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1950-11-26 第9回国会 衆議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十一月二十六日(日曜日)     午前十一時一分開議  出席委員    委員長 前尾繁三郎君    理事 河原伊三郎君 理事 野村專太郎君    理事 龍野喜一郎君 理事 藤田 義光君    理事 門司  亮君       門脇勝太郎君    川本 末治君       清水 逸平君    塚田十一郎君       鈴木 幹雄君    床次 徳二君       山手 滿男君    大矢 省三君       久保田鶴松君    立花 敏男君       木村  榮君    大石ヨシエ君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 池田 勇人君         国 務 大 臣 岡野 清豪君  出席政府委員         地方自治政務次         官       小野  哲君         地方自治庁次長 鈴木 俊一君         大蔵事務官         (主計局長)  河野 一之君  委員外出席者         総理府事務官         (地方財政委員         会事務局長)  荻田  保君         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 本日の会議に付した事件  小委員及び小委員長選任に関する件  地方公務員法案内閣提出第一号)  行政書士法案起草に関する件     —————————————
  2. 前尾繁三郎

    前尾委員長 ただいまより会議を開きます。  昨日に引続き地方公務員法案内閣提出第一号を議題として質疑を続行いたします。質疑通告順にこれを許します。立花敏男君。
  3. 立花敏男

    立花委員 三十五億を予算にお組みになつているその内容を聞きたいのですが、総理大臣施政方針演説の中には、地方公務員給與の問題はお触れになつておりませんでしたが、大蔵大臣財政方針演説の中には、三十五億で地方公務員の年末並びにベース・アツプの何をやるのだということが入つておるのだけれども、三十五億が全部その方にまわされましても足りないのですが、聞くところによりますと、三十五億の内訳があまり明瞭じやない。またある情報によりますと、三十五億はほとんど地方公務員給與の方にはまわらないのだというよう意見がありまして、地方公務員ベース・アツプの問題、年末手当の問題で非常に不安があるわけなんですが、この際ひとつ三十五億の内訳をお示し願いたい。
  4. 荻田保

    荻田説明員 地方財政委員会といたしましては、八十数億の平衡交付金増額を検討いたしまして、昨日も申し上げましたよう意見書出してあるわけであります。これに対しまして政府案で三十五億になつておるのでありますが、その三十五億の根拠について私から御説明いたしますのはいかがかと思いますし、またどこに政府案の真意があるのかも、今のところはつきり承知しておりませんので、その留保のもとに、われわれの聞いておりますところで申し上げたいと思います。それは大体給與ベース改訂に要します分と、今回の補正予算関係いたしまして増額になります十数億のもの、この両者を対象にいたしまして、これに対して大体四十億の節約をいたし、一部財源にいたし、なおそのほかに雑収入等増加を求め、その残りを三十五億円だけ平衡交付金増加にいたしたいのでございます。この点は御承知と思いますが、平衡交付金はすべて地方財政全体を見まして、歳出総額税收入総額その他の歳入総額、これを全部ひつくるめまして、その差額平衡交付金として支出するのでございますから、三十五億円自体には何ら内訳はない。これはかりに三十五億円が八十五億円になりましてもその数字自体には別に内訳がないのでありまして、地方財政歳入歳出差額が、平衡交付金になるのでございます。
  5. 立花敏男

    立花委員 それでございますと、あなたは大蔵省とは関係がないとおつしやいますが、大蔵大臣が三十五億は地方公務員給與改善に充当するのだというふうに言われましたのは、これは何ら確たる根拠はないわけでございまして、三十五億は土木費使つても、あるいは警察費使つてもいいということになるのでございますか。それでは私どもは納得できませんし、また地方公務員といたしましても、少くとも国家公務員並み給與も期待できないわけであります。これでは非常に困ると思うのでございますが、その点ひとつ重ねてそういう不安定なものかどうか、お聞きしておきたいと思います。
  6. 荻田保

    荻田説明員 その点は平衡交付金制度というものを是認する以上は、平衡交付金につきましては法律にも示す通り使途について政府から指示をしたり、條件をつけたりすることはできないのでございます。ことに平衡交付金税收入の多いところには、交付にならないのでございますから、この金が一般補助金と同じように、たとえば給與ース改訂なら改訂をするために使うということにはならないことは、当然のことだと思います。
  7. 立花敏男

    立花委員 それは政府として当然なんでございますね。あなた個人の意見じやないですね。
  8. 荻田保

    荻田説明員 これは政府とか地方財政委員会といいますより、法律上当然そうなつております。
  9. 立花敏男

    立花委員 それでは一つ非常に矛盾したことを政府がおやりになると言明されていることの事実を申し上げまして、意見を聞きたいと思うのですが、実は三十五億の内訳につきまして、あなたと同じ政府の一員であられる、しかも閣僚であられる天野文部大臣が二十五日、きのうです、教員組合代表に対して、三十五億の内訳を言つておられるわけであります。この点はどういうふうにお考えになるか、そういうことが言えるものか言えないものか、平衡交付金建前から行つて、そういうことが言えるものか言えないものか、その言われたものが事実であるとするならば、それはどういうふうにあなたはお考えになりますか聞かしていただきたい。
  10. 荻田保

    荻田説明員 私直接文部大臣のおつしやいましたことを聞いておりませんので、それについてとかく申し上げることはできませんが、先ほど申し上げておりますように、平衡交付金地方歳出全体、歳入全体を考えて支出するものでございますから、今回新規地方財政需要がふえる、確かにそのふえる中には教員ベース引上げ、年末手当等も入つております。そういうものを全部見まして、そのほかにふえます歳入を見まして、その差額が三十五億円の平衡交付金政府案では三十五億円となつておるのでございますから、三十五億円自体についてはもちろん内訳はないわけでありますが、ただその対象にしました新規歳出がふえるもの、そのふえるものの中にはおつしやいます通り教員関係給與改善も入つております。
  11. 立花敏男

    立花委員 入つておるとすれば、どういう形でどういう額で入つているか、ひとつ聞かしていただきたい。
  12. 荻田保

    荻田説明員 これはちよつと今内訳を持つておりませんが、昨日御説明いたしました八十億円、この給與ース改訂の中に、一般国家公務員と同様来年一月以降の千円べース引上げ、及び年末におきまする半月分手当というものを含んでおります。
  13. 立花敏男

    立花委員 それは教員だけですか。
  14. 荻田保

    荻田説明員 これは地方公務員全部について入つております。
  15. 立花敏男

    立花委員 その数字をひとつつてください。
  16. 荻田保

    荻田説明員 ちよつと内訳を持つておりませんが、千円のベース・アツプのために四十三億円、年末手当のために四十五億円、合計八十八億円でございまして、これは教員、警察官、消防その他一般吏員全部、ただ地方費負担職員公企業職員を除きまして、それの分が全部入つております。
  17. 立花敏男

    立花委員 ちよつと話がおかしいのですが、八十三億のことを聞いているのではなしに、三十五億の内訳を聞いておるのです。三十五億の中にも含まれでおるとおつしやいましたので、それを聞いておるのです。あなたが言われる地方財政委員会から要求されている八十一億というのも、これは平衡交付金なんでしよう平衡交付金であることにおいては八十三億も三十五億も違いがない。八十三億の場合は内訳があつて、三十五億の場合は内訳がないということは理論上成立たない。しかも三十五億に対してははつきり内訳があるということを、文部大臣自身が言つている。あまりりくつ張つた話はなしに、はつきりつてください。
  18. 荻田保

    荻田委員 たびたび申し上げておるのでありますが、平衡交付金自体には内訳はございません。
  19. 立花敏男

    立花委員 それでは何であなたは言つたか。
  20. 荻田保

    荻田説明員 それは平衡交付金を算定する基礎の地方歳出内訳はございます。そのことを申し上げたのであります。
  21. 立花敏男

    立花委員 それでは三十五億と政府の方で予算に計上された場合の、そういう意味での内訳をひとつつてください。
  22. 荻田保

    荻田説明員 それは地方財政委員会出し数字も、政府の認めておる数字も、これは同様でございます。
  23. 立花敏男

    立花委員 そうしたら三十五億では足りないということは明らかですね。
  24. 荻田保

    荻田説明員 これは昨日からお話申し上げておりますように、政府の方ではほかに財源ゆとりがあるというところから三十五億でよいと言います。われわれの方ではゆとりがないと考えますので、八十三億の平衡交付金増額を要する、ここに見解相違があるわけでございます。
  25. 立花敏男

    立花委員 その他に財源ゆとりがあるということは、これはあとでひとつ詳しく聞きたいと思います。問題は最初に申しました三十五億の内訳でありますが、私どもが承りますところによりますと、三十五億はほとんど大部分が学校の先生の給與にまわつてしまう、一般地方公務員にはほとんど給與改善、あるいは年末手当の金がこの中に含まれていないということを聞いておるのです。しかもそれを具体的な数字で聞いております。なかなかあつちに逃げ、こつちに逃げされますので、はつきり数字を出さないとわからないから、文部大臣が言われた数字を私は出しますが、これは大体半月分の年末手当の半分が十億、それから一月から三月までのベース・アツプこれも半額が九億、合計十九億、それからさらにそれ以上にこの教職員待遇改善費、いわゆる級別推定表による職階制的な待遇改善費、これが四・九億、そのほかに昨年末の職員に対する手当、これの半額が府県負担で残つておりますので、これが約七億二千万円ばかり、これも一部分含まれている。そういうふうに計算すると、三十五億の中の約二十七、八億、約三十億近い金が教員の方にとられてしまいまして、一般地方公務員のべース・アツプも、給與改善もこれにほとんどないわけです。しかもこのことは決して單なる情報ではございませんで、教員組合代表文部大臣とお会いになり、そうしてはつきり承つた数字です。こうなりますと、大蔵大臣施政方針で三十五億は地方公務員給與改善にまわすのだと言われましても、非常に雀の涙ほどしか出ない。これでこの年を越せ、あるいは生活を保持しろと言つたつて地方公務員はできませんので、この点で非常に不安があるわけです。そういう具体的な数字を私ども聞いておりますので、この点もつと納得の行くような御説明を承りたいと思います。
  26. 荻田保

    荻田説明員 先ほどから申し上げております通り平衡交付金数字といたしまして、一つ一つにひもがあるわけではありませんで、三十五億のうち、頭から教員給與改善の経費をとつてしまう、こういうことは全然われわれとしても考えておりませんし、おそらく現在の法律のもとにおきましては、政府としましてもそういうことは考えられないところだと思います。何か文部大臣のおつしやいましたことは、その間に言葉の理解に少し食い違いがあるのではないかと考えております。
  27. 立花敏男

    立花委員 この問題は文部省の連中に来ていただきまして、もつとはつきり追究いたしたいと思います。  それからさいぜん局長が、他に財源がある、政府地方財政委員会との見解相違であると言われましたが、この点でお聞きしたいのですが、御承知よう共産党の反対を無視されまして、地方財政委員会地方自治体代弁者であり、地方財政委員会ができれば、非常にうまく地方財政確立されて行くであろう、そういう建前から政府がお出しになつて、おつくりになつたわけですが、その権威あるべき地方財政委員会意見書国会に今お出しになつている。しかもそれが三十五億という数字政府がおきめになつたその翌日に、これでは不安だ、地方財政は破綻する。きのうも地方財政委員長がそこにおいでになりまして、地方財政はまつたく破綻の危機に瀕しておつて、あるいはシヤウプ税制実施以前の混乱に再び立ちもどるであろうというようなことを言われております。これは私非常に重要な問題だろうと思いますが、もし地方財政委員会として八十三億の意見書が無視されました場合には、どういう態度をおとりになるつもりですか。その責任はどういうふうにおとりになるつもりですか。これははつきりお聞きしておきたい。岡野さんとしてこの問題について、どういうふうに責任をおとりになるつもりか、この点をひとつ明確にお聞きしておきたい。
  28. 前尾繁三郎

    前尾委員長 すぐもどつて来られますから、ほかの質疑を願います。
  29. 立花敏男

    立花委員 それから荻田さんはきようここに意見書をお出しになると言われたのですが、なぜここにお出しにならぬのですか。
  30. 荻田保

    荻田説明員 意見書内閣を通じて国会に出すことになつておりますので、われわれの方から内閣の手元に送つておりますが、それから先は内閣の方からまわつて来ると思います。
  31. 立花敏男

    立花委員 委員長はこの問題をお聞きになつておりませんか。
  32. 前尾繁三郎

    前尾委員長 聞いておりますが、内閣でどういうふうになつておるか、今度は内閣側説明を承ります。
  33. 小野哲

    小野政府委員 荻田局長から申しておりますように、地方財政委員会からさような手続をふんでおりますので、内閣の方から国会の方へ通告することになると思います。従つて内閣でどういうふうに運んでおりますかは、私ども実は直接担当しておりませんので承知しておりませんが、すみやかに出て来るであろう、こういうふうに期待いたしております。
  34. 立花敏男

    立花委員 どうも内閣の方は、自分におもしろくない意見書勧告書だつたら握りつぶしたり出さなかつたりするのですが、有利なものは、たとい手紙であつてポ政令でお出しになる、これは少しおかしい。この問題は重要な問題ですから、きのう委員長がお出になつて口頭で言われたわけだ。しかもそのとき追究いたしますと、明日出すということを言われたわけだ。それがきようになつても出て来ておらない。これは私非常におかしいと思うのですが、委員長、これをひとつはつきりお伺いしてください。
  35. 前尾繁三郎

    前尾委員長 小野さん、よろしいですか。
  36. 小野哲

    小野政府委員 私の方からそれを言つておきましよう
  37. 立花敏男

    立花委員 それなら岡野さんが来られてからあとで答弁いただきます。  それから昨日岡野国務大臣地方公務員法案提案理由の中に、重大な提案理由一つとして、近く地方行政調査委員会議から重要な勧告が行われることになつておるので、それもあわせてとにかく地方公務員のこの制度確立しておく必要があるので、こういう提案をしたのだというようなことが書いてあります。従つてども地方行政調査委員会議勧告内容を知りたいわけです。ひとつ政府調査委員会議代表を呼んでくれということを言つてあるわけです。これは速記にも残つておるはずです。ところがきようお出になつておらないのですが、これをお呼びになる御意思があるのかどうかひとつ伺いたい。
  38. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それは呼びますよ。きのう土曜日できよう日曜なもんですから、連絡がつかなかつたのです。早急に呼びます。
  39. 立花敏男

    立花委員 聞くところによりますと、地方自治庁では最近非常におもしろい新地方自治確立運動とかいうものをお始めになつておられるようであります。何かそういうことを「公務員」という雑誌にお書きになつておるようですが、一体これはどういう運動なんですか。これは至急地方自治確立しなければいかぬ、来年の地方選挙までにどうしても確立しなければいかぬ。しかもその内容は、現在一万ばかり町村がありますが、これを五千ばかりに集めまして、少くとも人口一万ぐらいの町村にしてしまう。そうしてまた地方議会議員の数も半分ぐらいにしてしまう。アメリカなどでは、ニユーヨーク市でも市会議員が十二人かそこらぐらいで、非常に少いからというわけでもないでしようが、とにかくそういうふうに非常に少くしてしまう。しかもこれは来年の地方選挙——一月、二月ごろまでにやらなければいけない、こういうことで非常に急いでおられるようですが、地方自治庁が中心になつて推進しておられます新地方自治確立運動というのはどういうお考え方で、どういう目標で、どういう運動をおやりになつておるのか、ひとつ聞かしていただきたい。
  40. 小野哲

    小野政府委員 地方自治確立しなければならぬことは立花さんも御同感だと考えます。最近地方行政並びに財政制度の上に、いろいろ画期的な改革が行われて参つておりますので、いわば内容的にも新しいものが織り込まれた地方自治確立ということが必要になつて来ておるわけであります。しかしながら何と申しましても、地方自治につきましては一般国民から十分な理解と協力を得なければなりませんし、また地方公共団体自治運営の上におきましても、合理的な運営をやつて行かなければならぬ問題である、こういうことに私ども考えておるわけであります。従いまして何らかの方法によりまして、この自治確立の方向に向つて進んで参りたいという意見が出て参りまして、地方自治庁にございまする地方自治委員会議におきましても取上げられて、協議が進められておつたのでありますが、結局この一種の問題は、地方公共団体の自発的な運動によつて推進されるということが必要であろうということに、地方自治委員会議におきましても結論が出て参りまして、いわば地方自治庁がその職務柄連絡世話役というふうな意味合いで御相談相手になつておるわけであつて地方自治庁自体が主体性をとつてこの運動を指導するとか、あるいは推進するとか、こういうふうな意味合いのものではないわけであります。従つて中央におきましては地方団体のそれぞれの連合会がございまして、これらが相談しながらこの運動を取上げて推進して行く。また地方におきましては、それぞれの地方公共団体においてこの問題を取上げて推進をはかつて行く、こういうところにねらいがあるわけであります。地方自治の諸制度改革は、本年度において完成するわけではありませんし、さらに次々といろいろの問題が起つて来るわけでありますから、地方自治確立理解をしてもらい、あるいは周知徹底させて行くためにも、相当の時間を必要とすると私ども考えておるわけであります。従つてこれは数年にわたる一つ運動として展開することがよいのではないか。さしあたり第一回の集中的な時期といたしましては、十一月ごろを取上げることが妥当であろう、こういうことに相談がまとまつたわけであります。従いましてただいま立花さんが言われましたように、来年の地方選挙のみを目指して運動を展開するとか、あるいは地方議会議員の定数を減らすとか、あるいは区域の変更をするとか、こういうこと自体のみを取上げて、この運動が展開されておるわけではないのであります。  なお先ほど地方公務員制度確立することが必要であるという場合において、大臣提案理由説明の中で、地方行政調査委員会議からの勧告も出て、将来地方団体に対して、相当大幅な事務委讓が行われるということを予想しておる場合におきまして、これが受入れのためには、やはり地方公共団体職員制度確立しておることが必要であろう、こういう考え方からも地方公務員制度確立が必要である。こういうことに触れておるようなわけでありまして、この点につきましても、この提案理由の中に触れました理由がそこにあるということを、御了承願つておきたいのであります。
  41. 立花敏男

    立花委員 この地方行政制度改善は、非常に重大な問題でありまして、たとえば私ども伝え聞くところによりますと、その勧告の中には教育制度のこともございまして、それは地方財政にも非常に大きな影響のある、また地方人民負担にも影響のある問題が含まれております。それは東京都などでは現実に起つておる問題でありますが、教育費地元負担あるいは特別の学校区域をつくりまして、新しく教育税をとるというようなことまで問題になつておるということを聞くのでありますが、こういう重要な問題は官庁音頭をおとりになつて地方自治確立運動というものな急速におやりになるというような形をおとりにならないように、やつていただきたいと思う。こういうような上からの官僚的な押しつけでは、地方自治は決してできるものではないということは明らかでございまして、こういう運動で早急に一万の町村を五千にしてみたり、人口を一万に最低を限つてみたりすることはぜひおやめ願いたい。現在そのままの地方自治体の中で、民主的な運営がなされ、地方自治体そのものがほんとうの意味での地方自治が得られるというふうにしていただくことが、最も基礎的なことでございまして、こういうことをしないで、上から自治庁音頭をとつて地方自治確立できるというふうにお考えになるのは、非常に官僚独善的なお考えではないか。もつと具体的に申しますと、たとえば地方自治の根本的な点は、私どもから言わせますと、地方みずからの自主的な運営にある。しかも地方機関に携わつております地方公務員自体自主的運動、こういうものが十分許されまして、初めて地方自治体自治ということが実現されますので、地方公務員に対しまして、地方公務員自主性を奪うよう地方公務員法を出すというようなことを一方でしながら、しかも片一方では上から自治庁音頭をおとりになつて地方自治確立運動をおやりになつて、それで自治ができるとお考えになつておること自体が、非常に矛盾しておるのではないか。むしろそういうことを官庁自身がおやりになるのではなしに、地方公務員などにも非常に自主的な権限を與えて初めて地方自治ができて参るのでございます。そういうことを一方に制限しながらいくら地方自治庁が、音頭をおとりになつてもこれはできない相談です。地方行政改善に対する問題は、あす地方行政調査委員会議から出て参るそうでありますから、詳しいことはその方からお聞きしたいと思います。地方自治庁とされましては、そういうお考え方に従う運動はぜひやめていただきたい。根本的に申しますと、今ある地方自治、今ある地方公務員のあり方、これを自治的に民主的に持つて行くのが、地方自治確立の基本的なものでありまして、こういうことを制限しながら、上の方から何らかの運動をおやりになるというお考え方はやめていただきたい、こういうことをひとつ申し上げておきます。  それから岡野さんがおいでになりましたから、最初の私の質問にお答え願いたいと思います。要点を申し上げましようか。
  42. 岡野清豪

    岡野国務大臣 御質問の要旨を……。
  43. 立花敏男

    立花委員 要点は、あなたは閣僚のお一人ではございましようが、とにかく地方財政委員会というものの主管大臣である。しかも地方財政委員会というものは、わずか数箇月ばかり前に政府の方からお出しになつておる。当の本多国務大臣が御説明になつて、これは地方意見を十分に反映し、代弁するものである。これができましたならば地方財政は十分に円滑に運営され、また確立されるであろうということでできたわけです。この点に関しましては当時共産党といたしましては、これは十分に地方財政を保護できる機関ではないということで反対いたしましたが、事実これは私どもが申し上げました通りになりまして、きのう財政委員会委員長が、その席から現在のままで参りますと、地方財政はまつたく破綻するであろうということを言つております。これはきようの朝刊にはつきり発表されております。そういう状態が地方財政委員会確立してわずか数箇月後の今日実現しておるのが実情なんです。しかもその地方財政委員会が今回定めました予算の三十五億では不足である。これでは地方財政確立できない。少くとも八十三億を出せという意見書を、一昨日政府を通じて国会にお出しなつた。問題はあなたたちがおつくりになつた権威ある地方財政委員会責任を持つて、要求されておる八十三億のこの意見書、これがもし実現できなかつた場合には岡野国務大臣としては、十分責任をおとりになるつもりであるか、これをはつきりお聞きいたしたい。
  44. 岡野清豪

    岡野国務大臣 立花委員の御質問にお答え申し上げます。  御訂正を申し上げますが、私は地方財政委員会主管大臣ではございません。法的には何ら関係ございません。ただ地方自治庁の長官として地方自治確立する上において、地方財政というものがよくならなければ、地方自治確立はできないという意味において、私は地方財政委員会に対していろいろの相談に乗つて、協力をいたしておる次第でございます。これをまず申し上げておきます。  それから平衡交付金財政委員会から八十三億要求なすつていらつしやいますが、それに対して政府はいろいろ財源関係等によつて、三十五億しか出すことができないことになつておる次第でございます。そこでその後に財政委員会から国会に対して、八十三億なければ地方財政は困るんだという意見書が出ております。その意味におきましては私は政府代表といたしまして三十五億しか出せないのだから、ひとつこれで何とかして財政委員会の方で、地方財政のことを切盛りしてやつていただきたい、こういう願いをしておるわけです。ところが先ほどからも局長との御問答の通り国会に対して八十三億なければやつて行けないという御意見書が出ておるわけであります。そういたしますればこの八十三億というものをもつてしなければ、地方財政はどうしてもやつて行けないのだ、こういうような御議論は、国会においてその意見書を基礎として、皆様方の御審議を願う次第になつておる次第でございます。それだけお答えいたします。
  45. 立花敏男

    立花委員 何ら政治的な責任をおとりにならないと言われるのであるから、これ以上申し上げましても何にもならないと思います。きのうのあなたの御説明の中にも、またきようの中にも非常に遺憾で微力であるが、いたし方がないというようなことを言われておりますが、いたし方ないでは済まされませんので、やはり十分な政治的な責任をおとりになる必要があると私は思う。これはいくら追究しましてもおとりにならないと言われればそれまででありまして、これは輿論を喚起するよりしかたがない問題だと思います。  それではこの三十五億の問題にもう一ぺん帰りたいと思いますが、これは時間の都合がありますので、念を押しておいて私の質問を打切りたいと思います。荻田さんは三十五億の内訳がない、三十五億はどこで使うかわからない、地方公務員給與ベースに使うとか、それも含まれておるだろうと思いますが、それは幾らかわからないので、これはもつぱら地方にまかすべきであるということでございますが、これでは私ども非常に納得できません。また一方文部大臣意見もございますし、あらためて文部省をお呼びくださいまして、三十五億の内訳は一体どうなつておるか、あるいは文部省でわかりませんでしたら大蔵大臣を呼んでいただきまして、三十五億の内訳はどうなんだ、地方財政委員会が言つておるようにこれは何らひもつきではないし、三十五億は無條件地方に渡してしまうものか、あるいは地方公務員給與べースあるいは年末手当にどういう内訳で渡すか、それを承らなければ納得できませんから、文部省なり大蔵省なりを、あすぜひ呼んでいただきたいことを委員長にお願いしまして質問を打切ります。
  46. 河原伊三郎

    ○河原委員 議事進行に関して……。ただいま立花君から文部大臣を呼んでいただきたいというお話がありましたが、いずれ連合審査のときに、文部省当局も来るはずですから、そのときにせられたらいかがかと思いますがどうでしようか。
  47. 立花敏男

    立花委員 河原さんの意見もありますが、合同審査は十二月二日でございまして、非常に遅くなります。私どもはこの問題は一日も早く改善いたしたい。しかも文部大臣自身も労働組合の代表とお会いになつて、こういうことをはつきりと明言しておられるのですが、事実財政委員会は知らないと言つておるし、私ども委員会としても確認していないのでありますから、一日も早くこの問題ははつきりとさせて、あかぬならあかぬで次の対策を立てなければならない。十二月二日ではおそうございますから、なるべく早くやつていただきたいと思います。
  48. 前尾繁三郎

    前尾委員長 山手滿男君。
  49. 山手滿男

    ○山手委員 私が一番初めにお伺いしたいと思いますことは、例の平衡交付金の振り割つた分の返還の問題でございますが、第一に聞きたいと思うのは、一般の分九百億は十月に仮決定をされて、渡し過ぎの分については返還をさせるということでございますが、どの程度、何億ぐらい、あの率から言いますと返すことになるのか、それをまずお聞きしたいと思います。
  50. 荻田保

    荻田説明員 ただいま金額の方を持つておりませんが、都を入れまして四府県、それから市町村におきまして大体四割程度のものを返さなければならぬことになつております。
  51. 山手滿男

    ○山手委員 金額にしてどのくらいですか。
  52. 荻田保

    荻田説明員 府県分で三十億、市町村分で五十億くらいでございます。
  53. 山手滿男

    ○山手委員 私はもつと多いように思つているのでありますが——今の数字をもつとはつきり後ほどまたお聞かせ願いたいと思います。市町村ではところによつては相当相違もあるかと思いますが、もう皆使つてしまつたのだ、地方税が数字の上で一応ふえたから、これは返さすのだというふうなお話なのでございますが、昨日からも話が出ておりまするように、地方税の滞納は大体四〇%以上が滞納になつておるのでございます。それではこれを今すぐどういうふうにして返還さすか。昨日ちよつと触れられてあくまで返せるようにして返さすのだというふうなお話がございましたが、返せるようにして返さすという方法、あるいはその返す時期というようなものについて、今どういうふうにお考えになつていらつしやるか。町村や府県の方では非常にこの問題を気にしておるのでございまして、明確にお答えを願いたいと思います。
  54. 荻田保

    荻田説明員 昨日もお答え申し上げましたように、今のところ、超過額の半額を本年度中にと考えておりますが、その後におきまして今回の増加分もございますし、それから昨日も申し上げましたように、仮決定を本決定にいたしまして、また数字が狂つて参るわけであります。それから特別交付金の配分もいたす、そういうものを一切見まして、今年度の最終決定が出ますから、その額と今まで交付してあります額の差額を年度内に返してもらうということになるわけでございます。今ただちにこちらから、この返還してもらうものにつきまして何らかの処置をとるということは、昨日も申し上げられなかつたのでありますが、今のところは、地方団体側におきましておいおいその徴税等も集つて参りますから、それによつてさしあたり半分は年度末までに返してもらいたいと考えております。
  55. 山手滿男

    ○山手委員 市町村側から言わせますと、当然これはもらえるものだという気分で使つておることは事実なのでありますが、青天の霹靂のように、超過額を特に半分は年度内に返せというようなことを言われることは、地方議会でもいろいろトラブル通すわけでございます。皆さん御承知だと思うのでありますが、この間私、旅行いたしましたところ、岐阜県では県知事が突然辞表を出しました。なぜ辞表を出したか。いろいろ事情を聞いてみましたところ、こういうような状態ではなかなか来年度の財政のことについて自信が持てない。この新しい予算を組むのは新しい知事でなければいかぬというよう見解で、明年度予算を組む者を今のうちに選挙したらいい、だろうということで、辞表を提出したという話を聞いておるのでありますが、非常に地方自治団体といたしましては、気にしておるようでございます。この点について、まだまだこれからとくとお考えを願つておきたいと思います。  それから地方税でありますが、府県の方では、実際には七百億くらいとる予定のものが五百五十億くらいしかとれぬというので、いろいろ陳情をしておるのであります。しかし五百五十億くらいしかとれないということは、これはいわゆるふつかけて来ておるのであつて、そうは思わぬというようなお話が昨日あつたように思うのでありますが、私どもは存外地方税が減收になるのではないか。百億くらいの減收では済まないのではないかと考えておるのでありますが、その点もう一度はつきりお伺いしてみたいと思います。
  56. 荻田保

    荻田説明員 昨日もお話申し上げましたように、本年度の予定額の千九百億はなかなか容易なことではないと思つておりますが、一応基本的には千九百億のものがとれると考えますし、またそれだけとれなければ財政がやつて行けないと考えておりますので、できるだけその額をとれるようにという方向のもとに物を考えておりますので、今これがどうしてもとれないのだというようには結論を出しておりません。ただ昨日も申し上げましたように、すらつと考えてみましたところ、大体百億円くらい食い違いが出て来るのではないかということを、心配している程度でございます。
  57. 山手滿男

    ○山手委員 そういたしますと、この八十三億の平衡交付金増額に関する意見書というようなものは、百億くらいは不足するということを前提にして盛り上げられたのかどうか、その点をお聞きしたい。
  58. 荻田保

    荻田説明員 その点は一応考慮いたしまして、全体として歳入歳出というものを考えたのでありますが、その程度のことは、もちろんその額だけ平衡交付金増額という方法で、カバーするのが最善は思いますが、いろいろな情勢から、そこまでは要求と申しますか、主張することもできませんので、一応今までの分はやつて行けるものだ。税の減收はその他の收入で得るか、あるいは歳出の節約、あるいは繰延べ等で行くか、何とか都合してその額程度は減收になつてもやつて行けるという見通しのもとに、新しく八十三億を要求しておるような次第であります。
  59. 山手滿男

    ○山手委員 そういたしますと、そこに非常におかしいものがあるのであります。片方では歳入の面において、税收の減が百億あるいはそれ以上もあるのではないかというような情勢であります。しかもこの八十三億というものを何とかしてひねり出さなければいかぬというふうな考えで、意見書もお出しなつた。しかもそれが三十五億しか交付にならない。交付しなければどうしても越せないと言う。八十三億でも年が越せないではないかという情勢のもとにおいて、三十五億しか交付しない。しかも昨日の本会議の席上におきまして、大蔵大臣は三十五億で十分だ、それ以上この平衡交付金をふやす必要もないのだということを言い放つておられるのでございますが、そういう点について、地方財政委員会政府にどういうような積極的な働きかけをしておられるのか。われわれは、地方財政考えまするとまことに暗い顏をせざるを得ないのでありますが、もつとはつきり事情をお聞かせ願います。
  60. 荻田保

    荻田説明員 一昨日から委員会の委員長も申されておりますように、当初百三十余億円の増加、その後年末手当半月分になりましたので八十三億、これだけがいるということで、あらゆる方法をもちまして政府にお願いをしておるのであります。政府意見書出したわけでございますが、遂に三十五億しか認められませんでしたので、それでその後は予算を審議なさいまする国会においてお願いするよりしかたがないと考えまして、内閣を通じて意見書出しような次第であります。
  61. 山手滿男

    ○山手委員 そのことでありますが、昨日大蔵大臣の答弁にも三十五億円で十分だ、これは政府見解だというふうな表現をして、はつきり言い切つておられましたが、この点について、あなたの立場としてどういうふうに——地方行政を担当していらつしやる大臣としてはどういうふうにお考えか、所見を承りたいと思います。
  62. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。これは昨日も申し上げた通り、私自身としましては、地方財政委員会というものは権威ある委員会である。その委員会が調べた結論は尊重すべきものである。しかしながら閣内においていろいろ協議しました結果、中央財政の立場から三十五億以上はどうも出る財源がない、こういう意味におきまして三十五億にした。そこで私の立場としましては、はなはだ板ばさみになつたわけでございます。今もやはり地方財政委員会考えていられるような方向に進んで行つてもらいたいとは思つておりますけれども閣僚といたしましては、もうすでに閣議でそういうふうに決定されてしまつたものでありますから、何ともいたし方がありません。しかし私、自身といたしましては、地方財政委員会は独立の機関であつて、同時に地方財政全般に対する綿密なる資料をもつて要求書を出しておられるのでありますから、やはり意見書というようなものが出ました以上は、国会において御審議を願つたらどうかというよう考えを持つております。
  63. 山手滿男

    ○山手委員 その点については、どうも大臣の答弁が、木で鼻をかんだというような気がするのであります。地方財政委員会意見書というものは、あくまで地方財政委員会考えに基いて独自の立場でお出しなつた、こういうことは言えるかもしれぬと思います。しかし地方行政を担当していらつしやる大臣の立場というものは、地方自治団体の立場でなければいかぬと思うのであります。実際に地方財政内容大臣がごらんになつて、ほんとうに地方財政委員会意見書というものが正しくて、実際こうしなければ地方行政は例の勧告以前のものにまた逆もどりをしてさんたんたるものになる。これじやいけないと思われるのか、そうじやない、やはりそれは何とかなるという程度にお考えになつておられるのか。その点のところを、大臣は軍に地方財政委員会が、かつて意見書出したものであつて、ただそれは尊重してという形式的な考え方で行けばよいと言われるのか、はつきりしていただきたいと思います。
  64. 岡野清豪

    岡野国務大臣 たびたび申し上げますように、中央の財政の担当者は大蔵大臣でございます。そうして中央財政の担当者の大蔵大臣が、財源としてこれだけしか出すことができないということになりますれば、それに従うのが当然だと思います。同時に私自身といたしましては、先ほどもたびたび申し上げましたように、地方自治庁の長官というものは、職責と申しますれば結局地方自治確立するためにいろいろな法案を立案し、それを国会に提出し法律にしていただく、こういうのが本来の職務でございます。ただ問題は、地方自治確立いたすにつきましては、財政面も確立しなければやはり地方自治確立ができない。こういうような立場にありますから、道義的また良心的に考えまして、地方財政の方にも、よけいなおせつかいでございますけれども、いろいろ事情を聽取したり、いろいろなことに対して陰ながらの努力をしておるという立場でございます。この点はよく御了解を願いたいと存じます。
  65. 山手滿男

    ○山手委員 ちようど大蔵大臣がお見えになりましたからお聞きしたいと思います。さつきから、ここでも地方財政委員会事務局長あたりから、いろいろ答弁があつたのでありますが、千九百億の明年度の徴税というのは、おそらく百億くらいは税收減になるだろう、あるいはまた冗費の節約そのほかについても五%くらいの節減をやろうというようなことを考えておるけれども、なかなかそうは行くまいというふうな見方があるのであります。そういたしますと、年末には半箇月分の年末手当を出す、べース・アツプもしなければならぬということになると、あなたが昨日おつしやつたところの三十五億の平衡交付金増額をすればそれで十分だ、それ以上に増額をする必要はないというふうに言い切られたのでありますが、それとはたいへんな矛盾ができて来るのでありますが、大蔵大臣はどういうふうにお考えになるか、その点を承りたいのであります。
  66. 池田勇人

    ○池田国務大臣 お話の通りに、地方の各団体の予算執行状況は、今はつきりいたしておりません。私は来年度の予算編成にあたりまして、昭和二十四年度の決算の状況を知りたいと思いまして、各府県に通報方を願つたのでありますが、不幸にして二十六年度予算をきめます場合に、四十数府県の中から十八府県しか来ていない。二十四年度の決算をその当時十分に知ることができなかつた。二十五年度の状況につきまして、たびたび決算見込みを府県だけでもよいからお知らせ願いたいということでやつたのでありますが、わかりません。従つて今年度の地方団体の租税收入がどうなるかということは、はつきり申されないのであります。しかし大体におきまして、地方団体においても、ことに府県の方はかなり苦しい状況であるということは想像できます。従つて財政の許す限り地方平衡交付金をふやすべく努力いたしたのであります。しかし国の財政もそうゆたかではありませんので、三十五億で——これで十分だという気持は私は持つておりません。(「きのう言つたじやないか」と呼ぶ者あり)十分だとは言つておりません。できるだけのものは出すようにいたしたいと言つたのであります。従つて本年度千九百億の收入のうち、百億の減收になるかどうかということはわかりませんが、今地方におきまして、事業税等で徴收不足と言いますか、徴收遅れがかなりあるのであります。従つて極力地方の方でも急いでとつていただければ、財源も相当ふえて来るのではないかという気持を持つておるのであります。
  67. 山手滿男

    ○山手委員 そうすると結局この問題は数字もない、見込みでもあるというので、水かけ論だというふうなことに持つて行かれることになるので、私が逆にお聞かせ願いたいと思うのは、三十五億の内訳というのは、大蔵省の方ではどういうふうに考えて、三十五億というふうにはじき出されたのか、その点をお聞きしたい。
  68. 河野一之

    ○河野政府委員 三十五億円をどういうよう考え方で算定いたしたかというお尋ねでありますが、平衡交付金決定後におきまして、法令の関係あるいは今回の給與引上げの関係、また補正予算に伴いまして地方負担増加いたす、こういうような新たな地方経費の増加ということも考え、また地方の收入の点といつたことも総合勘案いたしまして、また経費の節約もやつていただくというような趣旨で、一応この程度が適当であろうと考えたのであります。ただ、しいてどういうような計算の根拠があるかとお尋ねになりますならば、過般地方財政委員会におきまして、地方財政委員会法第十一條の規定によりまして、地方財政平衡交付金増額について意見書が提出されております。これによりますると、平衡交付金増額に必要な経費負担は大体百七十三億円である。このうち三十九億九千幾ら、約四十億円ほどを経費の節約によりまして、差引き百三十三億円の平衡交付金増額を要する、こういうよう意見書が提出になつておるのであります。これをここに私ども検討いたしたのでありますが、その百七十三億円増加を必要といたされておりまする経費の内容を見ますと、給與関係増加額が百三十八億円、平衡交付金決定後の法令の改正等によりまして約十六億円、それから政府の今回の補正予算に伴いまして十三億程度の経費の増加を要する、また災害救助費によりまして五億七千万円ほどの増加を要する、こういうような御意見でありまするが、給與増加に関する経費のうち、年末手当の支給に要する経費は、昨年度におきましても一応既定経費をもつて支弁いたしました関係上、新たなる経費の増額とも私どもとしては考えておりません。また平衡交付金決定後の法令の改正等による経費というようなものも、法的に検討いたしますと、もう少し少くなるであろう、補正予算に伴う地方負担増加というようなものは、大体この程度でありますが、そういつた一応の計算を基礎として、これに節約というような点も勘案いたしまして、三十五億というふうな一応の数字になる、この程度が一応適当であろうと考えた次第であります。
  69. 山手滿男

    ○山手委員 べース・アツプだけで四十三億、年末給與で四十五億ぐらいのものがどうしても新規になければいかぬという実情になつておるのであります。しかもなお平衡交付金の仮決定をして渡したものも返さなければいかぬような県もあり、地方税の歳入滅の憂いも相当にあるという状態、しかもこういう新規歳出というものがどうしてもなければいかぬと要請されておるときに——給與関係だけでも八十八億というものが最低限にいる、これを三十五億平衡交付金出してそれで十分だ、これでよかろうというふうな根拠がちつともわからないのであります。地方はどうしてやつたらいいのか、こういうことに、みななつて来るのでありますが、その点もう少し掘りわけて、それでは三十五億円をどれとどれに拂つたらいいのかということについて説明を願います。
  70. 池田勇人

    ○池田国務大臣 三十五億円出しました一応の計算は、主計局長から申し上げた通りであります。地方公務員の方方の給與がこれだけ上つて、これをみな国の方から出せといわれても、国の方でも困るのであります。地方の方ではこれだけ歳入減があるのだ、こう言つて押しつけられても困る。前年度の雑收入の状況を見ましても、また今年度の徴收状況を見ましても、地方において極力財源獲得に努力していただくよりほかにはない。国の方といたしましても、既定経費を節約して、そうして給與の引上げとか、あるいは国策遂行に必要なものを出しておるのであります。地方の方でもそういうふうな意味において、国と同じように極力徴收を確保すると同時に、節約をしていただいて所要経費に充てていただきたい、こう申し上げるよりほかにございません。なお三十五億円の使い方につきましては、これは平衡交付金法の趣旨によつてお使いになるので、大蔵大臣からどうこう言うことはできないと思います。しかし御承知通りに私は、当初組みましたときにおいては、義務教育費関係の方々につきましては、できるだけのことを計画いたしておつたのであります。聞くところによりますと、文部大臣はこの分のうち相当分が教員の方にまわるのだというお話があつたと聞いておりますが、私の初めの腹は、教員関係の分につきましては、できるだけのことをいたしたいという気持があつた。これは従来義務教育費の国庫負担関係から申しまして、予算を組む場合においてはこれを優先的に考えなければならぬのではないかというような気持がありましたので、ベース・アツプのために九億円、あるいは昨年の年末賞與のために七億二千七百万円、こういうようなものを組んだり返したりというつもりでおつたわけであります。しかるところ関係方面との折衝で、そういうようなものもみな含めて、三十五億ということになつたのであります。
  71. 立花敏男

    立花委員 関連して……。今の大蔵大臣数字なんですが、ベースアツプ九億円、それから昨年末の手当の半額として七億二千万円、これを含んで三十五億円とおつしやられましたが、そうでございますか。
  72. 池田勇人

    ○池田国務大臣 そういうものを含めた意味において、三十五億円出したのであります。
  73. 立花敏男

    立花委員 そういたしますと、そのほかに年末手当半月分の十億円もこれに含めますか。
  74. 池田勇人

    ○池田国務大臣 当初内定しましたものにつきましては、それは含んでおりませんでした。
  75. 立花敏男

    立花委員 そういたしますと、三十五億円のうち七億二千万円プラス九億円、十六億二千万円というものは、確かに含んでいることになるわけですね。
  76. 池田勇人

    ○池田国務大臣 先ほど申し上げましたように、平衡交付金法の趣旨によりまして、これはどこに使えということは私からは言えません。しかし当初の計算につきましては、義務教育費関係のものは、従来からの行きがかり上、ある程度考えなければならぬというので、当初の予算にはそういうものを組んだわけでございます。
  77. 床次徳二

    ○床次委員 ただいまのお話に関連して申し上げるのでありますが、大蔵大臣は、不足の分は地方の雑收入その他、いろいろやりくりをしてまかなつたら何とかなるのではないかというようなお考えようでありますが、地方の雑收入、特に例としてあげられましたものは、これは地方によつて非常に違うのであります。雑收入の入ります地区——競輪を行いますものその他、これは一部分でありまして、市町村全体に関係を及ぼして参ります今度の補正予算のごときものにつきましては、公平な財源というわけにはならないと私ども考えております。なお昨日からもお話がありましたごとく、今日地方で所要としております数字は、これは町村経営の全般に関係しておるのでありまして、どうしてもこれを繰延べることの困難なものに当つておると思います。結局その財源として考えられるのは、昨日ここでお話がありましたが、法定外を増徴する、あるいは標準以上をとる、あるいは寄付に求めるということになりまして、地方はそれだけ負担が大きくなるのであります。大蔵大臣は、今度の補正予算におきましては、減税を行い、国民負担の軽減をはかつて——なるほど事情はさようかと思います。しかも大蔵大臣の言われる減税の中には、いわゆる税法上の減税であり、しかもその見積りにおきまして、相当の水増しをしているものではないかと言われておる際でありますので、数字上は一見わずかのようではありますが、この四十八億、五十億ばかりの地方財政あと始末、交付金の不足額というものは、国民生活に非常に大きな影響を與えるものと、私は見ておるのであります。大蔵大臣地方財政委員会意見あるいは自治庁意見というものは、かなり食い違つておりますが、これは意見の差だけでは済まないのでありまして、直接迷惑をこうむるものは国民になつて来ると思うのであります。この場合におきまして、国民はむしろ今度の補正予算の結果におきまして、負担増加が来るのではないか、中央地方両方の財政を通じて見ますならば、国民負担増加を来しておるのだというように私は考えるのでありますが、大蔵大臣はいかようにお考えになりますか。この際承つておきたいと思います。
  78. 池田勇人

    ○池田国務大臣 国民負担増加を来すのではないかという御議論の根拠が、私にははつきりいたしません。私は補正予算におきまして、国税收入について決して水増しをいたしておりません。床次君も御承知通りに、最近の勤労所得の増加、あるいは法人の利益の増加は実に目ざましいものがあるのであります。従いまして水増しと言われますが、勤労所得を中心とした源泉課税は、当初の予算の九百八十億円に対しまして、二百四、五十億円の増を見ておる、法人関係は三百八十億円の税に対して百八十億円の増を見ておるのであります。しかるに片一方の農業あるいは中小商工業を中心とした申告納税予算の千五百億円に対して、三百三十億円の減收を見込んでおります。それから法人関係の資産再評価による收入見込み百六十億円に対しましては九十数億円の減收を見ている。みな根拠があつてつているのであります。最近の状況によりまして、初めて予算を内定いたしましたときには、專売益金の減收を三十億見ましたが、十月、十一月初旬のタバコの売行きを見まして、タバコにおいては百十億円の減收を見ている。しかして経費の節約、あるいは塩の利益の増加——塩については来年一月から、食塩を下げ、工業塩を千円上げる予定でおりますが、二十億円の増收を見込んでおります。個々のアイテムにつきましては、最近の状況によつて補正しておるのであります。決して水増しをいたしておりません。お話に税法上の減税と申されましたが、減税というものは税法上の減税であります。タバコの益金が千二百億円が百十億円下つても、これは私は減税とは言いません。これは減收である。所得がふえて所得税が上ることは当然である。減税とか増税というものは税法上以外の何ものにも言えない。たとえば中小企業やあるいは工業に対して、予算の千五百億円が三百三十億円減つたと言つたつて、これは減税とは言いません。減收である。国民負担増加するということは私は考えておりません。本会議で申しましたように、米などの主食の値上りによりまして、ある程度生計費に影響がありますが、所得税の軽減あるいは酒税、物品税等の軽減によりまして、十分この主食の値上りはカバーできる、あらゆる計算をいたしまして、私は国民の税は減つて来るという結論に到達いたしたのであります。
  79. 床次徳二

    ○床次委員 あらゆる観点から見まして、税が減つて来るとお考えになりますが、ただいま大臣は相当詳細な各項目について検討した結果だとおつしやつておるのですが、これはやはり見込みであります。大臣はさようにお考えになるかもしれませんが、はたしてさようであるかどうかは、今年の末になつて、事後において聞きたいものだと私は考えておるのであります。地方の状況につきましては、すでに地方財政委員会として、やはりそれぞれの立場において各項目を検討して述べられたのでありまして、あるいは大蔵大臣見解が正しい、あるいは地方財政委員会見解が正しいかということは、将来において見なければならないのであります。私どもは、現在の地方財政の状況から見て参りますと、地方税の收入その他から見まして、地方財政の穴はますます大きくなるのじやないか。先ほども委員会において議論があつたのでありますが、かなり穴が大きくなる。しかもこの穴を埋めるためには、どうしても増徴をしなければならなくなるのじやないか、中央、地方を合せますと、結局負担増加するのじやないかということを私どもは憂うる。大蔵大臣がお考えになるような形におきまして、非常に好転して参りますならば幸いだと思つておりますが、これは将来において判断を下すべきものである。どうも意見相違でございまするから、私の質問はこれで終ります。
  80. 前尾繁三郎

    前尾委員長 門司亮君。
  81. 門司亮

    ○門司委員 先に山手君その他からいろいろ聞かれておりまするので、私は一つ二つお聞きしておきたいと思うのでありますが、それは自治庁が、平衡交付金について、地方が節約いたしまする約四十億を差引いて、残りの百三十四億くらいが至当だということで、地方財政委員会としてはこれを要求した。それに対して三十五億でいいという御答弁であり、さらに三十五億の算定の基礎の説明をさつき伺つたのでありますが、非常にあいまいでありまして、私どもそういう説明では納得がいかぬのであります。従つてどもこれから少しこまかく数字をお聞きいたしますが、この数字が正しいかどうか大蔵省ははつきり御認識なさつておられるか。一応の御説明をこの機会にお願いしたいと思います。先にお聞きしておきたいと思いますことは、最も大きな問題として考えられます平衡交付金の、この前きめましたときの後における法律の改正による財政の需要の問題であります。この問題はいろいろあると思いますが、たとえば臨時的経費にいたしましても、災害復旧の経費であるとか、あるいはそのほか国庫負担の査定基準によりこれが上まわつて来た場合の差額、それから農林水産施設に対しまする災害復旧費の中の義務的な負担金、こういうものが大体含まれております。それから事業資金対策というようなものが含まれて来ておる。こういうものの総額が大体九億二千万円になつておるのでありますが、これらの臨時的な諸経費というものは、大蔵省はお認めになつておるかどうか。
  82. 河野一之

    ○河野(一)政府委員 先ほど、三十五億はどういうふうにして、一応持つて来たのであるかということについて申し上げたのでありますが、平衡交付金というものは個々の経費を見て、それを国でもつて財源をやるという性質のものではあるまいと私は思います。地方財政全体を見て、平衡交付金増額する必要があるかどうかという見地において、考えらるべきものだと思います。ただ何らの計算基礎なしに、漫然と増加するということは考うべきものではないでありましよう従つてどもといたしましては、地方財政委員会からお出しになりました意見書を元といたしまして、経営的経費として百七十三億円、これに対して既定経費の節約をおやりになりまして、百三十三億円という意見書を御提出になつております。そのものにつきまして一応平衡交付金をそのラインに沿つて増額いたしますと、どうなるかということを考えたのであります。門司さんのおつしやいましたように、ほかのものでいろいろ負担増加があるであろう、これがないとは決して申し上げておりません。この点について負債の増加ということもありましようし、また地方の收入の増加ということも考えられるのでありまして、これらの点も勘案して考うべきであると思うのであります。ただ意見書にありましたラインに沿つて考えますと、この中には純地方負担増加になると思われるものについて、意見相違がある。すなわち年末手当につきましては、地方財政委員会におきましては九十億程度に御積算になつておるのでありますが、この分は昨年においてすでに半月分出している。本年は一月分になればまた格別でありますが、半月分であるということになれば、既定の形においてすでに支弁されておる。従つて新たな地方負担増加にならない。こういう一応の考え方をしておるわけであります。また平衡交付金の決定後における法令の改正等によつて増加するものにつきましても、地方財政委員会の資料を拜見いたしますと、この中におきましては必ずしも新しい経費の増加であるとは、認めがたいと思われるようなものが数項あるのであります。たとえて申しますと、社会福祉施設の増加等に関するものは、すでに前年の補正予算平衡交付金決定の際において、民生保護委員等の振替等におきまして、支弁する予定になつておつたと、私ども考えておるのであります。それから飲食物規整法等に基くものにつきましては、これは收入の減少でありまして、新たな経費の増加ではないのであります。また食糧管理制度の改正に伴う経費も八億円ということになつておりますが、今後における食糧配給制度というようなことを考えますと、これだけの人件費の増加がいるものかどうかという点について、私どもは必ずしもその通りだとは考えておらないのであります。従いましてそういう点について相当新しい負担増加というものは、委員会が考えておられますラインとは、私どもは少し意見を異にしております。また補正予算に伴う地方負担の増は、国の補正予算に伴つて当然出て来る増でありますから、そう意見相違があろうまずはないのであります。そのほか災害救助費による負担の増かということもございます。しかしこれにつきましては、門司さんもよく御承知ように、地方財政平衡交付金法におきまして、特別平衡交付金制度がありまして、災害等の場合においては、こういうよう條件もいろいろ考えて、その配分を考えるというよう建前でありますから、こういういろいろな事情を勘案いたしまして、平衡交付金の配分の問題を私ども考えまして、三十五億円程度ということにいたした次第であります。
  83. 門司亮

    ○門司委員 さつき平衡交付金の問題でちよつとお話がありましたが、平衡交付金を算定いたしますには、あなたの方がよく御存じのように、地方財政需要額と、その收入のアン・バランスが大体これで埋められるということになつておりますので、財政需要がふえて来れば、当然アン・バランスがよけいに出て来る。收入の方は、御存じのように税法で大体縛つておりますので、それ以上ふやすことはなかなか困難だが、財政需要の方は、いろいろな形でふえて参ります。従つてそのアン・バランスが大きくなればなるほど、地方自治体といたしましては、これを求めるには一つは起債であり、一つ平衡交付金増額を要求する以外に手はないと私は思う。従つてどもが今ここでお聞きいたしておりますのは、この財政需要額のふえた点をお認めになるかどうかという点です。今もお話しになつておりますが、たとえば政府補正予算による増加というようなものにつきましても、百二十四億ばかりあるのでありますが、これは大体私はお認めになつておると思いますが、それはその通りでありますね。
  84. 河野一之

    ○河野政府委員 臨時的な経費、たとえば災害関係等でふえているものもあろうと思います。しかしこれは地方財政委員会意見書にもいろいろございまして、意見書におきまして、たしか三百八十数億が、臨時的経費も入れて増加するとお考えになつておつたようでありますが、私どもはその数字そのままには考えておりません。災害等によりまして百三十億程度の増加について、地方財政委員会意見があるようでありますが、この中には、たとえて申しますれば災害の公共事業等に伴う地方負担というものは、予算はつきりきまつている。災害関係の公共事業費は四十一億程度の増加考えておられますが、予算上の計算におきましては二十二億程度であります。また單独事業なんかの計算におきましても、六十七、八億ということを言われておりますが、私どもはそういうふうに考えておりません。ただ二十五年度の補正予算等に伴います地方負担の新たな増加ということについては、目下いろいろ検討いたしております。たとえて申しますれば、公共事業費なんかの配分等につきましても、大いに関係することでありますので、まだ的確にどの程度であるというふうな結論は下しておりません。それを申し上げる段階には至つておらないのであります。
  85. 門司亮

    ○門司委員 めんどうだからそれならもう少しはつきり聞きましよう。この補正予算に伴います国庫負担補助金額はふえております。従つて地方負担金はふえなければならない。文部省関係といたしましても、認定講習に要する経費は国庫の補助でありますが、一億九千三百万円ふえておりますので、これと同額の地方負担がどうしてもふえなければならないということになつている。その次に農林省関係におきましても、御存じのように農業協同組合の検査の旅費であるとか、あるいは稻熱病の予防費とか、あるいは主要農作物の災害復旧対策費とか、あるいは麦増産の対策費、家畜の衞生費というようなものが国庫補助でありますが、大体これにつきましては三億一千五百万円ふえておりますので、これと同額に地方負担増加を当然見なければならない。厚生省関係におきましても、御存じのように結核予防費の補助であるとか、あるいは伝染病予防費の補助であるとかいうようなものや、身体障害者更生施設の費用であるとか、身体障害の手当であるとか、あるいは登録費であるとか、生活保護費であるとかいうようなものの増加が、大体十二億四、千八百万円ふえている。こういうふうに国庫補助がふえて参りますだけは、当然地方負担というものはふえて来る。このふえて来た額というものは、当然これはやはり地方にそれだけの財政需要というものが増して来るのであります。従つてその穴埋めだけは、やはり先ほど申しますように、地方としては平衡交付金に求めるか、起債に求める以外に私は方法はないと思う。こういう経費を大蔵省はほんとうに認められておるかどうかということを、もう一度御答弁願いたい。
  86. 河野一之

    ○河野政府委員 今回の政府補正予算に伴いまして、十三億二千四百万円ふえるというよう意見書が出ておりますが、この点においては多少差がありますけれども、大体その程度の新たな経費需要があると思います。御意見を反駁するようでありますが、経費需要があること自体すぐ平衡交付金という筋には、必ずしもつながらないと私は考えます。ただ経費需要がこの政府補正予算に伴つてあるという点だけは、一致していると、私ども考えております。
  87. 門司亮

    ○門司委員 どうもはつきりしないのであります。いつまでたつてもあいまいな御答弁で、一向満足するわけには行きませんが、たとえば失業救済費にいたしましても、ここに十四億九千万円というものが、国の方から出て参ります以上は、やはりどうしても地方もこれを増額しないわけには参りません。それから災害の救助費にいたしましても、国庫負担がふえて参ります額、つまり三億八千七百万円というものは、やはり地方におきましても、どうしてもふやさなければならない。これをもし大蔵省が認めておるといたしますれば、私は当然地方財政委員会の要求しております額に、大蔵省としても大なたを振うわけには参らぬと考えているわけであります。従つてそういう数字を一々十分検討されているかどうかということを、この機会にもう少しつつ込んで聞いておきたい。私が今申し上げております数字は、何も私の手元だけにあるのではありませんで、おそらくあなたの方にもこの通りの書類が行つていると思う。従つてあなた方はこれを十分研究されたと考えております。ただ平衡交付金にこれがよらなければならないであろうかどうかということ、それからもう一つの問題は、先ほどちよつと触れられましたように、平衡交付金の中の百分の十というものが、災害その他のことのために緊急に出される費用であるから、災害復旧の費用というようなものも、財政委員会の言つているほどそう必要はないのではないかというような御答弁もあつたように私は聞いておりますが、この費用はなるほど平衡交付金法の建前から行けばそうなつております。しかしこの額は一体どのくらいであるかということである。平衡交付金予算の上では一千五十億でありますが、その中でほんとうの平衡交付金として地方の公共団体が自由に使える金は現に六百六十六億八千万円しかない。それの約一割がとつてあるといたしましても、わずかに六十七億しか金がないのであります。それから本年度の地方災害については、御存じのように非常に大きな災害を受けている。私どもはこの面から申しましても、この非常用にとつておりますわずかに一割の平衡交付金の予備費では、とうていまかない切れるものではないということが、常識的に考えられると思う。そういうようなものがあるから、ここに地方財政委員会から要求しておりますこの災害事業に対する單独事業費の百億というようなものが書いてありますが、もしこういうようなものについては考えられないというようなお考えだとするならば、それは私はただ法だけを御存じになつてつて、法の実際上の運営の面の数字を、十分御存じにならないものの考え方ではないかというようにわれわれは考えるのであります。  それからそのほか要求されておりますもので、もう一つ念を押しておきたいと思いますが、政府が今度ベース改訂するということになつている。そのことのためにいります四十三億という地方の経費というものは、十分に大蔵省として認めているかどうかということであります。それから年末の手当半月分出すということになりますと、これも約四十五億ばかりいるのでありますが、この四十五億というものが地方公務員に当然支給さるべきであるというように、大蔵省はお考えになつているかどうか。
  88. 河野一之

    ○河野政府委員 国の公務員地方公務員とは、建前が違いますので、国家公務員出した場合において、地方団体出してくれと強制するわけには参りません。ただ出されるであろうと私どもは期待しております。従つてそういう面の経費の需要はあるであろうと思います。ただ数字の点になりますと、四十三億というようなお話でありますけれども、これは御承知ように、国の方におきましても百六十万人ほどの政府職員の全体について、頭当り千円ということでありますので、ただ個々の人についてはもちろん違いますが、財源的には頭当り千円でありますので、現在地方公務員給與が高いからというようなことがありましても、千円がさらにふえるというふうな考え方数字は計算すべきものではあるまいと私は考えております。それから年末手当の問題でありますが、これはたびたび申し上げました通り、昨年は国家公務員の方では三千円を出しております。地方団体においてもおそらく出されたことであろうと思います。これについては、特に財源平衡交付金の姿で考えたわけではないのであります。この制度は今度同じく踏襲せられるのでありまして、この面においてさらに地方団体の経費需要が少くとも昨年に比較してふえると、私ども考えておらないのであります。
  89. 門司亮

    ○門司委員 私は非常に不親切な答弁だと思いますが、人事院の規則あるいはその他をずつとわれわれが勘案して参りましても、給與の面に対しましては、大体国家公務員の給料の改正か行われますならば、当然地方も行われなければならないことになつていると私は考えている。そうするとただそういうことが大蔵省としては望ましいという形、あるいはそうなるであろうというようなことでなくして、これらの問題については責任を持つて考えを願いたいということ、それから去年は三千円出したから、ことしも何らかそれらの措置によつてということでありますが、去年の地方財政のあり方と、ことしの地方財政の現状というものでは、非常に大きな開きを持つております。それは地方税法の制定が非常に遅れたということも、一つの原因でありましようが、また一方において税制の改革による地方負担が非常に増しているということであつて、一応あなた方からお考えになりますならば、デスクの上では非常に増税になつようにお考えになるかもしれませんが、増税は單なる数学の増税であつて、実際担税能力に応じた増税でなかつたと私は思う。その結果は今日徴税が非常に困難である。御存じのよう地方の市町村民税のごときは、大体七割にまだ達しておらない。こういうような状態であるということは、そういうものがあるから、それを取立ててやつたらどうかというお話でありますが、国の財政の面から考えますと、あなた方も御存じのように国の財政ではいまだに徴收不能といいますか、滞納の分が私は六百億を越えていると思う。国は六百億の大きな滞納金額を持つてつても、今日何とか財政上のやりくりがされている。地方の情勢をそれと同じよう考えて、そうしてこれを取立てたらどうかというようなお考えであると思いまするが、それは国の状態を、地方の一万有余に及んでおりますおのおのの状態を異にしております地方自治体に、ただちにそのことはあてはまらぬと思う。同時にまた節約の面からいたしましても、国においていろいろな費用の約百分の五を節約したから、地方の公共団体も百分の五の節約をすることが正しいというようなお考えであるように聞いておりますし、また財政委員会もそういうことを考えているようでありますが、これもさつき申し上げましたように、一万を越えております自治体については、そういう余裕財源のまつたくない、ほんとうに手一ぱいでやつているところもありましようし、また剰費のあるところもあるかもしれない。しかしこれを国の財政と同じよう地方財政考えておられるという点が、私は地方財政に対する非常に認識の欠けている点ではないかと考えている。そういうものの考え方からお考えになつておりますので、この地方財政委員会が要求いたしました額を約三分の一くらいの程度でこれを打切つてしまう。三分の一にも行つておりません。四分の一でありますが、四分の一くらいの程度にこれを打切つてしまうというような無謀なことがされていると私は考えている。この点については、もう少し私ども数字はつきりこの機会に示してもらいたい。私はこの問題についてここでこれ以上あなたと水掛論はいたしませんが、要求をいたしておきたいと思いますことは、地方財政委員会からあなたの方にまわしましたデーターについて、あなたの方の御意見数字をこれにつけ加えて、われわれの手元にそれを御提示が願いたい。それによつてわれわれはほんとうに納得が行くかどうか一応検討してみたい。こう考えているのであります。この点はひとつ特にお願いを申し上げておきたいと思うのであります。  その次にこれは大蔵大臣に聞いておきたいと思いますが、起債の問題であります。起債のわくが当初は三百七十億であつたというようなことで、大体各地方団体に割振りがされている。ところが実際は、これは三百億しか起債のわくはなかつたのだ。そこで実は起債のわくの中で七十億の誤差を生じている。このいきさつを実はきのう自治庁の長官から聞いたのでありますが、この七十億の誤差というのは一体どういう意味でこういうものができているのかということ。それから同時にすでに地方財政委員会ではこれを三百七十億と考えて、地方に起債のわくの割振りをしている。こういうことで非常に地方自治体、財政委員会は困つていると思いますが、大蔵大臣としてはこの点のいきさつを、どうしてこういうものができたのかということを、一応お話を願いたいと思います。
  90. 池田勇人

    ○池田国務大臣 当初三百億という話があつたのでありますが、三百億では足りないというので、私は関係方面のある人と話をいたしまして、大体三百七十億ということに了解をつけたと考えております。従いまして三百七十億で自治庁並びに地方財政委員会、大蔵省は今まで進んでいるのであります。最近に至りまして——最近と申しましても二、三箇月前から、あるいは三百億だというような話であるものでございますから、それは間違いで三百七十億だ。確かに私も通訳もはつきりしているのであります。しかるところ私の相手の人が実は今おられない、いてもいなくても自分と話をしたのだからこれにしてくれなければ困る。こういうので今折衝を続けております。なお補正予算につきましての地方債のわくは三百七十億円に加えて五十億円の要求をいたしている次第であります。
  91. 門司亮

    ○門司委員 今の数字が私は何か少し違うと思うのですが、大蔵大臣のきのうの財政委員会説明では、今要求いたしております地方債の発行を二百十五億と書いてありますが、約二百億ばかりの中にこの七十億は含まれているというような話を聞いたのでありますが、今の大蔵大臣の話では約七十億に対して五十億くらいの数字が起債の認可額として考えられておるというようなお話でありますが、この数字の食い違いはどつちがほんとうでございますか。二百十五億を要求されておるのがほんとうであるか、その中に七十億を含む——七十億に五十億を加えたものが考えられておるのであるか。どつちがほんとうであるか、ひとつ承りたい。
  92. 池田勇人

    ○池田国務大臣 私は二百七十億とか何とかいうことは本国会では申し上げたことはございませんが、当初の三百七十億ということをはつきり指し、それに加うるに五十億程度の増加をお話いたしておるのであります。
  93. 門司亮

    ○門司委員 今のお話ですが、自治庁の方では七十億を含んでそうして二百十五億でありますかの要求をしておる、こういう話なのです。今の大蔵大臣の話では、その七十億に五十億がプラスされて百二十億だと思いますけれども、そうすると非常に大きな食い違いを生じております。約九十億ばかり違うのであります。財政委員会の話がほんとうであるか、大蔵大臣の話がほんとうであるか、その点ひとつはつきりさしておいていただきたいと思います。
  94. 池田勇人

    ○池田国務大臣 三百七十億の分につきましては、私が交渉をいたしました。補正予算に伴います地方債の増加は、五十億と事務当局から聞いております。自治庁がどういうふうに計算されておりますか、私はまだ聞いておりません。
  95. 門司亮

    ○門司委員 そうなつて参りますと非常に大きな問題が出て来ると思いまするが、地方財政委員会が要求しておりまする例の三百八十九億でありますか、この中に含まれておりまするものがいわゆる四十億の既定経費の節約によるものと、そのほかに地方債の発行として三百十五億、それからさらに平衡交付金増加が百三十四億こういうものが含まれて全部で三百八十九億ということになつております。ところが今の大蔵大臣のお話のように、実際は百二十億しか地方起債のことを考えておらないということになつて参りますると、この地方財政委員会考えておりまする財政需要額の中にさらに九十億の大きな穴があく、こういうことになつて参ります。これは地方財政委員会荻田君にお聞きしますが、一体大蔵大臣のお話になつておることがほんとうであるかどうか。
  96. 荻田保

    荻田説明員 大蔵省でおつしやることが正しいのだ思います。われわれの要求しておりますのは二百億を越えておりましたが、先ほど主計局長が言われましたように、その後公共事業費の負担が二十億ばかり減りましたので、それを減らしまして百九十五億、そのうち七十億に相当するものは、先ほどお話のありましたように、一応大蔵大臣が向うと御交渉になりまして認められたものも含んでおります。
  97. 門司亮

    ○門司委員 そうすると地方財政委員会の方は、今お聞きいたしますると、百九十何億でしたか、二百十億のものを百九十億くらいに減らしたというお考えようでありまするが、大蔵大臣の御存じになつておるのは百二十億だということになりますと、なおまたここに七十億の開きが出て来る。一体地方財政委員会としては、出されておる書類についてはそういうことになつておりますが、大蔵省に要求された額が一体百二十億であつたということであるかどうか。この点ひとつ真偽を確めておきたいと思います。
  98. 荻田保

    荻田説明員 こちらから出しておりますのが百九十五億でありますが、そのうち大蔵省と見解が違いますのは、災害に関しまする單独事業が相当食い違つておる。そういうことで今のよう数字の違いが出るのだと思います。
  99. 門司亮

    ○門司委員 食い違いが出るのだという話でありますが、実は私ども地方財政の問題をここで論議いたしまするには、やはり地方財政委員会意見は、私どもは相当重要視いたしまして、大体これらのものを基礎といたしまして、いろいろなことがここで議論されておると思うのであります。ところがこの問題が今のお話のようにあるいは百九十五億のものが要求されておつたといたしましても、これで大体やつて行けるのであるかどうかということに、また疑問を持つておりますが、とにかく地方財政委員会ではこういうものを出して、これによつて話が進められつつあるというように実はきのうまでは解釈しておつたのであります。ところがそうではなくして、自分の方ではこれだけ出したのだが、あとは大蔵省がかつてに百二十億にしたのだということになると、地方財政委員会説明されることは信用も何もされないということになる。一々大蔵大臣にここに来てもらつて説明してもらわないと、地方財政委員会では審議はできないということになるのですが、そういうことで一体よいのですか、岡野国務大臣からはつきり御答弁願いたい。
  100. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答えいたします。三百八十九億というのは年末手当が一箇月分という時代の数字でございます。年末手当が半箇月になりますと、経費の節約を三十九億九千万円、約四十億円、それから八十三億を平衡交付金で要求し、起債のわくとしまして百九十五億を要求しております。そこで百九十五億の中で七十億というものは補正予算の出ない前に必要であつたものでございます。でございますから補正予算が出ましてから、新規に起債をしなければならないものが百二十五億出て来た、こういう勘定になることを御了承願いたい。
  101. 門司亮

    ○門司委員 そういたしますと、何だか話がちよつと変で、七十億というのがどつちにくつついておるのかわからないことになる。
  102. 岡野清豪

    岡野国務大臣 七十億と申しますのは、御承知通り二十五年度の補正予算の出ない前に、三百億の起債を許されておつたのでございますけれども補正予算の出ない前において、すでにもう七十億起債を許してもらわなければ、二十五年度の地方財政というものはやつて行けないということについて、大蔵大臣関係方面に対して非常な努力をされて、今言われたように、ある人に対して七十億の了解を得て来られたのでありますけれども、その人がいなくなつたので、それがまだうやむやになつてつて決定をしておりません。そこで今度意見書出しますときにつきまして、今まで七十億は正式に承認されておりませんから、それに対してそれも加えて、いわゆる補正予算以前にほしいと言つて大蔵省が承知して、関係方面も了承したと了解としておるその七十億というものを……。(「大蔵大臣責任じやないか」と呼ぶ者あり)それは責任の問題じやありません、数字の問題でございます。今責任問題を言うべき筋合いではありません。でございますから、大蔵大臣の努力によつて一応は七十億出ることになつておつたものだから、それで済んでおつたと思いましたけれども、それが決定いたしませんから、今度あらためて補正予算が出ました後に、新たに地方財政委員会として大蔵省に対して出すためには、きまつていないものもやはりきめてもらわなければなりませんから、それで七十億を加えて百九十五億の起債を要求する。ですから百九十五億の内容を申しますれば、七十億は決定してないからそれを含め、同時に補正予算が出た後に必要とするところの百二十五億円というものを加えて、百九十五億円を要求しておる。これでおわかりと存じます。
  103. 門司亮

    ○門司委員 そうしますと自治庁から要求いたしましたものは七十億を差引いた百二十五億ということですね。
  104. 岡野清豪

    岡野国務大臣 さようでございます。
  105. 門司亮

    ○門司委員 それを大蔵省は五十億しか要求してない、こう解釈してよろしゆうございますか。
  106. 岡野清豪

    岡野国務大臣 それは大蔵大臣にお聞きを願います。
  107. 門司亮

    ○門司委員 大蔵大臣はさつき、前の七十億と今度の五十億を今要求しておるというようなお話でありますが、自治庁では七十億を差引いた百二十五億要求したということになつておりますが、大蔵大臣の言われるのは、この百二十五億に対して五十億しか自分の方では認めていないというか、あるいは話をしていないというか、そういうことに解釈してよろしゆうございますか。
  108. 河野一之

    ○河野政府委員 先ほど岡野国務大臣が言われました通り、現在の地方財政委員会の御要求としては、百九十五億ということになつておるのだろうと思います。その中に先ほど申し上げた七十億が入つております。この百九十五億がよいのか悪いのかということは第二の検討の問題だろうと思います。たとえて申しますが、先ほどの災害の單独事業などの見方などにいろいろ御意見相違がございます。ただ大蔵大臣が五十億ということを言われたのでありますが、この問題については別に確定しておるわけではないのであります。(「いよいよわからない。」と呼ぶ者あり)ちよつとお待ちください。ただ関係方面におきまして、今回の補正予算等に伴いまして、この程度はいるのではないかというようなお話があつたわけであります。従つて最少限度この程度はいるであろう、なおこの増額については私どもとしてはできるだけ努力をいたしたい、こう考えておる次第であります。誤解のないようにお願いいたしたいと思います。
  109. 門司亮

    ○門司委員 誤解をする余地もほとんどないと思いますが、今まで議論をしたことが実はばかばかしいことであります。大蔵大臣は五十億を要求するといいますか、考えておるというお話でありましたが、たとえ百二十五億を五十億に削つても、大蔵省としては一応これが確定して出されるようにお考えになつておると思つたのが、大体そのくらいいるであろうという今の主計局長のお話のようになりますと、地方財政というものはどうなるのですか、どうしたらよいのですか。地方財政の需要額として、どうしてもこれだけいるとして大蔵省に交渉する。大蔵省は大体そのくらいで考えておくというような程度では、今日の地方財政はやつて行けぬと思う。日本のほんとうの行政を民主化することのためには、どうしてもやはり地方行政というものが重要になつて来て、地方の公共団体がほんとうに行政上にも民主化されて来なければ、日本の民主化ということは困難だと私は思う。このことのために、新しい憲法では、御存じのようにわざわざ九十二條以下に地方自治という條項を設けてこれを規定しておる。それが財政の面において、大蔵省がそういう冷淡な物の考え方でこれを切盛りされるということになつて参りますと、地方自治体は一体どうすればよいかということであります。今地方公務員法出して、地方公務員の政治活動であるとか、争議行為であるとか、労働者としての当然の権利である労働三法をも取上げて、そうして縛つて行つて、公のすべての奉仕者であるという建前で忠実まじめにやれというような御宣託をせんとしておりますが、こういうあやしい——あやしいというと語弊があるかもしれませんが、きわめてあぶない地方財政の上に、こういう法律を今出さなければならないということは、われわれにはには考えられない。ほんとうに日本を民主化し、さらに日本の行政に正しい軌道に引きもどして行つて、在来の中央集権の誤つた行き方を改めて行こうとするには、地方公共団体の自主的な自律性こそが、最も急務でなければならないと私は思う。その場合に大蔵省はただ国の予算だけを考えて、そうして国税の面だけの減税をすることが、国民全体に対する減税のような物の考え方をして、そうして地方税となりますと、先ほどから申し上げておりますような担税能力とおよそかけ離れたと申し上げてもさしつかえないような苛酷な増税が、今日施行されておる。そうしてその税金が十分に取上げられないことが不都合であるというよう考え大蔵大臣は持つておられるかもしれない。ぜひこれは徴收しなさい、しないのが不都合であるというお考えを持つておるかもしれない。しかし国の大蔵省が、あるいは国税庁が行つて差押えをしたり、あるいは競売をしたりしているように、無慈悲な取扱いをしてまでも取立てるというようなことは、地方自治体としては実際上の問題として困難であります。こういうものは国税において苛酷に仮借なくこれを取上げるから、地方もその通りにせよというような、もし大蔵大臣のお考えだとするならば、地方自治体の破壊であると私は思うのであります。地方自治体のほんとうのよさというものは、お互いが地方の公共団体の役所をいわゆる一つのサービス・センターとして、住民が全部この役所に頼つて行く。また地方公共団体の方は、住民に対するサービス・センターとしての役目を果すような仕組みにすることが、正しい地方行政のあり方であり、同時に地方財政というものも、そういう建前において一切が処理されなければならない。われわれは今までそう考えておるにもかかわらず、今のようなきわめて冷淡な物の考え方で、こういうものが処理されるということになつて参りますと、今日提案されておりまするこの地方公務員法の制定にあたりましても、なお一段と私ども考え直さなければならない。大蔵大臣は一体この地方自治体をどういうふうにお考えになつているのか、地方自治体の財政をどういうふうにお考えになつているのか、この機会に所信を聞かしていただければ、非常に幸いだと思います。
  110. 池田勇人

    ○池田国務大臣 地方の起債の問題について、今数字的議論がございましたが、門司君御承知通り、国の予算がきまりましても、この予算をどういうふうにして使うか、ことに災害の方につきましては、負担関係が一応予算できまりましても、実際使う面におきまして、かなり地方負担がかわつて来るのであります。従つて起債もかわつて来るのであります。そこで四十一億円出します災害復旧費の点につきまして、地方財政委員会と大蔵省の方で四十一億円に基く起債額の食い違いがございます。また單独事業のボリユームにおきましても、見解相違がございますので、起債の金額がはつきりしないのはやむを得ないと思います。たとえば本年度初めは三百億円で、しばらくやつてみると、とても行かないというので、これを七十億円ふやしてもらいました。こういうよう関係で、單独事業あるいは災害復旧の使い方によりまして数字が動きますので、それは今調節中でございます。しかしいる金だけはどうしても起債でまかなうよりほかにございませんから、最低五十億円を要求しておりますが、この数字は今までと同じように動きます。これはやむを得ないことであります。  次に税の問題でありますが、国では無慈悲な徴收をやつておる、こういうお話でございますが、これはやはり税法上の規定によつて、徴收すべきものは徴收しなければ、まじめに納めた人と滞納をせられた人との不権衡がありますから、法に許された範囲内において徴收は確保しなければなりません。これはいやでもおうでも税務官吏としてやらざるを得ない、地方職員におかれましても、やはり地方税法の命ずるところによつて、これは滞納処分をしてもらわなければいけません。地方自治体はサービス・センターだから、滞納処分も徴收確保もしないというような心構えは、私はとらないのであります。ただ地方のとり方が、まだ国税のよう行つていないのであります。たとえば税法から言つても、法人税は申告納税になつている。決算が確定いたしましたならば、自分で計算して税務署へ納めることになつている。しかるに法人の事業税は賦課課税になつておりますから、門司君がお調べになつたらおわかりと思いますが、事業税を一、二年分納めていない法人が相当あるのでございます。だから地方税におきましても、国税と同じように、法人が決算確定したときは、一応自分で計算して納める、こういう方法をとつたならば、徴收の確保が相当早くできるのではないかと思います。私は、平衡交付金の問題につきましても、本年国税局に言いつけまして、個々の会社について調べてみましたら、まだ地方が決定していないために、一年あるいは一年半分の税金を納めていない会社がざらにある。こういうようなことは、地方財源確保の上からいつても、やはり早く改正して、国税と同じようにすべきではないかという考えを持つておるのでございます。これをもし早急に申告納税にすれば、今年度の事業税收入も相当あるのではないか、もう今月末などはこの決算によりまして一日に七、八十億くらい法人税が納まりましよう、こういうような状況です。ところが地方ではそれをやつていない。地方庁が決定するまで税金を納めなくてもよいというような状況です。こういうふうなことは改めていただきまして、税を早期に確保するという方向に地方庁も進んでもらいたい、こういうのであります。地方の税金の納まることがなかなか遅れまして、東京都なんかでも相当事業税の納入が行つておりません。これなんかもやはり財政委員会自治庁でこういう機会に早く申告納税にしていただいたならば、地方財政もゆるやかになる。国税にしましても、地方税にしましても、納めるのは国民でございますから、そこに厚薄があつてはいけない。無慈悲なことをやつていると言われますが、これは税法上の規定によつてつておるのであります。
  111. 門司亮

    ○門司委員 私は大蔵大臣から幸いにして税金に対する講義を受けたわけでありますが、私は大蔵大臣よりもつと物を考えております。納税は国民の義務であります。従つて徴税しないでも、国民が税法できまつた額だけは、みずから算定してこれを納めるべきが本旨であると私は考えております。憲法に明らかに納税は義務とされている以上は、国民みずからが果すべきものであつて、決して強制されるものではないと考える。しかしそこが世の中の一つの実情でありまして、私はとらなくてもよいということを決して申し上げているわけではない。もしそういう議論がここで大蔵大臣と私の間にかわされるということになりますと、私もまた言わなければならない。それならば大蔵省はほんとうに正しい税の査定が、嚴密に行われているかどうかということまで掘り下げて行きますと、私はかなり疑問があると思う。税法に定められただけの收入を見込み、收入がそれだけあつて、当然納めなければならないものを納めていないことはけしからぬ話だが、国税庁といえども人がやつている以上は、私は必ずしも税法に定められた正しい嚴正な税の取立てをしているとは限らないと思います。従つてそこには必然的に無慈悲なものが出て来る。そういう言葉じりをとらえて議論すれば切りがないので、私はそういうことを今大蔵大臣に聞こうとも考えていなければ、答弁してもらおうとも実は思つていないのであります。私は大蔵大臣として地方財政に対する物の考え方と、地方自治団体のあり方、いわゆる地方公共団体のあり方について、財政的にどういうふうにお考えになつているかということの御答弁を願いたいと、さつき申し上げたわけであります。従つて大蔵大臣地方行政に関する財政面から見たお考えをひとつこの機会にお聞かせ願えれば、われわれがこれから地方財政の問題を考えて行きますうえに、非常に好都合だと考えております。  なおこの機会にもう一言お聞きしておきたいと思いますことは、これはあるいは私の意見になるかもしれないと思いますが、御答弁が願えれば幸いだと思います。私ども考えておりますのは、今田に相当の預金部の金があると考えております。これはどのくらいあるかはつきりわかりませんが、もし数字がおわかりになればこの機会に御発表願いたいと思いますが、預金部の資金というようなものこそ、私はこういう地方財政が非常に逼迫しているときには、これを地方におまわしになるのが、至当ではないかと考えております。御承知ように、日本の国民全体の零細な貯金が集められたものは、やはりその地方の住民に使わせるということが、預金部資金の運営の中に織込まれることが正しいと考えておりますが、これに対する大蔵大臣の御構想もあわせてお聞きしたいと思います。
  112. 池田勇人

    ○池田国務大臣 地方財政も国の財政も同じように、できるだけ経費を節約して、税金を減らすような方法で行くべきものと思います。国の財政はこうだ、地方財政はこうだ。何もかわつたものではないのであります。地方自治を住民のものにするためには、やはり財政的にも独立して行くよう建前で行かなければならないというとは、皆さんと同じ考えであります。  次に預金部の資金の問題でございまするが、ただいま預金部資金は二千億あるのでございます。しかして国債六百億余り、地方債が百億かと思います。それからほかへの投資もございます。運用の方法としましては、国債並びに地方債に限られておつたのでありますが、御承知通り国債は発行いたしませんから、ただいまおもなる資金の運用先としましては、地方債の引受けと余裕金を食糧証劵の方にまわしております。金が少し余つておりまするので、銀行に百億円ばかり、あるいは公団への百数十億円の貸付もやつておる。今後の方針としましては、やはり従来通りに国債はございませんから、ほとんど地方債の引受けに充てたい。その余裕金があれば金融債を引受けまして、しかもその金融債も、預金部が国民の零細な資金、あるいは農業関係の方から入つておりまするから、農業関係の金融債を引受ける、あるいは商工中金の商工中小企業の方へ行く金融債を引受けるというようなことでやつて行きたいと思つております。従いまして私はできるだけ地方の方にこれをまわそうというので、従来地方公共団体が銀行から借りておる金が二十数億円ございますが、これは高金利で借りておりますから、預金部の方に肩がわりして安い金利で引受ける、こういうようにできるだけ地方公共団体に優先的にまわし、そうして余つた金は、幸いに金融債も引受けられるようになりましたから、農村あるいは中小企業の方へ、それを流して行くような方法で進んで行きたいと考えおります。
  113. 門司亮

    ○門司委員 今のよう大蔵大臣の御答弁だといたしますと、地方起債に対しては、財政的には困難ではないというように解釈しても、さしつかえございませんか。
  114. 池田勇人

    ○池田国務大臣 財政的には困難でないという意味は、どういう意味でございますか。
  115. 門司亮

    ○門司委員 おわかりにくいかと思いますが、金融関係の面で、国の貸出しの面から見ますると、預金部資金があるから、具体的に言いますると、了解が得られれば別に資金の面には困難ではないというふうに、解釈してよろしゆうございますか。
  116. 池田勇人

    ○池田国務大臣 起債の許可を得ますれば、百億でも二百億でもまだ借りられます。それは先ほど申しましたように、百億円ばかり、普通の銀行や無盡会社へ預けておるのを引上げればあります。それからまた食糧証券も二百億余り持つておりますし、預金もありますから、これはさしつかえございません。私としては起債の許可があまりふえない場合においては、門司君御承知通り、短期融資としてわく以外にどんどん貸しておる。それだけ私は心を使つて地方団体に金を出してやりたいと考えておるのであります。あまり表向きにやられると困りますが、そういう泳ぎ方をして、地方財政の方に、銀行からの高利の借入金をできるだけしないように努力しておるのであります。御了承願います。
  117. 立花敏男

    立花委員 三十五億円では、地方公務員ベース・アツプや越年手当について不足だと思いますが、これを起債のわくが許されないとすれば、短期融資でやるおつもりがあるかどうか伺いたい。
  118. 池田勇人

    ○池田国務大臣 そういう金を短期融資でやる考えはございません。それは地方の方でできるだけやりくりしていただきたい、こういう考えでございます。
  119. 藤田義光

    ○藤田委員 先ほど来、いろいろ問答がありましたが、この際私は、大蔵省当局に資料をお願いしたいと思います。それは地方財政の実態調査をやられたはずでございますが、その資料のなるべく詳細なものをひとつお願いしたいと思います。  それから主計局の地方財政係で、シヤウプ勧告に対する批判とかいう非常にりつぱなものを書かれたそうでございますが、これの詳細なものを、なるべく早急にいただきたい。  もう一つ、終戰以来今日までの預金部資金の運用実績と、それから二十六年度計画、これを合せたものを資料として御提出願いたい。その三つをぜひお願いしたいと思います。
  120. 河野一之

    ○河野政府委員 できますものは提出いたしますが、まだきまつておらぬものもございます。それから私の方の係でシヤウプ勧告に対する批判とかなんとかというようなお話がございましたが、これは内部いろいろ会議をした書類でありまして、この点だけは御勘弁願います。
  121. 藤田義光

    ○藤田委員 それではシヤウプ勧告に対する批判は、われわれがわれわれの職権に基いて集めることはさしつかえないと思いますから、集めたいと思います。  それから預金部資金の運用計画と運用実績、これはもう当然国会に対する堂々たる資料として提出できると思いますから、ぜひお願いします。  それからもう一つ地方財政の実態調査、これは相当はかどつておるだろうと思います。実は閉会中におきまして、われわれのボツクスに途中までの実績が配付されております。それがその後相当時日を経過いたしておりますので、なるべく細部のものを、詳細なものをいただきたい。これを重ねてお願いしておきます。
  122. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それではこの際御報告申し上げます。  一昨日委員長より議長に公聽会開会承認要求書及び国勢調査承認要求書を提出いたしましたが、それぞれ議長より昨日承認がありました。  なお公聽会開会報告書につきましては、一昨日の委員会の御決定に基き、昨日委員長より議長に報告書を提出いたしておきましたので、以上御報告申し上げます。  この際小委員会設置に関する件についてお諮りいたします。本委員会においては前国会に引続き競犬法案の起草及び消防に関する調査のため、これに関する小委員会をそれぞれ設置いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 前尾繁三郎

    前尾委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  次に小委員及び小委員長の選任は、委員長より指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  124. 前尾繁三郎

    前尾委員長 御異議なしと認め、委員長より指名することにいたします。都合により本日公報をもつて指名することにいたします。     —————————————
  125. 前尾繁三郎

    前尾委員長 次に行政書士法案起草の件についてお諮りいたします。第六国会におきまして、本委員会におきましては、行政書士法案を起草し、委員会提出の法律案として議院に提出いたしまして、可決されたのでありまするが、参議院の関係により成立いたしませんでしたので、今国会においても行政書士法案を起草いたしたいと思います。以上の関係で前国会に起草した案を基礎とし、若干の字句的修正を加えました案を、ただいまお手元に配付いたしてありまするが、何か御意見があれば伺いたいと思います。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  126. 前尾繁三郎

    前尾委員長 御意見がなければ、この案をもつて関係方面と折衝いたしたいと思いまするが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  127. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それではさよう決定いたします。  それでは本日はこれにて散会いたします。     午後一時十四分散会