び
予算の修正の規定でございます。
第三十一條は、暫定
予算の規定でございまして、大体国の会計の制度に倣
つたものであります。
第三十二條以下は、
予算の執行でございまして、三十三條で
予算の流用を謳い、それから第三十四條で予備費の使用手続を謳
つております。
第三十五條は、財務諸表の作成について若干の事項を明示しております。
事業年度は一年でありますが、財産目録、貸借対照表につきましては、一年を半期ごとに分けまして、これを作成することを明示しております。損益
計算書につきましては半期及び
事業年度ごとに作成するのでございます。
第三十六條は決算の規定、第三十七條は決算
報告書の規定でございます。
第三十八條、利益金の処分、これにつきましては、従来輸出銀行の利益金は全額国庫に納付やするという
考え方もあ
つたのでありますが、最終案におきましては、これを準備金として社内に積立てるということに相成りました。「前項の準備金は、損失の補てんに充てる場合を除いては、取りくずしてはならない。」という規定にな
つております。
第三十九條は、資金の借入の制限でございまして、日本輸出銀行は日本銀行、市中銀行、預金部等から一切借入をしてはいけない出資の範囲内で業務をするということを明らかにいたしております。
第四十條は、余裕金の運用でございまして、この運用先と、この運用の
方法を限定いたしてあります。
第四十一條は、会計検査院の検査。
第五章、監督でございます。第四十二條は、大蔵大臣の専管に属する旨を規定しておりますが、「この
法律の定めるところに従い」と規定いたしまして、この
法律に謳
つておりまする範囲の監督権を行使する。その範囲は限局せられたものであるという趣旨を現わしております。それから第二項に参りますと、大蔵大臣は、
報告を徴し、又は検査実施の結果に基きまして業務に関し監督上必要な命令をすることができるということを申しております。おおむね金融機関に対する監督規定の字句と同様でございます。
第四十三條は役員の解任の規定であります。
第四十四條は、
報告の徴収及び検査の規定でございますが、特に申上げることはございません。
第六章は罰則でありますがこれ又特に申上げることはございません。
附則におきまして「この
法律は、公布の日から施行する。」旨謳
つております。その他は特に申上げることもないかと存じますので、なお御質問によりましてお答え申上げたいと存じます。