○岡
参考人 ただいま紹介にあずかりました労働の方面から代表になりました岡であります。
きようこの席に私非常に期待を持
つて参つたのですか、まことに今心の中で寂蓼たる感じを持
つております。労働組合も特に昨年において再編成を行いまして、民主的な労働組合として左翼運動を否定して、新しい官公庁労働組合を結成し、また民間においても総評
議会をつく
つて、
日本の民主化と
ほんとうに生産意欲に燃えた
日本の再建を真劍に
考えておるものでございます。その
意見におきまして、われわれはわれわれの
生活状態というものを、やはり当然デモクラシーの原則としてこの
国会に反映し、しかも選良の
方々によ
つてその
ほんとうによるところを納得していただいたならば、それを実施してもらう、それ以外に新しい民主主義に対する期待は労働
階級としてはないわけであります。その
意味におきまして私きよう資料をつく
つて、ここ二、三日の間に何とかしてわれわれ官庁職員、一般労働
階級の
立場から、自由党の
委員の
方々にもわれわれの真意を聞いてもらいたいと思
つて参つたわけでありますが、非常にお忙しいというところは見えますけれども、閑散そのものでまことにがつかりしておるわけでございます。しかしながら私はたれもおらなくても私の責任を盡したい。その
意味においてこれから述べます。
日本の民主主義が今後どう発展して行くかは、われわれ
国民の一人としても重大なる関心を持
つておりますので、政治が單なる形式的な政治に流れて、
参考人がデモクラシーの
一つの装飾として、民主主義的に議事を行
つているというふうな
一つの装飾品として、私はここにこの公述をしたくはない。こういうふうな角度からぜひともわれわれの気持をおくみとりを願いたい、こう思うわけであります。今次
補正予算によ
つて各種の討議が新聞紙上あるいは雑誌そういつたものに最近見られます。しかしながら
補正予算が非常にGHQとの交渉において遅れた理由もありましようけれども、一般には
ほんとうの検討がなされておりません。ましてや
国民はこの
補正予算によ
つて、自分たちの
生活がどうなるかという点にはとうてい思いも及ばないと
考えます。こういう早々の間において、われわれが広汎なる経済理論とか、予算の面についての該博な知識を述べることはできないことを遺憾に思いますけれども、私は端的に当面大きな問題と
なつている国家公務員並びに地方公務員の
給與が、一体今度の予算措置によ
つてどうなるかという点について、簡單に述べたいと思います。
第一にわれわれが要求しておるところの九千七百円ベースの要求というものが、巷間非常識的な数字だというふうに伺
つておりますけれども、われわれはまずこれを最近の銀行職員に比較しても、銀行職員はベースにして一万円以上の収入があるのでございます。なお労働省の調査による現金
給與総額においても、鉱業において平均賃金が二十五年の四月に九千二円、それが順次高まりまして七月には一万百九十八円、八月には一万五百六円、九月に少し落ちまして九千八百九十九円の平均賃金を示しております。製造工場におきましても、四月におきましては八千三百六十三円、順次これが上昇しまして、九月現在では九千三十円を示しておるわけでございます。そういう
意味におきまして、われわれは過去において
物価に追いつけず、しかもやはり国家の能率を
引上げるために、まじめに働いて来た公務員が一ぺんぐらいこの
段階において、
ほんとうに喜ぶような
給與改訂を要望しておつたわけでございますが、しかしその九千七百円の要求が国家公務員法に基く人事院の勧告において、八千五十八円と出た、この点についてわれわれはあの当時マ書簡によ
つて罷業権その他を剥奪されました、しかしながら人事院によ
つて給與はおのずから公平なる裁定が下るであろうという
一つのはかない望みを持
つて今まで来たわけでございます。その人事院の勧告にはわれわれは不満でありますけれども、やはり正しい労働運動、正しい官公庁の
給與のあり方、そういつた面かち不満ながらもこの人事院勧告をまず実施してもらいたいというのが実情でございます。これに対して
政府は
給與法に対して尊重するという言葉を使
つておりますけれども、尊重している点は、五分切りおろしたあの勤務地手当、その他われわれが
考えてみれば非常に遺憾と思う点を尊重して、下級者の
給與が勧告よりも下まわるような法律案を現在つく
つているわけでございます。この点につきましてお手元に資料を差上げてあるわけでございますが、われわれが数字のマジックから解放されてグラフを見ますと、二千九百二十円、三千七百九十一円と順次上
つて現在に参
つておりますが、人事院の勧告と現在
政府が出しておる
給與法を比較してみますと、大体八級の三十六号俸でクロツスしております。このクロツスしている点、つまり人事院勧告よりも大体各官庁の係長以下がずつと頭を削られて、課長さん以上にそれがのつか
つているという問題が
一つあるわけでございます。つまり上の者に非常に厚く
なつておりまして、下級の者に非常に薄く
なつているということを、図表によ
つてここに一応見せたわけでございます。この八級の職員、大体官庁における係長以下の職員というものは、国家公務員について見ますと、国家公務員七十八万四百十二人
——これは統計でございますが、この中で七十二万九千九百人
ちよつと、つまり八級以下の職員は全体の九三・四%でありまして、全国家公務員の九三・四%の職員が人事院勧告よりも今回の
政府の
給與案によ
つて削られておるという点は、われわれとしては何とも納得できないところでございます。
もちろん課長級以上の上級官吏の
給與が多くなるという点については、われわれはあながち反対するものではございません。しかしながら、現状において少くともともに再建のために苦しんで行くという
段階においては、上に立つ者は下に立つ者の
立場を
考えて、しかもその中においてどうしたらいいかという配慮は当然なさるべきだと
考えております。そういう見地からわれわれは少くとも下級官吏を人事院の勧告
程度までには最低限度上げてもらいたい。そのために上級官吏が不満を言うならば、下級官吏の
給與が人事院勧告まで上るだけの新しい予算を
——これは大したものではございませんから、新しい予算を加えて、下級官吏も上級官吏もともに平均の
立場において今回の予算によ
つて改善されたという印象を
はつきりと公務員に與えることが、今後におけるこの事態下において、能率を発揮する大きな原動力になると
考えます。削られた金額は少いじやないかと言うかもしれぬ。しかしながら、公務員に與える精神的な
影響というものは、能率を向上させる
意味においても非常に大きな要素を占めております。国
会議員の先生方の
給與が上
つても、あながちわれわれは反駁しません。その他
政府の特別職の
給與から六万円に
なつても、われわれは何も反対することを言いたくはございません。しかしながら、ともに下級の者にまでもその待遇をやはり均等に改善してもらいたいとわれわれは
考えておるわけでございます。
次にもう一点私が
はつきり言わなければならぬことは、人事院の勧告がなされてたなざらしに
なつて現在まで来ました。この間、前の
国会において上程されようとしたのですが、これも政治的ないろいろのかけひきによ
つて、
国会終了後勧告がなされた。しかもその勧告が大分時がた
つて今度の
国会にかけられておるわけですが、その人事院の勧告は尊重することなく、別の角度において、
政府が内閣審議室という特殊な
一つのプライベートのような機関をも
つて、公務員の
給與体系をつくるに至つたということは、これはまことに言語道断ではないかと
考えます。と申しますのは、人事院というものはマ書簡によ
つて決定された。われわれは当時不満ですから反対しましたけれども、きまつたこの機関が今や、有名無実、ロボツト化しつつあるわけでございます。つまり予算面から見た
給與の大
わくというものについては、
政府も
考えて行くでございましよう。しかしながら、微細な点にわた
つて人事院勧告に対する
一つの代案をつく
つて政府がこの
国会に出すということになるならば、私は人事院を廃止する必要があると思う。そういうふうに屋上屋を架して、
政府が無用な機関をつくり、
国民の費用をむだに使うという観点からい
つても、
政府に
給與審
議会というプライベートの機関があ
つて、前には今井
給與委員長が
給與の操作をや
つておつたという観点から申しても、むだな仕事をやめてどつちか
はつきりしてもらいたいと思うわけでございます。われわれはあくまでも公務員の待遇を改善するという見地から、不満ながら人事院の勧告をここに支持しておるわけでございますが、この不当なる内閣審議室がつくつた
給與法律案の中をごらんになれば、どれだけむちやをや
つているか、これから私が言いたいところであります。
お手元にパンフレツトかあるわけですが、
給與法律の一番最後の特殊勤務者の手当を削られるという問題が起
つておるわけです。つまり癩病院勤務者とか、富士山の上で気象観測を続けているような観測所員とか、特別な業務に従事している税務署の官吏とか、あるいは盲聾唖学校の特殊の先生方、その他の先生方、鉄道でも現場で
ほんとうに一般の人がいやがる仕事をや
つている人たち、こういうような世の中において非常に恵まれない
立場にいる人たちに、さきに
政府は調整号俸と申しまして、三号あるいは三号これにプラスしてその精神的な労苦に報いていたわけでございます。その報いた調整号俸を、
政府は今回千冊上るという名のもとに、状態がかわ
つて来たのでこれを是正する必要がある
といつて取上げている問題でございます。そのために現在官公吏の中において非常に不満が増大しております。
〔橘
委員長代理退席、
委員長着席〕
これはこの一般職員の
給與に関する法律の一部を改正する法律案の末尾の項を御参照いただくと、今言つたようにベース改訂によ
つて、係長以下、八級職以下の人か非常に落ちる。九級職から下の人が大体これによると一号、二号、三号を削られることに
なつております。このわれわれの既得権が奪われるということに対して、今日各地において不安動揺が非常に起
つております。この問題についてはこの
給與法律案において、過去において
ほんとうに恵まれない
立場で、特殊な勤務をや
つておつた人たちの精神的な面に対する報酬に対して
ほんとうのあたたかい処置をとられるようにぜひともお願いしたいと思うわけであります。その該当者は、税務職員、警察職員、そのほか検察庁の事務職員、船舶職員、国立の癩療養所の職員、精神病院及び結核の病棟に勤務する職員、盲聾唖学校に勤務する職員、作物報告事務所及び食糧事務所に勤務する職員、その他運輸省港湾建設部に勤務する職員、気象観測所に勤務する職員、そういつたような特殊の勤務の人たちが、千円
引上げの名目によ
つて従来の既得権がとられるということにつきましては、ぜひともこの予算審議において反対していただきたい、こう
考えるわけでございます。この問題は、今までわからなかつたが、念に二十七日の上程によ
つてわかつた問題でございますので、くどいようですが特に私ここに強調しておかなければならぬ、こう
考えておるわけであります。
次に俸給体系の問題をさきに申しましたが、地域給の五分の引下げがどういうふうに
影響しているかという点について、やはりお手元に調査表を出しております。私は、ベース賃金というものはもう今日の
段階では廃止されなくちやいけないのではないかと思う。名目的に千円上げる
といつても、個人個人でいつたらばどう
なつて行くかわからない。個人の
所得というものは非常にごまかされやすいという観点から、ベース賃金というものはもう廃止する必要があると思う。そのかわりに、
はつきりと個人々々にどれだけ
給與が上るかということを各官庁、各職種によ
つて組合と協議し、決定しなかつたならば仲裁、調停というような機関をつく
つて、そうしてその職種に適当する
給與を構成して行く、それを
国会が尊重して予算化し実施するという方向に行くならば、各職種々々の実情に即してその
給與が改訂され、しかもそれが仲裁、調停というふうな第三者の
ほんとうの機関によ
つて国民各位に公正に伝わり、これを
国会が尊重するという
立場をとるならば、われわれは今後
日本におけるところの労働紛争の一面が
解決される、こういうふうに
考えております。
もちろん現在においては、過去の労働運動の行き過ぎが、ややもすれば官公庁、使用者の行き過ぎという形に
なつて現われております。その
意味におきまして、一般の上級官吏あるいは
政府の
方々は、
給與を押える面にのみ努力せられることなく、われわれ労働者も單なる賃金値上げという面にのみ終始することなく、お互いに基本的な正しい数字を照し合せて、その中において両者決定しなければ相互においてこれを仲裁調停機関にかけ、お互い第三者の
国民的な
立場に立
つてこれを尊重するという方向にぜひとも行
つてもらいたいと思うわけでございます。
話が少し飛びましたが、とにかくこの五分の切下げというのは、名目的な千円値上げにおいては、特に都会に住む
方々、乙地の
方々も地方の中小都市の
方々も、問題が非常に大きいというので怒
つております。そこで現実にその調査をした表が乙地、特地にわけてお手元に行
つておるわけでございますが、下級職員は千円のベース改訂によ
つて大体五百三十八円、五百四十七円、五百六十七円
程度の
値上りであります。しかしながら上級の職員は、特地におきましては大体七千七十三円の
値上りをしております。数字だけでは比較対照できないとしても、
はつきりと個人々々が大体どのくらい収入があるかという点について、今みな知りつつあるわけでございます。ぜひとも下級官吏の方に特別の御配慮をいただきたい、こう思うわけでございます。
それから次に特別昇給の規定がこの法律案にございます。この特別昇給の点についてはいろいろと見解がごさいましようけれども、どういう判定、どういう基準によ
つて特別昇給させるのか。課長あるいは上級官吏にこびへつらう者、そういう者が特別昇給をして、正しい
考え方によ
つて自分の
意見を申し述べるというような公正な官吏が、この待遇にあずかれないような状態に
なつたならば、再び
戰前の官僚独善主義がはびこるのではないかと私は心配しておるわけでございます。その
意味において、この特別昇給は惡用されるおそれがありますので、基準、判定というものを明確にして国家公務員、地方公務員にお示し願いたい、こう思うのでございます。
それから昇給期間の問題でございますが、従来は六箇月ないし高級官吏に至
つては十八箇月、その期間において昇給しておつたわけでございますが、今回は下級の者よりもやはり上級の者が優遇されて、十二箇月においてすべての人が昇給できるように
なつております。ここで問題になることは、下級の者は六箇月あるいは九箇月で五十円あるいは百円ずつ上
つて行くわけです。上級の者は二百円、六百円と上
つて行きます。それでぜひとも下級の者に対する優遇案をこの昇給の期間のところでも御考慮願いたい。それから、これは最も
政府の得意とするところでございますが、予算の範囲内という言葉がこの
給與法の諸々
方々に使
つてあります。予算の範囲内については、一応常識的に必要であるという点も
考えられますけれども、予算の立て方によ
つては、上るべきものがストツプさせられる変な予算ならば、この
給與法は空になるという点も心配なのでございます。そこでこの予算の範囲内というのを、公務員がまじめに働いたならば定期の昇給によ
つて順次上れる方向に御改訂を願いたいと
考えます。
次に、この
給與法には俸給の支給日がございません。そこで俸給の支給日を明確にしていただきたい。このことは人事院によ
つて意見書が出ている。そこで年末手当は、当初
政府が
考えていたようにぜひとも一箇月
程度という明確なる箇條を入れていただきたい。こういうことが今何
政府が出した
給與法に対する
考え方でございます。
以上を予算によ
つて見ますると、大体
政府は千円の名目値上げと半箇月の年末手当によ
つて三十二億の予算を計上しておりますが、これをもう少し増額して、人事院勧告を正確に実施する
意味において平均千七百五十円、それから年末手当一箇月としてこの増額をこの予算に御計上願いたい、こう思うわけでございます。それに伴う予算、これは大体三十億
程度でございます。
インベントリー・フアイナンスその他の問題は言いませんけれども、何とかこの
給與の
財源というものを予算の構成上煩わしたい、こう
考えるわけでございます。
以上国家公務員の
給與に対する
財源と、それに伴う
給與法について公務員の切実なお願いを申し上げたのでありますが、特に国家公務員の方には些少ながらも一応安定した予算が出ております。しかしながら地方公務員は、午前中茨城県の知事さんが申しました
通り、年末手当がもらえるのかどうか、この心配で今全国の先生方から電報が来ております。自治労協の方にも地方の公務員から電報が来ております。はたしてあの平衡交付金三十五億によ
つて、地方の公務員の年末手当が出るかどうか、
給與ベースの改訂ができるかどうかという心配でございます。これに伴
つて地方自治庁が大体八十三億の平衡交付金を要求しておりますが、われわれとしては、国家公務員の方を最低やはり一箇月
程度、地方公務員についても一箇月
程度、それをぜひとも実施してもらいたい。そのためにいささかむりであろうとも百六十六億の平衡交付金をあれしてもらいたい。もしもこれができないとすれば、安定する
意味におきまして、預金部
資金によ
つて——マーカツト指令というものはまだ解消されていないのであります。地方起債というものが預金部
資金の第一項目に
なつているとわれわれは
考えております。その
意味におきまして、平衡交付金と地方の起債、あるいは見返り
資金によ
つてでも、この三十五億という金によ
つて不安動揺している地方公務員に対して、適切なる処置をおとりに
なつていただきたい、こういうふうにわれわれは
考えているわけでございます。各種の調査資料によ
つてこまかくわれわれは言いたいのでございますが、要するに
政府が千円値上げをして八千円になる。その
意味合いから人事院の八千五十八円の勧告を尊示しているのだと言
つても、われわれが見たところでは、この千円値上げによ
つて七千四百円
ちよつとのベース改訂になる。というのは、
政府はこの年度末に、推定で六千九百何が上かの平均貸金になるということを言
つておりますけれども、この点については、私は現在のベースは依然として六千三百円と
はつきり言わねばならぬと思うのです。というのは現物を全部賃金に換算し、
朝鮮事変に伴
つて出動する海底ケーブルとか、あるいは乗組員、そういつた特殊勤務手当のものまでもこの
給與に平均化し、あるいは郵便局の保險あるいは積立貯金の勧誘に伴
つて支出されるところの特別の手当までもこの俸給ベースに計上し、その他すべてのそういつたような金までもぶち込んでこれだけになると言うけれども、それは公務員の特別の労力、時間外あるいは特別な能力によ
つて支出されるもので、依然として六千三百円にはかわりがないじやないか。どうして
政府は、これもある、これもあると言
つて八千円ということを言うのか。これを逆に言えば、
政府はわれわれに一千円の証書を出してお
つても、手数料とかいろいろなものを天引きと
つて——ちようど高利貸しが、われわれが借りに行つたときに千円の証書を出したとしても、実際は八百円あるいは七百円になる。利息を天引きと
つて、名目は千円借りるけれども、借りた人間のふところの中には八百円とか七千円しか入らないというのと同じで、いくら
政府が八千円々々々と言
つても、下級官吏は事実上において五百数十円しかしらぬということを目の前に見せつけられ、しかも
米価の改訂がなされて、そのしわ寄せが来る。しかも地方税が拂えない。この十一月に二期場分が拂えない。そのために郵便貯金のかすかすに
なつていたものまでおろさなければならぬという
立場において、千円上げるというのが五、六百円ということに
なつたならば、これはやはり
政府のからくりで、うそを言
つているのではないかというような心証が大きくなることは必至でございます。ということになれば、当然下級公務員全体に、もう一度
給與ベース改訂をしてもらいたいという衷情が起
つて来ることはむりがないのではないか、こう私は
考えるわけでございます。
最後にこの
税金の問題につきましても、お手元に行
つておるわけでございますが、私、
税金の私案をつく
つて参つたのであります。この「
昭和二十五年度
補正予算に伴う
税制改正に関する要綱」、この要綱を見ますと、源泉
所得税が非常に
増加して、九百八十億
程度の当初の源泉見積りが、これによ
つて千二百三十九億というような、源泉徴収の
増加を今見積
つております。これに対して申告
所得税というものを千五百億見積
つていたところが、これが千百七十億に切下げられております。大体三百三十億というものを申告から切り落しておる。ということは別の言葉でいえば、徴税の上からいたす怠慢かどうかは知りませんが、とにかく天引きとられるところの源泉徴収というものが非常に
増加しておる。この
勤労所得税、
給與所得税というものを改善しておると
政府は言
つても、一万円の
所得者が二百五十円
程度の減額では、まことにすずめの涙という以外にない。米のはね返りばかりでなく、地方税の問題とからんで、これではまつたく動きがとれないというのが現状でございます。そこでわれわれといたしましては、ぜひともこの
給與所得税の方面についても、もう一応メスを加えていただいて、何とかこれをもう
ちよつと軽減してもらいたい。その相互
関係によ
つて、われわれの実質
給與がもう少し改善されるのではないかと
考えでおるわけでございます。その
一つの具体的なわれわれの要望として、妻と子供三人、つまり扶養者四人、これは標準家族でございますが、これで一万円の月給をもら
つている人が、今まででは大体四百八十五円
税金を月々拂
つておつたわけです。これを今度は二百八十円減額して二百三円にしていただいたわけですが、しかし子供と妻合せて四人を養
つている一万円の月給取りが、何でこの
税金が拂えましようか。たとい二百三円の
税金にしても、子供三人と妻をかかえている官公吏はこれを免税にする。そのためにはここにあるように、下級官吏の
基礎控除その他をもう少し傑作をすればできるわけでございます。その
意味におきまして、現在二〇%かけているところの最末端を一〇%に切り落し、順次これを増進して行くならば、
ほんとうに小さな金額であ
つても下級公務員は非常に喜ぶのではないか。一万円
程度で家族四人をかかえて、一番苦しいところの公務員は、このささいな金であ
つても、
政府及び
国会のあたたかい心づかいに対して感謝の念を抱くのではないか。金の面だけではなくして、
国会並びに
政府が、下級の職員まで、ともに一緒によくなろうという、
ほんとうに精神的なあたたかい気持を加えるならば、この
給與改訂に対してあながち反対しないでありましよう。しかしながらとにかく私がここにるる説明した
通り、あらゆる面、
税金の面においても、
給與の実質増額の点についても、全部削られてお
つて、しかも地方税は人頭割というふうな方式でとられるという形に
なつたならば、どうしてもこの全般的な圧迫が下級公務員全体にしわ寄せされて来る。その
意味において私はこの問題については、勤労
階級圧迫の予算であるというしか言えないと思うのであります。
以上大体いろいろな数字の面から私の思うところ、
ほんとうに地方の官公吏、こういつたものの気持の百分の一、百万分の一でも代表して申したわけでありますが、私は最後に国
会議員の責任と、この
国会の
ほんとうの義務として、いかにGHQの問題がありとしても、最小限度、予算の少い面においてこのような問題が
解決されることを期待し、その
意味において私が述べたことをつけ加えまして、私の公述を
終りたいと思います。