○
鈴木(俊)
政府委員 この
提案の
趣旨をさらに敷衍して申し上げますと、現状のままでもしもこれをやりますと、首長の方の
任期は原則として四月四日、
決選投票をやつたところでは、四月の十四日前後でございますから、その
任期満了前三十日以内に
選挙をいたすことになります。
従つて三月の五日あるいは三月の十五日ごろから告示が行われますから、一番遅い場合でそういうことになりますし、もつと早く、三十日前にやるということになりますと、それからさらにさかのぼることになるわけでございます。そういうことになりますと、これはまさに予算の編成、
審議の時期が
選挙運動のさ中ということになるわけでございます。その予算の編成の時期は、
門司委員も御承知のごとく
地方自治法では、年度開始前に予算を議了しなければならぬことにな
つております。そこで二十六年度の予算は、まさにいまの
選挙運動の時期にぶつかるわけでございます。これは非常に
選挙運動をする側から申しましても、ぐあいが悪いわけでございます。現在
知事市町村長なり、
議員にな
つておる人が、自己の
選挙運動をやらなければならぬ時期が、その
地方団体の予算の編成の時期になるわけでございますから、これでは動きがつかないという
意味で、その時期を避けようというのが、この
法案の主たるねらいでございます。これを避けるためには繰上げて行く
方法がございますとともに、
一つは繰下げて行く
方法があるわけでございます。繰上げてかりに一月ごろに
選挙をや
つて機関を更新して、また新しい
知事、新しい
市町村長、新しい議会で編成をやるというのも
一つの
方法でございますけれ
ども、そういたしますと、全面的に現在
任期のあります
知事、
市町村長あるいは
議員に対して、その
任期の利益を奪うということになりますので、これはどうも適当ではないというふうに
考えたのであります。そうなりますと、残された道は何かと申しますと、結局今までの通常予算の編成、
審議の時期を避けまして、要するに四月に入りましてから
選挙の告示が行われ、
選挙の運動が行われるようにすることが適当であろうというふうに
考えたのであります。そこで
議員の方は四月二十九日が
選挙の日でございますから、本来から申しますと最終の日は四月二十八日でございます。それでございますと三月三十日というのが告示の時期になりますので、一日ずれて四月二十九日ということに
考えて、
選挙の告示は三月三十一日でよいというふうに
考えたのでございます。そうなりますと、予算の編成、
審議の時期とは一日——最後の日にもむということがあれば別でありますが、まずぶつからない。四月三十日にすれば、その日も避けられるわけでございます。そういうことで三月三十一日に告示して、できるだけぶつかることを避けよう、こういうことにしたわけであります。一方
知事、
市町村長の方はそのままにしておきますと、これは頭からぶつか
つて参りますので、こつちの方はどうしても動かさなければならない。その場合にやはり間に
一つ議員の
選挙というものがございますから、
先ほど来申し上げましたような
趣旨で、
同時選挙ができないということでありますならば、これはどうしてもその
あとにまわさなければならない、こういうことで五月二十日にしたわけでございまして、予算の編成の時期、
審議の時期と
選挙運動の重複するのを避けるという以外に、他意はないのであります。ただ
理想論といたしましては、これはそういう予算の編成、
審議が、翌年度の分が行われます前に、機関の更新が行われるということが望ましいのでありまして、今
門司さんの仰せになりましたように、かりに次の会計年度の四月一日ということにいたしますならば、十月なり十一月のころに新しい
知事、
市町村長あるいは新しい議会の
議員が出て来ておるということが、一番望ましいと思うのであります。これは諸外国の
任期満了前の
選挙制度をと
つておりますようなところでは、そういうような方式を大体と
つておりますので、将来の問題としては、やはり一面において
記号主義を採用し、
同時選挙方式の法定を
考えなければならぬと思いますが、その際には
理想の体系をと
つて参りたいと思いますけれ
ども、現在の
状態といたしましては、今申し上げましたような
方法で、ともかくも
選挙運動の時期と、予算編成、
審議の時期とを避ける、これに主点を置いて
考えた次第でございます。
それからいま一点お尋ねの、団体單位に
選挙をやつたらどうか、
知事と都道府県の
議員を
一緒にやる、
市町村長とその
市町村の議会の
議員を
一緒にやつたらどうか、これはその御議論の
理由を十分理解できるのでございますが、ただ現在の
選挙制度の建前から申しますと、何と申しますか、都道府県
知事と都道府県の議会の
議員を
一緒にいたしますと、御承知のように県によりましては
決選投票というものが出て参ります。そういたしますと、結局その県では第一回の
選挙のために二度
選挙をやらなければならぬ。また
市町村長と
市町村の議会の
議員を全部
一緒にやりましても、この場合もまた
決選投票が出て参りますから、これもまたそういうところでは二度やらなければならぬ、そういうふうにいたしますと、二つずつまとめて二回で済むべきはずのものが、結局四回にな
つてしまう、こういうことになるのであります。ところがこの
政府提案の方式で参りますと、
知事、
市町村長を
一緒にいたしますので、これが
決選投票が出て参りますれば、その方は二回になるかもしれませんが、
あとは
議員だけ
一緒にや
つておりますから、これは一回で終ります。そこで三回
選挙人に足を
投票所に運ばせるか、四回ですませるかということを
考えて参りますと、これはやはり少い方がよろしいので、
政府案の方がよくはないか、これは單に
選挙人の便宜の問題のみならず、経費の点から申しましても、数が少い方が節約になるわけでございますし、さらにいま
一つは、
市町村の
選挙と府県の
選挙を組み合せました方が、やはり
選挙民の
選挙の関心というものは、
市町村の
選挙、ことに町村
議員の
選挙において非常に強くなりまして、従来の
投票率の成績から申しましても、これが一番高いのであります。
市町村の
選挙と県の
選挙を組み合せますれば、
投票率がよくなり、
選挙に多くの
選挙人を動員できる、こういうような
一つの付随的な利益もございますし、また
選挙人が
候補者を明確に判別できるという点から申しましても、大きな団体の
候補者と、小さな団体の
候補者との方が混乱を来さない。お互い小さい団体の
候補者ということになりますと、
市町村長と
議員との間に、どちらがどちらの
候補者であつたかの混乱を来すようなこともありますので、このような
政府案の方がよくはないか、かように
考えております。