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門司委員 どうもなかなかむずかしい問題で、私もこういうところで実は
議論したくなか
つたのでありますが、そういう言葉が使われて何だか法案自身の
内容がぼかされて来るようなことに
なつて参りますので、ことさらに聞いたのでありますが、この近代的の公務員としての理念というものは非常に
解釈が広いのであ
つて、單に今
鈴木さんが話されましたような事柄だけではこれは済まされない。これについては
御存じのように公務員としての理念をどこから持
つて来るかということは、おそらく日本の憲法から
考えて来ることが、私は正しいと
考えておる。今までの日本の憲法にはこういうことは書いておりませんで、新しい今度の憲法に初めて公務員のあり方というものを、一応明示しておるわけでございます。
従つて私
どもは何もアメリカの例を引かなくても、日本の憲法に基く公務員としての
立場から立論した方が、理論上明確になり得るのではないかというように、実は
考えておるのであります。
従つてわれわれが
考えて参りますと、公への奉仕者であるということが憲法で明確にされております以上は、この理念に基いて公務員に対する理念というものがやはり出て来なければならない。そういたして参りますと、公への奉仕者である、だから基本的人権というものも、ある程度制約することができる。さらに国民に與えられております
選挙権、政治的な活動も大幅に制約することができる、こういうことが必ずしも近代的な公務員の理念ではない、こういうふうに実は
解釈をするのでありますが、国民の当然の権利は、これを固有の権利として十分認めて、そしてその上に憲法で定めております公への奉仕者であるという自覚と責任を持ち得る公務員制度というものが行われることが、きわめて短い言葉で申し上げますならば、正しい意味の近代的な公務員理念でなければならない。これをむりに近代的の公務員の理念という言葉で押しつけて
行つて、そしてそれを行わしめるためには、政治的な活動ということを自由にやらしてはいけない、あるいは公への奉仕者であるということをむりに押しつけることのためには、使われておる側が国民を相手にして、ストライキをやるというようなことはけしからぬいうことが
法律で定められて、その理念を達成しようということは逆の行き方だと思います。もし正しい意味の公務員としての理念を発揚しようとするならば、
先ほど申し上げておりますように、真に
地方公務員なり、国家公務員が、公務員としての自覚と責任の上にそれを果すべきものであ
つて、これを
法律で強要して、そしてお前たちはこうすることが理念に合致するのだということで、これを束縛するという行き方には、われわれは承服できないのであります。ところがこの
法律にはしばしばこういう言葉が使われておりますが、
法律の
内容は後段で申し上げましたように、そこへむりに持
つて行くことのために、政治的の活動行為というものを大幅に制限したり、あるいは労働者としての固有の権利を剥奪したりするということは、これは
理事者の方からむりにこの近代的の公務員としての理念を押しつけたものであ
つて、これによ
つて今あなた方がお
考えに
なつておる、近代的の公務員としての理念の具現には決してならない。またなるということは強制された行き方であ
つて、決して正しい意味の理念の具現にはならないというように
解釈するのでありますが、これ以後この
法律を審議する上には、そういう学問的の
議論にわたるような言葉はなるたけ使わないようにして、実際上の問題でこれを
議論して行きたいと思うのでありますが、
議論することがいいというなら、一日でも、二日でもこのことだけで
議論してさしつかえないと思いますが、それも非常に迷惑だと思いますから、なるたけそういうわからぬこと、縁の遠い抽象的なことによ
つて、この
法律を一律しようというような
考え方だけは、ひとつ愼んでもらいたいというよりも、控えてもらいたいということをこの機会に私は申し上げておきます。
それからその次に聞いておきたいと思いますことは、第八條に書いてあるのでありますが、人事
委員会の権限の問題でありさらに公平
委員会の権限の問題でありますが、十一までここにずつと書いてあります。この十一までの項目の全部は、人事
委員会が事務を処理するということであ
つて、これは人事
委員会の権限ではないと
考えております。
従つて先ほどから申し上げられておりますように、これを勧告すると言いましても、これは單に事務の処理であ
つて、何らの権限はない。四項に「人事
行政の運営に関し、任命権者に勧告すること。」と書いてありまして、ここで勧告という文字を使
つておりますが、第八條には「人事
委員会は、左に掲げる事務を処理する。」とありまして、事務を処理すればいいということで、さきに申し上げましたことがはつきりここに書いてあるのです。何ら権限は與えておらない。勧告すると四項にはつきり書いておきながら、この勧告は單なる事務の処理であるというふうに
考えて参りますと、一片の紙に書いたものを送達するにすぎない、これを送
つてやるにすぎないのであ
つて、何らの
権威を持たない。
従つてこの第八條の
解釈をもう少し私は強いものにしたいと
考えておりますが、この点に対する当局のお
考えは
一体どうであるか。