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1950-12-06 第9回国会 衆議院 地方行政委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十二月六日(水曜日)     午前十一時二十五分開議  出席委員    委員長 前尾繁三郎君    理事 河原伊三郎君 理事 龍野喜一郎君    理事 藤田 義光君 理事 門司  亮君       大泉 寛三君    川本 末治君       清水 逸平君    吉田吉太郎君       鈴木 幹雄君    床次 徳二君       山手 滿男君    久保田鶴松君       木村  榮君    立花 敏男君  出席国務大臣         国 務 大 臣 岡野 清豪君  出席政府委員         全国選挙管理         委員会委員   長  世吉君         総理府事務官         (全国選挙管理         委員会事務局長         事務代理)   石渡猪太郎君         総理府事務官         (地方自治庁次         長)      鈴木 俊一君  委員外出席者         議     員 倉石 忠雄君         総理府事務官  皆川 迪夫君         総理府事務官         (地方自治庁行         政課長)    長野 士郎君 十二月六日  委員池見茂隆君、高塩三郎君、圓谷光衞君及び  松澤兼人辞任につき、その補欠として首藤新  八君、久野忠治君、小西英雄君及び大矢省三君  が議長指名委員に選任された。 同日  委員小西英雄辞任につき、その補欠として小  玉治行君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 十二月五日  地方税法中道府県普通税改正に関する陳情書  (第三一七号)  地方公務員給與ベース改訂及び年末手当に関  する陳情書外六件  (第一二一号)  地方公務員給與ベース改訂及び年末手当に関  する陳情書外三件  (第二二四号)  地方公務員法制定に関する陳情書  (第二三九号)  市民税の賦課に関する陳情書  (第二三一号)  地方自治改善強化に関する陳情書  (第二三三号)  地方選挙施行期日に関する陳情書  (第二三四号)  消防施設公共事業として認定の陳情書  (第二三八号)  平衡交付金増額に関する陳情書外四件  (第二  四七号)  横浜市の平衡交付金増額に関する陳情書  (第二四八号)  地方債わく拡大に関する陳情書  (第二四九号)  木材引取税の廃止に関する陳情書外一件  (  第二五四号)  宿泊料並びに大衆飲食店に対する遊興飲食税免  除の陳情書(  第二五七号)  消防団団員公職選挙立候補についての陳情書  (第二五九号)  平衡交付金増額並びに地方債わく拡大に関  する陳情書外三件  (第二六〇号)  平衡交付金増額に関する陳情書外十五件  (第二六一号)  地方税中道府県普通税改正に関する陳情書  (第三六九号)  地方自治法第百條第十二項の完全実施陳情書  (第  二七三号)  地方職員給與ベース改訂に伴う財源措置に関  する陳情書外一件  (第二七四号)  安城町の平衡交付金算定に関する陳情書  (第二七五号)  地方職員給與ベース改訂等に伴う財源措置に  関する陳情書(第  二七七号)  自治警察費国庫助成に関する陳情書  (第二七八  号)  道府県起債わく拡大等に関する陳情書  (第二八一号)  地方公務員に対する労働基準法適用陳情書  (第二九一号)  地方自治改善強化に関する陳情書  (第二九八号)  市町村昂税引下げ等に関する陳情書  (第三〇三号)  狩猟税減免に関する陳情書  (第三一四号)  昭和二十五年度以降退職した自治体警察吏員の  退職金に関する陳情書  (第三二〇号)  地方公務員法制定反対に関する陳情書  (  第三二六号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  参考人招致に関する件  小委員及び小委員長選任に関する件  地方公共団体議員及び長の選挙期日等臨時  特例に関する法律案内閣提出第七号)  全国選挙管理委員会法の一部を改正する法律案  (倉石忠雄君外七名提出衆法第三号)     ―――――――――――――
  2. 前尾繁三郎

    前尾委員長 これより会議を開きます。  まず日程の順序を変更しまして、全国選挙管理委員会法の一部を改正する法律案倉石忠雄君外七名提出議題といたします。提出者倉石忠雄君より、提案理由説明を聽取いたします。倉石忠雄君。
  3. 倉石忠雄

    倉石忠雄君 全国選挙管理委員会に関する法律改正案提出いたした代表者といたしまして、趣旨を御説明申し上げたいと存じます。  この全国選挙管理委員会というのは、初めてつくられました行政委員会でありまして、その後いろいろな委員会ができております。たとえば公正取引委員会、それから日銀政東委員会国家公安委員会というふうなものがたくさんできております。公正取引委員会委員長ほか六名で七名であります。日銀政策委員会も同じく七名、国家公安委員会は五名であります。国鉄管理委員会は五名のほかに特別委員を一名加えまして、六名であります。運輸審議会は会長以下六名、大体こういうふうになつておりまして、その後つくられました行政委員会はすべて最大限度が七名の委員でありまして、そういう意味で、第一に私どもはこの委員会の九名は、七名に減ずべきが妥当ではないか、こういうことでございます。もう一つは、目下われわれはあらゆる点で国民負担を軽減しようとい、建前から、行政整理政党政派を離れて希望されておるところでございますので、そういう一つ意味から、この委員会法律改正いたしまして、九名を七名に減じようということであります。大体提案趣旨は右申し上げた通りであります。
  4. 前尾繁三郎

    前尾委員長 これより質疑に入ります。質疑はございませんか。
  5. 門司亮

    門司委員 ちよつと聞いておきたいのですが、この委員任期が満了したときにこれを行われますか。それともこの法案が施行せられますと、ただちに現在の九人のものの二人がおやめになるということ一になるのですか。
  6. 倉石忠雄

    倉石忠雄君 私どもの解釈といたしましては、期日ははつきり記憶いたしておりませんが、十二月の通常国会会期中に任期が切れるはずであります。そこで本法律案は今会期中に決定いたしまして、できますれば、通常国会の劈頭に指名をしなければならないと存じます。この法律は、次の委員が任命されるまで、現在の委員が在任するということになつておりますので、本国会中にこれを御決定を願つて、来国会の初めに指名していただく、期日は確実に記憶いたしておりませんが、任期は多分十二月中に切れるはずであります。
  7. 前尾繁三郎

    前尾委員長 質疑がなければ、本議題あとまわしにします。     —————————————
  8. 前尾繁三郎

    前尾委員長 次に地方公共団体議員及び長の選挙期日等臨時特例に関する法律案内閣提出第七号を議題として質疑を行います。
  9. 床次徳二

    床次委員 二、三これに対してお聞きいたしたいと思います。今度の特例によりますと、従来と同じように、選挙を二回実施することになつているのであります。現在の選挙法そのもの立場からいいまして、二回やることがどうしても必要かどうかということを研究いたしたい。でき得れば、これが一回になし得ましたならば、投票民としての立場から申しまして、非常に時間の節約になり、特に長い時間が選挙運動に償われるということにつきましては、国民立場から申しましても、生産力その他に影響するわけであります。でき得れば、これは一日において実施することが可能ではないかという気がするのですが、この問題に関しまして、事務局において、どの程度の御研究をなさいまして、今回のような御提案なつたか。一日において実施するごとの不可能な理由をお聞かせいただきたいと思うのであります。  なおこの問題に関連いたしましては、従来の公職選挙法選挙方法そのものにも関連した事項があるのでありまして、私ども推察するのには、従来の公職選挙法を、そのまま前提としてお考えになられるようでありますが、場合によりましたならば、公職選挙法そのものの取扱いも改正してもいいのではないか、よい結果が得られるならば、多少公職選法改正いたしまして、同一日に実施するというようなことの方を選んだ方がよいのではないかと思うのであります。念のために例として申し上げますると、公職選挙法におきましては、選挙の際におきましては、一々投票用紙候補者氏名を自書することになつておるのでありますが、多数の選挙が同時に実施せられる場合には、これをみずから一人々々書くということになりましては、非常に投票手続が煩雑になりまして、なお投票者名前を覚えておるとか、その他の場合におきましても、いろいろ間違いを起しやすいのでありますが、かりにこれを符号によつてする、あらかじめ投票用紙候補者名前印刷しておきまして、これに対して符号を付して投票をするというようなことを採用いたしましたならば、あるいは運用も容易ではないかと考えられるのであります。記号による投票は、すでに最高裁判所の裁判官の国民審査に対しましても行われておつたのでありまして、こういう問題に関しまして管理委員会におきまして、いかがにお考えになつておられますか。それについてはいろいろ事情がおありかと思う。これに対しまして御説明をいただきたいと思います。
  10. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 地方選挙は、今度大体四つあるわけでありまするが、そういうようなものを、みなまとめて一緒にやつたらどうかという御意見でございます。理想といたしましては、御指摘のごとく、地方公共一体選挙を、できるだけ同じ日にやるということは望ましいことであると思います。單に選挙のみならず、各種の一般投票、ことに一の地方公共団体に適用されます法律投票でございますとかいうようなものも、まとめてやるというようなことにし、またでき得まするならば、国の選挙ともできるだけ統一して一緒にやるということが、一番理想なのであると存じまするが、それがためには、ただいま御指摘になりましたように、現在の選挙投票記載方法等に関しまして、記号主義を採用することも必要でございましようし、また投票用紙自体に関しましても、候補者制度等に関しましても、相当根本的に考究して直す必要がある存ずるのであります。またそれのみならず、地方団体の、たとえば長が欠けた場合に関しまして、その残任期間は、あるいは副知事でございますとかいうようなものを、暫定的に知事なりにいたしまして、その任期間はそのままで済ませるというような、アメリカ等で行われておりますような方法考えなければならぬと思いまするが、そういうようなことは、相当選挙の基本に触れました問題でございまして、来春に控えております今回の地方選挙につきまして、そのような根本的な改正をいたしますことは、選挙人の側から申しましても、これを管理いたしまする選挙管理機関の側から申しましても、まだその時期に至つていないと思うのでございまして、この法案におきましては、さしあたつて現在の選挙管理機関能力において、また現在の選挙人の水準の程度において可能なる方法といたしまして、四つ選挙を二つにわけて、これを行うという立て方を、前回と同様にとつて来ておる次第であります。
  11. 床次徳二

    床次委員 ただいまのお話を承つたのですが、選挙人立場、あるいは管理人等立場から見まして、これを具体的に実施する時期に至つておらぬというようなことを理由におつしやるのでありますが、これを簡單にそう判断することができるかどうか、この点は相当問題じやないかと思うのです。国民立場から申しますと、もう相当選挙にはなれて参りましたので、投票することそのものに対しましては、そう困難はないのではないか、むしろそれを要望しておるのじやないかと思うのであります。しこうしてあと残つたものが事務的な問題でありますが、事務的方面において、はたしてどういうところに困難があるかといつたことについて、検討したいのでありまして、どうしても事務的の困難さがありましたならば、あるいは法律改正する等、それに対する適当な善処をいたしまして、でき得る限り事務的の障害も打開するというのが、われわれの立場ではないかと思うのでありますが、どうもその点に対してあまり深い者考慮なしに、單に現在の法律をそのまま前提として、この法案提案なさるということに対しては、いささか私ども遺憾に思うのであります。もう少しその具体的な困難性と申しますか、あるいは時間的に間に合わないというような事柄に対しまして、具体的な御説明を伺いたいと思います。
  12. 皆川迪夫

    皆川説明員 細かい点になりますので、私かわつてとつお答え申し上げます。技術的にただいま候補者氏名印刷した投棄用紙選挙に用いることができないということでありますが、これは一番大きい理由一つは、候補者の数が現在の選挙制度によりますと、まつたく自由にされております関係上、たとえば参議院の全国区について見ますと、三百人を越しておる候補者立候補しておるわけであります。それから地方議会におきましても定数が非常に多い。市会議員の場合には二百人あるいは三百五十人という候補者が立つ場合が相当にあるのでありまして、こういう候補者を一枚の投票用紙に書いて、しかもそれが同時選挙でありますと、何種類もの投票用紙が出て来るわけであります。こういうときに、何百人もの候補者投票人に示して、ただちにその中から適切な候補者を選択させるということは、現在の選挙人にとつて多少負担が大きいのではないかということが、第一に考えら  もう一点は候補者氏名印刷することにいたしますと、やはり相当の設備がないと、ことに小さな市町村印刷能力がない、あるいは他にまねのできるような簡單印刷をいたしますと、投票用紙の偽造というようなことも考えられますので、そういう点から申しましても、ただいまただちにプリンテッド・バロツトの制度前提にいたしましてこの法律を立案するということはできないと考えたのであります。
  13. 床次徳二

    床次委員 ただいまの御答弁は、非常に候補者の多数ある選挙を含んでおるから困難だというお話でありますが、これは考え方によると思う。たとえば四種類選挙が同時に行われますが、その中でもつて最も候補者の多いのは市町村会議員だと思う。従つて四つ選挙のうち、市町村会議員だけは、従来の記名投票かを使つて、その他のものは印刷することができるように考えますならば、必ずしも不可能じやない場だろうと思う。こういう点についてどうもまだ十分具体的な御検討がないのではないか。もう少し私どもとしてはこれに対して伺つてみたいと思う。  なお候補者名簿印刷の問題でありますが、これに関しましては、われわれ直接投票を受ける者の立場から、過去の経験から見まして、津々にして順位のよい場所にまず第一に名前を掲げたいという考えを持つのが普通だと思うのであります。こういう問題に関しましては、できるだけ名簿に記載せられましたものに対して、公平にこれを取扱うために、ある程度まで候補者名前を順次とりかえまして、同じような機会を與えるというような制度が、すでに外国の例等におきましてもあると思います。むしろ名簿投票なるものは、欧米の通例になつておりまして、この中にはわれわれの懸念に思うような公平を欠くというような問題に対しましては、ある程度まで解決されておるのではないかと思いますが、こういう問題に関しまして、すでにアメリカ等制度等につきましては、御研究があるのではないか。われわれはこういう方面研究の結果も伺いたいと思うのでありますが、いろいろの例を組合せてみますると、必ずしも不可能だという結論が出ないのではないか。今の名簿の問題につきましても、かりに市町村会議員だけをはずしまして、あと三つだけを印刷するとすれば、大した名前の数にはならない。しかもこれは相当前に立候補の届出をすることにいたしますと、その名簿印刷につきましては、そう困難もないのではないか。たとえば今まで印刷した選挙公報とか、あるいはその他の印刷に多少障害があるかもしれませんが、ほかの方を縮小いたしましたならば、投票そのものに対してはあまり困難がない。従つて選挙全体から見まして比較考量いたしまして、全体の結論を出すべきものと思うのであります。こういうことについて実は私どもは具体的にこうしたいというふうには、まだはつきりした意見を持ちませんが、十分判断資料を與えていただきたいと思う。
  14. 皆川迪夫

    皆川説明員 先ほどは、現在の私たち考え方からして、名簿投票制度を採用することが困難であるという理由を申し上げたのでありますけれども、その前提としまして、こういう制度を採用することがいいかどうかという問題があると思いますが、その問題については従来からしばしば議論されまして、まだ私たち、その制度がどうしてもただちに採用すべきであるという一般的な輿論なり、あるいは今までの国会審議において、そういう段階に達していないというふうに考えておりましたので、実は具体的にただちに日本で、今その制度を採用する場合のことを考えてはおらないのであります。ただ従来選挙制度の将来進むべき方向として研究しました程度におきましては、ただいまおつしやいましたように、アメリカにおきましても、すでに早くからこの制度が採用されまして、候補者の平等をはかるという意味では、たとえば多数の候補者立候補した場合に、その各人がそれぞれ一番最初に印刷されるという機会を與えるようなこまかい技術的な方法をとつておる所もあるように聞いております。しかしながら、これも先ほど申しましたように、多数の候補者立候補し得るというような、現在の日本制度においては、非常に困難が伴つて来ると思います。従つてただちに採用するとすれば、知事あるいは市町村長というふうに、候補者が少い制度についてだけ考えられるのではないかと思います。
  15. 床次徳二

    床次委員 ただいまの御答弁によりますと、名簿による投票を採用するべき時期に至つていないかのようなお考えかと思いますが、現に私がこうやつて御質問するということは、国会においても、もうすでにそういう機運相当出て来ておるのであつて、少くともこれを十分研究してこれから結論を出したい——ただいま法律案提案されましたが、この提案された法案そのものも、この国会意見をだんだんしんしやくして、新しい法律案ができ上るべきだと私ども考えておるのでありまして、この点におきまして十分研究してみたい。またこの法案ができ上るまでに、どの程度まで機運が今日高まつておるかということについて、ひとつ皆さん方研究していただきたい。選挙管理委員会におきましては、この次の選挙のあることにつきましては、すでに前からわかつておる問題でありまして、今相当時間がさしせまつておるというお考えでありますが、これは前から予定されておりますし、平素から十分研究があつてしかるべきだと思う。残されたわずかの時間でありますが、これから至急皆さん方もお考えいただきたい。われわれもこの法案を、結論を出すまでの間に、でき得る限り理想へ進んで参りたいという考え方を持つております。きようすぐにいろいろ材料等提出願うことは困難でありまするか、可及的すみやかにわれわれがこの問題を検討する資料をお持ちのものがあれば、ひとつ提供せられたいということを要望する次第であります。  次にお尋ねいたしたいのは、今回の選挙におきましては、長の選挙議員選挙順序がこの前の例と逆になつております。片方の選挙をすえ置いた関係上、比較的早くするところの長の選挙を、逆にうしろにずらしたという形になつたのかと思いまするが、いずれの種類選挙を前にするか、あとにするかということに対して、当局においてはいかように観察されておるか。その利害に関して検討されたことがありましたならば、理由説明していただきたいと思います。
  16. 長世吉

    ○長政府委員 先ほどプリンテツト・バロツト採用のことがありましたが、お説のようにそういう方法を一種類でも取入れて行くことができますならば、私も非常に理想的だと思つております。この問題は実は昨年以来委員会としても研究を多少しておりました。そのほか御存じでもございましようが、政府選挙制度調査会というものがつくられておりますが、その方でも研究しておりまして、実はまだ結論を得るまでに至つていない状態になつております。そこで今回の場合そういう方法を採用することができればいいとは存じたのであります。けれども、今にわかにこれを採用するだけの確信を持つた資料を十分に持ち合せておりません。そこまで実は結論を得ておりません。これから研究して行く部面が相当に多いと思います。それと、先ほどから政府委員がお答え申しましたような理由もありましたので、この際は四つ選挙をあわせて実施する、こういうようにただいまいたしておる次第であります。将来としてはこの問題は十分研究して行きたいと思つております。
  17. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 選挙順序を、知事市町村長選挙を先にして、議員選挙あとにする方がよくはないか、その辺についての所見はどうかというお尋ねでありますが、私どもはこの点に関しましていろいろ考究したのでございます。もちろんいずれが先がよろしいかということにつきましては、いろいろな角度から論の立つところであろうと存じまするが、政府において考えました案といたしましては、やはりあまり選挙期日を動かすということは、できるだけ避けた方がよくはないか、最小限度においてこれを動かす方がよくはないかということを一つ考えましたのと、いま一点は、御承知のように、ポツダム政令によりまして、昭和二十年九月一日前から昭和二十一年九月二日までの間、市町村長として在任いたしましたものは、市町村長選挙一任期間だけは立候補できないというのがございまして、この規定から申しますると、来年の四月四日まで、あるいは決選投票をやりました所では、大体四月十四日までは立候補ができないわけであります。この長の問題の方を考えて参りますると、どうしてもそれ以降にずらして行かなければならぬわけでありまして、これと地方議会議員との関係考えまして、地方議会議員の方はできるだけ動かさないという第一の原則からいたしまして、これを四月二十九日に行い、長の方はそれとできるだけ重複を避けるというような意味から、五月二十日ということにいたしたのであります。それより先に延ばしますと、農繁期に入るという一面の選挙人の不便も出て参りますので、そういうような見地から、五月二十日ということにいたした次第であります。
  18. 床次徳二

    床次委員 ただいま長政府委員の御説明によりますと、同時に選挙をやることは困難だと思うからというお話でありますが、この点は簡單に困難だといつて、次の機会に譲つてしまうべき問題ではない。十分研究すべきは研究して、われわれの理想の実現に努むべきものではないかと思うのです。これはわれわれの立場からも同様でありまするし、選挙する国民立場からも、選挙というものを可及的容易ならしめ、その負担を軽くするという意味におきましては、ひとしく望んでおるのではないか。今日の選挙民立場から申しますると、たといこの選挙が同時に行われましても、そう混乱を生ずるような状態にはならないのじやないか。いろいろの利害関係を比較検討いたしまするならば、すでに実施し得るような状態になつているのじやないか。單に事務的な立場においてその実施ができないのじやないか。困難な点がありまするならば、事務的の問題になるのではないかというふうに察するのでありますが、ここで簡単にできないという御答弁だけで、この問題を片つけるということは、いささか早計に失すると思うのであります。この点はさらにもう少し研究いたしたいのでありまするが、なおこの理想が、ただちに実現できないといたしまするならば、できる限り理想に近づけるという意味におきまして、三つ選挙をできるだけ寄せて行くということも考えられると思うのです。今日のこの法案によりますると、二十九日から翌月の二十日までの間に相当の期間があるのでありますが、どうしてもこれだけの期間が二つの選挙の間になければならないかどうか。できるだけ理想選挙に近づけるという意味において、これをもつと狭めることも可能なんじやないかと思うのです。こういう問題について、立案者においていかように考えておられるか、この点も承つておきたいと思います。
  19. 石渡猪太郎

    ○石渡政府委員 ただいまの四つ種類選挙を同時にやることについて、なお研究してという御意見でございましたか、私どもこの点につきましては、経費の点も助かりますし、選挙人の煩瑣という面からいたしましても、非常にいいことでございますので、いろいろ研究をいたしたのでございますか、最近の傾向からいたしますると、八人ないし十人くらいの開票立会人の立会のもとに開票が行われるのでございますが、その立会人のおのおのの方方が、投票の効力について一枚々々投票をめくつて、審査される状況が最近非常に顯著であります。これは一面非常にけつこうなことでございまするがそういうことからいたしますと、この六月四日の参議員選挙におきまして、地方区と全国区の開票の際にも、ある開票区におきましては、朝の八時ごろから始めまして、徹夜して翌日の十時ごろまでかかつたというような実情がございます。しかしてまた地方の選挙管理委員会から、四つ選挙を同時にやることについては、ぜひ避けてもらいたいという要望が強くございました。それからもう一つは、投票箱の点でありますが、現在までのところは二つの種類選挙については経験済みでございまするけれども、三種類以上の選挙を同時に全国に行つた経験はないのでございます。そうしてまた投票箱の容積からいたしまして、この際急速に投票箱をそのためにつくるということも非常に困難な事情もある。こういういろいろな観点からいたしまして、これは二つにわけざるを得ないのではないかという結論に到達いたしたような次第であります。  それからあと知事市町村長選挙と議会の選挙を、もう少し接近して行つた方がいいではないかという御意見のように拜聽いたしましたが、この点につきましてもいろいろ研究をいたしたのでございます。ところが、事務的なことを申し上げて恐縮でございますけれども、ちようどこのころは選挙公報市町村選挙管理委員会が、各所帶に配付する時期に際会いたしております。それからまた一方の議員選挙の開票を行わなければならないというような一つの問題があります。さらにまた立会演説会の開催というようなものが、その五月の十日ごろまでに非常に重つて行われますために、この時期をぜひはずしてもらいたいという要望が、これも非常に強くあつたのでございます。それからまた一面選挙運動の面からいたしましても、選挙を別にいたしましたからには、できるだけ二つの選挙の重複を避けるということが、やはり選挙人の判断その他からして適当であろう、あまり接近いたしまして四つ選挙選挙活動が非常に同時的に行われますということは、選挙人の判断の上からいたしましても、どうも適当でないのではないか。ことに県会議委員あるいは市町村会議員ということになりますと、候補者が非常に多数でございますので、そういうような活動がほとんど時期をひとしくして行われますことは、選挙運動の面からいたしましても、非常に不利な点があるのではないか。ことに個人演説会の開催等つきましても、場所的にも非常にむりがあるというようないろいろな観点からいたしまして、これはできるだけ時期を一つにすることは避ける方がいいということで、なるべくその時期を延ばすということに、考えを向けざるを得なかつたのでございます。先ほど鈴木政府委員からの御説明もありましたように、できるだけ延ばすといたしましても、このためにまた農繁期に入るということになりますと、これはまた考えざるを得ない。地方の要望といたしましても、延期するにしても、農繁期に入ることはできるだけ避けてもらいたいという要望も非常に強かつたのでございまして、東北方面の事情その他を考えますと、二十日という線が、どうもやはりぎりぎりの線ではないかということからいたしまして、若干選挙運動期間はだぶりますけれども、その程度なら支障はないのではないかということで、結論が出たような次第でございます。
  20. 床次徳二

    床次委員 私だけがあまり長く御質問をしていても、また他の委員からも希望があるだろうと思うのですが、今までのお話は概して選挙の管理事務に関する立場の方々からの御議論が多いと思う。これは一定の限られた選挙関係者だけの手では足りないという意味において解釈できるのでありますが、いよいよという場合には、各方面の助力を臨時に得るという形になりましたならば、事務的の困難に相当減殺し得るのではないか。私ども選挙というものは、何と申しましても選挙する国民立場から見まして、できる限り便利なようにして行く、またその負担を軽からしめて、しかも選挙の効果をあげるようにしたいと考えるのでありますが、どうも大部分の問題が、いわゆる管理事務の関係上、制約を受けているように思うのでありまして、これはもう少し管理事務を打開する余地があるかないかということについて、どうもあまり従来のわくに入つた範囲内で、お考えになり過ぎているのではないかという気がするのであります。これはもう少し研究もし、また私ども研究いたしたいと思う。各方面の御意見相当お集めになつておきめになつたようでありますが、各方面意見がある程度までまとまつておりましたならば、そういう問題につきまして、追つてお示しをいただきますれば、非常に参考になると思いますが、一応私の質疑はこの程度にいたします。
  21. 前尾繁三郎

    前尾委員長 門司亮君。
  22. 門司亮

    門司委員 この法案を直接審議するにあたりまして、提案理由説明と、最も密接不可分な関係を持つておりまする選挙期日のことについて、委員長に一応御相談を申し上げたいと思うのであります。それは御承知のようにこの法案説明の中に、「昭和二十六年四月に任期が満了すべき全国大多数の地方公共団体の議会の議員及び長の任期満了に因る選挙を予算編成の時期に行うことは適当でないので、その選挙期日特例を設ける等の必要がある。」こういうふうに実は理由書に書いてあるのであります。これを考えてみますると、現在選挙期日と予算編成の問題が、この法律提案理由趣旨にもなつておるようでありますが、これと同じような理由で、実は今岐阜県において知事選挙を行つておるのであります。岐阜県の武藤知事辞任いたしましたその理由の第一は、知事が責任政治を行う以上は、自己で予算を編成して、そうして自己の手によつてこれを執行することが、知事の責任政治であるということが第一の條件でありまして、その次にはそれを裏づけするといたしまして、前回の選挙において知事に就任はしたが、しかしすでに前の桃井知事が予算を編成しておつたので、自分は一年間というものは、非常にやりにくかつたということ、それからもう一つは四月に任期が満了すれば、三月に予算の編成をする、従つて二十五年度の予算の執行に対しては、知事は全住民の付託を受けておるが、二十六年度の予算の執行については知事には全部の付託を受けておらない、従つて自分の手で二十六年度の予算の編成をして、そうして知事が交代することは、そういう意味で住民の付託にこたえることができない、こういう実は三つ理由があげられておるのであります。それまでは一応いいといたしましても、実はそういう理由知事を突然やめて参りまして、そうして再び知事立候補いたしておるわけであります。その間に一体どういう事情があつたかということ——自分の手で予算を編成したので自分が執行することが正しいと考えており、自分の組んだ予算ではほかの知事が非常にやりにくいであろうから、自分は一応ここでやめるということは、一面非常に聞えがいいようでありますが、しかし再び同じやめた知事さんが翌日すぐ立候補なさるということは、ちよつとやめられた理由との間に私どもは何らかの事情がありはしないかということを実は考えるのであります。それに見習つて——見習うというと少し言い過ぎるかもしれませんが、刺激を受けて、岐阜県におきましては町村長が約二十名辞任をいたしまして、これの選挙を行わなければならないというようなことになつておる。そうなつて参りますると、單に予算の編成期というようなことが表面上の理由になつて、その内面は、自分が再選されることのために最も都合のいい時期に知事あるいは市町村長がかつてにやめて、そうしてこれに立候補選挙することができるということになつて参りますと、いかに選挙期日法律できめて参りましても、実際はなかなか行われないで、そうして地方の選挙というものが、いたずらに個人の陰謀といいまするか、個人の陰謀という言葉を使うと、少し言い過ぎるかもしれませんが、都合のいいように選挙が行われるというようなことになつて参りますと、提案されておりまするこの法案審議も、私どもはそういうことを十分考慮して、審議しなければならないかと考えておるのであります。従つて今この間の事情を十分知りたいと考えておりまするので、この法案審議の参考にいたしまするごとのために、岐阜県の前の知事の武藤さんは、今選挙をおやりになつておりますので、ここへおいでを願うことは困難かと思いますので、この間の事情を一番よく知つておりまする副知事、あるいは総務部長あたりの人を呼んでいただき、そうして岐阜県の現在の状況を聞くことができれば、この法案審議いたしまする上に、非常に好都合かと考えております。従つて委員長において、ひとつお諮りを願いまして、でき得れば、岐阜県でありまするからそう遠くはありませんので、明日にでもひとつ来ていた、だきまして、そうして事情を聽取することがいいのではないかと考えておりますが、委員長から本日このことをお諮り願いたいと思うのであります。
  23. 前尾繁三郎

    前尾委員長 後刻協議して善処しましよう。
  24. 門司亮

    門司委員 もう一言聞いておきたい。今までの選挙は、どこに不便があつたかということであります。この選挙法によりますと、單に四つ一緒選挙をすることが、非常に煩雑だというようなことが今言われておつたようでありますが、実際の問題といたしましては、実は四つ一緒選挙化たわけではありません。この前の選挙は市長選挙を先にして、議員選挙あとにしたというだけでありまして、やはりこれが二回に行われた。これはどういう理由で市長選挙を先にすることがまずいのか、これは期日の変更と同時に——期日の変更と言うが、期日の変更だけではありませんで、選挙の種別の大きな変更が実は行われておりますので、私どもは單に期日の変更だけだと考えるわけにはいかないのでありますが、今まで市長選挙を先にやつて議員選挙あとにやつたことに、どういう不都合があつたかということを、一応お聞かせを願いたいと思います。
  25. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この点は、先ほど床次委員のお尋ねにつきまして申し上げました通りでございまして、議員選挙を先にやりますか、知事市町村長選挙を先にやるか、これは両論がいろいろ立つと思うのでございまするが、この案におきまして前回の方式と逆にいたしまして、市町村長あとにまわしたといいますることは、任期と申しますか、選挙を執行いたすべき時期を変更しないことが、選挙人の側から申しましても、候補者の側から申しましても、また地方自治制度自体の建前から任期を定めておきまする趣旨から申しましても、適当であろうと考えたのでございまして、そういう見地から選挙期日の変更はできるだけ少くする。ただこの法案のねらいといたしておりますことは、地方予算の編成時期に選挙運動が行われますことは不便がございまするので、その時期を避けるということ、できるだけ一緒に行うということ、こういうことに重点を置いたわけでございまして、そういう趣旨が貫かれまする限り、最小限度選挙期日の変更を加えることにして参りたい、こういうふうに考えたのであります。  もう一つは、先ほど申し上げましたように、戦時中市町村長をいたしておりましたために、追放になつた人は格別でございまするけれども、追放でなかつた市町村長の人たちにつきましても、特にこの前の選挙からあと四年間は立候補を禁止するというポツダム勅令が出ておりまして、その勅令の禁止をいたしておりまする期間が、二十二年四月五日から二十六年四月四日まででございます。これは通常の第一回の選挙によつて、法定数の八分の三をとりまして、めでたく当選をした市町村長についての選挙が行われましたその地方団体についてでございまするが、決選投票を行わなければならなかつたようなところでは、さらに四月十五日ごろ選挙が行われておりまするから、それからさらに四年間ということに相なりますると、来年の四月十四日ごろまでは、立候補できないことになりまして、これはその趣旨としてはおもしろくございません。そういうようなことから、四月五日に行いますことは適当でありませんのでこれを延ばす。延ばすといたしますと、議員の方は動かさないという建前からいたしまして、首長の方を先ほどいろいろ説明のございましたような趣旨からいたしまして、五月の二十日くらいが適当であるというふうにいたした次第であります。
  26. 門司亮

    門司委員 一番あと理由については、一応考えられる余地もないではないと考えておりますが、前段の理由は、私はまつたく逆な考え方ではないかと考えております。予算の編成ということをいわれておりますが、予算の編成に当りますものは地方議会ではありませんで、おそらく理事者がこれに当るべきだと考えておる。そういたしますと、予算の編成はずつと遅れて参りまして、五月に選挙いたしますと、それから知事あるいは市町村長が自分の手元でかりに予算を編成するといたしましても、それはかなり延びるのであります。私は少くともその前にでき得るだけ市町村長あるいは都道府県知事が先に就任しておつて、一応の地方団体の予算の執行であるとか、あるいは予算の部面について調査研究して、その上で市会の招集をされることの方が、私は理論的には正しいと思う。予算に対して何らの——何らのというと語弊があるかもしれませんが、議員を先に選挙をしておいて、あとから予算を編成し、あるいは予算の執行をするものができるということは、この法律提出された理由趣旨から行きますと、私はまつたく逆な考え方であると思う。私どもはそうした意味から考えて参りましても、單に片方の選挙期日だけを動かさないで、そして片方の選挙期日を動かそうとするから、こういう結果が出るのでありますから、そういう便宜主義ではなくて、ほんとうに予算編成の時期で、まずいということになるならば、議員選挙も同じようにこれを先にずらして首長選挙を先にやることの方が、私は理論的には正しいと思う。従つて私が聞いておりますのは、第三の一番最初の理由だけは一応聞きとることができますが、今までの予算編成にあたつて、一体どういう弊害があつたかということであります。どうしても首長の選挙を先にやらなければならないということになりますと、四年前に行つた選挙の結果というものが、そこにどういう形かにおいて現われて来なければならない。私は繰返して申し上げますが、一つ選挙だけを先に動かせばいいというような便宜主義で、法律を変更するということは、非常に無意味だと思う。どういう弊害があつたか、その例をここで示していただきたい。
  27. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 予算の編成あるいはその審議につきまして、弊害がありますために、選挙期日を動かしたという考え方では全然ないのでありまして、要するに知事市町村長にいたしましても、議会の議員にいたしましても、いずれも自分の任期がまさに終り、それの選挙運動がすでに始まつておりますときに、おちついて予算の編成もできないし、おちついて審議もできないという、その時間的な重複関係を避けまして、それぞれ自己の選挙運動もやれるようにいたそう、両者の間に不都合がないようにしようということでございまして、過去に弊害があつたから、そういうふうにしようという考えは毛頭ないのであります。
  28. 門司亮

    門司委員 そうすると、これはますますおかしな形が私は出て来ると思います。ここに選挙理由に、はつきり書いておりますように、任期満了による選挙運動が、予算編成の時期に行われることは適当でない。こういうことが書いてある。予算編成の時期に行うことが適当でないとするならば、予算編成に適当な時期は、一体いつかということであります。これは非常にむずかしい問題であります。いずれにいたしましても、これはいたちごつこでありまして、もし適当な時期ということが、ほんとうに正しいということならば、補正予算を出すべき、あるいは追加予算を編成しなければならないような時期、いわゆるずつとずらして、九月あるいは十月の年度半ばにこれを行うならば、私は話はまだわかると思う。しかし一箇月ここで延ばしてみて、一体どれだけ予算編成に問題が残されておるか。ただ知事選挙あるいは市町村長選挙は、四月に行つて参りましたが、予算の編成は、大体年度の関係から従来は十二月に予算編成をしておつたのでありますが、最近はそうは参りませんので、二月ないし三月には、大体予算の編成ができていなければならないと私は考える。そうするとこの選挙は四月であります。知事選挙と一体どれだけこれが重複しているのかということであります。私どもはこういうことは、もしこの理由に書いてありますように、予算編成に非常にさしつかえがあるというなら、もう少し思い切つて延ばすなら延ばした方が、これだけの理由ならそれの方が私は通りがいいと思う。ただ四月の最初に行います選挙が、ちようど三月とかかるから、どうも選挙が行いにくいというようなことになつて参りますならば、これは理由は同じでありまして予算を決定いたします議員任期が、ちようどこの選挙期間にぶつかる。單に予算の編成だけをするのが知事の仕事ではありません。予算の決定をいたしますのは、地方の議員でなければならない。そうするとこの任期中に議員選挙がこれと衝突をして来る。こういうふうになつて参りますと、これはほとんどいたちごつこであつて、この提案趣旨が私にはよくわからぬのであります。こういうことがありますために、先ほどから申し上げておりますような岐阜県のようなことができて、こういうことをたてにとつて、最も自分の都合のいいときに選挙を行うということで、住民がせつかく四年間負託した任期の途中でやめて、またその人が立候補して選挙に出るというような不徳義なことが行われるのでありますから、この点はもう少し提案理由をはつきり私どもにわかるようにしておいてもらいたい。と同時に、もしそれが便宜主義で行われるとするならば、知事あるいは市町村長選挙というものを別々にしないで、知事選挙を行いまする場合には、これに対して都道府県の議員選挙を行う。そうして県政に対します一つの目標において、議員選挙も市長の選挙もお互いに争う——争うというと語弊がありますが、住民がこれを判断をして行く、あるいは市町村長選挙一緒に行われて、そうして自分の所属しております自治団体の方向というものをきめて行くことの方が、非常に住民にとつては、選挙趣旨から申し上げましても、私は理論が立つのではないか、こういうふうに実は考えるわけであります。この点に対する当局の御見解を承つておきたいと思います。
  29. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この提案趣旨をさらに敷衍して申し上げますと、現状のままでもしもこれをやりますと、首長の方の任期は原則として四月四日、決選投票をやつたところでは、四月の十四日前後でございますから、その任期満了前三十日以内に選挙をいたすことになります。従つて三月の五日あるいは三月の十五日ごろから告示が行われますから、一番遅い場合でそういうことになりますし、もつと早く、三十日前にやるということになりますと、それからさらにさかのぼることになるわけでございます。そういうことになりますと、これはまさに予算の編成、審議の時期が選挙運動のさ中ということになるわけでございます。その予算の編成の時期は、門司委員も御承知のごとく地方自治法では、年度開始前に予算を議了しなければならぬことになつております。そこで二十六年度の予算は、まさにいまの選挙運動の時期にぶつかるわけでございます。これは非常に選挙運動をする側から申しましても、ぐあいが悪いわけでございます。現在知事市町村長なり、議員になつておる人が、自己の選挙運動をやらなければならぬ時期が、その地方団体の予算の編成の時期になるわけでございますから、これでは動きがつかないという意味で、その時期を避けようというのが、この法案の主たるねらいでございます。これを避けるためには繰上げて行く方法がございますとともに、一つは繰下げて行く方法があるわけでございます。繰上げてかりに一月ごろに選挙をやつて機関を更新して、また新しい知事、新しい市町村長、新しい議会で編成をやるというのも一つ方法でございますけれども、そういたしますと、全面的に現在任期のあります知事市町村長あるいは議員に対して、その任期の利益を奪うということになりますので、これはどうも適当ではないというふうに考えたのであります。そうなりますと、残された道は何かと申しますと、結局今までの通常予算の編成、審議の時期を避けまして、要するに四月に入りましてから選挙の告示が行われ、選挙の運動が行われるようにすることが適当であろうというふうに考えたのであります。そこで議員の方は四月二十九日が選挙の日でございますから、本来から申しますと最終の日は四月二十八日でございます。それでございますと三月三十日というのが告示の時期になりますので、一日ずれて四月二十九日ということに考えて、選挙の告示は三月三十一日でよいというふうに考えたのでございます。そうなりますと、予算の編成、審議の時期とは一日——最後の日にもむということがあれば別でありますが、まずぶつからない。四月三十日にすれば、その日も避けられるわけでございます。そういうことで三月三十一日に告示して、できるだけぶつかることを避けよう、こういうことにしたわけであります。一方知事市町村長の方はそのままにしておきますと、これは頭からぶつかつて参りますので、こつちの方はどうしても動かさなければならない。その場合にやはり間に一つ議員選挙というものがございますから、先ほど来申し上げましたような趣旨で、同時選挙ができないということでありますならば、これはどうしてもそのあとにまわさなければならない、こういうことで五月二十日にしたわけでございまして、予算の編成の時期、審議の時期と選挙運動の重複するのを避けるという以外に、他意はないのであります。ただ理想論といたしましては、これはそういう予算の編成、審議が、翌年度の分が行われます前に、機関の更新が行われるということが望ましいのでありまして、今門司さんの仰せになりましたように、かりに次の会計年度の四月一日ということにいたしますならば、十月なり十一月のころに新しい知事市町村長あるいは新しい議会の議員が出て来ておるということが、一番望ましいと思うのであります。これは諸外国の任期満了前の選挙制度をとつておりますようなところでは、そういうような方式を大体とつておりますので、将来の問題としては、やはり一面において記号主義を採用し、同時選挙方式の法定を考えなければならぬと思いますが、その際には理想の体系をとつて参りたいと思いますけれども、現在の状態といたしましては、今申し上げましたような方法で、ともかくも選挙運動の時期と、予算編成、審議の時期とを避ける、これに主点を置いて考えた次第でございます。  それからいま一点お尋ねの、団体單位に選挙をやつたらどうか、知事と都道府県の議員一緒にやる、市町村長とその市町村の議会の議員一緒にやつたらどうか、これはその御議論の理由を十分理解できるのでございますが、ただ現在の選挙制度の建前から申しますと、何と申しますか、都道府県知事と都道府県の議会の議員一緒にいたしますと、御承知のように県によりましては決選投票というものが出て参ります。そういたしますと、結局その県では第一回の選挙のために二度選挙をやらなければならぬ。また市町村長市町村の議会の議員を全部一緒にやりましても、この場合もまた決選投票が出て参りますから、これもまたそういうところでは二度やらなければならぬ、そういうふうにいたしますと、二つずつまとめて二回で済むべきはずのものが、結局四回になつてしまう、こういうことになるのであります。ところがこの政府提案の方式で参りますと、知事市町村長一緒にいたしますので、これが決選投票が出て参りますれば、その方は二回になるかもしれませんが、あと議員だけ一緒にやつておりますから、これは一回で終ります。そこで三回選挙人に足を投票所に運ばせるか、四回ですませるかということを考えて参りますと、これはやはり少い方がよろしいので、政府案の方がよくはないか、これは單に選挙人の便宜の問題のみならず、経費の点から申しましても、数が少い方が節約になるわけでございますし、さらにいま一つは、市町村選挙と府県の選挙を組み合せました方が、やはり選挙民選挙の関心というものは、市町村選挙、ことに町村議員選挙において非常に強くなりまして、従来の投票率の成績から申しましても、これが一番高いのであります。市町村選挙と県の選挙を組み合せますれば、投票率がよくなり、選挙に多くの選挙人を動員できる、こういうような一つの付随的な利益もございますし、また選挙人候補者を明確に判別できるという点から申しましても、大きな団体の候補者と、小さな団体の候補者との方が混乱を来さない。お互い小さい団体の候補者ということになりますと、市町村長議員との間に、どちらがどちらの候補者であつたかの混乱を来すようなこともありますので、このような政府案の方がよくはないか、かように考えております。
  30. 門司亮

    門司委員 私はただいまの政府委員説明なら断じて承服はできません。選挙と行政と結びつけないで、ただ軍に便宜主義的に選挙を行うというようなものの考え方はやめてもらいたい。少くとも地方の行政は、住民の死活に関係する最も重要な問題である。それが便宜主義的に、こういうことがいいのだというようなことであつてはならない。私どもは少くとも選挙を行います場合には、四年間のその自治体の行政を負託する住民にとつては、最も重要な、大きな関心事でなければならない。そう考えて参りますならば、選挙というものは必ずその四年間を負託する、この住民の負託にこたえて、十分に施策の行えるような仕組みを一応選挙の上にとつて行かなければならない。それには住民がその住んでおりますおのおのの公共団体の性格なり、あるいはおのおのの公共団体の行き方というものを十分認識して、そうして選挙が行われるということが、私は正しい政治的理論でなければならないと考えておる。費用が少しかさむから、これを便宜主義的に縮めるとか、費用が少しよけいいるから、これをかえたらどうかというようなことで、選挙がもし行われるとするならば、それは自治体のほんとうの建前からいつて、正しい民主主義の政治にはいつまでたつてもならない。住民の最も関心を持つておりますのは、選挙期日であるとか、選挙の煩雑であるとかいうこともあるでありましようが、しかしもしほんとうにそういう意見があるとするならば、それは選挙の重大性というものが、十分に啓蒙されていない一つの現われだと、私は考えておるのであります。私がさつき申しました意見というものは、少くとも自分の所属しておりまする公共団体の性格をはつきり現わして、そうしてそれにおのおのの住民が投票するということにいたしますならば、どうしても私どもといたしましては、市長の選挙市会議員選挙とが、同時に行われるのがほんとうだと思う。そうすればこの選挙期間中というものは、住民はあげて、その市の市政に関する意見というものが非常に高まつて来る。これに県の知事が加えられると一体どこからどこまでが市政で、どこからどこまでが県政であるかというようなことが、もし議論をされるというようなことになりますと、住民の選挙に対する関心が二分されて参るということは必然である。何が何だかわからないが、とにかくいつの間にか知事選挙をやつてしまつたのだというようなことで、知事選挙は行うべきではないと私は考えておる。当然県政は県政として、十分批判する機会選挙民に與える方が、私は選挙の意義は重大だと考えておる。私はもし政府がどこまでもそういう便宜主義的な考え方をするならば、実状に適しておるというお考えならば、私はその考え方は誤りだと思う。今の住民が選挙に対する、政治に対する関心が薄いのであるとするならば、それを啓蒙する道を開かなければならない。そういうことのためにも、やはり自分の住んでおる市町村なら市町村の政治というものを、一箇月間十分住民に判断する機会を與えてやることの方が、私は親切なやり方であり、正しい行き方でなければならないと考えておる。従つてこれ以上の討論はいたしませんが、ひとつ十分その点を何でもお役所式に、便宜主義にものを考えないで、もう少し本質的にものを考えて議論をしていただきたいということを申し上げておきます。  それから次にもう一つつておきたいと思いますることは、選挙はこれは特例になつておりまするが、さつきの鈴木さんの御意見では、何か根本的なことを考えなければならぬというような御意見がありましたが、特例でこの選挙というものが設けられるということは、私は選挙を行いまする上において非常に困ると思います。これは特にこの選挙ばかりではありません。いつの場合でも、選挙がありますると、必ず選挙特例が出て来る。参議院の選挙をやれば、必ず参議院選挙に関する特例法というものが出て来る。おそらく衆議院の選挙があれば、衆議院の選挙に関する特例法というものが出て来ると思う。こういうものは、すべて便宜主義的にものを考えて、本質というものが比較的考えられない結果ではないか。民主主義の政治に重大なる関連を持つておりまする選挙というものが、あまりに便宜主義的にもてあそばれているというと語弊がありまするが、私どもはそういうきらいがあるように考えるのであります。従つてこの特例法は特例法として、そういう基本的の政治に関する選挙法の改正というものを、一体いつころなさる御予定であるか、これをひとつおわかりなら、お聞かせを願いたい。
  31. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 基本的な選挙制度——国の選挙につきましては、私が申し上げる所管でございませんので別でございまするが、地方の選挙に関しましては、私ども考え方といたしまして、やはり今の自治制度と、いま少しからみ合せまして、自治制度自体につきましても改革をいたし、選挙の時期というものも、やはりなるべく一定をして行くことが望ましいのではないか、こう考えるのであります。先ほど選挙の目的を明確にし、真にその市の選挙あるいはその府県の選挙趣旨を明確にするという趣旨から申しますると、なるほど御指摘のごとく一つ一つ選挙をやりますことが一番趣旨簡明でありましてけつこうなんでございまするが、これはやはり單に便宜的と仰せになりまするが、事務なり經費なり、いろいろ選挙民立場等を考えましても、やはりある程度そういう原則につきまして、調整を加えて行かなければならぬわけでございまして、私どもといたしましては、できるだけ地方団体の各種の選挙投票というものを一定いたしました日に行う。その日は全国民から申しまして一番適当なる時期であり、会計年度の関係から申しましても、一番適当な時期であるという日を選びまして、その日に一定して選挙を行う。もしも選挙選挙との間におきまして、議員がやめたというような場合におきましても、これは原則としてできるだけ選挙を行わないで、他に何らかの補充の方法考える。長が欠けました場合におきましても、同様にそういうような方法考える。また現在長の不信任決議あるいは議会の解散というような、任期を途中で中断せしむる方式があるのでございまするが、こういうようなものに関しましても、やはり現在の地方自治制度におきましては、必ずしもそういうものがなければならぬことはないのでございまして、将来の問題としては、そういう解散とか不信任決議とかというようなものもこれを改めるというような建前にいたしまするならば、任期の途中において長が欠け、議会がなくなるというようなことは、非常に少くなると思うのでございまして、一定した日にそういう選挙が行えるということになりまするならば、全国民の意思というものも、ある時点において明確に現われて参りまするし、そういうような見地から申しまして、でき得まするならば、何か地方選挙の時期も、国の選挙と結びつけて、一つの日に行うというふうなことにすることが望ましいと思うのでございまするが、これはまつたく研究の段階の意見でございまして、将来自治制度改正の時期において、考え直したいと思つておるのでございます。
  32. 立花敏男

    ○立花委員 現在の地方の住民が、新しい年度の予算に対します要望は、非常に切実なるものがあるだろうと思う。今まで四年間の地方自治体の議会の施策によりまして、その積り積りました結果、現在の苦しい状態に立ち至つておるのでございます。こういう人たちに一日も早くやめていただきたい。そういうのが地方の住民の要望じやないかと私は思う。そういう建前から考えますと、まつたく結論は逆になつて来る。政府の言つておられます予算の編成期に当るから、選挙を延ばすのだということは、地方の住民の要望からいたしますと、まつたく逆の方向へ行つておると思う。地方の住民は、御承知のように地方税は八割も七割も納まつていない。市民税に至りましては、二割も三割も減免申請が出て来る。こういう状態に立ち至つておるのでございまして、こういうことをやめていただきたい。来年もこういうことをされてはたまらない。だから、こういうことをやつた地方議員はただちにやめていただきたい。こういう要望が人民の意向だと思う。この際に、来年の予算の編成期に合致するから、こういう人民を苦しめるようなことをやつたやつをして、またこれに当らしめるのだという考え方は、根本的に間違いじやないか。これこそ政治が人民の側に立たないで、上からの政策的な考え方選挙というものが考えられているというふうに、私どもは解釈するのですが、この点に関しましては、鈴木君も繰下げるよりも繰上げる方が望ましいのだ、その方が理想的だと言われたのですが、なぜその理想的な方法をおとりにならなかつたか。私どもは一月でもいい、二月でもいい、ただちに現在の議員をやめていただいて、新しい、ほんとうに人民の生活を理解し、人民の負担を軽減する方向へ努力する人、またその力のある人を議会へ送り込んで、現在の人民の窮状を少しでも救いたいと思うのですが、なぜその理想的な選挙をおやりにならなかつたか、これをお尋ねしたいと思います。
  33. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 私が選挙の時期を繰上げてやつた方が理想的であるということを申しましたのは、選挙制度としてこれを考えました場合に、その方が理想的であるということを申し上げたのでございまして、その理想の形を今ただちにここに取入れますと、先ほど申し上げましたように、現に知事市町村長あるいは議会の議員である人たちに対しまして、結局次の知事市町村長あるいは議会の議員が、一月も二月も前から現われることになりまして、そういう団体では、知事市町村長は現在の者が将来知事市町村長になるとか、あるいは現任の議員と将来議員になる者とが両方いるというようなことになりまして、これは地方政治を非常に混乱に陥れることでもありますし、またそういうような、現に知事市町村長議員である者に対しましては、結局いつまでもその地位にいるということは困難でございましようし、結局においてその地位を去らなければならないということになりますと、任期の利益を奪うことになつてしまいます。そういう点から申しましても、どうも適当でないというふうに考えたのでありまして、さしあたつての問題といたしましては、このように選挙の時期を繰下げるよりほかに道がない、かように考えた次第でございます。
  34. 立花敏男

    ○立花委員 任期を縮めることが適当でないとすれば、延ばすことも適当でないということが言えると思う。これは同じりくつなんです。縮めることが悪ければ、延ばすこともいけない。この考え方のどちらがいいかということは、やはり住民の立場に立たなければ判断できないと思う。議員立場に立つているから、議員任期を縮めるのは議員の既得権の侵害である。議員立場に立つておるから、そういう結論が出て来るのだと思う。人民の立場に立つて考えれば、人民はどちらが利益か、どちらが人民の要望に合しておるかという点を考えれば、延ばすが妥当であれば、縮めることも妥当であろうと思う。これは必ずしもとれない方法ではないと私は思います。そういう意味で、やはりできるだけ理想的な形に一歩でも進んで行くような方向に進んでいただきたい。そういうふうに思う。  もう一つ根本的な点でお尋ねいたしたいと思うのですが、この勅令第三号の第一項には、「朕は、昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令」云々とあつて、実は戦争中から引続き市長、助役の職にあつた者は四年間立候補できないということになつております。これは戰犯者か追放者であるか、あるいはこれに類するような形で、とにかく公職につくことが望ましくない者だと思う。こういう者の立候補を可能にするために、選挙期日を延ばすということは、これは一体どういうことなんです。だれのために選挙期日を延ばすのか。こんなばかなことを、公然と民主国会の席上でお言いになることは許すことはできないと思う。だれの立場に立つて選挙期日をおきめになつているのか。明らかに戰犯に準ずる者であり、民主政治の指導者としてはふさわしくない者だ。それの立候補を可能にするために、選挙期日を延ばすのだというようなばかなことは、一体どこから言えるか。これは明らかに人民の立場に立つて選挙考えているのではない。最も根本的な問題であると思う。そういうことをお忘れになつて選挙のことを考えたり、地方政治のことを考えられてはべらぼうである。もう少し根本的に、まじめに考えていただきたいと思う。この点でなぜそういうばかげたことをおやりになつたか、お聞かせ願いたい。
  35. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 たいへんおしかりをこうむつて恐縮ですが、まじめに考えた結果こうなつた次第でございまして、第一点の任期を繰上げることに対して、それがいかぬというなら、任期を繰下げることもいかぬじやないか、こういうお話でございますが、この案といたしましては、任期は何ら動かしておりません。選挙の時期をかえておるだけでございます。  それから第二点の昭和二十二年一月四日のポツダム勅令でございますが、これは御承知のような経緯で、日本としてこういうような立候補禁止の勅令を、司令部の指示によつて出したわけであります。この勅令の趣旨といたしまするところは、一任期間、要するに今度の選挙には市町村長立候補してはいかぬ、こういうのがこの勅令の趣旨でございます。ところが、この選挙の時期の問題といたしましては、これは御承知のように選挙の日から三十日前にさか上つて告示が行われるわけでございますから、その点を考えますると、この勅令の規定自体におきましては、そこまでの点に明確に触れておりませんけれども、やはり一任期間立候補を禁止するという趣旨に基きまして、次回の任期選挙には立候補できるというふうにいたしますることが、この勅令の趣旨にも合致するわけでございまするし、またこれらの市町村長は、いわゆる追放の基準に該当いたしまして追放せられた者ではないわけでございまして、ただ遠慮せよということで、立候補を禁止せられておるわけでございますから、次回の選挙においては、その本来の趣旨従つて立候補できるようにいたすことが、これまた望ましいことであろうと考えたのであります。
  36. 立花敏男

    ○立花委員 私はそういう技術的な御説明では納得ができませんし、またそういう御答弁の範囲では、決してまじめに地方の選挙をお考えになつているとは受取れませんので、あくまでも御答弁は納得できません。  しかし次の問題に移りたいと思います。新しい選挙制度を地方貞治制度とからみ合せて考えるとおつしやつたのですが、やはり地方の選挙地方自治の原則に従いまして、どうしても地方の自主的な選挙にまつのがいいと思うのでございますが、これのためには地方制度の根本的な改革と、地方選挙の改革をからみ合さなければいけないのでございますが、現在の段階におきまして、やはり重要なことは、地方自治体の選挙に対する要望を、やはり強く地方における対策に反映させなければいけないと思うのであります。この点も私この案には抜けておるのではないか。全国の市長会は、二十八日の全国市長会議におきまして、この問題に関して決議をしております。これはおそらく御存じだろうと思う。この問題を無視されておる。また全国の町村長会議あるいは知事会議におきましても大体市長会議と同じような意見を持つている。そういたしますと、おきめになりましたこの選挙の案が、全国のすべての自治団体の要望を無視してきめられている。このことは地方自治の運営にとりまして、重大な問題だと思う。財政の問題につきましても、あるいは行政の問題につきましても、地方自治にまたなければいけない基本的な方針があるのですが、選挙の問題だけは、地方の意向を無視してどんどんおきめになる。またこういうことをおきめになる必要は、全然ないと思うのですが、にもかかわらず全国の市長会議等が、はつきりと決議まで付して要望し、要請いたしております意向を無視してまで、なぜこういうことをやらなければいけないか。この点が地方向治の根本的な方向と背馳すると思いますので、なぜ全国市長会議のこの決議をお認めにならないのか。またこの点について全国市長会議の人たちと、どの程度お話になり、またその全国市長会議の人たちが、この政府の方針を承認されているのか、これを聞いておきたいと思います。
  37. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 全国市長会の一部、また全国の市長のうちの一部の方が、そういう強い意見をお持ちになつているということも私聞いておりますが、この選挙期日特例法案につきましては、地方自治庁といたしましては、全国知事会、市長会、町村長会並びに都道府県市町村議長会の代表者をもつて構成しております地方自治委員会議に付議いたしまして、そこの御覧もいろいろ拝承いたした次第であります。いろいろ御覧はございましたが、結果的にこのようなことになつたのでございまして、私どもといたしましては、各方面意見は十分これを参酌いたしまして、このような案におちついた次第でございます。
  38. 立花敏男

    ○立花委員 そうなりますと、問題はいよいよ重大でございまして、鈴木君は全国の市長会議の一部にとか何とかおつしやいましたが、私ども受取つておりますのは、全国市長会の会長の川崎の市長金利不二太郎さんの署名で、しかもこれは、右は第九回全国市長会議の決議に基き要請すると、はつきりございまして、これは市長の一部でも、ある人たちでもございません。これはあなたのお考え違いだと思いますので、訂正しておきたいと思うのですが、これを私ども受取つておるわけであります。しかもこれはあなたの方へも一あるいはあなたのところに行つておらないかもしれませんが、自治庁あるいは選挙管理委員会などにも、出ておるだろうと思うのです。これは事実なんです。ところが一方あなたは全国の市長の代表をもつて構成する機関とは、連絡をとつたとおつしやる。そうしてこの提出された案がまとまつたのだとおつしやるのですが、そうすれば実際の全国市長会議意見と、あなたの方で全国の市長の代表だとお認めになつて構成されておりまするその機関とには、明らかに意見の食い違いがあるわけです。片一方ではこういう案はいけないのだということを全国市長会議で決議しておる。ところが同じ市長の代表者だという者をもつて構成するところの機関が、これでもいいのだと言つておる。そこには二つの意思が出て来ているわけなのです。これは私重大な問題だと思います。そういう混乱した地方の意思の上に立つて、地方の行政をおきめになり、また選挙の問題をおきめになることは、地方の実態が、あるいは地方の意思が、混乱して中央に反映されるのではないか、これは根本的な問題だと思いますので、なぜそこに意見の食い違いが起きておるか、お伺いした。
  39. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 市長会にそういう意見が当初ありまして、またある市長が非常に強い意見をお持ちであるということは、私前に聞いたのでございまして、そのことを申し上げたのでございますが、今全国市長会の決議になつたといいまするお話でございますが、これはつい非常に最近の……。
  40. 立花敏男

    ○立花委員 二十八日です。
  41. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これはすでにこの法案提案いたしましてから後のことと、私拝承しております。そういう御意見がありましたことは、私どもも重々承知いたしておるのでございますが、そういう御意見をもとにして御審議いただきまして、けつこうでございます。
  42. 立花敏男

    ○立花委員 もちろんそれはやりたいと思つておるのですが、私が提示いたしました問題は別個なんです。あなたの方で全国の市長の代表者とお認めになつている機関における全国の市長の代表的な意見だと思われる意見と、全国市長会議意見とが食い違つておるということだ。この問題に対して…。
  43. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 その点は地方自治委員会議に付議いたしました際におきましては、そういうような意味の強い固まつた意見というものは、全然なかつたのであります。従つてどもといたしましては、おちつきましたこの案を提案することにいたしたわけでございます。知事市町村長選挙を先にするか、あるいは議会の議員選挙あとにするかという点についての主たる意見であろうと思いまするが、この点に関しましては、先ほど来いろいろ申し上げましたような理由によりまして、政府といたしましてはこの方がより適切である、かように考えております。
  44. 立花敏男

    ○立花委員 いや、あなたの指摘された問題だけではございません。その問題はむしろ補足的な問題でございまして、やはり選挙期日をほしいままに変更することは、憲法に定める地方自治の本旨を、蹂躙するものであるという基本的なところまで、はつきりこの決議は表示しております。だからあなたの方の地方自治委員会議との連絡が、この決議が行われる以前に行われたという事実でございましたならば、新しい事態がこういう決議として発生しておるのでございますから、あらためてひとつ地方自治委員会議におけるこの地自治団体の代表と連絡をおとりになつていただく必要があるのではないかと思う。その上でもう一度ほんとうに地方自治団体の意向を盛り込んだところの案を出していただくように、これは決して、面目問題でも何でもないと思いますので、全国の自治団体の意見をほんとうに盛り込むごとこそ、全国の自治団体の選挙が正しく行われるゆえんだと思いますので、ぜひそういうふうな措置をとつていただきたいと思うのですが、この点はどうでございましようか。
  45. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 その点は別に私どもは憲法の保障しております地方自治の本旨を、何ら侵害するものではないものだと信じておるのでございます。と申しますと、この地方公共団体議員及び長の選挙期日特例と申しまする法律案趣旨とするところは、現在非常に逼迫して知りまする地方財政の現状におきまして、できるだけ少い経費をもつて選挙を執行するように全国的にこれを保障しようということに趣旨があるのでございまして、何ら自治を侵害しようとか、抑制しようとかいうようなことにあるのではないのであります。そういう見地から私どもはそのような意見には同意いたしがたいのであります。
  46. 立花敏男

    ○立花委員 これは憲法の問題をおつしやられましたが、実はそこに重点があるのじやないと思う。さいぜん読み上げましたところに、選挙期日をほしいままに変更せんとすることはと、はつきり書いてありまして、選挙期日をほしいままに変更するという、このことがいけないということを言つておるわけであります。憲法の問題はそれに付随いたしまして出て来ることでございまして、問題は選挙期日をほしいままに変更することがいけないので、市長会では明白に言つておるわけであります。しかもこれをもつと具体的に申しますと、ほしいままと申しますのは、中央の官僚が地方の意向を無視して、ほしいままに変更するということだと思う。だから、このままでいいのだ、おれはこのままでいいと思うから、このままでやる、市長会議がどのような決議をしようと、地方自治委員会議の地方団体の代表が、これでいいと言つたのだから、これでいいのだというふうな考え方で、期日を変更されることが、選挙期日をほしいままに変更することだと言つておるわけです。だからそういう態度ではなしに、こういう重大な決議を全国の市長会議がやつておるのですから、やはりもう一度納得が行くまでお話になつて、その上でこれは妥当だということになれば、私どもこれは出していただいてけつこうだと思うのです。その手続をもう一度おとりになる考えはないですか。
  47. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 政府といたしましては、市長会の意向が、そういう御意向に最近なつたということは、最近になつて承知いたしたわけでございますが、事前におきましても、そのような意見というものは、一つ意見として十分しんしやくをいたしたのであります。その他一応三団体の議長会でございますとか、知事とか町村会、そういう地方団体関係のみならず、いろいろの方面の意向等も十分しんしやくをいたしまして、このような案を到達いたしたわけでございまして、政府といたしましては、この原案が最も適切なる案であると考えておるのでございまして、政府としては目下のところこれを再考いたすという考えは持つておりません。
  48. 立花敏男

    ○立花委員 非常に困つたことだと思います。もちろんあなたの方もしんしやくされたでしよう。しかし全国市長会の方もしんしやくをしておる。あなたの方もしんしやくをしたかもしれませんが、向うも考えておる。あなたがはつきり言つておられますように、この決議は、この法案ができて提出されてから決議があつたのだと言つておられるように、この全国市長会議の決議は、政府がこういう案を出したということを承知の上で、やつておる決議なんです。ここで話合いをいたされませんと、おれはこう思うのだ、おれはそんなことに反対だ、こうなつてしまつては、これでは地方自治というものはどういう方向に行くか。もし地方自治団体にほんとうに自由な自治を與えるのなら、それでいいと思う。しかし中央でおきめになつたことによつて拘束されるという建前におきましては、そういう態度は地方自治を促進する態度でないのではないか。自分たちだけがしんしやくすればいいので、向うはこつちの態度をしんしやくして考えることを、もう一度こつちがしんしやくしないというのであれば、これはやはり官僚独善という態度だと言われてもしかたがないと思う。私どもは今詳細な資料もございませんので、ただちにこの案に対する可否は決せられませんが、しかしこういう問題で、こういう事態が起つておるということに対しましては、政府といたしましても、やはりもう一度事態の発展に応じて処理される必要がありはせぬか、こういうことをお聞きしておるわけであります。
  49. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 おそらく全国市長会とせられましても、立花委員のところにそういう書類を提出しておられるということは、国会においてその点を御審議いただきたいという趣旨であろうと思いますので、十分ひとつそういう御意見についても、御審議をいただきたいと思います。
  50. 立花敏男

    ○立花委員 もちろん私どもの責任でありますのでやりますが、あなたの方も考えたから、それで終つたのだというふうなお考え方じやなしに、もう少し地方自治体の立場をしんしやくなさつて、考慮される必要があるのじやないかと思います。鈴木君は学校時代からよく知つておりますので、これ以上申し上げませんが、ひとつ地方自治体の立場を、また意見を尊重してやるという大きなところで、もう一度折衝していただくことをお願いいたしまして、質問を終ります。
  51. 大泉寛三

    ○大泉委員 私もどうも選挙期日の変更に対しては、あまり感心しないのですが、できるならば、ほんとうに立花君の言われたように繰上げてもらつた方が、非常に地方自治体のためによろしいのではないか。それを繰上げることが議員の権利を削減する、あるいは剥奪するというのだからできないにしても、選挙だけはやつておいて、資格はとにかく期日まで残しておく方法もあると思うのですが、そういうことは考えられなかつたのですか。
  52. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 選挙を繰上げをいたしたといたしまして、任期を途中で打切つてしまう行き方と、お話のように任期は打切らないでそのまま続けて行く、選挙だけをとにかく先にやつておく、こういう行き方と両方あると思いますけれども、直接に繰上げまして、任期をぶつた切つてしまうということは、これは何と申してもあまりにも直接的でございまして、適当でないと思いまするので、もしも繰上げの方針によるといたしまするならば、御指摘のように任期はそのまま残しておいて、ただ選挙の時期だけを繰上げるということになるわけでございますが、しかしもしもその場合に前任の者がやめませんというと、結局におきましては予算の編成審議関係とはぶつかりませんけれども、新しく更新された機関が予算編成に当るという意味の、理想的な姿にはならぬわけでございまして、私どもといたしましては、かりにそういうふうに任期は奪いませんでも、現任の者と将来知事市町村長になるものと、あるいは現任の議員と将来議員になる者と、両者並行して存在ずるという形は、いたずらに地方政治を混乱せしめるものである、かように考えまして、そのような方式をとらないことにいたしたのであります。
  53. 大泉寛三

    ○大泉委員 それはそれでよろしいとして、ともかく議員の資格を失わしめるということと、住民の意思を繰下げてしまうということは、やはり住民の意思が尊重されるならば、立花君の言われた一つの結果を、私はどうも招来するのじやないかと思う。けれども議員の方を重く見れば、議員の職責をなるたけ全うせしめるということになるのでありまするが、アメリカの大統領なんぞは、先に選挙が行われて、そうして就任はたいへん遅れているようです。これはやはり日本制度もそういうような方向に近寄らせることが必要じやないかと思う。それから今定員を非常に変更する。いわゆる地方議員の定数を極度に減らして行つた方がよろしいという意見も流布されております。また新聞紙上でもそういうことが出ておるのであります。方々から私どもも聞かれますので、これに対して当局はどんなお考えでいられるのですか、全然、近い将来には減らす意向はないか、あるか。
  54. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 地方議会議員の定数を減少したらどうかというような意見は、たしかに意見としていろいろな方面にあることを、私どもは拜承いたしておるのでございます。政府といたしましても、過般たしか閣議におきまして、中央と地方の行政機構全体を通じて簡素化し、日本の国力に相応いたしました行政機構にしようというような考え方を、閣議で決定をしておられるようでございますが、そういう全体的な地方、中央を通じましての問題としては、将来の問題として考究をいたさなければならぬと思いまするが、目下のところにおきまして、地方公共団体の議会の議員の定数を減少するという考えは持つていないのでございます。
  55. 大泉寛三

    ○大泉委員 それからこの際ちよつとお伺いしておきたいと思いますが、いつかだれかに話されたことがありましたけれども、都道府県の議員の定数の問題につきまして、人口七十万までは四十人とする。それから七十万以上百万までは、人口五万ごとに一人ふやす。百万以上の都道府県は、人口七万を加えるごとに一人ふやすという計算になりますと、ちようどその境目になる百万前後になりますと、一方は少くて、一方は多いという一つの結果を生みます。これに対して調整法は考えておりませんか。
  56. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ちよつと恐縮でございますが、もう一度御質問の趣旨を……。
  57. 大泉寛三

    ○大泉委員 例をあげてみますと、人口百万のところはちようど四十六人になるが、百五万人になると四十五人という結果を生むのですが。
  58. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいまのお話は現在地方自治庁におきましては、人口七十万未満の都道府県は四十人、七十万以上百万未満の都道府県にあつては、人口五万を加えることに一人、人口百万以上の都道府県にあつては人口七万を加えるごとに一人、こういうような刻み方にいたしておりまするので、仰せのようなある段階を越えると、とたんにふえるというようなことになるわけでございますが、こういうような議員の定数の定め方はよろしいか、もう少し大きなわくで定めるようにするのがよろしいか、これらの点は今後の問題として研究してみたいと思うのであります。
  59. 大泉寛三

    ○大泉委員 この際意見を申し上げておきたいと思うのですが、候補者の経歴公報の発表、これに対して野村議員から脱落しておつたという一つのことを指摘されておりましたが、この経歴公報に対しては、順序を羅列すると、非常に利益、不利益があるので、これを一枚の紙もしくは二枚の紙にみんな候補者の経歴発表をやらずに、候補者一人一人にやる方が最も適切ではないか、こう思うのでありますが、全国選挙管理委員会の御意見として、これを変更する御意思はありませんかどうか、聞いておきたいと思います。
  60. 石渡猪太郎

    ○石渡政府委員 選挙公報の発行につきましては、当初昭和九年に選挙公的発行の制度がとられました際には、今大泉委員お話のような各候補者について一枚々々別な紙で発行されておつたのであります。その後用紙の事情が逼迫しましたり、いろいろな都合からいたしまして、一枚の紙に順序を抽箋できめて、全部を登載する、こういうような形式になつたのでございますが、現在の段階におきましては、今掲載文と称しておりますが、それは五百字というふうになつております。五百字の限度におきましては、非常にスぺースも小さいスペースでございますし、それを全部別々にいたしますと、かえつてある候補者のものが漏れるとかいうような危険もございまするし、それから用紙事情も、必ずしもまだ十分とは言えない状況にあるのではないかというような事情からいたしましても、今ただちに別々にするということは、ちよつと困難かというふうに考えております。
  61. 立花敏男

    ○立花委員 ちよつと私、附帯的な問題で、御意見をただしておきたいと思うのですが、住民投票がこのごろ盛んに行われておる。京都、奈良、神戸、東京、最近また芦屋もできたので、住民投票をやるのではないかと思いますが、住民投票の場合に、地方一自治体の動き地方が非常に問題になるわけです。住民投票に対するその選挙法規なんかも、はなはだ不明確なのであります。それで実は神戸で行われました国際港都法の投票の場合におきましては、市自体が一千万円ばかり投票費用を使いまして、そうして宣伝自動車を出しまして、市の吏員に日当を出して乗せまして、賛成投票をしたというようなことを言つてまわつておるわけであります。これは少し行き過ぎじやないかと思うのですが、何か最近ここずつとか行われました住民投票で、こういう問題をどういうふうに処理されたか、またどういう形で現われたか、またどういうお考えをお持ちか、お尋ねしておきたいと思います。
  62. 長野士郎

    ○長野説明員 ただいま住民投票査票が、最近一の地方団体にのみ適用される特別法について、多く行われるようになりました。そうしてその住民投票投票を促進させるためというよりは、むしろ賛成しろというような意味で、自治体当局が相当動いておるような傾向があるというようなお話であつたと思いますが、現在のところ住民投票につきまして、その投票について賛成あるいは反対ということは、法的には非常に自由な形になつておりますが、地方団体自体といたしましては、たとえば選挙管理委員会等におきまして、棄権を防止するとか、そういう啓蒙宣伝の意味で、いろいろな費用を使いまして、宣伝をされるということは、これは許されるわけでありますが、選挙管理委員会といたしまして、これに賛成投票をしろとか、反対投票をしろとかいうような意味で、運動をしておるものが、もしあるとするならば、これははなはだ不都合なことではないかと思います。但し市自体、選挙管理委員会以外の市当局として、そういうことをしたならば、どのようなことになるかというような問題がなお残るわけでありますが、この場合にもそういうことはなるべくすることは適当ではない。直接的にそれを禁止するまでにはなつておりませんけれども、これは適当でないという意味での指導を、たしか選挙管理委員会の方からやつてもらうようにいたしております。
  63. 立花敏男

    ○立花委員 これは何かGHQの方でも、神戸の場合は問題にいたしまして、市当局に対しまして、幾ら選挙費を使つたのか明細書を出せとまで言われて、市当局では非常にあわてておるようですが、実にひどいのです。私この問題で、あまりひどいので、市役所の港都法の選挙対策本部に参りまして、その企画責任者の部屋に参りますと、そこに神戸の商工会議所の賛成投票をしろという、でつかいりつぱなポスターがびしやつと張つてあるのです。その隣が選挙管理委員長の部屡なんです。それですぐ選挙管理委員長の部屋に参りまして、選挙管理委員長に、あの隣りの部屋のポスターは、あれはどうなんだ、もし共産党が反対の投票をしろというポスターを持つて来たら、あそこに並べて張つてくれるのか、ひとつ隣の部屋に張つてあるから、あなた見て来てくれないかと言つた。そう言つておきまして、今度は総務局長の部屋に行つたのです。ところが総務局長の机の真前にありますついたてに、びしやつと同じポスターが張つてある。実際ひどいのです。あまりひどいので、帰りにもう一度選挙管理委員長の部屋に参りますと、選挙管理委員長は、実はおれは見て来た、そうして今はがして来た、こういうことを言われておりましたが、こういうことが公然と御戸市役所では行われておるのです。しかも選挙管理委員会も同じ穴のむじなではないかと思います。隣におつてわからないはずはない。総務局長の部屋から、責任者の部屋からべたべた張つてつてわからないわけはないのです。その一つの例といたしまして、そのときは投票に来た者に宝くじをやつた。これで賛成させようというわけです。ところがそれからわずかたつて行われました最も重大な教育委員選挙には、宝くじが出ませんでした。またそのときは一千万円はおろか百万円も使わなかつたわけです。こういうことが実際公然と行われておるわけなのでして、こういうことを許しておいていいのかどうか。これは港都法そのものに対する賛成反対の立場もございますが、こういうことをやられましては、実際、何と申しますか、住民はばかにされるということを言われてもしかたがありません。神戸の場合は三割ばかり反対がございましたが、この反対の人が納めました市税を使いまして、賛成の運動をやつておるわけですから、これほど住民はばかにされておることはないわけであります。これはもつと適当なる方法を、ひとつ講じていただく必要があるのではないですか。これは実情をお調べになればわかります。すでにGHQの方でも、相当この問題を調べられておるようです。だから選挙管理委員会におかれましても、おそらくこれからも住民投票の形が、ずつと出て来るのではないかと思いますが、こういう問題が二度と起らないように、お取調べの上、適当なる対策なり法規なりをおきめくださるようにお願いしておきます。
  64. 清水逸平

    ○清水委員 私遅刻して、前議員と重復いたしておるかもしれませんが、去年も今年も国の予算と、地方の予算との間に時期の差があつたために、非常に地方自治体の予算編成が遅れておつて、その間に非常に空白ができておる。また今年この選挙によつて、この空白を繰返すのではないかと思う。つまり地方自治体が年度の初まりから事業が遂行できないで、そうしてある期間空白ができ、それがひいては国民の全体的の経済面にも支障を来す、こういうことを私は憂うるのであります。それについて何か対策があつたら承りたい。
  65. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 御心配の点はごもつともな点であると存じます。ただ昨年の場合は地方税法ができません。要するに地方財政の中身が確定いたしませなかつたために、非常に地方に御迷惑をかけたようなことになつたわけでございますが、今回の場合は、中身の問題は、今後の問題ですからわかりませんけれども、今さしあたつては、その問題ではありませんで、結局来年選挙がございまするために、地方の予算編成の方式はどうなるかということを考えてみますと、現在の知事市町村長が、将来自身が出て来るか出て来ないかわかりませんので、そういう意味で二箇月なり三箇月なりの暫定予算を編成するにとどめるというものもございましようし、また何といいますか、骨格的な予算で、要するに地方団体が義務費として支出しなければならないのだけを計上をする、新しい施策にわたるようなものは計上しない、こういう方式で行くところもありましようし、中には若干そのような新しい施策も盛り込んで行くようなところもあるかもしれぬと思うのであります。これらいずれにいたしましても、そういうような予算が来年の三月三十一日までには成立しなければならぬわけでございますから、その後において新しい知事市町村長が出て参りまして、選挙の際に公約いたしました新しい政策を、予算の上に盛り込もうということに相なりますれば、暫定予算しかつくつていなかつたところでは、新しく今度は全体の予算を自己の施策に基いて編成できますし、骨格予算だけのところは、これまた新しいものを追加更正としてつけて行けばいいわけでありましようし、すでに新しい面を前任の知事市町村長が盛り込んで編成をし、議決されておりました場合には、これをやはり追加更正という方式によつて新しい知事市町村長がこれを自己の所信に合いますように編成をし、議会の審議をしてもらう、こういうようなことになりまするから、結果におきましてはいささか手続は複雑になりますけれども、新任の知事市町村長なり、新しい議会の意向が、来年度予算にも反映できる、かように考えておるのでございます。
  66. 清水逸平

    ○清水委員 今の御説明でよくわかりましたが、もう一つ地方制度の改革を計画されておつて、町村の合併を懲悪なさつて、それによつて町村合併などした場合に、この次に選ばれた議員はどういうふうになりますか。そのまま、合併のまま議員として職にとどまりますか。またはその場合には改選しなければならぬのでありますか。
  67. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 地方団体の町村合併等が行われました場合におきましては、従来の町村長、町村議会の議員というものは、一応その地位を失う。たとえば甲という町と乙という町とが合併して、丙という新しい町をつくりました場合には、前の甲町、乙町などの町村長、議員はみな失職するわけであります。そこで新しい丙町ができるわけでありますが、その丙町の選一挙は、この選挙期日特例法と関係なしに、やはりただちにこれを行うという建前にいたしております。と申しますのは、何分新しい町でございまして、全然議会がないわけでございますから、これはこの日にまとめて、四月二十九日とか五月二十日にやるのは適当でありませんので、全部それより早い時期にやるということになると思います。     —————————————
  68. 前尾繁三郎

    前尾委員長 この際お諮りいたしますが、昨日門司君より御要求がありましたので、あす参考人として岐阜県の関係者より、その実情を聽取することにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 前尾繁三郎

    前尾委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。委員長よりただちに手続をとることにいたします。  なおまた小委員の設置についてお諮りいたします。本日までに、本委員会に付託されました請願は四十三件でありまするので、請願審査のための小委員会を設置いたしたいと思いまするが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 前尾繁三郎

    前尾委員長 御異議ないようでありますから、小委員会を設置することにいたしまするが、その小委員及び小委員長の選任は、委員長より指名することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 前尾繁三郎

    前尾委員長 御異議なしと認め、委員長より指名することにいたします。都合により本日の公報をもつて指名するごとにいたします。  それでは本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十五分散会