運営者
Bitlet
姉妹サービス
kokalog - 国会
yonalog - 47都道府県議会
nisalog - 東京23区議会
serelog - 政令指定都市議会
hokkaidolog - 北海道内市区町村議会
aomorilog - 青森県内市区町村議会
iwatelog - 岩手県内市区町村議会
miyagilog - 宮城県内市区町村議会
akitalog - 秋田県内市区町村議会
yamagatalog - 山形県内市区町村議会
fukushimalog - 福島県内市区町村議会
ibarakilog - 茨城県内市区町村議会
tochigilog - 栃木県内市区町村議会
gunmalog - 群馬県内市区町村議会
saitamalog - 埼玉県内市区町村議会
chibalog - 千葉県内市区町村議会
tokyolog - 東京都内市区町村議会
kanagawalog - 神奈川県内市区町村議会
nigatalog - 新潟県内市区町村議会
toyamalog - 富山県内市区町村議会
ishikawalog - 石川県内市区町村議会
fukuilog - 福井県内市区町村議会
yamanashilog - 山梨県内市区町村議会
naganolog - 長野県内市区町村議会
gifulog - 岐阜県内市区町村議会
sizuokalog - 静岡県内市区町村議会
aichilog - 愛知県内市区町村議会
mielog - 三重県内市区町村議会
shigalog - 滋賀県内市区町村議会
kyotolog - 京都府内市区町村議会
osakalog - 大阪府内市区町村議会
hyogolog - 兵庫県内市区町村議会
naralog - 奈良県内市区町村議会
wakayamalog - 和歌山県内市区町村議会
tottorilog - 鳥取県内市区町村議会
shimanelog - 島根県内市区町村議会
okayamalog - 岡山県内市区町村議会
hiroshimalog - 広島県内市区町村議会
yamaguchilog - 山口県内市区町村議会
tokushimalog - 徳島県内市区町村議会
kagawalog - 香川県内市区町村議会
ehimelog - 愛媛県内市区町村議会
kochilog - 高知県内市区町村議会
fukuokalog - 福岡県内市区町村議会
sagalog - 佐賀県内市区町村議会
nagasakilog - 長崎県内市区町村議会
kumamotolog - 熊本県内市区町村議会
oitalog - 大分県内市区町村議会
miyazakilog - 宮崎県内市区町村議会
kagoshimalog - 鹿児島県内市区町村議会
okinawalog - 沖縄県内市区町村議会
使い方
FAQ
このサイトについて
|
login
×
kokalog - 国会議事録検索
1950-12-01 第9回国会 衆議院 法務委員会 第3号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十五年十二月一日(金曜日) 午後二時二十五分
開議
出席委員
委員長
安部
俊吾君
理事
押谷 富三君
理事
田嶋
好文
君 角田 幸吉君 鍛冶 良作君 佐瀬 昌三君 高橋 英吉君 花村 四郎君 牧野
寛索
君 松木 弘君
眞鍋
勝君 山口 好一君 吉田 省三君 大西 正男君 石井
繁丸
君 田万
廣文
君 上村 進君
梨木作次郎
君
世耕
弘一君
出席国務大臣
法 務 総 裁
大橋
武夫君
出席政府委員
法務政務次官
高木 松吉君
法務
府
事務官
(
法制意見
第四
局長
)
野木
新一君
委員外
の
出席者
最高裁判所事務
総局民事局長
關根 小郷君
最高裁判所事務
総局刑事局長
岸 盛一君 專 門 員 村 教三君 專 門 員 小木 貞一君
—————————————
十二月一日
裁判所職員
の
定員
に関する
法律等
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第二二号)
訴訟費用等臨時措置法
の一部を
改正
する
法律
の 一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第二四号)( 予) の
審査
を本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した
事件
裁判所法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第 二二号)
刑事訴訟法施行法
の一部を
改正
する
法律委
(内 閣提出第一四号)
民事訴訟法等
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提
出第一五号)
裁判所職員
の
定員
に関する
法律等
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第二二号)
訴訟費用等臨時措置法
の一部を
改正
する
法律
の 一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第二四号)( 予)
—————————————
安部俊吾
1
○
安部委員長
これより
会議
を開きます。 本日の
議題
について
最高裁判所
より発言を求めておられますので、
国会法
第七十二條第二項の規定により随時これを許すことにいたしたいと思いますが、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
安部俊吾
2
○
安部委員長
御
異議
なしと認め、さようとりはからうことにいたします。
安部俊吾
3
○
安部委員長
この際
日程追加
についてお諮りいたします。本日
裁判所職員
の
定員
に関する
法律等
の一部を
改正
する
法律案
が本
委員会
に付託され、また
訴訟費用等臨時措置法
の一部を
改正
する
法律
の一部を
改正
する
法律案
が
予備審査
のため本
委員会
に付託されましたので、両案を本日の
日程
に追加し、
提案理由
の
説明
を聽取したいと思うのでありますが、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
安部俊吾
4
○
安部委員長
御
異議
なしと認めまして、以上二案を
日程
に追加し、これを
議題
とし、順次
政府
より
提案理由
の
説明
を聽取いたします。
大橋法務総裁
。
—————————————
大橋武夫
5
○
大橋
国務大臣 ただいま
議題
となりました
裁判所職員
の
定員
に関する
法律等
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、その
提案
の趣旨を申し上げます。 本年十月十八日付の
連合国最高司令官
の覚書第二一二七号によりまして、去る十一月一日から
連合国人
に対するわが
裁判権
が
拡張
されたことに伴いまして、
高等裁判所
以下の
裁判所
に
通訳等
の
事務
に従事する
裁判所事務官
及び
裁判所技官
を増員する必要が生じたのであります。また検察庁及び
刑務所等
におきましても、新しく
連合国人
にかかる
犯罪事件
の
処理
に当るため
検察官
及び
通訳等
の
事務
に当る
検察事務官
または
法務
府
事務官
を
窓速
に増員する必要が生じましたので、ここにこの
法律案
を提出いたした次第であります。 次に同じく
議題
と相なりました
訴訟費用等臨時措置法
の一部を
改正
する
法律
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、
提案
の
理由
を申し上げます。 現在
一般公務員
につきましては、
昭和
二十五年
法律
第百八十四号の
恩給法等
の一部を
改正
する
法律
によりまして、
昭和
二十五年一月分以降は、その
給與事由
を生じた時期を問わず六千三百七円ベ
ース
に基く
恩給
が支給されております。
執行吏
につきましては、
訴訟費用等臨時措置法
第五條及び第六條によりまして、その手数料に対する
国庫補助基準額
を
俸給額
とみなして
恩給年額
を算定いたすことにな
つて
おりますが、この
基準額
は
昭和
二十四年一月一日以降六千三百七円べ
ース
の七万一千円に引上げられ、その当然の結果といたしまして、同日以降
給與事由
の生じた
執行吏
は、六千三百七円べ
ース
による
恩給
が支給されておりますが、
昭和
二十三年十二月三十一日以前に
給與事由
の生じた
執行吏
の
恩給
は従来のままにすえ置かれておるのであります。
従つて
これらの者につきましても、
昭和
二十五年一月分以降七万一千円を俸年額とみなして、算出した
恩給
を支給するように改定する必要がありますので本案を提出いたした次第であります。この
改正
によりまして、
執行吏
につきましても
一般公務員
と同様、
給與事由
の生じた時期に
関係
なく、
昭和
二十五年一月以降は一律に六千三百七円べ
ース
による
恩給
が支給されることになる次第であります。 以上
簡單
でありますが、
提案
の
理由
を御
説明
申し上げました。何とぞよろしく御
審議
のほどをお願いいたします。
安部俊吾
6
○
安部委員長
これにて両案の
説明
は終りました。
—————————————
安部俊吾
7
○
安部委員長
次に
裁判所法
の一部を
改正
する
法律案
、
刑事訴訟法施行法
の一部を
改正
する
法律案
及び
民事訴訟法等
の一部を
改正
する
法律案
は、いずれもいわゆる
訴訟促進
に関する
法律案
でありますので、以上の三案を一括して
議題
に供します。 これより
質疑
に入ります。
質疑
の通告がございますからこれを順次許します。
田嶋好文
君。
田嶋好文
8
○
田嶋
(好)
委員
私は三
法案
につきまして概括的な
政府当局
の
説明
をお願いしたいのでございます。 まず第一は、
訴訟促進
という現在の
国家的立場
はよく了承できるのでありますが、これに対しましてはいろいろな面からいろいろな批評も出ておるようでございます。またいろいろな
意見
も出ておるようでございますので、
訴訟促進
に関するこの三
法案
をどういう
根本的事情
のもとに提出されましたのか、それをなるたけ詳細にわた
つて
ここで御
説明
が願いたいと思うのであります。
野木新一
9
○
野木政府委員
ただいまの御
質疑
に対して
お答え
申し上げます。お
手元
に差上げてある若干の
資料
を参照しながら御
説明
した方が便宜だと思いますので、そういたしたいと思います。 まず
訴訟
が全体として著しく遅れがちであるということは、しばしば申されておることでありますが、ことに現在一番問題とな
つて
おりますのは、いわゆる
刑事
の
旧法事件——
新
刑事訴訟法
が施行せられてからそろそろ二年になろうとするわけであります。この
旧法事件
は新
刑事訴訟法
以前に起訴された
事件
でありまして、もう二年たてば大体片づいてもいいではないかと思われますのに、現在各
裁判所
に係属しておるのを見ますと、
相当
多数の数に上るわけであります。お
手元
に差上げてある
資料
の二十九ページによりますと、現在
旧法事件
で係属しておるのを
裁判所別
に申し上げますと、
昭和
二十五年九月末の調べによりますと、
最高裁判所
には
旧法事件
が一千二十四件係属しております。
高等裁判所
には
旧法事件
の
控訴事件
が一万一千六十一件、同じく
上告事件
が三百六十七件、
地方裁判所
には
旧法事件
の一
審事件
が三千六百七十五件、
控訴事件
が千五十六件、
簡易裁判所
には
旧法事件
が六百七十五件、合計いたしますと約一万八千件ぐらいになるわけであります。 次に
新法事件
との比較を申し上げますと、本年九月末現在におきましては、
最高裁判所
では
新法事件
が千八百九件でありまして、やや
新法事件
の方が八百件ほど
旧法事件
より多くな
つて
おるわけであります。
高等裁判所
では
新法事件
の
控訴事件
が一万七百二十件でありまして、これは
旧法
の方がやや多いという勘定にな
つて
おります。
地方裁判所
におきましては一
審事件
は、
新法
は三万五千七百二件でありまして、
旧法
は三千六百七十五件でありますから、
地方裁判所
は
新法事件
が圧倒的に多くな
つて
来ております。この表でごらんになりますと、
旧法事件
については
高等裁判所
に
旧法事件
が非常にたま
つて
おるということになるわけでありますが、
裁判所
といたしましては、
旧法
、
新法両方使い
わけをしなければならないので、
事務
的にもなかなかたいへんであります。また
裁判官
の数その他から申しましても、
旧法事件
を
処理
するにはまだ
相当
の
年月
を要するわけであります。これをこのままほ
つて
おきますと、これが順次
控訴
あるいは
上告
をするわけでありますが、その将来の
見込み
はどうであるかと申しますと、その表の裏の方に出ております。これを旧
刑事訴訟法
のままにしておきますと、将来
上告
して行くのが四千七百一件ほどになるわけでありますが、この
改正法
によ
つて
若干そこを調整いたしますと、約二千二百七十四件くらいになるわけであります。その算出の根拠はその表の四以下に詳しく
説明
しておきましたから、ここでは省略いたします。大体
旧法
のままにしておきますと、今後
最高裁判所
に四千件の
旧法事件
が
行つて
しまう。
最高裁判所
の
事務処理能力
を
考え
てみますと、
昭和
二十四年の
統計
によりますと、十五人の
判事
で一箇月に三百件くらい
刑事事件
を
処理
できることになります。
従つて
現在の
最高裁判所
の新旧合せた未済二千八百二十三件を
処理
するにも九箇月かかることになるわけであります。
旧法事件
の千二十四件、あるいは
旧法事件
から
考え
て、今後
最高裁判所
に
上告
して来る、
旧法
によ
つて
上告
するならば四千七百一件、これを合せて
考え
てみると、今後
相当
の
年月
を要することになるわけであります。このほかになお
最高裁判所
には
新法事件
、
民事事件
などいろいろの
事件
が順次起きますので、結局
最高裁判所
の現在の
処理能力
では行きどまりの
事件
が多くな
つて
、
事件
全体の
処理
がそれだけ遅延するということになりまして、国民のためにも不利益になるのではないかと思われるわけであります。こういうわけでまず
刑事
につきましては
新法事件
についての
審理
の
促進
も一応問題になりますが、まず第一に
旧法事件
の
処理
について手をつけなければならぬということから、今回は
旧法事件
の
処理
について緊急な
措置
を講ずることに
なつ
たわけであります。今申し上げたように、最最
裁判所
の
負担
を調整するためには、結局旧
刑訴
の
上告理由
を新
刑訴
の
上申理由
に振りかえることによる以外に手がないのではなかろうかと思われますので、そのような
方法
を用いたわけであります。なお
高等裁判所
に係属中の
旧法事件
は、御承知のように
高等裁判所
は
旧法
においては
覆審制度
にな
つて
おりまして、
新法
の
事後審
に比べれば丁重にな
つて
おるわけでありますが、ここにおきましても
審理
の
促進
を
考え
る必要があるわけであります。これにつきましては
裁判所
の創意くふうにまつようにいたす
考え
で、この案では
裁判所
の
規則
である
程度
の
手当
ができるように、
規則制定
の余地を現在よりも一層
ゆとり
を持たせるという
構想
に
従つて
おります。この
規則
は
事務当局
で
考え
ておられるところでは、大体
控訴審
につきましては、
当事者
にどこに
不足
があるかということを述べさせて、不服のある点に
審理
の重点を集中してや
つて
行きたいというようなことを
考え
ておられるようでありまして、それに関する
規則
を定めることを一応
考え
ておるわけであります。こういうことによ
つて刑事
の方につきましてはまず
旧法事件
をこの際早く片づけてもつ
ぱら新法事件
の方に專念したい。そのためには
最高裁判所
の
負担
を調整し、またあわせて
高等裁判所
についても若干
審理促進
のための
規則制定
をやることができる
ゆとり
を持たせるという
構想
であります。 次に
民事
につきましては、これも
終戰後事件
がどんどんふえる一方でありまして、しかも勢い遅延しがちになりますので、今までと
構想
をかえまして、安心できる
方法
と申しましようか、要するに
準備手続
というものを一層活用いたしまして、
準備手続
におきまして
当事者双方
の抗議の
方法
、証拠の申出などをはつきりさせまして、
準備手続
に十分の時間と余裕とを置いて、ここで論点を明確にして、一たび
公判
に
移つた
ならば、いわゆる
集中審理
と申しましようか、連続的に開廷をして一挙に黒白を決するというようなシステムに持
つて
行つて
、今までの
民事訴訟
の
やり方
をこの際かえてや
つて
みようというような
構想
に基きまして、その
手当
といたしましてこの案では、現在
準備手続
は
合議裁判所
だけができることにな
つて
おりましたのを、
合議裁判所
のみならず、
單独裁判所
でもできるということにいたしました。なおこまかいところは
最高裁判所
の
規則
の定めるところに譲る仕組みにいたしまして、しかして
準備手続
を経た
事件
につきましては、
最初
の
口頭弁論
の
期日
の
変更
については、
準備手続
を経ない
事件
などよりも一層厳重にその
期日
の
変更
を許さないことにする、そういう
構想
にいたしまして、この
民事訴訟法
の一部を
改正
する
法律案
の純
訴訟
法的の点はそれが
主眼
にな
つて
おるわけであります。 なお話は多少前後いたしましたが、
事件
が迅速に
処理
されるためには、各
裁判所
の
権限
の
分配
が適正でなければならぬということはもちろんでありまして、その
見地
から今の各
裁判所
の
権限
の
分配
を
考え
てみますと、どうも
地方裁判所
の
負担
が少し重過ぎはしないか、いま少し
簡易裁判所
に
事件
を
負担
させてよいのではないか。そういたしますとそれが結局
最高裁判所
の、ことに
民事
について申しますと
負担
の調整にもなるわけであります。その
見地
から第一
審事件
の
管轄
の
分配
を
考え
てみましたところ、
民事
につきましては
裁判所法制定
当時の
事情
を勘案して一応五千円
未満
ということにな
つて
おりますが、その後の物価の情勢その他
地方裁判所
と
簡易裁判所
との
事件
のにらみ合せということを
考え
てみますと、この際どうしても
民事
につきましてももう少し
管轄
を広げた方が適当であろうということでその額が問題になりましたが、一応三万円といたしたわけであります。三万円とすることによりまして、
地方裁判所
と
簡易裁判所
との間に
事件
の
分配
がどの
程度
かわ
つて
来るかと申しますと、これもお
手元
に差上げてあります
資料
に出ておりますが、
民事
につきましては現在五千円を越え三万円までの
事件
は、全
地方裁判所
の
民事訴訟事件
の中の約三二%に当
つて
おるわけでありまして、これが
簡易裁判所
に移るわけであります。
簡易裁判所
の数は全国的に見ますと
地方裁判所
に比べて多いわけでありますが、一つの
裁判所
に
負担
を負わせると
簡易裁判所
としてはそれだけ重くなるというわけのものではないのであります。 なお
簡易裁判所
の
民事
の
管轄
を引上げることにつきましては、今の
簡易裁判所
の
裁判官
の質などから
考え
てどうだろうかという
議論
も一応
考え
られるわけでありまして、それならば
簡易裁判所
の
裁判官
の構成は一体どうな
つて
おるかということを
最高裁判所
の
事務当局
と連絡して調べてみましたところ、これもお
手もと
に差上げてあります
統計
二十六ページに出ておりましたが、現在の
簡易裁判所
の
判事
六百十二名のうち、いわゆる選考による
任命者
と俗に申しておりますが、これが二百五十九名、残りは
判事
から任命された者、
判事補
から任命された者、
検察官
から任命された者、
弁護士
から任命された者、その他で占めておるわけであります。
民事事件
のうち多いのは大体どういうものであるか予想されるわけであります。こういう
弁護士
の
資格
のある人から任命された
簡易裁判所判事
はおおむね
都会地
のような
裁判所
におるようでありますので、こういうことから
考え
てみますと、
民事
の五千円を少くとも三万円にふやすということによ
つて
も、そう危險はないものと存ぜられるわけであげます。なお
最高裁判所事務当局
といたしましては、このほかに現在
判事補
のうち三年以上五年
未満
の者、また一人前の
裁判官
としての職権の行使を許されていない者で、しかも
簡易裁判所
の
判事
の
資格
のある者は
簡易裁判所
の方に兼務なり、あるいはそちらの方へまわるなりして、
民事
の
事件
を見ておる、あるいは場合によ
つて
は今度の
措置
で認められた
代行制度
を活用して、むずかしい
事件
があつた場合には
代行制度
を活用しよう。いろいろの
措置
を講じて、ただいま申し上げたような
——
また
特任
の
裁判官
による
民事事件
の取扱いに対するある方面の不安の点は除去しようと
考え
られておるわけであります。なお
特任
の
裁判官
につきましては、
最高裁判所事務当局
におきましても、しばしば研修ですか、研究が行われておるようでありまして、二十七ページ以下に今までどの
程度
やつたか、また将来どの
程度
やるかという計画を調べてあります。こういうようなかれこれの
処置
を
考え
てみますと、ただいま申し上げた
簡易裁判所
の
裁判権
の
拡張
という点も、そう不安を覚えるものではないと存ぜられる次第であります。なお
刑事
の
簡易裁判所
の
管轄権
の
拡張
につきまして
考え
てみますと、これは
民事
の
管轄権
を広げたというよりも、むしろある意味ではよすぎるとい
つて
もよいかと思われるわけでありますが、大体今度
簡易裁判所
の
管轄権
の中にふやしましたのは、
窃盗罪
と密接な関連のあるもの、もしくはこれと同様な、ごく
簡單
な
事件
を
主眼
にして
考え
たわけであります。その罪名と刑期、
罰金額等
につきましては、お
手もと
に差上げてありまする
資料
の一ページ以下に全部載
つて
おるわけであります。そうしてこれだけの
手当
をすると、どの
程度
忙しい
地方裁判所
の手が省けて
簡易裁判所
に移るかという点につきましては、四ページ以下の表に明らかにいたしておるわけであります。人数にいたしますと、
昭和
二十三年の
刑事統計
を基礎として算定いたしますと、約一万四千二百六人ほどが
地方裁判所
から
簡易裁判所
へ移動して行きます。
昭和
二十三年度におきまして
簡易裁判所
の通常第一審の
終局人員
は十万九千五百五十五人でありましたが、これに対して一万四千二百六人、すなわち一二%が
簡易裁判所
に増加するという
見込み
であります。これに伴いまして
地方裁判所
の側から見ますと、
昭和
二十三年における
地方裁判所
の第一
審終局人員
は十二万七千七百九十人でありますが、このうち一万四千二百六人が減るわけでありますから、すなわち一一%ほど
地方裁判所
の
負担
が減るわけであります。こういうように
簡易裁判所
と
地方裁判所
の
事件
の
分配
を再調整いたしますと、結局
簡易裁判所
に行く
事件
は比較的軽い
事件
、または額の少い
事件
でありますから、どつちかといえば
簡單
な
手続
でや
つて
よろしい。その
代り地方裁判所
はその浮いた余力をもちまして、むずかしい
事件
を一層適正に、じかも迅速に
処理
できる。そうして全体として
考え
てみますと、これによ
つて審議
の
促進
がはかられる、そういう
構想
であります。それから
審議
の
促進
という点につきましては、
提案理由
の
説明
にも述べましたように、国際的にも非常な関心を持たれておりまして、どうも日本の
裁判所
は適正ということはともかくとして、
審議
の迅速という点においては非常に欠けておるという非難をしばしば受けておる次第でありまして、
審議
の
促進
のためには今度とります
方法
で全部だと
考え
ておるわけではないのであります。しかし徹底して
考え
ようといたしますと、
裁判所
の
事務制度
、
訴訟手続
全部について
根本
的の変革を要する次第でありまして、そうなりますと、
相当
の
年月
を要しなければできないわけでありますから、今回差当
つて
必要と思われる点にだけ
手当
をしてみようということで、この三案をつくつた次第であります。
田嶋好文
10
○
田嶋
(好)
委員
今の
説明
でわかりましたが、そうすると、結局
根本
の
事情
としては
事件
がたくさん
だまつたの
を、何とか早く
処理
する
方法
として
考え
られたということになると思うのでありますが、その
促進方法
として今
お答え
の中に
集中審理
というようなお
言葉
がありましたが、これはいかような
立法的処置
によ
つて
具体化しようとしておられるか、おわかりになりましたら、
お答え
を願いたいと思います。
野木新一
11
○
野木政府委員
集中審理
につきましては、今度の
手当
だけで完全にその目的を達するかという点につきましては、必ずしも十分ではない。多少
不足
の点があるのではないかと存じておる次第でありますが、この点は
運用面
としまして、現在のところ
最高裁判所
の
民事局
で研究しておられますので、
裁判所側
から
お答え
を
願つた方
がよろしいかと思います。
關根小郷
12
○
關根最高裁判所説明員
ただいまお話の
集中審理
、
言葉
をかえて申しますと、
継続審理
ということになろうかと思いますが、現在
民事事件
を例にあげて申し上げますと、一日に大体
公判
廷でいたします
事件
が十五件ないし十七件指定しております。従いましてその
事件
全部を
審理
いたしますと、一件について一人の
証人
あるいは二人の
証人
を調べるということになりまして、一件をその日に終らせることができない
やり方
をや
つて
おります。これはいろいろな
事情
から生れ出たことかと思いますが、そういたしますと、いわゆる
こま切れ審理
あるいは
歯医者裁判
というような
言葉
で譬喩的に申されておりますが、
こま切れ
的に
事件
を
審理
いたします
関係
から、どうしてもその
事件
を早く耳新しいうちに終らせるというわけに参りません
関係
から、どうしても延びやすい。しかもまた、たとえば今日
公判
になりました
事件
で、
証人
が十人くらいあるといたしますと、それのうちの二人を今日調べて、あとの八人をいつ調べるかと申しますと、
事件
が多い
関係
から三箇月、あるいは二箇月先くらいに次の
期日
が指定される。そういたしますと、
こま切れ式
の
審理
が
こま切れ
の間が非常に長くなるわけでございまして、これはどうしても改革しなければいかぬということから、何とか
弁護士各位
の方と、それから
裁判所側
が協力して、今度は一日に一件ないし二件、一件一殺主義と申しますか、要するに一件ずつ
処理
を終るような方式で行こう。そういたしますと、一日に四、五人の
証人
を調べるといたしますと、十人の
証人
を要する
事件
ですと二日で行く。それから四人くらいの
証人
で終ります
事件
、あるいは五人くらいで終ります
事件
については、一日で終る。そういつたぐあいにや
つて
行きたいという
考え
でございます。 それでは立法的な
措置
を講ずるのかというお問いもあつたかと思いますので、
お答え
いたしますが、立法的な
措置
は、あるいはこれは
法務
府側から
お答え願つた方
がよいかと思いますが、便宜私の方から御
説明
申し上げます。現在の
民事訴訟法
におきましては、百五十二條におきまして、
口頭弁論期日
がきまりましても、
最初
の
期日
だけは、当時者が
双方
で延ばしてくれという相談ができ上りまして、それを
裁判所
に持
つて
参りますと、
裁判所
は、今日はひとつ意気込んでやろうと思
つて
おりましても、延ばさざるを得ないことにな
つて
おります。それでは、継続的に
審理
をしようという
最初
から出鼻をくじかれるという
関係
から、いやしくも
準備手続
を経た
事件
に限りましては、
最初
の
口頭弁論期日
に
当事者
の合意がございましても許さぬ、特別のやむを得ない
事由
がなければ許さぬといつた
改正
を
法律案
でお願いしているわけでございます。 それからルールの方におきましては、それに伴いまして
期日
の
変更
などにつきましてかなり例を上げまして、
期日
を延ばさないようにしていただくといつた
考え
方の
規則案
を
立案
中でございます。
田嶋好文
13
○
田嶋
(好)
委員
これらの問題に関しましては、新しい
行き方
でありまして、われわれ
国会
といたしましても、新しい
行き方
に対する十分な
知識経験
がほしいと思
つて
いるのであります。つきましては、これらについて最高裁の方では長官初め二、三の方々が渡米されて、実情を御調査されているようでございます。本来ならば立法府のわれわれが
行つて
調査して、この
法案
の
審議
にあたれば非常に理想的である、まあ時期を失したわけでございますが、これは今ここでできないことでございますから、できましたならば、
相当
議論
のあることでございますから、この
集中審理
に対して、
アメリカあたり
でどういうようにや
つて
いるかということを、特に
政府委員
でありません
裁判所
に対して、ここへ来て
説明
しろということはできませんが、できれば向うから進んでそうした
資料
を提供し、この
法案立案
に対しまして、円滑に
審理
が進み、すみやかにこれが本
委員会
を通れるようにごあつせんしていただくことが適当な
方法
じやないかと思います。一応要望をいたしたいと思います。 次にもう一つ質問いたしたいのですが、この
法律
適用の原則から申しますと、
旧法
の
事件
に対して、
新法
の一部を適用するというのは、一時的の例外であろうと思います。もちろんこれに対しては法理論の問題も起きて参りますが、法理論的な
見地
からどういうようにお
考え
にな
つて
おるか、これも一応はつきりさせておきたいと思います。できるだけひとつ
お答え
願いたいと思います。
野木新一
14
○
野木政府委員
御質問の点は一応ごもつともな点と存じます。ことに
旧法事件
の
上告理由
等を制限するのは、言
つて
みれば被告人の既得権の侵害になるのじやないかという
議論
も出るものとば思いますが、私どもはそういうことにはならないという
考え
のもとにこの案を
立案
したわけでございます。と申しますのは、この
刑事訴訟法施行法
の一部を
改正
する
法律案
では、将来下級審の判決があ
つて
、
上告
しようとするものについてだけ
上告理由
を制限しようとするものであります。現在
上告
審に係属しているものはもちろん、
改正
案の施行当時
上告
期間中のものについては
旧法
で行く、そういうように附則をおいておりますので、この
改正
案が適用になるのは、この
改正
案が
法律
と
なつ
たあかつき、施行されて後に
上告
される
事件
だけであります。
旧法
によ
つて
将来
上告
なし得るであろうという、抽象的な一般的な期待が裏切られるということにはあるいはなるかもしれませんが、それがただちに既得権の侵害になるということにはならないと思うわけであります。このことは刑罰不遡及の原則、すなわち
訴訟手続
不湖及の原則は必ずしも確立されているわけではありませんので、その点はいわゆる刑罰と違うかと存ぜられるわけであります。 なお
改正
案によ
つて
必ずしも被告人に不利益な点ばかりでなくて、利益な点もありますので、その点を附言しておきたいと思いますが、おもに
上告
審について例をとりますと、利益となる点といたしましては、
上告
の提起期間が五日から十四日に
なつ
た。それから上訴費用のある場合には補償が受けられる。それから訂正判決の制度が認められておること、また
新法
の立て方をある
程度
取入れました。この
改正
案におきましては、こういう
事由
がある場合には
上告
審の
審査
の対象になる、もしこういうことがあ
つて
著しく正義に反するという場合には、原案が破棄されるということになるわけでありまして、これは
旧法
及び応急
措置
法のもとでは認められないことであります。それから法令の解釈に関する重要な事項を含むものと認められる
事件
に関しては、
上告
審を認めてその
事件
を受理することができるという点も
新法
の方が利益とな
つて
いる点であります。ただ不利益と
なつ
た点は、
旧法
に比べますと
上告理由
が制限されて、一応原判例停止ということになります。そうして
旧法
によりて認められておりました
法律
によ
つて
、判決
裁判所
を構成しない、除斥せらるべき裁判、審判、その他絶対的
上告理由
がとれてしまつたという点では不利益にな
つて
おりますが、これとて著しく正義に反する場合には、判例の対象となるわけであります。 それから書面
審理
によ
つて
上告
を棄却し得ること、これも見ようによ
つて
は
旧法
よりも被告人の不利益な
改正
ということになろうと思うのでありますが、
上告
審は
法律
審であ
つて
、大体
上告
審の趣意書に基いて陳述していることでありますので、
最高裁判所
の適正な運用によりまして、あまけ問題のない
事件
につきましては、この際書面
審理
を認め、
事件
の迅速
処理
に役立たせるのも適当であろうと思われるわけであります。 こういうふうに、利益、不利益合せて
考え
まして、この辺が妥当であろうということで、この案を持ち出したわけであります。
安部俊吾
15
○
安部委員長
田嶋
君にちよつとお諮り申し上げますが、先ほど
田嶋
委員
より要請がありましたので、最高裁
事務当局
の岸
刑事
局長
より、本案に関連してアメリカの
事情
をお話したいという申出がありますから、
田嶋
委員
の御発言前にそのお話を聞くことにいたします。さしつかえございませんか。
田嶋好文
16
○
田嶋
(好)
委員
簡單
にちよつと一言だけ……。今の御
説明
でほぼ納得はいたしましたが、
新法
施行の場合にも、当然にこうした
事件
起訴のことは予想せられるのであります。といたしますれば、これが施行法について研究すれば、本問題は解決ができておつたのじやないかと思います。それが解決を予想されながら今日まで参りました。今日新しい総司令部からの指令によりましてやられるという
関係
にな
つて
参りました以上、
新法
の一部
改正
によ
つて
適用するというような
方法
で行かずに、これはやはり前
国会
で行いましたように、独立立法で行つた方がいいというようなお
考え
、これはいかようにお
考え
になりますか。
野木新一
17
○
野木政府委員
ただいま御質問の点はまことに痛いところをさわられたようでありまして、まことに恐縮に存ずる次第でございます。実は新
刑事訴訟法
施行当時、私もその
立案
の末端に
関係
いたしまして、その施行法をどういうように
立案
するかいろいろ
考え
たわけでありましたが、初めのころはあえて今度の
法律
と同じように、まず一般
訴訟手続
法の施行法の
立案
の普通の
考え
方であろうと思いますが、あるできる段階から逐次
新法
の規定によらしめて、
新法
の趣旨によ
つて
行くというような施行法を
立案
したこともありますが、何分新
刑事訴訟法
は、旧
刑事訴訟法
に比べますと非常な
改正
でありまして、ただいまのような
立案
の仕方にすると、切りかえが混乱してしまうのじやないかというような、非常な懸念もありましたので、とりあえず移りかわりをすみやかならしめる意味におきまして、
旧法
の方は施行当時、すでに起訴に
なつ
た者は
旧法
で判決する。新
刑事訴訟法
施行後起訴された者は、
新法
で行くという立て方をとつたわけでありまして、当時も実は
最高裁判所
の構成、それから
裁判官
の数等に対して、
事件
の圧倒的多数というようなことを
考え
ますと、全体としての
刑事事件
の
審理
が遅延するのじやないかというような心配がないわけではございませんでしたが、私どもの
考え
が足りなかつたせいか、あるいは勇気が足りなかつたせいか、どうもそこまでの
措置
を
立案
できなかつたのはまことに申訳ないと存ずる次第でございます。 ところでこの施行法の一部
改正
の
行き方
でなくて、この前の
民事事件
の
上告
の特例の方のような
行き方
にしたらどうかというような点でございますが、民十
事件
の方は全部の
事件
に適用されるわけでありますが、今度の
刑事事件
は
旧法事件
だけでありまして、いわば経過的なものであり、
旧法事件
がなくな
つて
しまえば、当然この
法律
もなくな
つて
しまうという
関係
にありますので、
民事
との場合と多少
考え
方を違えてもよかろうということで、技術的にいいましても、この際施行法の一部
改正
で行つた方が
簡單
にもなりますし、わかりやすいのではないか。ことに
立案
を急いだ
関係
もありますので、このような形式で
立案
いたした次第でございます。
安部俊吾
18
○
安部委員長
岸
局長
。
岸盛一
19
○岸
最高裁判所
説明
員 それではたまたまここにおりましたから、先ほどのことにつきましてごく
簡單
に申し上げたいと思います。いずれ長官初めその他の各
裁判官
が、直接お目にかか
つて
いろいろお話申し上げる機会もあろうかと思いますから、私の
説明
はごく概略にとどめておきたいと思います。 アメリカの
刑事
裁判は非常に迅速に行われており、それに引きかえて日本は非常に
審理
が遅延しておるということは、かねがね言われておりました。事実向うへ
行つて
見ましたところ、やはり向うの方は非常に
事件
の裁き方が早いのであります。しかしアメリカの
刑事
手続
は、御承知のように州と連邦によ
つて
手続
が違いますし、また州ごとに
手続
が違う部分もありますので、私どもの見て参りましたその一部分のものが、アメリカの全体であるということは申されないことをまずお断りしておきます。たとえばアメリカで一番裁判が理想的に行われておるといわれますニューヨーク州の
刑事
裁判を見ますと
——
アメリカ全般そうですが、アメリカの
刑事
裁判では
審理
の冒頭にいわゆるアレインメントの制度、つまり罪状を認めるかどうかという
手続
をとりまして、八割以上九割までの
事件
は自分が有罪であるということを被告が認めます。認めますと直ぐ軽い者は即座に判決の言い渡しがあり、処分について考慮する者についてはいわゆるプリペンシヨン・オフイツサーという制度を使いまして、プリペンシヨン・オフイツサーによりまして被告人の個人的な
事情
や環境等を調べ、その被告をプリベントする、言い渡しを猶予する、刑の執行を猶予する、プリペンシヨン・オフイツサーに調査させる。その報告書を参考として
裁判官
が刑の言い渡しをする。ちようど私どもが参りましたときには、一日に五十九件の
事件
をさばいておつた。そのときには
証人
も調べますが、向うの
証人
調べは検事と弁護人がお互いに十分な準備をして来て、そしててきぱきと進めて行く。三人や五人、ないしは十人くらいの
証人
調べを五十九件の
審理
をや
つて
おる間にや
つて
行くわけであります。調書の方は速記タイプ、あるいは速記者を使
つて
証言の内容を一々速記して行く。そのかわり
裁判所
書記というものはただ法性に臨んでいて、
手続
の進行を見ているだけのものでありますから、
証人
を調べない
事件
ですとほとんど調書というものはでき上らない、数枚のカードにその
手続
の
事件
を受理したとき、アレインメントの答弁があつたとき、最後に判決があつたとき、そういうようなカードに記入してそれを袋に入れてブリーフ・ケ
ース
にしま
つて
おく、それが大部分の
事件
の記録であります。日本のように大小の
事件
を一様に大幅儀式な調書をつく
つて
おるのとは非常に違うのであります。そのかわり被告人が無罪の答弁をし、
証人
調べをするときや、陪審の
手続
になりますと、
証人
の調書は一々全部一言一句残らず速記でとられておる。その
事件
が
控訴
されますと、むしろ日本の調書よりもこれは全体として厚くなると思いますが、そういう速記調書のコピーがつくられる。これは州によ
つて
違いますが、
当事者
の方の
負担
にな
つて
おるところが多いようであります。そうして
控訴
裁判所
はその記録を全部見て
審理
するというふうに簡略にできるものは非常に簡略にするかわりに、鄭重にすべきものは極端に合理的に、機械を使
つて
や
つて
おるという点が非常に特異性があると思うのであります。それからニユーヨークばかりではありませんが、
刑事
裁判について申しますと
——
民事
でも同じであろうと思いますが、第一審の
審理
というものを非常に重く見ておる。裁判というものは事実というものが基礎である、であるから第一審のトライアルがうまく行かなければならぬというふうに、第一審の
審理
を重視し、尊重するという気風が非常に強いのであります。御承知のように七十、八十近くな
つて
もゆうゆうとして第一審の
裁判官
をしておるというふうなわけであります。従いまして第一審かそういうふうに
裁判官
を優遇してどつしりりつぱな
裁判官
がゆうゆう七十、八十にな
つて
も裁判をや
つて
いるというような制度でありますから、上訴ついての観念がわれわれの場合と非常に違うのであります。アメリカでは正当な裁判をただ一回だけ受ける権利があるのだということが基調をなしておる。上訴というものはほんとうに被告人の本質的な利益を害した場合に、過誤を訂正するためのものであるという
考え
方であります。連邦の場合をと
つて
申しますと、連邦
裁判所
の第一審の
事件
が全部で昨年の
統計
では十一、二万件であります。そのうち
最高裁判所
でオピニオンを、すなわち判決の
意見
書を書く
事件
が年に百五十件という
程度
であります。そういう点が日本の場合と比べて非常に著しく目についた点であります。その他いろいろございますが、
法案
の御
審議
の妨げになりますから、この
程度
にとどめておきたいと思います。
鍛冶良作
20
○鍛冶
委員
私ちよつと
田嶋
君に関連して
野木
さんに聞きたいと思います。今まで
旧法
で取扱
つて
おつたものを、
上告
審に
行つて
新法
で取扱われるならば被告人には不利益ではないかという問題ですが、多少あるかもしれないが、大したことはないではないかと言われますが、私はそうとは
考え
られないのであります。旧
刑事訴訟法
に基いて一審、二審をやつたものは調べ方が違う。旧
刑事訴訟法
に基いた
審理
と、新
刑事訴訟法
に基く
審理
と、
審理
が違うわけであります。だから新
刑事訴訟法
に基いて一審、二審をやつたならば
上告理由
は制限してもよいかもしれませんが、
旧法
によ
つて
一審をやつたものを、
新法
と同じような
上告
措置
をすると、私はたいへんに被告人は不利益をこうむると思う。そう軽々に認められるものではないのじやないかと思いますが、この点はいかがでありますか。
野木新一
21
○
野木政府委員
ただいまの点まことにごもつともな御答弁と思う次第であります。私どももその点は御質問のような疑問を出しましていろいろ
考え
てみたわけであります。ところが結論といたしまして、
新法
の構造によりますと、アメリカの
考え
を入れまして非常に一審を鄭重にする、そのかわり
控訴審
は
事後審
になる。ところが
旧法
の一審は
新法
ほど強制弁護の範囲は広くないという点などで丁寧でないと言われるかもしれませんが、
控訴審
は
新法
と違いまして覆審である、二度調べ直すということにな
つて
おります。今度の
改正
案の建前も覆審の構造はそのままに存置しておるわけであります。これらの点は
立案
の過程において、
控訴審
のところまでも
新法
に切りかえたらどうかという有力な
意見
もありました。そうしますと今鍛冶
委員
がおつしやつたように、
説明
がつかぬことになると思います。その点は私どもも極力その案にはさようなことのないようにいたしまして、現在のような案におちついたわけでありますが、要するに
旧法
の覆審をそのまま維持する。そうすると
新法
と
旧法
と比べて、必ずしも
旧法
の方が一審、二審あわせて
考え
てみると、被告のため著しく不利益とは言えないのであります。一応とんとんくらいに
考え
られはしないか。そうな
つて
来ると上再審のところを
新法
にすげかえてみても、被告人にと
つて
重要な点で不利益な点が出て来たというようには言えないのであります。こういうような点で一応結論に達しまして、
最高裁判所
の
負担
を調整する意味におきましては、またそれも涙を飲んでやむを得ない
措置
じやないかというような点でこの案におちついた次第であります。
鍛冶良作
22
○鍛冶
委員
その点はどうも私は重大なところが食い違
つて
おるように思うのです。現に係属しておる
事件
は
旧法
でやるわけですね。それから
最高裁判所
の
上告
の提起期間内にある
事件
については、その
上告
審に限り第三條の二の規定は適用しない、
上告
の提起期間内にある
事件
、これはどういうことになりますか、それからまずお聞きしたい。
野木新一
23
○
野木政府委員
附則の立て方でございますが、この
改正
案の施行に
なつ
たときに、すでに
最高裁判所
に係属しておる
事件
はもちろん
旧法
の
手続
をしておる。それから施行に
なつ
たときに、すでに
上告
提起期間内にあるもの、すなわち下級
裁判所
の判決が言い渡されていたもの、それも
旧法
で行く、施行後言い渡されるものだけについて逐次切りかえて行くという
考え
であります。
鍛冶良作
24
○鍛冶
委員
そうしますと大したことはないとおつしやいますが、きのう言い渡されたものは広い
上告理由
が適用されるが、施行に
なつ
たその日に言い渡されると、たつた一日の違いで被告人にと
つて
たいへんな違いができますか、これに対してはどう
説明
したらよろしゆうございましようか。
野木新一
25
○
野木政府委員
まことにおつしやるような差異が出て来るわけでありますが、これは
手続
法のような
改正
を行う場合におきましては、いつも生ずる問題でありまして、たとえば旧
刑事訴訟法
、新
刑事訴訟法
切りかえのときにおきましても、公訴の提起の前後によ
つて
区別いたしたわけでありますが、昨日起訴にな
つて
おれば
旧法
で行く、一日起訴が遅れると
新法
で行くというような場合もすでに生じておるのでありまして、これはこういうような
手続
法を
立案
する場合には、まことにやむを得ない結果ではないかと存ずる次第であります。
鍛冶良作
26
○鍛冶
委員
そういう場合は常に
法律
の
改正
にありますが、被告人にと
つて
利益に
改正
されるなら問題ありませんが、不利益に
改正
されるということになると、
相当
問題じやないかと思います。それ以上は
議論
になりますから……。 この
訴訟
の
促進
ということでありますが、
訴訟
の
促進
は今に始まつたことでない、昔からやらなければいかぬじやないかと言
つて
おつたことであります。そういうことをやるのはもちろんよいことであ
つて
、よろしゆうございますが、被告人にと
つて
不利益なる結果を生ずるようなことを今日ただちにやらなければならぬという特別の
理由
がどこにあるか、その点を納得の行くように御
説明
をしていただきたい。
野木新一
27
○
野木政府委員
法律
の
改正
に際しまして国民の利益になるようにする、ことに
手続
法におきまして、そういうことはまことに愼重に考慮しなければならぬということはまつたく同感でございます。しかし今度の際は別の要請からやむを得なかつたわけであります。その
理由
は先ほども
統計
の数字を申し上げましてちよつと触れましたが、
新法
施行にな
つて
二年になろうとするのに、なお
旧法
の
控訴事件
が
高等裁判所
に係属しておるものが一万一千件くらいある、
新法
も一万件くらいですから、今
高等裁判所
は
新法
、
旧法
相半ばしておる。ところがこの
旧法事件
が
旧法
の上訴率によ
つて
計算してみますと、将来どのくらい
最高裁判所
に行くかということを
考え
てみますと、四千六百件くらいなわけであります。そういたしますと現在でも
最高裁判所
が十五人の
裁判官
をもちまして、非常に重大な使命を持ちながら
事件
がどんどんたま
つて
行つて
、
最高裁判所
まで来て、そこで
事件
がすべて停滞してしま
つて
、
訴訟
全体としてはいつ片づくかわからないというような結果になりますと、また別の面から国民全体の非常に不利益になるのではないかと思います。
審理促進
のためにはほかにもいろいろ
考え
られる点があると思いますが、まず当面の問題としては
新法
を適用し、いつまでも
旧法
を適用するという並行状態をまず除くという点に重点を招いたらどうか。そうしてこの点がまた国際的にも一番関心を持たれて特に指摘されていた点のようでございます。先ほども申しましたように、すでに
新法
である
程度
最高裁判所
への上訴の規定ができておりますので、
新法
の一審、二審の構造と、
旧法
の一審、二審の構造とは、先ほど鍛冶
委員
がおつしやいましたのと相異りまして、はるかに
新法
の方が被告に有利であるというような見方から申しますと、
新法
の
上告
審を
旧法
にすげかえるということは非常に不利益であるということになるわけでありますが、また別の見方からいたしまして、
旧法
は覆審である。それでありますから、一審、二審は見方によ
つて
はあまり大した差異はないじやないか。そうしてみますと、すでに
最高裁判所
への
上告
審の構造をして
新法
通りの制度にすげかえるのも、被告人の一種の既得権とは言えないにしろ、漠然たる一種の期待権みたいなものといいましようか、そういう点において不利益を生ずるということがあ
つて
も、他の
最高裁判所
の
事務
を調整するという点から
考え
てみますと、かれこれ
考え
てその点はやむを得ないではないかというような結論に達したわけであります。
鍛冶良作
28
○鍛冶
委員
私の質問は一応終ります。
安部俊吾
29
○
安部委員長
山口好一君、
山口好一
30
○山口(好)
委員
私はこの
訴訟促進
に必要な
法案
としましてできました三つの中で、
刑事訴訟法施行法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして二点ほどお伺いしたいと思うのです。 第一点は、今の鍛冶
委員
などの質問と相関連するのですが、この
刑事訴訟法
一部
改正法
案の
提案理由
書の終りの方に、「今回の
改正
案は多少被告人の利益に影響するところもありますが、他面著しく正義に反するものであれば刑の量定事実誤認についても原判決を破棄することが認められる等従来よりも被告人に利益となる面もあり決して被告人の重要な利益を害することはないものと存ぜられる次第であります。」こう書いてあります。ただいまの
政府委員
のるる
説明
せられたるところから見まして、
旧法
によるがよいか、
新法
によるがよいかということについては、
考え
方によりまして違いがあると思いますが、まだ私としましては大体ここに現われております
訴訟促進
の
法案
に上ることは、やはり被告人の不利に帰する、こういうふうに思うのであります。しかしこの
事情
種々やむを得ないものがありますので、私はその不利益を是正する一番大事な点はやはりここにあげられております「著しく正義に反するものであれば刑の量定事実誤認についても原判決を破棄することが認められる」この点であろうと思うのであります。そこでこの
提案理由
の
説明
が、ただこの場合の儀礼的な
言葉
であ
つて
はならない、作文であ
つて
はならない、こういう意味でお伺いをするのであります。この
改正法
によりましても、かかる点で被告人の利益が害せられないように十分注意をする。こういうのでありますれば、この点について特に
裁判所
としてこういう具体的な
手続
をも
つて
この点についての被告人の利益を確保いたします、こういうものがなければならないと思うのであります。その点についてはどういうことを具体的にお
考え
にな
つて
いるか、それを御質問いたします。
野木新一
31
○
野木政府委員
ただいまの御指摘の点は
新法
の四百十一條、この規定の運用になろうと思いますが、この規定がどの
程度
新法
以外について運用されておるかという点につきましては、詳細は後ほど
最高裁判所
から御
説明
願うといたしまして、現在ではそう数はないように聞いているわけであります。しかしながら
旧法
の
上告事件
に四百十一條を適用することと、
新法
の
上告事件
に四百十一條を適用するのとではやはりおのずから運用について多少の差異も期待せられるのではないかと
考え
られるわけでありますが、具体的にこの点について現に
最高裁判所
の
事務当局
あたりでどういうように
考え
ておられるかということについてはまだはつきりと承
つて
おりませんが、あるいは
最高裁判所
側から御
説明
願うようにいたしたいと思います。
岸盛一
32
○岸
最高裁判所
説明
員 この
新法
の四百十一條を適用した事例といたしましては、今年の九月末までにただ一件あるだけであります。それは
審理
に關與しなかつた
裁判官
が判決について署名しておつたというので破棄されたということであります。先ほど
政府委員
が
説明
されましたが、
新法
の四百五條は旧制度に比べますと、非常に
上告理由
が制限されます。しかし新制度によ
つて
も事実問題と量刑問題については
上告理由
とはされていない。ただ新制度と旧制度とのギヤツプは、
新法
の四百六條に基いて
最高裁判所
規則
で出しております
事件
受理の申立て、その他の申立てによ
つて
できる。その
事件
受理の申立てというのは、
裁判所
の方から積極的にやるのではなしに、裁判の通告を受けた被告人、弁護人あるいは
検察官
が積極的にやらなければならぬわけであります。従来
新法
施行直後はその点が非常に看過されておりましたが、その後四百六條に基く
事件
受理の申立というものも次第にふえて来ておりますので、
訴訟
の
当事者
もよく御注意願いたいと思いますが、そういうことになればこのたび
上告理由
を制限したからと言
つて
、著しく差異が生ずるとは言えないのではなかろうかと思います。 なお四百十一條の適用については、
旧法事件
について、とにかく今までは
旧法
でや
つて
来ようということでや
つて
来たのを、この際いろいろな
事情
からこういう
改正
をする以上は、
最高裁判所
としてもその点は十分注意するであろうというふうに
考え
ております。
山口好一
33
○山口(好)
委員
その点は刑の量定に著しく不当とか、事実誤認について
裁判所
が特に弁護人の方から
上告理由
として記載がなくても職権で調査をするということはないのですか。
野木新一
34
○
野木政府委員
四百十一條によ
つて
職権で調査し得るわけであります。ただ
当事者
がそこを指摘すれば
裁判所
が気がつく率は多いだろうと思いますが、言わなくても職権で調査し得るわけであります。
山口好一
35
○山口(好)
委員
職権で調査できるとすれば、被告人のためにこういう
法律
の
変更
もあ
つて
不利益を来しますし、また
裁判所
には特に調査官も設けられていることでありますから、さような調査官を特にこの面で動員して、幾分でもその不利益を是正して行くというような
考え
方はありませんか。
野木新一
36
○
野木政府委員
その点はひとつ
最高裁判所
側から
お答え
いたします。
岸盛一
37
○岸
最高裁判所
説明
員
上告
された
事件
につきまして調査官がどのようにして調査しているかということ、これは外部には知られていないのでありますが、多年
刑事
裁判にあた
つて
いたような
判事
から選ばれた調査官が、記録を隅から隅まで読んで非常な苦心をして調査しているのでありまして、もし四百十一條に該当するような場合が発見されれば、当然職権発動が見られることは期待されるのであります。
山口好一
38
○山口(好)
委員
これがただいまの御
説明
のごとくほんとうに行われておれば、まずあやまちはないと思うのでありますが、特にこの
法案
を成立せしむるにつきましては、私はさらに一段と今申し上げましたような面に向
つて
の
裁判所
の御努力をお願いしたいと思う。 それから第二点としましては、この
刑事訴訟法施行法
の一部
改正
の
提案理由
の第一とな
つて
おります
裁判所
規則
によ
つて
訴訟促進
に関する必要な特則を設けることができる、この点であります。提出された
資料
によりますと、目下のところ
考え
られているのは、一、二、三というふうにな
つて
おりますが、一が、「
旧法事件
の
控訴審
において、第一審判決に対する不服の
事由
をたしかめるための
手続
を定めること。」第二は「
控訴審
の
審理
は、不服の点に重点をおき、不服のない事項については
審議
を省略することができるものとすること。」第三、「判決の記載事項を簡略化すること等。」こういうふうにわけられております。これらの
訴訟促進
に関しまする
裁判所
規則
ができるとすれば、やはり
相当
被告人の不利益に帰すると思うのであります。そこで今後
裁判所
規則
でこの施行法に
関係
のありまする
訴訟促進
の
規則
をつくられるにつきましては、いかような点でもこの
訴訟促進
については規定ができるものでもあるまいと思います。それは一応のリミツトがある。この
裁判所
規則
で
訴訟促進
に関しまする必要規定をつくり得る限界というようなことをどういうふうにお
考え
にな
つて
いるか御
説明
願いたいと思います。
野木新一
39
○
野木政府委員
現在の施行法におきましても、十三條である
程度
最高裁判所
の
規則
で経過
措置
をとり得るように
立案
されているわけでありますが、表現が必ずしも明確でないので、先般もこの点に対して重大な疑義が生じた次第もありますので、今度の
改正
案では一つはその点をはつきりさせるために、第十三條を削除して、別の條文で
最高裁判所
の
規則
に定めるものを除くといたしたわけでありますが、
立案
の当初の
考え
といたしましては、大体お
手元
に差上げた
資料
に載せてある
程度
のことで、被告人にどの点が、たとえば
控訴審
で申しますと、どの点が不服であるとか、どの点が不利であるかどいうことを確かめる、これは必ずしも被告にそう不利益になることはないと存じますし、またその不服のある点に重点を置いて
審理
をや
つて
行くということもむしろ被告人の利益になるのではないかとも思われるくらいでありまして、必ずしも不利益になるのじやない、そう思われるわけでありまして、大体
最高裁判所
の
規則
できめるということもまた
最高裁判所
の
事務当局
で一応お
考え
にな
つて
いる、大体そんなような見当のところであることを御了承を願いたいのであります。
山口好一
40
○山口(好)
委員
御
説明
は大体了承しましたが、私の
考え
るところでは、やはり
刑事事件
については、被告人が気づかない点で違法な点が
相当
存在すると思うのであります。また
旧法事件
につきましては、
控訴審
において弁護人が主張することを怠
つて
おつたと言いましようか、気がつかないでおつたというようなことで、やはり違法な点が存在し得ると思うのであります。先ほど職権調査の問題も出ましたが、この
刑事事件
につきましては、特にこの
事件
の性質から、やはり職権をも
つて
適法、不適法を決定することに対する
裁判所
の努力を願わなければならないと思うのであります。この
裁判所
規則
によ
つて
目下計画されている規定はかようなものであるということが示されておりますが、これについてはさような
考え
方を加味せられまして、必ずしも被告人から強い不服は出ないでも、
裁判所
としても調査すべきものは調査して、深く
審理
すべきものは
審理
をいたす、こういうような態度をも
つて
お進み願いたいと思うのであります。
野木新一
41
○
野木政府委員
ただいま御指摘の点はまことに重要な点をついているものと存じます。私どもが
考え
ますのに、
旧法
は新
刑事訴訟法
と違
つて
、一層職権主義的色彩が強いのでありまして、先ほど申し上げました
裁判所
規則
で不服の点についてたけ
審理
を重点的に行うといたしましても、私どもが聞いているところでは、不服の点だけを
審理
して、ほかは
審理
してはいけないというような義務的なものではございませんで、
裁判所
はそういうことができるというだけでありまして、
裁判所
の職権活動というものは十分残
つて
いるわけでありますから、それが適正に運用せられますならば、御指摘のような心配は万々ないのではないかと存じます。 なお
規則
の内容についてただいままで進んでいるところを
最高裁判所
から御
説明
いたすそうですから御了承願います。
岸盛一
42
○岸
最高裁判所
説明
員
法案
第二條に基いてどういう
規則
が
考え
られているかということは、この
法案
の御
審議
にあた
つて
非常に重大なことでございますから、ただいま
最高裁判所
で
考え
ている
規則案
の内容を申し上げておきたいと思います。 まず
法案
の第三條の二に基いて
新法
の
上告
審の
手続
が適用されることになりますので、それに付随する
刑事
訴訟
規則
中の規定、これは
昭和
二十四年のさ月一日から施行されているものでありますが、その
規則
が全部こちらの方にも取入れられるということは御理解願えると思います。問題は
旧法事件
の
控訴審
の
審理
についてどのようなことが
考え
られているかということであります。それは一言にして申しますと、
旧法
の覆審の性格はあくまでもくずさずに、しかもそれをもつと合理的にやろうという
方法
を
考え
ているのであります。それでまず
控訴審
においては、この
公判
期日
において人定質問がありました後に、
控訴
申立人に対して
控訴
申立
理由
を問うという
手続
をきめまして、
控訴
申立の
理由
は
控訴
申立人が第一審の判決に対してどの部分が不服であつたかということを具体的に示して答弁しなければならないというふうにいたしたいと思います。その次に裁判長は
控訴
申立の相手方に対して必要に応じてはその答弁を求めることができるというふうにしまして、第一審の判決の一体どういう部分が争われているか、そういう不服の限度をはつきりさせる、
公判
の冒頭においてそれをはつきりさせるという
手続
を置くわけであります。 それから
事件
によりまして
公判
期日
でさような
手続
をすることが不便な場合には、
公判
期日
外のいわゆる
準備手続
のようなものを開いて争点を整理することになるのであります。そしてそれによ
つて
不服である部分が限定されますと、
裁判所
はまずその点について
審理
を集中する、たとえば事実の認定を争うような場合になりますと、事実の認定、刑の量定に不服であるということになれば、昔通りの覆審になるのでありますが、事実の認定に不服はないが、刑の量定に不服があるという申立になると、その情状についてもつばら
審議
を途げることになります。ですから不服の申立のない部分については
裁判所
は被告人尋問、証拠調べを省略することができることになります。しかしながらあくまでもやはり覆審的な性格を残すということと、
刑事
裁判の本質から
考え
まして
当事者
に不服がないとい
つて
、それをそのまま真実と認めることが必ずしも適当ではないのでありますから、
控訴
申立人に不服のない事項についても事案の真相の発見と、被告人保護のため必要と認めるときは
裁判所
は従来通りの被告人尋問及び証拠調べをやらなければならないという規定をはつきり置いております。
従つて
この
手続
を怠りますと
新法
の四百十一條によ
つて
最高裁判所
により職権破棄の
理由
になることがあるわけであります。これが
控訴審
における
審理
の
手続
についてただいま
最高裁判所
で
考え
ております案の内容でありまして、そのほか判決書等につきましては、もし事実
関係
について不服がないということにな
つて
、
裁判所
にしてもその通りでよいということになりますと、あらためてまた事実及び証拠
説明
をするのはむだでありますから、
控訴
申立人に不服がないということを
控訴審
の判決においてその分については
説明
すれば足りるということにいたしたいと思います。 それから判決書の簡易化という点につきましては、
新法
の線に沿
つて
控訴審
においても、有罪の言渡しをする場合においても証拠により罪となるべき事実を認めた
理由
を
説明
し、法令の適用に示すには証拠の標目及び法令を掲げれば足りるということにいたしたい。これは
新法
でこういうことになりましたが、それについて別に実務的に不都合があるという非難も起きておりませんし、かえ
つて
審理
の
促進
のためには非常に役立つと
考え
ておりますので、これもぜひ取入れたい。それから
控訴審
におきましても、
上告
の申立てがなく、かつ判決宣告の日から五日以内に判決謄本の請求がない、つまり確定してしまつたような
事件
については調書判決の制度を認め、判決の簡略化をはか
つて
行きたい、大体そういうことを
考え
ております。
鍛冶良作
43
○鍛冶
委員
ただいまの
裁判所
の
規則
の点ですが、これは前からずいぶん問題にな
つて
おりますが、一体
裁判所
の
規則
はどこまで行くものか。
法律
でどうしても定めなければならぬものと、
裁判所
の
規則
でや
つて
いいものとのけじめ
——
これはずいぶん何べんも言
つて
おることですが、今の話を聞くと、どうもわれわれの
考え
ておるのよりか大分進んで来たようですが、
刑事
局長
はどういうふうにお
考え
にな
つて
おるか承りたい。
岸盛一
44
○岸
最高裁判所
説明
員 これは私個人の
考え
になりますが、私は前から
規則
と
法律
とは同等の力を持
つて
おる、両者は両法後法の
関係
にあるという
考え
を持
つて
おります。しかし
最高裁判所
の
裁判官
会議
は必ずしもそうではありません。それから本件の場合には、施行法
改正
案第二條によ
つて
規則
を定めることができるということが規定されております。いわば
法律
の委任がある、こういうふうに思います。
鍛冶良作
45
○鍛冶
委員
今の御
意見
だと、
裁判所
がいいと思つたら、
法律
にあることを
規則
で
変更
してもいいということになりますが、そういう御見解ですか。
岸盛一
46
○岸
最高裁判所
説明
員 まず
規則
をも
つて
規定すべき事項は、
刑事
手続
については
刑事
裁判の
手続
に関する点でなければならぬということであります。次に
規則
をも
つて
法律
をかえ得るかどうかということにつきましては、これは
法律
が優位であるという説からいうと当然できないことでありますが、逆に
規則
が優先であるという有力な学説、
意見
もありますし、また同等説等によりますと、
規則
をも
つて
も
法律
を
変更
することができるということになるのはやむを得ないと思います。ただ、どういう場合に
規則
をも
つて
どんどん
法律
を
改正
するかどうかということは、これは政策の問題であろうと思います。
鍛冶良作
47
○鍛冶
委員
われわれは
法律
を
規則
で
改正
できるとはどう
考え
ても
考え
られないのですが、そうすると
刑事訴訟法
というものは
裁判所
の
規則
が原則のものだ、こういう
意見
ですね。
岸盛一
48
○岸
最高裁判所
説明
員 これは非常に重大な問題で、
最高裁判所
の判例が、この点に触れたのが一つ出ましたけれども、まだそこまではどつちとも解決しておりませんから、ここで私の個人的な
意見
を申し上げることは、これ以上は差控えたいと思います。ただ一つ御参考として、この間向うへ
行つて
見て来ました点を申し上げておきたいと思います。ニユージヤーシーという州がございますが、そこは最近憲法を
改正
しまして、同時に非常に強力な司法改革をやつたのであります。そこのシユープリーム・コートに参りましたが、ちようどそのときニユージヤーシーのガバナー、すなわち向うの州知事、行政官の最高の知事、その人が主とな
つて
憲法の
改正
、司法制度の改革をやつたのであります。そのときの話によりますと、そこの
最高裁判所
が一九四七年に
刑事
訴訟
規則案
を制定した。そうしてそれを
刑事
手続
として公布施行しようとしたところが、そこの州議会では、それはよくないというので立法でやるということになりました。すなわちこの
刑事
訴訟
規則
できめた條文全文をそのまま立法化しようとしたそうであります。そこでその州議会は通過して、州のガバナーがそれにサインをすれば、そのまま
法案
となるというところまで行きました。ところがそのガバナーの見解は、
刑事
手続
は
最高裁判所
の
規則
できめるべきである、そのために憲法で
規則制定
権をきめたのである、自分がこれに署名すればそのまま
法律
になるが、自分はこれを拒否して、そのために
法案
としては流れてしまつた。そして元の
最高裁判所
の
規則
が
刑事
訴訟手続
の
規則
として現在も行われておる、そういう話を聞いて来たのであります。そのことだけを申し上げておきます。
鍛冶良作
49
○鍛冶
委員
これはよほど重大なことで、たびたびわれわれも疑問を起す問題として承
つて
もおるし、
考え
てもみたいのですが、憲法第四十一條には、「
国会
は、国権の最高機関であ
つて
、国の唯一の立法機関である。」と書いてある。この規定が現存してお
つて
、唯一の立法機関である
国会
できめたものを、
最高裁判所
はどれだけの
権限
があるかしらぬが、
規則
でかえられるとは、われわれはいまさら思いもつかぬのですが、これ以上
議論
はいたしません。私はさようなことがあつたらたいへんだという前提のもとで承るのです。これはまたいずれ研究しておいてもら
つて
、
法律
の通るまでにはもう一ぺん承るかもしれません。そこで問題は、今
改正
せられようとする判決の記載事項を簡略化するということですが、これは
刑事訴訟法
では、判決にはこれこれのものを書かなければいかぬと書いてあるが、それを書かぬでもいいということを
規則
でやろうとする。そのつもりであろうと思いますが、まずそれを聞いておきたい。
岸盛一
50
○岸
最高裁判所
説明
員 その点は、
規則
と
法律
との効力問題は別としまして、
刑事訴訟法施行法
の第二條によ
つて
、
規則
に委任しておるという見解に立てば問題はないと思います。
鍛冶良作
51
○鍛冶
委員
それは今そういうふうに改めようとされるのでしようが、前からあつたのですか。
野木新一
52
○
野木政府委員
ただいまの点に関連いたしまして、
政府
側から御
説明
いたします。
法律
と
規則
との
関係
につきましては、現在でもいろいろの説がありまして、岸
局長
の言われたような状態であります。最終的には、
最高裁判所
判決で憲法の解釈問題としてきまることになるとは思いますが、私どもの新
刑事訴訟法
立案
当初の
考え
といたしましては、
政府
の見解として、やはりただいま鍛冶
委員
がおそらく
考え
ておられると同じような見解に立
つて
新
刑事訴訟法
を
立案
いたしまして、そういろ趣旨のもとに
国会
で御
審議
をしていただき、通過したと承知しておるのであります。新
刑事
訴訟
規則
も、いろいろな学説はとにかくといたしまして、
最高裁判所
側も実際問題といたしましては、つとめて
法律
と抵触するような
規則
は嚴に避けまして、大体
法律
の範囲内で現在の
訴訟
規則
はできておるようであります。
規則
と
法律
とどつちが優意かということは、理論的ないろいろの論議は別として、実際の問題といたしましては、今申し上げたように
最高裁判所
の
規則
は、現在のところ、すべて
法律
と抵触するというような事態を避けるような範囲でつく
つて
おりまして、この施行法
改正法
案に関する
規則
も、おそらくそういう立場であろうと思います。ただこの施行法の
改正
案におきましては、一応ルールに、
法律
である
程度
のことは委任するという頭で
立案
しておりますので、本来ならば
最高裁判所
独自の
規則制定
権のやや
程度
が越えるというようなものは、見方によ
つて
は
法律
によ
つて
きめなければたらないというような点、この境目の点ははなはだはつきりしないと思う点があります。そういうやや
規則
からはみ出すようなことになりはせぬかというような点も、この
法律
で、特に
裁判所
の
規則
で定めるものとして除いたという形で一種の委任をいたしておりますので、ただいま
最高裁判所
の岸
局長
も申されたような
程度
のことならば、本中のルール事項に属するかどうか、本来の
法律
事項に属するかどうか。この
根本
的論議はしばらくおきまして、この施行法の
改正法
案の建前といたしましては、見方によれば、あの
程度
のことは
法律
事項でやるという前提をとるならば、
法律
である
程度
はまかせてあるということで解釈ができるのではないかと思います。従来の施行法におきましても、十三條におきまして一種の委任の規定を設けておつたわけでありますが、現在の十三條は、「この
法律
に定めるものを除く外、
新法
施行の際現に
裁判所
に係属している
事件
の
処理
に関し必要な事項は、
裁判所
の
規則
の定めるところによる。」ということで、一応
規則
で定める一種の委任制の規定を置いておつたわけでありまして、この規定を置いた趣旨は、
旧法
と
新法
とは非常に移りかわりがはげしい。しかも新
刑事訴訟法
施行当時は社会状態の変遷が非常にはなはだしかつたので、一応
旧法事件
については
旧法
の原則に従うというものの、いろいろや
つて
おるうちに、どうもやはりいろいろの情勢に適さぬことになる点が生じはせぬかというような心配がありましたので、しかも旧
刑事訴訟法
におきましては、ほとんど
最高裁判所
の
規則
で本来きめていいのだ
——
法律
の委任がなくても
規則
できめていいのじやないかと思われるような事項までも詳細に立ち入
つて
規定しておりますので、そういうような軽い点は、この十三條の規定によ
つて
適宜多小のモデイフアイをしてもいいのじやないかという頭で十三條を
立案
したのでありますが、何分書き方が不十分であつたせいか、しかも第二條で、
旧法事件
については
旧法
及び応急
措置
法によるとしてある。そうすると、この
法律
の定むるものを除くのほかということになるともうほとんど
旧法
を放棄することにな
つて
、十三條で規定する余地はないというような見方もできますので、これが過般非常に
議論
に
なつ
た次第もありまして、そういうような疑義も除き、しかも経過規定でありますから、
最高裁判所
の創意くふうを尊重するという意味で、ある
程度
根本
的の
法律
事項、被告人の利益に非常に重大な
関係
のある事項、そういうものは委任ということも予想いたしませんが、何分
規則
と
法律
との境目がはつきりしない点もありますので、やはりある
程度
の委任という形にしておいた方が非常にスム
ース
に行くのではないかという
考え
のもとに、今度の案では第二條におきまして「
新法
施行前に公訴の提起があつた
事件
については、
新法
施行後も、この
法律
及び
裁判所
の
規則
に特別の定があるものを除いては、なお
旧法
及び応急
措置
法による。」というような形にいたしまして、委任の趣旨でこの規定を置いたわけであります。ただ規定の形が、「
裁判所
の
規則
に特別の定があるものを除いては」という、この委任の趣旨がはつきりしないのではないかという御
議論
も成り立つかと思いますが、この
規則
で特別の定めがあるものはできるということにすると非常に強くなるので、このようにやわらかい字句で、みずから
規則
で制定するものもそうたくさんのものを委任するものではない、そういう気分も多小出したいというつもりでこういう表現をいたした次第であります。なお
立案
の
考え
か言いますと、先ほど岸
局長
が指摘せられたような
程度
のことならば、
法律
事項か
規則
事項かという
根本
議論
は別問題として、この
改正
案の建前から言えば、あの
程度
のことは
規則
でもあるいはさしつかえないのじやないかというぐらいに思
つて
おる次第であります。
鍛冶良作
53
○鍛冶
委員
私もこれはまことに重大なところへぶつか
つて
おると思うのです。これはひとり私ばかりでなしに、これはわれわれの信念ですが、
規則
というものは
法律
に定められた以外に、この
法律
を適用する上において便宜なものをきめるものだ。われわれは絶対にこの信念はまげられません。あべこべに
規則
をも
つて
法律
をかえていいのだということに
なつ
たら、憲法四十一條は何のためにあるものだかわからない。そこで先ほど言われた十三條などでも、この
法律
に定めてないほかにこまかい施行に必要なものがあれば、これは
規則
できめていい、これはさしつかえないのです。ところがこれを逆に持
つて
来て、
規則
に定めていないものはいいが、
規則
に定めてあるものは
訴訟
法にどういうことがあ
つて
も
規則
に
従つて
行け、こういうことが第二條の御
説明
であり、またそうでしよう。こう書かれるのは、
訴訟
法上定めてないものは
規則
で定めて、適用を円滑にするのだ。これが今おつしやつた十三條です。これはそうじやないですか、「この
法律
及び
裁判所
の
規則
に特別の定があるものを除いては」、多少
訴訟
法にいかようなものがあろうとも、
規則
をきめた以上は
規則
が優先するのだ、そういうふうに
改正
しようとせられる。これは
国会
にと
つて
は非常に重大なることでありまして、さようなことがさしつかえないというお
考え
であるならば、いま少しく
法律
上の根拠をお聞きしないとわれわれは何としても納得することができません。今私の言うような趣旨でしよう。そうであるのかないのか伺いたい。
野木新一
54
○
野木政府委員
規則
で
法律
を
改正
するという意味ではございませんで、第三條という
法律
で、
旧法事件
については原則は旧
刑事訴訟法
を生かしてお
つて
、それによ
つて
行くのだ、だからある
程度
の、たとえば新
刑事訴訟法
と旧
刑事訴訟法
と比較してみますと、旧
刑事訴訟法
には本来の
裁判所
の
規則
で規定し得る事項と思われるようなことまでも非常に詳しく規定してある点がありますので、これをはずして
規則
の方で規定し得る分野を開放して、少くとも新
刑事訴訟法
に対応する
規則
程度
の余裕は残したい。なお先ほど申しましたように、
規則
と
法律
との
関係
については、分野に非常にはつきりしない点がまだまだ現在のところではあります。多少そこに
ゆとり
を設けまして、ある
程度
のものは二條という
法律
の委任によ
つて
規則
できめよう。それでその
規則
とこの二條の規定によ
つて
生かされておる旧
刑事訴訟法
の
規則
とをあわせて、
訴訟手続
を進行したいという趣旨でありまして、
規則
で
法律
を
変更
するというような形に言い表わしますと、多少気持が違
つて
来るのじやないかと存ぜられる次第であります。
鍛冶良作
55
○鍛冶
委員
あなた方のお気持はそうであろうけれども、これを読めば、この
規則
で定めぬものは
訴訟
法で行け、この
規則
で定めたならば、
訴訟
法がそれだけ
規則
にへこまされることになる。これはたいへんなことです。きようは私はこれ以上は
議論
しませんが、もつとお互いに研究してもら
つて
、おそらくこの
法律
は議会と正面衝突になる。これはよく研究して、納得の行くようにや
つて
もらいたい。 それからもう一つ申し上げたいのは、私はこれを見て、先ほどの
説明
を聞いていてぴんと来たのです。私は覚えておるが、たしか長島さんが司法次官の時であつたと思いますが、これを出された。そして
弁護士
会と正面衝突をしまして、なかなか聞かなかつた。とうとう全国
弁護士
大会を開いてその是非を問うて、司法省が負けてこれを下げられた。それからまた十年た
つて
からまたこれをやられた。そのときもこれが大問題とな
つて
、さようなことはやるべきではないということで引つ込んでおつた、それはとうとう実現できなかつたのであります。長島さんがこれを企ててから二十年以上もたちます。大正の終りか
昭和
の初めだつたと思いますが、そういう大改革なんです。それを
訴訟
法をそのままにしておいて
規則
でそれをやろうということになると、おそらくこれは大問題になると思います。これは後刻もう一ぺん
根本
的にお互いに研究してみなければならぬと思いますが、きようのところは御注意として申し上げておきます。
岸盛一
56
○岸
最高裁判所
説明
員
法律
と
規則
、これは新憲法ができて以来学界でもまた実際の分野においても
議論
されておる非常にむずかしい問題であります。そしてその問題についてそれぞれの説が立
つて
おるのであります。今までの
最高裁判所
の
規則制定
の実際をごらんいただけばおわかり願えると思いますが、いろいろの学説、
意見
が立つにしても、
規則
によ
つて
被告人の本質的な権利に関する事項をか
つて
にきめたり、あるいはそれによ
つて
法律
を
変更
したりすることはないのであります。このたびの
法案
におきまして判決書の簡易化ということで先ほど申し上げた内容のことは、なるほどこの
規則
によ
つて
旧
刑事訴訟法
の規定は
改正
されておりません。しかしこの
行き方
は新
刑事訴訟法
が取入れておる規定の通りのものであります。ですから、
新法
がやつた
程度
のものは
規則
でもよかろうというので、こういう案を
考え
たのであります。そういうわけでありますから、こういう本質的な問題について大きな
議論
をここでやることはありませんが、
規則
を制定し、その運用を
考え
れば、最高裁の
規則制定
がどういう方向にな
つて
おるか、御理解願えると思います。
鍛冶良作
57
○鍛冶
委員
今
新法
だ
つて
、三百三十五條に「有罪の言渡をするには、罪となるべき事実、証拠の目標及び法令の適用を示さなければならない。」これもやらなくてもいいことになるのですよ、これができたら……。
岸盛一
58
○岸
最高裁判所
説明
員 これは
旧法
の規定を
新法
の三百三十五條のようにするので、全然省略するという意味ではありません。つまり
旧法
の規定によりますと、一々その事実を認めた証拠、それから法令の適用も一つ一つや
つて
おつた。非常に法令の適用なんかは事実証拠の
説明
よりも長い紙数を費す。そういうようなことを
新法
で改めましたので、この
規則
もそれを
考え
たのです。
鍛冶良作
59
○鍛冶
委員
それにいたしましても、どうも
規則
をも
つて
法律
をかえるということは、何とい
つて
も納得が行きませんが、今日はこの
程度
にいたします。
安部俊吾
60
○
安部委員長
本日はこの
程度
にとどめて次会は明二日午後一時より開会いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時二十六分散会