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1950-12-09 第9回国会 衆議院 通商産業委員会 第12号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十五年十二月九日(土曜日) 午前十一時二十一分
開議
出席委員
委員長
小金
義照君
理事
阿左美廣治
君
理事
多
武良哲三
君
理事
高橋清治郎
君
理事
今澄
勇君 今泉 貞雄君 小川 平二君
高木吉之助
君 永井 要造君 中村 純一君 南 好雄君 河野
金昇
君 田代 文久君 小平 忠君
出席政府委員
通商産業政務次
官 首藤 新八君
委員外
の
出席者
大蔵事務官
(
銀行局総務課
長)
杉山知五郎
君
通商産業事務官
(
通商振興局
長)
岡部
邦生君
通商産業事務官
(
通商振興局金
融保險課長
) 川出 千速君 專 門 員 谷崎 明君 專 門 員 大石 主計君 專 門 員 越田 清七君 ————————————— 本日の
会議
に付した事件
貿易
の
振興状況
並びに
貿易資金調達
の現状に関 する件 —————————————
小金義照
1
○
小金委員長
ただいまから
会議
を開きます。 本日は
日本輸出銀行法
における
日本輸出銀行
の
運用等
に関して
政府
より
説明
を聽取いたしたいと存じます。 皆様に
ちよ
つとお諮りいたしますが、昨日
大蔵委員会
と
合同審査
をしてくれるように申し込んだのでありますが、時間の
関係
上どうしてもその実現を見ることができなかつたのであります。なお本日
銀行局長
あるいは
政府委員
の
出席
を求めて、その
説明
を聽取いたそうと思いましたが、参議院の方へ行
つて
おりまして、どうしても時間がない。そこで
大蔵省銀行局
の
総務課長杉山知五郎
君がここに見えておりますので、
杉山総務課長
から
説明
を聞きたいと思いますが、いかがでございましようか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
小金義照
2
○
小金委員長
御
異議
なしと認めます。それでは
大蔵省銀行局総務課長杉山知五郎
君。
杉山知五郎
3
○
杉山説明員
昨日衆議院を通していただきました
日本輸出銀行法案
につきまして概略の要領を申し上げてみたいと思います。 この
銀行
の
目的
といたしまするところは、
日本輸出銀行
は
市中銀行
に対しまして
金融
上の援助を與え、これによ
つて本邦
の
輸出貿易
を促進し、俗に言われております
プラント輸出
、
設備等
の
輸出
を大いにや
つて
行こう。この場合に、今普通の
市中銀行
だけでは支拂い
期間
が長期にわたるようなものはなかなか困難がありますので、
一般
の
銀行
が行うところの
輸出金融
を補完し、奨励することを
目的
とするという性質を持
つて
おるわけでございます。この
銀行
は
名称
もまず
輸出銀行
とな
つて
おりまして、
ちよ
つと見ますると、
銀行法
の
免許
を受けまするところの
銀行
とまぎらわしいのでございますが、これは
運用
を極力
民間銀行
と同じように、自由に活発にや
つて
もらうという
意味
から、その
意味
を出そうと
思つて日本輸出銀行
という
名称
を
とつ
たわけでございますが、
政府出資
であるとか、
監督
であるとか、その他の点につきましては、
一般
の
銀行法
の
免許
を受ける
銀行
とは違
つて
おるわけでございます。そこで附則に断
つて
おりますように、
日本輸出銀行
は
銀行法
の
免許
を受ける
銀行
とは違うということははつきりうた
つて
おるわけであります。
法律
上の性格から申せば、いわゆる公法上の法人と申しますが、
一般
の
市中
の
株式制度
による
銀行
とは違うわけであります。 この
銀行
の
事務所
は、まず主たる
事務所
を東京に置きまして、その他必要な地に従たる
事務所
を置く、将来必要によりましては、
外国
にも
事務所
、出張所みたいなものを置く必要があると考えております。 この
資本金
でございますが、この
銀行
の
資本金
は百五十億円といたしまして、
政府
が
全額出資
をするようにな
つて
おります。本
年度
は五十億円、これを
一般会計
と見返
資金特別会計
から半半出すようにな
つて
おります。
明年度
は百億円でございまして、これも今の
予定
では
一般会計
と
見返り
で五十億円ずつ半々出すように
予定
いたしております。さしあたりどのくらいの金がいるかと申しますと、これは通産省の方でいろいろ御推定を願
つて
おるわけでありますが、
契約
のはつきりできておるもの、それから今から三月までの
契約
のはつきりしておるものを推定いたしまして、そのうちかりにこの
銀行
が八割を供給するというふうにしますと、大体五十億円くらいになるわけであります。将来さらに増資の必要が起りますれば、その場合に
政府
から
出資
をするというふうに
予定
いたしております。 この
銀行
に対します
監督権
につきましては、従来の
政府機関
の例と非常に違
つて
おりまして、できるだけ自主的な運営にして行きたいという
趣旨
から、従来あります
相当
強い
監督権
を非常に緩和いたしました。わけますと、二種あるわけですが、
一つ
は
業務内容
についての
監督
、もう一点は
国庫大臣
としての
大蔵大臣
からの
監督
の
二つ
にわかれることと考えております。
業務
の方の
監督
の面は
三つ
にわかれるわけでございます。その
一つ
は四十
二條
にありますところの
監督命令
、第二は
報告
及び
検査
の権限、第三は
定款
をつくりましたとき、あるいは
定款
を変更する場合の
大蔵大臣
への
届出
、これだけしかないわけであります。従いまして、
業務報告書
のごときは
届出
の必要はないし、もちろん
承認
は必要でない。それから
定款
も、普通ならば
大蔵大臣
、
監督大臣
の
承認
がいるのですが、今度は
承認
を省略いたしまして、
届出
だけにしているわけであります。それから
監督命令
につきましても、
一般
の例でございますと、
相当
広汎なことを
規定
しておりまするが、今回の例におきましては、
検査
を行い、またはこの
銀行
から
報告
を受けまして、そして
ぐあいが
悪いということがわかつたときにだけ
監督命令
を出すという
意味
で、非常に消極的な
監督命令
しかやらないわけであります。
報告
及び
検査
をするというのは、これは
政府
が
全額出資
をしているという点からも当然必要でございまして、これは
通常
の例と同じように四十四條に
規定
しております。それから
国庫大臣
としての面からの
監督
はいかがかと申しますと、これは細分いたしますと、
七つ
ぐらいになります。第一は二十六條にあります
收支予算
の点、これはこの
銀行
が
收支
の
予算
をつくりまして、そしてこれを
大蔵大臣
に出すと、
大蔵大臣
が検討して必要な調整をやり、閣議の決定を経ましてから
内閣
から国の
予算
とともに
国会
に提出いたすわけでございます。ところがまた他の
政府機関
と違いまするのは、
事業予算
の方は
国会
の
承認
は必要じやないのでございまして、
参考書類
として
国会
に出すというふうにいたしております。
收支予算
の方は、
経費
であるとかそれから
業務委託費
とか、それから
事務取扱費
とか、それから
付属諸費
、
資産
の
運用損失金
、こういうものを支出に加えます。
收入
の方は
貸付金
の
利息
とか、
手形金
の
割引
、その他
資産
の
運用
にかかるところの
收入
を
規定
いたしておるわけでございます。 それから第二の
監督
は
予算
の
通知
、これは
予算
が
国会
できまりますと、
内閣
から
大蔵大臣
を経由して
銀行
に
通知
する。
経由機関
としての
意味
でありますから、大して強い
意味
ではない。 第三は
追加予算
の
作成
、それから
予算
の
修正
の点でございますが、第三十條に
追加予算
の
規定
がございまして、
銀行
は、
予算作成
後に生じた避けることのできない事由によ
つて追加予算
をつく
つて大蔵大臣
に出す。そしてまた
予算
の
修正
の場合は、すでにできた
予算
を、その後に起きた事情によ
つて
修正
しなければいけない。この場合も
大蔵大臣
に提出するわけであります。 それから第四点は
暫定予算
の点、これは三十一條に
規定
がございますが、たとえば四月当初に
国会
の
関係
で
年間予算
が通らないという場合に、一定の
期間
、たとえば四、五月とか二月の
暫定予算
をつくる場合に、
大蔵大臣
に提出するということであります。 それから第五点は
予算
の執行上の面で、これは
三つ
に細分され得るかと思いますが、
一つ
は
予算
に定める
目的
のほかにこの
予算
を使用してはいけないという三十
二條
の
制約
があります。それから
予算
を流用する場合には、
大蔵大臣
の
承認
がいる、これは三十三條であります。それから三十四條には
予備費
の使用につきまして、
大蔵大臣
に
通知
をしなければならない。
通常
の例では
大蔵大臣
の
承認
を得ることが必要にな
つて
おりますが、ここではきめてから
大蔵大臣
に
通知
さえすればよろしいということにな
つて
おります。 それから第六点は三十五條にあります財務諸表の
届出
でございまして、これは毎
半期ごと
に
財産目録
及び、
貸借対照表
をつく
つて
出す。それから
損益計算書
の方は、四月、九月の
半期
、それから一
事業年度ごと
の両方をつくるわけでございますが、これを届け出る。 最後の点は
決算報告書
の提出、これは三十七條に
規定
がございますが、
決算
が完結すれば
予算区分
に
従つて毎事業年度
の
決算報告書
を提出する。これは
大蔵大臣
が
内閣
におきまして、それを
会計
検査
院に送付するということにな
つて
おります。 以上申し上げましたように、
七つ
の点が国務大臣の
監督
の
内容
でございまするが、
業務内容
の方につきましては、先ほど申し上げましたように非常に簡略にいたしておるわけでございまして、これが従来の
政府機関
と格段の差異がある点であります。 次に
役員
について申し上げますと、
役員
は
総裁
が一人、
專務理事
が一人、
理事
が三人以内、
監事
が二人以内というふうにな
つて
おります。それから職員につきましては二十人、これはどうも二十人では少しむりだと思いまして、いろいろ
関係方面
とも折衝いたしたのでありますけれども、まあ初めはこれでや
つて
みろということで二十人になりました。その他タイピストであるとか、自動車の
運転手
というようなものが十四人
予算
へ計上しております。
総裁
と
監事
の
任命
は
内閣総理大臣
がやることにな
つて
おりますが、
專務理事
と
理事
は
総裁
が
任命
する。この点も普通の例と非常に違うわけで、普通でありますれば、
理事
につきましても
主務大臣
の
承認
を得て
総裁
が
任命
するといつたような例もあり、あるいは
日銀
の場合のように
内閣
が
任命
する場合もありますけれども、今回は
総裁
と
監事
だけが
内閣総理大臣
の
任命
で、
專務理事
、
理事
は
総裁
の
任命
というふうになりまして、
銀行
の
自主性
を尊重したわけであります。 次に
業務
の
範囲
を申し上げますが、まず第一には
設備
、この
設備
には
車両
とか
船舶
というようなものも含めて考えておるわけでございます。これは
日本
から
輸出
する場合、それからこれらの物の
輸出
に伴うところの
技術
の
提供
をする場合、この場合にこの
銀行
から
日本
の
輸出業者
または
輸出品製造業者
に対して直接に
資金
を貸し付けるという
業務
でございます。但しこの場合には
申請
はすべて
市中銀行
を通じて出しております。それからこの
輸出銀行
と
銀行
とが
協調融資
で金を出すということが
條件
にな
つて
おります。この
銀行
は
市中銀行
と競争してはならないという
規定
が二十四條にうた
つて
ございますが、これはこの
銀行
の特性から申しまして当然出て来るわけでございまして、
市中銀行
が貸そうと思
つて
おるのに、この
輸出銀行
の方が、いやおれの方が貸すということで出て行くことは
ぐあいが
悪いわけでございまして、
市中銀行
が出ない場合にこの
銀行
が出るというような
趣旨
を徹底する
意味
から、
申請
は
輸出銀行
が直接に受けないようにしておるわけであります。 それから
協調融資
の形をとらなければならないという点は、やはり今言つたような
趣旨
から出て来るわけでありますが、その場合に、この
銀行
は何割くらいまで出すかという点は、当初は
法律案
に織り込む
予定
でありましたが、いろいろ考えましたあげく、
法律
の上では
命令
に出さないことにしております。しかしいずれは
業務方法書
に
規定
することになるかと思いますが、一応考えておりますことは、大体八割
程度
を
最高限
とするという
考え方
でございます。
従つて
場合によりましては七割三割、あるいは六割四割、あるいは五割五割といつたように、いろいろ違
つて
来るかと思いますが、この
銀行
が出す
最高限
は大体八割
程度
くらいというふうに考えておるわけであります。 第二の
業務範囲
の
業務
のやり方としましては、
銀行
が今申し上げましたような型の
輸出
について
手形
を持
つて
おるときに、この
輸出銀行
がその
手形
を
割引
をするという
業務
でございます。 それから第三点は、今度は
外国
の
機関
に対しまするところの
貸付
でございまして、これは
設備
の
輸出
あるいはこれに伴う
技術
の
提供
をいたしますときに、
外国
の
政府機関
であるとか、あるいは
外国
の
地方公共団体
、
外国銀行
または
外国商社
に働きかけまして、これに
資金
を貸し付けるという場合でございますが、これはさしあたりのところでは例外的にしか必要が起らないのじやないかというふうに考えます。この場合に
二つ
の
條件
がございまして、第一は
外国為替管理
に対する
法令
に従わなければならないという点でありまして、これは
現行為替管理法
の六十六條に
政府機関
に対しては
為替管理法
の適用を免除して、たとえば普通ならば
許可
がいる場合にも、
政府機関
は
許可
がいらないといつたようなことが可能なんですが、この
輸出銀行
につきましては
為替管理
の
規定
に
従つていろいろ手続
をと
つて
行こうというような
考え方
でできております。 それから第二の
條件
は、この
銀行
から
貸付
を受けるところの
外国
の
機関
が、その
当該外国
の
法令
の
規定
に違背していない、違背することにならないという
條件
でございまして、従いましてこの
輸出銀行
としましては、
外国
の諸
法令
を常時研究しておりまして、自分がここで
外国
の
機関
に貸すことが、その
外国
の
法令
に違背することにならないのだということをいつでも注意をしていなければならないわけでございます。以上
三つ
申し上げました
業務
に附帶する
業務
もこの
銀行
としてはできるわけでございますが、
債務引受け
または保証という
業務
は当初の案では考えておりましたが、いろいろ研究いたしましたあげく一応ドロツプいたしておるわけでございます。 それから以上のような
割引
あるいは
貸付
あるいは
対外貸付
という形で
業務
を行う場合には、
銀行
が
通常
の
條件
によ
つて
は
資金
の供給を行うことが困難である。それから
本邦
からの
輸出
の
契約
がすでに締結されておりまして、そうしてあるいは
当該契約
の締結が非常に確実に
なつ
た場合でなければならない。すなわち全然
契約
の見通しが立たないような場合に
貸付
を行うことは避けたいという
趣旨
でございます。それからまたその
契約
に基くところの
債務
の履行あるいは
貸付
をした
資金
の
償還
が確実に得られると認められた場合でなければいけないのでありまして、貸したは貸したけれども、
償還
ができそうもないというような不安定な
融資
はできないことにな
つて
おります。 次に
貸付
の
條件
といたしまして、貸
利率
及び
手形割引歩合
の点でございますが、これは
アメリカ
の
輸出入銀行法
の
規定
もいろいろ参酌いたしましてできておる
規定
でございます。まずこの
銀行
の
貸出利率
あるいは
手形割引歩合
というものは、
收入
として上
つて
来るところの
貸付金利息
、
手形割引料
が
経費
をカバーするに足りなければいけない。また
一般銀行
の
貸付利率
及び
手形割引歩合
を勘案して定めるということにな
つて
おります。従いまして必ず
市中銀行
の
利率
と
同一
でなければならないというようなきつい制限はないのでございまして、
市中利率
を勘案してきめるということにな
つて
おります。 それから貸出しをする場合のもう
一つ
の
制約
は、同じ型の
融資
については貸出しを受けるどの人に対しても
同一
でなければならないという公平の
原則
をうた
つて
おるわけでございます。 それから
貸付
をする場合の
貸付金
または再割をされる
手形
は、その
償還期限
または支拂い
期限
が六箇月を越えて三年以内のものでなければならない。しかし場合によ
つて
は、三年を越えて五年以内のものとすることもできるようにな
つて
おりますが、六箇月以内のものであるならば、現在の貿手に対する銀の
優遇措置
につきまして、再
割適格
のものは
金融
的に優遇されておりますので、この
銀行
といたしましては、六箇月を越えるものを扱いたい、但しあまり長くなりましても、これまた
日本
全体として見て、
外国
から受取る
資金
の受取り方がおそくなるわけでございます。
最高
五年を越えてはいけないというふうにしておるわけでございます。
原則
として三年以内、それから
最高
五年まで行けるというふうに、
二つ
書きわけました理由は、やはり
日本
としては、なるべく早く
資金
を回收して行く方が望ましいわけでございますから、まず
原則
をうたい、例外的な場合だけ五年まで行けるというふうにしておるわけであります。 それからこの
銀行
の
業務
の
期間
でございますが、
業務
の
期間
は
設立
の日から五年たつたときには
新規
の
融資
をすることができないということにな
つて
おります。これは一応の
期限
をきめておるわけでございまして、もしこの
銀行
が
業務
を行う上において非常に成功いたし、また五年たつたときの状態から見て、やはり
市中融資
ではこういう長い
融資
が望めないというような事態でありますれば、さらに
法律改正
をいたしまして、この
期限
を延ばすということも考えられるというふうにな
つて
おります。 それから
銀行
には
業務方法書
を置くことにな
つて
おりますが、これは
定款
よりはもう少し
記載内容
がこまかく
規定
されるわけであります。 それから
会計
に関しましては、先ほど申し上げましたようなわけでございます。 次に
利益金処分
でございますが、
利益金
が生じましたときには、これは
損失
の
補填
に充てるために
準備金
として繰越して行く。
利益金
は、当初の
考え方
では、
全額国庫
に納付するというような
考え方
をと
つて
おりましたが、その後いろいろ研究いたしましたあげく、やはり
銀行
の
独立性
を尊重するという
意味
から、
国庫納付
はとりやめまして、
全額損失補填
のための
準備金
として繰越して行くというふうに
考え方
をかえたわけでございます。 それからこの
銀行
が
資金
の借入れができるかどうかという点は、いろいろ論議がありまして、たとえば
外国
から
資金
を借り入れるということをやらしたらどうかという
考え方
もあつたのですが、研究の結果、これをやめまして、また国内的にも
日銀
あるいは
市中銀行
から
資金
を借り入れるということもしない。必要な
資金
は
全額政府出資
でまかなうというふうにいたしたいと思うわけであります。 それから
余裕金
ができました場合には、国債を持つか、あるいは
預金部
または
日銀
への
預け金
として保有いたすというふうにな
つて
おります。 それからこの
法律
は公布の日に施行になりますので、そうなりますと、ただちに
設立委員
が
任命
されまして、
定款
をつく
つて届出
があります。また遅滯なく
政府
に対して
資本金
の拂い
込み
を請求されますと、第一回の拂い
込み
を
政府
が行いまして、その日に登記を行い、
総裁
その他の全員が仕事を
引継ぐというふうになつております
。
政府
の拂い
込み
につきまして、いろいろ
関係方面
の了解を得る等の
関係
で、若干日にちが必要でございますが、できるだけ早く
設立
をいたしまして、一日も早く貸出しができるようにいたしたいというふうに考えております。 それからこの
銀行
の
解散
の
規定
でございまするが、
解散
につきましては、別途
法律
をも
つて
きめるというふうにな
つて
おります。またその
解散
した場合には、
残余財産
の
配分
は、
一般会計
と見返
資金特別会計
とが
出資
をしておる
比率
に
従つて
わけるわけでございまして、この点は従来の
見返り資金
の出し方と多少違
つて
おります。従来ならば
見返り資金
は
交付
ということになり、
交付
をしてしまうと、
一般会計
から
出資
したものとみなすという
規定
を置きまして、
見返り
の縁が一応そこで切れてしまう。そういうことになれば、あとで
残余財産
の
配分
のときも全部
一般会計
に入るのでありますが、今度の場合は
出資
の
比率
でやるというようなことにな
つて
おります。非常に
簡單
でありますが、大体以上でございます。
小金義照
4
○
小金委員長
次は通商産業省、
岡部通商振興局長
。
岡部邦生
5
○
岡部説明員
それではこの実態の、
資金需要
がどうな
つて
おるかという点を御
説明
いたします。 大体
プラント輸出
といいましても、大型の
発電所
の建設というものから、普通の
鉄道車両
あるいは
船舶
まで含めて考えておるわけでございますが、それの従来の、二十四年の四月から今年の三月までの間の実績を見ますと、件数にいたしまして十八件、二千六百六十四万ドルに達しております。今年は四月から七月までの間に二十五件、八百十九万ドルに達しております。今後明年の三月までの間に
契約
が成立するであろう、あるいは成立したというのを合計いたしますと、五十五件、四千二百三十三万ドルでございまして、これは逆に
日本
円に直しますと、百五十一億円に相なるわけでございます。大体この四割が来年の三月ごろまでの間の
資金需要
になるのではなかろうかというように考えております。先ほど御
説明
のありましたような八、二の
比率
で割当いたしますと、大体四十八億ぐらいに相なります。われわれの手元に集ま
つて
おりません資料あるいは話合いというものが、また
新規
に加わることかと存じますので、大体五十億ぐらいの金で来年の三月まで行
つて
いただいて、明年以降はますますそれがふえて参るというわけでございます。それで問題の点は、この
銀行
が成立するまでの間に
相当
の時間がかりにかかりますと、その間に現在の引合い中のものが、はたしてうまく
金融
がつくかどうかということが一番心配なのでございます。これにつきましては、できるだけ早くこの
銀行
の促進をや
つて
いただくと同時に、
政府
の方でもできるだけその推進に努めたいというふうに考えておるわけでございます。なお大体まだ
経済状況
の不安定、及び国交の回復がございませんので、
従つて先
ほど御
説明
のございました
クレジツト等
の問題は、このわれわれの
資金計画
には載
つて
おりません。当分の間は、おそらく
国内金融関係
で参るかとも思うのでございますが、ただ蛇足ではございますが、東南アジアの復興につきましては、やはり
日本
の
工業力
を使おうということが主眼にな
つて
来ております。現にシヤムのエカツフエにある
事務局等
においても、そういうことを考えております。それにつきまして、
東南諸国
は
アメリカ
からのエイドをもら
つて
おるものもございますし、また印度のごとく、もら
つて
おらないものもございまして、
日本
からの
工業力
を
輸出
すると同時に、その支拂い
資金
の問題がまたひつかか
つて
参ると思います。そういう点につきまして、この
クレジツト
の
規定
の活用は、また必ず問題にな
つて
出て来るのではなかろうかというように考えております。そのときにはまた
資本金増加
ということも考えなければならぬのじやないかと思
つて
おる次第であります。 一応
簡單
でございますが、以上申し上げまして、また御質問がございましたら、お答え申し上げることにいたしたいと思います。
高木吉之助
6
○
高木
(吉)
委員
ただいま御
説明
を承りましたが、この
市中銀行
に対しまして、大体
原則
として二割と八割、場合によ
つて
は七、三になり、五分々々になるということでありますが、その限界は
市中銀行
の
信用程度
によるのでございますか、その
プラント輸出
の
條件
によるものでございますか。この点についてお尋ねいたしたいと思います。
杉山知五郎
7
○
杉山説明員
この割合は、やはり
融資
の
償還
の
條件
、あるいは金額といつたような、あるいはその
外国
の輸入において、価格の競争がどうであるとかいう、いろいろ複雑な要素を考えましてきめることにな
つて
おります。必ずしもその
銀行
の
信用條件
だけではきまらないわけでございます。
高木吉之助
8
○
高木
(吉)
委員
それから
手形
の再割をせられる場合の
利息
並びに
普通一般
に貸し出される
利息
は大体どの
程度
でございますか。
杉山知五郎
9
○
杉山説明員
これはこれからこの
銀行
の
首脳部
がきまりましてから、さつそくお考えになる問題かと思いますが、
法律
の
規定
だけから申しますならば、
市中銀行
の
利率
と
同一
にしろということは書いてないわけでございまして、ただこの
銀行
の
資金コスト
は、
政府出資
であるという点から、普通の
預金
を使
つて
おりますところの
銀行
の
コスト
とはまるで違うわけでございますから、
市中利率
よりも下げようとすることは可能であると思います。ただあまりに下げますと、これは隠れた補助金よりつぎ足しておるといつたような非難が出て来る危險も若干ありますので、それらをかみ合せてこれから検討いたしたいと思います。
小川平二
10
○小川(平)
委員
この
法律案
の成立するまでの過程についてお尋ねいたしたいと思います。
政府
の構想としていろいろのことが伝えられておつたと思うのでありますが、この
輸出銀行
は本来の
貿易
金融
ということから一歩進んで、生産面にまで入り込んでの
金融
をすることになるものと了解すべきものと考えます。今輸入面の
金融
が非常に大きな問題にな
つて
おることは申すまでもないことで、ユーザンス・ビルの問題が解決したということは、これは一歩を進めたことではあると思いますが、その後の生産段階に対応する措置が何もとられていない。そこでこの
法律案
ができ上るまでの間に、輸入
金融
をもこの
業務
のうちに加えるという、
輸出
入
銀行
というふうな構想が立てられておるということが、一時伝えられておつたのでありますが、この点いかがでございましようか。これが
輸出
の
金融
だけを見るということになりますと、片手落ちの感じがしないでもないのですが、どういう理由ですか、この辺のところを承りたい。
杉山知五郎
11
○
杉山説明員
この
輸出銀行
の構想が出ました初めから、やはり
輸出
だけに限定して考えたいということで、スタートしておるのでございます。と申しますのは、やはり輸入の場合の方は、大体
日本
の現在の輸入が原材料を主としております
関係
上、決済の
期間
にいたしましても、あるいはリスクの点等を考えまして、
ちよ
つと
プラント輸出
の場合とは違うわけでございまして、大体現在のシステムでも
つて
対処することができるというふうに考えておつたわけでございます。ことに今後は
預金部
資金
の活用が大幅に認められまして、今後
金融
債の発行を
相当
巨額にや
つて
参りたい、そういたしますれば、かりにプラントものの輸入がありましても、
通常
の
設備
資金
の供給と同じやり方で、この
金融
債を出す
銀行
から貸して参るということをや
つて
参りますれば、今後年々数百億の
金融
債が出て参るわけでございますから、それでまかなえるのじやないか、こういう
考え方
でや
つて
おります。
小川平二
12
○小川(平)
委員
大体ユーザンス・ビルの
期限
満了後の
金融
ですが、これは商品によりましては、いわゆるランニング・ストツクを常に擁していなければならないものもございましようし、いわゆる備蓄の輸入ということも必要であります。ことにこういうふうに国際情勢が緊迫して来ますと、輸入面の
金融
打開の問題ということは、ますます喫緊のことにな
つて
来ると思うのであります。ただいまの御
説明
は了承いたしますが、この問題に関連をして工業
手形
をもう少し優遇してもらいたいという要望が、業界で先般来非常に強いようであります。通産省でもこの要求を支持しておられるようにも承
つて
おるのですが、この点いかがでございましようか。
岡部邦生
13
○
岡部説明員
ユーザンス後のいわゆる引取り
資金
の問題につきましては、これは民貿の活発化に伴いまして、問題が現実にやかましくな
つて
参りますのは、おそらく一月から以降でありまして、三月、四月が一番ピークではなかろうかと存じております。大体今までの為替
許可
の点から計算いたしまして、二十五
年度
の十—十二の間の輸入物資引取り
資金
が大体五百五十六億ぐらいでございます。それが一—三には八百五十五億ぐらいになりまして、さらに四—六には九百五十八億というようになるわけであります。大体一千億に近い輸入
資金
が一・四
半期
に必要にな
つて
来るということになると思います。そのうちで食糧
関係
とか塩とかいうような、
政府
資金
を使いますものがございますので、大体七百億ぐらいになると思います。ただ例をあげてみますと、綿花の輸入を
相当
やりましたので、
従つて
綿花
資金
だけで四月ごろには大体七百億ぐらいいるだろうと思います。それに対して現在の紡績会社の
資金
融通額は三百億ぐらいでございますので、そこらの問題が非常にむずかしい問題だと思います。この点につきましては、われわれ通産省といたしましても、
日銀
政策
委員
会あるいは大蔵省等に善処方をお願いしておるわけであります。工業
手形
の再
割引
という問題も、
一つ
の方法としてぜひ考えなければならないというように思
つて
おりますが、まだ具体的にはきま
つて
おらぬというところが現状であります。
小川平二
14
○小川(平)
委員
工業
手形
の再
割引
の問題を、
日銀
で積極的に取上げておるというふうなことが伝わ
つて
おるのでございます。それを、また数日前新聞でみますと、
日銀
総裁
は、工業
手形
は現在でも十分優遇しておるのだから、その必要はないというふうなことを言
つて
おつたのですが、この点大蔵省にお尋ねをしたいと思います。
杉山知五郎
15
○
杉山説明員
現在の年末から年始にかけましての
金融
情勢等をいろいろ考え合せました結果現在のところは現状で推移した方がよくはないか。さしあたりのところ、これをすぐにかえるというふうな
考え方
には、今な
つて
いないのでございます。
小川平二
16
○小川(平)
委員
もう
一つ
、振興局長の御
説明
にもございましたが、
外国
の
政府
あるいは業者に対する
金融
ということが、この
法律
では、
資金
に余裕があるときに限るということにな
つて
おり、実際の問題としても、これは当面の問題とはなり得ない、こういう御
説明
でございましたが、これも最初
アメリカ
の
輸出
入
銀行
のように、むしろ
外国
に対する
クレジツト
を主とする構想が立てられておつたように承知しておりますが、それがこういうことにな
つて
、重点がむしろ国内
金融
に移
つて
来た、これはどういう
考え方
に基くものか、あるいはどういう情勢の反映でありましようか、その辺のところを承りたい。
岡部邦生
17
○
岡部説明員
これは
設立
の過程のいろいろ議論の結果でございますが、むしろ通産省の方からは、現在の国内
金融
の方を重点に取上げていただかないと、実際上困るではないかという点をお願いいたしまして、むしろ重点をこちらにかえていただいたというのが実情でございます。
小川平二
18
○小川(平)
委員
今御
説明
がございましたが、大体この来年の春までは五十億ぐらいでカバーできるというお話でしたが、いわゆる
プラント輸出
の今後の見通し、これは非常に金額の上でもふえて来るような傾向にあるように聞いてもおりますし、
期間
も長いものが出て来ている、こういうことを聞いておりますが、そういうことになりますと、
資金
の面でも今後の問題として大いに考慮しなければいかぬことになるのではないかと思いますが、この辺はいかがですか。
岡部邦生
19
○
岡部説明員
たとえばパキスタンにおきましても、建設五箇年計画というようなものを持
つて
おりまして、これが漸次固まりつつございます。少くともその一部は
日本
に期待するという方針をきめているように聞いております。そういたしますと、そういう方面の需要、ことに建設
契約
になると、
発電所
とかそういうものが主になると思いますが、勢い
期間
の長いものも出て参るかと思
つて
おります。しかしながら今までの経験で行きますと、大体三年であればまかなえておるわけであります。あるいは五年というようなものも出て参るかもしれませんが、そのときにはまたこの
法律
の
規定
によ
つて
、特別の扱いをするということでや
つて
行けるのではないか。但し金頭等に対しましては、おそらく百億の余裕では足りなくなるだろう。それについてはまた別途増資等の問題をお考え願いたいと思
つて
おります。
資金需要
がいかになるかということは、
ちよ
つとまだ手元に集計はございません。
小川平二
20
○小川(平)
委員
ただいまの大蔵省の御
説明
で、審査は
市中銀行
に全面的にまかせるというようなお話でございましたが、手元に條文がないのですが、確実と認められるときというふうな言葉が使
つて
あつたと思いますが、つまり
契約
の成立が確実と認められるときというのは、これは認定は
銀行
に一任をするわけですか。その場合に何か具体的な基準が設けられておるのでしようか。その辺を伺いたい。
杉山知五郎
21
○
杉山説明員
審査を全面的に
銀行
に委託するわけではございません。ただ
銀行
が職員の数等から参りまして、とうてい全部を自分の手だけでやることも不可能なことでございますし、またその必要もないわけでございますから、
協調融資
の審査で行う
銀行
をなるたけ使
つて
参りたい。また場合によ
つて
は
融資
後の監理、回收につきましても、ある
程度
市中
に委託をするということも考えているわけであります。それで
契約
ができたかできないかという認定につきましても、その審査の過程から参りまして、
市中
が常時ウオッチしておるわけですから、この
銀行
は、
市中銀行
からそういう情報をとりましてや
つて
参るわけでございますが、全部認定を一任してしまうわけではないのでございまして、
契約
ができたかどうかということを
一般
の
銀行
が調べて、その話をまた
輸出銀行
が聞く。そして
契約
の締結が確実だという心証をこの
輸出銀行
としても持つことが必要である、そういうふうに考えております。
小川平二
22
○小川(平)
委員
そのことに幾分関連をする問題になるかと思うのでありますが、事故が起つた場合のリスクは、これはどういうことになりましようか。
杉山知五郎
23
○
杉山説明員
リスクの点は、この
融資
を行
つて
おります
比率
に応じてするのが
原則
かと存じております。ただ場合によりましては
市中
に対して優先弁済を認めるというようなことも考え得ると思
つて
おりますが、今後
業務
方法を具体的に検討する場合に考えてみたいと思います。
小川平二
24
○小川(平)
委員
振興局長も触れておられましたが、この
銀行
が実際に発足するまでの暫定的な措置、これについては長期
輸出金融
暫定措置要綱というようなものができておるようでありますが、これに基く
融資
というものは実際にどれくらい行われているのか、これが第一点。それから
銀行
が発足したならば肩がわりをしてもらえるのかどうか。この
法律
にはそういう点がうたわれておりませんので、非常に不安を抱いている向きもあるように聞いておりますが、この点いかがでありましようか。
杉山知五郎
25
○
杉山説明員
暫定措置がきまりましたのは実は八月であつたと記憶いたします。その後
関係方面
といろいろ折衝しましたけれども、まだ
承認
を得るに至りませんので、今までのところ暫定措置に基く
融資
というものはないわけであります。それでこの
銀行
の発足を極力急ぎまして、できますれば年内にやりたい。登記とかあるいは拂
込み
とかいろいろ手続がございますので、若干延びるかとも思いますが、できるだけ早くいたしたいというふうに考えております。
小川平二
26
○小川(平)
委員
最後に金利の問題であります。今の御
説明
によれば、
外国
の
政府
あるいは業者に対する
融資
というものは、現実の問題としてはあり得ないわけでございますが、七分五厘という金利はどういう基準で決定をなさつたか。今
輸出業者
の資本というものは非常に小さいので、金利の負担もずいぶん大きなものになると思うのであります。これは安いに越したことはないにしても、あまり安ければ
輸出
奨励金的な
意味
になる。そういつた点もあるかと存じますが、どういう点を基準に決定なさつたかということが
一つ
。それから第二に、
外国
に
クレジツト
を與える場合に、こういう金利が通用するかどうかということが考えられるので、その点を伺いたいと思います。
杉山知五郎
27
○
杉山説明員
実は
收入
予算
といたしますときに、七分五厘という利子を使いましたのは、これは暫定でございまして、
收入
を見
込み
ます上においては、できるだけ確実に見込むがよいという
趣旨
から最低七分五厘を下ることはないという考えでつく
つて
いるわけでございます。従いまして、この
銀行
が実際に貸出しをいたす場合に、七分五厘にするのかあるいはもう少し高目になるのか、これらの点はこれからの研究問題というふうに考えております。それから七分五厘という数字をかりの数字にしろといつた理由は、従来の
見返り
融資
の中に七分というような例もございますし、
見返り
が半額を
出資
する点から見て、そのアイデイアの方法で一応の数字といたしたわけであります。それから
対外貸付
の場合の金利につきまして非常に問題が起ると思いますのは、その
当該外国
の
市中
金利が、いろいろ調べてみますと、東亜諸地域において
日本
ほど高いところはどこにもないわけでありますので、
日本
から借りる場合高くすることについては
相当
異議
が出て来はしないか。しかしまた
日本
が
対外貸付
だけ非常に譲歩して安く貸しますれば、今度は対内
貸付
と矛盾を来しまして、輸入をする
外国
の業者としても、結局
対外貸付
の方を希望する。そうすると、この
銀行
としては対内
貸付
の方が減
つて
しま
つて
対外貸付
が多くなるということも出来はしないか。そこらの矛盾をどう調整するかということはなかなかむずかしい問題だと考えているわけであります。
小川平二
28
○小川(平)
委員
再割の問題でありますが、今貿手の再
割引
については業界に非常な不満があるわけでありまして、貿手はほとんどすべていわば形式的な要件は具備しているわけで、実質的な心証の面で重箱のすみをつつ突いてほじくるようなことを言
つて
、実際問題としては貿手を優遇するとしても羊頭狗肉であるというような非難を聞くのであります。この
銀行
が再
割引
をする際には、そういう非難を受けないように強く要望をいたし、私のお尋ねはこれで終ります。
小金義照
29
○
小金委員長
田代文久君。
田代文久
30
○田代
委員
先ほど小川君が質問されましたが、
ちよ
つとわからない点がありますので、お聞きします。この
輸出銀行
法ができるに至りました構想といいますか、大体いつごろからこういう構想をお持ちだつたのか。私たち承るところによりますと、やはり小川君が申されましたように、現在
日本
の
貿易
関係
としましては、輸入がきわめて重要な問題にな
つて
おり、その方に重点が置かれなければや
つて
行けないのではないかと思う。ところがこの輸入の方に対しましては、こういう
銀行
とかいうものはそつちのけにな
つて
いるのであります。
従つて
何かそこに奇異の感を抱くわけで、こういう構想が出ました根拠、それから
日本
の
政府
当局の方は早くからこういう構想をお持ちであつたかどうかということをお尋ねしたい。
杉山知五郎
31
○
杉山説明員
こういう種類の
銀行
が必要であるという
考え方
はもうことしの春以来からございまして、その後何とか具体化したいというのでいろいろ練りましたあげく、結局多少時期おくれの感はありましたが、今回の案におちついて参つたのであります。それから輸入
金融
の方をないがしろにしていやしないかという御質問でありますが、これは
日本
の輸入
輸出
商品の
内容
につきましては
相当
大きな差異があるというふうに考えられるのでありまして、
輸出
の面におきましては、
車両
とか
船舶
とかを生産して
輸出
して代金を回收するまでに
相当
時間がかかり、またその回收の場合にも
相当
のリスクがあるという特殊性を持
つて
いると考えます。現在のように
預金
を預か
つて
いる普通の短期商業
銀行
ではそこに限度がありまして、なかなかこの必要性を満たすに至らないということから今回の
銀行
案に
なつ
たわけであります。輸入の方は大部分原料でありまして、入りましてから需要者にすぐ渡り使われて参る。もちろん
日本
としましてはプラントの輸入があるわけでございますが、これは国内の
設備
を買う場合と同様に、
設備
資金
供給の一方法としまして巨額の
金融
債を
銀行
が出して行く。これを今回
預金部
で引受げることが認められましたので、その方途で
銀行
に
資金
が流れて参りますれば、当然
設備
金融
の一環として扱われて参る、こういうふうに期待しているわけであります。
田代文久
32
○田代
委員
私たちが聞いた話では、
日本
政府
としては初めこういう構想がなかつたのだ、GHQの方から
相当
意見が出たということでありますが、その点はいかがですか。
杉山知五郎
33
○
杉山説明員
日本
の方がこういうものの必要性があるということを強く考えまして、
日本
側のイニシヤチーブで案ができております。
田代文久
34
○田代
委員
そういたしますと、今年の春ごろと、朝鮮事変の起りまして以後の経済事情、国際情勢というものが非常にかわ
つて
おるのでありまして、当時の
プラント輸出
に対する見通しと、それから現在の事情は非常にかわ
つて
おりますが、それが初め計画されました通りに、そういう
輸出
計画なんかが遂行されるかどうかという点を私は非常に疑問に思うわけですが、その点に対する見通しはいかがですか。
岡部邦生
35
○
岡部説明員
最近
輸出
は、われわれの当初期待いたしましたよりも以上に出ております。但し全般的に見ますと、やはり従来の繊維中心の
輸出
を、一部分は重機械の
輸出
に置きかえることによ
つて
、少くとも平年次十五、六億ドルの
輸出
をしなければならぬのではないかということが、通産省の一致した考えであつたのであります。そのためにはぜひこのプラントものの
輸出
の促進ができるような
設備
をしなければいけないのではないかというので、この春ごろからそうい研究を進めておるわけであります。
田代文久
36
○田代
委員
この
輸出
品ですが、これは先ほど
説明
がありましたように、発電
設備
というようなものだけでなくて、
車両
、
船舶
まで含むということにな
つて
おりますが、これを現在
政府
が意図されておりますような形で、
日本
の
輸出
を非常に発展させるということになりますと、当然仕向け先が重要な意義を持
つて
来るわけであります。大体この
説明
によりますと、東南アジアが中心にな
つて
おります。そこで数日前からの対中国
政府
との
輸出
禁止の問題でいよいよはつきりして来たのですが、
車両
その他プラントの問題にいたしましても、むしろ得意先、仕向け先は中国が最も有利ではないかというように考えられるのですが、この春こういう計画を立てられました当時、その仕向け先として、やはり中国が除外されておつたかどうかという点を伺いたい。
岡部邦生
37
○
岡部説明員
これは別にこちらが計画をいたしまして、どこにどれだけ出すというわけではありません。あちらの注文の引合いを集計しておるわけであります。それにはたまたま中共地区が入
つて
おらぬだけの話であります。
田代文久
38
○田代
委員
中共地区が入
つて
おらぬということは、こちらが入れておらぬという
意味
なんですか。
岡部邦生
39
○
岡部説明員
ちよ
つと
説明
が足りなかつたと思いますが、具体的の注文の引合いのあつたもの、われわれが承知したものをここに列挙したわけであります。
田代文久
40
○田代
委員
そうしますと、最近また問題にな
つて
おる、新しく発足しております協定
貿易
との
関係
、新しい通商協定との
関係
はどういうことになりますか。
岡部邦生
41
○
岡部説明員
ちよ
つと御質問の点がわからないのですが、先ほど私が言いましたのは、
車両
のお話がございましたので、
車両
は入
つて
おらぬということで、纖維機械とか、電気機械等については、中共も計画に入
つて
おる。それから通商協定とおつしやいましたが、
ちよ
つと
意味
がわからないのですが。
田代文久
42
○田代
委員
つまりプラントを
輸出
します場合に、やはり現在の計画ではいろいろ
許可
とか制限とかいうものがありまして、
日本
では非常に不利になる場合がしばしばあるということを知
つて
おるわけでありますが——この新しい協定が、イギリスあるいはその他と結ばれるというような場合に、たとえば中国なら中国から
車両
の引合いがあ
つて
、これをもらいたい、また発電
設備
をや
つて
もらいたいという場合に、GHQならGHQの
許可
を得なければできないということになるかどうか、こういう点なんです。
岡部邦生
43
○
岡部説明員
現在の
貿易
管理法に基きまするいわゆる
許可
義務の制限に該当する限りは、あらかじめ通産省の
許可
がいるわけであります。
田代文久
44
○田代
委員
これは
貸付
期間
が非常に短かいようですが、これが短かいというわけがよくのみ込めないのですが……。
岡部邦生
45
○
岡部説明員
今までの
契約
につきましてはそれで十分履行しておるわけであります。決して短かいとは思
つて
おりません。
田代文久
46
○田代
委員
こういう鉄に重点を置かれます商品の
輸出
は、鉄鉱石あるいは強粘結炭というようなものが輸入されないと、この
目的
を達することは困難でありますし、なお申しますと、
日本
の中心的な、重点的な経済が根本的に貧困にな
つて
来るし、当面何とかやりくりできましても、二年、三年とたちます場合に、
日本
の一切のそういう資源というものは枯渇して来るわけですが、そういうことに対して現在の輸入との
関係
におきまして、つまり
プラント輸出
をこういう形で奨励し、あるいは強行するという場合に、そういう行き詰まりを感じないかどうか。
岡部邦生
47
○
岡部説明員
もちろん
日本
は原材料を入れて、それを加工して出さなければならぬのでありまして、輸入を極力増進するという措置を構じなければならぬのであります。ただこのプラントの
輸出
に使用いたします鋼材その他は、それほど大きな数字には相ならぬと思います。
田代文久
48
○田代
委員
外国
の
政府
あるいは
政府機関
、公共団体、
銀行
なんかに
融資
するというような面は例外的だ、そしてこれは
資金
に余裕のある場合に大体限
つて
おる、こういうことをおつしやいましたが、そうなんですか。
杉山知五郎
49
○
杉山説明員
通常
の場合でありますれば、国内の
輸出業者
または製造業者に
融資
を行えば、当然問題は解決され得ると考えますので、主として国内
業務
を中心に考えておるわけであります。ただ
対外貸付
が必要な場合も若干あり得ると考えます。またその場合において、ある国営の事業を
外国
の
政府
がや
つて
おるという場合には、向うの
政府
が借入れを受けるということもあり得ると考えて、「
外国
政府
」という文字を使用しておるわけであります。
田代文久
50
○田代
委員
この
外国
関係
に
融資
するということになりますと、これは向うの政権がいつも安定しておるというわけに行かないので、ことに東南アジアの諸国では現在民族解放運動が盛んに起
つて
おりまして、現政権がいつひつくり返るかわからないということにな
つて
おりますが、そうなりますと、それに対するリスク負担は一体だれに負わせられるのか。どうしてそれを回收されるかという点をお尋ねいたします。
杉山知五郎
51
○
杉山説明員
この
銀行
の
融資
のやり方は、なるべく
一般
の
市中
のように、いろいろ実情を見てや
つて
参るわけでありますが、この
融資
の
内容
を
市中融資
と同じように非常に嚴格に考えて参りますれば、出るものも出なくな
つて
しまうことも考えまして、
全額政府出資
というやり方をと
つて
おるわけであります。
融資
の回收の危險性、安全性というような点は十分注意をいたしまして、回收ができないというような事態にならないように注意をいたして参りたいと思います。
田代文久
52
○田代
委員
通産次官が見えておりますので、これと
関係
しますので
ちよ
つと聞きたいのですが、現在
政府
は通商協定の構想を根本的に改めたい意向を持
つて
おられる。以前とは非常に事情も違
つて
来ているし、また最近イギリスなどと結ばれております協定なんかでも、以前とはかわつたようにも見受けられますが、そういう協定の構想がどんなふうにかわ
つて
いるか、現在持
つて
おられる構想を一応御
説明
願いたいと思います。
首藤新八
53
○首藤
政府委員
先刻から振興局長の答弁もあつたと思いますが、
日本
の経済をできる限り早く自立させなければ相ならぬ、同時に、国民生活の水準をできるだけ高くしなければならぬというような各般の事情を考えますると、どうしても
日本
の
輸出貿易
を、とりあえず十四、五億ドル
程度
まで拡大しなければ
目的
を達しないのであります。
従つて
その面に対しまして、さような
輸出
のできるような国内体制をと
つて
、
輸出
の増進をはかりますと同時に、各国との協定に対しましては、それらの
輸出
金額に達するまで限度を拡大する、さらにまた
内容
を広くいたしまして、できる限り
輸出
の可能な方法をと
つて
行きたい、それにマツチするような
貿易
協定をつく
つて
行きたい、かように考えておるのであります。
田代文久
54
○田代
委員
今の御
説明
は非常に抽象的でわからないのです。輸入
貿易
に重点を置かなければいけないのじやないかということが、新聞なんかでも盛んにいわれておるのですが、輸入
貿易
に重点を置くということは、言葉ではわかりますけれども、実情としましては、はたしてそれに重点を置いたところで、その
目的
を十分達せられるかどうか。具体的な現われとしましては、中共との
貿易
禁止ということが強硬にやられておること自体が、すでに輸入
貿易
というものの構想を、根本的に実際上の面でひつくり返していることになるように思いますが、そういう矛盾に対する
考え方
、また中共との
貿易
をそういう形に追い込んでおりながら、そのはけ口、それにかわるべきものとしてどういうように輸入を促進するという構想を持
つて
おられるか。
首藤新八
55
○首藤
政府委員
輸出
の増進をはかりまするためには、
日本
はどうしても加工
貿易
をやらなければならぬ建前から、輸入を前提とすることはお説の通りであります。しかしながら、ただいま御指摘の中共の問題でありまするが、朝鮮事変の進展から、中共に対して纖維並びに雑貨を除いた以外の物は、一応
輸出
禁止をとらざるを得ない情勢に相な
つて
参つたのであります。
従つて
今日まで中共方面から入
つて
おりました分だけは、何らかの措置を講じなければ、お説の通り
輸出
振興の基盤を失うことにな
つて
参るのであります。しかし今日まで中共から輸入しておりました一番大きなものは、開らん炭であるとか、あるいは大豆であるとか、その他植物性油等々がありまするけれども、これらは
アメリカ
あるいはその他の国で大体確保できる見通しをつけておりまするから、中共の方からの輸入がかりにストツプいたしましても、これがために
日本
の全面的な輸入に支障を来すということはないと考えておるのであります。
田代文久
56
○田代
委員
それは非常に楽観され過ぎておりまして困ると思うのですが、中共から来る開らん炭にいたしましても、また鉄鉱石などにいたしましても、これを
アメリカ
物に切りかえるといたしますと、値段の点からいいましても非常に開きがありますし、そのことは結局
日本
の負担が大きくなるという結果にもなりますし、また單に値段だけではなくて、現在の
アメリカ
の国情から申しまして、大体そういう戰略資材というものは、御承知のように非常に強力に統制されておるのでありまして、
従つて
そういう楽観がはたして実現するかどうか、むしろ実現しない方が非常に大きいし、また実際に価格の面からい
つて
も負担が増すのでありまして、そういうことがはつきりわかりながら、なぜ中国に対して
貿易
禁止をされるか、そういう点がわれわれ国民には納得できないのであります。その
コスト
の点で、
アメリカ
物が開らん炭と同じような価格で行くか、そういう点見通しがあれば御
説明
願いたいと思います。
首藤新八
57
○首藤
政府委員
値段が非常に高くたるというお説でありますが、なるほど値段の高くなるものもありますけれども、品位の点を考えますると、かえ
つて
安くなるものも非常にたくさんあるのでありまして、ただ表面の値段だけを指摘して、これで原価が上るとは断じ得たいものがたくさんありまして、中共以外に求めることによ
つて
大きな
損失
をこうむることは断じてないのであります。
従つて
われわれの見解といたしましては、米国初め、たとえば鉄鋼その他につきましては、フイリピンその他のところで十二分に確保できるというふうに考えております。 なお中共に対する
輸出
禁止の措置に対しましては、なるほど共産党は非常に反対するかもしれませんけれども、その他の国民は
政府
の措置に全面的に賛成し、支持してくれるであろうことをわれわれは信じておるものであります。
田代文久
58
○田代
委員
臨時
国会
もきよう限りでありますから、この問題はいずれ
通常
国会
において真正面より取組みます。本日はこれで終ります。
小金義照
59
○
小金委員長
ほかに御発言はございませんか。——それでは本日の
理事
会できようは午前中ということでありますので、これで終了いたしたいと思います。 第九
国会
における当
委員
会の審議は、これで終了いたしました。一言この席からごあいさつ申し上げます。 いよいよ本日をもちまして、本
国会
も終了いたすのでありますが、このきわめて短い
期間
のうちに、当
委員
会は十二回も開会いたしまして、連日御努力、御精励を願つたことに対しまして、あつくお礼を申し上げます。鉱業法、採石法を初めとして、幾多の重要法案の審議に特別の御配慮を賜わり、ほとんど議了し得ましたことは、ひとえに
委員
各位の御協力のたまものと存じます。ここにあつくお礼を申し上げます。第十
国会
も明日から始まりますが、第十
国会
におきましても、特別の御協力をお願いいたしまして、ごあいさつといたします。(拍手)
首藤新八
60
○首藤
政府委員
通産省といたしましてもこの機会に一言御礼のごあいさつを申し上げたいと思うのであります。 本臨時
国会
に際しましては、前
国会
からの継続にな
つて
おりました鉱業法を初めといたしまして、合計六つの法案を提案いたしたのでありますが、会期きわめて短
期間
でありましたにもかかわらず、連日御熱心な御討議をいただきまして、しかもこの法案の全部に対しまして御協賛を得まして、ことごとく本
会議
を通過いたしましたことにつきまして、衷心から感謝の意を表するものであります。なお明日から開かれます
通常
国会
に対しましても、目下十四、五の法案が
予定
されておるのであります。さらに格段の御配慮と御支援をいただかなければ相ならぬかと存じますが、何分にもよろしくお願い申し上げたいと存じます。
簡單
でありますが、一言御礼を申し上げます。(拍手)
小金義照
61
○
小金委員長
それではこれをも
つて
散会いたします。 午後零時四十二分散会