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1950-12-09 第9回国会 衆議院 通商産業委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十二月九日(土曜日)     午前十一時二十一分開議  出席委員    委員長 小金 義照君    理事 阿左美廣治君 理事 多武良哲三君    理事 高橋清治郎君 理事 今澄  勇君       今泉 貞雄君    小川 平二君       高木吉之助君    永井 要造君       中村 純一君    南  好雄君       河野 金昇君    田代 文久君       小平  忠君  出席政府委員         通商産業政務次         官       首藤 新八君  委員外出席者         大蔵事務官         (銀行局総務課         長)      杉山知五郎君         通商産業事務官         (通商振興局         長)      岡部 邦生君         通商産業事務官         (通商振興局金          融保險課長)  川出 千速君         專  門  員 谷崎  明君         專  門  員 大石 主計君         專  門  員 越田 清七君     ————————————— 本日の会議に付した事件  貿易振興状況並びに貿易資金調達の現状に関  する件     —————————————
  2. 小金義照

    小金委員長 ただいまから会議を開きます。  本日は日本輸出銀行法における日本輸出銀行運用等に関して政府より説明を聽取いたしたいと存じます。  皆様にちよつとお諮りいたしますが、昨日大蔵委員会合同審査をしてくれるように申し込んだのでありますが、時間の関係上どうしてもその実現を見ることができなかつたのであります。なお本日銀行局長あるいは政府委員出席を求めて、その説明を聽取いたそうと思いましたが、参議院の方へ行つておりまして、どうしても時間がない。そこで大蔵省銀行局総務課長杉山知五郎君がここに見えておりますので、杉山総務課長から説明を聞きたいと思いますが、いかがでございましようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小金義照

    小金委員長 御異議なしと認めます。それでは大蔵省銀行局総務課長杉山知五郎君。
  4. 杉山知五郎

    杉山説明員 昨日衆議院を通していただきました日本輸出銀行法案につきまして概略の要領を申し上げてみたいと思います。  この銀行目的といたしまするところは、日本輸出銀行市中銀行に対しまして金融上の援助を與え、これによつて本邦輸出貿易を促進し、俗に言われておりますプラント輸出設備等輸出を大いにやつて行こう。この場合に、今普通の市中銀行だけでは支拂い期間が長期にわたるようなものはなかなか困難がありますので、一般銀行が行うところの輸出金融を補完し、奨励することを目的とするという性質を持つておるわけでございます。この銀行名称もまず輸出銀行となつておりまして、ちよつと見ますると、銀行法免許を受けまするところの銀行とまぎらわしいのでございますが、これは運用を極力民間銀行と同じように、自由に活発にやつてもらうという意味から、その意味を出そうと思つて日本輸出銀行という名称とつたわけでございますが、政府出資であるとか、監督であるとか、その他の点につきましては、一般銀行法免許を受ける銀行とは違つておるわけでございます。そこで附則に断つておりますように、日本輸出銀行銀行法免許を受ける銀行とは違うということははつきりうたつておるわけであります。法律上の性格から申せば、いわゆる公法上の法人と申しますが、一般市中株式制度による銀行とは違うわけであります。  この銀行事務所は、まず主たる事務所を東京に置きまして、その他必要な地に従たる事務所を置く、将来必要によりましては、外国にも事務所、出張所みたいなものを置く必要があると考えております。  この資本金でございますが、この銀行資本金は百五十億円といたしまして、政府全額出資をするようになつております。本年度は五十億円、これを一般会計と見返資金特別会計から半半出すようになつております。明年度は百億円でございまして、これも今の予定では一般会計見返りで五十億円ずつ半々出すように予定いたしております。さしあたりどのくらいの金がいるかと申しますと、これは通産省の方でいろいろ御推定を願つておるわけでありますが、契約のはつきりできておるもの、それから今から三月までの契約のはつきりしておるものを推定いたしまして、そのうちかりにこの銀行が八割を供給するというふうにしますと、大体五十億円くらいになるわけであります。将来さらに増資の必要が起りますれば、その場合に政府から出資をするというふうに予定いたしております。  この銀行に対します監督権につきましては、従来の政府機関の例と非常に違つておりまして、できるだけ自主的な運営にして行きたいという趣旨から、従来あります相当強い監督権を非常に緩和いたしました。わけますと、二種あるわけですが、一つ業務内容についての監督、もう一点は国庫大臣としての大蔵大臣からの監督二つにわかれることと考えております。  業務の方の監督の面は三つにわかれるわけでございます。その一つは四十二條にありますところの監督命令、第二は報告及び検査の権限、第三は定款をつくりましたとき、あるいは定款を変更する場合の大蔵大臣への届出、これだけしかないわけであります。従いまして、業務報告書のごときは届出の必要はないし、もちろん承認は必要でない。それから定款も、普通ならば大蔵大臣監督大臣承認がいるのですが、今度は承認を省略いたしまして、届出だけにしているわけであります。それから監督命令につきましても、一般の例でございますと、相当広汎なことを規定しておりまするが、今回の例におきましては、検査を行い、またはこの銀行から報告を受けまして、そしてぐあいが悪いということがわかつたときにだけ監督命令を出すという意味で、非常に消極的な監督命令しかやらないわけであります。報告及び検査をするというのは、これは政府全額出資をしているという点からも当然必要でございまして、これは通常の例と同じように四十四條に規定しております。それから国庫大臣としての面からの監督はいかがかと申しますと、これは細分いたしますと、七つぐらいになります。第一は二十六條にあります收支予算の点、これはこの銀行收支予算をつくりまして、そしてこれを大蔵大臣に出すと、大蔵大臣が検討して必要な調整をやり、閣議の決定を経ましてから内閣から国の予算とともに国会に提出いたすわけでございます。ところがまた他の政府機関と違いまするのは、事業予算の方は国会承認は必要じやないのでございまして、参考書類として国会に出すというふうにいたしております。收支予算の方は、経費であるとかそれから業務委託費とか、それから事務取扱費とか、それから付属諸費資産運用損失金、こういうものを支出に加えます。收入の方は貸付金利息とか、手形金割引、その他資産運用にかかるところの收入規定いたしておるわけでございます。  それから第二の監督予算通知、これは予算国会できまりますと、内閣から大蔵大臣を経由して銀行通知する。経由機関としての意味でありますから、大して強い意味ではない。  第三は追加予算作成、それから予算修正の点でございますが、第三十條に追加予算規定がございまして、銀行は、予算作成後に生じた避けることのできない事由によつて追加予算をつくつて大蔵大臣に出す。そしてまた予算修正の場合は、すでにできた予算を、その後に起きた事情によつて修正しなければいけない。この場合も大蔵大臣に提出するわけであります。  それから第四点は暫定予算の点、これは三十一條に規定がございますが、たとえば四月当初に国会関係年間予算が通らないという場合に、一定の期間、たとえば四、五月とか二月の暫定予算をつくる場合に、大蔵大臣に提出するということであります。  それから第五点は予算の執行上の面で、これは三つに細分され得るかと思いますが、一つ予算に定める目的のほかにこの予算を使用してはいけないという三十二條制約があります。それから予算を流用する場合には、大蔵大臣承認がいる、これは三十三條であります。それから三十四條には予備費の使用につきまして、大蔵大臣通知をしなければならない。通常の例では大蔵大臣承認を得ることが必要になつておりますが、ここではきめてから大蔵大臣通知さえすればよろしいということになつております。  それから第六点は三十五條にあります財務諸表の届出でございまして、これは毎半期ごと財産目録及び、貸借対照表をつくつて出す。それから損益計算書の方は、四月、九月の半期、それから一事業年度ごとの両方をつくるわけでございますが、これを届け出る。  最後の点は決算報告書の提出、これは三十七條に規定がございますが、決算が完結すれば予算区分従つて毎事業年度決算報告書を提出する。これは大蔵大臣内閣におきまして、それを会計検査院に送付するということになつております。  以上申し上げましたように、七つの点が国務大臣の監督内容でございまするが、業務内容の方につきましては、先ほど申し上げましたように非常に簡略にいたしておるわけでございまして、これが従来の政府機関と格段の差異がある点であります。  次に役員について申し上げますと、役員総裁が一人、專務理事が一人、理事が三人以内、監事が二人以内というふうになつております。それから職員につきましては二十人、これはどうも二十人では少しむりだと思いまして、いろいろ関係方面とも折衝いたしたのでありますけれども、まあ初めはこれでやつてみろということで二十人になりました。その他タイピストであるとか、自動車の運転手というようなものが十四人予算へ計上しております。総裁監事任命内閣総理大臣がやることになつておりますが、專務理事理事総裁任命する。この点も普通の例と非常に違うわけで、普通でありますれば、理事につきましても主務大臣承認を得て総裁任命するといつたような例もあり、あるいは日銀の場合のように内閣任命する場合もありますけれども、今回は総裁監事だけが内閣総理大臣任命で、專務理事理事総裁任命というふうになりまして、銀行自主性を尊重したわけであります。  次に業務範囲を申し上げますが、まず第一には設備、この設備には車両とか船舶というようなものも含めて考えておるわけでございます。これは日本から輸出する場合、それからこれらの物の輸出に伴うところの技術提供をする場合、この場合にこの銀行から日本輸出業者または輸出品製造業者に対して直接に資金を貸し付けるという業務でございます。但しこの場合には申請はすべて市中銀行を通じて出しております。それからこの輸出銀行銀行とが協調融資で金を出すということが條件になつております。この銀行市中銀行と競争してはならないという規定が二十四條にうたつてございますが、これはこの銀行の特性から申しまして当然出て来るわけでございまして、市中銀行が貸そうと思つておるのに、この輸出銀行の方が、いやおれの方が貸すということで出て行くことはぐあいが悪いわけでございまして、市中銀行が出ない場合にこの銀行が出るというような趣旨を徹底する意味から、申請輸出銀行が直接に受けないようにしておるわけであります。  それから協調融資の形をとらなければならないという点は、やはり今言つたような趣旨から出て来るわけでありますが、その場合に、この銀行は何割くらいまで出すかという点は、当初は法律案に織り込む予定でありましたが、いろいろ考えましたあげく、法律の上では命令に出さないことにしております。しかしいずれは業務方法書規定することになるかと思いますが、一応考えておりますことは、大体八割程度最高限とするという考え方でございます。従つて場合によりましては七割三割、あるいは六割四割、あるいは五割五割といつたように、いろいろ違つて来るかと思いますが、この銀行が出す最高限は大体八割程度くらいというふうに考えておるわけであります。  第二の業務範囲業務のやり方としましては、銀行が今申し上げましたような型の輸出について手形を持つておるときに、この輸出銀行がその手形割引をするという業務でございます。  それから第三点は、今度は外国機関に対しまするところの貸付でございまして、これは設備輸出あるいはこれに伴う技術提供をいたしますときに、外国政府機関であるとか、あるいは外国地方公共団体外国銀行または外国商社に働きかけまして、これに資金を貸し付けるという場合でございますが、これはさしあたりのところでは例外的にしか必要が起らないのじやないかというふうに考えます。この場合に二つ條件がございまして、第一は外国為替管理に対する法令に従わなければならないという点でありまして、これは現行為替管理法の六十六條に政府機関に対しては為替管理法の適用を免除して、たとえば普通ならば許可がいる場合にも、政府機関許可がいらないといつたようなことが可能なんですが、この輸出銀行につきましては為替管理規定従つていろいろ手続をとつて行こうというような考え方でできております。  それから第二の條件は、この銀行から貸付を受けるところの外国機関が、その当該外国法令規定に違背していない、違背することにならないという條件でございまして、従いましてこの輸出銀行としましては、外国の諸法令を常時研究しておりまして、自分がここで外国機関に貸すことが、その外国法令に違背することにならないのだということをいつでも注意をしていなければならないわけでございます。以上三つ申し上げました業務に附帶する業務もこの銀行としてはできるわけでございますが、債務引受けまたは保証という業務は当初の案では考えておりましたが、いろいろ研究いたしましたあげく一応ドロツプいたしておるわけでございます。  それから以上のような割引あるいは貸付あるいは対外貸付という形で業務を行う場合には、銀行通常條件によつて資金の供給を行うことが困難である。それから本邦からの輸出契約がすでに締結されておりまして、そうしてあるいは当該契約の締結が非常に確実になつた場合でなければならない。すなわち全然契約の見通しが立たないような場合に貸付を行うことは避けたいという趣旨でございます。それからまたその契約に基くところの債務の履行あるいは貸付をした資金償還が確実に得られると認められた場合でなければいけないのでありまして、貸したは貸したけれども、償還ができそうもないというような不安定な融資はできないことになつております。  次に貸付條件といたしまして、貸利率及び手形割引歩合の点でございますが、これはアメリカ輸出入銀行法規定もいろいろ参酌いたしましてできておる規定でございます。まずこの銀行貸出利率あるいは手形割引歩合というものは、收入として上つて来るところの貸付金利息手形割引料経費をカバーするに足りなければいけない。また一般銀行貸付利率及び手形割引歩合を勘案して定めるということになつております。従いまして必ず市中銀行利率同一でなければならないというようなきつい制限はないのでございまして、市中利率を勘案してきめるということになつております。  それから貸出しをする場合のもう一つ制約は、同じ型の融資については貸出しを受けるどの人に対しても同一でなければならないという公平の原則をうたつておるわけでございます。  それから貸付をする場合の貸付金または再割をされる手形は、その償還期限または支拂い期限が六箇月を越えて三年以内のものでなければならない。しかし場合によつては、三年を越えて五年以内のものとすることもできるようになつておりますが、六箇月以内のものであるならば、現在の貿手に対する銀の優遇措置につきまして、再割適格のものは金融的に優遇されておりますので、この銀行といたしましては、六箇月を越えるものを扱いたい、但しあまり長くなりましても、これまた日本全体として見て、外国から受取る資金の受取り方がおそくなるわけでございます。最高五年を越えてはいけないというふうにしておるわけでございます。原則として三年以内、それから最高五年まで行けるというふうに、二つ書きわけました理由は、やはり日本としては、なるべく早く資金を回收して行く方が望ましいわけでございますから、まず原則をうたい、例外的な場合だけ五年まで行けるというふうにしておるわけであります。  それからこの銀行業務期間でございますが、業務期間設立の日から五年たつたときには新規融資をすることができないということになつております。これは一応の期限をきめておるわけでございまして、もしこの銀行業務を行う上において非常に成功いたし、また五年たつたときの状態から見て、やはり市中融資ではこういう長い融資が望めないというような事態でありますれば、さらに法律改正をいたしまして、この期限を延ばすということも考えられるというふうになつております。  それから銀行には業務方法書を置くことになつておりますが、これは定款よりはもう少し記載内容がこまかく規定されるわけであります。  それから会計に関しましては、先ほど申し上げましたようなわけでございます。  次に利益金処分でございますが、利益金が生じましたときには、これは損失補填に充てるために準備金として繰越して行く。利益金は、当初の考え方では、全額国庫に納付するというような考え方をとつておりましたが、その後いろいろ研究いたしましたあげく、やはり銀行独立性を尊重するという意味から、国庫納付はとりやめまして、全額損失補填のための準備金として繰越して行くというふうに考え方をかえたわけでございます。  それからこの銀行資金の借入れができるかどうかという点は、いろいろ論議がありまして、たとえば外国から資金を借り入れるということをやらしたらどうかという考え方もあつたのですが、研究の結果、これをやめまして、また国内的にも日銀あるいは市中銀行から資金を借り入れるということもしない。必要な資金全額政府出資でまかなうというふうにいたしたいと思うわけであります。  それから余裕金ができました場合には、国債を持つか、あるいは預金部または日銀への預け金として保有いたすというふうになつております。  それからこの法律は公布の日に施行になりますので、そうなりますと、ただちに設立委員任命されまして、定款をつくつて届出があります。また遅滯なく政府に対して資本金の拂い込みを請求されますと、第一回の拂い込み政府が行いまして、その日に登記を行い、総裁その他の全員が仕事を引継ぐというふうになつております政府の拂い込みにつきまして、いろいろ関係方面の了解を得る等の関係で、若干日にちが必要でございますが、できるだけ早く設立をいたしまして、一日も早く貸出しができるようにいたしたいというふうに考えております。  それからこの銀行解散規定でございまするが、解散につきましては、別途法律をもつてきめるというふうになつております。またその解散した場合には、残余財産配分は、一般会計と見返資金特別会計とが出資をしておる比率従つてわけるわけでございまして、この点は従来の見返り資金の出し方と多少違つております。従来ならば見返り資金交付ということになり、交付をしてしまうと、一般会計から出資したものとみなすという規定を置きまして、見返りの縁が一応そこで切れてしまう。そういうことになれば、あとで残余財産配分のときも全部一般会計に入るのでありますが、今度の場合は出資比率でやるというようなことになつております。非常に簡單でありますが、大体以上でございます。
  5. 小金義照

    小金委員長 次は通商産業省、岡部通商振興局長
  6. 岡部邦生

    岡部説明員 それではこの実態の、資金需要がどうなつておるかという点を御説明いたします。  大体プラント輸出といいましても、大型の発電所の建設というものから、普通の鉄道車両あるいは船舶まで含めて考えておるわけでございますが、それの従来の、二十四年の四月から今年の三月までの間の実績を見ますと、件数にいたしまして十八件、二千六百六十四万ドルに達しております。今年は四月から七月までの間に二十五件、八百十九万ドルに達しております。今後明年の三月までの間に契約が成立するであろう、あるいは成立したというのを合計いたしますと、五十五件、四千二百三十三万ドルでございまして、これは逆に日本円に直しますと、百五十一億円に相なるわけでございます。大体この四割が来年の三月ごろまでの間の資金需要になるのではなかろうかというように考えております。先ほど御説明のありましたような八、二の比率で割当いたしますと、大体四十八億ぐらいに相なります。われわれの手元に集まつておりません資料あるいは話合いというものが、また新規に加わることかと存じますので、大体五十億ぐらいの金で来年の三月まで行つていただいて、明年以降はますますそれがふえて参るというわけでございます。それで問題の点は、この銀行が成立するまでの間に相当の時間がかりにかかりますと、その間に現在の引合い中のものが、はたしてうまく金融がつくかどうかということが一番心配なのでございます。これにつきましては、できるだけ早くこの銀行の促進をやつていただくと同時に、政府の方でもできるだけその推進に努めたいというふうに考えておるわけでございます。なお大体まだ経済状況の不安定、及び国交の回復がございませんので、従つて先ほど御説明のございましたクレジツト等の問題は、このわれわれの資金計画には載つておりません。当分の間は、おそらく国内金融関係で参るかとも思うのでございますが、ただ蛇足ではございますが、東南アジアの復興につきましては、やはり日本工業力を使おうということが主眼になつて来ております。現にシヤムのエカツフエにある事務局等においても、そういうことを考えております。それにつきまして、東南諸国アメリカからのエイドをもらつておるものもございますし、また印度のごとく、もらつておらないものもございまして、日本からの工業力輸出すると同時に、その支拂い資金の問題がまたひつかかつて参ると思います。そういう点につきまして、このクレジツト規定の活用は、また必ず問題になつて出て来るのではなかろうかというように考えております。そのときにはまた資本金増加ということも考えなければならぬのじやないかと思つておる次第であります。  一応簡單でございますが、以上申し上げまして、また御質問がございましたら、お答え申し上げることにいたしたいと思います。
  7. 高木吉之助

    高木(吉)委員 ただいま御説明を承りましたが、この市中銀行に対しまして、大体原則として二割と八割、場合によつては七、三になり、五分々々になるということでありますが、その限界は市中銀行信用程度によるのでございますか、そのプラント輸出條件によるものでございますか。この点についてお尋ねいたしたいと思います。
  8. 杉山知五郎

    杉山説明員 この割合は、やはり融資償還條件、あるいは金額といつたような、あるいはその外国の輸入において、価格の競争がどうであるとかいう、いろいろ複雑な要素を考えましてきめることになつております。必ずしもその銀行信用條件だけではきまらないわけでございます。
  9. 高木吉之助

    高木(吉)委員 それから手形の再割をせられる場合の利息並びに普通一般に貸し出される利息は大体どの程度でございますか。
  10. 杉山知五郎

    杉山説明員 これはこれからこの銀行首脳部がきまりましてから、さつそくお考えになる問題かと思いますが、法律規定だけから申しますならば、市中銀行利率同一にしろということは書いてないわけでございまして、ただこの銀行資金コストは、政府出資であるという点から、普通の預金を使つておりますところの銀行コストとはまるで違うわけでございますから、市中利率よりも下げようとすることは可能であると思います。ただあまりに下げますと、これは隠れた補助金よりつぎ足しておるといつたような非難が出て来る危險も若干ありますので、それらをかみ合せてこれから検討いたしたいと思います。
  11. 小川平二

    ○小川(平)委員 この法律案の成立するまでの過程についてお尋ねいたしたいと思います。政府の構想としていろいろのことが伝えられておつたと思うのでありますが、この輸出銀行は本来の貿易金融ということから一歩進んで、生産面にまで入り込んでの金融をすることになるものと了解すべきものと考えます。今輸入面の金融が非常に大きな問題になつておることは申すまでもないことで、ユーザンス・ビルの問題が解決したということは、これは一歩を進めたことではあると思いますが、その後の生産段階に対応する措置が何もとられていない。そこでこの法律案ができ上るまでの間に、輸入金融をもこの業務のうちに加えるという、輸出銀行というふうな構想が立てられておるということが、一時伝えられておつたのでありますが、この点いかがでございましようか。これが輸出金融だけを見るということになりますと、片手落ちの感じがしないでもないのですが、どういう理由ですか、この辺のところを承りたい。
  12. 杉山知五郎

    杉山説明員 この輸出銀行の構想が出ました初めから、やはり輸出だけに限定して考えたいということで、スタートしておるのでございます。と申しますのは、やはり輸入の場合の方は、大体日本の現在の輸入が原材料を主としております関係上、決済の期間にいたしましても、あるいはリスクの点等を考えまして、ちよつとプラント輸出の場合とは違うわけでございまして、大体現在のシステムでもつて対処することができるというふうに考えておつたわけでございます。ことに今後は預金部資金の活用が大幅に認められまして、今後金融債の発行を相当巨額にやつて参りたい、そういたしますれば、かりにプラントものの輸入がありましても、通常設備資金の供給と同じやり方で、この金融債を出す銀行から貸して参るということをやつて参りますれば、今後年々数百億の金融債が出て参るわけでございますから、それでまかなえるのじやないか、こういう考え方でやつております。
  13. 小川平二

    ○小川(平)委員 大体ユーザンス・ビルの期限満了後の金融ですが、これは商品によりましては、いわゆるランニング・ストツクを常に擁していなければならないものもございましようし、いわゆる備蓄の輸入ということも必要であります。ことにこういうふうに国際情勢が緊迫して来ますと、輸入面の金融打開の問題ということは、ますます喫緊のことになつて来ると思うのであります。ただいまの御説明は了承いたしますが、この問題に関連をして工業手形をもう少し優遇してもらいたいという要望が、業界で先般来非常に強いようであります。通産省でもこの要求を支持しておられるようにも承つておるのですが、この点いかがでございましようか。
  14. 岡部邦生

    岡部説明員 ユーザンス後のいわゆる引取り資金の問題につきましては、これは民貿の活発化に伴いまして、問題が現実にやかましくなつて参りますのは、おそらく一月から以降でありまして、三月、四月が一番ピークではなかろうかと存じております。大体今までの為替許可の点から計算いたしまして、二十五年度の十—十二の間の輸入物資引取り資金が大体五百五十六億ぐらいでございます。それが一—三には八百五十五億ぐらいになりまして、さらに四—六には九百五十八億というようになるわけであります。大体一千億に近い輸入資金が一・四半期に必要になつて来るということになると思います。そのうちで食糧関係とか塩とかいうような、政府資金を使いますものがございますので、大体七百億ぐらいになると思います。ただ例をあげてみますと、綿花の輸入を相当やりましたので、従つて綿花資金だけで四月ごろには大体七百億ぐらいいるだろうと思います。それに対して現在の紡績会社の資金融通額は三百億ぐらいでございますので、そこらの問題が非常にむずかしい問題だと思います。この点につきましては、われわれ通産省といたしましても、日銀政策委員会あるいは大蔵省等に善処方をお願いしておるわけであります。工業手形の再割引という問題も、一つの方法としてぜひ考えなければならないというように思つておりますが、まだ具体的にはきまつておらぬというところが現状であります。
  15. 小川平二

    ○小川(平)委員 工業手形の再割引の問題を、日銀で積極的に取上げておるというふうなことが伝わつておるのでございます。それを、また数日前新聞でみますと、日銀総裁は、工業手形は現在でも十分優遇しておるのだから、その必要はないというふうなことを言つておつたのですが、この点大蔵省にお尋ねをしたいと思います。
  16. 杉山知五郎

    杉山説明員 現在の年末から年始にかけましての金融情勢等をいろいろ考え合せました結果現在のところは現状で推移した方がよくはないか。さしあたりのところ、これをすぐにかえるというふうな考え方には、今なつていないのでございます。
  17. 小川平二

    ○小川(平)委員 もう一つ、振興局長の御説明にもございましたが、外国政府あるいは業者に対する金融ということが、この法律では、資金に余裕があるときに限るということになつており、実際の問題としても、これは当面の問題とはなり得ない、こういう御説明でございましたが、これも最初アメリカ輸出銀行のように、むしろ外国に対するクレジツトを主とする構想が立てられておつたように承知しておりますが、それがこういうことになつて、重点がむしろ国内金融に移つて来た、これはどういう考え方に基くものか、あるいはどういう情勢の反映でありましようか、その辺のところを承りたい。
  18. 岡部邦生

    岡部説明員 これは設立の過程のいろいろ議論の結果でございますが、むしろ通産省の方からは、現在の国内金融の方を重点に取上げていただかないと、実際上困るではないかという点をお願いいたしまして、むしろ重点をこちらにかえていただいたというのが実情でございます。
  19. 小川平二

    ○小川(平)委員 今御説明がございましたが、大体この来年の春までは五十億ぐらいでカバーできるというお話でしたが、いわゆるプラント輸出の今後の見通し、これは非常に金額の上でもふえて来るような傾向にあるように聞いてもおりますし、期間も長いものが出て来ている、こういうことを聞いておりますが、そういうことになりますと、資金の面でも今後の問題として大いに考慮しなければいかぬことになるのではないかと思いますが、この辺はいかがですか。
  20. 岡部邦生

    岡部説明員 たとえばパキスタンにおきましても、建設五箇年計画というようなものを持つておりまして、これが漸次固まりつつございます。少くともその一部は日本に期待するという方針をきめているように聞いております。そういたしますと、そういう方面の需要、ことに建設契約になると、発電所とかそういうものが主になると思いますが、勢い期間の長いものも出て参るかと思つております。しかしながら今までの経験で行きますと、大体三年であればまかなえておるわけであります。あるいは五年というようなものも出て参るかもしれませんが、そのときにはまたこの法律規定によつて、特別の扱いをするということでやつて行けるのではないか。但し金頭等に対しましては、おそらく百億の余裕では足りなくなるだろう。それについてはまた別途増資等の問題をお考え願いたいと思つております。資金需要がいかになるかということは、ちよつとまだ手元に集計はございません。
  21. 小川平二

    ○小川(平)委員 ただいまの大蔵省の御説明で、審査は市中銀行に全面的にまかせるというようなお話でございましたが、手元に條文がないのですが、確実と認められるときというふうな言葉が使つてあつたと思いますが、つまり契約の成立が確実と認められるときというのは、これは認定は銀行に一任をするわけですか。その場合に何か具体的な基準が設けられておるのでしようか。その辺を伺いたい。
  22. 杉山知五郎

    杉山説明員 審査を全面的に銀行に委託するわけではございません。ただ銀行が職員の数等から参りまして、とうてい全部を自分の手だけでやることも不可能なことでございますし、またその必要もないわけでございますから、協調融資の審査で行う銀行をなるたけ使つて参りたい。また場合によつて融資後の監理、回收につきましても、ある程度市中に委託をするということも考えているわけであります。それで契約ができたかできないかという認定につきましても、その審査の過程から参りまして、市中が常時ウオッチしておるわけですから、この銀行は、市中銀行からそういう情報をとりましてやつて参るわけでございますが、全部認定を一任してしまうわけではないのでございまして、契約ができたかどうかということを一般銀行が調べて、その話をまた輸出銀行が聞く。そして契約の締結が確実だという心証をこの輸出銀行としても持つことが必要である、そういうふうに考えております。
  23. 小川平二

    ○小川(平)委員 そのことに幾分関連をする問題になるかと思うのでありますが、事故が起つた場合のリスクは、これはどういうことになりましようか。
  24. 杉山知五郎

    杉山説明員 リスクの点は、この融資を行つております比率に応じてするのが原則かと存じております。ただ場合によりましては市中に対して優先弁済を認めるというようなことも考え得ると思つておりますが、今後業務方法を具体的に検討する場合に考えてみたいと思います。
  25. 小川平二

    ○小川(平)委員 振興局長も触れておられましたが、この銀行が実際に発足するまでの暫定的な措置、これについては長期輸出金融暫定措置要綱というようなものができておるようでありますが、これに基く融資というものは実際にどれくらい行われているのか、これが第一点。それから銀行が発足したならば肩がわりをしてもらえるのかどうか。この法律にはそういう点がうたわれておりませんので、非常に不安を抱いている向きもあるように聞いておりますが、この点いかがでありましようか。
  26. 杉山知五郎

    杉山説明員 暫定措置がきまりましたのは実は八月であつたと記憶いたします。その後関係方面といろいろ折衝しましたけれども、まだ承認を得るに至りませんので、今までのところ暫定措置に基く融資というものはないわけであります。それでこの銀行の発足を極力急ぎまして、できますれば年内にやりたい。登記とかあるいは拂込みとかいろいろ手続がございますので、若干延びるかとも思いますが、できるだけ早くいたしたいというふうに考えております。
  27. 小川平二

    ○小川(平)委員 最後に金利の問題であります。今の御説明によれば、外国政府あるいは業者に対する融資というものは、現実の問題としてはあり得ないわけでございますが、七分五厘という金利はどういう基準で決定をなさつたか。今輸出業者の資本というものは非常に小さいので、金利の負担もずいぶん大きなものになると思うのであります。これは安いに越したことはないにしても、あまり安ければ輸出奨励金的な意味になる。そういつた点もあるかと存じますが、どういう点を基準に決定なさつたかということが一つ。それから第二に、外国クレジツトを與える場合に、こういう金利が通用するかどうかということが考えられるので、その点を伺いたいと思います。
  28. 杉山知五郎

    杉山説明員 実は收入予算といたしますときに、七分五厘という利子を使いましたのは、これは暫定でございまして、收入を見込みます上においては、できるだけ確実に見込むがよいという趣旨から最低七分五厘を下ることはないという考えでつくつているわけでございます。従いまして、この銀行が実際に貸出しをいたす場合に、七分五厘にするのかあるいはもう少し高目になるのか、これらの点はこれからの研究問題というふうに考えております。それから七分五厘という数字をかりの数字にしろといつた理由は、従来の見返り融資の中に七分というような例もございますし、見返りが半額を出資する点から見て、そのアイデイアの方法で一応の数字といたしたわけであります。それから対外貸付の場合の金利につきまして非常に問題が起ると思いますのは、その当該外国市中金利が、いろいろ調べてみますと、東亜諸地域において日本ほど高いところはどこにもないわけでありますので、日本から借りる場合高くすることについては相当異議が出て来はしないか。しかしまた日本対外貸付だけ非常に譲歩して安く貸しますれば、今度は対内貸付と矛盾を来しまして、輸入をする外国の業者としても、結局対外貸付の方を希望する。そうすると、この銀行としては対内貸付の方が減つてしまつて対外貸付が多くなるということも出来はしないか。そこらの矛盾をどう調整するかということはなかなかむずかしい問題だと考えているわけであります。
  29. 小川平二

    ○小川(平)委員 再割の問題でありますが、今貿手の再割引については業界に非常な不満があるわけでありまして、貿手はほとんどすべていわば形式的な要件は具備しているわけで、実質的な心証の面で重箱のすみをつつ突いてほじくるようなことを言つて、実際問題としては貿手を優遇するとしても羊頭狗肉であるというような非難を聞くのであります。この銀行が再割引をする際には、そういう非難を受けないように強く要望をいたし、私のお尋ねはこれで終ります。
  30. 小金義照

    小金委員長 田代文久君。
  31. 田代文久

    ○田代委員 先ほど小川君が質問されましたが、ちよつとわからない点がありますので、お聞きします。この輸出銀行法ができるに至りました構想といいますか、大体いつごろからこういう構想をお持ちだつたのか。私たち承るところによりますと、やはり小川君が申されましたように、現在日本貿易関係としましては、輸入がきわめて重要な問題になつており、その方に重点が置かれなければやつて行けないのではないかと思う。ところがこの輸入の方に対しましては、こういう銀行とかいうものはそつちのけになつているのであります。従つて何かそこに奇異の感を抱くわけで、こういう構想が出ました根拠、それから日本政府当局の方は早くからこういう構想をお持ちであつたかどうかということをお尋ねしたい。
  32. 杉山知五郎

    杉山説明員 こういう種類の銀行が必要であるという考え方はもうことしの春以来からございまして、その後何とか具体化したいというのでいろいろ練りましたあげく、結局多少時期おくれの感はありましたが、今回の案におちついて参つたのであります。それから輸入金融の方をないがしろにしていやしないかという御質問でありますが、これは日本の輸入輸出商品の内容につきましては相当大きな差異があるというふうに考えられるのでありまして、輸出の面におきましては、車両とか船舶とかを生産して輸出して代金を回收するまでに相当時間がかかり、またその回收の場合にも相当のリスクがあるという特殊性を持つていると考えます。現在のように預金を預かつている普通の短期商業銀行ではそこに限度がありまして、なかなかこの必要性を満たすに至らないということから今回の銀行案になつたわけであります。輸入の方は大部分原料でありまして、入りましてから需要者にすぐ渡り使われて参る。もちろん日本としましてはプラントの輸入があるわけでございますが、これは国内の設備を買う場合と同様に、設備資金供給の一方法としまして巨額の金融債を銀行が出して行く。これを今回預金部で引受げることが認められましたので、その方途で銀行資金が流れて参りますれば、当然設備金融の一環として扱われて参る、こういうふうに期待しているわけであります。
  33. 田代文久

    ○田代委員 私たちが聞いた話では、日本政府としては初めこういう構想がなかつたのだ、GHQの方から相当意見が出たということでありますが、その点はいかがですか。
  34. 杉山知五郎

    杉山説明員 日本の方がこういうものの必要性があるということを強く考えまして、日本側のイニシヤチーブで案ができております。
  35. 田代文久

    ○田代委員 そういたしますと、今年の春ごろと、朝鮮事変の起りまして以後の経済事情、国際情勢というものが非常にかわつておるのでありまして、当時のプラント輸出に対する見通しと、それから現在の事情は非常にかわつておりますが、それが初め計画されました通りに、そういう輸出計画なんかが遂行されるかどうかという点を私は非常に疑問に思うわけですが、その点に対する見通しはいかがですか。
  36. 岡部邦生

    岡部説明員 最近輸出は、われわれの当初期待いたしましたよりも以上に出ております。但し全般的に見ますと、やはり従来の繊維中心の輸出を、一部分は重機械の輸出に置きかえることによつて、少くとも平年次十五、六億ドルの輸出をしなければならぬのではないかということが、通産省の一致した考えであつたのであります。そのためにはぜひこのプラントものの輸出の促進ができるような設備をしなければいけないのではないかというので、この春ごろからそうい研究を進めておるわけであります。
  37. 田代文久

    ○田代委員 この輸出品ですが、これは先ほど説明がありましたように、発電設備というようなものだけでなくて、車両船舶まで含むということになつておりますが、これを現在政府が意図されておりますような形で、日本輸出を非常に発展させるということになりますと、当然仕向け先が重要な意義を持つて来るわけであります。大体この説明によりますと、東南アジアが中心になつております。そこで数日前からの対中国政府との輸出禁止の問題でいよいよはつきりして来たのですが、車両その他プラントの問題にいたしましても、むしろ得意先、仕向け先は中国が最も有利ではないかというように考えられるのですが、この春こういう計画を立てられました当時、その仕向け先として、やはり中国が除外されておつたかどうかという点を伺いたい。
  38. 岡部邦生

    岡部説明員 これは別にこちらが計画をいたしまして、どこにどれだけ出すというわけではありません。あちらの注文の引合いを集計しておるわけであります。それにはたまたま中共地区が入つておらぬだけの話であります。
  39. 田代文久

    ○田代委員 中共地区が入つておらぬということは、こちらが入れておらぬという意味なんですか。
  40. 岡部邦生

    岡部説明員 ちよつと説明が足りなかつたと思いますが、具体的の注文の引合いのあつたもの、われわれが承知したものをここに列挙したわけであります。
  41. 田代文久

    ○田代委員 そうしますと、最近また問題になつておる、新しく発足しております協定貿易との関係、新しい通商協定との関係はどういうことになりますか。
  42. 岡部邦生

    岡部説明員 ちよつと御質問の点がわからないのですが、先ほど私が言いましたのは、車両のお話がございましたので、車両は入つておらぬということで、纖維機械とか、電気機械等については、中共も計画に入つておる。それから通商協定とおつしやいましたが、ちよつと意味がわからないのですが。
  43. 田代文久

    ○田代委員 つまりプラントを輸出します場合に、やはり現在の計画ではいろいろ許可とか制限とかいうものがありまして、日本では非常に不利になる場合がしばしばあるということを知つておるわけでありますが——この新しい協定が、イギリスあるいはその他と結ばれるというような場合に、たとえば中国なら中国から車両の引合いがあつて、これをもらいたい、また発電設備をやつてもらいたいという場合に、GHQならGHQの許可を得なければできないということになるかどうか、こういう点なんです。
  44. 岡部邦生

    岡部説明員 現在の貿易管理法に基きまするいわゆる許可義務の制限に該当する限りは、あらかじめ通産省の許可がいるわけであります。
  45. 田代文久

    ○田代委員 これは貸付期間が非常に短かいようですが、これが短かいというわけがよくのみ込めないのですが……。
  46. 岡部邦生

    岡部説明員 今までの契約につきましてはそれで十分履行しておるわけであります。決して短かいとは思つておりません。
  47. 田代文久

    ○田代委員 こういう鉄に重点を置かれます商品の輸出は、鉄鉱石あるいは強粘結炭というようなものが輸入されないと、この目的を達することは困難でありますし、なお申しますと、日本の中心的な、重点的な経済が根本的に貧困になつて来るし、当面何とかやりくりできましても、二年、三年とたちます場合に、日本の一切のそういう資源というものは枯渇して来るわけですが、そういうことに対して現在の輸入との関係におきまして、つまりプラント輸出をこういう形で奨励し、あるいは強行するという場合に、そういう行き詰まりを感じないかどうか。
  48. 岡部邦生

    岡部説明員 もちろん日本は原材料を入れて、それを加工して出さなければならぬのでありまして、輸入を極力増進するという措置を構じなければならぬのであります。ただこのプラントの輸出に使用いたします鋼材その他は、それほど大きな数字には相ならぬと思います。
  49. 田代文久

    ○田代委員 外国政府あるいは政府機関、公共団体、銀行なんかに融資するというような面は例外的だ、そしてこれは資金に余裕のある場合に大体限つておる、こういうことをおつしやいましたが、そうなんですか。
  50. 杉山知五郎

    杉山説明員 通常の場合でありますれば、国内の輸出業者または製造業者に融資を行えば、当然問題は解決され得ると考えますので、主として国内業務を中心に考えておるわけであります。ただ対外貸付が必要な場合も若干あり得ると考えます。またその場合において、ある国営の事業を外国政府がやつておるという場合には、向うの政府が借入れを受けるということもあり得ると考えて、「外国政府」という文字を使用しておるわけであります。
  51. 田代文久

    ○田代委員 この外国関係融資するということになりますと、これは向うの政権がいつも安定しておるというわけに行かないので、ことに東南アジアの諸国では現在民族解放運動が盛んに起つておりまして、現政権がいつひつくり返るかわからないということになつておりますが、そうなりますと、それに対するリスク負担は一体だれに負わせられるのか。どうしてそれを回收されるかという点をお尋ねいたします。
  52. 杉山知五郎

    杉山説明員 この銀行融資のやり方は、なるべく一般市中のように、いろいろ実情を見てやつて参るわけでありますが、この融資内容市中融資と同じように非常に嚴格に考えて参りますれば、出るものも出なくなつてしまうことも考えまして、全額政府出資というやり方をとつておるわけであります。融資の回收の危險性、安全性というような点は十分注意をいたしまして、回收ができないというような事態にならないように注意をいたして参りたいと思います。
  53. 田代文久

    ○田代委員 通産次官が見えておりますので、これと関係しますのでちよつと聞きたいのですが、現在政府は通商協定の構想を根本的に改めたい意向を持つておられる。以前とは非常に事情も違つて来ているし、また最近イギリスなどと結ばれております協定なんかでも、以前とはかわつたようにも見受けられますが、そういう協定の構想がどんなふうにかわつているか、現在持つておられる構想を一応御説明願いたいと思います。
  54. 首藤新八

    ○首藤政府委員 先刻から振興局長の答弁もあつたと思いますが、日本の経済をできる限り早く自立させなければ相ならぬ、同時に、国民生活の水準をできるだけ高くしなければならぬというような各般の事情を考えますると、どうしても日本輸出貿易を、とりあえず十四、五億ドル程度まで拡大しなければ目的を達しないのであります。従つてその面に対しまして、さような輸出のできるような国内体制をとつて輸出の増進をはかりますと同時に、各国との協定に対しましては、それらの輸出金額に達するまで限度を拡大する、さらにまた内容を広くいたしまして、できる限り輸出の可能な方法をとつて行きたい、それにマツチするような貿易協定をつくつて行きたい、かように考えておるのであります。
  55. 田代文久

    ○田代委員 今の御説明は非常に抽象的でわからないのです。輸入貿易に重点を置かなければいけないのじやないかということが、新聞なんかでも盛んにいわれておるのですが、輸入貿易に重点を置くということは、言葉ではわかりますけれども、実情としましては、はたしてそれに重点を置いたところで、その目的を十分達せられるかどうか。具体的な現われとしましては、中共との貿易禁止ということが強硬にやられておること自体が、すでに輸入貿易というものの構想を、根本的に実際上の面でひつくり返していることになるように思いますが、そういう矛盾に対する考え方、また中共との貿易をそういう形に追い込んでおりながら、そのはけ口、それにかわるべきものとしてどういうように輸入を促進するという構想を持つておられるか。
  56. 首藤新八

    ○首藤政府委員 輸出の増進をはかりまするためには、日本はどうしても加工貿易をやらなければならぬ建前から、輸入を前提とすることはお説の通りであります。しかしながら、ただいま御指摘の中共の問題でありまするが、朝鮮事変の進展から、中共に対して纖維並びに雑貨を除いた以外の物は、一応輸出禁止をとらざるを得ない情勢に相なつて参つたのであります。従つて今日まで中共方面から入つておりました分だけは、何らかの措置を講じなければ、お説の通り輸出振興の基盤を失うことになつて参るのであります。しかし今日まで中共から輸入しておりました一番大きなものは、開らん炭であるとか、あるいは大豆であるとか、その他植物性油等々がありまするけれども、これらはアメリカあるいはその他の国で大体確保できる見通しをつけておりまするから、中共の方からの輸入がかりにストツプいたしましても、これがために日本の全面的な輸入に支障を来すということはないと考えておるのであります。
  57. 田代文久

    ○田代委員 それは非常に楽観され過ぎておりまして困ると思うのですが、中共から来る開らん炭にいたしましても、また鉄鉱石などにいたしましても、これをアメリカ物に切りかえるといたしますと、値段の点からいいましても非常に開きがありますし、そのことは結局日本の負担が大きくなるという結果にもなりますし、また單に値段だけではなくて、現在のアメリカの国情から申しまして、大体そういう戰略資材というものは、御承知のように非常に強力に統制されておるのでありまして、従つてそういう楽観がはたして実現するかどうか、むしろ実現しない方が非常に大きいし、また実際に価格の面からいつても負担が増すのでありまして、そういうことがはつきりわかりながら、なぜ中国に対して貿易禁止をされるか、そういう点がわれわれ国民には納得できないのであります。そのコストの点で、アメリカ物が開らん炭と同じような価格で行くか、そういう点見通しがあれば御説明願いたいと思います。
  58. 首藤新八

    ○首藤政府委員 値段が非常に高くたるというお説でありますが、なるほど値段の高くなるものもありますけれども、品位の点を考えますると、かえつて安くなるものも非常にたくさんあるのでありまして、ただ表面の値段だけを指摘して、これで原価が上るとは断じ得たいものがたくさんありまして、中共以外に求めることによつて大きな損失をこうむることは断じてないのであります。従つてわれわれの見解といたしましては、米国初め、たとえば鉄鋼その他につきましては、フイリピンその他のところで十二分に確保できるというふうに考えております。  なお中共に対する輸出禁止の措置に対しましては、なるほど共産党は非常に反対するかもしれませんけれども、その他の国民は政府の措置に全面的に賛成し、支持してくれるであろうことをわれわれは信じておるものであります。
  59. 田代文久

    ○田代委員 臨時国会もきよう限りでありますから、この問題はいずれ通常国会において真正面より取組みます。本日はこれで終ります。
  60. 小金義照

    小金委員長 ほかに御発言はございませんか。——それでは本日の理事会できようは午前中ということでありますので、これで終了いたしたいと思います。  第九国会における当委員会の審議は、これで終了いたしました。一言この席からごあいさつ申し上げます。  いよいよ本日をもちまして、本国会も終了いたすのでありますが、このきわめて短い期間のうちに、当委員会は十二回も開会いたしまして、連日御努力、御精励を願つたことに対しまして、あつくお礼を申し上げます。鉱業法、採石法を初めとして、幾多の重要法案の審議に特別の御配慮を賜わり、ほとんど議了し得ましたことは、ひとえに委員各位の御協力のたまものと存じます。ここにあつくお礼を申し上げます。第十国会も明日から始まりますが、第十国会におきましても、特別の御協力をお願いいたしまして、ごあいさつといたします。(拍手)
  61. 首藤新八

    ○首藤政府委員 通産省といたしましてもこの機会に一言御礼のごあいさつを申し上げたいと思うのであります。  本臨時国会に際しましては、前国会からの継続になつておりました鉱業法を初めといたしまして、合計六つの法案を提案いたしたのでありますが、会期きわめて短期間でありましたにもかかわらず、連日御熱心な御討議をいただきまして、しかもこの法案の全部に対しまして御協賛を得まして、ことごとく本会議を通過いたしましたことにつきまして、衷心から感謝の意を表するものであります。なお明日から開かれます通常国会に対しましても、目下十四、五の法案が予定されておるのであります。さらに格段の御配慮と御支援をいただかなければ相ならぬかと存じますが、何分にもよろしくお願い申し上げたいと存じます。  簡單でありますが、一言御礼を申し上げます。(拍手)
  62. 小金義照

    小金委員長 それではこれをもつて散会いたします。     午後零時四十二分散会