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政府委員(
慶松一郎君) これは非常にむずかしい点がございます。その点につきましていささか御了解を得たいと存じます。旧薬事法の第四十一條によりまして医師の処方箋又は指示によ
つて使うべき薬といたしまして指定されております、若しくはペニシリン或いは、ズルフアミン剤がございまして、それに昨年でございましたか、私
ちよつと日附はこの前申しましたが、今忘れましたが、
ヒロポン等の覚醒剤も同様なものとして扱われるようなふうにいたしたのでございますが、その後医師の指示若しくは処方箋等によらなければこれを使用することができないという意味の、当然処方箋のことは改めて申すまでございませんが、指示或いは指示書に基きまして薬を渡すということになりますけれ
ども、この指示という意味は、それは処方箋に準ずるものでございまして、併しながら処方箋により難いような場合でありましても予防の意味で薬を使うというような際には大体指示で以て行うということが先ずこの法の精神であろうと私は
考えております。従いまして最近
地方庁から医師が、この覚醒剤に対しまする指示といたしまして一ヵ月分であるとか、或いは一年分であるとかというような指示書をまま出しておるのでございます。それはすべてこの法の精神に合しておらない、
従つてその点は十分改めしめるようにということを私
どものほうから通牒を出しておる次第でございます。従いましてこれは全く医師の良識の問題にも関する次第でございますが、併し又一面におきましては更にこれが法的にどうであるかと申しますと、法的にはどうも違反であるとは言えない点、むずかしい点がございます。従いましてその意味で私
どもが
只今大臣からも十分拔本的な意味での
措置を
考えておると仰せになりました意味は、これはいわゆる薬事法のごときものによ
つてこの問題を解決しようというところに無理があるのでありまして、従いましてこの問題の解決は何らかの独立的な法規を作らない限りは非常に困難であるということになります。例えて申しますと、
中毒者に対しましての施用をするということは今日の薬事法によ
つては禁止することはできませんです。従いまして例えば自分はこの覚醒剤の
中毒者である、もうこれがなくちやとても堪らんのであるということを医者のところへ持
つて参りますれば、医者はそれはかわいそうであるということでまあやられるかやらないか、或いは脅迫されてやられるかということは一応別にいたしまして、そういう指示なり処方箋を渡すことも、これは法的に申しますれば違反ではございません。併し例えばこれは麻薬取締法にございますがごとく
中毒者に対しまする施用を禁止するとか、或いは例えば今日素人のものがこれを持
つておりましても何ら罰則がございません。又密造されましたもりを所持しておりましても、これを所持するだけでは罰することができませんのです。ただ若しも密造されたものや、たくさんの僞造のレツテルを持
つておるというような現場を掴まえるとか、或いは
売つております現場を掴まえない限りはこれに法的な
措置をすることはできませんことは、先般この
委員会の方々と御
一緒に浅草等で実地の
調査をいたしました際にも刑事連中が私に訴えたところでございます。従いましてその点で例えば何ら資格のないものがこういうものを所持しておることを禁止するとか、或いは
中毒者に対しまする施用を禁止するとか、そういうような立法的な
措置が行われない限りは拔本的にはこれを取締ることに極めて難点があるということを御了解願いたいであります。