○木村(榮)
委員 私は
日本共産党を代表いたしまして、ただいまの
政府原案並びに社会党、民主党の修正案を含めて、反対の
意見を申し述べたいと思います。
現在の国内的または国際的の諸情勢を見ますと、何と申しましても
日本の国の独立、自由、平和ということが、最も大きな問題だ、と思うのであります。ところでこの独立と平和、自由を勝ちとるためには、何とい
つても
日本の労働者階級を先頭といたしまして、農民、インテリゲンチヤ、こういつたいわゆる進歩的な階級が大きく力を結集いたしまして、一大運動を展開しないことにおいては、この私たち
日本国民の大
目的が達成されないのは当然のことである。そこでそういつた情勢を見ますと、いわゆる
公務員と称するものの大部分は、常識的に見ましても、大体インテリゲンチヤ階級の所属が多い。従
つて当然こういつた社会情勢にな
つて来ますと、この労働者階級を先頭とする進歩的な方向へ力を結集する傾きが、当然起
つて来るわけである。ところがそういつた段階におきまして、当面大きく問題にな
つて来ますのは、御承知のように
日本の人民大衆は全面講和を主張し、
日本の独立のために戦う方向を示しておる。こういつた場合におきまして、
日本の政党の諸情勢を見ますと、社会党並びに共産党は御承知のように、全面講和を主張いたしております。従
つてとの進歩的階級に所属をして、運動をしなければならないところの
公務員の諸君が、当然この社会党並びに共産党の方向を支持して、大きく
日本の独立と平和のための、一大運動を起すというのは当然のことである。まずこのような方向を圧殺して、そうして
日本を戦争の基地として、また植民地奴隷としての方向に押し進めるのが、現
政府の方針であるのは、あらゆる政策において端的に表明されておる。こういつた方向を押しつけることこそが、最も重大な基本的
人権を無視し、
政治活動の全面的禁止ということが、この
法案に盛られた最も大きなねらいとな
つて現われている。こういつた基本的な
立場に立つことが、私たちがこの
法案に対して反対せざるを得ないところの一番大きな根本的な原因である。そこで御承知のように植民地
行政をや
つて行きますには、何と申しましても封建的な世の中の基盤、そのものが最も便利がよく、東南アジア諸国を見ましても、世界の諸情勢を見ましても、この封建的な諸情勢、そこにおいては人民の権力、こういつたものはきわめて低い、この方向を利用いたしまして、陶際的帝国主義者
どもが無謀なる政策を着々と実現しようとしておる。こういつた方向を
考えますと、ただいま上程にな
つておりますところのこの
法案が、こういつた方向を圧殺するための最も具体的な現われとして全国津々浦々にまで
影響を及ぼすわけである。そこで、このことは、この
法案の内容を
一つ一つ見ますと、各
方面に現われております。こういつたことは、長い間の審議の課程におきまして、わが党の立花
委員が、
相当質問時間の間に
意見をも付して申し述べておりますから、私は時間の
関係上省略させていただきますが、こういうことがこの
法案でやられるようにな
つて来ますと、具体的に現われますのは、高級官僚がか
つての天皇制時代のような強力な存在とな
つて、そうして
下級官僚をどんどんとやつつける。忠実とは一体何ぞやということを私が
質問いたしましたら、そこにおられます
鈴木次長は、忠実というのは上の命令をはいはいと言
つて聞くことである、こういうことをちやんと
答弁しております。ここに現われておりますように、名前はなるほど忠実とはうまいことを言
つておりますが、その内容たるや、上の命令をだま
つて、はいはいと言
つて聞くことが、最も上等な忠実である、こういうわけであります。これを見てもわかるように、とにかく何のことはたい、上からがんがん押えつけて、言うことを聞かない者は首を切
つてやる、首を切られるのがいやならば、だま
つて、はいはい言
つて働けということを、この
法律案によ
つて最も合理化しようという陰謀である。こういう方向を私たちは発見する。またおもしろいことにはこの
法案を盛んに急いで、二箇月間でどうこうというふうな
規定があ
つて、とにかくどんどんや
つておられる。そうすると、大体の方針を見ますと、この間
関係委員長も言
つておりましたが、大体
日本の
行政機構を改革しろ、その内容には道州制の問題その他の問題があるらしいのでございますが、こういつた問題も含めて今の構勢を見ますと、今こそ衆議院においては自由党が第一党で、圧倒的勢力を持
つておりますが、大体その屋根骨である農村などは、
相当ぐらついておる。そこでこの調子で行くと、来年の
選挙には社会党の方が元気がよさそうだ、民主党の方も元気がよさそうだ、従
つて一般人民大衆が、今の
政府に対しては
相当批判的である。その
相当大きな推進力は、農村においてもまた中小都市においても、
市役所やあるいは県庁の
従業員諸君で、最初私が申し上げましたように知識階級であればこそ、進歩的な政党を支持して闘うのが当然である。その力は恐るべきものであるというので、今にしてこの力を圧殺しておかぬと、来年の春の各種
選挙におきましては、惨敗をする危險があるというので、うろたえてしやにむにこれを通そうとしておる。これははつきり現われている。こういうわけで、この
法案は実はえらそうに擬装はしておりますが、もはや自由党が動揺おくあたわず、何とかしてこの
自分たちの態勢を挽回せんがために、こういう無謀な、基本的
権利も何もないものを出して、強引に押し切ろうとしているこの態度は、
政府委員諸君の
答弁の中にもはつきり現われている。
岡野国務大臣初めその他の
政府委員は、とにかくまあしようがない、か
つてにせよ、こういうふうで、いわば向う様のお袖にすが
つて、どうでもお助けくださいという
答弁しかできないところにも、端的に現われている。こういうことでどこから突いてみても、こういうばかなものは、ほんとうは出せないはずだ。それを出さなければならぬところに、私が今まで申し上げたような、もはやどうにもこうにもや
つて行けないところの状況である。こういうように断定をいたします。
まだまだ申し上げますと、とてもたくさんあるのでございますが、これはか
つて日本国がいわゆる満州国を制定いたしまして、満州においていろいろな
行政上の
措置をやつたことと非常によく似ておる。こういつたふうなことを
考えましても、もはやこの
法案のねらいがどこにあるかということを
考えますと、私たちといたしましては、独立と平和のためには、断固としてこの洪案に反対せざるを得ない。(発言する者あり)だま
つて聞きなさい。ついでにちよつと申し上げますが、社会党の修正案は、なるほど非常にいいようでございますが、ただ私たちが非常に残念に思う点は、この修正案だけでは、
公務員、たとえば市なら市の清掃人夫の方たちが、休憩時間に休憩しています建物の中、あるいは部屋の中で、みんなが寄り合
つて政治の話はできません。この修正案ではそういうことにな
つている。やはり休憩時間も
勤務時間ということになるそうですから、こういうことになる。この点がこの修正案では解決ついていない。だからそういう点はとにかく、根本的に
政治活動というものの禁止を解除して、絶対に
政治活動は自由であるということを認めなければならぬ。なぜならば、
日本の
公務員諸君は、戦後民主主義的な風潮によ
つて、
相当知識
程度が高くな
つています。ここでこういう
勤務時間に政治の話をしては悪い、いい――こういうことを言
つていいとか悪いとかいうくらいのことは、国民的常識において理解をし、実行いたします。特にこういうことを設けますから、裏の方でこそこそでもやることにな
つて、かえ
つて事務能率が上らなくな
つて、かえ
つて不平不満が増大して、結果的には
一般国民民に迷惑をかけるようなことになる。
日本の国民の常識に訴えて、このくらいのことは
勤務時間に、そろばんをや
つておつたり、あるいは帳簿をつけながら、何で政治の話なんかできますか。このくらいのことは常識でわか
つておる。だからそういうことは法文なんかで
規定しなくても、この
公務員諸君の良識に訴えておけば、十分その方がよりよく円滑に事務能率が上
つて行くと私
どもは
考える。こういう点で、人をばかにして、人を奴隷にして、向う様の、よそ様の言うことを聞くような奴隷的人間、ただ着物は洋服を着てネクタイをつけておりますが、この点ではか
つて中国の苦力と同じような
状態に持
つて行こうという、きわめて非人間的な
法案だということが言えます。
このくらいにしてやめますが、自由党の賛成論に至
つては、これは簡明に申し上げますと、
政府の提案理由の説明をもう一ぺんたさつたと同じ話である。しかもこの内容を要約いたしますと、
鈴木次長が
答弁をいたしましたその内容を、もう一ぺん要約してここで読み上げられたという、まことに貧弱きわまる賛成討論であ
つて、笑うべきものであるということを私は申し上げる。こういうことで、皆さん方が天下の代議士として
一般から選び出されて、民主主義なんということは、ちやんちやらおかしくて言えた話ではない。(笑声)そういうわけで、このような
法律案は撤回されなければならぬ。このような
法律案を出して、あなた方が
自分たちの思うように、皆が言うことを聞くと思つたらとんでもない間違いで、大反撃をくら
つて、来年か再来年ぐらいは、自由党なんかというものは、完全に抹殺されるということを私は特に付言いたしまして、反対討論にかえます。