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1950-11-28 第9回国会 参議院 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十一月二十八日(火曜 日)    午後一時四十二分開会   ―――――――――――――   委員の異動 十一月二十四日委員森田豊壽君辞任に つき、その補欠として木村守江君を議 長において指名した。   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○委員長報告在外公館等上金に関する件 ○引揚者住宅問題に関する件 ○サムプソン夫人よりのメツセージの  紹介並びにその取扱方に関する件   ―――――――――――――
  2. 内村清次

    委員長内村清次君) 只今より委員会を開きます。  先ず議事に入りまする前に二、三御報告を申上げたいと存じます。未復員者給與法改正案取扱のことにつきまして、去る二十五日に大谷理事に御一緒して頂きまして、衆議院若林委員長にお会いいたしまして相談いたしましたところ、衆議院若林委員長は、衆議院側ではまだ特別委員会ができていない現状であるから、参議院側で推進して、参議院側で発議することに異議ない旨申されました。つきましては、本法案につきまして、参議院側関係方面との折衝を行いましで、参議院側で発議するように取計らいたいと存じます。  次に在外公館上金に関する件でありまするが、昨日委員長及び理事打合会を開きまして、大蔵省理財局次長酒井さん、外務省池田室長さんに御出席を願いましてとくと懇談いたしました。その結果、現在公館上金事務処理は一割程度でありまして、借上金確認完了するまでには今後一年有余を要することがわかりまして、私どもといたしましては誠に憂慮に堪えないところがございます。委員長といたしましては、講和も間近いことでありますし、その前にこの借上金の問題を解決したいと考えて苦心いたしておる次第でございます。昨日の委員会千田理事より、この問題につきまして緊急質問をして政府を強くプツシユしてはどうかとの御意見も提出されました次等でございます。つきましては公報には旧軍債権処理に関する法律と住宅問題となつておりまししが、これに追加いたしまして、在外公館上金処理経過について改めて委員会報告して頂くことにいたします。尚本題につきましては、全連の代表者が見えておりますので、当局説明を聽取しました後に、全連の声を聽取したいと存じまするが、このことにつきまして御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 内村清次

    委員長内村清次君) ではさよう取扱うことにいたします。つきましては、在外公館上金に関する件を議題といたします、外務省池田室長さん、大蔵省酒井次長から順次に説明して頂くことにいたします。外務省池田室長
  4. 池田千嘉太

    説明員池田千嘉太君) それでは只今お話借入金関係の今までの経過簡單に御報告申上げます。  この借入金整理につきましては、昨年の六月に法律公布されまして、次いで十二月に政令が出まして、それによつて事務が開始されたのでありますが、十二月政令公布と同時に、十二月の二十日から確認請求書を市町村の窓口を通じまして受付けまして、途中國会のほうの法律改正によりまして、九十日の期限を百五十日に直されまして、本年五月十八日の締切までに提出されました申請書が約二十一万件事務局に着いております。一方審査会政令公布と同時に委員六名及び幹事十八名にお願いしまして、一月の終りから審査事務を開始しました。爾来毎週大体一同審査会を開催して今日に至つておりますが、この審査方法事務局においてあらかじめ得と置きました報告書に基づいて、審査に必要な事項を記載した調書を作りまして審査会に上程する方法をとりまして、審査会はこの調書によりまして公館又は在外邦人団体等の行なつた借入の経緯、方法、それから返済條件借入の件数、金額、それから借入金の使途を審査し、そうして借入責任者の提出した原簿等を点検して、更に必要によりましてつは、借入関係者の出頭を求めてこれが事情を聽取の上、その借入機関である領事館又は自治団体等借入れた資金が、在外公館等借入金に該当するかどうかということを決定するという方法によりまして、このいわゆる借入主体審査しておりまして、次いでその借入主体に提供した資金は、この審定によりまして一応借入金対象になるかどうかということがきまるわけでありますが、この対象になるとされた主体に属する確認請求書審査が次いで行われるわけでありまして、この確認請求書は、借入主体になると認定されたものに属するものであつても、証拠書類の不備なものがあつたり、二重請求があつたり、又は金額の食い違つたものがあつたりしまするので、借入金責任者報告と一致しないものが少くないのであります。でありますから、これも事務所で一件々々よく愼重に整理しまして、審査会審査に供しております。先ほども申しました主体が否決された際には、その主体に属する資金請求書は、すべて確認されないことになるのでありますが、主体が認定されても、一般の寄附金とか或いは沒收された金とが、預貯金その他在外資産に属するものは、もとより確認対象なつらぬのであります。  こういう審査方法をとつておるのでありますが、現在までに審査されたものは、大体において九十でありまして、一方請求書によりまして、幾つ主体があるかということを一応当つて見ましたところ、大体七百ある、七百の中には資料とか、帳簿類整理されているものは、およそ百五十ぐらいと思われます。更に請求書のほうについて見ますると、只今申上げました通り、受理の総数は大体二十一万件でありまして、現在までに二万三千八百九十六件というものを審査済にいたしております。それで事務局で一応、確認を受けられる、確認対象になる請求書というものがどのくらいあるかと、一応当つて見ましたところ、大体十三万八千余件でありまして、その内訳は、満洲が九万五千余件、朝鮮が一万八千余件、中國が二万余件、南方四千五百件と推定されるわけでありますが、この数字の中には、問題の華中において行われました調整料付送金小切手関係のものは一応除外されております。この確認されたものに対する確認証書のことでおりますが、これも確認と並行しまして、提供者の切なる御希望に応えまして着々準備は進めておりますが、なかなか面倒な事務でありまして、今のところ、確認されたもの約一万九千につきましてほぼ準備ができておりますが、できれば十二月中には発給したいと思つておるのですが、その残余のものにつきましては、二、三万件ずつ数回に亘つて出す方法によりたいと思つております。不確認のものにつきましては、不確認通知を出しますが、これはやはり確認証書よりも遅れることと思つております。  更にこの事務を担当いたしております事務局状況は、人員は、本職員が十五名、それから非常勤職員、これは予算定員でありますが、七十名、合計八十五名でやつておりまして、そのうち総務関係を十三名、証書作成関係を二十名でやつておりますので、調査、それから審査関係事務は五十二名ということになつておりまして、その事務予算は、本年度一千九十万円貰つております。  以上申しました通りでありまして、審査事務は、開始後約十ヶ月を経たのでありますが、実績は全体の一割五分にも足りませんのでありますが、而も今までやつたものは、大体主体なり、請求書が比較的資料が整備されたものでありまして、調査にも比較的容易であつたものでありますが、今後残されておる約六百件の主体及びこれに伴う請求書というものは、資料がなかなかなくて、審査にも相当困難があるのだと思われます。この点でなお大部分というものの審査が終り得るというのには一年ぐらいはかかるのじやないかと予想しておりますが、併し大口の借人を行なつた地方のは、割合資料など整備しておりまして、現在までも淘汰などが多いのでありますから、確認請求書につきましても、七割乃至八割までは来年の六月か七月頃までには審査が済むのではないかと思つております。  審査状況その他大体概要以上の通りであります。
  5. 内村清次

    委員長内村清次君) 次に、大蔵省理財局次長説明を聽取することにいたします。
  6. 酒井俊彦

    説明員酒井俊彦君) この借入金審査状況は、只今池田室長から御説明のありました通りでありますが、この借入金をどういう方法支拂うかという問題でございまして、これは前回委員会におきましても、いろいろ当委員会から御意見を承わりまして、御要望がありましたのでありますが、その際に申上げましたように、この借入金につきましては、法律に明示してございますように、法律の定めるところに従い、且つ予算範囲内で将来支拂をするとございまして問題は、一つ予算範囲予算の面で負担力と申しますか、そういう問題が考慮すべき点でございます。なおその外在外財産処理その他の問題と関連いたしまして、この処理方法如何はかなり大きな影響を持つて参りますと同時に、前回にも申上げましたように、換算率をどうきめるか、これが非常に事務的には厄介な問題でございます。御承知のように、終戰後のあの混乱した各地状況でございますので、その後的確な信憑すべき資料を求めて、これから現地通貨による借入金を円の債務としてどういうふうに換算して行くかということは、なかなかむづかしい問題でございます。只今までのところ、なお換算率につきましては、誰でもが納得するよう信憑性のある換算率を求めるということは、まだできない状況でありまして、ここで換算率について、どんなふうに進行しておるかということを申上げられる段階にまで至つていないのでございます。昨日の打合会におきましても、いろいろ委員かたがたからお示しを受けまして、我々といたしましても、各種の資料を收集いたしまして、何とか早く解決できれば非常に幸いだと思つており、努力いたしておりますが、今日までのところ、なおこれならばという的確な換算率が算出できないでいる状況でございます。この換算率自体が、やはりさつき申上げまし在外財産の評価の問題、その他いろいろ関係するところも広うございまして、軽々には算定しにくい状況にございます。これを御了承下さいまして、まあ前回から余り調査が進行しておりませんので甚だ申訳ないのでありますが、私からの御説明といたしましては、この程度で御了承を願いたいと思つております。
  7. 内村清次

  8. 阿部勇

    参考人阿部勇君) 私は引揚者団体國連合会常務理事阿部と申します。  この問題は最初在外資産と混同されたと思いますが、一括して政府では考えておつた。それを当委員会皆さん、或いは我々引揚者団体が、これは在外資産にすべき問題じやない、当然國家行政費として支出すべきでものを、支出する方法が、ないので、当時、殊に外務省かち、在外公館等引揚げの費用が要る場合には、現地で調弁して引揚上げた際は直ちに返す、こういう電報を打つてつたようである、それだからこれは在外資産ではない、こういうことを主張されまして、芦田内閣のとき、総理大臣みずから支拂義務があるということを言明して確認段階になつたわけであります。従つて支拂いは、別な法律で定められると申しますけれども、引揚債権者にとりましては、非常に再起困難、更生困難な折から、この支拂いを望んでおりまして、確認の次にはすぐ支拂いがあるものだと当然考えたのであります。これは無理もないことであつて國家がそういう義務はつきり言明したからには、たとえ全部が確認されなくても、確認されたものから順次政府支拂いという態勢をとるべきだと私たちは思うのであります。最近我々のところへ無数にこれを督励すると申しますか、政府に強力な折衝をして早く支拂えるようにして貰いたいという手紙が来るのであります。その中の多くは生活の困難というものを非常に訴えている。こういうものを見た場合に、我我國家はただ換算率がきまらんとか、或いは予算の問題がどうであるとかいうようなことだけに藉口して、いつまでもおつぽり放しにして置くべきじやないと、こういうふうに考えられるのです。換算率の問題も、只今大蔵省当局お話によりますと、まだ資料が集まつていないということでありますけれども、すでに当時の横浜正金、今の東銀あたりでは、いろいろな方法を以て終戰時における円対各地通貨割合はどうであるかというようなことを、自分の営業の立場からではございましようが、作つているんであります。又日本銀行においでは、終戰時日本財政金融統計というものを作りまして、そこに各地通貨発行高や、或いは物価指数やら、そういうようなものをも出している。それから又共同通信あたりの断片的な資料を以ちましても、多少とも推定ができるよう資料がある。私は政府は、とにかく講和條約も間近い、それから又公館等借入金がすでに確認も或る程度しているというような場合においては、この問題を真劍に考えて、できるだけ早く政府としてはこういうふうな比率で臨んだというよう態度を持つてつて行くべきではなかろうか。ただ非常に困難な問題があるからいつになるかわからないというのでは余りに私は無情なやり方じやないか、こう思うのであります。従つて確認事務のほうも、若し誠意があるならば、今の予算をもつと増し、人間も増して早く片付けるという処置をとるべきじやないかと思うのであります。恐らく比率の問題については、決定の困難という外に、講和條約のときに当然日本各地で以て円系通貨を発行した、これを余りむちやな比率で以て行くということになるというと、講和條約の際に賠償等において不測の損害を受けるというようなことも考えられる、といつて非常に高くすれば公館等借入金債権者等にたくさん金を拂わなければならぬことになつて、不利益があるというようなこともあるのだろうと思います。そういう心理も……。併し私は講和條約がとにかく来年あたりできるということになれば、当然円系通貨に対する処置として、当時の通貨日本円としてどのくらいであつたかということをはつきりとやらなければならぬ、主張しなければならぬと思うのでありまして、その主張を今のうちからはつきりと立てて、そうして実際講話條約においてはその主張が通る通らないは別問題として、公館借入金は、いわば國内問題でありますから、その主張比率を以て拂う。それからなお、まだ一割ぐらいしか確認されていないけれども、確認された部分から拂つて行くということを是非実行して行くべきではなかろうか、こう考えるのであります。大体まあ引揚者団体としましては、そういう主張の下に、円対各地通貨比率かどうであるかということが一番問題でありますから、全國団体としましては、こういう態度を以て比率をきめて行つたらどうかということを希望しておる次第でありまして、この問題については、いろいろ議論がありますけれども、先ず大体皆さんのお手許に上げました大同新聞に、「全速の態度」という題で以て、その中に交換比率の問題に関して觸れております。そういうなんで行つたらいいじやないか、このなには我々引揚者団体は、引揚者利益擁護ではあります。利益擁護でありますけれども、理窟に合わない利益ということを主張しておるのではない。どうせ債権者債務者は利害が反するのだから、我々はその中間をとつて妥協的な態度で以て行こうという気持に立つて交換比率というものをこういう方法で算定して行つたらどうかということを考えたのであります。但しその中には例外があります。例えば五百円だとか六百円だとか、或いは少額債権者がある、こういう少額債権者を擁護するためには、政府はあの当時生活資金として三百円送る、送るというのは聯銀券日本円は一対一の公定レート逸りやつておる、或いは儲備券は百対十八という公定レートでやつて行つたという趣旨に鑑みて、すべて持ち帰り金一千円、この限度額までは公定レートを以て行つたらいいだらう、併しあとは実際の事情をよく勘案して、適当な比率をきめたらどうか、それはこういう方法によれば最も妥当ではなかろうか、こういう態度換算レートをきめたのであります。  以上説明が極く簡單でありますが、御説明いたします。
  9. 千田正

    千田正君 さつきから外務省及び大蔵省から、並びに全連の代表者阿部氏からのお話がありましたか、まあすでに在外公館に対するところこの審査会が発足して事業を開始してから、すでに十一ヶ月を閲しておりますけれども、僅かにその一割三分ぐらいしか審査しておらないということは、先ほど室長からもお話のある通り人員の不足という点もありましよう。或いは非常に審査の上に証拠が揃つておらないために手間取つたという点もあるでしようが、このよう状況審査して行つたならば、恐らく一年たつても私は審査ができないじやないか、かように考えます。で、我々委員会としましては、当然これは一日も速かにこの問題を解決したいというので、第一回國会以来、もうすでに回を重ねること九回に至るまでこの問題はしよつちゆう國会において討議しておるにもかかわらず、未だにこの結論が出ないということは、誠に引揚者人たちに対して申訳ない話でありまして、これは外務当局としましても、大蔵当局としましても、この事務完了を急がねばならない。この意味において私は皆さん委員長からお諮り願いたいのは、外務当局をして、この二十六年度の予算に、人員増加に対する予算の計上を要望して頂きたいという点をお諮り願いたい。  もう一つは、大蔵当局お話を聞くというと、レートが確実にきまらない。そのためになかなか予算措置もできない。ところがレートが確実にきまらないという面は、或いは将来講和会議において日本の賠償問題その他に影響するところが大きいという点を躊躇されているほうがむしろ大きな原因ではないかと我々は推測するのでありますが、併しこの問題に関しましては、さつきも全連からのお話通り、一応確認したものに対しては何らかの方法によつて、この引揚者人たちがこの確認証を利用して今後の更生資金その他に利用できるよう処置をとらなくちやならない。で、このレートの問題は、大体において中華民國におけるところの引揚者にこの問題が多いのでありまして、朝鮮或いは台湾その他の地域においては殆んど問題はないと思うのであります。一番問題になるのは華北、華中、華南、この地点におけるところの問題でありますが、これについてはどうもはつきりした証拠が掴めないというようなことを我々は誠に不思議に思うくらいである。第一回國会以来五ヶ年たつと、我々は何回となくこの問題については討議しております。当時のいわゆる南京政府代表者であつた、或いは当時の上海におけるところの代表者であつたところの、大東亜省担当者であつたところの公使、領事、或いは参事件、こういうよう人たちに対しても証人として喚問しで、一々当時のことを聞いております。金融問題についての、まあ当時の問題からいえば、我々は当然当時の正金銀行、若しくは朝鮮銀行台湾銀行、三菱銀行、そういうよう日本一流銀行外地支店支店長証人としてここに喚問すれば、大体の情勢は……私は財産整理の問題になつて来れば、例えば外地支店を持つているところの閉鎖機関処理機関が当然当時のいわゆる進駐軍によつて閉鎖を命ぜられ、そうしてその処理については一応のかつこうがついておるはずであります。でありますから、そういう問題を仔細に研究して置くというと、ここにレートというものは必ず出て来る。よしんば終戰当時三ヶ月或いは五ヶ月経て、相当の変動があつた、こういう大蔵省お話がありましたけれども、その変動があつても、それを平均した公約数というものに重点を置いて考えたならば、何人も納得するところの或る一点に集中するところのレートが出て来ると私は思う。こういうことを徒らに遷延しておるということは、非常に大きな問題化して来るところの原因であると思いますので、このレート決定の件につきましては、なお大蔵省においてこの証拠が十分に掴めないとするならば、我々委員会としまして、まだまだ証拠を收集するだけのいろいろな人を証人として喚問する機会もあると思います。例えば当時の金融団体の長であるとか、居留民団の長であるとか、そういう当時の事情に詳しい人たちがすでに帰還しておりますから、こういう人たちをお呼びしまして、証人として喚問して当時の事情を聽取して、大蔵省に対して当時の実情証拠として呈示することができると思いますので、こういう点委員会として十分とるべき方法があると思います。委員長からなおお諮り願いたいと思います。
  10. 森崎隆

    森崎隆君 千田委員の申されたことと大体同じでありますが、外務省におきましても、今の御報告通りといたしますと、大体十一ヶ月足らずで一四・五%ということになりますと、来年の一月末で大体一ヶ年二〇〇%くらいの審査しか完了できない。このまま行きますと、あとの未審査のものは、ああいうふうに資料が完備されていない、調査がむずかしいということを考えますと、一〇〇%の審査完了までには五ヶ年かかるような計算になるのでありますが、こういうよう事情をこのまま放置して置いて、本当に政府責任か果せるかどうか。この点はとくとお考え頂かなければならぬと思います。今千田さんのおつしやられたような多数の人員増加するとか、すべての点を御研究願いまして、少くとも私をして言わしめるならば、何とか三月末くらいまでにでも全部審査を了えるよう非常措置をとつて頂かなければ、これ以上引揚者かたがたが待ちきれない段階に立ち至るのじやないかと思います。私前にも一応話したことでありますが、現在この請求権を持つておるかたの請求権そのものが、生活のいわゆる苦しみからだんだんこれは金融業者、こういつたような他の人々に委讓されておるような、非常にまあ引揚者としては危險な様相を呈しておる、そういう報告を私は実は頂いておるわけであります。これはのんきに考える問題ではないと思います。直ちに一つ善処をお願いしたいと思います。  それからもう一つレートの問題につきましては、もう千田委員と同じことでありますから省略いたします。  もう一つお願いいたしたいのは、この借入金現地で如何に使われましたかということにつきまして、私は、自分だけの意見ではないのでありますが、自分の地区の引揚者かたがた要望もございましたので、それに対する当時の当勘の責任者かたがたに出て頂きまして、如何にこれが使用されたかということの或る程度の御報告をお願いいたしたい。同時にそれの裏付として宣教師のかたがたも随分あちらで具体的なことを知つておるらしいのでありまして、こういうかたがたを御調査頂きまして、是非とも御列席を頂きまして、現地の詳しい実情も聞かせて頂きましたならば、そのこと自体政府かたがたにも大きな鞭韃にもなるのじやないか。又私たちもこの借入金というものが本当にどういうような面から、どんなに苦しい手許から出されて、これが如何にあの当時有益に使われたかということの証左にもなると思います。併せてお願いいたしたいと思います。
  11. 千田正

    千田正君 今森崎委員からも御要求があつた通りに、外務省としましては、大体この審査室人員増加に対する予算をどれだけ組んでおられるのですか、昨年と同様のことであれば、本年は、さつき総理大臣或いは大蔵大臣施政方針の演説かあつた通りに、給與べースを上げるのに去年と同じような額であつたならば、結局増員じやなくてこれは減員になる。少くとも去年の数倍の、或いは何%かを上げた予算を組まない限りにおいては増員とならない。去年よりも予算が少いとなれば減員になるし、我々の要望するのは一日も速かにこの問題を解決したいと思うから、むしろ去年の倍なり、三倍なり、とにかく上げることを我々委員会としては要求したいと思うのですが、一体外務省としては、大体二十六年度の予算に、この審査室増員要望に対する予算をどれだけ計上しておられますか、その点かおわかりであるならば、ここで大体でよろしうございますから御答弁頂きたいと思います。
  12. 池田千嘉太

    説明員池田千嘉太君) 来年度の予算につきましては、審査が非常に複雑になるし、それから確認証書の送達事務も頻繁に行われるしというよう関係もありまして、調査資料及び送達費用等も大分かさみますので、それに人員も現在までは非常勤が七十人ございますか……非常勤は八十人、本職員のほうはこれは本省のほうから廻してくれますので、直接の経費の事務費には関係ないのですが、それこれ参照しまして、当初に出しました予算請求は二千六百万円を出しております。
  13. 千田正

    千田正君 二十五年度と比較してどれだけになつておりますか。
  14. 池田千嘉太

    説明員池田千嘉太君) 二十五年度は二千九百万円を要求しましたが、それに対して七百万円承認されましてその後請求期間の延長に伴い移用予算が約四百万円認められまして、千九十万円という数字になつておるわけであります。
  15. 千田正

    千田正君 そうすれば二十六年度の当初の予算を要求したのは幾らですか。
  16. 池田千嘉太

    説明員池田千嘉太君) 二千六百万円であります。
  17. 千田正

    千田正君 恐らくこれは昨年と同じように削られるものと見なければならぬわけですね。
  18. 池田千嘉太

    説明員池田千嘉太君) まあ削られております。内定しております。
  19. 千田正

    千田正君 少くともこれたけ、二千六百万円の当初予算だけきつぱり貰つても、恐らく十分なるところの審査が進まないと思います。で、内示しているのは、これは金額は聞かなくてもよろしいのですか、若し御発表になつてお差支えなかつたら発表して頂きたいのですが、昨年より減じてあるのですか、それとも多少でも増額してあるのですか
  20. 池田千嘉太

    説明員池田千嘉太君) 多少本年度より減額しているように思われます。本年度の移用予算を入れました総額より多少減額しておるようであります。
  21. 千田正

    千田正君 そうなればはつきりこれは減額しておるように我々は推察することができるのでありますが、それではとてもこれは―年どころじやない。これは五年たつてもでき得ない。我々委員会としては、当然これは森崎委員の言うまでもなく、又来年三月、或いは講話会議の予備会議が進渉する以前に、この問題の審査だけでも確認して頂かないというと引揚者は待つことができないのです。であるから委員会としては、外務省当局大蔵省当局、或いは予算要求の責任者である外務当局並びに予算を作成するところの主計局長その他を呼んで、この問題については一日も早く、内定のうちはまだいいのですが、確定しないうちに、その増額の要求を私は呈示して頂きたいということを、皆さんにお諮り願いたいと思います。
  22. 曾禰益

    ○曾祢益君 もうすでに同僚の諸君から言われたことに全然同感でございまするが、殊に千田委員から具体的な今後の進め方の問題について御発言がありましたが、その御趣旨には全く賛成なのでありますが、ただこれをやる方法といたしましては、是非とも当委員会で外務大臣と大蔵大臣の出席を求めたい。ここにおられる外務、大蔵両当局の係りのかたは、私は大いにその分に応じて非常に熱心にやつておられることだと承知しておるのでありますが、実は責任者である両大臣が本当にこの問題に真劍にぶつかつておるかどうかについて非常に疑いなきを得ないのであります。そこで、殊にこの予算等の問題になりますると、いわゆるすでに政治折衝段階に入つておると思うのでありますが、そこで少くとも我々委員会の真劍なる空気、更に又真劍なる引揚関係の団体の諸君、又引揚関係の留守家族のかたの空気を反映しておるものでありまするが、少くともこの委員会に出席を求めて、二つの点を是非嚴重にインプレツスする必要がある。第一に、千田委員の言われました取りあえず外務省人員予算を非常に増額いたしまして、勿論予算だけでは片付かないことと思いますが、その勢いを以て速かにこの確認事務完了することであります。  第二の問題は、速かに確認された人に対しては支拂を開始する。但し支拂を開始するということは、当然にその前提といたしまして換算レートの問題を決定しなければならぬ。而して換算レートの問題につきましては、すでに皆様から言われたように、実はこれによるべき資料がないということよりも、私はこの前の委員会の席上でも申げたのでありまするが、これは講話條約等にも関連することであるけれども、これはもうすでに肚のきめ方の問題である。外務当局大蔵当局も、日本講和條約を控えた今日において、在外資産の問題に関連する換算レートの問題について、一定の腹案というようなものがないということは私は受取れないことで、当然にこれはもういろいろな研究はされておると思います。最後はこれは肚の問題で、もうすでにそれをきめるべき段階に来ておると思います。従いましてこの点につきましても十分に外務、大蔵両大臣に我我の意向を伝えまして、速かにレートをきめることを要請したいと思います。  更に又これは非常に先走つた議論かとも存じまするが、その上で要すれば我々といたしましては、この委員会の若し全委員の御同意を得られるならば、決議案でも本会議に提出して、この点に関して政府を督励することが私は必要ではないかと、こういうふうに考える次第でございます。
  23. 内村清次

    委員長内村清次君) 外に御意見その他質疑はございませんか。……それでは只今千田委員から、先ずこの審査の進捗を図りまするために人員増加、これは結局予算増加ということに相成るのでございまするが、この予算増加と同時に、大蔵省関係につきましては、この借上金換算レートの問題、この問題につきまして当時の状況を把握しておられるところの証人かたがたを一度委員会に呼んで聞きたい、同時に又大蔵省のほうではこれを急速に急いで貰いたいというような御意見が出ておるのでございまするが、これを委員会で促進するようにということでございますが、この点につきまして御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 内村清次

    委員長内村清次君) 御異議ないものと決定いたしまして、それではどういう方法で……只今方法の点につきましては、外務大臣及び大蔵大臣の出席を求めるということも曾祢委員から申されておりますし、それから先ず千田委員のほうでは主計局長、その他の予算関係大蔵省官僚を呼んで貰いたいということも出ておりますが、この問題は、方法といたしましては、本会議で決議案をするということも話が出ておりますが、それから理事会におきましては、この問題につきまして千田委員から緊急質問をやつて、そうして政府の所信を質したいという話も出ておるようでございますが、如何ように取計らいましよう
  25. 曾禰益

    ○曾祢益君 ちよつと、私は千田委員が言われた主計局長を招致されることに何ら異存はないのです。
  26. 千田正

    千田正君 どつちでもいいから速かに責任ある解答を我々は得たいのですから。
  27. 曾禰益

    ○曾祢益君 これはお任せしていいのです、理事会に……。
  28. 内村清次

    委員長内村清次君) どなたか緊急質問というようなことは如何でございましようか。
  29. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 この委員会において呼ぶということも非常にいいわけですけれども、実際においてはこれは相当問題を大きく取扱うことが必要だと思うのです、全國民が待つているので……。その点について関心を持つ程度に問題を大きくするということも必要だと思う。又その他関係大臣が出席するにしましても、何か委員会ということになりますと、軽んずるようになることになるのじやないか。又この発言が必ずしもどうも……責任を持つて実行する誠意に欠けるようなことが多いですね。これは委員会の特徴でもあるように思われるのですが、決議とか或いは緊急質問というような意味において本会議でこれを取扱いますと、新聞等におきましてもこれを又ニユースとして扱いますし、又緊急質問であるというようなことになりますれば、大臣その他関係局長その他、一応その答弁についての研究、打合せをして出て来るということにもなりまするので、私はどなたか、やはり緊急質問というようなことをなされたらいいのじやないか、こういうふうに考えます。必ずしも緊急質問じやなくて、決議でもいいわけでありますけれども、私は一応緊急質問をやつて見るというやり方のほうが効果的じやないか。そうかといいましてこの委員会に局長その他を呼んでいろいろ事務的或いは又責任を追及するという点についても、又これは並行的にやつてもいいと思いますが、緊急質問をやるということは非常に効果的な問題だと、こう考えるのですが。
  30. 内村清次

    委員長内村清次君) 只今鈴木委員からの御意見がありまして、順序といたしまして緊急質問をやつて、その政府の所信次第によりましては、又決議案というよう取扱のほうに順次考えて行かなくちやならぬと思いますが、先ず緊急質問でどなたかやつて頂くというようなことに御異議ありませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 内村清次

    委員長内村清次君) それではそういうふうに取扱いいたしますが、どなたにやつて頂くことにいたしましようか。
  32. 森崎隆

    森崎隆君 これはどなたでもいいわけでありますけれども、この問題その他について随分御苦労されておる千田委員が一番最適なんじやないかと思います。私ば千田委員を御推薦いたします。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  33. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは千田委員のほうで一つ準備をお願いいたしたいと思います。  それから又外務大臣及び大蔵大臣委員会出席につきましては、又私のほうから一遍督促をして見ることにいたします。
  34. 千田正

    千田正君 緊急質問に対して恐らく大臣から責任ある答弁があると思います。その責任ある答弁に対して、大臣或いは局長にここに出席して頂きまして、大いにねじを巻いてやるべきであると私は思うのですが……。
  35. 内村清次

    委員長内村清次君) さよう取扱うことにいたします。  それでは在外公館の借上金の問題はこれで打切つてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕   ―――――――――――――
  36. 内村清次

    委員長内村清次君) 今日の第二の、旧軍債権処理に関する法律の一部改正に関する件、これは大蔵省関係官に対しまして、実は昨日の理事打合本においても来て頂くようにと申しておりましたが、昨日もおいでができず、今日も通知いたしましたところ、今日は何か役所に出ておられないよう報告でございまして、そこでこの問題もすでに一部改正の法律案はできております関係でありまして、関係当局に交渉いたします前に一応内輪といたしまして、大蔵省と打合せて置こうというのが狙いでございますが、そういうようなことが、十分手続をとつたのでありますが、まだできておりません。そこで委員長において書面を関係官のほうに出しまして、その意向を質すことにいたそうと思つております。
  37. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 その前にお聞きして置きたいのでありますが、先般この委員会取扱いました法律案につきまして、その制定までには、予算関係をいたすということもありましで、何回も委員会関係者の出席を求めるというようなことを先ずせずに、いつも事務局等に関係各省の人が来て頂いたり、いろいろしまして、或いは関係方面と打合せしたりいろいろ緊密に連絡をとりつ、関係方面に同調を促して、この前の法律案は、出来上つたということになるのですが、法律の一部改正に関することにつきましては、そういうふうな、いわゆる委員会関係者に来て頂いて正式にいろいろ意見を聞くということも必要でありますけれども、又別に非公式に来て貰つて、いろいろ打合せをして置くということがまだしていないと思いますが……。
  38. 内村清次

    委員長内村清次君) 只今のお説は、これは前委員会でもそういうような方針を決定されたのでありますから、実は昨日の、先ほども申上げましたように、理事会の打合会におきまして、そういうような手続をとつたわけでございます。ところが関係官が来ておらないというようなことで、実は昨日委員会のかかります前に内輪で一つきめて置こうとこういう考えでありましたけれども、それもできなかつたわけでございます。そこでまあ今日委員会がありますから、それではまあ委員会の席上に出席して貰つて、一挙にその問題を片付けよう、かように理事のかたがたの御協議を得まして、今日したわけでございますが、どうも実は大蔵省のかたが出席しておられないというようなことで、それから先ほど鈴木委員の実はおられないときでございましたが、未復員者の問題は、これは常々鈴木委員の御努力も非常にあずかつて衆議院との関係も順調に行つてつたようであります。ところが二十五日の日に若林委員長に面会いたしまして、未復員者給與法の一部改正法律案は参議院のほうから提出をして、衆議院関係におきましては、まだ引揚委員会ができておらない関係で、これはお任せいたしますというようなことにも相成りまして、参議院のほうで提出をするような運びになつて、今関係当局のほうに出しておるような次第であります。これも又併せて御報告申上げて置きます。さよう取扱つてよろしうございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 内村清次

    委員長内村清次君) それではさよう決定いたしまして、住宅問題に関する件、これを議題に供します。今日は住宅問題につきましては、援護庁の援護課長山本淺太郎氏が参つておられます。それでは先ず住宅問題につきましての説明をお伺いすることにいたします……。ちよつと今住宅問題の説明の前にお諮りいたしたいことがございますが、過般参議院の緑風会の宮城タマヨ議員が渡米せられましたときにおきまして、アメリカにおきましてサムプソン夫人から、同胞引揚の問題につきまして、誠に心強いお手紙を頂いて来ていらつしやるわけでございます。このお手紙をこの委員会において発表さして貰いたいという申出が出ておるわけでございますが、先般の理事会におきましても、この委員会におきまして御発表をお願いいたすことに実はきめたわけでございますが、只今宮城先生も見えていらつしやますが、直ちにこの手紙の発表をして頂くことに如何でございましようか、御異議ありませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 宮城タマヨ

    委員外議員(宮城タマヨ君) 本年の十月八日から十三日まで米國のセントルイスで開かれました米國第八十回年次矯正保護の大会に政府代表として出るようにということが休会中に私に交渉がございまして、愼重に考えましたけれども、國会のほうでも、殊に少年の保護問題については特に関係を深くしておりますようなこともございますので、結局参ることにきめまして、九月の終りに日本を立ちましてセントルイスに参りましたのでございます。そのセントルイスの会を済ましまして、それからワシントンに行きます途中いろいろな施設を見ましたのでございますが、丁度ケンタツキーのルイスビルという所へ参りましたときに、はからずもルーズベルト夫人から、ニューヨークヘ来たら会いたいという手紙を頂きましたので、それで途中ワシントンも少し早目にいたましてニューヨークヘ参りましたのでございますが、ニューヨークでルーズベルト夫人にお目にかかつたのでございます。そのときに私は何の意味でお会い下さるということかもよくわかりませんでしたが、勿論政府代表としてという意味ではございませんで、個人でお目にかかる意味で随分準備もいたしました。と申しますことは、とにかくナンバー・ワンでいらつしやる、アメリカにおいての女性のナンバー・ワンでいらつしやるルーズベルト夫人にお目にかかりますについては、自分といたしまして十分の心の準備をしなければならないと思つて、それこそ宿におりまして一日も二日も靜まつて、そうして準備をいたしましたときに、随分話題といたしたいことがたくさんございました中の一つといたしまして、丁度いい機会でございますから、今日本の大きい問題となつております、殊に私たち母の立場にあります者の大きい心の問題として、一日も忘れることのできないところの引揚問題については、どうしてもいい機会でございますから一つお願いして見よう、殊にルーズベルト夫人は國際連合のほうにも関係していらつしやるかたでございますからというふうに考えまして、このルーズベルト夫人にお目にかかつたのでございます。丁度考えましたように、この引揚問題にも話が持上りましていろいろ申しましたら、ルーズベルト夫人が、それは丁度いいことがある、あのサムプソン夫人がこの方面の問題を引受けてやつていらつしやるから、あのサムプソン夫人にお会せする機会を作りますということでお別れしたのでございますが、そうしましたらすぐその翌日、つまり十月のたしか二十五日でございました、國際連合で、つまりレーク・サクセスの國際連合が開かれておりますその会の席上でサムプソン夫人にお目にかかるよう準備ができまして、これはこのサムプソン夫人の秘書を通しまして私の秘書に電話がございまして、ゆつくりお話を聞きたいからお晝の食事を一緒にしたいということで、それで私はお約束の通りにお晝の時間に特にそのお話をする意味において食を共にいたしましたのでございます。そのときに、私はこの委員会に或るときには委員として出ましたけれども、今は委員ではございませんので、委員会の空気とかいう意味でなしに、本当に日本の國民の一人として、女性として、母として、そうして又参議院の一人といたしまして、私の能う限りの材料を提供し、能う智惠の範囲におきまして熱心に引揚問題について何とか御努力が願いたいということをお願い申したのでございます。そうしましたらサムプソン夫人は、丁度そのときに一緒に私に会つたほうがいいという他のお客様数人をもお招き下すつたのでございますが、そのかたがたも又この日本の留守家庭の実情をお聞き頂きまして、何とかこれは國連で今度こそ解決して欲しい問題だというように、そばのかたがたも大変力を入れて下さいまして、このサムプソン夫人も殊に熱心に、私はこのことをやらなければならないと、最後にお別れするときなんかは、それこそ目に涙を浮べて、引揚のことを一生懸命にやります。必ず成功するように努力しますから、日本にお帰りになつたら、殊に留守家族のかたがたをお力付け下さいまして、お力を落さないでもう暫くのところ待つていてくれということをおつしやつて下さいというようお話もございまして、お話は三時間ぐらい続けましたが、お別れして参りましたのでございます。そうしましたら、その日の夜六時でございますか、サムプソン夫人のところからお使いがございまして、日本かたがたにメッセージを書きましたから持つてつて、然るべく発表して頂きたいということで、ここにでございますこのメツセージを私は受取つて参りましたのでございます。帰りましてからも、どういう方法でこれを留守家族のかたがたに知らせ、國民にお話したほうがいいかと思つておりましたが、一番この問題について懸命にお取上げになつております当委員会に先ず申上げるべきだというように私が考えましたので、この第九國会が始まりまして委員会が成立し、そうしてこの委員会においての委員長もきまりましたその翌日、二十四日と思つております。こちらに参りまして委員長に御相談したようなわけだつたのでございます。それで只今からメッセージを読まして頂きます。   一九五〇年十月二十五日、日本の國の皆様に私個人としてメッセージをお送りいたします。國際連合を訪問された宮城夫人を、今日私の賓客としてここにお迎えし、お目にかかることができたのを喜んでおります。同夫人は沢山の日本の女性の消息をもたらされました。この婦人達の夫や子供や又父親は今日までまだ復員していない戰争俘虜の中に数えられているのであります。偶然とでも申しましようか、私は國際連合第五回総会のアメリカ代表の一員として「ソ連地域に抑留されている俘虜の復員又は彼らに関する消息のソ連の不履行の件」について担当することになつています。すでに数週間に亘りまして私はこの問題に関する今までの事情と統計を調べて参りました。その他数年来この問題に携つて来た沢山の役人とも会談いたしました。私達は何らかの解決が早くなされるよう希望するが故に、この問題を國連総会に持出す道徳上の義務があると私は確信するものであります。私は家庭や家族から切離されている軍人や市民の家族へ深く同情いたします。この人達が続けて抑留されるということは、今日の私達の考えている正しい行動の基準に反するもので、つまり甚だしい人権の無視であり、常識となつている國際法の規約への違反であると私達は確信します。この人達の家族に私は確信を持つてこう申すことができます。というのは、國際連合はその方々のためにあらゆる道徳的な迫力を加えて、問題を円満に解決するだろうと強く確信しているのであります。    エデイス・エス・サムプソン。 これだけでございます。この飜訳は外務委員会の專門員の坂西志保先生がなさつて下さいましたのでございます。これだけでございますが、これをこの委員会で取上げて頂きますか、或いは又他の方法によるべきでございますかということも、この一番関係の深い委員会でお考え頂きたいと思います。
  41. 内村清次

    委員長内村清次君) 只今サムプソン夫人のお手紙を頂きまして委員長といたしまして、誠に御熱心な我々同胞の引揚問題に対しましてのお心遣りに対しまして、最大の敬意を表するのでございます。つきましては、この取扱の件でございまするが、これを如何よう方法を以ちまして留守家族のかたがたに御徹底さすことができるかということにつきまして、各委員のほうで御意見がございますれば、この点をお伺いしたいと、かように存じますが、如何よう取扱いいたしましようか。
  42. 千田正

    千田正君 只今丁度全國の引揚促進大会の代表者会議か東京において開かれておるはずであります。この団体を通じてミセス・サムプソンのメツセージ、又我々委員会としては感謝しているという意味のことをお伝え願いたいと思います。幸いにここに引揚者全國連盟、いわゆる全連と称する団体の代表者であります阿部委員長が見えておりますし、この引揚者の全連と、今の引揚促違同盟の全國大会と両方を通じて、末端に行き亘るまで何かの方法で、例えば全連には通報機関を持つておりますから、そういう方法でお伝え願えれば非常に結構なことではないだろうかと、私はさように考えておりますが、皆さんに又何か外によろしい方法がありますならば、何か伺つて頂きたいと思います。
  43. 内村清次

    委員長内村清次君) 他に御意見ございますか。
  44. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 只今千田委員お話もやはり御実行されることはいいと思うのですが、端的に國民に知らせるには、こういう事実があつたわけでありますから、この委員会において宮城先生から、そういう手紙が発表されてあるというようなことを、実は新聞等において書いて貰うようなことを、委員長からでも新聞社にお願いするようなことも、一つ方法ではないかと考えます。勿論それを書いてニュースとして取扱つてくれるかどうかということは、それぞれ報道機関の自由でありましようけれども、一応この委員会においてそういう事実があつたということを、そうしてその内容については、それは紙面の関係上全部を報道して頂くということはできるかどうかわかりませんが、そういう趣旨のようなことでも報道して貰えれば、全國民に新聞等を通じて達し得られる方法もあるのではないかと考えますので、その方法も併せてお願いしたい、こういうふうに思います。
  45. 内村清次

    委員長内村清次君) 只今千田委員から申されました引揚者団体の全國連合会及び又引揚促進同盟の代表のかたがたが折角今集まつていらつしやいますし、これは後刻陳情の代表者のかたが来られることになつておるようであります。そこで御発表を申上げて、各機関紙におきまして周知徹底方をお願いしたいということと、只今鈴木委員から新聞社のほうにこれを発表を委員長からお願いしたらどうかというお話があつたのですが、そのよう取扱つてよろしゆうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 内村清次

    委員長内村清次君) それではそのよう取扱うことにいたします。
  47. 宮城タマヨ

    委員外議員(宮城タマヨ君) 有難うございました。   ―――――――――――――
  48. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは只今援護局長の田辺局長も見えられております。住宅問題につきまして御説明をお願いしたいと思います。
  49. 田邊繁雄

    説明員(田邊繁雄君) 引揚者の住宅問題につきましては、従来重点が、新らしく還つて参ります引揚者の受入れとして措置せられておつたのでありますが、今後は重点を一応引揚者の住宅問題ということにして考えて参りたい、かような建前からいろいろと関係機関と協議を進めておるのでございます。二十三年度樺太の無縁故者が還つて参りました際には、北海道及び東北六県に無縁故者引揚住宅を設置いたしたのでありますが、十四年度及び二十五年度においても同様の無縁故孝引揚住宅予算を厚生省に計上いたしたのであります。ところが帰還して参ります引揚者の数等の関係から余裕を生じましたので、それを全國の都道府県に配分いたしまして、既往の引揚者の住宅に転用しておるようなかつこうになつております。併しこれは飽くまでも予算の建前とは反する使い方でございますので、いつまでもこういつたやり方は継続できませんので、今後はこれをはつきりと分けまして、新らしく還つて参ります引揚者の集団住宅として、別途予算に計上し、既往の引揚者については、ひとり引揚者のみならず、引揚者と同様の事情にある生活困窮者も、住宅に困つておる者も合せて一本として考える必要があるということで、実は来年度予算として、厚生省から経済安定本部に対し予算を要求いたしたのでございます、この点につきましては、この政策の趣旨については、経済安定本部も十分了承して項きましたが、ただ所管の問題につきまして建設省との間に話合いがつきませんでした関係上、いろいろと折衝を重ねたのでございますが、結局安本当局としては、建設省の予算に一応計上すると、併し建設省と厚生省とでよく話合つた上で、いわゆる低家賃公営住宅という趣旨が実現できるようにして欲しいということで、目下建設省当局と具体的な細目について交渉中でございます。ただかような政策を実施することについては、建設省及び安本当局においても十分了承しておりますので、これが実現いたしますれば、その結果引揚者の住宅緩和に資するところが相当大きいと我々期待いたしておるのであります。
  50. 小酒井義男

    ○小酒井義男君 ちよつとお尋ねしたいのですが、現在の集団住宅でございますね、兵舎等、非常に住宅として不適当なものの中に多数の家族が入つておるわけなんですが、ああいうものはやはりあれに金をかけて修理をするより、もつと変つた方法で住宅問題の解決を図つて行くほうがいいのじやないかと思います。そういうことについて、所管のほうではどういうふうに考えていらつしやいますか。
  51. 田邊繁雄

    説明員(田邊繁雄君) 先ほど申し落しましたが、引揚者の住宅問題は大別して大体三つの部面があると思います。一つは、今後新たに還つて来る引揚者の受入れ態勢についての問題であります。第二は、既往引揚者の住宅問題等であります。それからもう一つ集団住宅の措置の問題がございます。集団住宅は、お説の通り旧兵舎等を利用して造りました応急住宅でございます。従いましてその土地とは余り縁故のないかたが多い関係上、先ほど申上げました一般の公営住宅という問題だけでは解決しない面が相当あるのであります。早い話が補助率の問題でございますが、仮に國が五割の補助を低家賃公営住宅にいたしましても、それより以上に高率の補助をする必要があるのではないか、かように考えております。そこで引揚援護庁といたしましては、来年を待たず今年の補正予算で集団住宅の措置をいたしたいと考えまして、経済安定本部に対しましては、使用に堪えない住宅で緊急に疎開されておる者の集団住宅施設の疎開に要する経費を要求いたしたのでありますが、いろいろの関係上、公共事業費として計上することは困難でございまして、大蔵省予算として、補助金一億五千万円だけを補正予算として承認して貰つたようなわけでございます。なおその外に集団住宅の中で、補修をすれば使えるというもの乃至は取りあえず緊急に補修をしなければならぬ、こういうものに対する補修費といたしまして一億八千万円の補修費を見積つておるような次第でございます。併し一億五千万円の疎開の経費は、現在我々のほうの見当で疎開を要する集団施設の極めて小部分でございまして、これだけでは到底不十分でございます。来年度以降においてもこの政策は是非継続して行きたいと考えておりますが、来年度予算においては、経済安定本部の公共事業費の中には実はこれは目下のところ計上されておらないのであります。予算は要求いたしたのでございますが、疎開の費用は当初予算には目下のところ計上されておらぬのでありますが、将来、年度の途中において更に折衝をして考慮して行きたいということを考えております。
  52. 千田正

    千田正君 田邊局長にお伺いいたしますが、この二十六年度におけるところのあなたのほうから出した現在安本において承諾しておるあれは戸数にして何戸ぐらい、それからこれを何ヶ年計画としてあなたのほうで出しておられるのか、それで昭和二十六年度分は、第一回計画として出しておるのか、昭和二十六年度きりでやめるのか、我々は前からあなたがたと協議しておるのは、少くとも五ヶ年計画において殆んど引揚者、或いは戰争の犠牲者の人たちの庶民住宅を獲得できない人たちに対しての住宅を造りたいというお互いの熱望であつたのでありますが、二十六年度きりでやめるのですか、それとも五ヶ年なら五ヶ年計画の一環として、二十六年度の予算を要求されておるか、その点についてお伺いしたいと思います。
  53. 山本淺太郎

    説明員(山本淺太郎君) 代つてお答え申上げます。明年度の、経済安定本部に対しましてこちらの要求いたしました予算書を実は持つて参りませんでしたが、先ほど局長から答えられました新規の引揚者のための住宅、これは大体話がついておりまして、金額にいたしまして五億、戸数にいたしまして七千五百戸であります。併しこれは明年度の引揚げがどのような形になるかという還り方の問題と多少関連して、もう少し安定本部においては考慮したいということで、最終的な決定には至つておりません。  それから次に疎開の問題でありますが、これは先ほどのお話通り、経済安定本部としては、一般の住宅対策によつて解決すべき問題であるということではねつけたのでありますが、引揚援護庁の説明も十分間かなければなるまいというような、最近心境の変化を来たしておるようでありまして、引揚援護庁といたしましては、大体一万五千戸分くらいのものを要求したいということで現在予算書を作成中でございます。なおこれはまだ経済安定本部といたしましても最終的な意見には達しておらないやに見受けられますので、更に我々の要求を十分聞き容れて貰えるような努力をいたすつもりでおりますが、経済安定本部の係のほうの意向といたしましては、こういう集団住宅を長々と引張つて置くということは、いろいろの工合でよろしくないという見解で、明年度でき得れば重点的に措置したいということでありますので、戸数の点につきましても、先ほど申述べましたような戸数をこちらといたしましては要求し、明年度重点的にやるというような気組で我々としても進みたい。併しこれによつても最終的に解決しない面が残ると思いますから、これはそのような措置をしてもなおこのようなひどい住宅が残つておるという事実に基きまして、更に次年度以降におきまする要求も重ねてするつもりおります。
  54. 千田正

    千田正君 重ねてお尋ねしますが、これは引揚者ばかりでなく、引揚者或いは戰災者、遺族、こういうようないわゆる戰争の犠牲者の人たちが集団生清しておる所におけるところのいわゆる六・三・三制における教育施設の問題であります。ややもすれば戰争犠牲者のこの集団施設に対する、殊に教育関係に対しては継子扱いにされるきらいがあつた。それでどうかこの点は、この集団生活をしておる環境が余りいい所がないのでありまして、思想的方面にいろいろな問題をかもして来ると、むしろその根本対策として文化施設、殊に教育施設が重大な問題となつて来ると思いますが、この問題につきまして、私は特に引揚援護庁及び厚生省から文部省と合作しまして、優先的に國家補助或いは何かの方法において引揚者或いは戰災者、遺族の人たちの集団生活をしておる所の教育問題に対する施設の問題を特に優先的に考えて頂きたいと思う。その点について何かあなたのほうにおいてお考えがありまするか、あるならばお伺いしたいと思います。
  55. 田邊繁雄

    説明員(田邊繁雄君) 集団住宅に入つておるかたがたの子供の教育施設の問題でありますが、これは私のほうに、その都度地方からいろいろと要望がございます。我々のほうからその都度文部省に交渉いたしまして、そうして文部省から十分考慮して貰うように今やつております。なお今後も一般的にそういう特別の考慮を拂うように一層努力したいと思います。
  56. 千田正

    千田正君 重ねてお伺いしますが、文部省で一定の予算を考えて頂くと同時に、或いはそういうような文化施設という名目、或いは何らかの名目において、文部省の予算の足りない分を引揚援護庁或いは厚生省からこれをカバーするよう方法において出すというようなことは曾てありましたか。或いは将来あり得るということでありますか。
  57. 田邊繁雄

    説明員(田邊繁雄君) 引揚援護庁の予算は純然たる住宅予算でございますので、従来もそういう方面にこれを転出したことはございませんし、今後もそういうふうな意思はございません。これは文部省の所管となつておりますので、文部省の方面に交渉して、この方面を実現するようにしたいと、かように考えております。
  58. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 二点ばかりお聞きして置きたいのですが、その第一点は、先ほど御説明がありましたが、今後新たに還つて来る者に対するところの住宅を新らしく造るという予算五億円というと、確定的に限つていないけれども、まあやや確定した程度に話がついているというその内容ですが、いわゆる何人還つて来る。そうするとその中に住宅の解決のつく人はこのくらいであろう、解決のつかないのがこのくらいだからして、七千五百戸程度見積る、こういうような案だろうと思うのですが、若しその程度の人が還つて来なかつたというようなことがあつた場合には、従つて七千五百戸程度の人か還つて来なかつたということがあつた場合に、その五億円を他の帰還者の住宅部面、いわゆる集団住宅或いは疎開、そういう方面へ流用してやるというようなことができることの内容になつているのか、或いは還つて来なかつた場合には、それは予算を不執行にして、その程度は國が儲けるといいますか、そういうことで残して行くというような形で行つておりますか、その内容をお聞きしたい。
  59. 田邊繁雄

    説明員(田邊繁雄君) 御説の通り、確かにそういう問題が起り得ると思うのであります。その点につきましては、私のほうから実は来年度還つて来なかつた場合に、その金をどうするかという問題につきまして、安本には実は申入れをしておるのでございます。で、私のほうでは今年と同様に厚生省予算に計上して、そうして還つて来なかつた場合には、その使い方について安本当局と相談して、先ほどお話のありました集団收容施設の疎開にこれを転用したい、こう考えておつたのでありますが、いろいろの関係からこれを予備費に計上せられまして、還つて来た場合には必ずそれだけの住宅の予算を厚生省につけるからということで、結局我々と妥協せざるを得なかつたのでありますが、併しその程度の金は十分準備してあるからということでございますので、還つて来なかつたような場合においては、これを是非集団住宅の疎開の経費に充てたいということで、私のほうから強く安本当局に対しては、今から申入れをしておるような次第であります。
  60. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 その予算の立て方について、私は想像していたのでありますが、大体想像の通りの御答弁があつたのでありますが、未復員者給與法等につきましても、同じよう予算の立て方でありまして、何人還つて来るというようなことを一応予算の立て方の基礎に置きまして、そうして予算を取つておる。併しながら実際にそれだけ還つて来ないという場合においては、年度未において、或いは年度の中途において、四半期の初めににおいて大体見通しがつきましよう。従つてこれだけの者は還つて来ないのだから、指定予算としては取つてはあるけれども、これはもう要らない。従つてこれは予備費なんだから、他の方面に一つ補正予算の財源にしようというようなことでありまして、むしろ当初予算におきましては、空予算ような意味においてそれを作つて置いて、そうしてそれだけどうせ還つて来ないのだから、そのときには一つ、まあ補正予算というものがあとからきつと出て来るから、そのときの財源にそれを流用しておるというような考えで、まあ予算を作つておるというような建前から、それは予備費の中にあるからそういうことになるのでありますが、その五億円というのも、ややそういう気味があるのではないか。それでは勿論還つて来ればそれだけの措置はできるのでありますけれども、若し還つて来なかつたという事実があつた場合には、五億円というものは、ただの金であるというようなことになりまして、それが他の方面に乱用されることになる。それでできるならば、そういうよう予算の組み方でなくして、やはりその第一、第二、第三というものが、同胞引揚げに関するところの住宅の一環をなしたところのものであつてこの三つを包含をして一つの住宅の問題が解決できるのであるから、この三つをお互いに流用できる、勿論あとになつてでもいいのですけれども、予算の建前上流用ができる。還つて来なかつた場合には、その五億円を集団住宅の方面の疎開の宿舎にできるのだという程度予算をどうか是非一つして頂きたい。そうすれば確かに五億円というものは住宅のほうにすぐにもう使えることになるのでありますから、そこが非常に要点だと思いますけれども、今折衝中なそうですけれども、予備費のようなものでなく、予算のほうに一つ入れて頂きたいと思います。
  61. 田邊繁雄

    説明員(田邊繁雄君) 誠に御尤もなお尋ねでございますが、実はこれはすでに政府としては決定してしまつたことでございまして、いわゆる庶民住宅の枠というものは決定しておりまして、引揚者住宅はそれとは別に予備費に計上されておるわけでございます。住宅の枠が決定しました以上、その中から引揚者住宅を取るか、或いはもつとその外に引揚者住宅を計上して置くかということになりますると、全体としてはやはり別にして置いたほうが結局は住宅の総枠が大きくなるというふうな関係もございまして、引揚援護庁といたしましても、すでに確定しな予算の中から取つておることに対しては譲歩したような形になるわけであります。ただ問題は、お説の通りつて来なかつた場合に、その金が他に流用されるということになりはしないかという御心配でございまして、その点は御尤もでございまして、これは今後の我我の努力及び皆様がたの御趣旨によりまして、是非集団住宅の疎開の経費にたるように持つて行きたい、かように考えております。
  62. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 第二点についてお伺いするのでありますが、先般岩手県に出張いたしまして、その際この前御報告を申上げましたように、千田委員の非常な業績が県内至る所に現われておつたのでありますが、その中のいわゆる集団住宅を視察いたしたのでありますが、そしてそこの市役所の市長ともいろいろお話したのでありますが、市長の意見は、引揚者住宅については、全部これは國の予算においてこれをやつて行くということもいいけれども、これはやはり引揚げて来た人たちはやはり市町村民であつて自分の市民であるという考え方からして、やはり何とかして市自身としても住宅問題の解決をしなければならぬという気持でありまするし、そういうことであるので、一切を國に任して置くということはできない、そこであそこに集団住宅、いわゆる兵舎の跡があるのでありますが、これは非常に理想的なものではない、そこでそれを疎開をして適当な家をたくさん造るという今問題が出ておる、その予算只今安本に要求しておる、一万五千戸というものを要求しておるが、なかなか困難なようであるということでありますが、これは國のことであります。それとは別個に、市長の話によりますれば、あの兵舎を無償程度で市に一つ拂下げて貰えぬか、そうしまするというと、あの兵舎を市自身が学校とか、その他のものに使う場合もありましようし、或いは市自身がそれを解体して他の方面に使うことがあるだろうが、要するにそれを無償で拂下げて貰うということになるならば、市の兵舎に住んでおる人が、仮に五十戸の世蔕があるとするならば、その五十戸分は市自身において別に住宅を建てて、そうしてそのほうのために一つやることを私たちは考えておる、これか五十戸分の新しい予算を取つて、そして盛岡市に造つて、そしてその兵舎におる五十戸の世蔕の者をそこに移す方法一つ方法であろうが、市としましては、兵舎を拂下げて貰えば、五十戸分は市自身の力においてそれを造つて、そしてそれを移して行く、私のほうは市自身が有用なふうに市が使う、こういうよう方法も考えておるのである、こういうような意向でありました。それも國として一つ方法ではないかと考えておるわけであります。勿論これは國有財産を無償拂下げするという規定、或いは法律の適用を受けることであり、若し現在の法律でそういうことができない場合には、今のような條件の下に新らしく固有財産を拂下げすることができるというような單独法令でも作らなければ、それは不可能ではありましようが、そういう盛岡市長の考え方に対して、当局としてはどういう見解を持つておられるか伺いたい。
  63. 田邊繁雄

    説明員(田邊繁雄君) 國有財産引揚者住宅として使用しておる場合に、従来それが有償であつたのであります。県としてはそれの使用料を大蔵省支拂つてつたのでありますが、今年の四月からこれは無償で借りるということになつたのであります。併し一歩進みましてそれを無償で都道府県乃至市町村に拂下げて欲しいという御要望もだんだんとありますので、引揚援護庁といたしましても、大蔵省のほうへ法律改正、國有財産法の改正をいたしまして無償で拂下げることができるようにということを申入れまして、大蔵省でも相当真劍にこの問題を取上げて下すつたのでありますが、いろいろな事情がございまして、これは実現に至らなかつたよう事情に相成つております。これは今後もそういう希望は是非大蔵省に伝えて参りたいと思いまするが、法律改正の問題になりますると、いろいろの困難な事情がございますので、只今のところちよつと見通しがつかないよう状況であります。
  64. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 只今お話は、現在集団住宅として兵舎等に入つておるわけですが、その兵舎を無償で拂下げてくれということも市町村等の御希望なんですが、これは恐らく無償で拂下げた、まま、又市町村がそのまま使いまして、市で集団住宅として継続して行くという意味においての無償だと思うのでありますが、只今の盛岡市長の話はそうではなくして、そこの集団住宅を疎開するという一つ方法として、國が直接予算を取つて疎開する方法だろうけれども、そうでなくて市が持つておるところの國の兵舎、それを無償で拂下げるという、実際においては有償で拂下げる結果と同じになるわけです。何故かというと、それを無償で市が貰う代りに、その五十戸なら五十戸世蔕分は市自身が今度は金を出してそうして別に引揚者住宅を造ると、こういうことでありますから、只今の御意見ば、少し意味が違うように思うのです。従いまして必ずそこにおるところの世蔕を、市自身において他に疎開住宅を造つて移転せしめるのだというような條件付き無償で讓渡するというようなやり方について交渉されたことがありますか。
  65. 田邊繁雄

    説明員(田邊繁雄君) ちよつと速記を止めて下さい。
  66. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記中止。    〔速記中止〕
  67. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記を始めて下さい。
  68. 安井謙

    ○安井謙君 今年の補正予算で、二十億ばかり引揚げ予算が削減されておりますね、これはどういつた内容になつておりますか
  69. 田邊繁雄

    説明員(田邊繁雄君) これは本年度における今後の引揚げの見通し考えまして、相当不用額が出るということから、大蔵当局においてこれを政府の補正予算の財源として流用せられたわけであります。厚生省といたしましても、いろいろとその使途につきまして大蔵省と相談いたしましたけれども、結局これだけの金は、一般の國家財政の財源として活用するということに御決定になつたのであります。
  70. 安井謙

    ○安井謙君 これは計算上出たんですか。引揚げ事務をやつて行くのに支障はありませんか。それと先ほどの千田委員、鈴木委員の御趣旨にもあつたように思うのですが、そういつた財源が出るならば、今年の引揚げ問題でももつとやりたいもの、或いはもつと政治力を持つて流用なり、補正追加なりができなかつたかという気がしますが、実は我々といたしましても、御説の通り引揚者の、仮に住宅問題を一つとりましても、相当の予算を要求したのでございますが、最後の査定で、先ほど申上げましたように一億五千万円程度に削減を受けたのであります。  それから未復員者給與法、特別未帰還者給與法の改正の問題につきましても、この中から我々のほうで財源を提供して貰いたいということを言いましたが、この分は流用された残りでやつて行くことに相成つております。
  71. 千田正

    千田正君 この予算の問題は昨年も同様のことで、引揚げて来るだろうという予想の下に当初の予算は組んでおつたのですが、実際はそうじやなかつたというので、その予算が他の面において活用された、昨年度も、我々委員会としましては再びかかることのないように、よしんば他に活用されるにしても、その中で重点的に引揚げ促進或いは曾ての引揚者若しくは戰争の犠牲者に対するとこつの施設、その他に対して重点的に、優先的にこれを活用して貰いたい、今後そういうことのないようにとくれぐれもこれは念を押してあつたのでありまするが、本年も再びそういうことをやられるということは、実はこれは厚生省の政治力の足らないのか、援護庁に対して我々のバツクの力が足りなかつたのか、誠に残念なことでありますが、今も促進に対するいろいろな問題或いは留守家族に対する未復員者給與浜或いは特別未帰還者給與法の一部を改正する法律案、は、只今我々の委員会手許において作成しておりますけれども、それにしても額の点において、いろいろ我々としては何か不満な点がたくさんあるのでありますのにかかわらず、その引揚げに対する予算が、本年は還る見込がないからといつて他に流用されるということは、誠に國の政治として残念に思う。そこで来年度も同じようなことか繰返されないとも限らないから、前以て私は援護庁当局にこういうようなことのないように、我々も一つ皆様と協力しまして政治折衝しますけれども、十分に前以て御協議願いたいということを申入れて置きます。
  72. 田邊繁雄

    説明員(田邊繁雄君) この問題は、実は我々微力でございまして力が及ばなかつたのでありますが、問題は非常に大きな問題になつておりますので、到底我々の力の及ばないところで決定になるのであります。先ほどお話のありました未復員者給與法、特別未掃還者給與法の問題は、実は今年の予算の問題よりも、来年の予算の問題のほうが大きいのでございます。今年は相当増額いたしましてもやりくりはつくのでございますが、来年の予算というものは財源の関係で、どうしてもああいうところに落着かざるを得ないということになつております。ただ住宅問題等につきましては、これは現実処理の問題でありまして、今後幾らかかるという問題も、一回限りのことでありますから、相当な力を以て大蔵当局に認識させますならば、或いはもつと出たのではないかと考えられますが、認識は或る程度しておりましても、各方面からの要求があり、いろいろと金のかかることばかりで、厚生省から出しておる予算等もいろいろありますので、結局我々の力の足りなかつた、そういうことになるのでありますが、一億五千万円という程度に査定されたのでございます。誠に残念と思います。今後におきましては、そういうことのないように、もつと強く、この疎開の問題なり何なりを一つ大きな世論として、大きな世論として、大きく予算の上に反映させて行きたい、かように考えております。
  73. 内村清次

    委員長内村清次君) 他に御質問ありませんか。……他に御質問がございませんければ、本日はこれで委員会を閉じることにいたします。    午後三時四十二分散会  出席者は左の通り。    委員長     内村 清次君    理事            高良 とみ君            紅露 みつ君            千田  正君    委員            長島 銀藏君            安井  謙君            小酒井義男君            曾祢  益君            森崎  隆君            杉山 昌作君            鈴木 直人君            木内キヤウ君            堀  眞琴君   委員外議員            宮城タマヨ君   説明員    引揚援護庁援護    局長      田邊 繁雄君    外務省管理局借    入金審査室長  池田千嘉太君    大蔵省理財局次    長       酒井 俊彦君    引揚援護庁援護   課長兼指導課長  山本淺太郎君   参考人    引揚者団体全國   連合会常務理事  阿部  勇君